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2017年12月14日 平成29年度 化学物質のリスク評価検討会(第3回有害性評価小検討会)議事録 

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

○日時

平成29年12月14日(木)10:00〜


○場所

経済産業省別館235会議室(2階)


○議題

経皮吸収による健康障害のおそれのある化学物質の有害性評価について ほか

○議事

 

 

○平川化学物質評価室長補佐 本日は大変お忙しい中、御参集いただきまして、誠にありがとうございます。定刻になりましたので、平成29年度第3回有害性評価小検討会を開催いたします。委員は、全員出席となっています。それでは、座長の大前先生に以降の議事進行をお願いします。

○大前座長 おはようございます。今日はどうぞよろしくお願いします。まず最初に事務局から、資料の確認をお願いします。

○平川化学物質評価室長補佐 それでは、事務局から議事次第に沿って資料の確認をさせ本日の議事ですが、「経皮吸収による健康障害のおそれのある化学物質の有害性評価について」が主要な議題です。

 議事次第の裏面が配布資料一覧です。本日はクリップ止めでの資料配布とさせていただいております。順番に説明させていただきます。まず資料1です。A3の資料です。まず資料1-1N-エチルモルホリン、資料1-2がエチレングリコールモノエチルエーテル、資料1-3がエチレングリコールモノメチルエーテル、資料1-4がエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、資料1-5がクロロエタン、資料1-6N,N-ジメチルホルムアミドです。次は、資料2A41枚紙で、今後の予定についてです。

 次に参考資料です。参考資料1、リスク評価検討会(有害性評価小検討会)参集者名簿、A41枚です。次に参考資料2、有害性評価書です。参考資料2-1から参考資料2-6まで、外側下にページ数を振っています。順番にページ数を申し上げます。参考資料2-1N-エチルモルホリン、112ページ。参考資料2-2、エチレングリコールモノエチルエーテル、1332ページ。参考資料2-3、エチレングリコールモノメチルエーテル、3356ページ。参考資料2-4、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、5770ページ。参考資料2-5、クロロエタン、7190ページ。参考資料2-6N,N-ジメチルホルムアミド、91129ページとなっています。

 次に参考資料3、許容濃度等の関連資料です。これにつきましては、机上配布とさせていただいております。表紙にページ数を振っていますが、念のために説明させていただきます。1N-エチルモルホリン、ACGIHに関する資料が1ページから。次にエチレングリコールモノエチルエーテル、ACGIHに関する資料が3ページから、日本産業衛生学会に関する資料が15ページから。次にエチレングリコールモノメチルエーテル、ACGIHに関する資料が21ページから。日本産業衛生学会に関する資料が43ページから。次にエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ACGIHに関する資料が49ページから、BEIについては3のエチレングリコールモノメチルエーテルと共通資料で3341ページです。次に日本産業衛生学会が53ページからとなっています。次にクロロエタン、ACGIHに関する資料が55ページから。日本産業衛生学会が61ページから。次にN,N-ジメチルホルムアミド、ACGIHに関する資料が63ページから、日本産業衛生学会に関する資料が77ページからとなっています。

 次に参考資料4から参考資料7は、全て一括で綴じています。順にページ数を申し上げます。参考資料4がリスク評価実施要領で1ページから。参考資料5、リスク評価の手法(平成26年改訂版)9ページから。参考資料6、平成27年度リスク評価事業における有害性評価手順が15ページから。参考資料7、従来からありました主要な機関の発がん性評価の分類基準、これが35ページからとなっています。

 もう1つの机上配布資料です。A4横、両面1枚で、資料2の「今後の予定」についてのところで説明する予定の補足資料を机上配布しています。資料に不備等がありましたら、事務局までお申しつけください。

○大前座長 資料はよろしいですか。それでは、今日の議題に入ります。本日は「経皮吸収による健康障害のおそれのある化学物質の有害性評価」ということで、いつもと違いまして「経皮吸収」という文字が入っていますが、今日この場でやらなくてはいけない作業は今までと同じです。経皮吸収に関しては、「その他」のところで、事務局から御説明があると思います。

 今日は6物質となります。繰り返しますが、今日は一次評価値、二次評価値を決めるというのが、この会の最大のミッションになるので、よろしくお願いします。まず最初は1番目の物質、N-エチルモルホリンについて事務局から説明をお願いします。

○平川化学物質評価室長補佐 資料1-1を御覧ください。物質名は「N-エチルモルホリン」、別名は4-エチルモルホリンです。CAS番号は100-74-3です。化学式はC6H13NOです。構造式は資料に示すとおりです。物理化学的性状です。外観は特徴的な臭気のある無色の液体です。沸点は138℃、融点は-63℃、蒸気圧は0.8kPa(20)、比重は水1に対して0.99、蒸気密度は空気1に対して4.0、オクタノール/水分配係数log Pow0.08となっています。

 次に生産量等用途です。モルホリンとしての推定で、2011年で1,000 tから1,500 tとなっています。用途は香料原料、抽出剤、塗料用溶剤、印刷インキ用溶剤、捺染用溶剤、ウレタンフォーム触媒となっています。

 次に、重視すべき有害性です。発がん性につきましては、調査した範囲では報告は得られていないということで、各評価区分とも情報なしとなっています。次に発がん性以外の有害性です。まず生殖毒性は「あり」となっています。NOAEL150 mg/キログラム体重/日となっています。根拠ですが、簡易生殖毒性試験において、雌雄のSD系ラット各群5匹にN-エチルモルホリン、050150500 mg/キログラム体重/日を、雄では交配前2週間〜交配期間を経て連続42日間、雌では交配前2週間から交配及び妊娠期間、出産を経て保育3日まで強制連続経口投与した結果、150 mg/キログラム体重/日以上の群で、流涎、体重増加抑制及び摂餌量低下が見られた。500 mg/キログラム体重/日で着床数及び着床率の低下、産児数、出産生児数、生児出産率及び出生率の低下を認めたが、出生児の形態並びに体重には影響は見られなかったとしています。この試験結果に係る不確実係数を、種差(10)を基に10とし、評価レベルにつきましては、資料にありますとおり、吸入に換算して90 mg/m3 としています。

 次に神経毒性ですが、「あり」としております。根拠ですが、雌雄のSD系ラット各群5匹にN-エチルモルホリン、050200800 mg/キログラム体重/日を28日間強制経口投与した試験で、200 mg/キログラム体重/日以上の群でケージ内を舐める動作や咀嚼様動作が観察され、800 mg/キログラム体重/日群で動作振戦、活動低下、うずくまり、閉眼及び流涎が見られた。詳細な臨床観察では、800 mg/キログラム体重/日群で腹臥位、接触に対する過敏反応及び発声が見られた。中枢神経に対する一部の影響は14日間の投与中止によって回復しなかったとしています。

 次に遺伝毒性ですが、「判断できない」としています。根拠ですが、in vivo試験の報告はない。in vitro試験においては、細菌を用いた復帰突然変異試験の1試験にて弱い陽性を示したが、より信頼性の高い試験を含む他の2試験では陰性であり、染色体異常試験においても陰性であったとしています。

 次に左下にまいります。閾値の有無は「判断できない」としています。根拠は遺伝毒性が判断できないためとしています。次に反復投与毒性に関する動物試験データについて説明します。NOAELですが、50 mg/キログラム体重/日です。根拠ですが、試験はラット、経口、28日間試験です。雌雄のSD系ラット各群5匹にN-エチルモルホリン、050200800 mg/キログラム体重/日を28日間強制経口投与した試験で、200 mg/キログラム体重/日以上の群でケージ内を舐める動作や咀嚼様動作を認め、800 mg/キログラム体重/日群で中枢神経系、肝臓及び腎臓へ影響を認めたとしています。これらの試験に関する不確実係数を種差(10)、試験期間(10)に基づき 100とし、評価レベルにつきましては、4.2 mg/m3(0.89 ppm)としています。計算式については資料のとおりです。

 次に許容濃度等です。まずACGIHです。TLV-TWA1982年で5 ppm(24 mg/m3)です。併せてSkinの勧告が1967年にされております。TLV-TWAの根拠ですが、目、鼻、喉の刺激、嗅覚疲労及び視覚の歪みや暈輪視の可能性を最小化することを意図している。角膜浮腫と損傷は高い濃度でのばく露で発生する。Skinの表記は、動物やヒトで経皮適用により全身毒性を引き起こすことが報告されている類似物質のモルホリンを参考に指定された。SEN及びTLV-STELを勧告する十分なデータはないとしています。

