田村大臣会見概要

(令和3年9月10日(金)11:11 ~ 11:29 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について



大臣:
おはようございます。今日、まず私から1点ご報告をいたします。年金の問題なのですが、かねてから私が問題意識を持っておりました、年金制度の中において基礎年金の水準が目減りしていくという問題があります。それはなぜかというと、マクロ経済スライドが発動されないことによって給付水準の調整が長期化するということで、年金の仕組み上、先に調整が基礎年金の方にいってしまうものですから、厚生年金の2階部分は逆に財政がよくなるのですが、基礎年金は悪くなってくると。こういうことがございまして、基礎年金のやはり水準がずっと悪くなってきたという今までの状況がございます。
 そこで、基礎年金のマクロ経済スライドの調整期間を短くする、つまり厚生年金の2階部分と一緒にするという財政調整、これを必要だと以前から私申し上げてきたわけであります。これは、昨年の私の大臣就任以来、12月に社会保障審議会で追加試算、これに関してやってもらいました。そして公表いたしましたが、そういうようなことでかなり基礎年金の水準が上がると。
 去年の試算で言いますと、2033年で(報酬)比例部分と基礎部分でマクロ経済調整が仮に終わるということになると、基礎年金は以前は2046年まで財政調整をしないといけない、マクロ経済スライドをかけないといけないということで26.5%が所得代替率の分でありますが、これくらいだったのが32.9%まで上がるということになります。
 こういうことで、この方向性で年金局に検討させているところでございまして、是非ともそれを実現していきたいと思っております。具体的にはよく国民年金の水準が上がると思われますが、基礎年金の多くは厚生年金の部分でございます。
 何が起こるかというと、厚生年金で所得が低い方々の所得代替率が上がるということになりますので、そういう意味では所得の再分配(の強化)のようなことが起こって、低い方々に手厚い年金に変わるということでございますから、非常に意味のある、そういう改革になろうと思っておりますので、是非ともそういう方向性で検討してまいりたいと思っております。私からは以上です。

