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2018年3月8日 第19回労働政策審議会安全衛生分科会じん肺部会(議事録)

労働基準局安全衛生部労働衛生課

○日時

平成30年3月8日(木) 
10:00 〜 12:00


○場所

厚生労働省 省議室(9階)


○出席者

公益代表(敬称略)

大藪 貴子、土橋 律、保利 一、山口 直人

労働者代表(敬称略)

石橋 学、漆原 肇、加藤 芳基、田久 悟、古谷 彰、諸見 力

使用者代表(敬称略)

明石 祐二、佐藤 恭二、寺門 雅史、安川修一

事務局

田中誠二 (安全衛生部長) 神ノ田昌博 (労働衛生課長)
鈴木章記 (主任中央じん肺診査医) 小林沙織 (中央じん肺診査医)

○議題

(1)労働政策審議会安全衛生分科会じん肺部会長の選任について
(2)第9次粉じん障害防止総合対策について(報告)
(3)働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱について(報告)
(4)じん肺健康管理実施状況報告について(報告)
(5)呼吸用保護具に関する研究について(報告)

○配布資料

【資料1】労働政策審議会安全衛生分科会じん肺部会委員名簿
【資料2】第9次粉じん障害防止総合対策について
【資料3−1】「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」諮問文
【資料3−2】「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」答申
【資料4】じん肺健康管理状況
【資料5】じん肺発症と防じんマスク
【参考資料1】第13次労働災害防止計画
【参考資料2−1】じん肺健康管理実施状況報告(様式第8号)
【参考資料2−2】平成26年、27年じん肺健康管理実施状況
【参考資料2−3】じん肺管理区分
【参考】労働政策審議会令
【参考】労働政策審議会運営規程
【参考】労働政策審議会安全衛生分科会運営規程
【参考】労働政策審議会安全衛生分科会じん肺部会運営規程

