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2018年2月8日 第2回腎疾患対策検討会 議事録

健康局がん・疾病対策課

○日時

平成30年2月8日(木)13:00~15:00


○場所

厚生労働省専用第22会議室(18階)


○議事

○福井がん・疾病対策課長補佐 それでは定刻となりましたので、ただいまより第2回腎疾患対策検討会を開会いたします。構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。まず、本日の出席状況について御報告いたします。中元構成員、門脇構成員のお二人は遅れていらっしゃるとの御報告を頂いております。また、健康局長は急な公務のため、欠席とさせていただきます。ここからは柏原座長に議事をお願いいたします。

○柏原座長 前回の第1回の検討会で座長に御指名いただきました、日本腎臓学会の柏原でございます。第1回の検討会の協議を踏まえまして、第2回におきましても、是非、活発な御協議をお願いしたいと思います。まず事務局のほうから、資料の確認をよろしくお願いいたします。

○福井がん・疾病対策課長補佐 資料の確認です。議事次第、座席表、構成員名簿に続いて、資料1「腎疾患対策の全体目標について」です。資料2「今後の腎疾患対策の方向性()について」です。資料3「日本医師会の取組と提言-日本糖尿病対策推進会議を中心に-」は羽鳥構成員提出資料です。参考資料1「腎疾患対策における全体目標について」及び「今後の腎疾患対策の方向性()について」は参考資料です。参考資料2は今後のスケジュール()です。

 また、構成員のお手元には、第1回検討会の資料を配布しております。こちらは会議終了後、机の上に置いたままにし、お持ち帰りになりませぬよう、よろしくお願いいたします。資料に不足・落丁等ありましたら、事務局までお申し出ください。カメラの撮影はここまでとさせていただきます。

○柏原座長 それでは早速ですが、議事を進めていこうと思います。まず議事1「腎疾患対策の全体目標について」に移りたいと思います。事務局から資料1、参考資料1の御説明をよろしくお願いします。

○福井がん・疾病対策課長補佐 資料1「腎疾患対策における全体目標について」を御覧ください。10年前の検討会報告書では2ページに示すように、腎機能異常の重症化を防止し、慢性腎不全による透析導入への進行を阻止し、新規透析導入患者を減少させること、さらにCKDに伴う循環器系疾患、脳血管疾患、心筋梗塞等の発症を抑制することという目標を立てておりましたが、今回の検討会の目標をどのようにすべきかについて、様々な御意見を頂きました。

3ページを御覧ください。主な御意見としては、「10年前に掲げた透析導入患者の減少はシンボリックな事象ではあるが、今回は広い視野で医療の最適化がイメージできる目標設定が望ましいのではないか」、川村構成員から頂いた意見です。「CKD患者は自覚症状に乏しいため、早期発見、早期治療が重要ではないか」、松村構成員から頂いた御意見です。「CKD全体に対する良質で適切な医療の提供を目標とすべきではないか」、南学構成員から頂いた御意見です。「QOLの維持向上も目標とすべきではないか」、松村構成員、南学構成員から頂いた御意見です。「重症化を防止すること、緊急透析を減らすことが重要ではないか」、松村構成員から頂いた意見です。

 こうした御意見を踏まえ、全体目標案として、自覚症状に乏しい慢性腎臓病、CKDを早期に診断し、良質で適切な治療を早期から継続することにより、CKD重症化予防の徹底とともに、CKD患者のQOLの維持向上を目標とするとしてはどうかと考えています。

 次に、第1回検討会資料の参考資料110年前の報告書を御覧いただきたいと思います。前回資料の参考資料112ページを御覧ください。施策の評価という部分にCKD対策の効果に関する指標として、年齢調整後の人口当たりの透析導入患者数の減少、その他、様々な評価指標が挙げられております。今回、作成する報告書では、このように最後にまとめて評価指標を記載するのではなく、項目ごとにKPIとして記載してはどうかと考えております。

 本日の資料14ページにお戻りください。全体目標のKPIとしては、新規透析導入患者数を5年後の2023年までに、2018年比で○%減少させる、10年後、2028年までに○%減少させるなどとしてはどうかと考えております。

 続いて、本日の参考資料13ページからを御覧ください。第1回でもお示ししましたが、平成2010月という早い時期からCKD対策を開始した熊本市提供の資料です。成果として平成21年から28年までの間に、透析導入患者が295人から243人まで、約18%減少しております。

 また4ページも、第1回でもお示ししましたが、平成25年から開始している第2次健康日本21の目標です。その➁の3番目を御覧ください。糖尿病による透析導入患者を、平成34年までの10年間に16,271人から15,000人まで約8%減少させるとしています。日本透析医学会のデータによる現状値の推移は、平成23年の16,803人をピークとして、その後は16,000人前後で横ばい傾向となっています。KPI作成の参考としていただければ幸いです。

 全体目標()、及び全体目標のKPI()について、構成員の皆様の御意見をお伺いしたいと思います。以上です。

○柏原座長 ただいまの腎疾患対策の全体目標について、御説明いただきました。全体目標()、あるいはKPIの案も御提示いただいたわけですが、構成員の方々から様々な御意見を頂きたいと思います。どなたからでも結構ですから、是非よろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。

○南学構成員 ちょうど中元先生がいらっしゃったので、このCKD患者さんに加えて透析患者さんのKPIについても、どのようにするべきかということを、恐らく議論することがいいのではないかと思っています。1点目は、透析導入の平均年齢が延びるということは、健康寿命の延伸ということとイコールだと思いますので、やはり透析導入年齢が先延ばしになるということは、恐らく非常にいいことであって、KPIとなり得るのではないかと思います。

 恐らくその先に、全体の透析患者さんの新規導入数が減るという事象があって、その目標値まで現時点で置くことができるのか、また置くとすると、例えばその5年間で5%みたいな具体的な数値を置くのか、それが現実的かということも、もうちょっと中元先生の御意見、あるいはそのほかの委員の皆様の御意見も伺いたいと思って発言させていただきました。

○柏原座長 ありがとうございます。今、到着されたばかりなのですが、今、南学構成員のほうから透析の導入率を減少させるというだけではなく、それとはまた別個に透析導入年齢を、少し高齢化のほうにシフトさせるというのも、1つの目標と設定できるのではないかという御提案だったと思います。

○中元構成員 恐らく全体像として導入年齢を遅らせたり、要するにCKD患者さんの透析導入という点が今まで大きな議論でしたが、やはりCKD患者さんはESRD、末期腎不全透析患者さんも含まれるということ、更に透析患者さんは脳血管合併症、特に心血管合併症、心不全あるいは虚血性心疾患、あるいは脳出血、脳梗塞等が多いということも踏まえて、そういった透析導入になった患者さんの予後をどう対応していくか、食事あるいは治療等も含め、議題に挙げていただくという傾向があれば、今後やはり透析患者さんが社会復帰、更にそれに伴って、より生産性の高い活動ができることにつながるのではないかということ、非常に期待をしておりますので、よろしくお願いいたします。

○柏原座長 参考資料14ページに全体目標案というものを作成いただいておりますけれども、CKDというように書きますと、どうしても透析患者さんが含まれないような印象を持ちますが、CKDのステージ5は透析患者さんですから、そういう意味では中元構成員がおっしゃった、CKD患者のQOLの維持向上というのが盛り込まれているのではないかとは考えます。中元構成員、この辺りいかがでしょうか。

○中元構成員 今、資料1のほうを拝見させていただきますと、目標の恐らく2番の項目、循環器疾患の発症を抑制することの中には、先生のおっしゃるとおり、CKD5D

○柏原座長 マイナスです。

○中元構成員 マイナスですか、すみません、今回のそちらの新しいほうにも、恐らくそういった概念が含まれているという認識はしております。ただ、その辺を明文化させていただくと、透析されている患者さんは、より一層認識は深まるのかなという気はしますので、分かりやすい文章で入れていただくと、本当に有り難いと、また、やる気も出てくると思いますので、よろしくお願いいたします。

○柏原座長 ありがとうございます。その他の構成員の方々からの御意見はありませんでしょうか。先ほど透析の導入年齢を、少し高齢化のほうにシフトさせるという御提案がありましたけれども、中元構成員にお聞きしたいのですが、現実問題として、今、経年的に導入年齢というのは高齢化しておりますよね。それを例えば発症から、要するに腎臓病の進行を抑制させることによって、導入年齢を後のほうにシフトさせるというような表現にできてもいいのかなと思うのですが、いかがでしょうか。

○中元構成員 現在、最新の2016年のデータをまとめ発表したところでは、平均透析導入時の年齢は69歳という、非常に高齢化してきています。これに伴って疾患群もやはり、循環器系は特に虚血性心疾患、心不全等が多くなっています。今後、更に高齢化していく可能性は高いのですが、高齢化に伴って、ただ、活動力は悪くなっているかというと、日本のCKD患者さんは非常にADLがいい。世界で最高齢にかかわらずADL、ファンクションのあるステータスが一番いいというデータが出ておりますので、こういった患者さんが高齢になることによって、より合併症が増えるとは思いますが、ADLは良好になっているというデータが明確に出ていますので、これらは先生方の管理が恐らく十分良かった、それに伴うリハビリ等の対応も良かったのだと認識しております。

 高齢化することが余り問題とは、今のところ感じてはおりません。ただ、それに対して、やはり、より高齢化していく可能性はありますので、高齢化していく患者さんに、どうADLを良くするかが、やはり重要だとは思っております。

○門脇構成員 全体のKPIについて、先ほどの南学先生の御意見に賛成です。超高齢社会を迎えてCKDの治療や管理が良好になっていくということについて、恐らく一番感度のいい指標というのは、導入平均年齢が上昇していくことだと思います。超高齢社会になっていますので、透析導入者数の絶対数が減ってくるというのは、導入平均年齢が上昇することに、むしろ引き続いて起こってくるので、透析導入平均年齢が上昇するということをまず第一に考えて、第二番目に新規導入透析者数の減少というように続けるのがいいと思います。

○柏原座長 ありがとうございます。それ以外にはありませんでしょうか。

○馬場構成員 ちょっと具体的に出たので、1つ申し上げたいことは、今、高齢化もさることながら、非常に機器は良くなってきて、透析自体も楽になっているのも事実ですけれども、私はやはり現場として何よりも食事の管理といいますか、入ってからこれでいいのだということではなくて、やはりリン、カルシウムの管理を含めて食事の管理をどう徹底していくかという、毎日の生活のほかに具体的に今、示させていただいております。こういう面では管理栄養士の先生方の大変な御助力を、私たちは頂いているわけです。

