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2018年3月16日 第52回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会建設労働専門委員会議事録

職業安定局雇用開発部建設・港湾対策室

○日時

平成30年3月16日(金)15:00~17:00


○場所

中央労働委員会第205会議室(2階)
(東京都港区芝公園1-5-32)


○出席者

公益代表

鎌田座長、小野委員、勇上委員

労働者代表

岩永委員、小倉委員、勝野委員、曽根崎委員

使用者代表

大木委員、土屋委員、最川委員、渡辺委員

事務局

坂根雇用開発部長、吉野建設・港湾対策室長、向山建設・港湾対策室長補佐、藤井建設・港湾対策室長補佐

○議題

(1)建設雇用改善計画(第九次)の実施状況について
(2)建設労働者の雇用の改善等に関する法律第12条第1項の規定による実施計画の認定等について(非公開)
(3) その他

○議事

○向山建設・港湾対策室長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまから、第52回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会建設労働専門委員会を開催いたします。

 私は、厚生労働省建設・港湾対策室長補佐の向山と申します。よろしくお願いいたします。

 冒頭は事務局のほうで進行させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 まず、配布資料の確認をお願いしたいと思います。

 配布資料は、資料1-1から資料3-2、それから、参考資料は、参考資料1から参考資料4までございます。お手元に足りない資料がございましたら、お申し出をお願いいたします。

 続きまして、今年度から新たに選任されました委員の方の御紹介をさせていただきます。お手元にございます参考資料1が、最新の当委員会の名簿でございます。

 平成29年4月27日付けで新たに2名の方が御就任をされております。ここでは、お名前のみ御紹介をさせていただきます。

 お一人目が、公益代表委員といたしまして、独立行政法人労働政策研究・研修機構主任研究員の小野晶子委員でございます。

○小野委員 よろしくお願いいたします。

○向山建設・港湾対策室長補佐 お二人目が、同じく公益代表委員といたしまして、神戸大学大学院経済学研究科准教授の勇上和史委員でございます。

○勇上委員 よろしくお願いいたします。

○向山建設・港湾対策室長補佐 また、本日の専門委員会におきましては、後ほどでございますが、国土交通省土地・建設産業局建設市場整備課の山影専門官に御出席いただいて、御説明をいただくこととしておりますので、御紹介をしておきます。

 続きまして、事務局でございます厚生労働省職業安定局雇用開発部長の坂根より御挨拶を申し上げます。

○坂根雇用開発部長 改めまして、いつも大変お世話になっております。きょう、年度末の大変お忙しい時期に委員にお集まりいただきまして、本当にありがとうございます。

 この建設労働専門委員会は年に1回定例という形で開かせていただいております。特に、私ども政府におきましては、昨年3月の「働き方改革実行計画」に基づいてさまざまな施策を展開しているところです。特に、長時間労働の是正とか、統一労働賃金を盛り込んだ働き方改革に関する法案は、いろいろな事情があって国会提出がおくれておりますけれども、そういったことを初めといたしまして、政府全体で取り組んでいるところであります。

 私ども建設労働との関係で言いますと、そういった長時間労働の是正についても、業界の皆様とタイアップしながら進めているところではありますけれども、この委員会との関係では、何よりも働きやすい環境をどうやってつくっていくか。労働者一人一人が多様で柔軟に働けるような雇用管理をどうしていくかということが最大のテーマだろうと考えております。そういった意味で、平成28年から5年間の計画として策定をしておりますけれども、建設雇用改善計画(第九次)に基づいて、今年度もいろいろなことをやってきましたし、来年度も、また、新たな施策を考えていきたいなと思っているところであります。

 特に建設業におきましては、業種・地域においてばらつきがありますけれども、相当な勢いで高齢化が進んでおります。そういった中で、女性の入職をいかに進めていくか、また、若者の確保をいかにしていくか、育成をしていくかということが、これからもっと大きな課題となっていくと思っております。厚労省といたしましても、建設業は特に地域地域で住宅社会資本整備を担当し、また、災害地には何をもっても建設業の方々の御活躍が大切だと考えていますので、中長期的な目でこういった人材確保・育成に取り組んでいきたいと思っております。

 そうした観点から、きょうは、計画の進捗状況を御説明するとともに、国交省はまだ来ておりませんけれども、キャリアアップシステムという新しいシステムも考えているところであります。そういった御説明をさしあげたいと思っております。

 きょうは、そういった観点から、ぜひ自由率直な御意見をいただき、また、そういった施策を充実させていきたいと思っておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

○向山建設・港湾対策室長補佐 続きまして、本日の委員の出欠状況の御報告をいたします。

 本日は、公益代表の大橋委員が御都合により欠席をされております。

 次に、当専門委員会の座長の御紹介をさせていただきます。

 委員の皆様へは、あらかじめ個別に御報告をさせていただいておりますが、引き続き、鎌田委員にお務めいただくことで御了承をいただいております。

 それでは、以後の進行は座長からお願いをしたいと思います。よろしくお願いします。

○鎌田座長 鎌田です。引き続き、私が座長ということでお引き受けいたしました。皆さんの忌憚のない御意見をいただけるよう御協力をよろしくお願いしたいと思います。

 新たに委員に就任されました小野委員、勇上委員におかれましては、今後とも、専門委員会の運営に御協力いただけますよう、よろしくお願いいたします。

 それでは、議事に入りたいと思います。

 議事次第にありますとおり、議題は3つございます。

 1つ目の議題は、建設雇用改善計画(第九次)の実施状況であります。

 2つ目の議題は、「建設労働者の雇用の改善等に関する法律第12条第1項の規定による実施計画の認定等について」であります。

 3つ目の議題は、「その他」でありますが、具体的には、1つ目は、建設業の人材確保・育成に係る平成30年度予算案の概要について、それから、2つ目が、成年被後見人等の権利に係る制限が設けられている制度の見直しについての御報告。それから、3つ目が、先ほど部長からも御紹介いただきました、建設キャリアアップシステムについての御紹介ということであります。

 なお、2つ目の議題については、その審査につき、個別事業主の資産状況等に関する事項を扱うこととなりますので、「審議会等会合の公開に関する考え方」のうち、個人に関する情報を保護する必要がある、及び、公開することにより、特定の者に不当な利益を与え、また、不利益を及ぼすおそれがある場合に該当するため、非公開の取扱いとさせていただきます。そのため、議事の進行上、3つ目の議題を先に行い、2つ目の議題を最後に行うこととさせていただきます。

 それでは、1つ目の議題である「建設雇用改善計画(第九次)の実施状況について」事務局から御説明をお願いいたします。

○藤井建設・港湾対策室長補佐 建設・港湾対策室の藤井と申します。

 それでは、私から、第九次の計画に基づく本年度の実施状況につきまして、建設業の現状と併せて、説明をいたします。

 初めに、建設業の現状についてです。資料1-1の中段をご覧ください。

 左にあります、建設業における投資額と就業者数の推移に関しまして、建設の投資額は、赤の折れ線グラフで示すとおり、平成4年の84兆円をピークに、平成22年度には約42兆円にまで落ち込みましたが、その後は増加し、平成29年度は約55兆円となる見通しです。

 建設業の就業者についてでございますが、黄色の棒グラフで示しております。平成29年は、昨年から約6万人増え、498万人。技能労働者についても、水色の棒グラフになりますけれども、昨年より約5万人増の331万人と、いずれも増加に転じております。

 就業者数は増えましたけれども、その年齢構成につきましては、右側にあります就業者における若年層・高年齢層の割合の推移をごらんください。平成29年における建設業の29歳以下の若年者の割合は一番下の緑の実線で示しているとおり、昨年の11.4%から11.0%へと低下をしております。資料に記載できておりませんけれども、実数で見ますと、29歳以下の数は昨年から約1万人減少しております。一方、55歳以上の高年齢層につきましては、最も上の赤の実線になりますが、就業者全体に占める割合が34.1%で、高齢化が進展している状況に変わりない数値となっております。

なお、実数では約3万人昨年から増えている、そういう実績となっております。

 続いて、建設業における女性就業者数の推移についてです。平成29年の女性の就業者数はピンクの棒グラフになりますが、76万人。そのうち技能労働者は水色の棒グラフ9万人となっておりまして、ほぼ横ばいの状況が続いているということになります。

 次に、グラフでは右に移りますが、建設労働者の需給の動向でございます。ここでは、有効求人倍率と新規の高卒者の離職状況を載せております。

 初めに、有効求人倍率については、とび職や鉄筋工といった建設軀体工事の職業については、一番上の青の折れ線で示しているとおり9.21倍、建設・土木・測量技術者については5.07倍といったように、非常に高い状況が続いております。

 続いて、下のグラフになります。新規高校卒業就職者と3年以内の離職状況の推移についてです。高卒の3年以内の離職者の割合は折れ線グラフで示しています。一番上の赤の折れ線が建設業であり、平成26年3月卒業者においては47.7%で、3年以内に約2人に1人が辞めていく状況が続いている結果になっております。