○議事

○主任中央じん肺診査医 ただいまから第19回労働政策審議会安全衛生分科会じん肺部会を開催いたします。皆様におかれましては大変お忙しい中、当部会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。本日は委員の改選後の初めての部会となりますので、部会長選出までの間、私が議事進行を務めさせていただきます。労働衛生課主任中央じん肺診査医の鈴木と申します。
 議事に入る前に、委員に就任されました皆様方を御紹介させていただきます。お手元にお配りしている資料1に委員名簿を付けておりますので、御覧いただければと思います。順に御紹介いたします。まず、公益代表の大薮委員です。土橋委員です。新たに就任された保利委員です。山口委員です。近藤委員と永野委員は所用のため御欠席と聞いております。続きまして、労働者代表の石橋委員です。新たに就任していただきました漆原委員です。加藤委員です。田久委員です。新たに就任していただきました古谷委員です。諸見委員です。続きまして使用者代表の明石委員です。佐藤委員です。新たに就任していただきました寺門委員です。新たに就任していただきました安川委員です。江藤委員と山本委員は所用のため御欠席となっております。
 本日は公益代表4名、労働者代表6名、使用者代表4名、計14名の御出席を頂いております。労働政策審議会令第9条第1項及び第3項により、定数を満たしていることを御報告いたします。また、本日は参考人として岡山労災病院の岸本卓巳副院長に御出席いただいております。よろしくお願いいたします。
 続いて、事務局に異動がありましたので御紹介させていただきます。労働衛生課長の神ノ田です。それでは、安全衛生部長の田中から御挨拶申し上げます。
○安全衛生部長 安全衛生部長の田中でございます。じん肺部会の委員の皆様方には日頃から労働安全衛生行政につきまして、多大なる御指導を頂いておりまして、改めて御礼申し上げます。昨年3月に前回の開催をいたしまして、その後委員の改選がございまして初めての部会でございます。引き続き御指導のほど、よろしくお願い申し上げます。
 本部会は極めて専門的なことについて、安全衛生分科会の下に部会を設置して御審議いただいておるわけですけれども、粉じん障害対策につきましては後ほども縷々御説明させていただきますが、依然として非常に重大かつ深刻な課題を抱えていると思っております。様々な知見を集めながらしっかりと進めていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 この機会に、昨年3月以降の関連する行政の動きについてお話をさせていただきたいと思います。昨年3月に皆様御承知のとおり、働き方改革実現会議におきまして、働き方改革実行計画が決定されております。現在、それに基づいて、昨年9月になりますが、労働政策審議会で働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱の諮問をさせていただきまして、厚生労働省案は「おおむね妥当」というような答申を頂きました。
 現在、この法律案要綱に基づきまして法案を作成し、国会に提出すべく準備作業を行っているところでございます。この法律案は関係法案が8本となっておりますが、その中の、1本は安全衛生法ですが、もう1つ関連する法律として、じん肺法の改正を予定しております。じん肺法の改正内容につきましては、労働者の健康情報の取扱いを適切に行うための規定整備を労働安全衛生法において行いますが、これと同様の趣旨の改正をじん肺法においても行うというものです。
 また、本年度は第12次労働災害防止総合計画の最終年でございまして、昨年9月以降、安全衛生分科会において第13次労働災害防止総合計画の検討を行い、本年2月に取りまとめられたところです。
 13次防における粉じん障害対策については、第9次粉じん障害防止総合対策を策定しまして、これに基づいて実施していくこととしております。この第9次粉じん障害防止総合対策の詳細につきましては、後ほど御説明申し上げますけれども、新たに重点事項として、呼吸用保護具の使用の徹底及び適切な使用の推進並びにじん肺健康診断の着実な実施というものを設定しております。
 本日の部会ではこうしたことに関連する報告をさせていただく予定です。委員の皆様方におかれましては、専門のお立場から忌憚のない御意見を賜れれば幸いです。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
○主任中央じん肺診査医 それでは、議事に入ります前に、事務局から本日の資料の確認をさせていただきます。お手元の資料を御覧ください。議事次第があります。資料1「労働政策審議会安全衛生分科会じん肺部会委員名簿」、資料2「第9次粉じん障害防止総合対策について」、資料3-1「「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」諮問文」、資料3-2「「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」答申」、資料4「じん肺健康管理状況」、資料5「じん肺発症と防じんマスク」、参考資料1「第13次労働災害防止計画」、参考資料2-1「じん肺健康管理実施状況報告(様式第8号)」、参考資料2-2「平成26年、27年じん肺健康管理実施状況」、参考資料2-3「じん肺管理区分」、参考として「労働政策審議会令」「労働政策審議会安全衛生分科会じん肺部会運営規程」です。過不足等がありましたら、事務局までお知らせください。
 それでは、議題1「部会長の選任」に入ります。労働政策審議会令第7条第6項の規定に基づきまして、部会長は当部会に所属する公益を代表する、親審議会である労働政策審議会委員のうちから選挙して選出することとなっております。当部会におきましては、公益を代表する労働政策審議会の委員でいらっしゃるのは土橋委員お一人ですので、土橋委員に部会長就任をお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
                                  (異議なし)
○主任中央じん肺診査医 ありがとうございます。それでは、以後の議事進行につきまして、土橋部会長にお願いいたします。
○土橋部会長 ただいま御指名いただきました土橋でございます。よろしくお願いいたします。じん肺部会ということでいろいろな検討等をしていくことになりますが、特に安全衛生部長からもお話がございましたが、4月から第9次粉じん障害防止総合対策というものが開始されまして、今日の議題にもございますが、新規事項、重点事項を据えて進めていくということです。適切にこの部会が進行されますように、是非皆様の御協力をよろしくお願いいたします。
