ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(年金数理部会)> 第76回社会保障審議会年金数理部会 議事録(2017年12月25日)




2017年12月25日 第76回社会保障審議会年金数理部会 議事録

年金局

○日時

平成29年12月25日(月)13:00~15:00


○場所

全国都市会館 第1会議室(3階)


○出席者

菊池部会長、佐々木部会長代理、浅野委員、翁委員、駒村委員、関委員、田中委員、野上委員

○議題

(1)平成28年度財政状況について-国家公務員共済組合-
(2)平成28年度財政状況について-地方公務員共済組合-
(3)平成28年度財政状況について-私立学校教職員共済制度-
(4)その他

○議事

○真鍋首席年金数理官 定刻になりましたので、ただいまより第76回「社会保障審議会年金数理部会」を開催させていただきます。

 審議に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。

 議事次第、座席図のほか、資料1「平成28年度財政状況-国家公務員共済組合-」、

 資料2-1「平成28年度財政状況-地方公務員共済組合-」、

 資料2-2「追加提出資料(地方公務員共済組合)」、

 資料3「平成28年度財政状況-私立学校教職員共済制度-」でございます。

 配付資料は以上です。

 次に、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。本日は猪熊委員が遅れていらっしゃるか場合によっては御欠席との御連絡がありました。翁委員も遅れていらっしゃるようでございますが、その他の委員はお揃いでございます。

 それでは、以後の進行につきましては菊池部会長にお願いいたします。

○菊池部会長 委員の皆様におかれましては、年末の御多用の折、御参集いただきまして、まことにありがとうございます。

 社会保障審議会年金数理部会では、被用者年金制度の安定性、公平性の確保に関し、毎年度の報告を求めることとされていることから、毎年度、財政状況の報告を受けております。本日は、国家公務員共済組合、地方公務員共済組合、私立学校教職員共済制度の平成28年度財政状況についての報告を聴取いたします。

 なお、本日は15時までの2時間で3つの報告を受けるという、ややタイトなスケジュールになってございます。各報告の後の質疑の時間もおおむね15分とやや短くなってございますので、委員の皆様におかれましては、御協力のほどよろしくお願い申し上げます。

 それでは、初めに、国家公務員共済組合の平成28年度の財政状況について報告を聴取いたします。説明者の方々はどうぞ、説明者席へお移りください。

(財務省 若原給与共済課長、同 相澤共済計理官、国家公務員共済組合連合会 早坂年金企画部長、同 長谷川資金運用部長、同 水村運用リスク管理室長 説明者席へ移動)

○菊池部会長 本日は、お忙しい中、財務省主計局給与共済課の若原課長と相澤共済計理官、国家公務員共済組合連合会の早坂年金企画部長、長谷川資金運用部長と水村運用リスク管理室長に御出席をいただいてございます。まことにありがとうございます。

 それでは、御説明をよろしくお願いいたします。

○若原給与共済課長 財務省でございます。本日は、国家公務員共済組合の財政状況の説明のために貴重な時間を設けていただきまして、本当にありがとうございます。

 先ほど部会長から御紹介いただいたとおり、財務省のほか、国家公務員共済組合連合会からも説明のために担当者を同席させていただいているところでございます。

 先ほど御紹介がございましたとおりタイトなスケジュールと伺っておりますので、若干早口であったりとか、あと、資料が大部でございますので、割愛する部分もございますけれども、御容赦いただければと存じます。

 それでは、国家公務員共済組合の財政状況につきまして、先ほど事務方から御紹介がありました資料1に沿いまして、御説明をさせていただきます。

 まず1ページ目でございますけれども、こちらは一元化前の長期経理の収支でございますので、省略をさせていただきます。

 2ページでございます。厚生年金保険給付を取引いたします厚生年金保険経理の収支状況についての推移でございます。平成28年度につきまして御説明申し上げます。27年度は半期でございましたけれども、28年度からは通期となっております。

 収入でございますけれども、収入総額3兆350億円でございます。国共済の会計につきましては、法令上、簿価ベースを原則といたしておりますけれども、こちらを時価で引き直しました預託金時価ベースでは、括弧書きで付してございますが、3兆1,507億円ということでございます。

 その内訳でございますけれども、まず、保険料収入が1兆2,070億円、国庫・公経済負担分が3,136億円、追加費用が2,063億円、運用収入が1,477億円となっております。

 なお、正味の運用収入では1,434億円、預託金時価ベースの運用収入は2,591億円となっております。

 これらを利回りに引き直しますと、下のほうの欄でございますけれども、積立金運用利回りをご覧いただきますと、簿価ベースで2.36%、預託金時価ベースでは3.71%ということでございます。

 このほか、基礎年金交付金は606億円、厚生年金交付金は1兆969億円、その他収入は29億円となっております。

 次に、支出でございますけれども、支出総額が3兆1,317億円。

 内訳でございますが、給付費が1兆3,610億円、基礎年金拠出金が6,103億円、厚生年金拠出金が1兆980億円となっております。地方公務員共済との財政調整拠出金は544億円が計上されております。このほか、その他の支出が80億円となっております。

 平成28年度には、以上のような収入及び支出がございました結果、収支残はマイナス967億円、また、年度末積立金は特記事項にもございますけれども、平成2812月1日の積立金の確定仕分けに伴う精算額553億円の経過的長期経理への移管を含めますと6兆1,271億円となっております。

 預託金時価ベースでは、収支残はプラス190億円、積立金の確定仕分けに伴う精算額597億円の移管を含めますと、年度末の積立金の額は7兆1,145億円でございます。

 次の3ページをご覧ください。経過的職域加算額等を取引する経過的長期経理でございます。収入でございますが、収入総額は2,318億円、国共済の会計につきましては、先ほど同様、簿価ベースが原則でございますけれども、こちらを預託金時価ベースに引き直しますと2,313億円となっております。

 事業主負担金、こちらは公務上の給付に充てる負担金でございますけれども、こちらが35億円、国庫・公経済負担金が6億円、追加費用が188億円、運用収入が268億円となっております。

 正味運用収入252億円、こちらを預託金時価ベースに引き直しますと246億円となっております。

 利回りでございますが、簿価ベースで3.76%、預託金時価ベースで3.61%でございます。

 このほか基礎年金交付金は1億円、その他の収入が1,821億円となっております。その他の収入は、前年度に比べプラスで1,700億円ほどの増加となっております。その要因でございますが、被用者年金一元化前の地共済との財政調整の26年度精算額1,549億円を受け入れたことが大きくなっております。

 続きまして、支出でございますけれども、支出の総額が1,910億円。

 内訳でございますが、給付が1,642億円、その他支出が268億円でございます。

 平成28年度には、以上のような収入及び支出がございました結果、収支残はプラス408億円でございます。年度末積立金は、特記事項にございますけれども、先ほども申し上げた2812月1日の厚生年金保険経理からの積立金の確定仕分けに伴う精算金553億円の受け入れを含めまして7,533億円となっております。

 預託金時価ベースでは、収支残はプラス402億円、精算額597億円の受け入れを含めまして年度末の積立金が7,686億円となっております。

 続きまして、給付状況でございます。4ページをご覧ください。被用者年金一元化前に受給権が発生した共済年金受給権者の状況でございます。平成29年3月末の国共済の受給権者数は、右から2番目の列、一番上の欄でございますが、合計で1165,000人、前年度に比べましてマイナス8万7,000人、比率で言いますとマイナス6.9%ということでございます。

 年金総額につきましては下の欄でございます。合計で1兆5,126億円、前年度に比べましてマイナス1,260億円、比率で7.7%の減少でございます。この年金総額には、日本年金機構が支払っている基礎年金給付費は含まれておりませんが、昭和61年3月までに裁定された者の基礎年金に相当する分は含まれた数字でございます。

 5ページをご覧ください。被用者年金一元化後に受給権が発生した厚生年金受給権者の状況でございます。平成29年3月末の国共済の受給権者数は、右から2番目の列、一番上の欄でございますが、合計で114,000人、こちらも平成27年度は半期でございましたけれども、28年度は通年で1期でございましたので、前年度に比べますとプラス8万6,000人、比率で言いますと308.8%の増ということでございます。

 年金総額はその下の欄でございますけれども、合計で1,041億円、前年度に比べまして789億円の増、313.8%の増ということでございます。先ほど同様、この総額には機構が支払っている基礎年金給付費は含まれていない、そういうベースでございます。

 続きまして、6ページをご覧ください。被用者年金一元化後に受給権が発生した経過的職域加算の受給権者の状況でございます。平成29年3月末の国共済の受給権者数は、右から2番目の列、一番上の欄、合計で108,000人でございます。前年度に比べますとプラス8万1,000人、比率で言いますと292.8%の増ということでございます。総額はその下の欄、合計で152億円、こちらも対前年度比でございますけれども、額で言うと111億円、比率で言いますと269.8%の増ということでございます。

 次の7ページは減額支給等の状況でございますけれども、割愛をさせていただきます。

 8ページをご覧ください。老齢・退職年金受給権者の平均年金額及び平均加入期間でございます。共済年金受給権者の平成29年3月末をご覧ください。一番上の男女合計の退年相当で14504円でございます。前年度に比べまして額で言いますと955円、比率で言いますと0.7%の減少ということでございます。繰り返しになりますけれども、こちらは機構からの基礎年金は除いたベースでございます。そこで、厚生労働省から提供されたデータをいただきまして基礎年金額を含む平均年金月額の推計、その下の欄でございますけれども、189,047円、前年度に比べますと額で1,284円、比率で言いますと0.7%の増ということでございます。平均加入期間は428月ということで、前年度と比べまして増減はなかったということでございます。

 下段の男女別の説明は割愛させていただきます。

 おめくりいただきまして、9ページでございます。厚生年金受給権者の平成29年3月末をご覧ください。一番上の男女合計の老齢相当で115,339円でございまして、対前年度比573円、0.5%の増ということでございます。こちらも同様に厚労省からいただいたデータで基礎年度金額を含む平均年金月額を推計いたしますと、その下の欄でございますが、164,540円で、対前年度でプラス14円の増加ということでございます。平均加入期間は436月でございまして、対前年度比1月、0.2%の増ということでございます。