 建設労働者の労働条件等の動向に関しまして、初めに年収額の推移についてです。生産労働者の男性の年収は赤の点線になります。昨年の418万円から445万円という結果であります。昨年の数字は長期のトレンドから外れて低くなっておりますが、至近のボトムであった平成24年からの傾向では年収は増加傾向にあります。これは設計労働単価の引き上げによる効果が出始めているものと捉えることができるのではないかと考えているところです。

 一方で、一番上の赤い実線が、建設業全体の年収額になりますが、昨年より微減の531万円という結果になっております。

 その下、建設業における完全週休二日制の導入状況についてです。導入している事業の割合でございますが、平成29年の1月1日現在の状況で、企業規模30人以上の企業が対象となりますが、33.1%と全産業の49%と比べて低い割合になっております。これは業界の特異性もあって導入が難しい状況が伺えます。

 次に労働時間の推移ですけれども、一番上の赤い線が建設業の年間の総労働時間になります。平成29年は2,063時間と、これまで減少が続いてきた中で、3年ぶりに増加をしている状況であります。

 続きまして、職業能力の開発状況についてです。OJTOFF-JTの取組状況を示しておりますが、建設業は、業務に従事する上で必要となる講習あるいは特別教育があることから、特にOFF-JTについては、他産業と比較して高い割合になっております。

 最後に、労働災害の発生状況です。平成28年の数値になりますけれども、死傷者数、死亡者数の実数値、そして、全産業に占める割合は、いずれも減少している状況です。

 なお、平成29年の速報値を見ますと、資料には記載できておりませんが、死傷者の数は約3.5%減少し、14,528人となっております。一方、死亡者数については、約3.4%増加し、304人となっております。

 建設業の現状については、以上です。

 なお、資料1-1の裏面でございますけれども、このページは、九次計画の施策の基本的事項あるいは推進体制を記載しております。時間の都合で説明は省略させていただきます。

 引き続き、資料1-2を御覧ください。こちらが第9次計画に記載している取組の内容に沿って、その実施状況をまとめたものです。平成29年度の取組を中心にその一部を御説明させていただきます。

 大きな項目の1つ目でございます。「若年者等の建設業への入職・定着促進による技能労働者の確保・育成」でございます。マル4を御覧ください。「ハローワークによるマッチング支援」についてですが、「建設人材確保プロジェクト」としまして、今年度は、都市部及び被災県を中心に全国12カ所において支援を実施しております。なお、平成30年度以降は、建設業に特化せず、警備・福祉・運輸といった人材不足が顕著な業界をターゲットに、人材確保対策コーナーを全国の84カ所に設置し、職業相談、職業紹介あるいは求人者・求職者向けセミナー、就職面接会等を実施する予定であります。

 続いて、マル5の若年労働者を育成する職場風土の醸成については、本年度も引き続き、雇用管理研修の1つのメニューとしまして、コミュニケーションスキルの向上研修を実施しております。本年度は全国で70回開催しまして、1,485名の方が受講されています。

 2ページ目に移ります。

 「(2)女性労働者の活躍の促進」でございます。初めに、マル1の仕事と家庭の両立や女性のキャリアアップ促進などに関しては、パパ・ママ育休プラス制度、この制度は、父親・母親それぞれの育児休業期間を足して、子供が1歳2カ月になるまで育児休業期間を延長できる制度でございますけれども、父親が育児休業を取得しやすい制度の周知、あるいは、父親の子育て参加や育児休業取得の促進等を目的としました「イクメンプロジェクト」を実施しております。

 マル2の「女性の入職の促進」についてです。これに関しましては、建設労働者確保育成助成金におきまして、今年度、若年・女性労働者向けトライアル雇用助成コースを新設しました。職業経験の不足などから就職に不安のある35歳未満の若年層や、あるいは、女性を試行的に雇用した場合に、他の助成金による助成に加えまして、上乗せで助成をする、そういうコースでございますが、上乗せ分と合わせまして、一人当たり月8万円の助成を最長3カ月間行っております。

 次に、少し飛びますが、4ページ目を御覧ください。

 大項目の2つ目、「魅力ある労働環境づくりに向けた基盤整備」の実施状況についてでございます。

 初めに、(1)の「建設雇用改善の基礎的事項の達成」についてですが、マル1の「雇用関係の明確化に向けた取組」としまして、雇用管理研修を今年度も実施しておりまして、全国で157回開催をし、6,506名の方が受講をされております。

 次に、6ページを御覧ください。

 6ページ目の「(2)労働災害防止対策の推進」についてです。

 初めに、マル1の労働災害防止対策としまして安全衛生優良企業の認定、この制度は、労働者の安全対策や過重労働対策あるいは健康保持増進対策といった取組を積極的に進める企業を認定する制度でありますが、今年度、建設業で新たに1社認定を受けております。

 そのほか、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の施設の工事に関しましては、大会施設工事安全衛生推進連絡会による現場パトロールを実施しているところであります。

 続いて、8ページとなります。

 大項目の「職業能力開発の促進、技能継承」についてです。

 初めに、(1)のマル1「認定職業訓練、技能実習の実施の促進」についてでございますが、建設労働者確保育成助成金によりまして、経費や賃金に対する助成を行っているほか、認定訓練助成事業費補助金については、補助対象基準額の引き上げ、あるいは、建設関係の訓練科に対しては、増額補助を行うなど、要件緩和等を継続して実施をしております。

 マル3の企業内における実践的な人材の育成等につきましては、人材開発支援助成金による助成のほか、公共職業訓練としまして、建設機械等の運転技能や型枠等の実技に加えまして、ビジネスマナーあるいはパソコンスキルといった座学を組み合わせた訓練を実施しているところであります。

 次に10ページになります。

 (3)の「熟練技能の維持・継承及び活用」についてでございます。

 「各種大会を通じた技能の魅力・重要性の啓発」につきましては、人材開発支援助成金の職業能力検定制度助成コースにて引き続き助成を行っているほか、ものづくり分野の技能検定について、今年度の後期の試験より、若者の実技試験受検料の減免措置、これは35歳未満の方が技能検定2級・3級の実技試験を受ける際の受検料の減免措置を実施しております。

 そのほか、卓越した技能者表彰などを行っております。

 次に、熟練技能労働者による技能講習等についてでございますが、「ものづくりマイスター」の派遣による実技指導等ということで、対象の分野は全部で111の職種、建設業に関しましては、とび、左官、配管あるいは型枠施工、内装仕上げといった職種が対象となってございます。

12ページになります。

 5番目の円滑な労働力需給の調整等に関しましては、建設業務有料職業紹介事業あるいは就業機会確保事業の適正な運営を図る目的で、制度説明や相談の窓口を設けているほか、事業主団体の要望に応じまして、都度、事業に係る責任者講習を実施しております。

13ページのマル2の東京オリンピック・パラリンピック等の建設需要に対応するための外国人材の活用についてでございますが、これに関しましては、国交省におきまして、外国人建設就業者受入事業を実施しているところで、受入期間の範囲で最長で平成35年3月31日まで実施可能ということになっております。

 駆け足になりましたけれども、実施状況についての説明は以上となります。

(山影国交省労働資材対策室企画専門官入室 15:24

○鎌田座長 ありがとうございます。

 それでは、ただいま説明のありました内容につきまして、御質問などありましたら、自由に御発言をいただきたいと思います。

 勝野委員、どうぞ。

○勝野委員 先ほどの建設産業の現状の御報告の中で、災害の発生状況等についても御報告がございました。29年度の死傷者については減少しているけれども、死亡者数については304人ということで増加をしていると、こういったような御報告だったと思います。

 こうした中で、今年に入って、1月29日でしたか、オリンピックの選手村の建設現場で、31歳の下請で働く労働者がクレーンと手すりの間にはさまれて死亡すると、こういったような重大事故が発生しております。

 とりわけ、オリンピックの工事現場については、厚労省としても、昨年以降、安全対策協議会を設置し、全体的な取組の中でこうした災害が起きないようにという取組を強めてきていただいていると理解をしておりますが、今回こうした重大事故が起きたことについて、厚労省としての受けとめと申しましょうか、何かお考えがあれば、お伺いをしたいと思っております。

○鎌田座長 では、コメントがあれば、お願いいたします。

○吉野建設・港湾対策室長 今、勝野委員からの御指摘がありました労災事故でございますけれども、我々としましても、基本的には労災事故、特に死亡事項についてはゼロにするということで、今までもずっと取り組んできております。

 しかしながら、実態問題としては、先ほど御説明をさせていただいたような現状にはなっているということで、これは、我々としても、さらなる強化した指導及び啓発に努めていくということになろうかと思います。

