ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(福祉部会)> 第21回社会保障審議会福祉部会 議事録(2019年5月31日)
2019年5月31日 第21回社会保障審議会福祉部会 議事録
社会・援護局総務課
○日時 令和元年5月31日(金)13:00~15:00
○場所 TKP新橋カンファレンスセンター新館 ホール12E
○出席者
田中 滋(部会長)
荒井 恒一(委員)
井上 博(委員)
奥山 眞壽美(委員)
小林 千恵子(委員)
新保 美香(委員)
高橋 英治(委員)
対馬 徳昭(委員)
西島 善久(委員)
平川 則男(委員)
平田 直之(委員)
松山 幸弘(委員)
峯田 幸悦(参考人)
宮崎 則男(参考人)
宮本 太郎(委員)
三好 昇(委員)
安河内 愼二(委員)
和気 純子(委員)
○議題
(1)地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進について
(2)社会福祉法人の事業展開等の在り方について
(3)その他
○田中部会長 定刻となりましたので、ただ今より「第21回社会保障審議会福祉部会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙の折、お集まりいただきましてどうもありがとうございます。
前回、平成29年12月18日の開催からかなり時間が経過しています。今回、新たなメンバーも増えましたので、精力的に審議を進めてまいりましょう。皆様、御協力のほどよろしくお願いいたします。
まず、事務局より、新たに就任された委員の御紹介と、本日の委員の出欠状況について説明をお願いします。
○朝川総務課長 社会・援護局総務課長の朝川でございます。
本日、福祉部会としては初めてのペーパーレス開催ということで、紙媒体ではなく、各席にタブレットを1台御用意させていただいております。本日は、タブレットを用いて資料の御説明をさせていただきます。至らぬ点もあろうかと存じますけれども、業務効率化の観点からペーパーレス開催に関して御理解、御協力のほどよろしくお願いいたします。
それではまず、私より福祉部会委員の異動について御紹介をさせていただきます。
前回、平成29年12月18日に第20回を開催いたしましたけれども、それ以降、井之上芳雄委員、猪熊委員、上野谷委員、関川委員、高橋福太郎委員、武居委員、橘委員、宮本みち子委員、武藤委員、森脇委員が御退任されまして、新たに荒井委員、井上博委員、奥山委員、小林委員、新保委員、沼尾委員、平田委員、宮本太郎委員、保井委員、安河内委員、和気委員に御就任いただいております。
なお、今回、任期満了に伴いまして、社会保障審議会福祉部会委員として再任された方、新たに委員に御就任いただいた方につきましては、厚生労働大臣からの任命状及び福祉部会に所属いただく旨の社会保障審議会会長からの指名書をお手元にお配りしております。封筒に入れさせていただいておりますので、後ほど御確認をお願いいたします。
また、部会長代理であった宮本みち子委員が退任されたことに伴いまして、改めて部会長代理の指名が必要となっております。社会保障審議会令第6条第5項には「部会長に事故があるときは、当該部会に属する委員又は臨時委員のうちから部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理する」と規定されておりますが、これに基づき、部会長に、部会長代理の指名をお願いしたいと存じます。
続きまして、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
本日は、石本委員、内田委員、川井委員、黒岩委員、沼尾委員、藤井委員、堀田委員、松原委員、保井委員より御欠席の御連絡をいただいております。
なお、石本委員の代理として、公益社団法人日本介護福祉士会副会長の宮崎参考人に、内田委員の代理として、公益社団法人全国老人福祉施設協議会副会長の峯田参考人のお二方に御出席をいただいております。
○田中部会長 ただ今事務局からお話のあった部会長代理については、宮本太郎委員にお願いしたいと存じますが、皆様いかがでございましょうか。
(「異議なし」と声あり)
○田中部会長 宮本委員は部会長代理席にお移りください。
(宮本委員 部会長代理席へ移動)
○田中部会長 早速ですが、部会長代理から一言、御挨拶をお願いいたします。
○宮本部会長代理 部会長代理を仰せつかりました、中央大学の宮本でございます。
前任の部会長も宮本みち子さんということですが、世襲制ではございませんので血縁はございません。
というよりも、私自身がこの部会では新任でございまして、田中部会長を初めとして皆様の御指導を仰ぎながら、この部会が建設的な議論の場になるように尽力していきたいというふうに思います。何とぞ、よろしくお願いいたします。
○田中部会長 大変心強い部会長代理からのご挨拶で、うれしく存じます。
次に、前回の福祉部会以降、事務局にも人事異動がありましたので紹介をお願いいたします。
○朝川総務課長 それでは、御紹介いたします。
社会・援護局長の谷内でございます。
地域福祉課長の岡河でございます。
生活困窮者自立支援室長の野﨑でございます。
福祉基盤課長の蒔苗でございます。
○田中部会長 ありがとうございました。カメラはここまでとさせていただきます。
(報道関係者等退室)
○田中部会長 続いて、議事に入る前に資料の確認を行います。
事務局から、説明をお願いします。
○朝川総務課長 本日、久し振りに再開した福祉部会でございますけれども、議題が2つございます。地域共生と、社会福祉法人の関係でございます。
これらは後ほどまた御説明をいたしますけれども、それぞれ新しく春から、厚生労働省に検討会を設置しておりまして、そこで御議論いただいている内容、状況をこの福祉部会に御報告させていただきながら、この場でも議論を掘り下げていただけたらと思っております。
資料としましては、お手元のタブレットに、
③資料1として、地域共生関係の資料、
④資料2として、「社会福祉法人制度の現状について」という資料、
⑤資料3として、「社会福祉法人の事業展開等の現状について」という資料、
最後に参考資料ということで、
これら4種類の資料を御用意させていただいております。
不備がございましたら、事務局の方によろしくお願いいたします。
○田中部会長 よろしいですね。
議事に入ります。まず、資料1について事務局より説明をお願いします。
○野﨑生活困窮者自立支援室長 生活困窮者自立支援室長の野﨑でございます。資料1について私の方から説明を申し上げます。
資料1でございますけれども、「地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進について」というタイトルでございます。これは後ほど御説明申し上げますが、5月16日より社会・援護局長の下に設置した検討会におきまして検討を進めておりますので、その状況について御説明をしたいと思います。
まず、この検討の経緯ですけれども、1ページ目をご覧いただければと思います。
これは、改正社会福祉法の概要として、前回、平成29年の介護保険法の改正において一体的に社会福祉法の見直しが行われております。その中で、地域共生社会の実現に向けた包括的支援体制の整備として、2番を見ていただければと思うのですけれども、市町村が以下の包括的な支援体制づくりに努めるという努力義務を規定しております。
その具体的内容は、3つございます。
1つは、地域住民の皆さんが地域におけるさまざまな福祉活動に参加してくださるというような環境を整備していくというようなものです。
2つ目、3つ目は特に相談支援の関係ですが、2つ目が住民の皆さんが身近な圏域において対象者別というか、属性別の分野を超えて、地域生活課題について丸ごと相談に応じる。総合的に相談に応じ、関係機関と連絡調整を行う体制。
3つ目として、その中から出てくるさまざまな複合的課題も含めた難しい課題も含め、より広域の市町村圏域において、生活困窮者自立相談支援機関などの関係機関が協働をして解決を目指す体制というような3つの機能が置かれています。
とはいいながら、市町村の包括的支援体制というのは努力義務でありまして、この箱の欄外にございますけれども、この法律のときの附則において法律の公布後3年、つまり来年、令和2年をめどとして今、申し上げた市町村における包括的体制を全国的に整備するための方策について検討を進め、必要があると認めるときは所要の措置を講ずるという旨が規定されていて、法律上、一定の宿題を我々、厚生労働省として負っているということになっております。
その上で2ページ目をご覧いただきますと、今申し上げたような市町村の包括的支援体制の努力義務を具体的に財政的に支援しようということで、モデル事業を平成29年度から本格的に実施をしております。
その内容は今、申し上げた3つの市町村における機能を具体化してもらうというようなモデル事業となっておりまして、2ページでいうと赤い数字で〔1〕〔2〕〔3〕と書いてございますのが、先ほど私が御説明申し上げた3つの機能に該当するものでございます。
右肩を見ていただきますと、平成29年度には100自治体を念頭に予算立てをしましたけれども、平成31年度では200自治体を上回るような自治体から今モデル事業に手が挙がってきていまして、自治体におけるいろいろな潜在的なニーズが高いということを一定、示しているのではないかと思っています。
ここまでが政策の流れの経緯になりますけれども、ここから少し地域の実践で何が起こってきているのかということを御説明いたします。
3ページをご覧いただきますと、ここでは秋田県小坂町の例と、三重県名張市の例を引いておりますけれども、例えば秋田県小坂町では地域包括支援センターに居宅介護支援事業所と障害者の相談支援事業所、あるいは保健センターの機能を付加しまして、全世代対応型の総合相談支援機関として置いています。
一方、その右側、三重県の名張市は、そのようなさまざまな相談を受けとめる場としては下にございますけれども、まちの保健室という地域包括支援センターのブランチ機能を持つ機関が受けとめ、それを市役所の中に置かれた5人のエリアディレクターですね。地域包括と児童、困窮、障害、教育委員会と、それぞれの分野にエリアディレクターを置き、さまざまな複合課題を連携しながら調整し、解決に向かうというような体制を組んでいます。
このような小坂町、名張市、それぞれ取り組みは市町村によって特性、特徴は異なるわけですが、こういうような属性、これまでの制度ごとの属性とか、対象者ごとの属性を超えた包括的支援体制を組もうという動きはいろいろな自治体で起こってきているわけですが、それを組んでいくときに市町村が直面している課題というのが4ページでございます。
ここに3つの自治体の例を挙げておりますけれども、例えばA町においては直営の地域包括支援センターで総合的な相談対応を含めて実施している。
ただ、一方で、会計検査院において高齢者の介護保険の地域支援事業と、高齢者以外に関係する事業をきちんと行政の公費の支出をする際に明確に区分しているのかという質問があったために、毎月、毎月、この総合相談センターで受けとめる相談が一体どの属性に当てられている事務なのかということを、業務実績を出して、それに基づいて按分をしています。
