ホーム> その他> 平成29年度第1回遺伝毒性評価ワーキンググループ(2018年3月19日)




2018年3月19日 平成29年度第1回遺伝毒性評価ワーキンググループ 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

○日時

平成30年3月19日(月)13:30~


○場所

労働委員会会館講堂(7階)


○議題

(1)平成29年度に実施したBhas42細胞を用いる形質転換試験の評価について
(2)平成29年度に微生物を用いる変異原性試験を実施した物質に関する遺伝毒性の総合評価について
(3)変異原性試験におけるガスばく露法の追加及びOECDテストガイドラインとの整合性について
(4)発がん性スクリーニングにおける遺伝毒性の構造活性相関結果の評価基準の改正について
(5)平成30年度非遺伝毒性発がんスクリーニング試験対象物質の選定方針について
(6)平成30年度エームス試験対象物質の選定について その他

○議事

○平川化学物質評価室長補佐 本日は大変お忙しい中、御参集いただきまして、誠にありがとうございます。若干、定刻は過ぎておりますが、ただいまより第1回遺伝毒性評価ワーキンググループを開催いたします。本日、委員は全員出席ですが、特別参集者である発がん性評価ワーキンググループの西川委員が欠席、若林委員は途中で次の会議に移動されるとお伺いしております。それでは、以下の進行を座長の清水先生にお願いいたします。

○清水座長 年度末のお忙しい中を御参集くださいまして、ありがとうございます。それでは議事に入る前に、事務局より議事次第と資料の確認をお願いいたします。

○平川化学物質評価室長補佐 それでは、本日の議事について説明いたします。1番目の議事は、「平成29年度に実施したBhas42細胞を用いる形質転換試験(16物質)の評価について」、2番目の議事は、「平成29年度に微生物を用いる変異原性試験を実施した物質(22物質)に関する遺伝毒性の総合評価について」、3番目の議事は、「変異原性試験におけるガスばく露法の追加及びOECDテストガイドラインとの整合性について」、4番目の議事は、「発がん性スクリーニングにおける遺伝毒性の構造活性相関結果の評価基準の改正について」、5番目の議事は、「平成30年度非遺伝毒性発がんスクリーニング試験対象物質の選定方針について」、6番目の議事は、「平成30年度エームス試験対象物質の選定について」です。

 それでは、引き続き配布資料の説明をいたします。議事の裏面を御覧ください。資料については資料と参考資料を1点留めにした資料と、別冊で資料2-3を用意しております。それでは順に説明いたします。資料1-1は、「平成29年度にBhas42形質転換試験を実施した物質について」が1ページ。次が資料1-2、「Bhas42形質転換試験結果一覧(日本バイオアッセイ研究センター実施分)」が312ページ。資料1-3Bhas42形質転換試験結果一覧(株式会社ボゾリサーチセンター実施分)」が1323ページです。

 次に資料2-1「平成29年度にエームス試験を実施した物質に関する遺伝毒性の総合評価について」が25ページ。資料2-2「平成29年度にエームス試験を実施した物質に関する遺伝毒性の総合評価(表)」がA3で表裏で27ページと28ページです。資料2-3については先ほど申し上げたとおり別冊としております。

 次に資料3-1「変異原性試験におけるガスばく露法の追加及びOECDテストガイドラインとの整合について」が29ページ。資料3-2「関係法令」が3132ページ。資料3-3「労働安全衛生法第57条の41項の規定に基づき厚生労働大臣の定める基準」が3334ページ。資料3-4OECDテストガイドラインとの整合」が35ページ。資料3-5「「微生物を用いる変異原性試験の具体的手法及び試験結果の評価方法について」(平成1128日付け化学物質調査課長事務連絡)の一部改正案」が3750ページです。

 次に資料4「発がん性スクリーニングにおける遺伝毒性の構造活性相関結果の評価基準」で51ページです。

 次に資料5-1「平成30年度非遺伝毒性発がんスクリーニング試験対象物質の選定方針」が53ページ。資料5-2-1「平成30年度形質転換試験の対象物質リスト(製造・輸入量が1,000t以上)(平成27年度第1WGから修正)」が5563ページ。資料5-2-2「平成30年度形質転換試験の候補物質リスト(製造・輸入量が1,000t以上)(平成28年度第1WG結果による追加)」が65ページ。資料5-2-3「平成30年度形質転換試験の候補物質リスト(構造活性相関結果から)(製造・輸入量100,000t以上)」が6768ページです。

 次に資料6「平成30年度変異原性試験候補物質」が、6972ページです。

 引き続き参考資料に移ります。参考資料1「遺伝毒性評価ワーキンググループ参集者名簿」が73ページ。参考資料2「職場で使用される化学物質の発がん性評価の加速化」が75ページ。参考資料3Bhas42細胞を用いる形質転換試験による調査の基準(平成26年度第3WG合意事項)」が7778ページ。参考資料4-1「発がん性スクリーニングにおける遺伝毒性(変異原性)の判断基準(平成25年度第1WG後修正版)」が79ページ。参考資料4-2「遺伝毒性の判断基準の細部事項(平成25年度第1WG後修正版)」が81ページ。最後、参考資料5TIMESについて(ホームページ掲載資料)」が8385ページです。

 資料に不備等がありましたら、事務局までお申し付けくださいますようお願いいたします。

○清水座長 資料は全部おそろいでしょうか。資料がなければ、事務局のほうにお伝えください。それでは最初、議題1に移ります。「平成29年度に実施したBhas42細胞を用いる形質転換試験(16物質)の評価について」事務局から御説明をお願いします。

○平川化学物質評価室長補佐 それでは、事務局から資料1-1に沿って概略を申し上げます。遺伝毒性評価ワーキンググループにおいて、「遺伝毒性なし」と評価された物質のうち、非遺伝毒性発がんスクリーニング試験対象物質の選定方針の基準に基づき、資料1-2及び資料1-316物質を平成29年度の遺伝毒性評価ワーキンググループで選定し、委託事業等よりBhas42細胞を用いる形質転換試験を実施しております。1~8の物質については日本バイオアッセイ研究センター、9~16については株式会社ボゾリサーチセンターにおいて実施していただいております。

 本ワーキンググループの検討事項です。(1)Bhas形質転換試験結果の評価を行う。(2)試験結果が陽性と評価された物質について、ラット肝中期発がん性試験の候補物質とするか検討する。以上の検討を行っていただきます。なお、試験結果の評価については、本日の参考資料3にありますBhas42細胞を用いる形質転換試験による調査の基準、こちらの基準に沿っているかどうかの確認等をしていただいて、試験に問題ないかの確認をしていただきたいと思いますので、参考資料3について順を追って説明させていただきます。

 「1 Bhas42細胞を用いる形質転換試験の種類」については、(1)プロモーション試験は非遺伝毒性発がん物質を検索するための試験であり、細胞の定常期に処理をするものである。(2)試験は細胞増殖試験と形質転換巣を観察する形質転換本試験からなる。(3)細胞増殖試験は、被験物質の細胞増殖に及ぼす影響と本試験の最高処理濃度を決定するために実施する。また、被験物質が適正な濃度で処理されているかを確認するため、本試験においても並行して実施する。(4)形質転換本試験は、被験物質の形質転換巣を誘発する作用を検出するために実施する、としております。

 また、「2 Bhas42細胞を用いる形質転換試験の方法」ですが、(1)試験は細胞播種後、414日の10日間、被験物質で処理する。(2)細胞増殖試験は、細胞播種後7日間培養し、固定染色する。(3)形質転換本試験は、細胞播種後3週間培養し、固定染色する、としております。試験の流れについては、次の図のとおりです。

