閣議後記者会見概要

H21.07.28(火)10:54 ~ 11:18 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
私の方から特別に閣議、その他について御報告することはございません。

質疑

記者:
民主党が昨日マニフェストを発表しましたが、年金について「消えた年金」「消された年金」については2年間集中的に取組むということや、年金制度を例外なく一元化して最低保障年金を創設してすべての人が7万円受け取れるようにするということを発表しておりますが、それについての印象をお聞かせください。
大臣:
まず、年金記録問題ですが、私が今やっていることをそのまま続けていけば2年以内にほぼ解決します。したがって、自民党のマニフェストの中には来年末までに目途を付けるという言葉を入れるつもりです。皆さん御承知のように8割方が片付いておりますので、あとの細かい問題は今後とも出てくる可能性はあります。民主党の諸君は8億5千万枚をどうするのでしょうか。たった2千億円で2年間で出来ますか。こちらがやったのは、基盤整備をきちんとやってルーティンで日本年金機構が出来ても作業をやる。それは10年掛かるかもしれませんが、コツコツやります。それから、元の紙が正しいのか、コンピューターの中に入っているのが正しいのか分からないという問題もありますので、何度も申し上げておりますが「ねんきん特別便」を送り「ねんきん定期便」を送り、その過程で標準報酬の改ざんですとか様々な問題があり、相当努力をしてやって来ております。ですから、集中期間を設けなくても今の私のやり方をそのまま続ければ、来年末に民主党が言っていることは出来るわけですし、もう少し細かく具体的に8億5千万枚をどういう手段で、どこまでお金を使って、民主党式に言えば「何人使って、何月何日までに、いくらのお金を使って」ということを今度質問したいです。あまりにもそこのところが明確ではありません。ですから、そういうところをしっかりしないと、政党のマニフェストとしては批判に耐えられないと思います。コツコツとこの2年間取り組んで来ている実績がありますから、今のやり方でこちらも出来ますし、是非、8億5千万枚をどういう形で片付けるのかおっしゃっていただきたい。今私が申し上げたような問題がありますから、「ねんきん定期便」や「ねんきん特別便」で8千万人の方の記録が分かって来ていますので、縮めていってそれでも分からない人は、来年末までに全国にインターネットを使って公示します。「こういう番号で、こういう人がいますが1年間公示しますから手を挙げてください、手を挙げてくる人がいなければこれは幽霊登録だったな」ということも分かります。
それから、年金の一元化案ですが、常に私が申し上げているように現役世代の積み立てをやって行くということは、金持ち優遇になるのです。どこで上限を設定するのか。どんどん稼いでその比率に応じて積み立ていってそれをもらえるのであれば、金持ちはいいです。しかしながら所得再配分という機能をいやしくも民主党であれば自民党以上に出さないと、私は民主党の味方をする必要はありませんが、何のための政党かわかりません。やはり、所得再配分ということを相当考えています。私が稼いでいる時は、今はそうじゃありませんが月収500万という時代がありましたから。かといって、250万円もらえるのですかといったら、もらえません。満額もらったところで50万円もらえるかどうかなのです。ものすごい所得再配分を今の年金制度は行っているわけで、極端に言えば共産主義のようなものです。ですから、そういうことについて「いくらまでの収入について、いくらまでの標準報酬にするのですか」ということが7万円という数字は出ているかもしれませんが、何もありません。所得の再配分ということをどう思うかということで政党が変わってきます。「累進課税でやるぞ、所得税で行きます、法人税で行きます」という主張をするというのはたくさん稼いでいるところから、累進率を重くして所得再配分をやろうということであり、消費税により傾いた形ですと、逆累進になります。ですから、同じ税制一つをとっても「あなたの政党はどういう方向でやるのですか」という問題があります。