 今、御指摘がありました1月29日の事故に関しましては、おっしゃるとおり、これは一部報道でもいろいろ報じられてはおりますけれども、亡くなられた方が、旋回したクレーンと手すりの間にはさまれて亡くなられてしまったという事故でございました。まずもって、亡くなられた被災者の方の御冥福を心よりお祈りを申し上げたいと思っております。

 事故の原因等々に関しましては、今、当然ながら、捜査機関、それから、関係府省も含めて、捜査・検証をしていると思いますので、この場でのコメントは避けたいと思いますけれども、いずれにしましても、先ほど勝野委員がおっしゃったような協議会を含めて、厚労省としては、当然ながら、オリ・パラに限らずそういった工事現場における労働災害防止対策につきましては、安衛法の法令に基づいてさまざまなリスクアセスメントの実施、それから、墜落・転落災害防止策等々いろいろなことを取組をさせていただいております。ただ、結果として、残念なから、依然として労働災害が発生していることは非常に遺憾なことだと考えています。

 いずれにしましても、引き続き、我々厚労省としましては、オリ・パラに関しましては、これから、まさに工事が佳境に入ってくるころだと思っておりますし、そういったことも含めて再発防止対策、来年度、月がかわれば、災害防止に関しましても、5年計画の13次防というものが新しく始まります。これに向けましてさまざまな施策、後ほど一部御紹介しますけれども、中小工事専門事業者さんに対する指導等も含めて、労働災害防止対策に関しては、我々も一層より力を入れて取り組んでまいりたいと思っているところであります。

 以上でございます。

○鎌田座長 何か追加でありますか。

 どうぞ。

○勝野委員 とりわけオリ・パラ現場だけということではありませんけれども、こうした事故はどういった現場であっても、あってはならないと思っておりますが、特に、これらの現場については、これまでも安全な建設工事のモデルとしていくのだと、こういう位置づけで安全対策協議会等で取組を進められてきたと思っております。

 そういった中での事故であったわけでありますので、まず第一に、先ほど室長もおっしゃられましたが、原因究明をしっかりとやっていただくということで、再発防止に向けては、そうした原因究明の分析なり公表もしっかりやって、教訓化をしていただきたいと思っておりますし、今後、2020年に向けては、オーバーレイ工事等もこれからふえていくと思っておりますので、ぜひ、こうした安全の周知と申しましょうか、安全対策の取組については、定期的なパトロールを含めてしっかりと行っていただきたいというふうにお願いを申し上げます。

○鎌田座長 私も、死傷者数は減少傾向ではありますが、死者数がここへ来て増加したということは大変憂慮すべきことだと感じておりますので、この点について、今、御説明が ありましたように、より徹底した安全確保に尽力いただきたいと思っております。

○吉野建設・港湾対策室長 ありがとうございます。

 我々もその方針には全く変わりはありませんし、担当部局にもその意見はしっかりお伝えをしていきたいと思っております。

○鎌田座長 この件に関連してでも結構ですし、また、ほかの件でも結構ですが、何か御質問等はありませんか。

 大木委員、どうぞ。

○大木委員 資料1-1の生産労働者の年収額の推移ですけれども、かなり上昇をしていますが、もともとベースが低いものですから、上がったところで、他産業に比べてまだ低いということもありますし、建設業の全従業員に比べて、技能労働者はまだまだ低いので、さらに、生産性を上げるとか、ベースを上げるというようなことで、もっと上げる努力をしていかなければいけないなと、そんなふうに思っています。

 特に国交省さんで公共工事設計労務単価をかなり上げていただいたので、直轄とか公共投資に関しては、かなりベースが上がっているとは思うのですけれども、民間の建設業はまだまだなかなか低賃金で働いている人が多いと思います。その辺は、我々自身も含めて、さらに賃金アップをしていただけないかと、そんなふうに思っています。よろしくお願いします。

○鎌田座長 この点については、何かコメントがありますか。国土交通省からでも結構です。

○山影労働資材対策室企画専門官 国土交通省でございます。

 この資料にございますように、ここ数年、労務単価の引上げ等もありまして、建設業の現場で働く方の賃金は上昇しておりますけれども、製造業等と比べてギャップがあることも、また、事実でございます。このギャップをどうやって埋めていくのか。後ほど、建設キャリアアップシステムも御説明させていただきますけれども、処遇改善は大変重要だと思ってございますので、労務単価の引上げが現場で働く技能者の方の賃金上昇につながっていくように、引き続き、しっかり取り組んでまいりたいと思ってございます。

○鎌田座長 ありがとうございます。

 ほかに御質問はございますか。

 小倉委員、どうぞ。

○小倉委員 資料1-1の一番左下のところでありますけれども、建設業の完全週休二日制の導入状況ということで記載をされております。今後、働き方改革をしっかり進めていく。あるいは、建設業の入職を促進していくという中で、週休二日をしっかり確保していくのは極めて重要な要素であると認識をしております。

 こちらに示された資料ですと、33.1%ということで、事業所規模で言うと、30人以上にはなっているわけですけれども、建設業の実態から申し上げれば、年末に公表された「経済センサス」では、30人以上の事業所の規模、全体比率からすると5%に満たない3.7%ぐらいの数字だったと思うのですけれども、それぐらいなわけですね。そうすると、少なくとも現状の建設業の実態をあらわしている数字ではないのではないか。当然、従業員規模が小さくなればなるほど、恐らく休みはとれなくなる、そういうような状況ではないかと思っておりますので、例えば、今後、建設・港湾対策室として、2人以上の事業所規模を対象にした調査を実施していくことが必要だと思っているのですが、そういった検討をしていただけるかどうか。

 ちなみに、数年前に、建設・港湾対策室調べということで、従業員規模2名以上の場合は9.4%という数字が示されたこともありますので、ぜひ、御検討をいただけないかというのが1つ目です。

 2つ目は資料1-2でありますけれども、9次計画の実施状況についてということで、非常に多岐にわたって細かく説明をされております。この資料については、年度末に開催される専門委員会において提示をされている資料なのですけれども、前年度比で数字を出す場合に、例えば平成29年度ですと、今回では、11月末現在の数字になっているわけですね。前年度は前年度実績となっているので、そもそも数字の比較のしようがないというところがあります。

 例えば、来年度同じような形で資料を出されるのであれば、前年同月比のものを出していただければ、例えば、当該年度の進捗状況がどれぐらいになっているのかというのもわかってくると思いますので、そういう工夫をしていただけないか。あと、できれば、特徴的な部分については、別な用紙か何かで図表を入れていただいて御説明いただけると多分わかるのではないか。多分、今日の説明ですと、これだけの量をなかなか委員の皆さんも十分御理解をいただけないのではないかということで、その辺は少し改善をしていただきたいなと思っております。

 それから、建労金の全体の部分について御質問をしたいのですが、この数年間の中で、中小企業以外に要件緩和、あるいは、大企業でも活用できるような形になっている部分があると思っております。それは建設業全体としてこういう助成金を活用いただいて、建設雇用改善に役立てていくという、そういうような方向性に基づいて実施をされていると思っているわけですけれども、例えば、現状の建労金の中で、中小企業以外の活用率みたいなものがもしわかれば、教えていただきたいなと思っております。

 以上です。

○鎌田座長 御意見と御質問が1つあったと思いますが、事務局お願いします。

○藤井建設・港湾対策室長補佐 まず1つ目、完全週休二日制の導入状況についてですけれども、先ほど委員の御指摘のとおり、「経済センサス」で見ますと、10人以下の従業員規模の建設業が全体の8割程度を占めているということで、資料に記載しています平成29年の就労条件の総合調査では30人以上が対象ということで、十分にカバーできていないという御指摘としてありました。

 建設・港湾対策室では、実態調査を毎年、委託事業ですけれども、行っておりまして、従業員数6人以上の企業15,000社を対象にアンケートを実施し、集計をしております。完全週休二日制の導入状況についても、この中で毎年聞いているところですけれども、10人以下の従業員規模の会社で見ますと、完全週休二日制を導入しているという回答があったのが、平成28年で5.7%といった数字で、ここに表れている33.1%と比較すると、今、委員御指摘のあったとおり、中小・零細である場合は完全週休二日制の導入がなかなか難しい状況が調査結果からは見えてくるところです。こういったところも我々は課題認識を持って、引き続き、雇用管理改善の取組を進めていきたいと考えております。

 2点目ですけれども、資料1-2の9次計画に基づく実施状況については、前年度との比較がわかるような資料の工夫と、トピックス的なところは別紙で図表をつけてといった御指摘は、来年度の資料の作成に当たって工夫をしてまいりたいと思います。

 3点目の建労金の大企業向けのコースもある中で、どういった利用実績があるかといった集計につきましては、トータルの支給件数と、支給実績といったところは、全国の労働局から実績として受けてはいるのですけれども、その中で、大企業とそれ以外といった形での集計ができていないといった現状がございます。どういった形で集計ができるかといったところは、持ち帰って検討をさせていただければと思いますので、引き続き、よろしくお願いしたいと思います。

