第18回社会保障審議会統計分科会生活機能分類専門委員会 議事録

日時

平成30年8月9日(木)15:00~17:00

場所

厚生労働省 共用第9会議室

出席者

<委員(五十音順)>
石川広己委員、出江紳一委員、井上剛伸委員、大谷俊郎委員、奥平真砂子委員、小原秀和委員、鎌倉やよい委員、齋藤秀樹委員、中村耕三委員、橋本圭司委員、林玲子委員、向野雅彦参考人

議題

1.国際疾病分類第11回改訂版(ICD-11)の公表について
2.厚生労働科学研究について
3.ICFの普及について
4.その他

議事

   

○事務局
 それでは、予定時刻を回っておりますので、第18回社会保障審議会統計分科会生活機能分類専門委員会を開催いたします。
 各委員の先生方におかれましては、お忙しいところを出席賜り、誠にありがとうございます。
 本日、司会進行役を務めさせていただきます、政策統括官付国際分類情報管理室室長補佐の阿部でございます。本年4月より着任いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、今、ありましたけれども、お手元の資料について確認させていただきます。本日はペーパーレスになっておりますので、お手元のタブレットで今一度確認していただきますけれども、今、一番上の方にございます、議事次第、その次が資料1としまして、ICD-11の概要。資料2-1としまして、日本への適用について。資料2-2、ICD-11の日本への適用の検討用資料。資料2-3、ICD-11の和訳について。資料3、ICD-11 V章の抜粋。資料4-1、向野参考人提出の資料です。資料4-2、大夛賀参考人提出資料になります。資料5、第2回ICFサーベイの結果。
 参考資料に移ります。参考資料1、ICF概念図とコードの概要。参考資料2、ICF普及活用に向けたイメージ図。参考資料3、ICD-11 WHO公表資料。参考資料4、厚生労働省ICFに関する取り組み、第8回ICFシンポジウム。資料、参考資料5、国民生活機能分類ICF2018改正案リスト。参考資料6、国民生活機能分類ICF一部改正2016年及び2017仮訳。資料、参考資料7、ICD-11 V章の構成。
 机上配布資料といたしまして、資料4、プラクティカルマニュアルのPDFですね。机上配布資料5、社会保障審議会会例。机上配布の資料6、社会保障審議会運営規則、運営要綱。机上配布資料7、生活機能分類に係る委員会の設置について。机上配布資料8、世界保健機構国際分類ファミリー。机上配布資料9、ICFコアセット、臨床実践のためのマニュアル。机上配布資料10、健康及び障害の評価、WHO障害評価面接基準マニュアルです。以上でございます。
 非常に細かい字でございますし、資料間を飛んで確認していただきます時に色々難しいところもございますけれども、大きい画面の方にもお出しして、資料の名前を確実に申し上げて、会議の方を進めさせていただきたいと思っておりますので宜しくお願いいたします。
 以上、お手元の資料につきまして、過不足がございましたらお知らせください。

○林委員
 すみません、事前に送付していただいたものからちょっと増えていますよね、きっと。

○事務局
 机上配布資料が増えておりますでしょうか。

○事務局
 宜しければ資料の確認は以上とさせていただきます。
 それでは、次に事務局を紹介させていただきます。政策統括官付企画調整担当参事官の中井でございます。

○中井参事官
 中井でございます。本日はお暑い中ありがとうございます。どうぞ宜しくお願いいたします。

○事務局
 国際分類情報管理室長の森でございます。

○森国際分類情報管理室長
 森です。どうぞ宜しくお願いします。

○事務局
 国際統計調整官の高橋でございます。

○高橋国際統計調整官
 高橋です。どうぞ宜しくお願いいたします。

○事務局
 国際生活機能分類分析官の及川でございます。

○及川分析官
 及川です。宜しくお願いいたします。

○事務局
 また、本日は関係部局ということで、老健局の新畑分析官が同席しております。

○老健局新畑分析官
 老人保健課の新畑と申します。宜しくお願いします。

○障害保健福祉部九十九補佐
 障害保健福祉部の九十九と申します。宜しくお願いいたします。

○事務局
 本日のご欠席は、才藤委員でございます。奥平委員につきましては、今こちらの方に向かっていらっしゃるかと思います。
 これまでですね、現行の、いらしてただいている委員で、今回2回目の開催ということになっておりますので、前回委員会にご欠席なさった小原委員の方から、本日のご出席につきましてご挨拶ひとことお願いいたします。

○小原委員
 一般社団法人日本介護支援専門員協会の小原と申します。どうぞ宜しくお願い申し上げます。

○事務局
 どうもありがとうございます。また、本日ご欠席の才藤委員から、委員会向けにコメントをいただいておりますので、私の方で読ませていただきます。
 「ICD-11にV章としてICFの項目が追加されたことは、大変喜ばしいことです。これで医療の世界に組み込まれる入口が出来たと思います。ICFは未だ辞書レベルの分類であるので、統計法として使用を明示していく方向になったことは、その発展に結びつき、それが合理的な普及に繋がることを期待しています。ICFの中から抽出されたことは、現実的な快報と思います。ICDと関連付けたデータを示すことにより、具体的になると思います。今後も活用のために、活用のための形づくりに是非協力したいと思っております。才藤栄一」。才藤委員からのコメントでございます。
 本日は、出席委員が三分の一を超えておりますので、会議は成立していることをご報告申し上げます。それでは、委員長の中村先生、お願い致します。

○中村委員長
 それでは、さっそく開始したいと思います。今日はここにありますように、資料がかなりたくさんありますので、5時までに終わるように、皆さんのご協力の方をお願いしたいと思います。
 それでは、議事の1、国際疾病分類第11回改訂版(ICD-11)の公表について、事務局から説明をお願いいたします。