10ページから18ページまで、老齢・退職年金受給権者平均の年金額等々がございますけれども、こちらも時間の関係で割愛させていただきます。

19ページまでめくっていただければ幸いでございます。被保険者の状況でございます。平成29年3月末の欄をご覧いただきますと、最上段、1066,000人が被保険者数ということで、こちらは対前年度比で2,000人、0.2%の増ということでございます。男女の別でございますが、男性が796,000人、女性271,000人でございまして、約7割が男性被保険者ということでございますけれども、社会的な男女共同参画の進展等を反映いたしまして、徐々にではございますが、女性の被保険者の割合が増加してきている状況でございます。平均年齢は41.5歳ということで、標準報酬月額の平均は418,278円、こちらは対前年度比で3,049円の増加ということでございます。

 標準報酬月額総額は5兆3,229億円でございまして、前年度比で557億円、1.1%の増。また、標準賞与総額は1兆6,650億円でございまして、対前年度比で579億円、3.6%の増ということでございます。

 標準報酬月額総額と標準賞与総額を合計いたしました標準報酬総額は6兆9,880億円、対前年度比で1,136億円、1.7%の増ということでございます。

 下の表の右下をご覧いただきますと、総報酬の被保険者一人当たり月額ということでございまして、男女計で545,562円、対前年度比で6,653円、1.2%の増ということでございます。

 次の20から22ページまでは分布表がございますけれども、説明は割愛させていただきます。

24ページまで飛ばしていただければと思います。24ページ、厚生年金保険経理の積立金の資産構成でございます。こちらのページにつきましては、預託金時価ベースの欄の数値のほうで御説明をさせていただきます。

 平成28年度末の積立金の合計額は7兆1,145億円でございますけれども、そのほとんどが固定資産となっております。固定資産の内訳でございますが、財政融資資金への預託金が3兆2,888億円、有価証券等が3兆4,871億円でございます。

 おめくりいただきまして、25ページが資産区分別の内訳となっております。年金積立金総額に占める割合でございますが、国内債券が51.9%、国内株式が18.4%、外国債券が6.0%、外国株式が18.7%、短期資産が5.0%ということでございます。

26ページ以降の表でございますけれども、こちらは実績と平成26年に行われました財政再計算の当時の将来見通しとの比較ということでございます。係数は国共済と地共済の合計のものとなっているところでございます。

26ページが収支状況でございます。比較の対象といたしましては真ん中のケースE、財政再計算当時のケースEとの比較ということで御説明を申し上げます。

 収入の欄をご覧ください。将来見通しのケースEでは115,067億円でございましたが、実績では112,655億円でございまして、2,412億円少ないという実績でございます。この乖離の主な要因といたしましては、保険料収入のほうが798億円のマイナス、追加費用が1,481億円のマイナスということでございます。

 他方で支出でございます。計の欄をご覧いただきますと、将来見通しのケースEでは119,147億円でございましたが、実績は116,598億円でございまして、2,549億円のマイナスということでございます。

 その要因でございますけれども、給付費が1,928億円少なかったということが主なものでございます。これは年金の改定率が見通しと比べますと低い実績であったということでございます。

27ページでございます。被保険者数及び受給者数についての将来見通しと実績の比較表でございます。28年度末の被保険者数は、公務員共済の場合でございますと、将来見通しの経済再生ケースと参考ケースは同じでございますけれども、3853,000人でございましたが、実績は3911,000人でございまして、5万8,000人のプラスということでございます。これは実績が見通しを上回ったということでございますけれども、将来見通しでは保守的な考え方に立ちまして、被保険者数を少な目に見込んでいたということが主な原因と認識しているところでございます。

 受給者数につきましては、将来見通しのほうが4198,000人、対しまして実績が4195,000人ということでございまして、端数の関係がございますけれども、2,000人ほど少ないという実績でございます。

28ページ以降では、各種財政指標につきまして、実績と財政再計算の結果の比較をしているところでございます。まず、28ページが年金扶養比率でございます。平成28年度の年金扶養比率の実績は、上の表の一番左下の欄、1.46ということでございまして、こちらは前年度と同じ。財政再計算の結果では、経済再生ケース、参考ケースともに1.44でございますので、実績のほうが0.02のプラスということでございます。

 最後でございます。29ページをおめくりください。積立比率でございます。平成28年度につきましては、実績は簿価ベースで4.6、時価ベースですと5.0でございます。財政再計算の結果では、経済再生ケースでは4.5、参考ケースで4.4でございましたので、実績の時価ベースで比較させていただきますと、いずれであっても実績のほうが高いということでございました。

 私からの説明は以上でございます。

○菊池部会長 どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまの説明に関して何か御質問がございましたら、お願いいたします。

 野上委員、お願いします。

○野上委員 御説明ありがとうございました。

 被保険者の状況が財政検証のときよりもふえているということだったのですけれども、逆に保険料のほうが減っているということで、恐縮ですけれども、1週間前に聞きました厚生年金との対比で質問をさせていただきます。

 厚生年金の場合、60歳以上の人がかなり継続加入されたと。再雇用ということだと思うのですけれども、被保険者の数がふえているということは、国家公務員でもそういう状況が起こっているのか、あるいは起こっていないとしたらどうして起こっていないのか、そのあたりを御説明いただくとともに、民間の場合、再雇用になりますとかなり報酬が減るということで、年金財政としては平均報酬月額が減るので、そんなに年金受給額のほうには反映しないという状況で、担当者の方からすると、年金財政上はそんなに悪化の要因にはならないという御説明をいただいたのですけれども、同じようなことが国家公務員で起こりますと、多分そんなに報酬は減らないことになっているのではないかと推測しているのです。そのあたりについて御説明を、2点、お願いいたします。

○早坂年金企画部長 お答えします。

 国家公務員の被保険者の数ですが、19ページをご覧いただきますと、29年3月末で前年度末に比べて2,000人ほどふえているという状況です。これは内訳を見ますと、病院関係の職員の数が、7対1看護の影響がまだ残っているようで、そこのところの増が大きいところでございます。一方で保険料収入が減になっているのは、再計算のときに見込んでいた賃金上昇率に比べて実際の上昇率のほうが低かったということで、組合員数の増はあるのですが、トータルで見たときに保険料収入の総額が減になっているということだと思います。

 あと、再雇用の関係ですが、国家公務員の場合は再任用制度というのがございます。そちらのほうで再雇用されている方は1万人ほどいますが、給与水準は退職前に比べて随分下がると聞いております。また、それに基づいて年金の計算が行われますから、結果として財政上は中立といいますか、ニュートラルなのではと思っております。

○野上委員 どうもありがとうございました。

○若原給与共済課長 1点補足させていただきますと、再任用の一般論は今、早坂のほうから話したとおりでございますが、実はフルタイムとパートタイムが分かれておりまして、パートタイムのほうですと共済の外に出ることに、いわゆる社団としてというか、保険集団としての同一性を雇用その他の状況から欠くということで、制度的には引っ越すことになっております。そういう意味では、再任用といっても、結構、今、どうしても公務員の場合は定員の縛りがきついものでございますので、そんなにはフルタイムで抱え切れずにパートタイムのほうでという再任用が数としては多いのですけれども、そちらのほうですと共済の外に出ているというのが制度的な話ではございます。

○野上委員 その場合は国民年金になるのでしょうか。

○若原給与共済課長 はい。

○野上委員 わかりました。ありがとうございます。

○菊池部会長 では、浅野委員、お願いします。

○浅野委員 26ページの将来見通しと実績の比較なのですけれども、これは国共済と地共済の合計ということになっているのです。ざっくりでいいのですけれども、国共済でどういう状況で、地共済でどういう状況かというのがわかると、よりそれぞれの制度の実態がわかるかと思うのですが、そのあたりは何かお示しいただくようなことはできるのでしょうか。

○相澤共済計理官 26年の財政再計算までは国共済地共済合算で行っています。これは財政が一体化していることによるものでして、公表も合算で行っております。ですので、なかなか公表していない数字を申し上げることは難しいかと思います。ただ、数理部会のほうからでも国共済地共済別々に数字を示すべきではないかという御意見を頂戴していますので、その辺については、今後、実際にそうするかどうかはともかくとして、検討させていただきたいと思います。

○浅野委員 よろしくお願いいたします。

○菊池部会長 それでは、田中委員、お願いします。

○田中委員 2点ほどお伺いします。

 1点目は、長期経理、厚生年金保険経理、経過的長期経理という3つの経理に分かれておりますが、資産運用の利回りを見ますとそれぞれかなり違っているということですので、この3つの経理とも一括運用されているのかどうか、その数字がかなり違うのはどういう理由かということをまずお聞きしたい。

 2点目は、24ページですが、預託金について市場金利を参照して時価に類する評価をした場合という表現があるのです。私自身がよく理解していないのですが、預託金というのは財政投融資というものがあったのがまだ残っているという意味での預託金なのか、あるいは財投債というものができたと記憶しているのですが、その財投債のことを指しているのかということ。そして、財投債であった場合には、国債とほぼ同じ内容の商品だったような記憶があるのですが、「類する」というのは実際どういう評価をされているかという点を教えてほしいと思います。

○相澤共済計理官 1点目の運用の実態につきましては、KKRの資金運用部のほうから説明させていただきます。

 2点目は、これは財投債ではなくて、財政融資資金へ預託するということをやっております。こちらにつきましては、従来、預託義務がありまして、積立金に対して34%預託するという決まりがございました。そういう事情もありまして、財政融資資金への預託金が積立金のかなりの部分を占めていたのですが、そうした預託義務は年金一元化で廃止されましたので、徐々に減っていっているところでございます。

○長谷川資金運用部長 長期経理と申しますのは、1ページ記載の分でございます。これは被用者年金制度一元化前の、旧職域部分も一緒になった部分の積立金の運用でございまして、これが平成2710月1日の被用者年金制度一元化をもちまして、厚年部分と旧3階職域部分に分解されたということでございます。そのうちの2ページが厚年部分、3ページが旧3階職域部分ということでございます。したがいまして、一元化前の部分は一体でございますが、2ページ分と3ページ分につきましては、分割しての運用という格好でございます。

