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2017年9月1日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録

○日時

平成29年9月1日(金)15:00~


○場所

厚生労働省専用第22会議室


○出席者

出席委員(16名)五十音順

赤 羽 悟 美、 石 川 欽 也、  今 井 輝 子、 大 賀 正 一、
大 森 哲 郎、 岡   淳一郎、○奥 田 晴 宏、 金 子 明 寛、
神 田 敏 子、 柴 田 大 朗、  杉      薫、 鈴 木 邦 彦、
増 井    徹、◎松 井   陽、  森    保 道、 山 田 清 文
(注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(5名)

磯 部 光 章、 川 上 純 一、 佐 藤 雄一郎、 武 田 正 之、
平 石 秀 幸

行政機関出席者

宮 本 真 司 (医薬・生活衛生局長)
森    和 彦 (大臣官房審議官)
山  本   史 (医薬品審査管理課長)
佐 藤 大 作 (医薬安全対策課長)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
林   憲 一 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
猿 田 克 年 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

○医薬品審査管理課長 定刻になりましたので、「薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会」を開催させていただきます。本日は暑い中、お忙しい中御参集いただきまして誠にありがとうございます。本日の委員の出席状況は、磯部委員、川上委員、佐藤委員、武田委員、平石委員より欠席との御連絡を頂いております。また赤羽委員、石川委員は遅れての御出席と承っております。現在のところ、当部会委員数21名のうち、14名の委員の御出席を頂いておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。

 事務局に人事異動がありましたので御報告いたします。医薬品医療機器総合機構安全第二部長に近藤が着任しております。以降の議事進行は松井部会長にお願いいたします。

○松井部会長 本日の審議に入ります。まず、事務局から配布資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告してください。

○事務局 配布資料の確認をさせていただきます。本日は席上に、議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配布しております。議事次第に記載されております資料1から資料7-2をあらかじめお送りしております。このほかに資料8「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料9「専門委員リスト」、資料10「競合品目・競合企業リスト」、資料11「ビザミル静注に係る前回部会時の御質問について」、資料12-1「最適使用推進ガイドラインの取扱いに係る通知案について」、資料12-2「『最適使用推進ガイドラインの取扱いについて』の通知案」を配布しております。

 続いて、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リスト(資料10)について御報告いたします。

 資料10の1ページは、レクタブル2mg注腸フォーム14回ですが、本品目は潰瘍性大腸炎(重症を除く)を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 2ページは、レバチオ錠20mg、ほか2規格ですが、本品目は小児の肺動脈性肺高血圧症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 3ページは、サムスカ錠7.5mg、ほか2規格ですが、本品目はループ利尿薬等のほかの利尿薬で効果不十分な心不全における体液貯留を効能・効果としており、同様の臨床的位置付けを有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。以上です。

○松井部会長 ただいまの事務局からの説明について、特段の御意見はありませんか。ないようですので、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業のリストについては、委員の皆さんの了解を得たものといたします。それでは、委員からの申出状況について報告してください。

○事務局 各委員からの申出状況については次のとおりです。議題1、レクタブル、退室委員、議決には参加しない委員ともになし。議題2、レバチオ、退室委員なし、議決には参加しない委員は大森委員、杉委員。議題3、サムスカ、退室委員なし、議決には参加しない委員は大森委員。委員からの申出状況については以上です。

○松井部会長 ただいまの事務局からの説明について、特段の御意見はありますか。よろしければ御確認いただいたものといたします。

 議題に入る前に、事務局から前回の岡先生からの御質問に対して説明があるということですので、お願いします。

○事務局 8月1日に開催された前回の医薬品第一部会で頂いた御質問について、補足の説明を機構よりさせていただきます。

○医薬品医療機器総合機構 当日配布資料11、A4横両面印刷の一枚紙を御覧ください。本年8月1日に開催された前回の医薬品第一部会にて御審議を頂きましたビザミル静注、一般名フルテメタモル18Fについては、資料の7月部会での議論の欄に記載させていただきましたとおり、中枢神経系への影響を検討した安全性薬理試験において対照群、すなわち生理食塩液群及び溶媒群で眼球突出、異常歩行等が見られており、適切に試験が実施されたのか疑問である。当該試験の陰性対照群の詳細を示してほしいとの御質問を頂きました。部会当日は、一般的に動物試験では、実施環境や手技等による所見も観察されることがあるため、施設背景値も考慮した対照群との比較により薬剤の作用が検討される。本試験の対照群で所見が観察されても、薬物群との差分から薬理作用の評価自体はできていると考えている旨お答えさせていただき、当該試験結果の詳細については、確認の上、次回の部会で報告するとさせていただきました。

 資料の回答の欄を御覧ください。フルテメタモル(以下、「本薬」と略す)の中枢神経系への影響を検討した安全性薬理試験(以下、「本試験」と略す)で設定された投与群及び確認された所見を表でお示ししております。本表については、2例以上に認められた所見について、各投与群で何例に、いつの測定時点で観察されたものかをお示ししております。例えば、生理食塩液投与群の眼球突出については、投与後5分、30分に、6例の動物の中で4例に眼球突出が確認されたことを示すものです。

 各所見については、表の下に注釈1として記載してあるように、所見の有無及びその程度については0から8の9段階で、数字が小さいほど軽度、0は所見なしというグレードを示しており、チェックリストを用いて盲検下で評価されたものです。観察された所見は、投与群によらず、眼球突出、異常歩行及び受動性はいずれもグレード2、立毛はグレード1という結果です。

 また協調運動不全については、チェックリストにない所見であったため、程度の評価はなされておりません。陰性対照群の溶媒群については注釈2に記載いたしましたが、6.9%エタノールを含有するリン酸緩衝生理食塩液が用いられております。

 資料の裏面をご覧ください。本試験の陰性対照群において所見が認められたことについて、最適な施設環境又は手技等の下で実施されなかった可能性も否定はできないと考えますが、本試験は2003年に申請者とは異なる海外の試験施設で実施された試験ということもあり、陰性対照群で所見が認められた原因を特定できる新たな情報を得ることは困難でした。結果については陰性対照群に認められた各所見の程度は、いずれもグレード1又は2であったこと、並びに特定の所見の有無及びその程度をチェックリストに記録する手順にて盲検下で評価が行われたことを考慮すると、通常であれば変化とは判断されない所見も軽度の変化として判断された可能性が考えられます。

 しかしながら、先ほど述べました評価の手順を考慮すれば、本薬に有利になるようなバイアスの混入も考え難いと考えられ、本試験の結果から本薬の薬理的作用を考察することは可能と考えております。

 なお、本試験とは異なる試験施設において類似の用量で実施された毒性試験、ラットでは1560μg/kg、イヌでは15μ/kgの投与で、眼球突出、異常歩行の所見は記録されておりません。

 なお、本日御説明させていただいた内容については、御指摘を頂戴した岡先生には、前回部会後に一度御説明させていただいております。説明は以上です。

○松井部会長 岡委員、いかがでしょうか。これは、我々は健康対象と言いますか、ノーマルコントロールと考えがちですけれども、これは薬理試験であって許容されてよいと。

○岡委員 御説明を頂いて、2003年にほかの施設でやったから、それ以上細かくは分からないということだったので、やむを得ないと思います。一般的に対照群で作用が出てしまうと、本来の薬の作用だったかもしれないのが、統計上は有意差なしになってしまうことが多いので、ちょっと気になって質問しました。

○松井部会長 ほかの委員の先生方はいかがでしょうか。特に御異存ないと受け取ってもいいですか。それでは、この案件については前回、条件付きで報告ということにしたわけですけれども、改めて決を取ります。この件について、これを可とする委員は挙手をしてください。よろしいでしょうか。全員一致ということを確かめたいのです。

○鈴木委員 挙手でない方法で決めたほうがいいと思います。

○松井部会長 それはどうしてですか。

○鈴木委員 今までどおりでいいと思います。

○松井部会長 分かりました。了承しました。それでは、これを可として報告していいでしょうか。ありがとうございます。それではそのようにいたします。

 議題に入ります。本日の議題は審議事項3議題、報告事項4議題となっております。審議事項の議題1をお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料1、医薬品レクタブル2mg注腸フォーム14回の製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。潰瘍性大腸炎の治療においては、重症度と罹患範囲に基づき治療法が選択されており、軽症から中等症の活動期潰瘍性大腸炎に対しては、メサラジン製剤やステロイド製剤の経口剤又は注腸剤等の局所製剤が使用されています。本剤は、糖質コルチコイドであるブデソニドを有効成分とする注腸フォーム剤です。現在、本邦で潰瘍性大腸炎の適応を有する注腸剤はいずれも液剤であり、投与後の肛門からの薬剤漏出や投与時に臥位の姿勢を強いられる等の問題がありますが、本剤は性状がフォームであるため腸管内の保持性が高く、患者のコンプライアンスや利便性の向上等を期待し開発に至りました。なお、本剤は2017年3月時点において、欧米等36か国で承認されております。本品目の専門協議では、本日の配布資料9に示す専門委員を指名しております。

