加藤大臣会見概要

(H30.9.11(火)11:02 ~ 11:17 会見室)

【広報室】

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。冒頭特に申し上げることはございません。

質疑

記者:
今日、障害者雇用の水増し問題で検証委員会第1回がありまして、そこで挨拶も交わされましたが、この検証とは別に、一方で政府全体でやはり障害者雇用を実際に増やしていかなければならない、特に来年末までに法定雇用率を満たさなければならないという問題があると思います。そういう中で障害者団体等が、障害者枠を設けるということを要望しておりまして、大臣も選考採用という制度について、それが可能であるということを言っております。一方、選考採用で有期の職員となってしまうわけで、その正規の職員として障害者を拡大していく、こういうことが必要ではないかという声もありますが、こういったことについて大臣の所見を教えてください。
大臣:
まず、今お話がありました検証委員会第1回がスタートしました。国の行政機関も事業主として社会連帯の理念に基づき、障害者の雇用の確保や安定を図る責務を有するわけであります。また、民間の事業主の方に対して率先して障害者を雇用すべき立場にありながら、今回のような障害者問題、雇用すべき障害者雇用率を達成していないという事態となったことは甚だ遺憾でありますし、国民の皆さん、また障害を有する皆さん方にも深くお詫びを申し上げたいと思います。法定雇用率を達成していない機関については、先般申し上げましたが、障害者雇用促進法の下で、まずは年内の達成を目指していただくということであります。年内の達成が難しいという場合には、平成31年末までの一年間の採用計画を策定していただき、計画に則って取り組んでいただくということになりますが、厚生労働省としても、ハローワークにおける求人の周知やマッチングなど、各省の取組を最大限支援していきたいと思っております。障害者の採用枠の関係については、人事院、内閣人事局等とよく議論をしていきたいと思っております。そうしたことも含めて「公務部門における障害者雇用に関する関係府省連絡会議」あるいは当事者も参画する労働政策審議会障害者雇用分科会において、当事者の皆さんからもお話を伺う機会をつくりながら、10月中を目途に再発防止はもとより、法定雇用率の速やかな達成に向けた計画的な取組をどう具体的に実現していくのか、あるいは障害者の活躍の場の拡大に向けた取組について取りまとめをしていきたいと思っておりますから、そういった中で、併せて今お話のあった点も検討して、結論を得ていきたいと思います。
記者:
昨日、自民党総裁選の所見発表演説会において安倍総理が、すべての世代の人が安心できる社会保障制度へと3年で改革を断行すると述べました。この発言について加藤大臣の受け止めと加藤大臣ご自身としては次の3年間でどのような改革を進めていくべきとお考えでしょうか。
大臣:
先般の会見でも似たようなご質問がありましたので、そのときお話しさせていただいたことと重複するところがありますが、一つは、現在社会保障制度の改革工程表というのがありますから、それを着実に実施していくということが当然求められているわけであります。また、併せて来年の秋に消費税の引き上げが行われるということ、税と社会保障の一体的な改革について、一つの区切り、また新しいステージがスタートすると考えております。さらにこの消費税引き上げについては、幼児教育の無償化を初めとした全世代型社会保障の実現に向けてもさらに一歩進むということになりますが、それに加えて、一つは高齢者雇用の関係については、本年5月の人生100年時代構想会議において、総理から直接指示もいただいておりますが、65歳以上への継続雇用年齢の引き上げに向けた環境整備、こうしたことをしっかりと議論し、結論をということでございます。まずは、それをしっかりとやる必要があると思います。それから、併せていわゆる年金の受給開始年齢の柔軟化あるいは短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大等の被保険者の範囲の見直しといったことも当然必要になってくると思います。それから、先般の経済財政諮問会議で厚労省の方からもご説明させていただいた今後の人口構造のありようの中で、課題も申し上げさせていただきました。2025年までの高齢者の急増からその後現役世代が現在も減っておりますが、さらに減少していくという局面を見据えながら、どういう対応をしていくのか。そういった意味において、一つは高齢者の方を初めとした多様な就労・社会参加を促進していくということで、いわゆる生産年齢人口が減少する中でも社会の活力維持をどう図っていくか。そのためにも健康寿命を延伸していく。それから先ほどの高齢者の就労等もそういった中でより進めていくと。さらには医療サービスを進めるという観点にとっても、生産性の向上を図っていくと、こういった大きな柱があると思います。特に、今申し上げた健康寿命の延伸という観点からはいわゆる予防・健康づくりにしっかりと取り組んでいく、そのためにもインセンティブを強化していくといった様々な取組が必要になってくると考えておりますので、そういったことも含めて、これからしっかりと議論していく、具体的な施策を打ち出してそれを進めていく。そういったことを先般の総裁選あるいはその前にもマスコミ各社とのインタビュー等でもそうした趣旨のことを答えておられましたが、総理は念頭に置かれていると思いますし、我々厚労省としても今申し上げた観点に立って、その実現に向かって全力で取り組んでいきたいと思います。