 以上です。

○鎌田座長 小倉委員、何かございますか。

○小倉委員 先ほど御説明いただいた完全週休二日制の件でありますけれども、そのとりまとめをされているのは、「建設業における雇用管理現状把握実態調査」のことですか。

○藤井建設・港湾対策室長補佐 そうです。雇用管理現状把握実態調査です。

 先ほど、説明が不足しておりましたけれども、調査対象企業は全国の15,000社、従業員数6人以上の会社を対象に実施をしておりまして。実際に回収した数ですけれども、平成28年度は5,251社、有効回答率35%といった形で全体の集計を行っております。

○小倉委員 実態調査の話が出たので、ちょっと関連してお願いをしたいことがありまして。きょうは国交省もいらっしゃっていますけれども、今年の秋からCCSの運用を開始されるという予定になっております。恐らく、この実態調査は、たしか毎年秋口に各社で実施をしていると承知をしております。ちょうど運用の開始時期と重なるということもありますので、例えば、実態調査の中で、企業調査と従業員調査がございますので、建設キャリアアップシステムの認知があるかどうかということと、事業者登録なり、技能者登録をちゃんと進めていこうという意思があるかどうかということを、調査項目の中に入れていただければ、今後、さまざまの施策を推進する中の参考資料として使えるのではないかと思っておりますので、ぜひ御検討をお願いしたいと思っております。

○鎌田座長 事務局、どうぞ。

○藤井建設・港湾対策室長補佐 実態調査につきましては、来年度については、これから調達事務をスタートしていきますので、今、御指摘あった設問の組み込み方等についても、受託先が決まったところで、相談をして、実施をしていきたいと考えております。

○鎌田座長 ありがとうございます。

 ほかにございますか。

 渡辺委員、どうぞ。

○渡辺委員 今の小倉委員の質問に便乗しまして、私も、週休二日制のところですね。日建連では、今、週休二日推進をやっております。青い四角のが下にグラフがたくさんございますけれども、この中で、週休二日に関するところは実態ではなくて、週休二日制なのですね、会社の制度としてあるかということですね。私どもの認識としては、今、週休二日をうたっている企業が多い中で、大企業は休めても現場は休めない。この格差が一番問題なので、それはちょっと難しい調査になるかもしれませんが、週休二日制というとらまえ方ではなくて、実際に、週休二日制と言っている企業の現場がどのぐらい休めているかということを調べていただけると、我々は非常に参考になるなと思いまして、これはお願いでございます。よろしくお願いします。

○鎌田座長 事務局、どうぞ。

○吉野建設・港湾対策室長 なかなか難しい調査になろうかなと率直には思っています。要するに、制度ということで普及すれば、事業主の方は制度があるかないかということで答えやすいと思いますが、実際に休んだのがどれくらいですかみたいな聞き方をした場合には、返答になかなか時間がかかったりとか、御回答を得られない場合もあるのではないかというのが率直な感想なのですけれども、と言いながらも、どういったことで、キャリアアップシステムもいろいろ入ってきますし、そこの中でどういった活用ができるかということも検討課題になると思いますが、御意見としては承って、検討させていただきたいと思います。

○渡辺委員 よろしくお願いします。

○鎌田座長 曾根崎委員、どうぞ。

○曽根崎委員 今の発言にプラスして言うと、もう一つのグラフ、労働時間があって、これも内・外勤の格差が非常に激しいところなので、実際に、半々いれば、1,800が内勤であれば、この辺の200時間載せたのが外勤ぐらいになるという感覚は持っているので、調べられるのだったら、そういったところもぜひ調べられればいいなと思うのが1つと。

 全体のグラフというか数字を御説明いただいて、計画をつくったときの背景がまだまだ改善されてないなということが率直な感想でありまして。ということは、課題の解決もまだまだなのかなと思います。

 そういった中で、一昨年の秋から、働き方改革ということで建設業においても、物すごく大胆なというか、これまでになかったような改革をしていかなければいけないということで、そのためには、我々も頑張らなければいけないのですけれども、社会全体の理解、それから、発注者、それぞれの理解が必要だと思いますので、それぞれ厚生労働省、国土交通省においては、その辺の理解が深められるような取組を積極的に進めていただいて、それから、契約の内容に反映できるようにしていただければ、また、この数字が変わってくるのかなと思いますので、よろしくお願いします。

○鎌田座長 事務局は、特段、コメントはないですか。

 ありがとうございました。

 そのほかございますか。

 小野委員、どうぞ。

○小野委員 女性の入職と定着について少し御質問なのですけれども、この場も女性が一人なので、責任が重大だと私は思っておりまして、発言させていただきます。

 若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コースであったりとか、そのほか、若年・女性労働者向けトライアル雇用助成コースであったりとか、女性の入職であったりとか、定着を促進するような事業を考えていらっしゃるとは思います。入職と定着はちょっと別に考えなければいけないと思っておりまして、女性が入職するタイミングは3つぐらいあるのですね。1つは高卒で入職する。2つ目が大卒後に入職する。その後、子育て後ですね。どこの入職タイミングをねらっていらっしゃるのかというのが、いま一つはっきりとわからないなというのが率直な意見であります。

 例えば、実施状況の(1)のマル2のところで、今年度、高等学校に対していろいろ御説明をされるということでございますけれども、工業科であったりとか、高等専門学校は確かに、これは建設業に就かれる方が潜在的にいらっしゃるとは思うのですが、どうも、女性のにおいはしないなというようなところでございます。

 かたや、私、女性の立場から言わせていただきますと、女性の労働市場は、看護師さんとか、保育士さんとかというのが、女性がキャリアを積む上で大きなマーケットになっている部分ではあるのです。ただ、それはなぜかというと、そこで働いていらっしゃる女性の先輩が多いからですよね。どういうふうに入っていけば、自分のキャリアが積めるようになっていくのかということが明確にわかるということで、やはり先輩がいることがかなり大きいと思います。

 これから女性をふやしていくということになったときに、その先駆者になる女性をつくっていかなければいけないということがまず一点あると思います。例えば、女子校というのは、女子ばかりなのですけれども、女子校の中では、男性的な役割をやる女の子がいたり、格好いい女の人が結構魅力的に見えたりというのも実際にあります。ですので、例えば建設業で働いている女性は、そういう女子から見ると、かなり訴えるものがあるのではないかなと私は思っております。

 ですので、工業高校とか高専だけではなくて、例えば女子校であったりとか、女子大であったりとかというところにもアピールしてはいかがかなというのが私の意見であります。どこの年齢層の女性の入職ターゲットに絞るかによって、恐らくその戦略は変わってくると思うので、そこのところを少し明確にしたほうがいいのではないかなというところが、私からの意見でございます。

○鎌田座長 事務局から、長く取組をいろいろされている経緯もありますので、少し御説明いただきたいと思います。

○吉野建設・港湾対策室長 ありがとうございます。

 本当に貴重な御意見だと承りました。若者・女性、我々としては、一億総活躍全員参加型社会ということで取り組んでおりますけれども、女性の方の労働力はこれから非常に重要になると思っています。特に建設業は、確かにイメージとして、なかなか女性が入りづらいというイメージがありましたが、最近は、労使皆さん方の御努力によって、現実問題、女性の人数もふえているということです。

 委員御指摘のあったところは、実は我々としても、そういった若者を特に中心にして「つなぐ」というキーワードで事業を行いたいと思っています。実は、昨年、私なども、いろいろな職場実習とか現場体験とか、各専門団体さんとかやられているところに一部お伺いをして、そういったところでもヒントをいただきながら、来年度もやっていこうかなと思ったのですけれども、工業高校にも、最近、女性の方が最近数多くおられて、鉄筋とか型枠とかそういった現場研修・体験をやられております。

 そういったところもありますが、御指摘のとおりの女子校の話も、実は、我々も内部で女子校へ行ってみようかなみたいな話もあるのですが、これは事業としては委託事業になりまして、そことの調整等を含めて、当然、初年度ということもあって手探りの状態ではあるのですけれども、御指摘いただいたようなところも含めて、いろいろなところのチャンネルを広げていって取り組んでいきたいなと思っているところですので、貴重な御意見ありがとうございました。

○鎌田座長 さらに、積極的に取組が必要な領域だなと感じておりますので、御指摘ありがとうございます。

 そのほかにございますか。

○小野委員 もう一点よろしいでしょうか。

○鎌田座長 どうぞ。

○小野委員 若者の定着についてのことですけれども、実は、日本生産性本部が若年室から委託している事業に3年間委員をやらせていただきました。「若者が定着する職場づくり」という事例集が出ておりまして、座長を阿部先生がやっていらっしゃるので、職業安定分科会でも多分これは御紹介されたと聞いております。各企業に入って1年から2年ぐらい課題を洗い出して、具体的に制度をその企業に入れて、効果を検証する。その事例を各企業ごとにつくっているのですね。かなり引き合いがあるようで、この冊子自体も今年度の分もあと300部ぐらいしか残ってないようなことらしいです。