 日本産業衛生学会は情報なし。DFG MAKも情報なし。NIOSHTWA REL5 ppmOSHATWA PEL20 ppm。あと、NIOSHOSHAとも、Skinの勧告もされています。あと、UK HSELTEL8時間で5 ppmSTEL15分で20 ppm、これもSkinの勧告がされています。

 次に、評価値()です。まず一次評価値につきましては、「なし」としています。これにつきましては、動物試験により導き出された無毒性量から不確実係数を考慮して算定した評価レベルが0.89 ppmですが、これが二次評価値の10分の1以上のため、一次評価値なしとしています。二次評価値は5 ppmとしています。理由ですが、ACGIHの勧告値を採用したためとしています。

 最後に、リスク評価に当たっては、経皮吸収にも留意する必要があるとしています。以上です。

○大前座長 ありがとうございました。一次評価値、二次評価値、今の案が示されたとおりです。評価値のところで、経皮吸収にも留意ということ。これは、今までの物質には多分なかったことだと思いますので、皮膚吸収があって、それが場合によっては生体影響を起こすという情報があるということで、記載がされています。

 いかがでしょうか。この経皮吸収をどう考えるかというのは、この場の議論にはならないので、後ほど事務局のほうからまた説明があると思います。一次評価値の場合は、二次評価値の10分の1よりも小さければ、一次評価値も作るというルールがありますが、今回は0.89 ppmで、5 ppm10分の1以下に至ってないということで、なしというルールどおりのことですが、よろしいですか。どうもありがとうございました。では、2番目の物質、エチレングリコールモノエチルエーテルについてお願いします。

○平川化学物質評価室長補佐 資料1-2を御覧ください。物質名です。物質名は「エチレングリコールモノエチルエーテル」です。別名は、セロソルブ、2-エトキシエタノール、グリコールモノエチルエーテル、オキシトール、EGEEとしています。CAS番号は110-80-5です。この物質につきましては、既に第2種有機溶剤等で、安衛法上の規制がされています。化学式、構造式とも資料に示すとおりです。

 次に物理化学的性状です。まず外観です。特徴的な臭気のある、無色、油状の液体です。沸点は135 ℃、融点は-70 ℃、蒸気圧は20 ℃で0.5 kPa、比重は水1に対して0.93、蒸気密度は空気1に対して3.1、オクタノール/水分配係数log Pow-0.54となっています。

 生産量等用途です。生産量につきましては、2011年で7,000 t、製造・輸入量は2012年で1,0002,000 tとなっています。用途は各種樹脂溶剤、医薬用抽出剤となっています。

 次に重視すべき有害性です。発がん性は「判断できない」としています。根拠は、調査した範囲内では発がん性に関する報告は得られていないとしています。各評価区分につきまして、IARC、産衛学会、EUNTPACGIHとも情報なしです。

 次に重視すべき有害性です。発がん性以外で、まず生殖毒性は「あり」としています。2つの試験を掲載しています。まず1つ目の試験、NOAEL10 ppm(37 mg/m3)です。根拠は、Wistarラットの雌24匹を1群とし、EGEE01050250 ppmを妊娠6日から15日まで吸入ばく露し、妊娠21日に帝王切開した試験で、250 ppm群の母動物でヘモグロビン濃度及びヘマトクリット値、平均赤血球容積の減少を認め、胎児では50 ppm以上群で頸椎及び胸骨分節の骨化遅延、過剰肋骨の発生率に増加を認めたとしています。不確実係数につきましては、種差(10)に基づいて10、評価レベルについては0.8 ppmとしています。計算式は資料のとおりです。

 もう1つの試験はNOAEL50 ppmとしています。根拠ですが、ダッチ種ウサギ雌24匹を1群とし、EGEE01050175 ppmを妊娠6日から18日まで吸入ばく露し、妊娠29日に帝王切開した試験で、母動物に対しては影響が見られなかったが、175 ppm群の胎児には胸骨及び腰帯の骨化遅延、仙椎前椎骨数27、過剰肋骨の発生率に上昇が見られたとなっています。不確実係数については、種差(10)を根拠として10、評価レベルについては3.75 ppm、計算式は資料のとおりです。

 神経毒性ですが、「判断できない」としています。これにつきましては、調査した範囲内で、報告は得られていないということによります。次に、遺伝毒性は「なし」です。根拠ですが、in vitro試験系では、細菌を用いた復帰突然変異試験及びチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を用いた遺伝子突然変異試験で、S9の添加の有無にかかわらず陰性であった。マウスリンフォーマ試験で、S9添加の条件下で弱い陽性を示した。CHO細胞を用いた染色体異常試験ではS9無添加の条件下で弱い陽性を示し、姉妹染色分体交換試験ではS9の添加の有無にかかわらず弱い陽性を示した。陽性の結果が得られた濃度は、10 mM以上の極めて高濃度であった。in vivo試験系では、ショウジョウバエを用いた伴性劣性致死試験及びマウス小核試験で陰性を示したとしています。

 次に閾値の有無ですが、「あり」となっています。根拠は先ほど申しました、遺伝毒性がないと判断されるためとしています。

 次に許容濃度等にまいります。まずACGIHTLV-TWA5 ppm(1984)。また、Skinの勧告が1960年にされています。その根拠ですが、NOELは明確にされていないが、マウス、ラット及びウサギで報告されている精巣重量の低下、胚の死亡率、催奇形性及び発育遅延を含む潜在的な生殖・発生毒性を最小化とするため、この値を勧告する。この値は、部分的にEGMEからの類推と、動物実験においてEGEEの影響のほうが弱いという事実に基づいている。また、EGEEは、ウサギの皮膚を通して吸収されることからSkinの表記を提案する。SEN、発がん性、あるいはTLV-STELの勧告に利用できる十分なデータはないとしています。

ACGIH、併せてBEIについてもありまして、100mg/g creatine1992年に勧告されています。そちらの資料には付けていませんが、勧告の理由については参考資料37ページです。こちらにBEIの勧告の理由については記載されているところです。

 次に日本産業衛生学会の許容濃度について、説明をさせていただきます。日本産業衛生学会は5 ppm1985年の勧告です。併せて、「皮」、生殖毒性物質第2群の勧告が2014年にされています。根拠ですが、EGEEの胎児毒性及び催奇形性を定量的に評価することは困難であるが、当面、精巣萎縮作用に注目し、かつ、その強さはEGMEに準ずるものとして、EGMEの許容濃度と同一濃度である5 ppmを提案する。ヒトの皮膚を用いたin vitroの実験ではEGEEは皮膚を容易に通過し、ウサギの皮膚に塗布した場合には致死量が経皮的に吸収される。ヒトでは生殖毒性は明確に示した研究は見当たらない。動物実験では、精巣の萎縮、胎児毒性・催奇形性を示す結果が存在することから、生殖毒性を有し、第2群に相当すると考えられるとしています。

 あと、その他の許容濃度と勧告ですが、DFG MAK2 ppm(2007)、妊娠リスクグループB(1994)H(1980)の勧告です。NIOSH RELTWA0.5 ppm、併せてSkinの勧告が2011年にされています。OSHA PELTWA200 ppm2011年にSkinの勧告もあります。UK2 ppm2011年の勧告です。

 最後に評価値()です。まず一次評価値ですが、「なし」としています。この理由ですが、動物試験により導き出された無毒性量(NOAEL)から不確実係数を考慮して算定した評価レベルが、二次評価値の10分の1以上のためとしています。この場合、発がん性試験、生殖毒性のところにありました2つの試験のうち、右上の0.8ppmを採った場合でも、二次評価値の10分の1以上となります。

 次に二次評価値は5 ppmとしています。理由は、米国産業衛生専門家会議(ACGIH)及び日本産業衛生学会の勧告値を採用したものです。

 リスク評価に当たっては、経皮吸収にも留意する必要があるとしています。以上です。

○大前座長 ありがとうございました。許容濃度等のところのACGIH3行目、「部分的にEGME」とありますが、このEGMEはエチレングリコールモノメチルエーテルで、最初にエチレングリコールモノメチルエーテル(EGME)と書いて、あとはEGMEとしてください。これだけですと何だか分からないので。

