塩崎大臣会見概要

H28.7.29(金)10:40 ~ 10:59 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。私の方から、有効求人倍率等について申し上げたいと思います。平成28年6月の完全失業率は、前月と比べて0.1ポイント低下いたしまして、3.1パーセントとなりました。20年11か月ぶりの低水準ということです。有効求人倍率の方は、前月と比べて0.01ポイント上昇し、1.37倍となりまして、これも平成3年8月以来、24年10か月ぶりの高い水準となりました。都道府県の有効求人倍率をそれぞれ見まして、受理地別・就業地別ともに、全ての都道府県が1倍を超えたということでございます。現在の雇用情勢は、着実に改善が進んでおります。ただし、熊本地震による長期休業や事業縮小等の雇用への影響、英国のEU離脱問題が世界経済にどういった影響を与えるのかについて十分注意していく必要があると考えています。被災地における雇用対策をはじめ、地震で被災された皆様方の支援に全力で取り組んでいくとともに、来月上旬に策定される予定の経済対策に必要な施策を盛り込むことによって、働き方改革等を着実に実施してまいりたいと考えております。以上、私からの御報告でありました。

質疑

記者:
相模原市の殺傷事件に関して、昨日、関係閣僚会議が開かれ、安倍総理の方から必要な対策を早急に検討し、速やかに実行するようにという指示がありました。厚労省としての現時点での検討状況をお教えください。
大臣:
再発防止策の検討でございますが、まず、施設における安全確保についての一層の充実・強化ということが第一。それから、措置入院の問題について、措置解除の判断に係る対応をどうするか。そして、措置解除後の本人に対するフォローアップをどうしていくのかということなどが論点であると考えておりまして、これらについての事実関係を調査した上で、早急に再発防止策を検討したいと考えているところでございますので、まずは何が起きたのか、なぜ起きたのか、どういう経緯を辿ったのかということなどについて、しっかりと把握していきたいと思っております。
記者:
本日の午後に、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が昨年度の運用実績を公表しますが、ポートフォリオの見直しが損失額を拡大させたといった指摘もありますが、改めて受け止めをお願いいたします。
大臣:
年金積立金の運用というのは、平成13年度の自主運用開始以降、リーマン・ショック等の大きな市場変動がございましたけれども、それを経ても大幅な累積収益を確保しております。短期的な評価損が仮にあったとしても、年金財政上の問題は全く生じず、短期的な評価損が年金額に影響を与えるということもあり得ないわけであります。年金積立金の運用は、長期的な観点から行うものであって、短期的な変動に過度にとらわれるべきではないというのが、世界の年金運用の常識でございます。いずれにしても、国民の老後を支える年金でありますから、将来にわたってきっちりと確保されるということが何よりも大事でありますので、引き続き年金積立金の運用については適切に対処してまいりたいと思っております。
記者:
最低賃金の地域別目安についてですが、最高額と最低額の差は、金額ベースで見れば218円に拡大しました。これをどのように受け止めていらっしゃるかということと、格差縮小に向けた対策などをお教えください。
大臣:
昨日の中央最低賃金審議会から、最低賃金改定の目安が答申として出てまいりました。今年度の引上げ額の目安は、全国加重平均で昨年を6円上回る24円ということになりまして、引上げ率に換算いたしますと3パーセント引上げということになります。昨年の引上げ率が2.3パーセントでありましたから、それに比べて非常に高い水準となっており、また、都道府県の全てにおいて時間額20円を超える額となりました。審議会において、ニッポン一億総活躍プランなどの政府方針も踏まえて、真摯な議論をしていただいた結果であろうと思いますので、その御努力に改めて敬意を申し上げたいと思います。地域間の格差の問題について御指摘がありましたが、最低賃金というのは、働く方々の生計費、あるいは賃金、企業の賃金支払い能力の地域差などの様々なことを考慮して、都道府県ごとに定められているというのが制度の本質でございます。その中で、今年度も目安どおりに最低賃金の改定が行われますと、最低賃金の最高額と最低額の比率は76.6パーセントと2年連続で改善することになり、先ほど御指摘のございました地域間格差という面において配慮した目安額となっているのではないかと考えているわけでございまして、全体額のお話をされていましたが、率でも御覧いただければと思います。
記者:
大臣は,中央最低賃金審議会に対して目安を諮問される一方、政府目標の3パーセントにも配慮するよう求めました。これに対して、労使から不満の声が上がっていますが、これについてはどのようにお考えでしょうか。
大臣:
先ほど申し上げたとおり、一億総活躍プランで政府としてはやりたいということを申し上げたわけでありまして、それを踏まえた上で鋭意御議論をいただいということでございますので、中央最低賃金審議会が政府の方針をどのようにお考えなのかは、審議会にお任せしているわけであります。
記者:
諮問せずに政府自ら決めるという選択肢は無いのでしょうか。
大臣:
これは制度として、皆様方の御納得を得た上で、地域間の格差やばらつきなども踏まえ、それぞれの地域でお決めいただく、その中央としての考え方をここで考えていただくということでありますので、制度自体を直ちに変えるという考え方を御指摘いただいているわけではないと思っております。
記者:
育児休業についておうかがいしますが、今年3月に待機児童の緊急会議で、自治体の要望でも育児休業の延期がありましたが、育児休業を延期した場合に待機児童が減る効果があるのか、大臣のお考えをお願いします。