B市は、同じように、地域包括支援センターが高齢、障害、困窮者などを対象とした共生型で運営しているのですけれども、これを始めるに当たって2カ月間タイムスタディー調査を行い、高齢者からの相談と、高齢者以外の相談と、どれぐらいの業務量になっているのかということを2カ月間かけて調べて、それに基づいてお金の按分をして支出をしています。
最後にC市ですけれども、こちらは市役所内に全世代対象型の「福祉総合相談課」を置き、地域包括支援センターの機能も持っていたのですが、そこで高齢者以外の相談も丸ごと受けとめるという体制を組んでいたのですけれども、会計検査において介護保険からの交付金は65歳以上、高齢者のみを対象としているので、高齢者以外の業務に当たる人たちにそのお金を支出してはならないのではないかと指摘を受けて、結局もともとの機能別の体制に分けるというようなことをしています。
このように、AからCの市町村においてそれぞれやろうとしたときに、包括的な体制を組もうとすると、どうしても国の補助金が属性ごとに交付されているということが一つの原因となって、こういうように業務量の実績をとったり、按分をしたり、そういうようなことをしなければいけない。そういう課題を、市町村は抱えているということです。
厚生労働省としても、それを少しでもやりやすくするようにと思いまして、5ページになりますけれども、例えば介護保険制度でいえば地域支援事業、障害者でいうと地域生活支援事業といったように、この地域の相談支援体制とか、さまざまな地域づくりに関係する事業に使える財源があるわけですが、これらの財源を一体的に、これらの事業にぶら下がっているさまざまな事業を、属性を超えて一体的に実施いただくことは問題がない。
さらに2番でありますが、「費用の計上について」も、比較的合理的な簡便な方法で按分していただければそれでいいですというような通知をお示ししています。
ただ、実際に自治体からの声を聞くと、なかなか国からの補助金、負担金、交付金が属性ごとにそれぞれの交付要綱に基づいて支出されている中で、この通知一本だけで市町村が包括的にやれるかというところでいうと、やっていただいている自治体もあるのですけれども、少し二の足を踏むという自治体があるのも事実で、我々として少しこのあたりはもう少し応援できないかなと考えております。
そのようなことも念頭に置きながら、6ページ以降が現在の検討状況になります。
6ページは、2040年を展望した社会保障働き方改革本部というものを省内に置いておりまして、この左下にありますけれども、赤い字でありますが「地域共生・地域の支え合い」というものをその検討課題の一つとしております。
それで、この働き方改革本部における現在の検討状況というものをお示ししたのが7ページ目で、大きく言いますと3つの検討事項が挙げられています。
1つ目は「丸ごと相談(断らない相談)の実現」ということで、8050問題など、世帯の複合的なニーズやライフステージの変化に柔軟に対応できるよう、新しい制度の創設も含めて包括的な支援体制の構築に向けた方策を検討する。その中で括弧書きにありますが、(制度別に設けられている各種支援の一体的実施)を検討していくということが挙げられています。
その具体的な中身は「断らない相談」、社会参加、就労、あるいは居住支援のような「多様で継続的な「出口支援」」であるとか、あるいは地域における支え合いを進めるような体制を確保していくということです。
また、2番目は、このような地域におけるさまざまな地域活動というものは、いろいろな入り口というか、いろいろな文脈で生じておりますので、そういったものが多様につながっていけるような、広がっていけるようなプラットフォームを形成していくとか、そういうような地域共生に資するような取り組みをどう促進していくのかということがもう一つの検討課題です。
最後の課題ですけれども、「高齢者も障害者も利用できるサービスの推進」ということで、前回の介護保険法の改正で、介護と障害分野を横断する共生型サービスというものを設けておりますが、そのような方向性をより強化していくにはどのようにしたらいいのかということも、この改革本部における検討事項として挙げられております。
8ページでございますけれども、今、申し上げた断らない相談のイメージ図で、非常に粗いイメージではありますが、先ほど御説明したモデル事業というものをやっておりますが、その実施状況を見ると、自治体における包括的支援体制と一口で言っても、その組み方はそれぞれ自治体の状況によってさまざまであります。
例えば、B自治体のように、分野ごとの相談窓口はそれぞれ置きながら、それをバックヤードでつないでさまざまな複合課題の調整をするという、このマークがついている機能を置いているということで包括的体制を組んでいる自治体もあれば、上のA自治体のように、その連携の機能に加えて、市民から見たときに丸ごと相談の窓口と、総合相談の窓口という形で置いているような自治体もあります。
ですから、包括的支援とか、総合的相談支援体制というと、既存の窓口を一本化していくという方向でよく勘違いをされますが、そうではなくて、自治体の体制の組み方はそれぞれ自治体によって異なるということでございます。
もう一つ、9ページですけれども、先ほど申し上げた地域共生に資する多様な地域活動の促進というところで、ここは考えられることをとりあえず並べただけの資料ではありますけれども、例えば住民であるとか、福祉関係の事業者、自治体、NPO、社会福祉法人などの福祉の担い手ですね。こういうようないろいろな主体がこの地域にはあるわけで、それぞれがどういうふうに、それぞれに対してどういう環境を整えれば、より地域活動が促進されるのかということを幅広く検討していきたいと考えております。
最後に、10ページ、11ページになります。
10ページは、そういった今、申し上げた断らない相談支援と、地域における地域活動の促進というところを主なテーマとしまして、10ページにあります新しい検討会を5月16日に第1回を開催しました。
その主なスケジュールは11ページになりますけれども、第1回を5月16日に開催し、第2回は先日5月28日に開催いたしました。今後、数回開催いたしまして、一旦7月ごろをめどに、仮に制度的な対応が必要となるようであれば、そこの制度的な骨格をこの夏の時点でおまとめして、またこの部会にも御報告を申し上げたいと考えておりますので、あらかじめ御理解いただければと思います。以上でございます。
○田中部会長 ありがとうございました。
ただ今説明のあった資料1について、御意見、御質問がありましたらお願いいたします。
どうぞ、どなたからでもお願いします。
○三好委員 9ページのところにいろいろな方が参加する福祉の担い手の育成ということがございますけれども、地方は全て人材不足でございまして、自治会の役員も今は5~6歳ぐらい平均年齢が上がっていると思います。以前は、70歳~70歳後半ぐらいまでの方が会長をされていたり、その中心だったのが、今は自治会の役員は80歳代、私どもの会長さんは85歳でございます。
そういう形で、人材がどんどん高齢化していって、民生委員の方も規定は75歳でございますけれども、その方々も年齢が上がっている。しかも、一般的な雇用も定年がどんどん上がっておりますので、自治会・民生委員など地域を守っている人材の確保が非常に厳しい状況です。
私がぜひ検討会の中で御検討をお願いしたいのは、地域で働いている若い世代の方々がそれぞれの地域で貢献できる仕組み、会社から職員を出して地域活動をした場合には、社会貢献をした会社として何らかのインセンティブを付与するなど、若い方が一旦、地域で活動すると、この方が退職した後も自治会にすぐ入っていただけますし、さらには地域福祉の担い手の中に入り、地域活動をしていただけるのではないかと思っています。
そういう経験がある人と、ない人の差は、私はかなり大きいと思っていますので、企業の社会貢献活動ですとか、さらにはそのほかの会社、法人もあるかもしれませんが、そういうところの貢献活動の中に、制度として入れる仕組みを検討していただきたいと思います。
例えば、自治体では、建設業協会ですとか、自治体発注事業に地域貢献活動で加点をして条件づけをしているものがございます。そういうものにも参加できるような点数制度ですとか、そこにこの福祉への地域貢献を加えるとか、こういう事業をすると加点をしますよといった仕組みですとか、そんなようなことを検討できないかと思いますので、それも御検討いただければと思っております。以上でございます。
○田中部会長 三好委員、御提案ありがとうございました。働いている段階から、地域貢献活動などを通じて、こうした地域支援に参加する御提案でした。ありがとうございます。
どうぞお願いします。
○荒井委員 日本商工会議所の荒井です。今回、初めて参加をさせていただきます。
今のお話とも関係しますが、地方は人口減少のため、担い手が不足しています。若い人が都市部へ出てしまうことで働き手が不足し、地域の疲弊に繋がっています。いかにその地域に残っていただくか、あるいは都市部に1回出た後に、戻ってきてもらうかが大切です。
今、お話がございましたとおり、企業サイドもいろいろとできる努力はあると思いますが、初等教育の段階から地域の状況や伝統文化なども含めて、地域のことをもっとよく知ってもらうような機会を充実させていく必要があります。そうすることで、最終的にその地域に残る人が増えていくのではないかと期待しています。
国は5年前に総合戦略を策定して地方創生の取り組みをスタートさせましたが、今年度で丸5年が経過します。そのため国では、来年度からの第2期総合戦略の策定に向けて議論を進めており、この戦略を受けて各自治体がそれぞれの地方版総合戦略というものを策定する予定です。
このようなタイミングになっているため、資料の7ページを拝見していて、地域共生の取り組みの促進というものがあり、まちづくり関係の施策と連携をしていくことになっています。しかし、地方創生がうまくいっている地域と、うまくいっていない地域とがあります。うまくいっている地域は、首長のリーダーシップや地域の様々な方が参画をしていることなどが要因となっているので、そういった地域共生の施策を地方創生の議論と連携していくといいのかなと思っています。
これから地域で地方創生の議論は個別にスタートすると思いますので、ぜひそういうところにも参画をいただいて、地域で様々な方が取り組んでいくことを促してほしいと思います。以上です。
○田中部会長 地方創生との関係ですね。ありがとうございました。
高橋委員、どうぞ。
○高橋委員 日本保育協会の高橋でございます。
地域共生社会ということで、地域のことはいつか話をしたと思ってちょっとひもといてみましたら、2015年の1月23日の第12回の福祉部会で話をしておりました。私も発言をしておりましたけれども、1ページ目に「地域福祉計画の充実」というところがありまして、これも前回お話ししたのですけれども、市町村が地域福祉計画を策定するよう努めるとともに、上位計画として位置づけるというようなことでございます。
現在は確かに努力義務というか、そういったことなのですけれども、そのままの状態で果たして自治体が上位計画として地域福祉計画を位置づけられるものなのかは、ちょっとよくわからないということと、自治体によってはさまざまな計画が縦にたくさんありまして、以前にも申し上げたのですけれども、やはりどこかで横串を刺すようなことをしていかないと、それぞれの計画、計画ということになって、なかなか業種別もうまくいかないのではないかという気はいたします。
