第14回 匿名医療情報等の提供に関する専門委員会 議事録

保険局医療介護連携政策課保険データ企画室

日 時

2023年3月1日(水) 13:00~17:00

場 所

Web

出席者

【専門委員】
・宇佐美 伸治(日本歯科医師会 常務理事)
・齋藤 俊哉(国民健康保険中央会 理事)
・鹿野 真弓(東京理科大学薬学部 教授)
・東宮 秀夫(一般財団法人 医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団 理事)
・長島 公之(日本医師会 常任理事)
・中島 誠(全国健康保険協会 理事、代理:矢崎 和彦)
・中野 壮陛(公益財団法人医療機器センター 専務理事)
・中野 惠(健康保険組合連合会 参与)
・野口 晴子(早稲田大学政治経済学術院 教授)
・堀 真奈美(東海大学健康学部長 兼 健康マネジメント学科 教授)
・松田 晋哉(産業医科大学公衆衛生学 教授)
・宮島 香澄(日本テレビ報道局 解説委員)
・山本 隆一(一般財団法人医療情報システム開発センター 理事長)

議 題

  1. 1. NDB収載・提供情報の追加について
  2. 2. 「匿名レセプト情報等の提供に関する申出書」の審査スケジュールについて
  3. 3. 「匿名診療等関連情報の提供に関する申出書」の審査スケジュールについて
  4. 4. 個別審査(非公開)

