閣議後記者会見概要

H17.11.08(火)10:25~10:40 省内会見場

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
今日閣議がありまして、その中で法務大臣から平成17年版犯罪白書についてご説明がありました。特に少年非行を取り上げて、少年非行の現状、検挙比率が極めて高い、検挙人員の比率が高水準で少年に特異な凶悪犯罪が発生するなど予断を許さない状況にあるという認識を示されて、今後の対応等を白書に取りまとめましたとの説明がありました。いずれにせよ、安心・安全な国、日本を回復するためという認識のようですから、今一部損なわれているという認識を示されたということになると思います。
それから閣僚懇で、三位一体の改革の取りまとめについて官房長官からご発言がございました。三位一体の改革について、4大臣会合、関係大臣会合をはじめ関係者間の意見交換を行ってまいりましたが、これまでの結果を見て、内閣と一段と精力的な調整を行う必要がありますと。昨年の政府・与党合意及び累次の基本方針を踏まえ、かつ、地方の意見を真摯に受け止め、4兆円程度の補助金改革、3兆円規模を目指した税源移譲を確実に実現するために、担当4大臣で精力的に検討を進めてまいりましたが、関係大臣にご協力を願う上でも、4大臣として各関係大臣に取り組んでいただく必要があると考える額をお示しした上で、具体的な検討をお願いすべきものと考えております。関係各大臣におかれては、別途連絡させていただく内容を受け、改革の実現につながる検討結果を速やかに得るよう全力で取り組んでいただきたいと。検討結果については、改めて4大臣としてご説明を伺うことといたしますので、関係大臣においては、三位一体の改革の趣旨を踏まえ、内閣としての取りまとめに向け、リーダーシップを十分に発揮していただきたい、こういう話がございました。私の方から、4大臣の会合でどのような話し合いをされているかは厚生労働省として全く知る術もなく、従って、後で別途連絡をしていただくことになりますけれども、それを受けた後改めて検討させていただきます。2番目に、昨年来の課題になっております生活保護等の問題については、既に4月以来6回の会合を重ね、この10日にもまた会合を持つことになっております。そのことについても十分ご理解をお願いを申し上げたいという発言だけいたしておきました。それ以外、回答も何もございません。閣議の内容は以上でございます。

台湾ハンセン病補償訴訟判決について

大臣:
それから、台湾ハンセン病補償訴訟判決について申し上げます。去る10月25日、東京地方裁判所で判決が言い渡された台湾「楽生院」に入所している方々を原告とする訴訟については、本日控訴することにいたしました。詳細についてはお配りしている資料をご覧いただきたいと思いますが、厚生労働省としては判決は国がとっている補償法の解釈と立場が異なっており、「小鹿島更生園」補償訴訟との間で判決が分かれた結果になりました。従って、上級審の判断を得たいということで判断をいたしました。一方、戦前に韓国・台湾に設置されたハンセン病療養所に入所していた方々への対応については、訴訟について控訴することとは別に、適正な補償のあり方について速やかに検討することとしたいと考えております。引き続き、ハンセン病問題の解決に全力で取り組む所存でありますので、皆様方のご理解をお願い申し上げます。就任して今日で8日目になりますけれども、この問題について前大臣からの引き継ぎも受け、また私なりにも議論を重ねてまいりましたけれども、私どもとしては基本的にはこの補償法の内容の中に国外の方までは含んでいないというように理解をいたしておりますし、判決が2つに分かれましたので、あえて控訴という対応をとらせていただきました。しかし一方で、平成13年以来の様々な経過の中で、台湾・韓国、それから他の4つの地域がございます。パラオ、サイパン、ヤップ、ヤルート、4つの地域も含めまして対応を考えなければならない。その場合ももちろん、今はっきりといたしております韓国・台湾への対応というものをこれから速やかに協議に入りながら、今までの経過を踏まえながら努力していきたいと思います。以上です。