また、控除方式でやるのか、手当方式でやるのかについても同じような哲学の問題が入ってきます。いつも私が申し上げておりますように、雇用の問題でもそうですがキャッシュでばらまくということには非常に反対です。人間は弱い存在だと思っておりますから、モラルハザードが起きます。ここでもお話したことがあると思いますが、私がスイスに留学して勉強している時は、お金をくれませんでした。代わりに本代をくれました。飲み食いにはお金を使えず、本代にしかお金を使えないから勉強せざるえません。そういうことの方が遙かにいいので、どちらかと言ったら人間は弱いもので、モラルハザードが残念ながら起きます。古今東西、悠久の人間の歩みを見ればそうですから、やはり、現物で、勉強せざるを得ない、子どもの高校進学に使わざるをえないという形でやった方がより成果があがるのではないかとかいろいろあります。
それから、医療政策は私が行ったことをそのまま後追いしており、医師の数を1.5倍というのはまさに私が行っているとおりですから、大連立を組んだって医療政策は十分一緒にやれるという、うれしくなるような私の政策の横取りで結構だと思います。
記者:
今日、最低賃金が設定されましたが、生活保護との乖離がある県との是正以外は、原則現行水準を維持という回答が出ました。これは平成16年以来のゼロ回答という厳しい内容ですがこれの受け止めと、民主党がマニフェストで最低賃金について千円ということを言っているのですがその受け止めをお願いします。
大臣:
これは事務方からすでに話があったと思いますが、加重平均で7円から9円上がっています。やはり、生活保護との絡みを考えないといけません。要するに産業活動、特に中小企業においてどうするか。一気に最低賃金を上げてしまったら人を雇えなくなって、雇用が駄目になり、中小企業も駄目になることもありますから、各地域の実情に応じて審議会で議論をしていただいていますので、これだけ大変な時に、加重平均で7円から9円の引き上げに同意していただいたというのは、相当がんばったと思っております。地域によってそれぞれ状況が違いますから、地域によって生活保護水準との乖離をどうするか、グッと上がるところもありますが、そうでないところもありますので、そこは最低賃金審議会も中央の審議会も各地域の審議会もやっておりますし、関係者が全部入っておりますし、必要なインデックスを使ってやっておりますので大変結構だと思います。
記者:
最低賃金に関しては、現行水準の維持というのはゼロでなければならないということではないと思いますが、円卓会議で底上げするということを合意しており、そういうことを考えるとゼロ円であるという目安を出したわけではないのですから、審議会で底上げの意思が試されると思うのですがどうお考えでしょうか。
大臣:
それは、政労使、特に労使間でよく話をする。それぞれの地域の生活費がどれくらい掛かっているのかを見てやらないといけませんので、最終的には労使に政が加わる時には、今までも連合を始めとしていろいろな要望をいただいておりますから。ただ、全体のバランス、産業活動や雇用ということも考えないといけませんので、非常に厳しい状況ですから、そこのせめぎ合いです。先ほどおっしゃられた、ポンと千円という高い目標を設定することは結構なのですが、そのプロセスに至るまでの間に中小企業を倒産させないで、雇用を守りながらそこに至る道筋はどうなのかと。それは日本経済全体がイノベーションや何かの力を使って底上げして、経済成長率5%という状況になれば黙っていても付いていきます。やはり、経済成長戦略ということを立てた上でないと、最低賃金だけ上げるというのは現実を見れば不可能に近いと思います。その理想は結構なのですが、そのプロセスをどうやって行くかということに、私は経済成長戦略をきちんとやっていくことが必要だと思っております。
記者:
原爆症訴訟ですが、救済方針の政府内のとりまとめの進捗状況と、来週8月3日に熊本地裁判決がでます。その判決の前に大まかな方針が立てられるのか、それとも判決を見てから方針が立てられるのか、そのスケジュール感をお聞かせください。
