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2017年12月7日 第110回労働政策審議会安全衛生分科会

労働基準局安全衛生部計画課

○日時

平成29年12月7日(木)10:00~


○場所

厚生労働省省議室(中央合同庁舎第5号館9階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○出席者

委員(五十音順、敬称略)

青木 健、明石 祐二、漆原 肇、熊崎 美枝子、栗林 正巳、佐保 昌一、高田 礼子、土橋 律、
中澤 善美、縄野 徳弘、増田 将史、水田 勇司、最川 隆由、矢内 美雪、山口 直人

事務局:

田中 誠二 (安全衛生部長)
久知良 俊二 (計画課長)
小沼 宏治 (調査官)
井上 仁 (安全課長)
縄田 英樹 (建設安全対策室長)
高橋 洋 (主任中央産業安全専門官)
神ノ田 昌博 (労働衛生課長)
毛利 正 (産業保健支援室長)
山本 要 (電離放射線労働者健康対策室長)
丹羽 啓達 (主任中央労働衛生専門官)
奥村 伸人 (化学物質対策課長)
穴井 達也 (化学物質評価室長)
木口 昌子 (環境改善室長)

○議題

(1)第13次労働災害防止計画の本文案について
(2)新規化学物質の有害性の調査結果について
(3)その他

○議事

○土橋分科会長 定刻となりましたので、ただいまから第 110 回労働政策審議会安全衛生分科会を開催いたします。本日の出欠状況ですが、公益代表委員は城内委員、三柴委員、水島委員、労働者代表委員は勝野委員、袈裟丸委員、使用者代表委員は中村委員が欠席されております。本日の分科会は、タブレットによるベーパーレス開催となります。まず、事務局から、何か説明があればお願いいたします。

○久知良計画課長 ペーパーレス開催につきましては、今年5月の第 103 回の分科会で1度行っており、今回が2度目ということになります。したがって、今回は詳細な使用方法の説明等は省略いたしますが、使用方法につきましては、机上に資料を配布しておりますので、適宜御参照ください。また、御不明な点がありましたら、お近くに職員を配置しておりますので、お申し出ください。

 それから1点だけ申し上げておきますと、画面の下側の左から5番目のアイコンをタップしていただきますと資料一覧に戻りますので、そこから適宜必要な資料をタップしていただければと思います。以上です。

○土橋分科会長 傍聴の方へのお願いですが、カメラ撮影等はここまでとさせていただきますので、御協力をお願いします。

 それでは、議事に入ります。議題1「第 13 次労働災害防止計画の本文案について」、事務局から説明をお願いします。

○小沼調査官 第 13 次労働災害防止計画(案)につきまして、資料1を使って説明します。今回は、前回のこの分科会で頂いた御意見と、その後に委員の皆様からお寄せいただいた御意見を踏まえた御審議をお願いしたいと思います。頂いた御意見につきましては、文言の表現や平仄合わせを含みますと、かなりの量になります。したがって、単純に修正箇所を残しますと該当箇所が多く、御審議いただくのが大変かと思いますので、事務局におきまして、前回の分科会でお示ししたものと意味が変わらないものにつきましては反映済みとしました。大きな修正がある文や委員により修正意見が異なるなど、御審議のポイントとなる部分を赤字にて上書き修正しておりますので、最初にお断りいたします。なお、前回の資料につきましては、厚生労働省のホームページに掲載されておりますが、この場で確認をしたいという御要望がありましたら、事務局までお申し付けください。

 資料1に沿って説明いたします。最初に2ページを御覧ください。(3)「計画の目標」のうち、マル4のメンタルヘルス対策の目標について修正をしております。修正前は、不安、悩み、ストレスの相談先が職場にある労働者を 90 %以上にするとしておりましたが、メンタルヘルス指針にも出てまいります、事業場外資源が相談先に含まれるのか分からないとの御意見がありましたので、「事業場外資源を含めた」という追記をし、誤解のないようにしました。

 続いて、3ページを御覧ください。赤字での修正はありませんが、2点説明いたします。1点目は、一番上のストレスチェックの集団分析に関する目標についてです。この目標につきましては、職場改善に有効なので設定すべきという御意見と、少人数の職場では集団分析を行いにくいのではないかという御意見が出ております。この点につきましては、後ほど御審議いただきたいと思います。2点目は、受動喫煙についてです。前回の分科会では「受動喫煙の防止に関する諸施策の動向を踏まえつつ検討」と付記しておりましたが、この部分は削除しております。受動喫煙につきましては、社会全体としての対策の強化にかかる諸施策の調整が進められている最中であり、労働安全衛生法上の努力義務の運用状況だけで、本計画の目標を議論することは適当でないと考えています。そのため、計画の期間中に新たな受動喫煙防止対策の枠組みが作られ、我々として議論できる状況と判断した際に、別途御相談させていただきたいと思います。

 少し飛びまして、9ページを御覧ください。(4)「疾病を抱える労働者の治療と職業生活の両立を巡る状況と対策の方向性」です。修正前につきましては、働き方改革実行計画に記載された内容を引き写していましたが、文章の体裁が他の部分と異なっているのではないかとの御意見を頂きました。修正後は、事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドラインの記載を用いながら、他の部分との体裁を合せています。

 次の 10 ページは、化学物質の情報提供に関する部分です。化学物質の情報提供の仕組みを検討と、検討の方向性を限定していた表現から、そもそも化学物質の情報提供はどうあるべきかという在り方の検討というように幅を持たせたものです。詳しくは、後ほど説明いたします。

