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2018年3月12日 第69回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会議事録

雇用環境・均等局勤労者生活課

○日時

平成30年3月12日(月)15:00


○場所

TKP新橋カンファレンスセンターカンファレンスルーム6B


○出席者

公益代表委員

内藤部会長、小野委員、鹿住委員

労働者代表委員

小川委員、川野委員、花井委員、藤川委員、宮嵜委員

使用者代表委員

白土委員、須永委員、友利委員、新田委員

(事務局)

宮川雇用環境・均等局長、成田大臣官房審議官(雇用環境・均等、子ども家庭、少子化対策担当)、平嶋勤労者生活課長、外山勤労者福祉事業室長、高橋勤労者生活課長補佐、加藤勤労者生活課長補佐

○議題

(1)一般の中小企業退職金共済制度の財政検証のとりまとめについて
(2)平成30年度の付加退職金支給率について(諮問)
(3)その他

○議事

○内藤部会長 ただいまから「第69回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会」を開催したいと存じます。本日は関委員、山本委員、久保委員が御欠席ということになっておりますが、労働政策審議会令第9条の規程、全委員の3分の2以上(最低10)又は公労使委員の各3分の1以上(最低各2)が御出席ですので、定足数を満たしております。

 本日の議題ですが、第1「一般の中小企業退職金共済制度の財政検証の取りまとめについて」、第2「平成30年度の付加退職金支給率についての諮問」をお願いし、第3「その他」です。本日の部会は前回同様タブレットを使用して行うこととなっております。事務局のほうから何か御説明があればお願いいたします。

○高橋勤労者生活課長補佐 まず冒頭に局長の宮川は他の業務のために遅れて参ることになっておりますので、よろしくお願いいたします。改めまして、本日の部会についてですが、前回と同様、ペーパーレスで実施をさせていただきます。お手元にはタブレット、スタイラスペンを配布しています。使用方法につきましては、操作説明書を机上に配布をしておりますので、こちらを御参照ください。また、スクリーンのほうにも参照する資料を映しながら御説明をさせていただきますので、こちらも適宜御確認いただければと思います。使用方法につきましては、前回と同様ということで、今回は説明を割愛いたしますけれども、御不明な点がございましたら近くに職員を配置しておりますので、お申し出ください。よろしくお願いいたします。

○内藤部会長 それでは次第に従って議事を進めてまいります。議題1「一般の中小企業退職金共済制度の財政検証の取りまとめについて」です。財政検証の取りまとめにつきましては、前回の部会で労使の御意見が割れておりましたものの、結果としては見直し条項を入れた上で案3を採用することとさせていただきました。委員の皆様には、大変取りまとめに御協力を賜りまして誠にありがとうございました。この件につきまして事務局のほうから御説明をお願いいたします。

○平嶋勤労者生活課長 それでは資料1を御覧ください。前回の部会で取りまとめた内容を確認するためのペーパーを作成しております。

1番は、前回の取りまとめと同様ですが、この中退制度の重要性、それから長期的に安定した制度として維持されることが必要であるということを書いております。

2番以降が今回の取りまとめになります。(1)で累積剰余金が存在すること。加入者にとっての魅力を考慮して予定運用利回りについては現行の1%を維持することが望ましいということを書いております。(2)で、1%を維持するということは、リスク性資産によって利回りを補うことになりますので、制度の安定のためには資産の保有するリスクに見合った水準の剰余金を有することが必要となる。この剰余金の水準につきましては5年間の財政シミュレーションにおいて、下位1%の確率で想定される損失額である4,400億円に設定することが適当である。(3)で、制度の安定と同時に加入者にとっての魅力も配慮しまして、この剰余金水準は5年間をかけて形成することを目指すことが望ましいということです。

3番が、具体的なルールになります。支払いについてです。利益の取扱いについて、4400億円から前年度の決算における累積剰余金の額を差し引き、各年度から2022年度までの残存年数、今年度であれば5、来年度であれば4、という風に割りまして、それを各年度の積立て目標額にする。それから○2○3○4でその扱いですが、利益見込み額が単年度目標額以下であるときは全額剰余金として積み立てる。12倍の間であるときは、1倍の部分を剰余金として積み立てて、残った部分を付加退職金に回す。それから、目標額の2倍を超える場合は、単純に半分を剰余金として積み立てて、半分を付加退職金として充てるという先充て方式を当てはめたものを記載しております。

