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2018年2月19日 第18回肝炎治療戦略会議 議事録

健康局がん・疾病対策課肝炎対策推進室

○日時

平成30年2月19日(月) 10:00~12:00


○場所

厚生労働省 専用第22会議室
(東京都千代田区霞ヶ関1-2-2)


○出席者

泉 並木 (武蔵野赤十字病院院長)
金子 周一 (金沢大学大学院医学系研究科恒常性制御学教授)
考藤 達哉 (国立国際医療研究センター肝炎・免疫研究センター長)
羽鳥 裕 (日本医師会常任理事)
林 紀夫 (関西労災病院院長)
八橋 弘 (国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター長)
脇田 隆字 (国立感染症研究所副所長)

○議題

(1)肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業について
(2)肝炎対策事業の見直しについて
(3)その他

○議事

○大野肝炎対策専門官 それでは、定刻でございますので、ただいまより、第18回「肝炎治療戦略会議」を開催いたします。

 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 本日の会議には、7名の委員の先生に御参集いただくことになっております。なお、羽鳥委員につきましては、おくれて御参加される予定でございます。熊田委員につきましては、本日、御欠席の御連絡をいただいております。

 また、本日は、東京大学大学院医学系研究科の小池和彦教授、特任講師の建石良介先生にお越しいただいております。

 初めに、健康局長の福田より、一言御挨拶させていただきます。

○福田健康局長 健康局長の福田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 先生方におかれましては、大変お忙しい中、肝炎治療戦略会議に御参集賜りまして、まことにありがとうございます。

 肝炎の治療研究につきましては、もう先生方、よく御存じのとおり、医療費や定期検査の助成などを通じまして、肝疾患治療や重症化予防の促進を図りますとともに、この会議での御議論を経て、昨年度に見直しを行いました肝炎研究10カ年戦略に基づきまして研究事業を推進しているところでございます。このような中、来年度から肝がん・重度肝硬変につきまして、患者の医療費負担の軽減を図りつつ、治療法などの研究を促進する肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業を新たに実施する予定といたしてございます。

 本日の会議におきましては、議題にも書いてございますけれども、1番目の議題といたしまして、肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業の対象患者や対象医療の要件などにつきまして、先生方に御議論いただければと考えてございます。

 また、2番目の議題といたしまして、従来から実施しております医療費や定期検査費の助成事業につきまして、これもより利用しやすい制度となりますように、先生方から御意見を賜りたいと考えてございます。

 患者さんが安心して適切な治療を受けられる環境づくりを進めていくために、本日の会議での先生方の活発な御議論、また御意見をお願いいたしまして、簡単ではございますけれども、会議冒頭に当たりましての御挨拶とさせていただきます。

 本日は、どうぞよろしくお願いいたします。

○大野肝炎対策専門官 なお、局長の福田は他の公務のため、ここで退席させていただきますことを御了承ください。

 前回の肝炎治療戦略会議の開催後、事務局に人事異動があり、健康局がん・疾病対策課長として佐々木が着任しておりますが、本日は他の公務のため欠席しております。

 なお、私は、健康局がん・疾病対策課肝炎対策推進専門官の大野と申します。よろしくお願いいたします。

 それでは、議事に入る前に、配布資料の確認をさせていただきます。

 まず、議事次第と配布資料一覧、委員名簿、座席表がございます。

 資料1として、「平成30年度予算案について」。

 資料2-1と2-2として、「肝がん研究の推進及び肝がん患者等への支援のための最適な仕組みの構築を目指した研究」成果報告及び別冊。

 資料3として、「肝炎対策事業の見直しについて」。

 参考資料1として、現行の「肝炎研究10カ年戦略」。

 参考資料2として、「肝炎治療戦略会議開催要領」となっております。

 配布資料は以上ですが、不足等はございませんでしょうか。何かございましたら、事務局のほうにお申しつけください。

 カメラ撮りはここまでとさせていただきますので、御退室をお願いします。今後、会議中の写真やビデオの撮影、録音はできませんので、御承知おきください。

 ここからの議事進行は、林座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○林座長 座長の林でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、議事に入らせていただきますが、本日の議事は3件ございます。「肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業について」、2番目が「肝炎対策事業の見直しについて」、3点目が「その他」でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、議事の1でございますが、「肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業」につきまして、事務局及び小池先生から御説明をよろしくお願いいたします。

 事務局、よろしくお願いいたします。

○磯田肝炎対策専門官 肝炎対策専門官の磯田でございます。

 それでは、事務局から、資料1「平成30年度予算案」につきまして御説明いたします。この平成30年度の肝炎対策予算案につきましては、肝炎対策を総合的かつ計画的に推進するために必要な予算として、約168億円を計上しております。総額は、今年度予算の153億円に比べまして増額となっております。

 主な要因といたしましては、平成30年度からの新規事業である、本日のテーマでございますけれども、肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業の実施に必要な経費を計上しております。説明資料のほうでは、5つ並べておりますけれども、その1つ目のところに該当いたします。この部分では、肝炎治療特別促進事業も入っておりますけれども、C型肝炎に対するインターフェロンフリー治療についての最近の実施状況や、昨年11月に新薬のマヴィレットが登場したことによる影響を踏まえて増額しております。

 それでは、次のページをよろしくお願いします。6ページの上の部分でございますが、本日のテーマである肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業。この重度の肝硬変は、基本的には非代償性肝硬変を想定して話を進めさせていただきます。こちらの事業ですけれども、B型・C型肝炎ウイルスに起因する肝がん・重度肝硬変患者の特徴を踏まえ、患者の医療費の負担の軽減を図りつつ、患者から臨床データを収集し、肝がん・重度肝硬変の予後の改善や生活の質の向上、肝がんの再発の抑制などを目指した肝がん・重度肝硬変治療に係るガイドラインの作成など、肝がん・重度肝硬変の治療研究を促進するための仕組みを構築するものでございます。