○事務局
 それでは、資料1をご覧ください。ICD-11の公表についてと説明をしたいと思います。まず、ICDとはご承知の先生も多いかと思いますけれども、ICFとは別にWHOで作成をしております国際疾病分類になります。現行ではICD-10を用いておりまして、日本ではICD-10の2013年版というものを用いております。
 WHOではスライド1にありますように、2007年にICD-11の改訂作業を開始いたしました。その組織として、専門分野別に様々な委員会が立ち上がりまして、共同議長をはじめとしまして日本の多くの医学の専門家や団体が貢献してまいりました。
 2016年、平成28年にこの東京でICD-11の改訂会議がありまして、加盟国レビューの実施がなされております。日本からも、日本医学会、日本歯科医学会、ICD専門委員会等から意見を取りまとめましてWHOへ提出したところです。このようなプロセスを経まして、2018年今年の6月18日に、ICD-11の公表がなされました。
 参考資料3をご覧いただければと思いますけれども、こちら同日付で厚生労働省からもICD-11の公表ということで、プレスリリースをしております。
 資料1に戻ります。このICD-11、今年公表されましたが、来年の2019年5月にWHO世界保健総会にて提出がなされ、採択されるという予定で進められております。WHOでは2022年に発行との説明がなされておりますが、こちらについてはWHOの公式な文書においてICD-10からICD-11に切り換えるというような趣旨と聞いております。
 スライド2をご覧ください。こちらは世界保健機関憲章の紹介になります。第64條「各加盟国は、保健総会が決定した方法によって、統計的及び疫学的報告を提出しなければならない」とあります。世界保健総会でICDが採択をされることによって、各加盟国はこのICDを統計また疫学の報告で用いる。また、各国の統計において用いるということが勧告をなされております。具体的には、現時点で提出を求められているのは死亡統計が主になります。
 ICD-11の特徴になります。スライド3をご覧ください。簡単にまとめてあるものですけれども、ICD-10は1990年が承認された年ですので、それから約30年経っております。その間の日進月歩の知見というものを新しく導入をしていること。また、医学、臨床の先生方の専門家も入っていただいて検討が進んだということが特徴になるかと思います。使用目的としましては、主として死亡統計、疾病統計が主な用途でありましたけれども、ICD-11はより幅広い活用といったものを想定し、臨床や研究などで多様なコーディングをしていくということを念頭に整備がなされております。また、電子環境での活用を前提としたシステムをWHOで構築しており、すべてウェブサイトで分類が提供されたり、コーディングツール等の開発がなされております。
 スライド4と5をご覧ください。こちらはICD-10とICD-11を比較しました。大きな構成は変わっておりませんけれども、いくつか新しい章が盛り込まれております。
 スライド5になりますが、第V章と申しまして、生活機能評価に関する補助セクション、こちらは国際生活機能分類ICFの一部が盛り込まれたセクションになりまして、この点、今回のICF専門委員会の委員にも共有をしたいと考えております。
 全体のコード数は14,000から18,000ほどに増えまして、V章、X章のコード数は、その18,000とは別に14,000ぐらいあるとの状況でございます。
 ざっと簡単に、具体的なICD-11をご紹介しますが、スライド6以降、例えばパーキンソン病、分類が詳細化をしている例であり、スライド7は分類の軸そのものが変わっている例になります。
 スライド8以降は新しいchapter、章のご紹介になりますけれども、免疫系の疾患。スライド9は睡眠・覚醒障害。スライド10は性保健健康関連の病態。スライド11が伝統医学の病態、モジュール1としまして、日中韓の伝統医学、漢方医学といったものが入ってきております。
 そしてスライド12に、生活機能評価に関する補助セクションとしまして、こちらは事務局で作成しました仮訳になりますけれども、このような分類項目が入ってきております。後ほど詳しいところはご説明をしたいと思います。
 スライドの13は、疾病の話になりますが、たとえば脳血管疾患では、章から章を跨ぐような移動といったものもありました。
 スライド14では、こちらはICDでは多様な病態を、表現をしていくということで、重症度や急性慢性といった時間軸、原因菌など、横断的に使われる様々な情報をエクステンションコード、X章にまとめまして、コードを追加していくことで病態を表現していくコード体系を整備をしております。
 また、スライド15になりますが、ICDでは分類項目だけではなくて病名自体も充実をしまして、病名単位で固有のIDを付加して、病名レベルでのデータを把握したり用語を管理していくということが可能になっております。
 スライド16がICD-11全体のウェブサイトのイメージになりますけれども、左側のchapterやブロック、分類項目をクリックしていただくと、右側にその分類項目の情報が表示されます。上から、1が従来のICDコードと分類項目名、そして一番下のほうに2の索引用語とあり、分類項目に当てはまる病名が例示されております。また、34のあたりには、分類項目が示す範囲であったり、簡単な内容といったものを説明する文章が盛り込まれております。5は、これの分類項目に当てはまらないものを、どちらのコードに振ったらいいかという指示をする除外用語が並べられております。
 スライド17になりますが、ICD全体のコード体系をまとめたものになります。ICD-10の時代は、1桁目は英字でありましたが、ICD-11になりまして、英数字、数字から始まり英字に続くといったようなものであったり、2桁目に英字が入り、3桁目4桁目というような形で、ICD-10とはかなり異なるコード体系になっております。
 スライド18ですが、WHOが発表しておりますアップデートのサイクルになります。ICD-11を公表した後も少しずつアップデートをしていくということで、例えば索引用語の追加といったような小さい修正、追加については1年毎、国際報告に影響があるようなものについては5年毎、そして疾病死亡統計のルールに影響があるようなものについては10年毎といったようなサイクルが示されております。
 以上がICD-11の概要になりますが、続きまして資料の2-1をご覧ください。ちょうど昨日、ICDに関する部会というのを開きまして、同じ資料で議論をしたところになります。ICDに関しましては、我が国では統計法に基づく統計基準として、ICDに準拠した「疾病、傷害及び死因の統計分類」というものを告示しまして、統計法に基づく統計調査に使用をしております。
 この手続きの流れになりますが、資料の2-2をご覧ください。ICDに準拠した統計分類を告示で定めておりますので、告示を改正するために必要な審議過程になります。昨日開催しましたのが、下の流れにあります左から二つ目のICD部会というものになります。こちらで諮問答申というものを行い、告示改正を行いますが、ICDの中身に関しましては、個別具体的な、専門的な内容が数多くありますので、同じく統計分科会の下に設置されておりますICD専門委員会というものもあります。こちらは、学会から推薦をいただいてご参集いただいている委員会になりますけれども、こちらで、例えばICDのこれから行う和訳といったもの、あとは用語の取り扱い、ルール、そういったところについて個別具体的なところについて検討した上で、改めてICD部会に諮りまして答申を行い、厚生労働省の案をまとめたいと考えております。ただ、この告示は統計法に基づくものになり、総務省が所管をしておりますので、厚労省での審議の後に、総務省の統計委員会で改めて諮問答申を行いまして、告示改正を行うとの流れになります。
 資料の2-1にお戻りいただけますでしょうか。ICD-11を日本に適用していくにあたって、どのようなことを検証しなければならないかということで、昨日ICD部会に事務局資料として2の論点を挙げたものです。例えば、告示対象範囲をどこまでとするか、和訳対象範囲をどこまでとするかについては、まずは告示対象となり得そうな候補ということで、分類項目の項目名、そして索引用語、また、ルールをまとめておりますリファレンスガイドといったところを候補と挙げさせていただいております。その後の対応を検討するものとして、今回ICD-11では情報量が多く盛り込まれており、その一つである解説文、ディスクリプションやその他の情報については、優先するものの後に対応してはどうかとの候補になっております。
 2ページ目に進んでいただきまして、告示については死亡疾病統計分類の分類表を基本とするが、ICD-10とは異なるV章、生活機能評価の補助セクション、またはX章、エクステンションコードも盛り込まれております。このようなICD-10の取り扱いと異なる分類項目も盛り込まれていることから、WHOからの情報収集も進めつつ、取り扱いや和訳を確認した上で、改めて告示範囲について検討してはどうかということで昨日議論を行いました。
 また、2つ目に利用環境の整備ということで、電子的な環境をWHOも進めておりますので、日本もそのような形で進めたいと考えておりますが、電子環境を和訳に適合した形で進めていく。これに関しては、例えばICD-11の和訳を作成した後ウェブサイトに登録し、オンライン上で使用できるようにしてはどうか。書籍に関しましても、WHOが現時点では書籍が作成されるかどうかまだ未公表ですので、WHOが提供する内容やニーズなどを踏まえて検討したらどうかとの論点を挙げさせていただいております。
 3ページ目に進んでいただきまして、疾病分類表、死因分類表といったものも告示にありますが、こちらはICD-10では基本分類、一番細かい分類では、かなり細かくてデータを見るのが大変なので、我が国独自でいくつかのICDを集約した形で、大中小の疾病分類表、また死因分類表を作っております。こちらについても、公的統計で使用しておりますので、推定患者数や死亡数を考慮しながら、日本の疾病構造等を考慮しながらどのように整備してはどうかと挙げさせていただいております。こうした論点を頭に入れながら、ICD-11の和訳を進めたいということで、日本医学会や日本歯科医学会等と連携しまして、ICD専門委員会で案を作成して、WHOが来年総会において提出されるものを確認した上で、改めて部会に諮ってはどうかとの流れで考えております。
 4ページ目に、具体的な今後の予定ということで、現時点での予定を載せておりますが、昨日開催しましたICD部会を踏まえまして、秋以降にICD専門委員会を開きまして、和訳の詳細な考え方や取り扱いを確認した上で、日本医学会、歯科医学会等への和訳の依頼をしたいと考えております。
 和訳の取りまとめに関しては、来年の総会を経た上で、1年なり2年かかることを見込んでおりますけれども、和訳だけではなくて、疾病分類表、死因分類表の作成や、ICD-10からICD-11の変換表の作成、統計の取り扱いについても整理をした上で答申を行っていきたいと考えております。
 こうした流れの中で、先ほどご紹介しましたV-chapter がICD-11に入ってきておりますので、告示の範囲とするかどうかについては改めてICD部会のほうで議論をしたいと考えておりますが、まず検証する材料として和訳といったものを進めたいと思っております。
基本的にはICD全体は専門委員会、ICD専門委員会が受け持つのですけれども、V-chapter に関しましては、やはりこのICF専門委員会の委員に知見があられると思いますので、是非ご意見を賜っていきたいと考えております。
 資料のご紹介ですけれども、資料の2-2をご覧ください。資料の2-2の2ページになりますが、これは一般的なICDの疾病の情報になりますけれども、基本的には、まず優先事項として1分類名であったり、2索引用語の和訳をしたいと思っております。
スライドの4になりますが、WHOでは翻訳プラットフォームというものを用意しておりまして、原文の英語に対する和訳、訳語を登録していくと、自動的に表で、ICD-11も日本語で見られるような仕組みになっています。こうしたものを活用していきたいと考えております。
 資料の2-3をご覧ください。これは和訳をしていく上で、どのような方針や視点が必要かということで作りました事務局の案になりまして、これも昨日議論をしたものになります。V-chapterもICD-11全体の中で和訳をしていくものになりますので、ご意見があればいただきたいと考えておりますが、分類全体に共通する定型的な用語があれば、一貫性のある和訳としたいと考えております。また、直訳が相応しくない、また一般的でない場合は、意訳といったものも検討してはどうか。意訳に際しては一貫性のある和訳とのバランスをどう取るか。また、社会的な影響も考慮しながら、用語の概念や範囲が変わらないように、充分配慮したらどうかとの視点が挙げられております。また、訳語が複数ある場合は同義語を追加してはどうか。また、直訳が臨床現場等で利用されておらず、翻訳することが却って混乱を招く可能性がある場合は、英語のまま残してはどうかといったことを挙げております。
 2ページ目に進んでいただきまして、既存の訳語との調整についてとありますが、すでにICD-10や、ICFに関しても既に和訳をしている本も出ておりますので、そのような既存の訳、また表記方法も含めて、全体の見直しを行ってはどうか。我が国には日本医学会用語辞典や各学会が持っている用語集もありますので、そのような学術的な整合性とも配慮して、仮訳作成の際の参考としてはどうか。また、標準病名マスターといった医療機関や現場で使われているものもありますので、そのような用語の使い方も参考としてはどうかというような視点が挙げさせていただいております。
 続きまして、具体的なV章の説明をしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

○事務局
 V章について説明をさせていただきます。資料の3をご覧ください。ICD-11として公表されているV-chapterの一覧でございます。左側にコードと書いてあるところに、例えばVA002 Attention functionsと書いてありますが、そこが、データが取れるコードということになります。
 たぶんICFの本で見覚えのある項目、例えば認知とか注意機能、記憶機能、問題解決といった言葉が並んでおりますが、ICD-11としてコードを取るときには、例えばdの何々というコードではなくて、このVA00、VA01といったコードを使ってデータは表象することになると思います。特に分類としての特徴は、項目の中に「other specified」、「その他の」、あるいは「unspecified」、「詳細不明」というような項目が入っているということでございます。
 この項目が入った理由をWHOの担当官に改めて問い合わせをいたしましたので、参考資料の7をご覧ください。英語でお返事をいただいたので、一応仮訳を付けました。ICD-11にICFはどうして入ったのかというようなことを問い合わせしましたところ、いくつか根拠論文も送ってくれたのですが、これが一番わかりやすいと思いましてこちらを提示いたします。
 ICD-11にICFが入った大きな可能性、ふたつの大きな可能性としては、標準化した患者情報を得ようとすること。そして、総合的な生活機能のスコアを体系的に評価するようにしようと。そして、個々の症例とか状況をコードするために、ある程度一定のICFの項目を選び出そうということが大きな目的だったと。患者、医療現場、健康状態の生活機能情報を比較可能にするべきだということで、最低限の標準化は必要だということは認識されていました。このICD-11を検討するために、専門分野部会というのが作られていまして、例えばICDでいうと、内科分野というようなところがあったのですけども、生活機能もf-TAG、ファンクションタグという専門部会がございまして、そこでこの10年間議論を重ねてきて、提案されたものがこちらの表になっております。特に、WHOとしては、WHO-DASの使用を推奨していることから、この選ばれた項目は、主にWHO-DASの中から、そしてICF本体、付録の9というところに、データを採ろうとした場合は、統計学的に優位なものをすべきだということで、本体でいうと243ページに書いてあるのですが、そこからリストを選ぶ。そして、リハビリテーションセット、そして一般的コアセット、generic setというのですが、疾患別のデータを取ろうとするときには、基本的にはこのデータを入れましょうという項目があって、それら4種類から選んでいるということが書かれてございます。
 捲っていただきますと、表1として、ICD-11に包含されたICFの項目としてリストを作ってもらっています。この×が入っているところが該当項目となっています。これらの最小公倍数というのでしょうか、ある程度すべてを網羅したものとしての項目が選び出されているところです。ただやはり、使い方に関しては、ICD-11本体もそうなのですけれども、インスラクションマニュアルというものが用意されていて、それは、来年の勧告までには多分整備されると思うのですけれども、まだまだ流動的なところがあります。そういう意味では、これをちゃんと使えるようにするためにはフィールドテストが必要だということが言われておりますので、そのためにもご協力いただきながら、日本として使いやすい項目の選び方、コード化ということは、今後ご相談をしていく必要があると思っているところです。
 V-chapterのご報告は以上でございます。