○田中委員 わかりました。ありがとうございます。

○若原給与共済課長 直接の共済の話ではないですけれども、財投債というのは、いわば赤字国債と建設国債が券面を見ても区別がつかないのと同じような意味で、財政法規上の発行根拠法は別でございますが、有価証券としては全くもって全て一緒くたの国債でございますので、そういう意味では、金融商品といたしましては財投債だから特に何かスペシャルなものがあるというわけではなくて、まさに通常の国債投資と全く同じだということとなっております。

○田中委員 わかりました。ありがとうございます。

○菊池部会長 いかがでしょうか。

 翁委員、お願いします。

○翁委員 預託金というのは通常どのぐらいの期間を念頭に預託されていて、ここで使っておられる市場金利というのはどの金利を使っておられるのか、具体的に教えていただけますか。

○長谷川資金運用部長 預託金につきましては、先ほどのとおりなのでございますけれども、基本的に何年で預託するかということにつきましては、その時々の投資判断をいたしております。したがって、一律に20年とか15年といったような格好での年限にはなっておりません。被用者年金制度一元化前は、国共済につきましては、年金給付債務を念頭においたALMの考え方に基づきまして基本ポートフォリオを構築してございましたので、基本的に負債サイドのデュレーションに資産サイドのデュレーションを極力合わせていくと。その際に、超長期年限の財投預託金を活用させていただいたことに加え、義務預託もあったというような状況でございます。

 繰り返しで恐縮でございますが、一律の年限の預託金を持っているものではございません。加えて、一元化後につきましては、基本ポートフォリオが一元化前の基本ポートフォリオに比べまして相当程度リスクウエートが高いものになっているというところを踏まえまして、財投預託金の満期償還分を主体に順次、逐次、リスク資産のほうに積み上げを行っているという状況でございます。

 それから、いろいろな年限の預託金がございますので、国債の市場金利を参酌して、時価を出すということでございます。

○翁委員 わかりました。

○菊池部会長 よろしいでしょうか。

 どうぞ。

○相澤共済計理官 具体的な計算式につきましては、昨年度のKKRの年金積立金の運用評価書のほうに一応参考までに記載してございますので、今は手元にございませんが、ご覧いただければと思います。

○菊池部会長 ほかにはいかがでしょうか。御協力をお願いしますと申し上げましたが、予定の時間はまだかなりございますので御遠慮なく、いかがでしょうか。

 佐々木部会長代理、お願いします。

○佐々木部会長代理 御説明ありがとうございます。

 毎回、数理部会に対してこういった御説明をいただきまして、質疑をさせていただいているのですが、共済組合さん自体も内部統制として、例えば財政再計算と実績の乖離とかその影響、今、お話があった運用のポートフォリオ見直しとか、あるいは今回留意した点とか留意すべき点、そういう議論がなされていると思うのですが、差し支えない範囲で、そのポイントについて若干お話しいただければありがたいです。ちょっと言っている内容が違うかもしれませんが。

○相澤共済計理官 こういったいろいろな実績と、例えば予測などを踏まえて乖離についてどう考えるかと、そういったような御趣旨でございましょうか。

○佐々木部会長代理 言ってみればこれは決算ですから、決算結果が出まして、共済組合さん自体も内部で、今回はこういう話で、これが今後に与える影響であるとかいう中身の議論をされていると思うのですけれども、それの内容について今年度こういったポイントがあるとか、若干抽象的で申しわけないですが、あればということでお話しいただければと思います。

○相澤共済計理官 議論というようなことがどこまで行われているかどうかはわかりませんが、少なくとも今回こういう理由でこういう状況になっていますというようなことは、できるだけ組合員に対してわかりやすく開示するということはしております。

 議論ということでいえば、例えばKKRでは資産運用委員会などの場で、運用に関して、実績が見通しに比べてどれくらい違っているかとか、そういった議論が専門家を交えて活発に行われていると聞いております。

 なお、資産運用委員会の議事録等につきましては、議事要旨ベースですが、KKRのホームページに公表されております。そういう意味では、なかなか細かい議論までは開示されておりませんが、一応そういったことで開示をしているところでございます。

○若原給与共済課長 つけ加えますと、一応、財政制度等審議会という財務省のほうの審議会の中にも国共済の分科会がございまして、ちょうど先月末に開催されたのですけれども、そこで同様に、制度的には財務大臣が評価せねばならぬという、そこは厚年、地共済、私学共済と同じたてつけになっておりまして、私どもとして、財務大臣がする評価のドラフトを事務局として先生方に御議論いただいたわけでございます。

 その際に、こちらからの説明でも申し上げましたし、委員の先生からも御指摘で、やはりどうしても年金はその年、勝った、負けたみたいな話ばかりが取り沙汰されて、負けたら袋だたきにされて、勝ったらよかったねで終わってしまうみたいな。もちろんそれは勝つにこしたことはないし、負けないほうがいいのですけれども、対ベンチマーク比という当たり前の話もあれば、たまたま勝って数字がよくても、要はその裏でえらいリスクをとっていて、変な話、ヘッジファンドに全ぶっ込みしていたら、たまたま市場がよかったので大勝ちしましたとかいう運用でいいわけがないのでございます。

 そういう意味では、あるべき、もともと基本ポートフォリオの構成は決まっているわけでございまして、そこを決める際に、そもそもこういうリスク量でこういう収益を狙おうという話はしているわけでございますけれども、要はどれだけそれに沿った形で実際にできているか、また、それのオペレーションを含めたものが適正に管理されているのかというようなことを我々も見ていかなければいけないと思います。一元化後、まだ日が浅いので、我々の評価もまだ熟していない部分がありますけれども、そのようなことを我々は考えながら、今後、いろいろ評価書などをまとめていきたいと思いますので、長い目で御指導くださいなどということを申し上げたりもしたところでございます。

○佐々木部会長代理 ありがとうございました。

○菊池部会長 あとはよろしいでしょうか。

 それでは、以上で国家公務員共済組合の財政状況についての報告の聴取を終了いたします。御説明いただいた皆様には、お忙しい中大変ありがとうございました。

(財務省 若原給与共済課長、同 相澤共済計理官、国家公務員共済組合連合会 早坂年金企画部長、同 長谷川資金運用部長、同 水村運用リスク管理室長 関係者席へ移動)

○菊池部会長 続きまして、地方公務員共済組合の平成28年度の財政状況について報告を聴取いたします。説明者の方々は、どうぞ説明者席へお移りください。

(総務省自治行政局公務員部福利課 荒井課長、同 向山数理官、地方公務員共済組合連合会 大須賀年金業務部長、同 北澤資金運用部長 説明者席へ移動)

○菊池部会長 本日は、お忙しい中、総務省自治行政局公務員部福利課の荒井課長と向山数理官、地方公務員共済組合連合会の大須賀年金業務部長と北澤資金運用部長に御出席いただいております。

 それでは、御説明をよろしくお願い申し上げます。

○荒井課長 総務省福利課長の荒井でございます。よろしくお願いいたします。

 本日は、地方公務員共済組合連合会の担当者も同席しておりますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、地方公務員共済組合の平成28年度財政状況につきまして、お手元の資料2-1に沿いまして御説明をさせていただきたいと思います。

 まず、1ページをお開きいただきますと、「1.収支状況」についてでございます。これにつきましては、被用者年金一元化前におけます決算となっております。説明については省略させていただきたいと思います。

 続いて、2ページ目、厚生年金保険経理の平成28年度の欄についての御説明でございます。まず、収入でございます。一番上の欄の収入総額は8兆2,848億円となっております。また、時価ベースの収入総額は8兆8,005億円でございます。

 以下、その内訳でございますが、保険料は3兆2,003億円となっております。また、公経済負担につきましては7,013億円となっております。追加費用につきましては4,067億円でございます。運用収入は3,987億円でございます。また、有価証券売却損等の費用を除いた正味運用収入につきましては3,945億円となっておりまして、さらに、正味運用収入に評価損益を加味しました時価ベースでの運用収入につきましては9,102億円となっております。そして、基礎年金交付金につきましては1,280億円となっております。また、厚生年金交付金は3兆3,928億円となっております。厚生年金保険経理におきましては、国共済から地共済へ544億円の財政調整拠出金が拠出をされておるところでございます。その他につきましては27億円となっております。

 次に、支出の項目でございますが、支出総額8兆5,825億円でございます。

 内訳といたしまして、給付費が3兆9,101億円、基礎年金拠出金が1兆4,544億円となっております。そして、厚生年金拠出金は3兆2,072億円でございます。その他は108億円となっております。

 収入総額から支出総額を差し引きました収支残につきましては、マイナス2,977億円となっております。また、時価ベースでの収支残はプラス2,180億円となっております。

 その下の年度末積立金につきましては179,817億円となっておりまして、積立金運用利回りは2.24%となっております。また、時価ベースの年度末積立金につきましては20478億円となっておりまして、時価ベースの積立金運用利回りは4.75%となっております。

 以上、平成28年度の厚生年金保険経理収支概要でございます。

 続きまして、3ページ目は経過的長期経理の平成28年度分でございます。こちらにつきまして、まず収入をご覧いただきますと、一番上の収入総額が4,567億円となっております。また、時価ベースはその下、1兆812億円となっております。内訳といたしましては、事業主負担が35億円、追加費用が496億円、運用収入は4,017億円となっております。また、有価証券売却損等の費用を除きました正味運用収入につきましては3,976億円となっておりまして、正味運用収入に評価損益を加味した時価ベースでの運用収入はプラス1兆221億円となっております。その他は18億円となっております。

 支出の欄でございますが、支出総額は6,506億円となっており、内訳といたしまして、給付費が4,906億円となっております。その他、先ほどの国共済への財政調整の精算、26年度分でございますが、1,549億円を含みまして1,599億円となっているところでございます。