 議事を進めます。最初に部会長代理についてですが、労働政策審議会令第7条第8項において、部会長代理は部会に属する公益を代表する委員又は臨時委員のうちから部会長が指名することとなっております。私としては、山口委員に部会長代理をお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
                                  (異議なし)
○土橋部会長 ありがとうございます。それでは、山口委員よろしくお願いいたします。
 本日2つ目の議題に入りたいと思います。議題2「第9次粉じん障害防止総合対策について」です。事務局から説明をお願いします。
○主任中央じん肺診査医 資料2を御覧ください。1ページにじん肺総合対策についてということで、現状と重点事項を記載した表があります。2つ目の重点事項にあるとおり、重点としては、8次までになかった新規ということで、「呼吸用保護具の使用の徹底及び適正な使用の推進」と「じん肺健康診断の着実な実施」というものが加わっています。また、昨年度にこちらのじん肺部会で省令改正等を行っていただきましたが、重点事項の(1)ですが、「屋外における岩石・鉱物の研磨作業若しくはばり取り作業及び屋外における鉱物等の破砕作業に係る粉じん障害防止対策」、省令が規定されましたので、こちらを徹底するという中身になっております。特に、重点として新規となった2つの点について、次のページ以降で説明させていただきます。
 次のページは都道府県労働基準局長宛ての通知の表紙です。下から6行目の「以上の状況を踏まえ」という所からありますが、この通達は「別紙1」「別紙2」という構成になっていまして、別紙1は第9次粉じん障害防止総合対策を推進するという、都道府県労働局への指示という中身です。後ろの別添は、粉じん障害を防止するため事業者が重点的に講ずべき措置というものです。
 次のページを御覧ください。左上に「別紙1」と記載しています。「第9次粉じん障害防止総合対策」という頭書きになっております。この裏側の「第4労働基準行政の実施事項」という所で、先ほど呼吸用保護具の話がありましたが、(3)電動ファン付き呼吸用保護具の活用周知、3ページの(6)じん肺診査における精度確保とあります。じん肺診査においては、事業所というよりは都道府県労働局で行うものですので、少し説明させていただきます。じん肺診査は、全国で地方じん肺診査医が150人ほど活躍しておりますが、この方々が診査を行っていく、この体制がしっかりしていないと、最終的に予防していく措置を取れなくなってしまうので、この診査精度の水準をしっかりと保つようにということになっております。また、下のほうに「なお」とありますが、じん肺診査というものは、あくまでも肺の写真(肺の胸部X線写真)を用いて行うものです。CTの写真は診査をするときの参考資料として用いるということを改めて記載しています。
 2ページめくっていただくと、左上に「別添」とあります。こちらは「粉じん障害を防止するため事業者が重点的に講ずべき措置」というものです。これは先ほど通達の表紙の所で説明しました別添の資料で、事業者が行うべきものを記載した一式です。3ページ目の一番下に、「呼吸用保護具の使用の徹底及び適正な使用の推進」とあります。中身は4ページ以降です。1つ目に、保護具の管理責任者等を選出するということです。2つ目は、呼吸用保護具の適正な選択、使用及び保守管理の推進です。この推進をしていくときに、[1]ですが、呼吸用保護具は顔面への密着性等を確認して使わなければ呼吸用保護具の機能が損なわれてしまうので、こういったところを管理していくこと、保守管理をしっかりとしなければ使えない呼吸用保護具を使うことになるので、そういうことを徹底すること。そのときに、フィルタの交換の基準が必要ですので、交換日誌等をしっかりと付けるということ。こういったことをするときに、粉じんの作業場は小さな所もありますが、保護具アドバイザーという者がありまして、全国に呼べるようになっておりますので、こういった者を活用しながら、呼吸用保護具の適正な使用を推進するようにという記載をしています。
 また、(3)ですが、8次の粉じん対策では電動ファン付きの呼吸用保護具について「推奨」と記載していました。今回はもう一歩踏み込んで、電動ファン付き呼吸用保護具を「活用」するということです。具体的に言いますと、3行目に「じん肺法20条の3の規定により粉じんにさらされる程度を低減させるための措置の一つとして」と書いています。このように書くと分かりづらいので、参考2-3を御覧ください。
 これは「じん肺管理区分」とありまして、じん肺管理区分の表やポンチ絵があります。この一番下の所を御覧ください。じん肺の審査をしていくと、管理の1、2、3、4というものになります。これに伴い、働くときにどのような措置を講じなければいけないかが書いてあります。このペーパーで言うと一番下の「じん肺管理区分に基づく就業上の措置」です。先ほど申し上げた措置というのは、この右側に書いていますが、「粉じんばく露の低減措置の努力義務」という所です。じん肺法第20条の3というのはこちらのことで、この規定に基づいて、じん肺の管理2等になっている方々がそのまま粉じん作業に就く場合においては、それなりの措置を取らなければいけないと。そのときに呼吸機能が若干落ちているわけですので、そういったところを踏まえると、電動ファン付きの呼吸用保護具を使って補助をすることが適正な使用につながるのではないかという考え方です。あくまでも努力義務ではありますが、このようなことを今回積極的に記載させていただいた次第です。
 また、資料2にお戻りください。4ページ目の下の「じん肺健康診断の着実な実施」です。新たに記載していることは、「粉じんの作業職歴を可能な限り記載し」ということです。それ以外は従前のとおりですが、今回は呼吸用保護具が1次予防対策等になってきますが、早期発見等をして重症化を防止していく、そのためにはじん肺の健康診断を着実に実施することが大変重要ですので、こういったところを改めて徹底するというようなことを記載させていただきました。非常にかい摘んだ形ですが、9次粉じん対策について新たに加わった部分はこのようになっております。以上です。
○土橋部会長 ただいまの御説明について、御質問、御意見等がありましたらお願いいたします。
○加藤委員 労働側の加藤でございます。まずもって、第9次粉じん障害防止総合対策において、呼吸用保護具の使用が努力規定として盛り込まれたことを大変高く評価いたします。また、電動ファン付き呼吸用保護具の利用経験者からの評価も大変高くなっております。特に、最近は人手不足といったようなところで、高齢の方ほど呼吸用保護具をした際の呼吸が楽になるとのコメントを寄せておられます。電動ファン付きの呼吸用保護具の普及が作業環境を改善し、労働生産性を向上させる一助になることを期待しております。