11 ページを御覧ください。修正前は、建設工事の請負契約における安全衛生経費について、関係者の理解の促進という表現を用いておりましたが、関係者の実施事項を具体的に記載すべきではないかという前回の分科会における御意見を踏まえ、「適切な積算及び確実な支払いに関する施策の検討・実施」と修正しております。こちらは「建設工事従事者の安全及び健康の確保に関する基本的な計画」の記載と整合するよう修正したものです。

 次の 12 ページの1点目は、高経年設備についての点検整備の部分です。高経年設備と一括りに言いましても、しっかりと補修しながら使われているという場合と、そうでない場合があるのではないかということで、「補修等の状況も勘案した」という文言を追加しました。2点目は、化学プラントなどを保有する事業場についてです。これらの事業所は万一事故が起きた際に備えて損害保険を掛けていると思いますが、その損害保険料の減免に使える機能安全の認証制度を検討しようというものでした。この点につきまして、国内の損害保険会社に内々で確認したところ、対応は難しいのではないかという意見をいただき、本計画に盛り込むことをやめるというものです。なお、諸外国では、こうした制度が既にあるようですので、事務的には引き続き情報収集を進めていきたいと考えております。

13 ページの1点目は、(2)アの(ア)「企業における健康確保措置の推進」の部分です。この部分につきましては、労働者代表、使用者代表それぞれに御意見がありました。過労死などの防止につきましては、企業、事業場が法定の健康確保措置をしっかり行うということと合わせ、労働者自身も自らの健康保持・増進に取り組んでいただくということが車の両輪になって進むという御趣旨と理解しましたので、このような修正としました。2点目は、下のほうにあります衛生委員会などの活性化の部分です。この部分につきましては、本年6月の建議におきまして、産業医は衛生委員会に出席して、専門的立場から必要な発言などを行うことが求められるとされたことを踏まえ、このような修正とました。

14 ページを御覧ください。ウ(ア)のメンタルヘルス不調の最初の項目につきましては、再掲しなくても良いのではないかということで削除しました。その2つ下の小規模事業場におけるストレスチェック制度の普及につきましては、その実施者として産業保健総合支援センターを明記するという趣旨で、このような修正をしました。

 続いて、 17 ページを御覧ください。(キ)「職場における『危険の見える化』の推進」です。この部分につきましては、派遣労働者、若年労働者、未熟練労働者、外国人労働者といった様々な方々に対する安全衛生上の配慮を一括りにして記載しておりましたが、技能実習制度の改正に伴い、外国人技能実習生の増加が見込まれるということも踏まえ、外国人労働者につきましては、日本語の理解度に差があることを踏まえた「危険の見える化」について、別項目で記載をしました。

18 ページの1点目は、(エ)「障害を有する労働者対策」の部分につきましては、労働災害防止計画に記載する範囲をどこまでにするのかという御意見を頂いておりますので、修正をしたものです。2点目はエの技術革新の部分です。前回の分科会で災害統計の所で、交通事故が減少している背景に、1つの大きな要因として自動ブレーキのような新しい安全技術を取り入れたことがあると考えられる。交通事故だけでなく、労働安全という意味で製造機械や建設現場で使う車両系の建設機械などにも、同様の新しい技術を入れてはどうかというご意見をいただいたことから、このような「信頼性の高い自動制御装置によって機械等を監視、制御する安全方策の普及を図る」ということを追加しました。

19 ページの1点目は(4)ア「企業における健康確保対策の推進、企業と医療機関の連携の推進」につきましては、部分的な削除や、健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針を先に書くべきというご意見を踏まえ追加しました。2点目が、大きな修正になります。修正前と修正後の違いとしては、修正前は記載していた、両立支援コーディネーターを 2020 年度までに 2,000 人育成するという個別目標を、修正後は削除したというものです。このような個別目標につきましては、他の部分ではありませんので、このように修正したということになります。また、このコーディネーターの養成や活用につきまして、修正後につきましては国が主体的に実施する事項として相談支援体制を充実するというような形で記載をしています。

20 ページは、化学物質の部分です。この部分つきましては、2点の御意見が出ております。1つは、化学物質を使う側の立場に立った危険性、有害性の情報提供にしていくべきではないかというものです。それから、化学物質が含まれた製品の中にはラベルやSDSが添付されていないものもあり、リスクアセスメントを行う際に困難を来しているといった御指摘もありました。もう1つは、これまで国で行ってきた危険・有害性の調査などを事業者任せにしているように見えるのではないかというような御指摘もありました。

 こうした御意見を踏まえ、修正前につきましては化学物質の製造又は輸入を行う事業者が譲渡・提供する全ての化学物質について分類を行い、危険性又は有害性のある物質についてラベル表示やSDS交付を行う仕組みに転換するという書き振りでしたが、修正後につきましては、御指摘を踏まえ、ラベル表示やSDSの交付の在り方について検討すると共に、国においても、例としてモデルSDSやモデルラベルの提供、相談支援体制というような支援をしっかり充実していくというような書き振りに変更しました。次に 22 ページを御覧下さい。 22 ページの真ん中の下ほどの部分では、そもそも危険性や有害性が判明していない化学物質を取り扱う場合に、危険性、有害性がないと判断するのではなく、有害性があるおそれがあることについて考えながら対応するということを指導・啓発していくと記載してありました。しかし、前回の分科会でも御意見がありましたが、危険性や有害性のおそれがあるということであれば、それに応じた対策も講じていかなければ足りないのではないかということもあり、 21 ページに下線を引いて「有害であるおそれがあることを踏まえて、必要な対策を講じることを指導・啓発する」というふうに書き直しております。また、この項目を記載する場所ですが、前回までは 22 ページの、労働者に対する安全衛生教育の充実という部分で書いてありましたが、今回の修正により安全衛生教育という部分とは、内容的には少し異なってまいりますので、 21 ページの化学物質の対策という部分に移ししました。