○平川化学物質評価室長補佐 分かりました。

○大前座長 産業衛生学会のほうにもEGMEが出てきますので、そこでやっておけば、両方可能だと思います。それから、産業衛生学会のほうの提案理由が、EGMEの許容濃度と同一濃度とありますが、これは1985年の時点での同一濃度で、EGMEは次のページにあるように変わっているので、これは書いておいてもいいと思いますが、そこは誤解なさらないようにと思います。今は産業衛生学会も、EGMEのほうは厳しくなっています。その点は御承知いただいて、いかがでしょうか。

○江馬委員 生殖毒性のところです。生殖毒性はありとなっていて、その根拠に論文を2つ挙げているのですが、両方とも大した変化ではなくて、骨化遅延と骨格変異の増加があったというだけなので、生殖毒性ありという根拠が薄いように思います。

 有害性評価書の17ページに生殖毒性の所の165行目の実験を挙げたほうが、生殖毒性ありという根拠がはっきりするのではないかと思います。

○大前座長 165行目のWistarラットを使った実験ですと。

○江馬委員 WistarラットとNZWウサギを用いた実験の所で、ラットでいろいろな変化が出ていて、全胚吸収されて胎児が得られなかったとか、それからウサギでも奇形が出て、胎児が得られなかったというような結果が出ていますので、こちらのほうがいいのではないかと思いました。

 それから、このダッチ種ウサギの、行が変わって「175 ppm群の胎児には胸骨及び腰帯」と書いてあるのは間違っています。環境省の原文が間違っているかも分からないのですが、これを書くなら、「胸骨などの骨化遅延」とした方が、間違いがないと思います。

○大前座長 環境省の評価書は確かに「腰帯」と書いてあるのですが、これが間違っている可能性があるわけですね。

○江馬委員 それが間違っているかは分からないので、調べようがないかもしれません。

○大前座長 分かりました。そうしましたら、「胸骨等の骨化遅延」と。

○江馬委員 はい。

○大前座長 それから、生殖毒性ありの根拠のところで、165行目のほうのデータを持ってきたほうが、非常にクリアになっているということで、こちらを持ってきたらどうかということですが、評価書のほうは多分、生殖毒性があるのは間違いないのだけれども、数字を出すときにどれから取ってこようかというところで、この2つを取ったと思います。

 ただし、江馬先生が言われるように、165行目のデータのほうが、明らかに生殖毒性があることが分かるので、それも追加しますか。要するに今の資料1-22つでは、生殖毒性ありと言うには弱いので、あるということを数字を出せない状態で引用しておいて、それから数字を出すときは、一応軽い影響ですけれども、影響があったということで、安全方向に見てという形になると思うのですが、NOAEL10、あるいはNOAEL50ですか、これも記載しておくということで、よろしいですか。

○平川化学物質評価室長補佐 これにつきましては、事務局からまた記載内容、場合によっては計算式などを出す必要もあるかもしれませんので、そこは。

○大前座長 これは、計算式は出さなくてもいいのでしょう。出しますか。

○宮川委員 この場合、200NOAELになるので、NOAELが事実上得られないというか、この10分の120を使ってすることになると思うのですが、結局は1つ追加して3つ挙げておいて、その中で、今の計算式自体は一番低いもので最終的になると思いますので、確認の上、今のものよりも低い値が出なければいいような気もいたしますが、証拠としては確かにこちらのほうがしっかりしています。

○平川化学物質評価室長補佐 そうしましたら、低い値が出るかどうかの確認をさせていただいた上でということで。

○大前座長 そうですね。宮川先生は出ないだろうということで、確かに出ないと思うのですが、でも、記載はきちんとしておくという。そのほかは、よろしいですか。確かこの実験は一番最初、日本でやられてセロソルブに生殖毒性があるということが、日本の実験で一番最初に言われて、それで慌てて産業衛生学会も検討したという経緯があったと思います。これは中災防の実験で見つかったと。ありがとうございました。では、一次評価値は「なし」、二次評価値は5 ppmということで、よろしくお願いします。

 その次は資料1-3、メチルエーテルのほうですね。これはエチルと違って、もう少し毒性が強いということですが、説明をよろしくお願いします。

○平川化学物質評価室長補佐 資料1-3を御覧ください。物質名は「エチレングリコールモノメチルエーテル」です。別名は、メチルセロソルブ、2-メトキシエタノール、モノメチルグリコールエーテル、EGMEとなっております。CAS番号は、109-86-4です。この物質は、既に第2種有機溶剤等で、安衛法上の規制がされています。化学式、構造式は資料のとおりです。物理化学的性状です。外観は特徴的な臭気のある、無色の液体。沸点125 ℃、融点-85 ℃、蒸気圧は20 ℃で0.83 kPa、比重は水1に対して0.96、蒸気密度は空気1に対して2.6、オクタノール/水分配係数log Pow-0.503です。

 生産量等用途です。PRTRに基づく排出移動量として2010年に551tとなっております。製造・輸入量は2012年に16,460tとなっております。用途は各種樹脂、溶剤、塗料溶剤となっております。

 次に、重視すべき有害性です。発がん性は「判断できない」としております。根拠は、調査した範囲内では発がん性に関する報告は得られていないということで、各評価区分とも情報なしです。

 次に発がん性以外の有害性です。まず、生殖毒性は「あり」としており、NOAEL3 ppmとしております。根拠です。NZWウサギの妊娠618日に031050 ppmEGME16時間吸入ばく露し、妊娠29日に帝王切開した。その結果、50 ppm群の母動物に体重増加の抑制が見られ、ばく露終了後に回復した。また、肝臓絶対重量の増加が見られた。母動物の死亡率、黄体数、着床数には影響が見られなかったが、吸収胚・胎児数が増加した。50 ppm群の胎児の体重は有意に減少した。また、外表奇形、内臓異常及び変異及び骨格異常が観察され、外表奇形の発現頻度、内臓及び骨格の異常・変異の発現率が50ppm群では対照群と比較して有意に増加した。10 ppm群で胸骨分節骨化遅延の発生率が有意に増加していたが、本系統における正常範囲内と判断し、3 ppm群と10 ppm群では、母・胎児ともに無影響とした。胸骨分節骨化遅延の発生率、骨化遅延を示した胎児数を検索した胎児数で割った数字ですが、0 ppm群では82/1733 ppm群は93/17210ppm群は123/18750ppm群では127/145であり、NOAEL3 ppmと判断したとしております。これに関する不確実係数は、種差(10)に基づく10、評価レベルについては0.23 ppm、計算式は資料のとおりです。

 次に神経毒性は「あり」としております。根拠ですが、ヒトでは、ばく露した労働者における、吐き気、頭痛、嗜眠、眼の刺激・灼熱感、視覚障害、聴覚の悪化、集中力と関心の喪失、興奮状態や幻覚の症例が、また、EGME 100 mLを誤飲した男性では錯乱や激昂などの神経症状が、さらにシャツの襟の特殊加工にEGME(33)とエタノール(67)の混合液を使用した職場で、作業者19名のうち11名に振戦が報告されています。また、50100400 ppm2週間全身蒸気ばく露したWistarラットにおいて、400 ppmで後肢の部分的な麻痺が見られ、グリア細胞内の酵素の変化が全ての濃度で見られたとしております。また、F344雌雄ラット110匹に、飲水中濃度として、07501,5003,0004,5006,000 ppmEGME13週間経口投与した試験で、6,000 ppm群で異常体位、振戦、蒼白、呼吸促迫、昏睡等の臨床症状が見られ、全例が死亡したとしております。

 次に遺伝毒性です。遺伝毒性は「なし」としております。根拠ですが、in vitro試験系でのネズミチフス菌株を用いた復帰突然変異試験、マウスリンフォーマ細胞及びCHO細胞を用いた遺伝子突然変異試験、ヒト線維芽細胞を用いた不定期DNA合成試験、ヒトリンパ細胞を用いた姉妹染色分体交換試験及び染色体異常試験で陰性を示し、ほとんどのin vivo試験系でも陰性であるとしております。