 次に「3 Bhas42細胞を用いる形質転換試験に用いる細胞」ですが、記載のとおりです。次のページの「4 被験物質の処理濃度」ですが、(1)被験物質の最高処理濃度を決定する細胞増殖試験では、最高用量を5 mg/mL又は10mMのいずれか低い用量とする。(2)形質転換本試験では、適切な間隔で4段階以上の濃度を設定することとし、具体的には次のとおりとする。ア、細胞増殖を促進させる被験物質の場合、原則として次のように濃度設定する。細胞毒性が認められない濃度に1濃度、細胞増殖の促進が認められる濃度に3濃度、弱い増殖阻害が認められる濃度に1濃度。イ、細胞増殖を阻害する被験物質の場合、原則として次のように濃度設定する。細胞毒性が認められない濃度に2濃度、細胞毒性が認められない濃度から増殖が50%阻害される濃度(IC50)間に2濃度、IC50から増殖が90%阻害される濃度(IC90)間に1濃度。

 次に「5 対照物質」ですが、試験における対照物質は、陰性対照においては、被験物質を溶解するために用いた溶媒、陽性対照においては、適切な既知の形質転換誘発物質TPA 12-O-tetradecanoylphorbol-13-acetateを用いる、となっております。

 次に「6 使用ウェルの数」です。6ウェルプレートを使用し、一群当たり、形質転換巣を観察する試験には6ウェル、細胞増殖試験には3ウェルを用いるとあります。

 次に「7 観察及び記録」については、(1)形質転換本試験においては、プレートをコード化し、処理条件が判らない状況で観察する。(2)各ウェル当たりの形質転換巣数を記録し、形質転換率は「形質転換巣数/ウェル」で表す。

 最後に「8 結果の判定」ですが、被験物質処理群の形質転換率が陰性対照と比較して統計学的有意差が認められない場合には、陰性と判断する。被験物質処理群の形質転換率が陰性対照と比較して明らかに上昇し、かつ、その作用に濃度依存性が認められる場合には、陽性と判断する。明確に陽性又は陰性の判定ができない場合には、適切な試験条件で確認試験を実施する、としております。

 これらの基準に今回の試験が問題なく合致しているかどうか等、評価をお願いできればと思います。それでは詳しい試験結果については、日本バイオアッセイ研究センターから順に御説明をお願いできればと思います。

○日本バイオアッセイ研究センター 日本バイオアッセイ研究センターの佐々木です。資料1-2を用いまして、当センター実施分のデータの説明をさせていただきます。8物質、実施しております。資料1-2に書いております8物質です。この8物質のうち2物質が陽性の結果となっております。試験番号で真ん中ぐらいにありますけれども、75007501、物質名で1,3-ジフェニルグアニジン、それから3,4-ジメチルフェノールの2物質から陽性の結果が得られております。

 個々のデータにつきまして、次のページからグラフを用いて説明したいと思います。4ページですけれども、陰性の物質です。まず、図の見方ですけれども、上の図が細胞増殖試験、単独の細胞増殖試験になります。下の図のほうが形質転換試験、それから形質転換試験と同時に実施した細胞増殖の結果、これらが1つのグラフになっております。

 まず、上のほうのグラフですけれども、アリル=メタクリラートは最高の10mMから実施しております。細胞毒性、それから細胞増殖の促進も認められておりません。最高濃度でも96%の増殖率がありました。この結果を基に形質転換試験を実施しております。細胞増殖抑制、それから促進もありませんでしたので、最高濃度10mMから実施しております。特に全濃度で形質転換巣の有意な増加は認められておりません。

 次の物質になります。5ページです。こちらは、4-ヒドロキシ安息香酸エチル、上のほうの図が細胞増殖試験ですが、こちらも10mMから実施しております。こちらは細胞増殖の阻害が1.3mM以上で認められております。実際は増殖率としては2.5 mM以上で認められておりますけれども、図3の注意書きにありますように、固定した細胞、プレートが残るのですけれども、こちらを位相差顕微鏡のほうで観察しますと、コンフルエントよりも少ない細胞密度になっておりましたので、判断が難しいのですけれども、3日間の処理でそういう状態でしたので、本試験の10日間の処理では細胞形質転換で形質転換巣が認められないのではないかと判断して、最高用量を設定しております。1.2mMに最高用量を設定して本試験を実施しております。

 その結果が、下の図4のグラフになります。細胞増殖抑制が、やはり1.2mMで阻害が認められております。そして形質転換巣は減少して参りまして、増加に関しては、いずれの濃度でも認められておりません。ただ、統計学的に有意な減少が、0.30.61.2mMの濃度で認められております。

 次のページに参ります。プロピルパラベンの結果になります。こちらは上のほうの図になりますけれども、10mMから実施しております。やはり細胞増殖阻害が0.63mM以上の濃度で認められております。そこで0.64mMを最高用量に、形質転換試験のほうを実施しております。その結果、こちらも形質転換巣の有意な減少が認められているのですけれども、増加に関しては、いずれの濃度でも認められておりません。

 次の物質になります。こちらが陽性の結果になった物質です。1,3-ジフェニルグアニジン、こちらは細胞増殖促進作用が認められておりまして、図7になりますけれども、0.020mMから1.3mMまで増殖の促進作用が認められております。2.5mM以上で阻害作用に転じております。

 最低用量でも促進作用が認められましたので、もう一度、細胞増殖試験のほうを実施しております。図8になります。0.040mMから0.0013mMまで、幅広い所を取りまして実施しております。その結果、0.0050mMから0.040mMまで促進が認められまして、一応、促進の認められない濃度が捉えられております。この結果を基に、少し公比を広げまして、幅広い濃度で、0.36mMを最高用量に、本試験を実施しております。その結果、連続した6用量、0.00150.0044、それから0.0130.0400.12、最高用量の0.36mMまで形質転換巣の増加が認められております。陽性に出た場合は、さらに代表的なウェルの写真を載せてあります。Aに陰性対照群のウェル、それからBに陽性対照のウェルを載せてあります。そして、1,3-ジフェニルグアニジンの0.12mMのウェルの写真がCの写真になります。明らかな増加を示しております。

 次のページですけれども、8ページになります。これも陽性の物質です。3,4-ジメチルフェノール、一番上の図11ですが、10mMの最高用量から細胞増殖試験を実施しております。1.3mM以上で増殖率の阻害が認められております。実際には2.5mM以上で数値的には減少を示しておりまして、1.3mMの所では、位相差顕微鏡による固定細胞の観察により、コンフルエントよりも少ない細胞密度になっていることを確認しております。こちらも3日間の処理でこの結果でしたので、本試験の10日間処理ではこれ以上の細胞毒性が認められるおそれがあると判断して、1.2mM1.3mMと同等用量と考えて、1.2mMを最高用量に、本試験を実施しております。

 その結果が、下の図12になります。こちらは連続した3用量で陽性の結果、*が付いています、0.0380.0750.15mM、この3用量で統計学的に形質転換巣の有意な増加を示しております。陽性でしたので、下に代表的なウェルの写真を示してあります。C3,4-ジメチルフェノール、0.15mMでのウェルの写真になります。明らかな増加を示しております。

 次の9ページ、3,5-キシレノールの結果です。最高用量は上の10mMから実施しております。こちらは細胞毒性が1.3mM以上で阻害作用を示しておりまして、本試験はそれと同等の用量ということで、1.2mMから実施しておりまして、下の図15になります。本試験では、やはり1.2mMの所で細胞増殖の阻害が認められております。けれども、形質転換巣の有意な増加は、いずれの用量でも認められておりません。陰性の結果でした。

 次の10ページになります。図16です。こちらも上の図ですけれども、2,3-キシレノール、10mMの最高用量から実施しております。1.3mM以上で細胞増殖の阻害作用が認められております。その結果を基に、本試験の用量は最高用量を1.2mMに設定しております。1.2mMで阻害作用が認められております。形質転換巣の有意な増加に関しては、いずれの濃度でも認められておりません。

 次ですけれども、11ページの図18です。6-フェニル-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミンですけれども、こちらも最高用量は10mMの用量から実施しております。細胞増殖阻害ですが、0.64mM以上で阻害作用が認められております。今回は1.2mMを最高用量に本試験を実施しておりまして、その結果、下の図19に示したように、形質転換巣の有意な増加は認められていませんけれども、逆に有意な減少を0.3mM、それから0.6mMで示しております。飛んで0.075mMでも示しておりますけれども、1.2mMに関しても0ということで有意な減少を示しております。増殖率に関しましても、0.60mM1.2mMで細胞増殖の阻害を示しております。こちらも陰性の結果となっております。