議 事

 
山本委員長 それでは、定刻ちょっと前ですけれども、ただいまより第14回「匿名医療情報等の提供に関する専門委員会」を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、御多忙のところ御参加いただき、大変ありがとうございます。
 まず、委員の出欠状況について事務局から御報告をお願いいたします。
坂本室長補佐 ありがとうございます。医療介護連携政策課の坂本でございます。
 本日は、御参加いただきまして誠にありがとうございます。
 今回、専門委員の皆様全てがウェブ参加となります。中島委員の参考人として矢崎参考人が代理出席されます。嵩委員、田尻委員、田中委員は欠席と伺っております。
 以上でございます。
山本委員長 ありがとうございます。
 それでは、早速ですが、本日の議事に入りたいと思います。
 会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
  (冒頭カメラ撮り終了)
山本委員長 議題1「NDB収載・提供情報の追加について」、資料1の説明をお願いいたします。
水谷課長 医療介護連携政策課長でございます。
 資料1「NDB収載・提供情報の追加について」、御説明申し上げます。
 2ページにお進みいただけますでしょうか。NDB収載・提供情報の追加に当たりまして、基本的考え方を整理したのが2ページ目の紙でございます。
 1は、NDBについての基本的な枠組みで、委員の先生方、皆様よく御案内のことかと存じますが、厚生労働省は、高齢者の医療の確保に関する法律、いわゆる高確法に基づきまして、医療費適正化計画の作成・実施・評価に資するため、保険者等からデータの提供を受け、NDBに収載しているということでございます。そして、このNDBのデータでございますが、医療費適正化計画の作成・実施・評価に資する目的で、自ら調査・分析を行うことに加えまして、国民保健の向上に資する目的で相当の公益性を有する分析等を行う者に対して提供することができる。この提供について審査をお願いしているわけでございます。
 一方、NDBについては、安全管理措置といたしまして、高確法に基づき、個人を特定できないよう氏名等を削除し、匿名化した形でデータを収集しているほか、同じく高確法に基づきまして、他の情報と照合等を禁止する、あるいは利用後のデータ消去、安全管理措置、不当な目的利用等の禁止などの義務が課せられております。厚生労働省は、法令違反などの疑いがある場合には、法律に基づく立入検査・是正命令を行うことが可能となっております。このほか、成果物につきましても、公表前に、例えば希少疾患など個人が特定されないかということの確認も行っているわけでございます。
 こうしたNDBに収載・提供する情報でございますが、こうした枠組みを踏まえて、医療費適正化計画での利用あるいは国民保健の向上に資する研究利用の目的に照らしてどうかということ。それから、2つ目ですが、個人の特定の可能性、それに対応する方法等の安全管理措置という観点。それから、収載に要する事務負担・システム整備等の費用、こうした観点を踏まえまして、専門委員会の意見を聞きつつ、必要な見直しを行っている。これが基本的な考え方でございます。
 今回、御提案申し上げたいのは、3ページ、まず生活保護受給者の健診情報について、NDBに収載することとしてはどうかというものでございます。
 生活保護受給者の健診情報。生活保護の医療扶助につきましては、令和5(2023)年度中に、オンライン資格確認を開始すべく、今、担当部局のほうで様々な準備を進めております。この医療扶助のオンライン資格確認が導入されますれば、これまで紙媒体で運用されている医療券とか調剤券、あるいは当該自治体内等でのみ活用されていた健診情報等が、オンライン資格確認等システム等で管理されることになります。こうしたことを踏まえますと、医療保険と同様に、被保護者がマイナポータルで自身の健診情報等を閲覧することも可能にすることができますし、医療機関等で被保護者の同意の下、被保護者の医療情報あるいは健診情報等を確認することも可能となるわけでございます。
 この被保護者の健診情報でございますが、現在、令和6(2024)年度から、こうした健診情報を被保護者自身がマイナポータルで閲覧できるよう、支払基金等の「特定健診等データ収集システム」「オンライン資格確認等システム」等を改修する作業をしてございます。今回、この被保護者の健診情報、具体的には40歳から74歳までの健診情報になりますが、こうしたものをNDBに収載することになりますと、さらに支払基金のシステム改修が必要になります。なお、ここで収載する被保護者の健診情報でございますが、※1に書いてあるとおり、令和6(2024)年4月以降に実施されたものとしてございます。
 2の対応案のところでございますが、こうした被保護者の健診情報がございますと、健康状態の実態を正確に把握することができますし、介入の効果・必要性の検討なども含め、政策立案や研究結果の精度の向上が期待できるものと考えております。もちろん、こうしたものを追加するということになれば、それは個人が特定されないよう、引き続き、法律に基づく安全管理措置等を講じることは言うまでもございません。また、システム上の観点から申し上げますと、福祉事務所からNDBへ健診情報の情報収載をするということになるわけですが、これは支払基金内の「特定健診等データ収集システム」を経由することが想定できますので、いわば基金内のシステム改修でNDB収載が可能となるわけでございます。
 こうしたことを踏まえ、必要な予算を確保した上でシステム改修を行うとともに、関係省令を改正するということで、令和7(2025)年度以降にNDBの収集・提供を開始することとしてはどうかというものが3ページの御提案でございます。
 続きまして、4ページでございます。40歳未満の事業主健診情報でございます。
 40歳未満の事業主健診情報につきましては、令和4年、昨年1月から、効率的・効果的な保健事業を推進するため、保険者は、事業者等に対して事業主健診情報を提供するよう求めることができる。そして、提供を求められた事業者等は、事業主健診情報を提供しなければならない。そうした法的枠組みが健康保険法の改正により施行されてございます。
