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2017年10月19日 第5回「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」議事録

雇用環境・均等局雇用機会均等課

○日時

平成29年10月19日


○場所

中央労働委員会講堂(労働委員会会館7階)


○議題

(1) 前回ご指摘いただいた事項等について
(2) 主な論点(案)について(職場のパワーハラスメントの定義)
(3) その他




○議事

○佐藤座長 
本日は内藤委員から欠席の連絡をいただいております。あとは、吉住委員の代理として漆原肇様に出席していただいておりますのでよろしくお願いします。原委員は用務により11時頃退席ということで、うまく区切りがあれば、そこで御意見を言っていただければと思います。その辺、よろしくお願いします。
 では、本日の議題はお手元の議事次第にありますように、議題1は、前回、御指摘いただいた事項等についてです。これは資料を用意していただいているので、それを御説明いただくのが議題1です。議題2は、皆さんに主に議論していただきたい主要な論点(案)です。特に職場のパワーハラスメント、これの特徴とか、どう捉えるかみたいなことをメインに意見をいただければと思います。これも事務局から資料を用意していただいています。まず、議題1の説明を頂いてから、議題2の主要な論点(案)について御議論いただく順序でやらせていただければと思います。
 それでは、まずはじめに、精神障害の労災認定の基準等について河西職業病認定対策室長から説明いただければと思います。その次に雇用機会均等課からそれ以外の資料について、御説明いただく順序でやらせていただければと思います。それでは河西室長、よろしくお願いします。

○河西職業病認定対策室長
 それでは説明をさせていただきたいと思います。資料7-1です。この7-1、上のシートになりますけれども、精神障害の労災請求と支給決定の状況について取りまとめたものです。平成11年度以降、統計を取っておりまして、請求件数はほぼ右肩上がりの状況で、支給決定件数もおおむね右肩上がりで推移をしておりまして、平成28年度につきましては、請求件数が1、586件で過去最高でした。また、支給決定件数も498件で過去最高になっております。
 下のシート、シート2、精神障害の発病要因、それと業務起因性の考え方について、説明をさせていただきたいと思います。労働者に発病する精神障害につきましては、これは1つには業務による事故や災害の体験、それと仕事の失敗、過重な責任の発生といったような業務による心理的負荷。それと、例えば恋愛問題ですとか、結婚だとか、離婚といったような自分の出来事、それと自分以外の家族・親族の出来事、金銭関係などによる業務以外の心理的負荷、それともう1つは、脳の疾患ですとか、著しい身体疾患などの既往歴、それとアルコール以存、社会適応状況などの個体側要因によって、これらが複雑に関係し合って発病するとされております。ただ、労働者に発病した精神障害、全てが労災保険の保険給付の対象となるわけではありません。これは御承知のとおりだと思います。労災保険制度では、この精神障害については精神医学やあるいは心理学でよく広く受け入れられているストレス-脆弱性理論、簡単に申しますと、ストレスが非常に大きければ、これは個体側の脆弱性が小さくても精神障害が発病する。逆に、個体側の脆弱性が大きければ、ストレスが小さくても破綻が生じるという考え方によって、労働者に発生した業務による心理的負荷と精神障害の発病との間に、相当な因果関係が認められた場合に、その労災保険から保険給付を行うことになっております。
 シート3についてですが、精神障害あるいは精神障害による自殺について、労災請求があった場合には、これは事業場を管轄する労働基準監督署で労災請求の内容を確認し、どのような業務上の心理的負荷によって精神障害を発病したのか事実関係確認をした上で、平成23年12月に策定した心理的負荷による障害の認定基準に基づきまして、業務起因性の判断を行うこととなります。認定基準は、医師あるいは法律学者といった専門家の方々に御参集をいただきまして、検討会を開催して、その検討会の議論を踏まえて策定されたものですけれども、大きく分けまして3つの認定要件を掲げています。1つ目が、認定基準で対象となる精神障害を発病していること。2つ目は、対象疾病の発症前のおおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること。それと3つ目が、業務以外の心理的負荷及び個体側要因により発病したとは認められないことの3つです。
 まず、1点目の認定基準の対象となる精神障害についてですけれども、シート4の左側の説明書きについてです。通称ICD-10という言い方をされますけれども、世界保健機関による国際疾病分類の第10回修正版の第5章に分類されている精神障害で、器質性のものと有害物質によるものを除いた精神障害を対象としています。右の表でいきますと主にF3の気分[感情]障害、F4の神経症性障害、ストレス性関連障害および身体表現性障害といった精神障害を対象としています。認定基準で対象としていない器質性のものについては、これは業務による頭部の外傷といったようなものに付随して発病したものだかどうなのかを確認すること。それと、有害物質によるものについても業務によって、例えば、化学物質に暴露して、精神障害を発病することもありますので、それらは認定基準によってではなく、個別に業務上外を判断することにしております。
 次に、認定要件の2つ目の所になりますが、対象疾病の発症前のおおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること。これをどういうふうに評価していくかということなのですけれども、認定基準では業務による心理的負荷と精神障害発病との関係を客観的に評価するため、「業務による心理的負荷評価表」に当てはめて判断をすることとしております。
 お手元にパンフレットをお配りしているかと思うのですが、そちらの5ページを御覧ください。この評価表では、業務で起こり得る出来事を、まず大きく2つに分類します。具体的には、この表の冒頭の所の「特別な出来事」の部分と、その下から始まる「特別な出来事」以外という2つの分類をすることになります。労働者に生じた業務による出来事が、評価表の「特別な出来事」に該当すれば、極度の心理的負荷をもたらす出来事があったとして、強度としては「強」「中」「弱」の3段階評価のうちの「強」に該当すると評価されまして、原則的には業務上ということになります。この「特別な出来事」については更に2つに分類がありまして、1つは心理的負荷が極度のもの。それから極度の長時間労働という区分があります。この「特別な出来事」の類型の右隣の枠の所ですけれども、ここでは具体例が示されておりまして、例えば心理的負荷が極度のものとしましては、生死にかかわる、極度の苦痛を伴う、又は業務上の病気やけがをしたというようなものについては、これは心理的負荷の総合評価は「強」に分類されることになります。
 一方、この「特別な出来事」に該当しない場合、これはパンフレットの5ページの真ん中の辺りから始まって9ページまで続きますが、この表にあてはめて心理的負荷の強度を評価することになります。この(具体的出来事)の所の評価表についてなのですけれども、大きく6つの類型を示しておりまして、表の所で言いますと○1なのですが、事故や災害の体験、その下の○2仕事の失敗、過重な責任の発生等、それから7ページ○3仕事の量・質、それと8ページ、○4役割・地位の変化です。それと9ページ、○5の対人関係、○6のセクシュアルハラスメント。大きく分けて6つの類型に分けています。
 この研究会のテーマであるパワーハラスメントによる精神障害を例にして、少し説明をさせていただきたいと思うのですが、まず、注意いただきたい点として、この評価表においては、パワーハラスメントという用語は、実のところ用いていないということです。パンフレットの9ページ、1番上の部分になりますけれども、パワハラについては、この評価表では出来事の類型としては○5の対人関係の分類のうち、具体的出来事の欄で言いますと、(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けたの区分で評価することになります。この評価表では、具体的な出来事ごとに平均的な心理的負荷の強度について、ローマ数字の「1」「2」「3」の3段階の区分がありまして、ローマ数字の「3」が最も強い心理的負荷になっています。出来事ごとに、その平均的な心理的負荷の強度をこの★(星印)の所で示しています。(ひどい)嫌がらせ、いじめまたは暴行を受けた事実が確認されれば、平均的な心理的負荷の強度は、最も強度の強い「3」に該当することをこの★で示しています。
 その右の隣の枠になりますけれども、心理的負荷の総合評価の視点という欄があります。この欄では、具体的出来事に典型的に想定される検討項目を示しておりまして、いわゆるパワハラの関係で言えば、嫌がらせ、いじめ、暴行の内容、程度、それとそうした行為の継続状況を確認をして、総合的に評価をすることを示しております。
 更に右側の枠の所、心理的負荷の強度を「弱」「中」「強」と示す具体例が示されておりまして、それぞれの具体例に当てはまる場合に、そこに示された強度が業務による心理的負荷の強度になり、強度が「強」と評価される場合には業務による強い心理的負荷によって精神障害を発病したということで、業務起因性を認め、保険給付を行うことになります。
 (ひどい)嫌がらせ、いじめ、または暴行を受けたという出来事の評価にあたっては、その評価の視点にあるとおり、嫌がらせ、いじめ、暴行の内容、程度等、それと継続状況について確認をした上で、その「弱」「中」「強」の強度を評価することになるのですが、「強」となる具体例といたしましては、評価表のピンク色の網掛けがされている所ですけれども、部下に対する上司の言動が、業務指導の範囲を逸脱しており、その中に人格や人間性を否定するような言動が含まれ、かつ、それが執拗に行われた。あるいは、同僚等による多人数が結託しての人格や人間性を否定するような言動が執拗に行われた。それと、治療を要する程度の暴行を受けたというのが示されておりますが、これに当てはまれば、業務上ということになります。もう1つ、注意していただきたい点が、その評価をする上で、ハラスメントを受けたとする労働者がいじめや嫌がらせをどのように受けとめたかを基準とするのではなくて、これは同種の労働者が、客観的に、どのように認識したかを認定にあたっては気を付けています。
 それともう1つ、大事なポイントといたしまして、先ほどの説明をした中で、認定基準では心理的負荷の評価期間、これを精神障害発病前、6か月を原則とするという話をさせていただきましたけれども、パンフレットの4ページを御覧いただきたいのですが、いじめやセクハラのように出来事が繰り返されるものにつきましては、その発病の6か月より前にいじめやセクハラ等が始まって、発病まで継続していた場合には、6か月ではなくて、そのような行為が始まった時点から心理的負荷を評価する形にしています。
 先ほどの資料7-1に戻って、シートの5になります。これが「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」という具体的な出来事によって、業務上として認定された件数です。平成28年度で見ますと、出来事の累計としては、74件になります。過去5年間を見ても、支給決定件数は増加している状況です。
 それと資料7-2、これは過去の支給決定事案につきまして、個人情報保護の関係もあるので、詳細な内容については差し控えさせていただきますが、3例ほど資料とさせていただきました。事例○1につきましては、これは金融機関で営業職として勤務していた労働者が、上司から人格や人間性を否定されるような言動を執拗に受けるようになって、うつ病を発病したものです。事例○2ですけれども、これは建設会社で働いていた労働者が、先輩社員たちから嫌みや無視などの嫌がらせを受けるようになって、これがエスカレートしたことによって適応障害を発病した事例です。事例の○3につきましては、運送会社で働いていた労働者が、上司からペットボトルを顔に投げつけられた上で、平手討ちをされて負傷を負い、外傷後、ストレス障害を発病した事例です。私からの説明は以上です。

