閣議後記者会見概要

H15.02.18(火)9:02~9:25 厚生労働省記者会見場

広報室

会見の詳細

閣議について

大臣:
今日は閣議における大臣発言は、いわゆるWTOにつきましての東京非公式閣僚会合の結果につきまして外務大臣、それから経済産業大臣、それから農林水産大臣と、それぞれご発言がございました。それだけです。

閣僚懇について

大臣:
それから鴻池特区担当大臣から、今日までの経緯、そして総理大臣への報告、そして総理大臣から再度ひとつ話し合いを続けるようにというご指名をいただいたと、こういう話がありました。その後、総理から失敗を恐れず、まず試してみると、現実するように努力をしてもらいたい、こういう話がございました。その後、外務大臣からイラク情勢について若干の話がございました。地方自治体等から要望のあった規制の特区に関する対応状況ということで、一覧表が配られました。厚生労働省は特区として実施は7、全国レベルで実施14、合計で21、全体の数がいくつあるかわかりませんけれども、数から言えば厚生労働省は一番多いと、こういうことでございますけれども、母集団がどれだけあるかということによって違いますから、これは分かりません。私の方からは以上でございます。

質疑

記者:
今日改めて総理から、失敗を恐れずまず試してみよと言われたわけですが、株式会社化の問題については坂口大臣の見解に変わりはありませんでしょうか。
大臣:
今のところ変わりありませんね。失敗を恐れずやってみろということでございますが、初めから失敗すること確実なものはやる必要が無いと、そう思っております。しかし医療そのものの質を向上させるために何か出来ることがあるのか、それは真剣に考えなければならないわけでありまして、私としても努力はしたいというふうに思っております。特に医療問題につきましては、経済効率を上げるということと、医療効率を上げる、医療の質を上げる、その二つのことに役立つことでなければならないというふうに思っております。ただ、負担を増やすだけということであってはならないというふうに思っております。そこを中心にして、今後とも考えていきたいというふうに思います。
記者:
在外被爆者の上告について、昨日紙をいただいたのですけれども、少し大臣の方から説明をしていただけますか。
大臣:
原告の李さんと争うつもりはさらさらございません。お支払いも早くやりたいというふうに思っているところでございます。ただ、今後の手続き上の問題といたしまして、大阪高裁の決定と福岡高裁の決定とが違うということであります。大阪高裁の決定は現在の法律に則ってやるようにということでありますから、こちらの方が我々が妥当だというふうに思っております。したがいまして、既に政令も作り上げ、省令も間もなく出来上がるという事態になっております。しかし福岡高裁の場合には、現在の法律の中に書かれていることと違う方法でやれということを言われているわけでありますから、これは少し我々としては納得しがたい、ただ単に国が直接手渡すか、地方自治体が手渡すかということの違いだと言ってしまえば、それまででございますけれども、一応法律の中に地方自治体を通じて、地方が行うということになっているわけでありますので、その手続きによって今後も我々としてはやらせていただきたいというふうに思っている次第でございます。その一点だけでございます。
記者:
特区の話に戻るのですけれども、冒頭、今のところ株式会社参入について変わりはないというおっしゃり方だったのですけれども、やや皮肉な言い方なのかもしれませんが、3割負担の時には、総理を社長にたとえて、大臣ご自身は係長にたとえる形で総理の方針に従ったという経緯がありましたけれども、ことこの株式会社の医療参入については、大臣としてはどのように今後ご主張されていきますか、改めてお聞かせ下さい。
大臣:
株式会社の問題はですね、これ一番大きな違いは医療法人にしておくのと、株式会社にしておきますのとの一番大きな違いは、一つはいわゆる配当を出すか出さないかということですね。それからもう一つは付帯事業として何でもやってもいいかどうかということだというふうに思っております。いわゆる配当を出すということになりますと、そういたしますと今までいわゆる医療法人は配当を禁止をして、そして今後の医療内容の充実に努めてもらうと、国民の皆さん、患者の皆さん方が医療にかかられて、そこで収益があれば、それはやはり今後、患者さんのためにそれを還元をするということを中心にしてきたわけであります。