塩崎大臣閣議後記者会見概要

H26.9.9(火)10:49 ~ 11:07 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。私の方から特にございませんが、今日は閣議があって、その後の会見ということで、よろしくお願いします。

質疑

記者:
デング熱に関してですけれど、感染者が80人を超えて、現在対策も講じられているんですけれども、これで一定程度封じられたというふうにお考えなのか、あるいは今後も拡大していく可能性もあるというお考えなのか、そして、拡大するとしたら東京都以外でも感染する可能性があるのか、そこら辺について大臣の御見解を教えてください。
大臣:
先週土曜日に東京都、それから23区、国立感染症研究所など、専門家の方々にもお集まりいただいて、改めて、緊急会議を開催させていただきました。そこで一つは、23区全体に対しても注意喚起をするとともに、特に代々木公園のあります渋谷区の隣接6特別区。ここでの公園などでの蚊の採取と、ウイルス検査をやるようにということで、検査を鋭意進めているというふうに、近々結果が出てくると思います。ということで、念には念を入れて調査しているということと、発症があった場合にはただちに医療機関に行っていただくように、皆さんに周知徹底するということでございます。もちろん、我々厚労省としてもすでに対応マニュアルなどは全国の市町村、それから都道府県に徹底しておるところでありますので、今、お話がありましたように、例えば私の地元の愛媛県でも一人、代々木公園、オリンピックセンターで感染ということでありましたけれども、これがまた蚊に刺されてということは十分にありえるので、まだまだ注意しながら、よく見ていかなければならないということであろうというふうに思っています。
記者:
NHKの世論調査についてでございます。内閣改造後の安倍内閣の支持率が、先月に比べて7ポイントほど上昇しました。また、党役員人事と合わせた、全体としての評価も半数近くに昇っておりますが、これはどういったところが国民に支持されたとお考えでしょうか。
大臣:
いろんな調査がこれからも出てくると思いますけれども、NHKの今回の調査は調査として踏まえながら、基本はやはり丁寧に謙虚にやっていかないといけないと思っています。今回の数字については、おそらくアベノミクスの実感がないとか、いろいろな問題がまだまだ解決されていないままで、社会保障を含めて山積しているということがあって、期待がそういうところに表れてきてんじゃないか。つまり、ちゃんとやれというメッセージだと受け取って、これから我々としても心して、政策に邁進していきたいというふうに思います。
記者:
あわせてうかがいますけれども、NHKの世論調査で、社会保障財源に充てられる消費税の10パーセントへの引上げ、増税について、予定通り引き上げるべきと応えた人が20パーセント余りだったのに対して、遅らせるべきとか、取りやめるべきと答えた人が合わせて7割ということです。それについての受け止めをお願いします。
大臣:
今回、5パーセントから8パーセント、そして10パーセントに上げるというのは御案内のように、税と社会保障の一体改革の中で出てきていることであります。したがって、この消費税収に関しては、社会保障に全額充てるということで、社会保障の充実のために、あるいは社会保障に対する安心感を持ってもらうために、今回やっているわけであります。したがって、歳入と歳出面での社会保障で支出増というのが対応するもので、赤字国債から税による負担ということに変わるということなので、基本はそういうことで、我々は外してはいけないことだと思っております。ただ、経済は生き物でもありますし、また、暮らしはまさに動きつつある経済の中でありますので、12月のこの決断のタイミングに向けて、総理を中心に、消費税を予定どおり引き上げるかどうかについては、あらゆる角度から検証していかなければいけないというふうに思います。
記者:
消費税増税に関連してなんですけれども、先週日銀の黒田総裁が増税を先送りする方がリスクが大きいと発言されました。それについて、どのようなお考えを持っておられるかということと、日銀もそうした増税を場合、追加緩和など、側面支援をする必要があると考えてらっしゃいますか。
大臣:
日銀の総裁の御発言は、日銀総裁としての御判断でありましょうから、それについて私どもがコメントするようなことではないと思います。海外で、いろいろなお話を聞いてみると、やはり日本の財政再建については大変注目して、安倍内閣としての取組姿勢というのは、かなり期待を持って見られているというふうに思わなければいけないというふうに思っていますので、消費税に関しての考え方はさっき申し上げたとおりでありますので、繰り返しません。一方、追加的な側面支援を政府の経済政策に対してすべきじゃないか、これも、日銀の総裁があらゆることを考えながら、いろんな意見を聞いて独自に判断していかれることだと思うので、日銀の政策自体がですね。だから、どういうふうにされるのかは、日銀がお決めになることだというふうに思います。
記者:
政府として日銀に、例えば協力してほしいであるとか、そのような考え方はあるんでしょうか。
大臣:
日銀と政府の間は、おそらく緊密な連絡を取りながら、お互いの意思疎通を図って、独立性をちゃんと斟酌(しんしゃく)した上での対話が行われて、それぞれがそれぞれにしかるべき判断をしていくというしかないんじゃないかなと思います。
記者:
内閣府の昨日の発表で、4月から6月のGDPがマイナス6.8から7.1パーセントに下方修正されました。設備投資と個人消費の冷え込みが主要因ですけれども、今後の消費増税への判断の影響と、今後の景気の先行きによっては補正予算等が必要になってくるか、大臣のお考えをお聞かせください。
大臣:
昨日の数字、改定値は達観していうと、消費税を引き上げた、その前後の駆け込みとその反動ということで、大きな意味では予想の範囲内だと私は思っています。ただ、輸出が弱いとか、在庫が予想より積み上がっているとか、それからこの夏の天候不順が消費に与える影響がこれから出てくるかもわからないといったことも、慎重に目配りをして、これからの経済運営をしっかりやらなければいけないし、基本はアベノミクスでやるという構造改革というか、成長戦略そのものを力強く予定通りやっていくということと、短期的なきちっとしたやれる範囲内でのことをやっていくということだと思いますので、今、補正予算の話もありましたが、こういうことは総合的な判断がなされた上で、どうするかは内閣として考えることなので、今の段階では特に想定しているわけでもないし、また、決まっていることもないということだろうと思います。
記者:
2点うかがいたいのですけれども、まず1点目なんですが、大臣就任以来ですね、経済こそ最優先だというお話をされておりまして、厚労行政でもできることをというふうにおっしゃってましたが、いまいちイメージとしてつかめないんですけれども、具体的にどういうことを想定されてお話になっているのか、お聞かせいただけますでしょうか。
大臣:
一つは、社会保障のなかで医療とかいうのは、端的に言って製薬産業、このイノベーション、こういったことについてはまさに成長そのものでありますから、この研究開発の税制を含めて、我々はずっと厚労省としても目配りをして、応援してきた、それが成長につながるようにしてきたはずでもありますし、医療全体も効率化を図りながら発展するということで、それぞれの地域も含めて成長するということであろうと思います。また介護でも、例えばロボットとか、こういうものの開発というのは当然、人手不足の中で、どう生産性を上げるのかということが大事であって、何度も申し上げますけれども、労働生産性を上げないといけないという本当に差し迫った深刻な問題を日本経済は抱えています。これを直すことこそが、実は地方を含めた日本の経済の再生につながることであって、そういう意味では、新しい産業を作るというのは、さっき言ったように、医療にしても、あるいは介護でもそういったロボットとか、いろんな新しいイノベーションというのはありうるわけですから、そういうものをどう厚労省としても応援できるか、非常に重要だと思います。一方で、労働生産性を上げれば、特定の産業から人が出てくるかもわからない。そうなると、やっぱり新しい雇用吸収の仕組みがなければいけない。雇用を作るということも厚労省の大事な仕事であり、また、雇用の移動を柔軟にできるようにするということも非常に大事で、今までのように一つの会社のなかに留め置くというような、雇用政策ではなくて、移動をスムーズにできるように、そして人材育成をしないと、新しい技術が、技能が必要になることもありますから、言ってみれば人材育成の新しいプログラムを大々的にいかないと難しいんじゃないかなというふうに思います。そういったことを考えてみれば、この厚労省の経済再生に向けての貢献の場面というのは、いくらでもあるというふうに思っていますので、命を守り、安全を守るということともに、経済成長も図って、雇用を作り、そして経済社会が活性化していくことに厚労省として貢献していきたいと思います。