(2)で、この取扱いについては、今後、金融情勢の悪化によって、単年度又は複数年度で大幅な損失が発生した場合には、必要に応じてその後の利益の取扱いを見直すことを検討するものということで、その損失の出方、リーマンショックのように、1回で大きな損失が出る場合もありますし、じわじわと損失が出て、結果的に大きくなる場合もあるだろうと。両方の場合について、そういうことが生じた場合には、その後の利益の取扱いを見直すということで、この見直しのタイミングについて御質問がありましたが、損失が出ている過程ではいずれにしても付加退職金が出ませんので、それについて検討する必要はないわけですが、損失が出た後、その後、利益金が出た場合にそれをそのまま当てはめて払っていいのかどうかということを検討するということを書いております。

4番で、この付加退職金制度については、資産運用委員会で非対称性の指摘があって、中長期的な視点からその在り方を検討する必要があるという御意見が出たところです。これを踏まえまして、制度発足当初と比べ、運営実績の振幅が大幅に拡大している現在の環境下においては、資産を減少させる効果が強まっていると。一般中退の安定に資する付加退職金制度の在り方について、次回の財政検証に向けての検討課題とするとまとめております。

 本文を補うために資料を付けております。1つ目は、変動型の先充て方式を説明しているものです。前回の部会で説明したとおりですので、細かい説明は割愛しますが、年度ごとに前年度の剰余金と4,400億円との差額を残り年数で割って、その年度の目標額にすると。それから、この先充て方式を図解しております。

2つ目の資料で、大きな損失があった場合の取りまとめです。過去にもそういう例があったということを1つ記載しております。平成1920年度にサブプライム、リーマンショックが起きて、翌平成21年度は大きな利益が出ております。この際には累積欠損金解消計画の目標残高を大きく下回っているということをこの部会で判断されまして、当時180億円先充てするということをやっておりましたが、それを機械的に当てはめることをせずに、全額を累積欠損金の解消に充て、付加退職金支給率はゼロにしたということがあったということを参考にお付けしております。事務局の説明は以上です。

○内藤部会長 ありがとうございました。ただいまの御説明について御意見、あるいは御質問等ございましたら是非お願いいたします。須永委員どうぞ。

○須永委員 資料1につきまして、2点要望いたします。1点目は、表題が「一般の中小企業退職金共済制度における退職金額の水準の検討について」となっておりますので、広い結果のみの記載にとどまらず、労使双方から出された意見の概要を併記していただいて、議論の経緯が分かるようにしていただければと思います。

2点目は、今回の中退共制度における剰余金の積立て及び付加退職金支払いのルールは非常に複雑な内容になっておりますので、本制度を周知する際には人事労務専門の担当者がいない中小零細企業にとっても分かりやすいものにしていただきたいと思います。特に運用実績と退職のタイミングによって付加退職金を含めた支給額がどのように変化していくのか、幾つかシミュレーションを基に具体例を示していただいて、企業の実務担当者と従業員が制度の特徴を理解できるように御配慮いただければと思います。以上でございます。

○内藤部会長 ありがとうございます。ただいまの御質問、御意見について何か事務局からございますでしょうか。

○平嶋勤労者生活課長 まず後段の支給ルールにつきましては、各共済事業者と様々な説明会をする中で、このルールについてもしっかり周知していきたいと思っております。それから議論の経過についてですが、例えば2(3)の所に結論だけ書いておりますが、使用者側の意見を入れて、「剰余金水準の形成については、必要な剰余金水準を確保することを最優先すべきという意見があったが、これまでの経緯及び加入者にとっての魅力となる付加退職金の支給にも配慮するため、今回は5年間をかけて見直すことが適当である。」とするのでどうでしょうか。

○内藤部会長 須永委員、今の御意見を取り入れまして、例えば皆様のお手元というか、タブレットの2ページ目の上段のほうになりますが、算用数字2(3)の文章を少し付け加えまして、必要な剰余金水準を確保することを最優先すべきであるという御意見もあったということを入れさせていただいてはどうかという御提言ですが、いかがでございましょうか。

