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2017年7月3日 第2回「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」議事録

雇用環境・均等局雇用機会均等課

○日時

平成29年7月3日


○場所

専用第15会議室(12階)


○議題

(1)第1回検討会での指摘事項等について
(2)意見交換

○議事

○佐藤座長

 少し時間の前ですが、皆さん、今日御出席の方、お集まりいただいていますので、ただいまから第 2 回職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会を始めさせていただきます。本日は、川上委員と原委員が欠席です。また、前回は御欠席でしたが、今回から御出席いただいています一般社団法人日本アンガーマネジメント協会代表理事の安藤俊介委員、日本商工会議所産業政策第二部副部長の杉崎友則委員、慶応義塾大学法学部教授の内藤恵委員、前回は代理で出席していただきましたが、株式会社クオレ・シー・キューブ代表取締役会長の岡田康子委員です。

 本日の議題ですが、第 1 回の検討会での皆様の御指摘について事務局に整理してもらいましたので、その資料を用いて議論を更に深めていきたいと思います。それではまず、事務局から資料の確認をお願いします。

 

○勤労者生活課長補佐

 本日の資料は、議事次第、座席表、委員名簿、それに資料 1 から資料の 6 まで計 6 点の資料があります。不足などありましたら、事務局までおっしゃってください。よろしくお願いいたします。

 

○佐藤座長

 よろしいですか。途中で何か欠けていたら言っていただければと思います。それでは、事務局から、今お手元にあることを確認していただきました資料を順に説明していただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

○勤労者生活課長補佐

 それでは資料 1 について御説明いたします。こちらは、第 1 回で皆様から多岐にわたる御意見を頂戴いたしまして、御示唆も頂きました。それをカテゴリー分けしまして、事務局の責任において整理を試みたものです。時間の都合がありますので、かいつまんで簡単に紹介をさせていただきます。まず 1 枚目ですが、こちらは総論的な御意見をまとめたものです。 1 2 点目はパワハラの問題点を御指摘いたただいたものです。 3 点目、 4 点目は、パワハラの問題は小規模の会社で生じやすく、対策も立てにくいという御意見です。 5 点目、 6 点目は、パワハラ事案の中には労働者が一方的なもの、そしてえん罪のようなものもあるではないかという御意見です。

 続いて 2 枚目ですが、こちらは、パワハラの定義、判断について難しいという御意見を多数頂戴いたしましたので、それをまとめたものです。 1 3 点目につきましては、定義について、例えば権限に差がないところに起こる問題はパワハラと定義するのは疑問、顧客からのハラスメントも無視できないといった御意見です。 4 点目から 6 点目までは、パワハラの判断の難しさについての御意見です。指導との線引が難しい、コミュニュケーションの有無によってその該当性が変わってくるといったものです。

 最後は、これらをまとめていただいたような御意見です。パワハラの行為類型をどのように定義しても難しいという旨。 2 段落目は、セクハラと比較すると業務との関連性が高く、不適切・違法な判断が難しいということ。 3 段落目は、殴打、名誉毀損といった既存の違法類型として処理できるものを除き、パワハラとして固有の法規制を考える意義があるのかということを検討する必要があるという御意見です。

3 枚目は、パワハラ防止の対策についての御意見をまとめたものです。 1 2 点目は、予防策が重要であるというもの、 3 点目、 4 点目は、メンタルヘルスの防止の必要性についての御意見、 5 点目、 6 点目は、企業に対策を進めてもらうためには企業のメリットになるような形にする必要があるということ、 7 点目は、現状、ハラスメント対策を取れていれば、企業がパワハラ対策を個別でやる必要はないのではないかという御意見です。

 最後に 2 点ありますが、法整備に向けた議論が必要という御意見に対し、前述の定義の難しさに鑑み、方向性としては長時間労働を是正するという観点から、パワハラを規制するなど規制エリアを限定するというものと、法制化ではなくガイドラインといった大まかな指針を出すといったものが考えられるという御意見です。現状では、一般的に行為類型を確定し、違法行為を示してそこにサンクションを課すのは難かしいのではないかといった御意見です。資料 1 の説明は以上です。

 

○佐藤座長

 次に、資料 2 は、田村室長から御説明いただきます。お願いいたします。

 

○労働紛争処理業務室長

 労働紛争処理業務室の田村と申します。よろしくお願いします。資料 2 に沿って御説明いたします。個別労働紛争解決制度の施行状況につきまして、 2 ページ目の枠組みから御説明いたします。個別労働紛争解決制度につきましては、個々の労働者と事業主の間の労働条件や職場環境などをめぐるトラブルを未然に防止して、早期に解決するための制度でありまして、総合労働相談、労働局長による助言・指導、紛争調整委員会によるあっせんの 3 つの方法がございます。総合労働相談とは、全国の都道府県労働局及び労働基準監督署など、約 380 か所に総合労働相談コーナーを設置し、専門の相談員を配置して、あらゆる労働相談にワンストップで対応し、法令・判例等の情報提供により、労働紛争の未然防止や自主的な解決を促しているところです。

 その下の、労働局長による助言・指導、これは行政指導等の対象にならない民事上の個別労働紛争について、紛争当事者からの申出により、都道府県労働局長が紛争当事者に対して解決の方向性を示すことにより、紛争当事者の自主的な解決を促進する制度です。その右側の紛争調整委員会によるあっせんですが、都道府県労働局に設置されている紛争調整委員会のあっせん委員は、弁護士や大学教授などの労働問題の専門家にお願いしていますけれども、このあっせん委員が紛争当事者の間に入り、話合いを促進することにより紛争の解決を図る制度です。これらの全体の相談の状況について、こちらの図にも数値をお示ししていますが、平成 28 年度に総合労働相談コーナーに寄せられた相談の件数が 113 741 件になります。この相談にはいわゆるいじめ・嫌がらせや解雇等の民事上の個別労働紛争のほかに、労働基準法等の違反の疑いがあるもの、法制度の問合せについても含まれております。労働基準法等の違反の疑いのあるものについては、法令を所管する労働基準監督署や公共職業安定所などで関係法令に基づく行政指導を行うことにしておりますので、取り次ぐこととしております。労働局長による助言・指導とあっせんは、民事上の個別労働紛争を対象とした具体的な解決の制度として設けられておりますけれども、いずれの制度を利用するかは御本人の選択によります。一般的には相談者が既に退職されていたり、金銭解決を求めていたりするものについてはあっせんを選択する傾向にございます。平成 28 年度は助言・指導の申出が 8,976 件、あっせんの申請が 5,123 件で、合計約 1 4,000 件余りが相談の中で具体的な紛争解決の制度を利用されているということです。内容別には、民事上の個別労働紛争の相談件数、助言・指導、あっせんのいずれも、いじめ・嫌がらせがトップとなっており、それぞれ過去最高の件数となっているところです。

 より詳細を次のページ以降に付けております。 3 ページ目、別添 2 1 総合労働相談の状況です。今御説明しましたとおり、平成 28 年度の総合労働相談件数は 113 万件で、前年度から 9.3 %増加しているのですが、これは労働局の組織見直しにより、平成 28 年度から計上方法が少し変わったことによる増加の影響もあるということで御留意いただければと思います。短い棒グラフの、 25 5,460 件がいじめ・嫌がらせ等を含む民事上の個別労働紛争の相談件数で、こちらについても前年度から 4.2 %の増加となっています。

 下の (2) の円グラフは、相談内容別の件数や割合を表しているものです。民事上の個別労働紛争の内容別の件数については、いじめ・嫌がらせが 22.8 %でトップ、次に自己都合退職、解雇の順に多くなっております。なお、この相談件数は、例えばお一人の方が同一の案件で複数回相談に来られた場合には、その相談ごとに 1 件としてカウントしております。また、 (2) の延べ件数 31 万件については、下の※にもありますが、 1 回の相談において複数の内容にまたがる相談が行われた場合にはそれぞれ計上されており、例えば退職勧奨とともにいじめ・嫌がらせを受けているという相談とか、自己都合退職を申し出たところ、辞めさせてくれずに、嫌がらせを受けているような複合的な事案は、それぞれ 1 件ずつカウントされております。

 次に 4 ページを御覧ください。上の (3) の折れ線グラフは、内容別の上位 5 つについて過去からの件数の推移を示しているものです。相談内容でトップのいじめ・嫌がらせは、資料は 19 年度から記載をしておりますけれども、一貫して増加を続けている状況にあります。なお、解雇に関する相談件数は、近年の景気回復に伴う情勢の改善により減少傾向にあるところです。いじめ・嫌がらせについては、平成 24 3 月に職場のいじめ・嫌がらせに関する円卓会議が提言されました「職場のパワーハラスメント」の概念に該当するもの以外でも、相談者がいじめ・嫌がらせを受けたと主張されているものについても計上をしているところです。いわゆるパワーハラスメントよりも幅広く含まれていることに御留意いただければと思います。例えば職場内での地位や人間関係などの優位性のないものから、業務にかかわりなく暴言を受けている、あるいは無視されているような相談も含まれております。 (4) の円グラフは、相談者の就労形態別の件数・割合を示しております。正社員、パート・アルバイト、期間契約社員の順に多くなっております。左側に記載がありますように、労働者からの相談が 82.5 %、約 8 割を占めていますが、事業主からの相談も 10 %とあります。

