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ウエストナイル熱・脳炎Q&A
平成14年10月23日
(平成18年1月12日改訂)
今般、ウエストナイル熱・脳炎に対する正しい知識と現状について理解を深めていただきたく、厚生労働省において、次のとおりウエストナイル熱・脳炎に関するQ&Aを作成しました。今後、ウエストナイル熱・脳炎に関する知見の進展等に対応して、逐次、本Q&Aを更新していくこととしています。
なお、米国疾病対策予防センター(CDC)も、ウエストナイル熱・脳炎に対するQuestions and Answersを作っていますので、お知らせします。右記アドレスより参照できます。
http://www.cdc.gov/ncidod/dvbid/westnile/q&a.htm
ウエストナイルウイルスについて
問1 ウエストナイルウイルス、ウエストナイル熱、ウエストナイル脳炎とは、何ですか。
- 答 ウエストナイルウイルスは、ウイルス学的にはフラビウイルス科フラビウイルス属という分類がなされます。このウイルスは、日本脳炎ウイルスと極めて近い関係にあるウイルスです。アフリカ、西アジア、中東、ヨーロッパ、北米で見つかっています。蚊が媒介して、ヒトのほか、トリ、ウマなどの動物への感染がわかっています。
ウエストナイル熱は、インフルエンザ様の症状で、比較的軽症の病気です。ほとんどの患者さんは数日から一週間以内で回復します。このウイルスが脳に感染して、さらに重篤な状態が、ウエストナイル脳炎です。
問2 ウエストナイル熱・脳炎は、これまでどこで報告されていますか。また日本でも報告されていますか。
- 答 ウエストナイル熱・脳炎は、従来アフリカ、ヨーロッパ、西アジアで患者発生報告がありました。アメリカ大陸での患者発生はありませんでしたが、1999年アメリカ合衆国のニューヨーク市周辺での流行が報告されたことから、大きな注目をあつめるようになりました。近年の主な流行は以下の通りです。
イスラエル | 1951-1954, 1957, 2000年 |
---|---|
フランス | 1962, 2000年 |
南アフリカ | 1974年 |
ルーマニア | 1996年 |
イタリア | 1997年 |
ロシア | 1999年 |
アメリカ合衆国 | 1999−2002年 |
現在のところ、日本における国内感染の報告はありません。輸入感染症例については下記をご覧下さい。
(参考)米国から帰国したウエストナイル熱患者の輸入感染症例について(平成17年10月3日 報道発表資料)
感染経路について
問3 ウエストナイルウイルスはどのようにして感染しますか。
- 答 ウエストナイルウイルスは自然界においては、トリと蚊の感染サイクルで維持されています。ヒトはウエストナイルウイルス感染蚊に刺されることにより感染します。媒介蚊は、イエカやヤブカ等で、これらの蚊は日本にも生息しています。通常、ヒトからヒトへの直接感染はありません。
問4 蚊以外からウエストナイルウイルスが感染することはありますか。
- 答 最近の米国での流行で、移植された臓器および輸血を介しての感染を疑わせる報告がありました。事実関係については、現在、米国の研究機関等において確認作業が進められているところです。
我が国においては、輸血用血液の安全性確保のため、米国等から一ヶ月以内に帰国した方が献血をされる際に、ウエストナイル熱に関連した症状の有無などについて健康状態を十分に確認し採血を行っています。また、血漿分画製剤についても、現在行われているウイルス不活化処理はウエストナイルウイルスに対しても十分に対応できるものと考えられています。
臓器移植がウエストナイルウイルスの感染経路である可能性は否定されておらず、また移植時の患者の免疫力と関係がある可能性も指摘されています。一方、角膜移植についてはこれまで感染例もなく低リスクと考えられています。また、骨髄移植およびさい帯血移植については感染経路となる可能性は否定できませんが、これまで感染例は報告されておりません。いずれにせよ、ウエストナイルウイルスのこれらの感染経路についてはいまだ明らかにされておらず、今後とも内外の情報に注意しながら、適宜対応していく必要があります。
問5 ウエストナイルウイルスは、母乳を介して感染しますか。
- 答 最近の米国での流行においてウエストナイルウイルスが、母乳を介して感染した可能性があるとされる1例の報告がなされました。(この感染経路については米国で現在調査中ですので、今後の報告に注意する必要があります。)しかし、授乳については、米国疾病対策予防センター(CDC)は「現在の知見では、母乳による育児を勧める方針を変更する必要性は示されていない」としています。もちろん、母親に何らかの症状がある場合には、医療機関への受診をおすすめします。
問6 ウエストナイルウイルスに感染した鳥や動物の肉を食べてヒトが感染することはありますか。
- 答 これまでにウエストナイルウイルスに感染した鳥や動物の肉を食べてヒトが感染した報告はありません。
症状について
問7 ウエストナイルウイルスにかかった時はどのような症状がでますか。
- 答 ほとんどの人(約80%)は無症状です。感染した人のうち、2割程度がウエストナイル熱になると考えられており、発熱、頭痛、筋肉痛や、時に発疹、リンパ節の腫れが見られますが、症状は軽度です。
ウエストナイル脳炎になり重症化すると、激しい頭痛、意識障害、痙攣、筋力低下、麻痺などを示します。
問8 ウエストナイルウイルスに感染した蚊に刺されたら、どの位で症状がでますか。
- 答 たとえ感染した蚊に刺されても、すべてのヒトが感染するとは限らず、また感染したとしても症状が出るのは、2割程度です。その際に症状が出るまでの期間は、2〜14日(普通2〜6日)です。
問9 ウエストナイル熱・脳炎の症状は通常どの位続きますか。
- 答 ウエストナイル熱では1週間以内で回復しますが、脳炎など重症になると数週間続き、まれに後遺症が残ることもあります。
問10 ウエストナイル熱・脳炎のような症状が出たらどうしたらよいですか。
- 答 まずかかりつけの医師などに相談して下さい。もし、高熱、激しい頭痛、意識障害、筋力低下などが出た時は急いで医療機関を受診してください。
問11 どのような人がウエストナイル脳炎にかかりやすいのですか。
- 答 ウエストナイルウイルスが蔓延しているところに住んでいる人は誰でもかかる危険性がありますが、特に高齢の人は重症になりやすいといわれています。
問12 ウエストナイルウイルスに感染して重症となるのはどれ位の割合ですか。
- 答 感染した人の約80%は無症状で終わり、重篤な症状を示すのは、感染した人の約1%といわれています。重篤な患者は主に、高齢者にみられ、重症患者の3〜15%が死亡するといわれています。
予防・治療について
問13 ウエストナイルウイルスの感染を予防するにはどうしたらいいですか。
- 答 蚊に刺されないようにすることが予防となり、以下のことが勧められています。
- 露出している皮膚への蚊除け剤の使用
- 戸外へでるときは、できる限り長袖、長ズボンを身につける
- 網戸の使用など
問14 ウエストナイルウイルスに対するワクチンはありますか。
- 答 ウエストナイルウイルスに対するワクチンは、今のところありません。
問15 ウエストナイル熱・脳炎の治療方法はありますか。
- 答 ウエストナイル熱・脳炎に対する特効薬はなく、症状を軽減する治療が中心となります。
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