しかしそこをそうでは無くて、それは配当として配分をするということになりますと、基本的に医療の根幹のところを見直すということになるわけでありますから、私はそこは安易に妥協は出来ないというふうに思っております。それから付帯事業というものを医療が何を行ってもいいということになってしまいますと、医療というものの特殊性というものが非常に薄れてしまう、そんな気がいたします。他のご商売を医療法人が行うということになってくると、それは一体医療としてどうなのかということになってくる、だからそこは禁止をしているわけでありますから、その辺のところを認めていくというのであれば、それは当然その特区ならば特区の中でですね、全部それはその中の医療法人には認めるということになってくるのではないか、それが一体どうなのかということに私はなるというふうに思います。
記者:
医療の方の参入とは別にですね、特別養護老人ホームについて、既に特区の方では認めているのですが、それを全国にということも検討課題になりますか。特養の方についてはいかがですか。
大臣:
これは派遣の問題ですか、今おっしゃったのは。
記者:
いや、株式会社の。
大臣:
特養は認めていく方向でやっていきたい。出来るだけ条件を少なくして参入をしていただけるようにしたいというふうに思っております。
記者:
医療業務での労働者派遣なのですけれども、これは今回の特区で実現するという方向で検討されてらっしゃるということでよろしいでしょうか。
大臣:
今回の特区ですと、これ25日か何かが期限になっておりますから、それまでに整理が出来るかどうかということは、ちょっと難しいかもしれないというふうに思いますが、早く結論を出すということにしたいというふうに思っております。
記者:
その際、対象になるのは医師の派遣も含めて、医師、看護師、その他検査技師の方とか、いろいろなほとんど全ての医療業務の労働者派遣ということでよろしいのでしょうか。
大臣:
医師の場合には院長が派遣されるということは僕はないんだろうと思うんですね、自分でどういう医療を行うかという一つの意志を持っておやりになるわけですから、それをそこは派遣でということは、それはあり得ない話なんだろうというふうに思っております。主にそれは従業員を中心にして行うということだろうというふうに思いますが、しかしへき地でありますとか、あるいは特別な地域になかなか人を得がたいといったようなことも現在あるわけでありますから、現在までのところは、そうしたところはそれぞれの地域の市町村長さんが全国を本当に足を棒にしながら回って、そして探して来るというようなこと、あるいはまた、大学病院が派遣業的な役割と申しますか、派遣業と言うと叱られますけれども、人の配置を考えていたということであります。しかし昔のように大学病院が医局に属する人達をあなたはここに行ってくださいとか、あそこに行ってくださいというようなことを半強制的に言うということは、これはもう出来ないわけでありますから、それは職業安定法に違反すると言うことが明白でありますので、これからはそういうことは段々と無くなっていく、現在もう既にそこは明確になりつつあるというふうに思っております。したがいまして、これから医師の派遣ということ、医師を確保するということについて大学病院等がそういうふうに、やはりそういうことをすべきではないということになりました時に、どういうふうにしてその医師確保というものをしていくかということについての議論は大きな問題になってくるだろうというふうに思っております。そうなれば一つの業とする人達がそのことについて考えるということは当然起こってくることでありましょうし、今後そうした問題も大きくなってくるというふうに思っております。しかしここは一足飛びになかなかいきませんから、まずは従業員の皆さん方を中心にして考えていくということが順当な道筋ではないかというふうに思います。
記者:
大臣のおっしゃる従業員の中には医師は含まれてないということですか。
大臣:
たくさんのお医者さんを抱えてお見えになるようなところもありますから、それはそれじゃ医師も従業員ではないかということだろうというふうに思いますが、しかし医師の場合にはなかなか派遣業に登録をするという人はたぶんいないのではないかというふうに思いますし、医師以外の従業員を中心にしてスタートを一遍してみるというのが私は順序として大事なことではないかというふうに思っております。しかし先程申しましたように将来の問題としましては、大学がそういう機能を果たさないということになってくれば、今後医師の派遣というものをどうしていくかという問題が起こってくることだけは事実でございます。
