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2018年1月29日 独立行政法人評価に関する有識者会議 医療・福祉WG(第13回)議事録

○日時

平成30年1月29日(月)9:59~11:38


○場所

中央労働委員会労働委員会会館講堂(7階)


○出席者

真野主査、五十嵐構成員、名里構成員、橋田構成員、松原構成員、三田構成員

○議事

○真野主査

 少し定刻より早いのですが、皆様方、全員そろいましたので、第13回独立行政法人評価に関する有識者会議の医療・福祉WGを開催したいと思います。構成員の皆様におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。本日は石井構成員、石渡構成員が御欠席ということになっております。

 それでは、最初に本日の議事について、事務局から説明をお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 本日の議事は、「国立重度知的障害者総合施設のぞみの園の次期中期目標案及び次期中期計画案について」です。本日については、参考資料1「独立行政法人評価に関する有識者会議開催要綱」の3の第4号、その他、13までに掲げる事項に関し重要な事項として、本WGの意見を賜るものです。

 厚生労働省所管の中期目標管理法人については、厚生労働大臣が中期目標を定め、当該、法人は定められた中期目標に基づき、中期計画を策定することとされておりますが、法人の中期目標と中期計画は密接な関係にあるので、本日は中期目標と中期計画について同時に御議論いただきたいと考えております。

 平成30年度からの新たな中期目標及び中期計画の策定に至るまでの流れについて、簡単ですが説明いたします。参考資料2を御覧ください。四角の囲みが3つあり、一番上の四角の囲みに「平成2989月 独立行政法人の「業務・組織全般の見直し内容」等を総務省へ提出」とあります。のぞみの園の中期目標期間見込評価書と業務・組織全般の見直しの内容については、昨年8月に開催した本WGにおいて皆様から御意見をいただき、その御意見を踏まえ、厚生労働大臣から総務省独立行政法人評価制度委員会に通知したところです。

 中ほどの四角の囲みです。「平成29912月 総務省独立行政法人評価制度委員会の審議・決定」とあります。総務省独立行政法人評価制度委員会が、独立行政法人の中期目標期間見込評価書と業務・組織全般の見直し内容について、審議した結果を決定いたしました。決定した内容が参考資料6です。こちらは、総務省側の独立行政法人評価制度委員会が、昨年の124日に目標策定に向けて考え方などを決定したものです。

2ページの中ほど辺りから、マル1~マル4まで目標策定に当たって目標に盛り込むことについて検討していただきたい視点を整理しております。のぞみの園に関しては、マル1の視点に関するものとして具体的に留意事項が示されております。4ページの下にのぞみの園に関する留意事項として、重度知的障害者支援を専門とする唯一の国立総合施設としての強みをいかし、全国的な障害者支援の質の底上げに一層貢献するため、法人の持つノウハウや成果を全国の障害者支援施設等へ情報を発信する取組を強化することについて、具体的に目標に盛り込むことを検討してはどうかという留意事項が示されております。こうした決定内容等を踏まえ作成したものが、本日、御議論いただく国立重度知的障害者総合施設のぞみの園の次期中期目標と中期計画案です。

 参考資料2に戻ります。一番下の四角の囲みには、「平成2912月~平成303月 独立行政法人の次期中期目標・次期中期計画の策定」とあります。今後の流れについてまとめております。本日、御議論いただく国立重度知的障害者総合施設のぞみの園の次期中期目標案については、本日頂く御意見を踏まえ、必要に応じて修正を行い2月に厚生労働大臣が総務省独立行政法人評価制度委員会へ送付いたします。その後、2月中に同委員会において審議が行われ、その審議結果に基づいて出される御意見を聴いた上で、財務大臣との協議を経て、次期中期目標が確定されることとなります。

 一方、中期計画については、確定した次期中期目標を基にのぞみの園が次期中期計画を作成し、同計画について主務大臣である厚生労働大臣が、内容の精査及び財務大臣との協議を経て年度内に認可する予定となっております。

 事務局からの説明は以上です。

 

○真野主査

2か所目なので皆さん慣れていると思いますが、何か御質問等、よろしいでしょうか。それでは、早々に議事に入りたいと思います。国立重度知的障害者総合施設のぞみの園の次期中期目標案及び中期計画案について、議論していきたいと思います。最初に法人所管課から次期中期目標案について御説明いただき、その後、法人から次期中期計画案について御説明いただきます。

 関連が強いということで、この2つの説明が終わってから質疑応答という形で進めていきたいと思います。それでは、最初に法人所管課から次期中期目標案について御説明お願いします。

 

○社会・援護局障害保健福祉部企画課施設管理室長

 法人所管課の障害保健福祉部で施設管理室長をしている池田と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。大変、失礼ではございますが、着座のまま説明いたします。お手元の資料ですが、資料1-1A4横の両面がカラーのもの、資料2-1は中期目標の改正後全文、資料3-1は第3期と第4期の新旧対照表を配布しております。

 詳しくは新旧対照表で説明したいと思いますが、まず、資料1-1を御覧ください。独立行政法人のぞみの園の中期目標の案の概要です。平成304月から平成353月までの5年間の取組を実施するということにしております。黄色い帯ですが、「国民に対して提供するサービスその他業務の質の向上に関する事項」です。15番まで振っておりますが、これは基本的に、この3月までの第3期中期目標等変更はしておりません。1番は自立支援のための取組、2番は調査・研究、3番は養成・研修、4番は援助・助言、5番はその他の業務ということで、それぞれ実施方法の考え方や、その下の黄色い箱の所にある具体的な事項、評価等については、後ほど新旧対照表で詳しく説明したいと思っております。

 裏面です。「業務運営の効率化に関する事項」ということで、13番まであります。特に、1番の(2)業務運営の効率化に伴う経費の節減という項目については、現在、関係機関と検討しております。中ほどの「財務内容の改善に関する事項」の1番です。自己収入の増加についても、具体的な自己収入比率の割合については同様に現在検討しております。概要は以上です。

 資料3-1「独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園中期目標(4)新旧対照表」です。先ほど、事務局からも御説明がありましたが、左が第4期の中期目標案で右が第3期です。後ほど触れますが、この4月から中期目標を作成するに当たって変更点として幾つかあります。

 まず、1点目は、左の第4期案の第1「政策体系における法人の位置付け及び役割」です。こちらは、各法人について前文的な意味合いで、中期目標の中に記載していただきたいという指示があったところです。2点目は、後ほど出てまいりますが、中期目標の中にその目標について重要度があるかないか、難易度があるかないか、指標を記載するようにという御指示もあったところです。あと、先ほど事務局から御紹介がありましたが、総務省から個別に指示事項ということで、情報発信の取組の強化について検討いただきたいという指示を受けているので、中期目標の中に盛り込んでおります。