大臣:
今、精力的に先方とも話をしながら詰めを行っておりますので、まだどういう方向かという結論には至っておりません。連日その詰めを行っております。それから、3日に熊本地裁判決が出ますがその前に大きな枠が決まるのか、それを見てから決まるのか不明です。やはり、裁判所の判決は非常に重いものがありますから、それも見た上で全体的な戦略を立てることになろうかと思っておりますが、まだまだ3日まで日にちがありますし、相手のある話でもあります。相手の言い分もよく聞き、法的にも瑕疵がないようにしないといけませんので、そういうことを考えながら精力的にやっているという状況です。
記者:
閣議が終わった後に、麻生総理と原爆症のお話をされていたそうですが、総理から何か指示があったのでしょうか。
大臣:
マニフェストにどういう政策を入れるかを含めて、原爆症訴訟についても話をいたしましたが、様々なお話をしましたので現状がこういう状況ですということで、基本的には厚生労働大臣に一任するということです。
記者:
確認したいんですが、今の部分。来年末までに、画像システムの中にデータの入力が終わる、ということですか。
大臣:
そうでなくて、大きな所のメドがつくと言うことです。あなたから見たら、目処じゃないかもしれないけれども。
記者:
事実としてちょっと確認したいだけです。来年末までに何が出来るのかということをちょっと。
大臣:
来年末までに、まず定期便がありますね。特別便ありますね。要するに、ご本人にご確認していただく手法でおそらく9割近くまでいくと思います。それで、データでしかできないものもありますね、そのデータの中の一番難しいのは8億5千万枚の紙台帳です。これは、画像処理システムがもう出来ます。今年度予算で出来ます。したがって、それを稼働し始めます。これと同時に、公示というような形もやります。そうすると、それは最終的に8億5千万全部やるのに、長く見れば10年くらいコツコツやっていかないといけない。だから、そういう意味では、終了と言っていないです。目処がつくという、それが12年かかるか8年で済むか。しかし、いったんシステムが稼働し始めて、コツコツやっていくということなんですね。
記者:
そのシステムが本格的に動き始めるのが来年末までということでよろしいですか。
大臣:
いや、来年末までというか、今年度中には今年度予算で出来ますから、来年の3月までにはシステムは完成してます。それで、それを動かし始めますから、大体このペースで動いていきます。そうすると、余分なお金を投入しないで、特別にまた予算また予算でなくてやっていくとすれば、大体半年くらいは動かして、まあ10ヶ月くらいは動かしていきますから、大体このペースで行けば10年でいきます。今大体10年くらい掛かるだろうと見てますけども、しかし、今度はもっと早くこのシステムうまくいって、5年で行くじゃないかとか、「いや、とてもじゃないけど15年以上掛かるからこりゃあちょっと掛かり過ぎだから、あと例えば、300億入れればもっと早くなるんだったら入れましょうか」と、これを国民に議論してもらいます。それで「もういいんじゃないの」とか「もうそのシステム止めましょう」というのが圧倒的多数であれば、それは国会で決めればいい。国民の代表がいるので、ちょっとそこまでも税金投入しないで「9割5分片付いたんだからもういいよ」というか「いや、最後まで、10年かかろうが、20年かかろうが、最後の一枚までやれ」と言ったらやりますよ。だけど、選択肢としては、止める、あと5年はやる、3年はやる、やっぱり10年やる、これありますけどどうしましょうか。「これだけ3年以内にやれと言うなら、あと3,000億円掛かりますよ」、「10年だったら、500億円でいきますよ」と。そのコストとベネフィットの兼ね合いは国民が判断する。そうすると「自分はもう問題を片付いて、年金も取り戻したし、全部片付いてる後何人かの人のために、そんなにお金使うのどうなのかな」という意見が強くなれば、そうでしょうし。だから、国民がそこを判断できるところまで、それはまだ、2、3千しか片付いていないのに、どうだって言うことは出来ません。