 こういったものも今、現場としましては、それを前面に出して取組をさせていただいていますので、ここにどう扱うということではないにしても、我々、なってしまった患者の立場では、それを非常に重きを置いて自己管理に努めるというのも大事かなと思って、考えてやっているところです。

○柏原座長 ありがとうございます。透析になられた後も栄養管理も含めて生活管理を良質化して、それによってQOLを上げると。KPIにどう落とし込めるかというのは、少し考える必要があろうかと思いますけれども、ありがとうございます。それでは、松村構成員のほうからお願いします。

○松村構成員 全体目標のところで、「自覚症状に乏しいから早期に診断し」とありますが、診断より前に健診をもっと徹底してやっていくべきだと思います。CKDと言われる前に健診を受けていない人が非常に多いことと、全国的に見て地域格差がものすごくありますが、地方自治体などに、もっと健診を徹底することによって、腎臓病の早期発見をやると、国民健康保険料がセーブできることをアピールもしていったほうが良いと思います。

 とにかく腎臓病は自覚症状が乏しいというよりも、ないので、ぎりぎりになってむくみが出たりだるくなったりしたら、もう透析導入真近ということですから、その前にCKD12で見付けることを最優先にしなければいけないのではないか。それもまた地域格差がものすごくあって、会社などでの健診をしていない一般庶民がもっと足を運ぶように、地方自治体の保健所などにもっと頑張ってもらったら、透析導入者は確実に減るし、今よりもっと高齢になって、初めて透析になれるのではないかという気がいたします。健診の徹底ということです。

○羽鳥構成員 松村構成員のおっしゃること、本当にそうだと思います。今回、平成30年度から特定健診のクレアチニンの項目が、容易に検査できるようになりますので、そうするとeGFR低下や蛋白尿出現を早期発見するとかということで、皆さんが少なくとも特定健診を受けようという風潮になれば多く発見できるのではないかと思います。特定健診は一般の大企業だと70%を超える受診率ですが、市町村特定健診は3割を切ってしまう所もあるので、受診率の向上を徹底すれば、このCKD対策、KPIともつながっていくことだと思うので、医師会としても協力していきたいと思います。

○柏原座長 ありがとうございます。今、いずれも非常に重要なポイントだったと思います。全体目標のKPIにふさわしいかどうかは、また議論していきたいと思います。

○中元構成員 先ほどの目標の隣の図を見ていただくと分かるのですが、透析導入患者数自体は頭打ちで増えていないというのが、実は我々が解析したところで、2009年からの傾向です。それにもかかわらず透析患者さんがまだ増えている、実はこれは予測では2017年にプラトーになるという、我々透析学会での予測だったのですが、プラトーにならなかった理由を検討した現段階では、実は2010年以降死亡者数は頭打ちになってきたというのは、非常に大きな理由と考えています。

 導入患者さんは明らかに増えなくなった。それにもかかわらず患者数が増えている1つの理由は、死亡する患者さんが明らかに2010年以降増えなくなっているという大きな理由があるので、現実的には透析患者さん自身の死亡率が減っているのではないかということは検討しています。KPI1つの指標ですが、そういったことも含めて、透析患者さんも含めるなら、別な要素も検討できるのかなという気はします。

○柏原座長 ありがとうございます。前回、平成10年度の目標のところには、大きく透析導入への進行を抑制して、導入患者さんを減少させる、それが1つと、もう1つ大きく、CKDは循環器疾患を伴いやすいということで、その発症を抑制するというのも2つの目標の中の1つに掲げていました。しかし、CKDをベースとした循環器疾患の発症率等を追うことが容易ではないということもあって、今回、全体目標の中には恐らく入っていないのだろうとは考えています。このことに関しまして、小室構成員のほうから何か御意見はありますでしょうか。

○小室構成員 CKD、取り分け透析患者は、心血管イベントは高率で起こってまいります。そういった意味で心血管イベントを抑制するということは大変重要ではあるのですけれども、柏原委員がおっしゃったように、それをなかなかフォローすることは難しいということで、今回は省かれた、目標案に入っていないのだと思います。

 先ほど来、お話があった透析導入の時期を遅らせるということは、これは心血管イベントを減らすことに関して、大変重要な要素です。透析患者、特にその期間が長ければ長いほど、心不全、虚血性心疾患、又は末梢動脈疾患に非常になりやすい。又は重症化する、治療しにくいということがありますので、透析導入を遅らせる、更には透析患者を減らすということが、それは数字化できないまでも、これは当然、心血管イベントを抑制することにつながりますので、そのような目標で、私はよろしいかなと。

○柏原座長 ありがとうございます。先ほど南学構成員のほうから、数値目標について少し言及されたのですが、この健康日本21でもKPIとして数値目標が設定されております。今回の提言に関しまして、そういった数値目標を設定すべきかどうか、これは川村構成員のほうから御意見を頂けますでしょうか。

○川村構成員 KPIの数値目標について、まず二通りの考え方があるかと思います。1つは積み上げ方式といいますか、後に具体策を1つずつ吟味されると思いますけれども、1つずつで達成可能な、あるいは現実的に予測される数値を積み上げていって、単純加算ではありませんので、モンテカルロ・シミュレーションみたいなことをやらないといけないですけれども、総合的な指標を出すというのが1つです。

 逆に、こうあらねばならぬという、どちらかというとポリティカルに全体を決めて、それを逆に各要素に振るというようなやり方もあろうかと思います。いずれにしても実態のある、意味を持つ数、単なる願望ではなくて、やはり現実に努力すれば到達可能であるということ、それから、そのほかの日本の国民医療全体の中での位置付けというものもあろうかと思いますので、それを日本の国として、どのように捉えるかによって変わってくると思います。

 ですので、ただ念仏といいますか、願望だけで決めるのだったら、それは余り実態がないですし、達成しなかったねで終わってしまって、何の反省も生まれないので、やはりKPIを決めるときの、そもそものフィロソフィーがどういうものであるべきかということの中で生まれてくる数字ではないかと、ちょっと振り出しに戻すような形で申し訳ないのですけれども、そういう考えを常に持った上で立てるという思想が必要であろうと考えます。

○柏原座長 どうもありがとうございます。それでは、いろいろ御意見を頂きました。まだまだあろうかと思いますが、その後の議事もありますので、今までの議論を踏まえまして、事務局のほうからお願いいたします。

○福井がん・疾病対策課長補佐 まず事務局から確認させていただきたいのですけれども、中元構成員に御確認したいのですが、全体目標案の3行目の「CKD患者の」とありますけれども、そこに括弧をして「透析患者を含む」というように、透析患者について明示したほうがよろしいでしょうか。そうする必要はないという御判断なのでしょうか。

○中元構成員 CKDの中に透析患者さんも含めているという考え方に基づけば、当然これでいいと思いますが、この中に「透析患者を含む」という一語を入れていただければ、より透析患者さんも含めた目標である、更に透析患者さんを守っていこうというか、透析患者さんに対しても同じように、腎疾患として治療あるいはそういった予防対象にしようという意思が表れるという認識があるのを入れていただければ、透析学会の立場とすれば、患者さんのためにはいいという認識を持っています。

○福井がん・疾病対策課長補佐 ありがとうございます。それから、松村構成員にお伺いしたいのですけれども、先ほど健診を徹底してというお話を頂きました。目標案の1行目で、「CKDを早期に診断し」と今、ありますけれども、例えば「早期に発見、診断し」などとすれば、その健診の意味合いが含まれるでしょうか。

○松村構成員 そうですね、やはり発見することがまず大事、それに腎臓に関するクレアチニンなどの検査項目や、尿検査によって早期に発見することが大切ですから、きちんと発見しという、全体目標としては、「発見し」でよろしいかと思います。もし可能ならば、「健診をもっと徹底し」ということも入ればベターかなという気はします。

○馬場構成員 せっかくですので、今の松村先生の御意見にプラスするのであれば、「継続して」という言葉が大事だと思うのです。「継続」という言葉を是非入れていただきたいです。

○松村構成員 企業に属さない一般の人たちの健診率低さが、CKDを生んでしまっている可能性が大きいので、何らかの形で健診という言葉を入れて欲しい。健診でなく発見でも結構だと思います。

○佐々木がん・疾病対策課長 今の全体目標案、ある意味できちんと覚えてもらうことを考えると、分量はある程度コンパクトにということからすれば、まず、本日の時点での仮案といたしましては、「自覚症状に乏しい慢性腎臓病(CKD)を早期に発見・診断し、良質で適切な治療を早期から継続することにより、CKD重症化予防の徹底とともに、CKD患者(透析患者を含む)QOLの維持向上を目標とする。」で仮置きをさせていただいて、いずれにせよ、今日この後の議論も含め、最終的な報告書()をお示しする段階で、全体との適合、記載内容との整合性を最後に確認いただくという段取りでよろしいでしょうか。

○柏原座長 今、佐々木課長のほうから御提案いただきました。そのような方向でよろしいでしょうか。続いて、このKPIについて、福井課長補佐のほうから、何か御発言はありますか。

○福井がん・疾病対策課長補佐 KPIについては、ただいま頂きました議論を踏まえて、事務局で整理して、検討を続けさせていただきたいと思っております。

○柏原座長 それでは議事2、「今後の腎疾患対策の方向性()について」です。10年前の報告書には、5つの柱が立てられておりました。普及啓発、地域における医療提供体制の整備、診療水準の向上、人材育成、研究開発の推進です。この5つの柱をそのまま踏襲するという形で今日は議論を進めていきたいと思います。それでは、まず、事務局から資料2、参考資料1の説明の普及啓発の部分について、お願いいたします。

○福井がん・疾病対策課長補佐 資料2、今後の腎疾患対策の方向性()について御覧ください。前回の腎疾患対策におけるこれまでの取組と課題に関する議論を踏まえて、各5分野の課題の整理と、今後の方向性()について検討していきたいと考えております。

 まず、普及啓発について3ページから御覧ください。前回の森山参考人からの御発表と議論を踏まえて、普及啓発の目的は、地域の実情や対象者に応じた計画的に効果的・効率的な普及啓発活動を実施することであると考えております。この目標を達成するための現在の課題は、➀普及啓発の内容にばらつきがあるため、普及啓発すべき適切な内容を整理し、関係者への周知を図る。➁行政や関連学会、関係団体等が取り組んでいる普及啓発活動を把握・評価することで好事例を抽出し、行政と連携し、関係者との共有を図ると整理しております。これらの課題を克服するため、4ページに方向性()をお示しします。

