ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(要指導・一般用医薬品部会)> 薬事・食品衛生審議会 要指導・一般用医薬品部会 議事録(2017年9月6日)




2017年9月6日 薬事・食品衛生審議会 要指導・一般用医薬品部会 議事録

○日時

平成29年9月6日(水)14:00~


○場所

航空会館501+502会議室


○出席者

出席委員(15名)五十音順

阿 曽 幸 男、 五十嵐   隆、  稲 葉 雅 章、 乾    英 夫、
川 原 信 夫、 神 田 敏 子、○新 保 卓 郎、 鈴 木 邦 彦、
多 田 弥 生、◎橋 田   充、 長谷川 洋 一、 濱 野 明 子、
村 島 温 子、  望 月 眞 弓、 渡 邉 和 久
(注) ◎部会長 ○部会長代理
他参考人3名

欠席委員(4名)五十音順

金 澤   實、 寺 崎 浩 子、 平 石 秀 幸、 福 島 紀 子、 

行政機関出席者

宮 本 真 司 (医薬・生活衛生局長)
森    和 彦 (大臣官房審議官)
山  本   史 (医薬品審査管理課長)
佐 藤 大 作 (医薬安全対策課長)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
宇  津   忍 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)

○議事

○医薬品審査管理課長 ただいまから、「薬事・食品衛生審議会要指導・一般用医薬品部会」を開催させていただきます。委員の先生方におかれましては、大変お忙しい中御出席いただきまして、誠にありがとうございます。

 初めに、本部会、薬事・食品衛生審議会の委員の改選が行われて以降、初めての開催となります。この部会につきましても、新しく改選でお入りいただいた委員の先生方がおられます。つきましては、冒頭、本日の座席表の裏に要指導・一般用医薬品部会のメンバーを記載させていただきました名簿がありますので、その名簿に即して御紹介をさせていただきます。

 阿曽幸男委員、五十嵐隆委員、稲葉雅章委員、乾英夫委員。本日御欠席ですが金澤實委員。続きまして、川原信夫委員、神田敏子委員、新保卓郎委員、鈴木邦彦委員、多田弥生委員。続きまして、本日御欠席ですが寺崎浩子委員。続きまして、橋田充委員、長谷川洋一委員、濱野明子委員。本日御欠席ですが平石秀幸委員、福島紀子委員。続きまして、村島温子委員、望月眞弓委員、渡邉和久委員。以上の先生方が本部会委員です。また、この部会の部会長は、1月27日に選任が行われておりまして、引き続き橋田委員に部会長をお願いすることとされておりますので、御報告申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。

 また、薬事・食品衛生審議会令第7条第5項の規定に基づきまして、部会に属する委員のうちから部会長があらかじめ指名する方が、その職務を代理するとされておりまして、部会長代理につきまして部会長から御指名を頂くこととされております。橋田部会長、よろしくお願いいたします。

○橋田部会長 橋田でございます。引き続き部会長を務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。部会長代理ですが、これまでの御実績、御専門の領域を考えまして、新保委員に部会長代理をお願いしたいと思っております。

○医薬品審査管理課長 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、新保先生、よろしくお願い申し上げます。部会長代理につきましては、新保先生にお願いすることとされましたので、つきましては、新保先生に部会長代理の席にお移りいただきますよう、お願い申し上げます。

 本日の出席状況は、当部会委員数19名のうち15名の委員の御出席を頂いておりますので、定足数に達していることを御報告申し上げます。また、本日、審議事項の参考人として、議題1の関係で東京歯科大学市川総合病院産婦人科教授の高松潔先生、公益社団法人日本産婦人科医会常務理事の宮崎亮一郎先生、議題2の関係で日本赤十字社京都第二赤十字病院耳鼻咽喉科・気管食道外科部長の出島健司先生に、御出席いただいております。

 また、前回開催以降で、厚生労働省及び医薬品医療機器総合機構におきまして、幹部の人事異動がありましたので、御紹介させていただきます。厚生労働省医薬・生活衛生局長に宮本が着任しております。

○医薬・生活衛生局長 7月11日付けで医薬・生活衛生局長を拝命いたしました宮本と申します。どうぞよろしくお願いいたします。医薬局関係は、5年ぶり3度目ということになります。また、橋田部会長をはじめ委員の皆様におかれましては、本日、大変お忙しい中、また、小雨も降ってまいりましたが、足下の悪い中御出席いただきまして、誠にありがとうございます。

 要指導・一般用医薬品の承認審査につきまして、それぞれの専門分野におきます最新の科学的知見、先生方の臨床の豊かな御経験を基に、これまで厳正な御審議を頂いておりますことに、深く感謝しております。引き続き御指導・御協力賜りますようお願い申し上げます。以上でございます。

○医薬品審査管理課長 ほかに事務局の異動といたしまして、医薬品医療機器総合機構、審議役の木下が着任しております。安全第二部長の近藤でございます。最後となりましたが、私、医薬品審査管理課長に着任いたしました山本でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 続きまして、委員改選後最初の部会ですので、特に御留意いただきたい事項などにつきまして、私から御説明をさせていただきます。本部会の御参加に当たりまして、改めて留意事項を3点ほど御説明させていただきます。第1に守秘義務の関係です。国家公務員法第100条におきまして、「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする」と規定されております。委員、臨時委員、専門委員の皆様方は、非常勤の国家公務員の立場でして、この規定の適用を受けますので、職務上知り得た秘密につきましては、漏らすことのないよう、よろしくお願い申し上げます。これが1点目です。

 第2に、薬事に関する企業等との関係です。お手元に資料8「薬事分科会規程」、資料9「薬事分科会における確認事項」をお配りしております。資料8の「薬事分科会規程」の6ページを御覧ください。第11条がありますが、第11条におきまして、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されております。審理の中立性・公平性を確保する観点から規定されておりますので、これらに該当する場合、また、任期中にこれらに該当することになる場合には、速やかに事務局まで御連絡いただきますようお願い申し上げます。