○須永委員 承知いたしました。ありがとうございます。

○内藤部会長 よろしゅうございますか。

○須永委員 はい。

○内藤部会長 ほかに御意見はございませんか。労働側の委員の方、いかがでございますか。

○藤川委員 双方から出た意見を入れられるということですね。承知いたしました。

○内藤部会長 ありがとうございます。ほかに御意見若しくは御質問はおありですか。よろしゅうございますか。先生方、よろしいですか。では、ただいまの御説明に御意見、御質問はございませんようですので、特にほかに御意見がなければ、一般の中小企業退職金共済制度における退職金額の水準の検討については、事務局からただいま御説明がありました案を了承することにしたいと思います。いかがでございましょう。よろしいでしょうか。ありがとうございました。それではこの議題1については本案にて了承といたします。それでは続いて議題の2「平成30年度の付加退職金支給率について」です。この件につきましては、本日厚生労働大臣から労働政策審議会宛てに諮問がなされておりますので、事務局のほうから御説明をお願いいたします。

○平嶋勤労者生活課長 資料2を御覧ください。先ほど取りまとめていただいた新たな付加退職金ルールに従いまして、今年度に発生見込みの剰余金を来年度にどう付加するかということの諮問答申になります。

2ページ目が諮問文になります。前半は割愛いたしますが、結論的には支給率を0.0044にしたいという諮問になります。パーセントで言いますと0.44%ということです。

3ページを御覧ください。内訳になります。平成29年度の安全率を加味した見込みになりますが、収入が4,785億円、支出が4,435億円ということで当期の損益見込みは349億円のプラスとなっております。この算出には後ほど御説明します一定の安全率を掛けて算出しております。

4ページを御覧いただきまして、支給についてですが、先ほどの349億円というのは今年度の単年度積立目標額、4,400億円から昨年度末の剰余金3,813億円を引いたものを5で割った117億円、この2倍を上回っておりますので単純に半額支給となります。349割る2で約175億円となります。下に式を付けておりますが、1747,000万円ほどを477億円で割っております。分母は仮定退職金総額、今、受給権のある人が全員仮に退職したとする場合に発生する退職金額で割りますと、この0.44%となります。

 それから、収支見込みの算定方法ですが、5ページになります。掛金収入、退職金支出については11月までの掛金収入、退職金支出の実績に12月から3月までの推計値を加算しております。推計値については過去3年の平均を用いています。責任準備金額については1の結果から算定しております。

 自家運用のほうは12月末時点で保有している資産と、この13月期に購入予定の資産について利払い日や償還日のデータから推計しております。一番変動が激しい委託運用の部分ですが、平成301月末時点の時価額を基に、2月分についてはベンチマーク収益率、市場平均の収益率を当てはめました。3月については過去5か年のベンチマーク収益率の平均値、それから標準偏差を用いて3月の収益率は平均値から標準偏差2つ分、堅めの安全率を加味して設定しております。以上により0.44%ということを諮問したいと思います。よろしくお願いします。

○内藤部会長 ありがとうございました。付加退職金の支給率についてですが、ただいまの御説明について御意見、御質問等ございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。特に御意見がないということであれば、諮問どおりでよろしいでしょうか。部会として厚生労働大臣からの諮問を妥当と認め、労働政策審議会勤労者生活分科会長宛ての報告とすることにしたいと思います。いかがでしょうか。それでは、諮問どおり妥当と認めるということで、労働政策審議会勤労者生活分科会長宛てに報告することにいたします。事務局で報告案を御用意いただき、読み上げていただきたいと存じます。

○高橋勤労者生活課長補佐 ペーパーレス会議ですので、報告案をスクリーンに投影させていただきます。前方を御覧いただければと思います。

 読み上げさせていただきます。平成30312日、勤労者生活分科会分科会長、内藤恵殿。中小企業退職金共済部会部会長、内藤恵。中小企業退職金共済法第10条第2項第3号ロ及び中小企業退職金共済法の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置に関する政令第2条第1項第3号ロ(1)の支給率について。平成30312日付け、厚生労働省発(雇均)03021号をもって労働政策審議会に諮問のあった表記については、本部会は下記のとおり報告する。記。厚生労働省案は妥当と認める。以上になります。