6 ページを御覧ください。 6 ページからは都道府県労働局長による助言・指導の状況です。 (1) の棒グラフは助言・指導の申出件数の推移を表しているものです。平成 28 年度の件数は 8,976 件と前年度から微増となっております。下の (2) の円グラフは、申出内容別の件数と割合を示していますが、こちらもいじめ・嫌がらせが 22.3 %でトップ、続いて解雇、自己都合退職の順に多くなっているところです。

7 ページの (3) も上位 5 つの申出内容別に過去からの件数の推移を表したものですが、いじめ・嫌がらせに関する申出件数については、先ほど御覧いただいた民事上の相談件数と同様におおむね増加傾向にあるところです。特に平成 23 年度から大きく増加しており、 25 26 27 と横ばいでしたが、 28 年度は相談件数が増加したことに伴い、再び増加をしている状況にあります。

(4) の円グラフは就労形態別の申出件数とその割合です。正社員が全体の約半数を占めており、続いてパート・アルバイト、期間契約社員の順に多くなっております。左側の申出人の種類では、どちらからでも申出は可能ですけれども、労働者が 99.5 %とほとんどを占めている状況です。 (5) は助言・指導の流れと処理状況です。ほとんどの事案は 1 か月以内に処理をするということで実施しているところです。いじめ・嫌がらせの事案の助言・指導の申出を受けまして、被申出人の多くは事業主になりますけれども、事業主に対して申出人の主張を伝えた上で、例えば円卓会議のパワーハラスメントの類型などを示しながら職場環境の改善を図るように、労働者と話し合うよう助言することが多くなっております。

 続きまして、 9 ページのあっせんの状況を御覧ください。 (1) の棒グラフは、あっせんの申請件数の推移を示しております。 28 年度は 5,123 件で、前年度に比べて 7.3 %増加しております。下の (2) 申請内容別の件数も同様に、いじめ・嫌がらせが 29 %とトップになっており、続いて解雇、雇止めの順に多くなっております。

10 ページの (3) の折れ線グラフは、申請内容別の上位 5 つの件数の推移になります。いじめ・嫌がらせについては、先ほどの助言・指導同様に増加傾向にあると言えるかと思います。平成 20 年度は、リーマンショックの影響で解雇等の相談が多かったので、あっせん自体の件数もピークとなっています。いじめ・嫌がらせもその年は多かったのですが、この後少し減少傾向にあり、助言と同様に 23 年度から増加し、そしてまた横ばいの後 28 年度に再び増加したという状況です。下の (4) の円グラフは、就労形態別の申請件数を示したものです。正社員が 48 %と約半数、続いてパート・アルバイト、期間契約社員の順に多くなっております。あっせん申請につきましても労働者、事業主、いずれか一方から申請できるほか、労使双方で申請をすることも可能となっていますけれども、実際には労働者からの申請がほとんどです。

11 ページの (5) は、あっせんの手続の流れと処理状況を図示しております。上からまず、紛争当事者の一方又は双方からあっせんの申請が行われると、都道府県労働局長が紛争調整委員会にあっせんを委任いたします。あっせんを委任されますと、紛争調整委員会は紛争当事者双方にあっせんの開始の通知を行い、被申請人に対し、参加、不参加の意思を確認することになっております。参加の意思が表明されれば、あっせんを開催することになりますけれども、平成 28 年度はあっせんの開催された件数は 2,886 件で、全体の約 6 割、 56.8 %が参加率となっております。この制度は、あっせんに参加するかどうかというのは任意の制度になっておりますが、紛争が裁判に発展した場合の時間的・経済的負担を鑑みますと、迅速かつ無料で行うこの制度を利用して解決することは労使双方にもメリットがあることから、できる限りあっせんに参加していただくよう、都道府県労働局では参加の勧奨を積極的に行っているところです。

 やはり、いじめ・嫌がらせ事案の場合には主張の隔たりが大きくて、事業主側がなかなか参加勧奨に応じないケースも多いというように現場からは聞いているところです。あっせんを開催した場合には、あっせん委員が紛争当事者の間に入って、当事者間の合意形成に努めていますけれども、あくまであっせんは当事者間の話合いの促進により解決を行うものですので、いじめ・嫌がらせがあったかどうかなどの厳密な事実認定を行うものではございません。合意が成立した件数は 2,003 件で、全体の約 4 割ぐらいになっております。ほとんどの事案が金銭による解決を図るものとなっておりますけれども、いじめ・嫌がらせの場合には、謝罪を求めるような合意内容となることもございます。

 下の参考の第 6 表に、あっせんにおける合意率の推移を示しております。全体の処理件数に対する合意が成立した割合は、 39.4 %、 4 割弱になります。あっせんを開始した場合の、あっせんの場における合意率は 66.4 %で、参加していただければ 7 割弱ぐらいが合意して解決に至っているということがありますので、まずはあっせんに参加していただくことが重要であると考え、あっせん参加勧奨に取り組んでいるところです。あっせんが合意に至らない場合や被申請人があっせんに不参加の場合は、打切りの手続になりますけれども、その場合には他の紛争解決機関、労働審判や民事訴訟などの手続について情報提供をしているところです。

 最後に、処理件数のうち 2 か月以内に処理する割合が 88.6 %ということで、紛争の迅速な解決を図っていくこととしているところです。後ろのほうに解決事例等をお付けしておりますが、別の資料でより詳しい事例を載せておりますので、説明は省略させていただきます。以上です。

 

○佐藤座長

 どうも御苦労さまでした。それでは、資料 3 4 の説明をお願いいたします。

 

○勤労者生活課専門官

 引き続き資料 3 について御説明いたします。独立行政法人労働政策研究・研修機構が、職場のいじめ・嫌がらせに関する調査研究として、平成 22 年度に 6 都道府県労働局が取り扱った職場のいじめ・嫌がらせに関するあっせん事案 284 件について、あっせん処理の過程で作成された関係書類を基に調査・分析をしております。本資料につきましては、調査・分析結果をまとめた報告書から主な調査結果を抜粋したものです。図 1 から順に御説明いたします。図 1 は、申請人の雇用状態を表したものです。正社員からの申請が 138 件、比率で 48.5 %に対して、アルバイト・パート、派遣労働者などいわゆる非正規社員からの申請が 128 件、 45.1 %となっております。解説の 2 ポツ目ですが、全国の労働者の正規社員と非正規社員の比率がおよそ 2 1 になっておりますので、申請人の非正規率は全国の労働者の非正規率よりも高いことが分かります。

 図 2 は、申請人の性別件数を表したものです。男性が約 4 割に対して、女性が約 6 割となっております。同機構では平成 20 年度に 4 都道府県労働局で取り扱ったあっせん事例についても調査分析しておりますが、その結果でも男性 45 %に対して、女性が 54.6 %となっており、女性による申請が多い傾向を示しております。

2 ページの図 3 は、いじめ・嫌がらせの行為者の職位別を表したものです。職位が上位にある上司や役員からのいじめ・嫌がらせが多く、それぞれ 150 件、 73 件となっております。また、職位に違いのないことが多い同僚や先輩からのいじめ・嫌がらせについても、それぞれ 33 件、 57 件となっております。

 図 4 は、申請人が勤めていた企業の従業員規模別を表したものです。従業員が 1 29 人の規模の企業が 105 件、 37 %と最も多く、次いで従業員 300 人以上の規模の企業で 82 件、 28.9 %となっております。解説の 2 ポツ目ですが、 2011 年の総務省統計局の経済センサスによりますと、 300 人以上の企業が全企業に占める比率が 13.8 %でありますことから、かなり高くなっております。一方、 1 29 人の企業が全産業に占める比率が 50.4 %であることから、こちらは低くなっております。更に解説の 3 ポツ目ですが、いじめ・嫌がらせがあったと申請された 500 人以上の企業の勤めていた申請人の非正規率が 64 %に対して、経済センサスによる 500 人以上の企業における非正規率が約 30 %となっていることなどを踏まえますと、大企業に勤めている非正規社員が、あっせん制度を利用する割合が相対的に高いと言えます。

3 ページの図 5 は、申請人が勤めていた企業の業種別を表したものです。医療・福祉業が 54 件、 19.0 %、次いで製造業が 53 件、 18.7 %、卸売業・小売業 44 件、 15.5 %となっております。解説の 2 ポツ目ですが、こちらも経済センサスによりますと、医療・福祉業が全産業に占める比率が 10.2 %、製造業が 15.6 %となっておりますので、医療・福祉業や製造業で申請が多くなっているところです。一方、卸売業・小売業が全産業に占める比率が 20.2 %でありますことから、特に申請が多くなっているわけではありません。

 図 6 は、いじめ・嫌がらせのみで申請しているのか、いじめ・嫌がらせに加え、他の事由も申請しているのかを表したものです。いじめ・嫌がらせのみで申請しているのが 179 件、比率 63 %に対して、他の事由と重複して申請しているものが 105 件、 37 %です。他の申請の主な内容は、解雇、退職勧奨、自己都合退職となっております。

4 ページの図 7 は、いじめ・嫌がらせの行為類型を表したものですが、精神的な攻撃が 307 件と、最も多くなっております。また職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言で示されている 6 類型に加え、経済的不利益をもたらす行為を「経済的な攻撃」として分類しています。経済的不利益をもたらす行為としては、例えば売上げが上がっていないことを理由に自社製品の買上げを要求された、不当な評価による降格・減給が挙げられているところです。