 バイオアッセイの実施分は以上のとおりです。

○清水座長 ありがとうございました。ただいまの御報告に対して何か御質問、御意見がありましたらお願いします。

○本間委員 今回の化合物の中で2つ陽性があり、、1,3-ジフェニルグアニジンのほうは非常にきれいな用量相関性が認められています。一方、もう1つの3,4-ジメチルフェノールに関しては、陽性は認められますが、その後低下していますので、こちらは用量相関性はないのではないかと思います。Bhasの形質転換試験の結果の判定の(2)を見ると、被験物質処理群の形質転換率が陰性対照と比較して明らかに上昇し、かつその作用に濃度依存性が認められる場合には陽性と判断するとあり、その内容からすると、こちらは陽性の判断にはならないのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○日本バイオアッセイ研究センター 最初のときに、食薬センターの佐々木さんとの立ち上げの当初から詰めたところを、計画書に判定基準を書いているのですが、少なくとも統計学的に有意な増加が連続した2濃度以上で認められることと、1濃度又は不連続な2濃度以上で認められるときは、これは確認試験になるのですが、連続的な2用量以上で認められるというところと、この場合、連続した2用量のところで16.216.3で認められており、その後の濃度で、若干近い濃度ではありますが、19.3と上がっております。判定基準だけでも0.0380.07516.216.3の連続した2用量でもクリアしているのですが、更にもう1用量上まで出ていて、それが若干上めの濃度になっているということで、十分な証拠ではないかと思っております。

○本間委員 では、その科学的な根拠はあるのでしょうか。試験結果を見る限り、特に細胞毒性が急激に低下しているわけではありません。細胞毒性との関連性があれば、そういったことも考えられますが、そのような反応がないのに陽性と判断するか?根拠がない限り、連続2用量があればというのは、あくまで便宜的に決めたのであって、それに何か科学的な根拠があるかどうかは、私は不明だと思います。

○日本バイオアッセイ研究センター 増殖率が低下していない場合でも、一番上の濃度の1.20.60のように減少のほうで、有意な減少、これは詳しく調べてみないと腫瘍抑制的な効果かどうかは分かりませんが、それに類似したような低下させるような作用が認められる場合は、まるで細胞毒性があったときと同様に形質転換巣の誘発がどんどん消えていきますので。これはちょうど1.20.60mMの所で減少方向に振れていて、0.30ぐらいの所でちょうど境目にあり、その下の0.0380.0750.15の所では増加傾向にあると。そういう意味ではよく見られるというか、典型的なパターンだと思っています。確かに、細胞増殖としては下げるような要因がないのですが、この形質転換巣の動きに関しては、典型的にピークを示してそれから下がっていると判断しております。なので、下の部分の立ち上がりの上がっている所、0.0380.0750.15の部分に関しては用量依存的に上がっていって、それがピークを過ぎて下がっていくのを十分に示しているのだと捉えております。

○清水座長 そこは統計学的には有意差があると。

○日本バイオアッセイ研究センター あります。0.038から0.0750.15は増加のほうで統計学的に有意差があり、0.30ではそれが消えて、逆に0.601.2に関しては減少のほうで統計学的に有意差がありますので、こういうカーブを描いているということです。なので、増殖率的には確かに下げる要因に全く見えないのですが、そういう意味ではちゃんとレスポンス、用量に依存して上がっていって、一旦落ちて、それが減少していっているという生物学的な反応に十分なっていると判断しました。

○本間委員 形質転換率が下がるというのは、これまでも幾つか例があって、それに関しては理由は不明ですが、たまに起きるような現象だという理解をこれまでしていたのですが、今回この8物質のうち、そういった傾向が見られるのは7物質で、ほとんどで見られていますね。

○日本バイオアッセイ研究センター そうですね。今回は多かったです。

○本間委員 これが今回の物質で特異的に見られたものなのか、それとも手技的に、例えば非常に強い毒性までやりすぎたために起きたとか、そういったことも考えられるのではないかと思います。今回、8物質中7物質にその傾向が見られるというのは、確率的にも極めて起こりにくいのではないかと思います。手法的な頑健性というか、そういったものはどうなのでしょうか。

○日本バイオアッセイ研究センター この物質に関してちゃんと調べているわけではないのですが、過去にやった金属の物質で、同じように増殖を示して、促進が最初にあって減少に転じているものを調べて、細かい濃度でやっていったことがあるのですが、逆に丁寧に濃度をプロットしていくと捉えられる現象のような印象を受けています。なので、もう少し粗く、ただ、粗くやったときに増加の部分のきれいな濃度依存性が取れないおそれがあるのですが。確かに上めの毒性の側のほうを丁寧にやってしまうと、比較的減少のほうの、有意な減少が捉えられているという感じはあるかもしれません。

 ただ、今回の場合、増殖率でまだ下がっていないのですが、位相差顕微鏡の結果を基に判断しているものもあって、細胞増殖としては、数値としてはまだ毒性がそれほどでないところを最高用量にしたりして実施しております。それは経験的に過去の試験で、例えば細胞増殖の数値が80ぐらいあっても、位相差の観察で、3日間の処理でコンフルエントが維持できていないときは、10日間の処理に耐えられないという例が多かったので、そちらで切って、もっと低いところでやっています。ですので、どちらかというと細胞増殖の数値的には高いところでやっているというよりは、もう少し臨機応変に低いところをやっているつもりで設定しています。

○清水座長 ほかに何か御意見等はありますか。0.3mM以下をもっと細かく取れば、きれいな相関が得られるということもあるのですか。

○日本バイオアッセイ研究センター そうですね。0.150.0750.038の間を取れば、もう少しきれいな相関性が認められる可能性がありますね、その下までですね。

○清水座長 本間委員、いかがでしょうか。

○本間委員 ……。

○清水座長 安全圏から見れば、これは一応陽性と判定して取ったほうがいいかなという気がしますが、ほかの先生方はいかがでしょうか。よろしいですか。

 それでは、試験を行った8物質中2物質が陽性であるという判定でよろしいでしょうか。

○若林委員 3,4-ジメチルフェノールはポジティブなのですが、これに関してはこのバイオアッセイ研究センターのデータのみがポジティブで、他の遺伝毒性等に関するデータはどうなっているのでしょうか。また、いわゆるメチル基の位置によって出たり出なかったりするのか、その構造相関と遺伝毒性との関係について、もしバイオアッセイ研究センターのほうでデータをお持ちであれば教えていただければと思います。

○日本バイオアッセイ研究センター 遺伝毒性のデータは持っておりません。一応、こちらの形質転換試験の16物質は遺伝毒性がないと判断されて、それ以前に先に実施した文献調査等があって、この委員会で遺伝毒性がないと判断してでているという理解でしたので、遺伝毒性に関して調べ直したことはありません。確かに、構造的には75013,4-ジメチルフェノールと、75023,5-キシレノール、75032,3-キシレノールは、同じ置換基3種類が位置を変えてベンゼンに付いているもので、1物質だけ陽性になっておりますので、非常に面白いと思っているのですが、これに関してどうしてなのかとか、そういう意見は持ち合わせておりません。

○若林委員 メカニズムについては、説明が明らかにはできないようですね。あと私が聞きたいのは、エームスの遺伝毒性ではなくて、染色体異常や小核についての資料を持ち合わせていますか、という質問です。

○清水座長 その辺りは分かりますか。

○日本バイオアッセイ研究センター 当センターでは持ち合わせておりません。

○清水座長 これは後ほどまた調べていただくということでよろしいですか。それでは、まだ先がありますので、この2物質陽性という判定でよろしいでしょうか。特に御異存がなければ、次に進めます。ボゾリサーチセンターからお願いします。