記者:
先週6日に厚労省が発表した旧優生保護法の関係資料の中において、1986年に旧厚生省の精神保健課の方が作成したとみられる「優生保護法の改正について」という文書がありました。この中では、強制不妊手術が人道的に問題があるのではと指摘されているということが記載されており、具体的な法改正が検討されていました。それだけその問題が指摘されているということを認識しながら法改正が進まなかった結果、この後10年間に18人ほどの強制不妊手術が行われているわけですが、この法改正がなかなか進まなかったということについて、大臣としては、何か厚労省として責務、責任を感じるところはありますでしょうか。
大臣:
従前から厚生労働省が今ご指摘の点を含めた様々な資料があるか調査をして、それをお示しすると申し上げてまいりました。先般9月6日に開かれました与党ワーキングチームの中で、その資料を提出し、今ホームページでも私どもが把握できたものは公開させていただいております。その一つ一つがどうだと今からコメントすることはなかなか難しいわけでありますが、そこに今お示しさせていただいているということであります。いずれにしても、今、与党のワーキングチーム、超党派の議連などについて、この優生保護法に関するご議論が行われているわけでありますから、厚労省としてもその議論を注視しつつ、求めに応じて対応させていただきたいと思っています。いずれにしても、全ての人々が互いの人格と個性を尊重しあいながら、共生できる社会、まさに共生社会の実現、これは厚生労働省としても掲げている点でもあります。その実現に向けてしっかりと取り組んでいきたいと考えておりますので、そういう姿勢でこの問題にも対応していきたいと考えております。
記者:
拉致の関係でお伺いします。間もなく、2002年の日朝首脳会談から16年が経過します。拉致被害者の家族も高齢化になり存命の親世代は4人になりました。これまでの取組と、大臣の考えをお聞かせください。
大臣:
今、存命の親世代ということでは、横田滋さん・早紀江さん、そして有本明弘さん、そして嘉代子さんがいらっしゃいますが、両夫妻をはじめとして、御家族の皆様、そして拉致をされた被害者の方々も、一年一年と歳を重ねておられます。そして、中には、拉致された御家族の帰国を望みながら、残念ながら亡くなられた御家族もいらっしゃるわけであります。私も拉致問題担当大臣になって3年経つわけであります。残念ながら、今お話があった、2002年に5人の拉致被害者の方々が帰国されて以来、一人の被害者の方の帰国も実現、また、実現に向けての道筋も見出しえていないということであります。これは本当に痛恨の極みであり、拉致被害者御家族、また関係者の方々、大変申し訳なく思っております。そうした中で、6月12日、米朝の首脳会談がありました。トランプ大統領からは、安倍総理の拉致問題についての考え方を直接伝えたと、このことは大変大きな成果であると思います。あとは、これからこの問題、日本人の拉致問題を解決していくというのは、日本、日本政府の問題であります。総理も、「最後は、自分自身が金正恩国務委員長と向き合わなければならない。そして、これを行う以上は、北朝鮮の核・ミサイル、そして何よりも重要な拉致問題の解決に資する会談としなければならない」と述べておられますし、これに対する姿勢を仰っておられるわけであります。ただこの米朝首脳会談後、拉致被害者の家族の方からは、「一日も早い帰国の実現を図ってほしい。」という、まさに切実な思いが訴えられる一方、「焦らず、解決の道筋が見えるまで政府は安易に動かないでほしい。」との冷静な要望も出されているわけであります。私どもとしても、最早一刻の猶予もないというこの切迫感、これはしっかり共有させていただきつつ、しかし同時に、確実に被害者の帰国につなげる、そうした協議を進めていくことの重要性をしっかり認識して取り組んでいきたいと思います。まさに今、北朝鮮をめぐる状況に色々変化が起きているわけですが、そうした中で、対応していく中であって、まずぜひお願いしたいのは、国民の皆様のお一人お一人が、この拉致問題に対する強い怒りと、そして一日も早く、拉致被害者の方の帰国を実現する、そうした強い意思を様々な形でお示しを頂くことは、問題の解決、あるいは政府の取組に対して、大変強い後押しになります。そうした力もいただきながら、政府としても、引き続き米国や韓国をはじめとする国際社会と連携しながら、一日も早い全ての拉致被害者の方々の帰国の実現に向けて、我々としてもあらゆる施策を駆使して、そして主体的に、また最重要・最優先の課題として、その実現に向けて全力で取り組んでいきたいと考えています。
記者:
自民党総裁選の話になりますが、昨日、演説会と共同記者会見でそれぞれの候補が社会保障について主張されましたが、改めて今後どのような論戦、議論を期待されているかということと、石破候補が持続可能な社会保障制度の構築に向けて国民会議の創設をうたっていますが、大臣、これについてどのようなお考えをお持ちでしょうか。
大臣:
まず、政府の立場として自民党総裁選の候補者それぞれのご主張に対してコメントすることは控えた方がいいだろうと思います。いずれにしても、この論戦を通じて、やはり国民の世論調査を見ても、経済に対する取組と同時に、この社会保障に対する取組に対して大変高い関心があるわけですので、そういったことについて、両候補の中で、さらに具体的な議論が進むことを大変期待しているところでございます。また、そうした議論も踏まえながら、先ほどのこれからの取組といったことも、しっかり我々としても考えていきたいと思います。
 
 
 

(了)