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水道関連事故事例について(平成14年度以前)

水道関連事故事例について(平成14年度以前)


1.水質事故関係
(1)化学物質関連事故
(2)油等関連事故
(3)クリプトスポリジウム関連
2.水質管理 3.クロスコネクション
4.大規模破損 5.テロ 6.専用水道、簡易専用水道
7.その他    

参考資料 石橋多聞 著「上水道の事故と対策」(昭和52年 技報堂出版)



1.水質事故関係

(1)化学物質関連事故


■長野県営水道・クレゾール混入事故
○時期:平成13年1月31日〜
○事業者:長野県(水道事業)
○事故の概要
 クレゾール及びジクロロクレゾールによる異臭により、飲用制限を実施(1/31 18:20〜2/2 16:30)
○事故の原因
 水道原水に混入。仮設導水管として農業用排水路を利用しており、水源若しくはこの導水部で混入したものと考えられるが詳細は不明。
■滋賀県信楽町水道・フェノール混入事故
○時期:平成14年3月6日〜
○事業者:信楽町(水道事業)
○事故の概要
 フェノール類(0.153mg/l検出)による異臭発生により最大3300戸、10日間の断水。
○事故の原因
 化学工場からの漏出。表流水の河川法無許可取水であったこともあり、そもそも河川管理者等が表流水取水の認識がなかったこと。当然のことながら関係機関との連携が皆無であったこと。
■兵庫県篠山市・フェノール混入事故
○時期:平成14年6月21日〜
○事業者:篠山市(水道事業)
○事故の概要
 水道原水のフェノール混入により、水道水の使用制限を実施。市全域の6割に当たる9,000戸に影響。
○事故の原因
 化学工場からのフェノール流出事故の収拾後、降雨により、事故時に発見できなかったフェノールが水源に流入したものと推定。

(2)油等関連事故

■松塩水道用水供給事業・油流出事故
○時期:平成13年2月13日〜
○事業者:長野県(用水供給)、松本市・塩尻市(受水水道事業)
○事故の概要
 水道用水の油臭(定時検査で発見)により、塩尻市、松本市への送水を停止(2/13 9:32〜2/14 19:30)。松本市9,700戸、塩尻市4,000戸の断水。
○事故の原因:水道原水に混入。詳細は不明。

(3)クリプトスポリジウム関連事故

■埼玉県越生町・大規模感染(水道事業における我が国初の事例)
○時期:平成8年6月
○事業者:越生町
○事故の概要
 6月のはじめ下痢、腹痛の患者が発生。7月に全町民約13,800人を対象に罹患状況調査を実施し、集計の結果、5月中旬以降に下痢等の症状があった住民は、回答者12,345人中8,812人で全体の71.4%であった。下痢及び腹痛のため仕事や学校を休んだ住民は2,878人で発症者の約32.7%、医療機関受診者は2,856人(32.4%)であり、このうち入院者は24人。34検体の患者便のうち22検体からクリプトスポリジウムのオーシストを検出。大満浄水場の原水、給水栓水からオーシストを検出。県営水道用水供給事業からの供給水からは不検出。
○その他
 越生町への給水は、25%県水受水、残りを表流水、湧水、伏流水を原水とする大満浄水場から給水。処理方式は急速ろ過であるが、PACの常時注入を行っておらず、黙視で確認した原水状態、ろ過水の濁度自動測定によってPAC注入を判断しており、正確な注入率は不明。 大満浄水場の上流域には、浄化槽、2カ所の農業集落排水処理施設が稼働。伏流水系等の越辺川に流入するこれらの施設の処理水と越生町の水道水の間に置いて感染者の便を介してクリプトスポリジウムの循環増殖系を形成してしまったため、汚染が拡大したものと推察される。
■愛媛県今治市・クリプトスポリジウム断水事故
○時期:平成13年6月15日発見
○事業者:今治市(水道事業)
○事故の概要
 年間予定による水質検査の結果、夏期のみ利用している浅井戸の塩素処理後の浄水からクリプトスポリジウムが検出され揚水停止(6/15/17:30〜)。厚生労働省、愛媛県の指示により給水停止(6/15/21:00〜6/16/22:00)。
○事故の原因
浅井戸に越流管があり、逆にこの越流管を通じて周辺からの汚染可能性があるなど管理の不徹底が見られたが、詳細は不明。