○事務局
 議題1について、もう一点ございます。参考資料の5をご覧いただきたいと思います。
 参考資料5として添付しました、ICF2018改正案リストというものがございます。これについて、簡潔にご説明いたします。
 本年、2018年ですが、昨年からの継続案件14項目を含む計55項目が、2018年のICF改正項目案として掲げられております。この参考資料5のですね、4ページ目をご覧いただけますでしょうか。URC、ICFの改正について、参考資料5の別紙とありますけれども、こちら一昨年の部会でも添付させていただいた資料でございますが、基本的に提案に関する1年のサイクルは変わっておりませんので、以前の資料をそのまま流用させていただいております。現在2018年改正のステージは、この公開討論層というところが終了した段階です。この後、非公開討論層による加盟国メンバーの投票を通して、最終的に10月のWHO-FIC年次会議で承認される運びとなっております。2018年改正投票の際は、10月くらいになるかと思いますけれども、事務局案を作成しまして、委員のご意見もお伺いしながら対応方針を決めていきたいと考えておりますので、その際にはご協力のほどお願いいたします。
 事務局からの説明は以上でございます。

○中村委員長
 事務局の方からICD-11の公表について、その内容の進捗状況、ご説明があったということです。この委員会としては、chapter Vの関係があるということが、大変大きなことでありますので、そのことも含めて、ICD-11について、何かご質問なりご意見等がありましたら、お願いを致したいと思います。いかがでしょうか。林委員。

○林委員
 ありがとうございました、参考資料7の、表1ですけれども、ここにリハビリセット、一般セット、付録9、WHO-DAS2.0と書いてあって、ICD-11のVAのコードはここには入っていないのはどうしてでしょうか。それぞれ対応するということでしょうか。

○事務局
 そうです。基本的には、ICD-11のコードだけではすべてを網羅できないということもあって、検討する段階で、そのICFの項目を選び出したという参考資料として載せてもらっているので、ここに記載されたコードは、ICFのコードそのまま載っているということです。
 ですから、ICD-11になると読み替えになります。
 VA00というようなコードが付いていたと思うのですけども。

○林委員
 VA00がどこに当たるかっていうのは。

○事務局
 はい。b130というのが、多分VA00。

○林委員
 b130というのはICFのコードですよね。

○事務局
 VAの、例えば、b140に「注意機能」っていうのがあります。表1、参考資料の7のところにb140「注意機能」というのがあります。ICD-11、先ほどの資料3で言いますと、VA00「Attention functions」は注意機能なのですけれども、そのコードになります。

○林委員
 この表1には、このVAの00というのが入っていないのは何故かということと、あとはまあ、まだ入ってなかったっていうことだけなのかもしれないのですが、これが本当に過不足なく、このリストとこの参考資料7の表1と、過不足なくなっているのでしょうか。確認はされていらっしゃいますでしょうかね、そのあたり。

○事務局
 確認しております。そのchapterから、V-chapterに入れるべき表の根拠としてこちらを載せてもらっているので、全部入っています。

○林委員
 そうですか。では次回とか、出来るならばやはりこの表1のところの一番右に、ICD-11のV-chapterのコードを入れていただいて。

○事務局
 わかりました。

○林委員
 あともう一点、その最後のことですけれども、今後、参考資料、なんでしたっけ、参考資料5ですね。これはサイクルのことを話されたということで、ICF自体が今毎年アップデートされているということを、この専門委員会で承認するというようなことは、この議題ではないということでしょうか。この参考資料5自体は、このICF委員会、WHOのWHO-FICで毎年決まっていることを報告いただいているという内容になっていて、それをこの我々の日本としてのICF委員会が、そのことを承諾の情報を共有していただいたというような形の扱いでなるのだったら、これがすごく重要なことだと思うのですが。

○事務局
 これは今年度出された改正案、WHOから、これをこのように改正したらどうかと提案された項目です。ですので、これから委員会終わった後、委員にお送りして、この項目に対して日本として、賛成すべきなのか反対すべきなのか、という意見を伺おうと思っておりました。何故かというと、この委員会で1個1個議論するにはあまりにも時間がないということがありますので、表を皆さんにお送りして、それでご意見をいただいて集約して、最後委員長とご相談しながら、日本からの賛成反対の意見として出そうと思っています。

○林委員
 はい、わかりました。

○中村委員長
 我が国として、投票ということですね。

○事務局
 そうです。

○中村委員長
 これは前年度もそうしましたでしょうか。

○事務局
 委員会の開催時期によりまして、事前にこうやってご相談できる回は稀なのです。大体メールで依頼をして、それでご意見をいただいて、最後はご報告になってしまっていたという状況です。

○林委員
 わかりました。

○中村委員長
 はい、他にございますか。はい、石川委員。

○石川委員
 最初に才藤先生のメッセージがあったのですが、あまり詳しい内容がわからないので何とも言えないのですが、私はこのICDの11に、このICFが含まれたことはですね、何かその、すごくこれから発展性があるかということについては、ちょっと全然わからないのです。というのは、私たち、まあ私もう37年医者やっていますけども、いわゆる病名のところでICD-10だとかですね、そういうものを使うときにはですね、本当にまあ、辞書を引きながらといいますか本を見ながらやって、特に診断書で精神科領域のところに書くときは、私なんかは小児科医ですから、てんかんの診断書を書くときにこの分類が必要で、一所懸命調べるわけですね。これがこの、もしですね、使うってことがあるならば、そのときにV章の、例えば先ほどあったファンクション、注意欠陥みたいなものを探して、これを横に繋げるっていうふうなことで使うのかどうかっていうことになるのですが、ここに入ったから、ICD-11に入ったから、発展性があるのかっていうのがよくわかりません。
 それと、我々のイメージからすると、ICDは病名の範囲だったので、そこにファンクションの領域が入るってことは、ちょっとどちらかっていうと、ファンクションが後の方に置き去りにされたような気がしないでもないです。私のイメージでは、私が8年間ぐらいここに参加していて、ICFが非常に素晴らしいって思ったのは、やっぱし医療だとか、介護のですね、最後の目標に社会参加だとか、そういったものがあって、そのファンクションが社会参加に繋がると、このICFの全体像っていうのを素晴らしく考えたのです。ですから、今病名の中にこの分類がされるっていうことが、なんか非常に矮小化されたような気がしないでもないのです。ですから、そこのところのきちんと説明をしない限りは、例えばこれはICFに対しても、世の中の理解は非常に悪くて、私たち医者のところでも、「え、またICFの発表なの」と。まあ僕も、まあ会議の報告するとですね、みんなそういう顔をするわけですよ。それを更にですね、ICD-11の中に今度ICFが入りましたと。どういう理由があってどういう合理性があってやるのかっていうことについてですね、もっと詳しい説明をしてくれないと全然わかんないって思います。
 だから、才藤委員はあれだけ短いメッセージで、言われたことは、正直言って全くストンと落ちないっていうことです。是非なんかそのへんで説明していただいたらと思うのですが、どなたかわかる方がいれば教えていただきたいと思います。

○中村委員長
 この参考資料7は、そういう意味で向こうにお聞きしたってことですよね。もう一度説明していただいてもよろしいですか。

○事務局
 これから日本のように高齢化する中で、ICFというのは、人の健康状態、生活機能の状態を把握できる分類です。分類を複合的に、より発展的に使っていくべきだという考えがあって、WHOの構想としては、ICDという疾病分類に対して、ICFという人の機能も見る分類が必要であり、今後は医療行為も分類して、複合的にデータを分析していこうというような大きな構想があるわけです。ただ、ICFは評価点の付け方が難しいという問題があり、概念は素晴らしいけれども、具体化のところで混乱があって統一ができなかった。そういう中で、このICD-11を作るというときに、医療情報とともに、生活機能の情報というのはとても大事なのだから入れ込もうじゃないかという議論があって、そのファンクションの部会が、少なくともある程度標準化したある程度の項目を入れ込むことで、ICFという生活機能に着目したデータ化を促進しようじゃないかと。本来、人全体を診るときには、やっぱりICF本体の項目を見なければいけないのですけれども、そこから抽出した項目を例示できるということが、今回のICD-11の改革というか、良さだったと理解しました。

○出江委員
 いいですか。

○中村委員長
 はい。出江委員。

○出江委員
 東北大学のリハビリテーション科の出江でございます。私の理解を少し申し上げると、医療が今もう55兆円ですか。の中で、こう持続可能性というのは今非常に重要な問題だということになっています。そのお金をどこに投入するか、資源をどこに投入するかということを判断するときに、例えば科学研究費をこう投入していったときに寿命が延びるのかといったデータもありますけれども、あるところまでは寿命は延びていくのですが、それ以上はあんまりもう変わらないと。必要なお金をどこに投入して、その効果をどう計るかといったときに、病名ではもうちょっと無理だと思うのです。やはり死亡率では計ることができないのだと思います。だからそのために、このこれからの持続可能な医療をどのように実現するか。日本はもう高齢化のトップランナーですから、そこをいろいろやっていくため、これはむしろ遅すぎたのではないかというふうに、私自身は思うくらいです。早くこの医療の効果を何で評価するのかを決めて、もうスタートしなければいけない。そのためにこのような共通のデータベースを作っていくのだというふうに私は理解しました。以上です。