○佐藤座長
 では、今の御説明は後で御意見を伺うことにして、資料1は除いて2項で説明することにして、御意見を伺ってから資料1にしましょうか。

○掘井雇用機会均等課長
 それでは、資料2から説明させていただきます。資料2は裁判例において示されたパワーハラスメントの定義ということで、前回の検討会の際、職場のいじめ・嫌がらせなどに関する裁判例から、事務局がピックアップしたものを御紹介させていただきましたが、その事案に加えて、ほかにも幾つか、地裁レベルですけれども、裁判例の中で定義のようなものが示されている部分を抜き出したものです。
 この資料の中の一番下、U事件ということで東京地判、平成24年3月9日のものを書かせていただいています。これは前回の検討会のときに示したものと同じですが、それ以外の上の3つのポツについては今回新たに付け加えさせていただきました。
 一つ一つについての御説明は省略をさせていただこうと思います。しかしながら、全体として見ますと、「優越的地位」というようなキーワード、組織や上司の「職務権限」ということ、そういった形で裁判においては、比較的限定的な形で定義を設けてパワーハラスメントに言及しているという印象もございます。
 続きまして、資料3についての御説明に移らせていただきたいと思います。前回の検討会の際、複数の委員の方から、実際裁判で違法性が認められたようなものの中でも、真っ黒な、これはすぐ違法性が認められるという事案もあれば、そうではないものもあるので、そういった点に着目してはどうかという御示唆をいただきそれを踏まえて作ったものです。幾つか裁判例がある中で、不法行為などの違法性が認められたもの、6類型に当てはまるようなものをピックアップして左側に書き、逆に1つの事案の中で複数の行為について争われているものが多いのですが、その行為については認められなかったものを、やはり同じような形で右側にピックアップしてみたものです。ただ、前回もお伝えいたしましたが、いじめ・嫌がらせについての裁判例は非常に多く、私どもも全てが全て把握できたものではありません。そういった意味で見たものの中のエッセンスということで御紹介させていただきたいと思います。何が認められたか、認められなかったかということもさることながら、資料の真ん中の点線のところ、違法性を認める判断に至るに当たって考慮されている点に着目して作った資料です。
 点線の中の判断に当たり考慮されている点というところには、6つの○で要素を書いております。例えば本当に身体的に、直接的な著しい暴行を加えたり、そもそも本人の人格を真っ向から否定してしまうような精神的な著しい攻撃がある。点線で囲まれた箱の中で言うと、一番下に書いてある明らかに人格権を侵害しているような事案・行為であるというようにして、違法性が認められているようなものがあります。ただ、○で言いますと1番目、指導監督・業務命令を逸脱した行為があったかどうか。そういったところについて判断をしたり、その判断に当たっては行為をした人の動機や目的、受け手との関係といったことが考慮されたり、あるいは受け手の属性、行為の継続性などの要素が考慮されたりといったことで判断に至っている事案も見受けられたところです。
 真ん中の判断に当たり考慮されている点、裏の部分でもう少し書き下ろしをしております。裁判例において、不法行為責任あるいは債務不履行責任が問われた場合等の違法性等の判断にあたっては、その具体的な要素としては、例えば指導監督・業務命令を逸脱した行為の有無があるかどうかという判断にあたって、その行為が業務と明らかに関連性のない行為であったり、権限の範囲を逸脱して裁量権の濫用とされる行為であったり、あるいは社会通念上許要される業務指導の範囲を超えた行為というような形で認められるものについては、逸脱した行為であるという形の判断をされるものが見受けられました。
 また、行為者の動機・目的・受け手との関係のところですが、具体的には例えばその行為がこれは指導だと言っていたとしても、中身を見ると、もう既に指導ということではなくみせしめに近いのではないかということで、不当な動機、目的に基づいたものであると判断される、あるいは、もう業務ということに関係なく、単なる私的目的に基づくものとみなされるものではないかという判断の裁判例も見受けられました。
 受け手の属性というところにつきましては、判断に当たり、裁判例の中で平均的な心理的耐性を持つ者に対する心理的負荷の程度を勘案するというようなことで明示したものがありました。受け手の状況を勘案するということで、例えばその行為を受けた者が新入社員であって、まだ十分な教育なども受けていない、あるいは経験もない人に対する在り方としてはどうか。そのような観点で判断をしたものもありました。
 行為の継続性、回数や加害者の数などについてはこちらに記載してあるような状況です。結果、その受け手が身体的・精神的に抑圧された程度であり、あるいは人格権侵害の程度を踏まえた形での判断がされているということが多かったように見受けられます。資料3については以上です。
 引き続き資料4、こちらも前回、委員の方からセクシャルハラスメントですとかいわゆるマタニティハラスメントなど、ハラスメント対策ということで既に講じていることとの関連の資料をという御要望がありましたので、用意をさせていただきました。ちなみに、既に措置を講じておりますセクハラなどにつきましては、本日お配りをしました「参照条文等」と書いてあります参考資料の中にも該当する指針や解釈通達を、全体に該当するものを書かせていただいております。併せて御参照いただければと思います。
 まず1枚お開きいただき、資料4の2ページ目のスライドです。職場におけるパワーハラスメントにつきましても、円卓会議のワーキンググループ報告の中に記載をしていただいております定義や範囲、類型を参考に併せて書いております。しかしながら、もう既に制度ということで、法令などに基づいて実施をしているものと性格が違いますので、そのあたりは、御参照いただく時に御利用いただければと思います。
 まず定義のところですが、セクシャルハラスメントは男女雇用機会均等法第11条に記載されている部分の関連です。職場において行われる性的な言動に対する雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されること、これが均等法上書いてあります。均等法の解釈通達の中では、下の※1にありますが、「労働者の意に反する性的な言動」及び「就業環境を害される」の判断に当たっては、一定の客観性が必要であり、具体的には、被害を受けた労働者が女性である場合には「平均的な女性労働者の感じ方」を基準とする。労働者が男性である場合には「平均的な男性労働者の感じ方」を基準とすることが適当である旨を示しています。
 また、労働者が明確に意に反することを示しているにも関わらず、さらに行われる性的言動は職場におけるセクシャルハラスメントと解される旨を示しております。そして、いわゆるマタニティハラスメントなどや育児休業取得についてのハラスメントについても、右側に同様に法令上規定がされております。
 なお、右側の2つのハラスメントにつきましては、平成29年1月1日施行の部分で、上司や同僚による言動に対するハラスメントを事業主が防止することが義務づけられました。しかし、そもそも、それ以前に、これらの行為についての事業主による不利益取扱いの禁止などは規定されていたところです。これが2ページの注意書きに書かせていただいている内容です。この不利益取扱いについては一番最後のページに参考としてお付けしております。
 資料の3ページ、類型についてです。職場におけるセクシャルハラスメント、左側から2番目の欄につきましては対価型、環境型という形で示されております。関連する通達におきまして、単なる性的な言動があるということではなく、特に就業環境が害されたということには、一定の客観的要件が必要である旨が書いてあります。
 その右隣、職場における妊娠・出産等に関するハラスメントにつきましては、制度などの利用を嫌がらせということで類型化するものと、その女性労働者が妊娠をした、あるいは出産をした、またそれ以外の言動ということで、そのような状態についての嫌がらせという形で2通りの大きいパターンが示されています。
 このような形でハラスメントによって若干異なる部分に着目しているのですが、もう1つ、右側の2つ、職場における妊娠・出産等のハラスメントと職場における育児休業等に関するハラスメントにつきましては「なお」ということで、業務分担や安全配慮等の観点から、客観的にみて業務上の必要性に基づく言動によるものについては、ハラスメントに該当しないというセクシャルハラスメントにはないような記述がございます。ハラスメントの多様性に応じて、若干違いが出てきているということかもしれません。
 続きまして4ページ、こちらはそれぞれのハラスメントについての典型例ということで指針などにおいて示されているものです。これも類型ということで、典型例が該当されているものですので、後ほど御覧いただければと思います。
 5ページは、いわばどういう行為者が、あるいはどういう場面でということで、御覧いただきますと、職場におけるセクシャルハラスメントの場合につきましては、通達において事業主、上司、同僚に限らず、顧客、取引先、患者や生徒等も行為者となり得ることが記載されています。
 そして、行われる場所、職場については、左側3つのハラスメントにつきましては、事業主が雇用する労働者が業務を遂行する場所ということで、通常就業している場所以外の場所であっても、業務を遂行している場所であれば「職場」に含まれるということが示されております。
 6ページをお開きください。今日の検討会は定義や範囲について、主に御議論をいただくので、措置の内容は、もしかしたら次回の検討会のところにからむのかもしれませんが、各ハラスメントにつきまして、今、事業主に対して措置義務が求められている内容について記載したものです。職場におけるパワーハラスメントにつきましては、円卓会議の提言の中で取組みが示されたものを記載しております。資料4につきましては以上です。
 続きまして、資料5-1の説明に移らせていただきたいと思います。資料5-1は、顧客との関係ということで、前回、裁判例をお出しした時、顧客との関係での裁判例が含められなかったものですから、今回の検討会の範囲との関係で、ちょっと広いような部分もあるかもしれませんが、幾つか病院の関係が見付かりましたので裁判例を2つ付けております。
 1ページのN事件、東京地裁における平成25年の事案につきましては、勤務をしていた看護師さんが業務中入院患者から暴力を受け、傷害を受け、その後、適応障害になって就労が困難になったので、休職して解雇通知を受けたという事案です。
 この東京地裁の結論の判旨の概要の2段落目、「病棟において」と書いてありますが、看護師の方がせん妄状態あるいは認知症などで不穏な状態にある入院患者の方から暴行を受ける、これが日常状態だったという事案のようです。このような状況にある患者による暴行を、回避・根絶を完全にするというのは不可能かもしれないが、最悪の場合、病院としてはこのような事柄が生命の危機に関わる可能性もあるため、看護師の身体に危害が及ぶことを回避すべく最善を尽くすべき義務があったとうことで、1回目の暴力があった時にはナースコールが鳴ったけれども、その応援体制が直ちには対応できなかったということもあり、結果的には安全配慮義務違反が認められたという事案です。
 復職後、不幸にしてまた事故に遭われたわけですが、この際は病院側も産業医を交えて復職先をどうするかという協議を重ね、慎重に、それなりに対応していったということで安全配慮義務違反があったとは言えないとされました。
 2回目の事故の心理的負荷を原因として精神障害を発症し、休職期間満了を原因とした解雇でありました。業務上の傷病ということではないということで解雇有効とし、ここの部分の請求は棄却されたという事案です。
 次のK事件は、看護助手の方が看護師の指示のもと、患者を抑制して共に作業に当たっていた際に、患者の方に腕を噛まれてC型肝炎に羅患し、行為障害が残って安全配慮義務違反で訴えたという事案です。
 特に訴えた方は病院の看護の助手ということで、まだ十分な経験がなく、半年ぐらいしか経過していないと。抑制作業に従事をしたこともない、さらには学んだこともない。そして方法、あるいは注意事項についての十分な教育を施されることもなく、暴れる患者の補助を命じられ、それにより暴行を受けたということになりましたので、会社に対しては安全配慮義務違反が認められたケースになっています。
 資料5-2と5-3につきましては、公表資料の中から顧客との関係で何か資料がないか、ということで事務局で探したものです。5-2については全日本病院協会が2007年時点からの調査ということで、若干時期は前になりますけれども、院内暴力や精神的な暴力、そして患者本人によるもののみならず、家族、親族、患者関係者によるもので調査をしているものがありました。
 続きまして資料5-3を御覧ください。これは鉄道、鉄道係員に対する暴力行為ということで、国土交通省さんのホームページに記載がありましたので、参考に付けさせていただきました。特に事例の内容を見ますと、酩酊をされた方から係員の方が暴力などを受けたり、非常に深刻な事案が多いように見受けられました。資料5の関係については以上です。
 続いて、資料6についての御説明をさせていただきたいと思います。資料6につきましては、職場のいじめ・嫌がらせに関する諸外国の取組ということで用意をさせていただきました。諸外国の取組については、7月の検討会の際にも1度資料をお出ししております。今回はそれも踏まえ、特に今回、定義やその対象範囲というようなことが議論に挙がっていることを踏まえ、参考文献などに当たり、それを事務局の責任で関連のあるところについてピックアップをしたものです。
 関係する法令などや、例えば出典をさせていただいた文献の著者の方が地の文で御自身の見解、お調べになったことも参考になりそうな部分は※で資料の中に引用させていただいています。2ページのフランス、こちらの枠組みとしては労働法典、労使関係現代化法ということで、モラルハラスメントは「労働者の権利及び尊厳を侵害し、身体的若しくは精神的健康を損なわしめ、又はその職業的将来を危うくさせる恐れのある、労働条件の毀損を目的とし、又はそのような結果をもたらす精神的ハラスメントを反復した行為」、このような形で定義があるということです。
 行為の対応の類型のところに、例えば、1回でもセクハラは違法になり得るけれども、精神的なハラスメントは反復性ということが求められるとか、加害者の行為の意図は重要ではないなどと書かれておりました。
 スウェーデンは3ページで、雇用環境規則において欧州諸国の中でもかなり前から取り組んでいたと聞いています。そして、職場いじめということの定義がこちらに書いてあるような形で規則の中に記載をしてあるのですが、この規則の補足的な内容ということで指針が定められ、その定義に関する指針で、「職務に関し一般的に時として生じる意見の相違・衝突等の諸問題はノーマルな現象として見なされるべきである。それらは職場において絶え間なく生じているのであるが、改めて言うまでもなく、それら諸問題に関する双方の態度や行動は誰かを傷つけ故意に攻撃することを意図するものではない」など、こういった解説が指針の中で明記をされているようです。
 行為者についても、指針において、「いじめは、被用者および被用者個人、あるいは使用者の代理人によりなされる」という形の規定があるという御紹介がありました。
 続いて、ベルギーは労働における暴力、モラルハラスメントあるいはセクシャルハラスメントに対する保護法についての関連部分を引用しています。定義も、こちらに記載があるように「企業や施設の外部あるいは内部において、行動、言辞、脅迫、行為、身振り、一方的な書き付けによって表現され、(中略)労働者の人格、尊厳あるいは肉体的あるいは心理的な統合性を損なうことを目的とするあるいはそのような効果をもたらし、その雇用を危険にさらし、威嚇的や敵対的な(中略)複数の行為」とされています。
 これ以外にも労働における暴力、セクシャルハラスメントについては別途、定義規定があるようです。行為の態様の部分ですが、下の※、例えば反復性について、加害者の行為の意図について、あるいは権限の通常の行使については、労働者が主観においてある種の異常な状態を経験するものであっても、ハラスメントの結果と同視することはないなどの解説もございました。
 対策のところですが、ベルギーは使用者と労働者それぞれに暴力やモラルハラスメントなどの行為を行わない義務を負うという規定を設けているようです。そして、不利益取扱いの禁止ともに措置義務なども詳細に設けられてきて、労働者の義務も労働者としてハラスメントの防止政策に積極的に参加をし、あるいは行為を慎むこと、苦情手続の濫用的な行使を慎むことというような規定があるということです。そのようなことも受け、行為者のところは使用者と労働者、第三者という形で定められているということのようでした。
 イギリスは特別に、職場についての法律というものがなく、ハラスメントについての保護法とコモンローといったところで措置をされているようです。
 EUは6ページでハラスメントと暴力に関するEU社会対話の枠組協約というものを記載しています。ただ、これはEU指令とは異なり、加盟国が自主的に取り組むものという形でされております。
 各EUの加盟国において、具体的に、例えばフランスなどだったと思いますが、労使によって協定が結ばれている。ただ、それを結ぶ際、当然この枠組協約と全く同じものというわけではなく、各国の労使がそれぞれ話合いをして協定を結ぶ。そのような枠組みということです。
 関連資料についてはとりあえず以上です。資料1の説明は引き続きさせていただくことにしたいと思います。とりあえず、ここで終わります。

