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2018年4月17日 第5回エイズ・性感染症に関する小委員会

健康局結核感染症課

○日時

平成30年4月17日(火)14:00~15:30


○場所

経済産業省別館 231省庁共用会議室(2F)


○議題

(1) 後天性免疫不全症候群及び性感染症に関する特定感染症予防指針の改定について(報告)
(2) 後天性免疫不全症候群の発生動向の調査及び分析の強化について
(3) 梅毒の発生動向の調査及び分析の強化について
(4) その他

○議事

 

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 定刻となりましたので、ただいまより第5回厚生科学審議会感染症部会エイズ・性感染症に関する小委員会を開催いたします。本日は味澤委員より御欠席の御連絡を頂いております。また、南委員におかれましては、少し遅れて出席されると御連絡を頂いております。現時点で、10名中8名の委員に御出席いただいている状況で、定足数以上の委員に御出席いただいておりますので、会議が成立しますことを御報告いたします。

 なお、委員の御都合等により、当初御案内しておりました会議時間よりも30分短く、1530分までの会議予定とさせていただきたく存じますので、御了承ください。よろしくお願いいたします。

 それでは、まず初めに事務局に異動がありましたので、結核感染症課長の三宅より御挨拶させていただきます。

○結核感染症課長 去年の7月より結核感染症課に参りました三宅でございます。10年前ぐらいには結核感染症課で課長補佐をやらせていただいて、野田君の所にいまして、その更に5年ぐらい前でしょうか、エイズの補佐をやらせていただいた際には、いろいろと皆様のうち何人かにもお世話になったことがあると思います。

 エイズ、また生活する中でも梅毒が増えている中で、いろいろな対策が今後必要になると思います。今日はいろいろなお知恵を拝借し、いろいろ検討していただければと思います。よろしくお願いいたします。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 私も8月より参りましたので、御挨拶させていただきます。エイズ対策推進室室長補佐の原澤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、配布資料の確認をいたします。お手元の議事次第、委員名簿、座席図のほか、資料1から資料4までが、それぞれ別止めで、横置きのパワーポイントの資料です。それと、一番後ろに参考資料1から参考資料10をホチキス止めでまとめたものがありますので、適宜御確認ください。資料の不足等がありましたら、事務局までお申し付けください。

 なお、冒頭のカメラ撮り等につきましてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。以後の議事運営については、岩本委員長にお願いいたします。岩本先生よろしくお願いいたします。

○岩本委員長 皆様、今日はお忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございました。諸般の事情により予定より30分会議時間が短くなりまして、誠に申し訳ございません。日本医療研究開発機構の岩本と申します。よろしくお願いいたします。

 本日の議題は、後天性免疫不全症候群及び性感染症に関する特定感染症予防指針の改定についての報告、それから後天性免疫不全症候群の発生動向の調査及び分析の強化について、3番目が梅毒の発生動向の調査及び分析の強化について、4番目がその他、これらについて御審議いただきたいと思います。時間は1時間30分ということで、よろしくお願いいたします。

 それでは、「後天性免疫不全症候群及び性感染症に関する特定感染症予防指針の改定について」に入ります。まず、事務局から資料の説明をお願いいたします。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 資料1及び資料2を御用意ください。先生方に、一昨年の年末より御審議いただきまして、第1回から第4回のエイズ・性感染症の小委員会で御審議いただき、そちらを基にして、最後の小委員会からは少し時間が空いてしまいましたが、今年の118日に無事に告示を出すことができましたので、この場をお借りして改めて御礼申し上げます。

 その告示と併せて、後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針並びに性感染症に関する特定感染症予防指針の改正のポイントについてまとめたスライドを、それぞれ1枚ずつホームページにもアップしていますので、こちらで簡単に御紹介させていただき、合わせて1つ通知として出しているものがありますので、後天性免疫不全症候群に関する留意事項通知を御紹介いたします。

 資料1を御覧ください。改正のポイントとして、主な大項目として4つ挙げています。1つ目のポイントは、引き続き効果的な普及啓発が必要であるということで、国民一人ひとりが感染者等に対する偏見・差別を解消し、自らの健康問題として感染予防を適切に行うことが重要であるといったことを盛り込んでいます。2つ目のポイントは、発生動向調査の強化で、エイズ発生動向調査の分析を引き続き強化するとともに、その分析に当たっては地域差を考慮すると、より一層の細かい分析及びその動向調査の評価が必要であるということを記載しています。3つ目のポイントとして、早期発見、早期治療が何よりも重要というところで、その早期発見を進めるため、検査の機会の拡大に力を入れていきたいということもあり、ほかの性感染症との同時検査や検査の外部委託等、検査の利用機会の拡大を促進するというような記載を盛り込んでいます。4つ目として、予後の改善に伴う新たな課題へ対応するための医療の提供ということで、近年のHIVに対する治療の向上により、きちんと早期に診断がされ、早期に治療が入っていくことで、なかなかエイズに進展しにくくなっている、きちんと進展を予防できて予後の改善につながっているというところがあります。その反対側の問題として、新たに、長期間の治療や長期間の罹患そのものに伴って、合併症等の問題が出てきているというところがあります。そういった方へ対応するためにも、地域の保健医療サービス及び介護・福祉サービスと連携をした、施設間連携をより一層強めた地域での包括的な診療体制を構築するといったこととか、その施設内では診療科間や部門間の連携をより一層高めて、総合的な体制を取って医療を提供していくことが重要であるということを記載しています。こういった形で、後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針を改正していますので、これに沿って引き続き対策を進めていきたいと考えております。

 続いて、資料2を御覧ください。こちらは性感染症に関する特定感染症予防指針の改正ポイントで、同じように大項目を4つ挙げています。1つ目、効果的な普及啓発というものが必要であって、国と都道府県等が協力して性感染症予防の普及啓発に努めるとともに、教育を行う者がその重要性を認識するために正しく理解をしていく必要があるということや、個人個人においてどのようなタイミングで検査が必要かということを、若年層も含めて広く国民に啓発することが重要であると記載しています。2つ目のポイントとして、現在の国内の発生動向というところで、発生動向の多面的な把握のための疫学研究を強化するといった記載をしています。特に全数把握疾患である梅毒について増加傾向が見られることや、女性の報告数が多くなっていることといった問題を記載した上で、今のような疫学研究の強化というところに触れています。3つ目のポイントとしては、医療の質の向上というところで、標準的な診断や治療の指針等についてきちんと情報提供を行って、医療従事者に対する普及啓発も併せて進めていくことが必要と考えています。4つ目のポイントとして、検査や治療等に関する研究開発の推進というところで、薬剤耐性淋菌といったところが目立つものとして挙げられていますが、そういった薬剤耐性を持つ病原体による性感染症に対する治療法等の研究や、あと海外で治療されている治療薬で国内でまだ使用できないものについて、国内に導入していく等の取組が必要であるといったところを記載しています。こういったところをまとめておりまして、「資料等は下記のURLから」ということで、web上にアップしているものを御案内していますが、こういった指針に沿って対策を進めていきたいと考えております。

 もう一点御紹介いたします。参考資料6「後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針の改正に係る留意事項について」を御覧ください。この通知は何かと言いますと、この小委員会における本指針の改正議論の中で、医療従事者においてはHIV感染症・エイズは標準感染予防策で対応が可能であり、通常の医療機関で患者を受け入れることができる疾病であるということを一層浸透させていくべきであるというところと、HIV抗体検査の際の同意の取得方法は、口頭ではなくて書面同意を得る必要があると誤解されているという御指摘がありましたので、そこを改めて明確にするという目的でこういった通知を出しております。こういったものも併せて現場に情報提供していって、きちんと標準感染予防策に基づいて対応していただきたいということ、そういったところを周知していきたいと考えているということです。こちらも併せて御紹介させていただきました。