○石川委員
 いいですか。 少しずつわかるようになってきたのかもしれませんけれど、まあかなりですね、これ頭の中を相当、私なんかは整理しないと駄目だというふうに思っています。
 それで、私なんかは、ファンクションディスオーダーがあったとしたら、それがどういう、病気だとか、要するに体の異常から出てくるのか。逆だと思うのです。ただ病名があってっていう、これだから、病名の中にこの分類されるってことはですね、なんか変な感じがするのです。このタイトルが病名だったらっていうことですよ。ICD-11っていうのが、要するに病名だっていうふうに、私は考えていましたから、その中にこのいわゆるファンクションのディスオーダーみたいなものを分類させるのではなくて、ファンクションディスオーダーがあって、生活機能も、異常も含めてですよ。そこから病名みたいなものを、こう追求していくのも、ある面ではですね、我々が実際に医療でやってきたことなのです。そこから病名が出てくるというふうなことですから、ちょっと逆のような気がするので、そういう点では、少し次元を変えて考えていく必要があるのかなと思います。

○中村委員長
 井上委員。

○井上委員
 あの、私は医療の人じゃないので、別の観点から。
 情報技術っていうのは、やっぱり今だいぶ進んできていますので、今、昔の考え方AならばBっていう考え方だったのが、Aという事象とBという事象の関連性、それがAIですとか機械学習とか、そういうところでこう出てきますので、少しそういう意味ではこういったものも、別の次元のものも、同じデータの中で扱っていく中で、それがどういうふうに関わりがあって、どういうふうにいい方向にいくのかってそういう考え方もあるのかなと。近い将来、もうそういうことになっていくのかなというふうに思っております。
 それのちょっとひとつの、きっかけになれればいいなというところで、日本診療情報管理学会の学術大会が今度の9月にあるのですが、基本的にはICDをこう、興味を持たれている方が多いというふうに伺っていますけれども、その中でICFのシンポジウムっていうのを開かれて、私の方で少しICFの最近の動向のご報告をさせていただく。私がちょっと適任なのかどうなのかっていうのは迷ったのですが、及川さんにもご相談させていただいてお引き受けしたのですが、そういうふうなところで、そういう情報の人たち、情報を扱っている方々が、こういう分野も興味を持っていただけるっていうふうな、少し長い目で見てっていうところかもしれませんけれども、そういうふうな効果っていうのも、今度のICDに、ICD-11にこう入ってきたということで、色んな方が興味を持てるようになったのかなというふうに思いました。

○中村委員長
 他にございませんか。出江委員お願いします。

○出江委員
 今の井上委員の話を受けて、ああそうだな、というふうに思いました。
 今までこの領域というのは、非常にデータがバラつく個人差の大きい領域で、サイエンスの土俵になかなか乗らなかったのです。それがこのような、統計解析も出来ますけれども、デバイスの発展っていうのもあって。色々なビッグデータを扱うことによって、こういう人の活動とか生活とか、幸せとか、そういったことも計れるようになりつつあるということで、この領域が病名分類とは全く別のものではなくて、患者さんの健康状態を診るために必要なひとつの軸であるということは、まず打ち出されたのは良かったと思いました。

○中村委員長
 鎌倉委員、いかがですか。看護のほうからご覧になられて、このV-chapter、ICD-11の今日のご説明について。

○鎌倉委員
 看護の視点からいきますと、病名というよりも機能障害という視点で見ていきますので、そういった意味ではここに位置付けられたっていうことは大きなことと考えています。
 ただ、看護の領域ですと、ICFの概念に関しては、かなり普及はしていますが、この下の評価項目が、まだまだ普及していないものですから、そのあたりがもう少し周知されることが必要ということと、それから、概念図だけが一人歩きしているように思えてならないものですから、概念図とコードを併せて普及するような努力など、そういったことが今後に繋がると思いました。

○中村委員長
 小児をやっておられます橋本委員いかがでしょうか。

○橋本委員
 例えば先ほどの、石川委員がお話いただいたように、例えば子供でも大人でもそうなのですが、精神保健福祉手帳だとか、児童福祉手当の診断書を書くときに、必ずICDのコードが上に出てきますが、その下の障害だとか問題行動だとかっていうのは、今ないわけです、コードは。
 ですから、今後は、その部分をこのコードに対応させて、例えばADHDだと注意ですよね。コミュニケーションはASDだとか、粗大運動だったらmotorがあるわけですから、そういうコードで分類するようなものを作れば、自然と別に身障手帳もそうですし、年金もそうですし、多分そういうことになると思うのです。それが実現すれば、自然とデータは蓄積されていくのですが、今までその仕組みがなかったわけですから。そこに尽きると思います。
 ですから、ここからの議論は、じゃあそこにどう落とし込んでいくかという議論にすべきで、更にもっと言うと、どんなにいいツールだとしても、例えば学術的にどんないいツールだとしても、やっぱり臨床の現場で使えないものは、もうブーイングですから。前の方が良かったっていう話になっちゃいますから。今のものは良いものは残し、もっというと今のもので既にそこからこう、向野先生とか是非お願いしたいなと。今のものでもうコードに振り分けていけるようなことをやるのが、すぐ出来ることで誰も困らないということなので、それが求められていることなので。

○中村委員長
 今日の後半の議論に少し関係はしている話ではないかと思いますが。

○石川委員
 最後にいいですか。私の持っている結論なのですけども。これ、死亡疾病分類っていうふうにしているわけです。日本語訳で。そこが悪いのではないかと思うのです。それ訳してしまうと、何でその、ICFがそこに入るのっていうふうに、当然なってくるのです、僕の頭の中では。だからそこの日本語訳がおかしいのかもしれないのです。
 だからICDっていうことについて、そういう日本語訳しているということで、そのへんおかしいなと思うのだったら、そこをやっぱり変えていただくしかないのではないかなと思いますけどね。

○中村委員長
 事務局いかがですか。

○事務局
 仮訳ですので、これから先生方にもご相談しながら決めていきたいと思っています。疾病死亡統計といいますのは、英語の原文が、「Mobility and Mortality Statistics」を機械的に訳しているものです。確かにおっしゃる通り、WHOそのものの原案が、MMS、Mortality and Mobility Statisticsの中にV-chapterを入れてきているので、混乱をされているのかなと思っています。WHOとしては、ICDの中にICFの視点を打ち出すということがおそらく重要で、最優先されたことなのだろうと推測しております。
 委員がおっしゃる「矮小化されたのではないか」というご心配も確かにあるのかなと思いましたが、これでもってICFそのものが、1,400項目あるものが消えるわけではなく、これはたまたま一部がこう取り込まれたというだけであって、両方はもちろん並存して発展していくものと考えております、和訳も含めて慎重に検討していきたいと思います。

○中村委員長
 あともう一人、小原委員いかがですかね。介護のほうから、まあ介護だけじゃなくても結構ですが、何かご意見ございませんでしょうか。

○小原委員
 我々も、ケアマネジメントのアセスメントの中で、ICFの概念図から入ってくることが多いですので、鎌倉委員もおっしゃったように、そのスコアだとかコードだとか、そういったところの理解なかなか出来ていない部分もありますので、併せて普及していくことが、そのデータを取ること等、その方向でエビデンスを積み重ねていくには良いのかなと思います。

○中村委員長
 ありがとうございます。他にご意見よろしいでしょうか。
 それでは、この委員会として、全部総合しますと、V-chapterをしっかり日本語訳を作っていただいて、医療の疾病との繋がるブリッジをしてくれるような働きを期待したいと思います。最初のところに和訳の範囲というのがありましたよね。どこでした?

○事務局
 資料の2-1。

○中村委員長
 和訳の範囲の中にV-chapterも含めていただきたいというのが、この委員会としての意見ということで、委員の皆様よろしいでしょうか。そうさせていただきたいと思います。
 それでは時間のこともありますので、次の厚生労働科学研究に進みたいと思います。才藤研究班と筒井研究班からのご報告をいただきたいと思います。まず、向野参考人より、資料の説明をお願いしたいと思います。

○事務局
 向野参考人からご説明いただく際に、ひとつ事務局から説明を加えてもよろしいでしょうか。

○中村委員長
 よろしくお願いします。

○事務局
 失礼しました。今から厚労科研のご説明をいただくのですが、その前に背景としまして、参考資料の2をご覧ください。ICF普及活用に向けたイメージ図、参考資料2になります。

○中村委員長
 参考資料2ですね。

○事務局
 参考資料の2になります。こちらは、すでに過去の委員会でご了解をいただいたイメージ図になりますが、前回新しい委員の先生方もいらっしゃった時にご説明したら良かったかなと思った次第ですので、今回改めてご紹介をしたいと思います。
 ICFの普及、活用に関しては、様々な課題があるというのはご承知の通りでして、そのような課題についてどのように取り組んで次のステップにいくか、それをICF委員会、国としてどう考えるかといったようなものをまとめたイメージ図になります。
 左側が現状として具体的に取り組み。例えば、これからお話いただく厚労科研では、ICFの評価セット、日本版の作成があるというような取り組みがあります。また、課題としては、ご承知のとおり、概念自体は共感されて理解されているけど項目が活用されていないこと。多様な視点を含む分類であり、簡便でなく使いづらい。様々な医療現場ですでにICF以外の評価指標が利用されている。教育環境の整備が必要である。このような課題の指摘がなされておりました。
 これらを踏まえまして、次のステップとして、真ん中にありますように、ICF評価セット日本版を用いて有用性の確認のための一時的な活用。また、その拡充や多様な疾患、状況への展開。また、その先に医療、介護、福祉分野での活用の検討といったものを掲げております。こういったことを経まして、このようなことを通して普及活用していくということと、委員会の当面の方針としましては、まずデータを把握しやすい、例えば病院の入院患者。医療職の多い、専門職の多い環境をまず主軸として、医療現場から進めてはどうかとの方針が打ち出されたという背景があります。こうしたことの議論が背景にありまして、厚労科研や先生方のご議論を進めてきた経緯があり、今回のご報告をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○中村委員長
 それではお願いいたします。