 図 8 は、あっせん処理の過程で作成された関係書類に、申請人のメンタルヘルスの影響が記載されているか否かを表したものです。メンタルヘルスに何らかの不調を来したと訴えている者は 100 人、比率で 35.2 %となっております。申請人の多くが具体的な病名を挙げており、中で最も多いのがうつ病であり、そのほかには、自律神経失調症、パニック障害、適応障害等が認められております。また、具体的な病名を挙げていない申請人においても、不眠、自殺願望、体重減など何らかのメンタルヘルスに不調があると思われる症状を訴える者も認められ、更には円形脱毛症、下痢・嘔吐、胃潰瘍などのストレスを原因とした心身的な不調を来したと訴える者も認められたところです。

5 ページの図 9 は、申請人が申し立てたいじめ・嫌がらせに対して、会社側が行為を認めたか否かを表したものです。行為そのものの否定が 97 件と最も多く、次いでパワハラは認めないが行為のみを認めるものが 63 件となっております。パワハラを認めたのは 17 件となっており、パワハラと認めた場合でも、身体的な攻撃など一部の事実にとどまっております。また、パワハラは認めないが行為のみを認めるとした会社側の主な主張は、申請人の業務内容や態度に問題があったことから必要な範囲内で叱責や注意などを行った、行為者に誤解を招くような言動があったかもしれないが悪意のあるものではなかった、申請人と行為者のお互いの意思疎通は上手くいっていなかった、というものです。

6 ページ以降は、具体的なあっせん事例を 4 例掲載しております。事例 1 は、営業成績が悪いことを理由に、営業職の担当課長が役員から会議で怒鳴られながら灰皿を投げつけられたり、他の社員の面前で侮辱されたことなどにより、あっせん申請に及んだものです。あっせんの内容欄に会社側の主張が記載されておりますが、申請人の主張に対して会社側は、申請人の営業成績が上がらないことを理由に強く指導していたことが、結果的にはパワハラ行為となってしまったことを認め、申請人の請求内容どおりの合意が成立したものです。

7 ページ、事例 2 は、入社した当初から申請人の座席が用意されておらず、邪魔者扱いされたり、やがては仕事も与えてもらえなくなり、掃除や草むしりをせざるを得なかったことなどにより、あっせん申請に及んだものです。これに対して会社側は、申請人の仕事に対する姿勢に問題があるとして、上司を含めて話合いの場を持ったところ、申請人は態度を変えて仕事をするとの意思であったが、後日申請人が辞表を提出し、退職したものであり、社員には非はないという主張をしておりましたが、最終的には合意が成立しております。

8 ページの事例 3 は、仕事のやり方を教えてもらえない、ミスをすると激しい剣幕で責め立てられる、邪魔者扱いされる、朝番・遅番のシフトから外されるといったいじめなどを受けたことにより、あっせん申請に及んだものです。これに対して会社側は、厳しい指導を行ったこともあったが、いじめではなかったということを申請人に理解してもらった上で、解決金 20 万円を支払いたいとしましたが、双方の主張に隔たりが大きかったことから打切りとなっております。

9 ページの事例 4 は、同じ会社の社員間ではなく、業務の一部を委託している会社の社員から暴言を受けたり、ミスがないかとあら捜しをされたり、申請人が依頼した仕事を無視されて行われなかったなどにより、あっせん申請に至ったものです。これに対して会社側は申請人と加害者が互いに改善要望を出し合い、それを確認したにもかかわらず、このときの話合い自体がいじめだと主張する申請人を雇用し続けるのは難しく、契約更新をしないことを前提に金銭解決したいとしましたが、双方の主張に隔たりが大きかったことから、打切りとなっております。

 引き続き資料 4 について御説明いたします。本資料につきましては、前回の検討会で浜田委員から、流通・介護業界では顧客からのハラスメントも無視できないという御発言がございましたので、公益財団法人介護労働安定センターが実施している介護労働者を対象にした実態調査の報告書から抜粋したものです。過去 1 年間に利用者からセクハラ・暴力等を受けたかという質問に対して、グラフの一番下にある「上記のような経験をしたことがない」を回答した者が全体の 47.4 %となっておりますので、 52.6 %の方が利用者から何らかのセクハラ・暴力等の経験を受けたと回答したことになります。しかしながら、「利用者から介護保険以外のサービスを求められた」あるいは「家族から介護保険以外のサービスを求められた」には、例えばお使いや掃除などを頼まれたというものが含まれている可能性もございますし、暴言や暴力につきましても、施設系入所型が突出して高いことから、例えば認知症の方からの行為も含まれている可能性がありますので、この点については御留意いただければと思います。説明は以上です。

 

○佐藤座長

 続けてお願いします。

 

○勤労者生活課長補佐

 続いて、資料 5 について説明します。こちらは、前回小保方委員から諸外国のパワハラ対策を参考にしてはという御意見を頂戴いたしましたので、文献を参考にしながら事務局においてまとめたものです。不十分なところがあるかと思いますが、御参考にしていただければと思います。

 スウェーデンは、職場いじめに関する法制度として世界で初めてのものであり、 1993 年に雇用環境法の法体系の中で制定されております。職場いじめの予防を立法趣旨としており、罰則などの事後的な処理ではなく発生の予防に力点を入れております。予防の責務は使用者にあり、使用者が計画を作成しなければならないということが規定されております。

 その下のフランスは、 2002 年に労使関係法により立法措置がなされております。フランスではモラルハラスメントということで、安全衛生、メンタルヘルスの問題として捉えられているようです。使用者は安全衛生確保の計画を作成して、モラルハラスメントの防止策を講じなければなりません。また、モラルハラスメントを拒否したことを理由に解雇されたり、昇進や報酬等で差別されたりしてはならないとともに、モラルハラスメントが刑事罰の対象となるなど、予防だけではなくて事後的な処理にも目を向けております。

 その下のベルギーも、 2002 年に立法措置がなされております。法律名からも分かるように、暴力、モラルハラスメント、セクハラを併せて規制する形になっております。解雇や労働条件の変更などの不利益的扱いの禁止という、事後的な救済手続と併せて予防・防止義務の内容を詳細に定め、具体的な制度的整備をしている点が特徴です。

4 点目のイギリスは、 1997 年にハラスメントからの保護法が制定されています。こちらは、職場におけるハラスメントには特化しておらず、ハラスメント全般を規制するものとなっております。ハラスメントに刑事罰が科され、また、民事救済により賠償金請求も可能となっておりますが、これまで説明した国のような予防措置は入っておりません。なお、定義では 2 回以上の行為が必要とされております。

 最後、カナダのケベック州は、 2004 年に労働基準法が改正され、心理的ハラスメントの規制がされております。先ほどのイギリスとは違い、こちらは 1 回限りの行為でも心理的ハラスメントに該当し得るとされております。また、その判断に当たっては、ケベックに限らずベルギー、イギリスも同様のようですが、普通の良識を備えた者が被害者と同じような状況に置かれたときにどのように感じるのかということを基準にしているようです。なおケベック州では、被害者が公務員、組合員、非組合員であったときにそれぞれ別の救済申立てが規定されております。

 最後に資料 6 です。前回、ポータルサイトについて御指摘いただき、マニュアルやリーフレット等の関係資料を、どこからダウンロードしていいのか分かりにくいという御指摘を頂きました。それを踏まえてサイトを改善したのでお知らせいたします。左側の上のほうにオレンジの枠で、パワハラ関係資料ダウンロードという項目があります。これまで、これが左下にあり大変分かりにくいということで、一番上に移動して目立つようにサイトの改善を行いました。パワハラ対策を広く周知啓発していくためにも、こういう分かりやすい広報が重要だと思っており、引き続き改善に努めてまいりたいと思います。

 資料についての説明は以上ですが、本日、御欠席の原委員から資料 3 についてコメントを頂戴しておりますので、紹介いたします。以下、コメントです。「裁判例と比較して、今回、資料に掲載したあっせん事例の特徴として、被害者側の問題行動等の存在が疑われる事案が多いのではないか。裁判例では、被害者側の問題行動はそもそもなかったと認定されたり、あったとしても重要なものではなく、加害者側の責任を否定するものではないなどと位置付けられたりすることが多い。これに対し、あっせん事例では、申請人、被申請人の主張を見る限り、被害者側にパワハラのきっかけとなる問題行動があったことは否定できない。もちろん、あっせんと詳細な事実認定が行われる訴訟では制度上の違いも大きいが、見方を変えれば被害者側にも問題行動があるような事例は、そもそも訴訟にはならない。仮に訴訟になったとしても判決には至らず、和解等で解決されているという可能性がある」というコメントです。事務局からは以上です。

 

○佐藤座長

 資料 1 は、全てではありませんが皆さんの前回の御意見を整理していただいています。その後、そのときの御意見があり、その後の資料ということですが、資料 1 で、これはどなたとは書いていないのですが、多分、これは自分であろう、でも全然違うというものがあれば。見て全然違うというか、よろしいですか。