 それでは、1ページから順に説明します。まず、左ですが、先ほど申し上げた前文を記載しております。1段落目は、障害福祉の関係は、国としても非常に取り組むべき喫緊の課題であるということと、一昨年でしょうか、閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」においても、障害者の方が地域で生活されるために「地域共生社会」の実現も目指していくことが記載されております。2段落目は、障害者総合支援法により、障害者の高齢化、障害児・者支援のニーズに対応するために、きめ細やかな支援が必要であると記載しております。3段落目は、こうした中、のぞみの園で行う先導的な支援や調査・研究、養成・研修、また、情報提供の発信について底上げを行っているところです。

2ページです。上のほうですが、第4期中期目標期間においては、今、申し上げたように、総合的な支援の提供、各種事業を実施することとする。なお書きですが、現在、のぞみの園の中長期的な運営の在り方について、厚生労働省に在り方検討会を設置しており、3月中には報告書という形で御提言を頂く予定になっておりますので、そういう提言の内容についても関係機関と協議の上、具体化を図ることという目標にしております。

 「(別添)政策体系図及び一定の事業等のまとまり」です。資料2-1の一番後ろに、政策体系図を添付しているので御覧ください。左上に国の方針ということで、のぞみの園の園法を記載しております。右では、政府としては障害者基本法や、先ほど少し紹介した障害者総合支援法という法律があり、それに基づいて事業を実施する。矢印から下については、今、紹介した5つの事業について、法人が果たすべき役割ということで、それぞれ図式化した資料があります。

 新旧対照表の2ページに戻ります。左の欄の、第2「中期目標の期間」です。これは、先ほど申し上げた平成304月から平成35331日までの5年間です。改正部分は下線を引いているので、下線を引いている所を中心に説明します。1「自立支援のための取組」です。ここは前文として以下の事項を実施するということです。

3ページの(1)、重度知的障害者のモデル的な支援を行うことにより、施設入所利用者の地域移行を引き続き推進していくということです。支援に当たっては、引き続き、地域生活体験や保護者懇談会など、現在、重度化、高齢化しているということもあるので、こういうところも丁寧に説明しながら、円滑な地域移行を進めていただきたいという目標にしております。具体的な縮減割合については、現在、検討しております。

3ページのかぎ括弧の所ですが、重要度:高、難易度:高としております。今、申し上げたように地域移行をしていただくわけですが、中ほどに、平均年齢が65.4歳、平均入所期間40年、障害支援区分は6弱ということで、重度の方が多数いらっしゃいます。ですので、そういう点では、施設に入所から地域移行していただくということについては、いろいろな状況があり、受入可能な移行先事業所が限定がされているということもあり、目標については難易度が高としております。

3ページの(2)、高齢の施設利用入所者へ対する支援です。ここは、より具体的な文言に修正しております。医療との連携を重視しながら、機能低下に対する予防的なケアに取り組むこととしております。

4ページです。(3)、引き続き有期限で受け入れる、現在、著しい行動障害を有している者や矯正施設を退所した方については、著しい行動障害を有する者と申しておりますが、モデル的な支援を行って、2年ないし3年の有期で入所いただき支援を行っております。こちらについては、引き続き、重要ということで目標に記載しております。重要度:高、難易度:高としているのは、著しい行動障害を有する者については、障害の程度によらず、地域生活を営んでいただくためには、非常に困難なところもあるので、そういうところを支援するという点で重要度が高であるという目標にしております。

5ページです。※発達障害児・者支援については、「5 その他の業務」で記載ということで、具体的に、従来、こちらで記載していた目標については、後ほど出てくる11ページに移行しております。(4)、上記(1)から(3)までの業務について、普及に取り組むということにしております。(5)評価における指標ということで、地域移行の目標、指標をどのようにするのかということです。最近は非常に難しい案件がありますが、地域移行者数を毎年度5人以上とする。いずれも、平成28年度の実績に基づいて目標を定めております。地域移行者数を毎年度5人以上、地域生活体験については200日以上、懇談会については、各寮ごとに1回以上と、いずれも、平成28年度の実績値を指標としております。

6ページです。マル4とマル5です。著しい行動障害を有する者についての具体的な指標について、有期で受け入れておりますが、その具体的な指標、矯正施設の退所者への具体的な受入れの指標については、現在、検討しております。その下の、指標の設定及び水準の考え方ですが、現在、こういうことを検討しておりますので、ここは省略します。以上が、1「自立支援のための取組」です。

2「調査・研究」です。従来から調査・研究を実施しておりますが、中期目標については、引き続き継続として、より具体的に表記しております。

7ページです。(2)調査・研究の内容の充実です。こちらも、従来は少し簡略化して記載しておりましたが、より具体的に、例えば、なお書きですが、いわゆる推進に資するための適正な調査・研究となっているか、外部の有識者が参画する研究会議等で評価を受けること。これは、調査・研究するだけではなくて、具体的に有識者にその研究内容について評価していただきたいという目標にしております。(3)は字句修正です。

 重要度:高としているのは、のぞみの園のフィールドを活用した調査・研究を実施しているわけですが、それを全国の知的障害者施設に普及させることについては、全国の障害者支援の底上げにつながるという観点から、重要度を高として目標にしております。(4)評価における指標です。7ページのマル1から8ページのマル4まで記載しております。調査・研究に対しては、まず、調査研究会議を2回以上実施する。これは、平成24年度から平成28年度の平均値を引用しております。

8ページです。マル2外部研究者と協働した研究テーマを4テーマ以上実施する。これは、のぞみの園単独ではなくて、より幅広く外部の方と研究を協働していただきたいという趣旨で記載しております。マル3ホームページの掲載については、研究成果のアクセス件数を2万件以上とする。マル4各種学会等への発表回数についても毎年度22回以上とする。これは、先ほど事務局から御説明がありましたが、総務省の独立行政法人評価制度委員会から普及啓発をしてはどうかということで、それを受けて、マル3マル4については指標を設けてより成果を発表するということにした次第です。〈指標の設定及び水準の考え方〉です。基本は、それぞれ平成25年度から平成28年度の平均値以上を目標の指標としております。以上が、2「調査・研究」です。

3「養成・研修」です。こちらも従来から実施している事業です。9ページの上の所に下線があります。支援の実践につなげることができるような内容ということで、各種、養成や研修事業を実施しておりますが、より具体的な目標として、受講された方あるいは地元に戻って伝達されることもあろうかと思いますので、より支援の実践につながるような内容としていただきたいという目標にしております。