 一方で、通常の呼吸用保護具と比べて価格差が大変大きいことから、その普及に向けて国としても積極的に周知と啓発に取り組んでいただくとともに、ユーザー企業には設備投資の一環として利用促進を図っていただきたいと思っています。以上です。
○土橋部会長 御意見を頂きました。ほかにいかがでしょうか。
○田久委員 今、加藤委員が言われたように、電動ファン呼吸用保護具を活用していくということは、私自身も大いに賛成しているところです。ただ、1つ懸念と言うか、予防対策として、特に建設の現場で働く仲間は予防として付けている際に、周辺から「その現場は危険なのか」と、こういった指示も含めて言われたということを、私の組合のほうからも聞いたことがあります。ですから、そういった部分では早期に予防していくという観点から電動ファン付き呼吸用保護具を使用していくのはすごくいいことだと思いますので、できれば着けることに対しての、そういった拒否というかがなくなるよう、周りの環境作りを一緒に厚労省でも検討していただきたいと思います。そうしなければ、規制を現場内でやっていこうと言っても、そういったところでは周りが理解しないと着けにくい、予防対策として着けているのに、「外しなさい」と言われて外さざるを得ない状況などというのが生まれてくるのは本末転倒だと思いますので、是非そういった観点でも今後の政策などを検討していただきたいと思います。
○土橋部会長 御意見を頂きました。事務局側からはよろしいですか。
○主任中央じん肺診査医 ありがとうございます。基本的に呼吸用保護具につきましては最終的な手段と認識しています。労働衛生対策を考える上で、作業管理、作業環境管理ということをしっかりとした上で、このものをやっていく。その中で、当然こういったものは現場で判断できるものではなくて決まり事があるということはしっかりと周知していくよう、先般から我々も動いているところで、またいろいろとそういったことに取り組んでいきますので、何かありましたら引き続き御指導いただければと考えています。
○土橋部会長 ほかにございますか。
○漆原委員 厚生労働省が第13次労働災害防止計画を策定されたことを受け、連合も労働安全衛生方針5か年計画を策定させていただきました。その中で粉じんの問題については、作業環境測定の確実な実施と、その結果に基づく必要な改善措置を求めていくことを記載した上で、今回の第9次粉じん障害防止総合対策に記載のあるような電動ファン付き呼吸用保護具の活用も推進していこうと考えているところです。
 粉じんばく露の予防ですとか、健康管理教育について、その重要性を連合に加盟している組織や、地方の組織には広めていきたいと思っておりますので、今後とも御協力をよろしくお願いいたします。
○土橋部会長 御意見を頂きました。ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは次の議題に移ります。議題3「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱について」ということです。まずは説明をお願いいたします。
○主任中央じん肺診査医 資料3-1、資料3-2です。いきなりこれを開きますと文字ばかりなので、簡単に口頭で御説明いたします。先ほど部長の田中からも説明がありましたが、関係法案という中に、産業医や産業保健機能を強化していくような話があります。この産業医及び産業保健機能の強化の中で、産業医に対する情報提供を行っていくというものが入っています。具体的に情報提供とは、労働時間に関する情報を産業医へ提供する、事業者が労働者の健康情報を取り扱うに当たり健康確保に必要な範囲内で取り扱う、労働者の健康情報を適正に管理するために必要な措置を事業者に義務付ける、厚生労働大臣は事業者による健康情報の取扱いの適切かつ有効な実施を図るための必要な指針を公表すると、このような中身が入っています。
 今申し上げた中の健康情報を取り扱うに当たってのいろいろな記載事項とか、それから健康情報を適正に管理するために必要な措置というものについて、じん肺の関係も同様に規定しなければなりません。そのために、資料3-1の16ページを御覧ください。「第二 じん肺法の一部改正」ということで、改正する内容について記載しています。「労働者の心身の状況に関する情報の取扱い」、「その他」が書かれています。こちらの内容について、こういった改正が行われる旨の法案を調整中です。こちらについて、じん肺部会にも御報告させていただいた次第です。以上です。
○土橋部会長 ただいまの説明につきまして、御質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、報告を受けたこととさせていただきます。続きまして、議題4「じん肺健康管理実施状況報告について」です。まずは説明をお願いします。
○主任中央じん肺診査医 資料4、参考資料2-1、参考資料2-2、参考資料2-3を御準備ください。まず、参考資料2-2を御覧ください。従前から委員をしていただいている皆様方には、この資料は前回のじん肺部会で御覧いただいたと思います。我々は、「じん肺健康管理状況」として、ここに書いてあるような情報を毎回じん肺部会で報告させていただいております。
 この資料の3ですが、「在職者で平成26年、27年中に合併症により療養を開始した者の内訳」があり、集計中となっていました。本日就任していただいた先生もいらっしゃいますので、この集計中について改めて御説明しますと、数字に関して若干の疑問を感じる点もありましたので再集計等を行い、全数の集計を1年かけて行いました。昨年はじん肺部会を2回開催いたしましたが、2回とも集計中という御報告をさせていただきました。その集計の中身について、本日は丁寧に説明させていただきます。
 参考資料2-1を御覧ください。「様式」が付いていますが、これは事業者が労働基準監督署に毎年報告をするフォーマットです。これは事業者が記載するもので、このうちの先ほど申し上げたものは、「産業医等」という四角の1つ上の(*3)の所の「じん肺管理区分が管理2又は管理3である労働者で、じん肺法施行規則第1条各号に掲げる合併症により、本年中に療養を開始したものの数」ということで、この様式に事業者が記載して監督署に報告する数字で、これを私どもが毎年集計していたものです。