 それでは、資料 2 以降について、ここが分からないのでもう少し説明してほしい等、資料について先に御質問を伺えればと思います。その後、御意見を伺いたいと思います。よろしいですか。小さなことですが、先ほどの資料 2 4 ページの説明について、 (3) の資料がよく新聞か何かに載ります。これだけ見てしまうと、これは全部労働者側からのあれなのかと思うのですが、相談者としては事業主も余り多くないのですが、 1 割ぐらい入っています。ですから、当然事業主からの相談もこの件数の中に入っているということです。

 それでは、前回の御議論の主なもの、あるいは追加の資料を踏まえて皆様の御意見を伺いたいと思います。最初に、前回、御欠席の 4 人の方からということでよろしいでしょうか。まず、安藤委員から、今回のパワーハラスメント、いろいろあると思いますが、企業に要望の取組をしていただく等、そういうことをどのように進めるのかということがテーマになってくると思いますので、お感じの点をお話しいただければと思います。

 

○安藤委員

 日本アンガーマネジメント協会の安藤です。私どもはパワハラに関する研修等を行っております。私たちの所に来る御依頼の趣旨としては、割合に研修自体は導入されているけれども、制度は分かっているが心が付いていかないというか、頭が付いていかないというお悩みをお持ちの方が非常に多いという印象を受けております。

 分かってはいるのだけれどやってしまう、分かってはいるのだけれど守れないという相談が実際に多いのです。ですから、そういう部分で、仮に制度を浸透していくことはできたとしても、そこから先の運用面で人として、我々、感情の生き物として、それをどのように施行していくというか運営していくのかというところにも、今回のこの検討会を通じて深く議論ができればと考えております。以上です。

 

○佐藤座長

 今の御説明で、例えば企業が管理職研修をかなりやっていて、管理職もパワーハラスメントはよくないことですよと聞けば、そうだと分かっていると。

 

○安藤委員

 そうです。

 

○佐藤座長

 ですが、業務上パワハラとみなし得るような行動を取ってしまうというお話ですか。

 

○安藤委員

 そうです。私どもの所に御依頼が来る時点では、基本的にパワハラの研修を一通りされているという企業が圧倒的に多いです。

 

○佐藤座長

 そうすると、理解だけではなくて具体的に行動として定着させるにはどのようにしたらいいのかということですか。

 

○安藤委員

 はい。

 

○杉崎委員

 商工会議所の杉崎と申します。前回もお話がたくさん出たかと思うのですが、パワハラについては定義や行為類型が分かりにくいということは、そのとおりなのではないかと思っております。その一方で、パワハラについては未然に防止していくということが極めて重要な問題なので、周知に当たっては概念的なものではなくて実例をもって分かりやすく周知啓発していくのが大事なのではないかということを感じている次第です。

 

○佐藤座長

 前回も行為類型をきちんと定義できるのかということで、野川委員から難しい面がかなりあると。ほかの方からも出たのですが、それをどのようにするのかということです。ただ、海外の対策や取組について御説明いただいて多分、定義の所は書くことができる。問題は全部紛争処理を任せてしまうとするのか、ある程度指針か何かでこういうものが具体的にパワハラに当たるみたいなものを出すようにするのか、そこで書けるのかどうかで、そうすると法律に書けても、企業が事前に予防措置をするときにどういうものを想定しながらやったらいいのか、多分、これが分かるようにできるのかということかと思います。そういう意味で、皆さん、実効性あるものにするために、ある程度定義しなければいけないかと思います。何か御意見はございますか。

 

○内藤委員

 慶応義塾大学の内藤です。既にお二方の委員及び座長からお話が出たところですが、先回の各委員の主な御意見等を拝見していても、現時点でパワーハラスメントに対して、何らかの使用者側責任を法的に問えるほどの定義ができるのかという点について、いまだ議論が尚早かという気もしております。これは、決してパワーハラスメントについて何の規制も必要ないという意味ではありません。まず、諸外国同様に何らかの形の事前予防等が必要であるということは十二分に感じております。

 しかし、たまたま私の専門が法律のせいかもしれませんが、例えば、これに対して何かサンクションを掛ける等ということになると、コアな部分だけを取り上げて、非常に狭い範囲だけになってしまう可能性が高いように思います。そう考えると、座長がおっしゃったように、ある程度、行為類型とか企業の努力目標のようなものを何らかの形で指針なり何なり立てて、それによって社会の、例えば、企業側の対策を涵養した上で、第 2 段階が法規制なのかという気がします。

 諸委員がおっしゃったように、現時点でパワーハラスメントをどのように規制するのかという点については、余りに早い議論をしてしまうと、どうしても限定的な規制になってしまう。逆にそれで落ちてしまうものが多いようにも思いますので、その点も御勘案いただければと感じました。以上です。

 

○岡田委員

 私どもは割と大手で対策が進んでいる方々と、いろいろ情報交換させていただいているという限定付きということで、御理解いただければと思います。非常にパワーハラスメントは多様化しているように思います。どのように違うのかと言うと、結構、事業所の規模別で違うのかとか、業界による違いがあるでしょうし、そこはある程度その業界では仕方ない部分もあるので、一概にこの行為がという言い方を決めるのは非常に難しいかと思っております。

 そういうところで言うと、ハラスメントをしてしまっている要因に組織要因、つまり会社そのものが業績の圧力を掛けたり、あるいはパワハラをすることがごく普通の教育指導方針という風土みたいなものを組織そのものが持っていて、誰かがそれを行為としてやっているという場合と、そうではなくて、個人の成育歴等もあるのでしょうが、その状況によって個人がやっているというケースがあると見えているので、それをどのように考えるのかということが 1 つ問題としてあるかと思います。

 それから、最近よくテレビ番組でもこういうものを取り上げたいと言ってくることがあります。レッドカードやイエローカードを出すとか、監視カメラを付けたらいいのではないかとか、そういう議論になってしまうところが、何か一生懸命防止しようとしているのでしょうけれども、それが監視社会を作り、監視社会はどういうことになるのかというと、お互いに疑心暗鬼のような職場をピリピリした感じに、良いか悪いか、どちらが正しいのか正しくないのかという議論になっていったときに、非常にぎすぎすしてかえってハラスメントが起きやすくなるので、余り規則を作ったりとか、それを過度に防止しようということもまたどうかという、これは答えがないのですが、今そのように感じているところです。

 もう 1 つは、類型の話です。何をするのかというよりは類型化というよりも表現の問題が結構大きいように思います。同じことを言っていても、よくあるのはなぜ起きているのだという「なぜ」という質問を、執拗に強い語調で質問するということで、当然、当たり前のことのようなのだけれども、それが表現によってはハラスメントになっているから、非常に分かりにくいですね。そういう難しさがあるということを非常に実感しているところです。でも、明らかに問題として、労働者の健康を損ねるようなことをしているのは、何らかの形で防ぐ活動が必要であると思っております。

 

○佐藤座長

 今日も前回の議論を踏まえて更に皆さんに御自由に御意見を出していただきたいという趣旨のようです。基本的には企業にパワーハラスメントが起きないような予防の取組をやっていただいて、不幸にして起きてしまったら、できれば迅速に社内で対応できることは対応していただく。もちろん、そこに行かない社内ということはあるわけですが、そういう取組をしていただくためにどういうことが大事なのかということ。

 もう 1 つは、そのためには何らかの法律とか今みたいに情報提供がありますけれども、幾つかありますが、その企業が取り組んでいくために、今後は政策としてどういうことをやったらいいのかという、両方あるかと思います。前回も出していただきましたが、どなたでもというほうが出るのか、それとも端からいくのかということがあります。今、御意見を頂いた人以外から先にと思っております。それとも、 1 回目はこの名簿順に順番にいっていただいたほうが言いやすければ、内村委員からずっといきますか、そして、 1 周した後は自由にということにしましょうか。

 

○内村委員

 私は前回も労働組合の労働相談を受けている立場でいろいろと話をしました。今、岡田委員がおっしゃったとおり、パワハラの定義のことだけを議論していたら難しいと思います。ただ、先ほどから言われているように防止対策をどのようにやっていったらいいのかというところで、私が 1 2 回目の間にいろいろ考えてきたのは、職場のことは職場でなければ分からないので、第三者は意外と分からないということを踏まえると、 1 つには職場内の安全を確保するために、 50 人以上の規模の場合は安全衛生委員会を開催することになっていて、労使双方から委員を出してという取り組みがされています。それは法律でやりなさいという形になっていて、現在、労使双方で取り組んでいます。

 そういう中で私の経験からなぜパワハラが起きるのかということを考えていくと、職場でのコミュニケーション不足が非常に多い。なぜ、あなたはこの人をいじめるのか、つらく当たるのかというと、些細なところでいくとしゃべり方が気に入らないとか態度が気に入らないということまで出てくるものもあります。ということは、仕事ができるとかできないということもありますが、やはりコミュニケーション不足が多いということで、最近、様々な企業において、風通しのいい職場を作ろうとか企業風土を変えていこうという取り組みをしています。

 更にそうした取り組みを進めて、例えば、毎月定例的に月に 1 回はコミュニケーション推進委員会といったものを開催しましょうと。その中では働きやすい環境やパワハラを防止するためには、どのようにしたらよいのかということもテーマとして開催し、実際にパワハラがあるという状態になったときには、そうしたパワハラをどのように改善していくのか、苦情を申し立てる人がいれば苦情処理委員会といったものを労使で立ち上げて対応していくとか、罰則を決めてこうしなさいという法制化も、これだけ相談件数が多くなってくると必要かもしれないのですが、防止という観点からいくと、そういう方法も 1 つあるのではないかと思っております。以上です。