 第3ですが、薬事分科会の審議事項です。資料9「薬事分科会における確認事項」の7ページを御覧ください。表があります。表の右側、部会、分科会などと書いてある欄がありますが、その欄に区分ごとに印が付いております。○は審議、△は報告、▲は文書配布による報告、そして×は審議・報告なしとなっております。基本的には、この区分けに従いまして部会、分科会において御審議をお願いいたしております。

 資料8「薬事分科会規程」の5ページを御覧ください。第7条です。第7条におきまして、「部会における決定事項のうち、比較的容易なものとして分科会があらかじめ定める事項に該当するものについては、分科会長の同意を得て、当該部会の議決をもって分科会の議決とする。ただし、当該部会において、特に慎重な審議を必要とする事項であるとの決定がなされた場合はこの限りではない」と定めております。先ほどの表に記載している事項に以外にも、このただし書にあるように、「部会において特に慎重な審議を必要とする事項である」と決定された場合につきましては、分科会において御審議をお願いすることになります。委員の皆様におかれましては、このような各種規定を御承知の上で、よろしく御審議のほどをお願い申し上げたいと思っております。これらの点につきまして何か御質問があれば承りたいと思いますが、いかがでしょうか。また、いつでも結構です、御質問があれば、事務局までお寄せいただきたいと思います。

 部会を開始する前に、もう一点御報告させていただきたい事項があります。資料10の一枚紙ですが、プレスリリースの形を取った資料をお手元にお寄せください。先ほどお願い申し上げました注意事項とも関連するところですが、薬事分科会の委員、臨時委員、専門委員につきましては、薬事分科会規程第11条に基づきまして、「在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」とされております。今般、薬事分科会の部会に所属されていた委員につきまして、医療機器製造販売業の許可を取得している企業の役員に就任していたことが判明しましたため、当該委員には辞任いただいた上で、6月29日にこの資料10にありますように、本事案を公表いたしまして、同日に開催した薬事分科会に御報告をさせていただきました。

 裏面も御覧ください。7月31日の日付が入っているプレスリリースをお示ししておりますが、今、御説明申し上げました事案を踏まえ、薬事分科会の全ての委員を対象に、改めて薬事分科会規程への適合状況を確認させていただきました。その結果、新たに臨時委員2名が、薬事に関する企業から定期的に報酬を得る顧問に就任していたことが判明しましたため、当該委員2名につきましても辞任いただいた上で、7月31日に本事案を公表しております。

 なお、本部会においては、規程に抵触する委員はいらっしゃらなかったことを御報告申し上げます。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、これらの確認作業への御協力を頂きましたことに感謝申し上げます。今後の対応といたしましては、同様の事案の再発を防止するために、薬事分科会の委員等就任時、また会議開催時に、薬事分科会規程や薬事分科会審議参加規程の適合状況を書面により御署名いただく形で御申告いただく方向で検討をいたします。具体的な方法等につきましては、事務局にて検討の上改めて御連絡いたしますので、御協力をよろしくお願い申し上げます。

 また、「薬事に関する企業」はどのような企業が該当するのか、寄附金・契約金等の申告に関する詳細なルールなど、現在の規程にも分かりにくいところがあるかと思われますので、そういった点も含めまして、重要事項につきましては、事務局より改めて分かりやすく御説明、注意喚起をさせていただいて、薬事分科会の適切な運営に引き続き努めてまいりたいと考えております。委員の先生方には御負担をお掛けすることになりますが、この機会に改めてこれら規程を御認識いただきますとともに、規程の遵守に向けて御協力いただきますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。

 事務局からの説明は以上です。少々長くなって申し訳ありませんでした。それでは、橋田部会長、以降の進行をよろしくお願い申し上げます。

○橋田部会長 まず、事務局から配布資料の確認をお願いします。

○事務局 資料の確認をさせていただきます。本日、席上に議事次第、座席表、当部会委員名簿を配布させていただいております。議事次第に記載されている議題に沿って資料1から資料4-2まであり、こちらはあらかじめ送付させていただいているものです。当日配布資料として、資料5です。ロートアルガードクリアノーズのチェックシート案及び、後ろのほうに外箱のパッケージ案が入っているものです。資料6は、本日、御審議いただく品目の競合品目・競合企業リストです。資料7は、審議品目に係る専門協議の委員リストです。資料8、9、10ですが、先ほどの説明の際に使用させていただきました薬事分科会規程、薬事分科会における確認事項、プレスリリースの3点です。加えて、本日、御審議いただく品目の製剤サンプルを机の上に置かせていただいています。資料については以上ですが、過不足等があれば、お申し出いただければと思います。

○橋田部会長 資料について、よろしいですか。それでは、ただいまから本日の議題に入ります。事務局から審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて、報告をお願いします。

○事務局 資料6を御覧ください。こちらは一枚紙です。こちらは、本日の審議品目に係る競合品目・競合企業リストです。競合品目・競合企業の選定理由について説明します。資料6の表面ですが、議題1のエンペシドLクリーム他1品目です。こちらは抗真菌成分であるクロトリマゾールを含有する腟用の外用剤です。効能・効果は、腟カンジダの再発による発疹を伴う外陰部のかゆみであり、同様の効能・効果を有する製剤として、こちらに記載のある品目を競合品目・競合企業として選定しています。

 資料6の裏面です。議題2のロートアルガードクリアノーズ季節性アレルギー専用ですが、こちらはステロイドでありますフルニソリドを含有する点鼻用製剤です。効能・効果は、アレルギー性の鼻炎用薬であり、同様の効能・効果を有する製剤としては、こちらの資料に掲げる品目を競合品目・競合企業として選定しています。以上です。