○佐藤座長
 それでは、今までの御説明に関して質問を受けたいと思います。最初に河西室長から御説明のあった、精神障害の労災みたいなところをまず先に伺ってまとめていただいて、もし御質問があればよろしくお願いします。

○漆原氏(吉住委員代理)
 労災認定基準のパンフレットについて質問させていただければと思います。この記載については、平成11年の判断指針から平成23年に認定基準へ切り替えたと思います。9ページの一番下、「セクシャルハラスメント」という記載がありますが、自分も記憶が定かでないのでお伺いしたいのですが、平成11年の時には既にこの名称が入っていたのか、あるいはセクハラに関する規定や法整備が整った段階である平成23年に追加されたのか。その経緯をお教えいただければと思います。

○河西職業病認定対策室長
 平成11年の後、実はもう一度、判断指針の改正がありました。それが平成21年だったかと思います。その平成21年の時にも入っていなくて、平成23年の時に新たに入ったということです。

○佐藤座長
 分かりました、それに合わせてということですね。

○河西職業病認定対策室長
 はい。

○佐藤座長
 ほかにはいかがですか。

○中澤委員
 資料7-1の5ページにパワハラの関係に限定した精神障害の支給決定件数がグラフで出ています。資料7-1の1ページのような形で、請求件数との対比のようなデータというのはございませんでしょうか。

○河西職業病認定対策室長
 実は労災請求をした時点でいじめやパワハラかどうかというのは分からないわけです。認定した際、結果としてそこの区分で認定したという形になりますので、請求とは比較はできません。

○中澤委員
 なるほど、分かりました。

○佐藤座長
 ほかにはいかがですか。1つ、別表のところほかの条件、複数の要素があると思います。ただ、9ページのいわゆる対人関係のところというのは、「強」があればかなり認定されると考えていいですか、使い方がちょっと分からなくて。

○河西職業病認定対策室長
 「強」に該当すれば基本的には業務上という形になります。ただ、今、御指摘のとおりいろいろ当てはまるものがあって、例えば強度が「中」と「中」のものがあった場合にどう評価するのかだとか、「強」と「中」をどう評価するか、3ページを見ていただくとよろしいかと思います。複数ある場合についてなのですが、下の表のところで絵が分かりやすいかと思いますが、「強」と「中」または「弱」があれば「強」になるし、「中」と「中」が幾つかあると「強」または「中」になるというような評価をしていくということです。

○佐藤座長
 基本的な考え方ということですね。

○河西職業病認定対策室長
 はい。

○佐藤座長
 分かりました、よろしいですか。そうすると、もちろん、またあれば必要に応じてということですが、その後、雇用機会均等課長から御説明いただいた資料について、御質問なり御意見があれば伺えればと思います。

○小保方委員
 資料6の関係で質問させていただきます。諸外国の事例を改めてまとめていただいて、定義の部分で各国のいじめ、嫌がらせの定義を拝見する限りでは、職場内における優位性の要件は、区別して語られていないと理解しているのですが、その部分について調べていただいた限りで、その理解で間違いないか確認させていただきたいと思います。

○堀井雇用機会均等課長
 実は時間的な関係もありまして、原典や解釈の通知などには当たれておりません。したがって、法律上の定義をより細かく記載したり、あるいは裁判例などで解釈を積み重ねている部分もあると思いますが、できる限り分かる範囲で、解釈に指針などがあるものについては書かせていただいたということで、御覧いただいているものというのが、今日の時点という状況と御理解いただければと思います。