 参考資料4から参考資料8までが、今回の感染症予防指針に関する改正の資料になっていますので、御確認いただければと思います。簡単ではありますが、事務局からの資料の説明は以上です。

○岩本委員長 御質問、御意見等はございますでしょうか。まず私からですが、エイズ予防指針に関して、知人の話やメール通信で「今回は予防指針が感染症部会の小委員会で決められて、その中にはピアの意見を述べる人がいない。」ということが噂されているようです。。その辺についてはどういうことなのか、事務局から説明いただければと思います。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 今回の御指摘については、この小委員会の構成の委員に陽性者団体の方や当事者が含まれていないのではないかといった御指摘のことだと思います。

 今回の小委員会における議論においては、陽性者団体の方々等を必要に応じて参考人として招いて、きちんと御意見を伺った上で、議論を進めていただいたものと考えております。そういった当事者からの御意見も小委員会でお聞きした上で、その御議論を踏まえて作成されたものでありますので、そちらについては、少し今までと見え方自体が異なっているので誤解されている点もあるかと思いますが、きちんと必要な手続を踏んで当事者の方々の声を聞いて作ったものと考えています。

○岩本委員長 私自身も若干誤解しており、今回はこれまでと違うのではないかと思った時もありますが、過去を振り返ると小委員会で議論して決定したのは前回までも同じで、今回と小委委員会構成は同じなのですが、ただ、当時の担当が陽性者を含んで10回ぐらいワーキンググループの会議をやって、ワーキンググループ会議が繰り返されたので、それが委員会自体の議論だったというように受け取った方もおられるということのようです。基本的には今回と予防指針の策定の仕方が異なるわけではないと理解しております。そのほかはいかがでしょうか。よろしいですか。それでは、どうもありがとうございました。

 続いて、議題2「後天性免疫不全症候群の発生動向の調査及び分析の強化について」です。資料3の説明をお願いいたします。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 資料3「後天性免疫不全症候群の発生動向の調査及び分析の強化について」を御説明いたします。1ページを御覧ください。我が国におけるHIV・エイズ発生動向年次推移ということで御紹介いたします。先日、316日に第150回エイズ動向委員会を開催し、そちらで2017年の速報値を報告していただいています。そちらを一番右の列に書いていまして、年間で新規HIV感染者数が992名、新規エイズ患者数が415名という形で、報告をしていただいています。ただ、速報値ベースですので、こちらは今後変動が起こり得るというもので、次の動向委員会で確定値の報告はしたいと考えております。御留意ください。

 全体を見ていただくと、いろいろ御意見はあると思いますが、2008年以降、現時点ではまだ横ばい傾向と表現できると考えています。明確な減少傾向とは言いにくいと考えています。

2ページを御覧ください。こういった動向を数を追っていくだけではなくて、いろいろな見方で検討していくことが必要だというのは予防指針でも触れていただいていますが、そういった中でよく見ている1つの項目として、「いきなりエイズ率」というのを先生方も耳にされることがあると思います。こういったものを使って、どれぐらい日本国内で早期に診断ができている人がいるか、若しくは診断が一定程度遅れている人がどれぐらいいるかと、そういうところを推定するのに役立つ数字ではないかと見ています。いわゆる、いきなりエイズ率というのは、発生動向報告において新規HIV感染者及びエイズ患者の合計数のうちから、新規エイズ患者の占める割合を算出したものです。2017年の速報値ベースでいくと、分母が1,407、分子が415というものです。いきなりエイズ率は低いほどエイズを発症するまでHIV感染を自覚することがなかった者の占める割合が少ないということになるので、比較的早期に診断できている者の割合が多いということになります。近年、我が国におけるいきなりエイズ率は、2ページ目の右上の表にお示ししているとおり、横ばい推移にはなっているものの、明らかな減少傾向にはなっていないと考えています。いきなりエイズ率というのは、日本国全体等、集団に対する評価のみに用いることができる指標であると考えており、個別のHIV感染者において感染から診断までに要した時間の指標となる情報ではないと考えています。

 今後のHIV対策においては、早期診断がどの程度うまくいっているかとか、そういうことをきちんと評価できるようにして、早期診断をより一層進めていくということが必要だと考えています。その早期診断の推進に向けて、現在のいきなりエイズ率というものも有効な指標であり、引き続き経過を追っていくべきものと考えていますが、それ以外にも、個別のHIV感染者において感染から診断までに要した時間の推定に資する情報とか、より客観性の高い情報の収集も必要ではないかと考えているところです。

3ページを御覧ください。そういった問題意識を踏まえて、HIV感染症の早期診断の指標についてです。診断時のCD4陽性Tリンパ球数(CD4)についてです。このCD4値というのは、先生方はよく御存じのところだと思いますが、HIV陽性者の免疫力を反映する重要な指標であると考えられておりまして、またCD4値というのは、減少の速度はかなり個人差が大きいところはあるものの、基本的にはほとんどの感染者で、HIV感染症の進行とともに減少していくものであると考えられています。したがって、診断時のCD4値を見ていくというのは、HIV感染症の早期診断の指標になり得るのではないか、診断時にCD4値が一定程度高い人が多くなってくれば、早期に診断されている者が増えているのではないかというような見方ができる指標になり得るのではないかと考えています。

 では、実際にCD4値を情報収集するとしたら、どのような手法が望ましいかといったところで、3ページの下の「情報収集の手法について」という項を書いています。そのCD4値を見ていくに当たっては、国内全体の情報を収集して、かつ継続的に変化を追っていくという長期的な視点も必要だと考えております。国内におけるHIV感染症の早期診断の推進度合いというのは、そういった形で全体の情報を捉えて、かつ継続的に追っていくということが必要だと考えていますので、悉皆性と継続性が高い手法というのが、できる限り望ましいと考えています。

 また、他の疫学情報と合わせて分析することにより、例えば特定の集団における早期診断の推進度合いが把握できる可能性があること等を踏まえると、他の疫学情報と突合できる手法であることが望ましいのではないかと考えています。さらに収集したデータを分析し、エイズ動向委員会を通じて公表し、広く情報提供することが必要になってきますので、そういった形でのデータ利活用がしやすい手法であることが望ましいと考えています。こういった条件を考慮して、診断時のCD4値を収集する手法として、後天性免疫不全症候群の発生届の届出事項に追加することとし、その収集率等をより高くするための方策を検討することとしてはどうかと考えています。

4ページ目を御覧ください。今、提示させていただいた点のまとめと補足です。発生動向の調査及び分析の強化()ということで、早期診断の推進度合いの把握に向けて、HIV感染症の早期診断の指標として診断時のCD4値を把握することとしてはどうかというところと、診断時のCD4値を実際に収集する手法として、発生届の届出事項に追加することとしてはどうかと考えています。

 そういったことを検討している中で、懸案事項として、保健所及び診療所から届出が行われた場合のデータ欠損等が挙げられることから、以下のようなことを十分に周知しながら情報収集への協力を依頼することとしてはどうかと記載しています。こちらはどのようなことかと言いますと、保健所で現時点で確定診断が付いて届出を出す場合には、CD4値は基本的に継続して診療する医療機関で測定するという格好になっていまして、保健所でCD4値を測定するというスキームが現状では存在しませんので、そういったところでデータの欠損が起こるのではないかといった御指摘とか、通常HIVの治療までは行わず、診断までは行っていただいているような診療所においては、確定診断はできて、発生動向の届出はできるものの、CD4の測定までは行わず、拠点病院等に紹介にするというスキームを持っている診療所もありますので、そういう所では一定のデータの欠損が生じるのではないかといった御指摘があります。