 少し飛びますが、 25 ページを御覧ください。1点目は、労働災害防止団体活動の活性化についてです。労働災害防止団体につきましては製造業、建設業、陸運業、林業、港湾荷役業、ほかにも三次産業の労働災害の増加傾向にある業種の業界団体や事業場に対して、労働災害防止団体法に規定される安全管理士、衛生管理士という専門家を派遣した指導などを行っております。このため、国としても、こうした活動を支援するために制度改正などの情報提供や、安全管理士、衛生管理士に対する研修への講師派遣等を支援していきたいということで、このような追記をしました。2点目は、業所管官庁との連携の強化です。修正前は、業の許可基準に安全衛生に関する事項を盛り込むことを考えておりましたが、一律にこのような対応を取れるか検討を要するものもあるようですので、安全や健康確保について業所管官庁と一緒に指導をしていくと、このような表現に少し変えたものです。

 続いて 27 ページを御覧ください。上から2点目ですが、労働安全コンサルタント、労働衛生コンサルタントのことですが、これらにつきましては製造業や建設業に関係する経験を有する方が多く、また、最近は災害が増加傾向にあります。例えば、三次産業の事業場に対する指導では、なかなか現場の雰囲気がつかめないということで、御苦労もあると伺っております。このため、労働安全コンサルタント、労働衛生コンサルタントに対する研修の実施や指導マニュアルを整備し、いろいろな業種に対応できる、そのような支援を行っていきたいということで追記しました。

 前回からの大きな変更点は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○土橋分科会長 それでは、本件につきまして、質問等発言のある方は挙手をお願いします。

○水田委員  12 ページで、林業における伐木等作業の安全対策の関係です。残念ですが、この 11 月にも伐木等作業において立て続けに死亡災害が発生をしている状況になっています。 13 次防の記載内容を見れば、ガイドラインに示した安全な伐倒方法の普及だとか、現行の対策の充実強化という点のみに触れられているという感じがしています。そのことについては当然充実を図るべきだと思います。労働災害の未然防止に向けて、事業主の責務の厳格化はもちろんですが、特別教育などを含めた再教育の制度化などの対応も必要なのではないかと思っています。

 また一方で、同じ厚労省の中で、林業における労働災害の一層の減少を図るということで、伐木等作業における安全対策の在り方に関する検討会が今、行われていると思います。そこで来週には取りまとめがされるような流れと聞いておりますが、この検討されている取組の部分について、この 13 次防ではどのような位置付けをされているのかについてお伺いをしたいと思います。

○土橋分科会長 どうぞ。

○縄田建設安全対策室長 御質問ありがとうございます。建設安全対策室です。今、委員がおっしゃった伐木等作業の安全対策に関する検討会につきましては、正に 11 16 日に第1回を開催しています。第2回を実は 12 21 日に開催するということですが、一応、年度内ぐらいに結論、報告書をまとめたいと考えております。検討の内容については、伐木の作業安全の方法とか、防護衣の義務化、それから特別教育の見直し、再教育をどうするかといった、委員がおっしゃったような問題点を洗いざらい検討することにしております。ここの 13 次防の表現ですが、この検討会については、 12 次防の期間内、つまり今年度内に一応、出すということで、検討会という表現をこの 13 次防の計画の中に盛り込むのはちょっとそぐわないのではないかということで、検討会という言葉は入れておりません。我々のスケジュール観を申し上げますと、年度内に検討会の報告書を得て、 13 次防の初年度、来年度の初め以降、分科会で省令案、それから告示の改正、そういったものを御審議いただいて、平成 30 年度中ぐらいに省令改正できるものは省令改正すると。それから、省令改正できないけれども通達等で対策の強化を図るようなものについては、別途通達を出すということで考えております。省令改正することを計画の中に直接的な表現で書くことは余りしていないようなので、こういう表現になっていますが、私どもは検討会でも申し上げているとおり、検討会の結果を踏まえて省令改正して強化すべきものは強化することで今、考えております。以上です。

○土橋分科会長 よろしいでしょうか。それではほかにいかがでしょうか。

○明石委員 先ほどの説明の中にもあったのですが、ストレスチェックの結果の集団分析についてです。これは、全事業場を対象にして目標を掲げられていると思うのですが、今、「従業員 50 人未満」の企業については、個人ベースのものでも努力義務ですし、更にそれを集団分析までやれというのはちょっと過剰な要求になっているのではないかと思います。つきましては、やはりこの目標についてはまだ時期尚早だと考えます。

○土橋分科会長 今のは2ページの一番上の辺りですか。3ページの一番上ですね。それでは、まず委員のほうから、漆原委員。

○漆原委員 関連して、今の集団分析の件です。確かに規模が小さいと、個人の特定につながるとか問題があるというのはこちらも理解はしているのですが、職場環境にストレス要因が潜んでいる場合は、労働者個人に直接面接指導をしても解決にならない場合が結構あると考えております。そこで集団分析をすることが、職場環境の改善を図るという一次予防の手立ての1つではないかと考えております。そうした観点から、努力義務ではあるものの、ストレスチェックを実施した集団分析は必要であると思っています。また、個人の情報については、これは直接はストレスの所ではないのですが、雇用管理分野における個人情報のうちの、健康情報を取り扱うに当たっての留意事項というのが厚労省でも出ていますので、そういった情報管理を徹底して、何とかそこの職場環境に潜むストレス対策をやっていただければと思っているところです。