 以下、本剤の有効性及び安全性について臨床試験成績を中心に説明いたします。有効性に関しては、報告書12ページ表10を御覧ください。国内第 III 相試験は、軽症から中等症の直腸からS状結腸に活動期病変を有する潰瘍性大腸炎患者が対象とされ、その結果、主要評価項目である「6週の粘膜治癒率」について、本剤群のプラセボ群に対する優越性が検証されました。以上より機構は、本剤の有効性は示されたと判断しました。

 安全性に関しては、報告書17ページ表16を御覧ください。国内第 II 相試験及び国内第 III 相試験の併合解析データにおける有害事象の発現状況を示しております。プラセボ群と比較して、本剤群で「血中コルチゾール減少」及び「血中ACTH減少」の発現割合が高い傾向が認められましたが、それ以外に臨床上問題となるような違いは認められませんでした。血漿コルチゾール濃度及び血漿ACTH濃度の推移について、報告書19ページ表19を御覧ください。血漿コルチゾール濃度及びACTH濃度は本剤投与開始後低下するものの投与終了後には投与前と同程度に回復しており、12週間までの投与であれば臨床的に問題となるような副腎皮質機能抑制が生じる可能性は低いと考えられました。

 以上より、機構は、本剤の安全性は許容可能と判断しました。ただし、本剤は糖質コルチコイド製剤であることから、漫然と継続投与しないよう注意喚起するとともに、糖質コルチコイド関連の有害事象の発現状況については製造販売後の調査等で情報収集する必要があると考えました。

 以上、機構での審査の結果、軽症から中等症の活動期潰瘍性大腸炎患者に対する本剤の有効性は示され、安全性は許容可能と考えられたことから、医薬品リスク管理計画に係る承認条件を付した上で本剤を承認して差し支えないと判断し、本部会で審議されることが適当と判断しました。

 なお、本品目は新投与経路医薬品に該当し、再審査期間は6年、製剤は毒薬・劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品・特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しました。薬事分科会では報告を予定しております。機構からの説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○松井部会長 委員の先生方から御質疑をお願いいたします。

○金子委員 お尋ねです。「患者説明文書で」と添付文書には書いてありますけれども、患者説明文書というのはどこにあるのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 患者説明文書は、箱の中に入れる予定となっています。本日提示した見本の箱の中には入れていません。

○金子委員 海外の添付文書にはちゃんと書いてあって、日本のほうには書いていないからどこかなと思ったのです。

○医薬品医療機器総合機構 失礼しました。現在、患者説明文書案は作成中であり、本日提示した見本の箱の中にはまだ入れていません。

○松井部会長 それはいつもそうなのですか、たまたま今回の薬剤に関してはないということですか。

○医薬品医療機器総合機構 今回の薬剤については、患者説明文書案を作成している段階であるため、見本の箱に含めることが間に合いませんでした。

○松井部会長 分かりました。極力入れるようにしていただきたいと思います。ほかにはいかがですか。

○奥田部会長代理 薬効の効き目の話ではないのですけれども、これは過量充填されていると。14回ということだけれども、恐らく入っている量から言うと20回以上分ぐらい入っていると。実際に患者さんに届けられて、残りが出る、ノズルの数が足りないので、そこで切り換えるということですね。そういうことも含めて患者さんには、もうこれで終わりですよというような情報提供をされるということですか。

○医薬品医療機器総合機構 本剤については14回で使い切りというように、患者説明文書や添付文書でも記載し、本剤の製造販売後に周知徹底する予定となっております。

○奥田部会長代理 でも、振ると入っているのが分かるから。

○医薬品医療機器総合機構 ご指摘いただきましたように、充填量は14回分より多くなっている理由は、噴射する度に内圧が下がるためです。よって、過量充填する必要があると考えています。

○松井部会長 神田委員どうぞ。

○神田委員 基本的なことを教えてください。この病気については、活動期と寛解期を非常に長期にわたって繰り返すということですが、この長期というのは大体どのぐらいの長期なのかをお聞きします。もう一つは、長期にわたって漫然と投与しないようにという注意喚起が添付文書にされています。投与開始後6週間後を目安に必要性を検討しましょうと。漫然と投与を継続しないことと、ここまでになっているわけです。例えば12週を超えて投与しないとか、12週を超えて投与した場合についての評価はなされていないとか、そういうことを付け加えておく必要はないのか。

 これは、初めてのフォーム剤という剤形です。今までは液体なので非常に漏出する問題があって使いにくかったので、その辺を解決するためにフォーム剤にしたということです。このフォーム剤であれば、漏出問題というのはないと考えてよろしいのでしょうか。その辺は検証されているのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 まず、本剤の薬剤漏出について回答いたします。国内第II相試験において、ほかの注腸剤を使用した経験がある潰瘍性大腸炎患者を対象にアンケート調査を行っています。アンケート調査の結果、82%の患者において薬剤漏出がなく、本剤の使用に特段問題ないという回答が得られていることから、本剤の薬剤漏出については特に問題ないと考えております。

○神田委員 ありがとうございます。あとの2割については特段大きな問題はなく、それに準じて考えてよろしいという感じなのですね。もし、まだ、きちっと漏れが防止できないのであれば、それなりの表示ということも必要かと思ったものですからお聞きしました。

○医薬品医療機器総合機構 国内第II相試験のアンケート調査では、少し漏れた方が10%おりましたが、82%の患者が本剤について満足していると回答したことから、薬剤漏出は特段問題となっていないと考えています。

○松井部会長 ほかの2点についてはいかがですか。

○医薬品医療機器総合機構 神田委員からご質問いただきました2点目について回答いたします。潰瘍性大腸炎の治療においては、治療指針にステロイドは維持効果が乏しいと記載されており、また、ステロイドを含有する製剤は、長期投与時には副作用の可能性が懸念されるため、症状が改善すれば中止が望ましいとされています。

 本剤は、維持療法に使用する薬剤ではなく、寛解導入として活動期の病変をある程度抑えられるために使用する薬剤であり、寛解導入後は経口剤等で維持することになります。したがって、本剤の開発においては12週間を超えた長期投与の検討は必要ないと考えています。

○神田委員 最初に質問した長期というのはどのぐらいの病状なのかということと関わってくるので、それでセットでお聞きしたのですけれども。

○医薬品医療機器総合機構 潰瘍性大腸炎は、難治性の炎症性腸疾患であり、比較的容易に寛解導入が可能な患者もいれば、寛解導入に難渋する患者もいます。また、多くの患者は再燃と寛解を繰り返すことから長期間の医学管理が必要となります。

 本剤については、ステロイドを含有する注腸ですので、症状が安定した後は本剤ではなく、経口剤等で維持することになります。また、本剤で効果が十分でない場合はほかの治療法で治療することになります。国内第 III 相試験の投与期間は最長12週間でしたが、本剤の有効性は6週時の粘膜治癒率に基づき示されていること、本剤は糖質コルチコイド製剤であり連続的な使用は可能な限り避けるべきであることから、本剤の投与期間の目安は6週間とし、漫然と継続投与しないよう注意喚起することが適切と考えています。したがって、添付文書に12週間を超えた投与は実施されていないことだけを記載した場合、製造販売後にはどのような患者にも基本的に12週までの投与を行う薬剤であると誤解されることを懸念しました。

○神田委員 12週までなら使ってもいいよ、というように受け取られるといけないからということですよね。ただ、それは評価されていないというようなことの表現をすれば、それは12週まで使ってもいいというように受け取られないのではないですか。それで本文の19ページに「評価はされていない」とあったものですから、12週まで使ってもいいと受け取られては困ることなので、その辺は表現を注意しなければいけませんけれども、それ以上のことは評価されていませんよ、「12週以上のことは評価されていませんよ」というのは書いておいてもいいのかと思いました。ただ、この病気の特徴として漫然と使われるような要素はあまりないということなのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 ステロイドを含有する注腸ですので、症状が改善すれば本剤の使用は中止され、漫然と使用されることはないと考えています。

