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2018年3月30日 第131回労働政策審議会職業安定分科会 議事録

○日時

平成30年3月30日 13:00~15:00


○場所

中央合同庁舎第5号館厚生労働省省議室(厚生労働省9階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○議事

○阿部分科会長 それでは定刻になりましたので、ただいまから第 131 回労働政策審議会職業安定分科会を開催いたします。

 本日の委員の出欠状況ですが、労働者代表の勝野委員、柴委員、村上委員、使用者代表の遠藤委員、深澤委員、松井委員、吉岡委員が御欠席です。なお、村上委員の代理として、日本労働組合総連合会総合労働局雇用対策局長の漆原様が出席されております。

 それでは早速ですが、議事に入りたいと思います。最初の議題ですが、雇用保険法施行規則及び建設労働者の雇用の改善に関する法律施行規則の一部を改正する省令案についてです。本件については、 3 27 日付けで厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛に諮問を受けております。それでは事務局より説明をお願いいたします。

 

○総務課長 総務課長の田中です。私から資料 No.1 のシリーズに基づいて、省令の改正概要について説明をさせていただきます。お手元にあります資料 No.1-1 が省令の改正の省令案の要綱の該当部分になります。資料 No.1-2 が今回の改正の概要についてまとめたもので、クリップを外していただくと横置きの参考資料で各助成金についてポンチ絵で説明させていただくものがありますので、それをお手元に御準備いただければと思います。それから資料 No.1-3 が助成金の平成 30 年度予算の整理表で、全体の見直しの概要等を掲載させていただいているものです。

 それでは説明させていただきます。雇用保険法施行規則の一部改正で、来年度予算に伴う助成金の見直しを行う分の省令の改正です。資料 No.1-3 1 枚めくっていただいて、平成 30 年度予算で雇用保険二事業関係の助成金がどのように変わるかということです。平成 29 年度は 1 から 17 番までの 17 本の助成金という構成になっていましたが、平成 30 年度については内容の見直し、また助成金全体を機能別の再編をするということで、全部で 13 本の助成金にまとめるという形になっています。そのうち、番号にマルを付けさせていただいているものが今般、統合とか見直しとかを行って、今日の本分科会で説明をさせていただく部分になります。

 個別の助成金の説明をさせていただきます。資料 No.1-1 2 枚おめくりください。 1 の雇用保険法施行規則の一部改正の 1 、労働移動支援助成金制度の改正です。資料 No.1-2 の参考資料も御参照ください。労働移動支援助成金ですが、事業規模の縮小等によって離職を余儀なくされる労働者等に対して次の所にうまく行っていただくということで、再就職援助について職業紹介会社への委託、休暇付与等々を行って支援する事業主に対して助成を行うものです。現行は 5 コースありますが、それについてコースの廃止や中身の見直しをするものです。

 参考資料を 1 枚めくっていただいて、再就職支援コースです。この資料 No.1-1 の要綱につきましては 1 (2) の部分になります。再就職支援コースは、職業紹介事業者に再就職支援を委託して再就職を実現するという助成金のコースですけれども、再就職支援を委託したときに幾ら、その後再就職が実現したときに幾らという形に現行はなっていますが、再就支援を委託しただけで助成をする部分については廃止をし、再就職が実現したときに支援をするという形に見直しをするものです。

 次が早期雇入れ支援コースで、資料 No.1-1 では (3) の部分です。右側を見ていただくと人材育成支援、対象者に訓練を実施した場合に上乗せをするという形で見直すものですが、これについて 3 ページ、現行では人材育成支援コースということで別途のコースとして実施をしていたものを廃止して、早期雇入れ支援コースの対象となる方への上乗せの助成という形で組み替えるものです。 3 ページにありますように、移籍人材育成支援コースについては廃止をいたします。

 最後は中途採用拡大コースで、資料 No.1-1 3 ページです。現行は支給要件の中に生産性要件を満たす事業所について助成額 50 万、 60 万という形で支給をする仕組みになっていますけれども、 50 万、 60 万という形で助成をすることに加えまして、生産性要件の見方については生産性向上支援、ここのマル2にありますように、マル1の部分の支給を受けてから 3 年後に生産性要件、一定の生産性が上がっているという場合に上乗せをして助成をするという形に組み替えさせていただくものです。中途採用割合を引き上げた場合で生産性が向上した場合は 25 万円の上乗せ、 45 歳以上の者を初めて中途採用した場合の生産性が向上した場合の上乗せは 30 万円ということで、それぞれの採用をしたときの助成金の半分という形での上乗せを組むことにしています。

 続いて参考資料は 4 ページ、資料 No.1-1 3 ページの 2 65 歳超雇用推進助成金制度の改正です。 65 歳超継続雇用促進コース、高年齢者雇用環境整備支援コース、高年齢者無期雇用転換コースとありますけれども、今回見直しを行うのは 1 番目のコースと 2 番目のコースです。 1 番目の 65 歳超継続雇用促進コースにつきましては、 65 歳以上の定年の引上げとか定年制の定めの廃止等々をしていただく事業主に対しての助成ですけれども、高年齢者雇用推進者の選任に加えて高年齢者雇用管理の措置、例えば教育訓練や作業方法の改善とかといったようなことを講じていただくということを要件に追加をするのが 1 点です。これは 3-2 (1) の部分になります。実際の助成額についても引上げの幅が大きく、また対象者も多い所に重点化をする形で、ここの表にありますように、赤字になっていますが助成金を見直すという内容です。