 もう1つ、参考資料2-3を御覧ください。じん肺の審査等の仕組みを簡単におさらいさせていただきます。「じん肺管理区分」という1枚紙です。管理区分は管理1から管理4に区分をします。これは胸の写真等を見て診査をしていくわけですが、真ん中の「じん肺管理区分決定の流れ」を御覧ください。通常、働いている方が健診等を受けると、事業者からじん肺の健康診断実施の結果について、審査をよろしくお願いしますということで上がってきます。もう1つのルートですが、随時、労働者や離職後等の方からも申請が上がってきます。この2つの申請が都道府県の労働局長の所にきて、地方の地方じん肺診査医会で審査をし、決定していきます。決定したものについては、この書面は事業者等にも通知されるものですので、ここで合併症等、管理の区分等が出てきますが、こういったところの数字を事業主が書いて毎年報告するというものでした。皆さん正確に出そうということで、申請と結果を送っていただいているのですが、この数字については事業主の思い込み、勘違い、間違いもときどきあるということで、数値が揺れてしまうことに気が付いたところです。
 そこで資料4を御覧ください。3「合併症り患者数(在職者のみ)」、その次のページに4「随時申請に係る合併症り患者数」があります。制度にのっとっていろいろやっていきますと、合併症がどのぐらい出ているかの数字は既に労働局内で分かっていますので、事業主から来た数字は、監督指導等をするときの意識などを図るには有用なのですが、こういったものの数字のほうが、じん肺部会等で報告するには適切なのではないかということを考えましたので、こちらの数字を集計中という部分については、報告させていただきます。
 取りあえず過去に遡る必要がありますので、平成19年から後ろのものについて出しております。この後、昭和53年以降のものをデータとして出せそうですので、今日までに集計が間に合わなかったのですが、後日、先生方には御報告させていただきます。今後じん肺部会ではこの数字を報告させていただければと考えています。
 ちなみに、資料4の1ページ目は「じん肺健康診断結果」、2ページ目が「随時申請に係るじん肺管理区分決定状況」ですが、こちらが先ほどの参考資料2-2で言う上の表の数字です。具体的に見ていただくと、参考資料2-2に「じん肺健康診断結果(在職者のみ)」というのがありますが、平成26年、平成27年で、適用事業場数だけで見ていきますと、平成26年は4万4,553、平成27年は4万5,659というのを書いています。こちらは資料4で言うと、最初の「じん肺健康診断結果(在職者のみ)」の平成26年、平成27年の数字と対応しています。さらに次の表についても、その下の表の平成26年、平成27年と、その次の「随時申請に係るじん肺管理区分決定状況」も、次のページの2の表と対応しております。先般、労働者側の加藤委員から、こういった数字を活用したいということを伺っておりましたので、改めてこういった数字を掲載させていただいたものを、平成19年からの資料とさせていただいた次第です。引き続き、じん肺部会ではこのような形、これにすると離職後の数字も出てきますし、確実ですので、こちらで報告させていただければと考えています。以上です。
○土橋部会長 ただいまの説明につきまして、御質問等はございますでしょうか。
○石橋委員 1点、お願いということで発言させていただきたいと思います。粉じんにつきましては、1度肺の中に吸収されると肺から排除されない。こうした特性等を踏まえると、今後もじん肺有所見者数は一定程度発生するものと推定されます。また、近年では新しい素材による肺障害も報告されておりますし、今後もじん肺は注目すべき職業性肺疾患であることに変わりはありません。
 そうした点も踏まえますと、じん肺健康診断の着実な実施が今後も重要でありまして、じん肺診査医の人材確保に向けて、医療機関との更なる連携をお願いいたします。以上です。
○土橋部会長 事務局側からはよろしいですか。御意見を頂きました。ほかにいかがでしょうか。管理区分で出された数よりも、事業主からもらった数字のほうが少ないということです。参考資料2-3の右の四角を見ると、区分が決まると「事業者及び労働者へ通知」ということなので、多分事業者は区分の通知は全部受けているはずですが、その数字を十分に把握していないので報告書の数が少ないのかなと思いますので、少なくともここはしっかりと把握していただいたほうがよろしいかと思います。例えば通知をするときに少し指導をするとか、その辺りを御検討いただければと思います。
○主任中央じん肺診査医 恐らく事業主のほうからの返事というのは、部会長がおっしゃるとおり、意識というところが大きいのかと思います。我々どもも監督官等の研修、それ以外のいろいろな所で、こういったものをうまく使いながら事業者の意識を付けていくようなことも指導できるようにしていきたいと考えております。御意見ありがとうございます。
○土橋部会長 よろしくお願いします。ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは次の議題にいきます。議題5「呼吸用保護具に関する研究について」ということでお願いいたします。
○主任中央じん肺診査医 先ほど御説明した第9次の粉じん障害防止対策でも、呼吸用保護具の使用の徹底及び適正な推進というのを、極めて重点的なものとして置かせていただいております。ちょうど呼吸用保護具の研究を今、厚生労働省においても進めているところで、まだ経過中ではありますが、情報提供という形で、岡山労災病院副院長の岸本先生より御説明いただきたいと考えております。
○土橋部会長 それでは参考人の岸本先生、よろしくお願いします。
○岸本参考人 こちらのスライドを使って、岸本がしゃべらせていただきたいと思います。岡山県というのは、じん肺とは余り縁がない県だと皆様方も思われているかと思うのですが、じん肺というのは、かつて炭鉱があった北海道、福岡、長崎の辺りに多かった病気ですが、岡山、兵庫、広島は工業地帯で、岡山県というのはじん肺管理区分決定者がベスト3にずっと入っており、産業保健をやっている我々は、平成の初め頃からじん肺に対応してきました。
 これは造船溶接作業です。パーツが大きいので、大変粉じん量が多い作業です。岡山県は県の西部で良質の花崗岩が採れる所で、大阪城や江戸城の石垣は、岡山から供出されております。今は中国からの輸入になっていますが、かつては石材掘削とか、このような加工・研磨作業も盛んでした。県東部の兵庫県側には耐火れんが工場があり、このような耐火物粉砕作業があります。これも見てお分かりのように、粉じんが大変多い作業です。
 平成10年頃から、じん肺予防のためにじん肺管理区分2になる前の段階の人たちはいないのかということで、岡山と香川のじん肺診査医で検討しようということで調査したところ、じん肺管理1だけれども、2に近い方が40%以上いるということに気付き、岡山産業保健推進センターで調査をいたしました。後からその結果をお出ししますが、個人ばく露濃度は非常に多いことが分かりました。それらの方々が実際に防じんマスクを着用しているかどうかを確認したところ、97%の方はきちんと防じんマスクを着けておられました。そういうことになると、呼吸用保護具そのものの着け方が悪いのではないかということで、呼吸用保護具もれ率を平成15年度、今から15年前に検討したわけです。