 

○佐藤座長

 職場でコミュニケーションを取りやすい仕組みをどのように作るのかというお話です。

 

○小保方委員

 資料 5 について、前回の要望を踏まえて御用意いただき、ありがとうございました。拝見させていただいて、スウェーデン、フランスをはじめ諸外国において見られているとおり、職場におけるいじめや嫌がらせの予防・防止策を講じることが、使用者の義務として法制化されていることを改めて認識した次第です。

 前回も申し上げたとおり、パワハラは最悪の場合、命に関わる問題にも発展するということを考えると、やはり、パワハラの予防・防止に力を注いでいくということが不可欠であると考えております。 1 つは、調べていただいた諸外国の事例です。こうした事例を参考にしながらという視点と、日本においても先行して導入されているセクハラ、マタハラにおける防止の措置義務を参考にしながら、日本においても法制化の検討を行うことで、いじめや嫌がらせの予防や抑止につなげていくべきではないかと考えております。

 日本では、この問題の深刻さが労使において十分に認識されているのかというと、必ずしもそうではないという実態があるのではないかと思っております。フランスの事例においては、立法化によってアナウンス効果も見られたということを聞いたことがありますが、しっかりと法制化を講じていくことで、日本においても労使がこの問題の深刻さを正しく認識した上で、実効性のある対策を講じていく必要があるのではないかと考えている次第です。

 したがって、事後的なサンクションを課すということに関しては、例えば、不法行為責任や安全配慮義務で一定カバーされているということを加味して、時期尚早であるということは理解できなくはありません。事前の予防策という意味では、一刻も早くできるだけ強制力のある形で法制化を検討していく必要があるのではないかと考えている次第です。以上です。

 

○久保村委員

 私は、イトーヨーカ堂で労務を担当しております。実際、弊社では従業員と言われている非正規の方々は 70 %以上在籍しております。昨今メディア等の影響からかパワハラという言葉が浸透しており、そのような対象者の方々からの、相談が非常に増えてきております。実際にはヘルプラインというような外部や、内部の相談窓口を設けて対応をしております。最近では、こちらの相談件数のほとんどが非正規の方々の相談で 70 %以上を占めております。

 その相談内容は、「あの人からいじめられた」「無視された」等の小さなものから本当にパワーハラスメントに当たるような人権を蹂躙するような内容まで様々にあります。ただ、本当に人権に関わってくるものというのは、全体の中で 1 割もありません。小さな感情の気持ちを、パワーハラスメントという言葉に置き換えて相談してくるというのが実態です。このような現実をよく考えて法制化をやっていただかないと、パワハラが全て簡単に罰せられるということになり、企業に良い影響を及ぼすとは考えられません。したがって、よく検討が必要かと思います。

 

○佐藤座長

 関連して、先ほどのデータも正社員だけではなくて有期の方からの相談も多いですよね。先ほど安藤委員からあったように、管理職研修は結構企業がやっておりますが、そういうことを起こしているのは普通の社員だったりすることも多いので、そういう意味でも、多分、岡田委員が業態によってもかなり違うという話で、やはり有期の人が多いと管理職だけではなくてパートの方に仕事を指示しているような、社員全員がそういうことを分からなければいけないという難しさもあるかと思いました。

 

○中澤委員

 よく分からないのですが、 1 つは皆さんがおっしゃるように、コミュニケーション不足が根幹にあるのだと思います。もう 1 つは、このようなことを言っていいのか分かりませんが、特に管理者側のパワハラをするほうの目的別の分析も必要になってくるのではないかと思います。

 今日の資料の中で顧客からのパワハラも問題になっておりました。それはそれで重大なこと、大変なことだということはよく分かるのですが、労働問題としてこれを取り上げるべきなのかどうかということは十分考えるべきではないかと思います。労使問題から切り離して考えるべきではないと思います。

 それから、 1 つは今日の資料の中に業種別の規定の資料がありました。職種別とか、そういう観点のデータがあればいいと思いました。それから、資料 1 の中で嫌がらせの件数はかなり増加していますというお話でした。ただ、お一人の方が 10 回も 20 回も相談に来られても、これは 10 回、 20 回とカウントしているというお話だったように伺っておりますが、それでよろしいのでしょうか。

 

○労働紛争処理業務室長

 はい。

 

中澤委員

 いわゆる、 1 人が何回も来れば回数が増えていくというのは、本当にそれが実態を表しているものなのかどうかということと、先ほど、先生がおっしゃったように経営者側からの相談もここに含まれているということも含めた上で、何らかの考慮をすべきだと思います。質問なのですが、企業規模という説明がありましたが、これは事業場の規模ではなくて企業規模でよろしいのでしょうか、従業員数とかで。

 

○佐藤座長

JILPT の調査は企業規模ですか。

 

○勤労者生活課専門官

 今おっしゃられたように事業場規模別か企業規模別かというところですが、項目の中には企業規模別となっておりましたので、複数事業場がある所に関しては企業全体ということです。

 

○佐藤座長

 厚生労働省のデータは事業所規模が結構多いのですが、これは JILPT が個別に後から分析したものなので企業規模だと思います。

 

○中澤委員

 従業員が少ない企業規模のほうが割と高いデータが出ていたので驚いたのですが、逆に企業ベースで従業員が少ない所で、これだけパワハラが行われていたら、多分、企業経営は成り立っていかないのではないかと思いながら見ておりました。厚労省の基準の多くは、事業場規模で統計を取られておりますが、事業所規模別ではないのですね。

 

○佐藤座長 

資料 3 はあっせん事案の中でなので、相談している企業、先ほどのあれの全部の企業規模ということではないのです。あっせん事案の 6 労働局の、幾つかな、このあっせん事案の分析で企業規模別が出てきているということです。ですから、相談件数の企業規模別ではありません。

 

○中澤委員

 ないのですね。

 

○佐藤座長

 はい。

 

○布山委員

 パワーハラスメントはすごく幅広いので、ここで議論するのは、あくまでも職場のいじめ・嫌がらせということにしないと、整理ができないのではないかと思います。そういう意味では、先ほど中澤委員がおっしゃったように、顧客についてはハラスメントなのかクレーマーなのか分からない部分があるので、きちんと整理するとなると、基本的には職場内の範囲かと思っております。その中で、先ほどのお話にありましたように委員会に掛けるとか労使で話し合うということも、もちろん、やり方としていろいろあると思います。いずれにしても、何がパワハラなのか分からないと、結局、話合いもできませんし企業が何をするのかということも分かりませんので、そういう意味では、今回、これからワンステップ何かをするのであれば、やはり定義をもう一度、整理し直さないと、いずれにしても難しいのではないかということを前回からの問題意識として持っています。

 

○佐藤座長

 こういうことをやってくださいと企業に言ったときに、例えば管理職の研修をしろと言ったときに、中身をどうするかというと、ある程度パワハラの範囲とかがないと研修もできないでしょうという話ですね。野川委員、お願いします。

 

○野川委員

先ほどの内藤委員の御意見あるいは原委員のコメント等を伺っても、法律学者はルールを作るのがいかに大変かを理解していますので、どうしても必ずしも積極的になれないところがあります。というのは、ルールというのは明確でなければいけないのです。要するにこうなんだよ、まあ難しいことを言わないでやってみようよ、ということは許されないのです。そのようなことをやったら、大混乱になりますから。したがって、パワハラについても、先ほどから出ているように、何がパワハラで、どういう要件が満たされたらパワハラと認められ、では、それにどのような効果があるのかといったことまで、できるだけ細かくきちんと対応して初めて意味があることが前提にあるので、どうしても消極的になります。

 今日申し上げたいのは、この検討会の一番最初の開催の趣旨は、実効性のある職場のパワーハラスメント防止対策について検討を行うということで、検討事項として挙げられているのも、 1 は「実態や課題の把握」と。これは実態把握で、今日やったことですね。あと、 2 番として「パワーハラスメント防止を強化するための方策」とあるので、パワーハラスメント防止のために何かしらの具体的な方策を講じないと、このような検討会を開いた意味がなくなるので、そこに向けて何とかしなければいけないということだと思います。

 そうすると、私が感じるのは、目的とパワーハラスメントの定義とを絡めて効果的な議論をしたらよろしいと思います。例えば、パワーハラスメントのないような職場を作ることを啓発し、世の中に、なるほど、パワーハラスメントと一般に言われるような非違行為があって、それは特に職場の中で問題になりがちで、それは避けられていくべきなのだという意識が浸透していくことを目的として、パワーハラスメントの一定の定義を行い、その対策を考えるのであれば、ガイドラインを作り、場合によっては、パワーハラスメントについての講習をできるだけ年に何回かしましょうということも、指針・通達等で指導し、あるいはくるみん認定やえるぼし認定みたいにパワーハラスメントについてのきちんとした検討をやって、この事業所では 3 年間一切そういう問題が起こりませんでしたと言ったら、「○」というふうに、いわば「マルピー認定」といったものを付けるとか、そういう方向であると、定義はそれほど厳密でなくてもいい。