 高年齢者雇用環境整備支援コースについては、高年齢者向けの機械設備の導入、雇用管理制度の構築等々について取組を実施していただく場合の助成ですけれども、当該取組の 6 か月後の実施状況についても提出していただいてしっかり確認をさせていただくということを付け加えることにしております。これについては、資料 No.1-1 については 6 ページの (2) の部分になります。

 資料 No.1-1 7 ページ、参考資料は 5 ページのトライアル雇用助成金についての見直しです。トライアル雇用助成金ですけれども、一般の労働者を対象とする一般トライアルコースについては今回改正はありませんで、障害者を対象とするトライアルコースについて、精神障害者を対象とする場合の助成の内容の拡充を行うものです。ハローワーク等の紹介によって事業主がトライアルの形で労働者を受け入れる場合についての助成になっていますが、これの対象が障害者の場合であって、精神障害者の場合については 1 人につき月額 4 万円、最大 3 か月、精神障害者を初めて雇用する場合は月額 8 万円、最大 3 か月というのが現行ですけれども、平成 30 年度については精神障害者 1 人につき 3 か月間は月額 8 万円、 4 か月目以降は月額 4 万円で、全部で最大 6 か月という形の支給にするものです。

 トライアル雇用助成金の中には障害者、精神障害者等を対象としたものがもう 1 コースありまして、参考資料の 6 ページです。障害特性により、なかなかすぐには週 20 時間以上の労働時間での就業が困難な方について、雇入れ当初は 20 時間未満からスタートをしていただいて、 20 時間以上の労働時間での就業の達成を目指すコースです。これについては、 1 人につき月額 2 万円、最大 12 か月が現行の制度ですけれども、平成 30 年度は月額 4 万円、最大 12 か月ということで、支援額を倍にする見直しを行うものです。

 続いて人材確保等支援助成金の見直しの関係です。参考資料は 7 ページ、資料 No.1 の要綱については 7 ページです。参考資料の 7 ページを見ていただくと、今は職場定着支援助成金という形での助成金と人事評価改善等助成金という 2 つの助成金がありますけれども、これらの助成金については労働力を確保してしっかり定着をしていただくことに資する助成金ですので、平成 30 年度以降は人材確保等支援助成金ということで一本化をしてコースの整理をするのが今回の内容です。これについて変更なしと書いてある所もありますが、順に説明いたしますと、雇用管理制度助成コースについては、制度導入をしたときに幾ら、目標を達成したときに幾らという形でしたけれども、制度導入をしたときに幾らという形での助成の部分については廃止をいたします。

4 番目の保育労働者雇用管理制度助成コースと介護労働者雇用管理制度助成コースについてはそれぞれの分野ごとのコースになっていましたが、コースを統合してより分かりやすくするということで、介護・保育労働者雇用管理制度助成コースに一本化をするものです。人事評価改善等助成金については、人事評価改善等助成コースということで、今回の人材確保等支援助成金のコースとして設定をするものです。

 これについては、目標達成助成の支給、生産性要件算定時期の変更とあります。参考資料の 8 ページです。生産性要件は平成 29 年度から実施をしていますけれども、これまでは助成金を申請していただくときに、言わばこれまでどれだけ生産性が向上したかということに着目した形で上乗せをする助成をしていましたが、今後は可能なものについては実際の整備をして一定の期間、 3 年後に生産性が向上していれば上乗せをして払うという形で、より助成金の支給と生産性の向上といった形での成果を直結した形で判断をさせていただく助成に見直すということでして、この人事評価改善等助成コースについても、 3 年後の状況を比較して上乗せをする形に生産性要件の部分を変更するものです。

 参考資料の 9 ページの人材確保等支援助成金ですけれども、設備改善等支援コースということで新しく設けさせていただくものです。要綱の中では 8 ページの (2) のハの部分になります。雇用管理の改善を図るために ICT 化とかハード面の整備を行って雇用管理改善を行い、生産性の向上に努めるという取組を促進していくために、設備投資によって雇用管理を改善した事業主に対しての助成制度を新たに設けるというものです。内容につきましては 9 ページの下にありますように、計画期間 1 年と 3 年という形で実施をするものでして、雇用管理改善計画を策定していただいて賃金上昇とかといったことの雇用管理の改善に関する目標を立てていただく、そういう計画を立てていただいて 1 年後に計画が達成しているかどうかを確認させていただく。その後、 1 年間の計画期間のコースについては、更にそれから 2 年後に生産性が向上しているということが確認できれば更に上乗せ助成を行うものです。

 設備投資の額が上がるものにつきましては、むしろもう少しロングスパンで雇用管理の改善を実施していただくということで、改善期間開始から 1 年、それからまた 1 年、 1 年ということで、全部で計画期間 3 年を掛けて雇用管理改善を進めていただく助成を行うものです。上乗せ助成等を全て取られたということであれば、総額は 130 万から 450 万円の助成を行う形になります。雇用管理改善計画の開始から 1 年、それから 3 年で支給をするという助成金ですので、ここのページの右肩にありますように、平成 30 年度については制度を創設するということで省令を改正させていただきますが、実際に使われて助成金が支給されるのは平成 31 年度以降になるということです。