 今、作業内容をお見せした造船溶接、石材加工・研磨作業、耐火物粉砕作業場に参り、10名の個人ばく露濃度を調査したわけです。許容濃度は0.15mg/m3が基準値ですが、このような粉じんばく露内容です。特に一番下の造船溶接です。溶接作業というのは細かい粉じんが多いので、じん肺の原因となる吸入粉じん量が極めて多いことがお分かりになると思います。これできちんと呼吸用保護具が着けられてないと、当時もそうですが、日本で唯一増えている溶接工肺は避けられないだろうと予測いたしました。
 これは柴田科学が作っているオーダーメードの呼吸用保護具フィッティングテスターで、呼吸用保護具のもれ率を測る機械です。非常に単純で、呼吸用保護具の中と外の粉じんを計測します。本来、呼吸用保護具の内は粉じん濃度は0ですが、幾らかあれば入っている分だけがもれ率ということで、簡単に計算されます。耐火物粉砕作業場から、ここで見て取れるような、かなり多くの方々にもれを認めたわけです。当然10%未満であれば、かなり少ないのですけれども、60%、80%を超えるような方々がいることがお分かりになると思います。造船溶接作業は、吸入粉じんが大変多い作業です。10%未満の方も13人いますけれども、80%を超えるような方が5人もいるという状況も見て取れました。これは鋳物作業です。鋳物を壊すときに粉じん量が多いのですけれども、ここはまだもれ率がそれほど高くないことがお分かりになると思います。
 耐火物粉砕作業等々でもれ率を見たところ、このように造船や石材加工では40%近くもれているということで、呼吸用保護具の効果が60%ぐらいしかないことが分かり、トータルで24.3%ももれていることが判りました。10%未満で、まあまあ許容範囲内かなと思われる人は、たったの34%しかなかったという事実に気付きました。ですから、このまま呼吸用保護具のもれを放っておいてはいけないということで、岡山産業保健推進センターの指導員によって、各事業場に呼吸用保護具の適正な着用の指導をしようということにしました。というのは、きちんと指導すれば、呼吸用保護具のもれ率は10%未満になるという近接効果は一応確認いたしました。
 では、すぐにはいいけれども、長期はどうだろうか、一度指導したら、それがずっと適正な指導になっているかどうかということで、この指導を平成15年から5年間、7つの事業場で行いました。その結果をお示しいたします。A社からI社で見て取れるように、青で示した所が5年間で呼吸用保護具の効率が良くなった所で、赤で示した所が指導をしたにもかかわらず、良くなっていない所です。効果があったのは2事業場で、効果がなかったのは5事業場ということで、近接効果はあるけれども、長期の効果は余りないのではないかと感じました。これでは普通の防じんマスクではいくら指導しても駄目だろうと思いました。
 平成18年当時、クボタの神崎工場のアスベストの問題があり、私もそちらの専門家で、その作業場でも同じような傾向がありましたので、これを防止するためには電動ファン付き呼吸用保護具を是非使ってほしいということで、石綿こきおろし作業等は電動ファン付き呼吸用保護具が義務化されたわけです。ただし造船溶接や石材掘削、石材研磨は通常の防じんマスクで、電動ファン付きマスクの使用は義務付けられておりません。
 これが通常の防じんマスクです。このような全面形、半面形の2つがあり、正しい使い方をしなければいけない。外側にメリヤスを付けたり、紐の締め方が甘いともれるということが分かります。これはアスベスト除去作業場ですが、このようにタイベックの上から防じんマスクを着けても、タイベックと呼吸用保護具の間にもれが生じます。このような方です。頭に帽子をかぶって呼吸用保護具を着けても、呼吸用保護具と帽子の間に隙間があると20%程度はもれます。メリヤスを呼吸用保護具の周りに巻いても、約20〜30%のもれがあるということの確認があります。このような髪がマスク下に入り込めばもれになり、20%以上はこれでもれてしまうという確認ができました。
 これは重松さんの簡易呼吸用保護具です。このようにちょっと太めのボールペンをかませて、呼吸用保護具効率を測ったわけです。この呼吸用保護具は見てお分かりのように、100%のもれです。この程度の隙間があれば呼吸用保護具のもれ率は100%ですから、してないのと全く一緒です。本人はしている気になっていますけれども、この程度の隙間だけでも全然駄目だということが分かります。
 電動ファン付き呼吸用保護具というのは全面形、普通の呼吸用保護具と同じような半面形、フードのようにかぶる形の大体3つが知られております。これも重松製作所の部長が私と同じように、同じボールペンをかませて呼吸用保護具のもれを見たわけですが、たった2.4%しかもれない。というのは、電動ファンが呼吸用保護具内を陽圧にしてもれを防いでいるということで、やはり電動ファンの効果は間違いないということを確認いたしました。
 ですから、通常呼吸用保護具と電動ファン付き呼吸用保護具の比較試験を、医学的にもやらなければいけないだろうということで、今年1月、2月に岡山県の事業場で、かつてから我々に協力してくださっている興研さんと重松製作所さんに協力していただきました。これらの事業場は、まだ電動ファン付き呼吸用保護具の導入がありませんので、溶接作業者に通常の呼吸用保護具を使っていただくとともに、電動ファン付き呼吸用保護具を着けていただき、呼吸用保護具のもれ率等について検討いたしました。最近は呼吸用保護具の中が陰圧なのか陽圧なのかが分かるような、呼吸用保護具内のフィッティングテスターという、私が買ったときの値段より5倍ぐらい高い良質なものができておりますので、詳細に分かります。
 総勢19人でやりました。最初はパイロットで9人の方でやりました。測定機器も、呼吸用保護具メーカーの興研さんと重松さんで各々測っていただいて、その平均値をここに出しております。見ていただけますように、症例2というのはもれ率が50%です。理由は、防じんマスクにメリヤスをコーティングしていたということです。そのまま呼吸用保護具を圧着いたしますと皮膚が赤くなったり、傷が付いたりということで、メリヤスをされる方が多いのですが、メリヤス効果で50%はもれたということです。
 4番の方は締め紐が伸びていて、圧着率が弱いということで39%程度です。5番の方は排気弁が変形してそこからもれていますので、81.1%です。8番の方はメリヤスカバーがあって、なおかつ締め紐が甘いので43%です。そういうことで、圧着不足やメリヤスによってのもれがこの程度で、このときの平均もれ率は32.9%でしたから、平成15年の24.3%に比べると、むしろ悪化しているという程度です。追加して10名の方にもやっていただきましたが、もれ率は20%以上がほとんどです。