 実施主体は都道府県でございまして、対象者はB型・C型肝炎ウイルスに起因する肝がん・重度の肝硬変の患者です。年収約370万円未満の方を対象と考えております。

 対象医療につきましては、肝がん・重度肝硬変の入院医療としまして、過去1年間で高額療養費の限度額を超えた月が4カ月以上の場合に、4カ月目以降に高額療養費の限度額を超えた月にかかる医療費に対して公費負担を行うものであり、その際の患者の自己負担限度月額については1万円といたします。

 こちらは、平成30年度の予算案ですけれども、実施日は平成3012月1日を予定しております。

 この事業を行うために、現在、制度を構築しているところでございますが、6ページの下のイメージ図をごらんください。先生方がごらんいただきますと、肝炎治療特別促進事業のイメージ図と似ているなと感じられる方も多いと思いますけれども、こちらの中では図の左のほうに書いています、本事業の実施主体である都道府県が指定を行った、図の右上の指定医療機関、この指定医療機関を受診する患者が図の下の方にございまして、この三者の間を埋めるように、審査支払機関や保険者等がかかわってまいります。

 これまでのインターフェロンフリー等の事業と大きく違う点は、今回の事業の対象は入院医療であって、高額療養費の限度額を超えた月を確認するという手順が加わってきたという点でございます。

 ここをうまく回すために制度をつくっている段階でございますが、その部分を抜き出したものが次のページの図になります。7ページの上の図でございますが、まず左上の部分です。

 初回入院が1番となっておりますが、実施主体である都道府県から指定医療機関に対しまして、入院記録票(仮称)を配布する。この記録票には、肝がんや重度肝硬変で入院医療が高額療養に該当した部分を記載いただくために指定医療機関に配布しておきまして、患者が肝がんや重度肝硬変で入院し、治療を受けた際には、この指定医療機関から入院記録票を患者に交付する。この入院が既に高額療養費に該当した場合は、その旨を記載します。

 次に、右側の2番目でございますが、2月目以降の入院でございます。患者は、この指定医療機関に入院する際には入院記録票を提出いたしまして、指定医療機関の窓口では、高額療養に該当した場合はこの記録票に記載を行っていきます。

 徐々にその記載が進んでいきますけれども、次に左下の3でございます。実際、患者が支援を受けられるのは4月目からでございますので、この4月目からの支援をスムーズに受けるための準備が必要でございます。それが3になりますけれども、真ん中の患者と右側の指定医療機関、左側の都道府県でごらんいただきたいのですが、患者は指定医療機関から重度肝硬変や肝がんであることを証明する臨床調査個人票の発行を受けます。イメージとしては、診断書のようなものになります。この臨床調査個人票を受け取った患者は、それを持って都道府県に新規の申請を行い、都道府県は肝がん・重度肝硬変であると認定を行いまして、患者に対して参加者証(仮称)を交付することになります。

 次に、右側の4番でございますが、この患者は都道府県から交付を受けた参加者証を、右下でございますが、指定医療機関に入院した際には提出する。提出をうけた指定医療機関は、患者に対して1万円のみ請求する。このような流れで現在、考えております。

 最後の7ページでございますが、肝がん研究の推進及び肝がん患者等への支援のための最適な仕組みの構築を目指しまして、昨年秋より、東京大学の小池先生に研究を実施していただいております。

 その目的といたしまして、1つ目は、研究や支援の対象となる患者や医療について。2つ目として、臨床データの収集内容やその方法について、3つ目は、研究や支援に協力する医療機関について、の御研究をいただく。このような研究を行っていただきましたので、御発表していただく予定としております。

 資料1については、以上でございます。

○林座長 ありがとうございました。

 質問は小池先生の御発表の後にさせていただきますので、次、小池先生、どうぞよろしくお願いします。

○小池参考人 東京大学の小池でございます。

 今、事務局から御説明がありましたとおり、29年度単年で厚生労働行政推進調査事業費補助金で「肝がん研究の推進及び肝がん患者等への支援のための最適な仕組みの構築を目指した研究」ということで検討させていただきました。

 まず、あらましを説明させていただきます。8ページの下に背景とございますが、簡単に申しますと、ウイルス肝炎に起因する肝細胞がんの生命予後は、サーベイランスや診断・治療の向上、坑ウイルス薬の登場によって飛躍的に向上してきましたが、肝がんというのは頻回の再発をするという大きな問題がございます。これまで行われてきたコホート研究の多くは初回治療例を対象としていることが多く、再発を繰り返す中でどのような治療がQOLを維持しつつ、再発の防止につながるか等については、十分に検討が行われてきていないと思います。

 そこで、9ページにございますように、国が30年度から「肝炎ウイルスによる肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業」を創設するに当たって、9ページ下にございますように、先ほども御紹介ありましたとおり、最適な仕組みの構築を目指して、3つの項目、研究や支援の対象となる患者や医療はどのようにするか。2つ目として、臨床データの収集内容及び方法をどうするか。3つ目として、研究や支援に協力する医療機関をどうするかについて研究を行いました。

10ページをお開きください。研究者は、私を含めて、ごらんの7名でございます。

 下の研究組織図でございますが、対象患者基準の作成や対象治療基準の作成を、形の上では私のほうから諮問して、患者調査項目の設定を行う。そして、データ収集に関しては、既存のNCDを使うことを検討しておりますので、分担者の慶應義塾大学の宮田先生、それから、これから説明させていただきます本学の建石良介がこの辺を担当しました。

 それでは、今年度の検討結果については、実務担当の建石のほうから御説明させていただきます。

○建石参考人 実務を担当しました東京大学の建石と申します。よろしくお願いします。

 それでは、検討結果について御報告申し上げます。

11ページの下をごらんください。まず、1番目の研究や支援の対象となる患者や医療に関しまして、肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業の対象者として、B型・C型肝炎ウイルスに起因する肝がん・重度肝硬変(非代償性肝硬変)を対象といたします。具体的に申しますと、まずB型・C型肝炎ウイルスに起因することを確かめ、そして、肝がんである、あるいは非代償性肝硬変であることを判定いたします。