 ➀普及対象に応じた普及内容を示す指針の作成や、資材の開発をしてはどうか。➁地域での普及啓発の中心的役割を担う指令塔を設置し、行政と連携して普及活動の実施状況等の情報を都道府県単位で収集してはどうか。また、収集した活動内容を評価し、好事例を抽出し、行政や関係者が今後の普及啓発活動にいかしてはどうか。

5ページにKPI()をお示しします。全都道府県における普及啓発活動の実施、市民公開講座等の実施数増加、CKBの認知度上昇。具体的な目標設定は都道府県単位で情報集約し、実態を把握した後に行うこととしてはどうかと考えております。KPI3項目が並列にはなっておりますが、先ほどの全体目標の達成にはCKDの認知度上昇が必須と考えております。さらに、CKDという言葉だけではなく、CKDが治療可能であることや、適切に治療しなければ、生命を脅かし得ることなども含めて認知していただくことが必要です。効率的・効果的な普及のため、対象者の階層化の検討も必要と考えております。認知度上昇のためには、少なくとも全都道府県での活動が必要であり、その手法として市民公開講座等を考えております。

 参考資料17ページ、日本慢性腎臓病対策協議会、J-CKDIと連携した啓発イベント数、実施都道府県数の推移です。増加傾向ではありますが、まだイベントが行われていない都道府県もあるようです。8ページ、J-CKDI作成のイベント地図の中国・四国地方の例を示しております。9ページは、熊本市民アンケートによるCKDの認知度調査の結果です。これらをKPI作成の参考としていただければと思います。資料2で示した普及啓発の方向性とKPI()について、構成員の皆様の御意見を伺いたいと思います。以上です。

○柏原座長 それでは今後の腎疾患対策には5つの柱、その第1が普及啓発で、方向性()KPI()を御説明いただきました。御意見を賜りたいと思います。

○川本構成員 先ほどの目標のところでも御発言がありましたが、むしろ予防が概念になければ、生活習慣に変化がないかと思います。予防的役割を一番担っている保健師の状況ですが、今、保健師の方は、高齢化社会等で非常に役割も増えております。やはりCKDに関心がある方が独自で活動している状況ですので、まず一番身近な、住民の近くにいる専門職である保健師とともに意識改革するように、積極的に計画を立てていただく働き掛けが重要であり、一番住民の方に近付くポイントではないかと私は思っております。

○柏原座長 分かりました。特定健診等で、異常が見つかったときの受診の勧奨や生活指導ということですね。

○川本構成員 はい、そういうことです。

○柏原座長 ほかに御意見はありますか。

○中澤構成員 今の御意見と同じようなことですが、現場で特定健診などを担っている保健師は、市町村で、今、非常に数が少ない状態ですので、どうしても、今やっているものをやっていくのが精一杯で、新しいものに手を出すのは非常に困難があるということです。ですから、保健師に対する研修や、何をやれば簡単にこういうふうにつながって効果があるのかというノウハウは必要だと思います。

 また、3ページで好事例を行政と連携し、関係者と共有を図るというのは、どのような形で連携を図るのか。行政側ですと腎疾患に対して、医師や保健師はほとんど現状にはいないことが多いですので、どのようにやったらいいのか担当も全然分からない状態が、多分47都道府県ほとんどそういう状態ではないかと考えております。その連携の方法などが具体的に出てくると、行政側も効率の良いやり方で啓発などをしていくことができるのではないか、実効性が出てくるのではないかと感じます。

○柏原座長 行政としては、がん対策もしなければいけないし、糖尿病の重症化予防もしなければいけないということで、腎臓はどうしても後回しになりやすいという現実もあります。ある特定の意識の高さを持った方々がいらっしゃればボランティアリーにされているという実態でしょうか。

○中澤構成員 この度、国保で糖尿病の重症化予防の計画などを作っておりますが、今までいろいろなお話が出たように、腎症になる前からやっていかなければいけないということで、神奈川県では、糖尿病の最初から腎症まで全部含めた計画を作って、市町村の方に使っていただこうと。これを良いモデルにして使っていただくと、市町村の保健師さんも余り悩まないで、全部網羅できるのではないかという形にしておりますので、そういうことも必要ではないかと思います。

○柏原座長 糖尿病対策に連携する形で、CKD対策をやれば効率的にできるということですね。ほかには御意見ありますか。

○小室構成員 今のに少し関連します。循環器学会としては、予防にこれから力を入れていこうと考えております。循環器疾患のリスクの1つとしてCKDは大変重要ですので、是非とも循環器学会も関連する学会としてより深く連携して、予防の普及啓発活動をしていただきたいと考えております。もし資材をお作りになったら、それも循環器学会で使わせていただけたらと思います。

 もう一点、CKDの認知度上昇に少し関連しますが、CKDの何が問題かというときに、重症化して透析に行くことは1つの大きな問題かと思います。もう1つは、CKDがあるだけで心筋梗塞や脳卒中が2倍ぐらいに増えるということが、実は余り広まっていないのではないか。CKDに自覚症状がないものですから、透析に行く人はそれほど多くないのではないかと思っていて、医者に行かないということがあるのではないかと思いますので、循環器疾患の重大なリスクであるという普及啓発もしていただけたらと思います。

○柏原座長 腎臓学会はそういうことをやっているつもりでいて、まだ十分に伝わっていないということですね。

○南学構成員 今、川本構成員と中澤構成員が御指摘された点は大変重要で、それに対して、私の理解は、腎臓学会が始めた腎臓療養士制度がその1つの対策ではないかと考えておりましたが、その点について理解に間違いがあれば正していただきたいのです。これは非常に好評で、当初の予定よりも更に2回多く講習会をやるぐらいに皆さん興味を持って御参加いただいたと理解しております。

○柏原座長 CKD対策が、医療だけではなく生活指導の重要性もあり、それを行うような人材を育成するということで、看護師と管理栄養士と薬剤師を対象とした療養指導制度を立ち上げて、1,200名の受講者がいて、先日700名が受験したと。その多くが合格するでしょうから、立ち上がりは非常に良かったと。それだけ関連職種の間でも関心が高いことは明らかになったように思います。この普及啓発に関して、また御意見を頂きたいと思いますがいかがですか。

○松村構成員 先ほど小室構成員がおっしゃったように、透析に至る前に、心筋梗塞になってCKDを持っている人は亡くなってしまう方が非常に多いわけです。そうならないためにも、我が国は、世界に冠たる小学校、中学校の学校検尿がせっかくあるのですから、そのお小水の回収のときでも、容器を渡すときでもいいので、そのときに親御さんたちにも、これは1つの案ですが、検尿のペーパーをお父さん、お母さんに持っていってもらって調べてもらってはどうか。そこまで急激にできるかどうかは分かりませんが、そんなにお金をかけないで、子供たちを通して親たちに関心を持たせる。学校検尿は全国津々浦々やっているわけですから、その際に親まで巻き込むような、何かそんな啓発活動のキャンペーンができたらもっと健診率が上がるのではないか。CKDになるもっと手前で発見できるのではないかと思いましたが、いかがなものでしょうか。

○馬場構成員 先回もそれらしきことを申し上げましたが、全くこれは大賛成です。子供たちの効果は非常に大きいものがあります。これは事実です。もう1つ申し上げたいことは、前から申し上げているように、お年寄りの方に、CKDというものが非常に馴染みにくいことがありまして、もう少し分かりやすい言葉で、一番良いのは、私どもがやっているのは少し漫画チックにPRを考えてみたいと。もう一回根本から、CKDの取組を分かりやすい言葉表現の形ができると良いのかと思います。先ほどの継続もそうですが、痛くもかゆくもないから、1回行って異常がありますよと言っても、何ともなければそのままになっているのが現実ですので、もう少し分かりやすい言葉遣いが一般的に広まれば、もっと普及するのではないかという感じはしております。とにかく、松村先生がおっしゃったように、子供たちをうまく使ってと言うとあれですが、これは非常に効果があることは現実です。

○柏原座長 思い起こせば、今から10数年前はCKDという言葉もなく、腎臓病というのは、ものすごく難しい病名体系があって、それを早期に発見普及させるために、少なくとも英語圏ではCKDという言葉が簡単で普及しやすいだろうと。ところが、日本においては必ずしもそうではないということですよね。そういうこともあろうかと思います。ほかには何か御意見はありますか。

○中元構成員 私も総合診療をやっていて、よく検尿の異常で来る方がいるのですが、検尿の意味が本当に分かっていないし、蛋白尿の意味が分かっていない。

 全く話は違いますが、AMEDが文科省や財務省が横つながりでやったように、こういったことも文科省にお願いして、保険診療の中に健康診断の意味という1項目を、1講義を保険の中に入れれば全然違う効果が出ると思いますので、横の連携は考えにくいのですか。AMEDがそれに成功しているという流れを見て少し考えました。本当に健康診断をやっている意味を説明する機会が、病院とかそういうところが全然ないので、そういう機会を1時間持てば全然効果は違うのではないかと思います。

○柏原座長 先ほど普及啓発の成功事例の熊本や呉は、行政が積極的に関与している所ということです。ところが、実際に地域でこのCKD対策の普及対策をやっている先生方に伺いますと、それぞれの地域の行政にどうアプローチしたらいいのか、どの部署の誰にお願いしたらいいのかということすら分からないということもあって、その辺りについてまた中澤構成員に伺いたいのですが、1つの御提案は、糖尿病対策に相乗りするような形ということですが、具体的にどういうアクションを取ったらいいのでしょうか。

○中澤構成員 例えば、神奈川県の例で言えば、腎疾患を所管している課と、糖尿病の予防とか普及啓発をやっている所と、今回国保の重症化予防プログラムを作った所と3つ全然ばらばらの所にあるのです。ですから、先生方も非常に迷われるのかと思います。いずれにしても、横串を刺さないと、1つの課ではできないことで、特に腎症は、高血圧と言うと違う所をやっていたりしますので、いずれか何かの取っ掛かりのある所に声を掛けていただいて、庁内で横串を刺してプロジェクトなり、ワーキングや勉強会に先生方に是非積極的に参加していただくという形かと思います。

 行政側の職員からアクションを起こしてもばらばらになっていますので、事務職が担当していると何をやったらいいのか分からないし、腎症と透析はどういうつながりなのか、少しも分からない人たちが一生懸命やっているところもあります。また各部署のセクションというのは、多分どこの自治体もばらばらに分かれていると思いますが、庁内でやってくれませんかという形でお声掛けいただくのがいいのかと感じています。

