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2017年12月14日 第1回腎疾患対策検討会 議事録

健康局がん・疾病対策課

○日時

平成29年12月14日(木)13:00〜15:00


○場所

厚生労働省中央労働委員会7階講堂


○議事

○福井がん・疾病対策課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第1回腎疾患対策検討会を開催します。構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。検討会開催に当たり、健康局長の福田より御挨拶を申し上げます。

○福田健康局長 健康局長の福田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。構成員の皆様方には、師走の大変お忙しい中、御出席を賜りまして誠にありがとうございます。また、日頃より腎疾患対策をはじめとする厚生労働行政全般にわたりまして、多大なる御支援、また御協力を頂いておりますことをこの場を借りまして、まず厚く御礼申し上げます。

 先生方御承知のように、現在、我が国では腎不全、これは主要な死因のうちの第7位という形になっております。一方で、慢性腎疾患は、死因の第2位に当たる心疾患や、第4位に当たる脳血管疾患、こういったものの強いリスクファクター、危険因子になっております。このように慢性腎臓病は、実際には更に多くの死因に関連しているだけではなく、いわゆる患者さんや、また社会の全体のQOLといった観点からも、国民にとって非常に今大事な、対応を取るべきものであると私どもとしては認識しております。厚生労働省では、平成203月に取りまとめた、「今後の腎疾患対策のあり方について」に基づいて、今まで腎疾患対策を実施してきたところです。

 一方、専門医等への紹介基準の普及など、依然として取組が求められている分野があることや、糖尿病に係る診療ガイドラインとの整合性など、近年、明らかになってきた課題を更にブラッシュアップしていく必要性も出てきております。また、近年の研究と医療を取り巻く環境を考えますと、学問による研究成果を確実に社会実装にするための取組が求められていると感じております。このため、地域の特性を踏まえ、また学問や臨床の成果を踏まえて関連学会、関係者、行政が連携して、スピード感を持って取組を進めることが非常に重要ではないかと考えております。先ほど申し上げたとおり、前回の報告書から10年がたとうしている今、それらを整理して、今後の腎疾患対策のあり方について、より具体的な議論が必要と考えております。構成員の皆様方におかれましては、活発な御議論を頂きますようお願いを申し上げ、検討会の開催に当たりまして、私からの御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。

○福井がん・疾病対策課長補佐 なお、福田局長においては、公務のため退席させていただきます。初めに構成員の御紹介をいたします。構成員の皆様におかれましては、一言御挨拶をお願いします。柏原直樹構成員です。

○柏原構成員 日本腎臓学会の理事長を拝命しております川崎医科大学の柏原です。よろしくお願いいたします。

○福井がん・疾病対策課長補佐 門脇孝構成員です。

○門脇構成員 現在、糖尿病学会の理事長を務めております東京大学の門脇です。よろしくお願いいたします。

○福井がん・疾病対策課長補佐 川村孝構成員から遅れるとの御連絡を頂いております。川本利恵子構成員です。

○川本構成員 日本看護協会の川本と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

○福井がん・疾病対策課長補佐 小室一成構成員です。

○小室構成員 日本循環器学会代表理事を務めております東京大学循環器内科の小室です。よろしくお願いいたします。

○福井がん・疾病対策課長補佐 中澤よう子構成員です。

○中澤構成員 神奈川県の行政から参りました中澤です。どうぞよろしくお願いいたします。

○福井がん・疾病対策課長補佐 中元秀友構成員です。

○中元構成員 現在、日本透析医学会の理事長を務めております埼玉医科大学の中元です。よろしくお願いいたします。

○福井がん・疾病対策課長補佐 南学正臣構成員です。

○南学構成員 東京大学の南学です。国際腎臓学会の理事、アジア太平洋腎臓学会の次期理事長を拝命しております。どうぞよろしくお願いいたします。

○福井がん・疾病対策課長補佐 羽鳥裕構成員です。

○羽鳥構成員 日本医師会の常任理事の羽鳥です。学術や生涯教育、専門医機構の担当で糖尿病重症化予防対策などもやっております。どうぞよろしくお願いいたします。

○福井がん・疾病対策課長補佐 馬場亨構成員です。

○馬場構成員 全腎協、いわゆる患者団体の理事長をやっております馬場です。どうぞよろしくお願いいたします。

○福井がん・疾病対策課長補佐 松村満美子構成員からも遅れるとの御連絡を頂いております。また、参考人として、大阪大学キャンパスライフ健康支援センターの守山敏樹先生、埼玉医科大学腎臓内科の岡田浩一先生に御出席いただいております。

 続きまして、事務局を紹介いたします。健康局がん・疾病対策課長の佐々木です。

○佐々木がん・疾病対策課長 佐々木です。よろしくお願いいたします。

○福井がん・疾病対策課長補佐 同じく推進官の丹藤です。

○丹藤がん・疾病対策課長補佐 丹藤です。よろしくお願いいたします。

○福井がん・疾病対策課長補佐 課長補佐の岡田です。

○岡田がん・疾病対策課長補佐 岡田です。よろしくお願いいたします。

○福井がん・疾病対策課長補佐 栗本です。

○栗本がん・疾病対策課長補佐 栗本です。よろしくお願いいたします。

○福井がん・疾病対策課長補佐 私は福井です。どうぞよろしくお願いいたします。次に資料の確認をお願いいたします。議事次第、座席表、構成員名簿に続きまして、資料1、「腎疾患対策検討会」開催要綱です。資料2、今後のスケジュール()です。資料3、腎疾患の現状(守山参考人提出資料)です。資料4-1、普及啓発(守山参考人提出資料)です。資料4-2、地域における医療提供体制の整備(岡田参考人提出資料)です。資料4-3、診療水準の向上(岡田参考人提出資料)です。資料4-4、人材育成(岡田参考人提出資料)です。資料4-5、研究開発の推進(南学構成員提出資料)です。資料5、厚生労働省の取組です。参考資料1、今後の腎疾患対策のあり方について(平成203)です。資料に不足等ありましたら、事務局までお申し出ください。

 それでは、議事1、「腎疾患対策検討会について」に移ります。まず、資料11、本検討会の趣旨について御説明します。平成1910月より、我が国における腎疾患対策のあり方について、腎疾患対策検討会で検討を行い、「腎機能異常の重症化を防止し、慢性腎不全による透析導入への進行を阻止すること」、さらに、「慢性腎臓病に伴う循環器系疾患の発症を抑制すること」を全体目標として、腎疾患対策の方向性を取りまとめた「今後の腎疾患対策のあり方について」(以下、報告書とします)が、平成203月に報告されてから10年が過ぎようとしております。そこで、報告書を目標達成度等の観点から評価し、それを踏まえて、今後の腎疾患対策のあり方についての検討をし、具体的な取組を進める上での参考となるよう報告書を改訂します。

 次に、資料2で、今後のスケジュール()を御説明します。本日、第1回では、現状とこれまでの取組と課題について整理していただき、また、腎疾患対策の全体目標をどのようにすべきかについての御意見も頂きたいと考えております。次回、第2回では、課題に対する対策の方向性と評価について御検討を頂きます。更に検討を重ね、来年56月頃までに報告書を取りまとめる予定です。

 それでは、議事2、「座長の選出について」に移ります。本検討会は、資料13(2)にあるとおり、構成員の互選により、座長を置くこととしております。御推薦がありましたらお願い申し上げます。

○中元構成員 柏原先生、腎臓学会理事長を推薦させていただきます。

○福井がん・疾病対策課長補佐 ほかにいかがですか。それでは、柏原構成員にお願いすることでよろしいですか。

(異議なし)

○福井がん・疾病対策課長補佐 全員一致のようですので、柏原構成員に本検討会の座長をお願いいたします。

○柏原座長 ただいま座長に選任された日本腎臓学会の理事長を拝命しております柏原と申します。よろしくお願いいたします。先ほど福井課長補佐から、この検討会の目的についてお話がありました。特にこの第1回におきましては、腎疾患対策の現状の認識を共有して、課題の棚卸しを行い、第2回目以降の目的であります対策の立案につなげていきたいと思います。是非、活発な御議論をよろしくお願いします。

○福井がん・疾病対策課長補佐 御挨拶をありがとうございました。カメラの撮影は、ここまでといたします。この後の進行は柏原座長にお願いいたします。

○柏原座長 議事を進めます。議事3、「腎疾患の現状について」に移ります。守山参考人から資料3の説明をお願いします。

○守山参考人 資料3を基に御説明します。約15分程度の予定です。資料3、腎疾患の現状ということです。1枚目のスライドです。慢性腎臓病とはということです。これは、平成20年に作成された対策についてのまとめの絵です。この10年間、これにのっとって腎疾患対策が行われてきたということで、今回の改訂に向けての土台となる出発点ということです。このポイントとして、下の四角の中に5本柱があります。今回もこの5本柱は堅持していく方向と伺っております。人材育成、普及啓発、医療連携体制、診療水準の向上、研究の推進ということを10年前に掲げて、それについてのあり方が、今日の参考資料に付いております。そちらについての詳細は御覧いただくことにします。

 次のスライドは、平成203月発出された「今後の腎疾患対策のあり方について」の目標です。何のための腎疾患対策かということで、ここに掲げております。目標は大きく2つ書いてあります。赤文字の所を読ませていただきます。1点目は、新規透析導入患者を減少させる。2点目は、さらにCKDに伴う循環器系疾患(脳血管疾患、心筋梗塞等)の発症を抑制する。この2点を目標に掲げて、この10年間、対策のあり方にのっとった活動が行われてきたということです。これは冒頭の福田局長の御挨拶にもありましたが、CKDという概念が約123年前に出てきたときの契機になる知見、かつCKDの意義ということでした。これを踏まえて、現状についておさらいです。特に、過去約10年間を中心に見ていきたいと思います。この提言、あり方の成果の反映とも申せますので見ていきます。