 収入総額から支出総額を除きました収支残はマイナス1,939億円、時価ベースでの収支残はプラス4,306億円となっております。

 年度末積立金は188,004億円となっておりまして、積立金運用利回りは2.09%でございます。時価ベースの年度末積立金は211,471億円となっており、時価ベースでの積立金運用利回りは4.93%となっております。

 以上が経過的長期経理の収支概要でございます。

 なお、ここで、前回平成27年度の財政状況の御説明をさせていただきました以降、年金数理部会のほうから平成27年度積立金の対前年度増減額と運用益を除いた単年度収支残と運用による損益、これらの合計額とが824億円一致しないことについて御指摘がございました。分析に時間を要しておりまして大変恐縮でございますけれども、分析結果がまとまりましたので、資料2-2、追加提出資料となっておりますが、そちらの1ページをご覧いただきたいと思います。

 まず、要因といたしまして、評価損益の集計誤りによるものがございまして、別紙、上半分の太枠がございますが、こちらの部分がそれに相当するものでございます。平成26年度分の評価損益に係る分、平成27年度分の評価損益に係る分、それぞれ矢印に示されたような修正が必要となっております。

 そして、これらの修正を行った後、残る713億円についてでございますが、別紙の下のほうの枠囲みをご覧いただきますと、未払金の計上年度に係るものが上の欄、7億円ございます。これにつきましては、既に数理部会のほうに御報告をさせていただいたものでございますけれども、さらにその下の欄につきましては、包括信託内の未収収益を平成27年度末積立金に含むこととしたことによるものでございまして、これは国共済のほうから既に報告がなされている要因と同じものでございます。

 なお、先ほどの評価損益の修正につきましては、資料2-1の1ページに戻っていただきますと、長期経理の平成26年度の欄の下のほうの網かけがございます。そちらの部分ですとか、あるいは平成27年度の欄をご覧いただきますと、そちらにも網かけがございます。そして、2ページ目及び3ページ目のそれぞれにおきましても、平成27年度の欄に網かけのところがございまして、それぞれが評価損益に係る修正該当箇所でございます。

 さらに、これらに連動いたしまして修正が必要となる箇所も含めまして、正と誤の形で表記をさせていただきました。大変申し訳ございませんでした。

 給付状況につきまして、また資料2-1に戻りまして御説明をさせていただきたいと思います。4ページ、給付状況についてでございますが、共済年金受給権者についての御説明をいたします。

 平成29年3月末の欄をご覧いただきますと、受給権者数のうち退年相当が1819,000人、通退相当が26万人、障害年金は5万1,000人、遺族年金は612,000人、合計で2743,000人となっております。前年度に比べまして215,000人、7.3%の減少となっております。

 また、年金総額につきましては、合計が4兆2,732億円でございまして、前年度に比べ3,656億円の減少となっております。内訳等につきましては、記載のとおりとなっているものでございます。

 次に、5ページに移っていただければと思います。厚生年金受給権者についての御説明をさせていただきます。平成29年3月末、右上のところでございますが、ご覧いただきますと、合計で322,000人となっております。また、年金総額につきましては、合計で3,757億円となっておるところでございます。

 次に、6ページに移っていただきまして、経過的職域加算の受給権者についてでございます。平成29年3月末の欄をご覧いただきますと、受給権者の合計が304,000人となっておるところでございます。その下の年金総額につきましては、合計で624億円となっております。

 次の7ページに移っていただきますと、共済年金受給権者の退職給付等について、減額、増額別に表にしたものでございます。

 8ページをご覧いただきたいと思います。共済年金受給権者の平均年金月額、そして平均加入期間についての表でございます。平成29年3月末の退職年金平均年金月額につきましては148,184円で、前年度に比べ955円、0.6%の減少となっております。

 その1段下をご覧いただきますと、そこに基礎年金を含めました平均年金月額を記載しております。金額は194,984円、前年度に比べ1,667円、0.9%の増加となっております。

 さらに2段下の退職年金平均加入期間につきましては、426月となっております。

 9ページをお開きいただければと思います。厚生年金受給権者の平均年金月額、そして平均加入期間についての表でございます。老齢年金平均年金月額は117,507円となっております。

 1段下をご覧いただきますと、そこに基礎年金を含めました平均年金月額を記載しております。金額が161,269円となっております。

 さらに2段下の老齢年金平均加入期間につきましては、438月となっております。

10ページは、新規裁定者に係る平均年金月額及び平均加入期間の表となっておりますが、説明については割愛させていただきます。

 続きまして、11ページでございます。共済年金受給権者の退年相当についての支給区分別、年齢別の表でございます。地共済における年金支給開始年齢につきましては、いわゆる厚生年金とは異なりまして、男女共通となっております。したがいまして、報酬比例部分につきましては、平成28年度から62歳となっておるところでございます。

 具体的には、14ページをご覧いただきたいわけでございますが、こちらは厚生年金受給権者の老年相当について表にしたものでございます。右から2番目の平成29年3月末の欄をご覧いただきますと、真ん中の行あたりでございますが、62歳の受給権者が4万6,000人の皆増となっております。61歳の受給権者数と比べますと、大幅に増加をいたしております。

17ページが共済年金受給権者の退年相当の受給権者についての年齢階級別の表でございます。17ページにつきましては、男性、女性とも65歳から70歳の階級が一番多く、その後は年齢階級が高くなるにつれて減少しております。平均年齢につきましては、男性が74.71歳、女性が75.62歳、男女合計で75.03歳となっておるところであります。

 続きまして、18ページをご覧いただきたいと思います。厚生年金受給権者の老齢相当の受給権者について、年齢階級別に表にしたものでございます。男性、女性ともに65歳から70歳の階級が一番多く、60歳から65歳が続きます。平均年齢は、男性が64.75歳、女性が64.92歳、男女合計が64.81歳となっております。

 次に、被保険者の状況でございます。19ページから23ページでございますが、まず19ページの被保険者数でございますが、平成29年3月末現在におきまして2839,000人でございます。前年度に比べ7,000人の増加となっておるところでございます。また、平均年齢につきましては、男性が43.9歳、女性が41.7歳となっており、全体で43.1歳となっております。それから、標準報酬月額の平均でございますが、417,019円、0.3%の増加となっております。

 下の表に移りまして、標準報酬月額総額でございますが、平成28年度の欄をご覧いただきますと141,097億円、0.7%の減少となっております。なお、地共済では被用者年金一元化前の平成27年9月までは標準報酬制ではなく、給料本俸制を採用しておりまして、平成27年度の欄では中段に平成27年9月までの給料総額5兆7,100億円、上段のほうで平成27年9月までの給料本俸ベースを標準報酬に換算したもので7兆1,375億円となっております。下段のほうで平成2710月からの標準報酬月額総額7兆758億円となっておりまして、平成27年9月までの給料本俸ベースを標準報酬に換算したものと平成2710月からの標準報酬月額総額を合算したものと比較をしておるところでございます。

20ページに移っていただければと思います。被保険者数を年齢階級別、加入期間別にクロス表としたものでございます。年齢階級別で見ますと、右側の合計のところですが、55歳から60歳未満が406,000人と一番多くなっております。40歳から60歳未満の範囲の人数の割合が比較的高くなっておりまして、1568,000人ということで、全体の55.2%を占めておるところでございます。

 一方、若い世代につきましては、20代が47万人となっておりまして16.6%、30代が67万人で23.6%という内訳となっております。

 また、加入期間別で見てまいりますと、5年未満の範囲が最も多く、左下のところになりますが、全体の15.7%になっております。

21ページに移っていただきますと、21ページと22ページはそれぞれ男性、女性、男女別に区分したものでございますので、省略をさせていただきたいと思います。

 次に、23ページをご覧いただきたいと思います。標準報酬月額等級の分布でございます。標準報酬月額の平均でございますが、一番下の欄にありますとおり、男性が約44万円、女性が約382,000円、男女合わせまして417,000円となっております。分布を見ますと、男性では47万円の等級に属する割合が最も高くなっておりまして、199,000人、11.58%となっております。女性におきましては、44万円の等級に属する割合が最も高くなっておりまして、145,000人、12.92%となっております。男女を合計いたしますと、47万円の等級に属する割合が最も高くなっておりまして、325,000人で11.46%となっております。

 次に、積立金の運用状況についてでございます。24ページにつきましては、積立金の運用状況の表となっておりますが、平成28年度末における厚生年金保険給付積立金の総額が、合計欄でございますが、簿価ベースで179,817億円、時価ベースで20478億円となっております。資産区分別の状況については、次の25ページとなっております。国内債券が右のほうで39.2%、国内株式が23.1%、外国債券が12.5%、外国株式が20.2%、短期資産が5.1%となっているところでございます。

 次の財政再計算における将来見通しとの比較でございますが、26ページ以降、平成28年度実績と平成26年財政再計算における将来見通しの比較になっておりますが、こちらにつきましては、先ほど国家公務員共済組合と地方公務員共済組合の合算値で財務省のほうから御説明がございましたので、説明は割愛をさせていただきたいと思います。

 最後に、資料2-2、追加提出資料の2ページをお開きいただければと思います。こちらは、平成29年6月に作成をされました平成27年度の公的年金財政状況報告の中の一部でございます。その第1章第3節におきまして、被用者年金制度の一元化の経緯についての解説がなされたコーナーがございました。その末尾に参考資料といたしまして、こちらにお示しいたしておりますような一元化スタート時点での各経理の簿価、評価損益、時価を億円単位で記載した表がついておったわけでございます。当初こちらの数値につきまして、速報値として載せさせていただいておりましたが、今回、精査の結果、確定後の数値をこの別紙の形で作成させていただきましたので、今後、この形でよろしくお願いいたしたいと思います。

 地方公務員共済組合の平成28年度財政状況の説明につきましては、以上でございます。よろしくお願いいたします。

○菊池部会長 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの御説明に対して御質問をよろしくお願いいたします。