○佐藤座長
 ここはもう少し積み重ねていくということですね。

○堀井雇用機会均等課長
 はい。

○佐藤座長
 ほかにはありますか。

○浜田委員
 これまでも申し上げてきたことの繰り返しになりますが、資料2をはじめ、御提示いただいたものを見ますと、パワハラに関する判例がたくさん出ていることと、最初に御説明いただいた精神障害に係る労災の件数がこれだけ増えていることを考えますと、やはり、セクハラやマタハラが法的にきちんと整備が進む中で、パワハラについても何らかの規定を整備していくべきではないかという印象を持ちました。
 法制化については、例えば前回の円卓会議で、せっかく素晴らしい定義を考えていただいた文がありますので、それをベースに防止措置としての大枠の定義を盛り込んだ上で、判例などがたくさんあるということであれば、それらを参考にしながら具体的な例示を列挙していくのがいいのではないかと考えます。

○布山委員
 資料3に関わる部分ですが、どう読めばいいかということで教えていただきたいと思います。違法性が認められなかった例は幾つか入っていますが、例えば、過大な要求の所で「不正経理を是正する指示をしたにもかかわらず、1年以上是正されなかったことに対して叱責」となっていて、この文書だけを読むと、それは違法とか、違法ではないという問題以前に、それはそうだろうと思ったのですが、この案件自体は、この叱責が非常に精神的にダメージを受けるような叱責でしたが、この指示を1年以上放っておいたことのほうを重視して、違法性がなかったと読めばいいということですか。

○佐藤座長
 今の所も、その下も、私は管理職としてはこれは駄目だと思います。しかし、パワハラではないということがあるから、管理職としては問題はあるということですか。分からないですが。

○堀井雇用機会均等課長
 今の座長と布山委員の御指摘の関係で、1つの事案は複数の行為、大体複合的な事案なので、この行為もあった、この行為もあった、という形で実際の裁判は構成されていると。その中で、一つ一つの行為について不法行為の該当性を見るという処理のされ方をするときに、ここだけ見ると、そういう意味でのトータルの事案の捉え方という意味では、ややミスリードの部分もあるかもしれません。ですから、事務局の中でも、認められなかった例を入れるのはどうしようかなと悩んだのですが、一応、入れてみて右側を御覧いただいて、むしろ左側に認められたケースとその判断に当たって考慮された点を御覧いただくほうがいいのかなという気もしております。以上です。

○上田雇用機会均等課長補佐
 補足です。この事件については、幾つかの行為について負担があったということで訴えられていて、これは正にその1つです。それに対して訴えはあったのですが、実際の裁判の判決においては、少なくともここの部分については、通常の業務の範囲内なので問題にならないということで、ほかのものは問題になったものもあったのですが、ここについては考えないということになったという状況です。

○佐藤座長
 ほかに質問はありますか。

○川上委員
 資料5-1の件で少しだけ教えてほしいのですが、ここに挙がっているのは、病院の看護師の例だけですが、これ以外の業種でもあるのかどうかということと、今回、暴力行為を伴うものだけが挙がっていますが、暴力行為以外のケースもあるのかどうか、もし分かれば教えてください。

○堀井雇用機会均等課長
 実は前回もお話をさせていただきましたが、顧客との関係で裁判になったものということで探したのですが、典型的なものが余りなかったもので、分かったのはこの範囲ということです。
 対顧客との関係で、例えば、ストーカーのような行為を顧客から受けて、そのことで裁判になったものとか、そういったものもあるようです。ただ、やはり分かりやすく、、身体に接触する病院という場であり、安全配慮義務というところが取り上げられやすいのが背景があって、こういう裁判例があったのかと思っております。

○川上委員
 ありがとうございます。

○内村委員
 資料7-1の、精神障害の労災認定に関する、手続の仕方について質問させていただきます。例えば、職場のいじめや嫌がらせ、ハラスメント等で、精神疾患、あるいは精神障害の申請をするときに、精神的に障害になっている人がいろいろな資料をそろえて提出をするとなると、そこまで証拠がそろわない、こういったいじめがありましたということが証明できないとなると、そこにたどり着くまでの間に諦めてしまう事例なども多いのではないかと思います。その申請を手続するに当たっての難易度を教えていただければと思います。

○河西職業病認定対策室長
 基本的には請求書を出していただければ、それでいいのですが、それは監督署のほうで同僚の方や、あるいは職場の上司の方から聴取をする。それで、事実関係を確認していく。これは監督署でやっていくのが基本、そういう部分があるのですが、認定をするのに早く処理するには、請求する段階で証拠資料を出していただいたほうが早くは処理できる。ただ、監督署のほうでもできるだけ事実関係を確認して、認定はしていくというスタンスです。端的に言えば、請求書を出していただければ、それはそれで監督署で後のところは処理するということです。

○内村委員
 そうしたときに、いわゆる精神疾患、精神障害になった方というのは、冷静に判断できないことも考えられますが、そうした場合は、一般的には家族や身近な人がお手伝いをするのですか。

○河西職業病認定対策室長
 多いのは、やはり弁護士さんが付いているというのが多いのです。それと1点、先ほどの御質問で訂正をさせていただきたいのですが、平成11年のときの判断指針の中で、セクシャルハラスメントも既に入っておりました。失礼しました。

○佐藤座長
 もう1つ議題にあるのは、何かあれば。

○中澤委員
 資料6の諸外国の取組で、細かいことが書かれていないので分からないのですが、一方で、資料4の1ページに、「定義」が書いてありますが、職場におけるパワーハラスメントについては、円卓ワーキンググループの報告を引用して書いておりますが、グループの報告の中には、いわゆる部下から上司へという形のものが付記されていたと理解しておりますが、海外の事例の関係で職務権限以外で、先ほど申し上げたように、部下から上司とか、そういった概念での規定は諸外国ではあるものですか。

○堀井雇用機会均等課長
 今、私どものほうで把握をしている定義から見ると、例えば上司から部下とか、部下から上司という形の定義の置き方をしているのは、ここに書いてある範囲では見受けられない部分もあると。被用者に対しとか、あるいは労働者とか、そういった形での定義の置き方というものを幾つか紹介しております。先ほども御説明しましたが、細かいところがなかなか調べきれていない部分がありますので、もしかしたら、こういったことを補う何らかの解釈みたいなものもあるかもしれないと思います。

○中澤委員
 資料4の中で、ワーキンググループの中で定義をされている中では、もっと幅広に捉えていたと思いますが。分かりました。

○佐藤座長
 今のは、これから調べていただければいいと思います。この資料の一番最後のEUを見ると、行為者は管理者だけではないので、同僚とか、これは顧客、企業とか、患者、生徒と書いてありますが、これは国によりますが、別に管理者だけと限定しないと考えていいと思います。行為者のほうはそうなっていますので。

○野川委員
 今の点でコメントをさせていただきます。資料6の諸外国の取組の所で、非常に簡明に整理してくださって大変有り難いと思います。ちょっとコメントしますと、幾つか御質問にあるように、通常EUをはじめ、参考となるような先進諸国においては、基本的に日本と違うのは、日本ではパワーハラスメントという言葉が、すんなり受け入れられましたよね。諸外国では、パワーハラスメントと言っても、英語として余りピンとこないと思います。それの一番大きな理由は、日本では職場におけるハラスメントの最も大きなエリアが、権力構造であるとか、権限関係であるとか、要するに上下関係です。その業務の体制の中で、そういう関係が背景としなって起こるのだと、そういう大前提があるのですんなりくるのですが、必ずしも諸外国はそうではない。職場であって、上司がいて、そこから指揮命令を受けるといっても、そこに日本で考えるような権力構造や権限関係が通常存在するという頭はないので、そこから生じるものではなくて、働いている人が正にいろいろな所から、いろいろな機会をきっかけとして受けるような人権侵害というものをなくしていきましょうという頭で検討しているわけです。ですから、当然、そこには加害者としては、もちろん上司もあるけれども、それはone of themに過ぎない。顧客もあれば、もちろん部下もあるでしょう。そういうように、部下からはどうなのだとか、上司のうちのこういう立場からどうなのだという頭になるのは、やはり日本の特殊性が背景にあるということは確認したいと思います。したがいまして、後でも議論になりますが、優位性ということが外国で出てこないのも、別にそれが問題ではないということです。受ける人権侵害というのは、立場の優位性を前提として起こるのが一般的だという認識は外国にはないということから、そうなっているということです。すみません、少し長くなりました。

○佐藤座長
 いやいや、非常に大事な点です。全部「ハラスメント」という議論ですね。それは大事な点だと思います。しかし、日本の現状では実態として事例を見ると、やはり、管理者が多いです。中身としてはかなり広いので、そういう意味では「ハラスメント」と言うほうが、その会においては馴染むものもかなり入っているということです。それはどうこれから議論していくかということでも大事な論点です。ほかにはよろしいですか。

○岡田委員
 資料4でいろいろ整理されていますが、3ページの行為の態様(類型)、4ページ、(典型的な例)、この違いはどういうふうに。パワーハラスメントということが特に入れていないのですが、この違いというところを

○佐藤座長
 類型と典型な例。

○堀井雇用機会均等課長
 すみません、確かにここは分かりにくかったかもしれません。セクシャルハラスメントや、いわゆるマタニティハラスメントのほうは既に法律上の規定があり、それを受けた形で、指針などでより具体的なものを明記しています。その指針などで明記をしている、例えば、3ページに書いてある類型を、更により具体化した具体例を示した形で記載をしています。それが3ページと4ページの部分の関係という形になります。
 一方で、職場のパワーハラスメントの所は、そういう意味でこの書き方でいいのかどうかというのはあったのかもしれませんが、提言の中、あるいはその提言の前提となった円卓会議の報告書の中では、概念はこういう形にして、例えば、その概念の全てではないが、幾つかの典型例ということで6類型書いてある。ある意味あっさりした作りになっていましたので、同じような詳しさで書くことができなかったので、1つにはめてしまって、関連性が分かりにくくなったということだと思います。そこは資料の作り方と、もともと寄って立つ部分の、既に制度が動いているものと、そうではない提言を比較したというところでこうなってしまったということです。少し分かりにくくてすみません。

○岡田委員
 それに関連して、先ほども優位性というか、業務と関係して、地位のある人がやっているものというのと、単なるいじめ・嫌がらせというものを大きく分けると、セクシャルハラスメントで言うと対価型、環境型みたいなものと同じように、業務上とそれ以外に、もしかしたら大きく分けられるのかなという感じがしましたので、ここの分類が分からないので確認させていただきました。