 やはり、目標の1番に掲げている新規透析導入患者の減少、ひいては、慢性維持透析患者さんの数についての言及がありましたので、まず、透析患者さんの現状について触れさせていただきます。これは、透析医学会様が例年出しておられる統計を基に提示しております。その下のグラフは、慢性透析患者数の推移(年別)ということで、現在、2015年末の統計が最新版となっております。国内で透析療法を受けられている患者さんは325,000人であるということで、これを経年的に見ますと、やはり増え続けているということになっております。目標には新規を減少すると書いてありますが、いずれにしても、維持透析患者さんの数はまだ減っていないということがしばしば御指摘を頂くところです。それについてもう少し考察を加えてしばらくいきます。

 次のスライドは、年別導入患者数、死亡患者数の推移(図表3)です。これも透析医学会様のデータです。透析患者さんの増減ですが、ここに示しているように、青のバーが導入患者さんで、最新版は39,462名です。この赤のバーが、当該年の死亡患者さんです。その差、青のバーと赤のバーの差が純増ということで、現在も純増になっております。その結果、約8,000名の増加ということで、このグラフから見て取れることは、当面、まだしばらくは維持透析患者さんについては増加がある程度見込まれるということだと思います。新規の導入患者さんは39,000人を超えて、これは過去最高ということです。

 続きまして、その下のグラフです。高齢化ということは、我が国の年齢構造からも当然念頭に浮かぶわけです。その高齢化がどのようになっているかということで、増えているのは、やはり我々としては、社会全体の高齢化による波にのみ込まれている部分もあるのではないかと考えて、新潟大学の若杉准教授たちの解析を持ってきました。年齢調整透析導入率を若杉准教授が算出しております。2008年、すなわち前回の所を基点として、そこを100%として、そのときの年齢構成と比率を合わせての透析導入比率ということでグラフ化しますと、男性、女性ともに一応減少傾向を示しているということです。ですから、ここからざっくり、増えている1つの原因は社会全体の高齢化がこれを上回っているために、まだ導入が増えているとも見て取れるわけです。

 それをもう少し細かく見ていくのが以下のスライドです。年齢階級別透析導入率2005-2015年ということで、今度は年齢についてそれぞれ見ていきます。少し見にくいグラフで恐縮です。たくさん細いものがあります。線の中に太い線が縦に入っているのが、10年前の2008年です。ここ以降を、主に注目していただければと思います。上の青が男性、下のピンクが女性です。一言で申しますと、男性は75-79のカラムを御覧いただくと、やや右肩下がりが見て取れます。そして、80-84のバーを見ますと、右肩上がりになっております。右肩上がりというのは近年に近付くほど、透析導入率が増えておるということですので、ここに1つ切れ目があります。男性では80歳以下の透析導入患者さんには減少傾向があるだろうと。

 それに対して、女性の場合は、80-84の階層で、まだ少し下がっております。凸凹しておりますが増えてはいない。85歳以上の階層でほぼプラトーということで、ざっくり結論を言いますと、女性では84歳以下の透析導入患者さんは減少傾向を示していると考えております。

 次も似たような切り口で恐縮ですが、透析導入患者さんの高齢化を更に見ていきますと、年齢と性別を表した図表7です。85歳以上で10.3%、75歳以上の現在の後期高齢者で39.5%、約4割です。65歳以上で68.9%、7割弱ということで、透析導入のメインの方々は、65歳以上の高齢者の方になります。もちろん難病で若年の方もいらっしゃいますが、トレンドとしては高齢者が多く、導入年齢は男女を合計しますと69.2歳、女性のほうが71歳ということで少々高齢です。というところで、透析導入に関連する統計を透析医学会様のデータを基にお示ししました。

 続きまして死因についてです。最初の福田局長からの御指摘どおり、腎不全という死因が挙がっているのが7位です。ただ私ども腎臓を専門にしている者からしますと、なかなか医療の現場で死因を腎不全と書くケースというのは、どれほどあるのだろうかと考える次第です。1つの想像ですが、高齢になられて透析導入を選ばなかった、非導入のケースで、尿毒症で亡くなられたという方が、1つここに入ってくるのではないかと推測しております。それと、福田局長様がいみじくもおっしゃった、1位は悪性新生物で、これも腎不全が多いのですが、特に2位、4位辺りの心疾患、脳血管疾患の背景には、肺炎も多いですが、CKD、腎機能低下患者さんが多く含まれている。死因統計を取るときに、腎機能別に統計を取るわけではないので、最終的には心疾患、脳血管疾患、肺炎といった死因という形を取るということです。これは糖尿病にも似ていると思います。糖尿病でダイレクトには死なないからここに表れませんが、背景には糖尿病が潜んでいるということで、重症化対策が今取られていることと共通していると私は考えました。

 次は、海外のデータで恐縮ですが、これがCKDという概念を広めるに至った最初の講師になるような論文です。New Englandに出ました。これは米国の循環器内科医が見い出したわけです。彼らは、いろいろな心血管疾患の発症のリスクファクターをあらっているうちに、伝統的な高血圧、脂質異常症、喫煙よりも腎機能に着目しますと、eGFRが低いと、その率が指数的に非常に上がるということで、腎機能は大事だということを2004年に発表されて、CKDという概念が打ち立てられ、広がるに至ったということです。ただ残念なことに、死因統計に関しては、やはり腎機能別に死因は取りませんので、今までは裏に隠れていたところがあろうかと思います。

 次の論文は、我が国のJCARE-CARDというレジストリーです。2009年の報告ですが、心不全患者さんのレジストリーで腎機能を調べますと、71%がeGFR60未満である。eGFR60以上の方は青の群、右のカラムです。厳密にeGFR60未満というCKDと言いますと、7割の方がそれに当たる。ここには載せておりませんが、この論文では、この方たちの23年のフォローアップで総死亡、入院といったアウトカムを見ていますが、この階層に沿ってきれいに悪化が見られます。腎機能が悪いと予後は悪いということが、この論文でも示されております。

 次の、CKDにおける心血管死亡のステージ別オッズ比ですが、CKDが始まって概念が出てから約10年で、蛋白尿があることは予後を悪化させることは分かっていたので、それを組み込んだヒートマップ、重症度分類が改訂されて、それに基づいて、その中でメタアナリシスが各種行われたところ、ここに示しているように、数字が付いているのは心血管リスクのオッズ比です。これも、CKDがあると心血管死亡のリスクになるということを裏付けるデータです。

 その次の表は、我が国の特定健診のデータです。私も参加させていただいている厚労科研の渡辺班のデータで、アンパブリッシュですが、CKDのある方の中で、喫煙、糖尿病、高血圧、CKD、これがどのように心血管死亡に寄与しているかということで見ますと、CKDは一番下のカラムですが、数字だけ見ますと、高血圧に次いで2番目です。59.8%の高血圧で51CKDということで、CKDのある方で、心血管死への寄与は、やはりCKDそのもの、これがかなりきいている。general populationにこれを戻しても同様の傾向は出ているということです。

 引き続きまして、原疾患は今まで触れていませんので、今度は原疾患についてです。これも透析医学会様のデータですが、糖尿病性腎症が1998年に原疾患の1位に躍り出て、もう久しいわけです。以下、慢性糸球体腎炎、腎硬化症、不明ということです。ここで1つ指摘させていただきますが、上のグラフは比率ですので、糸球体腎炎が一方的に下がっているように見えるわけですが、その下の実数のグラフで見ますと、糖尿病性腎症は直近で少し頭打ち傾向が出ております。慢性糸球体腎炎は、上の比率でいきますと直線的に減っていますが、これは相対的な話で、実数は実は6,400名某、まだまだ腎疾患としての腎炎に対する対策は、今後も重要であることを示唆するデータです。それと特記すべきは腎硬化症、これは一本調子で右肩上がりに増加を続けているというのが、実数で見て分かることです。

 続きまして、年末患者さんの主要原疾患の割合推移に移ります。これは透析患者さんですので、透析導入うんぬんとは離れますが、広い意味では腎疾患を我々も診せていただくという意味で、透析医学会様とも協調が今後とも必要だなということです。維持透析患者さんの中に占める原疾患を見ますと、こちらでは腎炎とクロスしたのが2010年です、糖尿病由来の維持透析患者さんの数が1番に躍り出た。慢性糸球体腎炎も未だに多いという状況です。この1つには、やはり透析に入ってからの予後は、透析患者さんのほうが高齢ということもありますので悪いということで、導入に比べて遅れたということです。

 それに加えて、ここで申し上げたいのですが、下のほうにたくさん線が付いております。細かくは御指摘しませんが、SLE、多発性嚢胞腎、RPGN、つまり、急速進行性糸球体腎炎、これらは難病指定を受けているもので、慢性糸球体腎炎、IgA腎症等も難病指定を受けております。ということで、厚生労働省のほうで対策を頂いている難病に当たる群、こちらで実は35%ぐらいは占めているということです。ざっくり言いますと、糖尿病性腎症、糸球体腎炎等の難病に当たる疾病、腎硬化症、この3つで、維持透析患者さんの方は大体占められているということで、どの対策も重要ではないかと思うわけです。

 続きまして、各疾患の透析導入率です。糖尿病性腎症はどうだろうかということで、今日も糖尿病学会の理事長にお越しいただいておりますが、これを見ますと、まず男女の赤青ですが、これは5年間出しておりますが、先ほどの全体の透析患者さんの導入の比率と同様の傾向です。男性では80歳以下、女性では85歳以下辺りでは、経年的に言うと少し打ち止め的に見ることができます。これはひとえに糖尿病診療の進歩です。もう一点、糖尿病医と我々腎臓医の連携が大分図られていることの成果がここに表れているのではないかと思いました。

 続きまして、慢性糸球体腎炎の同様のグラフを御覧いただきます。これについては、主に我々腎臓専門医が治療に当たるケースが多いかと思います。慢性腎炎に関しては、決定的な治療法はないという部分もありますが、この20年ばかりでやはりいろいろな角度から診療は向上しておりまして、腎炎による導入は、経年的にはどの年代でも減っているということが言えます。これは引き続き、若年層にも発症が多い病気ですので、腎臓医としては頑張りたいと思いますし、後ほども御紹介はあると思います。