2.水質管理

■岡山県津山市・残留塩素の基準値低下事故
○時期:平成14年12月3日
○事業者:津山市(水道事業)
○事故の概要
 残留塩素の基準値0.1mg/lを下回る水を、約17,000戸に送水。同日8:40に小学校の通報により発覚。配管内の水約4,000tの入替作業を行い、同日23:15に安全宣言。
○事故の原因
 水道原水が堰開放と発電放流が重なったことにより、塩素を著しく消費する水質に変化。浄水場にて残留塩素の低下が見られ、塩素の自動注入では追随できないと判断し手動に切替えるが、その後の動向確認を怠る。夜間引継の際に、昼間の情報を伝えず、水質監視の注意義務が欠如。
■長野県飯田市・濁度上昇による給水停止事故
○時期:平成15年4月22日
○事業者:飯田市
○事故の概要
 飯田市の妙琴浄水場において、前日からの雨により原水濁度が上昇し、凝集沈殿ろ過で適切に対応しきれなかったため、浄水濁度が2.0度を超えた。「飲用不適」を広報し、給水停止は行わなかった。
○事故の原因
 フロック形成ができなくなってからジャーテストを行っており、対応が遅かった。また、原水のアルカリ度が低下していたが、それに対する対策を適切に行えなかった。引き続き詳細な原因について調査中。

3.クロスコネクション

■大阪市・工業用水道誤接合事故
○時期:平成14年8月7日発見
○事業者:大阪市(水道事業)
○事故の概要
 道路漏水の修繕の際に、1世帯の給水管が水道管と平行した工業用水道管に誤接合されたことを確認。6年間にわたって工業用水が給水されていた。
○事故の原因
 同径の工業用水道管であったこと、設計図面の工業用水道管記載漏れ、工事時に残留塩素の未確認などから、誤接合に気づかなかったものと推測。
■東京都・工業用水道誤接合事故
○時期:平成14年11月28日(12月12日)発見
○事業者:東京都(水道事業)
○事故の概要
 東京都の水道フレッシュ診断実施中に、残留塩素が検出されなかった。分岐箇所を掘削し、水道管と平行した工業用水道管に誤接合されたことを確認。9世帯に約3年間にわたり工業用水を給水。この事故を受け緊急点検を実施し、新たに1世帯にて誤接合を確認。約17年間にわたり工業用水を給水。
○事故の原因
 異径の工業用水道管であったが、工業用水道管を水道管と誤認、設計図面の工業用水道管記載漏れ、工事時に残留塩素の未確認などから、誤接合に気づかなかったものと推測。

4.大規模破損

■京都府営水道・導水管破損事故
○時期:平成13年7月26日〜
○事業者:京都府(用水供給)、宇治市・城陽市・八幡市・久御山町(受水水道事業)
○事故の概要
 宇治市道に布設した導水管(高級鋳鉄管900mmの曲管部、昭和23年製造、昭和35年施工)が破損、宇治市36,000戸(7/27 0:30〜7/30 6:00)、城陽市10,000戸 (7/27 0:30〜7/28 8:00)が断水。
○事故の原因
 腐食、支持地盤の変形等が挙げられるが特定できず。(施工当時、硬質地盤に砂基礎なし、コンクリート保護なしで直置き。)
■横浜市水道・配水管破損事故
○時期:平成14年11月18日
○事業者:横浜市
○事故の概要
 横浜市道に布設した配水管(鋳鉄管)550mmの直管部(明治30年代にヨーロッパから輸入され、導水管として利用し、一度撤去された後、配水管に転用されたもの)が破損。断水はなし。
○事故の原因
 「腐食による管厚の減少」と「下水道管との接触による力学的な条件が厳しくなったこと」が原因と推定。