○土橋分科会長 増田委員。

○増田委員 今、漆原委員がおっしゃった個人情報のガイドラインは、平成 16 10 29 日に出たのが最初だと思います。「健康情報は極力産業医や保健師が取り扱うのが望ましい」といった文言があるのですが、そもそも、ストレスチェックが義務化されていない 50 人未満の事業場ですと、産業医や保健師が現場にいないという実態もあります。ストレスチェックが 50 人未満の事業場については努力義務とされたのは、産業医の選任が義務化されていないというところもあるかと思いますので、なかなか、一気に 50 人未満の事業場を含めた数値目標の設定は現状にそぐわないのではないかと思います。

○土橋分科会長 漆原委員。

○漆原委員 確かに、産業医が選任されていない所は、それは正にそのとおりだと思うのですが、やはり、 30 人ぐらいの所でも産業医さんを選任している事業場もあるわけです。また、個人を特定できるかどうかというところから言えば、集団分析のところの 10 人未満という確か切り口があって、 10 人未満の所は何かそういう公表の扱いとかは違ったと思っております。そういったところからすると、 50 人未満でもできる所はやっていくべきではないかと思っているところです。そういった職場の環境でどうしても個人ではクリアできない問題が潜んでいることをどう対処するかという観点からすると、やはり有効なのではないかと。数値目標で、それが何パーセントかというところの問題はあるにしても、一定の目標を示して対策を講じるというのは有効ではないのかと思っているところです。

○土橋分科会長 矢内委員、お願いします。

○矢内委員 ストレスチェックの一次予防の観点は、非常に大切と思っているのですが、制度が始まったばかりで、受検率が低い事業所もかなりあると思います。そういった中での集団分析は、データが本当に正しい状況を表しているのか、そのままフィードバックに使えるのかという課題があります。また「結果の活用」という具体的な内容が認識としてばらばらなため、数値目標が一人歩きして、とりあえず一斉に返せばいいやといった安易な対応などの可能性もあります。

ここで数値目標だけを挙げるのは少しリスクがあるかと感じており、制度の質を落とさないような対策も一緒に行っていかないと効果的な制度運用は難しいかと思います。

○土橋分科会長 栗林委員、お願いします。

○栗林委員 ただいまの矢内委員の意見に少し近いのかもしれませんが、目標値の掲載に多少懸念があるとすると、もう1つの面があると思っています。やはりそれは、方法論が今、確立されていないところだと思います。積極的に職場改善活動をやっている企業を何社も私は見ていますが、苦労している割にうまく成果が上がっていないというケースが、結構散見されています。目標値を掲げる、掲げないにしろ、 14 ページに追加をしてほしいことがあります。国は集団分析結果を活用した職場改善活動の好事例を収集して効果的な方法を広く周知するとか、そういう努力をした上で、これから先、小規模事業場も含めて、どうこれを進めていったら良いかというガイドのようなものをまずは示しておかないと、数字だけを目標にむやみやたらと活動を実施するのは、労多くして効果が上がらないという懸念があると思っております。以上です。

○漆原委員 その点については、我々も正にそのとおりだと思っております。やはり、集団分析の在り方とか周知については、国としてもしっかり進めるべきです。あるいは、小規模事業所でどういったことが効果的なのか、あるいはうまくいっているのかという好事例を収集して周知をするところで、この取組を積極的に支援することが国としても必要なのではないかと思っているところです。

○土橋分科会長 ストレスチェックはせっかく立ち上げた制度ですので、何か進める必要があるかとは思います。幾つか御意見もありました。山口委員からどうぞ。

○山口委員 今の好事例というのは、私も大賛成です。ストレスチェックを2年間、今までやってきて、やはり集団分析が非常にパワフルで良い成果が上がるという事例を、私はたくさん見聞きしております。やり方が定まらないという御意見もありましたが、恐らくいろいろな企業がそれぞれいろいろな特徴をお持ちなので、それに合わせた分析をどうやったらいいのかということで迷われてしまう例も多分あるのではないかと思います。すごく複雑な分析をしなくてはいけないということではないのではないかと思います。例えば、男女別に見てどうかとか、若い人と高齢者でどうかとか、その辺から見ていくと、個別の対応ではやられないような非常に良い結果が出てくる。それは、努力義務である中小規模の企業でも同じだと思いますので、是非、次の5年間で、数値目標の 60 %というのがどのくらい妥当かというのはちょっと私には分かりませんが、少しずつ集団分析を日本の世の中に広めていくという方向性を、是非、出していただけたらと思います。

○明石委員 集団分析を否定するわけではありませんし、集団分析をやって職場改善につながっていけばいいと思っています。しかし、きちんとした集団分析をやるには、やはりハードルが幾つかあって、例えば今、使っているのが個人票、簡易調査票で 57 項目。集団分析をやるのであれば、この 57 項目の個人票だけでは足りないのではないかと思っています。