 次に許容濃度等です。TLV-TWA0.1 ppmと、Skin(2006)の勧告があります。この根拠ですが、平均ばく露レベルが35.7 ppmから0.5 ppmまで低減したことによりヒトの貧血が解消されたこと、また、10 ppmで齧歯動物に生殖毒性が発現したこと、EGME毒性のPBPKモデルによると、ヒトへの毒性レベルは齧歯動物の約13分の1であると推定されることを根拠としている。また、EGMEは、全身毒性を引き起こすのに十分な量が皮膚から容易に吸収されるため、Skinの表記を提案するとしております。ACGIHBEIについては、参考資料333ページに根拠がありますが、数字としては2009年に1 mg/g creatinineの勧告がなされております。

 次に日本産業衛生学会です。0.1 ppmの勧告がされております。さらに2009年に経皮吸収に注意の勧告、2013年に生殖毒性物質第1群の勧告もされております。根拠ですが、妊娠ラットでは3 ppmばく露で造血器障害が示唆されているため、PBPKモデルにより、3 ppm13で除して0.23 ppm以下のばく露レベルが安全と考えられる。また、ヒトでは0.19 ppmのばく露レベルでは貧血も見られず、尿中メトキシ酢酸濃度も低値を示していることから、造血器毒性、生殖毒性の予防のため、0.1 ppmを設定している。経皮吸収も重要なばく露経路であることから、経皮吸収に注意を付すとしております。

 最後に評価値()です。まず、一次評価値です。一次評価値については「なし」としております。理由です。当初の理由では、「発がん性に関する情報がなく云々」としておりましたが、この物質で重視すべき有害性は生殖毒性、神経毒性ということですので、理由を「動物試験により導き出された無毒性量(NOAEL)から不確実係数を考慮して算定した評価レベルが二次評価値の10分の1以上のため。」と修正しました。1次評価値の対象となる評価レベルですが、0.23ppmであり、二次評価値と比較した結果、10分の1以上となります。

 次に二次評価値です。二次評価値は0.1 ppmとしております。この理由ですが、米国産業衛生専門家会議(ACGIH)及び日本産業衛生学会の許容濃度等の勧告値を採用したとしております。

 リスク評価に当たっては、経皮吸収にも留意する必要があるとしております。以上です。

○大前座長 前の物質と、メチルとエチルが違うだけで、随分と毒性が違うということです。単純に構造活性相関が使えない典型みたいなものですけれども、御意見いかがでしょうか。

○宮川委員 先ほどの1つ前の物質のときもそうでしたけれども、生殖毒性ありとかなしとかの判断の根拠としてふさわしいものと、そこから評価値を計算するのにふさわしい、最も低いところで影響が出たものが、若干食い違う場合がありますよね。その中で、これはちょっと気になったのが、逆にヒトのことが、産衛学会では生殖毒性物質第1群になっているということは、これはヒトでの何かしらの報告があるということで、証拠があるわけですが、このまとめの表だけだとヒトのものがないわけですよね。

○大前座長 今回、評価書のほうは、ヒトのことを何か書いてありましたか。

○宮川委員 評価書には書いてあります。あったと思いますけれども。

○大前座長 これですね、44ページの389行目からがヒトの生殖毒性の話ですが。

○宮川委員 これは産衛学会の提案理由書から持ってきたと思うのですが、スペースの関係もあると思うのですけれども、根拠として、もしヒトのデータがある場合には、計算に使えないものが多いと思うのですけれども、書いていただいたほうが最後に明確になるかなという気がちょっといたします。

○大前座長 そうすると、今の389行目と396行目、2つデータがあるのですけれども、上のほうは両方ばく露で、下のほうは単独ばく露で、下のほうを持ってきたほうがいいですかね。

○宮川委員 根拠としては、そのほうがよろしいかと思います。今すぐではなくても、本当はこれから評価表を作るときにそういうことを考えて、計算をする場合のものと、それから根拠としてふさわしいものと、少し分けて書くというようなことを御検討いただくということで、よろしいと思います。

○大前座長 そうですね、これは先ほどの江馬先生の御指摘と全く同じで、やはりある程度ちゃんとあったほうがいいということですね。特にこの場合は、ヒトが優先の情報を使うというのが原則なので。最終的に使う数字というのは、ヒトの場合はなかなか難しいと思いますけれども。ありがとうございます。今の点は少し将来的な課題として、そのほかに御意見はよろしいでしょうか。

○高田委員 BEIの記載ですけれども、これはBEIの物質名は書かなくていいのですか。前の物質もそうなのですけれども、書いたほうが。

○大前座長 書いたほうがいいですね。BEIの場合は代謝物を使っているBEIを示すこともありますし、それから原体の場合ももちろんありますけれども、そうですね、分かれば何を1mgかというのを書いたほうがよろしいですね。ありがとうございます。BEIは今回から書き始めたので、新たに前のものを含めて。

○平川化学物質評価室長補佐 参考資料333ページにDeterminantということで、2-Methoxyacetic acid in urineと書いていますので、それを書くような形にしていただけますでしょうか。

○大前座長 そうですね、2-Methoxyacetic acidとして、みたいな形ですね。

○平川化学物質評価室長補佐 そうですね。

○大前座長 では、前のエチルのほうも含めて、そこの所の修正をお願いします。提案としては、この一次評価値ないし二次評価値は、0.1でよろしいでしょうか。ありがとうございます。

 では、次のページは今度はメチルのエステルなので、ほとんど類似物質です。説明よろしくお願いします。

○平川化学物質評価室長補佐 資料1-4を御覧ください。物質名は「エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート」です。別名は、酢酸2-メトキシエチル、メチルセロソルブアセテート、メチルグリコールアセテート、EGMEAです。CAS番号は110-49-6です。化学式、構造式は資料のとおりです。

 次に物理化学的性状です。外観は、特徴的な臭気のある無色の液体です。沸点は145℃、融点は-65 ℃、蒸気圧は20 ℃で0.27 kPa、比重は水1に対して1.01、蒸気密度は空気1に対して4.1です。

 生産量等用途です。製造・輸入量は平成23年度で3,000tです。用途は、電子材料洗浄用、印刷インキ、塗料・接着剤の溶剤です。

 次に、重視すべき有害性です。まず、発がん性については、「判断できない」としております。根拠ですが、調査した範囲内では発がん性に関する報告は得られていないということで、各評価区分いずれも情報なしです。次に発がん性以外で申し上げます。生殖毒性、は「あり」です。根拠ですが、EGMEAばく露による奇形児の出産が1例報告され、疫学調査として、EEA(※エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートのこと。)等の混合ばく露を受けている半導体工場作業者の後ろ向きコホート、症例対照研究での自然流産と低妊孕率の有意な増加及び先天異常の出産例が報告され、動物では精巣毒性、胎児毒性及び催奇形性が明確であるとしております。

 神経毒性ですが、「判断できない」としており、根拠は、調査した範囲内で、報告は得られていないということです。遺伝毒性ですが、「判断できない」としており、根拠はin vivo試験系では小核試験で陰性を示しているが、in vitro試験系では、復帰突然変異試験の1菌株、染色体異常試験及び姉妹染色分体交換試験で陽性を示しているため、遺伝毒性の有無は判断できないとしております。したがって、左下の閾値の有無も、遺伝毒性が判断できないため、判断できないとしております。

 次に、生殖毒性ありに関する動物試験データです。NOAEL250 mg/キログラム体重/日としております。根拠ですが、雄ICRマウス各群5(対照群は20)に、EGMEA062.51252505001,0002000 mg/キログラム体重/日を週5日、5週間強制経口投与し、臓器重量測定と病理組織学的検査を行った。500 mg/キログラム体重/日以上で精巣重量の減少、精子・精子細胞は一部の精細管に少数見られるだけで、精母細胞の著しい減少が見られた。1,000 mg/キログラム体重/日以上で精細管径の減少、精子及び精子細胞の消失、間質の増加、2,000 mg/キログラム体重/日で精細管内にはセルトリ細胞が存在するだけで、精細胞の消失が見られたとされています。この式に基づく不確実係数は種差(10)に基づく10、評価レベルについては31 ppmとなっております。計算式については次のとおりです。