 これによりまして、事業者等から提供を受けた事業主健診情報につきましては、加入者がマイナポータルで自身の健診情報として閲覧することが可能になる。また、医療機関等で加入者の同意の下、加入者の医療情報・健診情報等を確認することが可能となるわけでございます。現在、令和5(2023)年度中に、こうした40歳未満の事業主健診情報をマイナポータルを通じて閲覧可能とするため、支払基金等の、先ほども申し上げたシステムの改修を行っているところでございます。こうした事業主健診情報をNDBに収載するためには、同様に支払基金のシステム改修が必要ということになります。
 2の対応案でございますが、1つ目のポツ、こうした40歳未満の事業主健診情報は、悉皆データではございませんが、生涯を通じた予防・健康づくりに向けて、経年的な健康課題の把握・対策への活用など、政策立案や研究結果の精度の向上が期待できるものと考えてございます。
 2つ目のポツでは、個人が特定されないよう、引き続き、法律に基づく安全管理措置等を講じることは言うまでもございません。
 3つ目のポツでございますが、これも同様に、支払基金内のシステムを経由する想定でございますので、支払基金内のシステム改修でNDBへの収載が可能となっているわけでございます。
 こうしたことを踏まえまして、必要な予算を確保した上でシステム改修を行うとともに関係省令を改正し、令和7(2025)年度以降にNDBの収載・提供を開始してはどうかとしてございます。
 駆け足でございますが、説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
山本委員長 ありがとうございました。
 ただいまの御説明に関しまして、御質問、御意見がありましたら、よろしくお願いいたします。
 長島先生、どうぞ。
長島委員 資料にございますように、政策立案や研究成果の精度の向上というのが期待できると思いますので、両方とも賛成いたします。
 以上です。
山本委員長 ありがとうございます。
 ほか、いかがでしょうか。
 中野さん、どうぞ。
中野(惠)委員 私も御説明を伺いまして、基本的には原則にのっとって推進されるものと理解いたしましたので、この2つの御提案には賛成したいと思います。
 その中で、ちょっと確認ですけれども、2ページ目の全体的な基本的な考え方の2のNDBの収載については、1、2、3と示されておりますが、3つ目の収載に要する事務負担・システム整備等の費用ということで、事務負担については計り知れないところがありますので、それをもって駄目だということはないのですけれども、今回のことによって事務負担がどうなのかということについて、御参考までにお聞きしたいと思います。
 以上でございます。
山本委員長 ありがとうございます。
 事務局、いかがでしょうか。ちょっと答えにくいかもしれませんけれども、よろしくお願いいたします。
水谷課長 医療介護連携政策課長でございます。
 今、御指摘いただきました収載・提供情報の基本的考え方、これまで文字で整理したものはなかったわけでございますが、私どもとして、こうした基本的な考え方を整理した上で、改めて収載・提供情報の追加について個別にお諮りするという形を取ってございます。そうした中で、NDB、研究目的に照らして、あるいは安全管理措置もきちんと講ずることができるので、なるべく多くの情報を収載しようということは、一方で考えられるわけでございますが、収載に要する事務負担とか費用という観点も重要であると思いまして、こうした観点をつけ加えてございます。そうした意味において、どれぐらい以上であればどうかということではなく、ある意味総合的に検討する観点の一つということになろうかと思います。
 今回、御提案しております生活保護受給者の健診情報、あるいは40歳未満の事業主健診情報につきましては、今、私が細かいところは御説明申し上げましたが、オンライン資格確認あるいは健診情報の提供の仕組み、そうしたものをスタートさせる中で、ある意味支払基金の中に情報が収集されている。それを基金内のシステム改修によってNDBに収載することが可能となるということでございます。
 もちろん、システム改修だけで事務負担が全く増えることなくということではなくて、当然、それに伴って、例えば福祉事務所サイドですとか、そうしたところで少し作業をお願いする部分はありますが、そこは私ども、こうしたものを収載することによって得られる、まさに研究の目的に資するということを踏まえますと、十分、御負担いただける事務負担であるし、またそうした費用であると考えておりますので、御提案申し上げてございます。よろしくお願いします。
中野(惠)委員 ありがとうございました。
山本委員長
それでは、堀先生、お願いします。
堀委員 ありがとうございます。
 ご説明にありましたように、高確法の趣旨ならびに安全管理措置、それから収載に要する事務負担・システム整備等の費用を踏まえた上で、収載・提供するということに関しては賛成いたします。
 1点だけ確認というか、質問でもあるのですが、そもそも生活保護の医療扶助を受けている方たちは医療機関を受診していることが前提になっていると思います。健康診断等を自治体で受けている可能性というのはかなり低いのではないかと思うのですがどうでしょうか。逆に言うと、そういうところも現状では分からないので、今回の情報を入れることは意義があるかと思うのですけれども、その辺の整理といいますか、確認だけなのですが、要は医療扶助を受けている方たちは健診を受けることがあると思われるのでしょうか。すみません、基本的に内容自身は賛成します。確認の質問だけです。お願いします。
山本委員長 事務局、いかがでしょうか。意外とあるように思っているのですけれども、いかがでしょうか。
麻那古課長補佐 ありがとうございます。事務局です。
 生活保護の受給者の方についても、自治体の健康増進法に基づく健診が提供されておりますので、基本的に受ける機会があって受けて、また、それに基づいて福祉事務所のほうで保健事業と同様の健康増進事業というものを行っていると承知しております。