○ボゾリサーチセンター ボゾリサーチセンターの福田と申します。今回、ボゾリサーチセンターが担当した化合物は、資料1-3の全部で8物質あります。これらに関して、Bhas細胞を用いた形質転換試験を実施しました。8物質のうち、資料1-3の表の試験番号の欄にあるT-G308のメタクリル酸アルキルが陽性になっており、次にT-G312アルカン酸(C=430)も陽性になっています。8剤中2剤が陽性反応を示しました。次のページ以降に詳しい結果が載っているので、順次御説明します。

 基本的にバイオアッセイ研究センターとほとんど同じ図なのですが、上の図が用量設定試験の結果で、下の図が形質転換試験、本試験の結果です。いずれも10mMで試験をしたので、それ相当の1,150μg/mLを最高濃度にしました。

 用量設定試験の結果ですが、Relative Cell Growth、相対細胞増殖率はほぼ陰性対照群と変化なかったので、本試験に関してもドーズを10mMから試験したのですが、1点、細胞の増殖性が確認されたので、やや多めなドーズを取って試験しています。その結果、144μg/mL以上の濃度で、統計学的に陰性対照群に比較して有意な増加が示されました。これは用量依存性もありましたので、結果としては陽性と判定しました。次のページに、これの写真が載っています。トップドーズの代表的なウェルに関する形質転換巣の写真を掲載しました。

 次がアルカナールの結果です。これも10 mM相当の865μg/mLから試験を実施しました。細胞増殖阻害もpHの変化、……等もなかったので、本試験も10mM相当から試験を実施しています。形質転換巣の有意な増加も確認されていないので、本剤に関しては陰性と判定しました。

T-G310に関しては、用量設定試験の結果、若干10mMの部分で細胞増殖抑制が認められました。本試験では、IC50以下になっていないのですが、一応安全策を考慮して、6ドーズを設定して試験しました。その結果、統計学的な有意な増加は確認されませんでした。

 次のT-G311に関しても、用量設定試験ではIC5050%阻害が見られるようなドーズはなく、細胞増殖活性も見られなかったことから、本試験も10mM相当の1,200μg/mLをトップドーズにして試験しました。その結果、陰性対照群に比較して形質転換巣の有意な増加は確認されませんでした。その結果、陰性と判定しました。

 次のT-G312、アルカン酸(C=4~30)の物質に関しては、用量設定試験の結果、上位濃度に関して細胞増殖阻害はなかったのですが、軽微な形態変化が見られたので、やや多めのドーズを取って試験しました。その結果、1,200μg/mL800μg/mLに関して細胞毒性が強く発現し、細胞密度がコンフルエントとならなかった点でTOXICと判定し、評価から除外しました。次の533μg/mLから158μg/mLまで陰性対照群と比較し、統計学的に有意な増加が示されました。この点から考えて、統計学的な判定からも用量依存性の有意性があるということで、結果としては陽性と判定しました。次のページに、これの代表的なウェルの図を載せています。

T-G313の試験に関しても、細胞毒性が用量設定試験で見られなかった点から、10mM相当の1,200μg/mLをトップドーズにして試験を実施しました。その結果、形質転換巣の有意な増加は確認されませんでした。したがって、陰性と判定しました。

 次のT-G314の試験、マロン酸アルキル(C=1~2)エステルに関しても用量設定試験でやや細胞毒性が確認されたので、少し多めのドーズを取って本試験を実施しました。しかし、陰性対照群に比較して統計学的に有意な形質転換巣の増加が確認できませんでしたので、総合的に陰性と判定しました。

 最後に、T-G315の試験に関しては、50%の細胞増殖抑制が確認されたので、本試験では10ドーズを設定して試験しました。その結果、上位の1,400μg/mL700μg/mLに関しては、細胞毒性の影響によって細胞密度がコンフルエントとならなかったという結果から、評価対象から除外しました。次のドーズから考えて、残り8ドーズに関しては統計学的に有意な増加が見られなかった点から、結果として陰性と判定しました。以上です。

○清水座長 ありがとうございます。ただいまの御報告に対して、何か御質問、御意見がありましたらお願いします。

○若林委員 結果うんぬんではなく表示なのですが、前にも指摘したことがあるのですが、片方が「mM」で、片方が「μg/mL」なのです。

○ボゾリサーチセンター 大変申し訳ございません。先ほど気付きました。注意します。

○若林委員 グラフの使い方も前半と後半で違いますので、同じことをしているのでしたら、同じ表にしていただければと思います。

○ボゾリサーチセンター 分かりました。どちらかに統一します。

○清水座長 ほかには何かありますか。よろしいでしょうか。それでは、ボゾリサーチセンターからの8物質に関しては、2物質が陽性ということでよろしいですか。

 そうしますと、平成29年度に実施された形質転換試験結果については、ほぼ妥当であるということでよろしいでしょうか。先ほどバイオアッセイのほうで質問が出ておりましたが、ほかのエームス以外の小核試験等については、確かエームスがネガティブであるという判定のときにいろいろ見ているはずですね。

○平川化学物質評価室長補佐 こちらで文献調査をしているものがありましたら、確認して事務局から各委員の先生方に御提供いたします。

○清水座長 よろしくお願いします。それでは、今回の評価の結果、陽性となった物質に関しては、中期発がん性の試験に候補物質として追加ということでよろしいでしょうか。

(異議なし)

 ありがとうございます。そのように処理させていただきます。中期発がん性試験の物質の選定に関しては、企画検討会及び発がん性評価ワーキンググループで御議論いただくことになっておりますので、事務局は候補として追加提案するようにお願いします。

 次に、議題2「平成29年度に微生物を用いる変異原性試験を実施した物質(22物質)に関する遺伝毒性の総合評価について」に移ります。試験はボゾリサーチセンターに実施していただいていると聞いておりますが、試験結果について御質問がありましたらボゾリサーチセンターに御回答いただくこととして、まず事務局から全体の流れについて説明をお願いします。

○平川化学物質評価室長補佐 それでは事務局から、資料2-1に沿いまして説明をさせていただきます。

 まず、1の(1)の「ワーキンググループでの評価及び試験の実施」です。ワーキンググループにおける評価により、エームス試験が実施されているものの一部に不備があり、「遺伝毒性はあるが、強弱の判断不能」又は「遺伝毒性の有無の判断困難」とされた物質を試験の対象とする。また、エームス試験が実施されていないため、構造活性相関を行った結果、「+」の判定となった物質、これらにもエームス試験を実施することとしております。結果、試薬の入手可能な13物質に加えて、今年度はナノマテリアルについても、委託事業によりエームス試験を実施いたしまして、ボゾリサーチセンターから結果の報告をいただいているところです。

 次に、(2)の「エームス試験結果の評価」です。資料2-2に結果一覧表を付けておりますので、後ほど、各分担の委員から御説明をお願いできればと思います。

 次に、「2 本ワーキンググループにおける検討事項」です。資料2-2にございます【平成29年度に実施したエームス試験の結果】及び【遺伝毒性に関する文献調査の結果】を踏まえて、22物質それぞれについて、遺伝毒性の評価結果について、「遺伝毒性なし」、「弱い遺伝毒性あり」、「強い遺伝毒性あり」、「遺伝毒性はあるが、強弱の判断不能」、「遺伝毒性の有無の判断困難」について御判断いただければと思います。

 次に、「3 評価結果を踏まえた対応」ですが、次のように対応いたします。「遺伝毒性がない」場合はそれで評価終了といたしまして、Bhas42形質転換試験の候補物質の選定に移ります。「弱い遺伝毒性あり」はここで評価終了。「強い遺伝毒性あり」の場合は、行政指導の対象物質とするとともに、中期発がん性試験の候補物質といたします。また、発がん性試験の情報がある場合は、行政指導の対象とするか、別途検討ということですが、本日の物質につきましては、発がん性試験の情報はないということです。「遺伝毒性はあるが強弱の判断不能」と「遺伝毒性の有無の判断困難」の場合は、別途検討ということでさせていただくものです。これから、22物質について各委員から評価をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

○清水座長 個別物質の評価につきましては、この度のエームス試験が適切な条件で実施されているかどうか、これまでの文献情報から資料2-1の丸数字1 、ただいま事務局から読み上げていただきましたが、このどれに当たるかということにつきまして、各委員からコメントをお願いしたいと思います。それでは順番に、荒木委員からお願いできますか。