 この中で建設業はやらなかったのですけれども、ノウハウが多分厚労省の中にあるので、建設業でも同じような取組をやられてはいいのではないかなと思っております。来年度以降になるかもしれませんけれども、若年室にノウハウをちょっと聞いていただいて、どういうふうに若者が定着をしていけばいいのかということを、横のつながりでちょっと探っていただければなと思ったりしております。

○吉野建設・港湾対策室長 重ね重ねありがとうございます。

 今の取組、若者の定着ということに関してノウハウは当然そこから頂戴しながら、一応我々の既存の事業として、全国で雇用管理責任者に対する研修を行っています。こういった中で、いろいろな法律の基礎とか、いろいろなことを講義をさせていただいているのですけれども、今いただいた若者の定着の部分も、今度、新しいメニューも作成していくことになりますので、その中のテーマの一つに入れられればなと思います。

○鎌田座長 それでは、時間も押してまいりましたので、ほかに御発言がないようでしたら、次の議題に移りたいと思います。

 先ほどお話しいたしましたが、3つ目の議題「その他」を先に議論をしたいと思います。まず、建設業の人材確保・育成に係る平成30年度予算案の概要、厚生労働省関係について事務局から御説明をお願いいたします。

○藤井建設・港湾対策室長補佐 資料2-1を御覧ください。

 1ページ目から3ページ目にかけましては、取組の柱としています、人材確保・人材育成、それと、魅力ある職場づくりの推進の3つの区分ごとに施策をまとめておりますが、その中から、新たな取組を中心に御説明をさせていただきます。

 4ページ目を御覧ください。

 建設事業主、建設事業主団体のみを対象としました、建設業に特化した助成金の概要をまとめております。現在、雇用関係の助成金は全部で17ございますが、平成30年度の運用に当たりましては、これらをわかりやすく、利用の目的別に再編をしまして、13の助成金に整理・統合しております。その結果、現在の建設労働者確保育成助成金の各コースにつきましては、内容をそのままに、平成30年度からは資料に記載をしていますとおり、トライアル雇用助成金、人材開発支援助成金、人材確保等支援助成金の中に組み込み、運用をしてまいります。

 支援の内容については、今年度と変わりはありませんが、一部のコースにおいては、助成率等を見直ししております。見直しの大きな点を御説明いたします。

 最も利用をいただいております「建設労働者技能実習コース」になります。人材開発支援助成金の中の2つ目のコースになります。資料中段に、助成率と額を記載しておりますが、この中で、中小建設事業主(20人以下建設事業主は除く)に、新たに年齢の区分を設けております。技能実習の開始日時点におきまして、受講される方が35歳未満の助成率を、今年度よりも10%引き上げております。一方で、35歳以上の場合の助成率は、予算編成の関係もありまして、15%引き下げております。それと、中小の建設事業主以外ということで、これは女性技能労働者が受講対象となりますが、これについては支援の割合を15%引き上げております。

 次に5ページをごらんください。

 これは人材育成の施策として位置づけております「建設労働者緊急育成支援事業」になります。本事業は、平成27年度から5年間の時限措置で、資料の左から右に事業は流れていくわけですけれども、全国建設業協会さん、日建連さんあるいは大手ゼネコンの協力、例えば、訓練のカリキュラムの策定に関するアドバイスとか、講師の派遣、あるいは、現場見学の際の対応・協力、そういった協力を得ながら、業界が一体となって、座学、実習の訓練から、最後、就職までをパッケージで行うということで、来年度は4年目となります。

 これまでは、一般財団法人建設業振興基金に委託をしておりまして、地方拠点となる各地の建設業の団体と連携し、全国的に実施をしている事業でございまして、平成27年度・28年度の2カ年度の実績ですけれども、1,587名が受講、そのうち1,140名が就職に結びついている、そういう実績を持った事業でございます。

 続いて、6ページを御覧ください。

 魅力ある職場づくりの推進の取組としまして、時間外労働等改善助成金についてです。この助成金は、時間外労働の是正に向けた取組に対する支援策としまして、平成30年度から建設業も支給対象となります。助成対象の費用ですけれども、労働時間短縮に向けて必要となります、例えば就業規則等の作成、健康に伴うソフト的な費用、あるいは、労務管理用の機器等の導入、更新費用といったハード面の費用、そういったものが対象となりまして、かかった経費の4分の3を助成する、そういう設計になっております。

 申請の手続の大まかな流れにつきましては、ここに記載はございませんけれども、初めに、時間外労働の是正に向けた取組をまとめた実施計画書を作成していただき、その承認を得た後に、就業規則の変更あるいは機器の購入といった具体的な時間外労働時間削減に向けた取組を行い、その上で、支給申請を行う。そういったフローチャートとなっております。

 助成金の支給のイメージについては、7ページを御覧ください。時間外労働の上限設定の仕方によりまして、助成の限度額が異なっております。例えばマル1のケースでは、休日の労働を含め月80時間を超える労使協定を締結している、そういった事業所が、時間外労働で月45時間以内の設定をし、労働基準監督署に協定書を提出した場合、150万円を上限に助成金を得ることができるという設定になっております。

 続いて、8ページを御覧ください。このマトリックスですけれども、7ページの長時間労働の上限設定に加えまして、週休日を増加させ、週休二日制とした場合に、その導入の度合いに応じて支給額を上乗せする、そのパターンを示した図になります。例えば、資料の上段になりますが、4週あたり4日の週休日であったものを、右側の4週あたり8日、完全週休二日制を導入した場合、括弧に記載しています100万円を上乗せすることになりますが、支援の最大額は、7ページの時間外労働の上限を設定する取組と合わせまして200万円でございます。

 次に9ページに移ります。

 働き方改革推進支援事業ですけれども、今年度は、マル1の企業における非正規雇用労働者の待遇改善をメインにした相談支援センターを47の都道府県に設置をしております。平成30年度以降につきましては、マル2の時間外労働の上限規制への対応、あるいは、マル3の労務管理など、働き方改革全般にわたる支援組織として機能を強化していくという内容でございます。専門家による個別訪問や電話による相談対応あるいはセミナー開催、そういったものを予定しているところでございます。

 次に10ページを御覧ください。

 中小専門工事業者の安全衛生活動支援事業についてでございます。「現状」のところで記載していますとおり、労働災害の多くが中小規模の事業場で発生している、そういった現状も踏まえまして、昨年3月に施行された建設職人基本法に基づき策定をしました基本計画の具体的な施策として、安全衛生管理能力を向上するための集団指導・技術研修会あるいは現場パトロール、そういったものを実施していくものでございます。

 最後になりますが、11ページ、「雇用管理責任者に対する研修等の実施」でございます。

 平成30年度は、これまで実施しています雇用管理研修に加えまして、建設業の「見える化」「つなぐ化」コースとして、建設業界と高校の生徒、先生、保護者がつながる機会を設ける取組を新たに実施いたします。実施にあたりましては、既に、各地域において建設企業団体や行政機関が同様の取組を実施しておりますが、そういったこれまでの取組との連携も視野に入れまして、効果的な事業執行を目指し委託先と協議をしながら取り組んでいきたいと考えております。

 説明は以上でございます。

○鎌田座長 ありがとうございます。

 それでは、この件につきまして、御意見・御質問がありましたら、自由にお願いいたします。

 小倉委員、どうぞ。

○小倉委員 御説明ありがとうございます。

 今、御説明いただきました資料2-1の4ページでございます。「建設事業主等に対する助成金の概要」ということで幾つか記載がされておりますが、たしか今年度から生産性要件というのが設置をされたと記憶をしてございますが、建設業の場合は、中小・零細が非常に多いということもありまして、生産性の伸び率、3年間6%、年平均2%を達成するのは恐らく難しい状況ではないかなと思っております。

 例えば、御説明いただいた人開金等を含めて、今年度の事業実績の中で、まだ出てないとは思うのですけれども、生産性要件を満たした比率がどれぐらいなのか。例えば、人開金の例えば認定訓練コースであったり、技能実習コースがありますけれども、その中で、生産性要件を満たした場合の比率がどれぐらいなのか、もしわかれば、傾向で構いませんので教えていただきたい。

 もう一つは、年2%という要件自体を、今後、例えば引き下げるとか、そういった検討の余地があるのかどうなのか。たしか、この生産性要件については、厚労省の他の助成金も同様な仕組みになっていたと承知をしているわけですけれども、結局、生産性要件を適用することによって、助成率あるいは助成額の引き下げにつながっているという、そういう側面もありますので、どういった方法がいいのかは今後検討する必要があると思うのですが、まず、その現状がどうなっているかということと、今後、その要件の緩和等の可能性があるのか、そういった検討がなされているのか、もしわかれば教えていただきたいと思います。