 ここで皆さん、パワハラパワハワとおっしゃっていますが、恐らくきちんとすり合わせると、思っていらっしゃることの中のパワハラの意味は違うけれども、逆に中核的なところは共有できる部分がたくさんあって、その中核的に共有できるところを、言わば社会通念と言うわけです。社会通念で、今、私が申し上げた対応をしていく。そういう方向が 1 つです。

 もう 1 つは、分かりやすく大局的に言えば、サンクションをも想定したパワハラの定義。だから、目的からいって、こういうことをしたら、例えば損害賠償の違法性が認められると、そういう構成にする。あるいは、場合によってはもちろん刑罰まで含めて、ということになりますと、その目的から見て、パワハラの定義は極めて厳格で限定的なものにならざるを得ないということです。

 併せて申し上げれば、よくこうした非違行為に対して、それを予防し、あるいは、救済するための考え方として刑罰をおっしゃる方が多いのですが、刑罰を設けると、かえってざるから水がこぼれるように、実際に阻止しなければならない行為は、むしろ野放しになる可能性が大きい。それは、日本が罪刑法定主義の国なので、刑罰を科すことができるためには、 100 %立証ができなければいけない。したがって、世の中でもよく検察官が不起訴にしたという報道がありますが、あれは 100 %立証できないから、起訴はできないわけです。それが民事訴訟であればもっと弾力的で、 6 割の立証と 4 割の立証、つまり大体 6 割立証できれば、では、これぐらいの解決という対応ができるので、まだ民事訴訟のほうがいい。もっと言えば、行政指導はそれほど厳密なことは求められないので、ある程度、これはまずいのではないかと思えば、役所が出ていって向こうがうっとうしくて構わないから何かやらなくてはと思う程度の指導ができることになります。

 そういうことで、我々の間でまず目的をきちっと共有できたらと思います。啓発活動で、世の中にいけないことだなと広めることからいきましょうというのか、あるいは、ここにも「パワハラの防止を強化するための方策」と書いてあるので、ある程度は明確な何らかのサンクションないしそれに伴う刑罰まではいかなくても、ある程度の損害賠償等も含めたサンクション等を伴うものを作るということによって、パワハラの概念あるいは定義は分かりやすくなるのではないかと思います。

 

○佐藤座長

 分かりやすく整理していただきました。現状は、前半のほうなのですね。ただ、それに法律的な背景はないのだけれども、予防を目的とし、そのとき円卓会議で議論した定義に基づいて、企業が取り組めることでガイドラインを作ってやっていると。だから、それをもう少し、 1 つは分かりません、法律的な背景を踏まえて現状やっているものにバックアップのものを作るかという話だと思うのです。現状でやっていることは、そういうことです。ただ、法律的なあれは何もない中でやっている。もう 1 つは、もう少しサンクション込みだと。これを想定すると、いろいろな方から結構定義が難しいのではないかと出ていたのは、多分そういうものを考えられてかと思いました。次は浜田委員。

 

○浜田委員

 私からは、資料 4 、介護労働者に関する利用者から受けたセクハラ・暴力等の経験の資料を準備いただきました。調査結果の数値を多いと受け止めるか少ないと受け止めるかは、それぞれの受け止め方次第かと思いますが、このような実態があることを知っていただく機会にはなったと思いますので、大変感謝します。ありがとうございました。

 また、前回の委員会の中で厚生労働省からパワーハラスメントの実態調査の説明があり、その中では、前回も特に中小企業規模の関わりの中で中小企業の取り組みが少なかったという実態があったように思います。大きい企業は自分でできるけれども、中小企業はそこまでどうやっていいか分からないとか、そういうものもある中で、最低限のルールとしての法整備の検討をしていただきたいことを申し上げたところです。

 今日の資料にはないのですが、厚生労働省から過労死等の労災補償状況が6月30日に公表されておりました。あの中を見ても、(出来事別では)対人関係の「ひどい嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」「上司とのトラブルがあった」ことが突出して数が多いことを考えますと、職場に行くことで労働者の健康が損なわれることがあるのは、労使共に決して望んでいることではありません。ハラスメントに対するもっと強い取り組みが必要ではないかという感想を持ちましたので、それだけは申しておきたいと思います。

 

○佐藤座長

 浜田委員から、特に中小企業が対策を進めることなども含めて、法整備というお話があったのは、法整備というのは野川委員が言われたのだと前者ですか、後者ですか。予防が効果的に進むような対策を企業に取り組んでもらうような法整備ということですか。

 

○浜田委員

 どちらかと言うと、予防をしっかりしましょうということです。

 

○吉住委員

 労働組合連合の吉住です。先ほど御説明を頂きました資料 3 5 ページ、図 9 についてですが、これを見ると、「パワハラと認める」のが 17 件であって、「行為のみ認める」「否定」「不明」も含めて、こういう内容を見ると、やはり厳しい状況だと思います。

5 ページ図 9 の最後に書いてありますが、「パワーハラスメントと被申請人が認めた行為は、身体的な攻撃に関するものが目立っている」となっていますが、 4 ページの図 7 を見ると、精神的な攻撃は 307 件となっており、そういう意味ではなかなかパワハラについては認めることすらされていないことが多いのかという感想を持っているところです。予防措置をとることや行為そのものを規制するルールがないのが現状ですので、前回も行為類型、定義自体が難しいということでしたが、ここについては検討を更に深める必要があると思います。

 また、資料 3 の最後、あっせんの事例ということで幾つか出ております。こうした事案を抑制していくことが必要になると思いますが、事例に書かれている侮辱とか、暴言とか、威嚇とか、脅迫とか、激しい剣幕とか、文字で言うとこういうことになるのですが、最近、ニュースなどでずっと続けてやっているのが、現職の国会議員による秘書に対するものがあります。あれは音声だけですが、あれを聞いたときに、どう考えても、指導とか、注意とかということではなくて、仮にああいうことがいろいろな所で起こっているとしたら、少なくともあのような事例をなくしていかなくてはいけないのだと思います。

 激しい罵声で必要な攻撃を繰り返し、繰り返し相手をどんどん追い込んでいくと、あのようなことを受けたら、メンタル不調になっていくのは、当然でもあると思います。定義が難しいとか、指導との境目がはっきりしないとか、前回も含めてそうした御意見もありますが、まずは最悪の事態を起こさない、予防するということ。それから、この検討委員会のもともとのスタートでありましたのは、長時間労働がもともとだったのかもしれないけれども、複合的な要因、パワハラも含めて、労災若しくは自殺まで至ってしまうという最悪の事態があることの 1 つで、パワハラ防止の検討委員会ができたと思っておりますので、そういう意味では法規制が必要であることを申し添えます。以上です。

 

○佐藤座長

 それも大変なのだけれども、法規制と言ったときに、先ほど野川委員が言ったように、対策を促進するようなということで言うと、厳密にパワハラを定義しなくてもある程度進められるけれども、サンクション付きにしたときには、厳密な定義が必要になってくるという話だったのです。だからその辺は、今言われたときには、どのような法規制を考えられるのですか。

 

○吉住委員

 まず予防になるのだと思います。

 

○佐藤座長

 それは企業に取り組んでいただいて、予防することを促進するようなものを。

 

○吉住委員

 その先に議論ができるということであれば、何らかその対処についても法規制のように、何らかの形で及ぶのならば、抑止力になるのではないかと思っています。

 

○佐藤座長

 特に前回の資料等、時系列で調査、企業の取組とかなり進んできているのは事実ですね。ただ、やはり規模の小さい所が取組はできていない。だから、そういう所が取組を進めるために、どのようなふうにしたらいいかですよね。だから、もしかしたら法律を作れば、そこは進むのかどうかもあるのです。

 あと、岡田委員が言われたように、これは組織的という組織風土としてというと、企業はやらないといけないと思っていて、中にそういう個人が出てこないように対策を打つというのもあるだろうけれども、会社の体質としてだと、多分やってもなかなか進まない面もあるのかも分からないのだけれども、だから中小はどう進めるかという話です。もし何かあれば。

 

○岡田委員

 中小で社長がやっていたら、それはどうにもやりようがないのです。中小の社長が、必ずしも法に節通しているわけでもないし、労働者のためにということを優先して経営しているかというと、そうでもない気がするのです。何が一番かというと、私も中小ですからそう思うのですが、経営的な損失を訴えていく。それで、かなり損失は大きいわけです。裁判になったり、人が亡くなったりしたら余計大変なことですし、信用を回復するとか、そういう損失を具体的な数字で見せていく。パワハラで人が辞めていって採用するとか、それだけでもすごく大変な労力ですし、今、人を採用することは大変だと思うので、その辺パワハラによるの損失を何か数値化できることがいいかとは思っていました。

 

○佐藤座長

 先ほどの資料 3 、再分析のものでも、 2 ページで見ると、行為者が役員というのが 25.7 %あるのです。中小企業が多いということがあるのかも分からないのですが、だから、役員が起こしている所は難しいですね、経営層ですからね。

 

○安藤委員

 私どもはコーチングもやっているのですが、私どもの所によく来られる方の中には、仕事はすごくできるのだけれども、どうしてもパワハラをしてしまう。ですので企業としては、成績が良いから切ることはできないのだけれども、何とかしてほしいと。そういった御依頼は実は結構多い。ですから、もしかするとそういった評価制度そのものというか、そういったものも関係をしているのかというのはあります。

 