9ページの○評価における指標です。マル1~マル4まであります。マル1研修会・セミナーの回数を毎年度10回とする。マル2研修会・セミナーの参加者の満足度を80%以上とする。マル3実習生の受入れを150人以上とする。マル5ボランティアの受入れを1,250人以上とするということで、数値については平成29年度の見込み、若しくは、平成25年度から平成28年度の実績値の平均を目標の指標としております。

 マル1の研修会・セミナーの開催回数についても、総務省からの御指摘を踏まえている点で、開催回数も指標として掲げているところです。〈指標の設定及び水準の考え方〉です。1つ目で、満足度を採用すると記載しております。養成・研修の成果が支援の実践に活用される指標として、研修会・セミナー等の参加者の満足度を採用する。法人で実施する事業については、御参加されている方々の満足度は非常に重要ということで、指標でも満足度を掲げております。

10ページです。上から指標の所は、それぞれ各年度の平均以上を指標として掲げております。以上が、3「養成・研修」です。4「援助・助言」です。こちらも従来から事業を実施しております。特に下線の所ですが、支援の実践につなげることができるような内容とすること、また、必要に応じてのぞみの園から講師を派遣するなど、障害者支援の質の向上に寄与することということ。従来も講師の派遣をやっておりますが、それは、次期から目標として掲げているところです。重要度:高としているのは、総合施設でいろいろな事業を実施しておりますが、豊富な知見を有するのぞみの園による援助・助言、いわゆる、法人だけではなくて、全国の障害者支援施設の質の向上という点で重要度が高いと考えております。

11ページです。○評価における指標です。マル1とマル2について、いずれも、平成25年度から平成28年度の実績の平均値を掲げております。以上が、4「援助・助言」の中期目標です。

5「その他業務」です。14に附帯する以下の各種業務を行うことと記載しております。(1)診療所の運営を行うと記載しております。運営に当たり、高齢化する施設入所利用者の身体機能の低下や二次障害の軽減を図るなど、非常に有効と考えており、軽減を図るという点で、診療所の機能を有効的に活用することに留意していただきたい。また、定期的にモニタリング、外来患者の動向や病床利用率の推移などについても実施して、経営の改善に努めていただきたいという目標を掲げております。(2)発達障害児・者の支援については、一昨年でしょうか、発達障害者支援法も改正されており、引き続き、就学前から継続的かつ予防的な対応をして、お子さんの安定した生活が送れるように支援することに留意していただきたいと記載しております。

12ページです。附帯事業は各種ありますが、(3)地域の障害者に対する相談、短期入所事業、就労支援などの地域生活の支援を行っていただきたいということです。従来は第三者評価のこともこちらの項目に記載しておりましたが、後ほど説明する15ページに移行しております。以上が第3です。

 第4「業務運営の効率化に関する事項」です。1、業務の質の確保を図りつつ、業務運営の効率性、自律性、質の向上を図るため、次の目標を達成すること。従来、第3期までの所では、平成19年の閣議決定や平成22年の閣議決定、平成25年の勧告がありましたが、各種閣議決定や勧告については、平成29年度までに既に対応済みということで、次期中期目標案には記載しておりません。(1)は字句修正です。運営体制の確立もさることながら、人事管理に対してしっかり体制を見直していただきたいということでタイトルを変えております。

13ページの左の※に書いております。従来、内部統制、ガバナンス強化の取組をこちらの項目に記載しておりましたが、15ページに移行しております。なお、平成223月に公表された報告書については既に対応済みということで、記載は省略しております。

13ページの(2)業務運営の効率化に伴う経費節減です。先ほども説明申し上げた削減割合については、現在、検討しているところです。1314ページにかけてですが、こちらについて変更はありません。

14ページです。左の3「合理化の推進」です。こちらは、新たに平成27年に総務大臣決定で独立行政法人における調達など、合理化の取組の推進についてという通知が発出されており、その内容を踏まえて中期目標にも記載しております。第5「財務内容の改善に関する事項」です。こちらは、第3期中期目標と変更はありませんが、1、具体的な自己収入の増加割合については、現在、検討中ということで協議をしております。

14ページの2から変更はありません。

15ページです。第62、先ほど申し上げた内部統制は、こちらに移行して記載しております。3、情報セキュリティ対策の強化については、昨今、非常に情報セキュリティの強化が求められているので、従来の中期目標よりもより具体的に記載して目標として定めております。4、第三者評価については、12ページに記載があったものを15ページに移行しております。

 非常に簡単な説明ですが、現時点の厚生労働省が定める中期目標の説明です。ありがとうございました。

 

○真野主査

 ありがとうございました。次いで、法人から次期中期計画案について説明をお願いします。

 

○真野主査

 続いて法人のほうから、今度は次期の中期計画の案について、説明をお願いします。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画局長

 のぞみの園で事業企画局長をしております杉原と申します。どうぞよろしくお願いいたします。資料については、資料1-2が概要、資料2-2が中期計画案、資料3-2が新旧対照表となっております。中期計画については、先ほど厚生労働省から御説明がありました中期目標を達成するために、のぞみの園が具体的に取り組むべき計画を策定しております。これにより、のぞみの園のミッションである重度の知的障害者に対する自立のための先導的かつ総合的な支援の提供や調査・研究などを行って、これらの事業の成果を全国に発信するため、情報発信することで知的障害者の福祉の向上を図るという目的を適切に果たしてまいりたいと考えております。

 中期計画の内容については、資料3-2の新旧対照表で説明いたします。なお、中期計画は2ページの(1)、「重度知的障害者のモデル的な支援を行うことにより」で始まる本文については、中期目標の内容をそのまま引用しております。6行目の(具体的な取組」と書いてある所が、中期目標を達成するために策定した中期計画の具体的な取組の内容となっております。中期計画については、このような形で策定しておりますが、この具体的な取組を中心に説明いたします。

 また、指標については6ページの1に自立支援のための取組の指標が記載されておりますが、(5)の評価における指標は中期目標の指標をそのまま引用しております。その下の〈参考指標〉が中期計画で設けた指標となっております。中期計画では、できる限り評価項目を適切に評価できる指標を整理しております。なお、中期計画の指標については数値目標を記載しておりませんが、夏の有識者会議の評価の際には、数値目標を設定して評価いただくこととしております。

 中期計画について説明いたします。資料3-21ページの第11の「自立支援のための取組」について、2ページの(1)地域移行への取組についてです。具体的な取組としては、従前より取り組んでいることではありますが、目標に記載されている地域体験の実施や保護者懇談会等の開催も含め、具体的な取組を新たに盛り込んでおります。イの地域生活体験では、これにより入所利用者本人の意向を確認するとともに、入所利用者がグループホームなどでの共同生活が可能かどうかなど、社会的スキルなどの把握を行うこととしております。そのほか、ロの保護者懇談会等の機会を通じての御家族に対する説明や、ハの御本人と御家族の地域移行に御納得いただければ、移行先自治体や事業所などと調整を行うこと。あるいは、ニの地域移行された方へのフォローアップや、ホののぞみの園の地域移行への取組について情報発信していくことを、計画の中に盛り込んでおります。