○橋田部会長 ただいまの事務局からの説明について、御意見はありますか。よろしいですか。それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、先生方の御了解を頂いたものとさせていただきます。それでは、各委員からの申出状況について、報告をお願いします。

○事務局 各委員からの申出状況について、御報告させていただきます。議題1、エンペシドLクリーム他1品目については、退室委員はなし、議決に参加しない委員は稲葉委員です。議題2、ロートアルガードクリアノーズ季節性アレルギー専用については、退室委員なし、議決に参加しない委員もなし。以上です。

○橋田部会長 ただいまの事務局からの説明について、御意見はありますか。よろしいですか。それでは、先生方に御確認を頂いたものとして、議題に入ります。本日は、審議事項が2議題、その他事項が2議題となっております。それでは、審議事項の議題1に入ります。議題1について、機構から概要の説明をお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 本日の審議品目について御説明いたします。まず、資料1のエンペシドLクリーム及びデリーザLクリームについて説明いたします。これらはバイエル薬品株式会社及び佐藤製薬株式会社が共同で申請したもので、同一の製剤です。お手元に用意した製剤サンプルですが、医療用医薬品であるエンペシドクリームを用意していますが、申請品目は医療用医薬品とラベル以外は同一の製剤ですので、形状等はそちらを参考にしていただきたいと思います。

 審査報告です。まず、3ページのイ項を御覧ください。本剤は、抗真菌成分クロトリマゾールを含有する医療用医薬品「エンペシドクリーム1%」を要指導・一般用医薬品とするものです。医療用医薬品は1975年に承認されています。

 4ページを御覧ください。中段部分です。クロトリマゾールを含有する一般用医薬品としては、既にみずむし・たむし用薬が承認されているほか、2011年には腟カンジダ再発を効能・効果とする腟錠が承認されています。今回申請されている本剤は腟カンジダの再発による発疹を伴う外陰部のかゆみを効能・効果としたクリーム剤です。

 申請者は、本剤を要指導・一般用医薬品とする意義について次のように説明しております。ポイントを述べます。一つ目のポツ、カンジダによる病変は局所症状に留まり、全身感染症には至らないこと。二つ目のポツ、外陰カンジダ症は自覚症状として、強いそう痒感などの特徴的な症状を示すため、過去に医師による診断・治療を受けたことのある人であれば、適切な情報提供により自己判断が可能であること。三つ目のポツ、同一成分を含む腟カンジダ再発治療薬としては、既に腟錠が承認されていますが、診療ガイドラインでは外用剤と腟剤との併用が推奨されていることを挙げています。次のページの最初のポツです。医療用医薬品では外陰カンジダ症は効能に明記されておりませんが、明記されている皮膚カンジダ症と発症部位の皮膚構造、発症機序に共通点があり、外陰カンジダ症は皮膚カンジダ症に含まれると考えられること。また、診療ガイドラインに外陰カンジダ症の治療薬として医療用医薬品が記載され、臨床現場での使用実績もあることから開発するに至ったということです。

 次に、医療用医薬品の製造販売後の調査結果についてです。安全性について、副作用発現状況は1.78%で、刺激感、皮膚炎、発赤・紅斑など、塗布局所に限定されておりました。外国での使用状況は、本剤は一般用医薬品として少なくとも40か国以上で販売されています。今回の申請に当たって提出された資料ですが、ロ項からホ項について、医療用医薬品の申請時の資料が提出されています。

 その下のト項について御覧ください。臨床試験については、新たな試験は実施されておらず、医療用医薬品審査時に評価された試験の資料が提出されています。

 6ページです。有効性について表1を御覧ください。6試験を対象に評価されており、各試験における有効率は85.7100%という結果が得られております。

 8ページの中段から、安全性について記載しています。6,849例中131例、1.91%において、副作用が認められており、発現部位は塗布局所に限定されていました。また、9ページの表5に示しているように、外陰カンジダ症の治療薬として、この医療用医薬品が記載されている国内外の診療ガイドライン及び公表文献並びに臨床報告が、参考資料として提出されています。

 次に、審査の概略です。まず、規格及び試験方法並びに安定性については、特段の問題はありませんでした。有効性について、2段落目からですが、今回の申請資料には、外陰カンジダ症における二重盲検比較試験による評価結果はないものの、外陰カンジダ症は皮膚カンジダ症と同様に、常在するカンジダ菌の増殖によって炎症症状が起き、発症部位の湿潤が発症誘引となる点が共通し、発症する部位の皮膚構造も同じであることから、機構は皮膚カンジダ症に対する臨床試験成績を用いることは可能であると考えました。さらに、外陰カンジダ症を対象とした一般臨床試験成績、参考資料として提出されたガイドラインや臨床報告の内容を踏まえ、本剤の外陰カンジダ症に対する有効性は示されていると判断いたしました。

 続いて、10ページの安全性についてです。副作用は局所に限定され、重篤なものは認められなかったことから、本剤を要指導・一般用医薬品として使用するに当たり、安全性に特段の問題はないと判断いたしました。しかしながら、製造販売後の調査において、副作用の発現状況を注視し、必要に応じて適切な措置を検討する必要があると考えております。

 効能・効果についてです。先ほど御説明したとおり、本剤の外陰カンジダ症に対する有効性は示されていると考え、既承認の一般用医薬品の同種同効薬と同様に設定することで問題ないと判断いたしました。用法・用量についても、既承認一般用医薬品の同種同効薬と同様に設定されており、問題ないと判断いたしました。使用上の注意についても、医療用医薬品及び同種同効薬の既承認一般用医薬品を参考に設定されており、特段の問題はありませんでした。