○堀井雇用機会均等課長
 今の委員の御指摘は、正に今日のテーマの議論の所にも絡むのではないかと思います。前回の検討会のときも、委員の方からは、円卓会議のワーキングの、ここで決められた概念とか類型というのはかなり練られたものですが、これをベースにして議論をしてはいいのではないかという御意見もありました。ただ、そう考えたときに、今の内容で十分なのか、もっと広げるべきかとか、いろいろな御意見が、これまでの議論を伺ってあるように思いましたので、事務局としては資料1で、定義について、よりパーツに分けた形での議論を頂けるような資料を用意して、この後の時間に御議論を頂くということで考えております。以上です。

○佐藤座長
 よろしいですか。それでは、資料1について御説明いただいて、その後、御意見を伺うとしたいと思います。では、よろしくお願いします。

○堀井雇用機会均等課長
 それでは、今の話の流れで資料1のところです。パワーハラスメントの定義についてという、今回の議論の関係で、更に幾つかの論点に分けています。この分け方というのは、これまで御議論を頂いた中で、意見で出てきた内容ですとか、あるいは資料などを作成して、御覧いただいた裁判例や個別労働紛争といった事案なども着眼して、こういった部分について大まかに御議論いただきたいという点です。
 まず1つ目はパワーハラスメント、その特色というところです。セクシャルハラスメントや、いろいろなハラスメントで既に措置を講じられている部分もあるかもしれません。ただ、パワーハラスメントという新しい問題について見るときに、例えば個別労働紛争の事案や、裁判例などを見ると、当事者の間で認識の差が大きいと、したがってその解決が非常に難しいと、相談対応などをやっていても、そこをどう埋めるか、そのような御意見もあったと思います。
 また、外形的には同様な行為のように見えても、例えば裁判例などでは受け手の属性や人間関係の状況など、こういったことで結果的には判断が異なっているようなものもあると、個別性が高くて、総合的な判断が必要であるような、そういう部分もあるが、そこはどうかと。そして、またこれも今までも出てきましたが、指導監督・業務命令との連続性がある。そしてその関係性が問題となる事案があるなどの特色があると。このようなことがあるように思うが、ここについてどう考えるかというところが1点目です。
 そして2点目ですが、その要件等の明確化ということで、今は円卓会議の提言を受けて、各組織において自主的に取組を進めていただいているという状況です。ただ、これを仮に、何らか統一的に取組を進めると。日本の中のいろいろな企業、あるいは労働組合、あるいはこの職場における労働者、そういう全体として組織的・体系的に何らかのことで対応しようということを考えると、どういったことが明確になることが必要だろうかと、そのような切り口です。
 先ほど、セクシャルハラスメントのところの資料を御覧いただいた際に、単なる性的言動のみでは就業環境が害されたということにはならずに、一定の客観的要件が必要だという解釈がありました。このようなことも鑑みて、このパワーハラスメントの論点について、どう考えるかというのが2つ目です。
 そして、次の大きい点として、円卓会議ワーキンググループ報告の概念と行為類型についてですが、これはどう考えるかと、これについても多分いろいろな御意見があったと思いまして、その裏のページですが、例えば今の定義ですと、「同じ職場で働く者に対して」という行為とされています。この範囲をどう考えるか、この範囲を超えて検討すべき対象というもので、どういうものがあるか。特に顧客とか取引先ということで、いろいろと指摘を受けている部分は、この辺りの論点に含まれるかと思いますが、このような点について、どう考えるかというところです。
 そして、次の論点として、「職場内の優位性」ということです。先ほど御指摘がありましたが、今の円卓会議のワーキングの報告書の中でも、上司、部下という、職務上の地位に限らずに、人間関係や専門知識など、様々な優位性を含んだ趣旨と捉えられています。先輩・後輩、同僚間、更には部下から上司に対して行われるものも含まれるとしているのですが、このような捉え方について、改めてどう考えるかというのが次の点です。
 そして、その次の○ですが、「業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」という捉え方をしておりますが、先ほどの裁判例のところでもありましたが、指導監督や業務命令との連続性がある場合も多いので、この業務の適正な範囲というのは、どのような判断基準が設けられるのだろうかという問題意識です。ましてその下、受け手のところの判断ですが、苦痛の有無は職場環境の悪化、これをどういう基準で判断するのか、そのような論点です。大体、大きくこのような点に分けて御議論いただくのはどうかということです。

○佐藤座長
 これまでの委員の皆様の議論を伺っていると、現状これまではパワーハラスメントの中身はともかく、パワーハラスメントの予防や事後対応は進んできたけれど、より実効のあるものにしていきたいと。これは多分、共通だと思うのですね。その上で、どのような取組をこれから最終的なものを出すかということで、まず、その入口として、これはなかなか難しいです。これは3つの切り口がありますけれども、先ほど野川委員から「ハラスメント」というのと、古くから日本でいう「パワーハラスメント」というのは、かなり区切って議論しているということもありましたけれども、いわゆるパワーハラスメントの特色というものを少しおさえた上で、どういうものを範囲にするかとか、どういう取組というのは、パワーハラスメントの特色というものを少しおさえておく必要があるだろうということで、多分これなのだと思います。
 その上で、取組をしていく上で、どういう要件だとパワハラになるのかみたいなことは大事だと思いますので、要件の明確化みたいなことはどうするかとか、それを踏まえた上で、ワーキンググループのこれまでの行為類型なり、これをどうしていくかと。実はこれは3つぐらい重なっているのですけれども、そのようなことで議論してほしいということのようです。
 一応、始めから一つ一つやって、また全体にしたいのですが、原委員は少し早めに出なければいけないということですので、全部について、原委員だけは特別に、全部に最初に言っていただいていいとしたいと思います。では、よろしくお願いします。

○原委員
 ありがとうございます。前回の検討会でも申し上げたのですが、まず、この定義の使い道についてです。何のために定義をするのか、ということは、定義を考えるにあたって切っても切れないことだと思います。例えば、企業に防止措置義務を課すということが念頭にあっての定義なのか、それとも、より厳格に考えて、あてはまれば即違法だといえるものを取り出して定義とするのか。あるいは、より一般的なレベルで、できればこういうことはやめましょう、という周知啓発に関する定義なのか。定義の使い道によって、どう定義すべきかが変わってくると思います。
 本来は、定義のことだけ先にじっくり議論して、その後に措置を考える、というのが筋かもしれません。しかし、時間が限られ、年度内にということになりますと、順序は逆かもしれませんが、どういう目的で定義をするのか、どういう着地点を目指すのかをある程度考えた上で、そのためにはどういう定義が望ましいのかについて考える、という順序にすることもやむを得ないのかなと思います。どういう着地点を目指すかによって、例えば資料1に関して、要件をどれぐらい具体化、明確化するべきなのか、ということが変わってくると思います。
 それともう一点、これは次回以降の話かもしれませんが、着地点を防止措置義務ということで考えますと、これは大学のゼミの議論でも出たのですが、セクハラについて防止措置義務を導入したときに、それによってどういう良い効果が出たのか、あるいは出なかったのか。また、マタハラ等の防止措置義務を企業に課して、まだあまり時間が経っていませんが、どういう良い影響が出たのか、それとも出ていないのか。こういったことを示す資料があると、パワハラについても、着地点をどうするかについて議論がしやすいと思います。ですから、セクハラなどで防止措置義務を入れたことによって、どういう影響や効果があったのかということを、資料としてご用意いただけると有り難いのではと思います。以上です。

○佐藤座長
 では、皆さんの御意見を受けたいのですが、最初はパワーハラスメントの特色と言ったときに、多分ここで言うパワーハラスメントとは何かというのがないと議論できないと思うのです。一応、当面、円卓会議の職場内の優位性、ですから職場の範囲をどうするかは少しまた後で議論しますけれど、職場で、そこの構成員の間で、職場の優位性を背景にハラスメントが起きる。ただ、そういう意味では最低限、そうではないハラスメントもあるのですよ、あるのだけれど、一応パワーハラスメントの特色と言ったときに、ここで御意見を伺うときに、まずは職場内での優位性、これは別に管理者だけではなくて、この優位性をどうするかは後でですが、職場の優位性、これ何と捉えるかによりますけれども、それを背景にハラスメントが起きているというものを言ったときに、それによると認識の差が大きいとか、個別性があるとか、業務の連続という話がありますね。そうしたときの特色みたいなことを、まず。
 それ以外にもあるという前提のほうが多分、これはそうしないと議論しにくいかなと思ったので、その職場内の優位性の中身は何かということは、もちろん議論しなければいけないのですけれども、取りあえずざくっとしたところから、まず、ここに書いてあること以外でも、こういうことがパワーハラスメントの議論をするときに、やはりパワーハラスメントの特徴として大事なことではないかとあれば、伺えるとしたいと思います。いかがでしょうか。私の言い方が余り良くなかったでしょうか。

○川上委員
 今の先生が振っていただいた内容に合っているかどうか分かりませんが、この「職場内の優位性」というのは、私、前回のワーキンググループにも出ておりましたが、少し定義が曖昧ではないかと思います。私の理解では、ハラスメントが発生したら、そこには優位性が存在するみたいな、ちょっとトートロジックな感じの置き方になっているので、きちんとした定義は多分、存在しないと思います。

○佐藤座長
 なるほど。

○川上委員
 一方で、今日、お示しいただいたような、いろいろな判例とかを見ると、必ずしも職場内の優位性が大きいということが、すごく強い違法性の根拠になっているケースだけでもないので、そこは少し検討したほうがいいかもしれないなという気はしますけれども。

○佐藤座長
 そうすると、ハラスメントが起きたら、必ずその行為者と、受け手でいえば優位性があるという考え方もあるのではないかということですね。

○川上委員
 いや、そういう考え方で、前回のワーキンググループでセットされていると思うのですけれども、私自身は例えば、非正規雇用者の方たちが集団で上司の人をいじめているケースなども経験はしていますが、そういうものをここでどう置くか、少し優先順位が低いので、後に置くのか、それともそれでもいけるのかとかという辺りは、ちょっと議論したほうがいいかなとは思います。

○佐藤座長
 そうすると極端な話をすると、パワーと付けなくてもいい。ハラスメントと言えばいい。

○川上委員
 その議論は前回のワーキングのときに、先生とした覚えがあるのですが、ハラスメントと言うと広過ぎて、ちょっと使いづらいので、ここはパワーハラスメントで、まず。