 なお、労働政策審議会令第7条第7項により、部会の議決をもって分科会の議決とすることができ、同令第6条第7項により分科会の議決をもって審議会の議決とすることができると定められております。このことから、御承認いただけましたらこの報告が実質的には労働政策審議会会長への報告となり、この内容で労働政策審議会会長から厚生労働大臣宛てに答申されることとなります。

○内藤部会長 ありがとうございます。事務局の御説明のとおり、実質的にはこの内容で労働政策審議会会長から厚生労働大臣宛てに答申されることになりますが、ただいま御覧いただきました文案でよろしいでしょうか。では皆様異議なしと認めます。どうもありがとうございました。それでは、この内容で厚生労働大臣宛て答申をすることにしたいと思います。

 さて、議題3のその他ですが、事務局から御説明をお願いいたします。

○平嶋勤労者生活課長 今、お決めいただいた付加退職金の支給に関連して決まります告示について御説明いたします。文字だけの資料を最初御用意していたのですが、少し分かりやすくするということで図を入れた資料を御用意しております。そちらを御覧いただきたいと思います。3ページになります。

1つ目の告示ですが、中退制度には、ある企業が加入した場合、それまでに働いていた方を遡って加入したことにするという制度がございます。この場合に支払っていただく掛金を計算するための告示になります。例えば、今度の4月にどこかの企業が加入し、ある人について5年分遡りたいというケースがあるとしますと、この5年間には平成25年度以降、5年分の掛金が本来納められているはずである。その掛金には平成25年度ですと5回分の利回りが掛かっている、26年度だと4回分の利回りが掛かっているというようになります。付加退職金については、平成30年度の分について掛かってくるということになります。ちなみに、平成26年度と27年度についても付加退職金が支給される年ではありますが、付加退職金は4年目以降でないと支給されないので、この方については26年度と27年度分の付加退職金は支給されないことになります。

 以上、過去の掛金と予定運用利回りによる増加分、平成30年度分の付加退職金、これを足し合わせて払っていただく必要があるわけですが、今回お決めいただいた付加退職金による増加分を定めるのがこの告示になります。遡り方は10年までの範囲で幾つもありますし、上半期と下半期で適用される年度が変わってきますので、その分のバリエーションも増えますが、それを0から0.07の範囲で定めるというのが最初の告示の中身になります。

2番目の告示ですが、分割支給というものがございます。ある方が退職して、ほとんどの方はその時に一時金として受け取りますが、一部、分割して受け取りたいという方がいらっしゃいます。その場合、5年又は10年の間に発生する利回り分を付加してお支払いすることになります。この決め方は、例えば5年分割の場合ですと1,000分の51プラス厚生労働大臣の定める率となっております。1,000分の51という部分は予定運用利回り1%に相当する額、1年に4回払いで5年間払いますので、20回払われるわけです。利回りが付かなければ1,000分の50でちょうど20分の1になりますが、511の部分が予定運用利回りに相当する部分になります。厚生労働大臣が定める率というのは、制度ができた当初は分割支給期間中に見込まれる付加退職金相当分も乗せてお支払いすることを想定しておりましたが、その後、委託運用を開始して長くやっている現状におきましては、例えば来年の分については今決めましたが、再来年、その先について付加退職金がどうなるかを決められる状況ではありません。したがって、従来からここの部分は0として告示しております。今回につきましても0にしたいということです。

3の告示につきましては、そのような分割支給の途中で受給者の方が亡くなった場合には、遺族の方などがその時点で一括して受け取るという制度がございます。この場合には、当然、割り引いたもので受け取るということになります。先ほどの2のところで、1%プラスアルファになっていれば1%プラスアルファで割り戻さなければいけないわけですが、現在のようにアルファ部分が0になっておりますので、単純に1%で割り戻してお支払いするということを告示するものです。

 あと56789についてですが、10月のDCの政省令の時に御覧いただいた図になります。このように、いろいろほかの制度から中退共に移換される場合には、まず大所を月数換算して、残った部分を残余額として金額管理しまして、最後に合算してお支払いするということになっています。付加退職金が発生した場合、○1で付加退職金を付けるわけですけれども、例えば来年度に出る付加退職金についてはその後利回りが掛かることなく、別に置かれることになっております。しかし、下の残余額のほうについては付加退職金額分が加わってもその後、それが1%で回っていくことになりますので、今回ですと同じように0.44%を付利しますと、○2のほうが有利、利回りが掛かる分有利ということになってきますので、その分を調整するということをやっています。調整の仕方ですが、この中退制度は平均加入期間が10年ということですので、1%が10年掛かりますと約1割増えることになりますので、0.44%から1割を引いた0.4%をお付けするという告示です。