 次に許容濃度等です。ACGIHTLV-TWA0.1 ppm2006年にSkinと併せて勧告されております。ACGIHBEIについては、先ほど資料1-3で申し上げたエチレングリコールモノメチルエーテルと同じ数値です。TLV-TWAの根拠ですが、EGMEのばく露では、ヒトで0.55 ppmで貧血が認められず、実験動物での生殖影響が10 ppmで見られ、EGME毒性のPBPKモデルによると、ヒトへの毒性レベルは齧歯動物の約13分の1であると推定されている。EGMEAEGMEへ体内で加水分解されることから、EGMEAの許容濃度をEGMEと同様に0.1 ppmとして勧告するとしております。

 次に日本産業衛生学会の勧告です。0.1 ppmと、経皮吸収の勧告が2009年にされております。根拠ですが、EGMEAは、体内で速やかに加水分解を受けてEGMEを生成するため、EGMEAの許容濃度はEGMEと同様でよいと考えられるとしております。他の機関の許容濃度の勧告ですが、DFG MAK1 ppmEGMEとの合計値での勧告ということです。あとは、HPregnancy risk B2008年に勧告されております。NIOSH0.1 ppmSkinの勧告、OSHA25 ppmSkinの勧告、UK1 ppmSkの勧告、いずれも経皮吸収に関する勧告がなされています。

 最後に評価値()です。一次評価値は、「なし」としております。これについても、発がん性に基づくものではなくて、生殖毒性に基づくものであるということで、理由について一部修正しており、動物試験により導き出された無毒性量(NOAEL)から不確実係数を考慮して算定した評価レベルが二次評価値の10分の1以上のためとしております。基となる評価レベルについては、左下にある評価レベル31 ppmとの比較です。

 次に、二次評価値は0.1 ppmとしております。理由ですが、米国産業衛生専門家会議(ACGIH)及び日本産業衛生学会の許容濃度等の勧告値を採用したとしております。

 リスク評価に当たっては、経皮吸収にも留意する必要があるとしております。以上です。

○大前座長 生殖毒性ありのところで、先ほどのEEAを新しく直すと。それから、その次の行の「低妊孕率の有意な増加」というのは、評価書のほうの61ページを見ると、「自然流産と低妊孕率の相対危険度が有意に増加していた」と書いているので、「低妊孕率の相対危険度の有意な増加」と直してください。

○平川化学物質評価室長補佐 評価書と合わせて修正いたします。

○大前座長 それから、次の行の「先天異動」、これは「異常」ですね。それから先ほど高田先生がおっしゃったACGIHBEIの当該物質を記入するということです。いかがでしょうか。

○宮川委員 これは真ん中にあります許容濃度等の日本産業衛生学会のところで、これは評価書あるいは評価表のほうには書いてあるのですが、産衛の2013年度の勧告で生殖毒性物質の第1群に分類されておりますので、評価書のところを確認の上、追加をお願いできればと思います。

○大前座長 そうですね。

○宮川委員 有害性総合評価表の68ページ。

○大前座長 68ページに、それを追加してください。

○西川委員 今の所ですけれども、ACGIHにも日本産衛学会にも、Skinあるいは皮と書いてあるのですが、その根拠は今までの物質には書いてあったので、資料の方に書いたほうがいいのではないかと思います。

○大前座長 皮膚吸収の根拠ですね。

○西川委員 そうですね。

○大前座長 では、それは評価書のほうから追記をしてください。

○平川化学物質評価室長補佐 はい。

○大前座長 ありがとうございました。それから、この物質と先ほどのエステルとエステルのもとの物質が、体内に入って直ちに水加して、EGMEと同様になるというこの考え方は、吉成先生、これは妥当ですよね。よろしいですよね。

○吉成委員 はい。

○大前座長 この手のもののエステルは、原体とほとんど同じ毒性、入った瞬間とは言いませんけれども、血液の中に入ったとたんにほとんど分解してしまうと。幾つか修正がありましたが、基本的にはこの案でよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、次にクロロエタンの説明をお願いします。

○平川化学物質評価室長補佐 それでは、資料1-5を御覧ください。物質名は「クロロエタン」です。別名は塩化エチル、モノクロロエタン、クロロエチル、エチルクロライドです。CAS番号は75-00-3です。化学式、構造式については資料のとおりです。物理化学的性状は、外観は特徴的な臭気のある無色の圧縮液化ガス、沸点は12.5 ℃、融点は-138 ℃、蒸気圧は20 ℃で133.3 kPa、比重は水1に対して0.918、蒸気密度は水1に対して2.22、オクタノール/水分配係数log Pow1.54です。

 次に、生産量等用途です。製造・輸入量は2012年で2,098tで、用途はオレフィン重合触媒原料、発泡助剤、農薬、エチルセルロース、有機化学化合物、エチル化剤です。

 次に、重視すべき有害性に移ります。まず、発がん性です。発がん性については、「判断できない」としております。根拠は、雌マウスで子宮がん、雄ラットで皮膚がんの発生が有意に上昇した報告例があり、IARClimited evidenceと評しているが、ヒトについてデータがなく、総合評価ではグループ3に分類しているとしております。最新の情報でもIARC3のままです。各評価区分です。IARC1991年に3、産衛学会は情報なし、EU CLP3NTPは情報なし、ACGIH1995年にA3DFG3B(1990)としております。

 次に、重視すべき有害性の、発がん性以外です。右上、生殖毒性は「判断できない」としております。根拠は、反復投与による性周期への影響、催奇形性試験による骨化遅延や過剰肋骨の増加の報告があるが、いずれも高濃度ばく露での軽度の影響であることから、生殖毒性ありとは判断できないとしております。

 次に、神経毒性は「あり」です。根拠は、かつて麻酔剤として使用されていたことがあり、ヒトにおける麻酔作用で、酩酊感、無痛覚、眩暈、軽い腹部痙攣、運動失調、昏迷が生じるとしております。次に、遺伝毒性は「判断できない」としております。根拠は、in vitro試験において、ネズミチフス菌及び大腸菌を用いた遺伝子突然変異試験及びCHO細胞を用いた遺伝子突然変異試験でS9の有無によらず陽性を示した。しかし、マウス初代培養肝細胞を用いたDNA修復試験では陰性であり、in vivo試験では、高濃度(25,000 ppm)16時間、3日ばく露したマウスを用いた不定期DNA合成試験及び小核試験では陰性を示したということに基づいております。

 左下です。反復投与毒性データについて説明いたします。NOAEL15,000 ppmとなっております。根拠は、Fischerラットの雌雄各50匹及びB6C3F1 マウスの雌雄各50匹をクロロエタン15,000 ppmにそれぞれ102週間及び100週間(6時間/日、5/)吸入させた実験で、ばく露に関連した毒性影響を認めなかったことに基づきます。この試験に関する不確実係数は種差(10)に基づく10、評価レベルについては1,120 ppmです。計算式は資料のとおりです。

 次に、許容濃度等に移ります。ACGIHTLV-TWA100 ppmSkinの勧告が1995年に出ております。根拠は、この値は、いずれも高濃度ばく露した実験動物でしか報告されていない肝への影響、胎児毒性、がんを生じる可能性を最小にすることを意図したもの。また、クロロエタンの経皮吸収による全身毒性を立証するデータはないが、いずれもSkinの注記が付いているブロモエタン、ブロモメタン、クロロメタンからの類推は、安全のためクロロエタンにSkinの注記を提案する根拠となるとしております。

 次に、日本産業衛生学会の根拠です。1993年に100 ppmの勧告がなされています。根拠は、発がん性が検出されているため、1967年の1,000 ppmを当面100 ppmとすることを提案するとしております。DFGMAKは設定なし、NIOSH-RELは設定なし、OSHA-PEL1971年に1,000 ppmUK HSE-LTELは、2005年に50 ppmがそれぞれ勧告されております。

 評価値()です。まず、一次評価値は、許容濃度の根拠に発がん性に関するものがあり、生涯過剰発がん1×10-4 レベルに相当するばく露濃度が設定できないため、「なし」としております。

次に、二次評価値は100 ppmとしております。理由は、米国産業衛生専門家会議(ACGIH)及び日本産業衛生学会の許容濃度等の勧告値を採用したとしております。リスク評価に当たっては、経皮吸収にも留意する必要があるとしております。資料1-5については、以上です。

○大前座長 生産量等用途の所の下から2行目に「有機化学化合物」とありますが、評価書の71ページの29行目には「有機金属化合物」とあるので、これは「金属」だと思います。