 最後の腎硬化症については、今一番伸びている透析導入原因と言っても過言ではありません。これについては、2011年から2013年間の経年グラフを眺めても、減っている兆しはどの年代を取ってもありません。これが今伸びている原因でもあり、結果でもあると思いますが、腎硬化症由来の透析導入については、今後も大きな課題があって、これは循環器学会様もそうですが、むしろかかりつけ医の先生方にかかっていない、放置されている、未治療の高血圧の方がいるのではないかと、私見ですが、それが関係しているのではないかと考えた次第です。

 まとめに入ります。最後の1枚です。まとめは➀、➁、➂と書いてあります。➀、事実をリピートするわけですが、年齢調整後の透析導入患者数は減少しております。これは、ここでもう一度指摘させていただきます。➁、CKD患者さんにおける循環器系疾患の発症リスクは高いと。これはきっちりとしたデータはなく、やや間接証拠的ですが、多くの間接証拠から、これは言ってよい、より多くの死亡に関連しているとありますので、これは20年の提言で書かれている内容がここにも反映されている。➂は課題ですので、私の立場で言うものでもありませんが、見ていきますと、やはり、糖尿病が大事なことは間違いない。それ以外にも、高血圧を中心とする生活習慣病対策、もう1つの柱である難病、この3つのそれぞれの疾患への適切な連携が必要ではないかと感じた次第です。私からのこのセッションは以上です。

○柏原座長 ありがとうございました。腎疾患の現状を御説明いただきました。ただいまの御説明に関して、御質問等がございましたら御発言をお願いします。

○羽鳥構成員 日本医師会の羽鳥です。重要な指摘をたくさん受けたと思います。その最後の腎硬化症の透析というところで、未治療の高血圧が多いことが腎硬化症からの透析増加と関連があるという御指摘がありました。健診の受診率がまだまだ低いですし、未治療でびっくりするような方がときどき初診で見えたこともあり、10年ぐらい全く治療していないという方もたまに見つかるので、どうやって発見し、治療につなげるかも大事だと思います。糖尿についてはいろいろと進んできた面もあるし、糸球体腎炎のほうも腎臓病の先生方がしっかりと診ているのでしょうけれども、高血圧については、かかりつけ医がもっとやって取り組む必要があります。また御指導よろしくお願いしたいと思います。

○柏原座長 普及啓発や診療連携の一層の強化が必要であるという御発言だったかと思います。そのほか、よろしいでしょうか。

 そうしましたら、また取りまとめて議論いただく時間もありますので、先に進めたいと思います。続いて、議事4、「腎疾患対策におけるこれまでの取組と課題について」です。参考資料12ページの目次を御覧ください。参考資料1というのは、平成203月にお取りまとめいただいた「今後の腎疾患対策のあり方について」というものです。この2ページの目次に、3-2から3-6が記載されています。普及啓発から始まり、地域における医療提供体制の整備、診療水準の向上、人材育成、研究開発の推進までです。これらの対応する部分について、取組と課題を整理して御発表いただきます。続いて、守山参考人から、資料4-1の説明をお願いいたします。

○守山参考人 資料4-1に基づき、普及啓発について御説明いたします。資料4-1の下のタイトルは、厚生労働省から供与いただきましたが、腎疾患対策の国家予算はどうなっているかということで、私も勉強させていただきました。平成29年度は腎疾患対策の国家予算は計1億円付いているということで、我々にもそういう予算措置をしていただいているということです。○ですが、腎疾患対策の推進ということで、以下の3つの活動について予算が計上、支出されています。

1点目の慢性腎臓病特別対策事業について1,000万円、次の腎疾患対策費に300万円、3点目の腎疾患実用化研究事業、これはAMEDを介して8,700万円という予算措置を頂いています。特別対策事業については次のページでお示ししますが、普及啓発等について支援いただくということですし、腎疾患対策費の300万は腎疾患に関するシンポジウムを、世界腎臓DAYの辺りにやっていただくことになっています。研究については、普及啓発から外れますので、ここでは触れません。

 次です。慢性腎臓病対策特別事業は、平成21年度より実施されています。この提言、あり方を受けて付いた予算ではないかと思うわけです。それは地域における講演会等の開催や、医療関係者を対象とした研修等を実施することにより、広くCKDに関する正しい知識の普及、CKD対策に必要な人材の育成等を図る目的で支出されています。実施主体は都道府県で、内容は➀患者等、一般団体への講演会の開催、➁病院や診療者等の医療関係者を対象とした研修の実施、➂CKD診療に関わる医療機関情報の収集と提供という内容です。

 実績です。平成21年は9自治体でしたが、だんだん増えてきて最近は36自治体で実施されています。日本には47の都道府県がありますので、36ということは、まだ行きわたっていない都道府県があり、しかも平成27年以降は36でとどまっているということは、ここら辺で普及は十分でなくなっているという現状がありますので、これは課題かと思った次第です。

 その下のグラフを御覧ください。これは日本慢性腎臓病対策協議会(J-CKDI)という普及啓発を主に行う任意団体が、腎臓学会のメンバーを中心に10年ぐらい前に作られていますが、そこが集計しているCKD啓発イベント数とCKD啓発イベント実施都道府県数です。この3年ではイベント数で608074と、都道府県数は先ほどの特別対策事業とほとんど重なっていて、両方もらっていると思うのですが、353936といった辺りです。都道府県で見ると、やはり行きわたっていない都道府県があるということが見て取れます。

 ここから、具体的にCKD啓発は、地域でどのようにされているかの実例を御紹介いたします。その最初の大阪慢性腎臓病対策協議会(O-CKDI)です。大阪府の人口は886万人余りで、日本の全人口の7%を占めるということで、比較的人口の多い自治体です。多いがゆえに、なかなかCKD対策に取り組めていませんでしたが、私はJ-CKDIの地方代表ということで、3年前に大阪の代表になりまして、何かしたいということで、大阪をまとめられないかということを考えて作ったのが、このO-CKDIです。大阪府民の健康寿命に寄与したいというスローガンを掲げて、専門医を募りました。最初は基幹病院の14病院から始まって、先週の土曜日に400名に声を掛けて132人の専門医に集っていただきました。そして、府民の皆様から医療者のCKD対策が見える、かかりつけ医から専門医のCKD対策が見える、行政・保健師とCKD対策の連携が見えるという3本柱でやっています。

 その下が、世界腎臓DAYです。これは大阪府のホームページに載せていただいております。大阪府にも最初から関与していただいており、大阪府健康づくり課の課長、課長補佐にはいつも来ていただいています。平成30年からスタートする第3次大阪健康増進計画には、CKD対策を1項設けていただくことになりました。

 次のスライドです。今は各自治体でそれぞれの世話人が腎臓病フォーラムといったような形で、このような市民公開講座を開催しています。ここには世話人、大阪府、富田林や高槻などの地域の行政、近隣の医師会の先生方プラス薬剤師会、栄養士会、看護師といった多職種も含め、行政も巻き込み医師会の先生方にも参加していただくということを、大阪の各自治体でやっていただくことになっており、まだ2年目です。3年目は、全専門医に声を掛けていろいろな角度でやっていくことと、薬剤師などともコラボすることを考えています。

 続いて、熊本市です。どこの自治体のCKD対策が一番進んでいるかと言うと、熊本だと思います。これは、ある以意味ですごく先進事例とも言えますし、予算もかなり使っておられると思うのですが、熊本大学を中心に熊本市内ではこのようなイベントを各種行っていて、びっくりするぐらいのことをされています。ただ、熊本県全体には行きわたっていないというのが、1つの課題かと思っています。

 しかしながらすごいと思ったのは、その下の啓発です。CKDの認知度については、一般には4%ぐらいと言われており、10%にはいきません。しかし、熊本では既に平成23年度に40.7%で、平成27年度は46.9%ということで、熊本ぐらいの中核都市でしっかりとやればこのような認知度も得られて、しかも取組も盛んで、競輪場や動物園でもイベントをしているということで、なかなかそこまではやれないと思いました。でも、やればここまでできるという事例です。

 普及啓発のまとめです。現状については、➀地域による差がありまして、実施件数は増加しているとは思いますが把握が不十分であるということで、やはりやったからには把握したいということで、今後は必要なことだと思います。➁市民やメディカルスタッフを含む医療関係者のみではなく、行政への普及が進みつつあることが喜ばしい。行政は欠かせないもので、むしろ一番は行政だと思っています。➂場所、対象者、活動内容はまだまだばらつきがあるので、もう少し統一的なコンテンツをもって、均霑化されたキャンペーンもやれたらいいのかなと思いました。

 課題です。➀好事例は更に共有して広げていくのがいいのではないか。➁地域の実情があり、専門医の数も違う。そこは実情に応じてですが、何もしないというのではなく、できることはやっていただけるような効果的・効率的な普及啓発が必要。➂対象に応じての指針がまだ十分にできていないことが課題。➃活動の効果の評価がない。まず実施数もそうだし、何がどうよくなるというアウトカムが一番大事です。これは私も大阪府に働き掛けてデータを頂いて、解析したいと考えています。このセッションは以上です。

○柏原座長 守山先生、ありがとうございます。この普及啓発から研究開発の推進までは続けて御説明いただき、最後にまとめて質疑応答をしたいと思います。続いて、岡田参考人から資料4-2、資料4-3、資料4-4の説明をお願いいたします。

○岡田参考人 5本柱の234と担当する埼玉医大の岡田です。よろしくお願いいたします。資料4-2、地域における医療提供体制の整備です。各地域で行われているCKD取組の中で成功事例である熊本市の取組を御紹介いたします。