 地域移行への取組については、入所利用者の高齢化、あるいは重度化などに伴い、地域移行が困難となっております。そのため、例えばハの地方自治体への調整については、第3期までは基本的には地域移行に積極的な方を中心に、地方自治体との調整を行ってきておりましたが、第4期では御本人や御家族のお考えやお気持ちを第一に考えるのはもちろんですが、地域移行に積極的ではない家族の方に対しても、地域移行先自治体と調整を行い、受入先の状況など、積極的に提案させていただくなど、今まで以上に地域移行に取り組んでいきたいと考えております。

3ページの(2)高齢の施設入所利用者に対する専門性の高い支援の実施についての具体的な取組については、イの入所利用者の心身機能やニーズに配慮した住居環境の整備、ロの機能低下を予防するためのリハビリを取り入れた日中活動の提供など、ハの高齢知的障害者支援の専門性の向上を図るための研修等への取組を盛り込んでおります。(3)の有期限の施設入所利用者の受入れについては、引き続き、他機関や事業所では受け入れることが困難な方を受け入れて、関係機関等との連携を図りながら、モデル的な支援を実施することとしております。なお、マル1の著しい行動障害等には、精神科病院に社会的入院等をしておられる方、あるいは行動障害は著しいまでにはいかないのですが、常時、医療的ケアを必要とする方などを想定しております。具体的な取組については、マル1の著しい行動障害と、マル2の矯正施設を退所した知的障害者への支援については、ほぼ同じ内容ですので、まとめて説明いたします。イのモデル的な支援の実施ですが、地域での自立した生活を目指したモデル的な支援を、ロにのぞみの園が主催する支援者養成・研修会のほか、自治体が主催する研修会などに、のぞみの園の職員を講師として派遣すること、あるいは障害者支援施設などに従事する職員を対象とした現任研修を、ハには援助・助言のほか、研究成果などの情報発信について盛り込んでおります。

5ページの中ほどに※がありますが、3期の(4)にあった発達障害児・者への支援については、第4期では12ページの5のその他の業務で記載しております。その下の(4)は目標と同じ内容ですので、説明は省略します。

6ページです。計画に盛り込んだ〈参考指標〉について説明いたします。4期で新たに設けた指標としては、地域移行ではフォローアップ件数と情報発信の件数を、高齢知的では日中活動の提供数を、著しい行動障害等を有する者への受入れでは、法人内研修の回催数を新たに設けております。

7ページの2の調査・研究の(1)については、目標と同じ内容となっております。(2)の調査・研究の内容の充実への具体的な取組については、イでは研究会議において、結果について助言を受けることを追記しております。そのほか、ロでは倫理面から妥当性を審議する倫理審査委員会やハの研究を計画的・効率的に進めるため、調査・研究調整会議を設置し、調査・研究の充実を図ることを盛り込むなど、第3期より詳しい内容としております。また、

8ページの(3)の調査・研究等の成果の積極的な普及・活用についての具体的な取組としては、第3期の内容をより詳しく記載しておりますが、イでは調査・研究の内容について、ニュースレターなどの広報媒体に分かりやすくまとめて掲載し、情報発信を行うこと。ロでは、研究紀要の発行や、研究成果を研修会等でテキストや参考資料として活用できる有償刊行物として編集し、頒布すること。また、ハでは、研究成果を関係団体等の機関誌や学会や障害福祉関係団体が主催する研修会等で発表し、普及に努めることを盛り込んでおります。

9ページの〈参考指標〉ですが、研究倫理審査委員会の開催数を新たに設けております。その下の養成・研修の具体的な取組については、第3期の計画の内容を詳しく記載したものとしておりますが、(1)の養成・研修では、イの国の政策課題や支援技術に関する、のぞみの園が主催する研修会やセミナーの開催について。ロでは、現任研修として、国の政策課題に対応したコースを設定して、知的障害者施設の職員などを対象とした研修を行うこと。ハでは、各種養成機関からの実習生の受入れを、(2)ではボランティアの受入れについて、盛り込んでおります。その下の〈参考指標〉ですが、新たな指標として、研修会、セミナーと現任研修会について、活用度を設けております。これは総務省のほうから御指示いただいております情報発信についての関係ですが、施設から研修会や現任研修会に参加された方が施設に戻って、その成果を例えば伝達研修であったり、業務に反映させるなど、活用しようとしているかどうかを、満足度のアンケートに合わせて調査をしたいと考えております。

11ページの4の援助・助言の具体的な取組についても、第3期の内容を詳しく記載したものとなっております。イでは、適切で専門性の高い援助・助言を実施すること。ロでは、障害福祉施設等、関係機関などから、職員の派遣養成に積極的に対応すること。ハでは、事例を集約し、ホームページ等で情報発信を行うことを盛り込んでおります。その下の〈参考指標〉も、新たな指標としては講演内容の活用度を設けております。

12ページの5のその他の業務についてですが、(1)の診療所の運営の具体的な取組については、4行目のまた書きの所を追加しております。診療所の在り方については、この有識者会議においても御意見を頂戴しているところです。夏の有識者会議以降も、法人内で診療所の在り方については検討を行っているところですが、第4期では、のぞみの園の役職員だけではなくて、外部の病院経営に詳しい有識者も加えて、診療所の経営改善に向けた検討を行って、経営改善に取り組んでいきたいと考えております。なお、毎年度の診療所の経営改善に向けた取組状況については、13ページの中ほどの〈参考指標〉の所になりますが、(1)の診療所の1つ目、診療所の経営改善への取組状況を新たな指標として設けております。この指標には数値目標を設定しておりませんが、毎年度の経営改善に向けた具体的な取組状況を、数値も含めて評価書に記載して、夏の有識者会議において、その改善内容を評価していただきたいと考えております。

12ページに戻って、(2)の発達障害児・者の支援については、就学前から継続的に支援を行うこととしておりますが、具体的な取組として、イの療育支援や放課後等デイサービスにおける日常生活訓練、ロの研修会や講師派遣、ハの発達障害児を支援する家族のために、集団で心理教育を行う家族心理教育や子どもとの関わりを親自身が学ぶペアレントトレーニングなど、ニの保育所等を訪問し、専門的な助言や支援を行うことを盛り込んでおります。