記者:
2点目なんですけれども、おっしゃることは、経済成長が大事だというのはわかった上でお尋ねするんですけれども、例えば生活に困っている方々ですね、貧困に直面している方々に福祉的な対策とかっていうのは非常に重要な分野だと思うんですけれども、こういった対策に対する大臣のなかでの優先順位っていうのは、どういうふうな位置づけとしてあってですね、いろいろ生活保護基準の引き下げとか、年金も目減りしていて非常に苦しいというような声も聞こえるんですけれども、こういう方々に対して、どういう姿勢と具体的な対応策でもって臨まれるお考えなのかお聞かせいただけますか。
大臣:
基本的には、我々野党時代に散々議論して、我々として自民党としてどういうふうに政策を再構築するんだという中で、自助、共助、公助という考え方を示しました。自助は当然自分で頑張れと、要するに今回のアベノミクスというのは、本来アニマルスピリットとみたいものをもう一回喚起して、自分で頑張るという自らのいってみればモラールを高める、意識を高めるということに尽きるんだろうと思うんです。そのために邪魔なものを除けて、必要なものは導入してやりやすくということは基本的です。ただ、全部自分でとはいかないので、ともに協力しながらやるという共助もあれば、どんなに頑張っていただこうとしても、なかなか頑張れない、いろいろな条件の制約を背負っている方もいる。そこにはきちっと暖かい配慮をしていくということが大事だというふうに思いますので、優先順位というのは冒頭申し上げたようにこの役所の関わる政策というのは、全国民の生涯を通じた様々な場面場面での問題に関わる政策をやっていますから、どれが重要だ、どれが重要じゃないんだという優先順位がつけられない重要な問題ばかりだというふうに思います。
記者:
具体的な対策というところではいかがでしょう。先ほど例えば、成長(戦略)でいえば医療技術とか介護ロボットの話とか出ましたけれども、何か考えていらっしゃる政策っていうのはありますか。今、非常に困ってらっしゃる方々に対する対策です。頑張っていてもなかなか抜け出せないとか、そういった方々です。
大臣:
それは今回、例えば、難病の範囲を格段に拡げるとか、そういうようなことも思ってらっしゃる方々、私も地元で随分いろんな難病の団体の方々とお話をしますけれども、それからこれは私も地元で深いお付き合いをしている障害者の子どもさんや家族を抱えてらっしゃる方々の政策についても、特にやっていきたいと思いますし、たまたま要保護児童に関する議員連盟があり、その会長もしておりますが、昨今虐待が原因でそういう施設に入ってこられる子どもさんたちが圧倒的に多い。かつては半分と言われていましたが、今は6割とかですね、場合によっては7割なんてところもあって、これにどう人間的な、人間関係を作っていけるかというようなこともとても大事で、一つ一つ取り上げたらきりがないほど、たくさん配慮しなければいけないことがあると思いますので、また、そういった点について皆様方からいろんな御提案があれば、ぜひ聞かせていただければというふうに思います。
記者:
明日の労働政策審議会から、またホワイトカラーエグゼンプションの議論が本格的に始まると思います。論点の大きな一つが年収の基準ということになると思いますけれども、成長戦略の上では少なくとも1,000万円以上と、少し曖昧さの残る表現で決着したわけですけれども、労働側からするともっと引き上げるべきだという意見がある一方で、あまり引き上げてしまうとですね、対象者が極めて限られてしまって、そもそも成長戦略としての意味がなくなるというか、ある意味骨抜きになるという懸念もあると思いますけれども、年収基準についての考え方というのは大臣からお聞かせいただけますでしょうか。
大臣:
これは成長戦略、再興戦略の中で決まったことでありますから、そこの考えを基本に具体的な制度構築をするということだというふうに思います。1,000万円というのを考えてみれば、たぶん1,000万円というレベルは皆さん方も周りで御覧になったらわかるようにそこそこのポジションにまで到達した方々であろうかというふうに思います。一方で、収入基準だけではないわけであって、特別な技能やそういう分野に限ってやるということでありますから、それらをどう構築するのかということも組み合わせとしてあるというふうに思いますし、また、具体的な運用の仕方についてもこれからですから、是非、労政審で大いに議論してもらいたいというふうに思います。

(了)