○向野参考人
 私の方では、厚労科研を今年度からいただきまして、医療介護連携における取り組み、ICFの利用ということも含めて、取り組みを行わせていただくという方向で研究をスタートさせていただいております。
 資料の3、資料の4-1の方をご覧いただいて、そちらでご説明させていただきます。

○中村委員長
 皆さん、4-1をお開きください。

○向野参考人
 医療介護連携を促進するための国際生活機能分類を用いた評価と情報共有の仕組みの構築ということで、私が代表者となって才藤教授と、それから国立保健医療科学院の大夛賀先生と共同で研究をスタートさせていただいております。
 最初にちょっと、先ほどのお話に関連してご説明しておかないといけないと思うのですけれども、ICF評価セット日本版ということで、2年半前から研究をスタートさせていただきまして、それを軸に置いているのですけれども、元々は総合実施計画書とリンクをさせるということが念頭にありましたので、その項目を含んだセットとして当初考えていたのですけれども、それはちょっと一旦上手くいかなかったということですので、一旦臨床の方から実際にどういう項目が大事かということを改めて検討して、その中でどういうセットを使っていくかということを検討していくということを、併せて考えたいと思っております。
 一旦その日本版というのを作っておりますけれども、今日のお話はちょっとそのお話から少し外れまして、その中で参考にしてきましたICFリハビリテーションセットという項目を軸に研究をスタートさせております。その点ご了承いただきたいと思います。
 2ページ目をお願い致します。ICF医療介護連携における利用促進に向けて、これまで2年半の、前年度の研究費で研究をさせていただいたことに関しては、ICFの普及を阻む問題点、それに対してどういう解決をしていくかということを考えてまいりました。
 まず、ICFの普及を阻む問題点はいろいろあるかと思いますけれども、特に大きなふたつの問題点がありました。
 ひとつは、項目と定義の複雑さ。これは、項目によって項目の名称や説明が、臨床に馴染みがないものがあるということで、これに対して簡潔で直感的な説明文の作成というプロジェクトが、国際的に、特にリハビリテーション医学の分野で行われております。これに参加をしまして、説明文を付けるということを行ってまいりました。2年半前から、研究を行わせていただいておりますけれども、その中で日本版というのも作成をさせていただきました。
 それから、二番目のことについては、問題点ですけれども、採点の難しさ。これが実際にやはり普及を阻んでいる、一番の問題点かと思います。ICFの評点ガイドラインっていうのは、ICFの本の巻末に付録のひとつとして、どういう採点をするかという解説があるのですけれども、実際には、0が問題なし、1が軽度の問題、2が中度の問題、それぞれ問題の程度が0~4%、5~24%、25%~49%、重度の問題が50%~95%の問題と。そういう記載があるのですけれども、それについて具体的な説明が何もないということで、すでにこれまでの研究で検者間の信頼性が、違う人が点数を付けた場合に同じ点数にならないということが示されております。そのようなことがありますので、きちんと検者間の信頼性が取れて、採点が信頼できる。私が付けたものと別の人が付けたものが同じ点数に大体なるということを担保できるものを用意するということをまず行いました。それから、橋本委員のほうから先ほどコメントもありましたけれども、既存のスケールを用いた情報収集システムを併せて作成して、互換性の高い仕組みを作っていくということを、併せて取り組んでまいりました。
 次にお願いします。それを踏まえまして、今年度から始まった研究事業におきましては、4つの点について取り組んでいきたいというふうに考えております。
 まずひとつは、簡潔で直感的な説明文。これは、内容を簡潔に表すような説明文を作って、臨床家にわかりやすくするということ。これを、ICD V-chapterに拡張するということを考えております。
 それから、採点リファレンスガイドを作成して、フィールドテストを実行しておりますけれども、それがほぼ終了している段階ですので、その結果に基づいて修正ブラッシュアップをしていくということに取り組んでおります。
 それから、トライアルとして、他施設における横断的なデータ収集を、6月に一度行いましたけれども、それを、規模を段階的に拡大していくということを考えております。
 それから、それと並行しまして、医療介護連携に利用するデータセットの構造化と。特に今は、病院内での評価について検証を進めておりますけれども、介護にいく場合に、どのようにしたら共通のデータを共有出来るようになるのか。
 それから、質の管理。医療の質の管理、介護の質の管理などに、これをどういうふうに使うことができるかということを、併せて検討したいというふうに考えております。
 次のページにお願い致します。簡潔で直感的な説明文の拡張に関して、先ほどICD-11のV-chapterの中でリハビリセットというものがありました。これは今、generic-30 setというのに名称変更をしたようなのですけれども、この30項目のセットがあります。これは、先ほどは名前だけでしたけれども、元々はですね、アメリカとドイツの国民健康調査のデータから、統計的な手法によって、特に患者さんとか、患者さんの主観的な健康の良さ、悪さと特に関連する項目というのを選んできたという結果と、それから、エキスパートミーティングを行って、それに追加する項目を選んできたという、そういった流れで作成されたものでして、今回のICD-11のV-chapterの中にもすべて30項目が含まれております。この30項目に関しては、国際リハビリテーション医学会、それから、ヨーロッパ医療専門家連合のリハビリテーション部門を中心に、各国のリハビリテーション医学会中心に、国ごとの文化に合わせた説明文というか、簡単な解説になるような直感的な文を作るということを進められておりまして、今までに11カ国ぐらいでこれが取り組まれております。日本でも先ほど申し上げましたが、2年前にこれを作成しております。これをICDのV-chapterに対する説明文として拡張しようというのがひとつの取り組みであります。30項目作っておりますけれども、更にICD-11のV-chapterとしては、56項目プラス下位項目7項目ということが収載されておりますので、26項目プラス下位項目7項目がここに追加されているという状態でありますので、それに対して追加の説明文を作るためのワークショップを開催してやろうということを取り組んでおります。
 それでは次のページにお願いいたします。
 それから、採点用リファレンスガイドにつきまして、先ほど少しご説明させていただきましたけれども、採点についての説明がほとんどないということが問題になって、なかなか普及しないという面があります。実際に、評点の基準を作成するという取り組み自体は、これまではいくつかあります。ただ、その基準の作成の仕方が恣意的であるために、元々のガイドラインとどう整合性を取るのかということがいつも問題になりまして、結局普及しないということが続いておりました。この取り組みにおいては、これがOKであるかどうかということは、また議論の余地があるのですけれども、もっとその、元々の評点のガイドラインに沿った形で基準作成ができないかということで、取り組んでおります。これはどういうふうに作ってきたかと言いますと、ICFの巻末にある記載を医療者に読んでもらって、それを基に点数を実際に付けてもらって、それが何故そういうふうに付けたかというインタビューをそれぞれに行いまして、その情報を集約して、ICF専門家を交えたディスカッションをして、共通の閾値、点数の閾値がどこにあるかということを作っていくというプロセスを経て作成したというものになります。国際リハビリテーション医学会内では注目していただいておりまして、国際リハビリテーション医学会の公式リファレンスガイドを作成することも現在議論中であります。厚労科研でこれを用いた採点アプリケーションとか、オンラインデータベースを作成させていただいております。
 次にお願いいたします。これを用いたフィールドテストを行っておりまして、これまでに90人近くの患者さんのデータで、採点の信頼の検討を行っておりまして、概ねいい結果を得られているというふうに思います。ただし、特に情動機能、あるいは痛みの感覚といった項目のところで、検者間の信頼性が低いところが見られておりますので、その点について現在修正をして、もう一度検者間の信頼性を取るという作業を行っているところでございます。
 それから、次にお願いいたします。それから、リハビリの中でこの点数を付けて評価するということに関して、問題となる点がもうひとつありまして、ICFの中では5段階の評価なのですけれども、これで患者さんの情報を充分に表現しきれないという批判もあります。実際に私たちが臨床でよく使っているFIMなんかですと、7段階の評価ですけれども、それがすべてどの項目にも、関しても5段階にしないといけないということで、普及に際しての問題点として指摘がされています。特に、例えばよく指摘されますのは、患者さんで、見守りでトイレをやっている場合は、軽度の問題。でも、装具を使ったり手すりを使っているのも軽度の問題。その違いなどを全然表現できないのではないかと、そういう批判があります。特にこういう環境、どのような環境に依存しているかというのは、非常に重要な点なのですけれども、それを含めて表現する方法を作りまして、臨床で実際に使えるようにしようという取り組みも行っておりまして、これは薬剤を使っているか、それとも装具などを使っているか。構造、建物構造が必要か、人のサポートが必要かという情報をそれぞれアルファベットで表現して、点数の後に付けるという、これはローカルな解決方法と考えておりますけれども、これを付けることで環境因子の情報も集められますし、パフォーマンスの情報も集められて、より患者さんの状態を細かく表現できるということを考えまして、これを仕組みとしてもう一個、もうひとつ取り入れていくということを考えております。
 次に、次のスライドをお願い致します。実際にこの仕組みを使いまして、他施設における横断的なデータ収集のトライアルを始めております。6月に6施設にお願いをしまして、短日、1日のデータを横断的に取るということを行いました。入院患者さん全員をやるというのは、いきなりはちょっと難しかったので、患者さんの人数と、その番号というか、実験用のIDを振っていただいて、その中でこちらからランダマイズした番号を30個ずつ提示して、その番号の人を、採点をしてくださいということで、点数を付けていただくというトライアルを一度やってみました。そのような中で、どういう疾患の分布であるかとか、年齢の分布であるとか、大体リハビリ病院が中心ですので、80歳前後とかなり高齢の患者さんが多いですけれども、そのような形での分布を見ることができました。
 それから、スコアあるいは環境因子の利用がどのような分布をしているかということも見ることができたという結果を得ております。このような仕組みの検証を行いますと共にですね、医療介護連携に用いるための構造化をしていきたいというふうに考えております。これまでの検討でも、回復期の中で患者さんの情報が得られたもの、得られないものと、実際に採点が出来たものと出来ないものがあります。これは例えば、家事の、調理を除く家事という項目がありますけれども、そういうものはなかなか入院中の患者さんには評価できませんので、そういったものを除いた形で病院内の評価を行っていくことを考えておりますし、それから、介護施設で評価できるもの、在宅で評価できるものというのを、それぞれ評価をいたしまして、共通のセットをどういうふうに組んでいくのかという検討をまず行いたいというふうに考えております。これに関しては、大夛賀先生の班とよく連携して、特に大夛賀先生のほうでは、急性期と介護にフィールドテストを行うということを考えておられますので、そこと連携をして、共通セット。それから、それぞれのステージに何を加えていくのかということを考えていきたいと思っております。
 それから、それに加えまして、追加情報として既存のスケールとかチェックリストを用意してきまして、場合によっては既存のスケールですべて置き換えることができるようであれば、それを置き換えられるように、互換性の高い仕組みを作っていくということを併せて考えたいというふうに考えております。
 以上で発表とさせていただきます。