○医薬品医療機器総合機構 神田委員から御指摘いただきました12週間を超えた検討がないということについては、資材で情報提供する予定になっていります。添付文書に記載しなかった理由は、先ほど申し上げたとおり、製造販売後において医療現場で添付文書の記載が誤解されないようにしたいということで記載はしませんでした。

○神田委員 分かりました、それで結構です。でも、これまでも添付文書には、これ以上評価されていないとか、幼児にはまだそういう経験がないというようなことを書いておりましたので、書かない理由がよく分からなかったのです。頑にこだわるつもりはありませんけれども、そう思いました。

○松井部会長 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。ほかに御質疑がなければ議決に入ろうと思いますが、よろしいですか。

○森委員 添付文書の改訂はするのでしょうか。その追記はなされるのですか、なされないのですか。不必要だという。

○松井部会長 私は、なされるというふうに受け取りました。

○医薬品医療機器総合機構 添付文書に臨床試験において12週間を超えた投与は実施されていないことの追記が必要ということですか。

○森委員 そういうことについてです。

○医薬品医療機器総合機構 12週間を超えた投与は実施されていないことについては、添付文書では記載はしない予定で、資材において情報提供を行うことを考えています。

○森委員 今伺った内容では、添付文書に記載しない合理性は十分理解できなかったのですけれども。つまり、臨床試験を行っている限界について書かれるべきだというような御意見だと思ったのです。添付資材には書くけれども、添付文書には含めないというのはどういう理由なのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 投与期間の注意喚起として、「12週間を超えた安全性・有効性は確立していない」と記載した場合、医療現場で困るのではと懸念しました。12週間を超えた投与は実施されていないことについては、資材で情報提供することを考えているのですが、それでは不十分でしょうか。

○森委員 現場が困るというのは、どういう事象を指しているのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 添付文書に「12週間を超えた安全性・有効性は確立していない」と記載した場合、12週間に投与期間が縛られてしまうということがありますので、本剤の添付文書には記載しませんでした。12週間を超えた投与は実施されていないことについては、添付文書の臨床成績の項で情報提供することを考えておりますが、いかがでしょうか。

○松井部会長 この点について、委員から御意見はありますか。添付文書に書くということと。

○医薬品医療機器総合機構 添付文書の3ページに臨床成績の項があり、そこに、実施された臨床試験は12週間までであり、12週間を超えた投与は実施されていないことを記載するということでいかがでしょうか。

○松井部会長 委員の先生方の御意見をお願いいたします。

○神田委員 私は、現場のことは全く素人で分かりませんので、問題がなければ構わないです。ただ、資材のほうには書いて、こちらに書かないと、資材のほうを見た先生は迷うわけです。そうしたら同じなのです。書くなら書くというように必要な所に書いておいたほうが。書かないのだったら、資材のほうにだって書かなくてもいいわけではないですか、理屈で言えば。迷わせるという観点から見れば、そういうことで、ちょっとその辺の使い分けのところが分からないと申し上げているので、「評価がない」とあったほうが、それはそれの目安になるのかと私は思いました。

○医薬品医療機器総合機構 添付文書の臨床成績の項において、12週間投与実施された臨床試験は12週間までであり、12週間を超えた投与は実施されていないことを記載することを考えております。

○松井部会長 いかがですか。臨床の現場である程度の幅というのは必要なことかもしれないと私は思うのですけれども、委員の先生方はいかがでしょうか。奥田委員どうですか。

○奥田部会長代理 やはり、目安という形であったほうが。私は薬剤師で臨床の現場は知らないのですけれども、そのほうが使いやすいのかなと。一方で、12週を超えての投与経験がないということは、また別途この中でそういう情報提供をするとなると、臨床成績の第 III 相試験のところは書く良い場所かとも思います。

○松井部会長 ほかにはいかがですか。

○森委員 現場の臨床医から意見を言わせていただきます。現在書かれている用法・用量に関する使用上の注意で、「投与開始6週後を目安に本剤の必要性を検討し、漫然と投与を継続しない」という文章は、臨床のドクターから見ると、これが6週間を超えて使ってはいけないというニュアンスに取られるかどうかはちょっと曖昧な部分を残しているかと思います。恐らくこういった委員会や厚生労働省の審査では、これは基本的に6週間で使用期限だということを指している可能性はあります。そういう知識のない一臨床医が読んだときには、6週間後に効果があった場合には続けていいのかなというように取られてしまう可能性があるので、その辺はそういうニュアンスをむしろ含めて、このように書いているのかというところをお聞きしたかったのです。

○医薬品医療機器総合機構 添付文書の臨床成績の項において、6週時点でどのような患者に対して更に6週間の継続が行われたかについても情報提供し、医療現場において6週時点において更に12週まで投与する必要性があるかどうか判断できるように情報提供することを考えております。

○医薬品医療機器総合機構 先生方から頂いた御意見を基に、どのような形の表現で記載するかということは検討させていただきたいと思います。

○松井部会長 それでよろしいでしょうか。

○柴田委員 委員の御指摘に対して、真摯にお答え頂いたということでの御提案だと思うのですが、今の書き方であると、どういう理由で6週ではなくて12週まで投与継続したのか、そこの理由によっては、20分の6という成績は、治療成績を過大評価することになってしまうので、そこの書きぶりについては、きちんとした精査の上で数字を出していただきたいと思います。状況が悪くてやめてしまうとか、状態の良かった方だけ投与されるとか、あるいは状態が悪かった方のみ投与されるとか、いろいろ投与継続のところで、投与されるか、されないかのところでバイアスが入ってしまいます。20分の6という数字は、6週時点での成績と同じように扱える数字ではないということは御留意の上対応していただければと思います。

○医薬品医療機器総合機構 添付文書の臨床試験の項には、実施した臨床試験においては6週時点でどのような患者に対して更に6週間の継続が行われたかについても具体的に情報提供したいと考えております。

○松井部会長 この点は、今ここで押し切ってしまうのではなくて、書き直したものを提出していただくと。その上で確認して検討することにしたいのですが、いかがですか。よろしいですか。それでは、この点については保留としてもいいですか。ただいまの点については、書きぶりを次回チェックすると。その条件下で議決に入りたいと思います。その条件下で、本議題を承認可としていいのでしょうか。よろしいですか。似たような事例が続きましたが、そのようにさせていただきます。

 それでは、その条件下で承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。議題2に移ってください。

○医薬品医療機器総合機構 議題2、資料2、医薬品レバチオ錠20mg等について、機構より説明いたします。レバチオ錠20mgは、ホスホジエステラーゼ5阻害薬であるシルデナフィルクエン酸塩を有効成分とする肺動脈性肺高血圧症(以下「PAH」)の治療薬であり、成人のPAH治療薬としては既に国内外で承認されています。今般、国内外の臨床試験成績を基に、肺動脈性肺高血圧症の効能・効果に、小児に対する用法・用量を設定する医薬品製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。2017年6月現在、シルデナフィルの小児PAHに対する用法・用量は、欧州のほか35か国で承認されています。なお、本申請と同時に、ドライシロップ剤及びODフィルム剤の剤形追加に関する医薬品製造販売承認申請もなされております。本品目の審査に関して、専門委員として資料9に記載されております委員を指名いたしました。

 本品目の審査の概略について、臨床試験成績を中心に説明いたします。審査報告書10ページ以降を御覧ください。小児PAH患者を対象とした国際共同の無作為化二重盲検並行群間比較試験が実施されました。有効性について、審査報告書11ページの表3を御覧ください。主要評価項目の主解析は、本剤の低用量群、中用量群及び高用量群を併合した本剤併合群での最大酸素摂取量(以下「peak VO2)のベースラインからの変化率とされ、プラセボ群との間に有意差は認められませんでした。しかしながら、審査報告書11ページの表3、及び審査報告書12ページの表5に示しますように、中用量群及び高用量群では、peak VO2の改善及び肺血管抵抗係数(PVRI)の低下が示され、これらの用量における小児PAH患者に対する本剤の有効性が示唆されていると判断いたしました。なお、欧州での承認用法・用量、及び今回の申請用法・用量は、中用量群に相当します。