 次に、判定基準について御説明させていただきます。まず、1番目に、B型・C型肝炎ウイルスに起因することの判定基準ですが、B型に関しましては、HBs抗原陽性を原則といたします。ただし、昨今、B型キャリアの中でも、経過中にHBs抗原が消失される方もいらっしゃいますし、そういう方の中にもB型肝炎を原因とする肝がんに罹患されている方がいらっしゃることを考慮いたしまして、HBs抗原陰性であっても、過去に半年以上、継続するHBs抗原陽性が認められるものは、これを含むことといたしました。

 C型肝炎に関しましては、HCV抗体陽性を原則といたします。昨今は、先ほど御説明にもありましたように、C型肝炎に対する強力なお薬等の出現で、HCV-RNAが既に陰性化されている方もいらっしゃいますが、このような方もC型肝炎に起因する肝がんあるいは肝硬変を罹患している場合がございますので、含めることといたしました。

 2番目の肝がんであることの判定基準に関しまして、先ほど御説明ありましたように、都道府県から参加者証の交付を受けるための要件としまして、肝がんであることを診断し、都道府県で認定する必要がございます。これらの方は、申し込みの際には既に肝がんに対して、切除ないしほかの治療で一旦、肝がんが治癒されている方もいらっしゃいます。そういう方でも、今後再発して多数回入院する可能性がございますことから、現在あるいは以前に肝がんであることを次のうちいずれかの方法で確認することといたしました。

 1番目は画像所見ですが、こちらに例を挙げておきますけれども、造影CT、造影MRI、血管造影/血管造影下CT等で画像所見上、肝がんと診断された方。あるいは、病理所見ですが、肝がん切除標本あるいは腫瘍生検によって肝がんと、現在あるいは過去に診断された方を含むことといたします。

 次のページに移ります。肝がんであることの判定基準(医療機関窓口で用いる基準)に関しましては、今、申し上げたのはコンセプトですけれども、電子カルテ用ICD10対応標準病名というものを用いまして、肝癌、肝細胞癌、肝細胞癌破裂、原発性肝癌、肝癌骨転移、肝内胆管癌、混合型肝癌等を含むものを「肝がん」と判定するといたします。

 こちらの詳細に関しましては、資料2-2のほうに全部列挙してあるものがございますので、適宜ごらんいただければと存じます。

 今、御説明申し上げました電子カルテ用ICD10対応標準病名マスターについて御説明します。病名の標準化というのは、いろいろな形で行われているわけですけれども、例えば一番有名なところでICD10というものがございますが、今回の目的に関しまして、ICD10ですとちょっとあら過ぎるという点がございまして、種々標準化されている病名、データベースを検討しましたところ、この電子カルテ用ICD10対応標準病名マスターが適切であろうという結論に至りました。

 これらは、いわゆるレセプト病名に用いられているものでございまして、事務方も日々、非常によく目にしているものであります。さらに、病名用のコードがちゃんと割り当てられているという点も、電子化等を考慮に入れて行う場合に最も適切であろうと考えております。

 例としまして、肝がん関連の標準病名について、こちらにお示しします。先ほど申しましたように、肝癌、胆細胞癌、肝細胞癌破裂、原発性肝癌、肝癌骨転移等がございまして、これらに病名管理番号、それから病名交換用コード、さらには対応するICD10コードが一覧となっております。先ほども申しましたように、こちらのものに関しまして、詳細は資料2-2に列挙いたしております。

 今まで申し上げましたのは、肝がんの判定に用いる病名等でございますが、次に14ページに移りまして、非代償性肝硬変であることの判定基準について申し上げます。これは、現在あるいは以前に非代償性肝硬変であることを、次のいずれかの基準で判定することといたしました。こちらも肝がん同様に、以前、例えば肝性脳症で入院されていて、現在は治療薬等で一旦落ち着いているという方も、今後、入院時にまた肝性脳症になる可能性が十分ありますので、現在あるいは以前にこれらの基準を満たしている方を組み入れることといたします。

 まず、Child-Pugh7点以上。これは、BあるいはCに当たりますけれども、これを一つの基準といたします。別に定める「非代償性肝硬変の対象医療行為」の治療歴を現在あるいは以前に有することも対象といたします。具体的に申しますと、腹水・食道静脈瘤、肝性脳症等、これらがあればChild-Pughの7点になることが多いのですけれども、以前にこれらを罹患していて、現在は落ち着いているという場合も、この対象に含むことといたしました。

 同様に、非代償性肝硬変であることの窓口判定基準、できるだけ事務サイドで判定できるようにということで考えまして、こちらも同様に電子カルテ用ICD10対応標準病名を用いて、B型肝硬変、B型非代償肝硬変、C型肝硬変、C型非代償性肝硬変、肝性脳症、肝性昏睡、肝不全、難治性腹水、食道静脈瘤破裂などを「非代償性肝硬変」と定義いたしますので、これらの病名がついている場合は、事務サイドでこのように判定することといたします。

 次の15ページ、支援の対象となる医療行為です。これらの方が入院された場合も、全く関係ない医療行為で入院される場合もございますので、本支援事業の趣旨を鑑みますと、肝がんあるいは重度肝硬変の治療目的に入院された方を対象とすべきであると考えます。

 肝がんに対する治療に関しましては、Kコードと申しまして、これもDPCと申します医療支払い制度に参加されている病院の方等にはなじみの深いものと存じますけれども、例えば肝切除はK695というコードが割り当てられております。肝悪性腫瘍に対するラジオ波焼灼療法はK697。同様にこちらに列挙してありますけれども、これらの肝がんを目的とした治療行為の治療コードが割り当てられている入院に関しましては、これらの治療目的であると容易に判別することができるかと思います。

 一方で、昨今では、肝がん転移等のペインコントロール目的で入院される方もふえております。これらは、必ずしも上の肝切除やラジオ波の適用となるものではございませんけれども、肝がんによって生じた症状の緩和のために入院するわけですから、本支援事業の趣旨を鑑みても対象とすべきであると考えております。

 非代償性肝硬変の診療行為に関しましても、こちらにあります。Kコードでありますと、内視鏡的食道・胃静脈瘤結紮術等。それから、処置をあらわすJコードでありますと、腹腔穿刺などを含むものを想定しております。