○佐藤座長
 そういう意味では明確ですね。

○川上委員
 はい、安全対策の1番、2番として、「パワー」として、その次にというのは、お話した覚えがあります。

○布山委員
 優位性という意味では、上司から部下だけではなく、例示で挙げたように、部下の方々が集団で上司にという場合があるのだと思います。ただ、そのときにも恐らく、上司の方が嫌がらせに遭うような優位性を、その部下の方たちが持っているのだと思うのです。
 実はこれまでも部下の方からとなったときに、では具体的にどのようなものがあるのかとは思っているのですが、そういう意味での、多分、日本の中でいじめや嫌がらせがあるときの1つのポイントは、立場というのはいろいろな意味での立場で優位に立っているからこそ、いじめや嫌がらせがあるのかとなると、やはり優位性というのはポイントとしてあるのかと思っています。

○川上委員
 優位性というのは、多分、ある種、いじめが発生した後で見るという優位性はあると思うのですが、それを事前にどういう優位性かというものを、リストを作るのは、かなり困難かなという。

○布山委員
 それは私もそう思います。

○佐藤座長
 確かに例えば役職定年で管理職と同じ職場にいると、自分の部下は管理職になって仕事ができない、このようなことも起きるかもしれませんよね。そうすると、組織上は別に上司ではないのだけれど、そこで仕事ができるみたいなことを言うと、差があるということが、時に起きる。例えば、そういう意味ではパワーの差があるということですよね。ですから、いろいろな優位性がある。

○久保村委員
 うちは小売業ですが、小売業の具体的な優位性ということで言いますと、非正規社員の方から正規社員へ、また「個」から上長に対してというのはあります。その「個」とは、例えば仕事上で、スキルを持っている方や、同僚よりも業務処理能力がある方、また接客が優秀な方等は、その優位性を自分の守り神として、徹底的に上長に対峙していく。時には自分が面白くないと、自分の主観でこの上長は嫌だなと思う上長に対して、「個」の勢いで当たっていくということは、実際にあります。

○佐藤座長
 そうですね、逆もありますよね。パートの人のほうが仕事ができるので、社員の人が仕事ができない、でも正社員だということで、というようなことが起きたりする可能性も。

○久保村委員
 そうですね、それは個々の感情の中でありますね。

○佐藤座長
 そういう意味では、仕事上のスキルだと社員も低いというか、まあ、社員としての立場、これはよく分かりませんが、そこでというものもあったりするという、これをパワーと言うかどうかですけれども。それはかなり難しいということですね。

○内村委員
 今、それぞれご意見が出ているように、私もアルバイトからいじめられてという正社員の話もこれまでにしましたが、全体的な労働相談を受けている中で言えば、圧倒的に上司と部下の関係が多いということは間違いありません。それは、いろいろなパターンを言ったら、本当にきりがないぐらいあると思います。
 ですから、そういう意味では、この職場内の優位性というのは、優位性が逆転することもありますし、非常に難しいところです。これは「パワーハラスメントとは」というところで定義されてはいますが、職場内の優位性の定義が更に曖昧になりかねないため、本来の目的の防止措置について議論を進めていくときには、この文言が必要かどうかについても、もう一回考えたほうが良いのではないかと感じます。

○岡田委員
 私、この定義を最初に発信したときに、「パワーとは何だろう」ということを考えたのですが、社会的なパワーを(FrenchとRaven)という人が分類していまして、それを参考にしたのです。5つに分類してるのですが強制力、報酬力、それから先ほどから出ている専門性によるパワーというものがあったり、それから正当性、同一視力だそうです。同一視力とはアイドル性のようなもので、人としての魅力でしょうか。何かその人に何もなくても非常に魅力を感じてその力に影響されるというのです。まあ、人間関係は近いかもしれないですが、このように社会的パワーの分類から、パワーハラスメントというのを役職が持つパワーだけではなくて、ほかのものまで包括してハラスメントを起こしうるパワーとして発信してみました。一応、それが経緯です。

○佐藤座長
 次に伺いますが、パワーハラスメントを発生する背景の優位性にはいろいろあるという感じです。なので、ここに2つあって、後の話ですが、企業に取り組んでいただくということを考えると、ある程度限定しなければいけない。他方でいろいろあるわけですよね。そうしてしまうと、限定したものだけだと言ってしまうと、特に裁判など、これもまた困るというものが出てくると思うのです。
 ですから、その辺を少し、実際に企業の取組という段階では、ある程度限定しないとやりにくい。限定したもの以外が全てカバーできるかということも、これから増えてくる可能性もあるので、その辺はある程度、定義としては広めにということはあるかなと、伺っていて思いました。

○杉崎委員
 今、岡田委員からも御発言があったとおりなのですが、資料1の2ページ目の裏面に書いてあるとおり、この職場内の優位性というのが、人間関係ですとか専門知識、あとは集団によるパワーというのは、正にそのとおりだと思います。今、委員の皆様からもいろいろ御発言がありましたとおり、例えば専門知識だとすると、非常にホワイトカラーの現場でも上司の人が新しく着任して、部下の人が圧倒的に専門知識があるというケースは、非常に多いのではないかと思うのです。そうしますと、ここに書いてあるとおり、部下から上司に対して行われるものも含むという幅広い定義で考えていくほうが、現実的なのかなと考えます。

○佐藤座長
 まだあると思うのですが、それでは要件にかかわらず、次のほうで、一巡回ったら併せてしたいと思いますけれども、他方、ある程度、定義は必要だろうと思うのです。そういう意味では職場内での優位性、これは先ほど言ったように社員とアルバイトというのもあると思うのですが、社員区分みたいな、他方で企業に予防なり、特に予防のところですよね、そうするとある程度、明確という議論もあると思います。この辺について「要件の明確化」、どのようにしたらいいかとかどんなやり方か、この辺についてはいかがですか。

○小保方委員
 最初に原委員がおっしゃられたとおり、何のための定義で、何のための要件の明確化かということによって、ここも大分変わってくるかなというところがあるので、まずその前提として、こういうことを考えている上での要件の明確化ということで申し上げさせていただければと思います。
 これまでの取組の経緯で言うと、国としてもポータルサイトの開設、ポスターやパンフレットを使った周知徹底、あるいはハンドブックも既に作られていて、労使の取組を促している、こういうことをやってきたということだと思っています。
 第1回の検討会でも資料の御提示があったとおり、それでもなお、その対策を実施している企業は、約半数にとどまっているという実態を捉えれば、より踏み込んだ対策をしていかなければいけないというのは不可欠であり、この認識はそろっていると思います。
 更に言えば、そういうものをいろいろやってきても、なかなか対策に乗り出さないというところの意識です。これは企業もそうですし、労使ともに意識を変えていくためには、社会的な気運を高めていくことが必要だと思っていますし、そのためには、やはり法制化の検討は要るのだろうと思っています。
 法制化の検討に当たっても、これまで申し上げてきているとおり、事後的にこういうことをやったら、このように罰しますということを想定すると、相当厳格な定義が要るという話もありましたし、そもそも一定の行為を行えば、刑法犯であったり、あるいは不法行為として罰することが可能ということを踏まえれば、やはり事前の予防というところに重きを置いた措置義務を法制化する、これを検討していくべきだという前提で要件の明確化について意見を述べたいと思うのですけれども、そういった意味で言うと、やはりセクハラ、マタハラの規定というのは大いに参考になるのだろうなと、まず考えております。そもそも措置義務が明らかにされているという前提です。
 そう考えたときに、やり方としては現行のパワハラの定義であるとか類型をベースとしつつ、何が足りないかという視点で言うと、やはり先ほども資料上は「-」(ハイフン)になっていましたが、典型的な事例というところですか、セクハラでもマタハラでも、こういうものは典型的な事例として考えられますというところをしっかりと示した上で、予防の措置義務を中心として、しっかりと義務化していくことが必要な視点であると思っています。
 したがって、資料1のパワーハラスメントの特色のところで書いてあるとおり、最終的には個別性や業務などの関連性が絡んでくるため、最終的には裁判で判断していくことにほかならないとは思うのですけれども、措置義務を課していくという視点では、典型的な事例を示していくことが、有効な後押しなのではないかと考えています。

○佐藤座長
 まあ、そういう意味では原委員が言われたやはり出口のところですね。企業に取組を何を求めるか、あるいは罰則みたいなものをやるかどうかということで、この辺の明確化がかなり違ってくる。これはもう、皆さんが今まで言われたことかと思うのですけれども、この辺はいかがでしょうか。

○岡田委員
 典型的事例という面で、資料の諸外国の取組の中で、「ああ、なるほどな」と思ったのが、スウェーデンの取組で、「中傷、噂の流布」というものがあるのですね。これが今のところ、特に最近はSNSだとか、影で何か行われているところは、結構特定できないのですね、誰がとかいうのは特定できなかったり、そのようなところをどうしていくか。これは加害者が分からないという案件に対して企業として何ができるのかどうか不明ですが、この辺の視点というか、今まで足りなかったところは、例としては、このことを入れたほうがいいかなという気はします。

○佐藤座長
 企業の取組で、現状でも特に加害者が特定できないで起きているというときは、その職場全部に何か研修みたいなことをやっていることはやっているのですよね。ですから、そういうものまで取組としてやるかどうかということも含めてということですね。
 では、今のところとも関わるのですが、円卓会議の概念で、特に職場の範囲、これもいろいろ取引先等々、議論がありましたけれども、この職場の範囲というものをどうするか。あるいは、これは先ほども出ましたように、職場内の優位性、これもかなり広いので、これは残した上で、広めにやっておいて、具体的な取組のところでは、少し範囲を例示しておくというのもあるかと思います。
 あとは業務との関係ですよね。この辺はこれまでの間と平均的なという想定をしながらやると、いろいろあると思うのです。この辺について、御意見を伺えればと思います。最後のほうは全体ということです。