○荒木委員 2,2,2-トリフルオロエタノールになります。確かこれは、試験……が十分ではなかったものだと思います。最高濃度は一応5 mg まで実施されていまして、沸点が74℃でちょっと。構造的にはOH基があるので水に溶けるので、多分、ガスで試験をやらなくても十分に実施は可能なものだと判断できます。ですから、少なくとも5mgまで復帰変異の上昇、生育阻害は見られないので試験法としては十分成立していると思います。陽性対照についても2倍以上の復帰変異を示していますので、試験は適切に実施されたと判断をしました。陰性という結果になっています。

次の物質は、2-tert-ブチルフェノールになります。

○清水座長 飛んでいますよね。

○荒木委員 T-2581になります。本試験につきましては、用量設定試験の段階で有効濃度段階が3濃度段階しか得られていないことにより、本試験のところで2回実施がされている、そういったものです。ですから、再現性を見るための試験はやられているということになります。試験は実施されていまして、その生育阻害の用量が156 µ g/plateということで、これは本試験の1回目、2回目との再現性が取れているので、十分、再現性のある試験が実施されたと判断できます。用量に関してですが、復帰変異コロニーの増加は認められていないということと、陽性対照については、少なくとも2倍以上の復帰変異を示しているということから、試験は成立していると考えます。これは一応、増加がないということで、陰性と判断されると思います。

○清水座長 荒木委員からは2物質、御報告がありましたが、特に何か御意見はございますか。なければ、次は太田委員ですか。

○太田委員 はい。通し番号6番、4-エチルフェノールです。今回のエームス試験の陰性という評価は全く問題ありません、それでよろしいかと思います。なぜこれをやることになったかというのがその右側にあって、エームス試験なしということでやったのです。総合評価の所、送っていただいた文献で染色体異常試験があるのですが、これで弱い陽性が出ているので、それで前回は「弱い遺伝毒性あり」となったのかなと理解したのですが、この表ではなくて、前回、ファイルで送ってもらった、その総合評価の所に「弱い遺伝毒性あり」と書いてありましたので、事務局案の所ですね。その根拠が染色体異常かなとちょっと理解していたのですが、そうであれば、エームス試験は陰性ですが染色体異常の所が陽性に出ておりますので、この場合は総合評価として「弱い遺伝毒性あり」になるのではないかと思うのですが、確認していただけますでしょうか。

 それから通し番号8のアミノクロロトルエンスルホン酸につきましても、今回のエームス試験が陰性であるのは問題ありません。これも前回の事務局案に「弱い遺伝毒性あり」とあったので見たのですが、これも染色体異常試験が、本当に弱いのですがちょっと上がっているという、そういった文献情報があったので、それを含めて、前回は「弱い遺伝毒性あり」と評価したのではないかと思うのです。今回、エームス試験が陰性でしたが、両方を合わせて、やはりそこは「弱い遺伝毒性あり」かなと思いますが、先ほどと同じように、御確認をお願いいたします。

 飛びまして通し番号131-クロロプロパンです。これはエームス試験がなくて情報が全く分からないということでやることになったと思いますが、今回の結果が陰性ですので、総合評価は、「遺伝毒性なし」で問題ないかと思っております。

 次に、通し番号1718です。ここはエームス試験陰性で問題はございません。「遺伝毒性なし」の総合評価でよろしいかと思います。以上になります。

○清水座長 何か御質問はございますでしょうか。よろしいですか。

○荒木委員 1-クロロプロパンですが、これは沸点が比較的低くて水に溶けにくいということで、あと、構造活性相関からプラスの結果が出ているのですが。

○清水座長 13番ですね。

○荒木委員 はい、ガスで試験をする必要があるかどうかということの提案なのですけれども。

○清水座長 1-クロロプロパンは揮発性が高いということですね。

○荒木委員 沸点が比較的低くて揮発性が高いと考えられるのと、もう1つは水に溶けにくいという、もう1つ性質があるということで。通常だと、揮発性でガスの試験の追加が望ましいのかなという気がします。構造活性相関が

○清水座長 陽性ですね。

○荒木委員 陽性で出ているというのがちょっと気になるんですよね。

○太田委員 ただ、そうなんですけれども、生育阻害が出ているところまで試験が出ていて上がる傾向がないので、そのところはどうなのでしょうかね。1mg/プレート辺りまではやっていて、そういう徴候が見られないので、ガスでやって

○本間委員 構造活性相関から言うと、これはアルキル化ハロゲンで基本的に変異原性のアラート構造です。他の類似物質の検索をすると、クロロエタンまでは変異原性はあります。そして、クロロプロパンはデータがありませんが、クロロブタンになると変異原性は認められなくなります。アルキル鎖が長くなると変異原性アラートが消える傾向にありますので、ちょうどこのプロパンが微妙なところだと思います。ただ、データを見る限り、全く増加傾向は認められません。例えば2倍以下の1.5倍程度の陽性が認められれば、変異原性が疑われますが、データ自体がほとんど、完全にフラットです。確かに、荒木先生が言うように、ばく露条件によって違う可能性は否定できませんが、構造活性相関から考えると、クロロプロパンは、変異原性がないとしても特に不思議ではないと思います。

○清水座長 微妙なところですね。ほかに御意見はございますか。

○ボゾリサーチセンター 念のため試験操作について説明させていただきます。1-クロロプロパンは沸点がとても低かったので、最初に溶媒であるDMSOを試験管に1mg程度採取してから被験物質を加えて秤量したという形にして、なるべく揮発しにくいような試験操作を心掛けました。あと、プレインキュベーション中、密栓もしています。

○清水座長 どうでしょう。

○荒木委員 ちょっと反論するようですが、通常のプレート法、プレインキュベーション法でやると、最初に比較的高い濃度の溶媒に当たってしまうので、毒性が出ているような炭化水素系のハロゲン系炭化水素でも、ガスばく露でやるとプラスになるというケースがあるので、通常のやり方の毒性域までやっているから大丈夫というわけではない、経験的にはないということです。

 あともう1つ。密栓法でやるのは確かに、ある程度、比較的揮発性が低いというか、高いところまではいいのですが、本当に低くなってしまうと、やはりうまくいかない。あと、やはり最初の毒性が強く出てしまうので、ガスで陽性が出るものが出ないということはあると思います。やはりガスのばく露の仕方と、密栓は、プレインキュベーション法にしても、やはり手法としては違うものだと理解したほうがいいかなと思っています。

○清水座長 一応、陰性という判断はしておりますが、これは、ちょっとペンディングという物質になりますかね。

○荒木委員 余裕があれば、何か

○清水座長 ええ、予算の関係もありますけれども。

○荒木委員 予算の関係もあると思いますが、ガスばく露ができれば、そういう追加の試験が望ましいものに入れていただければと思います。

○平川化学物質評価室長補佐 来年度以降の委託事業で選定候補に加えることも考えられます。

○清水座長 そうですね。

○平川化学物質評価室長補佐 はい。

○清水座長 そういう扱いにしてください。ほかに御意見はございますか。なければ本間先生。

○本間委員 私のほうは最初の化学物質は、通し番号2N-デシル-N,N-ジメチルデカン-1-アミニウム・クロリドです。こちらに関してはエームス試験がないということで、エームス試験を実施しています。結果としては非常に細胞毒性が強くて、最高濃度としてはかなり低い濃度です。0.1μg/プレート以下から、大体、数十μg/プレートぐらいまででの試験が実施されています。細胞毒性が強かったので何回か繰り返されて、試験に苦労したのではないかと思いますが、結果としては陰性で問題ないかと思います。

 次に、通し番号111,1,1-トリクロロ-2-メチル-2-プロパノールです。もともと、こちらは評価未確定ということです。水和物を使って試験をしておりますが、こちらも、特に問題があるとは思いません。陰性で問題ないと思います。