 次に、審査報告書15ページを御覧ください。日本人小児PAH患者6例に、欧州での承認用法・用量と同様の用法・用量で本剤を投与する非盲検非対照試験が実施されました。少数例での検討であるため、審査報告書16ページの表11に示しますような個々の症例の肺血行動態パラメータが詳細に検討され、6例中2例で有効、1例で不変と判断できました。成人では日本人PAH患者におけるシルデナフィルの有効性が認められており、成人と小児でPAHの組織病理及び病態生理や治療実態に差異はないと考えられることなどを考慮すると、外国人同様、日本人小児PAH患者においても本剤の有効性が期待できると判断いたしました。

 続いて、安全性について説明いたします。審査報告書24ページの表15を御覧ください。成人と小児のPAH患者で本剤の安全性プロファイルに大きな違いは見られないことから、現時点では、小児においても成人と同様の注意喚起をすることで、適切な臨床使用が可能と判断しております。製造販売後の調査については、国内治験での症例数が限られていることから、全投与症例を対象とした使用成績調査を実施することを承認条件とすることが適切と判断しております。

 以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。

 本剤は、希少疾病用医薬品に該当しますが、レバチオ錠20mgが既に成人のPAHに対して2008年1月に承認されており、国内において約10年の使用経験を有することから、再審査期間は6年1日と設定することが適切と判断しております。なお、今回申請された製剤は、生物由来製品又は特定生物由来製品、並びに毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。

 なお、1か所、審査報告書に誤記載がありましたので、訂正させていただきます。審査報告書17ページの表12を御覧ください。注釈に「症例番号は第 I 期での症例番号」と記載されておりますが、現在の症例番号は第 I 期での症例番号とは対応しておりませんので、症例3を症例6に修正させていただきます。以上です。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。

○松井部会長 今の症例3を症例6というのは、症例3だけを変換するということですか。

○医薬品医療機器総合機構 3ではなくて、数字が6だということです。

○松井部会長 それでは、御質疑をお願いします。

○杉委員 ちょっと伺いたいのですが、こういう肺高血圧症は結構難治性で、やはりこういう薬が必要だろうと思うのです。確か、添付文書を見ていただきますと。

○松井部会長 何ページですか。

○杉委員 添付文書のレバチオが1ページにありますね。これに禁忌というのがあるのですが、こういう肺高血圧の人は、かなり重篤な心室性の不整脈が出ることがあるのです。ここでアミオダロンは禁忌となっていて、アミオダロンの相互作用を参考にすると、理由は分からないけれども、QTcがやや延長する傾向があるというだけで、これは禁忌なのでしょうか。禁忌というと、絶対使ってはいけないと。小児に使うかどうかは別として、大人も含めて、この薬を使ったときにアミオダロンを投与していると、この薬との併用は禁忌ですから、薬剤師はこれは使えませんと言うと思うのです。禁忌というのは、どういう意味合いなのでしょうか。これは、かなり強い意味だと、使ってはいけないということだと思うのですが、やはり添付文書は重要だと思うのですが、教えていただければ助かります。

○松井部会長 いかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 この禁忌自体は、レバチオ錠の成人での承認のときからこのような形になっております。御指摘のように禁忌ですので、医療現場では使ってはいけないということになっています。実際にどのぐらい延長するかは、データを探すのに時間がかかるのですが、PAHの患者さんは限られた病院にかかっておりますので、この薬を使う先生方はかなり限られており、この禁忌についても御存じで、医療現場で禁忌だから困っているというような話は特に聞いてはいません。

○杉委員 肺動脈性肺高血圧は、それほど多いものではないと思うのです。これは小児用の話でしたか。今回は、そうですよね。

○医薬品医療機器総合機構 今回は、そうです。

○杉委員 大人で認めたとき私は委員ではないのですが、アミオダロンがなぜいけないかというのは、明確に決められたことなのでしょうか。前の添付文書にあるからこのようにしました、ということはよく分かるのですが、私の病院にも大人の肺高血圧の人が受診されます。そのような患者さんが心室細動になったり心室頻拍になっても、アミオダロンは使用できないのでしょうか。アミオダロンというのは、器質的な心疾患があって、心機能が悪い人に使うような薬になります。既に添付文書でこれが認められているから、あなたの言うことは当たっていないということは、どうなのでしょう。ここで審議してもしようがないということになるのでしょうか。

○医薬安全対策課長 添付文書の記載で併用禁忌にしているものですが、この場合ですと、類薬とアミオダロンの併用によるQT延長が現れる恐れがあるということで、一応文献もある形にはなっています。一般的に、添付文書の併用禁忌の考え方として、QTとか副作用の発生によって生命に重篤な影響を及ぼし得る可能性があるものは、併用禁忌という形にさせていただいている部分があります。ただ先生の御指摘のように、現場で非常に不都合があるということであれば、またこういった併用禁忌等を解除するように、学会等を含めて御要望を頂いて、直していくというプロセスもありますので、そういう点では御相談をさせていただければと思っております。

○杉委員 では学会で要望すればよろしいということですか。それとも、要望しても前の添付文書が書いてあるから、あなたの言っていることは駄目だということになりますか。

○医薬安全対策課長 前の添付文書に書いてあるから駄目だということではなくて、こういった類薬も含めて不都合がある、臨床現場ではお使いいただける、またいろいろな実態もあるということで、やはりそれなりのエビデンスも用意をしていただく必要はあるかとは思います。そういった学会等からの御要望を頂いて、この審議会の場ではありませんが、安全対策部会という別途市販後を担当している部会でこういった記載を見直す手続がありますので、そういう中で先生方の御意見も伺いながら対応していきたいとは思っております。

○杉委員 そのことについては、よく分かりました。また、これは小児ということもあるので私の領域ではないのですが、もう一つ今のお話で、添付文書を検討してもらいたいという場合があります。3ページの右の欄の表の中で心臓障害とあるのですが、その中の右に書いてある所で1%未満の副作用の中で心粗動と書いてあります。これは、心房粗動になるのか、心室粗動になるのかで、意味合が全く違ってまいります。ですから、この添付文書を作られたときに、余り不整脈に詳しい方が参加されていなかったのではないかと思うのですが、これも同じように学会を通してということでしょうか。

○医薬安全対策課長 今の御指摘の部分は特に禁忌の事項ではありませんので、表現等に不適切な部分があるということでしたら、こういった部分については別途承認時のデータ等も今一度確認をさせていただいて、適切な記載に訂正をさせていただきたいと思っております。

○杉委員 よろしくお願いします。

○松井部会長 ほかにいかがでしょうか。

○森委員 本薬剤の有効性に関する確認でお伺いしたいことがあります。この薬剤は、小児の方の肺高血圧症に使用した場合に、押し並べて有効性はあるけれども個人差があるのか、有効な方と無効な方がいるのかといったことは、専門協議ではどういった議論があったのでしょうか。日本で行われた臨床試験6例のうち、有効性があると確認された方は6例中2例で、残りの方については有効性に関するデシジョンはいかがだったのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 この疾患自体が進行性の疾患ですので、有効と評価された方は2名なのですが、それ以外に状況が変わらなかった不変というか、進行しなかった患者さんも1名おります。ほかは悪化で、この試験を開始した当時、ほかに承認されているPAH治療薬は、成人も含めてそれほどなかったこともあり、基本的にほかの治療薬を併用はできないデザインで行われておりました。ただ、その後いろいろなPAH治療薬が出てきて、実際に小児の患者さんでも成人のほうで承認されているほかの薬を使用したいというような状況になってきて、治験に入っている途中でこのシルデナフィルの投与をやめたわけではないのですが、ほかの薬を更に病態を考慮して追加をしたくなったので、治験から中止しているという患者さんが結構いた関係で、そういった患者さんでは先ほどの有効不変のカウントには入れることができなかったということもあります。

 個人差があるかどうかですが、疾患自体の進行にも個人差があるのでなかなか一概に言えないところなのですが、この薬をやめたわけではないという辺り、ほかの薬の追加をしてでもこの薬はそのまま投与を続けていたりするところから考えますと、この薬だけで治療することは難しかったとしても、この薬がこの疾患に効かないというものではないと機構としては考えております。

○森委員 非常に希少な疾患で、臨床試験も6例しか行われていないという現状ですので、もちろん有効性が一部の方に確認されていることは、とても貴重な情報だと思います。添付文書にどういった有効性に関する情報を記載すべきなのか。今書かれている内容ですと、データそのものをお出しになっていて、有効かどうかということをデシジョンされていないと。添付文書の小児における。