 ここに「PAPR」と書いてあります。これが電動ファン付き呼吸用保護具です。「Powered Air Purifying Respirator」がその英訳で、それを縮めて「PAPR」と言います。普通の防じんマスクで24%もれている方でも、電動ファン付き呼吸用保護具を着ければ0.16%程度で、もれる方でも1%程度しかもれない。内圧が電動ファンで陽圧化されることによって、呼吸用保護具のもれがこれだけ違うことが分かりました。我々は電動ファン付き呼吸用保護具を使ったもれ率を、今まで検討していなかったのですが、我々が指導したにもかかわらず、僅か19例ですが、普通の呼吸用保護具では、10年たった後も余り良くないことが分かったわけです。
 これがもれ率です。このブルーが防じんマスクです。グリーンであるはずですけれども、ほとんどここの棒グラフには出ていません電動ファンを使うと、1%未満になりますので、ほとんどもれてない。どんな着け方をしようと、紐が少々緩かろうと、ファンのお陰で内圧が保たれて、もれてないことが分かりました。これが19例の通常の防じんマスクと、電動ファン付き呼吸用保護具の差です。この辺りに若干緑の棒グラフが見えますが、ほとんどない。これだけ違うということです。僅か19例の症例でもこうでした。確かにもれているということです。
 実際にどれぐらいの粉じんを吸っているかということになると、呼吸量というのが必要になります。この作業者はどれぐらいの量の呼吸をしているのかということで、興研さんでは呼吸量を測定することのできる機械を開発し、呼吸用保護具のもれについて検討なさっております。こちらの専門の方にお願いをして、7名の呼吸量を測っていただいたわけです。このような体型の方です。この方はこういう所で確かに溶接作業をやっていらっしゃる。見ていただくと、溶接作業場では、かなり口や鼻に近い所でやられていますので、粉じん量もそんなに少なくはないということが想像できます。これら7名の毎分の呼吸量、平均一回換気量、呼吸回数、ピーク流量を見ております。この方は小柄で作業負荷が大きいために、毎分の呼吸量がかなり大きいことが分かります。作業内容や体型によって呼吸量も変わって、作業強度も関係するということです。アーク溶接中のデータを見ると、アーク溶接をされるときは息を止めていらっしゃることが、このようにお分かりになると思います。
 ということで、個人サンプラーを付ければ、個人のばく露濃度が分かります。今のもれ率の機械でもれが分かりますし、呼吸量のデータも分かりますと、実際に吸入している粉じん量を計算することが可能です。今回はまだ3人しかやることができませんでしたが、もれ率が20%、39%、81%の方々がPAPR に変えると、この程度です。個人ばく露濃度があって、平均呼吸量があって、吸入粉じん量がこのように計算されます。1週間で40時間、1か月に換算しますと1か月に吸入する粉じん量がこのように計算できます。
 5番目と6番目の方は吸入粉じん量が143mg、7mgということになります。7mgは微妙ですけれども、143mgは1年吸えば溶接工肺になるような量です。しかし電動ファンにすれば1.57ですので、これであれば肺胞マクロファージが処理をして、たとえ吸っても無害化してくれます。このように我々の呼吸システムはじん肺を予防するようになっていますので、問題ないだろうと言うことができます。
 では、電動ファン付き呼吸用保護具を着けて、これらの方々にどんな印象があったかというのを、このアンケート票によって聞いてみました。余りたくさんの項目にしないほうがいいと思いましたので、絞ってみました。14名の方に性別、作業歴、使用中の呼吸用保護具、呼吸器疾患の有無、PAPRを装着したときの感想についてお聞きしました。全員が男性で、粉じんの経験は21年以上のベテランの方もいらっしゃいますが、1〜5年の方もいらっしゃいました。メインは6〜10年の方で、結構長い間、この作業をされている方です。
 使用の呼吸用保護具は、興研さんや重松さんの呼吸用保護具で、非常にバラエティーに富んでおります。呼吸器疾患がある方は1名だけでした。使用したPAPRは面体形の方がほとんどで、先ほどお見せした半面形のものだと思います。
 防じんマスクと比較して呼吸が楽かどうかということですが、やはり圧着が弱いのでほとんどの皆さんが楽だと感じておられます。呼吸用保護具の大きさは若干大きくなるのですが、多少は気になるけれども、「全く気にならない」と「あまり気にならない」という方も多く、「気になる」という方はほとんどいないということでした。ちょっと大きいので視界に変化があるかということを聞いたところ、「少し気になる」という方が一番多かったけれども、「気にならない」という方もこれとほぼ同じようで、それほど問題はないだろうと。
 電動ファン付き呼吸用保護具はバッテリーを呼吸用保護具の中に組み込んでありますので、若干重くなるので、それについてどうかということです。「全く感じない」「あまり感じない」を合わせて35%程度でしたが、やはり「若干重い」と感じられた方も40%程度おられました。ちょっと重くなるので、動きにくさを感じるかということを聞いたところ、「少し感じる」と言われた方が20%ですが、未記入の方も結構おられます。私の印象としては、それほど動きにくさは感じてないのではないかと思っております。
 ファンの音が気になるか。確かに呼吸用保護具内が陰圧になろうとすると、ブローがきて音がします。それは「全く気にならない」と、「少し気になる」と言う方もいらっしゃいますが、余り気にならないということでいいかと思います。今後、電動ファン付き呼吸用保護具を使いたいかと言われると、90%の方が「したい」とお答えになっているということです。今は19例しかやっておりませんし、粉じん量の測定をした人は、たった3人ですので、我々は、これから対象者を増やしたいと思っております。やはり我々が想像していたように、呼吸用保護具の効率はいいということは確認できました。そうであれば、新たな粉じんの抑制効果は高いのではないかと思います。
 先ほどの発言にありましたように、1ランク高いものですから、なかなか買えないという事実がありますので、費用対効果について是非、医学的に検討を進めていきたいと思っております。電動ファン付き呼吸用保護具と普通の呼吸用保護具の比較試験で、作業効率が良くなったというデータができれば出れば、労働者側の方々ではなく、使用者側の方々もこれに賛同してくれやすいのではないかということで、いい研究方法を見つけていきたいと思っております。電動ファン付き呼吸用保護具を着用すればもれが減少します。作業負荷が減少して生産性の向上につながっていけば、経営資源としての電動ファン付き呼吸用保護具の着用が促進されるであろうと。そうなれば、これを使えば多分、30年後はじん肺はゼロになるだろうということで、若い人はいいターゲットになるのではないかと思っております。