○内村委員

 私はパワハラによる団体交渉の経験もあるのですが、労働審判も結構長くやっていて、先ほどからの会社の役員もあるのですが、労働者とかパワハラだという人に問題があるのも、確かにいっぱいあるのです。だから、本当に防止策は必要なのだけれども、中小企業のため 2 3 人で社長にといった場合もあるのですが、ケースが全部違うので、本当に対応が難しいと思うのです。先ほど吉住委員が言われたように、録音テープを取るようにと、私たちもよくパワハラをされているというふうに相談を受けたときは、できるだけ分かるように立証するよう労働者には言うのですが、やはり聞かないと、語気などが全然違うのです。無視されているとか、表情とかも全部違うので、定義をするのが非常に難しいのはあります。

 これは会社と上司、部下だけではなく、アルバイトにいじめられているといった相談もあります。とにかく、これは本当に難しいとは思うのですが、先ほど言われているように、何とか防止をするのはどうしたらいいのかというのは、職場職場とか、企業規模も含めて違うので、本当に小さい所は第三者がどう関われるのかというのも 1 つの方法だと思うのです。労基署とか何とかでそのような人はいないでしょうし、どうチェックができるかというところがカギだと思います。

 

○佐藤座長

 先ほど労働局の相談も、多分、自社内でちゃんと企業が対応して解決しているといかないわけですよね。だから、中小が比較的多くなるというのは、なかなか中でやれないでというのが出てきていることもあるかと思うのです。そういう意味では、労働局がかなり対応してくれているとは思うのですが。

 

○野川委員

 パワハラの定義をしなくても、投網を掛けるようにガイドラインを作ることに意味があるのは、市民社会でやってはいけないことは企業でもやってはいけないことだという常識を広めるだけでも十分意味があります。これは社労士の方から聞いたのですが、いろいろと説明に行くと、それは法律のほうが間違っていると言う社長が結構いると。それから、世の中はそうかもしれないけれども、我が社には我が社のルールがあるということをいまだに言うので、私はそういう方は経営者の資格はないと思うのですが、残念ながらそういう方がまだ多いのです。少なくとも普通の社会でやっていけないことで、特に対従業員で会社だからやっていいことは何もありませんということです。それを啓発するだけでも十分に意味があります。

 要するに、会社の中でこういうことがあった。でも、それは一般社会だったらどうですかと。それはいけないですと言うのだったら、会社でもいけないということを徹底させるという点では、意味があることです。それから、先ほどありました、暴言や暴力等で、例えば部下であるとか同僚であるとかがひどい目に遭うことに、パワハラという概念は本当は要らないのです。つまり、今でも人格的利益の侵害で十分に不法行為で損害賠償を取れるし、暴行等であれば刑罰だってあるのです。だから前回、私が申し上げた、パワハラという概念で、特にそういう概念を立てて対応すべきこととして何があるのかというのは、そういう意味です。

 ただ、とはいえ、私もこの委員会、検討会を立てたときに、せっかくなので、それよりはもう少し積極的な方向を考えて、できるかできないかは検討したほうがいいと思うのです。その意味でも、もし法制化して一定程度の特定のパワーハラスメントを、みんなが一般社会通念で考えるものの中の特定のものについては、少なくともサンクションを含めた法的な規制をすることが、どうしたら可能かを検討すべきだと思うのです。

 私は一応、その点から言うと幾つか方向があって、 1 つは労災の観点です。安全衛生とか、労災補償とかの観点から、少なくとも健康・安全に抵触するようなパワハラについては、それは割と定義がしやすい。それぞれの法令で対応するのが 1 つ。もう 1 つは、労働契約法等に民事責任としてパワハラについての一定の定義や要件や効果が書けるかについて、これは難しいのですが、具体的に検討をしてみることは、せっかくの検討会を開いて結局は今やっていることの追認とか、少し何となくガイドラインを付け加えただけではもったいないので、それぐらいの検討はしていいのではないかと思います。

 

○佐藤座長

 だからパワハラの原則を書いて、ただサンクションを付ける所は、少し限定的でやるというやり方がありますよね。それ以外がパワハラでないというわけではなくて、そういう立法は労働関係でもほかの分野でもあるのです。必要限定的に定義し、ただ、それ以外にもあり得ると言っておいて、非常に限定的に始めてというやり方もあるので。どなたからでも今日は自由に言ってください。

 

○小保方委員

 野川さんがおっしゃったこととすごく同感なのは、普通の社会でやってはいけないことは会社でもやってはいけないはそのとおりだと思っていまして、セクハラもしかり、マタハラもしかりと、そういうことだと思っています。おっしゃったとおり、いわゆる予防を法制化していくという視点では、先ほど来出ている定義の問題についても事後的なサンクションを課す場合と、予防の義務化に特化する場合とにおいては一定程度差があると思っています。定義については見直しをすると言っても一定の限界はあると思いまして、概念として定義をするだけではなくて、セクハラのケースもマタハラのケースも多分に例示で、マニュアル等を拝見すると、捌いている所もあるのではないかと思います。事前の法制化を検討するに当たっても定義プラス例示の充実で、しっかりとコンセンサスを得ていくことで十分可能なのではないかと思っています。

 

○佐藤座長

 はい。どなたからでもどうぞ、いかがですか。

 

○野川委員

 すみません。質問です。この検討会の今後の行程表みたいなものは作れないのですか。大体こういうような方向でこうなっていってというイメージが何か、前回も順繰りに意見を言って今回も順番に言って、マスコミの人も来ているからガス抜きをやっているだけだと思われるので、非常にまずいのできちんとした何らかのゴールみたいなものは必要ではないでしょうか。その意味での行程表みたいなのはどうお考えなのかを少しお聞きしたいと思います。

 

○勤労者生活課長

 今のところ事務局としましては、次回は少しでも地に足が着いた議論になるようにという思いを込めて、関係者からのヒアリングをさせていただいて、 8 月は少し皆さんお忙しいでしょうから 9 月以降に、今おっしゃった、例えば法律にするとした場合にどこまでできるのかも含めて少し詰めた議論をしていきたいと思っています。

 

○佐藤座長

 ですから、年内ぐらいをめどに、出口の所ですよね。具体的にまとまって書けるか、あるいは法制化する場合もこういうパターンあるとかね。現状として見ると、少し定義を見直したほうがいいとかあると思うのですけれども、それは議論するだけではなくてちゃんとまとめは作るということでやるのだと思います。取りあえず人数も多いので、 2 回ぐらいは皆さんの御意見を伺う趣旨ということで御理解いただければと思います。今日初めていらした方は最初のほうに御意見を伺ったので、あればもう一巡。

 

○安藤委員

 私の立場は感情を扱う立場ですので、せっかくそこの立場からお声を掛けていただきましたので、今回の検討委員会の全体のテーマに合うかどうか分からないのですけれども、私たちの経験からお話をさせていただきます。先ほど野川先生もおっしゃったとおり、一般社会でやってはいけないことは会社でもやってはいけない。それは頭では分かっていてもできない人たちが結構いて、企業の中で私たちの経験からすると、ハラスメントをする側の人たちは、どうも家庭でも社会でも同じことをやっている傾向があるのではないのかというのが少し見えてきて、実は経験上分かっているというか、相談をよく受けています。ですから、今回は職場だけに限定するのか、少しその辺は分かりませんけれども、実は家庭の問題が職場に持ち込まれて、それによってハラスメント、本当に平たく言ってしまえば、家を出るときに嫁とけんかしてその勢いで部下を叱っているということも結構、現実問題として行われてしまっているというのは、私たちの経験から少しあります。

 

○佐藤座長

 あとは、野川委員やほかの方も言われた、職場のという所の範囲の限定をどうするか。多分、顧客とか取引先で言ってしまうと、これは起こったときのサポートを企業がしなければいけないというぐらいの言い方ですね、もしやるとしても。そこはなかなか、そういう意味では指揮命令関係あるところ、雇用関係などが認定されると思うのですけれども、確かにそういうことがあるのは事実ですね。岡田委員はいかがですか。

 

○岡田委員

 どういう方向でまとめていくかが一番問題だと思うのですけれども。私はいろいろな現場に接しているので、いろいろな例を見ています。一律に余り厳しく法規制してしまうと身動きできなくなると思います。ガイドラインなりそういったところで指導するくらいの方向かなと思っています。野川先生がおっしゃるように、ひどいものについてはそれで裁判になれば既存の方で対応することができます。それ以外の、微妙なところについてはどう判断するかと正直、今のところ分からないです。やはりそれは企業にとっての損失ということで訴えていくことが効果的なのだろうと思うのですけれども。

 

○佐藤座長

 皆さん企業の予防措置を今よりも進めようという点では多分コンセンサス。そのときにより効果のある対策といったときに、どう進めるかというところで多少重点の置き方が違うと思うのですけれども、ただ、もう 1 つは企業の立場からすると、ほかのハラスメント対策はやっていますよね。だから今回、パワーハラスメントを取り出してやるのか、ハラスメント対策でまとめてしまうかというのはあると思うのですけれども、その辺は野川先生、どうお考えですか。

 