 また、そもそもの届出上のタイムラグとして、CD4値の測定はHIV感染症の診断が付いてから検査をするというスキームになっていると思いますので、感染症法が法的な縛りをかけている7日間以内の届出というところが、CD4値を追加していくことで遅れるケースが発生するのではないかといった御懸念もあるというように御指摘を頂いております。

 そういった御指摘や懸案事項等を踏まえて、特に周知すべき事項として、点線囲みの中を周知することとしてはどうかと考えております。1つは、基本的な事項として通常守っていただいているところだと考えますが、診断時のCD4値を記載するために届出そのものを滞らせることがないようにすること、もう1つは、診断時のCD4値が欠損していた場合には、その届出を受理した保健所、欠損したデータを受け取った保健所が届出を行った医師に対して診断時のCD4値の提供を依頼すること、これらを併せて周知することとしてはどうかと考えています。

 また、併せて「分析結果等の公表について」の所ですが、その収集した診断時のCD4値をどう分析するかというところも論点になると考えています。こちらは、もちろん上記のようなやり方でやったとしても、欠損値が全くないということにはならないと思いますので、その欠損値を踏まえた上でどのような分析をするかといったところは、そのほかのデータと同じですが、エイズ動向委員会においてきちんとHIVの診療等に精通した有識者の間での意見交換を行った上で、必要に応じて公開することとしてはどうかと考えています。事務局からの資料の御説明は以上です。

○岩本委員長 御質問、御意見等はいかがでしょうか。

○廣田委員 CD4値について情報を取るというのは賛成です。ただ、ここで早期診断の指標となるのではないかという感じでこの情報を取った場合、誤解が生じる可能性があるのです。そこが懸念されます。

 疫学の世界で代理変数、本当の指標が取れない場合に用いる、surrogateと言います。だからこれは「代理指標」とはっきり書いたら、この分析を介して誤解が生じることがないのではないかと思います。

○白井委員 保健所のことを配慮いただきましたので、その辺の現状というか、実際に保健所で陽性の方に診断をするときも、ウエスタンブロットまで出しているという保健所で届出を書けると思うのですが、CD4の欠損値があるということについては、その後に医療機関に紹介したときに、HIVの患者の数が少ないですから、割と拠点病院とは連絡ができて、ちゃんと診断して治療に結び付いたかというフォローまではできている所が多いと思うのです。そういう中でCD4値を医療機関に聞くということはできると思いますし、もちろん医療機関から報告があったときに欠損ということについては、そこの医療機関で拠点病院なりを紹介してからということもあるかもしれませんが、CD4とウイルス量を測るというのは必ずやっていただいていると思いますので、それを聞き取るという作業については、私たちのほうでそのようにするものだと思っていればできることだと思います。ただ、医療機関側でもう一回聞かれるかなとか、病院側が、保健所から何度も連絡があってというやり取りが邪魔だと思われなければ、私どもはやりたいと思います。

○岩本委員長 このメンバーの中で報告書を書くのは横幕先生と、私は随分減りましたが、私ぐらいだと思います。横幕先生はいかがですか。

○横幕委員 今の白井先生からの御指摘につきましては、いわゆる収集の期間をそのような形で少し緩やかにしていただければ、恐らく欠損も少なくなる。あと実際に多くの自治体で、担当の自治体の課と拠点病院との連絡会議が行われておりますので、これがもし実行される場合にはそこで周知をしていただいて、データの欠損を埋めるということをすれば、かなりしっかりした数字が集まるのではないかと思います。

 拠点病院については、協力の姿勢は非常にしっかりとしています。現状は拠点病院にほぼ新規の感染者も集まっている状況があり、検査もしっかりと行われていますので、しっかりした数値が集まるのではないかと期待しています。

 私からもし一言追加で申し上げさせていただくとすると、現状は拠点病院でおおよその数が把握できるだろうと思っておりますが、例えば東京都内においては、かなりクリニックのほうの診療が実は進んでおります。恐らく、これが近畿、東海のほうで進んでくるという状況になると、現状では医療体制班に依存している疫学情報収集の方法では十分でなくなります。そこで、今回このように、国で第一歩を踏み出していただけることは非常に大きな動きだと思います。いろいろと問題点はあるかと思いますが、保健所と医療機関が協力をして、いわゆるナショナルデータ的な形で出せる指標が適切な状況の下で収集されることは、非常に意義が大きいと思っています。

 拠点病院ではしっかりと検査をしており、多くのいわゆる普通の医療機関で診断が付いた方も、現状は拠点病院に集約されていますので、当初そういった形で走っていけば、数年はうまくいくのではないかと思います。

○岩本委員長 クリニックの統計の話が出ましたが、私は3年前からクリニックを週に2回やっていますが、今の厚生労働省の体制では、私は3年間やって新患は6人です。だから、ほとんどが拠点病院へ行くので、クリニックはかなり経験の深い先生方の所へ通ってはいますが、新しい患者となると、それこそどうなるかということで、正に今増えている郵送検査の数が増えてきたら、どのようになるかということだけですね。だから、その辺は大きな数字ではない、どこかの保健所なりからクリニックに紹介されるということはまずないと思います。実際保健所からの紹介は1例もないです。だから、そのうち採算が成り立たず辞めざるを得なくなると思っています。そのほかにはいかがでしょうか。

○野津委員 欠損値の心配をされているわけですけれども、どのくらい出そうだという予測をお持ちなのか、もしそうしたことが予測できるのであれば、お聞かせいただきたいと思います。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 粗い数字ですが、現状で保健所等での検査が昨年大体12万件ぐらいで、そのうちの陽性率は400件強ぐらいです。ただ、陽性になった人たちが全部保健所から届け出られてるかというとそういうわけではないようで、スクリーニング検査だけ行って、陽性と出たところで拠点病院等に紹介して、迅速にそのまま確定検査までつなげるような体制を取っている保健所もあると伺っています。届出を細かく見ていくと、保健所等から届けられている件数は、年間で大体150200件ぐらいありますので、1015%を占めているようです。ただ、年次によって変わるので何とも言えないですけれども。すみません、クリニックのデータは今数字がぱっと出てこないですが、そういった形で一応見させていただいています。

 なので、それぐらいのボリューム感が、もし何も手を打たないと完全欠損になってしまう可能性があるとは思うのですが、白井先生にも御発言いただいたような形で、保健所と実際に医療機関がつながっているケースは想定されますので、それが全部落ちるとも限らない。裏を返せば拠点病院で診断がされているからと言っても、先ほど申し上げたように、CD4の検査値が測定できるタイミングがずれるので、それが全部そろった状態で拠点病院から挙がってくるとも限らないので、それはちょっとやってみないと、実際に運用してみないと何とも言えないというのが実状だと思います。

○岩本委員長 個人的にはいっぱい言いたいことがあるのですけれども遠慮しておきます。

○白井委員 報告数から言うと、300400件に1例の幅ではあるのですけれども、そうなると保健所で1年間に12人対応するかということ、郡部の保健所だったら1例も経験していないということもありましたので、その作業ボリュームは別に問題はないと思います。ただ、むしろ余り経験していない所が発生報告に慣れていないということになると、やはりきちんとここまでしないといけないということを、周知しないといけないかなと思っております。

○岩本委員長 そのほかいかがでしょうか。

○早乙女委員 早乙女です。細かいところですけれども、この「診断時の」というのがどの時点なのかがちょっと気になっていて、これは治療開始前というようなニュアンスでよろしいでしょうか。例えば保健所から拠点病院に送ったときというのでタイムラグがあったり、というところを考えると、何か数値自体の絶対値をどう扱うのかが少し気になるのと、診断時といってもタイミングのずれなどがあると思うので、そこは現場で判断に苦しむような表現だと困るのかなと思ったのですが。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 御指摘ありがとうございます。基本的には初めて診断を受けた後に、初回に測定できるタイミングで取ったものという表現になると思います。CD4値については、HIVの診療をよくされている先生方ですと、障害認定の届出等にも使うような項目ですので、治療介入を開始する前に測定するものと伺っております。まず、ベースラインのデータとして、診断が付いた段階でCD4値とウイルス量を測って状況を把握して、それから治療介入という格好で、欧米では当然そのタイミングで治療を開始せよという話になっておりますので、測定できるタイミングの中で、一番早いタイミングで取ったものという表現が多分正しいと思いますが、それを丸くして「診断時の」という表現にしている状況です。