もう一つは、前回も申し上げたのですけれども、この地域という概念、例えば住民に身近な圏域というのは一体どの範囲を示すのか。もちろん自治体で検討すればいいとは思うのですけれども、いわゆる中学校区みたいなところだとどうしても広過ぎたり、小学校区ぐらいのところが一番よかったりとか、私は広島県福山市というところですけれども、小学校が80カ所、中学校が36カ所なのですね。
そうすると、48万都市で36カ所の圏域でいいのかというと、やはり余りに広過ぎるなという実感値はしておりますし、もっと言うと80カ所ぐらいの小学校区の中での共生社会のあり方というものを、それぞれの小学校区の中でさらに細分化した自治体があると思うのですけれども、何年か前にその全ての小学校区でそれぞれの地域課題を見つけて共同化してやっていきなさいということで、福山市が音頭をとって若干お金も出してまちづくり計画というものを80カ所全部につくったのです。
しかし、それはまた先ほど三好委員がおっしゃいましたように、やっていた役員さんがもうかわっていて、自治会の役員がかわっていると、つくった計画の課題だとか全然わからなくなってしまう課題が出てきたりとか、いろいろなことが起こっているのですけれども、そういった圏域というのはどういうことなのかということも少し話をしていただければいいのかなと、感想ですけれども思いました。以上でございます。
○田中部会長 圏域ですね。
ここまでの御発言に対して、何か事務局から回答ということもないですが、コメントがありますか。
○野﨑生活困窮者自立支援室長 まず、最初にいただきました若い人たちの参加というのは非常に重要な課題だと思っていまして、今年度も我々の方で特に退職前の世代がどうしたら地域活動に早目に参加できるのか、少し事例研究みたいなこともしようと試みておりますので、そういうこともしながらですけれども、もちろんこの検討会の中でも、ではどうやって住民の皆さんは参画してくださるのかということで、お近くの当別町の人にも委員になってもらっていまして同じような課題が挙げられていますので、よく検討していきたいと思います。
次に、荒井委員からありました地方創生との連携は非常に重要だと思っておりますので、資料にも書かせていただいているとおりで、もう既に実務的にはある程度、話を始めてはいるのですけれども、これをどういうふうに政策的にクロスさせていくのかというところが一つの肝かなと思いますので、よく検討していきたいと思います。
最後に圏域の議論ですけれども、これは前回の社会福祉法改正、つまり平成29年の改正のときにも、身近な圏域というのは何なのだということをそれなりに議論したのですが、やはり小学校区域か、中学校区域か、はっきり決められないというところで一旦まとまっているのです。それで、先ほど申し上げたような名張市などは小学校区域でやっていて、自治体の皆さん、首長さんのお話とかを聞くと、やはり小学校区域くらいじゃないと、とおっしゃる方が多いような印象は受けるのですけれども、それも自治体の状況によっても異なるので、余りこちらでこういう形というのを示すというよりも、実情に合った形で組んでいただくということで今のところは考えております。
あとは、福祉計画ですが、地域福祉計画ももちろん検討課題として挙がってくると思いますので、検討を進めていきたいと思います。まだこれからの検討なので中途半端ですが。
○田中部会長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
宮崎参考人、お願いします。
○宮崎参考人 今ほどお話を聞いていまして、確かに8050問題や、またはターミナルケアの問題、認知症ケアの問題等々、非常に地域福祉ニーズというのは複雑多様化していると感じております。御説明があったとおり、まずは基盤整備が大切だと感じております。その中でも、9ページでも診られていますとおり、ケアの質の向上などといった働く担い手の体制整備というものをぜひともお願いしたいと思っております。
今ほど地域福祉計画という話がありましたが、福祉計画や地域ケア会議等が行われておりますが、そのような会議に専門職が積極的に参画して、実践というものを地域の中で幅広く、あまねく伝えていけると大変良いと思っております。
さらに、先ほどのお話ではないですけれども、福祉教育というものがこれから長い年月、担い手ということを考えると、ぜひとも福祉教育システムの構築ということでお願いしたいと思っております。以上です。
○田中部会長 ありがとうございました。
平田委員、どうぞ。
○平田委員 5ページの補助金、あるいは国の資金等を地域でどう一体的に丸ごと使うか、緩和されているのですけれども、地域にいけばいくほど資金の制限がまだまだ課題です。先ほど出ました、行政の縦割りの各種計画を、どう地域横断的に、横串に、また総合的にやるのか。あるいは、ここは資金が一度緩和されているのですけれども、地域を圏域の中で、地域包括的に、あるいは地域共生的に課題解決を実行するときに、どうしてもそこに資金だけではない行政の部分を含めての調整みたいなところが一番大きな課題です。
もしそうする場合に、阻害要因はどういうところがあるのかという事を、色々な場面で洗い出しをしていく作業が必要なのではないかと思います。以上です。
○田中部会長 資金の縦割りの問題と、阻害要因もはっきりせよとのご指摘ですね。
平川委員、どうぞ。
○平川委員 私はこの検討会のメンバーに入っているので、同じようなことをしゃべるかと思います。この間、人口減少で地域の様子がみるみる変わっているということがあるかと思います。
その地域の変化は本当に地域によって違っていて、先ほど福山市の話がありましたけれども、福山市は2040年ごろには75歳以上人口が今より1.5倍~1.6倍くらい増えるという状況であります。大都市はそうですけれども、中小の都市は既に全ての世代で人口減少が始まっている。そういう人口の構造も大きく差が出るということで、さらに単身化の問題とともに地域でのつながりとか、身寄りが意外とあるようでなかったりしています。どんな地域でも3世代がつながっているのだろうなと思ったら、意外とそれがなかったりということで、相当問題が多様化しているのかなと思っています。
加えて、最近、低年金、無年金者の高齢女性もどんどん増えつつあるというような状況でありますので、先ほどの8050問題もそうですけれども、そういう大きな社会変化の中でこれまでの縦割りの制度だけではなかなか対応できないというのは明らかではないかと思います。
そういった中で、この地域の多様性に応じたものをどうやってつくるかというと、やはり地域のつながりとか社会資源をどうやってつないでいくかというのが大変大きなポイントではないかと思います。
そういった意味で、5ページにあるとおり費用のところでありますけれども、一体的に実施するものについてもう少し財源的な工夫というものが必要ではないかと思っているところであります。
それで、私ども連合としましては、この辺はある意味、補助金という考え方もありますが、県に基金を造成して地方自治体に使いやすいような形、そんなにお金はかからないかもしれませんけれども、人と人をつなぐような役割を担うキーパーソンの配置であるとか、集まる場であるとか、地方自治体の実態に見合った形での財源というものができないかということなどについても、提案をしているところであります。
それから、先ほどの地域の担い手でありますけれども、我々としても最近は退職しても元気な退職者がたくさんおります。連合には、退職者連合というのが地域であるところがあるのですが、子ども食堂をやったり、生活困窮者には学習支援をやったり、多くはないのですけれども、ぽつぽつとそういう取り組みが広がっているところでありますので、そういうところの活用もあります。今後働き方改革で労働時間の適正化が進めば、もう少し地域の方に目が向けられる可能性もありますので、我々としてもそういう方向ができるように少し頑張っていければと思っています。以上です。
○田中部会長 ありがとうございます。5ページの「地域づくりに資する事業の一体的な実施について」、幾つかコメントがありましたが、ここはいかがですか。この方向で進んでいると見てよろしいですか。
○野﨑生活困窮者自立支援室長 先ほど説明の中でも申し上げましたけれども、この通知だけでなかなか踏ん切りがつかないというか、通知だけではちょっと頑張り切らないという自治体の声があることも事実なので、それをどのように我々としてさらに応援していけるかということは検討していきたい。
ただ、現実に直面している問題としては、やはりそれぞれ属性別にいろいろな制度ができてきている中で、その負担の仕組みも財源の構成も全然ばらばらなわけで、かつ負担金、補助金とか、そういう経費の性質もばらばらなので、ではこれをどのような仕組みに組めば自治体の裁量というか、自治体の事業実施の柔軟性を確保しながら、また一方で財政保障もしっかりするというような仕組みを両立できるかというあたりは、かなり実務的な検討がベースにないと、余り勢いだけでやってしまってもいけないと思います。
そこの検討を今、実務的にも進めておりますので、それをこの検討会の中でも、またこの部会の中でもお諮りしていきたいと考えております。
○田中部会長 ありがとうございます。理念レベルでは垣根をなくせというのは簡単ですけれども、実務的な検討をしっかり進めてください。ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
新保委員どうぞ。
○新保委員 新保と申します。今回初めて参加させていただきます。
私は、生活困窮者支援や生活保護の領域のことに関心を持ってまいりましたが、この多機関協働の取り組みが始まりましてから、本当に各地でユニークな、その地域だからこそというような支援が始まっていて、とても多くを学ばせていただいております。
これからこれを広げていただくに当たって、ぜひいろんな事例をたくさん発信していただきたいです。実際に生活困窮者支援に携わって思うことなのですけれども、その自治体や地域の方の「熱意」みたいなものを直接受け取ること、絵に描いたものとか資料とかを見るのではなくて、熱のある人たちの熱に触れる経験交流が、非常に効果があるのではないかということを実感しております。いろんな機会をつくり、熱を広げる取り組みにしていただいて、各地のその土地ならではの取り組みというものを学びながら広げていけるとよいのではないかと思います。
そのために補助金の縦割りをなくすということも含めて御尽力いただけるということですので、そこはぜひ頑張っていただきたいと思っております。
最後に、断らない相談の中で多様な方を受けとめていくということなのですが、声が上げにくい方、特に社会から理解がない中で声が上げられにくくなっている方もいらっしゃいますので、どんな状態になっても、誰でもその社会の中では一人の人として当たり前に困ったときは困ったと言っていいのだと思えるように、偏見や誤解をなくしていくような啓発的な取り組みというものも恐らく必要になってくると思います。以上です。
○田中部会長 御自身のお仕事からの発言でした。ありがとうございます。
宮本委員、お願いいたします。