 もう1つは、このストレスチェックには受検義務がありませんので、漆原さんが 10 人以上とおっしゃいましたが、これをやるときに厚労省は、人が特定されなければ2、3人でもいいとなっていました。例えば、3人の職場で1人が受けなければ2人の結果しか反映されません。3割は反映されないので、やはりその問題があると考えます。

 もう1つは、分析後にいろいろな問題が出てくると思います。それはある程度企業としては考えておかないと、職場に大きな混乱を招く可能性があります。そういうハードルを1つ1つクリアしてから目標値を作ったほうがいいのではないかと思います。

○土橋分科会長 ほかに御意見はございますか。

○青木委員 今、少し 14 ページの所にも話が行っていますので、発言をさせていただきます。職場におけるストレスは、特にメンタルヘルス不調を引き起こす原因にもなるかと思っていますので、職場環境を要因とするストレスを削減していくことが非常に重要だと思っております。例えば、上司から部下の度を越した指導によって強度のストレスを受けたとしても、そうした指導が日常的になってしまっているような場合ですと、それがパワハラであることに気付いてないというケースもあるのではないかと思っています。そうしたケースでは、部下が強度のストレスを溜め込んでしまうことになりかねないのではないかと心配をしております。ストレスチェックの項目においてそのような状況が起こっていないか、まずは職場ごとに確認できるように、国が推奨する 57 項目の質問票の中に新たな項目を追加する。例えば、「職場で度を越えた指導が行われていると感じていることはありますか」みたいなものを追加するなどして、職場環境の改善につなげていくことにしたらどうかと思っています。

 また、集団分析を行ったとしても、なかなか職場環境の改善につながらないというケースも多いと聞きますが、まずは、職場に集団分析の結果をフィードバックして、言っても変わらないと思ってしまっている労働者に対しても、組織としての動きを実感してもらうことが重要で、そうしたことで1個、1個、個別労使の中で改善を図っていくことも重要ではないかと思っております。

○土橋分科会長 ほかにいかがでしょうか。ストレスチェックの集団分析、集団分析自体の有効性のところは皆さん御理解を頂いているけれど、少し懸念事項があるという形ですが、事務局側、いかがですか。どうぞ。

○神ノ田労働衛生課長 今の御議論をお聞きしていて、集団分析の重要性についてはある程度合意形成はされたのかと思っておりますが、まだ方法論が確立していないとか、小規模の所で個人情報をどう取り扱うかとか、あるいは、現状では努力義務にとどまっているものについてどう考えるかということで、これは、 13 次防において、数値目標として掲げるかどうかというところでご指摘をいただいたものと理解しております。厚生労働省側の立場では、いろいろと過重労働による自殺とかが社会的な問題になっている中で、しっかりと行政としても取り組んでいく必要があるだろうと考えております。

 先ほどの個別の取組の内容については、既に様々な取組を始めております。例えば、好事例について情報収集をして、「こころの耳」というポータルサイトがあるのですが、そちらのほうで、集団分析、職場環境改善の取組事例の収集、また情報提供等を進めております。また、メンタルヘルスシンポジウムも開催しております。今年度は、東京、大阪の2か所で開催することにしています。また、全国の産保センターにおいて、人事労務担当者、産業保健スタッフに対する研修、また、専門家の訪問指導ということも行っておりますし、事業場への助成金といったものも今年度新設しております。そういう中で、ただいまいろいろと御指摘を受けたような課題については一つ一つ解決する中で、何とかストレスチェックについても前に進めていきたいと考えております。5年間の計画ですので、今、いろいろと問題があるからという理由で、これを盛り込まないということではなくて、社会的な要請のある中で、一応、課題はこの5年間で1つずつ整理する中で、何とかこの数値目標を掲げて、その達成に向けて取り組んでいきたいと考えているところです。

○土橋分科会長 ということで、5年計画ということですので、一応、こういった数値を掲げていくという辺りでいかがかと思いますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

○土橋分科会長 ではそのような形で。いろいろ頂いた御意見も反映する、もし書けるものがあれば書いていただくところも少し御検討を頂く中で進めていただきたいと思います。ほかにいかがでしょうか。

○佐保委員  16 ページの(エ)腰痛の予防の所で発言をしたいと思います。9月の分科会において、社会福祉施設における腰痛等について、動作の反動とか、無理な動作というところでの腰痛等ということが全産業平均よりも大きく上回っているという報告を頂いたところです。現在、腰痛予防の機器については、ロボットスーツとかそういうものなど様々な機器が開発されております。その一方で、現在、各都道府県の労働局が行っている介護福祉士機器等助成の対象となる介護福祉機器につきましては、医療用リフトをはじめ8種類の機器に限定されている状況です。今回の 13 次防の中で、介護労働者の身体的負担軽減を図るということで介護機器の導入促進を図るところがありますので、是非、ロボットスーツなど新たな機器についても、その助成の範囲を拡充して、腰痛予防を図っていただきたいと思っております。以上です。

○土橋分科会長 御意見を頂きました。特に事務局側、ございますか。よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。

○縄野委員 2点発言をしたいと思います。まず 16 ページの(イ)の陸上貨物運送事業についてです。現在、自動車運送事業の働き方改革に関する関係省庁連絡会議において、労働生産性向上の観点から、荷物の積卸しの際、パレット化等による機械荷役への転換促進ということが議論されております。こうした取組については、作業の効率化だけではなくて、災害防止の観点からも重要であると認識しております。一方で、このパレットの、あるいはフォークリフトといった設備投資について、どこで主管をして、誰が負担をするのか、荷主なのか、あるいは運送事業者なのかといった課題もあると聞いております。安全には労力とコストが掛かることを改めて認識いただき、関係省庁や陸災防等との連携を図りながら、より実効性のある取組をお願いしたいというのが1点です。