 それから、これらの入院に付随しまして、特に核酸アナログや肝庇護療法等の治療をお受けになっている方もいらっしゃると思いますので、それらの医療行為も対象とする予定であります。

 対象とする行為の分類に関しまして、医療機関の窓口において、当該入院が肝がん及び非代償性肝硬変の治療目的の入院であるかを判別いたしますが、まず1番としまして、これら肝がん及び非代償性肝硬変の治療目的であるということがKコード等で明白であるもの。

 2番目といたしまして、上記1ではないのですけれども、関連行為として支援対象とするものを分けて考えるようにしております。

 続きまして、2番目の臨床データの収集内容及び方法について御説明します。16ページをごらんください。現在、日本では、臓器がん登録といたしまして、日本肝癌研究会による全国原発性肝がん追跡調査というものが、過去30年余りにわたって施行されております。この調査は、肝がんの初発時のデータの収集、及び生存予後の解析等を目的としたものでありまして、かなり悉皆性の高いデータベースなのですけれども、本支援事業の対象となるような複数回の入院に関しましては、業務が煩雑であるという理由もございまして、これまで十分な収集が行われてきませんでした。ですので、これらに付随する形で、頻回入院の入院病態を収集するようなシステムの構築を考えております。

 また、非代償性肝硬変に対しましては、これまで症例登録システムは存在してきませんでしたので、これは肝がん同様に構築することを考えております。

 一方で、担当医師の入力業務というのは、かなり負担増になる可能性がございますので、できるだけこちらを軽減するということを考えております。

16ページ、下の図にNCDのホームページの写真を載せてあります。これは、もともと専門医制度の症例登録を目的としたデータベースであったわけですけれども、先ほど申しましたように、種々の臓器別のがん登録のプラットフォームとしても最近は使われておりまして、特に日本肝癌研究会では、内科や放射線科、病理等もこれらに参画するようになりましたので、非常にいいモデルケースかと存じます。いい点は、パスワードとIDが共通化している点でございまして、入り口は同じですけれども、疾患ごとにそこから枝分かれして入力することができる。あるいは、プラットフォームも似通っておりますので、入力手続に関する新しいスキルを学ぶ時間が少なくて済むという利点があると考えております。

 例としまして、17ページ上に日本肝癌研究会追跡調査の入力項目の一部をお示しします。これはごく一部でございまして、実際は200項目を超えるような項目を入力しなければいけないのですけれども、既に2015年にNCDに肝癌研究会の追跡調査のシステムが移行されまして、現在、さらに2年分、計6年分を3月ぐらいまでに収集予定でございます。

 次に、収集する臨床データについて御説明いたします。収集する臨床データに関しましては、肝癌研究会の追跡調査項目というのはよく練られておりますので、こちらをベースにいたしまして、本支援事業の趣旨でありますウイルス肝炎の治療等について、項目を少し追加いたしまして、詳細を収集したいと考えております。

 臨床データの収集方法ですけれども、研究に同意した肝がん・重度肝硬変の患者が、NCDを導入している指定医療機関に入院した際に、入院ごとに上記項目に関する臨床データを、補助員というのも各病院にいらっしゃるのですけれども、担当医と補助員がNCDに登録することによって収集すると考えております。現在の仕組みと少し違うのは、複数回入院に対応するようにシステムを拡充しなければいけないのですけれども、技術的な問題に関しては、既にNCDのほうと打ち合わせをしておりまして、可能だろうと考えております。

 最後のページになります。18ページ、指定医療機関・データ収集医療機関について御説明します。

 まず、こちらのシェーマをごらんいただいておわかりになりますように、一番大きな枠組みとして、支援事業を受ける患者が入院する指定医療機関というものがございまして、その中で、データを登録する臨床データ収集医療機関というものがございます。これらの要件が少し異なりますので、一つ一つ御説明さしあげます。

 まず、ウイルス肝炎から生じた肝がん・非代償性肝硬変の医療行為を行うことができる医療機関ということで、できるだけ広く支援を受けていただけるように、間口を広くする必要がございます。肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業の趣旨に同意・協力する医療機関というものを想定しておりまして、具体的には、肝疾患診療連携拠点病院等の肝疾患専門医療機関や、がん診療連携拠点病院等のがん専門医療機関等を想定しておりますが、より広く指定されていくことを想定しております。

 その中で、さらに臨床データを収集できる医療機関としましては、上記指定機関のうち、NCD参加施設を想定しております。NCDは自由に参加できるので、ここにさらに手挙げをしていただいて参加していただくことも可能ですし、既に5,000以上の施設が参加しております。肝がんにおける切除等の診療行為を行う機関はほとんど網羅しているものと考えております。

 最後にまとめですけれども、肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業の対象患者及び対象医療の範囲と判定基準を検討いたしました。

 肝がん再発防止研究のための臨床データ収集項目の概要を検討いたしまして、今後、30年度からのデータベース構築と並行して、さらに詰めていく必要があると考えております。

 同事業における指定医療機関及び臨床データ収集医療機関の要件を検討いたしました。

 以上です。

○林座長 どうもありがとうございました。

 それでは、事務局と小池先生のほうに御質問等がございましたら。

 どうぞ。

○泉委員 入院が4カ月以上、1年間ということになると、恐らく急性期病床に入院されて、療養型に転院なさる方も結構多いかなと思うのですけれども、その場合には、都道府県に申請して新たに指定医療機関として届ければ、急性期病院と連携した形で治療を受けられるということで、4カ月に含まれるという形で判断してよろしいでしょうか。

○林座長 これは事務局のほうでお答えいただいたほうがいいと思います。

○小野肝炎対策推進室長 そのように御理解いただければ。

○林座長 それは、移る病院も最初からこの指定を受ける必要はないということですか。最初の医療機関が指定を受けておればいいということですか。病院が2回目、変わってしまいますね。