11ページを御覧ください。適正使用及び情報提供資料についてです。本剤は、クロトリマゾールを含有する要指導・一般用医薬品のクリーム剤として、今回初めて外陰部のカンジダ症に使用されるものであり、販売に当たっては適正に使用されるための対策が十分になされることが重要と考えます。中段辺りの箇条書きの部分ですが、申請者は本剤の適正使用のための方策として、使用者が本剤の使用対象であるか自己判断できるように、腟カンジダの特徴的な症状及びよく似た症状を示すほかの疾患の詳細な症状を示すこと、腟剤との併用を想定し、製剤の選択に関する項目を設けること、本剤を一定期間使用しても症状の改善や消失が認められない場合は、医師の診療を受ける必要があることを強調することをポイントとして述べ、それを踏まえて添付文書、チェックシート、情報提供資料を整備しております。

 機構は、提出された資料で問題ないと考えました。しかしながら、製造販売後の調査において適正使用状況も含めて十分に確認し、必要に応じて適切な措置を検討する必要があると考えております。

 総合評価です。以上のような検討を行った結果、12ページにある効能・効果、用法・用量において、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。なお、承認条件として、少なくとも3年間の安全性等に関する製造販売後調査を課すことが適切であると判断しております。説明は以上です。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○橋田部会長 それでは、本日参考人としてお越しいただいている高松先生と宮崎先生から、御意見や補足などをお願いいたします。

○高松参考人 東京歯科大学市川総合病院産婦人科の高松です。よろしくお願いいたします。私は日本産科婦人科学会の代表というか、この件について日本産科婦人科学会に意見を求められたときに、学会内でこれを担当する女性ヘルスケア委員会の委員長を拝命しており、その関係で意見書をまとめさせていただきました。この意見を求められたときに委員から出たこととして、今お話にありました何点かを危惧する意見がありました。1点目は、カンジダ以外の疾患にもかかわらず、この薬を使ってしまう可能性です。2点目は、改善が十分ではないときに更に使ってしまう可能性です。3点目は基礎疾患、例えば糖尿病があってカンジダが再発しているのに、少し薬を使って良くなったので基礎疾患を見落としてしまう可能性です。これらのことを危惧しました。

 しかし一方で、既にエンペシドの腟錠のほうはOTC化されており、それに関してもきちんとした添付文書が作られているということを考えると、このクリーム自体に関しては全く問題ないだろうという結論に達しました。ただし、以上の懸念の点を考えて、例えば3日間使用して良くならなかったら必ず医師に受診するようにということを、添付文書に強調して書いてくださいという意見を付けさせていただいて、そのようになっているので、日本産科婦人科学会としては、問題はないのではないかという結論に至っております。以上です。

○宮崎参考人 産婦人科医会の代表として参りました。医療推進部と相談した結果では、OTC化をすることに関してはやむを得ないだろうと。ただ、厚労省のデータですと、昭和62年の「真菌症」という疾患名を付けている患者の10月の1か月間の全国データは2万4,200人で、それが平成26年では7,500人に減っている。この状況をどのように考えたらいいのか。つまり、一旦、医師の診断がついてしまって、それが一体何年前のデータでいいのか。ここの文章ですと、そういう部分が全く分からない文章になっているところは、少し問題があるのではないかということです。

 それから、先ほど高松先生がお話になられましたが、カンジダといっても、一旦治療されてしまうと、すぐその後に培養を採っても、菌が検出されるということは学問的にはあり得ないので、治らないからといってすぐにこちらに来られても、ある一定期間空けないと、再度の培養の結果で菌そのものは検出されないという状況が起こります。

 それから、12ページにある効能・効果の所に、「必ず腟剤を併用する」という文言があるのですが、できる人もいればできない人もいるので、この文言が本当にいいかということは疑問としては残させていただいて、討議していただければ有り難いかなと思います。

 基本的にはOTC化に関しては問題ないと思いますが、そこの部分は臨床家のほうとしては気になる部分でした。以上です。

○橋田部会長 ありがとうございました。ただいまの機構からの説明、高松先生、宮崎先生から頂いた御意見あるいは追加の御説明に関して、御意見あるいは御質問がありましたらお願いいたします。

○神田委員 2点お願いいたします。一つは再発の場合に使うわけですので、再発かどうかについて自己判断できるという説明がありましたが、その点について本当にできるのかどうかというのが一つです。

 もう一つは効能・効果の所についてお聞きします。自己判断についてですが、これは患者が1回医師にかかっているので判断できるということだろうと思うのですが、販売者向け情報提供資料の中に自己判断状況がグラフで示されていて、それを見ると、発症1回経験者では確信をもって判断できたのが%で、2回発症で判断できたのが%で、3回以上でも%という調査結果が出ているようです。大半は「半信半疑ながら自己判断できた」というのが、各回数とも□□□%になっていて、ここを含めるとかなりのパーセンテージで判断できたと解釈できるのだと思うのですが、半信半疑ながら判断できたというのは、本当に正確に判断できたと受け止めるべきものなのかの確認です。これがないと、判断はなかなかできていないとも受け取れる側面があると思いますので、大半の人がほぼ正しく自己判断できるのかどうか、そこを確認したいと思います。

 もう一点は用法・用量についてです。用法・用量についてただし書があります。「腟症状を伴う場合:腟剤を併用すること」とあるので、用法・用量の()については分かるのですが、()のほうの外陰部症状のみの場合でも、ただし書に「腟剤を併用することが望ましい」と。先ほど参考人の方がおっしゃったこととも少し重なると思うのですが、その場合に「望ましい」という表現が、患者からするとどうしたらいいのか、とても分からないと思うのです。そのときにどう判断するのか。薬剤師は手引を見ると「使いましょうと勧める」となっているのですが、「望ましい」ということは、引っ繰り返して言えば併用しなくてもいい部分があるということだと思うのです。その場合に併用しなくてもいいのはどういう場合なのかというのが資料を見ても分からないですし、クリームだけでどのぐらいの効果が期待できるのかも読み取れなかったのです。その辺が分からないと患者としては判断できないと思います。その辺は、販売時に薬剤師からきちんと判断できるような説明があるのかどうか。単剤でも可能だけれども、併用のほうが望ましいと言われても患者は困ると思ったものですから、お聞きいたします。