 その下の(3)の地域障害者に対する支援の具体的な取組については、第3期とほぼ同じ内容となっております。その下の〈参考指標〉ですが、(1)の診療所関係では、先ほど説明した経営改善のほか、外来利用者数、入院病床利用数、そして平成28年度から当法人で新たに実施しております行動障害者等により医療機関に受診することが困難な地域の障害者の方への健康診断の実施件数を新たに設けております。また、(2)の発達障害児・者の支援では、5番目の法人内研修の開催や、14ページの保育所等への訪問件数を新たに指標として設けております。その下の※ですが、第3期の6の第三者からの意見聴取については、第4期では20ページの第4に記載しております。

 第2の業務運営の効率化に関する事項ですが、1(1)の効率的な業務運営体制の確立及び人事管理に関する体制の見直しは、目標と同じ内容となっております。

16ページ、第3期の(2)の内部統制等については、第4期では20ページの第4に記載しております。

17ページの(2)業務運営の効率化に伴う経費節減と、18ページの中ほどの2の効率的かつ効果的な施設設備の利用の具体的な取組については、3期の内容とほぼ同じ内容ですので、説明は省略します。なお、施設設備の利用に関しては、19ページの4行目にある〈参考指標〉になりますが、新たな指標として資産利用検討委員会の開催数を設けております。3の合理化の推進は目標と同じ内容ですが、〈参考指標〉として、新たに契約監視委員会の開催数を設けております。

 その下の第3の財務内容の改善は、目標と同じ内容ですので、説明は省略します。

20ページの第4のその他業務運営に関する重要事項の1の施設設備や改修等については、目標と同じ内容となっております。その下の2の内部統制強化への取組の具体的な取組については16ページにある第3期の内容がこちらに移動したものですので、内容は省略します。21ページの〈参考指標〉については、新たに3番目以降の事故防止等の委員会の開催数等を設けております。その下の3の情報セキュリティ対策の強化についても目標と同じ内容ですが、〈参考指標〉として、新たに職員研修会の開催や内部監査の実施回数を設けております。その下の4の第三者からの意見等を聴取する場の確保の具体的な取組については、14ページの第3期の6(1)(2)と同じ内容となっておりますので、こちらも説明は省略します。また、22ページに戻って、新たな〈参考指標〉として委員会への外部委員の招聘を設けております。

 第5の予算収支計画及び資金計画以降については、現在、厚生労働省が財務省の方と調整していただいているところですので、こちらは検討中としております。中期計画の説明は以上となります。

 

○真野主査

 以上2つの次期中期目標案と次期中期計画案について、議論していきたいと思います。構成員の方から、何か御意見、御質問等、いかがでしょうか。

 

○五十嵐構成員

 中期目標の中で、3点ばかり、縮減割合検討中とか、具体的な割合はというコメントがあるのですが、これは先ほど一番最初に説明していただいた、総務省に送付する前に決めてするということですか。それとも、もっと先にならないと決まらないということなのですか。

 

○社会・援護局障害福祉部企画課施設管理室長

 施設管理室の池田でございます。先ほど中期目標のほうで、まだ例えば具体的な縮減割合、施設入所利用者数の数、それが、新旧対照表でいくと3ページ、あとは13ページです。具体的な節減割合、これは現在、財政当局と協議させていただいておりますが、その率が何パーセントになるかということについては、伺っているところですと、2月末までにセットするということですので、総務省に出した後で、その後に財務省と協議の中で、それがセットされるという流れになろうかと思います。

 

○五十嵐構成員

 確認ですが、委員会の意見を聴取して総務省に出すという手続のときには、まだ決まっていないという。分かりました。それでしたら、ここで審議しようがないので、分かりました。

 

○真野主査

 それだけでよろしいですか。

 

○五十嵐構成員

 いいです。

 

○名里構成員

 ちょっと今のお話に関連してしまうかもしれないのですが、在り方検討会が3月中ぐらいにまとまるということで、第1回目ぐらいの会議録しか読んでいないのですが、ハード面の建替えの話とかも出てきていたように思っています。この建物の状況などから考えると、施設整備などについてはどういう考え方で、どのようにしていくのか非常に重要で、この5年の間に動かないといけないのではないかと思うのですが、その辺の関連については余り。

 

○社会・援護局障害保健福祉部企画課施設管理室長

 先ほど少し触れましたが、中期目標の新旧対照表の2ページ目の上で、「なお、中期的な業務運営の在り方については」ということで、こちらの在り方検討会を現在、開催させていただいており、ここでは2月と書いていますが、年度内にはこの在り方検討会から報告書が出されるという流れになっております。今どういう状況になっているかというと、のぞみの園の在り方検討会の開催は昨年の5月からさせていただいておりますが、その趣旨は、のぞみの園を取り巻く状況の変化も踏まえて、中長期的な運営方針を検討する場として、在り方検討会を設置させていただきました。ですので、この平成304月から第4期の中期目標がスタートしますが、この第4期から直接どういう目標を変えるかという趣旨ではありませんで、もう少し先のことを考える上で在り方を検討していただきたいということで、検討会を立ち上げた次第です。

 御議論いただいている内容は、中長期的な運営方針ということで4点、実際は3点でしょうか。地域移行が困難な入所利用者への処遇とか、今後の事業展開及び財政について、今、御指摘がありました施設の老朽化などについてということを検討事項として、在り方検討会で御議論いただいております。ですので、今後どうなるのかというか、第4回が昨年の1218日に開催されておりますが、幾つか論点とか、そういったところを事務局からお示しして、それに対する在り方検討会の委員の先生の方々からいろいろな意見を伺ったという状況になっているものです。その中で、先ほど申し上げた広大な敷地でもあり、また施設も老朽化しているというところもありますので、老朽化しているという点については、運営費交付金の中で修理とかしていただけること。特に運営費交付金については使用制限がありませんので、本当に直さなければいけないという点は直していただきながらやっていくということは、当然、対応は可能かと思います。今後のことについては、我々としては在り方検討会の報告を踏まえて、それを厚生労働省と法人がしっかりと議論して、中長期的な運営方針に基づいて、その実現に向けて平成304月以降から議論していくということになろうかと思います。

 

○名里構成員

 当然、在り方検討会で議論されて、方向付けられた内容を5年の間に盛り込まないといけないことが出てくるかと思うのですが、それはもちろん盛り込まれるという認識でよろしいでしょうか。

 

○社会・援護局障害保健福祉部企画課施設管理室長

 まだ報告書がないものですから、具体的には申し上げられませんが、盛り込めることがあるのであれば、そこは盛り込むことになろうかと思いますけれども。

 

