塩崎大臣会見概要

H28.12.9(金)9:08 ~ 9:25 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。私からは特にございません。

質疑

記者:
2点おうかがいします。1点目は、昨日、麻薬取締官が逮捕されたようですが、今後の対応をお聞きしたいのと、2点目は、相模原市の事件で、昨日、報告書がまとまりまして、今日、会議だったと思うのですが、今後の取組みをお聞かせください。
大臣:
まず、昨日、関東信越厚生局の麻薬取締部の職員が、文書偽造の容疑で逮捕されたと聞いております。容疑が事実だとすれば、極めて遺憾な事が起きたと思います。厚生労働省としては、今後の捜査に全面的に協力いたします。同時に、捜査結果等を踏まえて、非行の事実が確認された場合には、当然のことながら厳正に対処していくということでございます。今後とも、職員の綱紀の厳粛な保持について、徹底的にこれを守っていくようにしたいと思います。相模原の津久井やまゆり園で起きた悲惨な事件がございましたが、それに関する検証チームの報告書が昨日公表されまして、本日、閣議に先立って関係閣僚会議が開催され、私の方からその中身を説明いたしました。報告書では、再発防止策は大きく四つの柱、共生社会の推進、退院後の医療等の継続支援、地域における関係機関等の協力の推進、社会福祉施設等における対応で構成されております。特に、退院後の医療等の継続支援が重要であると思っております。具体的には、従来、措置入院からの退院後の支援について、制度的な対応は定められていませんでした。今後は、以下のようにしたいと思っております。措置権者である都道府県知事などが、患者の入院中から、帰住先の自治体や、入院先の病院、あるいは退院後に通院されるであろう病院などの関係者も含めて、「調整会議」を開催いたします。退院をする際に、「退院後支援計画」を最終的に決めるわけですが、それを入院中から作り始めて、戻るであろう地域の方々も含めて一緒に計画を作るということです。もちろん、責任は措置権者たる自治体が責任を持って、「退院後支援計画」を作るということであります。こういう仕組みの整備をすることが、措置入院からの退院後の新たな対応でございます。今日、総理からは、再発防止策を実効あるものとするために具体的な取組みを進めるように指示がございました。その指示を受けて、厚生労働省としては、報告書の内容を踏まえて、引き続き関係省庁としっかりと連携しながら、精神保健福祉法の改正を含めて、再発防止策の具体化を進めてまいりたいと考えております。
記者:
本日、がん対策基本法の改正案が衆議院の本会議で成立する見通しとなっておりますが、それが国内のがん対策にどのような意義を持っているかということと、がん対策推進基本計画にどのように反映していくかということを教えてください。
大臣:
がん対策基本法が成立して10年という節目に当たって、改正が議員立法として行われたということだと理解しております。がん対策基本法に基づいて、基本計画が作られていて、今、第三次の基本計画に向けて検討中でありますが、今回の議員立法によりまして、例えば希少がんや小児がんなどの、今まで十分に陽が当たっていなかったがんの種類もあります。さらには、がん患者の方々、サバイバーの皆様方が働くということについての配慮も十分に世の中で行われていないという問題意識から、働き方についても書き込まれたわけであります。この10年で社会は随分変わって、拠点病院の整備なども進んでまいりましたが、まだまだ課題があるという問題意識で、議員立法が超党派で作成されて、全会一致での成立に向けて、昨日、衆議院の方で採決が行われたところでございます。早期の成立を我々としても期待し、それと呼応して私達も様々な課題にさらに取り組んで、がん患者の皆様方、家族の皆様方、あるいはサバイバーの皆様方、そして社会全体が、がんに対して理解をさらに深めて、対応もきっちりとできるようにしていければ、好ましいことだと思います。
記者:
2点おうかがいします。1点目は、同じく今日の本会議で養子縁組の法案が成立する見通しですが、それに対する期待ということと、2点目は、総務省から、待機児童に関連しまして、待機児童の範囲を明確化することや、隠れ待機児童についても正確な数を把握するように勧告が出されたことについての受け止めや対応を教えてください。
大臣:
まず後者の方から申し上げますが、今日、総務大臣から閣議でその指摘がございました。当然、待機児童など子育て支援についてはさらにしっかりやれということでありますから、それはそれで受け止めて、待機児童の定義などは、今、議論が進んでいるところであります。地方公共団体とよく議論して、どういうことでいくことが良いことなのか詰めていきたいと思っています。養子縁組法、民間のあっせん団体についての規律などを定めた法律案が成立することについては、与野党の先生方が御尽力をされて、数年に渡って議論をしていただいたと聞いておりますが、改めて敬意と感謝を申し上げたいと思います。私は、児童の社会的養護の問題に長く取り組んでおりますけれども、特に家庭養育が大事だということを、今回の改正児童福祉法の中で明確にしたところであります。今まで特別養子縁組というのは例としても出てこなかったわけで、私達としては実質的に親になるという養子をまず考え、里親があり、ファミリーホームがあるということで、家庭養護を最優先にしていくことを明確にしていますので、今回、新たな民間あっせん機関についての法律ができるということは、大変大事なことが法律としてできるということで、我々としても歓迎したいと思っております。特に、衆議院の厚生労働委員会では法案が採決された際に、附帯決議がございました。その中で、特別養子縁組制度の周知、あるいは民間あっせん機関への研修の充実、児童相談所との情報の連携協力などを求められたところでありまして、こういったことにしっかり取り組んでまいりたいと思います。特別養子縁組はだいたい、多くの方々が御存知ではないと思いますので、この改正児童福祉法で、児童相談所の業務としても養子縁組を明確に定めたので、我々としても頂いた附帯決議をしっかりと受け止めて、多くの子ども達が温かく安定した家庭の中で養育されるという愛着形成に配慮して、最優先で養子縁組に取り組んでいくことをしっかりと胸に入れて、児童福祉法の改正とこの法案とを両輪として前進をさせたいと思っています。今、省内で検討会が進んでおりますので、この四つの検討会の中でさらに議論を深め、中でも特別養子縁組のことについては司法関与とともに議論して、法務省も交えてやっていますので、その見直しに精力的に取り組みたいと思っています。
記者:
薬価の毎年改定についておうかがいします。先日の経済財政諮問会議で、毎年改定について大まかに出ていると思いますが、今後、全ての種類を対象にするのかどうかというところが焦点になると思いますが、これについての大臣のお考えをお聞かせください。
大臣:
7日の経済財政諮問会議で、私の方から、現在検討している薬価制度改革の抜本改革について、方向性の案を御説明いたしました。まず、オプジーボのように効能追加をされた医薬品、あるいは当初の予想販売額を上回る医薬品につきましては、年4回の新薬収載の機会に薬価を見直すことが第一点であり、第二点は薬価調整の負担や効率性にも配慮をしながら、市場実勢価格や販売量を機動的に薬価に反映して、少なくとも年1回の薬価改定を実施することとともに、新たなイノベーション評価の仕組みの導入や、バイオなどをはじめとするベンチャー企業の強力な支援を含めて、我が国の医薬品産業を長期収載品に依存をせず、より高い創薬力を持つ産業構造に転換するように強力に促していくことなどを検討しているということや、それらが重要であることを説明いたしました。総理からは、薬価制度の抜本改革について、民間議員の提言や諮問会議の議論を基に、経済財政政策担当大臣や、財務大臣、厚労大臣、官房長官で基本方針を決定するように指示がありました。いずれにしても、イノベーションの推進と国民皆保険の持続性の両立を図って、より一層の医療の質の向上と国民負担の軽減を目指して、基本方針を策定してまいりたいと考えています。
記者:
相模原事件のことで2点うかがいます。報告書に盛り込まれた内容を実現するには、財源と人がかなり必要だと思います。来年度以降しっかり確保していくという方針であるのかということと、もう一つは、報告書で警察を入れた協議の場、協議機関の設置ということも盛り込まれておりますが、結果的に警察、司法の主体的な検証がこれまでされていなくて、厚生労働省が検証した結果、行政の精神科医療に偏っているという指摘がありますが、それについて大臣はどのようにお考えでしょうか。
大臣:
予算の問題については、当然、できる範囲内で予算編成の過程で臨んでいきたいと思っています。協議の場でありますが、偏っているというお考えを示す向きがあるということはお聞きしておりますけれども、そのようなことは全然ないと思っています。警察を含めいろいろな関係機関がありますので、どういう協議の場にしていくかということと、大事なことは普段からお互い支援の場とか、あるいは事前にいろいろなことで意思疎通を図って、状況に応じていくことについて、協議の場を設けていこうということでありますので、中身については、これからまた省内で検討会を立ち上げますので、その中で議論していただいて、より良い制度にしていきたいと思っています。いずれにしても、この措置入院から退院した後の支援をどうやって孤立化をしないで、社会に復帰しやすくするかということが仕組みとして存在をしなかったことを反省をしながら、どうやって支援をしながら、ごく自然に社会でそのような方々が溶け込んでいけるようにするかということが大事であり、そういうことを展望しながら協議の場を考えていくということだろうと考えています。

(了)