○早乙女委員 ありがとうございました。

○岩本委員長 アメリカではCD4の数はエイズの診断基準に入っていて、200未満がエイズ基準に入ります。エイズが初めて報告されてから10年以上たってCD4を報告するようになったと理解しています。ただ、どれだけ感染時期の判断に役立つか不明です。新規報告が横ばいになっている今ではなく、2000年頃にやるべきだったなとと思うわけです。三宅課長が補佐をやっていた頃になりますね。その頃にやっておけば、戦略研究で初診時のCD4があがってきたかなども分かったと思いますが、導入するにはちょっと遅すぎる印象です。私は2005年~2017年の間エイズ動向委員長をしていたのですけれども、流行が落ち着いているときに、すうっと辞めさせてもらおうと思ったら、最後に診療現場に負担を掛けて辞めろというのが、あの人のやることですね。いろいろ言いたいことはあるのですけれども。そのほか御意見はありませんか。

○横幕委員 医療体制班のほうで、拠点病院に初診で掛かった方の初診の人数とCD4数が200未満の人数を経年的に調査していますが、エイズ発症率プラス10%ぐらいの方が実はCD4数が200未満という状況が継続的に出ておりますので、恐らくそういう数字が出てくるかと思います。そうした情報が出てきたときに、動向委員会ではエイズ発症率が約3割で報告されてきましたが、動向委員会でそうした数値の扱いをどうするかということ。あと、どれぐらいの数字が確度高く集まったか、研究班からの数字と比較しつつ、何年か後に、見直しをして、こういった全国的な数値の収集を続けていくか、若しくは統計の方の御意見も踏まえて、定点的な把握に移行する等の、そうした長期的なビジョンがあれば教えていただきたいと思います。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 今、横幕先生が御指摘された点、多分2点あると思いますが、前半部分はいきなりエイズ率は今後どう扱うのかという話で、データが集まってきたときにどう扱うのかという話ですけれども、1つは、今まで見てきた指標と合わせてかつ日本国内での診断基準をベースに考えると、現状の報告のものを基本に考えていくのだろうと思っているところです。ただこれはどちらかというと動向委員会できちんと、横幕先生もおっしゃっていたように、議論をした上でどう出すかを検討するものだと思いますので、そちらでの議論になるのかなと考えています。

 あとは今後の、取り始めてからデータの取扱いをどうするかについては、当然議論があると思いますが、現状はまだこのデータを取り始めてもいない段階ですので、取り始めてみて実際にどの程度運用がうまくいくかとか、現場への負担の部分と取れるデータの意義等を比べてみて、引き続き検討をしていくものではあると認識しています。

○岩本委員長 多分、いきなりエイズ率というのは、日本以外の国でやっている国はないと思いますので、外国の雑誌に投稿しても通るかどうか分かりませんね。それでは先ほど廣田先生から御指摘のあった、CD4はあくまでsurrogate markerだということを明記してやるということ。議論は残念ながら盛り上がりませんが。診療現場の余り負担にならないように、保健所と診療現場の負担にならないことを望みますけれども。私自身は自分の考えていることがあって、来週24日に、国際エイズ学会と日本国際交流センターのシンポジウムが聖路加で開かれるので、そこで日本のHIV流行についてしゃべろと言われているので、自分の考え方をここで述べるつもりです。興味のある方はどうぞ聞きに来て下さい。

 議論が余り出ませんようですので、「梅毒の発生動向の調査及び分析の強化について」をお願いいたします。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 続きまして、資料4「梅毒の発生動向の調査及び分析の強化について」を御説明いたします。1ページ目、日本におけるは梅毒報告数についてのページを御覧ください。小委員会の議論でも出てきていたかと思いますが、梅毒の報告数は近年増加傾向であるということで、そちらの数字を現状取れる範囲でまとめた資料です。2010年以降梅毒報告数は増加傾向となっており、右上の図ですが、2017年の累積報告数、2017年の値は暫定値ですが、5,820件となっており、44年ぶりに5,000件を超える形で、今は増加傾向になっております。左下の図ですが、感染経路の傾向が少し今までと変わってきている傾向がありまして、同性間性交渉で感染した男性が緑色のラインで示されていますが、そちらは緩やかに増加傾向にはありますが、そちらではなく、青と赤のラインで書いています異性間性交渉で感染した者が男女ともに増えている傾向になっています。また、年齢別の分布では、男性においては20代~50代と、若者から壮年期の男性まで幅広く増加傾向にありますが、女性については特に若い世代、20代、30代での感染が増加傾向にあるという形が見て取れます。そうした感染経路の変化とか年齢層の偏りは、一定程度、現状の届出のデータからも見られますが、こうしたところがどのような理由で増加しているのかなど、そうしたもう少し踏み込んだ情報は現状取れる状況になっていませんので、より一層見ていくべきものは何かないかと、現状の届出等の情報から取れるものを2ページ以降で資料にして、少し御提案をさせていただきたいと考えております。

2ページ目の梅毒の発生動向まる1:性風俗産業の従事歴・利用歴についてです。こちらは梅毒の届出の備考欄等に、性風俗産業の従事歴や利用歴について記載された件数を確認したもので、それをオレンジの棒グラフで示したものですが、2014年には13件程度だったものが、2016年の報告では127件に増えております。こちらは単純に数字を比較して見られる性格のものではなく、あくまでも届出の備考欄等に意思によって任意に記載された事項ですので、単純にこれを持ってどうということはなかなか表現が難しいですが、こうした届出の記載事項の中に、実際に増えているという実数を見ますと、もう少しきちんとデータを取っていくべき対象なのではないかと考えております。ですので、性風俗産業等の従事歴や利用歴について実態をより適切に把握できるよう、届出事項として追加することとしたらどうかと記載しております。

 続いて3ページ目は、梅毒の発生動向まる2:口腔咽頭病変についてです。梅毒の届出の「その他の症状」の所に、口腔咽頭病変に関する症状・所見について記載された件数を、同じように棒グラフで示したものです。こちらも年々少しずつですが増加傾向にあります。この情報は2点あると思っておりまして、1つはやはりオーラルセックスでも感染するというような情報は、なかなか一般の方に届けにくい情報であったり、あと誤認されている情報であったりします。コンドームを着ければ基本的に予防できるというのは、当然そうなのですが、オーラルセックス時にもきちんとコンドームを着けているのかどうかとか、そういうところの行動様式とも関わってくる部分ですので。また、梅毒はそこで保護されないような部分に病変がある場合にも感染することがありますので、そうした注意喚起のメッセージにつながっていくのではないかというところが1つです。

 あとは診療に当たっていただく医師の先生方におかれましても、なかなか梅毒は診療に慣れている先生でも診断が時に難しいということも伺います。診断に慣れていない人が突然診たときに、口腔内の病変まできちんと診るかは、情報が知れ渡っていないとなかなか難しいのではないかというところもありますので、こうした病変が増えているということや、こうした病変も診断の中に組み込まれているということで、きちんと見逃さずに診療していただくという、そういう情報提供にもつながっていくのではないかと考えております。そうしたところから、口腔咽頭病変についてもより適切に実態を把握できるよう、届出事項として追加することとしてはどうかと記載しております。