しかし、もう7,500万人が大体片付いて、みなさんのまわり聞いてみてください。皆さん自身で、俺まだ片付いてないという人は、この中にいますかという状況になっている。私は大体聞いても、ほぼ全員はもう片付きましたとか、あと3ヶ月くらいで片付きますとか、そういうの入れると、ほぼ全員ですね。だから、そういう状況にまでなりましたから、最後これ架空に中小企業主が掛け金逃れのためとか、税金逃れのためにでっち上げたのがあり得るんですね。そういうとこまで解明するのに、更なる税金の投入はどうするのかな、という意見があれば、それはそれも尊重しないといけないです。ですから来年末までに国民に「その後どうしますか」が問える状況に、自信を持って言えるくらいに解決しますというのが目処をつけると、私の思っていることです。
記者:
1年間インターネットに公示するっていうのも、来年末までにやるということでよろしいですか。
大臣:
いや、それはまだ決めてませんけども、一つの方法は、要するに、本当に最後まで探そうとするとそれしか手がありません。ひょっとしたら、あなたの亡くなったお父さんの記録かもしれないけど、名前が○○という名前だから、ちょっと俺の親戚かなと思って、電話かけてくれればいいわけですから、そういうことを名前だけで分かるとか、番号だけで分かるとか、まあやってみようと思いますけど、おかげさまで、2年間努力したんで、今で言うと7割ごろから8割、それで来年末までに、おそらく9割くらいいくだろうと思ってます。そうすると、あと残りの1割くらいどうしましょうかね、と問える状況になる。これがメドをつける、とそういう認識であります。
記者:
これが、自民党のマニフェストに入るということでいいんですかね。
大臣:
今まだ調整してますけど、私の希望としては来年末までに、ということでいまいったようなことを説明はしておりますから、総理に対しても。それはマニフェストの委員会が、まあ採用するか採用しないかどうか分かりません。採用してくれれば、そういう風になると思います。
記者:
新型インフルエンザの関係で、ワクチンの輸入の問題についてお伺いしたんですけど、途上国の方にワクチン十分回らないと見られている中で、専門家の方からも、大臣の輸入方針に対して、疑問の声も出ているのですが、あらためて輸入についての考え方についてお伺いできますでしょうか。
大臣:
それは、一部のWHOの専門家が言っているので、非常に誤解を招く発言ですから、正確におっしゃってくださいということは、すでに申し上げております。それぞれ今各メーカーさんが世界中のメーカーさんが増産と言うことでやってますから、少なくとも国産で出来ない部分は輸入するという方針は変えないでいきたいと思ってます。すでに、アジア諸国に対しては、抗インフルエンザ薬をシンガポールなどに備蓄させてますけども、相当我々は援助をやってきてるところなのです。今まで何もしてないのでなくて、やってきてます。それから、これからもWHOや国連のその他の機関を通じて、例えば、アフリカで問題があれば、ODAを使うとか、いろんな形で出来ると思います。日本だけが買い占めて、発展途上国を困らせようという意図では全くありませんので、そういう発言をなさった方に確認しましたら、その方もそういう意図ではなかったので、これは正確な言い回しをしようということをおっしゃってくださってますし、そういう意味で、エゴイズムで日本だけがやっているわけではありません。やはり各国が自分の国の感染をいかに止めるかというのは非常に大きな課題で、イギリスなんて政策として相当思い切ったことやったわけですね。ものすごい爆発的な感染がありますので。ですから、やはり全数把握をしなくなって集団感染的なことしか出来ない、こんなに暑くて、蒸し暑い時にすら、まだこの勢いが衰えないということは非常に秋以降警戒しないといけないと思いますし、万全な対策をとりたいと思います。専門家会議を個々の時は開いて、セカンドオピニオンも聞きながら、そのワクチンの準備体制をどうするか、それからワクチン接種をどういう人を優先にやるのか、今、詰めている状況ですので、明確な方針が決まり次第、これもお知らせしたいと思います。

(了)