加藤大臣会見概要

(令和5年2月10日(金)9:03~9:18 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について




大臣:
 本日、厚生労働省関係で1本の法案を閣議決定いたしました。「全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案」であります。出産育児一時金に係る後期高齢者医療制度からの支援金の導入、後期高齢者医療制度における後期高齢者負担率の見直し、かかりつけ医機能が発揮される制度整備、市町村による介護情報の収集・提供等に係る事業の創設等の措置を講ずるものであります。今後提出後、この国会において速やかにご審議をいただくようお願いしたいと思っております。以上です。

質疑

記者:
現在の健康保険証を廃止し、マイナンバーカードと一体化を目指す方針について伺います。いわゆるマイナ保険証を取得しない人には資格確認書を提供するという考えが先日与党側に示されました。この資格確認書の提供を有料にする案も出ていますが、有料化することの必要性について大臣はどのようにお考えになりますか。また、与党側からも「ペナルティー的にお金をとるという発想はおかしい」という声が挙がっていることについてもご所見をお聞かせください。
大臣:
マイナンバーカードによるオンライン資格確認を受けることができない方が保険診療を受けることができるよう、ご本人の申請に基づいて保険者が資格確認書を提供する仕組みを党の方にも説明したと承知しております。その上で医療保険制度、これは前から申し上げておりますが加入が義務になっている、そして保険料を納めることをもって保険診療を受けることができることは当然の権利でありますから、その考え方に則っていけば今の資格確認書発行の有料・無料に対する答えはおのずと明らかではないかと思っております。
記者:
冒頭にありました、閣議決定されました健康保険法などの改正案に関してお伺いします。後期高齢者医療制度を見直し出産育児一時金への支援金に充てるなど、全世代で公平に支え合う仕組みを構築する一方で、高齢者の負担増を指摘する声もあります。今法案の狙い、意義について改めて大臣のお考えをお聞かせください。
大臣:
少子化の流れが続いている、更に高齢者人口は2040年頃をピークに増え続け、他方で生産年齢人口が減っていってしまう、特に2025年までに団塊の世代が全て後期高齢者になるというわけであります。
 後期高齢者の保険料については後期高齢者医療制度の創設以来1.2倍にとどまっているのに対し、現役世代の負担する支援金が1.7倍となっております。これは介護保険とは仕組みが異なるということに基づくものになりますが、先ほど申し上げたような流れを踏まえれば、現役世代の負担上昇の抑制を図りつつ、負担能力に応じて全ての世代で増加する医療費を公平に支え合う仕組みを作っていくことが必要だということで、今回の医療保険制度改革では先ほど申し上げましたが出産育児一時金について大幅な増額を図るとともに、後期高齢者医療制度からの支援の仕組みを導入していく、後期高齢者医療制度の前においては高齢者の方も出産育児一時金についてはご負担いただいていたという経緯もあります。また、現役世代の負担上昇を抑制するため、後期高齢者医療における高齢者の保険料負担割合を見直すこと、そして被用者保険者間における負担能力に応じた格差是正の強化、こういった中身を盛り込んだところであります。
 今般の見直しは、高齢者の方々全員に一律に負担をお願いするわけではありません。低所得層の方については制度改正に伴う負担の増加が生じないようにする、そして賦課限度額や一定以上の所得のある方の保険料率を引き上げる、こういう形で負担能力に応じた負担とすることとしております。現役世代の負担軽減を図っていくためにも、能力に応じてご負担いただくという形で必要な内容を決めさせていただいたということであります。
記者:
最初の質問に対する回答の最後の部分で念のため確認ですが、確認書の有料・無料の答えはおのずと明らかになるというのは、有料化をしないという理解でよろしいでしょうか。
大臣:
党の中での議論がどうであったのかというのを私は承知しておりませんし、最終的には党で議論していただくことになると思いますが、ただ今申し上げた原則に立っていけばおのずと答えは出てくると私は考えています。
記者:
警視庁が7日、NPO法人「難病患者支援の会」の理事長を臓器移植法違反容疑で逮捕した無許可の臓器あっせん事件について、大臣の事件の受け止めと、同様の事例の有無を把握するための調査など厚生労働省として考えられる対策をお聞かせください。
大臣:
臓器のあっせんに関してはそれに係る法律があるわけでありまして、まさに公平・適正に行われるべきであります。NPO法人「難病患者支援の会」が無許可で行ったとして同法人の理事長が逮捕されたことは報道で承知しておりますが、業として行う臓器のあっせんを無許可で行ったことが事実ということであれば、これは大変遺憾なことであります。厚生労働省としては同様の事案の有無を含め関係学会等と連携して情報を収集し、必要な対応を検討していきたいと考えております。また引き続き、同様の事案が生じないよう臓器提供に関する正確な情報を発信していくとともに、国内での臓器移植医療の推進に向けた取組をあわせて進めていきたいと考えております。
記者:
全世代型社会保障の話に戻るのですが、少子高齢化が進む中で今回の法改正を通じて今後どのような社会を実現していくのかといったところについてどのようにお考えでしょうか。
大臣:
今回の法律の中身にも関わりますが一つはかかりつけ医機能というもの、これをしっかり発揮していくという形で医療提供サービスを構築していく、これは地域医療構想等の見直しも図っていただいておりますし、そういった中で地域、地域においてかかりつけ医機能というものをしっかりと提供できる体制を構築していくことで、これからの高齢化に伴う様々な医療ニーズ等にも対応していく体制をまずは構築していくことが必要だと思っております。
 他方で医療にかかる費用の負担ということに関しては先ほど申し上げましたが、基本的に医療だけに関わらず負担の能力に応じて負担をお願いしていく、要するにこれまでは若い方々に負担のお願いをするということに重点が置いてあったことに対して、歳がどうとかいうことではなくて負担能力に応じて負担していただくという方向へ舵を切っていく必要があると思っております。
 それから今回は介護情報でありますが、介護・医療含めてしっかりとDXを進めていくことによって、よりよい医療あるいはよりよい介護等が効率的に、またそれぞれのニーズや状況に応じて提供していける、こういう社会を構築していきたいと考えています。
記者:
冒頭の資格確認書の件でもう一度お伺いしたいのですが、先日与党の会合で資格確認書の発行の際の手数料などといった話があったのですが、細かい話になるのですがそれは発行時に手数料がかかるという説明をされたのか、それとも毎年手数料がかかるということを説明されたのかということと、実際に資格確認書を発行するのであれば今の保険証を使っている人はわざわざ発行する必要もないのではないかという意見もあるようですが、それについて受け止めはいかがでしょうか。
大臣:
前者の方、どういう説明をしていたか詳細は承知しておりませんが、基本的に政府の中で有料にするということで議論しているわけではありません。党でいろいろと議論があったということの含みの中で、先ほど申し上げたように私の考え方を述べさせていただいたということであります。
 それから後者は、健康保険証は発行しないということは申し上げてきている、その中で保険料を納めた方が保険診療を受けられる仕組みは当然構築する必要があるということは従前から申し上げていることでありますので、あとは資格確認書というものの有効期限をどうするかだとか、そういう詳細はこれから議論していかなくてはならないと考えています。
記者:
マスクについてお伺いします。今日にも政府対策本部でマスクの見直しを決定されるのではないかということですが、改めて5類に移行する前にマスクの着用について政府で方針を決められるということの意義ですとか、それからマスクの着用というのはやはり個人に委ねられる部分が大変大きいと思うのですが、その辺りの大臣のお考えと国民へのメッセージがありましたらお願いします。
大臣:
マスクの着用については、前回いわゆる2類から5類に移行するという考え方を示させていただいたときに、見直しに伴いマスクの着用についても検討して早期に結論を出しますということを申し上げてきているところでありますので、それに向けて先般のアドバイザリーボードでもご議論いただいたことも含めて、できるだけ速やかに結論を示していきたいと考えております。そのときにもお示しさせていただいたように、これまでは国の方から基本的に屋外は着けなくても屋内については着けて欲しいとお願いしてきた、そこからそれぞれの国民の皆さんの個々の判断に委ねる形に移行するという方向、これは既にお示しさせていただいておりますので、このマスクの着用の考え方についても見直しを図った際にはそうした意味において個々の皆さんが判断していただける、それに必要な情報等もしっかり提供していきたいと思っておりますし、先般専門家の会合においてもマスクの有効性あるいはどういうときに着けた方がいいのか、こういった議論も頂戴したところでございますので、そういったことも含めて発信していきたいと思っています。

(了)