 続いて4ページは、梅毒の発生動向まる3:先天梅毒及び妊婦における梅毒感染についてです。先天梅毒の動向については、現在の届出の事項にも組み込まれている情報ですので、数字を追い掛けていくことが現状でもできるという状況です。先天梅毒は、梅毒に感染している妊婦から児に感染する多臓器感染症であって、妊婦が無治療の場合には40%の児が死産又は出生後間もなく死亡する可能性があると言われているものです。先天梅毒は届出の対象となる病型の1つであって、その報告数は近年増加傾向にあるということで、右上の表を御覧ください。2012年から2016年にかけて数はもともと少ないですけれども、増加傾向にあるということで、問題視しております。

 一方で、その先天梅毒の発生につながる妊婦における梅毒感染はどうかということですが、現在妊娠の有無については梅毒の届出事項の中には含まれておりません。一方で、梅毒の届出の備考欄等の記載事項から、妊婦梅毒と判断された報告数は、右上の表の下段ですが、徐々に増加傾向で、2016年には33件、2012年よりもかなり増えている状況です。ただ、これもあくまでも任意で記載していただいた事項ですので、この数字でどうという判断は難しいところですが、梅毒に感染している妊婦に対して適切な抗菌薬治療を分娩4週間前までに完遂することで、先天梅毒を予防できると言われていることもありますので、妊婦における梅毒感染というのはきちんと見ていって、きちんと認識していただいて治療を入れていくということ。そういうことできちんとした先天梅毒の予防につながっていくのではないかと考えておりますので、妊娠の有無についても届出事項として追加することとしてはどうかと考えています。

 右下の妊婦健康診査についてというのをなぜ入れてあるかですが、現状で妊婦健康診査の標準的なメニューの中に梅毒の検査が入っていますが、妊婦健康診査の中で梅毒の検査をやった人が何人陽性だったかという情報を集めるスキームは存在しませんので、そういう形で妊婦検診の側からデータを集めることは難しいと考えています。ですので、梅毒の届出情報の中に妊娠の有無という情報を組み込むことで、妊婦における梅毒の発生数を情報として収集してはどうかと考えております。

5ページは梅毒の既往歴についてということです。梅毒は終生免疫を獲得しない感染症であって、再感染リスクが高い疾患であると考えられています。現行の届出においては、匿名であるという条件とともに、初感染者と再感染者とを区別する仕組みになっていませんので、例えば初めて感染した人と、極端な話で、毎年1回梅毒に感染しているような人とをより分ける方法はないという状況です。ですので、現状の数字の増加というのが、初めて感染する人たちに大きく広がっていっているような感染様式なのか、それとも同じようなポピュレーションの中で再感染を繰り返しているような状況なのか、はっきり分からない状況です。そういった再感染者を把握することは、診療を受ける個人個人で考えますと、梅毒が反復感染し得る疾患なので、きちんと予防行動をという、1回掛かったからもう掛からないというものではないという情報提供や、この人は反復して感染しているので、感染を防ぐための適切な予防行動というのが、よりきちんとした教育であったり情報提供が必要だということを、医療従事者側にメッセージとして伝えることで、そうした情報提供をきちんとしていただくという行動の変化につながっていく。このようなことから、感染者自身の医療のために有用であると考えられるとともに、先ほど申し上げたような、より正確な感染者の実態把握につながっていくことから、その感染の前の、防止のための取組につながっていくということで、そうした意味でも有用であると考えております。

 続いてHIV感染症の合併例です。HIV感染症の合併例については、その梅毒の進行が神経梅毒への移行リスクが高いと言われていることや、ゴム腫等の晩期梅毒とされる病変が早期に出現する場合があること等が指摘されており、HIV感染症を合併していない例と比較して、その病状の進行が早い、重篤化しやすいという指摘がされています。そうしたハイリスク群としてのHIV感染症合併例を把握していくことが、早期の適切な治療介入につながっていく、また普及啓発等の対象群の把握につながっていくことから有用ではないかと考えております。以上の点から、梅毒の既往歴及びHIV感染の合併の有無についても届出事項として追加することとしてはどうかと考えております。

6ページ、こちらは非常にテクニカルで分かりづらいと思いますので、参考資料10(3)、一番後ろのページに梅毒の届出基準が書いているのですが、こちらを併せて見ていただくと分かるかと思います。梅毒は患者(確定例)とキャリア、無症状病原体保有者とで、届出の基準が異なっています。(3)届出基準の、イの無症状病原体保有者の所の2行目に、抗体、カルジオリピンを抗原とするRPRカードテストうんぬんで、16倍以上、又は自動化法での検査はおおむね16.0以上という記載があります。この基準はキャリアのほうにだけ適用される基準で、キャリア、無症状の場合は、一定程度この数字が高い場合のみ届出を出してくださいというような仕組みになっています。ただ、これが分かりづらいと御指摘を頂いています。参考資料の前ページに発生届の様式が書いてあるのですが、今の条件がこの発生届には書いてありませんので、キャリアの場合と診断確定例の場合の届出で誤認が生じており、その確認や間違いの訂正というスキームが実際に発生していると伺っています。こうした分かりづらい所を技術的に直してはどうかというような趣旨で、6ページ、「診断方法」の記載事項等については、表現をきちんと書き分けることや、誤記が生じにくいような記載様式に整理することとしてはどうかと考えております。

 最後の7ページ、発生動向の調査及び分析の強化()として、梅毒の発生動向の把握に向けて、点線囲みの中の項目を、今まで御説明した内容をまとめただけですが、追加することとしてはどうかと考えております。また、一番下のポツですが、6ページの所で説明したとおり、「診断方法」の記載様式等については、より適切な届出がしやすいように、基準及び様式を整理しすることとしてはどうかと考えているところです。資料の説明は以上となります。

○岩本委員長 御質問、御意見等はいかがでしょうか。

○荒川委員 整理して議論しなくてはいけないと思うのですが、新たに発生届に設けるという御提案が一番最後の7ページに5つあります。これに関して意見をひとつずつ述べます。まず、追加する事項の並びに「性風俗産業の従事歴・利用歴の有無」とあり、これは必要だと思います。ただこの前提として、発生届の右下に欄が空いていますから特記事項といった明確にチェックするべき所を設けていただいて、この特記事項の中に、性風俗産業は入れるべきだと思います。この「性風俗産業」という言葉は実際にあるのですか。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 明確に「性風俗業」とかそういうものを、法制上きちんと書き込んであるものは余りないので、性風俗産業というのは今回予防指針で、「性風俗産業の従事者」というものを、HIVのほうでは個別政策層として挙げさせていただいています。その記載の書き方を引用しているものと御理解いただければと思います。

○荒川委員 そういう名にしたわけですね。ただ、法律上は「風俗営業等の規制及び業務の適正化に関する法律」がありますよね。あの中には「性風俗産業」という言葉はあるのですか。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 あれは性風俗特殊営業などのという業態だけを示しているもので、それに「従事する者」などは書いてありません。

○荒川委員 性風俗産業の「産」という言葉を入れないで、「性風俗業」でもいいような気がします。

 従事歴・利用歴の箇所ですがこれはたとえば「診断から3か月以内の従事歴・利用歴」というふうに期間をある程度、限定するべきかと思います。そうしないと、1年、2年前あるいはそれ以上前ににそういう履歴のある人、経歴とかを入れると、非常に overestimate になる懸念があるので、ある期間の限定をしていただくべきではないかと考えます。それが1点です。

 それから口腔咽頭病変、確かに口腔内というのはどんな科の医師でも簡単に見ることができるので、そういう意味でここに入れてもいいとは思うのですが、この梅毒発生届の4の「症状」の所に余りにいろいろなものが羅列されているので、もう少し整理する中で入れていただくほうがいいのではないかなと思いました。