○医薬品医療機器総合機構 7ページの左のカラムの中程です。

○森委員 これに関しては表のとおりであるということで、これは平均値をお出しになられているのですね。

○医薬品医療機器総合機構 平均値は、文章中に書いてはいます。

○森委員 もちろん、統計解析できる症例数ではないということなので、平均的な解析も一定の意味はあるかと思いますが、臨床的には全ての患者さんにおおよそトレンドとして有効であるということが分かっていて、平均値が低下しているのかということと、大幅に低下している人と上昇してしまう人が混在していて平均値はマイナスという状態では、臨床的に大分意味が違うのです。ですので、それは一部の患者さんでは有効性がない可能性もあるし、むしろデータが悪化しているということは臨床的にはとても大事な情報で、この薬を使う場合に臨床経過を慎重に見ながら、漫然と投与するかどうかは、きちんと有効性を見て決めなさいというような注意喚起をすべきかどうかということに大きく関わってくるのです。今の添付文書では、特にそういった喚起はされていないので、おおむね多くの患者さんに有効であった場合の書き方と同じように見えてしまうので、その点はいかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 表8は、個々の患者さんのデータを患者さんごとに載せております。

○森委員 それで、表8の変化量の所を拝見して、プラス248やプラス587という方は、肺抵抗量が増加していると見てよろしいわけですよね。

○医薬品医療機器総合機構 そうです。それぞれ4歳の患者さん、7歳の患者さんではどういう変化をしたかを載せております。

○森委員 これは事実だと思うのです。つまり、これを小児に使う場合に、使用する医師はどういったことに注意しなければいけないかといった配慮を添付文書に含めるべきかどうかといったことが、専門会議等でも議論があったかどうかをお伺いしたかったのですが。

○医薬品医療機器総合機構 先生が御質問の点は表8に記載しております数値を先生方が御覧になって、有効性があるかどうかが示されているかどうかが確認できるのか、判断が可能なのかというところですか。

○森委員 つまり、統計解析できるほどのn数ではないので、統計的有意に有効性が証明されていないのであれば、そう書くべきではないかということなのですが。

○医薬品医療機器総合機構 国内試験においては、先ほどから御指摘いただいておりますように6例の試験ですので、統計的に有意であったということは一切報告書の中でも記載はしておりません。

○森委員 そのとおりです。

○医薬品医療機器総合機構 したがって、我々も審査の中では個々の症例の肺血管抵抗係数や、そういった臨床試験の中で評価された項目を見た上で、有効であったかどうかの判断を最終的にはしております。したがって、今回の個別の試験の中での症例も、こういった個別データを現場の先生方に御覧になっていただくことによって、この薬が大体どういったものかという御判断は頂けると。特にこの疾患は、御専門の先生方が御覧になっている疾患ですので、情報提供の内容についても専門委員の先生方に御了解を頂いているところです。

○松井部会長 少なくとも、少ない症例ですから統計学的な評価はできないにしても、有効な例が中に存在するということは、この表から読み取れると思うのですが。

○医薬品医療機器総合機構 少し補足をさせていただきますと、既に国内外の教科書やガイドランイにおいて、この薬剤は第一選択薬として、小児においても、単剤及び併用薬剤としても使用が推奨されているものですので、ある意味有効性については臨床現場の先生は既によく御存じの状況で、承認がガイドラインや教科書などでコンセンサスを得ている実態よりも少し遅れてしまったという事実があります。6例のデータで何か統計的なところを主張はしておりませんし、かつ市販後には全例調査を行い、更に有効性の情報も収集した上で、速やかに臨床現場に提供していくことも必要と判断しております。

○松井部会長 いかがですか。

○柴田委員 今の森先生の御発言に関連することなのですが、要は添付文書の7ページ目の表8のような書き方であれば、実際に一人一人の経過が把握できるのでいいのです。例えば表9などを見ますと、BNPですと平均値は40ですが、標準偏差が247であるとか、その下にいくと標準偏差が平均値に比べると桁違いに大きいですね。こういう場合には、やはり数字を一つ出すのではなく、一人一人のプロファイルが把握できるほうが意味があるということになるのではないかと思います。

 それで、添付文書にどこまで書くのかを考えたときに、現状はバランスよく書かれているとは思いますが、例えば審査報告の中で議論をされる際に、今は症例番号を付して書いてありますが、その中でこういう形のディスカッションを踏まえた上で結論が出されていれば、議論としては分かりやすくなるのかなと思います。

 これにこだわる理由は、毒性に基づいて米国において一旦不承認とされているという経過があるので、押し並べてどのような患者さんに対しても一定の効果が期待できるということであれば、比較的リスクベネフィットのバランスの議論はしやすいですが、一部の患者さんには効くけれども一部の患者さんには効かない、毒性はある、リスクが高いということであれば、説明をするときにやはり印象は変わってくると思うのです。添付文書の書き方をどこまで細かくするかという話について、是非書くべきだとは申し上げませんが、今の御指摘の話は審査の過程では詰めておかれるほうが、あるいは情報としてまとめておかれるほうが分かりやすかったのかなという印象は持ちました。

○松井部会長 この点について、ほかに何かありますか。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。御指摘いただきました点は、こういった症例数が少ない場合等においては非常に重要だと思いますので、今後そういったところを含めて議論をしていくように心がけたいと思います。

○奥田部会長代理 逆に表9は、そうするとこのままでも、実際の使用現場をミスリードすることはないと考えてよろしいのでしょうか。それとも、何か表9について読み方を少し書いておく必要があるということなのか、その辺りはどうなのでしょうか。

○松井部会長 付け加えてということですね。

○奥田部会長代理 ええ。

○松井部会長 いかがですか。

○医薬品医療機器総合機構 先ほど柴田先生から御指摘がありましたように、どこまで書くかということについては、基本的にはこの欄については、主要評価項目を書こうと。それで、世の中に誤解のないような結果のみを示していこうということなのですが、今回は例数も少なく、プラスアルファの情報をどこまで書こうかというところで、今はこの段階までにしています。先ほど少しお話が出ましたように、この薬については長年の使用経験があって、その中で効く患者さんと効かない患者さんがいて、効く程度が違う患者さんは確かにいます。しかし、そういった患者さんを何か背景で分けることができるかとか、厳密にこの薬が適しているか適していないかという情報はなくて、やはり第一選択としてどの患者さんにも使える薬だという位置付けができておりますので、ここにこの副次の結果が書いてあっても何かミスリードするような話にはならないと思っております。

○松井部会長 よろしいですか。ほかにいかがですか。

○山田委員 添付文書を少し確認させていただきたいのですが、添付文書の用法・用量の所です。1ページ目で、1歳以上の小児では体重20kg超の場合しかありませんが、これは20kg以下の場合にはもう使わない、あるいは使えないということなのでしょうか。もしかしたら、ODフィルムでしたら半分に切るとか、そういうことが良いとか悪いといった情報は、どこかに記載があるのでしょうか。いかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 レバチオの錠剤とODフィルムについては、御指摘いただいておりますように、体重20kg超の場合となっております。その下にありますドライシロップについては、体重8kg以上の場合となっており、体重が軽い子たちについては、こちらのドライシロップのほうを使っていただくことになります。

○山田委員 多分そういうことかなと思ったのですが、もしそうであれば、20kg以下の場合はうんぬんということを書いていただいたほうが分かりやすいかなという気がいたしました。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘の点ですが、用法・用量の中にその文言は入らないのですが、資材や医療従事者向けの説明文書等には、そこは分かりやすく記載するという計画が既に提示されておりますので、医療現場のほうには正しく伝わると理解しております。

○山田委員 分かりました。

○石川委員 私は専門でないのですが、お伺いします。11ページの表3の用量別で、中用量群が有効だという結論になったということで、これは26例の中に実際には体重の問題ですが、8~20kgの方と、2045kg、それから45kg以上の3群あったということになるのでしょうか。その場合、実際に中用量群の一番効いたという方々の中で、どれぐらいが3群に分かれていて、あるいは偏りがあったというような情報が読み取れなかったのですが、その辺りはいかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 中用量群が一番いいというところについては、PPK解析がかなり詳細に行われて、そのような結論に至っており、審査報告書30から31ページにかけて書かせていただいています。試験は、確かに体重で三つの区分に分けて行われておりました。ただ、PPKのデータを用いて解析をした結果、クリアランスが体重が大体40kg前後で一定の値に達するというような推定がされました。ですので、40kg以上の子とその下の区分の子は、同じ用量で、20kg45kg以下の子たちと40kgを超えているような子たちについては、どちらも大体成人と同じ用法・用量でいいのではないかという解析結果になります。最終的に決まっている用法・用量で、大きい子たちは、成人と同じ用法・用量となっております。