1ページ目最後、通し番号142-[(4-アミノ-3-メチルフェニル)エチルアミノ]エタノール・硫酸塩です。こちらは、構造活性相関から陽性が疑われたということになります。これは確か芳香族アミンだったのではないかと思います。芳香族アミンは典型的な変異原性アラートということで試験をしました。結果としては、TA100S9+S9-群で陽性反応が出ています。比活性値が2.58×102 ということで103 未満ということですので、弱い遺伝毒性と判断されました。そういった結果です。

 後ろのほう、通し番号2021、ナノマテリアルとして酸化亜鉛とナノクレイとなっています。こちらはほかのナノマテリアルと同様に、陰性ということで問題ありません。以上です。

○清水座長 何か御意見、御質問はございますか。よろしいでしょうか。なければ山田委員、お願いします。

○山田委員 通し番号3の物質、メチルトリス(エチルメチルケトオキシム)シランです。これは、エームス試験が実施されていなかったので今回、実施したものです。特にどの菌株でも増加は見られなかったので、陰性ということでいいと思います。

 次の物質が通し番号7の物質です。これは、遺伝毒性が評価できない、データはあったのですが評価できないということで、未確定だったので実施してもらったものです。硫化ナトリウムで、これは1,250以上、ちょっと毒性のある物質なので、最高用量は下げて実施されていますが、4用量取れていますので、実施した用量では復帰変異コロニーの増加は認められておりません。ですので、これも陰性ということで、遺伝毒性はないという判断でよろしいかと思います。

3つ目が通し番号12の物質です。これも、遺伝毒性が未確定で実施してもらったモノアルキルフェノールです。これもちょっと毒性が強くて、条件にもよるのですが、かなり低い用量で実施されております。45用量で実施されていて、低い用量ではありますが復帰変異コロニー数の増加は認められておりませんので、これは、エームス試験陰性ということでいいかと思います。確認試験も実施されていますので、エームス試験は陰性ということでいいと思います。これも「遺伝毒性なし」という判断です。

 その後の物質、裏側で最後の2つです。22番と23番のナノマテリアルです。まず酸化セリウムですが、これは沈殿があるので、1,250を最高用量で実施されています。復帰変異コロニーの増加は認められていませんので、これは陰性ということでいいと思います。

 最後のグラフェンです。これもナノマテリアルなのですが、これは高い用量で沈殿が出ていますので、313μg/プレートが最高用量なのですが、それで実施した試験で陰性という結果になっています。以上です。

○清水座長 ありがとうございます。何か御意見、御質問はございますか。よろしいでしょうか。特にございませんでしたら、私のところですが、9番と10番と19番、3物質ございます。

9番の物質は、ソルベントブルー-78という物質です。変異原性試験の結果を見ますと、TA98とか1537S9+のときに非常に強く、確認試験も行われておりまして、その比活性値が3.85×104 であるという非常に強いエームス試験の結果になっております。

 それから、10番目の2-t-ブチル-p-ベンゾキノンです。この物質は変異原性試験は行われておりますが、結果が非常に低濃度のほうで試験が行われております。高濃度になるとKillingが起きてしまっているような物質ですが、このデータを見る限り、弱い遺伝毒性というような判定になっているのですが、2倍に達するような数値がないということは、ほとんど陰性であるということで、試験結果では陰性であるということでよろしいかと思います。

 それから、裏のほうの19番、酸化アルミニウムです。この物質に関しても5,000μgまで行っておりますが、変異原性に関しては、陰性であると判断してよろしいかと思います。

 以上で私の部分が終わりますが、何か御質問はございますでしょうか。

○本間委員 今の先生が行われた10番のブチル-p-ベンゾキノンは、事務局案は「弱い遺伝毒性あり」となっていますが、最終的に「遺伝毒性なし」という修正をするのですか。

○清水座長 最終的にこれは、データを見る限りは陰性です。

○平川化学物質評価室長補佐 これにつきましては、文献のほうで染色体、先ほど太田先生のところで陽性のものは 丸数字2ではないかというようなお話がありまして、試験結果を見ますと、どうも陽性の結果があるようではありますので、これも確認いたしまして、また改めてお諮りさせていただきたいと思いますが、少なくとも「強い遺伝毒性あり」ではないことは確かであろうと思います。

○清水座長 よろしいですか。

○本間委員 ベンゾキノンはエームスだけが陰性で、ほかの試験はみんな陽性です。それで判定がちょっと難しいと考えます。個人的には問題ないと思いますが、文献情報も見ていただければと思います。

○清水座長 では、そのようにお願いいたします。

○荒木委員 15番、16番のフラーレンについて説明をいたします。15番のフラーレン(C60)ですが、これは一応、最高用量5mgまでで実施されています。復帰変異コロニーの上昇がないということと、あと、陽性対照も2倍以上出ていますので、これは2回実施されて、用量設定、本試験で確認が取れているということから陰性になっています。それから、フラーレン(C70)です。これは用量設定試験が、前のものがそうですね、1,250までですから、沈殿領域までやられているのです。こちらのほうは一応、両方とも、用量設定試験、本試験ともに、5mgまでやられています。その理由ですが、1つは、TA100S9+側に、僅かなのですが上昇傾向があるということで、これで一応、沈殿領域だけでなくて5mgまで実施されたものと考えられます。本試験のほうでは、2倍は超えないのですが、ちょっと上昇気味です。ただ、2倍を超えないということで、判断基準からいくと陰性の結果ということになるかと考えられます。

○清水座長 よろしいですか。何か御意見はございますか。

○荒木委員 先生、こういうのは不純物の影響なのですかね。

○本間委員 ナノですか。

○荒木委員 ナノですけれども。

○本間委員 何とも言えないですね。分かりません。

○荒木委員 何か情報があれば。

○清水座長 はい。よろしいでしょうか。各物質の評価が一応終わりましたので、事務局から評価結果について御報告をお願いします。

○平川化学物質評価室長補佐 それでは、事務局からエームス試験の評価と総合評価につきまして、まとめさせていただきます。総合評価の関係ですが、本日配布しております参考資料4-1を御覧ください。A4、横長の資料です。79ページです。参考資料4-1の所、先ほど太田委員からお話のありました染色体異常試験で陽性があった場合の対応ですが、クラス3に当たるものかと思われます。染色体異常試験で陽性のものがあったものについては、「遺伝毒性あり」(強い遺伝毒性を除く)ということですので、「弱い遺伝毒性あり」という形で対応させていただきたいと思います。また後日、染色体異常試験、ある・なしを確認いたしまして、陽性のものがありましたものについては、1の所については「弱い遺伝毒性あり」にさせていただくということで、総合評価につきましては、改めてまたメール等で確認させていただきます。

 それでは、今回の委託で実施したエームス試験の結果評価を資料2-2に沿って確認させていただきます。

 通し番号1、試験は適で評価は陰性。通し番号2、試験は適で評価は陰性。

 通し番号3は、試験は適で評価は陰性。通し番号5は、試験は適で評価は陰性。

 通し番号6は、試験は適で評価は陰性。通し番号7は、試験は適で評価は陰性。

 通し番号8は、試験は適で評価は陰性。通し番号9は、試験としては適で強い陽性。

通し番号10は、試験は適で評価は陰性。通し番号11は、試験は適で評価は陰性。

通し番号12は、試験は適で評価は陰性。通し番号13は、評価保留といたします。

通し番号14は、試験は適で評価は弱い陽性です。

 裏面にまいりまして、15番から23番です。試験結果は、いずれも陰性で、試験結果としては適、総合評価は「遺伝毒性なし」とさせていただきます。事務局からは以上です。よろしくお願いいたします。

○清水座長 何か御質問はございますか。以上の結果で特に御異存がなければ、ただいまの結果に基づきまして、必要な部分は後で事務局からメールでお知らせするということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。

 遺伝毒性がないとされたものにつきましては、次回、検討するBhas42形質転換試験の候補物質に追加することといたします。また、強い遺伝毒性があるものに関しましては、行政指導の対象物質に指定するということになります。と同時に、企画検討会、発がん性評価ワーキンググループで検討いただく予定の中期発がん性試験物質の選定候補として追加する方向で、事務局は対応をお願いいたします。