 あとは、まる3の妊娠です。これは是非入れるべきで、同意させていただきます。これは特記事項として妊娠の有無ということは明記する、すなわち必ずチェックするようにしたほうがいいと思います。

 それから既往歴ですが、「梅毒の既往歴」という言葉でいれるのであれば不要ではないかと考えます。これは問診が当てにならないということが1つありますし、梅毒抗体検査の結果も推測の域を出ないわけで、どこでどういう履歴があったかはなかなか分かりにくいので、これはあえて入れるかどうかは少しここで議論をしていただかないといけないと思います。

 それからHIV感染症の合併例、これも基本的には要らないのではないかと思います。特記事項の中で自由記述はもちろんされるでしょうから、HIV感染があれば書いていただくことは必要でしょうけれども。MSMの方では、まず、先に梅毒の感染があって、その上HIVに感染するということが多いのではないかと思うのです。先ほどHIV感染者で梅毒の進行が早いとおっしゃいましたけれども、今の時代は実は本当にそうかどうか、余り大差はないのが現実ではないかなと思います。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 性風俗産業の文言について、お答えさせていただきます。先ほども申しましたように、基本的に何か法令上の言葉として、ぴったりくるものはない状況ではありますが、仮に今回これを入れることをお認めいただいた場合には、ちょっと法令上の部分もありますので、そこの最終的な文言については省内で検討した上で決めさせていただきたいと考えております。

○荒川委員 それは是非よろしくお願いします。

○岩本委員長 これはそもそも再感染を書くようにはなっていないわけですが、再感染とやったときには、再感染者は要するに11回報告するだけというようにするのですか、それとも再感染の項目を作るということは、再感染ごとに報告するのですか。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 事務局です。現状、想定していたのは、繰り返し罹患している者がどれぐらいカウントされているかを見るものだったので、再感染者の2回目以降が要らないというわけではないと思っております。例えば1年以内に治療を受けた歴のある者とか、そういった形で見ていただくほうが見やすいのかもしれないなと、今お話を伺っていて思いました。結局検査の結果ですとか、そういったところからは既感染者という情報以上のものは出てこないので、例えば直近に感染を繰り返している人を見るのであれば、特定の期間内に治療歴のある人などといった見方をする考え方もあり得るのかなと考えたところです。すみません、直接の答えにはなっていませんが。

○岩本委員長 対策としてはどちらが大事というか、要するに同じ人であっても新たに感染しているわけですよね。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 はい。

○岩本委員長 それを1回の感染頻度と言うのか、1人の人だから要するに1回の事象みたいに取っていくだけなのか。

○荒川委員 どっちにしても、いつ頃の既感染か、それを判断するのは意外と難しいですよ。だから、それはどういうように判断するかという基準を多分示してあげないと書きにくいと思います。

○岩本委員長 同じようなことで、逆にさっきの先生の質問だけれども、HIV感染者の診療をやっていると、ここ3年、患者さんの数が少ないので、梅毒もほとんど見ませんが、やはりしょっちゅう起こるので、再感染ですというのはほとんどがHIVがらみというか、HIV合併感染となってくると、これまた、そういうデータに必然的になるような気がするのです。再感染だと確実に分かりますからね。要するにトレポネーマ抗原の抗体はずっと陽性だから再感染ですね、そこにRPRが上がるわけだから、再感染は絶対分かるので、その報告を毎回すると、そちらが増えますよね。

○結核感染症課長 今まで毎回やっているのですか。

○岩本委員長 人によると思いますよ、書いていないから。私は毎回やっていますよ。

○結核感染症課長 そうですか、でも1回治っているのですよね、それって。

○岩本委員長 治っていますよ。

○結核感染症課長 治ってもう一回。

○岩本委員長 ただ、要するに1年に1回ぐらい梅毒の検査をしようと言っている医者はいますからね、何回も感染する人をきちんと報告すれば、再感染者の数が増えていきますよ。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 少なくとも、現行法における梅毒の発生届のスキームですと何回目であろうが、発生したら発生届を出すというのは原則だというように。

○結核感染症課長 その意味では治癒したらリセットでしょう。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 そういうことですね。

○結核感染症課長 原則は。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 はい。なので、例えば2回目以降追わないとか、そういった考え方はまずないと思います。

○岩本委員長 大分昔ですが、保健所から問合せが来たことがあります。診断法に自動化法とか書くと、これはどういう意味ですかとか、数値は幾つですかとか、聞かれたように思います。私らは経時的な数値を見ていて、再感染かどうか分かるので。それは「これは再感染です」と申しあげたわけですけれども、その後どのように保健所で処理されたかは分からない。

○荒川委員 特に、HIVの方のそれは特徴ではないですか。

○岩本委員長 もちろん人によります。

○横幕委員 現場から状況だけお話させていただきます。HIVの領域ですと、定期的に継続的に受診があるので経過が追いやすいというところもあり、再感染を把握することは実はその他の方に比べると容易ということもあって、岩本委員長からの御指摘もあったように、そこが少し目立つ可能性はあるかと思います。

 昨今、梅毒の罹患者の増加のニュースを受けて、HIV感染症診療担当医は、およそ年に1度、今まで先達がそのように警鐘を鳴らしていたこともあり、特に経験のある医療機関や受診者の多い機関にあっては年に1度必ずスクリーニングを行い、RPRの上昇があれば治療を入れるという形で対応しています。患者さんは身に覚えがないとおっしゃいますけれども、どう考えても再感染の方が一定数ありますので、こういった形で取れば再感染としての報告件数は上がっていきます。

 今、HIVの診療医についてはいわゆる発生件数として、同一の方であっても再感染するたびに報告を上げているはずです。もし、そこのところをならすという点で、先ほど結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐からもお話がありましたけれども、いわゆる一見さんで終わることが多いHIV非感染者の梅毒の罹患者について、再感染かどうかを判断する指標を収集するのであれば、唯一、やはり直近の治療歴なり過去の治療歴の有無を収集するしか仕方ないのかなという気がしております。実際、HIVと梅毒の重複感染者が梅毒罹患者全体に占める比率は、これだけいわゆる異性間性的接触の男女が増えている状況では低いため、それほどのインパクトはないと思うのですが、HIVと梅毒重複感染者の場合再感染が多いという特徴としては出てきてしまうかなという危惧はあると思います。

○白井委員 再感染を見ることで何を目的とするかを整理しないと、何か混乱するようなところもありますし。今、年齢別で見ますと、60代以上の方も男性については30代以上の女性と同じか、それ以上発生数がありますし、高齢になってからの発症が既感染ではなくて再感染、新規の感染もあるかと思いますけれども、そういうところで現場側というか、私たち受けた保健所で整理ができないところも時々見受けられます。ようやく、既感染分の報告が減ったなとは思っているのですが、老人ホームからなどはなくなってきたのですが、また既感染や再感染というところの整理がちょっとうまくいかないと、報告に少し混乱が出るのではないかと今思いました。

 先ほどのHIVCD4をお聞きするというよりも、梅毒の発生届のいろいろな追加が出ますと、そちらのほうが件数が多いですから、保健所からいろいろ問合せをさせていただくことが多分増えるかと思います。あと、やはりNESIDというか、感染研のシステムに入れられるようになっていないと、はねられたりとか、そこでいろいろまた問合せをしないといけないところがありますので、そこもちゃんと整理しないと、再感染だけではないですが、難しいかと思います。

 やはり、性風俗の方々の情報を取るというのは有益というか、うまく取れたらだと思うのですが。そこを診療現場で経験を言う方もなかなかいらっしゃらないかもしれませんし、又はお店に行かないけれども、個人との契約の中でそういう経験をするという方もいらっしゃいます。その辺をどう捉えるかも、ある程度定義を示すのかというのは課題があるかと思います。