○柏原座長 その辺りも幾つかのパターンで定式化して、地域によって事情が違いますので、ヒントを与えていけばよろしいのでしょうか。

○羽鳥構成員 中元構成員がおっしゃっていた学校検診で行っている検尿の意味がきちんと伝わっていないのではないかということですが、実は、小学校も中学校も高校にも学校医という仕組みがあります。学校教育の根幹である教育委員会には医師が入っている地域はほとんどないのです。学校医の先生も入っていないので、教育委員会の中で、保健の授業で検尿の意義を伝える仕組みを早く作るべきと考えます。日本医師会横倉会長が中協審委員にも選ばれているので、中元先生がおっしゃっていたことがいきてくるのではないかと思います。普及啓発という意味で、学校教育の中でどういかすかという1つとして、教育委員会に訴えていくことも大事ではないかということで提案しました。

○門脇構成員 CKDあるいはDKD対策には、糖尿病対策、特定健診・保健指導、糖尿病重症化予防、そして直接のCKD対策などいくつかの事業が関連しています。それぞれが国のレベルでも健康局と保険局が関係しています。国のレベルでは連携が非常に進んでいると思いますが、それと同じようなことが各都道府県、市町村の自治体の所管が違うことがありますので、国の連携を見習っていただいて、各地方自治体のレベルで関係部署が連携して当たることは非常に重要だと思います。

○柏原座長 普及啓発する上で、それぞれの都道府県でいわば指令塔になるような組織が必要なのかと思います。腎臓内科医の分布もかなり偏在していることも明らかになっております。南学構成員、その辺りで何かお考えはありますか。

○南学構成員 今おっしゃったように、地域でうまくいっている所もあれば、必ずしもそうでない所もあり、恐らくそういったことが、当然行政の連携でうまくいけばいいですし、逆に、うまくいっている所の情報を医師、医療に関わる方々の立場から行政に上げていくことも重要で、そういったことのハブとなるような指令塔が必要ではないかと思っています。

 それが例えばJ-CKDIのような所の、それぞれの都道府県のリーダーとなるのか、あるいはそれが更に発展形で何か別の組織になって、そういった所の地域の中心となるような方々が、今後そういった役割を果たすのかは分かりませんが、そういった方々が地域で中心的な役割を果たすことは非常に重要ではないかと考えております。

○柏原座長 約10年前に日本腎臓病対策協議会、J-CKDI組織が立ち上がって、普及啓発に着手したわけですが、10年たって、今年からNPO法人がします。その名称が日本腎臓病協会という名前で、216日に東京都に登記します。日本腎臓病協会の事業は4つあり、その中の1つが従来のJ-CKDI活動を継承して、名称もそのまま残ると伺っています。療養指導士制度、患者会との連携、そういった活動を行う、新しいNPO法人が立ち上がることにもなっております。

 もう1つ、私は作業班の仕事をもらって感じたことは、こういった定点観測が必ずしも十分にできていないと。日本全国で普及啓発活動がどのような頻度で、どこで行われているか。成功事例がどこにあるかというのは、腎臓学会も把握できていなかったと。全体を俯瞰するような組織がなかったということも課題ではないかと感じています。そういう組織もきちんとどこかに定着はさせると。腎臓病についてはナショナルセンターがありませんので、学会なのか、その辺は分かりませんが、そういったことも必要ではないかとは感じています。南学構成員、何か追加の御意見はありますか。

○南学構成員 先生のおっしゃるとおりで、特に私からの追加はありません。

○柏原座長 普及啓発に関して、ほかに御意見はありませんか。どうもありがとうございました。それでは、5本柱の2番目になります。地域における医療体制の整備の検討に入ります。ここでは、まず羽鳥構成員から、資料3「日本医師会の取組と提言-日本糖尿病対策推進会議を中心に-」という資料を御提出いただいております。この御説明を羽鳥構成員からお願いします。

○福井がん・疾病対策課長補佐 柏原座長、すみません。事務局から1つよろしいですか。普及啓発は方向性()KPI()に関しては、御了承いただいたということでよろしいですか。

○柏原座長 よろしいですか。ここにも方向性()KPI()を出していただいております。これでよろしいですか。ありがとうございます。すみません、前後しました。羽鳥構成員、お願いします。

○羽鳥構成員 資料3を御覧ください。日本医師会の取組と提言ということで、日本医師会は、糖尿病対策、COPDCKD、この3つを大きく取り上げております。糖尿病対策推進会議で行っていることの一部も紹介しながら行いたいと思います。

2番のスライド、社会保障費は、医療・介護を中心に今後も増加する。糖尿病を早期発見対応すれば保険給付が少しですむ可能性も出てくる。患者さんにとって過不足ない医療提供ができる適切な医療を提供していきたいというのが日本医師会の主張です。

3ページには、第3期の特定健診・特定保健指導の見直しで、特定健診・特定保健指導の中身が少し変わりました。もう1つ健診の中には、事業主健診、いわゆる会社健診がありますが、会社健診の一部を特定健診にもいかせるようにもなるということで、クレアチニンが、今回は事業主健診の中に必ず入ってくることになります。先ほども言いましたように、クレアチニン、eGFR、心電図、眼底の情報がりやすくなるということが大きなポイントだと思います。

 次のスライドの4番、今回の健診の見直しで、LDLコレステロールを廃止して、ノンLDLにしたらどうかという意見もありましたが、結果的には、今、LDLの測定精度が非常に上がってきているので、食後の場合を除いてLDL測定は残りました。また、LDL測定は日本が開発したものですので良かったと思います。もう1つは、蛋白尿とクレアチニン測定の活用に詳細な項目に血清クレアチニン検査、eGFRを追加されました。

 先ほどのスライドの1枚目にありましたように、日本糖尿病対策推進会議というのは、日本医師会、糖尿病学会、糖尿病協会の3団体で設立し、その後、歯科医師会、さらに栄養士会とか、薬剤師会とか、いろいろな会にも入っていただいて、ワーキンググループの中には、糖尿病学会、協会、腎臓学会、眼科学会にも入っていただいているという、医師会と学会が参加している事業の1つでもあるかと思います。

7ページ、国の糖尿病対策と対策推進会議の活用ということで、国におきましても、新健康フロンティア戦略、生活習慣病対策の推進に関する検討会、医療法に基づく医療計画とか、様々な所でこれらが取り上げられております。5疾病・5事業の中にも糖尿病が取り上げられています。これらをいかして、各都道府県医師会、群市区医師会の中には、糖尿病対策推進会議のメンバーに入っています。

 さらに平成283月から、重症化予防の連携の協定を結んでおります。これらの取組を通して、いわゆるデータヘルスとか、そういう所にも都道府県、市町村のデータヘルスの中にも医師会の先生たちが入られて、計画を組むところから積極的に関わっております。

9ページ、かかりつけ医と地域の専門医ということで、今回の1つのテーマにもなりますが、かかりつけ医、腎臓病専門医、糖尿病専門医などと連携を取ることが重症化予防にもつながると思います。そのためのベースとしては、生涯教育とか、行政のサポートは絶対に必要ということです。

10ページ、かかりつけ医機能強化に向けた取組として、日本医師会は3年前から日医かかりつけ医機能の研修制度ということで、全国の16万人の医師会員の先生たちを対象として生涯教育、実地研修、応用研修の三本立てで、延べ3万人近くの方が受講されております。内容は、患者中心の医療の実践、継続性の医療の実践、チーム医療と書かれております。かなり具体的な項目が書かれております。実地医家の方が対象ですので、最新の知見を盛り込むようにしております。第2期に向けて準備中です。

11ページ、重症化予防のWGの中での議論です。市町村、都道府県、糖尿病対策推進会議において、役割を分担しながらいこうということで、行政とはいろいろな文書の締結をしながら、医師会としてやれることをやっていこうということです。

 その一方で、経産省を中心とした日本健康会議というのは、日本医師会の横倉会長も代表として入っているわけですが、健康会議の中の2番に、かかりつけ医と連携して生活習慣病の重症化予防に取り組む自治体を800、広域連合24ということでしたが、13ページを御覧いただくと分かるように、既にこれらは優に超えました。554%、要するに予想以上に多くの市町村、広域連合に参加してもらえるということもありますので、今後とも期待は大きいと思います。日本医師会は地域における医療連携、糖尿病対策推進WGを通して、糖尿病に関して積極的に関わっています。さらに腎臓病についても同じように作っていくことができるのではないかということで、今回は資料として提供させていただきました。以上です。

○柏原座長 羽鳥構成員、ありがとうございます。日本医師会の取組について、非常によく分かりました。

 続いて、地域における医療提供体制の整備の部分について、事務局から資料2、参考資料1を使って説明をお願いします。

○福井がん・疾病対策課長補佐 事務局から御説明させていただきます。資料がたくさんあって分かりづらいと思いますので、もう一度確認させていただきます。文字ばかりの資料が資料2、図表を集めたものが参考資料1の両方を使って御説明させていただきます。資料27ページを御覧ください。

 前回の岡田参考人からの御発表と議論を踏まえて、医療提供体制の整備の目的は、かかりつけ医、腎臓専門医等の連携推進によるCKD重症化予防の徹底と、行政や関連学会、関係団体等との更なる連携のための好事例の横展開であると考えています。この目的を達成するための課題は、➀健診からかかりつけ医への受診勧奨基準、かかりつけ医から腎臓専門医等への紹介基準といった、それぞれの基準の普及が必要。➁連携するための紹介先の周知が必要と整理させていただきました。

 これらの課題を克服するため、8ページに方向性()をお示しいたします。➀連携推進によるCKD重症化予防を徹底するため、関係団体、関連学会、行政等が連携して、かかりつけ医や腎臓専門医等への紹介基準の普及を図ってはどうか。➁関係団体、関連学会、行政等と連携し、その地域における腎臓専門医等が在籍する医療機関等の情報や、CKD診療を担うかかりつけ医や、非腎臓専門医等の情報を共有してはどうか。

9ページ、KPI()を示します。かかりつけ医と腎臓専門医等の間での紹介・逆紹介率の上昇、地域別のCKD診療を担う非腎臓専門医数の増加、紹介基準で推奨されているステージにおける腎臓専門医への紹介率の上昇などとしてはどうかと考えております。

 先ほどの羽鳥構成員からの御発表は、既に多くのかかりつけ医の先生方が、CKD診療を担っていただいているという内容だったと思います。CKDは非常に患者数が多いことから、CKD診療を担う非腎臓専門医数の更なる増加が必要であるとともに、都市部だけでなく、地方においてもCKDの診療体制が構築されることが重要だと考えております。これがKPI2番目です。