○宮本部会長代理 私自身もこの検討会のメンバーでありますので、ぜひこの部会との連絡を密にしていきたいと考えているわけでございますけれども、ぜひこの議論は自治体とのコミュニケーションを非常に密度濃く実現しながら進めていっていただきたいと思います。また、国が地域共生社会とか、何かわからないことを言い出したなという受けとめ方にならないようにお願いしたいと思います。
といいますのも、やはり縦割りをというのはもう30年以上前からずっと言われていることなのです。それがなかなか実現できないのは、それなりの背景があるのだろうとも思います。現状では、地方公務員の数がここまで減っている中で、縦割りだけがいわば仕事をこれ以上ふやさない防波堤のようなものになってしまう。それはうちの所管ではありませんということだけが、公務員にとって何とか仕事をキープする条件になってしまってはいけないのだろうと思うのです。
それと同時に、やはりこの縦割りの弊害というのは仕事をふやしている面も否めないわけでございまして、高齢者、障害者、子供、困窮、それぞれで同じような協議会とかネットワークがつくられて、同じような会議が行われて、恐らくここにいらっしゃる皆さんは複数の会議に顔を出したりして、自治体はその事務局で同じようなことをやっているということがあると思います。それがだんだん相乗的に連携していくことによって、自治体にとってみれば、単に仕事が減るというよりも手ごたえが出てくる。問題の解決が非常にスムーズになっていくという回路が動き出すと、この縦割りのことが順調に動き出すのかなと思っているわけでございます。
同時に、自治体にとって、例えばこれまで4つあった相談の窓口が1つになった。だから、補助金も4分の1だということには、まかり間違ってもならないように、そこはきちんと高度な専門性で包括的な支援をしていく分、きちんと従来と同じ、あるいはそれ以上の支援の条件というものが確保できるように御配慮いただきたいと思います。
もう一点だけ、先ほど来出ている議論で大事だなと思って伺っていたのは、三好市長の方からも地域で人が減っているのだという話がございました。そうした中で、特に退職後の男性高齢者が地域のお荷物になってしまうのか、資源になるのかというのは地域の運命を決めるのだろうと思います。
保育所のパパ会というのは、非常に活発になる。みんなまだ余り偉くなっていないし、すごく率直に議論ができるのだけれども、退職者の会というのは微妙な雰囲気につきまとわれるわけです。お互いに、こいつは銀行員だったのかとか、こいつは大学の先生だったのかとか、そういう警戒感が満ち満ちてしまうわけであります。
であるからして、男性はなかなか地域とつながりにくくなってしまって、どちらかというとお荷物化していく傾向がある。ここはどうやって資源になっていくかということに関しては、荒井委員の方から、企業サイドのまなざしとしてもそれは非常に大事なことなので、地域との接点を大事にしていくというお話があったのは大変心強く伺ったわけでございます。
そんな形で、男性が勤め先と企業とのギャップというのを感じないで、むしろ地域を元気にすることによって企業経営も支えていくというような循環を、労使、さらには自治体も一緒になってつくっていくことが大事かというふうに伺っておりました。どうもありがとうございました。
○田中部会長 退職男性の地域参画には私もよく講演で触れますが、大学の元教員が一番役に立たないと言われないようにしないとだめですね。
お願いいたします。
○峯田参考人 全国老施協の代理で出席させていただいております峯田でございます。
全国老施協の方は今1万1000事業所を抱えておりますけれども、その中で今、災害の問題とか、特に今取り組んでいるのはDWATを組織いたしまして、各県の方で災害が起きたときに派遣チームをつくろうとか、そういうふうな考え方でやっております。
そういうようなこともあるのですけれども、やはり地域の中の包括ケアシステムの中核になるという点では、老人ホームというのは人もおりますし、建物もあるし、いろいろ財産があります。
ただ、今、全国老施協のいろいろな経営の状況などを見ましても、なかなか赤字が続いているという状況と、介護度3度以上になってから待機者が若干ずつ減っているのです。そうしますと、いろんな相談を受けますのは、老人だけだとなかなか対応し切れないから障害者の方を入れたいとか、生活困窮者を入れたいと思っても、補助金等の適正化の目的外使用とか、いろんな縛りがあって空床が生じている場合があります。例えば、ショートステイのベッドをつくっても10床全部あいているところもあるし、ユニットのところがあいているとか、そういうふうなところをうまく活用して柔軟に対応していただけるのであれば、すごくよろしいのではないでしょうか。
あとは、人の問題ですね。生活相談員であるとか、支援相談員等も含めて、そういう方々が障害の方の担当もできるとか、包括もできるとか、そういうものも必要かと思っております。
あとは、先ほど宮本先生が言ったように、実は施設の方で高齢者の活用といって、直接介護をしなくてもいいのです。高齢者のアシスタント養成というのを今、全国老施協あたりでは各県と一緒になってやっておりますので、そうすると6時~8時までの介護員が不足をしている、寝静まるまでの間サポートするとか、実は私の施設の方でも高齢者の方も活用しております。
その人は、こういうふうなことを言っておりました。駐車場の整理をしたり、そういうところでやるのだったら老人ホームのケアのアシスタントの方が楽しいんです。なぜですか。そこに行くと、ありがとうと言ってもらえる。駐車場も別にありがとうと言われないというわけではありませんけれども、そういう点で老人ホーム関係の老施協なり、そういうふうな建物なり、もっといろいろ柔軟に体制を整えて、目的外使用もある程度柔軟にできるようになれば、この地域福祉というのはもっともっと私はよくなるのではないかと思っています。
特に災害等のいろんなことも含めて、地域福祉のまず拠点として老施協なども今DMATを今年度中に全県に網羅して、何とかこの地域の拠点づくりになろうかと今思っているところでございます。以上です。
○田中部会長 地域福祉の拠点としての老人福祉施設ですね。大変重要な点でした。
西島委員お願いします。
○西島委員 日本社会福祉士会の西島と申します。
お話がちょっと重なるところがあるかもしれないですけれども、地域づくりとか、地域共生社会といったときに、今1つは人口減少社会を迎える中でどう支えていくのかということがすごく議論されている面もあると思うのですけれども、一方で地域づくりとか、地域共生というのは何も最近始まったことではなくて、ずっと前から、人は住み慣れた地域とか、生まれたところで安心して暮らしたい。これは共通のことであって、これを一体どのように施行、実現していくのかというのが大きなテーマとして必ずあったと思うのです。
いろんな社会保障政策が進んでいく中で、介護保険制度もそうかもしれないですが、すばらしい制度ができて、どんどんその地域で介護が受けられる、社会化が進んでいったというところがあるのですけれども、先ほど民生委員も自治会も高齢化しているというようなお話もありました。そして、どこまで担えるのかというお話もありました。
私どもの会員の多くが、地域包括支援センターで社会福祉士は地域づくりにかかわっているのですけれども、地域によってもすごく差があるのです。一生懸命、自分たちが住み慣れた地域だから、例えば自分が認知症になってもこの地域は支えてくれるという地域づくりをしようということで進んでいっているところもあれば、なかなかそこまでいかないところもある。
先ほど新保委員からも、ぜひいい事例を発信してというお話もありましたけれども、今、動いているところの事例をなかなか動かないところにつないでいく。全くそういう意識や気持ちがないわけではないと思うのです。そういうところにしっかり働きかけていく、サポートしていけるような仕組みが必要で、たぶん、それはこれからまたこの地域共生社会の実現に向けた検討会でいろいろ具体例も含めて議論されていくのだろうと思います。
あわせて、実は専門職の担い手も当然人口が減ってきているということもありまして、こちらも減ってきているわけです。よく私たちが地域でかかわっている中で、地域で見守る仕組みをつくる中での福祉教育という意味で、子供たちへの働きかけをしたりします。これはすごく時間がかかることかもしれないですけれども、高齢者や障害者をそれぞれの年齢に応じた形で理解して、少し力になれるとか、そういうことを意識してもらう、感じてもらえる。こういうことも、しっかりやっていく必要があると思うのです。
それで、先ほど企業の中で若いときから地域のCSRというのでしょうか、社会貢献としてかかわっていく中で、そういう気持ちを育んでいくというか、理解を広めていくというか、要はそういう気がないわけではないのだけれども、ちょっと忙しくてとか、どうしていいのかわからないというところがあると思うのですが、今はまさにそういうところをしっかりともう一回みんなが意識できる、考えるということが非常に大事じゃないかと考えているところです。
そういうものを原点にしながら、多分、今度は人口減少の中で資格の問題、専門職の問題も恐らく今後議論されていくと思うのです。そんな中で、この地域共生の中でしっかり支えることができる、地域づくりができる専門職をどう養成していくのか。今は専門職も資格でそれぞれ分野が分かれていますけれども、こういうものもできるだけ複合的にとれるような基礎部分の共通化という話があるのですが、それはやはり人口減少という意味で絶対必要で大事なのかもしれないのですけれども、もともとのそれぞれの専門性の部分はしっかりしていただきたい。人々の生活を守っていく、支えていくというような原点のところを、しっかり幼いころから例えば子供たちに教えるにしても、授業参観を利用すると親御さんにも一緒に理解してもらえたりとか、先ほど企業の例とか、退職後の例とか、いろんなことがあったので、そういうことがすごく大事ではないかと思っていますし、私たちも社会福祉士としてしっかり地域にかかわってやっていかないといけないかなと思っております。以上です。
○田中部会長 ありがとうございました。
和気委員、どうぞ。
○和気委員 ただ今社会福祉士会の西島会長の方からもお話がありましたけれども、私は社会福祉士、精神保健福祉士等を養成する連盟の方から今日は参加させていただいております。
ただ今この共生づくりをする、能力を持った専門職を養成するための教育カリキュラムについて、改定の作業に入っておりまして、各地域で専門職団体、社会福祉法人の皆様方と連携しながら、その中身について議論しているところでございます。
私は、首都大学東京に勤めておりますけれども、私自身も大学から教育改革推進事業の採択を受けまして、学生と、地域の皆様と、民生委員、市の方も入りまして、さまざまな方とコミュニティーカフェを含めた地域実践を学内で行う取り組みをここ数年間でさせていただいております。
そんな中で、やはり担い手が不足しているというのはどこの会議でも、あるいは実践をしていても感じるところでございます。私が参加している学術会議の社会福祉学分科会では、地域の方々の意識の変革や啓発が必要で、教育カリキュラムでも意識変容への取り組みを学ぶ必要がある点が確認されています。包摂型社会をつくるといっても、やはり人々の意識にそういう視点が根づいていなければ、かけ声だけでは、専門職がどれほどかけ声をかけても、実現できません。分科会の中では、初等教育、高等教育、それから社会教育の中でこの福祉教育をどのように位置づけ、さらにそれを発展させていくかという議論もしております。