○岩本委員長 もう1つは、検査に使う抗原が、カルジオリピンとトリポネーマの抗原とを分けて書いてありますよね。診断基準を見る人がどのぐらいいるか分かりませんが、カルジオリピンの抗体で16倍あればアクティブな再感染ということを言いたいのだろうけれども、それがどれだけ一般のドクターに通じるかというのは、ちょっと危ないところがあると思います。

○荒川委員 今日は、届出票の見直しが主ですよね。だから今、委員長がおっしゃったように梅毒発生届ですが、これが票の真ん中近くで左欄、右欄と分かれていくのですが、先ほど申し上げた症状の記載、診断方法とくるわけです。その診断方法の所の墨汁法、ギムザ染色など、技術的にも難しいので、形骸化しほとんど誰もやっていない。

 それからカルジオリピンを抗原とする検査というのは正しい表記なのですが、ただ今はもう凝集法、ガラス板法というのはコマーシャルベースでもないので、誰もやっていません。RPRカードテスト、これは用手法という意味ですが、これは今かなり自動化してきている、もちろん自動化法の欄は下にありますが。それから T.pallidum を抗原とする検査ですが、これは今、一般に梅毒トレポネーマ抗体と言われていますが、資料46ページの指摘でTPLAがないのはおかしいと。それは確かにそうなので、要するに梅毒トレポネーマ抗体の中でもラテックス法(TPLA)が今かなり主流になっているわけです。結局、何が言いたいかと言うと、診断方法のまる1はRPRとしてまる2を梅毒トレポネーマ抗体にしたら非常にすっきりするのです。両方、今ほとんど自動化法になっていますし。ただ、今、委員長がおっしゃったように、診断基準をよく見ていないと数値だけで書き込む人がいるので、そこを注意喚起することも重要です。

 あと、今の診断基準だったら、まる1まる2とも、カルジオリピン抗原のいわゆるRPR T pallidum 抗原による梅毒トレポネーマ抗体との両方陽性でないと届出をする必要はないのです。しかし実際には、梅毒のごく初期では両方陰性のこともあるし、以前はRPRのほうが先に陽性化すると言われていましたが、最近の自動化法ですと梅毒トレポネーマ抗体が先に陽性化することもある。そのように、どちらか1つしか陽性ではなくて、それこそいわゆる12期の本当にいわゆる顕症といわれる症状がある梅毒でも、それは梅毒の届出対象にならないのです、今のままの届出基準ですと。結局、届出基準と要治療基準がずれているという問題が根本的にあるわけです。

 今日はそれを言うと混乱すると思いますが、次のステップではそういうところを見直す必要があると考えます。今日の段階では発生届だけ見直すのだったら、先ほど申し上げた、症状に口腔粘膜症を入れるのだったらもう少し整理して、それを書きやすくする。それから診断法には今現実にやられていないものはもう書くのをやめて、今やられている方法だけにして書きやすいようにするということを是非していただきたいと思います。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 今、御指摘、いろいろありがとうございます。先ほどの資料の6ページ目で書いたような、整える中身の具体的な御指摘を頂いたと理解しております。先生から頂いた御意見を踏まえて、誤解の生じにくいようなものにしたいという点が1つです。

 あと、先生からもう1つ御指摘いただいた、実際の治療対象群と届出の対象群がずれるという話は、確かに丁寧に整理しないと難しいと思います。専門の先生方ともよく意見交換しながら、今後はその準備をしていきたいと伺って考えていたところです。

○岩本委員長 ちょっと今話が出たので発言します。もう10年ぐらい前の話ですが、性感染症学会の梅毒診断法の委員会のメンバーでした。そのときもこの凝集法とかは要るのかという話になりました、いわゆる昔の倍々希釈法ですよね。そのときに結構調べたら、要するに術前検査の1つなので、大きな病院でやっている所が多くて、数は非常に多かったようでした。だから、その辺の調査をも必要ではないかと思います。。

○荒川委員 今はもうないですよ。

○岩本委員長 もうないの。

○荒川委員 もうほとんどないと思います。凝集法はないでしょう。

○横幕委員 当院でもカードで。

○岩本委員長 こうやって希釈系列をやれる技師さんがいなくなりましたね。

○荒川委員 やっておられますか、凝集法。

○横幕委員 当院はまだ、いわゆるRPRのカードテストで希釈倍で、そっちでやっています。

○荒川委員 ただ凝集法とかガラス板法はないでしょう。

○横幕委員 凝集法ではやっていないです、それはやっていないです。

○荒川委員 それはない、実際コマーシャルラボもやっていません。

○岩本委員長 その他、いかがでしょうか。

○結核感染症課長 今のお話、既往歴のところは、過去に感染したことがあるとか、そういうことでも、まだちょっと分かりにくくなるということなのですか。そこだけまだ方向性が頭に入っていないのですが。

○岩本委員長 いや、方向性を決めるのはそちらでしょうと、私は言いたいけど。

○結核感染症課長 過去に感染治療歴があるというのを書くと分かりにくくなるということですかが。

○岩本委員長 いや、再発というだけの根拠が難しいと思います。感染既往歴はまだいいと思います。

○結核感染症課長 すみません、再発というのが分かっていない。再発というのは1回しか感染していなくて、1回治りかけてまた再発するのを再発としているのですか。

○岩本委員長 それは確かめようがない。

○結核感染症課長 治癒したわけではなくて。

○岩本委員長 カルジオリピンのほうが下がって、1年ぐらいしてポーンと上がったらこれ再発というより、要するに再感染ですよね。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 再感染ですよね、恐らく理解としては。

○結核感染症課長 そうですよね。だから、我々としては発生をどうにか広げたくないためにやっているわけですから、治療が途中であるというよりも、またどこかで感染を他人から受けたという行為について発生届が欲しいわけです。ですから、治療の途中で何か適当になっていて、またバッと出てきたというのではなく、あくまでももう一回、別のエピソードとして感染があったというのを見るべきなのです。それと、治療を中途半端にやった上に再発したというのが見分けられないから。

○岩本委員長 いや、再発って私が言ったのでしたっけ。再発じゃない。既往と再感染の話。

○結核感染症課長 既往と再発が。

○岩本委員長 再発を入れると、もうとんでもないなく難しくなるのではないですか。

 

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 今議論の中に出てきたので、そうではないという。

○岩本委員長 再感染のほうです。ただ、これも先ほど荒川先生が言ったみたいに、恐らくRPR、カルジオリピンとTP抗体が両方ポジティブなものだけ報告することとか、そして過去の既往があるかとか、そういうことだったら分かりやすいと思います。アクティブなものだけ、無症状の人も2つの検査が陽性だったらアクティブなものと考えて、症状がなくても報告してくださいというようなことを、はっきり書くほうがいいと思います。

○横幕委員 実は、本当に臨床家にとって血清学的検査結果の読みは難しい。学会報告レベルでは、TPLA抗体陽性、RPR陰性の場合、感染極初期ということもあるようですが、性感染症学会では診断基準に関する議論があるのでしょうか。

○荒川委員 それなのですが、今、大げさに言うと梅毒医学の再構築というか、それが多分必要で、日本性感染症学会の中に梅毒委員会というのがあるのですが、それを拡大委員会にして、いろいろな科の先生に入っていただいて、要するにアドホックでやろうと思っています。整理して、先生がおっしゃったように、旧来の教科書的には梅毒のごく初期はRPRだけ陽性となっていますけれども、今は梅毒トレポネーマ抗体だけ陽性のごく初期も結構ある。もっと言いますと、先ほど申し上げたように梅毒に感染し症状が出ていても、ごく初期であれば、両方の抗体とも陰性、いうこともありますので、そこをよく整理する必要があります。検査法が従来の用手法からだんだん自動化法に変わってきて感度が上がっていることなどが背景にあります。早急に日本性感染症学会の委員会でやろうとしています。