○野川委員

 まず、学者の間でもパワーハラスメントという概念は分かりにくくて、職場ハラスメントという概念を作って職場で行われるいろいろなハラスメントを一括して規制対象にするという考え方や、あるいはパワハラ独自の法的な対応をするというような考え方もありますので、ハラスメント対策としてまとめて対応することも予防という観点から言うと有益だとは思いますね。セクハラはやっていないけれどもパワハラはやっているとかいうことはないのだよ、もうとにかくいけないのだよと言うためにはね。ただ、何らかの救済措置であるとか、サンクションであるとかいうことを考えると、そこはやはり分けないとまずいだろうと思います。つまり、パワハラとセクハラは重なるところは多いけれども全然違うところもありますのでね。それも目的によると思います。

 

○佐藤座長

 ただ、難しいのはパワハラだけ取り出して作っても、企業からすると、例えば研修をやるのも変な話になって、実際は一緒にやることになりますよね。実際の取組としてはね。

 

○岡田委員

 今の目的、少し違うのかもしれないのですけれども、方法としては中小が多いとすると、例えば私どもは大企業と契約してまして、相談者のいろいろな話を聞くのですが、双方のヒアリングをして問題解決、案件化して問題解決するというケースは非常に少ないのです。ということは何かというと、その状況で非常に何らかの心理的ダメージを受けて状況がよく見えなくなっている人は結構多いと思いますね。被害者と言われている人たち。そこの人たちにうまく対応して、もう少し会社の中でうまく立ち回れたりすることによって自分で回復する力を結構持っていくと思います。そういう意味で言うと、中小でそれぞれにそういう窓口を持ちましょうというのは大変なので、 1 つの方法としては労働局に相談に来るなら、労働局の方々、もう少し何と言うか、対応の仕方というのでしょうか、案件化しないで、、つまりどっちがいいとか悪いとか、パワハラであるとかないとかいうのではなくて、その人が、働きやすいようにサポートできるようなかかわり方の教育というのがあるのかな。そうすれば窓口で解決るする、問題を大きくしないで済むという方法が中小の場合は有効という気がするのです。

 

○佐藤座長

 相談のやり方ね。

 

○岡田委員

 やり方ですね。少し先に飛んでしまった話ですけれども、そんなことが 1 つ方法としてはあるかと。

 

○内村委員

 今の中小企業とか小さい所はやはり相談できないですね。相談しても社長には言わないでくれ、分からないように何とかしてくれと。それは実際、難しくなってしまうので、それだったらいいですと断られて、悩んでいるけれどもそれで終わってしまうという。だから匿名でお願いしますとか言っても。

 

○佐藤座長

 それはできないわな。

 

○内村委員

 その 5 人、 10 人の会社で、匿名で相談に来たから何とかと言っても。

 

○岡田委員

 というのは、私が申し上げているのは、介入する必要があるかということなのです。困っている本人の働き方なり視野を広げることによって結構、問題が解決する場合もある。そんなにひどくない場合はね。ひどい場合はきちんと介入していく必要があると思いますが、それはその人がどうであれ、その会社はひどいことをやっているわけですからね。もしかしたら法的に問題のあるようなこともやっているのかもしれない。それは介入していってもいいと思うのですけれども、そうではなくて、本人が少し被害を過大に考えてしまっている場合とか、会社や周囲との関係でもっとうまくやっていくにはどうしたらよいか、というレベルのお手伝いですかね。

 

○内村委員

 そのような相談をされたときに、残業代が未払いだとか何とかとなれば、それは違法ですからとはっきり言えるのですけれども、パワハラとかの場合はなかなかそこが言えなくて、もう少し詳しく聞いてみましょうかといったときに匿名でと、知られると困るというふうになる。そうした時にその相談体制、例えば会社が中小、何名以下の企業だったらば、パワハラとかそういった相談は、うまく厚生労働省の労働局に連絡しなさいというのを渡すとか、そういうところまでちゃんとするように規制するとか。会社に相談しても潰されると思っていますから。

 

○内藤委員

 すみません、今、大変勉強させていただきましたが、私が最初の発言のときに当初は指針等では如何かと申し上げましたのは、例えば事後のサンクションを含めての何か行政罰を入れるかどうか分かりませんが、そういったものを含めてしまうと、逆に非常に狭い範囲だけが対象とされて、それ以外の部分、つまりマージナルな部分が全部落ちてしまう危惧感からだったのです。

 その意味で、先ほど野川委員もおっしゃいましたが、もしもコアなところに何かサンクションを掛けられるならば、定義が問題になると思うのですが、掛けられるならばそれはそれとして、またその外縁部も考える必要があります。マージナルなところをそれなりに行政的な対応をするという二段構え、三段構えでやれるものならば、それはある意味でフリンジになっているところも対応ができて非常にいい御意見だと考えます。

 ただ同時に、岡田委員、内村委員のご意見を伺い思ったのですが、例えば労働安全の委員会があるように、各企業の中に必ず、いわば一種の労使委員会のようなものを作る。ある意味では第三者機関的に働くものを作っておかなければ企業側の責任になる形で、むしろそれを作って、そこで何らかの形で多少第三者的に話合いの場を設ける、そこがうまくいかなかったら行政に持って行くという形でないと、何でもかんでも全て行政に行ってしまいます。つまり企業内の対応とか雰囲気とか、何と言いましょうか、一切それに対しての変化が起きないままにどんどん外に事件が出てしまうだけでは問題は解決しないという気がいたしました。教えていただきたいのですが、中小企業の場合、そういった委員会をより活発に、かつ実践的に使うとか作ることは不可能なのでしょうか。難しゅうございますか。御経験から。

 

○内村委員

 一般論で言うと、中小企業というのは比較的理解があります。

 

○内藤委員

 なるほど。

 

○岡田委員

 そういう非常に小さい所必要ですよね。

 

○内藤委員

 社長が全部、決めている所ですね。何十人とかいう。

 

○岡田委員

 そういう所をどうするかですね。

 

○内村委員

 ほかの所を含めて、制度が。

 

○佐藤座長

 制度がなくてもやれる面もあるからね。実際ね。そこの難しい面は、だから今回のテーマだけではなく。はい、どうぞ。

 

○吉住委員

 労働組合に期待を頂いている発言かと思いましたが、実は日本の労働組合の組織率は 2 割にも満たないのです。そういう意味で多くの所がないということと、それから比較的大きな企業にはあるのだけれども、中小だとか規模が小さい所は更にないということでいうと、今回も御意見で出てきますが、中小に対する措置が必要だと言いながら、今言われたようなことができる所は既にそれぞれの労使の中でされているのだと思いますし、できる所はできるのだけれどもそうでない所が多いことに問題意識を持っております。さらに、労働局も多分このことばかりやっているわけではない中で、業務がたくさんあり、件数がどんどん増えている中で、相談をどんどん持ち込むのもなかなか現実として難しいと感じております。

 

○佐藤座長

 ほかにいかがでしょうか。今日まで自由に御意見を伺って、次回は企業等のヒアリングをするというふうに考えていて、それを踏まえてどういうふうにまとめていくかというのをその次ぐらいですか、次の次になりますね、議論していくという段取りです。ですから、行程表までいくかどうかは別として、一応そういうことで、出口では何かものを作るというふうにはしたいと思いますので。

 

○岡田委員

 ヒアリングというのはどういうことを。

 

○佐藤座長

 企業での取組、労使での取組とか、まだ具体的には決めていないのですけれども。

 

○勤労者生活課長

 今、組合の方には相談中ですけれども、組合の取組で何かお話いただけることがあればお話いただいて、それから企業に取り組んでもらうためにどういう言い方をすればいいのか、どういう言い方をすれば分かってもらえるのかをヒアリングしたいと思っています。

 

○岡田委員

 大手はやはりいろいろ失うものが大きいので、結構それなりのことをやっていると思うのです。ですから私などは、特に小さい所はどうなっているのだろうというのが一番聞きたいのですけれども、それが難しいのでしょうね。そこに一番手を打つべきなのではないかと。ひどいことが行われているのはそこなのだと思うのです。大手企業はそれなりに、マスコミに出てしまったときのダメージが非常に大きいから対策を打っているでしょうし、活動する意味が分っていると思うのですけれども、今一番問題なのは、そういうことができないような小さい所に対してどうしていくかということだと思うので、その辺の対象となる企業の実態が分かったり、要望ができるといいと思っております。

 

○勤労者生活課長

 おっしゃられているのは、恐らく団体にも入っていないような小さな企業ということになるかと思います。

 

○佐藤座長

 実際、何も取り組んでいなくて問題が起きている所のヒアリングはできないですからね。やはり取り組んでいる所になると、中小でもその程度の理解がある人がいる所になりますよね。どうせインタビューをやるとするとですね。紛争になってしまった所は、もちろんそれとしてはあり得ると思うけれども、なかなか。それは検討します。

 

○岡田委員

 そうですね。その辺が一番興味あるというか、一番手を打ってほしいと思うところなので、どうしたらいいのか分からないのですがお願いします。

 

○佐藤座長

 労働局に上がっている事例の報告書などの中小の所を見てもらうと、どんなので問題になったか分かると思います。ほかにはよろしいですか。少し早めに始めたこともありますが、ここまでとしたいと思います。それでは第 3 回の検討会の日程等々、事務局から連絡をお願いします。

 

○勤労者生活課長補佐

 次回、第 3 回の検討会の日程ですが、 7 27 日木曜日の 13 時から 15 時を予定しております。また改めて御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 

○佐藤座長

 それでは、これで第 2 回職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。



(了)

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