5.テロ

■千葉県北総浄水場への廃油毒物投入事件
○時期:昭和53年6月
○事業者:千葉県
○事件の概要
 北総浄水場の沈殿地に、廃油120リットルと殺虫剤ダイアジノン、バイジット計12kgが投入。発見は午前11時、投入は全日夕刻と推定された。犯行から発見まで約16時間と推定されるが、沈殿池−ろ過池−配水池までの状況で発見され、実害はなし。管理本管から死角となる場所の有刺鉄線の一部を切断して侵入。成田空港に反対する過激派の組織的、計画的犯行と断定。
○その他
 空港開港日に、現地の開港粉砕集会で反対同盟の戸村一作委員長が、「水や電気、交通機関などを止め、あらゆるゲリラ活動を展開し、成田空港を廃港に追い込む」などの宣言があり、また、ジェット燃料輸送列車妨害事件、空港管制塔破壊事件、空港周辺電話ケーブル切断事件、京成電鉄スカライナー焼打ち事件、東京航空交通管制ケーブル切断事件、日航ホテル成田、転業農民の関連会社社員寮、大韓航空社員寮、空港付属下水道施設などへの一連の火炎ビン投入事件、東京航空局山田レーダー基地・筑波レーダー基地襲撃事件、東京電力送電塔倒壊事件など関連施設に対するゲリラ活動が相次いだ時期。

6.専用水道、簡易専用水道について

■神奈川県平塚市の雑居ビルにおけるクリプトスポリジウムによる集団感染
○時期:平成6年8月
○事故の概要
 ビル関係者736人中有症者461人。医療機関受診者77人、入院者5人。ビル内の貯水槽水道により給水された水道水が原因。排水ポンプの故障により、汚水及び雑排水が受水槽に混入、簡易専用水道に該当するが、簡易専用水道として把握されておらず、管理基準に基づく管理もなされていなかった。
■長崎市の長崎総合科学大学における赤痢の集団感染
○時期:平成10年5月
○事故の概要
 有症者821人、入院者346人の赤痢の集団感染事例。大学敷地内の飲用井戸を水源とする給水施設。水源の井戸が赤痢菌に汚染され、施設の管理の不備により、塩素消毒されないまま給水されたもの。居住者が100人以下のため、当時の水道法の規制対象外。

7.その他

■福岡県1市8町・汚泥の河川垂流し問題
○時期:平成14年4月26日発覚
○事業者:直方市・小竹町・川崎町・添田町・稲築町・頴田町・桂川町・庄内町・穂波町(水道事業)
○問題の概要
 マスコミの報道により発覚。事業体によっては、浄水汚泥を水で希釈した上で河川に放流。
○問題の原因
 各浄水場とも、浄水能力が10,000t未満であるため、水質汚濁防止法の排出規制は受けないが、近年の環境に対する市民の意識の高まりに対する自覚の欠如が原因。
■佐賀県鳥栖市・汚泥河川流出事故
○時期:平成14年12月10日
○事業者:鳥栖市(水道事業)
○事故の概要
 沈澱池清掃における水張作業中に、排泥仕切弁を開け、沈澱池内の水を河川に放流中に、濃縮槽の下方弁を閉め忘れたため、汚泥が河川に流出。市民からの通報により発覚。
○事故の原因
 排泥仕切弁を操作する時に濃縮槽の下方弁を開けていたことに気づかなかったことが原因。作業工程におけるチェック機能が不十分。
■カシン・ベック病騒ぎで玉川浄水場取水停止
○時期:昭和45年
○事件の概要
 千葉大学滝沢教授は、昭和37〜39年に発表した「日本におけるカシン・ベック病の研究」の中で、大田区内の小中学校生にカンシ・ベック病罹患率が高く、その原因として飲料水中の有機物が疑わしいとした。この発表が一部報道機関により報道されたことで社会問題となり、東京都は、都民の水道水への不安に配慮して玉川浄水場の多摩川からの取水を停止した。その後、国、都とも研究班、委員会を設置し検討を行った結果、多摩川からの飲料水とカンシン・ベック病との関係は否定された。
○カシン・ベック病
 シベリア地方で認められた風土病の一つ。1854年にカシンが、1908年にベックがその詳細を報告した慢性骨疾患である地方性変形性骨関節炎をいう。旧ソ連のみならず、中国、韓国でも風土病として記載され、日本でも報告例がある。一般に軽症であることが多いが、幼児では小人症となることもある。原因としては中毒説、内分泌障害説のほかに、天然有機物によって汚染された水も原因として挙げえられているが、まだよく分かっていない。 (出典:水道用語辞典(日本水道協会))

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