○中村委員長
 只今の研究の進捗につきまして、ご質問等ございませんでしょうか。橋本委員。

○橋本委員
 先生、あのつまり、この研究はすべて、このICF、今でいうgeneric-30っていうやつを使って、先ほどの5段階評価でしたっけ。それでやるという理解でいいですか。

○向野参考人
 そうですね、基本はそれを中心に置いてやりたいと思っています。

○橋本委員
 既存のものも使うと。

○向野参考人
 はい、既存のものを使うと。あと、説明をしておりませんでしたけれども、もうひとつですね、チェックリストを作りまして、これは30項目ではなくて、それ以外の項目ですね。基本的には第2レベルの項目を考えておりますけれども、ICFの第2レベルの項目、大体200ぐらいありますので、それをチェックリストにして、その中で問題点があるものについてはチェックをしていくというような仕組みも一緒にデータを採りまして、特にまあその中に大事なものがあれば採点対象に加えていくとか、ということも考えております。

○橋本委員
 そうするとですね、あのリハビリテーション実施計画書でもいいと思いますし、介護保険の意見書でもいいと思うのですが、でもやっぱり現時点で、この、語句定義もはっきりしていなくて、5段階も実はやっぱり使いにくいですよね。ですから、現時点でFIMを使ったり、Barthel Index使ったほうが、わかりやすいとなってしまうと、もうこの時点で活用されないという危惧があって、仮にゴリ押しで活用すると、やっぱり現場の士気が下がるという問題点がもう常に付きまとうのです。その点、先生。

○向野参考人
 はい、それも問題と思っていまして、出来るだけ使いやすい仕組みをと思っておりますけれども、実際にこれが普及するかどうかってことはわかりません。ただ、少なくとも、これがある程度正しいものであると認められた場合には、それと、例えばFIMの何点がこの評価では何点であると。だからFIMで採っても、このICFの情報は得られていますよという形で表現できるように、できるだけ多くのサンプルを用意して、全国調査を行いまして、その互換性をいろんなスケール等を作っていって、これが一応中心ではあるけれども、他のものでも代用できるという形を作っていくのが現実的ではないかなというふうに考えております。

○橋本委員
 そうすると、データベースのコアになる評価はこれでやるけれども、入口はいろんなものからここに集約されていくと。表には実はこれは出てこない。それぐらい言わないと広がらないなと僕は思います。じゃないと、なんかデータ採りされているみたいな感じで、こう臨床の現場の反発を買って終わってしまう気がするので。いいものはいい、悪いものは悪いっていうのかな、そういうやり方を、ちょっと一般の人に申し訳ないのですけど、推奨します。是非お願いします。

○向野参考人
 ありがとうございます。まあ理想としてはですね、できるだけそういうものをリプレイするものができると最高だと思っているのですけれども、もうすでに普及されたものがありますので、先生がおっしゃったようにすることも併せて考えたいと思います。

○中村委員長
 他にいかがでしょうか。大谷委員いかがですかね。

○大谷委員
 非常に興味深く、ディスカッションとプレゼンを聞かせていただきましたけど、僕は現実には看護もやっている整形外科医で、あと大学院で健康というキーワードでいろいろなことをやっているのですが、最初に出江委員からの話を聞いて、なるほどと。つまり疾病分類という辞書というイメージから、その健康という概念まで少し広がったデータが採れるようなツールが出来つつあるのかなということで、非常にいいことだし、日本ではそのデータ化というのが待ったなしだってこともよく分かりましたが、一方で現場の人間として言わせていただくと、もうすでにみんなの頭の中に入ってしまっている、今のお話にあったFIMだとか、そういうようなものに対して、これがそれをテイクオーバーしていくということは、まあ現実にはかなり難しいだろうなという印象も持ちました。そこはやはり、その、アプリですとか、ソフトですとか、AIですとか、要するにスマホレベルで解決できるようなものまで落とし込めば可能なのかなと。私の個人的な意見で、何の根拠もないのですが、そうなれば初めてこれが、その共通のプラットフォームとしての価値を倍増するのかなというような考えを持ちました。

○中村委員長
 齊藤委員いかがですかね。

○齊藤委員
 全く私は中身のことはよくわからないのですが。現場でだんだん使える可能性が出てきたってことは、この委員会の中でも意義あることじゃないかなと思います。WHOの前半の話がありましたが、様々な情報が新しく入ってきて、それに振り回されているような印象があります。一方、現場で上手く活用できないという問題があるのですが、様々なところで研究成果として活用出来る可能性のところから広げてもらうとありがたい。理想的な話よりは、出来るところで使えるということがとても大事だと思うので、今のプレゼンは大変興味深く聞かせていただきましたし、前回井上委員から、福祉機器の関係で、かなり活用が期待できるっていうこともあるという報告は参考になりましたので、是非切り口を広げずに、狭く深くしてもらいたいなということを印象として感じた次第です。

○中村委員長
 今回、ちょっと研究のトーンが少し変わったかなという気もいたしました。最初のイントロのときにそういうお話されましたけど、今、先生としては、既存のものを少しかえてでも非常に広くデータを採らないと、最終的にその落とし込んだものが本当に正しかったかどうかっていうことの根拠が出せない。このため、今は広く採っているというふうに理解すればいいでしょうか。5段階じゃ難しくて7段階評価が必要だという話になると、ICFから離れていってしまう気もするのですが。
 研究としてだけやるのなら、すぐ出来ると思うのですが、それでは、それが正しかったかどうかって議論がまた起こってしまうので、今回は、並行して取って、最終的に落とし込めるものを目指すということの理解でよろしいでしょうか。

○向野参考人
 はい。並行して採って、こちらのものとこちらのものはどういう点数の関係にあるかというのを確認すれば、既存のものでもいいし、新しいものでも同じような情報が得られるということをひとつは目指しているということになります。
 それから、環境因子の情報を付け加えることに関しては、ローカルな解決ではあるのですけれども、環境因子に依存しているという情報を別出しにすることで、環境因子の情報も集められますし、そのパフォーマンスとしての情報も集められるということで、ICFの基本的な考え方には沿った形でのデータ収集ができると。ちょっと文字に変換をしたので、新しい物を作っているという感じにちょっとなってしまいましたけれども、実際は、あれはひとつひとつコードに対応しておりますので、どのコードに依存しているかということを併せてデータを集められるような仕組みを、一応理想としてこうあるべきじゃないかということで作っているということです。

○中村委員長
 わかりました。井上委員。

○井上委員
 私の興味は本当に環境因子のところで、前回も発言させていただいたかと思うのですが、こういう形で、環境因子がどういうふうに使われているかっていうのを出していただいたというのは、すごくいい情報をいただけるのではないかなというふうに思っております。
 ただ、先ほどのFIM、7段階がいいか5段階がいいかって、そういうものの中に、環境因子の要素っていうものを含めて考えようとしているからそういうところが必要になっているような気もしますので、活動と参加、心身機能と活動参加っていうところと、環境因子っていう関係を、前回もお話したのですけど、心身機能と、活動を繋ぐところに環境因子があるっていうのが、一番わかりやすい。それには、例外もあるのですが、そういう関係性が整理できるような形でまた進めていただけると、ご協力はさせていただきますので、是非よろしくお願いしたいと思います。

○向野参考人
 どうもありがとうございます。

○中村委員長
 他にございませんでしょうか。
 では続けて、次の研究のほうに進んでいただいてよろしいでしょうか。

○事務局
 もうひとつの厚生労働科学研究ですけれども、国際生活機能分類の統計への活用に関する研究と題しまして、筒井先生の研究班にやっていただいておりますけれども、本日いらしていただくことを大夛賀先生お願いしたのですがご欠席ということで、事務局のほうから簡単に、概要を述べさせていただきます。
 本研究は2年研究で、今1年が経ちましたところで、中間報告という形になります。いただいております資料の方は、4-2となります。
 多岐にわたるICFについての研究ではございますけれども、一番わかりやすいのが、研究方法というところが、中欄のところにございます。この1、2というところがありますけれども、この研究は大きく分けて二つに分かれております。
 ひとつは、既存の統計、基幹統計などを用いまして、その中の項目ごとにICFによる置き換えが出来るかどうか、ICFの表現で置き換えることが出来るかどうかというマッピングを行っております。これによりまして、既存の研究、既存の調査のICFによる網羅性を調べまして。どういうことかといいますと、要は国内の既存の調査の項目が、国際社会において、国際間で評価するときに、比較するときに耐えうるものかどうかということは、まだ証明されているものではありませんので、これがICFで評価出来ることになりますと、ICFで評価出来る分野に関しましては、国際間での比較に耐え得るものである可能性があるというひとつの考え方というふうに理解しております。
 もうひとつの研究としましては、2のほうになりますけれども、これ全く新しい考え方で、介護技能についてです。介護技術の習得過程をICFで評価することによって、実際使っております教科書、実習の教科書について、これも項目がICFで示されていますコアセットと比較したときに、どの程度置き換えることが出来るか、ICFで評価出来ることが出来るかというようなことを調査しまして。介護士の評価ツールとしてICFで表現することが出来るかどうかというところが行われております。次の段階としまして、そのICFで今度は評価出来る。今までの実績を使いまして、今後ICFで介護士の教育過程、養成過程の評価ツールとして使っていけるかどうかということを二段構えでやっております。
 今後、海外からの人手不足に対する外国人の労働者を受け入れるに当たりまして、ICFによる、ICFによって介護技術の習得過程が評価出来る部分があるとした場合に、非常にひとつのいい窓口というか、発進になるのではないかというような研究と理解しております。
 現段階中間過程でございますので、今後また経過を追って報告させていただくというような形にさせていただこうと思います。以上でございます。