 浅野委員、お願いします。

○浅野委員 御説明ありがとうございます。追加資料のところなどを中心に大きく3つ、御質問または御意見をさせていただければなと思います。

 まず1点目が、平成27年度決算で修正があったということなのですけれども、これはもともと6月に報告書をまとめる前から、この理由は何なのだということでずっと御質問をしていて、なかなか返ってこなくて、6月の時点でも最後の部会で、委員会が開かれなくてもいいので、その間に要因がわかれば事務局に報告して、各委員に報告していただきたいというお願いをしたかと思います。今回ようやく報告されたということなのですが、ここでまず4点ほどあるのですけれども、1つが、正直そんなに中身的に大きな、すぐわからないような理由ではないと思うのですけれども、この程度の内容が何でこのように時間がかかったのかということを教えていただきたいと思います。

 2点目としまして、数値が誤った原因は何なのか。それは体制に何か問題があったのかどうか。

 3つ目が、これに対して再発防止策というものをどのように講じられているのか。

 4つ目が、この問題について、総務省ないしは地方公務員共済組合の中でどのレベルの方まで報告されていて、要は今回このように提示されているのは、どういう位置づけになっているのかということを教えていただければと思います。

 そして、これに関連したもう一つ大きな質問なのですが、下に不一致額713億円の内訳というのがあるわけですけれども、前段の未払い金のところですが、これは多分、各共済組合の決算とそれを全体で取りまとめているところとの会計処理が不整合なところが原因ではないかと思います。要は一つ一つの共済組合で決算が正しくても、全体として不整合があるということは、これはやはり問題ではないかと思います。これを考えると、地方公務員共済組合の中で全体を統括する機能、または経理処理の基準を統一したり、それを徹底させる機能または体制が十分ではない可能性があるのではないかと懸念しているのですけれども、そういうところは大丈夫なのかどうなのか。今後そこのあたりに何か対応体制を強化されているのかどうかということを教えていただきたいと思います。

 それとともに、その下の包括信託内の未収収益を含むものとしたためということで、これは多分、各共済組合も大体このようなルールにしてきているのではないかと思うのですけれども、地共済組合については平成27年度からこのルールにしたと思うのです。このルールの変更をするのに誰がどのように決裁をされているのか。誰が決裁したかというのは重要ではないかと思うのです。担当者が勝手に決めましたということではなくて、ちゃんとしかるべき人が決裁をしたと。そうすれば、それは地共済の中でも周知徹底されるはずなので、こういう不明残的なこともすぐ判明したのではないかと思うのです。そういうところの体制が、決裁権限とか基準は誰がどう決めるのだ、変えるときはどうするのだという体制がどうなっているのかというのを教えていただきたいと思います。

 これが追加資料に関する大きな2つの質問です。

 2つ目の質問は、これも27年度の御報告のときに、たしか厚生年金保険経理への追加費用の繰入の金額が間違っていて、途中で処理をやり直したと思うのです。そのあたりの処理が最終的にどうなったのか。全体として決着がついて、きれいになっているのかどうかということについて、御説明いただければなと思います。仮にまだ最終的に決着がついていないのだとすれば、これも時間がたてばたつほど傷口を広げていく話だと思うので、早急な対応を図るべきではないかと思います。

 3つ目の質問は、きょうの御報告の中の2ページ目なのですけれども、特記事項のところに積立金の確定仕分けに係る精算処理分2,601億円を含むということがあるのですけれども、これは先ほどの国共済のほうですと時価ベース、簿価ベースという表示があったのですが、地共済のほうはこのあたりは時価ベース、簿価ベースという点についてはどのように把握されて、そもそもこの数値はどちらの数字なのでしょうかということであります。

 以上、サブクエスチョンも含めて大きく3つということであります。

○荒井課長 そうしますと、前半のほうをまず御説明させていただきたいと思います。

 前回の6月時点での年金数理部会における公的年金財政状況報告をつくる、その前からも御指摘をいただいておったということで、我々も非常に、鋭意そのあたりの分析をさせていただいたわけでございますけれども、いかんせん中身の分析に本当に時間がかかったと、申し訳ないというほかございません。どうしてもこの時期になってしまいまして、とにかく今回の年金数理部会にはしかるべく分析結果を御報告できるように鋭意努力してまいりましたので、ぜひとも御理解のほど、お願いしたいと思います。

 体制につきましては、一元化前につきましては、集計基準等もそれぞれ共済組合ごとに違っておったりもした状況もございましたけれども、一元化後におきましては、地共連において一元的にデータを集計する業務フローを確立しております。また、平成28年度以降につきましては、各共済組合から地共連のほうに提出されるデータと資産管理を行っております信託銀行からのデータ、これを相互に照合して突き合わせてチェックをかけていくというプロセスも確立をしておりますので、このようなことから今後、このような誤りが発生しないように万全の体制をとっていきたいと考えているところでございます。こういった状況につきましては、それぞれ共済組合の中でしかるべく責任のある方々が状況を把握されているものと考えているところでございます。

 そして、713億円の中の7億円につきまして、こういう統括する機能が十分なかったのではないかという点の御指摘でございますけれども、この点につきましても、こういうことが起こったこと自体もやはり被用者年金一元化前の資料の記載内容ですとか集計の基準等がそれぞれであったところを、今回の被用者年金一元化を機に新しい基準に統一化していくという過程の中で起こったということだと思っておりますので、今後は、先ほど申し上げましたような地共連における統括的な機能を万全に発揮しながら、新しい基準の中でしかるべく業務処理が行われるように図っていきたいと思っております。

706億円の先ほどの部分で、いわゆる決裁等が行われたのかという点でございますが、この点につきましても、新しいルールといいますか算出の基準につきましては、被用者年金一元化に当たりまして、4管理運用主体の間で調整をさせていただいて、その結果、こういう形で移行したものと理解しておりますので、具体の決裁行為が行われたかどうかは私も定かではございませんが、しかるべく調整が行われる中で、新しい基準のほうへと移行していったものと受けとめておるところでございます。

 追加費用につきましては、追加費用の移管先につきまして、いわゆる1・2階に移管する部分があったり、あるいは旧3階のほうに移管していたり、幾つか齟齬がございましたけれども、これにつきましては、元本部分につきましてしっかりと厚生労働省のほうとも調整をさせていただいた結果、新しい姿のほうへと調整していただいたという状況でございます。

○北澤資金運用部長 最後の問いについて、積立金の確定仕分けによる精算額ですけれども、これは時価、簿価ともに同額になっておりますので、この2,601億円、時価、簿価の額でございます。現金での移管をしておりますので、時価、簿価が同額ということでございます。

○浅野委員 御説明ありがとうございます。大きな1点目については、一部、私が言ったもので少し回答がないものもあったかと思うのですけれども、おおむね理解はできまして、体制が整ったという趣旨ではないかと思うので、以後、こういうことがないことを期待したいと思いますし、何よりもスピードが大切だと思うので、そのスピード感をもう少し速めていただきたいと思います。

 2つ目については、元本部分については移管されたということで、記憶では利息部分、得べかりし利息についても既に移管されているという理解でよろしいでしょうか。

○荒井課長 利息部分につきましては、若干、細部が残っておりますけれども、大方整理をさせていただいたと理解しております。

○浅野委員 ということは、まだ全部決着しているわけではないのですね。

○荒井課長 完全かどうかと言われれば、その部分については引き続き調査させていただきたいと思います。

○浅野委員 利息部分も、例えばどんどん、もう移管されているのですか。そういう意味では、日数は確定しているのかもしれないですけれども、こういう問題も早く関係省庁で対応していただいたほうが、年金のこういうものの安定性といいますか、必要だと思いますので、ぜひ早急な対応をお願いしたいと思います。

 3点目の件については、時価、簿価一緒ということで了解しました。どうもありがとうございました。

○菊池部会長 ほかの方からいかがでしょうか。

 それでは、田中委員からお願いします。

○田中委員 では、1点だけお願いします。

20ページなのですが、被保険者の分布、男女合計の値、その後は男性、女性と分かれておりますが、特に60歳以降の被保険者が4%を超えるぐらい増加しております。まず、地方公務員共済はいろいろな業種というか組織があると思うのですが、定年というのは60歳、あるいは65歳かもしれませんが、その辺がどのようになっているのかという実態と、現在、努力義務で65歳かもしれませんけれども、60歳で一旦再雇用とかそういう形態がよくあると思うのですが、その辺の実態と、その場合の給与水準はどうなるのか。これもさまざまだと思うのですが、どういう形になっているかという実態を教えていただきたいということです。

 あと、年金財政に定年の取り扱いがどうなるか、これから増えていくと思いますので、その辺の見通しなどを含めて御説明いただければと思います。

○向山数理官 60歳以上ですけれども、基本的には今、定年は60歳ということですが、それ以降の方は再任用という形で採用されている方がだんだん増えてきているという状況になっておりまして、その場合に給料は定年前と比較して大きく下がるような形になろうかと思います。そういう人が大体、大宗を占めていて、あと、公務員の場合は例えば医師です。公立病院の医師とか、そういう方はやはり給料が高めの方がいらっしゃるようなこともあると思いますけれども、基本的には再任用の方が大きく影響を及ぼしている状況があるのではないかと、今後だんだんその部分が大きくなってくるのではないかと思っております。

 そういった形で、組合員の方が増えてはいますので、多分それが年金財政の見通しの観点から考えますと、今まで保守的に見積もられていたものが、そんなに減っていないのではないか、そういう影響も受けているのではないかということを考え始めているところでございます。

○菊池部会長 野上委員、お願いします。

○野上委員 よろしくお願いいたします。

20ページ、21ページについてでございますが、表は国家公務員と同じということで説明を省略されたのですけれども、原因が同じかどうかを確かめないといけないということで、先ほど保険料が財政検証よりも減っているのは賃金がふえなかったからだという御説明がございました。その点、地方公務員に関しても同じかどうか。

 もう一つは、人数がふえているのは看護師の方がふえているからだという御説明があったのですけれども、地方公務員のほうも同じでしょうか。あるいは別の原因があるのでしょうか。