 次に、CKDは、軽症のうちは血圧や血糖の管理など一般的な内科的治療が治療の中心となりますが、進行して重症化すると、貧血の治療や電解質異常への対応など専門的な治療も必要となってきますので、かかりつけ医と腎臓専門医等の間での紹介・逆紹介を行っていただくことで、良質で適切な医療につながるのではないかと考えております。これがKPI1番目です。さらに、紹介基準で推奨されているような重症化する前のステージで腎臓専門医等へ紹介していただければ、重症化予防の徹底につながると考えております。これがKPI3番目です。

 続いて、参考資料1に移ります。11ページから御覧ください。尿蛋白や血清クレアチニンに関する健診から医療機関への紹介基準です。厚生労働省としては、効果的な健診・保健指導を実施するに当たり、関係者に必要な基本的な考え方や留意点等を示した標準的な健診・保健指導プログラムを以前より策定しておりましたが、今般、平成30年度からの実施に向けた本改訂版を取りまとめました。この判定表の下の部分には、対象者への説明文例として、透析や心血管系疾患のリスクなどの説明も詳細に記載されておりますので、紹介基準と併せて普及していただければと考えております。

12ページ、日本腎臓学会を中心に作成していただいた、かかりつけ医から腎臓専門医・専門医療機関への紹介基準です。蛋白尿及び血清クレアチニンを基に算出する血清クレアチニンから判定するもので、糖尿病、高血圧、難病等の原疾患を問わずに使用できます。以前のものと比べると、年齢による要件等の簡略化がされたとお聞きしております。さらに、この基準を基に、日本腎臓学会、日本糖尿病学会、日本医師会が内容を協議していただいた紹介基準を、現在、作成中と伺っております。

 先ほどの羽鳥構成員からの御発表は、糖尿病に関する内容が中心であったかと思いますが、原疾患を問わない紹介基準を用いることで、CKD全般の対策とすることができると考えております。また、先ほどの普及・啓発のところでもお話していましたけれども、従来の糖尿病対策のネットワークや、糖尿病性腎症、重症化予防プログラム等で構築された関係者間のネットワークを活用することで、より効率的なCKD対策の推進が期待されると考えております。

13ページ、これは、島根大学の伊藤先生に作成していただいた腎臓専門医が在籍している病院の地図です。紹介先の周知のために有効な方法ではないかと考えております。

14ページ、第1回でもお示ししましたが、熊本市の病診連携システムについてです。熊本市では、CKD対策推進に賛同、協力するかかりつけ医をCKD病診連携医として登録しています。CKD病診連携医と、紹介基準に従って紹介を受けた腎臓専門医の双方で診療する二人主治医制とするシステムを構築しています。連携登録医数や、医療機関数、連携件数は、いずれも増加傾向です。着実に透析導入患者の減少という成果を上げている熊本市のシステムを好事例として紹介させていただきます。

 資料2で示した地域における医療提供体制の整備の方向性と、KPI()について構成員の皆様の御意見をお伺いしたいと思います。以上です。

○柏原座長 ただいま地域における医療提供体制の整備の部分について、羽鳥構成員から日本医師会の取組と、また、事務局からも説明いただいた部分に関して、御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。ここでも紹介基準について御紹介いただきましたが、南学構成員にお伺いしたいのですが、今、日本糖尿病学会との間に糖尿病性腎症に関する紹介基準、あるいは、日本医師会にもそれを御提案しているというように伺っております。その辺りの経緯をお教えいただけますか。

○南学構成員 実際にこの疾患を治療する上で、各学会あるいは医師会との連携というのはものすごく重要で、特に糖尿病性腎臓病に関しては、門脇理事長と柏原理事長の非常に強いリーダーシップの下で、この2年間、両学会の連携がものすごく進んで、糖尿病性腎臓病に関して、ものすごくいい対応ができるようになっています。同様に医師会との連携も非常に重要で、今回、かかりつけ医から専門医等、あるいは専門医療機関への紹介基準を作成するに当たり、柏原理事長、門脇理事長の御指導の下で医師会のほうから御指導いただきましたけれども、逆にその学会の立場から見て、医師会の方に便利だろうというように考えても、必ずしも向こうのニーズに合ったものができなくて、やはり先方の要望、考え方を非常によく聞いて、みっちりと連携をしながら紹介基準を作ることが、いかに重要であるかということをよく理解しました。

 先ほど、事務局のほうからお示しいただいた紹介基準は、現時点で案となっておりまして、最終版は、225日の公開セミナーで公示する予定となっています。例えば、従来は腎臓学会が作ったものは、この基準のところにG3AG3Bと合致せずに、その中で更に10ずつ細かく区切っていて、非常に分かりにくかったとか、あとは、このリスクのところを細かく区切って色別にしていたのですが、医師会のほうから御指導いただいたのは、非常にかかりつけ医の先生方はお忙しいので、その紹介をするのかどうなのかということを判断する基準が欲しいので、リスクに関しては、紹介されたほうがこういったリスクですということを書いて返してくれればいいという御指摘を頂いて、非常にごもっともだというように思いました。

 最後に、かかりつけ医と専門医というのは実はイクスクルーシブではなくて、かかりつけ医の中に専門医がおられます。そういった形での連携というのも非常にいいのだと思いました。以上です。

○柏原座長 ありがとうございます。糖尿病性腎臓病は、日本糖尿病学会、日本腎臓学会、日本医師会が取り組んでいかなければいけないということですが、門脇構成員のほうから、御追加の御発言はありますか。

○門脇構成員 南学構成員のおっしゃったとおりだと思います。かかりつけ医、それから、腎臓専門医、糖尿病専門医が関わりますので、日本医師会、日本腎臓学会、日本糖尿病学会が連携するということは非常に重要で、腎臓学会と糖尿病学会で、それぞれ理事会レベルで協議をし、最終的には日本医師会の今村副会長、そして、羽鳥構成員から御指導いただきまして、日本医師会のほうでも正式に承認をされたところです。225日の公開セミナーで発表予定ですが、それを、できれば年度内に日本医師会に加入しているかかりつけ医の先生方にお届けしていただけるよう方策を日本医師会で今、考えていただいていると理解しています。羽鳥先生のほうから御追加がもしあれば、お願いいたします。

○羽鳥構成員 南学先生、門脇先生ありがとうございます。日本医師会も十分了承して、そして、分かりやすくなったということで、皆さんに配布していきたいと思います。取りあえず予定としては、3月号の「日医雑誌」の冊子を入れておくようにします。各かかりつけ医の先生、自分の机の上に置いて分かるようにしていきたいと思います。

 それから、私から1つお願いです。先生方は症例発表をよくされると思います。私たちも腎機能がこれぐらいというように紹介するのですが、eGFRで表現することはあるけれども、この蛋白尿と組み合わせての表現で、例えば消化器では、消化性胃潰瘍だと、A1A2S1S2というのだったり、あるいは、がんだったらグループ1、グループ2、グループ3とかあります。それと同じように、大体、例えばA2G3aといったらどのぐらいかというのが、実地医家の先生方がイメージが湧くようにならないといけないのだと思うのです。学会というか、その研究会や地域の先生の講演会のようなときにも、この言葉を多用していただきたいと、早く慣れていきたいと思います。それも少し検討していただけたらと思います。

○柏原座長 ありがとうございます。川村構成員、お願いいたします。

○川村構成員 かかりつけ医の前の健診から医療機関の紹介の件ですけれども、これは、ある一時点の話だったので、先ほど連続受診ということを言っておられたように、複数年にわたって、あるいは、要フォローアップで中間期にやられるという場合もあると思いますので、連続して尿蛋白が出るような場合というのは、よりアージェントというか、よりきちんと調べる必要もあろうかと思います。

 それから、健診期間でも二次検査としても、沈渣をやられる場合も少なくないと思いますので、沈渣で病的円柱などが出ているような場合、それから、健診は総合ですので、先ほどの糖尿病の話もありましたように、糖尿病や高血圧を同時に持つ場合は、やはりプラスアルファの要因ということで、単年度の尿蛋白だけではなくて、少し付加情報も足して、早期にというか、本当に必要性の高い人をより効率的に専門医のほうへ、あるいは、医療機関への紹介ということで、もう少し付記してもいいのかと思いました。

○柏原座長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

○小室構成員 これはコメントですが、病診連携医登録制度というのは、大変すばらしい取組かと思います。我々、循環器も、今後、心不全患者が増えるので、かかりつけ医の役割が非常に重要になって、病診連携をもっと強化しなければいけないと思っているのですが、今後の取組が、更に生活習慣病の病診連携のように広がっていくようだと、非常に私としてはいいと思ったのですけれども、その辺はどのようにお考えでしょうか。

○羽鳥構成員 日本医師会としては、是非、それは有り難いことだと思いますし、これから、脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る診療提供体制の在り方に関する検討会の永井座長も述べておられるように、心不全の患者が今後、10年で倍々に増えていくというようになったときに、病院の先生方だけで心不全末期を診てもらう在宅医療を担う先生方も診ていく必要があります。心不全、呼吸不全の方などに、麻薬がもう少し使いやすくなれば良いと思います。地域包括ケアがこれから動き出すと、重症の方もみなで診ていく仕組みが必要となります。

○柏原座長 このCKD対策についても、腎臓の専門医が全国に均等にいるわけではないと、地域によってはCKDについて詳しい先生に連携医となっていただくという提案はできるわけですが、今の小室構成員の話からは、心不全についても同じような状況、COPDについても同じような状況、それをどのように整理すればいいのか、かかりつけ医の役割というのが本当に多重に課してくるようなものですが、先ほどかかりつけ医の機能強化というお話もありましたが、羽鳥構成員、その辺りどのようにお考えでしょうか。

○羽鳥構成員 今、日医のかかりつけ医講習、応用講習と言っていますが、多くの医師会員が不得意な部分、在宅医療、高齢者のフレイルなど未明の患者さんもきちんとフォローできる様になる事が求められています。末期逆にかかりつけ医といっても、それぞれ得意不得意もありますので、その辺の交通整理も必要になってくるかもしれません。今後の課題だと思います。

○柏原座長 地域においてCKDの診療連携をつくるときに、地域の先生には大体、おおよそこういうかかりつけ医の先生はCKDについて詳しいということが分かるわけですが、そういう情報を基にしてマップを作っているような地域もあります。そういうことをする際に、それは各都道府県の医師会のほうにお願いに行って、御推薦いただくというようなことになりますでしょうか。