○石川委員 そうすると、1ページに戻りますが、今回下線の所が修正になっているわけですよね。通常体重20kg超えの小児は1回20mgという、下線部分を追加する審査ですよね、今日は。

○医薬品医療機器総合機構 そうです。

○石川委員 それで、45kg以上の子供というのはここには書いていないのですが、そういう方は成人になってくると。

○医薬品医療機器総合機構 成人というわけではないのですが、20kg超の場合というところで読むということです。

○石川委員 そうすると、表2の中用量は40mgですよね。成人と同じになってくると。40mgと書いてありますが。45kg超えの小児は、実際にはスタディには入っているわけですよね。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘の点は、40でなくて20でよかったのかというお話ですか。

○石川委員 そうです。

○医薬品医療機器総合機構 そこについては、プラトーになるので、40に上げる必要はなかったということです。

○松井部会長 それは予想されたことですが、大変たくさんの御意見が出て、しかも第一選択として実際に小児にも使われてきているのに、それに対して症例が少ないために、はっきりとした結論が出ないということだと思うのですが。この薬に対して、使用法についても添付文書の書き方についてもたくさんの意見が出たということを記載して報告としたいと私は思うのですが、いかがでしょうか。よろしいですか。異議ありませんか。

 それでは、議決に入ります。なお、大森委員、杉委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただきます。それでは、本議題について承認を可としてよろしいですか。ありがとうございます。

 続いて、議題3に移ります。事務局から概要を説明してください。

○事務局 審議事項、議題3資料3、医薬品サムスカ錠7.5mg、同錠15mg及び同顆粒1%の再審査期間延長の可否につきまして、事務局より御説明いたします。まず、再審査期間の延長に係る制度に関しまして御説明いたします。医薬品医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条の4第2項においては、「厚生労働大臣は新医薬品の再審査を適正に行うため特に必要があると認めるときは、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、再審査期間をその製造販売の承認があった日から10年を超えない範囲内において延長することができる」旨の規定があります。この規定に基づき、小児の用量設定等のための臨床試験を計画する場合で、必要があると認められる場合には、本審議会にお諮りした上で再審査期間を延長しているところです。

 引き続き、今回の品目の概要を御説明いたします。資料3の「品目概要」のタブをお開きいただき、1ページ目を御覧ください。本品目の申請者は大塚製薬株式会社、品目名はサムスカ錠7.5mg、同錠15mg及び同顆粒1%。有効成分として、トルバプタンを含有しています。今回の小児の用法・用量の開発の対象となる効能・効果は、ループ利尿薬等の他の利尿薬で効果不十分な心不全における体液貯留です。本品目には、現在小児に係る用法・用量の設定はなく、添付文書の小児等への投与の項には、「低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない」とされております。

 裏側の2ページ目を御覧ください。本品目の心不全における体液貯留の効能・効果の承認日は平成221027日で、再審査期間は8年となっております。今般、申請者から小児心不全患者における有効性及び安全性、薬物動態及び薬力学的作用のデータを収集し、小児の用法・用量を検討する目的で治験を実施することから、再審査期間を当初より2年延長し、通算で平成321026日までの10年とする要望が提出されました。

 続きまして二つ目のタブ、「再審査期間延長に係る要件の該当性」の2ページ目を御覧ください。2.1 小児開発の開始に記載のとおり、本薬の成人に対する開発を行うに際し、小児科の医師に対して小児先天性心疾患での浮腫、利尿薬の使用状況について聞き取り調査を行った結果、先天性心疾患での浮腫に対しても広く利尿薬が使用されていること、そして既存の利尿薬に抵抗性を示す場合があること等の情報が得られたことから、本薬の小児に対する臨床開発の検討を行っておりました。さらに承認取得後も、医師への聞き取り調査を実施し、その結果に基づいた新剤形の開発や試験計画の検討が行われ、□□月に小児の心不全患者を対象とした治験計画届が提出されました。

 3ページ目の下段、3.小児心不全の医療現場における本薬の使用実態を御覧ください。本薬は国内外で小児心不全患者における使用実態があり、論文や学会報告では、本薬を投与した小児心不全患者のデータが数多く報告されていることから、小児開発の必要性は高いものと考えております。

 続いて5ページ目を御覧ください。本試験の被験者登録に必要な期間は、医師及び医療機関への調査結果に基づきか月と推定されており、□□月に治験計画届が提出されたことから、再審査期間を10年、つまり平成321026日までに延長することが適当と考えております。以上、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○松井部会長 いかがでしょうか。御質疑をお願いいたします。特段の御意見はございませんか。そうしますと、この議題について議決に入ろうと思いますが、よろしいですか。なお、大森委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき議決への参加を御遠慮いただきたいと思います。本議題につきまして、再審査期間の延長を可としてよろしいですか。

 ありがとうございます。御異議がないようですので、再審査期間の延長を可として、薬事分科会に報告いたします。報告事項に移ってください。

○事務局 事務局より、報告事項についてまとめて御説明いたします。初めに報告事項、議題1、医薬品レミッチカプセル2.5μg、ノピコールカプセル2.5μg及びレミッチOD錠2.5μgの製造販売承認事項の一部変更についてです。資料4を御覧ください。本剤はナルフラフィン塩酸塩を有効成分とする製剤であり、現在血液透析患者及び慢性肝疾患患者におけるそう痒症の改善(既存治療で効果不十分な場合に限る)の効能・効果で承認されています。今般、東レ株式会社及び東レ・メディカル株式会社より、腹膜透析患者におけるそう痒症の改善(既存治療で効果不十分な場合に限る)に関する効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。

 続いて報告事項、議題2、医薬品パリエット錠5mg及び同錠10mgの製造販売承認事項一部変更承認について御説明いたします。資料5を御覧ください。本剤はラベプラゾールナトリウムを有効成分とするプロトンポンプインヒビターであり、現在逆流性食道炎等の効能・効果で承認されております。今般、エーザイ株式会社より逆流性食道炎の維持療法において、新たな用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。

 次に報告事項、議題3、医薬品スピンラザ髄注12mgの製造販売承認事項一部変更承認について御説明いたします。資料6を御覧ください。本剤はヌシネルセンナトリウムを有効成分とする注射剤であり、現在乳児型脊髄性筋萎縮症の効能・効果で承認されています。今般、バイオジェン・ジャパン株式会社から、乳児型以外の脊髄性筋萎縮症に関する効能・効果及び用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。

 続いて報告事項、議題4、医療用医薬品の再審査結果について報告いたします。資料番号は7-1と7-2で、これらは各製剤の医薬品再審査確認等結果通知書となっていますので、まとめて御報告いたします。資料7-1は、一般的名称はボセンタン水和物、販売名はトラクリア錠62.5mgのものです。資料7-2は、一般的名称はペルフルブタン、販売名はソナゾイド注射用16μLのものとなっています。これらの品目について製造販売後の特定使用成績調査、製造販売後臨床試験、使用成績調査に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要のないカテゴリー1と判定したものです。報告事項に係る事務局からの御説明は以上です。

○松井部会長 ただいまの報告事項について、御質疑はございますでしょうか。よろしいですか。それでは、報告事項については御確認いただいたものとします。ほかに事務局から何か報告はありますか。

○事務局 「最適使用推進ガイドラインの取扱いに係る通知案について」、御説明いたします。当日配布資料12-1と12-2をお手元に御用意ください。昨年度より、最適使用推進ガイドラインについては、医薬品第一部会においてはレパーサ及びその類薬、医薬品第二部会においてはオプジーボ及びその類薬について試行的に作成してきました。この度、この最適使用推進ガイドラインの手続を明確化する通知を発出したいと考えておりますので、御説明申し上げます。当日配布資料12-2が発出を考えている通知案で、12-1が、その通知案の概要です。12-1に沿って御説明させていただきます。