 以上です。

○鎌田座長 事務局、どうぞ。

○吉野建設・港湾対策室長 ありがとうございます。

 まず、生産性要件のところですけれども、正直言って、詳細な分析はまだできてないところがあります。一部報道があったかと思うのですが、数ある業界の中でも、生産性要件の支給が一番多いのは実は建設業であるという報道がありました。

 ただ、おっしゃったように、伸び率6%、年2%というところがありますので、その企業の規模によっての伸び率の考え方もあろうかと思います。ですので、建設業の場合は中小の数が非常に多い中での申請を上げていただいた結果、生産性が伸びているということに合致して上乗せ助成になっているというところが数多くあるのかなと、今、概観的には見ておりますが、済みません。詳細な分析等はこれからさせていただいて、また、機会を見つけて御報告をさせていただきたいと思っております。

 今後の見通しに関しては、正直、これは導入したばかりの制度ということもありますので、建設業に限らず他の産業も含めて、生産性を伸ばすことは、当然、日本の喫緊の課題だと思っていますので、そこに向けて、まず我々としては雇用関係の助成金についての生産性要件を導入したということになりますから、これは、もう少し状況を見ていかないと、議論は進まないかなとは思いますが、また、これの動き等々情報があれば、お知らせしたいなと思っております。

○坂根雇用開発部長 補足をいたしますと、今、室長が申し上げたとおりですが、私は助成金の総括も担当をしておりますので、他産業との比較もしながら物を言ったりしております。具体的なデータがないのであれですけれども、まさに、今、生産性要件が満たされるとして申請がある企業のほとんど9割以上が建設業と言って間違いないと思います。もちろん建設業は重層下請構造の中で、どこまで中小まで生産性が上がっていくかというのはあるかと思いますけれども、かつ、景気動向にもかなり変動されるので、今、一般的な言い方をすると、建設投資もかなり戻っていい状況にあるので、そういった企業努力によらない部分で、生産性がひょっとしたら上がっている部分もあるのかなと見ておるところです。

 ただ、そういういろいろな状況の変化も受けるので、形式的には、3年で6%、年平均2%という要件を設定しておりますけれども、それだけではなかなか見られないということで、ある企業については、6%を満たさなくても、金融機関の見立てをかませて、金融機関が、これは生産性が向上する余地があるよ、成長性が見込まれるよという企業については、そういう意見を踏まえて、労働局として審査をして、生産性要件に適合するという運用もやっているところでございますので、そこは経済実態に合わせたような形で進めていきたいと思っております。

 ただ、生産性要件は、ある意味非常にチャレンジングな制度でありますので、そういう運用の実態は実際には入れてまだ1年ということなので、少し長い目で見ながら、きちんとした運用ができるように努力していきたいと思っています。

○鎌田座長 小倉委員、追加でありますか。

○小倉委員 ございません。

○鎌田座長 どうもありがとうございます。

 ほかにございますか。

 土屋委員、どうぞ。

○土屋委員 10ページで質問をさせていただきます。先ほどから、労働災害の減少ということで、今、13次防の計画の中でも、死傷者数5%減が目標として決まってやっているのですけれども、この表を見てもわかるとおり、中小企業さん、ここの教育がいかに大事かということを痛切に感じています。

 ですから、今回、新規事業として予算を出していただいたのですが、これを継続して、ぜひ効果の確認もしていただき、実証検証をして、どうやっていったら、本当に中小専門工事業者さんのほうに教育が行き届いて安全にできるかということを行っていただきたい。

 といいますのは、東日本大震災でも、支援センターを立ち上げていただいて、こまめに現場の指導を行っています。その結果、全体の建設業の死傷災害は、被災県のほうが逆に少ないというデータもあるようです。いろいろこまめに手厚い支援をしていただいたので、その結果が出ているかと思います。ですから、これを継続していただいて、その検証結果から、また、次の対策をとっていただかないと、本当に建設業へ若者に来ていただくような、危険な現場の業界だということを言われないためにも、ぜひ、この支援をしていただきたいと、これは要望です。お願いいたします。

○鎌田座長 ありがとうございます。

 何かコメントはありますか。

○吉野建設・港湾対策室長 ありがとうございます。

 確かに、安全衛生の部分は建設業において非常に大きい柱の一本だと思っておりますので、おっしゃるように、財源の問題もありますけれども、正直言って、この対策はやり過ぎということは多分ないのかなと、私も実は地方の労働局にいて、いろいろなパトロールをして、感じるところですけれども、何回言っても、どうしても安全対策がおろそかになる会社さんは実際あります。ですので、やり過ぎということは多分ないと思いますから、ここら辺はしっかり継続的に、おっしゃるように、できるような体制、そして、当然分析も必要なので、そこも含めて、担当部局のほうにはお伝えしたいと思っております。

○鎌田座長 ほかに。

 勇上委員、どうぞ。

○勇上委員 ただいまの分析という話題を受けてということで、関連した意見を申し上げたいと思います。

 建設業の労働災害の高さの原因について、分析やご意見がございましたけれども、研究ベースで申し上げると、従業員の高齢化で労働災害の発生率が潜在的には上がっているといわれています。先ほどのご説明でも、建設業の中で55歳以上の比率が上がってきているとありました。そう考えますと、10ページにある対策の対象とされている零細企業や事業者の労働災害の発生の原因についても、担い手である労働者の方の年齢構成が高齢化しているということがあるかもしれません。ここでは高齢化という視点は明確ではございませんが、その点も含めた具体的な問題点を洗い出すためにも、対策の中に書かれている、個別訪問ということはぜひやっていただきたいと思います。

○鎌田座長 ありがとうございます。

 ほかにございますか。

 なければ、次の議題に移りたいと思います。

 続きまして、「成年被後見人等の権利に係る制限が設けられている制度の見直しについて」御説明をお願いいたします。

○向山建設・港湾対策室長補佐 それでは、資料2-2をごらんいただきたいと思います。

 こちらは「成年被後見人等の権利に係る制限が設けられている制度の見直しについて」でございます。まず、成年後見制度でございますが、精神上の障害によりまして判断能力が不十分であるために法律行為における意思決定が困難な方々、このような方々を成年被後見人あるいは被保佐人という形でお呼びしておりますけれども、その方々の判断能力を補って生命・財産等の権利を擁護する制度でございます。

 このような成年被後見人に関しましては、資格や職種や業務などから一律に排除をするような規定。このような規定を欠格条項と呼んでおりますけれども、このような欠格条項が設けられているという制度が、現在、数多く存在をしているという現実がございます。

 例を挙げさせていただきますと、国家公務員法とか自衛隊法あるいは弁護士法といったようなものにおいては、この成年被後見人等というのはそれぞれの職業に就くに当たってかなり制限をされているという規定が設けられているところでございます。

 このようなことから、成年後見人制度がその趣旨に反して社会的排除を促すことになってしまっているのではないか。また、欠格条項が数多く存在することが成年後見制度の利用をちょうちょをさせる要因となっているのではないかなどといった指摘が数多くなされてきたところでございます。

 こうしたことを背景といたしまして、平成28年に、「成年後見制度の利用促進に関する法律」が成立いたしました。こちらでは欠格条項が設けられている制度について検討を加えて、必要な見直しを行うということとされたところでございます。

 これを受けまして、内閣府が中心となりまして、成年被後見人等を一律に排除するような欠格条項の規定を改めることを内容といたします法律案、資料1ページの下のほうにあります、約180本程度になりますけれども、これらの束ねた法律案をつい先日ですが、3月13日に国会に提出したところでございます。この180本程度の法律のうちの1つが建設労働法がございます。建設労働法の関係では、関連する部分2点ございます。

 資料1ページの上のほう、(2)にマル1、マル2とあります。この2点でございます。1つは、有料職業紹介事業や就業機会確保事業といったものを実施するためには、事業主団体が実施計画の認定を受けることが必要となってまいりますけれども、その認定を受けようとする団体の役員の要件として、この成年被後見人等という欠格条項が設けられております。

 もう一つは、事業主団体の構成事業主が就業機会確保事業を実施しようとする際は許可が必要となってくるわけでございますけれども、その許可を受けようとする事業主の要件として、また、成年被後見人等の欠格条項が規定をされておるところでございます。

 具体的な条文は、3ページをごらんいただきたいと思います。実施計画の認定に関しましては第13条において、それから、就業機会確保事業の要件といたしまして、第32条に、それぞれ成年被後見人もしくは被保佐人または破産者で復権を得ないものといった規定がされておるところでございます。

 これら一律の規定を改めるということでございまして、改正のイメージとしては、その前の2ページをごらんいただきたいと思います。改正イメージにございますとおり、改正前に、成年被後見人または被保佐人となっているところを、「心身の故障により○○事業を適正に行うことができない者として厚生労働省で定めるもの」といったような形で、いわゆる個別に判断をしていくといったような形に改める改正を予定しておるところでございます。