○羽鳥構成員 例えば、糖尿病対策推進会議ですと、行政も入って、都道府県医師会会長も入って、歯科医師会、薬剤師会、看護協会の方にも糖尿病対策推進会議がありますが、それと同じようにCOPDも今つくっています。ですから、CKDについても、展開するという方法もあると思います。ただ、できることならば、やはり国の予算が少しでも出ると有り難いです。例えば、先ほどのあれは、5疾病5事業ですから、比較的予算化しやすかったということもあると思いますが、医師会としても協力したいと思います。

○柏原座長 佐々木課長、何か発言はありますでしょうか。

○佐々木がん・疾病対策課長 先ほど羽鳥構成員、皆様からも御指摘がありましたけれども、今も政府全体、厚生労働省というか、政府全体の施策の方針が、病院完結型から地域完結型医療へ、そして、昨日の診療報酬改定でも各紙が報じたのは、地域包括ケアシステムを推進するためにかかりつけ医をどう活躍していただけるかという全体の方向性がありますので、今日頂いた御指摘を基に、もう少しそれがきちんとつながる仕組みがどういうものなのかということを改めて御相談した上で、最終的に整理したいと思います。ありがとうございます。

○柏原座長 先ほど、小室構成員が御指摘されたように、今、心不全とCKDであれば、知識やスキルの部分でかなりかかりつけ医のレベルも共通したベースもありそうだと思いますので、何か広く生活習慣病とか心血管、腎疾患とか、何か横串を刺す方向での共通項目のシェアすべき、理解に関するコンテンツのようなものができればいいのかなとも感じたりしました。全体を通して何かありますでしょうか。

○南学構成員 先ほど、川村委員、松村委員、馬場委員から御指摘のあったように、健診の継続性というのは非常に重要で、ちょっと御参考までに紹介させていただきますが、柏原先生の御指導の下で、碓井知子先生がやられた沖縄の69,000人の健診のデータのフォローをしたというのがあって、2年間の間に尿蛋白がディップステック試験紙で1プラス増えると、もう末期腎不全に至るリスクが3.2倍で、これが4プラスまで増えると17倍増えるデータがあります。逆に言うと、たった1プラスの増加でも非常に重要で、かつプラスマイナスの人たちでも末期腎不全に至るリスクは有意に高いというデータがありますので、経時的にフォローアップするということは、非常に重要だということを裏付けるデータとして紹介させていただきました。

○柏原座長 ありがとうございます。御追加の御発言はありますでしょうか。

 それでは、資料28ページの地域における医療提供体制の整備の方向性()というのがあります。➀と➁と書いてあります。あるいは10ページ、地域における医療提供体制整備のKPI、ここでも3つ書いてあります。紹介・逆紹介率の上昇だったり、CKD診療を担い得る非腎臓専門医、かかりつけ医の数の増加とか、ステージごとの腎臓専門医への紹介率の上昇といったものをKPI()としたいということに関して御承認いただけますでしょうか。

 ありがとうございます。それでは、5本柱の3番目になりますが、診療水準の向上の部分について、事務局から説明をお願いします。

○福井がん・疾病対策課長補佐 診療水準の向上について、資料211ページからを御覧ください。まず、岡田参考人からの御発表と議論を踏まえまして、診療水準向上の目的は、かかりつけ医、各種専門医等が、各種ガイド、ガイドラインで推奨された診療を実施することと考えております。

 続いて、この目的を達成するための課題です。➀各種ガイドライン間で、推奨内容が一部一致していない点がある。➁各種ガイド、ガイドラインが作成され、普及は進んでいるが、非腎臓専門医等への普及をはじめとして、更なる普及が必要。➂かかりつけ医等と専門医間の連携、また、領域を超えた専門医間の連携の更なる強化が必要とさせていただきました。

 これらの課題を克服するため、12ページに方向性()をお示しします。➀関連学会等が合同で推奨内容を協議・決定した上で、ガイドライン等を作成してはどうか。➁ガイドやガイドラインの利用者を明確にした上で、関係団体や関連学会等と連携して、かかりつけ医や非腎臓専門医、メディカルスタッフ等へのガイドや、ガイドラインの普及を進めてはどうか。➂腎臓専門医等への紹介基準だけでなく、糖尿病専門医等への紹介基準や、領域を超えた専門医間の連携基準等を作成してはどうか。

13ページに、KPI()をお示しします。CKD診療ガイド、ガイドラインの普及率です。推奨される診療の実施率の上昇などとしてはどうかと考えております。現状では、ガイドやガイドライン等、様々な名称が使用されており、対象者も明確でない部分もあるため、本来、対象としている方々への普及率の上昇と、その結果としての推奨される診療の実施率の上昇という意味でお示ししております。

 続いて、参考資料1に移ります。16ページからを御覧ください。CKD診療ガイドラインの普及率評価のための調査結果です。1718ページは、かかりつけ医へのCKD診療等に関する調査結果です。KPI作成の参考として、第1回の資料を再掲しております。資料2で示した診療水準の向上の方向性と、KPI()について、構成員の皆様の御意見をお伺いしたいと思います。以上です。

○柏原座長 ありがとうございました。診療水準の向上について御説明いただきました。御意見を賜りたいと思います。いかがですか。

 そうしましたら羽鳥構成員にお伺いしたいと思うのですが、各学会はこのガイドやガイドラインを作っております。腎臓学会もかかりつけ医の先生向けにガイドを作っているつもりなのですが、余りにもガイド、ガイドラインの数が多くて、それが普及を妨げているのではないかという気もしたりするのですが、その辺りいかがですか。

○羽鳥構成員 そうですね、できることなら一本化してほしいという気持ちはあります。やはり1人の患者さんを見ていて背景が定まっているわけですから、そうしたら先生によって捉え方が違うというのは、患者さんに対しても失礼ではないかと思いますので、話し合って一本化できるものなら一本化していただきたいと思います。特に腎臓のガイドラインで時々気になるのは、食事とか栄養についての記載が少しずつ概念が変わっていると思うのですが、その辺が分かりにくいところがあります。例えば、蛋白尿は運動を制限したほうがいいのか、制限する必要はないのかなどとか、運動に対して腎臓病の慢性のものであれば運動したほうが腎血流量は上がるのではないか。もちろんネフローゼなどでは運動は禁忌であるとか、そういうのはあると思うのですが、もうちょっと明確にメッセージを出していただいたほうが、かかりつけ医はきっと有り難いと思います。よろしくお願いします。

○柏原座長 南学構成員、お願いします。

○南学構成員 羽鳥構成員御指摘の点は大変重要で、各種ガイドライン間で推奨内容が一部一致していないという点が確かにございます。たくさんのものが出ています。これに対して日本医学会連合のほうでは門脇副理事長の御指導の下で、こういったものをなるべく統一するように、お互いのお見合いをするではないですが、紹介をするような試みが始まっています。ただ、ガイドライン自体がどういうことを重視して作るかによって当然内容が変わってきますので、そうでないと国際ガイドラインが出たら後はどこもガイドラインを作らなくていいことになってしまうので、各学会がどういうアウトカムあるいはエビデンスを重視するかによって多少内容が変わったことが出てきてしまうという点、これに関しては逆に強制的に一致させられるものでもないので、そこら辺をいかにうまくお見合いをしていただいて、今後使いやすい、統一化したものを作っていっていただくかが大事なのではないかと思っております。

○柏原座長 ありがとうございます。この糖尿病に関しては今、厚生労働省の政策研究班で糖尿病に関する各学会のガイドラインの精査と連携というお仕事をされていると伺っているのですが、門脇構成員からお話していただけますか。

○門脇構成員 後ほども少し御紹介される可能性がある資料の中にもございますが、糖尿病の診療連携に関する、私が代表者を務めている班会議、それから同じような趣旨で腎臓学会の柏原先生が研究代表者を務めている班会議がありまして、それぞれ相互に加わっていると同時に、両方の班で連携をしながらガイドラインの統一といったものを進めています。このような厚生労働省の班会議あるいは学会間の連携というものを更に進めていく必要があるのではないか。それを先ほど南学構成員から御紹介いただきましたように、南学先生が日本医学会連合で診療ガイドラインの検討委員会の委員長として、日本医学会には128の学会が加わっていますが、その128の学会を対象にして現在出されている診療ガイドライン等について、詳細なアンケートを取っていただいています。それを基にして様々な診療ガイドラインの作成法の不統一であるとか、内容的なばらつきであるとか、そういったものをいかに適切な形で改善していくのかについて、ちょうど今データを分析されているところです。そういった医学界全体としても動きがある中で、先進的な事例として各学会の取組というものも進めていく必要がある、そんなふうに考えています。

○柏原座長 ありがとうございます。南学構成員にお伺いしたいのですが、医学会連合でガイドラインの内容を精査されているとのお話なのですが、そういう中で、例えば私ども腎臓学会だけでも20ぐらいのガイド、ガイドラインがあります。学会内でそれを整理することはできないといいますか、発案があれば、作ってくださいと。これはどこかで整理といいますか、しなくてはいけないかと思ったりもするのですが、そういうことはできるのか、したほうがいいのか、しなくていいのか、どうですか。

○南学構成員 ありがとうございます。非常に難しい問題だと思います。恐らく注意しなければいけないのは、ガイドラインというのはやはりガイドラインなのです。この参考資料にある普及率評価のためのアンケート調査で、「診療にどれぐらい参考にされていますか」という聞き方をしている点が非常に重要で、従わなければいけないものではなくて参考にすることが大事なのだと思っています。実際に完全にそれにのっとってやることは、クックブックメディスンと言われて、非常に推奨されない診療になってしまいます。参考にするための資料は多ければいいのですが、逆に余りに多くなると、羽鳥先生のおっしゃるように、ちょっと収集がつかなくなってしまう。そこら辺は既にどこかほかの学会が出しているものであれば、ひょっとしたらこれはまだ日本医学会のほうの委員会が走り始めたばかりなので分かりませんが、例えばこういったものを作りたいと思うのですが、どこかほかでやっている所はないでしょうかということを、医学会に問い合わせていただいて、どこかで既に作っているのであればそこのものを確認していただいた上で、改訂版を作るときにはそこと一緒に作るとか、何かそういった形で将来的に様々な学会が持っている全体のガイドラインの総数を集約化していくことができればとは、個人的には考えているのです。門脇先生から何か追加の御発言があれば、お願いしたいと思います。