2のスライドを御覧ください。熊本市では市民を、正常者から腎機能が悪化した患者までの5つの群に組み分けて、その各群に対して、全体にはまず啓発をし、正常者に関しては早期発見、予備群やハイリスク群に関しては発症予防、発症者には進行抑制、腎不全が進んできている患者には更なる悪化防止といった取組を行い、またこういった取組を推進していく体制を更に整備していらっしゃいます。

 具体的にはスライド3を御覧いただきます。CKD病診連携システムという、公的病院の腎臓内科専門医、医師会の代表、代謝内科の専門医、行政がチームを作り、病診連携プロジェクトというものを立ち上げています。内容は、熊本市独自の、かかりつけ医から専門医への紹介基準、紹介状様式、専門医が所属する施設リストの作成という取組をされています。ちなみに紹介基準というのは、日本腎臓学会が2012年に出したCKD診療ガイドの中に出されている紹介基準に準拠しています。こういった取組に手を挙げてくださったかかりつけ医の先生方を「CKD病診連携医」としてリストし、1人のCKDの患者に対して、かかりつけ医と腎臓専門医が連携してケアしていく、言わば2人主治医制という形を取っています。この形でCKDの発症と進行を抑制しようという取組をされています。

 実際の状況はスライド4を御覧ください。病診連携登録医が平成21年から平成28年に向けて、着実に増加し、平成28年度は351人、内科標榜医の60%の先生が連携医として登録され、この連携登録医の先生方から専門医に紹介されて、2人主治医制によってケアされている患者数が、平成21年の300人から平成28年には1,600人強と、これだけの患者が、このシステムでケアされている状態になっています。

 その結果、スライド5を御覧ください。平成21年に新規透析導入者が295名だったのが、平成28年には243人に減っています。スライド6、これを全国平均と比較すると、平成21年の熊本市における新規透析導入患者は、全国平均の1.47倍あったのですが、このシステムを用いたCKD進行抑制の結果、平成27年には全国平均の0.99倍になっています。すなわち全国平均を下回るほど新規透析導入患者を実際に減らすことに成功しています。

 このような病診連携、特にかかりつけ医と腎臓専門医との間の連携というのが、CKDの悪化を抑制するのに非常に有効であるということが、この熊本市の事例で分かります。

 先ほど守山先生から御紹介いただいた大阪府の取組も、この病診連携を広めるというための試みです。スライド7を御覧ください。CKD連携紹介基準というものを作成されていて、この紹介基準そのものは、後で御紹介する腎臓学会が2012年に出した、かかりつけ医から専門医への紹介基準に準拠したものをより分かりやすく情報発信されています。このような取組が有効であることが、この成功事例から分かります。

 また、地域における診療実態の例として、スライド8を御覧ください。各地域における特定健診の内容及び保健指導の内容を、全国のかかりつけ医へのアンケート調査でまとめた表です。左から2つ目のカラム、特定健診にクレアチニンの採血が含まれているか否かのアンケートに対し、「含まれない」という回答をされている地域が、東北、近畿、中国地方においては3040%で、3040%の特定健診にクレアチニン採血が含まれていないということです。また、実際にクレアチニンの採血がされていても、そこからeGFRの換算がなされていないとCKDの診断や重症度分類に十分に活用できないということなのですが、eGFRへの換算が行われていない地域というのが、東北地方、甲信越地方では70%で、70%のクレアチニンの結果がeGFRに換算されていないという実情があります。また、特定保健指導の際に、保健師によるCKDの指導が「行われていない」という回答の地域が、東北、甲信越、四国地方では30%。また、「よく知らない」という回答の先生が5060%ということから、この中にも行われていない地域があるとすると、想像以上に特定保健指導においてCKDの指導がなされていない可能性があり、それも地域によってかなり格差があることが分かります。

 ということで、「地域における医療提供体制の整備」の現状をまとめます。➀かかりつけ医と専門医との連携の取組により、適切なCKDの診療を行った結果、透析導入患者を減少させている地域がある。➁専門医等への紹介基準は原疾患を問わない基準であることから、糖尿病対策にとどまらず、腎硬化症や難病も含めたCKD対策とすることができる。➂平成30年度から特定健診の項目変更により、血清クレアチニンが測定される健診の数が増えることから、そこにeGFRの換算が付随して増えていくことになれば、CKDとして受診勧奨されるケースが増加する可能性がある。これが現状のまとめです。

 今後の解決しなければいけない課題は、スライド10です。➀かかりつけ医と専門医等への紹介基準及び健診からかかりつけ医への受診勧奨基準の更なる普及が重要。➁専門医がいる医療施設等の紹介先の周知が必要。➂専門医療機関が不足しているなど、地域の実情に応じた対策が必要。➃熊本市のような好事例を広く広げることが必要。➄行政との更なる連携が必要。このようなことが今後の課題として挙げられます。以上が地域における医療提供体制の整備の報告です。

 続いて、資料4-3、診療水準の向上を御覧ください。スライド2を見ていただくと、これがCKD診療ガイド2012に掲載された、腎臓学会が作った、かかりつけ医から腎臓専門医への紹介基準です。この基となった表は、CKDの重症度分類と呼ばれる表で、表の左下半分を見ていただくと、「GFR区分」とありまして、6段階に分かれています。また、上右半分にはA1A3の「蛋白尿区分」が3段階あります。この6掛ける318区分が、それぞれCKDの重症度、将来の腎不全や心血管系合併症のリスクの異なる区分になっており、それぞれを緑から赤に色分けし、重症度が一目で分かるように工夫されたヒートマップ図となっています。この紹介基準は、その基図を利用して、かかりつけ医から専門医へ紹介すべき患者を表に示したものです。

 オレンジから赤の区分に関しては、問題なく紹介していただくべき患者です。黄色の区分に関しては、かかりつけ医と腎臓専門医とで診るべき境界領域になります。そこで、蛋白尿に関しては、血尿を伴うような方の場合は紹介。また真ん中のカラムのA1は蛋白尿はなく、徐々に腎機能が落ちていく患者のカラムですが、真ん中辺りのGFR6030の方に関しては、GFRの区分で言うとG3aG3b2つの区画に分けられているのですが、よりきめ細かく日本人の実情に合った紹介基準をということで、更に細かく3つにGFRを区分し、かつ年齢ごとに紹介が必要か否かを示しています。これは日本腎臓学会オリジナルの非常にきめ細かな、かかりつけ医から専門医への紹介基準となっています。

 これが2012年に出されて、実際に臨床の現場でどのように利用されているか、実際のかかりつけ医と専門医の間の連携はどうなっているかを示す1つのデータとして、スライド3を御覧ください。これは全国健保協会の東京支部の試みで、いわゆるメタボ健診を受診した患者で、結果としてCKDのハイリスクと考えられる患者に、医療機関の受診勧奨を行い、その際、受診した医療機関に渡すアンケート用紙も付けました。そうすると、受診した患者のその後の経過をある程度追うことができます。そういった試みの報告です。

CKDのハイリスクの患者が、受診勧奨の結果、医療機関を受診されているのですが、非腎臓専門医に68%、腎臓専門医に32%の方が、まずかかられています。そして、非専門医から腎臓専門医に紹介された比率が全体の6.1%です。ですから、このCKDのハイリスク患者のうち38%が、最終的に腎臓専門医を受診しており、まだまだハイリスクの患者を、かかりつけ医から専門医に十分に御紹介いただけていないということが示された結果です。

 スライド4を御覧ください。健診結果に応じたかかりつけ医への受診勧奨基準も、日本腎臓学会から提案しています。これは厚労省の特定健診検討委員会に、日本腎臓学会から提出した、健診結果に応じた医療機関への受診勧奨基準です。検尿しか行っていないケースでは、蛋白尿が±であった患者の対応に関して、まずは生活指導、連続する場合には医療機関の受診を推奨しています。また、蛋白尿と血清クレアチニン、eGFRが判明するような健診を受けている患者に関しては、蛋白尿がない場合の中等度の腎機能障害に関しては生活指導、蛋白尿を±レベルで伴うことが連続する場合には医療機関への受診を推奨する内容を提案し、また昨年末の日本腎臓学会誌にも掲載されています。

 実際に、健診から医療機関を受診される患者の各検査項目ごとの内訳をスライド5に示しています。これは、ある神奈川県内の総合病院の健診センターの患者を対象に、二次検査の受診率を検討した報告です。これを見ると、左に行くほど医療機関の受診率が高い検査項目になりますが、非常に件数が少ないものもあるので、件数が非常に多い例でみると乳房の異常、胸部レントゲン撮影の異常からの二次検査の受診率は、それぞれ90%近くと非常に高くなっています。しかし、右側の尿や血液検査、多分、脂質異常症や高尿酸血症といったものかと思いますが、そういった項目や、件数はなぜか少ないのですが、血圧の高値に関する二次検査の受診率は、乳房や胸部レントゲン異常と比較すると低く、6割前後という低値に終わっているということで、まだまだ健診からかかりつけ医への受診勧奨に関しては、改善の余地があり、特に検尿の異常に関しては大きな改善の余地があるということです。

 スライド6では、2014年に改訂された糖尿病性腎症の新しい分類をお示ししています。従来、糖尿病性腎症の病期分類は、第1期から第5期に分かれており、第1期から第3期はアルブミン尿の増加に応じたもの、第4期はアルブミン尿のある患者の腎機能低下に応じたもの、第5期は透析導入になった場合というように、アルブミン尿の増加から腎不全の進行まで、シームレスに糖尿病性腎症が進行していくにつれて病期が進んでいく形の病期分類でした。ただ、第4期の腎不全期の明確な数値基準が設定されておりませんでした。次のスライド7と並べて見ていただくと分かりやすいのですが、先ほど御紹介したCKDの重症度分類が普及してきまして、そのGFR区分のステージ4の基準がGFR30未満ということから、糖尿病性腎症における第4期もeGFR30未満とすることで、両分類の整合性を図ったわけです。赤い四角でハイライトした右側のカラムの部分に、第4期の区分として、eGFR30未満を第4期とするとなっています。これが2014年版の改訂点です。