とりわけ、これから外国人も共生する社会になりまして、その外国人を地域でどのように受け入れ、ともに生きていけるような社会をつくっていけるか。介護の現場でも同じようなことが起こってきますので、日本人がこれまで培ってきた社会を根幹から変えなければならない大きな変革が求められています。住民を巻き込みながら共生社会を専門職も含めてどのように変えていくことができるかという大きなビジョンを持ちつつも、ローカルにこつこつと活動はやっていかなければいけない。そこをどのようにつないでいくかということも、ぜひ検討していただければと思います。以上です。
○田中部会長 ありがとうございます。
まだあるかもしれませんが、最後にしましょう。
小林委員、お願いします。
○小林委員 小林と申します。先ほどからいろいろな議論を聞いて、本当にそのとおりだなと思っているのですけれども、私の方は4ページにありますように、先ほど報告をしていただいたように、A町、B市、それからC市というふうにありますが、ここで補助金はすごくいいと思うのですけれども、やはり課題になるのはそこの受け皿側のこの按分をどこにどういうふうにしたらいいのかというところですね。高齢者の方で按分するのか、障害者の方でするのかというところは、その市町村についてはここがものすごく課題になると思うのです。
そうすると、ここをするのは良いのですけれども、そのあたりをしっかりとしてあげないと、やはり受けた側からすると2カ月間もの調査期間を設けて、そしてここに、ここにというふうにする。これだけの作業というのはかなりの時間がかかってくるかと思いますので、そのあたりは少し検討していただきたいということが1点です。
それからもう一点は、地域共生社会というふうに言っていて、とてもいいことだと思うのですけれども、地域共生社会がうまくいっているところと、うまくいっていないところがあるかと思うのですが、うまくいっていないところは何が原因なのか。私は石川県なのですけれども、石川県の加賀市で全住民を対象にして全ての方たちの年代にアンケートをとって、まさに先ほど話が出たように、退職した後の方たちの活躍をどうするか。
何が自分たちの課題になるか、なぜ地域デビューができないかというようなところもありましたので、そういうところはそれぞれの地域で課題となっているものの原因というか、そのあたりを少し出していくと、それぞれの地域の中で意外と答えが見つかってくるのではないかと思いますので、ぜひそのあたりのところも御指導いただければありがたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○田中部会長 ありがとうございます。
まだあるかもしれませんが、もう一つ議題があるので一応ここまでといたします。これまでの発言に対して、室長から一つ一つに答える必要はないですが、何か全体的なコメントがあればお願いします。
○野﨑生活困窮者自立支援室長 人材とか人をどう見つけ出し、育てていくのかということとか、現場の実践をより広く展開した方がいいとか、さまざまな御意見をいただきました。いずれも大事なテーマなので、検討会の中でもきちんと検討していきたいと思いますし、また、この福祉部会でもきちんと御報告させていただきたいと思います。受けとめて検討させていただきます。ありがとうございます。
○田中部会長 多くの方が、教育について触れられたのが大変印象的でした。
次に資料2と資料3の説明をお願いいたします。
○蒔苗福祉基盤課長 福祉基盤課長の蒔苗でございます。私から、資料2の社会福祉法人制度の現状について御説明いたします。
資料2をお開きいただきますと、まず1ページ目は法人数の推移のグラフでございます。こちらは近年、微増傾向を示しておりまして、直近では2万法人をちょっと超える程度となってございます。
おめくりいただきまして2ページですけれども、こちらは法人数を所在地別の棒グラフにしたものでございます。上段、下段がございまして、上段が都道府県別、下段が政令指定都市別の法人数でございます。主な事務所の所在地で分けてございまして、県で見ますと大阪、福岡、東京の順になってございます。
3ページにいっていただきまして、3ページの上段は中核市の法人数のグラフで、下段は所轄庁別の法人数でございます。一般市がほぼ半数近くを占めてございます。
4ページでございますが、4ページの上段は法人の事業形態別の区分けをしてございます。一番多いのがいわゆる施設を経営されている社会福祉法人である一般法人でございまして、全体に占める割合が88%となってございます。次が、社会福祉協議会で約1割となってございます。
下段の方にまいりますと、設立認可からの経過期間別の法人数でございます。棒グラフで5年ごとに分けておりますけれども、大きな山が2つございまして、11年~20年のところと、36年~45年のあたりに大きな山が2つございます。
続きまして、5ページ以降で社会福祉法人の経営状況について見た資料を用意してございます。
まず5ページは、一般企業でいいますと営業収入に当たりますいわゆる「サービス活動収益」というものをグラフ化したものでございます。一番多いのが1億円~2億円のところでございまして、2番目が1億円未満となっております。全体の平均をとりますと、約5億円というものでございます。
次に6ページでございますけれども、こちらは現況報告書の集約結果に基づきまして、今のサービス活動収益を、サービス活動増減差額率というものをグラフ化したものでございます。それで、分布表になってございますけれども、いわゆる一般企業でいいますと営業利益率に当たるものでございまして、全国平均で2.67、中央値が2.39となってございます。
以上がデータでございまして、7ページからが社会福祉法人制度改革の実施状況でございます。
7ページにいっていただきますと、制度改革全体の内容をつけてございます。前回の改正におきまして、5本柱を立ててございます。1点目が7ページにございますように「経営組織のガバナンスの強化」、2点目が「事業運営の透明性の向上」、3点目が「財務規律の強化」、4点目が「地域における公益的な取組を実施する責務」、最後に5番目が「行政の関与の在り方」でございます。
29年4月から本格的に施行されておりまして、これまでおおむね順調に施行されてきてございます。本日は、そのうち幾つかの実施状況について御報告をさせていただきます。
8ページにいっていただきまして、社会福祉充実財産の有効活用という資料をつけてございます。社会福祉法人が保有する財産につきましては、その中身を明らかにして一定の計算を行った上で、社会福祉充実残額が生じた場合には、その使途について所轄庁の承認を得た上で公表するという手続になっておりまして、いわゆる見える化を図っていくという手続でございます。
それで、結果的にプラスになる財産が生じた場合には再投下対象財産ということで、これは社会福祉充実財産と呼びまして、これらの財産の使途を明らかにする計画を立てていただきまして、第1順位から第3順位の8ページにございますような社会福祉事業、地域公益事業、公益事業という順番で取り組んでいただくという仕組みになってございます。
9ページが、その実績値の資料でございます。「平成30年度における「社会福祉充実計画」の策定状況について」という資料でございますけれども、昨年の7月1日時点で調査しましたところ、社会福祉充実財産の有無につきましては、充実財産が生じた法人が全体の11.2%、その額を全国で足し上げたものが4,939億円となってございます。
9ページの右下の方でございますけれども、充実計画の内容、どういう事業を実施しているかを見たものでございますが、一番多いのは表の下から3つ目の「既存施設の建替、施設整備」でございます。事業の数といたしましては、全体の4割近くをこれで占めてございます。
続きまして、10ページでございますが、「「地域における公益的な取組」について」でございます。こちらも前回の改正時に社福法の第24条第2項に責務規定を設けまして、これに基づきまして10ページの絵にありますように①~③のような要件を課してございまして取り組みをお願いしているところでございます。
11ページに、その取り組み状況についての資料をつけてございます。11ページの資料は各所轄庁さん、自治体の方々を通じまして、私どもの方で把握しました取り組み事例について紹介してございます。
一番上にございますように、制度外のサービスに取り組んでいただいている例としましては、例えば草取りですとか、院内での付き添いですとか、大掃除など、いわゆる介護保険外のサポート実施ですとか、あるいは地域的にいきますと雪国であれば単身高齢者の方に対する「雪かき応援隊」の活動といったものがございます。
次の(各種相談窓口の設置)におきましては、住民のさまざまな困りごとに総合的に相談できるような窓口を法人が共同で設置したりしている例もございます。
その次の(移動支援)のところでは、いわゆる過疎地等におきまして、地域とその自治体の中心地を結ぶ送迎バスの運行などをされている例がございます。
これらの地域における公益的な取り組みを我々は地公取りと呼んでおりますけれども、これらにつきましては法人の方々が一層取り組みやすくする観点から、昨年1月に通知を発出いたしまして、社福法の責務規定の趣旨を踏まえつつ、支援が必要な方が直接的だけではなくて間接的に利益を受けるサービス、取り組みについても一定の範囲でこの地公取りの対象に含めるという運用にかかる解釈の明確化を行ってございます。今後とも、各地域の実情に応じて多様な取り組みが行われるよう、努めてまいりたいと思ってございます。
次が12ページでございます。こちらが、会計監査人の設置状況でございます。会計監査人の設置につきましては、29年度から収益30億円、あるいは負債60億円を超える法人につきまして義務化されておりまして、左側の円グラフでございますけれども、設置義務に基づいて監査人を設置している法人が全部で326法人、また設置義務はかかっておりませんが、任意で設置をしている法人が99法人となってございます。
事業区分の割合といたしましては、右側の円グラフになりますけれども、比較的大きい法人が多いということで、複数事業を手がけている法人が全体の7割という状況でございます。
13ページは、この設置状況につきまして都道府県ごとの棒グラフにしたものでございます。
最後の項目ですけれども、14ページでございます。こちらが、「社会福祉法人の指導監査の見直しに関する取組」についての資料でございます。制度改正時に御指摘いただきました見直しの方向性で順次取り組みを進めておりまして、今年度も引き続きまして所轄庁の方に対する研修の実施ですとか、指導監査に関する関係団体の皆様、あるいは自治体との意見交換を行いまして、こちらは必要に応じてガイドラインの見直し等を行ってまいりたいと考えてございます。
法人制度の現状につきましては、以上でございます。
○朝川総務課長 総務課長です。引き続いて資料3ですけれども、その前に参考資料を一回開けていただいて、参考資料の57のスライドを見ていただきますと、社会福祉法人に関しまして政府の中で幾つか決定していることがございます。