 梅毒というのは別名「偽装の達人」(the great imitator)と言い、診断が難しい場合があります。非特異症状でも実は梅毒だということがあるので、医師に対する一目瞭然の診断・治療の啓発的な診療ガイドが必要です。先ほど白井先生のごにあった再感染と陳旧性とをどう見分けるかといったことも含めた内容のものが今後必要になってくると思います。ですから、その作成作業を大急ぎでやらなければいけないと考えています。

○結核感染症課長 先生、今日の議論で大体方向が決まったら、届出を改正するのは結構手間ですので、多分半年とか掛かってしまいます。その中で、半年ぐらいで大急ぎでやっていただけるのでしたら、そういうところも少し議論しながらやらせていただきたいと思います。

 白井先生に少しお尋ねします。発生届というのは、我々がこういうものを示すと、このままなのですか。今あるこれがちょうどいいなと思うのですが、裏に発生届の基準みたいなものが何も載っていなくて白紙で、すごく分厚いものを別に見ないとこれをお医者さんは分からないわけですか。

○岩本委員長 厚労省のホームページでは発生届しかないのです。

○結核感染症課長 病院はインターネットで、厚生労働省のホームページでダウンロードして、プリントアウトして書くのですね。

○岩本委員長 いや、それか、プリントアウトしておいてそれを使う。

○白井委員 それと、自治体も保健所のホームページで届出用紙が取れるようにしているのです。届出の疾患によって100以上ありますので、全部配るわけにいきませんので、そのような形でしていますし、もし保健所に問合せがあったらコピーしてお渡しすることはしています。

○結核感染症課長 では、我々がホームページで裏表で印刷すると、裏にこれがちょうどくるような感じでやってしまえば、先生が裏を見て「どうだったっけな」というようなことができるようになるわけですか。

○白井委員 裏までちゃんと印刷すればですが、ダウンロードしたときに。

○結核感染症課長 分かりました、工夫できる可能性はあるということですね。ありがとうございます。

○早乙女委員 早乙女です。妊婦さんのことについてなのですが、やはり先天梅毒の増加というのは非常に問題かなと思います。妊婦検診を受けている、要は未受診妊婦さん以外に関しましては、ほぼ確実に全員が梅毒の検査を受けていらっしゃると思います。自治体によって多少の変動はあるにしろ項目として必ず入っているので、受けていない人はほとんどいないと考えられます。発生届のほうに母子感染の項目がありますが、ここの辺りに妊娠あり、なしというのを入れていただき、初期には取るのですが、その初期というのは大体目安的には10週より前が目安なのですが、遅くいらっしゃる方もいる。それから、妊娠中に新たに感染する可能性も実はあるので、そこについてはほぼ漏れるのだろうと思っております。なので、診断時に何週だったかを入れていただくのも、非常に重要な情報かと思っております。

○岩本委員長 10週目ぐらいにやったほうがいいということですか。

○早乙女委員 本当はそうですね。要するに、妻の妊娠中に夫が外で感染を拾ってくる確率が大体17%というデータもあります。実はそれで後期に感染し、それで知らずに先天梅毒という可能性もあるかとは思いますが、それも推測の域を出ませんので、ある程度明らかにできるのであればしたほうがいいかと思います。

○白井委員 すみません、梅毒ではないのですが、先天性の母子感染を見るときに風疹も全数報告になりますし、そういったところで同じような報告のスタイルにしていただいたほうが書きやすいかと思いました。そういうところがあれば全部そろえていただけると。

○結核感染症課エイズ対策推進室長 それについては法令上の部分もございますので、内部で調整させていただければと思います。

○荒川委員 追加ですが、今日、HIV感染と梅毒と両方の発生届を出していただいているので、この2つを同時に書かなければいけない、ことも少なからずあるわけです。したがって出来る限り、共通項はそろえていただいたほうがいいかと思います。HIVの届出票の方は裏表一枚になっていて、裏の右下のほうに、「最近数年間の主な居住地」とか「国籍」などがあるのですが、梅毒のほうは居住地、国籍はなくて「感染地域」があります。HIVでは「推定される感染地域」と微妙に表現が異なります。なるべく書式をそろえていただくということで、感染原因・感染経路・感染地域の項目を両者で揃えていたくことを希望します。

 それから、岩本委員長も以前、本小委員会でどうして梅毒は国籍を書かせないんだと、おっしゃいましたよね。

○岩本委員長 覚えていません、記憶にございません。

○荒川委員 国籍はHIVのほうは入っているので、梅毒もできたら入れていただくことが、これからインバウンド、アウトバウンドがさらに増加し、東京オリンピックも控えている状況において、HIVと梅毒とで書式をそろえるということからも望ましいと考えます。

○岩本委員長 HIVはエイズ予防指針があったので残っていたのです。それをできるだけ消さないようにしてもらったのですが、感染症法のときに国籍を聞けないので梅毒とかは落ちてしまったのです。しかし、この頃、はしかなどが輸入になっているので国籍を聞いているのが出てきていますよね。だから、そういうところに梅毒を入れるのは事務局で検討していただいていいのではないでしょうか。

○結核感染症課エイズ対策推進室長 国籍に関してですが、HIV、五類感染症の中の7日以内に届出をするというものに関しては、HIVの関係の部分で13に当たりますが、ここに関しては、感染症法上の規定により相当届出の内容について制限されているというものになっております。具体的には、HIVのエイズで入っているものについて国籍などは入っているのですが、これについては仮にやる場合には告示改正という形になってしまいますので、相当ハードルが高いものになろうかと思っております。

 実際、それだけ感染症法上の部分で言いますと、五類感染症で7日以内の届出の部分については必要最小限というか、できる限りここの項目については入れないような構造になっているというのが、法的位置付けになっております。

○荒川委員 今後、是非前向きに検討していただけたらと思います。

○結核感染症課長 そうですね、そこは私も知りたいと思っていろいろ検討させていたのですが、なかなかハードルが高いところもあるので、他のものも見ながら前向きにというか、議論はしっかり進めたいと思います。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 記載用式で結構、感染経路の順番が梅毒とHIVでちょっとずれていたりとかいうことがあるので、そういうところでの工夫がきちんとできるようにちょっと検討していきたいと思います。

○岩本委員長 よろしいでしょうか。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 方針につき、御了承いただいたという理解でよろしいでしょうか。

○岩本委員長 今日、エイズの部分と梅毒の部分、事務局と座長に一任でよろしいでしょうか。それで、感染症部会に上げさせていただきます。ありがとうございました。

○荒川委員 すみません、短く申し上げます。梅毒が今非常に増えているので、予防啓発ということで、今、感染症に関わる5学会、すなわち日本性感染症学会、日本感染症学会、日本化学療法学会、日本環境感染学会、日本臨床微生物学会が合同で国民に広く啓発する文面とリーフレットの作成をやっております。これに関しては、早い時期にいろいろなルートで国民に伝えるべく、これら5学会のホームページ、あるいは大学の学園祭での啓発企画などを早くやっていかないといけない。今年、2018年の第一四半期も国立感染症研究所の速報を見ると去年の第一四半期を凌駕する数が出ていますので、まだ今年も増え続けているという現実の中なので非常に急ぐ作業だと思います。今、学会レベルではそういうことを企画して、早く国民の手元に届くよう考えているところです。この予防啓発では梅毒という病気の解説と心配なら検査を早く受けてくださいということを伝えます。

○岩本委員長 本日はお忙しいところを大変ありがとうございました。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 事務局からです。最後に、次回の開催については決まり次第、改めて先生方に御連絡させていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。以上です。


(了)

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