 また、真ん中のカラムを御覧いただくと、蛋白尿若しくはアルブミン尿の区分が書いてあります。第3期までは正常、微量、顕性とアルブミン尿の増加に応じた病期の区分になっています。第4期を見ていただくと、ここで急に「問わない」という記載になっています。従来は、ここはアルブミン尿がある方で腎不全が進行してくると入る病期であったのですが、ここで「問わない」というふうに、アルブミン尿がない場合にもここに入るという、新しい基準になっています。その背景には、実は糖尿病の患者で、アルブミン尿がない状態でGFRが落ちていく患者が増えているということがあります。従来の病期分類ですと、その患者が収まる病期がないということで、明確な病期分類ができないという状況でした。そこで、この2014年度版の改訂病期分類では、糖尿病の患者でアルブミン尿を伴わない場合でも、eGFR30を下回った場合には第4期と捉え、より末期腎不全のハイリスク群ということを明らかにし、適切な介入が行われるように図られています。これが、この改訂の2つ目の重要なポイントです。

 スライド7には、改訂された糖尿病性の病期分類と、CKDの重症度分類を対比する形で示していますが、両者の間にきちんとした整合性が取れていることが御覧いただけると思います。

 また、腎臓学会が中心となり、CKDに関連するガイド・ガイドラインを整備してきています。その表紙をスライド8に示しています。ガイドとガイドラインの2つを準備していますが、ガイドのほうは非専門家であるかかりつけ医の先生方向けに作成されております。ガイドラインのほうは、いわゆるエビデンスに基づいた、専門医の先生方に向けての診療指針となっています。それぞれ定期的に改訂し、最新のCKDに対する標準医療が提示されています。

 スライド9を御覧ください。かかりつけ医の先生方や専門医の先生方向けだけではなく、いわゆる栄養士、看護師の皆さんに向けて、生活習慣・食事指導を行うための指針・マニュアルとして、食事療法基準、生活・食事指導マニュアルといったものもそろえてきました。

 スライド10です。実際に、こういったガイドとガイドラインが臨床の現場でどのように普及、利用されているかですが、ガイドラインに関しては非常に高い普及率になっています。しかし、スライド11ですが、かかりつけ医の先生方においては、CKD診療ガイド活用率は、一般内科の先生は3割程度、腎臓や糖尿病の専門以外の先生は3割程度ということで、必ずしも十分な活用はされておりません。また、スライド12ですが、CKD診療ガイドで推奨している標準医療であるCKD患者における尿蛋白の定量検査も、3割近くの先生が「行わない」という回答でした。

 ここで、「診療水準の向上」の現状をまとめさせていただくと、スライド13にあるように、➀かかりつけ医から専門医への紹介基準や健診後の受診勧奨基準が作成されました。➁糖尿病性腎症の分類が改訂され、CKDの分類との整合性が図られました。また、➂各種ガイド、ガイドラインが作成され、特にガイドラインの専門医への普及は大変高いレベルに達しています。

 解決すべき課題に関しては、➀ガイド・ガイドラインの普及がかかりつけ医においてはまだまだ十分ではない。➁ガイドラインの間で推奨内容に一部一致していない点があり、また利用対象が利用者側からは不明瞭である。➂健診-かかりつけ医、かかりつけ医-専門医、専門医-専門医の連携を更に強化する必要がある。診療水準の向上に関しては以上です。

続いて、資料4-4、人材育成に関する御報告です。スライド2ですが、日本腎臓学会の会員数の増加に同調し、腎臓専門医の受験者及び取得者は年々増加しています。順調に全体数は増えているのですが、スライド3を御覧いただくと、専門医数の地域差があります。黄色や赤にハイライトされている地域においては、専門医の増加がない若しくは減少しており、専門医の偏在が見て取れます。また、スライド4ですが、腎臓専門医の偏在に関して、かかりつけ医の先生方へのアンケートの結果から見てみますと、腎専門医の有無について、「いない」「1人いる」という回答が、北海道、東北、四国などで多く見受けられます。また、腎専門医との関係で「直接は知らない」という、病診連携がうまく進んでいないという回答が、北海道、関東、四国で見受けられます。ということで、病診連携がうまく機能していない地域が散見されますし、こういったエリアではかかりつけ医の先生方が中心となって、CKDを管理されているという実情が分かります。

 スライド5は、かかりつけ医が専門医に向けて、どういった要望があるかを調べた結果です。治療法の適否、腎生検や画像診断、透析導入の説明といった専門性の高い領域に加え、患者指導や食事指導といったメディカルスタッフによっても可能な要望も数多くなされています。

 スライド6を御覧ください。こういった背景を踏まえ、来年度から日本腎臓学会では「腎臓病療養指導士」を創設します。スライド7にあるように、今年は療養指導士に向けての講習会を3回実施し、大変好評で、看護師、管理栄養士、薬剤師の3職種の方々が1,200人参加されました。この療養指導士というのは、職種横断的なCKD療養指導のための基本知識を有するチーム医療の担い手として期待され、来年度からその資格認定の試験を実施します。

 スライド8は「人材育成」のまとめです。➀腎臓専門医以外の多くのかかりつけ医がCKD診療を担っています。➁腎臓専門医の絶対数は増加傾向ですが、偏在があり、特にある限られた地域では、かかりつけ医と腎臓専門医との連携が困難な場所があります。➂平成30年度から、日本腎臓学会により腎臓病療養指導士が創設されます。

 スライド9にあるように、解決すべき課題は、➀腎臓専門医の不足と偏在・地域格差を是正する。➁腎臓専門医以外の専門医やかかりつけ医と、専門医との連携を更に促進する必要がある。➂管理栄養士などのメディカルスタッフとの連携を深め、チーム医療を更に進めていく必要がある。このような課題が挙げられます。私の発表は以上です。

○柏原座長 岡田先生、ありがとうございました。続いて、南学構成員より、資料4-5の説明をお願いいたします。

○南学構成員 それでは、資料4-5を用いて、研究開発の推進、診療のエビデンス確立及び実践に関する研究について御説明申し上げます。2枚目のスライドです。腎臓学会は、以前からデータベース事業を行っております。これは、現在の患者さんの状態等を把握しないと、適切な診療のエビデンスが確立できないということで、最初、J-RBRという腎臓の生検をした患者さんのデータベースを作成しておりましたが、腎臓病の方全員が腎生検を受けるわけではありませんので、腎生検を受けていない患者さんも含めた、より大きなJ-KDRというデータベースを現在作成しております。これまでの登録患者数は、36,000件に至るようになっております。

 次のページは、具体的にどのようなことができるかです。この登録したデータを横断的に解析することによる一次研究、それから、過去起点から前向きに、この患者さんの変化を追うことによる二次研究等が行えるというデータベースで、診療実態と患者さんのアウトカムに関する具体的なエビデンスが得られるような研究体制を整えており、現在、研究解析に着手しているところです。そのほかに、FROM-J研究というのも行われました。これは、腎疾患重症化予防のための実践の研究ということで、かかりつけ医の先生方と腎臓専門医の協力を促進する重症化予防のための診療システムの有効性を検討するものです。成果目標としては、新規透析導入患者数の15%減少を、慢性腎臓病の診療指針を遵守し達成目標を向上させることによって、到達させるという、そういったことで行われたものになります。

5ページにその成果が示されています。これは、強介入群と、通常介入群に分けられますが、受診継続率は強介入群において、予想されるより高かった。「一定の効果」と書きましたのは、実際はCKDのステージG3の患者さんで、eGFRの低下速度がちょっと緩んだということで、効果は限定的だったと、そういった結果になっております。これは、糖尿病学会がやられたJ-DOIT3で強化介入によって38%、ハザードレシオ0.62で、新規糖尿病腎症の発症が抑えられたという、非常に目覚しい効果がLancet Diabetes & Endocrinologyに今年発表されましたが、それに比べると、やはり限定的な効果と言わざるを得ないので、今後どのような形で研究をするべきかということは非常に重大な課題だというふうに思っております。

 診療の標準化につきましては、先ほど岡田参考人からCKDに関するガイド及びガイドラインについて、こういったものが腎臓学会として作成されていると御紹介がありました。そのほかに、この診療の標準化のために、腎臓学会としては妊娠に関連する診療ガイドライン、急性腎障害に関する診療ガイドライン。また最近ではがんを持っている患者さんにおける抗がん剤の使用等に伴う腎障害、あるいは既に腎障害がある患者さんに対する抗がん剤の使用等、様々な問題があります。こういったことに対して、以前より積極的にガイドライン及びガイドの作成に取り組んでおり、こういったものを作成しております。

 次のページですが、ただ、やはりこの研究を行い、新規腎臓病治療薬を開発して、これを実際に患者さんのアウトカムの向上につなげるためには、まず1点目は、骨太な基礎研究をしっかりやるということが必須だというふうに考えております。そのほかに、現在の病状に合わせた研究を行うということが大事で、糖尿病性腎症/腎硬化症の研究ということを書かせていただいております。

 糖尿病の治療の向上、それから糖尿病の患者さんに対して、ある程度腎保護が図られるようになってきたということで、患者さんの高齢化が起こってきている。一方、典型的な糖尿病性腎症ではないタイプの糖尿病における腎障害がよく見られるようになってきていると、そういう現状が疫学研究で分かってきております。三次元のグラフになっておりますが、この縦軸によって起こるのが、いわゆる古典的な糖尿病性腎症という、高血糖によってのみ起こる腎障害です。そのほかに高齢化に伴う加齢による腎障害、動脈硬化等に伴ってネフロンが減少することによる腎障害等、様々なことが起こってきて、蛋白尿を伴わないような、昔のようにネフローゼから腎不全になっていくようなタイプではない糖尿病患者さんにおける腎障害が増えてきている。実は先ほど岡田参考人が提示された新規糖尿病性腎症の分類というので、蛋白尿は伴わないが、糖尿病性腎症の病期4というのは、これは、こういった患者さんを含有できるという新たな観点も含まれているということになります。