堀委員 分かりました。基本的に健康診断を受ける機会があると理解しました。ただ、実際、生活保護の中でも医療扶助を受けている方に関しては、医療機関に受診しているという意味で、必ずしも疾病予防のための健診を受ける必要性は低いのではないかなと思っただけです。特に問題はありません。
 以上です。
山本委員長 それでは、お名前がありませんけれども、全国健康保険協会の方、お願いします。
矢崎参考人 ありがとうございます。
 資料1の4ページ、40歳未満の事業主健診情報についてでございますけれども、保険者が自らの保健事業に活用するために、自らの判断で取得するとともに、マイナポータルに登録したものを活用することに関しては反対するものではございませんけれども、そもそも事業主健診についても、生涯を通じた予防・健康づくりの主要な柱である以上、中期的には保険者を経由する形ではなく、労働安全衛生サイドから直接NDBに登録できるような体制を整備すべきではないでしょうか。
 別途、安全衛生部において開催されている「産業保健のあり方に関する検討会」においても、医療保険者による保健事業と産業保健の役割分担が課題になっているところでありまして、事務局におかれましては、労働部局とよく相談して、産業保健の世界でもNDBへのデータ提供をはじめとした医療情報等の連携を進めるなど、健康づくりのトータルビジョンを提示していただければと思います。
 以上でございます。
山本委員長 ありがとうございます。将来の課題として承っておきます。
 ほか、いかがでしょうか。
 中野先生、どうぞ。
中野(惠)委員 追加で申し訳ありません。もう一点なのですけれども、こういう情報が追加されていくということについて、利活用する側も含め、関係者に対してどのような周知をされていくようになるか、またこれもちょっと教えていただけたらと思います。
 以上です。
山本委員長 事務局のほうでお願いいたします。
水谷課長 医療介護連携政策課長でございます。
 本日、この専門委員会のほうに、こうした収載・提供情報の拡大についてお諮りしてございます。今日、御了承いただけますれば、こうしたことを社会保障審議会の医療保険部会のほうにも御報告してお諮りしたいと思います。そこで、まず医療保険部会の関係者に周知するということになります。もちろん、実際にこれを収集・提供していくということになれば、それはNDBの提供のチャンネルであったり、様々なチャンネルを通じて、きちんと周知・広報してまいりたいと考えてございます。
 以上です。
山本委員長 ほか、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。
 それでは、将来的にNDBの提供の経路の検討はさらに進めていただくとして、当面、この方針をお認めするということでよろしゅうございますでしょうか。
  (首肯する委員あり)
山本委員長 ありがとうございます。
 それでは、特に御反対ございませんでしたので、そのようにさせていただきます。
 それでは、次の議事に参りたいと思います。引き続いて、議題2「「匿名レセプト情報等の提供に関する申出書」の審査スケジュールについて」、資料2の説明をお願いいたします。
水谷課長 医療介護連携政策課長でございます。
 資料2「「匿名レセプト情報等の提供に関する申出書」の審査スケジュールについて」、御説明を申し上げます。
 この委員会における審査でございますが、おおむね3か月に1回ということでお願いしてきてございます。そうしたことで、審査月、6月、9月、12月、3月と4回設定いたしまして、それぞれにつきまして、この資料に掲載してございます事前相談の締切日、それから書類の最終提出締切日、ここに記載しているような形で設定してはどうかと考えているものでございます。
 簡単ではございますが、説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
山本委員長 ありがとうございました。
 特に御意見ございますでしょうか。よろしゅうございますか。これは例年どおりということで、それでは、このように進めていただくようにお願いしたいと思います。
 それでは、引き続いて、議題3「「匿名診療等関連情報の提供に関する申出書」の審査スケジュールについて」、資料3の説明をお願いいたします。
加藤課長補佐 お世話になります。それでは、資料3にございます「匿名診療等関連情報の提供に関する申出書」の審査スケジュールということでお示ししてございます。
 こちらにお示しさせていただいておりますとおり、本年に関しましては、6月と9月の2つの日程でお願いさせていただきたいと思っております。
 以上でございます。
山本委員長 ありがとうございました。
 何か御意見ございますでしょうか。これも昨年どおりということで、よろしゅうございますでしょうか。
  (首肯する委員あり)
山本委員長 それでは、このように進めていただくことにしたいと思います。
 それでは、以降は個別審査になりまして、個別審査は非公開になりますので、傍聴者の皆様は退出をお願いいたします。今から10分、1時半まで休憩にしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。1時半にお集まりください。
  (休 憩)
山本委員長 それでは、会議を再開いたします。
 個別審査を行います。事務局から個別審査についての説明をお願いいたします。
  (非 公 開)
山本委員長 分かりました。
 それでは、以上、全て御審議いただきましたので、本日の議事はここまでということになります。
 次回の日程等につきまして、事務局から連絡をお願いいたします。
坂本室長補佐 事務局でございます。
 本日は、長時間にわたり御審査いただきまして、ありがとうございます。御指摘いただいた部分につきましては、確認を取らせていただきまして、提供に向けた手続を進めさせていただきたいと思います。
 次回の会議日程につきましては、追って御連絡させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
山本委員長 それでは、以上をもちまして第14回「匿名医療情報等の提供に関する専門委員会」を終了いたします。長時間、大変御苦労様でございました。ありがとうございました。