○真野主査

 ほかの構成員の方はいかがでしょうか。よろしいですか。

 私から質問というわけではないのですが、常々論点になっているところで、もちろんこれは国立ということで全国的な影響を持たなければいけないという話ではあるのだけれども、先ほどからも話題に出ているように、たまたま場所が高崎の郊外にあるので、どこまで全国的な影響力を持てるのかというような論点もあると思うのですが、その1つの対策としてモデルをどんどん進めていくのだということだったと思います。それ以外にも各所に散りばめられていると思うのですが、確認として、全国に影響を及ぼすような視点を総括いただけますか。

 

○社会・援護局障害保健福祉部企画課施設管理室長

 のぞみの園は250名ぐらいの方が入所されていることもあって、入所されている方へのサービスについてはしっかりさせていただくということは、当然あろうかと思います。あと、フィールドがあるということで、調査・研究にしても、養成・研修にしても、援助・助言にしてもそうなのですが、調査・研究をすれば、当然ホームページに研究成果を出させてていただきます。養成・研修は全国から福祉施設に勤務されている方が研修を受けることもあります。援助・助言という点では、電話での問合せもあろうかと思いますし、高崎市で援助・助言するということだけではなく、講師を派遣していただいて北海道でやっていただきたいとか、九州でやっていただきたいということもあろうかと思います。そういった点で、のぞみの園でサービスを提供している内容が、正しく各障害者支援施設のためになるということで、今、申し上げたような調査・研究、養成・研修、援助・助言を実施させていただいているので、群馬県内に施設はありますが、その枠を超えて全国に発信していく立場にある施設だとは思っております。

 

○真野主査

 ほかの構成員の方はいかがでしょうか。

 

○名里構成員

2点あります。この会議で毎回同じようなことを発言させていただいていますが、入所されている方の地域移行ということで、御本人の意向を確認するプロセスを大事にしていくというようなことが盛り込まれておりましたが、厚労省から昨年3月に意思決定支援のガイドラインが出されていると思います。どのように御本人の意向を確認していくのかというのをどうやっているかということを全国に発信していただくことが、すごく大事なのではないかと思うので、その意思決定支援ガイドラインとの関連というか、どのようにしようとしているかをお伺いします。

 それと、一番最初に国として地域共生社会の実現というのを、神奈川県の津久井やまゆり園の事件もあり、大きく地域共生社会の実現ということが言われるようになっていると思いますが、もちろん国立なので厚労省から話があったように、国全体を見てということでは、高崎、群馬県とか、その地域だけでないことを考えなければいけないのは分かりますが、実践として共生社会の実現に向けて、周辺地域の中でどのようにやっていこうかということについては、何か具体的なことがあれば教えてください。それと、その評価の仕方はどのように考えているでしょうか。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長

 意思決定ガイドライン云々との関係で、地域移行の対象者の意向をどのように確認するかについて御説明させていただきます。これは昨年8月の有識者会議でも、私どもの担当課長から御説明した経緯があります。いずれにしても、重度の知的障害ということで、なかなか本人の意思の確認が難しいです。これはコミュニケーションを取ることが非常に難しいということもあり、なかなか通常のやり取りでは確認できないということが、一番の課題です。

 そのために、私どもは全入所利用者を対象に、地域生活体験ということで、実際に地域生活に類似した環境の下で何日間か生活していただく、その場面で利用者がどのように変化していくかを非常に丁寧に観察していく。そして、また生活寮に戻った後、その利用者がどのように変化していくか。そして、本当に片言のやり取りの中で本人の意思を何とか確認というよりは推察する、そのようなことを時間をかけて繰り返して実施して、その上で本人としてこういった地域生活を希望しているといったことが汲み取れるのであれば、それを実現すべく取り組んでいるところです。

 このことについては、私どもは地域移行の関係で刊行物など、分かりやすいものをまとめて全国に出したりしておりますが、その中でも触れておりますが、これから全国的にもそういった重度の知的障害者の地域移行のための受け皿整備ということで、重度の方を対象としたグループホームといった施策も普及していきますので、私どものこれまでのそういった取組を更に詳細に、分かりやすく説明したものを全国に発信していきたいと考えております。

 それから、地域の共生社会というのは、これも昨年の8月に私から御説明しました、国立施設としてどこまでできるかということはあります。ただ、正に地域共生社会としてこういった障害者たちの施設事業所が、地域とどのように関わり合いをもって、そして地域の皆様とどのように一緒にお互い助け合いながら、あるいは協力し合いながら生活していく、そういう場面を実際に皆様にお知らせしていく、「モデル」というと言いすぎかもしれませんが、そういった施設事業所の有り様を自ら具体化していく必要はあると考えております。

 幸い、市の循環バスが1日に20便も乗り入れていますし、最近は地域の方が散策ということで、のぞみの園の敷地を散策され、私どもはイングリッシュガーデンのようなものを整備したりしておりますので、そういう所で楽しんでいただくというようなことも非常に増えてきております。

 また、津久井やまゆり事件がありまして、防犯対策という面でも、地域の方々と密接に連携を取るというか、地域の方々にも関心を持っていただいて、不審な車、不審な人について、情報を寄せていただくというようなことも、地域の自治体との協議の中で協力していただくことになっています。

 そのような意味で、国立の施設でということもありますが、地域の中の1つの施設事業所として、地域の中に根差し、そして地域の住民の皆様と協力し合いながら、助け合いながら、そのような施設事業所の有り様というものをもっと具体化していけたらということは考えております。

 

○名里構成員

 そのような内容のことというのは、計画の中としては特に謳われているのでしょうか。

 

○真野主査

 大方針としては謳われていないのですが、先ほど診療所の機能で、「地域の障害者の健診を始めた」とありましたが、そういうのは今の話一環なのでしょうか、たまたまなのでしょうか。全体のポリシーが、そういう部分での明確さは乏しいけれども、何か個別にはやっているのかなという気もしたのですが。

 

○名里構成員

 夏の会議のときに御報告の中では、そういった内容のことが出ていたり、御質問させていただくとお答えいただいたりしているのですが、計画にも地域とより強い連携をしていくとか、地域の中での存在を明確に、そういうことに向かっていくというようなことがあったらいいのではないかと思いました。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画局長

 持ち帰って検討させていただきます。

 

○真野主査

 持ち帰るというのは、どう持ち帰るのでしょうか。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長

 私どもの計画あるいは厚生労働省からの目標の中で、はっきりそういったことで目標あるいは計画としては記載されておりませんが、これはそもそも中期目標の第1として、現在の障害者福祉政策などの中で地域共生社会の実現ということが謳われておりますし、そういうことを背景として私どもも当然取り組んでいくということで、実際の事業としては、地域の障害のある人たちを対象とした事業をいろいろと実施しております。例えば通所利用での生活介護、B型事業所の就労移行支援、また発達障害のあるお子さんたちの児童発達支援、そして診療所においては主として発達障害関係ですが、通院利用ということもありますし、年に何回か地域を対象とした催し物も実施しておりますので、その参加者数ははっきりしますので、そういった中で具体的に指標として掲げられているものもありますし、掲げられていないものについてはそれを補足するような説明の中で、例えば催し物の参加者がこのぐらい増えたとか、そういったことも含めて地域の中でどのような活動をし、どのように地域と結び付き、活用されているかといったことを示していけたらと思っております。