 もう一つ、今、田中委員への回答の中で、再任用がかなり地方公務員の場合はあるということだったのですが、国家公務員の場合は定数の管理の関係でなかなかその辺は再任用というのは余り量が多くなくて、基本的には短期雇用で賄っているという御説明がありました。地方公務員の場合はそのような状況が、国家公務員とは違う状況なのでしょうか。今の説明を聞くとそのように理解したのですけれども、その点、御説明をお願いいたします。

○向山数理官 最初の財政見通しで賃金上昇率の部分でございますが、そこは多分、国家公務員さんと全く一緒の状況であろうと思います。賃金上昇が余り上がらなかった影響を受けているということでございます。

 それから、看護師の関係ですが、うちの中ではそのような状況は特段ないのかなと。そういう分析はなされていないところでございまして、どの辺が増えているのかというと、やはり再任用が結果的に増えている部分が何らかの影響を及ぼしているのではないかと思います。新規採用とかを見ますと、やはり警察官は増えている、積極的に採用しているような話を聞くのですけれども、通常の事務職員でありますと、積極的に増やしているという感じはありません。さりとて、全体を見ますとそれなりに増えているということでございますので、そうなるとやはり再任用の部分が全体の増加分を押し上げているのではないかと考えられます。

 そのときに再任用の場合も、やはり国家公務員と同様で、フルタイムの場合もあれば短時間の場合もございますので、それは一緒ではないかと思っております。

○野上委員 追求してもせんない話かもしれないのですが、先ほど国家公務員の場合は、再任用者は国民年金が多いという御説明だったのですが、その点はいかがでしょうか。

○向山数理官 済みません。分析を正確にしているわけではないので、どうなのかはよくわからないのですけれども、少なくともフルタイムでなければ共済のところに入ってこないということになります。

○菊池部会長 よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。

 駒村委員、お願いします。

○駒村委員 御説明を割愛してしまった部分の10ページについて、一応説明をいただければなと。3共済とも同じことが起きています10ページの2のところですが、平成27年と平成28年で加入期間が大幅に短くなっているのはどういうことが起きていると説明いただけますでしょうか。お願いいたします。

○大須賀年金業務部長 地共連の大須賀と申します。

10ページの加入期間が短くなっている件ですけれども、上の共済年金受給者の件でよろしいですか。

○駒村委員 そうです。新規裁定のところです。

○大須賀年金業務部長 共済年金受給者につきましては、基本的には平成2710月以前に裁定の人なのですけれども、平成28年度につきましては、年金の開始年齢を平成2年10月以前に迎えまして、それから例えば平成28年3月末に退職したケースにつきましては平成28年度に裁定になりますので、平成28年度のところに計上される。ただ、対象者が当然少ないので、基本的には平成27年度と平成28年度を比較できない。ですから、対象者が少ないがゆえに統計的にぶれているという形になっております。

○駒村委員 おそらくほかの3共済も同じなのでしょうね。

○菊池部会長 ほかにいかがでしょうか。

 関委員。

○関委員 細かい点なのですけれども、私がよくわかっていないので、国家公務員と地方公務員とを比べながら見ていたりするので、例えば先ほど浅野委員から御質問があった2ページの簿価と時価が同額だから両方ともという話とか、こういう細かいところも記入をしていっていただけると、国家公務員のほうは結構細かくいろいろと注がついていて、それとどう違うのかなと思ったりするので、助かるかなと思いました。

 以上です。

○菊池部会長 あとはよろしいでしょうか。

 先ほど浅野委員から御質問があったのですけれども、この部会としても、以前から委員から御質問が再々出まして、事務局を通じてお問い合わせをさせていただいたと。調査中ということになってございまして、先ほどのお話では、鋭意御調査いただいていたというお話で状況は理解しましたけれども、やはり我々としても、公的年金の財政状況報告ということで、国民に対する年金の財政状況を明らかにするという責務を我々も負ってございますので、以後このようなことがございましたら、できるだけスピード感を持って御対応いただければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 それでは、以上で地方公務員共済組合の財政状況についての報告の聴取を終了いたします。御説明、お忙しい中お越しくださいまして、まことにありがとうございました。

(総務省自治行政局公務員部福利課 荒井課長、同 向山数理官、地方公務員共済組合連合会 大須賀年金業務部長、同 北澤資金運用部長 関係者席へ移動)

○菊池部会長 続きまして、私立学校教職員共済制度の平成28年度の財政状況について報告を聴取いたします。

(文部科学省高等教育局私学部私学行政課私学共済室 佐藤室長、同 元平室長補佐、日本私立学校振興・共済事業団 松澤数理統計室参事、同 木下資産運用部長 説明者席へ移動)

○菊池部会長 本日は、お忙しい中、文部科学省高等教育局私学部私学行政課私学共済室の佐藤室長と元平室長補佐、日本私立学校振興・共済事業団の松澤数理統計室参事と木下資産運用部長に御出席いただいております。どうもありがとうございます。

 それでは、御説明をお願いいたします。

○佐藤私学共済室長 ただいま御紹介いただきました、文部科学省私学共済室長をしております佐藤でございます。

 本日は、私学共済制度を管掌しております日本私立学校振興・共済事業団の担当者も同席させておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、資料3「平成28年度財政状況-私立学校教職員共済制度-」について、御説明をさせていただきます。

 まず、1ページ目、収支状況でございますが、1ページは被用者年金制度一元化前の共済年金の経理についてお示ししたものでございますので、説明は省略させていただきます。

 2ページです。こちらは厚生年金勘定の厚生年金経理分の収支状況ということで、このうち平成28年度の状況について御説明をいたします。収入総額は9,019億円となっております。その下、時価ベースでの収入総額を示しておりますが、こちらは9,633億円でございます。

 内訳でございますが、保険料が4,031億円、国庫負担が1,239億円でございます。運用収入につきましては、簿価ベースで372億円となっております。正味運用収入も同じ372億円でございましたので、これに評価損益の増減分を加算した時価ベースの額が986億円となっております。それから、基礎年金交付金が50億円、厚生年金交付金が2,958億円、その他が370億円となっております。

 支出のほうですが、総額が8,519億円でございます。このうち給付費が2,723億円、基礎年金拠出金が2,436億円、厚生年金拠出金が3,338億円となっております。その他が22億円ということでございます。

 この結果、収支残でございますが、簿価ベースですと500億円、時価ベースですと1,115億円となっております。

 年度末積立金でございますが、簿価ベースですと1兆8,437億円、時価ベースで2兆562億円となってございます。

 なお、この中には被用者年金一元化に伴う積立金の確定仕分けを平成2812月1日で行っております。平成28年度末の積立金からは、この確定仕分けに係る精算処理分1,205億円が控除されてございます。

 運用利回りですが、簿価ベースで2.02%、時価ベースですと4.95%となってございます。

 次の3ページでございます。こちらは厚生年金勘定の職域年金経理部分、いわゆる旧3階の給付に当たる部分でございます。平成28年度の収支状況ですが、収入総額については492億円、時価ベースですと901億円でございます。

 内訳ですが、国庫負担は過去の加入期間分に対する経過措置としての補助が1億円でございます。運用収入につきましては、簿価ベースで489億円、同じように正味運用収入489億円、同額でございまして、評価損益の増減分を加算した時価ベースの額が898億円ということになっております。

 支出総額ですが、こちらは612億円でございます。このうち給付費が313億円でございます。その他については300億円となっておりまして、金額が比較的大きくなっておりますが、このうち厚生年金経理への保険料軽減繰り入れ分というのが私学共済の場合はございまして、これが289億円を占めてございます。

 次に収支残ですが、こちらはマイナス120億円でございます。時価ベースですと289億円になります。

 年度末積立金につきましては、簿価ベースで1兆9,465億円、時価ベースですと2兆1,568億円でございます。ここにも被用者年金一元化に伴う積立金の確定仕分けの分が入っておりまして、こちらには精算処理分の1,205億円が含まれているということになります。

 運用利回りにつきましては、簿価ベースで2.63%、時価ベースですと4.42%という結果でございました。

 次に、給付状況でございます。資料の4ページをご覧ください。こちらでは被用者年金一元化前に受給権が発生しました共済年金の受給権者数、年金総額などについてお示ししております。右から2番目、平成29年3月末の状況でございますが、受給権者数合計で425,900人、前年度末と比較しまして2万5,300人、5.6%減少しております。このうち、いわゆる退年相当が121,600人、通退相当が231,900人になってございます。ここは私学共済の特徴の部分で、短期加入者が多いために通退相当の人数が多いということでございます。

 次に、年金総額は3,2532,000万円で、前年度末と比較しまして1701,000万円、5.0%の減少でございます。このうち退年相当が2,1032,000万円で1171,000万円の減少、通退相当が6071,000万円で338,000万円の減少ということになっております。

 続きまして、5ページでございます。こちらは被用者年金一元化後に受給権が発生した厚生年金の受給権者数、年金総額などをお示ししております。平成29年3月末ですが、受給権者数で6万人、前年度末と比較しまして4万4,300人の増加ということでございます。

 老齢相当が1万1,500人、通老相当が4万1,500人ということになっております。年金総額は2503,000万円で、前年度末と比較しまして1762,000万円増加しております。老齢相当が1514,000万円、通老相当が522,000万円ということになってございます。

 6ページですが、こちらは被用者年金一元化後に受給権が発生しました経過的に支給する職域加算部分の受給権者数などでございます。こちらの平成29年3月末ですが、受給権者数で4万8,700人、前年度末と比較しまして3万4,400人の増加となってございます。老齢相当が1万1,700人、通老相当が2万9,900人ということでございます。

 年金総額は36億円でございまして、前年度末と比較しまして249,000万円増加してございます。老齢相当が274,000万円、通老相当が4億3,000万円ということになってございます。

 続きまして、7ページでございます。上段のほうは共済年金の退職給付についての減額支給、増額支給の人員と年金総額でございます。平成29年3月末の状況で、減額支給の人数が700人、年金総額は9億円ということでございます。増額支給の人数が1万3,000人、年金総額は1391,000万円ということになっております。下段のほうが厚生年金の老齢給付についての状況でございます。こちらは繰り上げ支給の人員が600人、年金総額9,000万円ということになってございます。