 続いて参考資料の 10 ページです。資料 No.1-1 の要綱のほうは 11 ページです。 5 番の障害者雇用促進等助成金の改正という所です。障害者雇用安定助成金という形にくくり直して、そこの中に必要なコースを設けるという形で全体を整理させていただいております。障害者の助成金の中で今回見直しを行うのは、参考資料の 10 ページの中のマル6中高年障害者の継続雇用支援の助成を新たに設けるものです。 45 歳以上で当該事業所で 10 年以上勤続されている障害者の方を対象にした支援のコースでして、適性や能力に適合する作業の改善とか、作業行程の変更等といったような職務開発等を行う事業主に対して、対象労働者がその後 6 か月以上職場に定着していることを要件といたしまして、対象者 1 人当たり 70 万円、 50 万円という助成金を支給する制度を新たに設けるものです。

 次ページは、障害者雇用安定助成金の中の障害者職場適応援助コースの見直しです。資料 No.1-1 では 12 ページの (3) の部分です。障害者は職場適応に課題を抱える場合が多いので、これについて雇入れ後の職場適応、定着を図るために職場適応援助者による支援を実施される事業主に対しての支援になりますが、改正内容について今回見直す内容は、 2 の内容の所の下線部分になります。この職場適応援助者が訪問型ということで、企業に毎日おられるのではなくて訪問してこられる場合のものと、企業在籍型ということでその企業に常駐しておられる場合とありますけれども、精神障害者を支援する場合に 3 時間以上 4 時間未満の場合は 1 6,000 円という形で、精神障害者を対象とされる場合の支援を一部手厚くするものです。企業在籍型についても同様に、大企業は 9 万円、中小企業は 12 万円という形で、精神障害者に対しての支援を行う場合の支援を強化させていただく内容にしています。

12 ページの障害者の関係ですけれども、障害や傷病、治療と仕事の両立支援コースです。これについては、がん等の反復・継続して治療が必要となる傷病を抱える労働者が治療の状況等に合わせてその事業所での就業を継続できるように、その特徴に配慮した就業上の措置を行う事業主に対しての支援です。平成 29 年度は両立支援制度の導入をして、実際にその制度を使う労働者が出た場合に 1 回のみ 10 万円を支給するという内容でしたが、平成 30 年度に向けては拡充、変更をさせていただきたいと考えております。

 まず環境整備の助成ということで、両立支援制度を導入し、企業在籍型のジョブコーチ若しくは両立支援コーディネーターを配置した場合に助成をするということで、企業在籍型ジョブコーチを配置される場合については 30 万、両立支援コーディネーターを配置される場合には 20 万ということで、制度面での整備を行う場合の助成。それから 2 として、制度活用助成ということで、実際に労働者に適用して、適用した方が 6 か月以上雇用継続をされる、当然その対象の期間内に一定日数以上勤務をされる場合に 1 人当たり 20 万円という形で助成をすることに見直す内容です。

13 ページですけれども、障害者職業能力開発コースとありますが、現在これは障害者の能力開発のコースを障害者の助成金の中で見ているのを人材開発支援助成金能力開発のほうに統合するということで、中身について特に改正があるわけではありません。

14 ページの生涯現役起業支援助成金の見直しです。要綱のほうは 14 ページです。この助成金につきましては、中高年齢者が創業される際に必要となる募集・採用の経費ですとか、教育訓練の一部を助成させていただくものです。起業したことへの支援ですので、いわゆる過去を見ることができませんからこれまで生産性要件の対象にはしていませんでしたが、今後は生産性要件を助成金の支給から何年後を見るという形で見直すことにしておりますので、この助成金についても生産性要件を設定するということにする部分が新しいものになります。事業年度の生産性とその後、事業 4 年目の生産性を比較して生産性要件を満たしていれば上乗せをするという形に拡充をさせていただくものです。

 参考資料は 15 ページ、要綱は 14 ページの 8 、地域雇用開発助成金の見直しです。熊本地震の特例ということで、時限を限って熊本県全域を対象とするという特例を設けておりますけれども、平成 31 3 31 日までということで適用期間を 1 年間延長するものです。

 参考資料の 16 ページ、建設の関係です。 17 ページですけれども、平成 29 年度は建設の分野に特化した形での建設労働者確保・育成助成金ということにしていましたが、平成 30 年度以降は機能別に再編をするということで、それぞれの機能のものがトライアル雇用助成金、人材確保等支援助成金、人材開発支援助成金という形に再編されて、これらをまとめて建設事業主に対しての助成金という形で打ち出していくことにしています。単に統合される、置き場所が変わるというものを除いて今回見直しをしますのが、 18 ページの人材開発関係、技能実習、建設労働者技能実習コースと、雇用管理改善の雇用管理制度助成コースについて一部見直しをさせていただくものです。

 まず技能実習コースについては、現状は中小企業事業主と中小以外の事業主で助成の割合が異なっていますけれども、このうち中小の事業主を対象とした助成金について、特に 21 人以上の中小の建設事業主の方を対象とする部分につきまして、より助成内容を見直し、対象者が 35 歳未満の方と 35 歳以上の方に分けて、 35 歳未満の方を重点的に支援する形に見直すことにしています。中小企業以外の建設事業主も、これの支給対象は女性の方に限るわけですが、これについても生産性要件を満たした場合、生産性要件を満たさない場合ともに若干の引上げを図らせていただくものです。