○中村委員長
 それでは、ご質問、ご意見等ございませんでしょうか。二つまとめてでもよろしいですが。出江委員。

○出江委員
 よくわからなかったので、教えていただきたいのですが、介護技術の、技能の習得にICFの評価を使うっていうのをもう少し詳しく教えていただけますか。

○事務局
 ご質問ありがとうございます。報告書によりますと、まず介護技術、介護についてICFで、介護の作業について評価するわけですけれども、その中で一番わかりやすいのが、他者に対する援助でしょうかね。活動のところにございますけれども、その項目をひとつ挙げています。それだけで評価しきれないものについては、介護される側ですね、被介護者が、食事であれば食べて飲み込む、自分で食べる、あとは食事以外のところでは簡単に体を動かして移動するといった行動がありますけれども、それを介助出来るかどうかというような項目立てをしておりまして、それで現行の評価基準とある程度耐え得るかどうかということを評価して、それから評価用のコアセットを作って評価していくという段取りと聞いております。

○出江委員
 すいません、あの、よく、まだちょっともう少し。FIMじゃない、ICFを使うことによって、その介護の効果を見ているのですか。介護することによって、介護レベルが下がって、パフォーマンスが上がったかどうかを見るのでしょうか。

○事務局
 すいません、そうではありませんで、介護士が介護する側ですね、介護する側のパフォーマンスが上がってきているかどうかということが最終目標、その評価が出来るかどうかというのがひとつと、あとは、それに耐え得るだけの表現がICFで、コアセットを作って出来るかどうかと二つですね。

○出江委員
 その問題点に介護士が、気がつくかと、気がついているかという意味ですか。

○事務局
 そこについても、被評価者に、ICF(による評価)項目を示せばそのような結果にもなるかと思いますけれども、研究の計画書の方では、介護実習を始める時点と、始めた後の二点評価をするということになっておりますので、その段階で(ICFによる)評価項目を受講者に示すのではないかというように推察しております。

○出江委員
 多分フルの報告書をちゃんと読まないといけないのだと思いますが、だいぶわかりました。ありがとうございました。

○中村委員長
 他にございませんでしょうか。石川委員。

○石川委員
 随分前から介護のデータベース、日本のですね、それとNCD、National Databaseですね。これの突合をどのようにやっていくのかとか、そういう会議にずっと加わっているのですけれども。ひとつは、介護のデータベースっていうのは、介護レセプトと、最初の調査員から出てきた、要するに介護度ですね、そこらへんだけしか、介護データベースにないのです。それがどういう病気で、そういう状態になったのかって詳細載ってないから、医療と介護をくっつけると、極めていいデータベースが出来るわけです。これの突合について、厚生労働省のほうで、ずっと会議をやってその見込みがだんだん出てきているっていうふうな状況です。
 ひとつですね、28年度診療報酬改定で、費用対効果の、基準でFIMが使われるようになりましたよね。これ回復期リハビリテーションのところで点数化されちゃうわけですね。こうするともう一斉に、医療はFIMでADLを測るということに、こうなってくるわけですよ。僕もずっと前からこのICFって素晴らしいなと思ってきながらですね、まあなんで、そういうBarthel IndexからはFIMだとか、実際に自分のやってきた医療連携パスではFIMを使うことになってしまったのですけども、もうちょっとこの保健のところではですね、ADLの指標ICFで表現することは、少し難しいのかとなってきています。今後、介護データベースを、ビッグデータベースを作るときに、これからは利用が秋からできるように手挙げが始まるのですが、このときにいっぱいその研究で使うっていう人は手挙げするのですが、今の介護データベースだと全くADLだとか、そこら辺の介護データベースだけでは、評価は全く駄目なのですっていうふうに思います。というか、調査票から、出てきた、最後の介護度の問題とレセプトだけでは、ほとんどいいデータベースにならないのではないかなと思っています。そこにひとつ、まあ例えばICFみたいな指標で、いくつか並んで、それでイメージが湧けば、まあこれが、要するに、数字と、要するに英数字だけのデータですから、簡潔に表現出来るっていうことで大変期待していたのですけれども、それがどうも今後、データベースの仕様を変えないと中には載らないというふうな事態になってきています。そういう中で、このICFが今後どうやって発展するのかってことについてはね、才藤先生のところのご研究が、今日はどんなふうになっているかなっていうのは、大変期待していたのですけど、ここを延ばしていっていただくしかないだろうなというふうに思っています。そういう点では期待しているのですけども、医療界のニーズといいますか、世の中のニーズが、早すぎて、なかなかもう難しい煩雑なICFは使いにくくなってきてしまっているというのが、私なんかが見ている現状ですね。これからはデータベースの時代ですから、そこ、どんどん使っていくってことになるのですけども、そこにもこう、なかなかICFは現れて来ないとなると、ちょっとこれは大変なことになるなというふうに思っています。

○中村委員長
 林委員。

○林委員
 二点ほど質問というかコメントというか、先ほどもずっと出ているFIMとICFのトランスレートテーブルとか、そういったものはすでにもうカチッとしたものがあるのでしょうか。また、筒井先生のこの資料4の方にも、このICFによるリコードということが書いてあって、私たちの方でも、例えば国民生活基礎調査に使われている質問はICFのどの番号が入るだろうかとか、そういうことを当てはめていったりしていまして、そういったものがすでにないのでしょうか。例えば、ADL、FIMと、ICFの対応表っていうものがすでにあるのかどうか。なかったらそういうものを作っていったらいいなあというふうに思っています。先ほど出江委員のほうからもありましたように、スマホで見られるようになったら、グッと使い勝手が増します。例えばICD-11は、ウェブのブラウザにキーワードをポッと入れると下にガーッと出てきます。今もだからVAコードは出てくるのだけれども、それをICF本体についてそういうブラウザを、WHOは作っているでしょうか。そういったものが、エンジンとしてあれば、ロボットの開発だとか、いろいろ組み込んでいって、アプリ開発などが出来るのだろうなと思うのですけれども、そのあたりの状況、もしご存知の方がいらっしゃればというふうに思いました。

○中村委員長
 では、これは、向野参考人。

○向野参考人
 私からお答えさせていただきます。変換表に関して、変換表は現時点ではちゃんとしたものはありません。変換表を作るために、勝手に例えばFIMの6点はICFの0点とするとか、そういうことを決めてしまえば簡単に出来ますけれども、一応そういうことは出来ないっていうことになっておりまして。我々が取り組んでいるのは、二つのデータを集めて、統計的に、合計点になってしまうんですけれども、FIMの合計点とICFのそれに相当するものの合計点を両方持っていれば、それが、何点が何点に相当するという結果が出せますので、それをまずは目指しているというところで、それに向けた大きなデータを取る準備をしているという状態になります。
 もうひとつの、どの項目がどれに相当するかということに関しては、私共の方でも少し研究をやっておりますけれども、WHOの担当官のシエザ先生が、元々その担当官になる前にやっておられた仕事で、既存のスケールからICFのコードに結び付ける方法は、こういうルールでやりましょうという論文をいくつか出されておりまして、それに基づいてやった変換表というか、項目の変換表というのはいくつかあります。それは、それに基づいてやられた論文もありますし、例えばICFの研究を、リハビリの分野では主導的にやっているSwiss Paraplegic Researchという、脊髄損傷研究所、スイスの。ところがあるんですけれども、そこでもある程度データベース持っておりますし、私共のところでも、いくつか日本で使っているものに関しては作っております。ただ、変換表ということに関しては、まだ実際にデータを集めてみないと作れないということになります。

○中村委員長
 これはですね、元々の才藤先生のご提案は、ICFの普及を進めるとの観点から、学問としてどんどん深化するというよりは、使い勝手のいい、例えば現在使われているものを変換するだけで、ICFが作れるというような方向性を研究としてやろうというのがスタートなのです。その過程で学問的にいろいろやることがあるというのは、当然そうだと思いますが、この委員会としてはICFの普及という観点での成果を期待したいと思っているということです。
 橋本委員、何かご意見。

○橋本委員
 結構です。

○中村委員長
 そうですか。
 では、他にございませんでしょうか。はい、それでは。

○事務局
 老健局です。先ほどあの、介護総合データベース、保険総合データベースに関するコメントがございましたので、事実確認のみさせていただきたいのですけれども。介護保険総合データベースの方には、要介護認定調査の74項目の項目に含まれておりますので、その中に寝返りが出来る、出来ないですとか、歩行が出来る、出来ないですとか、そういったデータも含まれておりますので、ADLの項目が全くないということではございません。この点だけはご留意いただければと思います。

○中村委員長
 今までは、どっちかというとADLというか、移動とかそういう関係が前面に出てくるので、そのICF的な発想の、例えば環境とか幸せとかそういうものが、おそらく評価が不十分ではないかと。そこが入らないと、ICF的にはなかなかなりにくいわけで、そこをどうするかっていう問題が、もうひとつあると思うのですよね。出江委員、いかがですか。

○出江委員
 おっしゃるとおりです。本当に画期的な発明だと思います。それで、言葉の問題がまずあって、ここまで向野参考人がこうなさってきたこと、本当に素晴らしい。かなり短時間で。FIMの普及過程も、リアルタイムに見てきた世代ですけれども、当初これは日本に持ってくるときも非常に困難を極め、日本語訳から講習会。教育を確立することによって、初めてここまで普及したのと、2000年からの介護保険、回復期リハビリテーション病棟、ここに入ったことが非常に大きかった。ですので、そういうエポックメーキングなことがなければ、FIMだってここまで普及しなかったと思いますので、ICFについても、当時のFIMのことを考えると、かなり向野先生の研究、この研究班が、短時間のうちにここまで持ってきたというふうに私は認識しています。

○林委員
 すいません、先にこの、あの検索のエンジンについてのデータアプリ開発に資する、そのポップアップで出てくるようなものがICFであるかどうかということにどなたかもし。

○事務局
 ポップアップというよりは、WHOのホームページに、ICFの項目が全部載っていて、そこに行くと全て見られるのですけど、それでは駄目でしょうか。

○林委員
 今のICDなり、ICD-10も出来ているみたいですけれども、その検索の窓に用語を入れると、そこにワーッと関連する項目が。

○事務局
 一応あります。

○林委員
 ICFもありますか?