 続きまして、8ページでございます。こちらは共済年金の退職年金の平均年金月額などをお示ししております。平成29年3月末の退職年金の平均年金月額は144,163円で、前年度に比べまして722円、0.5%の増ということになっております。

 その1つ下の欄の基礎年金を含めました平均年金月額は193,760円で、前年度よりも3,052円、1.6%の増となっております。

 表の中段以降は男女別にしたものですので、説明は省略をさせていただきます。

 続きまして、9ページをご覧ください。こちらは厚生年金の老齢年金の平均年金月額などでございます。平成29年3月末の平均年金月額は11145円で、前年度末に比べまして2,011円、1.9%の増となっております。

 その1つ下、基礎年金を含めました平均年金月額は156,154円で、こちらは前年度よりも6,408円、4.3%の増となっております。

 次は10ページでございます。こちらは新規裁定の老齢・退職年金の平均年金月額でございます。上段のほうは共済年金の新規裁定の退職年金の平均年金額で、平成28年度は147,715円、前年度に比べまして1万4,752円、11.1%増加しております。平均加入期間は392月ということでございます。

 下のほうは、厚生年金の新規裁定の平均年金額などでございます。こちらは平成28年度で11489円、前年度に比べまして2,355円、2.2%の増ということでございます。平均加入期間は402月ということになってございます。

 次に、11ページでございます。こちらは共済年金の平均年金月額について、年齢別と年金額の構成要素別の状況をお示ししております。こちらについては細かいですので、説明は省略させていただきます。

 飛んでいただきまして、14ページが厚生年金の平均年金月額についての年齢別、年金額の構成要素別の状況をお示ししたものでございます。こちらについても説明は省略をさせていただきます。

 飛んでいただきまして、17ページでございます。こちらは共済年金の退職年金の受給権者、退年相当の方の年齢構成でございます。合計の計のところでございますが、年金受給権者数は全体で121,600人、年齢構成では70歳から75歳のところが23.61%で最も高くなっているという状況でございます。平均年齢につきましては、男性が73.9歳、女性が75.4歳という状況でございます。

18ページでございます。こちらは厚生年金の老齢相当の受給権者の年齢構成でございます。こちらは全体で1万1,500人でございます。年齢構成では、65歳以上70歳未満のところが76.7%となってございます。平均年齢は男女とも65.1歳となってございます。

 次は加入者の状況でございます。19ページをご覧ください。加入者のうち、上段の表で加入者数、加入者の平均年齢などをお示ししておりますが、平成29年3月末の状況では、加入者数については541,700人、前年度に比べまして1万3,000人、2.5%の増ということになっております。このうち特に女性の増加が大きくて、前年度に対しまして1万900人、3.6%増加しております。この要因としましては、特に大学と幼稚園の加入者数が増えておりまして、大学病院の看護師などの医療スタッフや認定こども園の教員などが増加の要因と考えられます。加入者の平均年齢につきましては42.3歳で、男性が47.0歳、女性が38.7歳ということになっております。標準報酬月額の平均は36826円で、前年度に比べまして1,545円減少しております。

 下段の表に参りまして、標準報酬月額総額ですが、こちらは2兆3,364億円で、前年度に比べまして439億円増加しております。

 その下、標準賞与総額につきましては6,758億円で、107億円の増ということになっております。これらを合わせました標準報酬総額につきましては、3兆123億円となっております。

 その下の加入者数の年度間平均でございます。こちらは542,600人で、前年度に比べまして1万2,300人増加しております。

 その下の標準報酬総額の年度間平均、一人当たり月額ですが、462,651円で、前年度に比べまして2,137円減少してございます。

 次に、20ページでございます。こちらは加入者の分布の状況でございます。一番右の合計欄の年齢層で一番高い割合が25歳から30歳未満の層になっておりまして、14.5%となっております。それ以降の年齢層は、50歳代までおよそ9%から11%程度で分布しておりまして、60歳以上の加入者も相当程度おりまして、7.5%と4.1%で、合計しますと11.6%の方が加入をしているということでございます。

 それから、加入期間のほうですが、こちらは5年未満の割合の方が一番高くて33.5%、その次の5年以上10年未満の方を合わせますと合計で55.2%ということで、半分以上の方が加入期間10年未満ということになってございます。

 続きまして、21ページは男性の加入者の分布状況でございます。男性の場合には、一番右の欄、割合で見ていただきますと、30歳未満の割合が低くて、30歳代から60歳代前半まで各層にほぼ均等に分布している状況でございます。それから、特徴的なこととしましては、年齢層の60から65歳の加入期間が5年未満の方、左下のほうになりますけれども、ここで人数が6,230人というやや大きなこぶができている状況になってございます。

22ページは女性の加入の分布状況でございます。こちらの一番右側の割合のところをご覧いただきますと、男性の分布と異なりまして、30歳未満の方の割合が高い傾向になっております。それから、加入期間で見ますと、5年未満で39.3%、5年から10年未満で23.1%ということで、合計しますと62.4%の方が10年未満の加入という特徴が出ております。

 続きまして、23ページが標準報酬月額の等級の分布でございます。こちらは男性のほうで62万円の一番高いところに22.4%の方が分布している状況でございます。一方、女性のほうは20万円代のところに山ができておりまして、22万円のところの9.40%が最も高い割合ということになってございます。

 続きまして、24ページは積立金の運用状況でございます。平成28年度末の積立金は簿価ベースで合計1兆8,437億円、時価ベースですと2兆562億円となっております。このうち包括信託の部分がほとんどでございまして、簿価ベースで81.4%、時価ベースで83.3%を占めてございます。

 次の25ページが資産区分別の状況を示しております。こちらは先ほどの包括信託の額が国内債券から貸付金を除いたもの、国内株式、外国債券、外国株式の合計額と一致しております。時価ベースですと、国内債券で32.6%、国内株式で22.7%、外国債券で11.5%、外国株式で22.5%の割合ということになってございます。

 次に26ページですが、こちらは将来見通しとの比較でございます。全てケースEと比較したものについて御説明をいたします。収入のところですが、収入の合計で将来見通しでは8,996億円でございましたが、28年度の実績は9,019億円で23億円多くなってございます。内訳で見ますと、保険料につきましては、実績ベースで保険料相当分の収入を全て含めたものを括弧書きにしておりますが、これが4,391億円で、ケースEの4,535億円よりも144億円少なくなっているところでございます。運用収入につきましては372億円で、将来見通しよりも12億円少ない結果となっております。

 その他の欄ですが、ここには保険料に相当するものが若干含まれておりますので、括弧書きのところで比べていただきたいと思いますが、こちらは実績10億円で、将来見通しよりも9億円少なくなっているという状況でございます。

 支出のほうですが、将来見通しでは合計で8,636億円でしたが、これに対して実績は8,519億円で、117億円少なくなっております。このうち基礎年金の交付金を除きました給付費が2,673億円、括弧書きのところですが、これが将来見通しよりも191億円少なくなっております。この結果、収支残は将来見通し上360億円であったものに対しまして、実績では500億円で140億円多くなっているという状況でございます。

 年度末積立金につきましては、将来見通し上は1兆8,057億円でしたが、実績では1兆8,437億円となってございます。

 次に、27ページは加入者数と受給者数の比較でございます。加入者数ですが、平成28年度実績が542,600人で、将来見通しの528,000人よりも1万4,600人上回っております。受給者数のほうですが、将来見通し上は496,500人でしたが、実績は458,400人で、3万8,100人少なくなっているところでございます。

28ページですが、こちらは財政指標の比較を示しております。年金扶養比率ですが、28年度末の実績で4.37でございます。見通しよりも0.41ポイント低くなってございます。

29ページ、最後に積立比率ですが、平成28年度の実績は4.5でございます。時価ベースでは4.9となってございます。

 以上、簡単でありますが、説明はこれで終わりにさせていただきます。ありがとうございました。

○菊池部会長 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの説明に関しまして、御質問をお願いいたします。

 野上委員、お願いします。

○野上委員 御説明ありがとうございます。ちょっと細かい点も含めて3つほどございます。

 まず、2ページ、年度末の積立金なのですが、時価ベースで言いますと27年に比べまして純減しておるのですけれども、28年は運用もよかったので、どうして減っているのかなと。特に財政検証ですと、将来的にも順調にふえていくような数字を出されていたと思うのですが、このあたり何かトレンドが変わったのかという点が1点目でございます。

 2点目は、ほかの制度の方にもお聞きした点ですが、財政検証と比べますと被保険者の数はふえているのですけれども、保険料のほうが減っていると。賃金が伸びなかったということかもしれないのですが、人数がふえた原因と、賃金が減ったということだけで全てこの動きは説明できるのかどうかということでございます。特に私学共済さんの短時間労働者のほう、23ページの表ですけれども、ほかの制度と比べると標準報酬月額の平均額が男性の場合で20万円を超えるような非常に高いものになってございます。このあたりの動きがちょっと気になるところですので、そのあたりについて御説明をお願いします。

 3つ目はちょっと細かい点なのですけれども、毎年聞いているということで、幼稚園の先生で昔入っていたものをちゃんと請求されているかどうかということで、制度が一緒になって、そのあたりは改善するというお話もあったのですが、実態としてその後どうなっているのかということでございます。財政検証のときはかなり進むという想定をされていたと思うのですが、給付額は財政検証と比べて減っているので、その点も踏まえて御説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。

○佐藤私学共済室長 最初の1点目のところで、積立金が運用結果がよかったにもかかわらず減っているということなのですが、実はこの減っている要因としましては、厚生年金経理から旧3階への積立金の移管がありまして、この額が1,205億円と結構大きな額になっていましたので、この分を足し合わせれば積立金の運用自体としてはふえていたということになるかと思います。