○門脇構成員 南学構成員のおっしゃるところが、今後の検討課題で最も大事なところの1つだと思います。1つの考え方としては、かかりつけ医の先生方をはじめとして一般に最もよく使われているものは、例えばCKDで言えばCKD診療ガイドだと思うのです。また、糖尿病学会は糖尿病の診療ガイドラインと治療ガイドというのがありますが、治療ガイドが一般的にかかりつけ医でも専門医の中でも、最もよく使われています。そういう最もよく使われているガイドのようなものの中で、例えば腎臓学会と糖尿病学会で出しているものの中に、少し不統一がもしあるとすると、今は余りないように思うのですが、やはりそれはかかりつけ医としてはどちらを見たらいいのか分からないというようなことで、それぞれの疾患で最もよく使われているガイドのようなものの間で、作った学会によって、同じ対象疾患に対して不統一がないように、その辺りはどうしてもしなくてはいけないかと思います。

○柏原座長 ありがとうございます。相互にリエゾン委員を派遣したりとか、相互査読制度も必要だということだと思います。この診療水準の向上の方向性()の中にも、メディカルスタッフ等へのガイドラインやガイドライン普及を進めてはどうかというのもあったりするのですが、そもそもこのガイドやガイドラインの作成段階で、看護師の方であったり、あるいは行政であったり、そういう方々に多分参画をお願いしていないように思うのです。これは、例えば川本構成員、何かお考えはございますか。

○川本構成員 先ほどから申しあげておりますように、やはり診療だけではなく、生活習慣もとても影響していくわけですので、そういう点を含めていろいろな御意見を発言させていただける機会があれば、非常に有り難いと思います。

○柏原座長 そうですね、ガイドを作る段階から参画することも考えたいですよね。ありがとうございます。川村構成員、お願いします。

○川村構成員 今の非常に大事なポイントだと思います。それから、プロバイダーサイドで相互にチェックする、あるいは歩み寄るということも大事ですが、場合によってはユーザー側がある程度賢くなる。個々のユーザーでは大変なので、ユーザーの中の有志がユーザーレベルで評価するというような動きも、やっている人もいますし、そういう視点、プロバイダーサイドではなくて、コンシューマーサイドの見方というのも入っていただくというようなことも考えられるかと思います。

○柏原座長 門脇構成員、お願いします。

○門脇構成員 既にもう出た意見を重ねるばかりなのかもしれませんが、先ほど南学構成員から今回の腎臓専門医あるいは糖尿病専門医へのかかりつけ医からの照会基準のときに、両学会で最初に作ったものは日本医師会の今村先生、羽鳥先生の御意見を伺うと、かかりつけ医として利用する場合には少し煩雑であったり、分かりにくかったりするというアドバイスを頂きまして、それに基づいてかなり改訂をして、非常に分かりやすいものになったのではないかと思います。作成の、できれば最初の段階から日本医師会をはじめとするかかりつけ医の先生方にもいろいろな形で加わっていくというような作り方が、非常に今後重要ではないかと思います。

○柏原座長 循環器学会も関連する学会もあるし、ガイドラインの数も随分多いわけですが、小室構成員何か工夫がございますか。

○小室構成員 我々循環器学会としては60余りのガイドラインを作っています。最近ガイドライン作る際には、必ずそれに関連する学会の代表の方に委員を出していただくようにお願いして、関連学会として代表として出ていただいて、一緒に作る。その中には医師ばかりではなく、看護師また技師、もちろんほかの科、外科であったり、放射線科だったり、そのガイドラインを使うであろう人を想定して、委員に入っていただいています。我々が最近やっていることは、始めようとしていることなのですが、ガイドラインにどれほどのっとった治療をしているのか。更に、その治療をしたらどれだけ成績が良いかを、今後見ていこうという段階に今入っています。

○柏原座長 クォリティインデケーターなんかを使って、遵守率を見ていくということですね。ありがとうございます。

5本柱、あと2つ残っているわけですが、最後の「研究開発の推進」は第3回に回したいと思います。今、診療水準の向上について、資料の1314ページに方向性()KPI()を出していただいております。これはおおむねこの方向で今日の御意見も含めて取りまとめていくということで、よろしいですか。

○南学構成員 1点だけよろしいですか。いろいろな学会が合同して、このガイドラインを作ることは非常に重要なのですが、AKI(急性腎障害)のガイドラインを最近、日本腎臓学会と、それから集中治療学会と、透析学会と何とか学会、何とか学会と、合計5学会合同で作ったのですが、取りまとめた人がやはりものすごく大変だと言っていて、もう二度とやりたくないと言っていました。恐らく余り船頭さんが多くなると非現実的になるかもしれないということは、何でもかんでも一緒にやってくださいという結論になると非現実的になるかもしれないということで、一言だけ発言させていただきます。

○柏原座長 ありがとうございます。それと、最近のガイドラインはエビデンスベースですから、そのシステミックスクリーニングとか、そこにも膨大な時間とリソースを投入しなくてはいけない。このこともやはり考えなければいけないということですね。いずれにしても、診療水準の向上の部分の方向性()KPI()についてはお認めいただいたということで、また今日の議論も反映させて、最終案を作っていただこうと思っております。

 最後の柱ですが、人材育成に関して、まず事務局からお願いいたします。

○福井がん・疾病対策課長補佐 人材育成について、資料215ページからを御覧ください。前回の岡田参考人からの御発表と議論を踏まえ、人材育成の目的は腎臓専門医の偏在や不足の中、患者に適切なCKD医療を提供するための人材を育成することと考えております。

 続いて、この目的を達成するための課題です。腎臓専門医数は増加傾向ではあるが、偏在や地域差がある。特に、地方では腎臓専門医やメディカルスタッフとの連携の下、非腎臓専門医にもCKD診療を担っていただく必要があるとさせていただきました。

 これらの課題を克服するため、16ページに方向性の案を示します。平成30年度より開始する腎臓病療養指導士を含めたメディカルスタッフ等、腎臓病に関する基本的な知識を有する人材の育成を進めるべきではないか。また、かかりつけ医と腎臓病療養指導士、更に糖尿病療養指導士等の他の療養士との連携を推進すべきではないか。

17ページにKPIの案を示します。地域別の腎臓病療養指導士数の増加、関連する療養指導士間連携事例の増加などとしてはどうかと考えております。

 続いて参考資料120ページからに移ります。腎臓病療養指導士の関わるチーム医療のイメージ図です。腎臓病療養指導士は職種横断的なCKD療養指導のための基本知識を有するチーム医療の担い手として看護師、保健師、管理栄養士、薬剤師の3分野の方々を対象とした資格です。3分野の標準知識と技能を幅広く有したオールラウンダーとして、腎臓専門医が不在の地域等では1人でかかりつけ医をサポートしていただけるとされております。20ページは、かかりつけ医と腎臓専門医の療診連携が可能なケースです。

21ページは、腎臓専門医が不在で、かかりつけ医がCKD診療を担うケースです。いずれのケースでも、能力を持った人材によるサポートが加わることにより質の高いCKD療養指導の提供が可能になるとされております。腎臓病療養指導士は、日本腎臓学会の学会資格です。資料2で示した人材育成の方向性とKPI()について、構成員の皆様の御意見をお伺いしたいと思います。KPIもあくまでも事務局の案ですので、これ以外に項目とすべきものとか、進捗管理を考えると、このKPIは難しいといった御意見も頂ければ幸いです。以上です。

○柏原座長 人材育成に関して、方向性とKPI()を御説明いただきました。御意見を頂きたいと思います。川本構成員、お願いします。

○川本構成員 よろしくお願いします。日本看護協会においては認定看護師がおりまして、透析看護、それから糖尿病看護ということで、特定分野を専門にしている者がおります。糖尿病が860名、透析看護が237名ということで、20年間かけて今までその制度をずっと持続してきたわけです。そういう中で、やはりこの方たちが専門性を持って活躍するためにはどの方が一番影響を与えるかということになりますと、看護管理者の方が非常に重要な意味を持ってくることを私たちは今までに経験しております。恐らくこの腎臓病療養指導士の方が看護師として参画するためには、看護管理者の方の深い御理解がないと実際的にはできないかと思っておりますので、その点に関して理解を深めていただきたい。と同時に、今までの既存の社会的資源である認定看護師の方も十分に活用していただくようなシステム作りをしていただければと思っているところです。以上でございます。

○柏原座長 ありがとうございます。この腎臓病療養指導士は、腎臓学会と腎不全看護学会と腎臓病薬物療法学会と日本栄養士会の4学会の認定資格ということです。今年、第1回の試験を実施して700名受験いただいて、約50%が看護施設からです。恐らく大半が合格されますので350名規模になります。その役割としては、認定看護師さんよりももう少しベーシックなところでとは考えております。さらに、恐らく多くは病院の看護師さんなので、おっしゃった看護管理者の方の役割がかなり大事になってきますね。そこをどう働き掛ければいいのか、今後また御指導を頂きながら考えたいと思います。人材育成に関して、御意見いただけますか。

 絵としては確かにこういう絵は描けるのですが、実際はこの療養指導士、多くは病院勤務の方々なので、かかりつけ医、クリニックに勤務されているメディカルスタッフの方まではなかなか現時点では広がらないのではないかとは思っております。専門医に関しても、確かに過去10年間ぐらい右肩上がりで専門医の数が増えているのですが、第1回のときに資料が出ましたが、都道府県別に見ると、むしろ減っている県があったり、全然変わらない県があったり、全県で専門医が一桁とか、45名ぐらいの所もあるという現状もあります。そういった均てん化も必要になってきます。人材育成は非常に幅の広い事柄だろうと思いますが、いかがですか。松村構成員、お願いします。

○松村構成員 こちらと21ページの、腎臓専門医が不在の場合に腎臓病療養指導士、現実問題として薬剤師さんも活用するということですが、殊に地方では薬剤師さんの御協力を得るような何か方策を取らないと、病院に看護師さんや、管理栄養士はいらっしゃいますが、町のかかりつけ医と、あと誰がいるかと言ったら、薬剤師さんしか周りに見当たらない所が大変多いと思います。殊にへき地では。その辺のところを薬剤師さんに御協力いただくような何か方策が取れると、プラスになるのではないかという気がいたします。

○柏原座長 ありがとうございます。是非第1回の試験が終わりましたら、職種別と地域別の分布というのを解析して、そういった松村構成員がおっしゃったようなことにいかしていきたいとは思います。それ以外に何か御意見、御提言ございませんか。羽鳥構成員、お願いします。

○羽鳥構成員 この21ページの腎臓専門医が不在という地区もありますが、情報機器を用いた連携ということで、D to Dの、D to Pもできるかもしれませんが、遠隔医療とかそういうのも少し絵としては描き込んでもいいのかもしれないと。腎臓専門医にコンサルテーションを受けられないと見えてしまうのは、よろしくないと。