記者:
今の派遣の件についてはとりあえず16年度中に、これは特区に限らず全国で行えるかどうか結論を出すということになっていると思いますが、その医師を含めて15年度中に実施するのか、あるいは先程おっしゃった医師を除く従業員の部分については特区で実施するとか、その辺の振り分けは今のところどうなのか。
大臣:
今のところそこまで議論は進んでおりませんけれども、16年というのは遅すぎる。15年度中に決着をしなければいけないし、15年度の中でも出来るだけ早く決着をしなければならないというふうに思っております。この25日までは、これはちょっと難しいのではないかというふうに思いますけれども、15年度の早いうちに決着をする。それが全国レベルでそういうふうにするのか、それとも特区としてそれは考えていくのかということも結論を出さなければいけないというふうに思っております。私は特区として考えて良いんではないかというふうに思いますけれども、そこはまだ中で議論そこまでいたしておりません。
記者:
今週中にも経済財政諮問会議で社会保障の議論もしてみたいという意向があるようなんですが、ところで社会保障審議会も今週中に、明日ですか、会合がありまして、制度横断的な取り組みについて実質的な議論が始まるんですけれども、ただ今大臣がおっしゃったように、社会保障が今年の大きな論点というテーマになっているのですが、諮問会議と社会保障審議会、それぞれにどういった議論を期待されるか、まあざっくりとした話で結構なんですけれども、今時点で考えがあれば。
大臣:
経済財政諮問会議でのご意見、この議論というのはもっと私は今お話ありましたように、社会保障全体としてこれからどうしていくかという、そういうことを議論をしなければいけないと思うんですね、今までたとえばの話ですが、たとえば高齢者を中心とした社会保障制度であったけれども、しかしこれからは子育ても含めた社会保障制度にどう転換をしていくかとか、そういう大きな立場での問題、それに対して財源問題をどうしていくかといったようなことを、やはりご議論をいただくんだろうというふうに思いますね。そしてその時に財源としてはそれは税を中心にするのか、それとも社会保障費をやはり今まで通り中心にして、足らざるところを税で補う、あるいはまた個人負担で補うということでいこうというふうにするのか、そうした問題をやはりご議論をいただきたいと思いますし、特に来年は社会保障の中の中心であります年金につきましての新しいスタートを切らなければいけませんし、その中の財源の問題も含まれているわけでありますから、そうした大きな立場での議論を私はしてもらいたいというふうに思っております。どうも今まで聞いておりますと、大きな話ではなくて割に小さな話が多いものですから、経済財政諮問会議の中でそんな小さな末端な話をしとって良いのかなと僕は思うことがしばしばございまして、余分なことでございますけれども、大きな立場でしてもらいたいと思っております。
記者:
省内の社会保障審議会ですが、省内も確かに大臣がおっしゃったように年金、また昨年は医療、その後に介護が控えているということなんですが、それぞれ改革年限が違うことと、なかなか横断的に取り組むということは今までないという声もありますけれども、その辺省内の審議会ではどういう議論をしていくお考えですか。
大臣:
社会保障全体としてどうするかという大きな立場での議論も今してもらっているところでございます。審議会等におきましてもここの問題ではなくて総論として、社会保障全体としてどういう方向にしていくかということの議論をお願いをしたいというふうに思っておりまして、皆さんにもそういうふうに申し上げているところでございます。やはり特に年金、医療、介護というのはこれは一つにしてやはり考えていかないと私はいけないと思います。バラバラにして考えておりますと、なかなか制度と制度との間のきしみみたいなものが埋まっていかない、きしみというものが生まれてくる、そこが上手くいかないということがありますので、やはり年金、医療、介護、一つの方向性の中でどのようにしていくかということをやはりまとめないといけないというふうに思っております。それにもう一つ加えるならば、障害者の問題、障害者のたとえば介護なんかを、今後これは全く別の形でやっていくのか、それとも介護なら介護の中にその障害者の問題も含めて考えていくのか、そうしたこともやはり大きな流れの中で議論をしていただければありがたいというふうに思っております。

(了)