 右のほうですが、雇用管理制度の助成の部分です。これについては資格手当が年間 3 %以上かつ 15 万円以上増額させた場合に出るものですけれども、これではややハードルが高いということもあり、年間 2 %以上 10 万以上という形の要件設定にし、それに見合った形で助成金の額についても見直しをさせていただいているものです。ここの部分は資料 1-1 では 15 ページ以降になります。これらについて見直しを行い、最後の要綱の 17 ページにありますけれども、平成 30 4 1 日から施行ということにさせていただきたいと考えていますので、よろしくお願いいたします。私の説明は以上です。

 

○阿部分科会長 それでは、本件について御質問、御意見がありましたら御発言をお願いいたします。

 

○森下委員 御説明、ありがとうございました。今、事務局から説明のあった助成金の中で、今後御検討いただきたい部分がありますので、一言申し上げます。 65 歳超雇用推進助成金の 65 歳超雇用促進コースについては、 60 歳以上の雇用保険被保険者数に応じて助成額が決まるとのことですが、今回、助成内容が見直され、 1 人から 2 人の区分では減額、 10 人以上の区分では増額へ見直されます。 10 人以上の対象者がいる大きな事業所で継続雇用促進に取り組むことで、継続雇用を効果的に進めるという意図は理解できるのですが、次回の見直しに当たっては、中小企業又は小規模事業者への配慮を御検討いただければと思います。

 中小企業や小規模の事業所では、雇用する高齢者の人数は少ないかもしれませんが、雇用者全体に占める高齢者の比率が高い事業所も多くあります。多数の高齢者が中小企業・小規模事業者の下で働いておりますので、次回の見直しに当たっては雇用する高齢者の数だけでなく、比率でも考えていただき、 1 人から 2 人などの 60 歳以上の雇用保険被保険者数は、少なくとも事業者規模で見れば高齢者の継続雇用を積極的に進めている事業主には、手厚い支援をお願いしたいということを申し上げたいと思います。

 

○阿部分科会長 それでは、御意見として承りたいと思います。

 

○松原委員 今、森下委員からお話がありましたことは、私も全く同感ですけれども、それに併せて、お尋ねしたいと思います。このページの右上にあるように平成 30 年度の予算額は、 25.9 億円から 43 7,000 万円に大幅に増額されるという中において、規模が大きい所に増額をして、規模の少ない所に減額をしているという考え方について、確認をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 

○阿部分科会長 御質問ですので、事務局からお願いします。

 

○高齢者雇用対策課長 今ご指摘頂いた点ですが、確かに平成 29 年度の予算から平成 30 年度の予算は、約 18 億円増額しています。実は、去年の補正予算のときにこの予算額を増やしたのですが、特に中小企業からの申請が予想以上に多く支給が停止し混乱が生じないようにするため、約 133 億円流用しました。そのようなことを踏まえ、来年度は企業規模に応じた助成の重点化・最適化等の均衡を図るため、このような形で整理をしたというのが現状です。

 

○阿部分科会長 松原委員、よろしいですか。

 

○松原委員 はい、ありがとうございます。

 

○久松委員 参考資料の 2 ページの「労働移動支援助成金の見直し」の、再就職支援コースにおける再就職支援委託時の助成金の廃止について、御質問させていただきたいと思います。言うまでもなく労働移動支援助成金は、離職を余儀なくされた者に対する再就職支援であり、安定した雇用に誘導することを目的としているというように認識しています。その意味では委託時の助成金の廃止により、これまでも問題視されていた、助成金を目当てにした安易なリストラを行う事業者からの申請が抑制されることを期待したいと思っているのですが、改めてこのタイミングで委託時の助成金を廃止することとした考え方について、お伺いしたいと思います。

 

○労働移動支援室長 平成 28 年度にも委託開始申請分について、御議論いただいたと思います。そのときも廃止すべきとの御意見があったと承っております。今般、平成 28 年度の決算検査報告において、会計検査院から出ておりますけれども、委託開始申請分の支給対象者の中に、再就職支援を受けることを承諾しながらも、支給対象者の御都合で助成対象期限内に再就職されていない、そういう意思もないという方がいらっしゃいました。そういうことで、対象労働者の再就職を受ける意思等を確認するなど、対象労働者の範囲を見直す旨の要求を受けたところです。

 今般、会計検査院の御指摘のとおり、支給対象者の御都合はあるものの、結果として再就職支援を委託して委託開始申請分の支給対象となった方に、助成対象期限内に再就職支援を受けてない方が結果として含まれているという状況は、早期再就職を目的とした本助成金の趣旨には沿わないということで、委託を行い、かつ、再就職を実現した場合に、初めて支給を行うこととさせていただいております。なお、この支給金額については概算で払うのですが、最終的にはこの 10 万円を加味した形での精算になりますので、支給金額についての変更はありません。

 

○阿部分科会長 その他、いかがですか。

 

○高松委員 参考資料 3 ページ、人材育成支援コースについてです。このコースが廃止になるということで、 2 ページの下の早期雇入れ支援コースの上乗せになるという御説明がありました。このように変更した考え方について、御質問したいというのが 1 つです。併せて、今の内容では分かりづらいのですが、資料 1-2 4 5 ページに、詳細な表が載っております。これを見ますと、 OJT の助成金の限度額が 680 時間から 340 時間、 Off-JT については 1,200 時間から 600 時間へと、それぞれ減少しております。この考え方についても御質問させていただきたいと思います。

 