○柏原座長 ありがとうございます。ただ、日本医師会でそういった遠隔医療的な専門医へのコンサルテーションの項目というのはございますか。

○羽鳥構成員 医師と医師のコンサルテーションは、へき地、過疎地では放射線読影などでやっている、あるいは病理医がやっているようなことは日本医師会も了承しています。○柏原座長 この人材育成について、御意見ございませんか。人材育成は全ての学会に共通する課題であろうと思うのですが、また御意見を求めて恐縮ですが、循環学会で、小室構成員はいかがですか。

○小室構成員 この方向性に賛同いたします。循環器としても心不全療養指導士等を今後育成することが必要だと思っていますので、是非とも連携していただいて、更にはそれぞれたくさんできて、それを全部取るのは大変と思いますので。逆に、先ほど言いましたが、生活習慣病療養士みたいなのが将来的にできてしまえば、非常に多くの患者さんを効率よく診られるのではないかと思います。

○柏原座長 ありがとうございます。門脇構成員、お話ありますか。

○門脇構成員 今の意見に非常に賛成です。糖尿病学会が関与している糖尿病療養指導士、それから腎臓学会が関与している腎臓病療養指導士など幾つか療養指導士があります。例えば、日本肥満学会でも肥満症に関する療養指導士を育成しているわけです。結局1人の患者がいろいろなものを複数あるいは多数持っているわけですので、いろいろな資格を別々に全部取らなくてはいけないというよりは、ハードルが比較的低い共通部分を作って、あとはそれぞれの疾病にかかわる部分を加えるジェネラルとサブスペシャリティのような形で、うまく運用できると非常に良いと思います。そういう仕組みを作ることで、例えば糖尿病とか腎臓の療養指導士が取りにくくなるということではなくて、全体としては取りやすくなる。中でも共通のものは、更に取りやすいような形にすることが重要と思います。質の担保も非常に重要ですが、やはり今ニーズが非常に大きいですので、数を増加させることは非常に重要ではないかと思います。

○柏原座長 ありがとうございます。いろいろな療養指導士制度、CKDに関しても1,200名の方が受講していただいた。その意欲の高さに本当に敬服するわけなのですが、実際に資格は取ったけれども、これがどう医療にいかされていくのかが実装されていかなければ、やはりモチベーションは維持できなくなってくると思います。この資格、誰に対してどういかしていくのか。半数は看護師の方々ですから、看護管理者の理解とか見識が大事だというお話もありました。川本構成員から何かアイディアとか、提言とかあればお願いします。

○川本構成員 なかなか厳しい状況ですが、座長のほうからおっしゃっていただいたように、やはり見識、必要性を理解していただくという、そういう見識を高めることがまず基盤になると思っております。その点の説明をしていくとか、御理解を求めるような場を設けていくとか、そういうことがまず始まりかと思っております。

○柏原座長 ありがとうございます。メディカルスタッフのそういう意欲の高さというものをきっちりと受け止めて、それを維持できるような、何か応援できるような仕組みも作っていかなければいけないとは感じております。

○門脇構成員 日本糖尿病療養指導士は、今19,000人以上になっています。ただ、新規にどんどん増えているのですが、更新率が60%位だという問題があります。それはその資格を取ってもなかなか生かせる場がないという問題があります。例えば、糖尿病の療養指導に関わっていて、モチベーションが上がって資格を取るのですが、すぐにほかの場所に配置転換されてしまうような場合が非常に多いです。それは、先ほど看護管理者の話が出ましたが、それも大切だと思うのですが、結局病院管理者の責任はもっと大事で、病院管理者が見た場合には、その療養指導士がいることによって医療の質だけではなくて、経営上のインセンティブがないとなかなか病院管理者がその療養指導士を十分に病院の仕組みの中で活用するというモチベーションも上げにくいと思うのです。

 そういう点から見て、既に糖尿病の重症化予防については糖尿病療養指導士というものを実際に1つの要件として認めていただいています。また、足のフットケアについても、糖尿病の専門、恐らく看護協会が認定している専門看護師などが書き込まれていると思うので一部にはあるのですが、そういうものはやはり拡大していかなくてはいけない。そのときに、例えば糖尿病療養指導士だけになかなかインセンティブを付けるのは難しいと思うのです。そういう点で、いろいろな療養士の仕組みというものを相互に連携させて、どの学会ということではなくて、全ての学会の関係者が共通して承認した生活習慣病療養指導士のような名称をつけていただきますと、診療報酬上のメリットやインセンティブも付けやすいのではないかと思いますので、そういったことはやはり実装のためには考えていく必要があるのではないかと思います。

○柏原座長 ありがとうございます。重要な意見をたくさん頂きました。ほかには御意見はございませんか。

○馬場構成員 1つよろしいですか。今先生方からおっしゃっていただいていることに関して、我々CKDの立場で、果たしてどこの医院にどういう形で行ったらいいのかというのはなかなか分かりにくい。表面に出てこないというのがございまして、今、先生方がいろいろ御発言いただいたようなことがもっと一般の患者に分かりやすく、何か表現できるものがないのかなと常日頃考えているところです。

○柏原座長 ありがとうございます。川村構成員、お願いします。

○川村構成員 全体的なことですが、最初の課題に戻りますが、ここで候補として挙げられたKPIは、個別には割と行動ないしは施策として現れやすいものが出ていると思うのです。ところが、全体目標になると、いきなり疾患で、それもエンドステージのほうが来て、ここの間にとても距離があると思います。KPIにどういう設定をするかということですが、制度とか行動というのは割と反映しやすいのでいいと思う。疾患レベル、特に死亡とか透析導入というのは究極の指標です。その間にサブクリニカル、あるいはプレクリニカルのレベルがあって。例えば検査値など尿蛋白とかクレアチニンのレベル。それからビヘイビアの前にコンシャスネス。実は、最初の普及啓発のところにコンシャスネスの問題、アウェアネスの問題が1つだけ入っていますが、4つぐらいの階層に分かれるかと思うのですが、行動のところが大部分で、いきなりエンドステージがあって、そこの間は(施策が)反映するのにとても時間が掛かると。例えば、健診受診率を上げて、それが透析の患者さんの減少につながるには恐らく20年、30年と掛かる話なのです。その設定の仕方が飛んでしまっているので、途中のマーカーなども少し用意したほうがいいのかもしれない。先ほど尿蛋白の継続的な陽性、あるいは悪化というのはエンドステージのリスクを高めるというお話が南学先生から御紹介されましたように、中間的な、­もう少し手近なところにあるサブクリニカルのマーカーを使うことも1つの考え方としてできるかと思いますので、そもそもKPIの構成要素をどうするかということを考えていただけたらと思います。

○門脇構成員 時間がない中恐縮です。川村構成員のおっしゃったこと、私もずっと考えていて、やはりKPIには少なくとも3つあると思うのです。ストラクチャー指標とプロセス指標とアウトカム指標があるので、それぞれに分けてKPIを作るのが一番良いのではないかと。

○南学構成員 ありがとうございます。すみません、時間がないのに。本当に川村先生おっしゃることに賛成で、最終的なハードエンドポイントとして透析があり、その前の段階に透析導入の平均寿命の延長があるのですが、そのもっと前に、例えば恐らくそのCKDのステージ、G4G5の患者さんの数が減るとか、そういったことが確かにあるのです。逆に言うと、いわゆる治験に使われるようなハードエンドポイントがとても大変なので、臨床試験が組めないという批判があって、腎臓学会と糖尿病学会が合同で、どういったサロゲートポイントを取ると、末期腎不全に至る人を減らすことができるような薬を作ることができるのかを検討されているのです。先生おっしゃるような、もっと前の段階のポイントを作っておくことはとても大事だと思いました。

○柏原座長 ありがとうございます。非常に有用な御意見でありました。最終的には透析の患者さんの数を減らすことであったり、関連する死亡を減らしたり、循環器疾患を減らしたり、今QOLを良くするというのはアウトカムの指標であって、その1つ前のプロセス、ストラクチャーの指標もKPIの中に落とし込んでいくという、本当に大事な御指摘を頂きました。

○松村構成員 川村先生に大賛成です。

○柏原座長 最後になって大賛成という意見が頂けてうれしく思います。まとまり方としては。ほかにはよろしいですか。

 作っていきました人材育成の方向性とKPIについて、このKPIGとは3つの階層で、もう一度全体を整理することをしていただこうと思います。おおむね御了承いただけたということで、ありがとうございます。それでは、本日は構成員の皆様方から非常に精力的に御議論いただきまして、ここまで進めることができました。時間の都合上、研究開発の推進の部分だけが残りましたが、ここはそれほど大きく時間は掛からないだろうと考えております。次回で、また御指導いただきたいと思っております。何か事務局から追加はございますか。

○佐々木がん・疾病対策課長 構成員の皆様、今日もありがとうございました。最後、座長からおまとめいただいたとおり、次回検討会、そして最終取りまとめに向けて、おおむね4つの方向性で進めたいと思います。まず1つ目の方向性というのは、前回も話が出ましたし、今日の普及啓発でもありましたが、まず腎対策を考えたときに、全体図がどうなのか。その中で、どこがどういうことを既に取り組んでいるか。例えば、文部科学省の話も出ましたし、私どもでいうと保険局ですとか、また同じ局の中でも健康日本21でやっているものとか、そういう全体像が分かるものを1つ用意して。

2つ目の方向性というのが今日も馬場構成員からも話がありましたが、患者さんの目から見たときに患者さんがどういうコースをたどっていくのか。そのときに、そのたどっていく過程の中で松村構成員の、例えばこの段階で早く見つかっていればこういうことができるのにという視点のまとめ方も必要だろうと思います。

3つ目の方向性は今日正に全体を御議論いただいたとおり、その中で、ではどこでどういう対策が講じられれば、それが変わり得るものだったのか。今の時点で、既にあるもの、ないもの、ありすぎて整理が必要なものという方向性が必要かと思います。

 最後の4つ目が、先ほど本日一番最後の議論になったわけですが、だからそれらを総合すると、どういう絵姿に持っていこうとしているのか。その絵姿のプロセスをたどるとすれば、どういうKPIが必要なのかという最終的な整理の仕方になろうかと思います。そのことを意識した資料を準備したいと思います。次回の第3回検討会は、改めて日定調整させていただいた上で、御案内差し上げたいと思います。事務局からは以上です。

○柏原座長 佐々木課長ありがとうございました。今後のことについての御説明はよろしいですか。それでは、構成員の皆様方、本日は本当にお忙しい中お集まりいただきまして、非常に多くの貴重な御意見を賜りましたこと、改めて深く御礼申し上げます。どうもありがとうございました。

 


(了)

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