○小野肝炎対策推進室長 そこは両方です。

○林座長 両方、指定機関でないとだめということですね。

○考藤委員 研究支援事業という性格上、少し間口を広くとっていただいて、実際、臨床データ収集医療機関はその中に含まれるという御説明、よく理解できたのですけれども、実際に受ける立場の方のことを考えてみると、支援は受けたいけれども、臨床データはちょっと抵抗がある方も中にはいらっしゃると思います。そういう方が、例えばNCDが完備されている病院に入院しようとしたときには、どういう扱いになると考えたらいいでしょう。

○林座長 これは難しい問題ですね。

 はい。

○建石参考人 事務局からもお答えいただけると思うのですけれども、本支援事業は、基本的に研究に御協力いただけるという同意を得た上で支援を受けていただくスキームになっていますので、そのような場合でもデータを入力するということを想定しております。

 一方で、個人情報等、そういう懸念が昨今、特にございますけれども、このNCDというのは、名前はハッシュ化と言って、再現できない形で暗号化された状態でデータが登録されますので、その辺の個人情報保護等を含めた仕組みも十分に完備されているものであると考えております。

○林座長 事務局のほう、何か追加はございますか。

○磯田肝炎対策専門官 追加の御説明ですけれども、イメージしていただきますと、同意いただいた患者からいただく臨床データについては、2つの経路でデータが提供されると御理解いただければと思います。

 1つといたしましては、指定医療機関から、先ほど診断書のような形の臨床調査個人票を作成いただくと申し上げましたが、そちらは患者から都道府県に提出されるわけで、その際、肝がんや重度肝硬変の認定のためにも使われますが、そのデータは、同意いただいている方は国に届けて、このデータも研究者に届ける。こちらのほうで、基本的には全ての利用していただける患者からは、研究には協力いただいている形で、さらに支援を受けた指定医療機関がNCDに協力いただける医療機関であった場合には、NCDを介してからも研究に協力いただける形になります。

 ですので、NCDのほうに同意いただけなくても、1つのほうで研究には御協力いただいていると御理解いただければと思います。

○林座長 どうぞ。

○考藤委員 それに関連した質問ですけれども、よく担当者の方とお話しすると、どの時点で申請を上げるのか、あるいは患者さんに希望を確認するのかという点が1つ懸念としてあります。きょうのスキーム図を見ると、3に、4月目の入院までに参加証を申請して発行するということで、少し含みを持たしていただいているように理解するのですが、これは基本的に、例えば治療を行う医療機関の立場からすると、どの時点にこれを行うということを想定されていると考えたらいいでしょうか。

○林座長 事務局。

○磯田肝炎対策専門官 こちらに関しては、基本的にはなるべく早くということしか申し上げることができないのですが、初回の入院のところから患者様のほうに、今後、何回も再発して入院するということは、現場としても説明しにくいというお声もいただいておりますので、初回には、そういったこともあり得るということをごく簡単に御説明いただいて、記録票をお渡しいただいて説明していただく。2回3回、もしくは2月3月と繰り返した場合のほうが説明しやすいということであれば、それでも構わないかなと思っておりますが、研究という名目上は、なるべく早くの段階から御説明いただくことが望ましいと考えております。

○林座長 どうぞ。

○金子委員 この目的ですけれども、患者等への支援のための最適な仕組みの構築を目指すということですが、NCDの登録は本当に大変なのです。初回の登録だけでも大変ですけれど、頻回の入院を登録して、その時に、どういう項目を、どう入れるか。先ほどの目的というのは、恐らく検査とか治療をどういうふうにして、どんな回数で行われているかを調査する、そして、どんな医療費を支援するみたいなことを最終的につくるという目的なのでしょう。けれども、どういう項目を、どう入れるのか。肝がんのNCDの登録は200項目以上のもので、なおかつ、対象がたくさんの人となると、どうやって数字をだすのか。

 この入力はすごく大変なので、いつも苦労しているのですけれども、それをたくさんの対象の方にやっていただいて、精度がそれだけしっかり上がるのかをちょっと心配するのです。

○林座長 建石先生、いかがですか。

○建石参考人 これは、30年度からの本体の実施にかかる要件だと思います。私も実務担当として、今まで肝癌研究会で入力してまいりましたので、大変さはよくわかっているつもりですが。今回の研究班で検討した結果として、

 1つは、インセンティブをつけてカウントして、しかるべきサポートを行うという形をとって頂けないかと思っています。

 もう一つは、今、肝癌研究会の入力自体はボランティアで行われているわけですけれども、それに過剰な負担がふえないように、できるだけ項目をかぶせて、再利用等、可能な形にしてはどうかと思っていますし、初回入院の入力が済んでいれば、再発入院に関しては、例えば治療行為等だけをピックアップすればいい形にしておけば、大分手間が省けるのではないか。そこは腕の見せどころですけれども、あまり大変にならないようにできないかと考えております。

○林座長 金子先生。

○金子委員 おっしゃるとおりで、腕が相当必要で、すごい患者数を登録したけれど、結局、精度管理上、悪いデータしか出てこないというのをちょっと気にしたものですから、発言させていただきました。

○林座長 どうぞ、八橋先生。

○八橋委員 12ページです。B型肝炎・C型肝炎ウイルス起因に関する判定基準に関して、B型に関してはS抗原陽性ということと、消失しても過去に半年以上陽性であれば良いという点は評価できる基準だと思います。HCV抗体陽性も、今は多くの方でウイルス排除されますのでHCV-RNAが陽性である必要はないと思います。しかしながら、HCV抗体検査の特異性の観点からは、検診などでのスクリーニング検査では擬陽性例が1割近くあるということを考えると、そういう方も含めてしまう可能性があるのではないかと思います。過去にHCV-RNA陽性であることが確認できるという要件を追加した方がよいのか、追加しない方が良いのか、その点を確認しておきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

○林座長 微妙な問題ですね。陽性でもわからない方がおられますものね。

○建石参考人 当然の御懸念だと思いますし、我々もその点は考慮いたしましたが、今回は、HCV-RNA陽性をとれない方を救済するほうに、むしろ間口を広げるほうに判断いたしました。