○労働移動支援室長 まず、人材育成支援コースです。今般、この人材育成支援コースを廃止して、再就職援助計画対象者等に対する人材育成は、早期雇入れ支援コースのほうに加算することにしております。早期再就職は 3 か月以内ですけれども、こちらについては早期の雇入れということもあり、何らかの訓練が必要な状況も想定されるということで、こういった加算措置にさせていただいています。

 その一方で、この早期雇入れ支援コースは、期間の定めのない労働者を受け入れることが支給要件となっておりますので、当然定着が前提となっております。人材育成が必要な場合については、既存の在職者訓練等もありますので、いわば常用雇用というか、定着していれば既存の人材育成の助成金も活用できることから、今般、早期雇入れに限った加算とさせていただきました。対象時間が減っているのは、今までは雇い入れてから最長 1 年間の訓練を実施すれば助成が出るということにしておりましたけれども、今回 1 年ではなく、最長 6 か月間の訓練を実施していただこうということで、時間数を見直して若干変更になっているわけです。

 

○高松委員 今のところは分かりました。併せて、参考資料の 3 ページ、今御質問したその下の移籍人材育成支援コースも廃止になっていますね。ちょうど 1 年前の職業安定分科会のときに、拡充策を講じたばかりではなかったかと記憶しております。そういう中で、 1 年で廃止とする考え方についても御質問させてください。

 

○労働移動支援室長 昨年の分科会でも御議論いただいたと思うのですけれども、雇用情勢の改善により、実際のところ人材、人手不足ということもあり、企業間の移籍自体が少ない状況です。そういった中で支給実績もないということでしたので、今回、廃止という判断をさせていただいたということです。

 

○高松委員 拡充後すぐに廃止するのが悪いというわけではないのです。ただ、政策効果の検証を考えた際に、本当に 1 年単位で増額したものを廃止していいのかというところでは、多少疑問に感じるところもあります。例えば、事業主への周知や徹底というのがしっかりできていた上で、こういう効果であれば仕方がないのですが、そうした周知や徹底についても今後は御確認の上、政策の変更をお願いできればと思います。これは意見です。

 

○村上委員代理 代理で出席している漆原です。障害者関係の助成金で、幾つか質問をさせていただきたいと思っています。参考資料の 6 ページのトライアル雇用助成金についてです。正に本日の午前中も「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する検討会」において、障害者の雇用の質を上げるために、週 20 時間未満勤務の障害者への対応をどうするかについても論点に上がっていたところです。この参考資料では、「精神障害、発達障害といった」という記載になっておりますが、要綱には「精神障害等」という記載になっております。この「等」が何を意味するかについてお聞きしたいと思います。障害者にとっては精神障害・発達障害以外の方でも、 20 時間未満の就労があると思います。その適用範囲として、「等」はどの辺までを想定しているのかというところが、まず 1 つです。

 次に、参考資料の 10 ページ、障害者雇用安定助成金についてです。中高年齢の障害者の継続的な雇用を目的とした環境整備のために、本制度が作られたことは、本当に歓迎したいと思っております。その上で、助成支給のマル6の要件が、「 45 歳以上の障害者」という記載となっております。ここで例えば健常者が、 30 歳から勤めて 50 歳で障害認定をされた中途障害の場合も、 45 歳以上の障害者というところに含まれるのかどうかを確認したいと思います。

 もう 1 点、細かいことで恐縮ですが、資料 1-2 12 ページで、中高齢障害者を職場で継続的に雇用するための職務内容や環境整備の助成を新たに新設するという記載が、 (2) のマル1にあります。これも本当に必要だと思うのですが、ここで言う中高齢障害者というのは、何歳ぐらいを想定しているのか。例えば知的障害者ですと、 40 歳からかなり体力が落ちてくるとか、正に障害の特性そのものによっても違うのです。この年齢の設定の在り方についてもお伺いしたいと思います。

 

○阿部分科会長 では、事務局からお願いします。

 

○雇用開発企画課長 まず 1 点目の短期のトライアル雇用ですけれども、メインターゲットとしては精神障害者・発達障害者です。そのほかにどこまで含まれるかという詳細については、すみませんが、また後日お話できればと思います。

 あと、 45 歳以上の障害者の中に、中途障害の方も含まれるかということですね。恐らくこれも含まれると思いますけれども、もう一度確認してお話したいと思います。

 それから、資料 1-2 12 ページ、中高齢というのはどういう年齢層かということですが、基本的には 45 歳以上を考えております。ただ、御意見のように、もっと低い層もあるじゃないかという御意見もあろうかと思います。そこはまた今後、いろいろ考えていきたいと思っております。

 

○林委員 私からは参考資料の 14 ページ、生涯現役起業支援助成金について質問させていただきたいと思います。趣旨の所に、「中高年齢者が、起業する際に必要となる、募集・採用や教育訓練の経費の一部を助成することで、中高年齢者の起業と雇用機会の創出を図る」とあります。助成額については、年齢層によって差はありますが、今回新たに上乗せ支給要件ということで、起業後の初事業年度の生産性と、その後の 4 年度目の生産性を比較し、生産性要件を満たしていることにより助成するという上乗せの支給要件が書かれております。この場合の条件として 1 点質問させていただきたいのが、例えば起業したときには、この条件に当てはまる 40 60 歳以上の方が起業したところ、 4 年後に様々な理由で経営者が代わって、少し若い方に代わった、例えば 40 歳以下に社長、起業者が代わった場合に、この助成の対象となるかどうかをお聞かせいただきたいのです。