○平川化学物質評価室長補佐 修正いたします。

○大前座長 いかがでしょうか。この物質は2年間ばく露してもほとんど何もなかったという、ある意味、安全だと思われた物質ですが、一部でがんがあるかもしれないということで100 ppmになったという物質です。もともと沸点が12.5 ℃ですから、常温で気体なのです。したがって、幾らでも濃度が高くなる。よろしいでしょうか。

○西川委員 1つ確認します。NTPのがん原性試験は、参考資料2-5の何ページでしょうか。

○大前座長 77ページの217行目からが、発がん性の試験の記述です。

○西川委員 そうですね。

○大前座長 はい。

○西川委員 79ページにデータが出ていますが、例えば、マウスの雌、子宮がんで、コントロール群の0/49に対して、ばく露群が43/50と圧倒的に増えます。それからラットにしても、雄ラットでは皮膚の腫瘍をまとめて検定すると、有意な増加になっているということで、なぜこれがIARClimited evidenceになっているのか、少し理解に苦しむのですが、理由は分かりますか。

○平川化学物質評価室長補佐 IARCについては、1991年から変わっておりません。

○西川委員 多分、今のグループ分類をすると、恐らく2B以上になるような気がしますが。

○津田委員 1999年にもう一回やっています。

○大前座長 1999年ですか、そうですか。それで、結果はいかがだったのでしょうか。

○津田委員 同じです。

○西川委員 グループ3

○津田委員 リストで見ると1991年と1999年にやっていて、やはりグループ3です。

○大前座長 西川委員の御疑問は、2濃度実験ですが。

○西川委員 ええ。

○大前座長 15,000ppm1.5%とすごい実験ですが、それでも子宮がんと皮膚がんが統計学的には有意に出ている。

○西川委員 皮膚がんもです。

○大前座長 これはなぜIARCはグループ3にしたのだろうという。

○津田委員 多分、試験を実施しているのが1施設だけということで、判定基準の2施設で実施という条件を満足していないためと思います。言いかえれば複数の施設の実験で再現されているとか、雌雄であるとか、マウスとラットの両方で見られるなどという条件があるので、それを満足していないのだと思います。

○西川委員 マウスは雌でラットは雄で腫瘍が。

○大前座長 79ページの表を見て西川先生はおっしゃっているのですが。

○吉成委員 232行目に「雄ではばく露群の生存率が低かったことから、この試験は発がん性の評価には不適切であるとしたが」という文章がありますが、これは関係ないのでしょうか。生存率が低いとは思えない。

○大前座長 例えば、先ほどの79ページの表を見ると、対照群の所で雄のマウスの生存率が50分の28

○吉成委員 そうですね。

○大前座長 ほとんど半分死んでいるというので。

○吉成委員 死んでいるのですね。

○大前座長 実験そのものがまずいという、そういう評価で。

○西川委員 半分も生きていれば、多分、十分……ですけれど。

○大前座長 これはどういう理由でしょうか。ちょっとそこまで見ていませんが、IARCのコメントは、この中にはないですか。

○吉成委員 ラットが50分の16になっています。

○大前座長 ラットの生存率は50分の16ですね。

○吉成委員 皮膚がんは少しということでしょうか。

○大前座長 ただ、ばく露群は50分の8ですね。マウスは50分の1150分の2、ラットは50分の8、雌は50分の22で、ちょっと死にすぎていますか。

○吉成委員 対照群……。

○大前座長 NTPが発がんに関しては証拠不明確と書いてあります、equivocalですね。だから、IARCは実験の質とか、あるいは1濃度実験ということも含めて、足らなかったのでしょうか。

○宮川委員 78ページの234行目と255行目で、234行目は、子宮がんについて「明確な発がん性の証拠があるとし」と書いてありますが、この書きぶりだと、それを言ったのがIARCなのかNTPなのか分かりません。下のほうの255行目は「発がん性の証拠は不明確であるとし」と、こちらはNTPIARC両方書いてあるのです。もし、NTPの考えとIARCのそのときの結論が違うのであれば、その辺りを分かるようにした上で、最後に評価表のほうにでも書いておいていただけると、今のが分かるような気がしますが。

○大前座長 誰が言ったかですかね。

○宮川委員 はい。

○大前座長 IARC3と言っていて、NTPはどちらなのかと、そういうことですね。

○宮川委員 はい。多分NTPは自分の所の実験について判断したということだと思います。

○大前座長 15,000 ppmは、すごい濃度ですけれどね。そうすると、今の宮川先生の御意見は、資料1-5では「IARClimited evidenceと評しているが、ヒトにデータがなく、総合評価ではグループ3」と書いているので、総合評価というのは総合評価ということですよね。

○宮川委員 ただ、日本産衛学会は、発がん性を検出するためにはこうこうということを提案しているわけなので。

○大前座長 恐らく、このときはこういうデータが出たので慌てて当面やったと思うのです。

○宮川委員 もしNTPが、234行目にあるように、子宮がんの明確な証拠があると書いたのならば、こちらの表でも記載していただけると、トータルのバランスがいいものになるような気がいたします。

○平川化学物質評価室長補佐 あと、宮川委員の御説明の関係で、参考資料361ページの表現の所をそのまま読んでいくと、「発がん性が検出されているため現行の1,000 ppm(1967年設定、当時は発がん性未知)を当面100 ppmに変更することを提案する。ちなみに、ACGIH(1992)ではTLV1,000 ppm(1986年設定)に、またDFG(1991)では本物質をIIIBに分類してMAKを与えていない」となっております。確か、ドイツは発がん物質についてはMAKを与えないという考えが。

○大前座長 そういうのがありますね。西川委員の疑問は全然解けないという状況ですが。

○西川委員 それほどこだわるものではないのですが、なぜなのかという疑問です。

○大前座長 そうですよね。1999年はIARCがもう一回評価し直してみて、やはりグループ3だという評価になったというお話ですね。津田委員、そういう意味ですよね。

○津田委員 そう書いてあります。

○大前座長 やってみたけれど、やはり2Bにはまだ上げられる証拠はないと。

○津田委員 動物実験では表の通りsufficient evidence (=group

 2B)ですがヒトにおけるデータがない場合はlimited evidenceとなります。

○平川化学物質評価室長補佐 一応、当方の提案としては、発がん性ありの可能性も含めてですが、一次評価値については理由としては発がんベースで。

○大前座長 提案自体は、多分、これでよろしいのではないかと思います。

○西川委員 はい、そうです。結構です。

○大前座長 重視すべき有害性の発がんの根拠の所で、子宮がん、皮膚がんの発生が有意に上昇したという報告例がありと書いてあるのですが、これにもう少し何か加えますか。

○宮川委員 一言、NTPはこうこうと入れていただければと思います。

○大前座長 では、根拠の所に主語を入れていただくということですね。IARCは、トータルとしてlimited evidenceで総合評価でグループ3と、これはそのとおりだということで。

○穴井化学物質評価室長 では、冒頭に「NTPで」と入れます。

○大前座長 はい。主語を入れていただくということです。ありがとうございました。

○西川委員 1つ補足します。このマウスの試験は、雌の投与群で死亡率が高いのは、子宮がんが発生したからと書いてあるのです。しかも、そのがんは様々な器官に転移している。これは、高濃度のばく露だと思いますが、強烈な発がん性を示唆することだと私は理解します。

○大前座長 そうですよね。子宮がんの50分の43ですものね。

○西川委員 そうです。めちゃくちゃです。

○大前座長 これで死んでしまったので、結局、生存率が下がっている。

○西川委員 はい。なぜ、生存率が低いためにlimited evidenceと言っているのか、そこがつながらないのです。余計なことですが、結構です。

○大前座長 おっしゃるとおりです。これは、もう一回どこかで実験をやってほしいです。

○西川委員 そうですね。もう少し用量を下げて。

○大前座長 用量を下げて、はい。本当に15,000 ppmの子宮がんが正しいかどうかはどこかでやってほしいです。これは、これ以降にNTPをやっていないですよね。バイオでやる可能性はあるのでしょうか。要するにリストに挙げるのかどうか、多分、今はやっていないと思うのですが、まだやっていないですよね。