 2点目が、 17 ページの(カ)の交通労働災害対策の中の、健康問題を原因とする交通労働災害の防止についてです。国土交通省の調査によりますと、トラック、バス、タクシーの運転士、運転業務中に、脳あるいは心臓疾患で、ここ5年ほどの間に 196 人が死亡しているという調査結果が出ております。昨年の臨時国会で「脳のMRI法案」が成立して、これまでの過労、あるいは疾病予防措置、これに加えて、脳、そして心臓のスクリーニング検査、こういうものが追加をされたわけです。この検査の受診料が非常に高額である、あるいは近くに受診の病院施設がない、こういったことから、受診率も非常に低いのが今の現状です。交通運輸業界、特にドライバーの高齢化が進む中で、こうした健康起因事故の抑止に向けた事業者の取組を今後推進するためにも、陸災防等とも連携を図りながら、こういった脳のMRI検査のような高額な受診料への助成金の適用、こういうことも含めた実効性の高い取組を是非、御検討を頂きたいということです。以上です。

○土橋分科会長 2件御意見を頂いた形ですが、事務局側から何かございますか。

○井上安全課長 御意見ありがとうございました。陸上荷物運送事業につきまして、私どもも荷役作業中の事故が非常に多いということで、荷主に対してどうアプローチをするかが課題と考えております。ガイドラインにもそのような取り組みを書いております。今後とも関係の省庁、団体などとも連携しながら対策を進めていきたいと考えております。

○土橋分科会長 ほかにいかがでしょうか。

○中澤委員 意見と、それから質問です。(5)の 10 ページの最後の所です。一番最後の、「このほか、石綿による健康障害の防止については、 2028 年頃に国内での石綿使用建築物の解体がピークを迎えるとされることを踏まえ」云々と書いてあるのですが、この辺のことについては、例えば、数値等を表現に加えることが必要ではないかと思っております。

 それから、これは質問で、 12 ページの(ウ)で、林業における作業の安全対策の所です。2つ目のポツ「林業・木材製造業」の「林野庁と連携し、林業普及指導員等による労働災害の防止対策について指導の充実を図る」と書かれていますが、そもそも林業普及指導員というのは、そういった安全対策に関しての業務が範疇に入っているのかどうかを質問させていただきたいと思います。

 それから、 15 ページです。非常に不勉強なので質問です。(3)の就業構造の変化及び働き方の多様化に対応した対策の推進のアの(ア)の第三次産業対策の所の3つ目のポツです。「第三次産業の業種の業界団体の一部には、会員企業の安全衛生対策を推進するための安全衛生委員会等が設置されていないものが見受けられる」と書いてありますが、これは、それぞれの業界団体に安全対策を講ずることが法的に義務付けられているのであれば、そういったものを前提に書いた上で、見受けられるという記載にすべきではないかと思います。あるいはそうでなくて、指導面でそういう業界団体のほうに呼び掛けておられるのであれば、そういったことをまず前書きとして書いていただくことがやはり必要なのではないかと思います。以上です。

○土橋分科会長 御意見と御質問が2件ですが、事務局側いかがですか。

○奥村化学物質対策課長 まず、石綿についてです。 2022 年にピークを迎えるという、根拠としては、国交省が算出した建物別の減価償却の年数から単純に足して、いつ頃、石綿を使っていた時代のものは壊されるというのを積み上げた数字です。本文中に数値を入れるべきということについては検討したいと考えております。

○縄田建設安全対策室長 林業普及指導員の件についてお答えします。林業普及指導員の業務に法令上、明示的に「安全に関すること」という言葉が入っているかどうかというのは承知しておりませんが、この点については林野庁と随分議論させていただいて、いろいろ意見交換をしております。実態として、林業、特に伐木は非常に危険な作業ですので、安全に作業をすることがいの一番、一丁目一番地になっている。それは林業普及指導員が指導しておられるという実態にあると聞いております。私ども厚生労働省としては、今後、予算を措置して、林業普及指導員を対象に安全に関することももう少し深く勉強していただいて、その指導の充実を図っていただくということで、林野庁と一緒にやっていきましょうということで、今進めているところです。以上です。

○井上安全課長 第三次産業対策のところですが、業界団体のほうで安全衛生対策の委員会を設けることについては、法的に義務付けられているといったものではありません。したがって、私どもとしては、安全衛生対策にも目を向けてやっていただきたいということで、こういった組織を団体に作っていただいて、業界として取り組んでいただくということを進めていきたいということです。

○中澤委員 見受けられるという表現が、いわゆる義務を果たさない、あるいは要請に応えていないという意味合いで捉えられるのではないかと思って質問した次第です。

○土橋分科会長 この辺の書き振りを御検討いただければと思います。ほかにいかがですか。

○佐保委員  14 ページの(ウ) 2020 年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を活用した健康促進という所ですが、ここに書かれてあることに全く異論はないのですが、スポーツを通じてということで、もちろん、抑鬱の予防とか、そういったものには資するものだと考えております。どちらかと言えばスポーツを通じた健康促進というのは、メンタルヘルスだけではない部分もあるかと思います。例えば、 28 ページの(8)「国民全体の安全・健康意識の高揚等」という所に項目を移したらいかがでしょうかということを発言させていただきます。以上です。