 1の本制度の趣旨です。医薬品は、添付文書等に基づいた適正な使用が求められるものですが、昨今、革新的かつ非常に高額な医薬品が登場しており、こうした医薬品に対して、国民負担や医療保険財政に与える影響が懸念されています。経済財政運営と改革の基本方針2016においても、革新的医薬品の使用の最適化推進を図ることとされております。また、革新的な新規作用機序を有する医薬品については、薬理作用や安全性プロファイルが既存の医薬品と明らかに異なることがあります。したがって、有効性及び安全性に関する情報が十分蓄積するまでの間、当該医薬品の恩恵を強く受けることが期待される患者に対して使用するとともに、副作用が発現した際に必要な対応を迅速に取ることが可能な一定の要件を満たす医療機関で使用することが重要であると考えています。そういった観点から、新規作用機序を有する革新的な医薬品について、当該医薬品の最適な使用を推進する観点から必要な患者及び医療機関の要件、考え方や留意事項についてガイドラインとして審査と並行して作成していくというものです。

 どういったものが対象になるかについては2に記載しています。1.から5.に掲げる要件を総合的に判断して、対象となる医薬品を選定していきたいと考えています。具体的には1.に示している薬理作用が既存の医薬品と大きく異なるもの、2.に掲げている安全性のプロファイルが違っていて使用上の注意が必要なもの、3.として、既存の医薬品と比較した有効性が著しく高く、医療現場でその医薬品の使用について期待が高いもの、4.臨床的な位置付けが既存薬と異なっていて、より広い患者に使用される可能性があるもの、5.今後の開発計画として使用患者が急激に増大することが想定されるようなもの。このようなところを総合的に判断して対象医薬品を選定したいと考えています。

 具体的な手続に関しては3に記載しています。実際に対象となる医薬品が承認申請されたら、直近の担当する医薬品部会に御報告させていただきます。そして、関係学会と機構に対してガイドライン案の検討を依頼します。実際に関係学会と機構の間で検討されたガイドライン案については、対象医薬品の承認について審議等を行う部会で御説明をさせていただき、御了解いただきたいと考えております。また、医薬品部会で御了承いただけましたら、対象医薬品の薬価収載、承認の後になりますが、対象医薬品の薬価収載の審議を行う中医協でガイドライン案について事務局より御説明し、御了承いただきたいと考えております。実際に対象医薬品が薬価収載されるまでに、保険適用上の留意事項とともに御確認いただいたガイドライン案を周知させていただきたいと考えています。

 裏面の4は今後の予定です。来週の9月8日には医薬品第二部会が行われますので、そちらでも通知案について御説明させていただき、中医協においても通知案を御説明する機会を頂く予定にしています。この部会を含めて、この通知案について御了解いただけましたら、9月中旬頃の通知発出を予定しています。御説明は以上です。

○松井部会長 ただいまの御説明について、御意見などはございますか。

○鈴木委員 このガイドラインの意味するところは、対象医薬品が1.から5.までありますが、上の二つについては薬理作用が大きく異なるとか、安全性のプロファイルが大きく異なるとか、そういう意味で当面適用を限定するということになるわけですが、下の三つについては有効性が著しく高いので広く使われる可能性がある、あるいは臨床的位置付けが異なり、より広い患者に使用される可能性がある、5.は、その他の疾患等による効能・効果の追加により使用患者の拡大の可能性があるということで、安全性及び有効性とは別な考え方によって適用を限定することになります。適用の限定はずっとということではなくて、安全性と有効性が蓄積するまでと書いてあるのですが、それは1.と2.についてはそういう意味でいいと思うのですが、3...については、どういう時点まで適用を限定すると考えればいいのか。もう少し説明していただけますか。

○松井部会長 どのような条件がそろったらということですが、いかがでしょうか。

○事務局 具体的にどういった情報の蓄積をもってガイドラインを改訂していくかということについては、個別に検討させていただきたいと思っています。

○鈴木委員 少なくとも3...については、有効性と安全性が確認されるのとは別な理由ですので、そこをある程度はっきりさせておく必要があり、あるいはそういうことではないということであれば、当分の間など、そういう意味合いになるわけでしょうか。

○事務局 有効性と安全性の観点から、3...の項目が必ずしも関係ないとは考えていませんで、広く一般に使われていく中においては、必ずしも御専門でない先生方の医療機関でかかられる場合もあるかと考えられますので、そういった観点から必要な医療機関の要件等を設定していくという考えでおります。

○鈴木委員 そうした医療機関を限定する場合においても、適用の拡大はあるわけです。ですから、それは部分的にはそうかもしれませんが、3...に関して必ずしもそれだけではないのではないですか。主に経済性の視点が大きいのではないかと思われますが、それに対して適用の拡大をする時期が、これでは読めないと思うのですが、それについてはいかがですか。

○医薬品審査管理課長 先生に御指摘いただきましたように、例えば追加効能の申請があったときなど、使用患者の拡大が起こることも当然ありますので、最適使用推進ガイドラインは薬剤と効能・効果ごとに作っていこうと考えておりますが、効能・効果の追加などの申請があったときにも、しっかりと作っていこうと思っておりますし、それは安全性・有効性の面からもそうですし、背景にあった経済の話として、保険局側とも十分に連携しながら、対象医薬品の選定などの手順を取っていきたいと思っています。

○鈴木委員 それでも不明確な感じがするのです。例えば費用対効果の観点から価格が大幅に下がるといった場合に適用拡大になるとか、そういうことは考えられないでしょうか。

○医薬品審査管理課長 薬価が下がるということでしょうか。

○鈴木委員 そうです。

○松井部会長 この対象となる薬剤というのは、「革命的」と言っていいか分かりませんが、著明な効果を有する。

○医薬品審査管理課長 先生の御指摘は、最初は非常に高額であったものが何かの理由で価格が下がる場合というような。

○鈴木委員 1.から5.のうち、1..は有効性・安全性がはっきりした時点でと読めるわけですが、3.から5.は必ずしもそれだけではないと思うのです。むしろ、そうではない理由のほうが強いのではないか。経済性の視点ということがあります。要するに価格です。価格が下がった場合に、どの時点で適用を元に戻すか、制限を緩和するのかの根拠、目安が示されていないと、このまま当分の間は続くと理解することになるのではないかという気がするのですが、その辺についてはどのようにお考えかということを聞いているわけです。

○医薬品審査管理課長 何か最適使用推進ガイドラインを一本作って、例えば3...の事情も変わったというときについては、見直しもあり得ると考えております。ただ、現時点で、今まで4本のガイドラインを作っていて、またこの通知を出すことによって、安定的に作り出すことは作り出したいと思っておりますが、見直しをどのようなタイミングでどのようにというのは、おそらくケース・バイ・ケースでいろいろなものがあり得ると思っておりまして、見直しについて否定もしませんし、考えていきたいと思いますが、どういうときに確実に見直すというのは。

○鈴木委員 それはそのとおりなのですが、「有効性・安全性に関する情報が十分蓄積するまで」としか書いていないので、それだけでは3...については読みきれないのではないかということです。ですから、有効性・安全性、経済性とか、あるいはせめて「等」を入れないと、不十分ではないのかと思われますが、いかがでしょうか。

○医薬品審査管理課長 先生の御指摘の趣旨は理解しましたので、「有効性・安全性等」とか、その2項目以外についても、背景情報を含めてあり得るということでの修文は工夫したいと思います。ありがとうございます。

○松井部会長 ほかにはいかがでしょうか。

○柴田委員 今の有効性・安全性に関するところについての質問です。有効性・安全性の情報が十分に蓄積するまでの間という話ですが、実際に効能・効果の範囲に入っているけれどもガイドラインの対象にならない集団に対しては、通常の保険診療の中では使われないということになると思いますので、放っておくとそこの集団に対する有効性・安全性の情報というのは蓄積しないのではないかと思うのです。そういう場合に仮に医学的、あるいは薬理学的な根拠があって、そこでも使えると考えた企業あるいは研究者が、そこに対してきちんとガイドラインの範囲を広げてほしいというアピールをしたいとしたら、そこに対しては治験あるいは医師主導治験を実施しなければならないということなのでしょうか。

○事務局 ガイドラインの範囲については、科学的な知見に基づきますので、もちろん臨床試験を実施することというのは非常に大きなエビデンスになるとは思いますが、例えば諸外国での使用など、様々な形でのエビデンスの蓄積の可能性はありますので、そのやり方についてはどういった情報が得られるかを踏まえて、よく考えていきたいと思っております。