 

○真野主査

 関連してお願いします。

 

○三田構成員

 名里構成員の意見と関係しているのですが、地域移行を5人したらそれで終わりということではなくて、それこそ、そのプロセスを全国に発信していただきたい。高度、高齢、重度の人をお伝えしてきた中で、今回「情報発信」という言葉が幾つか出てきましたし、資料3-2「中期計画新旧対照表」の5ページの(4)で、「サービスモデル等を構築し普及に取り組む」と書いていただきました。

 この中身が、入所歴何年の何歳の人がグループホームに出たというのを見せられても、全国の施設が参考にならないと思うのです。要するに、高齢で重度の人に対してすごく大変な思いをしていろいろと取り組みました。その中には、先ほどのイングリッシュガーデンか何か分かりませんが、施設の中身そのものをこのように変化させたとか、あるいは途中でうまくいかなかったものも含めて、全国でなかなか地域移行が進まない背景にある「無理なのではないか」「思い付かない工夫をのぞみの園ではやったのではないか」ということが分かるようなことの発信を期待しているのです。

 それが、学会発表や報告書にアクセスできない小さな施設の人たちもいて、そういう人たちに分かりやすく届ける。その中身は、意思確認をどうしたのか。始めは職員は難しくてできなかったけれども、このような助言があり、このような工夫をしたらどうだったかということを、この中身を丁寧にやってほしい。これは要望ですが、それを計画に盛り込むのは難しいと思うので、そういうことをもっと発信していっていただきたい。もうやっているということかもしれないですけれども、その中身についてなかなかアクセスできないのです。

 研修会に行った人は、そういう情報を得られるかもしれないけれども、それはごく一部かと思いますので、そういうお願いということでお伝えしたかったわけです。以上です。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長

 そういった取組はしているということもありますが、どこまで丁寧に、分かりやすく、個々の施設事業所に届くようにやってきたかというのはもう一度振り返って改善していかなければならないと思っております。

 そのような意味で、まず、のぞみの園としてうまくいった地域移行はよく発信しておりますが、ここまでやって、最後はここで駄目だった。それをどうやって乗り越えようとしているかといった内容も含んだ事例の解説も必要かと思います。

 それから、余り刊行物として立派なものというよりは、現場で簡単に手に取れるような小冊子のようなものも必要かと思っています。そのような意味で、強度行動障害などはそういった小冊子のようなものを作り、厚生労働省のホームページからアクセスできるようにもなっておりますが、地域移行についてはそういった現場で手軽に手に取って、すぐに役立つようなものを工夫して、頒布していきたい、あるいはホームページなどに掲載いけたらと考えています。

 

○真野主査

 ほかはいかがでしょうか。

 

○橋田構成員 

 中期目標、中期計画の案を拝聴させていただきました。いつも聞かせていただいて、非常に重要なお仕事をしておられると感じておりましたので、引き続きそれを続けていただいて、社会に対してそういう貢献をしていただけるというのは非常に有り難いことだと思っております。

 同時に、今までの延長線上だけではなくて、社会も変わっていきますので、そういった意味でより発展的にと申しますか、どういうプランをお持ちかという視点で聞かせていただくというところもあるわけですが、今日のお話でも、総務省の委員会から始まるのでしょうか、のぞみの園をこういう事業のモデルとして位置付けて得られたノウハウや成果を社会に還元していく、あるいはいろいろな事業所に還元していく、情報発信をしていくということで、今議論があったことかと思っております。そういった意味で、いわゆる養成・研修といったところを丁寧に考えていただいているということです。

 それから、今回の計画を見せていただきますと、個々の問題のところにも、必ず支援をする人たちの育成ということが書き込まれていますので、総合的にそういうものに取り組んでいくという計画の位置付けになっているのかと見せていただきました。

 そういう意味で質問があります。そのときに、いろいろなセミナー、研修会というのがありますし、ボランティアの受入れをされるというのもありました。もう1つ実習生の受入れというのがありましたが、指標で言うと、目標を受けて計画にしていますから、目標のところでそういう数字が出ているのだと思うのですけれども、見せていただくと、実習生の受入れだけが数字が減っているように感じたのですが、それは何か事情があるのでしょうか。

 それから、むしろ実習の中身の問題だと思うのですが、医療もまた変わっていきますし、地域包括医療など、いろいろなことがありますので、社会や医療に対しての実習というものもいろいろな考え方があると思うのですが、そういった辺りはいかがでしょうか。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長

 法人から実習生が減っているという辺りの事情について御説明いたします。1つは、私どもこういった福祉系の学部を持っている大学などに実施について呼び掛けをして、大体年度が始まる前に皆さんに集まっていただくということで、受入れの数を大体決めているのですが、大学の福祉系の学生自体が大分減ってきているということがありますし、私どもも入所利用者がだんだん減ってきまして、生活寮も順次閉鎖しているということで、受け入れる生活寮も減ってきているという事情もありまして、全体の数としては減少傾向にあるということは確かかと思います。

 ただ、実際に実習していただく場合に、プログラムについては年々の実習の記録を踏まえて、より学生の将来の役に立つようなプログラムということで工夫しているところです。

 また、実習の対象も福祉系の学生だけでなくて、例えば群馬大医学部の学生、看護学校の方、これは1日でしょうか、のぞみの園に来てということで警察学校の方など、かなり対象も広げていますので、そういう意味で私どもの障害の施設事業所の現場を活用していただき、それをそういった人材養成の面で役立てていただこうということで取り組んでおります。

 

○橋田構成員 

 実情はよく分かりました。今、正に理事長がおっしゃったことですが、福祉系の学生が実習するというのは当然だと思いますが、やはり医療系のほかの学部の方も、これは実習という言葉ではないかもしれませんが、そういう現場に触れるということは非常にいいと思います。私自身は薬学で教育に当たっておりましたので、薬剤師という職務で考えますが、何かそういう機会を作っていただく、そういう形でのいろいろな展開もチャンスがあればお考えいただきたいと思っています。

 

○真野主査

 今の理事長先生のお話からすると、もちろん意図的に減らしているというよりも環境要因が大きくて、それで減ってきてしまったけれども、新たにほかの場も求めていると、そういう理解でよろしいのですよね。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長

 はい。

 