 

○雇用開発企画課長 生涯現役起業支援助成金についてです。現状はどうなっているかと言いますと、基本的には起業した人が代わらないことを前提にしております。現在の助成金というのは、起業したらすぐに出る助成金ではなくて、いろいろな取組をして申請していただくので、起業してから半年から 1 年後に御申請いただくことになります。基本的に同じ人を念頭に置いております。また、今回の上乗せ要件で 3 年、事業年度で言えば 4 年目になりますけれども、これについても基本的に代わらないことを前提に考えております。そういうことで、若い人に代わろうが、同じ年齢層の人であろうが、事業主が代わらないことを前提に作ってはいるのですけれども、果たしてその運用でいいかどうかというのは、今後もまた検討したいと思います。

 

○林委員 確かに今までは経年を見てなかったので、起業直後だったと思うのですけれども、 4 年間見るとなると、やはり様々な理由で代わられることもあると思います。私も原則は代わらないということでいいと思いますが、今回の趣旨が、中高年齢者が起業することに焦点を置くのであれば、例えば 60 歳以上の方であれば、お体の都合で息子さんや娘さんに譲ることもあると思います。ですから、そのタイミングもいろいろ見ながら、なるべく多くの方に助成できるような指針も示していただければと思います。これは意見として述べさせていただきます。

 

○阿部分科会長 その他、いかがでしょうか。

 

○鎌田委員 私は、個々の支給要件についてではないのですが、助成金が非常に分かりづらくなってきていると、前から感じているのです。去年、ここでも議論になった抜本改革ということで、助成金やコースのメニューの見直しをかなり行っていたわけです。しかし今回、更にそれが助成金やコースの廃止も含めて見直しをされている。 1 年でメニュー自体が変わっていくということが、非常に分かりづらいと思っております。個々の支給要件についての改定は、もちろん制度目的として必要なこともあると思いますが、一般の方から見ると、メニュー自体が変わっていくというのは、どこがどう変わって、自分が計画していたものを、今度はどういう形でどう支給するのかということを、常にフォローアップしなければいけないということになっていくわけです。それは周知というか、分かりやすくするということでしかないのかもしれませんけれども、今後、こういったことも少し考えながら見直しを行ってほしいと思います。

 

○阿部分科会長 よろしいですか。特にこれ以上ないようでしたら、当分科会は厚生労働省案を妥当と認め、その旨を私から労働政策審議会会長に御報告申し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 

( 「異議なし」と声あり )

 

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。では、報告文案の配布をお願いいたします。

 

( 報告文案配布 )

 

○阿部分科会長 お手元に配布された報告文案により、労働政策審議会会長宛てに報告することとしてよろしいでしょうか。

 

( 「異議なし」と声あり )

 

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告をさせていただきます。

 では、次に移ります。次の議題は、「高年齢者等職業安定対策基本方針の一部改正案について」です。事務局よりお願いいたします。

 

○高齢者雇用対策課長 高年齢者等職業安定基本方針の一部を改正するということで、資料の用意をさせていただいております。資料 2-1 が諮問文と告示案の新旧、資料 2-2 がその趣旨です。資料 2-2 にありますように、高年齢者等職業安定基本方針の対象期間が、本年度いっぱいで終了することになっております。本来であれば今年度中に新たに基本方針を策定することになりますが、皆さんも御存じのとおり、内閣官房に設置された「人生 100 年時代構想会議」において、「多様な形の高齢者雇用」というのが 1 つのテーマになっております。この基本方針においても当会議の議論等を策定するときに、構想を踏まえる必要があると考えております。したがって、今回は当該基本方針の対象期間を平成 30 年度までの 1 年間延長し、来年度に改めて議論を頂き策定したいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

 

○阿部分科会長 それでは、本件について御質問、御意見があれば御発言ください。特によろしいですか。それでは、当分科会としては厚生労働省案を妥当と認め、その旨を私から労働政策審議会会長に御報告申し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 

( 「異議なし」と声あり )

 

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、報告文案の配布をお願いいたします。

 

( 報告文案配布 )

 

○阿部分科会長 お手元に配布された報告文案により、労働政策審議会会長宛てに報告することとしてよろしいでしょうか。

 

( 「異議なし」と声あり )

 

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告をさせていただきます。

 次にその他の議題として、皆様のお手元にお配りしている資料について、事務局より説明をお願いしたいと思います。

 

○雇用政策課長 資料 3 を御覧ください。「雇用対策法施行規則の一部を改正する省令案について」という資料があります。こちらの雇用促進税制に関する内容です。雇用促進税制の関係の税額控除等については、租税特別措置法によって位置付けられて規定されているところですが、必要な提出書類である雇用促進計画については、雇対法施行規則の中で位置付けられており、それに関する内容となっているものです。雇用対策法施行規則の付則第 8 条においては、雇用促進税制に関する雇用促進計画の様式を規定しています。今般、平成 30 年度の税制改正により、雇用促進税制の廃止及び地方拠点強化税制における雇用促進税制の改正等が決定されました。これを踏まえ、所要の改正を行うものです。

 中段に ( )( ) と書いてあります。雇用促進税制は、雇用機会が不足している地域において、無期雇用かつ、フルタイムの雇用者を増加させた場合に、その増加数に応じて税控除を受けられる制度でしたが、 (1) にありますように、平成 30 年度税制改正で廃止が決定されています。雇用情勢の改善により、その延長が認められなかったという形で廃止ということになっております。