○八橋委員 わかりました。

 その点も考慮された上での判断ということで、確かにHCV-RNA陽性を証明できない方もおられて、そのような方も救済したいということでしたら、承知しました。

○林座長 どうぞ。

○考藤委員 治療内容に関してですが、これも恐らく十分議論されたところだと思いますけれども、今回は肝切除とラジオ波、TAEといった形の肝がん治療の内容が入っていますが、今後出てくる分子標的薬等を含めた、いわゆる広い意味でのケモセラピーについては、今年度はこれでいくと私自身は理解したのですけれども、今後の可能性も含めて、どのようにお考えか、少し判断をお聞かせ願えれば。

○建石参考人 それも当然の御懸念かと思います。23ページの詳細のほうに、化学療法についても載せてあります。今後、分子標的薬、近い将来にまた加わってまいりますし、将来的には免疫療法等も保険適用になる可能性があると考えておりますので、こちらのリストに関しては拡充する必要があると思いますけれども、今、御質問にありましたような、分子標的薬に関しましては、ソラフェニブとレゴラフェニブはもう載せてありますので、ここは適宜拡張していくという形で対応されるだろうと考えております。

○林座長 治療薬は、承認が広がれば、それに応じて拡大していただけるということですね。

○磯田肝炎対策専門官 はい。

○林座長 それでは、いかがでございましょう。よろしゅうございますか。

 確かに運用が始まると大変だということで、担当されると非常に負担がかかるような気もいたします。いろいろな要件があって、かなり考えて出された案でございますので、やりながら、一部修正されないと、運用上、少し困ることが起こるかもわかりませんけれども、よろしゅうございますでしょうか。

 それでは、御質問がないようでございますので、本日の先生方の御意見を踏まえさせていただいて、修正することがあれば修正させていただきます。肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業の対象患者や対象医療などを確定させるように、よろしくお願いいたします。

 次の議題、議事2でございますが、「肝炎対策事業の見直し」につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。

○磯田肝炎対策専門官 それでは、肝炎対策専門官の磯田より御説明させていただきます。

 事務局では、患者団体からの御要望や地方自治体や肝疾患診療連携拠点病院が参加する、肝炎対策地域ブロック戦略会議での議論などを踏まえまして、肝炎治療特別促進事業や重症化予防推進事業について、より利用しやすい制度への見直しを検討しております。本日は、3つの項目につきまして、医学的見地からの御意見を賜りたいと考えております。

 それでは、26ページの資料3をごらんください。

 まず、1つ目の項目でございますが、肝炎治療特別促進事業におけるB型肝炎患者の核酸アナログ製剤治療の更新の際の申請手続の簡素化についての検討でございます。イメージ図のところをごらんください。まず、患者は医療機関から診断書を毎年もらいます。こちらは、診断書あるいはそれにかわるものといたしまして、2年目以降は検査結果やお薬手帳のコピーでも構わないと現在はなっております。

 この診断書あるいはそれにかわるものを医療機関からもらいまして、次に市役所等から住民票や課税証明書等の交付を受けます。こちらを全て集めまして、さらに交付申請書と被保険者証をあわせまして、保健所等の窓口を通して都道府県に対して申請を行うという形になっております。こちらは、基本的には毎年行うことになっております。

 現状の課題ですが、核酸アナログ製剤治療を開始したB型肝炎の患者の多くが長期の投与を続けている実態となっておりまして、かつ、核酸アナログの投与を行っている場合は、容態の変化がほとんどないという状態にもかかわらず、毎年の病態認定のために医師の診断書あるいはそれにかわるものを提出し、認定協議会の認定を受ける必要があるという点でございます。

 そこで、今回の検討といたしまして、現行では、更新の申請においては、医師の診断書あるいはそれにかわるものの提出と、認定協議会の開催を必要としているところにつきまして、右側の改善案でございますが、数年、我々のほうでは3年以内ということを想定しておりますが、この数年は診断書あるいはそれにかわるものではなく、お薬手帳の提出のみとし、認定協議会の開催を省略できるようにしてはどうかと考えております。このお薬手帳の提出のみとしているのは、この事業が核酸アナログの投与を受けるための助成を行っておりますので、毎年、核酸アナログ投与を受けていることはお薬手帳で確認すべきではないかという意図でございます。

 次のページは、平成29年度の地方からの提案等に対する対応方針で、内閣府の地方分権改革推進本部で決定されている事項でございまして、37番、肝炎治療特別促進事業については、2段落目の「また」以降でございますけれども、核酸アナログ製剤治療の更新認定に関して、今後も医師の診断書の提出を1年毎に求め、認定協議会を開催して認定を判断することの必要性の有無については、肝炎治療戦略会議等の有識者の意見も踏まえて検討し、平成30年度中を目途に結論を得る。その結果に基づいて必要な措置を講ずることとされております。

 本日は、皆様の御意見をいただきまして、さらに検討していきたいと考えておりますので、何とぞよろしくお願いします。

○林座長 では、1件目でございますけれども、これは以前から御要望の多かった案件でございますけれども、御質問、御意見ございましたら、よろしくお願いいたします。

 どうぞ。

○金子委員 石川県では、検査結果・お薬手帳に加えて、実は年に1回、画像診断をしているかということまで提出してもらっているのですね。患者さんがより利用しやすいとか、簡単なようにということで、すごく簡単にしてきたつもりですが、こういったことをしているには、2つの理由があります。1つは、患者さん側からも、年1回、こういうことをちゃんとやってもらっているので安心できるという声もあるのですね。

 もう一つ、こちら側のサイドとしては、石川県では肝炎ウイルス陽性者の同意をいただいた方に、みんなフォローアップ事業をしています。年に1回、専門医療機関を受診してくださいという勧奨とか結果をいただいて調査をしています。それをしているということもあって、年一度の画像診断とか検査結果ぐらいは、患者さんは手に持っておられるはずなので、この核酸アナログのお金をいただくときにも、それぐらいは出してほしいということが1つです。