 それでは、次の議題に移りたいと思います。議題3「変異原性試験におけるガスばく露法の追加及びOECDテストガイドラインとの整合性について」、事務局から御説明をお願いいたします。

○上月有害性調査機関査察官 それでは、事務局から説明いたします。資料の29ページ、資料3-1「変異原性試験におけるガスばく露法の追加及びOECDテストガイドラインとの整合について」を御覧ください。

1の「平成28年度までの検討事項」です。昨年度の第3回ワーキンググループにおきまして、平成112月に化学物質調査課長が示した試験基準について、1つはガスばく露法の追加、2つ目はOECDテストガイドラインとの整合、3つ目は溶媒の選択、用量設定試験のプレート数の明記などを御審議いただいたところです。

 資料の37ページ、資料3-5を御覧ください。課長事務連絡の一部改正案です。新旧表のとおり、一部改正の内容としては、被験物質が気体又は揮発性の液体である場合にガスばく露法を追加すること、溶媒の選択については、溶解又は懸濁のうち溶解を優先すること、用量設定試験等のプレート数について2回の本試験を行うこと、再現性を確認する場合に1枚のプレートで差し支えないことを明記することなどの審議を頂いたものです。

 次に、資料35ページの資料3-4OECDテストガイドラインとの整合」を御覧ください。OECDテストガイドラインTG471:細菌復帰突然変異試験では、S9-mixを必要とする陽性対照は、2-アミノアントラセンを唯一の指標としてはならないとされることへの整合を図ることについて、審議を頂きました。この資料の2の「○ 試験基準の改正 (案)」のイの () 丸数字 2について、昨年度の修正の御意見を踏まえて、「2-アミノアントラセンに加える陽性対照は、ベンゾピレン又はジメチルベンズアントラセンとすることが望ましい。」と修正しております。こういったことが、変異原性試験の試験基準の見直しに関する昨年度までの審議内容を整理したものです。以上です。

○清水座長 昨年度は、OECDテストガイドラインとの整合について、S9-mixを必要とする陽性対照の書きぶりにつきまして議論しましたが、ただいま事務局から説明があったように、修正内容で承認したということでよろしいでしょうか。御意見がございましたらお願いいたします。特に御意見はございませんか。よろしいですか。それでは、昨年度までの審議内容につきましては、事務局案のとおり確認したということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、今後の対応案につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

○上月有害性調査機関査察官 資料3-12「対応案の骨子」を御覧ください。変異原性試験の実施については、労働安全衛生法第57条の41項の規定により、厚生労働大臣の定める基準に従って行うこととされています。この大臣の定める基準ですが、資料33ページの資料3-3を御覧ください。厚生労働大臣の定める基準第2条第1項では、「プレインキュベーション法若しくはプレート法又はこれらと同等以上の知見を得ることができる方法により行わなければならない。」とされております。ガスばく露法については、この同等以上の知見を得ることができる方法であることを特定する必要があるところです。

 次のページの第5条で、対照物質の規定があります。対照物質の規定については、「陽性対照においては適切な既知の変異原物質としなければならない。」としていますが、今回見直しをするのかといった理由、そういったものを示す必要があるところです。

 第9条を御覧ください。第9条の細則で、「変異原性試験の実施について必要な事項は、厚生労働省労働基準局長の定めるところによる」とされておりますので、この規定に基づき、ガスばく露法の特定、そしてOECDテストガイドラインの整合を図ることを定めていく必要があるというものです。

 資料3-13「対応案の内容」を御覧ください。ただいま御説明しました厚生労働大臣の定める基準に基づいて、今回の一連の試験基準の見直しについて、厚生労働省労働基準局長が定めるべき内容を整理したものです。

 ガスばく露法による試験の実施については、趣旨目的として「被験物質が気体又は揮発性の液体である場合は、プレインキュベーション法又はプレート法では、被験物質が試験管又はプレートからの散出のおそれがあり、適切な試験が実施できないおそれがあることから、近年の科学的進展を踏まえ、ガスばく露法による試験の実施を定める。」、制定事項ですが、「厚生労働大臣の定める基準第2条第1項中『これら(プレインキュベーション法若しくはプレート法)と同等以上の知見を得ることができる方法』として、ガスばく露法」ということを労働基準局長の通達で示す。

 もう一点、OECDテストガイドラインとの整合の関係です。趣旨目的として、「化学物質の有害性の調査については、OECD理事会が採択した化学物質の評価におけるデータの相互受入れに関する決定(MAD)を踏まえて、国際的整合性の確保のため、対応するOECDテストガイドラインを定める。」制定事項として、変異原性試験による調査の基準(厚生労働大臣の定める基準第1条第1)は、OECDテストガイドラインでは、TG471:細菌復帰突然変異試験に当たるという関係を示した上で、課長通知に具体的な内容を書き込む。こういった内容を考えているところです。対応案の内容については以上のとおりです。

○清水座長 変異原性試験の実施に関して、労働基準局長通達で制定する事項について、御質問、御意見がありましたらお願いいたします。よろしいですか。それでは、変異原性試験におけるガスばく露法の追加及びOECDテストガイドラインとの整合について、資料3-1のとおり、労働基準局長通達において所要の規定を設けるということを、本ワーキンググループにおいて同意するということで、御同意いただけますでしょうか、ありがとうございます。それでは、そういうことで事務局はお願いいたします。

次に移ります。議題4「発がん性スクリーニングにおける遺伝毒性の構造活性相関結果の評価基準の改正について」です。事務局から説明をお願いいたします。

○平川化学物質評価室長補佐 資料4「発がん性スクリーニングにおける遺伝毒性の構造活性相関結果の評価基準」に沿って御説明いたします。これまで発がん性情報、遺伝毒性情報のいずれもない物質については、まず遺伝毒性に係る構造活性相関について計算し、その予測結果により形質転換試験、変異原性試験の実施の優先順位を判断することとしているところです。今回御説明するのは、(構造活性相関の計算に使用する)3つのプログラムのうち1つを変更するということです。

 現在、構造活性相関については、国立医薬品食品衛生研究所のプログラムを日本バイオアッセイ研究センターが使用し、その結果を活用しているところですが、1つがTIMESに変わるということで、今後はこのTIMESを使っていくということです。

 このTIMESというソフトですが、参考資料5を御覧ください。83ページから85ページの内容です。この内容はホームページにも記載されている内容です。基本的な予測ということですが、このTIMESというソフトウェアにおいては、代謝産物の毒性を予測するというものです。

85ページに、どういうプログラムかという図がありますので御覧ください。左上に親物質と予測された「Parent chemical 」と書いてあるのは、親物質と予測された代謝物質のリストということで、実際に代謝活性化した場合にどういった物質ができるかというのを予測して、構造活性相関がプラスかマイナスかというのを出していくというものです。今後、ADMEWORKSからTIMESに変えることになりますが、引き続き3つのプログラムで優先順位を決めていくということでやっていくことを予定しているところです。基本的には報告ということでございます。よろしくお願いいたします。以上です。

○清水座長 これまで行ってきた文献調査では、発がん性情報あるいは遺伝毒性情報のいずれもない物質については、遺伝毒性の構造活性相関について3つのプログラムで計算をして、その計算結果に基づいて形質転換試験や変異原性試験の候補物質への追加を行ってきております。来年度から3つのプログラムのうち1つが変更になるという御報告ですが、よろしいでしょうか。

○本間委員 もともとADMEWORKSを含めて3つのプログラムを利用したのは、化審法では参考データとして3つのQSARの計算結果を提出していたという経緯があります。ただ、この手法に関しては、ADMEWORKSCase Ultraは同じ統計ベースのモデルだということで、3つやる正当性がないと指摘されました。それで、私としては、ADMEWORKSに関しては最近余りバージョンアップされていないということから、かわりにTIMESを使うように変更して、現在は化審法ではこの3つのQSARモデルで変異原性を予測しています。