○柴田委員 必ず治験あるいは医師主導治験で行われるべきだという解釈ではないという理解で正しいですか。

○事務局 必ずしもその必要はないと考えております。

○石川委員 私個人は、今おっしゃった今回の12-2をよく理解できるつもりなのです。少し前の報告事項の議題3のスピンラザなどは正にそれに相当すると思って、今回乳児型を外して、成人も含めて脊髄性筋萎縮症に適用拡大になると、実際に私が拝見するような領域の成人型の脊髄性筋萎縮症に適用になってしまうようなことになりますが、実際にはこの薬は非常に限られた遺伝子変異のものにしか効かないので、病名では該当しても薬効がないということが、今のところまだクリアになっていないということがありますので、今日おっしゃったような議論を、是非していただくべきだと思って、先ほどの報告3のときに伺っていました。正に、その次にこの話が出ましたので、とてもよかったと思っていまして、その場合は今問題になった治験などになる前に、遺伝子診断で該当者と非該当者が決まってくるので、そのようになるかなと思っています。

○松井部会長 ほかにはいかがですか。

○鈴木委員 繰り返すようですが、新たに治験をする必要があるかというような御質問もありましたが、そういう場合もあるのかもしれませんが、当初の趣旨は、すでに治験が終わっているものに対して、一定期間適用を制限するという話です。ですから、新たに治験をするとか、そういう話ではなく、少なくとも経済性の視点で適用を制限する場合には、そうではないのではないですか。

○医薬品審査管理課長 もちろん承認に足りるエビデンスがあっての承認ですので、先ほど御質問いただいたような、この最適使用推進ガイドラインの外について、決して治験をマストにするといった必要はないと思っております。

 一方で、それはどの剤も同じですが、有効性・安全性の画期的なものについて広く集めた上で、もちろん経済性の話もありますが、最適使用推進ガイドラインを仮にどういう形で改訂するときには、そういったことも今一度レビューして、ガイドラインは改訂するのかなと思っています。そこは、使えるデータをその時点で活用したいと考えております。

○柴田委員 私も意図としては鈴木先生がおっしゃったとおりであって、基本的には治験等は必要ないから承認範囲に入っているのではないかと考えて質問いたしました。ここのところを整理しておかないと、今、法律の、別途臨床研究法の中で議論されている特定臨床研究の中に入るのか否かという線引きのところにも被ってくると思うので、質問した次第です。つまり、薬事承認はされているけれども、保険診療の場で使えないというものは適応外使用であると主張する研究者、研究倫理審査委員会等もあるので、今のお話であると、このガイドラインの中から外れた集団に対しては適応外使用の臨床試験ではなく、適応の中の臨床試験であると解釈してよいということになるわけですね。

○松井部会長 質問ですか、念押しですか。

○柴田委員 質問です。

○審議官 今の御議論の中で、そもそも最適使用ガイドラインが既に使われている薬を対象に後から作ったために、現に使われている患者を一定程度制限することになるようだというのが、オプジーボやレパーサのケースなのです。これから作るガイドラインの在り様というのは、基本的に承認しようと思っている新薬の適用対象の患者集団で期待したとおりの有効性・安全性を発揮するために必要な条件をより細かく詳しくガイドラインの中に書きましょうということです。

 特に、承認の内容や用法・用量の今の記載の仕方は、いわゆる文字面でいうとかなり大掴みになっているところがどうしても存在していて、例えば、どのような病院で、どのような検査体制が整っている所でやらないと、重篤な副作用についてしっかりとモニターができないので、それがちゃんとしているところを前提にして使ってくださいというようなケースを想定して、最適使用推進ガイドラインで施設の要件をかなり書き込もうと考えていると思います。

 そうしますと、ガイドラインで規定されている使い方の部分に関して言うと、それではない使い方をしたときに大丈夫なのか、何かデータを取らなければいけないのではないかという話を考えると、治験とか臨床研究のようなやり方で本当にできるかというのは、場合によってはそういうケースもあるのだろうけれども、必ずしもそうではなくても分かるのではないかというケースも想定されるものですから、一概に、治験や臨床研究でやらない限りはガイドラインで示した使用の前提条件を一歩も緩められませんとまでは、恐らく言えないのではないか。そういう考えがある中で御説明をしているのだと思います。

 とにかく、画期的な新薬を最初に承認するときには、治験の中で十分な経験のある専門家、あるいは適切な体制が取れる医療機関、ここで使われている中では有効性・安全性が確認されています。しかも、それはものすごく画期的で、今まで経験のないような薬剤なので、それを正しくきちんと使って、患者に本当にベネフィットが出るようにするためには、なるべくその条件を前提にして現場でお使いいただくところからスタートしましょう。その上で実際に使っていく中で得られた有効性・安全性のデータが、大体再審査期間中に収集されますので、そうしたデータを踏まえながら、あるいは市販後にいろいろな臨床研究が行われている中で得られていく情報をも加味して、使用対象をもう少し広げられる、あるいは緩和できるというようなガイドラインの改訂がその後行われていくだろうと想定される部分はあるので、それを道筋として示していくというのが、基本的な考え方になっていると思います。

 こうしたところの話が、もともとオプジーボについての議論から始まって、最適ガイドラインを作るというアイディアが登場した中では、どうしても経済性の問題が前面に出ていたということもありました。こういう近年登場している画期的なのだけれども、値段がどうしても高くなってしまう新薬をどううまく医学的に使いこなしていくか臨床的に使いこなしていくかという部分と、それのコストをどうリーズナブルな範囲でコントロールするのかというのを、今、知恵を絞りながらやっているという状況ですので、これだけで全て解決する話ではなくて、もう少し大きなフレームワークの保険の中でのいろいろな取扱いのルールの工夫も合わせて、あるいは費用対効果の評価というものをその後に加えて、そうした中で持続可能な形で、画期的な製品を患者の役に立てていくということを実現しようということなのだと思います。

 今のガイドラインについて、やはり薬の有効性・安全性をきちんと評価、議論をしているところで出せる知恵としては、こういうやり方なのではないかということで、通知としてその考え方を示したいということで、今日お示ししたということです。

○鈴木委員 今の御説明は、医薬・生活衛生局の視点ではそういうことなのでしょうけれども、私は中医協委員もしていましたが、あちらでは経済性の視点も、費用対効果の議論が始まってからは入ってきていて、有効性・安全性だけでどんどん承認されて、それが全て保険適用ということでは保険財政がもたないということで、ある程度妥協の上で、こういう形になったということなのです。そういう意味では薬食審の委員の皆さんにこれをお諮りするということは、これまでのように有効性・安全性で薬事承認をしても、少なくともすぐにすべて保険適用にはならなくなりますが、それでもよろしいですねということを皆さんに確認されているということだと思います。

○松井部会長 ほかにございますか。

○森委員 医療の現場にいる者から一言だけお願いさせていただきたいのですが、東京のような大都市圏にいらっしゃる患者でない方で、医療のアクセシビリティが比較的よくない所にいらっしゃる患者も大勢おられて、そういった地域の医療機関では、限られたマンパワーやリソースの中で臨床医の先生方やコメディカルの先生方が非常に尽力されて患者を見ているという現状があります。

 新薬を保険承認いただいて、ガイドラインでより安全に使えるようなきめ細やかな御指示を頂くということの趣旨は重々理解しておりますが、地域における現場での限界というものもあるので、もちろん理想的には、こういう環境が望ましいという御提示を頂くことは十分に理解できるのですが、ある程度医療機関の特性等も配慮していただき、またより広く日本の医療機関の御意見をお聞きいただいた上で、このガイドラインをお決めいただくということは可能でしょうか。

○事務局 実際の医療機関の要件の設定における検討の中でも、臨床の専門の先生方の御意見も含めて、必要な患者にしっかりと届くような要件になるようにという観点は入れさせていただいて、検討させていただいていますので、引き続きそのように努めたいと思いますし、またこういった機会で御意見等を頂ければ、反映させていただくことはできると思いますので、よろしくお願いいたします。

○松井部会長 ほかにございませんか。この件に関しては、医薬品第一部会としても十分に意義を理解しなければならないし、また十分に意義を理解していかなければならないと感じました。特に御発言がなければ、本件については御確認いただいたことにしたいと思います。事務局から、ほかに御報告はありますか。

○事務局 次回の部会については、11月2日()の午後1時から開催させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。

○松井部会長 長い間、御苦労さまでした。本日はこれで終了いたします。


(了)

備  考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬・生活衛生局 医薬品審査管理課 課長補佐 荒木(内線2746)

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