 同時に、耐性ウイルスが出現しているとか、あるいはちゃんとコンプライアンス、飲んでいるのかということを確認する意味もあって、認定協議会のほうはちょっと大変なのですけれども、やっております。ですから、各都道府県によって大変な地域もあるでしょうし、患者さんにとって負担の多いところもあるでしょうと思います。都道府県によって随分違いがありますので、都道府県の実情に合わせて対応できるという一言を加えていただければありがたいなと思っております。

○林座長 これは前から議論のあるところで、簡略化するという御要望も多いのですけれども、簡略化すると今、御指摘のあった点、以前から指摘されている点もございます。金子先生が言うように、都道府県でやれるというのであれば、やっていただいてもいいような気もいたしますけれども、少し先生方の御意見をお聞きしたいと思います。

○八橋委員 長崎県でも更新書類を毎年、1年ごとにチェックしています。ただ、今は診断書がなくても、検査結果と処方の状況を確認して審査していますが、毎年の更新だと患者さんも事務方も大変です。事務作業の簡略化ができると、各都道府県としてもすごくありがたく、またその分の負担に対する労力を別のところに注ぐことができるのではないかと思います。

 患者さんも、診断書の作成依頼が必須ではなくなったことで、この1年間でかなり負担軽減されたと思うのですけれども、より弾力的に運用できるようになれば良いなあと思います。

○林座長 ほか、いかがでしょう。

○泉委員 確かに、金子先生がおっしゃったのはもっともなことで、B型肝炎で核酸アナログでずっと正常なので、御照会した先生方に聞かせていただくと、更新を持ってこられたときに画像診断、エコーをやっていますかと聞いたら、やっていないとおっしゃるので、たまたまエコーをやったら見つかった肝がんがあることは事実です。ですから、僕は都道府県の需要に合わせて、ただ、専門医の目ができるだけ通るような形にしておいたほうがいいかなと思っております。

○林座長 泉先生にお聞きしたいのですが、東京は患者数が当然多いですね。これを全部委員会を開催してやることは、余り困難ではない。

○泉委員 現実には、東京都ではたくさん症例が出てくるのですけれども、審査はちゃんとスムーズにやっています。

○林座長 それは年1回の開催でできるのですか。何回か開催されている。

○泉委員 僕は委員でないのでわからないですけれども、2カ月か3カ月に1回やられている。

○林座長 どうぞ。

○考藤委員 私も、今、出た御意見に賛同するのですけれども、ある程度柔軟性を持って、これは都道府県に任せていただくという形がいいのかなと思います。と言いますのは、いろいろな状況とかデータを見ますと、核酸アナログで仮にRNA陰性で、ALTが正常でも発がんのリスクというのは消えていないですから、ある程度定期的に専門医が診られるような場を設定していただくのがいいと思いますし、それが果たして協議会、3年に1回で十分スクリーニングできるかという問題は、また別の問題であると思いますけれども、あくまで都道府県主体で判断していただく形がいいのかなと私は思います。

○林座長 事務局のほう、それでよろしゅうございますか。もちろん、緩和していただくのは、それをやる県はやっていただいたらいいと思いますが、中には、画像とか検査結果を確認したいという都道府県があれば、それは都道府県の裁量で継続していただいてもいいという手続になってもよろしいでしょうか。

○小野肝炎対策推進室長 この見直しについては、内々に都道府県の意見を聞いているのですけれども、事務を簡素化してほしいという意見と、現状のままでいいという意見が真っ二つに割れている状況でして、我々もちょっと困っているところはあります。そういう意味でも、御意見いただいているように、ある程度都道府県の判断に任せていくのはあるかなと思っております。国としては、最低限これだけはやってくだいという基準を決めておけばいいと思うのですけれども、その最低限の基準が、今、御提案させていただいているようなものでいいかどうかというところを御確認いただければと思います。

○林座長 ということで、各都道府県の事情で提出していただく書類を追加してもいいということですね。それでよろしゅうございますか。

 どうぞ。

○金子委員 最後に、この「病態の変化がほとんどないにもかかわらず」の一言が本当にオーケーか。これがいろいろな文書に出て歩くのをちょっと心配したのです。

○林座長 それはおっしゃるとおりですね。これはどこの文章ですか。公表用文書に入っていなければいいですけれどもね。事務局のほうで御検討いただいて、また後日御報告いただいたらいいと思います。中には進行する方も、当然のことながらおられますので、公式の文書だけは先に置いていただいたほうが安全かもわかりません。

 よろしゅうございますでしょうか。それでは、事務局のほう、どうぞよろしくお願いいたします。

 2番目の項目について、事務局、よろしくお願いします。

○磯田肝炎対策専門官 それでは、2番目の項目でございます。こちらも同じく、肝炎治療特別促進事業において、B型慢性肝疾患に対する、今度はインターフェロン治療への助成回数の増加に関する検討でございます。

 こちらは、B型慢性肝疾患に対するインターフェロンの治療に対しても医療費助成を認めるというのは、平成23年度の戦略会議において御議論いただいております。その際に、この助成回数については、その当時でございますけれども、「現時点では1回が妥当と考えるが、数年たって、またその経緯も踏まえて考える」ということで御議論いただいております。ですので、当時としては助成回数は1回ということで定めております。

 現状の課題でございますけれども、B型慢性肝疾患へのインターフェロン治療に対して、助成回数は1回まで認めておりますので、不成功の者は2回目以降の助成が受けられないという課題がございます。

 そこで、現在、インターフェロン治療の2回目の助成を受けることができるのは、これまでペグインターフェロン製剤による治療を受けたことがない者が同製剤の治療を受ける場合とする。つまり、ペグインターフェロンによる治療は1回までとするとなっているところに対しまして、改善案としましては、以前、ペグインターフェロン製剤による治療を受けたことがある患者に、同製剤による2回目の治療に対しても医療費助成を認めてはどうか。こちらが改善案でございます。

 それでは、よろしくお願いします。

○林座長 というのが2件目で、これも以前から御要望のあることでございますが、実際、インターフェロン治療回数は物すごく少なくなっています。最近は目標をHBs抗原陰性化に置いておりますので、併用される方も当然ございますし、そういう研究の申請もございますので、今回、複数回お認めいただいてもいいのではないかという案でございますが、いかがでしょうか。