○土橋分科会長 御意見を頂きましたが、事務局側いかがですか。

○神ノ田労働衛生課長 検討させていただきます。

○土橋分科会長 ほかにいかがですか。

○漆原委員 外国人の所で、 17 ページの「日本語の理解度に差のある」という所ですが、 18 ページの技能実習生の所にも関係しますが、直接、労災の防止にはつながらないかとは思いますが、記載は確かに見やすくなって良かったと思います。ただ一方で、技能実習生の所もそうですが、日本の労災制度をそもそも知らない、あるいは労災がもともと国になかった人にとっては、制度自体の認識はないわけで、申請する、しないの以前の問題もあろうと思いますので、取り分け 18 ページの所に「安全衛生のマニュアルを活用する」ということで、そういったものは是非進めていただきたいと思います。同時に、外国人も被災することを想定すれば、少しで良いので、日本の労災制度や申請に関する情報の提供もどこかにあったらいいかと思います。よろしくお願いします。

○土橋分科会長 御要望ということで、よろしいですか。ほかにいかがですか。

○明石委員 幾つかお聞きします。まず、 11 ページの(イ)「危険性の高い機械」の所の最初に「製造者が十分な知識及び技能を有する者を参画させた」と書いてありますが、これは何を基準に、誰が決めたのですか。それとも、これから検討されるのですか。

○井上安全課長 これについては、具体的な内容はまだこれからという段階です。現時点で明確にこれだと決まっているものはありません。今後検討ということで、幅広くいろいろな団体、関係者の方から意見を聞いて定めていきたいと思います。

○明石委員 つぎに、 15 ページの「副業・兼業、テレワーク」の所ですが、別途、この検討会が行われています。この計画に書かれていることは、従来型の副業・兼業ですが、検討会ではフリーランスや3か所以上で副業・兼業を行っている方とか、そういう方々の問題になっていると思いますが、ここは何か書き加える予定はありますか。

○神ノ田労働衛生課長 今、別途、検討会の中で議論が進められておりますので、それを踏まえての対応を 13 次防として取り組んでいくことになるかと思います。その辺も見据えた上で整理をさせていただければと思います。後ほどで結構なので、趣旨を教えていただければと思います。

○明石委員 もう1つは、 21 ページ、化学物質の一番下、(エ)「発がん性」、次のページが「がん等」となっておりまして、発がん性等に重点を置いている。その意味はよく分かるのですが、ほかにもリスクベースで考えるといろいろ注目点があると思います。発がん性だけになってしまうと、国際的に発がん性が出たものについては、言い方は悪いですが、いずれ使用禁止になるのではないかというところがあって、事業者としてはその辺は考えなければいけないと思っています。発がん性以外に何か注目をしようとか、新たに考えようということはありませんか。

○奥村化学物質対策課長 発がん性以外にも、私どもが行っているリスク評価のときには、生殖毒性や神経毒性といったもので重篤な健康障害を及ぼすものについても検討しております。

○明石委員 今後、その辺りに重点を置くという話ではなく、今はずっと発がん性を基調に考えるということですか。

○奥村化学物質対策課長 その辺りは「等」で読んでいるのかと思います。その書き振りについては御相談の上検討したいと思います。

○土橋分科会長 ほかにいかがですか。私から、 12 ページの上のほうで削除されていますが、「損害保険会社の保険料免減」と。日本でもこういう制度を少し検討するというのも重要かとは私が思っていたところですが、完全に削除になっていますが、この辺はなかなか対応が困難ということですか。

○井上安全課長 海外の流れとしては、こういったプラントにおいて、保険料の減免もあるということは聞いております。今後、こういうこともあろうかと思いますが、いろいろ聞いてみますと、国内での損保会社などではなかなか困難だと。国内では余りニーズもない、まだ日本では時期尚早ではないかという話も出ております。今後、その辺りは我々としても情報を収集しながら、そういったニーズも出てきて、海外の流れも入ってきそうだというような状況になりましたら、それは検討していくことになるかと思います。

○土橋分科会長 産業なり、技術が高度化、多様化していますので、なかなか微に入り細に入り、法律で全て規制ということにはいかない。その辺りは最近はリスクアセスメントを取り入れております。法律プラスアルファという所が結構重要になってくるとは思います。ただ、対策をするに当たってコストが掛かりますので、これは法令で義務付けがあると言えば、多分、コストを掛けると思いますが、プラスアルファの部分というのはコストに対する効果が見えにくいので、なかなか決断できないところもあるのかと思います。こういった保険料の削減がされると、結構インセンティブになるというか、プラスアルファの効果がもう少し見える化するという意味で、なかなか上手なやり方ではないかとは思っております。海外では確かに既に行われておりまして、保険会社が工場なりを見に行って、ここが危ない、あそこがどうだということをいろいろ指摘して、それを直した上で、安い保険料で対策するということで、実際、事故も減りますし、保険料も節約できるということで、今後、日本でもそういった制度をうまく活用するというのは重要ではないかと思っておりますので、認証制度について検討すると言ってしまうと、多分、業界としては無理だという話かもしれませんが、こういった制度自体を検討するぐらいのことは入れておいてもいいかと思いますが、いかがですか。

○井上安全課長 その辺りは検討させていただきます。

○増田委員 5ページの(2)「死傷災害の発生状況と対策の方向性」の所で、「第三次産業の各業種については、労働者数の増加を考慮したとしても増加幅は著しい」とありまして、それと関連して、数値目標として、死傷年千人率で5%以上減少させると目標が設定されておりますが、死傷年千人率の過去の過去の推移のグラフがありませんので、それを追加いただけたらと思います。