7ページのところは46の一部、7の一部、9の告示の一部になります。典型的には中退共とほかのものを併用したような場合、ほかの部分が解散した場合にどう扱うか。この場合にはもともと中退共が入っておりますので、そちらは従来どおり続けていって、解散した別の制度の部分を移換額として金額管理する。構図は前のページのものと同じですが、○2の部分に同じように0.44%を付けてしまうと○2の部分が○1に比べて有利になってしまうので、1割引いて0.4%を付利するという告示になります。この点については以上です。

 続きまして機構の中期目標の概要についてです。資料4になります。機構は今年の3月で5年の中期目標期間が終わり、4月から新しい中期目標期間に入ります。

2ページは政策体系図になります。現在の環境としては人手不足の深刻化により、労働力の確保を通じた中小企業の経営基盤の充実の必要性が高まっています。運用面では低金利の継続等で投資環境が難しくなっている。あるいは世界的なサイバーテロ脅威の高まりというものがあると思っております。厚生労働省のミッションというのは国民生活の保障・向上と経済発展への寄与ということですので、中退制度、勤労者財産形成促進制度はともに厚生労働省のミッションにかなう取組だと位置付けております。

 中期目標の中身は3ページ以降になります。主な部分を赤でハイライトしております。まず資産運用について、従来、資産運用は予定運用利回りを前提に行うということでざっくりとした記述にしておりましたが、より明確化するということで、退職金支給に必要な流動性を確保しつつ、中期的に退職金共済事業の運営に必要な利回りを最低限のリスクで確保することを目標としております。

4ページで未請求対策です。3年経過後の未請求者比率を1.3%以下にするというようにしております。この部分、従来、2年経過後の未請求者を減らそうという取組をしておりましたが、前回の法律の改正で中退共実施企業から別の中退共実施企業に移るまでの猶予期間を2年から3年に延ばしたところでした。それに合わせ、この目標についても3年経過後で見ていくということで、直近の一番低い数字に合わせて1.3%以下となっております。退職金額については、従来この目標はありませんでしたが、しっかり総額も管理していくという観点から0.4%以下という目標を新たに作っております。

5ページは特退共になります。第3期中期目標期間終了時から減少させるという目標を掲げております。

6ページ、7ページは加入目標です。中退については雇用需給要因、長期トレンド、それから制度変更要因等により回帰分析し、期間中165万人以上、建退共、清退共、林退共は過去のトレンドを伸ばしまして、建退共については545,000人、清退共については600人、林退共については9,500人以上という目標にしております。

8ページの○2にありますが、10月に御審議いただきました確定拠出年金法等の一部改正法についてこの5月から施行されることになっております。来年度はこれをしっかり周知し、翌年度以降も適切に相談に応じる。この部会でも周知・広報について御意見を頂いておりましたが、これを実施しているところです。

10ページになります。林退共について特記しております。4つの共済事業の中で林退共だけ、まだ累積損失を抱えております。それに関し被共済者の実態調査を行い、資産運用における中退共事業との合同運用部分の割合を退職金支給に必要な流動性を確保した上で、どの程度まで高くできるかについて来年度末までに検討し、必要に応じて見直しを行うとしております。

 特定業種についても、再来年度までに財政検証をこの部会で行っていただくことになります。その中でまた、利回りをどうするか等の議論が行われます。その結論を踏まえ、機構が2005年に策定した累損解消計画の見直しを行って、計画に沿った解消を図ることというようにしております。

 それから、11ページの運営効率化の部分については一般管理費15%以上、業務経費5%以上と従来並みの削減目標にしております。

12ページ、電子化に関してはプログラミング言語がやや古くなっておりますので刷新するということと、利回り改正等があった場合に迅速に対応できるようシステムの再構築を行うとしております。それから、建退共については掛金の納付方法について電子申請方式ができないか、実証実験を始めてもらっておりますが、実施して、導入の可否を検討することとしております。