 また、最初に守山参考人が、透析医学会の様々なデータベースの御紹介をされました。その中で、糖尿病性腎症による患者さんの数が非常に多いというデータが出ておりますが、これは学会合同の糖尿病性腎症合同委員会等で話すと、このデータベースの登録上、糖尿病性腎症というワードしかないのでそこに登録するが、実際はやはり、この糖尿病に伴う、従来のものではない腎障害の人が多数含まれているというような委員の意見も伺っております。こういったことも踏まえ、欧米では糖尿病性腎症ではなく、Diabetic Kidney Disease(DKD)という言葉が使われるようになってきております。糖尿病性腎症、古典的なものを含むより広い包括的な概念ということで、やはり、この病態、現在の病態に合った疾患概念をきっちり捉えて、それに対応することが大事だということです。これにつきましては、Diabetic Kidney Diseaseの正式な訳語として、糖尿病学会と腎臓学会の両理事会で、今年、「糖尿病性腎臓病」という言葉を当てるということを決定しております。また、それを踏まえ、今年の秋に行われた両学会の合同のセミナーで、腎臓学会の柏原理事長と、糖尿病学会の門脇理事長が、糖尿病性腎臓病克服宣言:STOP-DKD宣言というのを採択しております。

 治療薬につきましては、この糖尿病性腎臓病につきましては、幾つか大きな進展がありました。それをスライド9に示しております。GLP-1受容体作動薬に関して、SUSTAIN-6という臨床研究とLEADER研究という臨床研究が、両方とも昨年と今年のNew England Journalに出ました。また、SGLT2阻害薬の腎保護効果に関して、EMPA-REGトライアル、CANVASトライアルという2種類の臨床研究、これもNew England Journalに昨年と今年出て、非常に目覚しい腎保護効果があるということが報告されております。ただ、これは腎臓内科医の立場としては、やはり忸怩たるものがあり、糖尿病の治療薬が非常に腎保護に効果があるということで、決して腎臓の立場から開発された薬ではないというのは、現在使われているACE阻害薬、ARBと一緒です。腎臓をターゲットとして開発された薬ではないが、たまたま臨床研究から腎保護作用が見つかったという、そういう薬です。

 腎炎の重要性ということも、守山参考人からお話がありました。腎炎の治療に対しては、本邦ではIgA腎症に対する扁摘パルスの検討が行われておりますが、依然として国際的に認められる状況にはありません。それからステロイド抵抗性ネフローゼに対するrituximabの効果ですが、これは本邦が誇るべき研究で、Lancetに出て、保険収載もしていただいております。これも医師主導治験で行われた非常に素晴しい研究ですが、やはりもともとは悪性リンパ腫に対して開発された薬ということで、腎臓病に対して開発された薬ではない。骨太な基礎研究を行って、かつ、それを臨床の現場に持ってくるということが、非常に大事だというふうに考えております。

 臨床の現場に治療薬を持ってくるために重要なものとして、スライド11に示すように、エンドポイントの設定があります。適切なエンドポイントを設定しないと臨床試験が非常に難しくなります。従来は、腎臓病治療薬の臨床試験というのは腎死、透析導入を減らすということが要件とされておりましたが、腎臓病に対する診療の向上と、患者さん御自身の生活習慣の改善等の努力等があいまって、実際に臨床試験をやったときに透析導入をされる人は、研究対象の患者数の中では少ない。そういった少ないエンドポイントの数を統計学的に十分に得るためには、非常に多数の患者さんをリクルートしてきて、長期間フォローアップするという、ものすごく大規模な臨床研究が必要になります。そうなると予算上、実行不可能となり、そのことが腎臓病の薬の開発を大きく妨げているということが、国際的に非常に大きな問題になっております。

 欧米では、既にいろいろなコホートとの解析により、代替エンドポイントを採用することにより、必ずしも透析導入まで追わなくても薬の有効性を判定できるということになってきております。日本でも、日本人のコホートと解析し、そのエビデンスに基づいた適切な代替エンドポイントで、この腎死を適切に予測し、腎臓病治療薬の開発に役立てることができるだろうという解析を行い、現在この臨床評価ガイドラインの策定が行われており、来年2月に最終版を出せるのではないかと思っております。パブコメに出た時点のガイドラインの結果をこの12ページに示します。糖尿病性腎臓病においても、それ以外の腎領域における慢性腎臓疾患においても、2年間ないし3年間にeGFR3割から4割低下することをサロゲートエンドポイントとして有用なものとして認定する。さらに疾患によっては、アルブミン尿・蛋白尿の低下も採用できる可能性があるというようなガイドラインになるのではないかと予想しております。

 最後に、まとめです。腎領域には複数のデータベースが存在いたします。ただ、相互の連携や、あるいは他学会が持っている素晴しいデータベース、こういったものと連携させることにより、より一層素晴しい研究開発ができるのではないかと考えております。基盤整備を臨床試験促進のために行う必要があり、現在、適切なエンドポイントの検討を学会として行っております。今後、国際共同試験を含め、更に整備していく必要があるのではないかというふうに考えております。また、一部の腎臓病では治療が開発されておりますが、大半の腎臓病では今だに対症療法が主で、病態の解明に基づく新規治療の開発が進んでおりません。病態解明のために骨太な基礎研究を行い、さらにその基礎研究の知見を治療薬の開発のために実装するような対応が必要だというふうに考えております。私からは以上です。

○柏原座長 どうも、南学先生ありがとうございました。

 続きまして事務局より、資料5の説明をお願いいたします。

○福井がん・疾病対策課長補佐 資料5を御覧ください。腎に関した施策で、厚生労働省の取組として既に実施されているものがあります。本検討会において、新たに検討すべき範囲ではありませんが、御紹介いたします。

 まず発症予防について、3ページを御覧ください。健康増進法に基づく国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針である健康日本21(第二次)が、平成25年からスタートしております。その基本的な方向のうち、特に➁と➄に御注目ください。

 次のページ、具体的な目標が設定されております。➁については糖尿病による透析導入患者を15,000人に減少させるというものや、最高血圧の平均値に関するもの。➄については、食塩摂取量を8グラムにするというものや、喫煙率に関する目標などがあり、これらは平成34年までに達成すべきとされております。

 次のページは、栄養、食生活についてです。厚生労働省では、健康増進法に基づき食事摂取基準を策定しております。5年ごとに基準の改定を行っており、最新版の2015年版からは、高齢化の進展や糖尿病等、有病者数の増加を踏まえ、健康日本21(第二次)の基本的方向➁に沿い、生活習慣病の発症予防とともに重症化予防も視野に入れ策定を行っており、CKD患者についても扱っております。

 次に、重症化予防について7ページを御覧ください。平成277月に経済界・医療関係団体・自治体・保険者のリーダーが民間主導で、健康寿命の延伸とともに医療費の適正化を図るため、予防・健康づくりの取組状況の「見える化」と先進事例の「横展開」を強く進めていく「日本健康会議」が発足いたしました。

8ページを御覧ください。「健康なまち・職場づくり宣言2020」の宣言の2番に御注目ください。かかりつけ医等と連携して、生活習慣病の重症化予防に取り組む自治体を800市町村、広域連合を24団体以上とする。その際、糖尿病対策推進会議等の活用を図る、とあります。

9ページを御覧ください。既に、全国1,741の市町村のうち、約3分の1に当たる654市町村、また47の広域連合のうち14が、かかりつけ医等と連携して、重症化予防の取組を行っております。データマッピングによる「見える化」の効果等もあり、順調に目標達成に近づいております。

 次の10ページは、糖尿病性腎症重症化予防プログラムについてです。健康日本21や、日本健康会議の目標を達成するためのツールの1つとして、日本医師会・日本糖尿病対策推進会議・厚生労働省の三者で、平成28420日に策定したものです。基本的な考え方は、重症化リスクの高い医療機関未受診者等に対する受診勧奨・保健指導を行い治療につなげるとともに、通院患者のうち重症化リスクの高い者に対して、主治医の判断で対象者を選定して保健指導を行い、人工透析等への移行を防止するというものです。本プログラムで構築されたような、行政と医療者との連携体制等を有効活用することが、腎疾患対策を加速するために重要と考えております。

 次の12ページは、難病対策についてです。平成26年に制定された難病法に基づき、医療費助成や調査及び研究の推進、療養生活環境整備事業等を実施しております。医療費助成の対象となる指定難病は、現在330疾病、そのうち腎に関連するものは19疾病あります。全ての指定難病について研究班はありますが、慢性糸球体腎炎に含まれる疾病など、透析に至る原因として多い★で示した難病は、ナリタ先生の研究班で扱っていただいております。

 次の13ページは、腎関連指定難病における医療費助成を受けている方の人数です。難病法成立以前には、助成対象ではなかった★で示す疾病については、下線で示すように、この1年で人数が増加しております。これは、研究班や学会等を通じて対象疾病の普及が進んでいること等によると考えております。

 次の14ページは、新たな難病の医療提供体制についてです。早期に正しい診断ができ、診断後は、より身近な医療機関で適切な医療を受けることができるようにするため、各都道府県において、難病診療連携拠点病院を中心として、研究班や関連学会等と連携した体制を、平成30年度から新たに実施いたします。

 最後の16ページは、移植医療についてです。腎移植については普及啓発活動、院内体制の整備、提供移植施設の負担軽減等の対策を実施しております。件数は近年増加傾向であり、年間約1,600例程度実施されております。私からは以上です。

○柏原座長 どうもありがとうございました。ここまで資料に基づいて、普及啓発から研究開発の推進まで続けて御説明いただきました。以上の5つの柱について、個々に御意見を頂きたいと思っています。普及啓発ですが、これは守山参考人から資料を用いて御説明いただきました。御質問や御意見があれば、是非よろしくお願いします。