○医薬品医療機器総合機構 御質問に関して、まず1点目の自己判断が可能かというところですが、外陰部症状の場合は外陰部に強いかゆみが生じるということと、腟カンジダの場合ですとおりものの増量であったり、ヨーグルト状の白濁したおりものが出るということが特徴的な症状としてある点と、以前に医師の方からそのように診断を受けて、腟カンジダの治療薬を使って治療した方であれば、そのときと同じ症状かどうかというところで自己判断が可能であるものと考えております。本品目以外にもカンジダ治療薬については数品目がOTCとして使われておりまして、適正使用に関して、何か問題が生じたという報告は聞いておりません。

 2点目の「腟剤を併用することが望ましい」という表現についてです。外陰部症状のみを呈する場合はクリーム剤でも治療は可能なのですが、原因として腟内でカンジダ症が起こっていて、それが分泌物などで外陰部に付着してかゆみ症状が起こる場合もあるということで、併せて腟剤も使用したほうがよい場合があるので、このような記載内容になっています。

 また、本剤は過去に腟カンジダと診断・治療を受けた方が対象になるので、具体的な治療方法に関しては使用者もある程度は分かっている点もあると思っていますし、販売店向けの情報提供資料の最後のほうにQ&Aを付けています。Q1のA1、15ページのQ7のA7については、併用するべきかどうかについて詳しく説明を書いているので、こちらも利用しながら、薬剤師の先生方から指導いただけると考えています。

○神田委員 では判断は、調査結果を見ても、このグラフの受け止め方も、大半の人が判断できるということでいいということですね。

○医薬品医療機器総合機構 最終的には薬剤師の先生方の指導の下で使われるということなので、グラフでは半信半疑という方が%ぐらいいらっしゃるのかもしれませんが、再発したかもしれないということで薬局に行かれて、薬剤師の先生とお話をして、適切に使用できていることが大半だろうと。問題があれば医師に受診してくださいという受診勧奨も薬剤師からされるということになっています。

○神田委員 2番目のほうですが、今回は外陰部のかゆみが対象の薬ですから、外陰部だけでも併用したほうがいい場合もあるので、このように書いたという御説明だったのですが、場合の判断について販売者のほうの資料を見ても、絵を見ても、「併用が望まれますので、併せての使用をお勧めください」と答えもなっているのです。その範囲なので、どういう場合が併用したほうがいい場合なのかを私なりに探したのですが見つからないので、その辺の説明がきちんと患者になされれば結構なのですが、このQ&Aを見ても読み取れなかったので、ただ使ったほうがいいから勧めますということにしか受け取れなかったので。場合もあるので併用したほうがいいということなので、素人からすれば曖昧さがあって、本当にきちんと使えるのかなと思ったので、「場合がある」ではなくて、いずれにしても使ったほうがよければ、効能・効果の所にも「使ったほうが効果がある」と書くべきだと思いますし、それを書いていなくて()については「併用が望ましい」と書かれているので、その辺の関係も読み取れないと思ったので、先ほど御説明いただいたのですが、それでいいのかよく分かりませんでした。

○医薬品医療機器総合機構 明らかにおりものとか腟の症状がある場合には、当然併用していただくということが書いてあり、そうではない場合も併用してもらったほうがよいのですが、腟錠ですので抵抗のある女性もいらっしゃると思いますので、そういった方についてはクリーム剤だけでも治療していいですよと。ただ、それでも3日程度使用して、症状が改善しなければ病院に行ってもらうというところで、腟症状が明らかな場合と、そうでない場合で書き分けているということです。

○橋田部会長 よろしいでしょうか。要指導・一般用医薬品ということで、患者が自分で使い方に関しては判断されるということになるわけで、それに対して例えば添付文書とか、販売店向けの情報提供資料、あるいはチェックシートといろいろ準備をしていただいて、あるいは薬剤師側で対応を検討していただいて、こういう体制で十分かどうかという議論を頂くことになろうかと思っています。

○稲葉委員 同じようなことで、文言だけなのですが、「腟カンジダの再発による」と断定されているのですが、この診断業務は医師になると思うのです。この場合は既往があって、同じような症状があるということになると、これを使うということなのですが、「再発による」と断定していると、診断を受けないといけないのかなという文言になっていると思うのですが、この辺についてはいかがなのでしょうか。この診断というのは、自己診断していいということになるのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 効能・効果についてですが、何回か話に出ているのですが、既に一般用医薬品の類薬が何製品か出ていまして、このような効能・効果となっています。このような効能・効果の書きぶりで適正使用に関して問題が生じているというわけではないので、特に効能・効果の書き方によって問題が生じているというわけではないと考えております。

○橋田部会長 よろしいでしょうか。

○望月委員 今の腟錠を併用するかどうかに関連してですが、資料概要の54ページで、効能・効果の根拠になる一般臨床試験の成績が書かれています。対象の病名が真菌性腟炎と真菌性腟外陰炎ということなので、ここは腟錠単独か腟錠とクリームの併用だけになっているようなのですが、これは例えば真菌性外陰炎だけでクリーム剤だけで治療したというような一般臨床試験はやられていないということでしょうか。逆を返すと、こういう真菌性の外陰炎がある場合は、ほぼ腟にも感染があるということなのか、その辺を御説明いただければと思います。

○医薬品医療機器総合機構 1点目の一般臨床として、外陰炎に対してクリーム剤単独でという一般臨床が行われているかという点については、行われておりません。ただ、一般臨床試験のその他のカンジダ症として、陰嚢カンジダ症であったり、陰部カンジダ症が少数ですが含まれており、全く使われていないということではないということです。