1つは昨年の今ぐらいの時期、6月ですけれども、いわゆる「骨太の方針」の中で真ん中あたりのアンダーラインのところですが、「介護の経営の大規模化・協働化により人材や資源を有効に活用する」というお話がありました。それも受けて、昨年の年末のころですけれども、11月の未来投資会議の決定、中間整理の中で一番下のところ、「経営の安定化に向けて、社会福祉法人それぞれの経営統合、運営の共同化の方策や、医療法人と社会福祉法人の連携方策を検討する」ということが定められています。
それを踏まえまして、資料3でございます。
最初の1ページ目を見ていただきますと、社会・援護局長のもとに新しく検討会を設置してございます。メンバーはここの真ん中あたりにありますとおり、田中先生に座長をお願いしておりますけれども、人口減少社会、高齢化の進行、あるいは地域社会の脆弱化、そういった大きな環境の変化がこれからも続いていく中で、社会福祉のニーズにしっかり応えていけるよう、社会福祉法人がその役割を果たしていきやすいような環境づくり、そういったことを連携とか協働とか、あるいは法人の大規模化とか、そういった切り口で少し検討を深めていきましょうというものでございます。
現在、4番のところですけれども、2回ほどこの検討会を開かせていただいて、夏前にもう一回開いた上で、この福祉部会にももう一度この論点を整理した上で御報告させていただくという流れで考えてございます。
2ページ目以降ですけれども、社会福祉法人が単体で取り組むことも重要でございますが、連携とか協働化とか、そういったことで、より効果が出てくる分野、それを幾つかの分野に分けてお示しをしております。
1つは、非常に深刻な人材不足が社会福祉のどの分野でも起きているわけですけれども、そういう中で人の確保、あるいは人材の養成、その中には最近の動きでは外国人の受け入れという話もあるわけですが、そういったところを法人が単体で取り組むよりも、連携して取り組んだ方がいい場面があるであろうということでございます。
次に、3ページ目です。2つ目としましては、先ほど御説明がありました社会福祉法の改正で、社会福祉法人は地域における公益的な取り組みに取り組むということが責務として規定されているわけですが、これも複数の法人がそれぞれの法人の強みを生かしながら、例えば先ほども出てまいりましたが、災害の支援のネットワークづくりであるとか、困窮者支援であるとか、そういったことをやれば、より地域の中で効果的な取り組みが進む場面があるであろうということでございます。
3つ目、4ページ目ですけれども、1つ目の議題でありました地域共生社会の取り組みを地域の中で進めていく上でも、社会福祉法人はやはりメインプレイヤーの一つになっていくべきものだと思いますが、こういう地域共生社会を実現していくためには、法人単体で取り組むよりもやはり連携・協働化して取り組んでいった方が、より効果的であろうということでございます。
4つ目、5つ目ですけれども、5ページ目です。
4つ目は「人口減少地域における福祉ニーズ」ということで、この地図で見ますとエリア的にはかなり多くの地域で人口減少が進んできているわけです。しかしながら、福祉ニーズはなくなることはなかなかないという特性があるかと思います。子供が幾ら少なくなっても、子供がいれば保育を初めとする子育て支援のニーズは存在するわけですので、そういう中でいかに福祉ニーズを地域の中で維持していくか。それも、やはり法人間での連携・協働化といったところで、より地域の全体を強固にしていくことも求められていくということでございます。
5つ目は、「事業運営の効率化・安定化」という意味で、いろいろな資材を共同購入したり、あるいは給食業務を共同で外に出したりというようなことも場合によっては考えられるということで、連携・協働化がより有効に機能する場面が幾つかあると考えてございます。
6ページ目は、より今後2025年、さらにその先に向けて生産年齢人口が急速に減っていく中で、社会福祉法人がいかにその機能を維持し、役割を果たしていくかということが、より切実に求められるという状況でございます。
7ページ目ですけれども、そういう状況を踏まえて、ここからは政策ですが、昨年度から取り組んでいる予算事業としては、小規模法人と書いてありますが、別に小規模でなくてもよろしいのですけれども、社会福祉法人がネットワーク化をしていろんな事業にお取り組みいただくといったものがございます。
字が小さいですけれども、右側の下の方の図でいきますと2つの柱を立てておりますけれども、法人がそれぞれの強みを生かして地域貢献に協働して取り組むというのが1つの柱、もう一つは人材確保あるいはその定着、協働で研修をしたり、人事交流を図ったり、キャリアアップを図る仕組みをつくったりというようなことに取り組んでいただく、そういう環境を進めていくための予算事業を展開しているところでございます。
8ページ目は、そういう国の取り組み以前から、独自の取り組みとして京都で取り組まれている事例を御紹介しております。
9ページ、10ページ、11ページ目は、7ページ目の予算事業の活用例、既に昨年度お取り組みいただいている例をおつけしております。
9ページ目の方は、今日お越しいただいている峯田参考人のところの山形県の取り組みでございます。
12ページ目でございますけれども、先ほどの資料2の御説明でもございましたが、社会福祉法人の収益の規模ごとにどんな事業展開がされているかということですけれども、圧倒的に多いのは収益5億円未満という小さい社会福祉法人で、ここが2万のうち1万3000くらいあるわけですが、こちらはやはり単独で事業をやられている。特に、子供の分野は単独でやられている例が多いということが見てとれます。
一方、下にいくに従って収益規模が大きくなりますが、大きくなるに従っていろんな複数の事業に取り組んでいらっしゃる法人が多くなるという傾向が見てとれます。
13ページ目ですけれども、協働・連携といったところが、より進んでいくその先には、法人の選択ではありますが、合併ということも場合によってはあり得るということでございます。社会福祉法人もその合併の仕組み自体はございますし、ここの下の表にございますとおり、件数はそんなに多くありませんけれども、コンスタントに10件台から20件台の合併が毎年あるという状況でございます。
14ページ目は、その合併の事例を複数年間で少し分析してみたものです。左側の表は、なぜ合併したのかについて伺ったものですけれども、業績不振の法人を救済するというのが最も多く、それ以外では人的資源の効率化、合理化というものも一定の割合を占めてございます。
また、分野で見ますと真ん中の表でございますけれども、高齢の分野、障害の分野、児童の分野、それぞれで合併事例はあるということでございます。
次に、15ページを飛ばしまして、16ページ目、17ページ目ですけれども、合併は法人が1つ消滅をし、あるいは違う法人間でも給与水準をあわせて合併するというのが通常ですので、かなりハードルが高いものでございます。医療の分野では合併に至らないまでも、スキームとして、より法人間で連携を推進する枠組みが近年できてございます。これは、「地域医療連携推進法人制度」というものでございます。この中には社会福祉法人も参画できますが、メインは医療法人が核となって、ホールディングのような法人をつくって、ともに一つの目標に向かって連携を深めていくという仕組みでございます。
17ページ目を見ていただくと、実際の連携法人を活用されている例がございます。どんなものに活用しているかというものですけれども、1つは従事者の派遣をそれぞれし合う、あるいはその人事交流をしてそれぞれのキャリアアップ、能力アップを図っていくといった取り組みに活用されているというものです。
もう一つは、真ん中にあります従事者の共同研修、単体では取り組みにくいようなものに取り組んでいらっしゃる。
それで、3つ目は医療特有のものですけれども、病床の融通に取り組んでいらっしゃる法人もあるということが見てとれます。
それで、この仕組みは医療法人が主体でございます。社会福祉法人も参画はできますけれども、この検討会では社会福祉法人主体でこうした連携法人制度の枠組みを一つの選択肢として用意したらどうか、ということも論点として提示して御議論をいただいているということでございます。
18ページ目以降は、この検討会で議論いただいた概要をまとめてございますけれども、簡単に幾つかだけ見ていただきたいと思います。
18ページ目でいきますと、例えば2番の(1)で法人間連携のメリットとしてはどういったことがあるのかということを幾つか挙げていただいています。例えば、人材の確保を図る上で連携を進めるのが有効であるとか、あるいは「地域における公益的な取組」を単独で実施する余裕のない法人もあって、そういうところでは協働化が有効ではないかという議論をしていただいています。
また、18ページ目の右側の2つ目の「○」のところでございますけれども、医療の分野などと違いまして、社会福祉の分野は、法人間で連携する枠組みが既にもう一つありまして、御案内のとおり、社会福祉協議会というものがございます。それで、既に経営協などが主体となって都道府県社会福祉協議会、全国42の都道府県でこういう公益的な取り組みを一緒に法人間で連携しながらやっていきましょうという展開が既に始まっているという紹介もされています。
その下、社会福祉法人が主体となった連携法人制度をつくったらどうかという論点につきましては、肯定的に受け止められ、余り強く否定的な意見は出ていないと認識しておりますけれども、一つの選択肢としてあるのではないかという議論がされています。
19ページ目の方では、合併に関する意見をまとめてございますけれども、合併につきましては、例えば先ほど見ていただきましたように件数が少ないこともありまして、仮に社会福祉法人側から相談があっても所轄庁の方が慣れていないという問題がございます。そういうことも踏まえまして、左下の方ですけれども、希望法人向けのガイドラインというものをつくって、法人も取り組みやすいように、あるいは所轄庁も件数が少ない中でもしっかり取り組めるようにしていくことが必要ではないか、あるいは、右側でいきますと真ん中あたりのところに「合併等の会計処理の不明点に関する整理」と書いてございますけれども、事業譲渡も合併もそれぞれ会計の処理でなかなか難しいところがあったりしますので、こちらについては会計の専門家に集まっていただいた検討会を開いて、今後議論を整理していこうとしております。
また、最後のページでございますけれども、前回、第2回の検討会では4法人の方にヒアリングを実施している概要をまとめさせていただいております。この一番上は、峯田参考人にお越しいただいた結果でございます。
資料の説明は、以上でございます。
○田中部会長 ありがとうございました。
ただ今説明のありました資料2及び資料3について御意見、御質問があればお願いします。
三好委員、どうぞ。
○三好委員 法人の件でございますけれども、これはお礼といいましょうか、前回議論させていただきまして、町村の法人は県が所管となり、市は独自でという話がございました。
市によっては人口1万を切る市もございまして、どう見ても町村と同じくらいのレベルの人的能力しかないというところも、市独自でやらなければならない。
しかしながら、社会福祉法人制度改革の中で都道府県が関与するということを入れていただきまして、順調に都道府県の指導と協力を得て法人指導ができておりますので、お礼を申し上げたいと思ってございます。本当にありがとうございました。まだまだこれからということでもございますので、引き続き各県の指導をぜひ国の方からもお願いしたいと思っています。よろしくお願いいたします。