 それから、短時間労働者の給与が比較的高いという話でしたが、短時間労働者が加入できる制度が始まりましてまだ半年しかたっていなくて、まだ詳細な分析はできていないのですけれども、多分考えられる要因としましては、学校の非常勤の先生で、例えば20時間ぐらい授業を持っておられる方が短時間労働者として入ってきているという実態もあると思われます。この方は割と一般事務のパートの方に比べて給与が高いということで、短時間労働者でも標準報酬が高くなってきている状況かと思います。

 最後に、幼稚園を短期間でやめられたような方が請求してきているのではないかということですけれども、これも実態をはっきりつかめているわけではないのですが、被用者年金一元化されまして、請求手続もワンストップでできるようになりましたので、今までのように御本人で何カ所も請求書を回さないといけないという状況は改善されてきておりますので、今後そこは少なくなってくるのではないかと思っております。

○野上委員 2点目なのですけれども、財政検証と比べて保険料が減っている、被保険者がふえているという要因分析をお願いいたします。

○佐藤私学共済室長 29ページの最後のところをご覧いただければと思いますが、28年度の実績の賃金上昇率は私学の場合、マイナス0.7%でございました。それに対して財政見通し上は2.5%ということで、ここで大きく差が開いている。加入者数は増えているということなのですが、加入者数の増加は賃金上昇率を上回るほどではなかったということで、加入者数の増は押し上げ要因になりますけれども、賃金上昇率は引き下げ要因になって、引き下げ要因のほうが強かったという分析をしてございます。

○野上委員 加入者増は、看護師の方とかは当然おられないので、60歳以上の方がふえたという理解でよろしいでしょうか。

○佐藤私学共済室長 多分、大学の場合は看護師の方がふえているのが一番大きい要因だと思います。

○野上委員 大学病院ですね。

○佐藤私学共済室長 大学病院のです。

○菊池部会長 よろしいでしょうか。ほかに。

 浅野委員、お願いします。

○浅野委員 2ページの注2で精算処理分1,205億円というのは、これは時価、簿価がないのは先ほどの地公共さんと同じ理由なのかどうかということと、あと、6月の報告では別の1,300幾らとかいう数字が入っていたと思うのですけれども、その差は何なのかというのが1つ目です。

 2つ目が、27ページに行っていただいて、受給者数が見通しと大分違うのですけれども、老齢とか退年は年齢が決まっているので、こんなにずれる、ないしは遺族年金もものすごくずれているのです。これは普通、シミュレーションをしている立場からいうと理由が何なのかというのがわからないのですけれども、何か理由があれば教えていただければと思います。

 以上2点、お願いします。

○佐藤私学共済室長 済みません。後半の27ページのほうからお話をさせていただきますが、特に通老、通退につきましては、見通し上は一応、待機者の方が全員年金支給を請求してくるという前提で見通しを立てておりますけれども、実際には請求してこない方がいらっしゃるということで、ここの差で開いているところでございます。

 それから、老齢、退年のところは、26年の将来見通しは厚生年金全体で推計をしておりますので、我々だけのほうでなかなかその要因が分析できていないのが現状でございます。

○浅野委員 遺族年金も同じですか。

○佐藤私学共済室長 そうですね。

○浅野委員 独自でシミュレーションをされているわけではなかったのですか。

○佐藤私学共済室長 それは前回、26年の前の財政再計算までは、それぞれ共済制度として独自で推計をしておりましたが、26年の再計算のときからは、もう被用者年金制度が一元化されるということで、厚生年金全体での推計をしておりますので、我々だけでその要因が見通しのほうでどうだったかというのは分析できていないところでございます。

○木下資産運用部長 最初の質問のほうなのですけれども、確かに最初、積立金の精算にかかわる数字は1,365億円という説明をさせていただいたのですが、これが現物移管分の部分を反映しているのか、1,205億円というのはそうでない数字なのか、ちょっと確認させていただいて、また後日お答えしたいと思います。

○浅野委員 それはまた後ほど御報告いただければいいと思うのですけれども、そうするとほかの共済もそのあたりは統一されているのかなとか、そういう疑問も出てきたりするのですが、それは私学共済さんに言えばいいことなのか、事務局でまとめていただいたほうがいいのか。

○木下資産運用部長 地共済は全部現金で移管されている部分でありますので、そこはちょっと違うと思います。

○浅野委員 よろしくお願いします。

○菊池部会長 事務局から何かありますか。

○真鍋首席年金数理官 事実関係を確認いたしまして、不整合があるとしましたら、きちんと整理して、報告書の段階でどのようにまとめるかというのは御議論いただくことにしたいと思います。前提として、きちんと御報告いただいてということですが。

○菊池部会長 では、翁委員、お願いします。

○翁委員 加入者数が女性だけでなく男性もふえているのは、国共済、地共済との違いかと思うのですけれども、これは先ほど御説明いただいた60歳以上の方がふえているというところの寄与が大きいのですか。それから、こういった方々は短時間の方も多いのでしょうか。このあたりの動きについて教えていただければと思います。

○佐藤私学共済室長 女性がふえているのは、特に60歳以上がふえているというわけではなくて。

○翁委員 男性です。

○佐藤私学共済室長 男性が増えているのは大学と高校なのですが、そこの年齢分布についてはまだ分析できていませんので、後でまた分析してみたいと思います。

○菊池部会長 駒村委員、お願いします。

○駒村委員 7ページの上段の減額、増額のところがほかの2共済とはパターンが全然違うので、ここをちょっと教えていただけますか。

○佐藤私学共済室長 ここはきちんとした分析ができているわけではないので推測なのですけれども、私学の場合に、先ほどの加入者の分布にもありましたように、60歳を超えても高齢で加入者として現役で働いている方がいらっしゃいますので、すぐに年金支給がないと生活に困るというわけではない方が多いのではないかと。そのために、繰り下げをして将来の年金額を増額させようと考えている方が多いのではないかと考えております。

○菊池部会長 田中委員、お願いします。

○田中委員 1つだけ教えてください。22ページの先ほどの女性加入者の件ですが、加入期間が10年未満の方が多いということで、私も私学に勤めておりますが、最近、事務の女性が5年以上勤めると常勤にならなければいけないというので、5年未満しか雇用しないということをやっているのです。そういう影響はかなりここに反映していると考えてよろしいでしょうか。

○佐藤私学共済室長 5年の雇用転換の話は来年から始まる話ですので、そこは直接影響ないかと思います。ただ、それぞれの学校のほうで雇用年限をどうするかという労働条件で決めていらっしゃる話ですので、短いからということの影響は多分ないと思います。実際にここの女性の加入期間は年々延びているのが現実でして、10年未満の加入割合も年々割合が減ってきているというのが事情ですので、女性の加入期間、いわゆる勤務期間は延びているのが現実だと思います。

○菊池部会長 あとはいかがでしょうか。

 では、佐々木部会長代理、お願いします。

○佐々木部会長代理 1点だけお願いしたいのですが、加入者数は対前年度比で見ても、再計算対比で見ましても2%以上大きくふえているのですが、もともと年少人口が減っていますので、将来的に負のインパクトは、逆に今度、減ったときは大きいのではないかという懸念を持っているのですが、これについてコメントがあればお願いします。

○佐藤私学共済室長 今のような御意見はいただくのですけれども、確かに18歳人口も減少傾向になってきて、いつかは私学共済の加入者数も減少に転じるのではないかとは言われておりますが、実際はやはり学校法人さんの経営努力という部分が大きくて、例えば教育の質を上げるために講義の人数を、今まで大講義室でたくさんの人数でやっていたのを小さい人数でゼミ形式でやるということとか、幼稚園の場合でも同じように、教育の質を上げるためにクラスの1人当たりの幼児数を小さくしてきているということ。それから、教育の質を高めるために英語の先生とか、そういう方を雇ったりしているという現状がありまして、実際にはまだそんなに教員の数や事務職の数が減ってはきていないという、私学側の経営努力が働いているのではないかと。それがまた加入者数の増につながっているのではないかと考えております。

○菊池部会長 よろしいでしょうか。

 それでは、以上で私立学校教職員共済制度の財政状況についての報告の聴取を終了いたします。

 なお、先ほど委員から御質問がありました事項については、別途事務局のほうまで御回答いただければと存じます。よろしくお願いいたします。どうもお忙しい中を御説明ありがとうございました。

(文部科学省高等教育局私学部私学行政課私学共済室 佐藤室長、同 元平室長補佐、日本私立学校振興・共済事業団 松澤数理統計室参事、同 木下資産運用部長 関係者席へ移動)

○菊池部会長 駒村委員から全体を通じてコメントがあるそうですので、一言。

○駒村委員 どの共済の資料も統一されたフォーマットだと思っていたのですが、7ページだけ、国共済だけ(ロ)が減額支給という表記になっているのですね。あと2つは繰り上げ支給、繰り上げ受給というふうに表記されていますので、これは同じ定義のものでしたら資料の表記は統一されたほうがいいのではないかと思いました。全共済とも7ページの(ロ)のところを見ていただければと思います。

○菊池部会長 事務局のほうでこの点、今後に向けてよろしくお願いいたします。

 それでは、この後の取り扱いですが、平成28年度につきましても、公的年金財政状況報告を取りまとめたいと思いますので、委員の皆様には今後よろしくお願い申し上げます。具体的な作業は前回同様、作業班で進めたいと思います。

 それでは、最後に、今後の日程などについて事務局から説明をお願いいたします。

○真鍋首席年金数理官 日程の前に補足をさせていただきます。先ほど国共済と地共済の質疑の際に、労働時間が短い方は国民年金の被保険者というお話がありました。確かに極めて労働時間の短い方は国民年金になるかもしれませんが、平成2810月以降の20時間以上の短時間労働者の適用対象になる方々は、例えば地方公共団体に勤めておられる対象の方々は、第1号厚生年金被保険者の短時間労働者として適用されています。議事録に残りますので、そこは補足させていただきます。

 次回の年金数理部会の開催日時につきましては、改めて御連絡申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。

○菊池部会長 それでは、本日はこれまでとさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。皆様、よいお年をお迎えください。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(年金数理部会)> 第76回社会保障審議会年金数理部会 議事録(2017年12月25日)

ページの先頭へ戻る