 もう1点について、ガイドライン等を見ましても、腟症状と外陰炎症状は併発することが多いということで、医療ガイドラインでも併用するような形が書かれておりますので、多いということはあると思います。ただ、外陰症状だけということも実際にあるようで、申請者が示してきている処方実態の中で、クリーム剤のみが処方されている例もあるということでしたので、全くないというわけではないということです。

○望月委員 そうしますと、もう一歩踏み込んでということですが、エンペシドクリームは海外でこうした領域に関するOTCとして販売されているというような記述を読ませていただきましたが、その点に関しては海外も腟錠は一緒に使うことが望ましいというような表現で、効能・効果、用法・用量の所は書かれているのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 海外の情報について今すぐには出てこないので、確認させていただきたいと思います。

○望月委員 分かりました。

○鈴木委員 学会の高松参考人はおおむね了承されていると理解しましたが、医会の宮崎参考人からは、診断とは当然医師の診断ですが、これは1回あればかなり昔でもいいのかということと、腟剤が挿入できない人はどうするのかという御懸念があったようです。これについてはどのようにお考えでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 診断がいつのものかどうかという点は、本剤が対象としているのは1560歳ということで、相当過去に診断されて、それまで再発したことはないというのは少ないのではないかと。比較的カンジダ症は再発しやすいという疾患ですので、そこまで期間が空いてしまうということはないのではないかと思っていますが、実際に診察されてからどれぐらいの期間で使われるべきなのかという点については、先生等にも相談させていただいて確認したいと思います。

○鈴木委員 それは確認していただきたいのですが、腟錠が使えない場合はどうなのかということと、改めて見ると「15歳以上60歳未満」とありますが、60歳未満とは59歳までということで、若いような気がするのです。昔の基準がそのまま続いているという感じで、超高齢社会だともう少し上でもいいのではないかと思います。その辺は参考人の御意見も聞かないと何とも言えないところはあるのですが、60歳未満というと、今や若いということになってしまう気がするのですが、いかがでしょうか。参考人に伺ったほうがよろしいでしょうか。

○高松参考人 個人的な意見になってしまいますが、60歳では若いように思っています。もっと上でも全然構いませんし、上限を設けなければいけない理由があるのかどうかというのも、この薬の使用経験を考えると、実臨床では年齢を問わず処方している所もありますので、なくてもいいとも言いませんが、もう少し上でもいいのかなとは個人的には思っています。

 それから、先ほどの併用の件ですが、実臨床では併用している場合が多いです。ただ、それは実際には菌が感染するというよりも、腟内のバランスが崩れてと言うか、免疫が落ちるか、あるいは抗生物質で常在菌がなくなってしまって起こるものなので、その意味では錠剤のものを併用したほうがいいだろうと思って併用しているのも事実です。

 ただし、宮崎先生からもお話があったように、入れられないとか、入れるのが嫌だという方も実際にはいらっしゃいますので、そこを考えての表現かなと我々は考えています。

○宮崎参考人 今、高松先生がおっしゃったとおりですが、一つは高齢者になればなるほど、腟の中に何かを入れるということを極端に嫌がる方も多いというのが臨床の世界ではありますので、「それだったら、先生が入れてよね」と言ってくる方たちのほうが、高齢者の場合は多いというのが実態です。

○橋田部会長 ありがとうございました。

○乾委員 併用に関して議論が出ておりますが、実際の現場では腟錠をまず勧めるということが基本的にあります。どうしても外陰部のかゆみがひどい場合に、塗り薬がないと、御自身で不快な症状を引きずって、長引かせてしまうということもあるので、そういう場合には近隣のかかりつけ薬剤師、薬局に相談して、ここに書いているように、3日で症状が治まらなかったら、薬剤師は近隣の医療機関と十分に連携が取れていますので、そういう地域医療連携で、受診勧奨はできるのではないかと思います。また腟錠がどうしても無理という場合であれば、余計に専門医に診察していただくように勧めると思いますので、それについてはほかのカンジダの既に出ている腟錠、塗り薬はありますが、それと同じように勧めていただいていいのではないかと考えております。

○橋田部会長 薬局のほうでは、今のような御対応いただくということです。何かほかに御意見はございますか。

○多田委員 皮膚科の立場からですが、外陰部にカンジダ症が出る率は高齢者のほうが多いという印象があります。ただ、悪性腫瘍の頻度もどうしても多くなってきてしまって、外陰部パジェットといったものは高齢者が多いです。最初は少しかゆみとして感じられることもあって、見ると少し赤いだけで。先ほど期間の問題もありましたが、以前はいつ診断されたのか。それが例えば10年前に腟カンジダだと、今の症状と全く関係のない時期に診断されていて、その思い出を引きずって、自分は腟カンジダだと思い込んで、外陰部と一緒に塗ってしまうというような危険性は、年齢を上げる場合にも考慮されたほうがいいと思います。

○橋田部会長 薬局での指導というか、そういうものとともに必要に応じて当然、受診勧奨にも展開していくということだと思います。

○神田委員 併用したほうがいいということ、そういう場合が多いということはよく分かりましたので、そのように実際に使うかどうかという実質的な問題ではなくて、「望ましい」という表現について、「望ましい」ということは、使ったほうがいいと言葉としては受け取るわけです。今お話を聞いていると、「場合によっては併用すること」というようなほうが、お薬的な表現のような気がして、「望ましい」というのはお薬などにも使うものなのでしょうか。私は、表現のところで引っ掛かったのが最初なのです。内容的なことについては、議論の中で理解しましたが、表現がどうなのかということについて気持ち悪さがあると言いましょうか、ほかのお薬もこういった使い方をしているとか、これが慣例になっているということであれば結構なのですが、その辺が気になりました。