大臣:
それはもちろん働く方々の選択であって、一人一人のお決めになることでありますけれども、どうしても保育園に入れないことで育児休業を延ばすということも、十分あり得る事態ではありますが、それについては配慮して、働き方としても、子育てのあり方としても選択肢としてきっちりと御用意することが政府としての責任ではないかと思っておりますので、働き方に見合った休み方ができるように一層努力していきたいと思います。
記者:
相模原市の事件に関連してですが、措置入院を2月中旬に植松容疑者がされていたということで、今日から医師への聞き取りを始められるということですが、どういったところを重点的にその医師の聞き取りを始められるか教えてください。
大臣:
これに関しましては、精神保健福祉法の第38条の6に基づいて容疑者が入院をしていた病院に対する調査が必要だという判断でありまして、その中身についてはコメントを差し控えたいと思いますけれども、幅広くこの経緯、判断について、しっかりと調査をした上で、私どもとしても今後の検討の材料にしていかなければならないと思っております。
記者:
措置入院の状況についてですが、人数が25年で10分の1に減少し、期間も短い人が増えていると思います。こういったことについての背景はどのようなことが考えられるでしょうか。
大臣:
措置入院の全体としての流れについて御指摘がございましたけれども、それによっていつも問題になるのは、障害を持っていらっしゃる方の人権に対する配慮と、そうは言いながら、社会的にいろいろな問題が起き得るという問題のバランスの中で、専門的な医師としての判断で御案内いただいているということであります。それをどう考えるかというのは、医師のお考えをよく聞いてみないといけないのではないかと思います。政策的にどうこうしているわけではないはずでございます。
記者:
東京女子医大で薬の過剰投与が明らかになった問題ですが、厚生労働省としてもこれまで特定機能病院のカバナンスについて検討会等開いてきた中で、こういった問題が明らかになったわけですが、これについての御所感をお願いできますでしょうか。
大臣:
東京女子医大について報道がございました。時期的にはちょっと前の話ではありますけれども、2014年、平成26年9月に脳腫瘍の女性に対して抗てんかん薬を使用して、副作用などによって亡くなられたという事案であって、当時、関東信越厚生局、厚生労働本省に報告があったと聞いております。東京女子医大は既に特定機能病院の承認を取り消していることもありまして、引き続き、私どもとしても、東京都と連携して、同病院の医療安全等の再発防止に向けた取組みを注視していきたいと思います。今お話があったとおり、私が強く事務方に指示してきたことは、医療安全管理を確固たるものにするためには、大学病院などのガバナンスを改善することが極めて大事、不可欠であると思っておりまして、こういう点については、大学病院等のガバナンス検討会で御議論いただいていると理解しております。私自身、大事な点は事務方に指摘しておりますけれども、病院長、つまり医療安全管理者、責任者である病院長の選定の方式、それから病院の業務執行体制の改善が重要だと思っています。まさにガバナンスそのものの問題であります。病院長は、今、医師や職員などによって選挙で選ぶことが多いわけでありますけれども、その問題。それから、医学部の教授会において、選考で選ぶというのが指摘されているようでありますけれども、私は必ずしも適切な人が選ばれるやり方ではないということをずっと繰り返し、選挙というのは良くないのではないか、集票のために生じたしがらみが必ずありますから、就任後の安全確保に関する最優先にしづらい状況が生まれてくることの不合理を克服しないといけないということだろうと思います。この点については、検討会でも同様の問題意識から、外部有識者を交えた選考会議を作ったらどうだという御意見が出ていると聞いています。広く適任者を探し出して、それを踏まえて任命権者が選任するという方式が望ましいというお声で意見が集約されていたと聞いております。一方で病院内部の業務執行のあり方についても私は指摘しております。独立行政法人と同じように、独任制で最終的に一人だけが全部の責任を負う体制が本当に医療安全のためにいいのかどうか。独任制のままだと今度は医局ごとの縦割りを打破しにくい問題点と、もう一つは、任せきると病院長自体の暴走もあり得るということもあります。私どもとしては、この点について検討会がそういった問題意識から、病院内部にしっかりとした相互牽制が効く合議制の機関を設けていく意見に集約されつつあると聞いておりますけれども、いずれにしてもそういったガバナンスをきちっとすることが医療安全につながるのではないかと思っていますので、早急にガバナンスの検討会でそういった方向でまとめていただくことを期待しているところでございます。
記者:
相模原市の事件の件で、退院の経緯を調べるということですが、そもそも運用のあり方について、入院をした場合には医師二人の判断が必要だと思います。退院の際は医師の判断は一人でよいという点もありますが、退院の経緯について調べるということですが、運用のあり方についてこの点は見直しのお考えはありますか。
大臣:
私どもは調査をするので、初めから結論ありきで調査をするわけでは決してございません。今の制度は御指摘のとおりでありますし、また、措置入院の際には自治体の職員が陪席していて、一方で、解除の時には自治体の職員はいないということを問題点として指摘されていると理解しています。そういったことを踏まえて、私どもとしては様々な論点を、皆様方の御意見を、調査に基づいたデータをしっかりと踏まえた上でお聞きをして、今後の再発防止に努めていくことが何よりも大事ではないかと思いますので、予断無く調査をし、予断無く制度の新たなあり方を考えていくことが大事ではないかと思っています。

(了)