(2) が地方拠点強化税制における雇用促進税制です。こちらは本社機能を地方へ拡充又は移転し、拡充・移転した業務施設において雇用者を増加させた場合に、その増加分に応じて税控除を受けられる制度です。こちらについては制度の改正及び延長が決定しました。このため、税制の適用のために事業主が提出する必要がある雇用促進計画について、必要な改正を行うもので、具体的な様式は資料の 2 ページから書いてあります。雇用促進税制が廃止されたことを踏まえ、税制の適用のために必要な項目については削除させていただきます。また、地方拠点強化税制における雇用促進税制の適用要件が緩和されたことを踏まえ、こちらの要件の確認に必要な項目については修正又は追加を行います。

 どういった変更がなされたかについて、簡単に御紹介したいと思います。 10 ページを御覧いただきますと、一覧のような形で記載しています。例えば一番上の所では、「法人の雇用者の増加数が一定数必要」ということです。これまでは雇用者の増加数が 5 人以上、中小企業では 2 人以上であったものから、整備した業務施設における雇用増加数が 2 人以上といった緩和を行いました。また、中段の所では「拡充型・移転型共通」という項目があります。これは移転型・拡充型で異なりますけれども、法人全体の雇用者増加率 10 %以上の場合というところが、法人全体の雇用者増加率が 5 %以上の場合とか 8 %以上の場合といった形で緩和をしていったものです。非常に簡単ですけれども、御報告は以上です。

 

○阿部分科会長 本件について御質問、御意見がありましたら御発言ください。

 

○玄田委員 雇用促進税制については廃止ということですね。これはもともとリーマンショック以降の非常な不況期に、どのような政策が必要かということで、様々な緊急雇用対策と並んで、非常に大きな効果を持ったのではないか、一定の歴史的役割を果たしたのではないかと思っております。

 ただ、今後のことも考えますと、この税制によって一体どのくらいの雇用が生まれたのか、運用上の課題とか、そういう記録とか、いわゆるエビデンスを比較的多くの方が見えるような形で残しておいていただけますと、また今後不況等が起こったときに、 1 つの古くて新しいアプローチとして活用できる可能性があると思います。是非、将来の歴史的検証に耐え得るような記録を、きちんと残しておくことが大事だろうと思っておりますので、改めてお願いをしておきたいと思います。

 

○阿部分科会長 その他、いかがでしょうか。手元に参考資料 1 、「生産性要件による上乗せ助成等の支給実績について」というのがありましたけれども、この説明はなくても良かったのですか。

 

○雇用開発企画課長 雇用開発企画課長です。参考資料としてお配りしましたが、今年度から導入いたしました生産性要件の上乗せ助成ですが、運用状況について、今後報告をせよと審議会、昨年の分科会でも御意見がありました。実を言いますと、まだまだ緒に就いたばかりということで御報告するほどのまとまったものはないのですが、中間的にということで、参考資料としてこれを入れたところになります。簡単ではありますが、御説明いたします。

 まず、この上乗せ助成ですが、大体、大雑把に言いますと半分ぐらいの助成金について設けているというような措置です。支給実績が何件あったかですが、全体で、これは昨年 4 月から今年 1 月まで 10 か月間の実績は 2995 件、支給決定件数は 2955 件です。うち、 6 %以上生産性が上がっていたということで、支給決定したものが 2843 件で、 9 割以上ということです。あと、 1 %以上 6 %未満のものについては、昨年度も御説明しましたが、金融機関における事業性評価を加味して決定をするということですが、この件数が 112 件です。あとは、不支給が 734 件あったということです。ちなみに不支給になった理由ですが、これは全てのものを調査したのではありません。平成 30 1 月分を抽出して調査したところ、約半分の 55 %のものが、これが生産性要件ではなく、事業主都合による解雇等があったということで駄目だったということです。残りのものについては、計算してみたら、やや達していなかったところが 36 %ということです。残りのものについては生産性要件を計算しようとしたけど、計算できなかったと。昔、 3 年前には事業所が存在しなかったので、計算ができなかったということで不支給になってしまったものがあったと把握しております。

 次のページですが、どの助成金で支給決定件数が多いかということです。表の 2 の所で、これは今回の改正前の助成金の名前が書いてありますが、それぞれについてどれぐらいの件数があったかです。※の付いているものですが、職場定着支援助成金や、人事評価改善等助成金については、支給申請が来年度からではないと出てこないということで、これは理論的には支給決定ができないので、 0 件です。地域雇用開発助成金についても、理論的には出てくるはずですが、実態としては、やはり計画をして、それから計画を実施するまで時間が掛かるということで、これも事実上、今年度中は出てこないものですので、ほかの助成金については、可能性があるということです。これで見てみますと、労働移動支援助成金については、 1 件決定しています。それから、建設労働者確保支援助成金が一番多くて 1132 件です。あと、両立支援が 317 件、キャリアアップ助成金は 166 件、人材開発支援助成金、能力開発の関係が 338 件です。