○平川化学物質評価室長補佐 発がん性試験の物質の選定については、企画検討会等で、試験対象物質リストを作成し、そのリストの物質のうち、日本バイオアッセイ研究センターでがん原性試験ができるものを選び出し、長期の発がん性試験については、有害性評価小検討会で、遺伝子改変動物を用いる発がん性試験については、発がん性評価ワーキンググループで決定すると流れになりますので、必要があれば、これらの試験対象物質リストに加えていくということになろうかと存じます。

○大前座長 そうすると、今日のお話で、クロロエタンに関しては、この検討会としてがん原性試験の候補に入れてほしいということにしますか。いかがでしょうか。まだ2,000tくらい使っているので決して少ない量ではないですね。それから、これはもともと常温ガスなので粉体みたいなことはないので、実験そのものは余り難しくないと思います。チャンバーさえ空けば可能な物質だと思いますが。多分、測定も余り難しくないと思います。コントロールも余り難しくない。

○平川化学物質評価室長補佐 ちなみに、クロロエタンについての製造等の状況ですが、1年に500 キログラム以上、製造・取扱いされている事業場として有害物ばく露作業報告に上がってきたのが12事業場。

○大前座長 12事業場、意外と少ないですね。それがトータルで2,000tだから、1社当たり結構たくさん使っているということでしょうか。それでは、こちらから提案しておきますか。クロロエタンについては、がん原性試験の候補に入れてほしいと。少なくとも15,000 ppmで、先ほどおっしゃった子宮がんが50分の43でしょうか、そのくらい出ている物質なので、これは確認をしておく必要がある。念のためにNTPでもう一回やり直していないかどうかということと、それから、どこかほかの機関でやっているのかどうかということを確認していただいて、それでやっていなければがん原性試験の候補として入れていただきたいということでよろしいですか。

 ありがとうございました。では、今日の段階は、提案はこれで良いということで、提案以外に、候補として考慮してくださいという提案をする。ありがとうございました。それでは、最後の物質です。DMFN,N-ジメチルホルムアミドについて説明をお願いします。

○平川化学物質評価室長補佐 それでは、資料1-6を御覧ください。物質名は「N,N-ジメチルホルムアミド」、別名はDMFとして知られております。CAS番号68-12-2で、これについては既に第2種有機溶剤等で規制されている物質です。化学式・構造式は資料のとおりです。

 物理化学的性状です。外観は特徴的な臭気のある無色〜黄色の液体です。沸点は153 ℃、融点は-61 ℃です。蒸気圧は25 ℃で約492 Paとされております。比重は水1に対して0.95、蒸気密度は空気1に対して2.5です。オクタノール/水分配係数log Pow-0.87です。

 生産量・輸入量ですが、平成25年度に23,908 tとなっております。用途ですが、人工皮革又はウレタン系合成皮革、スパンデックス繊維、分析化学用、有機合成用の溶媒、各種ポリマーの溶媒、触媒、ガス吸収剤、色素の溶剤が主な用途です。

 次に、重視すべき有害性です。発がん性については、「ヒトに対しておそらく発がん性がある」という記載になります。根拠ですが、航空機の修理施設で雇用された153人の白人男性の労働者で、DMFのばく露により精巣がんの発生を示唆する報告がある。日本バイオアッセイ研究センターで行われたラット及びマウスを用いた吸入ばく露による発がん性試験において、肝細胞腺腫、肝細胞がん及び肝芽腫の増加が見られ、がん原性を示す明らかな証拠と考えられた。この試験に基づき、がん原性指針対象物質としております。

 各評価区分です。IARC2Aで、Monograph Vol.115を現在準備しているという状況です。産衛学会は2015年に2BEU CLPNTPは情報なし、ACGIH2013年にA4としております。

 発がん性以外の有害性です。生殖毒性は「あり」としております。NOAEL150ppmです。根拠ですが、ウサギ(115)に、050150450ppmDMFを妊娠719日に16時間でばく露させた結果、450ppmで母動物に体重増加の抑制が見られ、胎児に体重減少や奇形、変異の増加が認められたとしております。不確実係数は種差(10)に基づく10、評価レベルについては11.25ppmであり、計算は資料のとおりです。

 神経毒性ですが、「判断できない」としております。根拠は、調査した範囲内では、報告が得られていないということです。遺伝毒性は「なし」としております。根拠ですが、5.8 ppmDMFにばく露された22人の工場労働者において、姉妹染色分体交換(SCE)の発生率が有意に高かったとの報告があるが、その増加は僅かであった。1024.8 ppmDMFにばく露された85人の労働者の報告ではSCEの増加は観察されていない。in vivo試験系ではマウスを用いた小核試験、in vitro試験系では細菌を用いた復帰突然変異試験、マウスリンフォーマ細胞を用いた遺伝子突然変異試験及びヒト末梢血リンパ球を用いた染色体異常試験でおのおの1件の陽性報告があるが、多くの同種の試験及び他種の試験では陰性であった。IARCDFGOECDWHO/IPCSDMFの遺伝毒性は陰性と報告しているとしております。

 閾値の有無ですが、「遺伝毒性」なしの判断に基づき、「あり」としております。動物実験に基づく試験データからの指標ですが、LOAEL200 ppmとしております。根拠ですが、BDF1 マウス(1群雌雄各50)に、0200400800 ppmDMF6時間/日、5日間/週、104週間、全身吸入ばく露した。104週における生存率は、雄では対照群と差はなかったが、雌では400 ppm以上の群で低下した。体重増加の抑制は雄の全ばく露群と雌の800 ppm群に見られた。雌雄の全ばく露群では肝臓の肝細胞腺腫及び肝細胞がんの増加が認められ、雄の200及び400 ppm群で肝芽腫の増加が認められた。前腫瘍性病変と考えられる変化として、雌雄の全ばく露群で肝臓の好酸性小増殖巣が、雄の全ばく露群で明細胞性小増殖巣の増加が認められたとしております。この試験に関する不確実係数は、種差(10)LOAELNOAEL変換(10)、がんの重大性(10)から見て1,000、評価レベルについては次の計算式のとおり0.15 ppmとしております。

 許容濃度等です。ACGIHではTLV-TWASkinの勧告が1966年にされており、TLV-TWA 10 ppmです。根拠ですが、動物実験と産業経験に基づきTLV-TWA 10 ppmが肝臓に対する有害性作用の可能性を最小化するために勧告される。ヒトの皮膚吸収の報告からSkinは妥当である。SEN及びTLV-STELを勧告する十分なデータはないとしております。

BEIについても勧告されており、BEI尿中N-メチルホルムアミドは15 mg/Lとしております。さらに、尿中N-アセチル-S-(N-メチルカルバモイル)システイン(AMCC)1999年、40 mg/LSqとしております。また、N-メチルホルムアミドの15mg/Lのところの数値については、N-メチルホルムアミド(NMF)N-(ヒドロキシメチル)-N-メチルホルムアミド(HMMF)の合計ということです。根拠ですが、DMFの最近のばく露指標として尿中のNMFHMMFの合計の測定を勧告する。DMFばく露労働者から1日の労働後に採取された尿サンプルで、両代謝物のNMF/L尿で表されるBEI 15 mgを勧告する。タイミングはクリティカルである。NMFの排泄はサンプルが採取された日のばく露強度を表す。週の労働におけるDMFばく露の総和の指標として、尿中のAMCCの測定を勧告する。DMFばく露労働者からの週の労働最終日の労働前に採取された尿サンプルで、AMCC/L尿で表されるBEI 40 mgを勧告する。気中DMFレベルと尿中AMCCレベルの定量関係は弱いので、Sqが適用され、このBEIDMFばく露のスクリーニングテストとして用いられる。生物学的モニタリングは大きな皮膚吸収のため強く勧告されるとしております。

 日本産業衛生学会の勧告です。許容濃度10ppmの勧告と、皮膚が1974年に勧告され、さらに2014年に生殖毒性第2群の勧告がなされております。さらに、DFG MAKの勧告が5 ppm(2005)H1969年、1989年に妊娠リスクグループBの勧告があります。NIOSHの勧告はTWA10 ppmSkinOSHA PELTWA10 ppmで、これもSkinの勧告。UKLong-term exposure limit5 ppm2011年にShort-term exposure limit10 ppmの勧告がされています。

 最後に評価値です。一次評価値は0.15 ppmとしております。左下の指標に基づく数値です。閾値ありの評価レベルの算定によるとしております。二次評価値は10 ppmとしております。根拠ですが、ACGIH及び日本産業衛生学会の勧告値を採用したためとしております。