○田中部会長 松山委員、お願いします。
○松山委員 事務局に質問です。資料2の6ページにサービス活動増減差額率ということで、全国平均2.67ということを出していただいています。この数字自体は非常に重要だとは思うのですが、このグラフを見てわかるように、例えば差額率が7.5%とか、10%を超えている法人が相当数あるわけですね。
私は福祉部会で財源はほとんど紐付きで使途が決まっているというお話をよく伺ってきましたけれども、私が財務諸表を見た経験では、この差額率が高い社会福祉法人は毎年高いのです。そうすると、財務構造が一体どうなっているのか、非常に興味があります。これは高いから悪いというわけではなくて、福祉ニーズがこれからもっと拡大して、追加の財源を投入する必要がある中で、それを最適配分するためにどうしたらいいかということを考えるときに、この構造をもう少し調査する必要があるのではないか。
厚労省さんの方でその材料を出していただけるのであれば、大学の先生がたくさん立候補して協力してくれるのではないかと思うのです。そういうこともちょっとやっていただけたら非常にありがたいと思っています。この点について、厚労省の方で既に何か分析はしておられるのでしょうか。
○田中部会長 お答えください。
○蒔苗福祉基盤課長 今日お出ししたデータを持ってはいるのですけれども、松山委員のお知見も伺いながら、さらにどのような分析が可能か検討してみたいとは思います。
○松山委員 わかりました。ありがとうございます。
○田中部会長 対馬委員、お願いします。
○対馬委員 対馬でございます。社会福祉法人改革については、この審議会でも大議論をして、その上、法改正を行って実施をしたわけであります。全体的に見ると、ガバナンスの件はどの社会福祉法人も真剣に私は取り組んでいると思っております。
それから、事業の透明性、これは評議員会を通じて地域に幅広くその法人の使命について理解をするための努力をしていると考えています。
それから、3つ目の財務規律の問題についても監査法人を入れたり、あるいは税理士を入れたり、徐々に会計のレベルも上げながら規律化を進めているのだろうと思います。
それで、資料3の10ページ目です。地域における公益な取り組み、私はこれが社会福祉法人改革の重要なポイントだと考えています。
私どもは北海道庁から委託を受けて、在宅生活の限界点を引き上げる普及事業というものを2年実施しています。これは、在宅の高齢者が一日でも長く在宅での生活を送れるようにしようということです。具体的には定期巡回・随時対応型訪問介護看護と小規模多機能型居宅介護の整備を推進しようということです。私どもが全道を回ってこの事業の説明会をしたり、事業所を立ち上げるときには立ち上げの支援をしたり、すでに事業に取り組んでいるがうまくいっていない事業所については、それをどうしたら改善できるかを、アドバイザーとして提案をしています。この説明会に参加するのは医療法人と株式会社で、社会福祉法人はごくわずかです。
私は、これが問題だと思っています。申し上げた通りガバナンスだとか、事業の透明性だとか、財務規律の適正化、これも大切ですが、社会福祉法人制度改革は、もともとは公的な取り組みをしていないというのが一番問題だったはずです。それがいつの間にか忘れられて、残念ながらいまだに老人ホームだけをやればいいという考え方が特に北海道の社福には多いと思います。
せっかくここまでの法改正をやられたわけでありますので、法改正の原点に戻って、この公的な取り組みを推進するということが今後社会福祉法人として、あるいは特養の役割として大変重要だと考えています。この公的取組の推進についてお考えがあれば、ぜひ国からお聞きしたいと思います。以上です。
○田中部会長 お答えください。
○蒔苗福祉基盤課長 ありがとうございます。我々もこの取り組みは大事だと思ってございまして、今、御指摘いただきましたので、直近ですと来月、所轄庁の担当者会議がございますので、そういった場を活用して、どういった手段でやるかを工夫しながら、進めていきたいと思ってございます。
○田中部会長 2年前までの福祉部会では、専らこの法人改革の話をしていたのを思い出します。
資料2の7ページに主な内容が書いてありますが、今、対馬委員が御指摘のように、1、2、3は社会福祉法人としての必要条件ですよね。それで、4が十分条件であって、4がない、しかも4に取り組んでいるところが本来の社会福祉法人でない方が多いと大変厳しい御指摘がございました。国としても、しっかりここは進めるように応援をお願いします。
平田委員、お願いします。
○平田委員 今の御質問に対して18ページの資料ですが、先ほど総務課長の方から御紹介ありましたけれども、都道府県経営協が主体的に地域への公益的な取り組みを行っているのが42都道府県となっていますけれども、ことし3月末時点では45都道府県で地域における公益的な取り組みが社会福祉法人の連携によって現在行われています。
残り2県でまだ準備中という状況です。全国的にいえば45都道府県で連携して地域への公益的取り組みを行っている。全2万法人が参加しているかというと当然そうでもないのですけれども、徐々に45都道府県で法人が協力、連携、協働して行っているということです。検討会でも資料を経営協の委員の方から出されたと思いますが、改めてこの福祉部会でも再度委員の皆様にも認識をしていただければと思います。
また、先ほどの資料で充実残額の件ですけれども、11.2%の法人で充実残額がある。建物、設備、器具等の再生産費用が十分にない法人が現在88.8%もあるという事実です。地域への公益的取り組みは当然全法人の責務であり実行すべきです。一方、今後の課題とすればこのマイナスの部分の支援策をどうするのかも重要です。10ページの合併理由の中で、合併目的が「業績不振法人の救済のため」が84.6%ですが、充実残額不足の状況を見ると、合併によって困った法人を救済する法人がどこまであるのか。随分、法人自体が随分弱ってきているように思います。
当然合併等も強制するものではないのですけれども、合併する際に助ける側の法人がそこまで余力があるかというと、余り全国的にはないのではないか。人材も含めてですけれども。そういう点も念頭に置いていただければと思います。
○田中部会長 経営上の御指摘、ありがとうございました。
松山委員、それから峯田参考人の順でいきます。
○松山委員 今のお話の続きになりますけれども、資料3の18ページに(社会福祉法人が主体となった連携法人制度の検討)と記載されています。これは新しい福祉ニーズに地域全体で取り組むためのプラットフォーム機能をどういう仕組みで担ってもらうかということだと思います。私の経験では、今御指摘のあったとおり、全国にある程度の規模が大きくなったところで、困った社会福祉法人がいたらそれを救済できる能力のあるところも結構あるように認識しています。
そのことについては、資料3の20ページの峯田参考人のところのコメントにありますように、「法人間連携は、大規模な法人であったり、理念がはっきりした法人が中核を担うことで、前向きに参加する法人が増えるのではないか。」ということなのです。これを実際にやっておられるところを私は知っています。
そうすると、18ページにある社会福祉法人が主体となった連携の仕組みを考えるときに、能力があって今、既に行っているところがもっとやれるようにするにはどうしたらいいかというテーマが1つあります。
それと、検討会の場で申し上げましたけれども、地域のことを考えると、やはり元気のいい、やる気のある社会福祉協議会が中心となってプラットフォーム機能を担っていただくという方法もあるでしょう。
その上で、地域医療連携推進法人のような仕組みを用意する。
その3つをあわせて、どれでやるかというのを地域で考えていただくような仕掛けをつくっておくことが重要なのではないかと、私は考えております。以上です。
○田中部会長 貴重な御意見、ありがとうございます。
峯田参考人、どうぞ。
○峯田参考人 資料2の9ページでありますけれども、先ほど松山先生がお話ししたように、社会福祉充実財産の総額が4,939億円ということでございますが、この額は、本来は地域に存在する社会福祉法人が地域に還元していくための取り組みに充てるものとされていることから、総額で示すことについて一応は理解するものの、総額で示すことは果たしてどうなのかなというふうにちょっと私も思っているところであります。
また、全国老施協の方では29年度の収支状況調査をさせていただきました。それで、拠点単位で社会福祉充実残額の計算を行ったところ、充実残額がマイナスとなった特養拠点は全体の74.7%であります。平均マイナス3億1002万円ということになっておりまして、結果的に、地域に還元できる余力のない法人がこれだけあるということで、むしろ解決していくためにどういうふうな課題があるのかということについて、全国老施協で調査をしております。
先ほど私も話しましたけれども、大きな法人とやはり小さな法人とありますので、この件がどういうところだとできて、どういうところができないのか、もう少し分析ですね。老施協あたりでも調査をいたしますと、小規模の特養の赤字が非常に大きい。経営が非常に厳しいという状況を今、全国老施協も出しておりますので、そういうものも含めてもう少し分析をしていただく必要があるのではないかと思っております。以上でございます。
○田中部会長 部会長代理、お願いします。
○宮本部会長代理 結構リアルな数字の話になっているところを、余り原理的な話に戻してはいけないと思いつつ、社会福祉法人改革を先ほど議題になりました地域共生社会論議と一体のものとして捉えていくということが非常に大事なのではないかと思ってございます。
と申しますのも、なぜ法人間の連携が大事なのか、なぜ地域における公益的な取り組みが大事かといったときに、それは市場競争で生き残るためだとか、補助金を受けて課税免除されている、いわばこう言ったらよくないですけれども、ペナルティーみたいなものとして公益的な取り組みをやらなければいけない。これだと、やはり法人の内発的なエネルギーというものはなかなか引き出せないのではないかと思うわけです。
地域共生社会というのは、支える、支えられることを超えてみんなを元気にする。単に保護するのではなくて、みんなを元気にする。社会福祉法人のこれからのミッションも、どれだけ地域の人たちを本当に元気にできるかということになっていくと思うんですね。それを考えたときに、やはり一法人、一施設のような限定的なアプローチではなかなかみんなを元気にするということは難しいわけであります。
8050問題に直面している高齢者分野の法人がいるとして、やはりそれは世帯丸ごとの支援をしなければいけないのだけれども、なかなかその制約があるとか、子供の困窮の問題に直面している保育の法人であるならば、親の雇用、困窮問題を何とかしなければいけないのだけれども、なかなかそこまで手が出ない。
大阪の経営協の保育部会などでは、スマイルサポーター制度といって保育士さんが雇用とか年金の問題などもちゃんと勉強して、子供の保育を全うするために親の支援もあわせてやっていく。