 表の 3 は、どのような意味があるかということですが、つまり、どれぐらい全体の中で、この生産性要件の支給決定をしたかです。これは、去年の 11 月から今年の 1 月までの 3 か月間で見てみますと、労働移動支援助成金については、生産性要件の決定をしたものが 11 月よりも以前でしたので 0 件になってしまっていますが、ほかのものについては、それぞれどれぐらいの支給決定をして、そのうち生産性要件で上乗せをしましたというのが何件あるかというので、割合を出しております。建設労働者確保支援助成金というのは件数は多いのですが、もともとの支給決定件数が非常に多いですので、大体 3 %、 3.5 %です。以下、 14.3 %、 9.5 %といったような形ですので、均してみますと、やはり 10 %未満のところが使っているというような実績です。これらの実績につきましても、もう少し運用してみて、分析したいと思っているところです。以上です。

 

○阿部分科会長 ありがとうございました。

 

○玄田委員 説明ありがとうございました。以前この生産性要件を議論した際に、私の記憶ではいろいろな留意といいますか、提案が出されたような記憶があり、特にそのときあったのは生産性というのは一体どのようにして測るのが、この助成の趣旨に合っているかという、経済学などの観点からしても生産性を測るというのは、実はそんなに簡単なことではないはずで、そのときにも説明がありましたし、今も説明があった金融機関等々の評価を加味して判断するとなると、労働政策を実行するときに金融機関の評価に委ねて評価を行うということが、果たして妥当であるかといったことも含めて、いろいろ議論が出たような気がします。今の説明の中に、私自身の理解では、一体どうやって生産性を測っているかということについては、計算書が存在していて、それに踏まえてなされていることが分かりましたが、一体何をもって、そのように評価しようというのが、依然としてよく分からないままでした。

 加えて、そのような計算書を使って適切な評価をなされたとしても、例えば冒頭に森下委員から説明があったように、中小企業と大企業で、生産性の測り方を同一視していいのかと。例えば、助成とともに新規の設備投資を大きくできるような会社ですと、生産性は上がる可能性は高いのですが、なかなか、そのような余裕がないところまで含めて同じ基準で生産性を測るとなると、やはりどうしても規模の大きい会社のほうが生産性向上に加味しやすいのではないか。あとは、サービス関係であると、本当にサービス業の生産性をどう測るかというのは、非常に大きな課題を残しているままであって、特に、そのような業種によって、生産性を測るのが非常に難しい問題があるときに、それをどういうふうに対応しているのかということで、やはり、まだまだ検証する予知があるように思っております。

 ですので、是非とも先ほども冒頭でお話があったとおり、これを未定稿ということもありますので、特に生産性というのが、今の段階では、このようにして評価をしているのだが、課題はどの辺にあるかということもつまびらかにしていただきながら、是非、この辺りも進めていただきたいことを、要望として申し上げます。

 

○阿部分科会長 ありがとうございました。何かほかに、この件についてございますでしょうか。

 

○玄田委員 もし可能であれば、生産性で、今の段階で、どのような測り方をしているかを概略でも結構ですので、教えていただけると有り難いのですが。

 

○雇用開発企画課長 お答えいたします。基本的な考え方としましては、分母を労働力投入量、分子が付加価値ということを基本に、これをどのようにしたら事業主さんも計算しやすくて、かつ我々も間違いなくチェックできるかということで、いろいろ考えてみたところです。まず、分母の部分は、これは恐らく本来的な生産性を測るためには、マン / アワーでやらなければいけないと思うのですが、ただ労働時間のところを全部くまなく調べられるかというと、これはなかなかチェックも難しいですし、検証が非常に難しいということで、実は、分母は雇用保険の被保険者数にしています。それから分子のところは、これは簡単に言うと、総収入から原材料費を引いた、粗利益になるかと思うんですが、これも計算しやすいように、申し上げますと営業利益、人件費、原価消却費、動産、不動産、賃貸料等ということで、それらを足し上げたものを分子にして、要するに付加価値があると、これで計算をしているということです。

 ただ、先生がおっしゃるように、それで全ての生産性が分かるのかというと、これは 1 つの指標ではあると思うのですが、労働生産性をこれだけで全部測れるということでは多分ないと思います。ただ、助成金ですのでどこかで線を引かなければいけない。こういう観点で、これで計算をしています。

 

○玄田委員 御説明ありがとうございました。非常に、それも生産性と言うのかなと感じですよね。そうすると今の話を聞くと、雇用保険に加入しない労働者をたくさん雇って、生産性には加味されない人に、できるだけたくさん労働時間が長く働いてもらって、それで成果を出すという、どちらかというと働き方改革と逆をしたほうが生産性が上がる感じにも、いじわるな見方をするとならざるを得ないわけで、今の御説明でするとどうやって複数の指標を作り上げていくのかということと、やはり労働時間、今、多分、私は一番成果が頑張れているのは、労働時間を短縮しながら一定の付加価値を上げることを大変な御努力をされていると思うので、何とかその部分を生産性に加味できる指標を作ることも、緊急的な課題であるのではないかと今、改めて思いますので、是非その辺りは、更なる御検討をお願いできればと思いました。ありがとうございました。

 

○阿部分科会長 ありがとうございました。では、御意見として承りたいと思います。ほかに御質問、御意見はございますでしょうか。それでは、特にないようでしたら、本日予定されている議題は以上ですので、本日の分科会は、これで終了したいと思います。

 本日の会議に関する議事録につきましては、労働政策審議会運営規程第 6 条により、分科会長のほか、 2 人の委員に署名を頂くことになっております。労働者代表の松原委員、使用者代表の河本委員にお願いしたく思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、年度末のお忙しい中、御参集いただき、ありがとうございました。

 


(了)

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