○中澤委員
 取引先を入れるということについては、当初から申し上げていますが、使用者側として対応ができる範囲に限界があることは明確に言っておかなければいけないと思います。それからいわゆる苦情処理だとかそういったものというのは、通常、企業の中にあると思いますので、そういったような観点で、やはり対応すべきものではないかと思います。もちろん先ほど看護師さんの例とかで、いわゆる使用者としての責任を問われたというのは、あることはあるのでしょうけれど、恐らく全ての取引先からのクレームを、それもパワハラだと捉えるというのは、ちょっと。それに対して使用者側は、では何をやるべきなのかというのは非常に難しい。
 それから、先ほども方向性としてはいいのですけれど、部下から上司というようなこともあると思うのですが、これも、企業として、どのような対応をするべきなのかというのは、非常に難しい面があります。逆に言うと、それぞれの職場でいろいろと特色があると思うのですけれど、上司に当たる方自体が頼りないのではないかというような言い方をすることもできると思うのです。解決策というのはなかなか難しいと思っております。

○佐藤座長
 取引先のところは、1つは、これも事前の対応はできるかはともかくとして、事後対応で何かはあり得るかも分からないですね。事後的に、変な話、職場を変えるとか、そういうことがあり得るかも分からない。ですから、どういう取組を持てるかによっても、これも多分、出口の話ですね、取引先みたいなものを入れるか入れないかは、対応のほうとも関わるかなという気がします。

○布山委員
 私も顧客のところで中澤委員と同様の意見です。まず、顧客となったときに、具体的ないじめや嫌がらせ、パワーハラスメントという部分と、悪質なクレーマーみたいな人もいるので、そこの線引きもどうするのかということ。
 セクハラに関しては、顧客というのは例えば取引先との部分で入っています。ただ、これは大体、特定の個人に対しての話になってくるのだと思います。ただパワハラの顧客に関して言えば、たまたま対応した従業員だけでなく、実は企業も被害者です。顧客に関して何らか措置ができれば、これはもう、労働法の世界ではなくなってしまうと思うのですが、それができれば何かしら対応ができるのですが、その従業員に対しての対応を、企業の措置としてとなると、結構難しい部分がかなりあるのではないかと思います。
 基本的に顧客に対してどこまで要求なり要望について、お応えするかというところが、そこの線引きも実は難しくて、この過大な要求という部分を、顧客に対してどこまで、どこで線引きできるかというところが、最終的に難しいので、少しどうなのかなと思うところです。

○漆原氏(吉住委員代理)
 今のところの話に少し関連しますが、やはり自社の従業員であっても、ほかの企業から見れば顧客であるということも十分あり得ますので、自らの従業員をハラスメントから守るという視点と同時に、自らの従業員にハラスメントを起こさないということも、企業の対策としては考えられるのではないかなと思います。まず、その2つの視点を整理のベースとして、どう対策するのかということで切り分けるというのは、整理の仕方としていかがでしょうか。
 その上で、例えば勤務の場所については、やはり自社の事業所はもとより、例えば従業員がほかの取引先企業といった所に行くこともあるので、出張先など従業員が業務をする場所であれば、それを「職場」として捉えて、事業主として何らかの予防措置を考えてみるべきではないかと思っております。
 また、ハラスメントを起こさないという観点からしますと、一部の企業には、パワハラが発生し得る風土があることも考えられますので、そうしたことへの研修ですとか、取引先企業においても、ハラスメントを起こさないという重要性は変わらないので、2つに切り分けた上での社内研修ですとか、周知ですとか、そういったことも措置義務として考えてはどうかと思います。
 先ほど企業間取引という話がありましたが、例えば下請のいじめ、これは企業間のところですが、それについては下請代金法という法律があり、公取や中小企業庁が力を合わせて取り組んでいても、まだなお、そうしたいじめが起こっているということからすると、パワハラについても何らかのガイドラインはもとより、そういった法的な規定をどこかに明記することや、法的措置を講じた上で、しかるべき対応が必要なのかなと思います。それでも、パワハラはなくならないかもしれないですけれども、少なくともそれが第一歩になるのではないかなと思っています。

○佐藤座長
 確認ですけれども、今のは各企業が予防するときに、社員に取引先なり顧客に対しても。

○漆原氏(吉住委員代理)
 パワハラを自分たちも起こさないようにしようという視点です。

○佐藤座長
 そうですよね、ですから自分たちが社員であれば、例えばそこで請負というと指揮命令はできないわけですね。例えば請負社員がいたときに、その人に対してパワハラとなるような行為を起こさないようにということを、それぞれ企業に課したらどうかということですね。

○漆原氏(吉住委員代理)
 研修をはじめ、周知・啓発もしっかり行うということです。

○佐藤座長
 そういう趣旨ですね。

○安藤委員
 原委員それから小保方委員の、最初の何のためにこの定義をするかというところ、それからまた範囲をどうするかというところで、顧客それから取引先を範囲に含める、含めない、それがパワハラに該当する、しないというのは、現実として多分、難しい問題ではあると思うのです。
 ただ一方で、今、客だから何をしてもいいとか、取引先だから優位に何をしてもいいと思うようなところがある可能性もあるので、ですから、定義にする、しないは別として、一方で少し広めに、「そういったことをするのも全部ハラスメントなんだよ」ということを、世の中として周知徹底する教育をしていくということは、意義はあるのかなとは思います。

○岡田委員
 それに関連してですが、セクシャルハラスメントの場合は「お客様からのセクシャルハラスメントも受けないように、ちゃんと企業は対策を取りなさい」とガイドラインによって、ある意味で企業はお客様からの無理難題も、「こういうガイドラインがでているので、すみませんね」ということで、お客様のハラスメントを押し返すことができるということがあります。ごれが何か企業が対策を取るときの、根拠にもなると思うので、企業に対して厳しくするというよりは、そういうものを、提示しておくと、動きやすいということはあるのかもしれないと思います。

○佐藤座長
 1つはまず、教育者や指導官は別として、「職場」というのは、これはもともと円卓会議でも広めなのです。固定的に配属されている職場というだけではなく、例えばプロジェクトを組んで、ほかの企業と一緒にやっていたりする、これも職場という、それはそういう限りでは、そこで言うのは非常に分かりやすいのですね。それはもともと固定的な職場だけではなく、かなり、そういう意味では一緒に仕事をしているというような形で、広めにはなっています。
 あと、職場内の優位性は、これまでも結構いろいろ上司、部下だけではなく、部下から上司もあれば、正社員とアルバイトの人というのもあるし、これは実態としてはかなり広いですね。ですから「パワー」というのは別に職制上の優位性だけではないというのは、皆さん至るところかと思いますけれども。

○小保方委員
 優位性の視点だけ、もう1個だけよろしいですか。今日、お配りいただいている「参照条文等」という参考資料の2ページ、その下のほうの四角囲みが、正しく現行のパワハラの定義のことだと思うのですけれども。

○佐藤座長
 そうですね、もともとのものですね。

○小保方委員
 ここで先ほどから話が出ている、「職場内の優位を背景に」という、ここをもともと例示で書かれているように、広めに取りましょうという話だと思います。そうではありますが、この「職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に」という、このくだりを取ったときに、丸ごと取り払って読んだときに、それがない行為とて、当然許されない話だと思います。優位性がない行為であったとしても許されないということだと思います。
 そうしたときに、例えば先ほどから出ている、「予防に取り組む」という話を措置義務として対応していく、一番広義の概念のいじめ・嫌がらせというときには、恐らくこの要件というのは要らないのだと思っています。その上で、取り分けこの日本の文化などを加味したときに多い類型としてあるのが、「職場内の優位性を背景にした」パワーハラスメントという位置付けにしていかないと、ちょっとおかしな話になるのではないかなと思いますので、解釈の関係で意見をしておきます。

○佐藤座長
 ここの部分、全体で賜ります。野川委員は。

○野川委員
 ちょっと何点か手短に申し上げますが、1つは当検討会のミッションについて、改めて確認をしたいと思うのです。タイトルは「職場におけるパワーハラスメント防止対策についての検討会」ですが、幅広に議論しましょうということで始まりましたので、この「職場における」というのも、取りあえずそういうタイトルは付いているけれども、必ずしもそれに限らない観点から話しましょうということでした。
 それから、「パワー」という限定が付いているけれども、ハラスメント一般、それには同僚間のいじめ、そういうのも含めて、ちょっと検討しましょうということで、これまで4回、今日で5回にわたって話し合ってきましたが、この辺でどういう具体的な方向に行くべきかということで、話を進めなければいけないので、私がやはりお聞きした感覚では、このタイトルに即したミッションとして、もう一度、確認したほうがよろしいのではないか。
 つまり、やはり「職場における」ということで、この問題がもちろん一般的にはあるにしても、本検討会としては先ほどから出ている、顧客あるいは取引先というものまで広げていくのは、ちょっと難しいのではないか。ですから、取りあえず、いわゆる職場、ワークプレイスにおける問題を取り扱っていくということと、やはりハラスメントに「パワー」という限定を付けた上で検討することにしたいと思います。ですから、このタイトルに即した限定の下で検討していくのがよろしいのではないかというのが1つです。
 それから2つ目は、いろいろ定義についての御意見が出ましたが、ここで、今日で終わりということではなくて、ちょっと今日の御意見を整理していただいて、もう一回、次回に進めた議論をしていただきたいと思いますので、それを踏まえた上で申し上げます。
 今、皆さんがいろいろと現場の状況であるとかを前提としておっしゃった御意見を、事務局に整理していただくに当たって、我々も考えなければいけないのは、まず、定義をするに当たっては、先ほどから出ていますが、趣旨、目的ですね。これからパワーハラスメントについて、どのような予防や救済、サンクションを課すに当たって、どういう目的、趣旨で行うのかということ、それは5段階ぐらいあって、分かりやすいところからいくと、1つは刑罰です。
 パワハラ罪という犯罪類型を作るのだと。そのためにはこういう定義が必要であると。予防については、刑罰というのは、それ自体が抑止力がありますので、予防になるのです。やはり人を殺したら死刑になると思うから、殺すところまではやめようということになるのです。ですから、予防というのは、そこでは余り考えなくても済むかもしれない。
 それから2番目が、労災の関係です。つまりパワーハラスメントが労災として認められるような場合がたくさん出てきているので、これを予防するために、それを阻止するような様々な措置を課すということですと、現在の労働安全衛生法の中で対応ができると思います。また、労働契約法の第5条を少しいじって、あの中にパワーハラスメントが起こらないように配慮する義務も、使用者側の民事上の信義則の一環として設けることもできるでしょう。それが2番目です。
 それから3番目が、一般的に不法行為や債務不履行などの、一般の民事上の行為として設定するということです。つまりパワーハラスメントというのが、別に労災が起こらなくても人格的利益は侵害しているのだから、それは慰謝料の対象になり、あるいはそのほかの差止請求等も認められますと、このようなことを法制度に仕組むということです。
 それから4番目が、現在の均等法や育休法と並んで、例えば均等法ですと、「職場において行う性的な言動に対する雇用する労働者の対応により」というような定義があります。これに対応して、例えば「職場における上司等からの業務上の必要性を超える不適切な言動に起因する問題に関して、事業主が雇用管理上講ずべき措置に関する法律」と、これは雇用均等法のタイトルを、ちょっと変えただけなのですがこういう法律を作る。「性的な」というところを、パワーハラスメントの内容に変えただけの、そのような法律を作って、行政上対応する、助言、指導、あるいは支援、そして勧告まで行くかどうか分かりませんけれども、そういう対応をするように行くというのが4つ目です。
 5つ目が今の円卓会議等の作業、アウトプットをアレンジするというか、改善するというか、リニューアルするというか、社会一般に呼び掛け、啓発をより徹底させるようなことで行うと。それぞれ違うと思うのですが、この点については先ほどの浜田委員や小保方委員の御意見を伺うと、4番目ぐらいのところが、少なくとも共通のベースには、皆さんの中にあるのかなと思いました。
 つまり、刑罰というところまではなくて、労災については今でもできることなので、これは、私は労安衛法で対応していただきたいと思います。4番目の案は、いわば均等法的な行政の対応をしていくので、そのためにはいろいろな行政から、「こういうことをしてください」ということを幾らでも言えますので、それでしていないといろいろと行政からの指導がかかるので、鬱陶しいからやろうということにもなるのではないかと思います。
 それともう1つは、その際、ハラスメントの内容について、やはり同僚同士の嫌がらせやいじめ、それから部下からの上司に対する突上げといったようなものを入れるかどうかということは、きちんとしておかないと、パワーハラスメントと限定していった場合には問題になるし、先ほどの救済措置や予防措置を、どの次元でやるかということにも関わってくるので問題なのです。
 それで、先取りして言えば、例えば部下からのいじめであるとか、同僚同士のいじめについては、今でも対応することはできるのです。不法行為として、いじめた人を訴え、あるいはそういういじめるような同僚の行為を野放しにしていた会社に対して、それこそ安全配慮義務に至る債務不履行を理由として訴えることもできますので、私は、この検討会のミッションとしては、もう少し限定して、やはり職務上の上下関係というところについては、はっきりと明確な実効性のある対応を提言するように言ったほうがいいのではないかと、これは私の意見ですけれども。以上です。