○事務局
 ICDほど素晴らしくはないけれども、必要なワードを入れますと、それに関連する項目が出てくるというのはあります。

○中村委員長
 他にご意見ありますか。なければ、遅れられた奥平委員、今までの議論をお聞きになられて、何かコメントございませんでしょうか。

○奥平委員
 今日は遅れて申し訳ありませんでした。専門家でもないのに、もう聞いて理解するのが精一杯で、すいません。当事者としてちゃんと意見が言えるようになりたいと思います。

○中村委員長
 資料を読んでいただくか何かして、また次回お願いしたいと思います、それでは。ありがとうございます。
 それでは、この件はよろしいでしょうか。
 繰り返しになりますが、ひとつは研究として非常に重要なことがあると思うのです。が、同時にだけどもうひとつ、そのICFの普及、啓発ということに資するようにという、この委員会の使命もあります。先ほどどなたかの委員が言われましたが、研究的にどんどん深くしてくっていうことは、可能だと思うのです。しかしディテールをどんどん進めていくと、実用性からは外れていく危険性もありますので、その簡素化っていうか、何が見たいか、大事かっていうことは、おそらく研究者なり、ここに関わっている人には、きっとあるのではないでしょうか。それを、学問的にデータとして裏付けるような研究をすすめていただけないでしょうか、今は。AIを使って、大がかりに研究するっていうような状況には、今、いっていないと思うのです。そうすると、専門家として、ここが大事だっていう、多分絞ったものについて、それが、データ上そうだっていうことが言えるような、研究の方法を練っていただけませんでしょうか。そうしませんとなかなかデータは出ないのではないかと危惧いたします。先生方が大事と思っているものについて、確実にエビデンスにしていくという方法を採って、その成果が出たら、そのあとは、それはAIを使うとかそういう話になると思います。まずは、どうやったら簡便に使えるようにICFがなるかっていうことを念頭に研究をすすめていただきたいというふうに思います。そのことは、筒井班にもお伝えいただけませんでしょうか。是非お願いしたいと思います。

○事務局
 お伝えいたします。

○中村委員長
 他にご意見ありませんでしょうか。ちょっと今、まとめみたいなことを言ってしまいましたが、大きくははずれてないと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、次に行かせてください。その他ですね。よろしくお願いします。事務局から、議事4です。

○中村委員長
 先ほどちょっと話が出たのでは。
 ICFシンポジウムのアンケートですね。

○事務局
 はいそうです。

○中村委員長
 それではよろしくお願いします。

○事務局
 時間も5時になりますので、簡潔にご説明いたします。
 資料5をご覧ください。3月の専門委員会の際に、昨年7月にWHOからオーダーがありました加盟各国におけるICFの利活用状況について、1月に開催したシンポジウムでのポスターを使いまして、日本の状況を説明させていただきました。
 その際の客体が、概ね8割方言語聴覚士でございましたことから、このたび事務局でSTとも関係の深い職種でございます作業療法士協会ならびに理学療法士協会を通して、同様のアンケートを改めて依頼しましたので、その主な結果についてご報告させていただきます。
 資料5の概要、1ページ目をご覧ください。客体の総数は83、最初のICFの使用歴とございますけれども、ICFの使用歴については10年以上が約7割と最も多くて、次いで5年以上が約2割となっております。資料5の参考に、別紙といたしまして、ICFポスターの1、ここにICFの使用期間。こちらでは、5年未満の使用歴が約半数を占めておりまして、ここは、前回結果とは全く異なる結果となっていました。この点につきましては、今回改めて調査をして得ることが出来た結果の成果でございます。職種間の特徴が表れたものかと思います。
 本資料の5の最初に戻っていただきまして、次にICFの、2のICFの用途ですけれども、臨床現場が7割、次いで約2割5分程度が教育による利用という結果になっております。データの傾向としては、前回と大体同じ結果となっております。
 次のページでございます。3のデータの収集源ですが、本人の自己申告によるものが約2割で、収集源の中で一番多いですが、全体では約3割がデータ収集は行っていないというのが、一番多い結果となっております。こちらもデータの傾向としては、前回と大体同じ結果となっております。
 最後の4、ICF評価点活用の有無についてですけれども、実際に評価点を活用しているケースは約2割、残り8割は使用していないという結果になっております。
 最初に挙げました使用歴が大きく異なる以外は、ICFの用途、データの収集源、評価点活用の有無につきましては、概ね前回と同じようなデータの傾向となっておりました。
 これらの同様の結果が得られましたことで、昨年の調査データに大きな偏りはないのではないかということが確認できました。私からの説明は以上ですが、引き続きICFの普及について、ご説明させていただきます。

○事務局
 参考資料の4をご覧ください。厚生労働省シンポジウムの開催ということで、平成22年1月に第1回のシンポジウムを開催してから、今回第8回目を迎えます。今回は、ICD-11の中に、先ほど申し上げたように、V-chapterとして、ICFの項目が入ったということもございますので、ICD-11の公表と、それからICFの普及ということをターゲットに、WHOの担当官2名を招聘してシンポジウムを開催したいと考えてございます。日時と場所を決めさせていただいております。11月30日金曜日。場所は、国連大学でございます。ここの場所を選びましたのは、ICD-11がスタートしたときに、日本の多くの先生たちが関与して、検討を始めたわけですけれども、その最初がこの国連大学の会場だったものですから、公表報告という意味でこの場所を使わせていただきます。定員は300名を予定しておりますので、専門委員の先生方におかれましては、是非ご多忙とは存じますけれども、この日を空けていただきまして、夜、交流会もございますので、情報の交換をしていただけたらと思います。また、1月に開催したときに大変好評でございましたけれども、一般の方からICFの活用状況、どんなことをしてICFを使っているというようなことを報告していただく。それによって、どの程度普及されているのか、どういうことが問題なのかということが、私たちが知ることが出来るのではないか。そして普及のためには何が問題なのかということも、更に調べていきたいというふうに思ってポスターの募集も考えてございます。以上でございます。

○中村委員長
 ありがとうございました。他に何かご質問ございますか。
 それではシンポジウムの開催までご報告いただきましたが、その他についてお願いをいたします。

○事務局
 参考資料の6をご覧いただけますでしょうか。こちらは、前回3月の委員会でご提示させていただきましたICF一部改正2016年から2017年の日本語の原案について、その後、委員の先生方から特段コメントはいただきませんでしたので、今回確定版とさせていただきましたのでご報告させていただきます。
 ICFの初版本が2002年に刊行されましてから、すでに16年が経過しております。このICF一部改正につきましても、2011年から始まりまして、すでに7年分の日本語版が確定しております。WHOのウェブでは、ICF2017が公開されております。WHOに対しては、今後書籍版を刊行するのかどうか、確認を取っているところでございます。WHOによる書籍の刊行をもちまして、日本といたしましても、今後ICFのセカンドバージョンの刊行を進めていきたいと考えております。その際には委員のご協力をいただきたいと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。以上でございます。

○中村委員長
 今のご説明に、何かご質問等ございますか。林委員。

○林委員
 先ほどの話ともちょっと関係するのですが、今2017年版の日本語版をこれから作成するということであるとすると、そのときにその、今ウェブで確認したらやっぱりICFブラウザというのがあって、国連公用語で出ているので、せっかく日本語版があるのであれば、日本語版のICFブラウザも作っていただければいいなというふうに思いました。

○中村委員長
 いかがでしょうか。

○事務局
 ご意見ありがとうございます。この時代、電子的にウェブで見られるというのがおそらく一番簡単だと思っています。ただ、ICFに関しては課題がありまして、今まで日本語で作ったベースがなく、昨日お話ししましたICD-11は、WHOが多言語に対応したシステムの準備をしており、我々が訳語を入力していくと、WHO上のウェブで見られるという仕組みが用意されています。ICFでは、そのような仕組みがWHOも用意をしていないため、ウェブで日本語を見られるようにするには、日本で独自で作る、一から作る必要がある可能性もあり、テクニカルな課題として今後の検討課題かと思います。

○林委員
 今もICFブラウザでは中国語とかで見られるのですが。

○事務局
 おそらくWHOが、公用語か準公用語かを基準として、いくつかの言語で用意をされているのだと思うのですが、そこに日本語を追加してくださいという交渉ができるかどうか、それができない場合は日本で独自に用意するかどうか。

○林委員
 造りとしては、ウェブブラウザとしては簡単だと思うのです。だから、日本語の用語はもうすでに決まっているので、それを落とし込んだらそんなに手間暇かけずできるのかなというふうに思うのですけれども。

○事務局
 大変良い要望だと思うので、WHOの方にまずはそこを確認してみたいと思います。

○中村委員長
 それでは、本日の議題は、これで一応終了しておりますが、何か、事務局も含め、連絡事項はございますか。

○事務局
 申し訳ありませんが、資料の修正をご報告してもよろしいでしょうか。参考資料6になります。
 先ほど確定した日本語版ということでご紹介しましたが、参考資料6の1枚目の一番上に赤字であります、Exclusionの訳を、含まれないものが正しいのですが、含まれるものとなっておりましたので、訂正させていただきます。

○中村委員長
 参考資料のどこでしょうか。

○事務局
 参考資料6の一番上、一行目になります。参考資料6の改正内容、新しい右側の赤字の部分に、注とあります。その下に、含まれるものと日本語でありますが、英語ですとExclusionになって、これは含まれないものの意味になります。

○中村委員長
 事務局から何か、連絡事項がありましたらお願いします。

○事務局
 本日は活発な議論をいただきまして、ありがとうございました。次回、委員会の開催につきましては、後日事務局より日程調整のご連絡を差し上げますので、ご協力のほどお願い申し上げます。

○中村委員長
 それでは以上で、第18回社会保障審議会統計分科会生活機能分類専門委員会を閉会といたします。どうもありがとうございました。

(了)

照会先

政策統括官付参事官付国際分類情報管理室 疾病傷害死因分類係

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