○八橋委員 平成23年の会議で、助成回数を2回にするか、1回にするかということで私はコメントを述べました。当時は治療の効果が明確でなかったので、1回までにしておきましょうというのがそのときの私のコメントだったと思います。ただ、その後、ペグインターフェロンが、HBs抗原量を良く下げる、数ある抗ウイルス剤の中でHBs抗原量の低下率が最も顕著であることが明らかとなりました。実臨床では核酸アナログ導入例が多く、ペグインターフェロン治療されている方は少ないのですが、よい結果を示した例も経験していますので、1回ではなくて、希望される方では治療の機会を2回認めてあげてもいいのではないかと、今回、私は思います。

○林座長 認めさせていただいても、希望される方が急激に件数がふえるというわけではないと思います。希望される方がおられたらお認めいただいたほうがいいような気もいたしますので、よろしゅうございましょうか。

 それでは、事務局の御提案のとおり、見直しを進めていただければと思います。ありがとうございました。

 次に、3番目の項目でございます。事務局、お願いします。

○磯田肝炎対策専門官 3番目の項目でございます。こちらは、重症化予防推進事業の定期検査費用の助成を受ける際の医師の診断書の省略ができないかという検討内容になります。

 イメージ図の中で、患者は医療機関から診断書と領収書、それと医療内容がわかる明細書を毎回取り寄せることになりますが、医師の診断書は、現時点でも2回目以降は病態に変化がなければ省略可能と定めております。本診断書と領収書、明細書を医療機関からそろえまして、次に市役所から住民票と課税証明書等を取り寄せます。こちらを用いまして、保健所等の窓口を介して都道府県に申請を行うことになります。

 現状の課題といたしましては、定期検査費用の助成を受けるためには、初回は医師の診断書が必要とされていることが課題として挙げられております。現行で医師の診断書が必要となっていることに対しまして、改善案としまして2つ御提案したいと考えております。

 1つ目は、肝炎治療特別促進事業においては、インターフェロンフリー等の診断書がございますけれども、28ページの下の左側になります。こちらのように、ある程度詳細な診断書を作成されているわけで、このように他の事業で過去1年以内に診断書の提出を受けている場合には、診断書の提出を省略することができることとしてはどうかと御提案したいと考えております。

 2つ目ですけれども、肝炎患者支援手帳等に記載された病名。都道府県によっては、手帳の中には、病名、治療、検査等の医療に関する記載もいただいていると伺っておりますので、このようなものであれば、様式例に示す診断書以外のものでも、都道府県が病態を確認できると認める方法で申請できることとしてはどうかと考えております。

 以上でございます。

○林座長 御質問、御意見ございましたら。

 どうぞ。

○泉委員 重症化予防推進事業がまだなかなか行き渡っていない。C型肝炎ウイルスが消えてからもしっかり診ていくということで、確かにC型肝炎治療をなさったことがあるということがきちんとわかれば、医師の診断書がなくてもいいのではないか。そうすると、重症化予防推進事業がもっと拡大・確立するのではないかと思います。

○林座長 ありがとうございます。

 考藤委員。

○考藤委員 冒頭で事務局から御紹介いただいた肝炎情報センターと肝炎対策推進室と地方自治体の肝炎治療の担当者と拠点病院の方々、4者で相談するようなブロック会議を昨年度から開催しているのですが、今年度の議題として、実はこの重症化予防事業の推進をどのように進めていけるかということを話し合いました。そのときに担当者の方がおっしゃっていたのは、手続が少し煩雑で、なかなか利用者がいないということで、ここをもっと進めるためには、1つは診断書の必要性というものを簡略化できないかという御提案が、幾つかの担当者のところから挙がりました。

 今、事務局から御提案いただいたような内容で、もし行けるのであれば、恐らく申請される患者さん、あるいは治療が終わった方も含めて、ふえることが予想されますし、何より担当者の方々もそれでアピールしやすいということを声として聞いておりますので、事務局の御提案には私は賛成したいと思います。

○林座長 はい。

○金子委員 事務手続が煩雑であることに加えて、診断書にはお金が発生していたのです。診断書をお金が発生してもらって行ったら、所得のところではねられたということで、実は受けられないという方もおられました。石川県は既に診断書は公印がなくてもいいということを認めていただいています。病院によって、どうしても取らなければならないというところもあるのでしょう。けれども、お金は発生しないということができたものですから、同意いただいている肝炎ウイルス陽性者には年に1回通知をしているのですけれども、その際に、この右手にあります診断書を全部同封しているのです。

 ということをしておりますので、今回もさらに都道府県が病態を確認できると認める方法でということを言っていただくと、大変助かります。

○林座長 ほか、よろしゅうございますか。

 それでは、この件につきましては、事務局の御提案どおり見直しを進めていただければと思います。ありがとうございました。

 以上、議題が2件ございましたが、何か御意見。よろしゅうございますでしょうか。ありがとうございました。

 それでは、3番目、「その他」でございます。せっかくお集まりいただいてございますので、議題1、2以外でも何か御意見等ございましたら、御発言いただければと思います。いかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。

 それでは、特にございませんので、これで議事を終了させていただきたいと思います。

 最後に、事務局のほう、よろしくお願いいたします。

○大野肝炎対策専門官 本日は、活発な御議論ありがとうございました。

 今回の議事録につきましては、原案ができた段階で各委員に送らせていただきますので、御確認をよろしくお願いします。その後、ホームページで公表ということでございます。よろしくお願いいたします。

 なお、先生方におかれましては、肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業における支援の対象となる医療の範囲などの、本日の議題に関する御意見がございましたら、後日でも構いませんので、事務局のほうへ御連絡をよろしくお願いいたします。

 以上です。

 それでは、閉会とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。

○林座長 どうもありがとうございました。


(了)
<本件に関するお問い合わせ先>

健康局がん・疾病対策課肝炎対策推進室

伊佐地  代表電話:03-5253-1111(内線:2949)

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