 前回か前々回の安全衛生分科会の参考資料では、少し業種ごとに触れられたものが確かあったと思います。ここで第三次産業と十把一絡げになっていますが、第三次産業の中でも濃淡があったと思いますので、それが明確に分かる図表をお付けいただけたらと思います。

 もう1点は、数値目標で、先ほどストレスチェックの集団分析の数値について議論があったところですが、先ほどの労働衛生課長の御発言からすると、数値目標を設定する方向で行くことになるかと思います。それならそれで仕方がないことだとは思います。ただ、先ほど事業者側からの意見でいろいろ出ましたように、目標設定に関してはかなり懸念するところがあります。ここに数値で載ってしまうと、現場では労働基準監督署から、これに沿った指導がなされますので、事実上、これは集団分析の義務化と等しいということになるかと思います。ですから、どうしてもこれでやられるというのであれば、先ほどの良好事例の収集や、国としての支援を十分にやっていただいた上で、なおかつ数値目標達成ありきで突き進まないようにというところをお願いできればと思います。以上です。

○土橋分科会長 2点御要望ですが、事務局側から何かありますか。

○神ノ田労働衛生課長 千人率については御相談の上調整させていただきます。あと集団分析について、現場において行き過ぎた指導がないようにということで、その辺の趣旨はしっかりと現場に伝えていきたいと思います。先ほど国の取組も書くべきではないかという御発言があったかと思いますが、それについても調整の上、国としても取り組むということを記載することについては検討させていただきたいと思います。

○土橋分科会長 ほかにありますか。

○明石委員 今の所ですが、やはり、数値目標を付けるとどうしても従来型の数値優先になってしまいます。この数値がどうのと言うよりも、ここは言葉で書き直すとか、そういうことをしていただいたほうが実効性はあるのではないかと思いますが。

○神ノ田労働衛生課長 どれぐらい取組が進んだかというところを、ある程度定量的に見ていく上で、平成 28 年時点の数字として 37.1 %という数字も取れていますので、これをベースラインにして、どの程度進んだかというところは、しっかりと評価をしていくことが取組の推進にもつながるのではないかと考えております。

○土橋分科会長 先ほどもありましたので、行き過ぎた指導のないようにというところも御配慮いただくということです。ほかにいかがですか。よろしいですか。それでは御意見も出尽くしたと思いますので、第 13 次防についての議論は、これで終了したいと思います。本日頂いた御意見を踏まえて、更なる修正が必要な部分については、分科会長である私に一任ということにしていただけないでしょうか。

(異議なし)

○土橋分科会長 ありがとうございます。それでは、事務局は修正案を作成いただきまして、それを私に諮るとしていただきたいと思います。その後、委員の皆様に御報告し、しかるべきタイミングで正式な諮問を行っていただきたいと思います。

 それでは次の議題2の「新規化学物質の有害性の調査研究について」、まずは事務局から説明をお願いします。

○穴井化学物質評価室長 資料2を御覧ください。本件は報告事項です。新規化学物質を製造又は輸入する事業者は、労働安全衛生法の第 57 条の4に基づいて、その化学物質の有害性を調査して、厚生労働大臣に届けなければならないことになっております。厚生労働大臣は届けのあった化学物質について名称を公表するとともに、有害性の調査の結果について学識経験者の意見を聞いて、必要に応じて健康障害防止措置を講ずるべきことを、その事業者に勧告できることとなっております。その下の枠ですが、この条項を受けた労働安全衛生規則第 34 条の 17 で、学識経験者に聞いた内容を官報公表後1年以内に審議会に報告すると規定されておりますので、今回報告することになります。

 その下の最初のポツにあるとおり、本日報告する対象は、昨年の 12 27 日から今年の9月 27 日までに官報公表されたものです。3か月に1回公表されておりますので、今回の報告対象は、昨年の 10 月分から今年の9月分までを取りまとめたものになります。その下に書いてあるとおり、意見を求めた新規化学物質は 907 物質あります。学識経験者に意見を聞いたところ、マル1大臣による法に基づく勧告が必要なものはありませんでした。マル2変異原性が認められると判定された物質が 32 物質ありました。これは参考2に一覧表で示しておりますので、後で御覧ください。変異原性が認められた物質については、マル3労働基準局長が定めている指針に基づいた措置を取っております。その内容は「注」に書いてあります。事業者が作業環境管理、作業環境測定をやること。労働衛生教育をやること。危険有害性の表示をすること。このようなことを指針に基づいて行政指導を行ったということです。

 次のページには、化学物質管理の全体図が載っておりますが、今回のことは、一番下の部分で、化学物質の管理における入口の対応として、今回行ったという位置付けになるかと思います。私からは以上です。

○土橋分科会長 本件について御質問等はありますか。よろしいですか。それでは報告として承ったことにさせていただきます。全体を通して何かありますか。それでは事務局から連絡事項をお願いします。

○久知良計画課長 本日も大変活発に御議論いただきましてありがとうございました。次回の分科会については、改めて御連絡をさせていただきます。以上です。

○土橋分科会長 それでは、本日の分科会はこれで終了します。なお、議事録の署名については、労働者代表委員は漆原委員、使用者代表委員は栗林委員にお願いしますので、よろしくお願いします。本日はお忙しい中をありがとうございました。

 


(了)

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