○真野主査

 ほかはいかがでしょうか。

 

○松原構成員

 先ほど出たお話を念のため確認なのですが、在り方検討会があるのでそちらでこれから詰めていくという話なのですが、5年以内で修繕ぐらいはあるのでしょうけれど、多額の設備投資というか、建替えとか、そういうこともあるのでしょうか。

 

○社会・援護局障害保健福祉部企画課施設管理室長

 我々は指示を受ける立場ですが、在り方検討会の報告書の中で、大規模な修繕、建替えが5年間にあるのかないのかということですが、予算的には平成30年度の運営費交付金というのは、昨年末に政府案が決定されています。平成31年度から平成34年度まで、かかる費用がどれだけあるということを現在説明させていただいておりまして、それは在り方検討会というよりも、財政当局に中期目標期間中にどれぐらいの費用がかかるかを我々のほうで御説明させていただいて、それに対して必要であるとか必要でないというやり取りを、現在させていただいているところです。

 それですので、各年度の運営費交付金は予算要求させていただきますので、各年度は各年度で要求させていただきますが、この中期目標あるいは中期計画を実施する上において、これぐらいの費用がかかるということは、既に説明させていただいているところですので、在り方検討会の中で、抜本的な建替えがあるのかないのかというのは、どういう報告がまとめられるかにかかっているので、現時点では、あるともないとも申し上げることは難しいと思っております。

 ただ、予算的には毎年度かかる費用ということで、別途説明はさせていただいているというのが現在の状況です。

 

○真野主査

 結論から言うと、現状では報告書が出ていないから分からないということですよね。

 

○社会・援護局障害保健福祉部企画課施設管理室長

 そういうことです。今後の中長期的なことというのは、私のほうでは現時点では分からないということで、報告書が出てから対応するという流れになります。

 

○真野主査

 この中期計画のほうでは出ていないということですよね。

 

○社会・援護局障害保健福祉部企画課施設管理室長

 中期目標、中期計画のことについても、特にその点については触れておりません。

 

○真野主査

 ほぼ全員から発言は頂いておりますが、時間がありますのでいかがでしょうか。よろしいですか。そうしますと、多少進行が早いですが、質疑は終わりということで、改めて法人所管課及び法人から一言ずつ御発言をお願いできればと思います。最初に法人所管課からお願いいたします。

 

○社会・援護局障害保健福祉部企画課施設管理室長

 改めまして、本日は御議論いただきまして誠にありがとうございます。冒頭に申し上げましたが、第3期、第4期は大幅に中期目標は変えてはございません。今までやってきたことを、しっかりと着実に実施させていただきたいと思っております。

 一方で、今も御質問がございましたが、有識者の在り方検討会というものも立ち上げておりますので、我々としては、その報告書を受けて、厚生労働省障害保健福祉部、法人の方としっかりと議論させていただき、その報告書を受けたことをしっかりと進めていきたいと思っております。

 併せて、まだ削減率などは正しく折衝させていただいておりますが、少しでも我々はこの事業は重要だと思っておりますので、しっかりと財政当局に説明させていただきたいと思っております。本日は御議論いただきまして、誠にありがとうございました。

 

○真野主査

 法人からお願いいたします。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長

 本日は貴重な御意見、御助言をありがとうございました。ただいま厚生労働省からも御説明がありましたように、第4期の目標の案に書かれているものは第3期のものを基本的には踏襲して、それを発展させていく、あるいはその質を上げていくということかと思います。

 ただ、地域移行を例えに取れば、その困難度は更に難しいというのが実感ですが、全国の施設事業所の地域移行の流れを強めるために、のぞみの園としては何としても旗振役を続けていかなければならないという覚悟で、第4期に取り組んでいけたらと思っています。そのほかの事業も同様です。

 他方、運営面、経営面では、更に効率的な運営、経営ということが求められていることも事実です。この第4期においてはそのような面でも確実に改善が図られるように、私ども身を切る思いで取り組んでいけたらと思っております。

 第4期に入るまでの残された2か月、この間に第3期の目標は確実に達成する、そして第4期に向けての準備をしっかりとやっていくという思いで、この2か月を有効に使っていけたらと思っております。

 最後に私事で恐縮ですが、私の任期は3月で満了となります。振り返ってみますと第1期からということで、14年と4か月でしょうか。そのようなことで、大変この有識者会議、またその前身である評価委員会の先生方には御指導、御鞭撻いただき、何とかここまでのぞみの園を運営してきたということです。スピード感はなかったとは思いますが、着実に少しずつ前進してここまできたというのが実感です。このようなことでございますが、御指導、御鞭撻いただいたことに心より御礼申し上げます。

 また、第4期ものぞみの園が更に前進できるように、有識者会議の先生方の御指導、御弁撻をお願いいたしまして、法人からの御挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

 

○真野主査

 ありがとうございました。それでは、本日の議事は以上です。最後に事務局から、今後の流れについて御説明をお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 今後の流れについて御説明いたします。手続的な流れは、会議の冒頭で参考資料2で御説明させていただいたとおりで、最終的な中期計画の認可までは3月の年度内ということになります。少し日にちが空きますが、確定した中期目標と中期計画については、構成員の皆様にお送りいたします。

 最後に事務的なお知らせになりますが、構成員の皆様の中で本日配布した資料の送付を御希望される場合には、机上にそのままにして御退席いただきますよう、お願いいたします。事務局からは以上です。

 

○真野主査

 最後に、本ワーキンググループの閉会に当たり、本多総合政策・政策評価審議官から御挨拶をお願いいたします。

 

○総合政策・政策評価審議官

 閉会に当たりまして、一言御挨拶申し上げます。本日は大変お忙しいところ御出席いただき、貴重な御意見を賜りまして、誠にありがとうございました。少し部屋が寒かったのではないかと思いますが、それにもかかわらず御熱心な御議論を頂きまして、本当にありがとうございました。

 本日の御議論を踏まえまして、厚生労働省及び法人において、それぞれ次期中期目標、次期中期計画の策定手続を進めさせていただきます。独立行政法人の業績を適切に評価し、法人の業務改善につなげていくためには、その前提として法人の有する資源、能力、これまでの実績、また法人に期待される役割などを踏まえて、的確な中期目標及び中期計画を策定することが重要であると考えております。

 有識者の皆様には、引き続き、国立重度知的障害者総合施設のぞみの園をはじめ、当所管法人の評価、またその前提となる目標及び計画の策定に際し、御知見を賜りたく存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

○真野主査

 ありがとうございました。以上で第13回独立行政法人評価に関する有識者会議(医療・福祉ワーキンググループ)を終了させていただきます。長時間にわたり熱心な御議論を頂き、ありがとうございました。


(了)

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