 説明は以上でございます。

○鎌田座長 ありがとうございます。

 それでは、この件につきまして、御質問がありましたら、どうぞお願いいたします。

 よろしいですか。これは、もう一斉にやっていることでありまして、趣旨としても、今、御説明がありましたとおり、私としては非常に前向きな改正だろうと思っております。

 よろしいでしょうか。

(「はい」という声あり)

○鎌田座長 ありがとうございます。

 それでは、次に、建設キャリアアップシステムについての御説明をお願いいたします。

○山影労働対策資材対策室企画専門官 国土交通省の山影でございます。

 建設キャリアアップシステムは、業界の皆様の協力と御支援をいただきながら、建設業全体として、技能者の方お一人お一人を大切にしていくシステムということで、この秋に運用を開始するシステムでございます。資料を御用意しておりますけれども、ポイントをかいつまんで、私のほうから御説明をさせていただきたいと思ってございます。

 資料をおめくりいただきまして、1ページをごらんください。

 「建設キャリアアップシステムの構築」ということでございまして、このシステムは、技能者の方の資格とか、社会保険加入状況、それから、現場での就業履歴、これを業界横断的に登録・蓄積していくという仕組みでございます。

 それを通じて技能者の方が能力・経験に応じて処遇を受けられる環境を整備することで担い手を確保していくということを目的としてございまして、ここに記載の多くの業界の皆様の御支援・御協力をいただきながら構築を進め、この秋に運用開始予定という状況でございます。

 目標を立ててやっておりまして、運用開始初年度で100万人の技能者、そして、5年で全ての技能者の登録を目指すという目標を立ててやっておるところでございます。

 この資料の下半分に、主にシステムの概要を、イラストもつけてございますけれども、まずマル1で、技能者の方、事業者の方、それぞれ情報を登録していただく。それから、このシステムを使う現場についても登録していただく。その上で、登録していただいた技能者の方には、真ん中マル2ですけれども、お一人お一人に固有のカード、キャリアアップカードと申しておりますけれども、この交付をさせていただきまして、現場、現場でこのカードを読み取るということを通じて、マル3にございますように、技能者の方が、いつ、どういう現場で従事したのかといった実績がどんどんと蓄積されていく。また、その上でございますけれども、最初の登録の際に、資格とかそういったものを登録してございますので、そういった情報もシステムで確認することが可能になる。こうしたものを使って技能者の処遇改善を図る環境を整備していくということでやっておるものでございます。

 資料をおめくりいただきまして、2ページでございます。この春から登録の開始を進めるということで、既に、そのカードのデザインもでき上がりつつあるところでございます。このようなカードをお一人お一人に交付させていただくということでございます。カードは2色ございますけれども、後ほど、また、御説明しますが、このシステムに蓄積される情報を使って技能者の方のレベル分けができないかといった議論をしてございます。いずれは、そのレベル分けに応じたカードの色分けみたいなものも考えてございますが、当面は、登録基幹技能者の資格を有する方には、この真ん中のゴールドカード、それ以外の方には左の一般のカードと、この2色で当面は運用をしていくという予定でございます。

 資料幾つかおめくりいただきまして、5ページをごらんください。システムにどういった資格等々が登録できるのかということでございまして。すみません、まだ、ちょっとイメージということでございますけれども、技能者の方のいろいろな資格とか免許とか講習とか表彰とか、そういったものを多く受けとめられるような仕組みとしておるところでございます。こうして登録いただいたものは、システムにログインすれば、技能者の方が閲覧できる仕組みになっているところでございます。

 資料をおめくりいただきまして、6ページにシステムのメリットをまとめてございます。大きく2つメリットございまして、1つは技能者の処遇改善、そして、もう一つが現場管理の効率化でございます。

 左側の「技能者の処遇改善」につきましては、このシステムに蓄積される情報を活用して、技能者のレベル分けができないか。それから、もう一つ、レベル分けに連動する形で、技能者を雇用されている専門工事企業の見える化みたいなものを進められないかということで、今、施策の構築を進めておるところでございまして、これは後ほど、また、資料をつけてございますので、御説明させていただきます。

 右側の「現場管理の効率化」で、このシステムはいろいろな情報を登録するというような特徴がございますので、例えば、今、国交省として取り組んでおる建設業における社会保険加入対策についての事務の効率化が図られるとか、7ページ以降に実際の様式をつけてございますけれども、建設業の現場で必要になってくる幾つかの書類について、システムに登録された情報を反映させているということで、そういったものの合理化も図られる。

 また、一番右下ですけれども、建設業における退職金制度でございます建退共について、今、就業日数に応じて証紙を貼付するというやり方をやってございますが、今、元請の方、下請の方、あるいは下請の方同士で、相当程度手作業等々で手間をかけてやられているところが、就業日数の確認が非常に簡単になりますので、こういった効率化も図られるのではないか。こういったメリットが期待されるのではないかと考えているところでございます。

 資料ちょっと飛んでいただきまして、10ページの資料をごらんください。先ほど、どちらかというと現場管理の効率化ということで、事業者の方のメリットを御説明しましたが、技能者の方のこのシステムの活用方法ということで、4点ほど記載してございます。

 まず1つは、御自身の経験とか技能が簡単に客観的に蓄積されるということで、カードをカードリーダーにかざすということで、共通のルールで電子的にどんどんたまっていくということですとか、また、その右でございますけれども、そういった情報を簡易に確認して、また、証明するといったこともできますし、左下、先ほど建退共証紙、元請・下請さんの間の事務ということをお話ししましたけれども、技能者の方にとっても、働いた日数と手帳に貼付された枚数の確認が簡単になるということで、退職金の確実な積立みたいなところにもつながるのではないかと考えているところでございます。

 それから、一番右でございますけれども、先ほど申し上げたように、カードの色分けみたいなものにも反映させていくことで、キャリアパスの提示とか、このカードの提示によって技能者のレベルを対外的にPRするといった、そういった取組にもつなげられるのではないかなと考えているところでございます。

 資料をおめくりいただきまして、11ページでございます。このシステムは民間のシステムでございますので、料金をいただきながら運営していくということでございます。技能者の方、事業者の方、それぞれ記載の形の料金をいただくこととしておるところでございます。

 資料をおめくりいただきまして、12ページをごらんいただけますでしょうか。先ほど、このシステムのメリットとして、技能者の処遇改善であるということを申し上げましたけれども、今、このシステムの導入を具体的な技能者の処遇改善につなげていくための施策の構築を、国土交通省において進めておるところでございます。大きく2つの施策を並行して検討しているところでございまして、1つは、技能者の方を対象とした制度、それから、もう一つが技能者の方が所属する専門工事企業を対象とした制度でございます。この左側、オレンジが技能者の方、それから、右側の緑で囲っているほうが企業を対象にした制度で、この2つの構築を進めているところでございます。

 まず左側でございますけれども、このシステムは業界統一で、客観的にお一人お一人の経験とか資格を蓄積していくシステムでございますので、そういったものを活用して大まかな技能者のレベル分けみたいなものができないかと。また、そのレベル分けに応じてカードの色分けにも反映させていくことができないか。こういった検討を進めておるところでございます。後ほど、資料をつけてございますので、また、そこで詳細を説明させていただきたいと思います。

 また、技能者の方を雇用しているのは専門工事企業の方でございますので、右側でございますけれども、もう一つ、専門工事企業の見える化みたいなものも進められないかということで進めてございます。その1つの項目として、所属する技能者のレベルとか人数とか、そういったものを設定することで、高いレベルの職人さんを抱えて育てていくといった企業の方が見えるような、そういった環境ができないか。そういうことを、今、検討を進めておるところでございます。

 資料をおめくりいただきまして13ページに、その検討のスケジュールを記載してございます。技能者の評価と専門工事企業の見える化ということでございまして、いずれも、今、検討に着手して、並行して検討を進めているところでございます。技能者の評価につきましては、後ろに、また、資料をつけてございますけれども、既に、検討会を設置して検討を進めているところでございまして、年度内に中間的なとりまとめをしたいということで進めてございます。両方引き続き検討を進めて、このシステムが動き始めるのが来年の秋でございますので、その前、夏ごろには、この2つの制度の枠組みを提示できないか。その後、また、運用に向けた準備を進めていって、31年度から両制度の運用が開始できないかと、そういったスケジュール感で、今、検討を進めておるところでございます。

 資料をおめくりいただきまして、14ページでございます。こちらは、先行して検討会を設置しております、技能者の方個人の評価のあり方に関する検討会の概要でございます。きょう御出席されている小倉委員にも委員に入っていただきまして、学識の方、それから、主要な専門工事業団体、そして、元請企業、そして、組合の方等々入っていただきまして、また、厚労省様にもオブザーバーに入っていただきまして、このような検討会、既に4回ほど開催をしてございまして、来週、第5回の検討会ということでございます。こういった形で検討を進めておるところでございます。