○多田委員 外陰部カンジダのときの腟錠の併用というところですが、確かに皮膚科で外陰部カンジダと診断をして治療しても、より腟のほうが湿潤環境が強いというところで、腟カンジダも併発している率は、データはなくても、高いような印象はあります。その場合に、外陰部カンジダだと思って塗って、一旦外陰部の症状は良くなったとしても腟のほうが残っていると容易に再発してしまうというところで、それで「望ましい」という表現になったのかもしれませんが、今、御意見があったような形で、外陰部カンジダの場合に腟カンジダが背景にあることがあって、その場合に非常に難治な外陰部カンジダとして出てくる可能性があるというところが、もう少し言葉として伝わると消費者に分かりやすいのかなと思いました。

○医薬品医療機器総合機構 表現自体ですが、既承認のものと同じ表現を使っているのですが、情報提供資料等に説明を追加する形で、使用者、薬剤師に分かるような形が取れるのかは検討させていただきたいと思います。

○渡邉委員 現場の薬剤師としては、一部の症状だけではなくて、過去に来局者の方々が今までどういった病気にかかったのかとか、そういったことを全体的に判断して、この薬でいいのかどうかということを判断しています。そして、3日間使用して症状の改善が見られないとか、6日間使用しても症状が消えないという場合も書いていますが、どのような要指導医薬品の場合でも、効かない場合は「過去に3日間この薬を飲んで、全然症状が改善されなかった」ということを必ず医師に言っていただくようにということで、我々としては指導させていただいております。

 そうしないと、例えばみずむしの薬などでも、お医者さんに行かれても菌の培養でマイナスが出てしまいますから、昨日までこの薬を1週間続けていたということを必ずおっしゃっていただいて、皮膚科に受診されるようにということは、我々も指導しております。

○村島委員 今までの議論とは違うのですが、チェックシートを拝見して、専門の立場から見させていただきます。上記に当てはまらない方の中のQ3に「授乳中である」ということが入っていて、そうなるとどうするかということが販売店向け情報資料の12ページにあります。ここには授乳中の場合には乳汁中に出るということはないけれども、一般用医薬品として慎重を期する必要があると書いてあるのです。これでは具体性がなく販売店の方が困るのではないかと思います。さらに、資料概要の38ページを見ると、吸収に関する資料という所で、エンペシドクリームを塗った場合には血中濃度が測定限界以下という表記があるわけです。乳汁中にも出るわけがないにもかかわらず、こういうチェックシートがあるがために、現場で薬剤師はどういう回答を求められるのだろうか、それを聞いた消費者はどういう行動に移せばいいのかという疑問が生じます。今日ここで議論するには時間が掛かるものだと思いますが、是非こういう面も今後対応していただきたいと思います。

○一般薬等審査部長 頂きました御意見は申請者と相談しまして、きちんと対応させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

○望月委員 細かな点で承認うんぬんには直接は関係ないところですが、今のチェックシートの下のほうに、もし併用する場合には、「エンペシドL(腟剤)とエンペシドLクリームを」という書き方になっていて、商品を限定して書かれています。添付文書は商品名は限定せずに、「腟剤を併用」という書き方になっているのですが、ここはエンペシドのクリームと腟錠の試験成績しかないから、絶対にこの組合せでないといけないという趣旨で、こういう説明書になっているのか。確か、販売者向けもそういう説明になっていたと思うのですが、一般名の異なる製品もOTC薬にありますよね。

○医薬品医療機器総合機構 ほかの腟剤は臨床現場でも用いられておりますので、問題ないかと思いますので、この記載ぶりについては申請者に伝えたいと思います。

○橋田部会長 類薬がありますので、そういった意味での効能・効果、安全性等には、ある程度は担保されている部分はあると思いますが、逆にその類薬との対応関係でいろいろな資料の文言等もつながっているところもあると思いますので、むしろこの機会にもう一度見直していただいて、必要に応じて参考人の先生あるいは御質問いただいた委員の先生方と御相談の上で、修正が必要な所は修正していただくと、このことはお願いしたいと思います。

 これまでの議論で、要指導・一般用医薬品として本品を認めることについて、特に問題があるという御意見はなかったかと思いますが、これで議決に入らせていただいてよろしいでしょうか。ただいま申しましたように、ご議論を頂きました内容につきましては、資料やチェックシートをもう一度見直していただくということは条件にしたいと思います。

○鈴木委員 もちろんそれは必要ですし、その上で学会、医会の参考人の先生に、もう一回確認していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○橋田部会長 参考人の先生にも是非もう一度御相談させていただきたいと思っております。

 それでは議決に入らせていただきます。なお、稲葉委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。それでは、本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。また、要指導医薬品に該当するとしてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可、要指導医薬品に該当するとし、薬事分科会には文書配布による報告とさせていただきます。ありがとうございました。また、高松先生、宮崎先生におかれましては、お忙しいところ御出席いただきまして、どうもありがとうございました。

                          ( 高松参考人・宮崎参考人退室)

○橋田部会長 それでは、議題2に移ります。機構から概要の説明をお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 それでは、機構から資料2について説明します。当日資料、資料5としてチェックシート案と外箱パッケージ案を配布しましたので、併せて御確認をお願いします。

 審査報告書の3ページを御覧ください。イ項の起源又は発見の経緯及び外国における使用状況等に関する資料です。本剤は、ステロイドであるフルニソリドを含有する医療用医薬品「シナクリン点鼻液」がOTCにスイッチされたものです。下から2段目ですが、本邦においては、1983年に大塚製薬株式会社が医療用シナクリンの承認を取得し、2006年4月まで22年にわたり使用されていました。本剤は、医療用シナクリンと有効成分は同一ですが、配合している添化物の種類や分量が変更されています。なお、処方変更前後において生物学的に同等であることが確認されています。