 それから、13ページの下のところは情報セキュリティ対策を強化することを入れております。

14ページ、一番最後ですが、資産運用における社会的に優良な企業への投資ということで、最近、ESG投資というようなことも言われますが、中退法の中でも労働者の福祉の向上につながるような投資をできる限り行うことになっています。この資産運用におきまして、安全かつ効率的な運用を害しない範囲で社会的に優良な企業に投資を行うことで、労働環境の改善、雇用の安定に寄与する仕組みについて機構の特性を踏まえてどのように実施できるか。具体的には資産運用委員会で検討いただくことになると思いますが、来年度末までに結果を取りまとめ、可能な場合には実施するということを入れております。資料の説明は以上です。

○内藤部会長 ありがとうございました。ただいま、事務局から資料34と続けて御説明を頂きました。ただいまの御説明につきまして御意見、あるいは御質問などありましたらどうぞよろしくお願いいたします。御意見はございませんでしょうか。

○鹿住部会長代理 建退共の掛金納付方法の電子化を既に行っているというお話だったのですが、成果はどうでしょうか。今までよりも納付率が上がったとか、そういう結果がありましたら御披露いただきたいのですが。

○平嶋勤労者生活課長 今やっているのは19社に参加していただき、具体的には、掛金に相当する額を機構に前払いして、実際に働いた日数をAさんについて幾ら、Bさんについて幾らと機構に報告する形で掛金が管理されるという方式について実験しているところです。まだ、実験によって納付率が上がるとか、そういう段階ではございません。そういうやり方が実際に機能するかどうかを試験しているという状況です。

○鹿住部会長代理 もう一点、今後業務の見直しをされていくかと思うのですが、システムの見直しというか再構築というか、改修もしなければいけないというお話でした。どちらの団体さんでも同じなのですが、今日の会議でもそうなのですが最近はペーパーレスというか、郵送したり、紙を発送すると必ず発送費が掛かりまして、昨今の人手不足の問題でどんどん上がっています。郵便料金も上がりましたし宅配の料金も上がっています。クレジットカード会社も保険会社も今どんどんペーパーレスになっていて、請求書もWebでやってくださいと言われるような感じです。確定申告をしましたが、税務署からの確定申告の用紙も今年から送られなくなり、Webサイトで作成してくださいということでした。是非、今後システム改修されるとき、そういったペーパーレス化や、郵送などの経費削減の意味も含めて、できるだけ電子化をしていくことを検討していただきたい。

 掛金の納付も過渡期なので、すぐには難しいかもしれませんが、銀行がQRコードでピッと支払いができるようなシステムを今後導入していくことを方針として示しております。中国ではもう既にかなり普及が進んでおります。そうなりますと、今の掛金の納付方法以外にも様々な納付方法を視野に入れた上でシステム開発をしていかないと、世の中が進み、それを追いかけてまた改修しましょうというのでは、改修費用もかなりかさんでしまうかと思います。今、本当に過渡期で先を見るのが難しいのですが、ちょっと先の変化も見通しつつシステムの改修をされたほうがより効率的になるのではないかと思います。

○平嶋勤労者生活課長 どうもありがとうございます。いろいろなシステムは技術の進歩に合わせて見直していかなければいけないものだと思っております。見直しをするためのコストですとか情報セキュリティとの兼ね合いもございますが、今いただいた意見を踏まえ、しっかり効率化できるよう取り組んでいきたいと思っております。

○内藤部会長 よろしくお願いいたします。ほかに先生方、何か御意見はおありですか。使用者側、労働者側委員の皆さん、よろしいでしょうか。それでは、本日の議題につきましては御意見が出尽くしたように思われますので、本日の部会はこれで終了とさせていただきたいと存じます。本日の議事録の御署名に関しましては花井委員と友利委員にお願い申し上げます。事務局より、最後に何かございましたらお願いいたします。

○平嶋勤労者生活課長 今年度も中退共制度の運営につきまして格別の御配慮を頂きましてありがとうございます。来年度も引き続き、機構と一緒に良い制度になるよう取り組んでいきたいと思っておりますので、引き続きの御指導をよろしくお願いいたします。

○内藤部会長 本日はこれにて散会とさせていただきます。お忙しい中、誠にありがとうございました。


(了)

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