 ただ、その後の優先順位の判断については、ここで示されたものと全然違うやり方です。化審法では、まず最初にDerekCase Ultraで評価して、両方とも同じ結果が出た場合はその判定に従うが、2つの結果がconflictした場合には、補助的にTIMESを使って、その結果をサポートするといったやり方です。したがって、ここの多数決で決めるようなやり方は実際は、化審法では取っていません。

 特に、TIMESの場合は、Tissue Metabolite Simulatorの略なのですが、おっしゃったように代謝物まで評価できるということが特徴で、これまでにはないものです。DerekCase Ultraも、知識ベースや統計的な手法にして、一応代謝物も含めて評価しているのですが、TIMESの代謝物の評価に関しては、既存の代謝メカニズムを組み込んだモデルで、かなり科学的な合理性があります.Derekが知識ベース、Case Ultraが統計ベース、TIMESはハイブリット型でメカニズムベースと考えていただきたいと思います。

 しかし、TIMESの場合、その代謝メカニズムが適用できない場合は、Out-of Domainとなって非常に予測率が悪くなりますので、使い方はかなり気を付けたほうがいいと考えます。したがって、この場合、TIMESは非常に陽性が出やすくなりますので、化審法と同様に、使い方としては12の結果に矛盾が生じた場合に、これを補足的に使うのがよいかと思います。最終的な判断は専門家の判断に委ねて決定しているというのが化審法でのやり方ですので、ここの優先順位の判断とは違うのではないかと考えています。

○平川化学物質評価室長補佐 今の本間委員の話も含めまして、評価基準の23につきましては、来年度以降に構造活性相関をやる際に、この基準の見直しもお諮りさせていただいた上で対応させていただきたいと思います。来年度にいつ遺伝毒性評価ワーキンググループが置かれるのかは分かりませんので、現時点でのお話としましては、12で見た上で、プラスマイナスが出た場合には、3を掛けるという形でやる、この場で同意が得られれば、そういった形で来年度の構造活性相関を進めると。そういうことでよろしければ、そのような形で進めたいと思いますが、よろしいでしょうか。

○清水座長 よろしいですか。そういうことで進めてください。

○平川化学物質評価室長補佐 はい。基準につきましては、後日諮らせていただきたいと思います。

○清水座長 それでは、次に移ります。議題5「平成30年度非遺伝毒性発がんスクリーニング試験対象物質の選定方針について」です。事務局から説明をお願いいたします。

○平川化学物質評価室長補佐 資料5-1、資料5-2-1から資料5-2-3に沿って御説明いたします。平成30年度非遺伝毒性発がんスクリーニング試験対象物質の選定方針となっておりますが、ここでは、形質転換試験の物質を選定していくということになります。書かれているように、非遺伝毒性発がん性スクリーニング試験については、平成25年度の第4回遺伝毒性評価ワーキンググループにおいて、「Bhas42細胞を用いる形質転換試験」(プロモーション試験のみ)となっております。引き続き、平成30年度においても、平成29年度と同じく16物質で進めることといたしたく、遺伝毒性評価ワーキンググループでこれまでの文献調査等を行っていただいた結果、「遺伝毒性なし」と判断された物質から試験物質を選定するということです。

 選び方の優先順位ですが、まず国内の製造・輸入量で量が多い物質を優先します。あと、用途としては、幅広い用途で使用される物質や開放系での使用が予想される物質を優先ということです。

 ただし、次の物質は試験対象から除外します。まず常温で気体の物質は除外します。理由ですが、現時点では、ガス状物質に関する非遺伝毒性発がん性スクリーニング試験の方法が確立されていないため、常温で気体の物質は実施しません。(2)の天然物由来の物質や構造類似物質の混合物等については、試験に使用する試薬が入手できないため試験から除外します。

 また、3の「アルカン酸(C=430)」のように、化審法で同じグループに属する化学物質は、まず、炭素数の小さなものについて試験を行い、その結果が「陰性」であれば、炭素数の大きなものについては試験を省略します。逆に、炭素数の小さなもので「陽性」の結果が得られた場合には、炭素数の大きなものについても試験を行って確認するという考え方の下で、進めていきたいと考えております。

 なお、評価物質ですが、まず資料5-2-1を御覧ください。ここに付いているのは、平成27年度第1回ワーキンググループで提案したリストから、試験が終わったもの、試験が困難なものについて、網掛けをしているリストです。基本的には、ここの網が掛かっていないようなものが対象になるものと御理解いただければと思いますが、また精査しまして、網掛けの部分でもできるもの等が出てくれば、対象になるものと御理解いただければと思います。

 次は資料5-2-2「平成30年度形質転換試験の対象物質リスト」です。これについては、平成28年度の第1回ワーキンググループにおきまして、文献調査による遺伝毒性の評価を行っていただきましたが、その結果、遺伝毒性がないということで判断されたもののうち、製造・輸入量が1,000t以上のものをリストアップしています。

 最後に資料5-2-3「平成30年度形質転換試験の候補物質リスト」です。構造活性相関結果から、製造・輸入量が100,000t以上のものをリストアップしています。平成29年度のもので見たところ、100,000t以上のものがありませんでしたので、新規の追加はありません。これらの中から、試薬があるかとか、試験ができるかどうか等を総合的に評価して、また改めて提案をさせていただければと思います。事務局からは以上です。

○清水座長 リストに掲載されている物質が約200物質ということですが、このままで選定するのは非常に難しい。本日は、候補の提示までとさせていただきまして、試薬の流通状況、試験の実施可能性等を精査した上で、後日、形質転換試験の実施物質を選定いただくということになります。候補物質等について、何か御質問や御意見があればお願いいたします。いかがでしょうか。よろしいですか。特にないようですので、事務局におかれましては、関連の情報が得られましたら速やかにメール等で、各委員に候補の提示を頂くようお願いいたします。特に御質問がなければ次に進ませていただきます。

 次は議題6「平成30年度エームス試験対象物質の選定について」です。事務局から説明をお願いいたします。

○平川化学物質評価室長補佐 資料669ページを御覧ください。「平成30年度変異原性試験候補物質」ということで一覧表を付けています。文献調査でエームス試験がないなどの理由等で変異原性試験の候補となっている物質、あと構造活性相関でプラスになっているようなものが、基本的に変異原性試験の候補物質として入ってくることになっています。平成25年から、この遺伝毒性評価ワーキンググループの中で議論いただいておりまして、その中で過去に変異原性試験候補物質となっているものの、まだ試験がされていないというものを、今回再度確認してリストアップしております。また、構造活性相関の結果プラスになっているもの、平成29年度でも追加のものが何物質かありましたので、それも併せて追加しております。

 これらの物質については、当初試薬がない、試験が難しいということで、試験ができないというようなものも入っております。こういったものについて、過去には試薬がなかったものでも現在あるということであれば、試験は可能であると考えておりますので、改めてこれらについて、試薬の流通状況、試験の実施可能性について精査し、30物質程度をリストアップして、来年度の試験に追加していきたいと考えております。

 また、先ほどエームス試験の評価の中で評価保留となっていた1-クロロプロパンについても、平成30年度の試験の候補として追加をしたいと考えております。事務局からは以上です。

○清水座長 今回は、これまでの遺伝毒性ワーキンググループでエームス試験の候補として挙がっていたもののうちで、まだ実施されていない、実施されていなかった物質を事務局にリストアップしていただきました。本日は候補の提示までとさせていただき、試薬の流通状況や試験の実施可能性等を精査の上、後日選定いただきたいとのことです。その中には、1-クロロプロパンなども当然入ってくるということで、30物質ぐらいということですが、候補物質について何か御質問等がありましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。特にないようですので、事務局におかれましては、関連の情報が得られましたらメール等によりまして各委員に候補を御提示いただきますよう、お願いいたします。ここまで全体について、何かございますか、よろしいでしょうか。

 では、「その他」に移ります。事務局からお願いいたします。

○平川化学物質評価室長補佐 事務局から、次回以降の日程について御説明いたします。次回の日程については、議題がそろいましたら、日程調整をさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。

○清水座長 それでは、以上をもちまして、本日のワーキンググループは終了いたします。ありがとうございました。


(了)

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