 この研究をするためには、重松製作所さんや興研さん等、電動ファン付き呼吸用保護具を持っていらっしゃる方、呼吸量の測定がうまくできるスペシャリストの協力も得ながら、個人サンプリングで、どれぐらいの粉じんを吸っていらっしゃるのかも測りながら、やっていきたいと思います。今回の19名は、電動ファン付き呼吸用保護具を使いたいと言われておりますが、本当に作業者にこの呼吸用保護具がいいかどうかということも、是非教えていただきながら、やはり客観的な評価としては、個人の粉じん吸入量が一番問題になると思っておりますので、範囲を広げて頑張っていきたいと思っております。御清聴、ありがとうございました。
○土橋部会長 御説明、ありがとうございました。ただいまの御説明を踏まえて、皆様から御質問、御意見などを承りたいと思います。いかがでしょうか。
○保利委員 PAPRの有効性をきちんと実証されたということで、素晴らしい研究だと思います。1つ教えてほしいのです。資料の10ページ目に書いてある電動ファン付き呼吸用保護具の写真は、ホースが付いていて隔離式になっていますけれども、呼吸追随型のものも多く市販されていると思います。実際に使われたのは呼吸追随型のものでしょうか。それともこの図のような形のものなのでしょうか。
○岸本参考人 この後の通常呼吸用保護具と電動ファン付き呼吸用保護具の比較試験という文字の下の実際の調査概要の所に、使った電動ファン付き呼吸用保護具が2つ並んであります。こちらを使っております。
○漆原委員 御説明、ありがとうございます。冒頭にあった呼吸用保護具もれ率についての質問です。サンプルが少ないことも要因にあるのかもしれませんが、船舶溶接だけもれている率が結構高くなっている理由は何でしょうか。
○岸本参考人 これは私の想像ですけれども、溶接作業のヒュームというのは、シリカに比べて有害性が少ないと思っていらっしゃる方が結構多くて、実際に「溶接の煙は、魚を焼いた煙とほとんど変わらないのではないか」と、私に言った作業者もいらっしゃいました。目を保護する面はやっても、呼吸用保護具はそれほど重要視されてなかった時代のもので、このようなデータになっていると私は思っております。
○大藪委員 PAPRが非常に有効な呼吸用保護具であることは分かりましたけれども、それが普及するまでというのは、やはり労働衛生教育というか、呼吸用保護具の着け方の教育が非常に重要だと思うのです。7ページの、長期の呼吸用保護具のもれ率の比較で、最初の平成15年から平成20年を比べて、総人数が増えていますよね。ということは、全員が最初から最後まで受けたわけではないような気がするのです。いかがでしょうか。
○岸本参考人 そのとおりです。1か月に一遍行くのですが、同じ方が必ずしも来てくれているわけではないのです。ある作業場に行って、取りあえずサンプリングとして、「呼吸用保護具のフィッティングテストはこのようにするのですよ」と言って、それで皆さんが「そうしましょう」と。皆さんの呼吸用保護具のもれをその場で測るわけではなく、代表して何人かを測って「ああ、皆さん良くなってますね」という、そういう結果です。
○大藪委員 最初から最後まで月に1回、5年間で60回受けた方の結果ではないということですか。
○岸本参考人 はい、そのとおりです。同じ方ではありません。ただ、そこの事業場は定期的に行っていますので「また来るな」ということは、皆さん方もお分かりになっておられます。同一人を5年間やって結果がこうだったというものではありませんが、同一の方も中には入っておられます。
○大藪委員 分かりました。先ほど出ましたけれども、指導された方は保護具アドバイザーという資格を持った方ではないわけですね。
○岸本参考人 岡山産業保健相談員の方で、これに対して情熱を持っていらっしゃる方が2人おられ、その方々に頑張ってやっていただいています。「フィッティングはこのようにやりますよ」「ちゃんとフィルターも替えましょう」「紐は緩んだら新しいものに替えましょう」と言って、替えてない方には紐を持って行ってあげたりということもやっておりますので、これらの事業場では呼吸用保護具のもれは重要だということを、皆さん分かっているはずだとは思っております。
○大藪委員 ですからPAPRが普及する前段階は、やはりこういった指導が大事だと考えますけれども、そうですよね。
○岸本参考人 指導したすぐは、どの方も下がって「良かったですね。これからはこのようにしてくださいね」と言うのですけれども、例えば3か月後に行ったら、意外とそうなってないという情報があって、楽なほうがいいのだろうなと思っています。本当に圧着すると呼吸が苦しいですし、動きにくいですし、どうしても呼吸用保護具を圧着した跡には発赤したりしますので、「私は皮膚が弱いのでメリヤス付きにしたい」とおっしゃる方もいらっしゃるという現状だろうと思います。
○大藪委員 ありがとうございました。
○土橋部会長 電動ファン付きでないものでは、なかなかもれ率が下がらなかったというところは、やはりかなり呼吸が苦しいので、あえて緩めに着けているということもあるのでしょうか。
○岸本参考人 正にそのとおりです。どうしても作業強度が上がると息苦しいので、そのようになっております。それと、粉じん量が多いとフィルターが目詰まりをして、息がしにくくなるのです。そのときには頻回にフィルターを替えていただければいいのですが、それも面倒くさいということで替えない現状がありますと、どうしても紐の締め方が緩くなっている、というのが私の印象でした。
○土橋部会長 ほかにいかがでしょうか。この資料はモノクロで、やや見にくい所もあったのですが、この後、この資料はホームページに載るのでしょうか。そのときは、できればカラーにしていただければいいと思います。
 それでは、本日の議題に関する議事は以上です。全体を通して何かありますか。では次に、「その他」です。事務局から何かありましたらお願いします。
○主任中央じん肺診査医 特にありません。
○土橋部会長 それでは、本日の部会は以上をもって終了といたします。なお、議事録についてですが、労働政策審議会運営規程第6条第1項により、議事録には部会長の私と、私の指名する委員のお二方が署名することとなっております。署名は、労使代表1名ずつとしたいと思います。本日の議事録の署名は、労働者代表の漆原委員と、使用者代表の佐藤委員にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。それでは皆様、お忙しいところありがとうございました。以上をもちまして閉会とさせていただきます。
 


(了)

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電話番号: 03-5253-1111(内線5495)

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