 その他です。リスク評価に当たっては、経皮吸収にも留意する必要があるとしております。以上です。

○大前座長 生産量等用途の下から6行目ぐらいの「豚ジェン」は「ブタジエン」の誤りですね。

○平川化学物質評価室長補佐 修正いたします。

○大前座長 いかがでしょうか。この物質は非常に皮膚吸収が強くて、肝障害をヒトでもたくさん起こしている物質です。バイオアッセイの発がん実験で肝細胞がん、あるいは肝芽腫等が出て、非常にしっかりした実験の情報があるものです。ACGIHも産衛の許容濃度も少し古いのです。これは産衛でも早く改正しなければいけないと意識はしているのですが、まだ進んでいない状況になっています。よろしいですか。

BEIはちゃんと中身が書いてあるので、それはこのように書いてくださいということですね。

○西川委員 非常に細かいことですが、重視すべき有害性の丸数字2の生殖毒性の最後に「異変の増加」とありますが、これは「変異の増加」とすべきではないかと思います。「異変」ではなく、「変異」だと思います。

○大前座長 上から5行目と6行目ですね。「異変の増加が認められた」ではなく、「変異の増加」ということで、逆ですね。この場合は、一次評価値0.15というのは、10 ppmと比べて10分の1以下の数字の評価値が出ていますので、一次評価値として記載していることになります。よろしいですか。どうもありがとうございました。6物質に関する審議を終了しました。

 最後に、事務局からお願いします。

○穴井化学物質評価室長 机上配付しているマトリックスの紙を御覧ください。経皮吸収については、昨年オルト―トルイジンで膀胱がんが起こったという話があってから、経皮吸収に留意してリスク評価をやりましょうという話になっています。今の状況ですが、経気道ばく露が高く勧告ありになった場合には、右下のマトリックスにありますように、保護具の使用や、汚染時の洗浄をちゃんとやりましょうということが、今年の1月から制度として整備されたので、そこのルールは決まっているのですが、経気道ばく露のリスクが低い場合で、経皮吸収の勧告がある場合については、リスク評価をどのようにやって、どのような措置を取るかというルールがまだ決まっておりません。一応、初期評価をやって、詳細評価までいくということだけ決まっていて、実際何をやるのかは決まっていないので、そこが今課題になっているということです。

 裏面に、今までどのぐらいの物質があるかということで、今までリスク評価してきた中で、経気道ばく露のリスクが低く、経皮吸収の勧告ありとされている物質が16物質ほどあります。今後もそういった物質はどんどん出てくると考えられるので、こういった物質についてどのようなことをやるのかが今後の課題になるということで、1012日のばく露評価小検討会で、この辺りをどのように進めようかという議論をしました。前提として、経皮吸収については、経気道ばく露のように二次評価値と比べて判定するような定量的な手法がないので、どうするのだという話がまず1つです。定量的にできないのでどうするかということですが、まずはばく露実態調査にいくときにちゃんと実態を把握しないといけないということで、ばく露実態調査にいって観察とヒアリングをきちんとやりましょうと。ただ、観察とヒアリングだけでは物的証拠が何もないので、措置を掛けるところまでなかなかいき着かないということで、まずは拭き取り試験、拭き取りでばく露があるのかないのかと、活性炭シートみたいなものが今アメリカでも売り出されていて、それを貼ってチェックするようなことができるということなので、例えばそれを手袋の内側と外側に貼って、ばく露があるのかないのか、あるいは浸透があるのかないのかを調べたらどうかという議論がありました。

 最終的には生物学的モニタリングまでやって、ちゃんとした証拠をつかむのがいいだろうという話になったのですが、生物学的なモニタリングができる手法や生物学的許容値(BEI)が決まっているものはいいのですが、全く何もないものもあるということで、その辺りをどのようにしてやっていくかが今後の議論になるのではないかと思っております。ほとんど経皮吸収はなかろうという物質はいいのですが、よく分からない物質についてモニタリングをやるためにはどうしたらいいのか、あるいはやらない物質についてはどこまでやればいいのか、そういったことが議論になるということで、来年122日のばく露評価小検討会とこの有害性評価小検討会の合同会議で、その辺りを議論していただく予定にしております。また、ばく露評価小検討会で行われた概要や資料などについては、改めて皆様にお送りして、1月の議論に備えていただけたらと思っておりますので、よろしくお願いします。

○大前座長 今の室長のお話に、何か御意見あるいは御質問はいかがでしょうか。

○清水委員 実は、経皮ばく露の委託事業を今週の月曜日に中災防で落札したのですが、今、室長がおっしゃったように、どのようにするか、アクティブサンプラーかパッシブサンプラーを使うとか、どういう形で吸収させて何を見るか、その辺りを今検討を始めたところです。今年度はあと3か月しかないので厳しいところですが、とにかくスタートさせるということです。

○穴井化学物質評価室長 多分、知見がないので、だんだんそういうことを積み重ねていって、修正、修正で正しいものを作っていく方向になるのではないかと我々はそう考えています。

○大前座長 皮膚吸収というと、液体ばく露というイメージがあるかもしれませんが、蒸気ばく露でも結構皮膚吸収するので、その辺りも少し考えていただかないと、手を付けたら吸収するとか、手袋を介して吸収するだけではなく、全身の皮膚から吸収するということもあるので、なかなか難しいですが。

○穴井化学物質評価室長 その辺りのところを、その物質が出たときに、この場になるかどうか分かりませんが、この場でそういうことに注意しなさいということを出していただいて、実際の現場に入っていただくとか、どういう調査をしたらいいかとか、そういう話にもなろうかと思います。

○大前座長 過去に労災請求された分で皮膚吸収によって起きたらしいという物質もあると思うのです。この16物質の中でそれが抜けていないかどうかチェックしていただいて、ひょっとして昔事例があったのだけれども、今回の検討の物質の中に入っていないとなるとまずいと思いますので、それは是非一度チェックをしていただきたいと思います。

 ということで、122日にこの会とばく露評価小検討会の合同の検討会があるので、その場でまたこの議論をしていただくということで、それまでに前回のばく露評価小検討会の資料あるいは議事録、何らかのものをメールで送っていただけるということなので、それを見ていただいて、122日にまた議論をということです。

○宮川委員 経皮吸収の話ですが、こういう資料が出たときに、こういうことがあるのだ、これは気を付けなければいけないというのはいいのですが、逆に、書いていないからこれは経皮吸収はないのだと思われると、実はそういうことがある可能性があって、データがないのだと。そこが一般に誤解されないように資料を読んでいただけるように、何か工夫をしていただけるとよろしいかと思います。

○穴井化学物質評価室長 ありがとうございます。

○大前座長 今までに終わっているものの中で経皮吸収のあるものもありますかね。そうすると、この表に付け加えなければいけない、そういう修正も要るかもしれないですね。

○穴井化学物質評価室長 はい。

○西川委員 今のことに関連して、動物実験の中でも経皮投与の試験はそれなりにあることはあるので、そういう情報も何かこういう所に盛り込んだほうが、将来的な使い道として役に立つような気がします。

○穴井化学物質評価室長 有害性のデータについても、経皮吸収に関連のあるデータはできるだけ入れ込むような形にしていこうと思います。

○大前座長 DMFの実験や先ほどのクロロエタンの実験も吸入実験ですが、あれは吸入プラス皮膚吸収もあるはずなのです。トータルのばく露になってしまっているので、15,000 ppmよりも実質的にはもっと高かったかもしれないですね。そういうものもあると思います。

○西川委員 そうですね。

○大前座長 よろしいでしょうか。少し早いですが、その他特に御意見あるいは御質問がなければ、事務局から何か連絡事項等はありますか。

○平川化学物質評価室長補佐 資料2に具体的な日時が書いてありますが、次回のリスク評価検討会は12215時からの予定で、省内の会議室での開催を予定しております。事務局からは以上です。

○大前座長 資料2の議題が「経皮吸収による健康障害のおそれのある化学物質のリスク評価法について」ということですから、これはむしろ総論の議論になるかと思いますが、今の皮膚吸収に関する総論の議論を2時間ぐらいやるということですね。122日、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、今日の検討会を終わります。どうもありがとうございました。

 


(了)
<照会先>

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室(内線5511)

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