手話付きの会見動画は(手話付き)【厚生労働省】厚生労働大臣記者会見(2021年9月10日)(厚生労働省 / MHLWchannel )からご覧ください。

質疑

記者:
政府は、今月12日が期限となっている21都道府県の緊急事態宣言について、東京や大阪など19都道府県で今月30日まで延長し、宮城県と岡山県は、まん延防止等重点措置に移行することを決めました。政府は今回の宣言を最後とする覚悟で対策を講じてきましたが、延長が繰り返され、日常生活への影響が長引いています。今回の決定に対する受け止めを教えてください。また、足下の新規感染者数は全国的に減っているものの、医療提供体制の状況を考えると、新しい期限までに全ての都道府県の宣言解除は難しいとの見方もあります。解除に向けて、厚生労働省としてどのような対策を講じますか。また、国民にどのようなことを呼びかけますか。
大臣:
今回延長ということで、今までも緊急事態措置、まん延防止等重点措置ということで、そのエリアの方々のみならず、緊急事態宣言自体は全国に発令されておりますから、国民の皆様方に大変なご負担といいますか、行動の制約をお願いしてきたわけでありまして、本当にご協力に心から感謝を申し上げると同時に、更にこれが9月30日まで延びるということになりますので、そういう意味では大変申し訳なくも思うわけでありますが、感染を一定程度に抑えていくために今回このような延長をお願いさせていただくということであります。
 9月30日頃、今減少傾向に入ってきておりますので、これをそのまま順調に新規感染者が減っていけば、9月の終わり頃には多くの地域で措置の解除ができる水準まで下がってくるというような、そういうことも見えてきているわけであります。もちろん、気を緩めればまた途中で感染がリバウンドするということもございますので、そういう意味では国民の皆様方に是非とも協力をお願いいたしたいということであります。
 併せて、今なお重症者の方々、またお亡くなりになられている方々(の数)は高い水準でございます。医療の方もまだ負荷がかかっておりますので、もちろんコロナへの医療、コロナの治療を受けられている方々も大変でございますし、一方で他の一般医療、こちらにもかなりの制約がかかってきているということで、国民の皆様方、コロナのみならず、いろいろな疾病に苦しまれておりますから、その方々に対しても医療というものを回復していかなければならないということを考えますと、臨時の医療施設等、より効率的にコロナの対応というものを考えていただかなければなりません。
 それこそ体育館やプレハブ等の臨時の医療施設、こういうことも整備していかなければならないと思っております。また、都道府県ともそういう話をさせていただいておりますし、自宅(療養)、宿泊(療養)それぞれありますが、特にそういう所に対しての在宅でのいろいろな医療の提供、今も多くの地域で地域の医療関係者の方々にお力添えいただいておりますけれども、これに関してもしっかりとした体制整備というものを更に進めていかなければならないと思っております。
 酸素ステーションでありますとか、入院待機ステーションでありますとか、様々な工夫を今各自治体でやっていただいておるわけでありますが、いろいろな治療薬も出てきておりますので、ロナプリーブを始め、外来でそういうものを打てるような、使えるようなそういう環境整備でありますとか、また在宅で本当にどうしても入院できない方々のために酸素の濃縮装置、こういうものをしっかりと確保していかなければならない、様々な対応をしていかなければならないと思っております。
 そこはまだ、新規感染者が下り基調であるからと言って、我々として気を緩めるわけにはいかないと思っております。なお、冬に向かって、また感染拡大するのではないかと専門家の方々も予想されておられますので、今の対応は今の対応としてしっかりやっていきますが、そちらに向かってもしっかりと体制整備というものも進めていきたいと思っております。
記者:
ワクチンの3回目接種についてお伺いします。国内でワクチン接種が始まって既に半年が経っていますが、政府から半年経つと抗体の値が変わるとの指摘がされています。追加の接種についての必要性と、いつ始められるのか。また、このような状態でも感染対策の緩和は適切であるのか、大臣のご見解をお願いします。
大臣:
3回目のブースターといいますか、(3回目接種が)必要かどうかということは、今世界でいろいろなそれに対する調査といいますか、やっているわけですよね。そういうものの例というものを、データというものをしっかりと分析をさせていただきたいと思いますし、最終的には厚生科学審議会の下でご判断、ご評価をいただかなければならないと思っております。早急にこれは開かせていただいて、方向性を決めなければならないと思っております。それでもし必要だということになれば、早急に体制整備をしていかなければならないと思っております。
 ただ、よく中和抗体価、免疫原性が下がるということ自体で、免疫自体が本当に失われるというのは自明の理だと思われている節もありますが、決してそうではなくて、免疫システムというのは例えばワクチンを打つことによって液性免疫というもの、これが下がったとしても、免疫記憶でありますとか、細胞性免疫というものもありますので、重症化を防いだりとか、そういうような役割はある、一般的にあるということでございますので、ただ中和抗体が下がったからといって、全くワクチンの効果、免疫の効果というものがなくなったということではないので、そういうことも我々国民の皆様方に伝えられることはしっかりと伝えていかなければならないと思っております。
 実際問題、海外でも、ブレイクスルー感染はしたけれども重症化は防げているという事例もございますので、そういうこともワクチンの意味というものを、しっかりと国民の皆様方にお伝えさせていただきたいと思います。
記者:
行動制限に関しては。
大臣:
それに関しては、もちろんワクチンを3回目打つか打たないかということ、中和抗体価がどうかということはあろうかと思いますが、一方でやはり今までも例えば下りのまん延防止等重点措置の時、下りというのは要するに新規感染者が減っていく部分(過程)で行動制限の緩和というものが徐々に進んでいくというのは、今までもさせていただいておりますので、これは最終的には知事さんがご判断される話になろうと思いますが、感染の状況を一番分かっておられる都道府県でご判断をいただいて、やはり、行動制限をお店にかけるということは国民の皆様方もそこに行けないという話になるわけで、本来は前から申し上げておりますとおり、このようなことを行政が国民の皆様方にお願いすること自体、本来はしてはいけないことを、感染防止の立場から無理にお願いをさせていただいているということでございますから、そこは本来国民の皆様方のそれぞれの行動というものを、より元へ戻していくために、いろいろなご判断をしていただくということで一つ、今回、基本的対処方針に方向性を示させていただいたということでございます。
 とはいえ、何でもいいというわけではございませんので、まだ感染というものが完全に終わっているわけではございません。これから我々はコロナと長い戦いをしていかなければならないと思いますので、リスクの高い行動というものはお控えいただければありがたいと思います。
記者:
今の質問に関連してお伺いします。そのようなご説明も分かるのですが、今後冬を迎える、あるいは小さな子どもへのワクチンというのがまだ目処が立っていない状況の中で、11月頃を目途にした行動制限の緩和というのは、やや時期尚早なのではないかという意見や、あるいはこういった打ち出しそのものが国民の感染予防の意識を低下させるのではないかという指摘もあります。そういった点はいかがでしょうか。
大臣:
一方で、いつまでもずっと厳しい措置ばかりでは国民の皆様方が厳しい措置をお願いした時にご理解をいただけない、そういうようなお声もありました。ですから、そこはやはり将来に向かって、国民の皆様方が日々の生活にストレスというものを非常に今感じられておられる、そういうものに対して一定の方向性、今よりも日常が完全には戻りませんが、一定程度戻ってくるという状況になったら、こういうやり方をすれば、ということをお示しするということは、これは多くのメディアでもそういう必要性があるのではないかというお声もあったと私は存じております。
 そういう中でもちろん感染がまた厳しくなれば、こういうようなやり方で、まだ具体的には決まっていませんが、こういうようなやり方で一定程度行動規制を緩和するということを示していたとしても、感染が厳しくなればそれはまた止めていただくということも当然あるわけなので、方向性を示すということは、私は重要だと思います。
 一方で、海外でのいろいろな取組をやっておられます。そういうものも参考にさせていただきながら、海外でこうやったから感染を抑えて日常生活で一定程度制約を緩和できた、海外でやったらまた感染者が増えた、いろいろな事例があると思います。
 海外と日本はまた違いますので、生活習慣、それから衛生観念だとか違いますので、日本でも一定の実証的なことをやっていきながら、どういう行為、どういうものをやればどういう行動制限の緩和ができるのかということを、しっかりと実証的に見ながら、最終的には何をどうやっていくのか、まだ具体的に決まっていませんから、これをお示ししていくということであろうと思います。
 ただ、どこかではやらないといけない話です。ずっと今のままでというわけにはいかないわけなので、そういう意味で一定の方向性を検討しているということだとご理解いただければありがたいと思います。
記者:
先ほどの冒頭のご発言にあった年金の件ですが、まずこのタイミングで厚生年金の調整ということをされる、基礎年金の調整をされるという、このタイミングなのはどうしてなのかということと、この改革というのは次回の年金改革での課題だと認識しておりますが、具体的なスケジュール感というものを含めて教えてください。
大臣:
これはずっとこういう議論はしてきたわけで、もっと遡ると私が以前大臣をやっていた頃から問題意識を持っていた話で、そういう意味で前回の検証の時にこういうことも含めていろいろな検討はしてもらいたいというのは、大臣(就任)の以前から申し上げておりました。その上で、12月に試算を去年出してもらいました。いよいよ次(の改正)に向かっての検証をやっていかなければならないので、そういう中において、これ結構いろいろな方々にご理解をいただいていかなければいけない話であるのは確かで、財政当局にもご理解をいただいていかなければいけない話でも当然あります。
 そういう意味で、一定の検討の中において、そろそろそういうことを国民の皆様方に、年金、やはり基礎年金が「非常に不安だ」というお声は、これは以前からずっとございましたので、元々は、同時にマクロ経済スライドは終わる、報酬比例部分も基礎部分も一緒に終わるということで(平成)16年の検証をやっているわけです。それをマクロ経済調整がかからなかったことによって、報酬比例部分と基礎部分が乖離していったわけです。マクロ経済スライドが終わる時期が。
 それを元に戻すためにはどうすればいいのかということで、今回のような方法というものを検討してきたわけでございますので、なるべく早く国民の皆様方に方向性を示すことが、年金の安定性、安心、こういうものにつながるであろうということで今日このような形で報告させていただいているということであります。
記者:
行動制限の緩和に関連して、接種証明に抗原検査キットが使われるようになるということなのですが、厚労省が承認している検査キットが、いつ町の薬局で買えるのかということが、関心が高いところなのですが、どのようになっておりますか。
大臣:
今検討をいたしております。こういうようなことをやれば当然町で買うということもあるでしょうし、また、抗原検査キットでやる検査会社などが、そこを担っていただく、例えばイベントなどがこういうこともあるのかも分かりません。そういうような今回の行動規制の一定の緩和において、いろいろなそういう諸問題といいますか、解決しないといけない部分がございますので、それは早急に解決すべく、今、(検討を)進めている最中でございます。町の薬局で抗原検査キット等を買えるような形で今検討している最中とご理解いただければありがたいと思います。

(了)