質疑

記者:
三位一体の改革なんですが、先週、厚生労働省から生活保護の見直し案を提出しまして地方側の反発というのが強いんですけれども、今週も協議会が開かれますが、今後どのように調整をされるのでしょうか。
大臣:
約9,000億の生活保護費の問題について省の考えを取りまとめて先日発表させていただきました。それに対する反論は10日にいただくということになっておりますので、それを踏まえながらやっていくことになろうかと思います。いずれにせよ、経済的、社会的理由によってこういう生活保護が生じておるというのは総論として我々も考えておりますけれども、一方で実施主体に全く問題がないかということになると、それは地方の主張とは違う意見もあるわけで、その辺もしっかり考えなければならないという問題と、まさに地域の経済・社会という問題に対して、責任を負うのは、もちろん国も責任を負いますけれども、知事さんや市長さんがやはり一義的に責任を負いながらやっていく問題ですので、経済の問題や社会問題だから国が責任を負うべきだというちょっと地方の論旨については少し私ども意見が違うと言わざるを得ないと思っています。
記者:
ハンセンの方なんですけれども、訴訟とは違う、補償のあり方を速やかに検討されるということで、検討をするやり方と結論の時期について教えて下さい。
大臣:
検討のやり方は省でスピーディにやらなきゃならないと思っています。控訴した中でもちろん裁判は進んでいって、それは司法の判断ですから、それは司法の判断に委ねるということになります。一方でどういう措置が必要かと言われれば、私自身は新しい手当てが必要だろうと、新法なのか法改正なのか、これはまだ判断ついておりませんけれども、新しい法の手当てをしなきゃならないと考えております。
記者:
その時期については速やかにということなんでしょうか。
大臣:
今の段階ではできるだけ速やかにと言わざるを得ない。特に今申し上げたように台湾・韓国と他の4つの地域も出てきておりますので、そこは検証しないとまずいなという感じはします。
記者:
省内に何か有識者を集めるわけではなくて、省内で検討されてなるべく早く結論を出すと。
大臣:
今のところ、もうかなり平成13年以来の議論で、議論を積み重ねてきました。問題は実態をどう把握するかということが一番大事だろうと思います。
記者:
速やかな検討の結論というのは、控訴審の審議とは別なわけですか。
大臣:
はい。
記者:
それから3月のハンセン病検証会議の報告書によって、2カ国については日本と同等、あるいはそれ以上という結論が出ていることから、原告の方は当然補償の金額は日本国内の入所者と同等、同じというふうなことを訴えてらっしゃいましたが、それについて大臣はどういうふうにお考えになりますか。
大臣:
入所という時点での責任は、やはり当時の日本政府にあるんだろうと思います。しかし戦後の話について全て日本が負うべきものであろうかということになると、それぞれ議論があるんだろうと、当然皆さん方もお分かりになっていると思いますし、私もそう思いますので、したがってそんな関係の調整も当然必要だろうと思います。
記者:
ソロクトと台湾については、検証会議でもほとんど実態と変わっていないと思うんですけれども、今大臣がおっしゃった新しい地域を含めますと、また補償というものが決まるまでかなりの時間がかかると思うんですが。
大臣:
あまり時間はかけたくはない、正直申し上げて。
記者:
かからない。
大臣:
平成13年からずっとやってきたことなので、担当者は大変だろうと思うけれども「できるだけ早くやれ」という指示はしております。
記者:
補償の範囲なんですけれども、現段階でどれくらいの人数の方を想定してらっしゃるんでしょうか。
大臣:
まだ想定いたしておりません。まさに今申し上げたように韓国、台湾プラス4地域が出てきていますので、そこをきちっとしていかないといかんだろうと。やる以上はやはり漏れのないようにしていかなければならないだろうと思います。
記者:
韓国と台湾の方と4地域では調べ方について少し差があると思いますので、同じ全ての結論を出す前ということではなくて。
大臣:
手順論として。
記者:
手順論として韓国と台湾を先に
大臣:
手順論として2段階論をしろという議論はあるかもしれない。しかしそれはちょっと今申し上げたように、今日私になって8日目で控訴という1つの決断と、それから速やかに新たな補償の検討に入るということを今日決めたわけですから、手順がどうなるかについてはもう少し時間ください。
記者:
先ほど新法か改正かというふうにおっしゃいましたが、今の補償法を改正するか新たな立法が必要ということでしょうか。
大臣:
そうね、告示行為でできるんじゃないかという人達からずいぶん国会で質問出たようですけれども、これは無理だろうという判断をしました。
記者:
三位一体の話で、残り6,000億円のうちの大半が厚生労働省分だと思うんですけれども、今日枠が示される。
大臣:
それは分からないから今日の私の発言になっているわけです。4大臣会議でどのような議論をされたか分からないので、改めて数字をお示しするという話になっているから、数字を見た上で1からやらせてもらいますという発言をいたしました。
記者:
確認ですが、今の官房長官の指示の中には、地方の意見を真摯に受け止めてという部分があるわけですけれども、基本的に今後の検討は協議会に示された生保の見直し案を基本にするということかその中からということでしょうか。
大臣:
いやいや、それは各省とも横並びの問題がありますよね。そういう意味では国債問題というのは1つあって、これは全体の問題として議論をしなきゃならない問題でしょうと。それからその他の問題も当然あるので、私どもは9,000億という生活保護のことを示しました、したがって6,000億の枠は超えてますという野暮な話をするつもりはありません、真摯にやります。
記者:
先ほど法律改正の必要性のところに言及されたんですけれども、補償法は議員立法という性格上、省で検討する話と法律の改正をするときに省としてどのように取り組まれるというふうに考えていますか。
大臣:
今まで国会というところで見てきた限りでは、議員立法でやっても省が当然その執行を預かるわけです。その間の中で不都合が生じた場合、直す場合に議員立法で直す場合と閣法で直すのと両方あります。それも含めてどういう形にしたらいいのか、いろんな議論があると思うから、少なくとも検討をこれから開始するということだけご理解賜りたいと思います。
記者:
原告側のいう告示の改正は難しいという判断と理由をお聞かせいただけますでしょうか。
大臣:
要は先ほど言いましたように、戦前に入所させたというその責任はあるんだと思います。ただこの話は戦後まで続いている話ですよね。したがって全部日本の責任ですよというふうに決したとき、要するに日本の人達と同じですということになると、戦後の問題までずっとつないでいくという話になりますでしょ、現実問題として。そこはやっぱり基本的には違う認識を持っていいんだろうということです。特にまとめとして日本の場合、35年以降のことの苦痛について、特に触れてありますのでね。その後継続したということについて厳しい批判を受けているはずですから。そこに対する補償も含めてやったのが、この法律、現在ある法律ですね。そことの整合性からいくと少し違うと思います。

(了)