こういった方向で法人間の連携が必要になってくるし、公益的な取り組みというのは今どの分野でも、やはり困窮の問題というのは避けて通ることができない問題になっている。したがって、まさにこれまで各法人がやろうとしてやり切れなかった、そういう間口の広げ方を、この公益的な取り組みを通して、あるいは法人間の連携を通してやっていくのだということが非常に大事になってくるのかなと思っております。
そういう意味で、社会福祉法人改革をぜひ地域共生社会が自治体とのコミュニケーションが大事なのと同じように、やはり法人がインセンティブを高めて、モチベーションを高めて取り組んでいく方向で進めていってほしいと思います。
同時に、さっき松山委員の方からあったお話も大事なところなのかなと思います。今は、人件費と事業費と管理費が相当流動的に使えるようになってきているわけでありますので、やはり人件費をきちんと使って地域に雇用をつくり出していくというのも、地域共生社会と一体となった法人の新しい責務だろうと思いますので、そのあたりでもきちんと責務を果たしていっていただきたいというところもつけ加えてお話ししたいと思います。以上でございます。
○田中部会長 ありがとうございます。地域における公益的な取り組みは、やらされるのではなくて、それ自体、上位目的に向かってさまざまな工夫が必要であるとの御指摘でした。
松山委員、どうぞ。
○松山委員 先ほどの峯田参考人の数字の御説明の追加コメントをさせていただきたいと思います。
私は社会福祉法人全体を12種類に分けて、例えば高齢者専業、保育所専業、複合体とかに分けて集計しました。その結果を見ると、高齢者施設専業の社会福祉法人だけ、全体で金融資産よりも借金の方がはるかに大きいです。
これはなぜかというと、ニーズに応えるために積極的に借金をして、追加投資をして、かつ黒字経営をしているところもたくさんあるからです。それは、私は非常に高く評価されるべきだと思います。
一方で、何も新規投資せずに、じっとしている高齢者専業社会福祉法人も見受けられる。そうすると、政策的には社会福祉法人の財産の公共性を考えれば、一部の社会福祉法人がそうなっているのであれば、それを使っていただくような仕掛けを用意するということも必要ではないか。その意味で、連携という仕組みがあるのではないかというふうに私は理解しております。以上です。
○田中部会長 ありがとうございます。
西島委員、お願いします。
○西島委員 私ども社会福祉士も、働いている職場としては社会福祉法人さんが非常に多いわけなのですけれども、昨年3月、人材確保専門委員会の方で、社会福祉士の役割等についてという取りまとめをしていただいたのですが、その中でも社会福祉法人が取り組む地域公益事業について触れられていました。
実際に、私ども地域包括支援センターの社会福祉士として地域の支援にかかわることもあります。例えば大阪ですと地域包括支援センターにプラスアルファで人を配置して、生活困窮者支援をしたり、先ほど宮本委員からスマイルサポーターの話がありましたけれども、複数事業所を経営されているところですと、地域包括支援センターに配置された地域公益担当の社会福祉士と、保育園のスマイルサポーターさんが連携して、生活困窮者支援などを行っていったりという例も多々、報告されています。
そんな中で、やはり私たちもソーシャルワーク専門職として取り組んでいく中で一つの大事な要素としては組織の理念があったりします。
私たちは昨年度、調査をさせていただいて、ソーシャルワーク機能を促進する要因と、阻害する要因というのが一定、調査結果から見えてきたのですけれども、その阻害する要因の中での職場関係での職位とか、権限とか、もしくはスーパービジョン体制がないことがありました。
それで、特に職位裁量とかになってきた場合、例えば地域包括支援センターでも、制度のたてつけとしては介護保険法であったり、財源が老健局の部分ということで高齢事業と捉えておられるところもあります。たてつけは高齢事業だけれども、今の大きな流れの中で地域の総合相談窓口を担うという意味合いで、法人としてプラスアルファして、そこにまたソーシャルワーク専門職を配置していただいて取り組んでいっている事例などもあります。
ですから、まさにいろいろ出ている中で取り組めているところと、なかなか動きが見えないところがあると思うのですけれども、専門職を生かしていく上でもその組織の理念というのはすごく大事ですので、ここで議論されている連携とかというところも、いい意味でそういうものが広がっていくというような仕組みでできればいいと思いますし、ただ大きくすればいいとか、つなげばいいというものではなくて、恐らくそういう基本的な理念を共有できるというところが非常に大事なのかなと思います。
私も個人的にお話を聞いていて関心があったのは、松山委員がおっしゃった、組織が大きくて一定の利益率が出ている。でも、サービスの質が悪いわけではないというような構造がもしあれば、サービスの質が悪ければそれは全然だめですけれども、もしそういうものがあれば、そういうことを広げていくということも非常に大事ではないかと感じました。以上です。
○田中部会長 ありがとうございます。
平川委員、お願いします。
○平川委員 ありがとうございます。「社会福祉充実計画」の策定状況、資料2の9枚目のスライドですけれども、職員給与、一時金増額というところについては、これが多いか少ないかはいろいろ評価があるところではありますが、先ほどから議論が出ていますように、人材の確保と人材の育成という観点からすれば、よりこれを進めて職員給与や一時金の増額、もしくはさまざまな人材育成に資するということも重要ではないかと思いました。それは、意見として言わせていただきます。
資料3の最後の方に、この検討会の「合併、事業譲渡」の(目的、メリット、課題)というところがありまして、大規模化した方がいいのではないかという意図がわかるのですが、誰が音頭をとるのか、何のためにやるのか。何のためにやるかは少し書いてあるのですけれども、誰が音頭をとって、もしくは社会福祉法人はどういうインセンティブでこれをやっていくのかというのがわからないものですから、もし説明があればお願いしたいと思います。
○田中部会長 総務課長、お願いします。
○朝川総務課長 前提として、合併とか事業譲渡は何か政策的に強引に進めていこうという文脈で書いてあるわけではなくて、自発的に取り組む場合に、その取り組みが阻害されないような環境をつくっていきましょうということでございますので、誰が音頭をとって、インセンティブをつくってというのは、行政がやるというふうには考えておりません。
その地域の実情に応じて、例えば先ほども見ていただいデータのように、いろいろな人材活用でもう少し大きい法人の形態になった方がいいと、お互いが思うようなところがあれば、そこは行政も円滑に進むような環境整備を支援していく必要があるのではないか、そういう文脈でございます。
○平川委員 ありがとうございました。何となくわかりましたけれども、大規模化すればいいという訳でもないですが、一方で大規模化のメリットもあるということであれば、例えばかつての京都府で、今でもやっていると思いますが、小規模の介護事業所を対象にした京都府が中心となった研修事業とか、もしくは人事異動、人事の交流というのがありますので、そういう連携の在り方も参考にしながら、多様な形があるのかなと思いましたので、感想として言わせていただきました。ありがとうございます。
○田中部会長 先ほど説明がありましたように、連携したり合併したいときのツールをたくさんそろえておいて、どれを使うかは、最後は法人の自由であるというのが事務局の説明でしたね。
ほかになければ、そろそろ時間になってまいりましたが。
松山委員、どうぞ。
○松山委員 どなたがリーダーになるかということでいえば、モデルとしては地域医療連携推進法人の中の日本海ヘルスケアネットがあります。
法律上は地域医療連携推進法人というのは、持ち分あり医療法人等も参加してできるみたいになっていいます。しかし、日本海ヘルスケアネットの場合、理事長になった方が5年から7年ぐらいかけて地域の人と話し合いながら、結論としては患者さんの情報共有をして全体最適を目指す仕組みを作るのであれば私有財産が入ってはだめだということで、持ち分あり医療法人も持ち分放棄してから参加することを条件にしました。それに納得して持分あり医療法人が持ち分を放棄して入ってくるのです。
一方、社会福祉法人というのはもともと持ち分がありませんので、あとは連携して自分たちの介護とか福祉サービスを提供することの役割が十分、今よりも担えるのであれば参加しましょうということで、結局みんな参加してきたわけですね。
あれは行政が主導したのではなくて、医師会も含めて地域の人たちが長年話し合ってきて、信頼関係を築いたがゆえに動いた事例なのです。
私は、多分あれがモデルになって全国に、特に地方においては広がっていくのではないかと思っています。
○田中部会長 利用者データの共有のための連携は、この表には載っていませんけれども、地域医療連携推進法人の場合は大きな目的になったとの御指摘ですね。ありがとうございます。
平田委員、お願いします。
○平田委員 今の御発言に対してなんですけれども、全国2万法人、全国津々浦々、社会福祉法人はあるわけですけれども、基本的に新しい連携法人、社団型だと思うのですが、これを今からつくっていくのか、既存組織の市町村社協まである社会福祉協議会をまず利用しながら、全国の社会福祉法人が児童、障害、高齢等も地域で一緒にまとまっていくのかという点では、社協という既存組織を利用するというのが一番現実的かなとは思います。○田中部会長 それも事務局によると、どちらもあってもいいとの説明でしたね。社協はせっかくある以上、大いに活用すべきだとの御意見には私も賛成でございます。
では、どうぞ。
○松山委員 しつこいようで恐縮なのですけれども、重要なポイントは、地域医療連携推進法人というものと、例えば社会福祉協議会が中心となった地域のネットワークというのは対立するものではない、いずれ合体する可能性も秘めているという理解です。役割が違うわけですから。
それで、以前から私が申し上げているのは、地域包括ケアの主役は医療機関よりもむしろ社福だということです。いろいろな仕組みがある中で信頼関係が醸成されていけば地域ごとにもっと強固なものに変わっていくだろうと期待しています。そのためのツールを提供するのが重要ではないかということです。
○田中部会長 説明ありがとうございます。
他にないようでしたら、本日の審議についてはここまでといたします。
最後に、事務局から次回の日程について報告をお願いします。
○朝川総務課長 今日は、御議論ありがとうございました。途中で御説明申し上げましたとおり、前半の議論の地域共生にしても、後半の議論の社会福祉法人の話にしましても、検討会が今それぞれ動いてございます。
それぞれ説明がありましたとおり、7月までにはそれぞれの検討会が論点整理、あるいは中間的な整理をしていく予定にしてございますので、それが1回済んだ段階でもう一度この福祉部会にもその状況を御報告させていただきたいと思っておりますので、次回は7月の中下旬ごろの開催を予定しております。
具体的な日程、あるいは場所につきましては、追って御連絡を差し上げたいと思っております。
○田中部会長 本日は、御多忙のところお集まりいただき、また、活発な議論を頂戴いたしました。誠にありがとうございました。
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