○佐藤座長
 ほかには。

○布山委員
 今の野川先生の御意見に関してではなくて、資料1の行為類型のところで、少し言い忘れていましたので発言させていただきます。今、円卓会議の中で6類型が出ています。そこで事務局にお願いしたいのが、労働局への相談件数が増えていますよね。その増えている内容が、多分、この6類型を分かって相談する人ばかりではないので、多分、御自身がいじめや嫌がらせに遭っていることを前提で御相談に来ていると思うのです。
 そのときに、この6類型以外に何か当てはまるような事案があるのかどうか。それがある程度の分量があれば、それをどうするかという議論になるような気がするのですが、そういうことが、多分、個別の労働局の事案を、どこまで調べられるかということもあると思いますが、そういうお願いができるかどうかですが、いかがでしょうか。

○堀井雇用機会均等課長
 JILPTでやっていただいた個別労働紛争の相談内容等の分析の調査の中で、今の御指摘のようなものがあったと思います。それで正確な数字は覚えていないのですが、大体6類型の中に当てはまって、特に精神的な攻撃の数が多いというような結果でしたが、その中に当てはまりにくいと、当時、判断されたのが、例えば解雇ですとか退職勧奨とか、いわゆるセクシャルハラスメントでいうところの対価的なもの、そこは今の6類型の中、もしかしたら過小とか過大とかのところに入るのかもしれませんけれども、入らないので別枠にしていたと、そういうことがあったようには思います。もう一度、そのときの資料を改めて見て出させていただきたいと思います。

○佐藤座長
 まずは皆さん、職場のパワーハラスメント、これはかなり取組が進んでいるけれども、更に進める。特に予防、事後対応をきちんとやっていく、これは企業にやっていただくようにしたい。多分そうだと思うのですね。そうすると、野川委員が言われたように、確かに取引先とか、いろいろ範囲があるのだけれど、いわゆるまずは職場のパワーハラスメントについて、結果的に少なくない予防や事後対応をきちんとやっていくということが、出口としては大事ではないか。
 そうすると、議論を少し絞ってやっていったら、取引先とのパワーハラスメントがないというわけではなくて、まずは実効あるものにしていくということでは、まず取り組んでいただきたい範囲とはどこなのかと、そういう意味では職場のパワーハラスメントに少し限定して議論されたらどうか。
 それともう1つは、現行やれていることですよね。労災とか、あるいは暴力などは当然そうですね。ですから、そういうことではなく、少しそういうところから落ちてしまうところ、でも大事なところということを想定する、まあ、出口のところですよね。そうすると、そのための法律とするかどうかの枠組みというものをどうするかですよね。それを踏まえて、企業にはどういう取組をやっていただくかということかなと、本当に簡単にですけれども、そういうことで少し議論してはという御提案だったかと思うのですが、いかがでしょうか。

○川上委員
 今の野川先生のまとめを伺っていると、私は割とすっきりされたなと思って、賛成の点が多いのですけれども、一応きちんと整理していただいて、また精査させていただいてから、次回以降にと思います。今の顧客や取引先については、問題だとは思いますけれども、確かにちょっと、今ここで検討しているパワーハラスメントとは、少し異なった側面を持っているので、別枠で扱う、忘れないようにして扱うということでも良いのかなと思います。
 あと、ちょっとだけ申し上げておくと、今の御説明いただいた判例とかを拝見すると、事業主のほうは、従業員が顧客先から暴力を受けないようにする安全配慮義務が、もうかかり始めているわけです。ですので、そういう意味では、もう既に職場の暴力の予防というのが視野に入り始めていて、多くの諸外国では、職場の暴力の予防のためだけの法律を作ったり、あるいはそれを法の中に入れたりしていますので、そういう形で、この検討会とはちょっと違うかもしれないが、少し備忘録的に残しておいていただいたほうがいいかもしれないと思いました。
 あと1個だけ、労働安全衛生法の改正に、これをどう入れるかというのは、自然、私たち産業医にとっては重要な問題で、今のまま、なまなまで入るのは、ちょっと抵抗感がありますので、少し議論をさせていただけたらと思っています。

○佐藤座長
 ですからまず、取りあえずそうして、つまり実効あるものにするために議論した上で、もちろんこれをどうするかは別として、この検討会で、例えば取引先とも「こういうものがありますよ、大事ですよ」と。あるいは現行法でやれる範囲のことをきちんとやってもらうというようなことを、当然書いていくということはあるかと思います。

○内村委員
 私も先ほどの野川委員の意見に、考えていたものとほとんど同じですけれども、今回のテーマは「防止」、要するに、なったらどうしようというよりも、なくす、とにかく少しでもなくしていこうというのがテーマだということでいくと、まずは対象を絞って対応してもいいとは思っております。
 それと、諸外国の例でも少しありましたが、先ほどから、使用者側としても、いろいろ自分たちが取り組まなくてはいけないこととには限界があるというのも、ある程度理解はします。私がやはり心配するのは、これは労働者側でも、先ほどの労働者同士でやっているというのもあって、そこに自分が加害者になっていると気が付かないでやっているケースも確かにあるので、これはパワーハラスメントというよりも、モラルハラスメント的に、「こんなことを言ったら人権とか人格を害することなんだよ」ということを職場の中でも指導していく必要があると思います。
 ですから、労使で一緒に取り組んでいく環境をどう取り組んでいくかというのも、先ほど川上先生からもありましたけれども、例えば安全衛生委員会の場所で、労使できちんと取り組むというように、労働者側も、いわゆる働いている人も含めて取り組む必要があります。現場のことを一番知っているのは、実は労働者なのです。管理監督者よりも、一緒に横で働いている人が一番よく分かっていて、その人間関係も一番よく分かっていて、法律である一定の括りをする必要は絶対にあるのですけれども、では、それぞれの職場の中でどうしていくかというのは、それぞれの職場の中で、きちんと知恵を出していくことは、これは努力義務ではなく、措置義務として取り組んでいく必要があると思います。

○小保方委員
 まず、職場内のパワハラに絞って、論議の進めやすさの観点で、そうやっていきましょうということに異論はないという前提で、それだけではないというところを、先ほど安藤さんもおっしゃっていたように、社会的な認知も含めて、そこは忘れないように含んでおいていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○佐藤座長
 まだ御意見があるかも分かりませんが、取りあえず少し、限定するという意味ではないですけれども、まずは職場のパワーハラスメントに少し限定し、特に予防に重点を置いて、もちろん事後をしなくてもいいというわけではないですが、まず定義から始まって、企業に求める取組とか、どういうルール、枠組みを作るかということを少し考えていく。
 もちろんそれだけで全てカバーできるわけではなくて、大事な論点もあると思いますので、社会的に職場で働いている人も外へ出れば顧客になるわけで、そうするとそこでまた起こしていることがいっぱいあると思いますので、やはり社会的にそういうものをなくしていくことをやっていくとか、その辺をどうするかということも、当然、議論していきたいと思います。
 では、当面は少し絞って議論していくということでよろしいでしょうか。では、そういうことで、少しまた事務局と相談させていただきたいと思います。では、事務的な連絡事項があれば、その他ということで。

○上田雇用機会均等課長補佐
 議論いただきまして、どうもありがとうございました。事務的には次回の日程について、既に御案内させていただいておりますけれども、平成29年11月30日の木曜日の13時から15時を予定しています。場所については、まだ調整中ですので、決まり次第、御連絡させていただきます。その他の資料と詳細については、また整理させていただいた上で、御連絡させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○佐藤座長
 それでは、どうもありがとうございました。また次回もよろしくお願いいたします。


(了)

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