 どのような能力評価の仕組みを考えておるのかというのが、おめくりいただきまして15ページに、イメージということでつけさせていただいてございます。いわゆる現場で働く職人さんの能力の要素はいろいろあろうかと思いますが、例えば経験とか知識とか、あるいは、当然、現場で発揮される能力いろいろあろうと思いますけれども、この検討会におきましては、まさに、この秋から業界全体でのシステムが始まっていくというような状況も鑑みまして、このシステムで客観的に把握できるような経験であれば就業日数、知識・技能であれば保有資格、そういったところを中心に、そこを活用して、客観的で大まかなレベル分けができないか。そういった検討をしておるところでございます。

 そして、その大まかなレベル分けを土台といたしまして、マル1、マル2、マル3で書いてございますように、例えば、カードの色分けに反映させていくとか、先ほど申し上げた専門工事企業の見える化につなげていくとか、あるいは、そのレベルを参考にして個社の方、元請の方において、具体的な処遇決定の流れをつくるとか、そういった流れをつくり出すことで、技能者全体の処遇の底上げにつなげられないかといった検討を、まさに、今、中間とりまとめに向けて、詰めの検討を進めておるところでございます。

 最後、16ページでございます。システム自体のスケジュールでございます。緑の矢印のところ、今、まさに、システムの開発を鋭意進めておるところでございまして、この秋には運用開始ということでございます。それに先立ちまして、青の矢印でございますけれども、この春から技能者の登録、事業者の登録を開始するということでございまして、今、それに向けた作業を鋭意やっているところでございます。また、ピンクでいろいろ書かせていただいておりますけれども、このシステム、まだまだ周知・普及が足りてないところがございますので、我々、できる限り多くの事業者の方、技能者の方に登録していただくことが大変重要かと思ってございますので、いろいろな媒体をつくったり、説明会を開催するなどして、多くの方に利用いただけるように、今、周知・普及について取り組んでおるところでございます。このシステムは、業界全体のシステムでございますので、引き続き、業界の皆様の御意見等々を聞きながら、しっかりと進めていきたいと思っているところでございます。

 私からは以上でございます。

○鎌田座長 ありがとうございます。

 かなり時間をかけて、労使の皆様の御努力もあって、いよいよ運用開始一歩手前まで来たということであると思います。

 この件につきまして、何か御質問・御意見はございますか。

 最上委員、どうぞ。

○最川委員 10ページの技能者のメリットのところです。技能や経験の確認や証明の簡易化ということで、資格の登録をシステム上では確認できるのですが、先日、3月9日の安全衛生分科会でも、厚労省にお願いをしたのですけれども、現場で、運転免許証とか技能講習の修了証は、本証を提示しなければいけないというのがあって、それをこのカードで代行できないかというお願いです。

 今のところの回答では、本証を提示しなければいけないという回答を頂いています。それを何とかこのキャリアアップカードでその免許を持っていることを証明できれば、技能労働者のメリットになるのかなと思います。能力評価のレベル1から4の仕分けは、運用開始当時は、登録基幹技能者の資格を有する者ごとしかありませんので、将来的には処遇改善になっていくと思うのですけれども、すぐにはメリットがあまり感じられないと思いますので、ぜひ、その辺の検討をよろしくお願いいたします。以上です。

○鎌田座長 何かコメントはありますか。

○山影労働対策資材対策室企画専門官 そういった御指摘いただいているところでございますので、厚労省ともよく相談しながら検討をしていきたいと思ってございます。

○鎌田座長 ほかにございますか。

 勝野委員どうぞ。

○勝野委員 今、最川委員から御発言がありましたとおり、キャリアアップカード自身は、真正性が担保されたカードであるということでありますので、そういう形での資格証明等々についても活用できるように、ぜひお願いをしたいというのが1点目であります。

 もう一つは、運用開始から1年目で100万人、ここに書いてありませんけれども、事業所で13万社という目標で取り組んでいくということでありますが、私どもとしても、基本的には、このシステムが、現場で働く労働者の処遇改善につながるものにしていかなければいけない、こういうことで積極的な取組をしていきたいと思っているわけでありますけれども、技能労働者がカードを取得するためには、これは本日委員として御参加いただいております、業界団体の皆さんと国交省の方にお願いをしたいのですが、まずは事業所が登録をしてIDを取得していただかないと、労働者の就労履歴を登録できないシステムになっておりますので、まずは、国交省としても、そうした事業者に対する周知をしっかりと行っていただきたい、登録をしてもらうようにしていただきたいということと、業界団体の皆さんにも、ぜひ、会員各社にそういったお願いをしていただきたいと思っております。

 もう一つは、カードの色分けのところで、将来的には4種類ということで、レベル1からレベル4の色分けがされているのですが、2ページで見ると、一般のカードが白で、レベル4のゴールドカードがこういう形になっておりますが、4段階のカードを見ると、白は見習工の色になっているのですよね。そうしますと、最初のカードを取得した方は、もし白ということになると、俺は見習工かと誤解をしかねないので、この辺についてはちょっと御留意をお願いしたいと思っております。

○鎌田座長 要望ということで。

 ほかにございますか。

 よろしいですか。

 私は、このキャリアアップシステムに直接関与しているわけではありませんけれども、かなり革新的なものではないかと思っておりますので、ぜひ、労使共に協力をして、円滑な運用に努めていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、以上で公開に関わる部分は終了いたしまして、以後は、非公開の議題について御検討をお願いしたいと思います。

 どうもありがとうございました。

(山影専門官、傍聴者退室)

(非公開)

○鎌田座長 ありがとうございます。

本日予定されています議題は以上となりますが、事務局から、ほかに何かございますか。

○向山建設・港湾対策室長補佐 本日は、長時間にわたる御議論をありがとうございました。

 本日、資料をお配りしておりますけれども、非公開の議題の部分、具体的には、資料3-1、資料3-2につきましては、後ほど回収をさせていただきますので、その場に置いて、御退席いただきたいと思います。

 それから、本日議題に入っておりませんでしたが、参考資料3と4の部分について、ごく簡単に御紹介だけさせていただきたいので、よろしくお願いいたします。

○藤井建設・港湾対策室長補佐 参考資料3、参考資料4について御紹介させていただきます。

 初めに参考資料3、記者発表資料をごらんいただきたいと思います。

 厚生労働省では、先月2月21日になりますが、「働きやすく生産性の高い企業・職場表彰」の表彰式を行いました。本年度で2回目となりますが、今回、最優秀賞を受賞されたのが、建設塗装や塗料販売・左官工事等を手がける株式会社KMユナイテッドという会社で御紹介をさせていただきたいと思います。

 2枚ほどページをおめくりいただきますと、会社の概要がありますが、この中に記載のとおり、この会社では、熟練工に直接指導を受けられる研修施設を自社内に立ち上げ、他に、あるいは、保育ルームを設置、あるいは週休二日制の実現といった形で、女性を初め多様な人材が活躍できる、こうした職場環境が高く評価されての受賞となってございます。

 毎年女性社員を採用しておりまして、人数もふえているということで、前年では、従業員数33人ですが、そのうち女性は13名と伺っております。女性比率約4割を占めるまでに至っているということを聞いてございます。

 なお、昨年の第1回目の表彰におきましても、建設会社2社が優秀賞を受賞しております。こうした事例につきましては、ポータルサイトを立ち上げまして、その中で掲載しているところでありますが、建設業において、生産性の向上と雇用確保、雇用環境の改善を両立させる、こういった取組が一層広まっていくことを期待しており、御紹介をさせていただいたところです。

 続きまして、参考資料4になります。

 これは3月12日に行われました「けんせつ小町活躍推進表彰」の概要と本年度の受賞の一覧になります。「けんせつ小町」というのは、建設業で働く全ての女性の愛称でございますが、女性が活躍できる建設業を目指して、平成27年に委員会が発足されまして、女性の活躍に資する、そういった活動を表彰する「けんせつ小町活躍推進表彰制度」が同年創設されました。

 本年度は、29社より100件の応募がありまして、その中から最優秀賞1件、優秀賞4件、特別賞4件、そして、奨励賞1件の合計10件が受賞されました。10件の取組内容につきましては、2ページ目以降で資料をつけてございます。後ほど目を通していただければと思います。

 表彰式では、受賞者による講演も行われましたが、建設業の中で、今後、さらに、こうした取組の輪が全国的に広がっていくことを期待しまして、今回、御紹介をさせていただいたところです。

 以上となります。

○鎌田座長 ありがとうございます。

 それでは、本日の委員会は、これで終了させていただきます。予定時間を若干過ぎてしまいましたけれども、大変申しわけございませんでした。

 最後に、本日の会議に関する議事録の署名人につきましては、労働者代表は岩永委員、使用者代表は渡辺委員とさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 それでは、どうも、お忙しいところをありがとうございました。


(了)

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