○川村構成員 京都大学の川村と申します。臨床としては、健診から初期の診療のことをカバーしていて、同時に疫学者のはしくれでもあって、IgA腎症の患者さん3,000人を登録し、10年間追跡して透析のプレディクションモデルを作るとか、あるいは、臨床研究の方法論の啓発などに、今、力を入れているところなので、この検討会のかなりの部分に密接な関連がある立場からの発言です。今、守山参考人、岡田参考人から、非常によく整理されて分かりやすい資料を用意していただいたので、皆さんは共通の理解に立てると思っています。

 必ずしも普及啓発だけではないのですが、議論を始めるに当たって全体のゴールの持ち方についてです。10年前に、透析患者を減らすことがシンボリックにうたわれていたと思います。もちろん、透析は患者さんにとっても大きな1つの変曲点ですし、大事なことではあるのですが、今、ここで御紹介されたことはもう少し幅が広かろうとも思います。健診の段階から一次、二次、三次医療に至るまで広範にカバーしているように思うので、ゴールは広い視野で持つのがよいのではないかと考えています。

 余談ですが、同じようなことが、メンタルヘルスの領域でもあり、自殺3万人が続いたので自殺を減らそうという議論を盛んにしていますが、では自殺を減らせばいいのかというと、うつ病の段階で患者さんがたまる。それはそれで大問題で、うつ病が苦しいのであって、うつの解決のための自殺だったりします。

 だから、そういうシンボリックなことをテーマにすることは、特に最初の啓発としては大事かもしれませんが、今、一時代が過ぎたところで見直しを掛けているところなので、広い視野でそれぞれのステージに応じた最適化がイメージできる医療が大事かと思っています。

 それから、守山参考人の御紹介の中で、(透析導入が)年齢調整して下がっているという話もありました。年齢調整することは、もちろん異なる時代、異なる地域を比較するときの最もオーソドックスな手法であって、それは全く間違ってはいないのです。ただ、年齢調整で得られた値は相対的なものであって、例えば人生自体が延びている。だから、ほかの病気とかトータルのライフというものの中で年齢調整したものが果たして良くなっているのか悪くなっているのかを見ないといけない。例えば、循環器疾患とかがんが、年齢調整して大きく改善しているのに、腎疾患は軽度の改善であるとすれば、必ずしも相対的に成功しているとは言えないことになります。

 さらに、極論を言いますと、50年であろうが100年であろうが、人生全体を100とするという考え方も片方ではあろうかと思います。つまり、一生というものを、その人がどう受容するかという意味です。ですので、そういった視点の検討もまた同時に必要になるかと思います。

 それから、守山参考人の御発表の中で、腎硬化症が増えているというお話があったかと思うのですが、私の印象としては、高血圧は一時代、二時代、もっと前ですね、脳卒中対策として日本の国が力を入れて大分対策が進んだのですが、その後ひょっとしたら少し停滞しているのかもしれないとも思います。とりわけ軽症の高血圧といいますか、ボーダーラインとか、そういうところが未受診のままになっている可能性があって、本当は軽症高血圧、130mmHgとか140mmHg辺りで、心血管疾患を起こす絶対数、要するに、寄与リスクは実はその辺が一番大きい。血圧が高ければ相対リスクは上がっていくのですが、そこの人数は少ないので、実際、日本全体で寄与する度合いは、おそらく医療にかからないかかかるかというレベル。この辺りが健診でも、まあ、ちょっと様子を見ましょうでそのまま放っておかれるおそれもあって、その辺の対策が1つ注目すべき点ではないかと思っています。それは、守山先生がおっしゃったように、軽症例の受診がまだ十分ではないのではないかということです。

 ただ、では医療にかかってみんな薬を飲めばいいのかというと、また医療費の問題とかが出てくるので、人材育成のところでも出たように、支える仕組みをきちんとつくらないといけないかと感じました。

 もう1つが、これは言っていいかどうか分からないので差し障りがあったら抹消してほしいのですが、カルシウム拮抗薬が日本で多用されたということと関連がないかどうか。今はARBがかなり多いと思うのですが、その辺との関係はまだ精緻に解析したわけではないから、こういう場でしゃべるのは不適切かもしれませんが、その辺も分析の必要はあるかもしれないと思っています。

 それから、最初の啓発のところで日頃、疑問に感ずるのは、eGFRCKDの診断に非常に重要ですが、特に健診レベルで見てみると、クレアチニンが1とか、1.2とか、そういうレベルにおいては、クレアチニンが持つ個人差といいますか、筋肉量とか、運動量とか、そういうところが影響していて、腎機能と一番乖離が大きいところかと思っています。ですので、その辺りを分かるように、腎臓との関連はこういう具合だと。クレアチニンが2とか3のレベルと扱いが異なるかもしれないので、その辺りを専門家の目でどう解釈するかということをやっていかないと、クレアチニンを、特に初期の段階のものをうまく誘導できないかとも思っています。

 それと、幾つも連続で申し訳ないのですが、最後に医療のことです。これはむしろ厚労省の方々にお願いしたいと思うのですが、予防、特に血圧がそうですが、私は血圧は病気でないと思っていて、あれは二次性の高血圧を除けば国民全体で二項分布するものであって、140mmHg以上を高血圧とするというのは、かなり操作的なものであると思います。病気という認識ではなくて、リスクファクターという認識をきちんとして、それに対応することは、これは一種のプロアクティブ、戦略であり投資であると思っています。普通の透析の医療と高血圧の治療は全然水準の違うもので、片やリアクティブのものであり、片やプロアクティブなものだと思っています。そういうところで、我々がこの検討会で目指すところは、やはりプロアクティブなものであって、医療費の取扱いにおいても今後検討を要する課題ではないかと、これも大きな話過ぎますが、今日お聞きしてそのようなことを感じましたので、ここで将来の課題として御検討いただければ幸いです。

○柏原座長 川村先生、ありがとうございました。5つの柱、全般に関わる、疫学者としての御見解をお示しいただいたと思います。全体目標の設定、次回の課題になる個々の柱ごとの課題の設定、KPIの設定が議論になりますから、是非、今のお考えをそこに反映させていただきたいと考えております。

 ほかにはいかがですか。時間も少し限られておりますので、1つずつというのが難しくなってまいりましたから、5つの柱全般を通してでも構いません。どの部分でも構いませんので、御意見を頂ければと思います。

○小室構成員 普及啓発について、特に質問したいのですが、我々循環器学会でも、昨年、脳卒中と循環器病克服5カ年計画を作り、5戦略のうちの1つが普及啓発ということで、大変勉強になりました。

1つ気付いたのは、ただいま川村先生からもお話があったのですが、腎硬化症がこれほど増えているとは思っていなかったのです。もう過去のものかと思っていたのですが、非常に漸増している。確かに透析になる人の原因の1位は糖尿病なので、糖尿病が重要なことは問題ない、疑問の余地はないと思うのですが、この腎硬化症の増加も何とかしなくてはいけない、克服すべき重要な課題かと思いました。それは恐らく高血圧学会ではいつも話題になりますが、高血圧の人の半分は高血圧を認識していない。認識している人の半分しか治療されていない。治療されている人の半分しかゴールに達していない。それが未だに余り変わっていないのではないかと思うのです。その辺り、やはりもう少し啓発が必要かと思いました。それについては、こちらでは余りされないのかというのが1つ質問です。

 もう1つは、普及啓発で守山参考人がおっしゃった、市民とか、かかりつけ医、医師に対する啓発活動は市民公開講座とか講演会をやるということで、具体的なイメージが湧くのですが、守山参考人が強調された行政の普及が非常に重要だと。その行政の普及の具体的な方法を教えていただけると、私にとってはすごく参考になるかと思うのですが、いかがですか。

○柏原座長 守山参考人、お願いします。

○守山参考人 はい、小室構成員、ありがとうございます。やはり御指摘のとおり血圧対策が具体では一番重要だと考えており、その中でもやはり住民を巻き込むということになりますと、幾度も出ておりますが減塩対策です。減塩は永遠のテーマのようなものですが、掛け声だけでは十分ではないというところで、そこで登場するのが行政、減塩の指導を、我々医師はもちろん診察室に来られた方にはしますが、一般住民に対してのアプローチということになりますと、そこでやはり行政。行政の各都道府県・市町村の保健師さんたちが非常に熱心に、糖尿の重症化対策も併せてですが、私は個人的にも豊中市のコンサルタントみたいなことをさせていただいておりますが、口を開けば第一に減塩。食べ物に対する介入は地味ですし、お金にもなりませんが、これをやっていただくということで、では、どうするのですかということになりますと、私どものやり方としましたら、やはり大阪府だろうと。大阪府にまず飛び込んだと。それで大阪府の健康づくり課とお話をさせていただく中でO-CKDIという組織を設立して、賛同いただいて。実は大阪は御存じのとおり、東京で言ってもえっと思われるかもしれませんが、一応、万博2025の誘致を目指しております。その中で大阪の健康に関する情報発信ということで、松井知事以下、健康問題には大変意欲を示されているのが1点、だから、それも併せてやりましょうと。そういうときのモチベーションを高めることが、1つです。

 それから、今日は出しませんでしたが、やはり危機感を持ってもらうということで、御存じのとおり大阪の平均寿命は、全国でも男女とも40何位という、ほとんどベベです。そして、情けないことに、健康寿命と寿命の差、いわゆる非健康寿命は、男女ともに大阪は日本No.1です。一番、寝たきりに近い期間が長いのが、大阪です。それは医療費にも反映されるということで、大阪府の問題意識と我々がCKDで掲げた透析医療の削減、それから心血管イベント、寝たきり等々に関する目的意識が非常に一致したことと、万博などもあいまって、大阪府に一応かなり協力的になっていただいているということで、先生におかれましても、是非、東京都に出向かれてかどうか分かりませんが、出向いて行っていろいろお話するということで我々も進めております。

○柏原座長 ありがとうございます。時間も大分押してまいりましたので、第2回の検討会でも意見交換と議論は継続していきたいと思います。それ以外の構成員の方々からも広く。羽鳥構成員、お願いします。

○羽鳥構成員 小室先生、守山先生のお話とも関連するのですが、行政の介入はとても大事だと思います。例えば先ほどの高血圧から腎硬化症の予防ということだと減塩だと思いますが、加工食品の減塩について、イギリスでは、NICEの政策のように、毎年毎年塩分濃度を下げて薄味にしていくことによって味が悪くなったと思わせずに塩分を減らすことができたというのは、イギリスの国の政策誘導であって、そのために高血圧の患者さんが2割減ったとされています。そういうことを国として主導してやるのも、大事な介入ではないかというのが1つです。

 もう1つ、普及啓発に関して言うと、小児の話はまだ十分入っていない気もするので、小児、学校教育の中でもこういうことをきちんと上げてもらうというのも大事だと思います。今回、日本医師会の横倉会長が学校保健会会長でかつ中教審の委員でもありますが、その辺も日本医師会から申し上げたいと思います。

○柏原座長 ありがとうございます。

○馬場構成員 今、たまたま学校うんぬんの話があったので、私どもはここ3年来、学校の子供たちを対象にした啓発事業みたいなものをやらせていただいて、非常に効果が大きいです。子供たちは、終わると必ずレポートというか作文を書いて、みんな親御さんに持っていくわけです。それで、お父さん、こうですよ、お母さん、こうですよと必ず話をする。それで、翌日また話し合い。これは、ここ23年、一般の方々の啓発事業よりもずっと効果があると。

 特に、先ほど守山先生からのお話にありましたように、私は大阪も熊本も現地を見させていただいており、現場を考えるときに、残念ながら保健師さんをはじめとして末端の指導力がほとんどなされていない。ポスターを作ったりパンフを作って配布はできるけれども、本当にそういう人たちは、さて、どこに相談に行くのかというと、なかなか受皿がないというのが現状です。ここ23年の間に厚労省からもかなり力を入れていただいておりますので、CKDのフォーラムに関しては、ここ2年、3年の参加者はかなり著しく上がっております。そういった意味では、先ほどの報告の中で数が少ないと見えますが、恐らく今年、来年辺りの統計を取っていただくと、かなり数字が違ってくるのではないかというのが現場では感じられますので、今、羽鳥先生から御指摘の子供たちは即対応していただきたいと考えます。以上です。

○門脇構成員 本日の参考人のそれぞれのレポートを聞かせていただきまして、大変勉強になりました。ありがとうございます。約10年前に出された報告書と今回の報告を併せて聞いてみますと、この10年近くの様々な取組の進歩がよく分かります。例えば、糖尿病性腎症あるいは糖尿病性腎臓病についても、糖尿病患者の数が増えているにもかかわらず、その実数については横ばいになってきたということで、一定の成果が上がっていると私どもも評価をしています。

2つの点を申し上げたいと思うのですが、南学構成員からも御紹介を頂きました、厚生労働省にサポートいただいたJ-DOIT3の研究で、従来療法群と強化治療群を合わせて、2,542名のハイリスク糖尿病患者を平均8.5年フォローして、透析の発症が5例でした。これは一般の糖尿病患者の透析導入率に比べて、数分の1になります。したがって、現在のガイドラインである血圧と血糖値と脂質の目標にきちんと到達するような努力によって、かなり糖尿病性腎症による透析を抑えることができるのではないかという1つのエビデンスだと考えていて、そういった取組を糖尿病学会としては更に推進してまいりたいと思っています。

 第2点目は、今日も示されました、かかりつけ医から腎臓専門医への紹介基準などに関してですが、かかりつけ医から腎臓専門医、かかりつけ医から糖尿病専門医、そして、また腎臓専門医と糖尿病専門医の連携といったところが、今後更に重要になってくるのではないかと思います。

 幸いにして、日本腎臓学会と日本糖尿病学会は、この何年か非常に緊密に連携を進めていて、それぞれお互いの理事会できちんと確認をしながら、今回もかかりつけ医から腎臓専門医への紹介基準について、糖尿病学会でも、糖尿病性腎症あるいは糖尿性腎臓病の立場から議論させていただき、エンドースさせていただきました。それと併せてかかりつけ医から糖尿病専門医への紹介基準のようなものも、今まで治療ガイドの中にはあったのですが、それをもう少し分かりやすいような1枚の表にして作成しました。かかりつけ医から見ると糖尿病の患者さんがいて、何か腎臓に問題があるような場合には、腎臓専門医にも紹介いただくし、糖尿病のコントロールが悪いなどがある場合には、糖尿病専門医にも紹介いただくというようなことを、日本医師会にも協力していただくことになると思います。そういったことで連携をして、今ある治療法や治療薬の組み合わせによっても大幅に糖尿病性腎臓病による透析なども減らせるのではないかと考えています。この検討会ではこういった最近の成果、取組の状況も踏まえた、思い切って腎疾患を減らすような案を、相当な説得力を持って出せるという気がいたしますので、大変期待をしております。

○柏原座長 まだ御意見は多々あろうと思うのですが、最後に大事な議題が1つ残っておりますので、そこに移りたいと思います。それは全体目標をどこに設定するかということですが、これは参考資料16ページを御覧ください。前回の全体目標、3-1.対策の目標として、3行にまとめておりますが、2つあるということです。慢性腎不全による透析導入への進行を阻止し、新規透析導入患者さんを減少させること。循環器系疾患の発症を抑制する。この2つに全体目標が設定されております。今度新たに作成するものに関して、この全体目標をどこに設定するかについて、御意見を是非いただければと思います。いかがですか。先ほどのお話でも、患者さんが次第に高齢化しつつあるということもお教えいただきました。付随したサルコペニアであったり。松村先生、よろしくお願いします。

○松村構成員 今、柏原先生がおっしゃったことに当たっているかどうか分かりませんが、重症化を予防するために、私が常々一番大事だと感じておりますのは、緊急透析を0に近づけないかということです。新規透析導入の25%ぐらいありますね。緊急透析をすると、御本人もQOLは低いことになりますし、医療経済の面からも非常に損失が大きい。私は実際にNPO腎臓サポート協会をやっており、うちの会員は15,000人ぐらいいますが、その人たちは透析までの保存期の期間が非常に長いのです。長い人は20年という人までおります。腎不全と言われてから透析導入までの我が国の平均は、2年以内です。それをどんどん伸ばしていくことがいかに大事か。そのためには教育がものすごく大切です。先ほど馬場さんがおっしゃられたように、学校教育からやることも非常に大切です。又、健診を受けて、何らかのデータが引っ掛かかったら、必ず病院に行って調べるという普及啓発をもっともっと進めていかなくてはいけないのではないか。健康21など、いろいろなものが立ち上がっておりますが、具体的に提案していくことも必要ではないかという気がいたします。とにかくCKDの重症化をストップさせるという意気込みでやっていかなくてはいけないのではないかと考えています。

○柏原座長 ありがとうございます。

○南学構成員 松村構成員からQOLという非常に重要なキーワードが出たので、発言させていただきます。患者さんが透析に入った後、あるいは入る前のQOLを高く維持することは、非常に重要です。ただ、その評価が非常に難しいこともよく理解をしていて、国際学会のガイドライン作成委員会KDIGOのエンドポイントのガイドラインを検討する委員会でディスカッションになったのは、患者さんのQOLを維持する治療がいい治療であると。一方、FDAの方がそれに対してQOLをどう評価するのか。患者さんに40ページの質問票を渡して、これを記入せよみたいなことは、FDAは認めないというふうに言っていて、評価することが難しいことも理解はしているのですが、QOLを維持する、より高く保つことは、非常に大事な目標ではないかと思っております。そのためには、CKD全体に対して良質で適切な医療を提供していくことが、根本的な目標になっていくのではないかと理解をしております。

○柏原座長 ありがとうございます。CKDのステージ1から5まで、医療の質あるいはQOLの維持というキーワードも頂きました。議論はまだまだ尽きないわけですが、第2回目以降に継続して議論をしていきたいと思います。個別の柱についての目標の設定、対策については、次回の検討会で議論したいと思いますので、是非よろしくお願いいたします。

 構成員の皆様方におかれましては、非常にタイトなスケジュールで御準備いただき、また、本日は精力的に御議論いただきましたことを、改めて深く感謝申し上げたいと思います。次回は、先ほど頂きました意見を基にして、目標を設定し、更に本日挙げていただいた課題に対する具体的な対策について。そのより参考になる御意見も多々頂きました。議論を頂きたいと思います。本日の検討会は終了といたしますが、改めて心より御礼申し上げます。ありがとうございました。今後の予定については、事務局から御説明をお願いします。

○佐々木がん・疾病対策課長 座長の柏原先生、構成員の皆様、今日はありがとうございました。次回の予定を御説明する前に、今日、御指摘いただいた点を踏まえ、次回までに2つのことを申し上げたいと思います。1つは、冒頭の川村構成員の御指摘、その後の御指摘もそうだったのですが、CKDを中心とした腎疾患をどうするかということの全体の絵柄がどういう状況か。先ほど資料5で御紹介差し上げましたとおりに、既にほかの施策で行政としては対応しているものもありますので、全体の絵柄が見えるようにした上で、その中でこの検討会でより掘り下げていただく。それは全体のマッピングと申しますか、それ整理をして、また次回、お諮りしたいと思います。2つ目ですが、本日頂いた御意見を踏まえて、恐らく、または今日言い忘れた意見もあろうかと思いますので、おおむね来週中、ですから、22日の金曜をめどに追加の御意見等を頂ければと思います。その上で今後の段取りについて福井から御説明いたします。

○福井がん・疾病対策課長補佐 構成員の皆様方、ありがとうございました。次回、第2回検討会の日程ですが、決定次第、御案内申し上げます。事務局からは以上です。

○柏原座長 以上で本日の会議を終了といたします。本日はどうもありがとうございました。

 


(了)

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