 申請者は、本剤を要指導医薬品又は一般用医薬品として開発する意義を次のように説明しています。ポイントを述べます。単一の有効成分で、「くしゃみ」「鼻水」「鼻づまり」に対して等しく高い臨床効果を有すること、1日2回の投与で十分な臨床効果を有していること、内服薬が服用できない者も使用できること、副作用の発生頻度は低く、全身的副作用や重篤な副作用の危険性は低いことを挙げています。

 その下の段落は、再審査についてです。医療用シナクリンは、1983年~1989年の再審査期間中に使用成績調査が実施されました。副作用発現率は1.52%で、鼻内刺激感などの局所の副作用が多く認められました。そのうち、添付文書に記載のない副作用はめまい、嘔吐、鼻閉、発熱でした。

 有効性について、アレルギー性鼻炎における改善率は74.8%でした。外国での使用状況についてです。医療用医薬品として1989年時点において40か国において販売されていた実績がありますが、2016年現在ではカナダ、アメリカ等の数か国でのみ、販売が確認されています。また、イギリスと韓国で一般用医薬品にスイッチされたことが確認されていますが、2016年現在では一般用医薬品としては、いずれの国においても販売されていません。

 ロ項の規格及び試験方法についてです。5ページの1行目ですが、試験項目及び規格値は医療用シナクリンに準じて設定されています。一部の確認試験において有害試薬を使用していた試験方法の変更や、その他の試験項目でも日局改正に伴う試験方法の記載整備等がされています。審査の概要について、その記載自体は審査報告書の後半にありますが、特段の問題はないと判断いたしました。

 ハ項の安定性についてです。加速試験において、やや含量が低下する傾向が認められましたが、こちらも審査において特段の問題はないと判断いたしました。ニ項、ホ項、ヘ項については医療用シナクリンの資料が提出されています。そのうち、ホ項について医療用シナクリンから添加剤が変更されたことに伴い、生物学的同等性試験が実施されています。モルモットを用いた試験により、変更前後の処方について、両製剤は生物学的に同等と判定されました。

 6ページ、ト項の臨床試験について説明します。臨床試験について、新たな試験は行われておらず、医療用シナクリン申請時までに実施された臨床試験及び再審査申請時の資料が提出されました。本剤の有効性、安全性を評価するに当たり、再解析が実施されています。抽出条件は、本剤の用法・用量と効能・効果を考慮し、100 μ g/ 日の投与量、アレルギー性鼻炎、18歳以上の条件で有効性が再解析されました。安全性は、18歳未満の者も含めて再解析されています。

有効性については6ページの表1の一番右の欄に、全般改善度が「改善」以上の割合を改善率として記載しています。抽出された3試験において、75.081.8%の改善率が確認されました。7ページ中段に、使用成績調査における有効性について記載しています。こちらも同程度の値で、74.6%の改善率が確認されました。

 7ページの下から、安全性についてです。抽出された150例中11例に副作用が生じ、その発現率は7.33%でしたが、重篤な副作用は認められませんでした。発現した副作用は鼻内刺激感、鼻内掻痒感、頭痛、湿疹でした。8ページの表2の下は、使用成績調査における安全性についてです。使用成績調査における副作用発現率は1.66%で、重篤な副作用は認められませんでした。重症度が重度の副作用が2件認められ、いずれも鼻内刺激感でした。

 8ページ中段以降は審査の概略についてです。規格及び試験方法並びに安定性については先ほど述べたとおり、特段の問題はないと判断いたしました。生物学的同等性試験についての審査の内容は9ページ以降になります。詳細は省略しますが、添加剤の変更前後で、□□□□□□□□□□□□に大きな違いはなく、また、生物学的同等性試験における用量の妥当性も説明されたことから、特段の問題はないと判断しました。

 有効性についてです。本剤の効能・効果は季節性アレルギー性鼻炎ですが、本剤の評価に当たり、抽出された臨床試験は全て通年性アレルギー性鼻炎を対象にしたものです。機構は、次の根拠から通年性アレルギー性鼻炎の試験結果により、本剤の評価をすることは可能と判断しました。9ページの一番下に記載した二つのポツがその根拠です。1点目は、本剤の申請用量より高濃度であるが、季節性アレルギー性鼻炎を対象とした臨床試験において、プラセボに対する優越性が確認されていること。2点目は、専門委員より両者の違いは原因抗原と抗原量の時間的な変動の差であり、同様に評価することは可能という意見が得られていることです。10ページの表4の下からですが、OTCは比較的軽度な症状に用いることを踏まえ、それら軽度のものに対する有効性を確認しています。データについては11ページの表5~表9にまとめています。これらのデータから、比較的軽度な症状に対する有効性が確認できたことから、本剤の有効性に特段の問題はないと判断しました。

12ページから安全性についてです。既に説明したとおり、臨床試験と使用成績調査においては重篤な副作用は発現していません。12ページ以降に、自発報告された副作用について、その詳細な説明を記載しています。それぞれの説明は省略しますが、いずれも1件のみの発現であり、本剤の安全性は許容可能と判断しました。

13ページ以降は効能・効果、用法・用量、使用上の注意についてです。基本的に既承認の類薬と同一に設定されており、問題ないものと判断しました。14ページは適正使用及び情報提供資料についてです。こちらも、既承認の類薬と同等の資料が作成されており、現時点で特段の問題はないと判断しましたが、製造販売後調査を実施し、必要に応じて適切な措置を検討する必要があると考えます。包装単位については既承認の類薬に合わせて設定されたもので、特段の問題はないと判断しました。

 最後に総合評価です。以下の効能・効果、用法・用量で承認して差し支えないと判断しますが、承認条件として、承認後、少なくとも3年間の安全性等に関する製造販売後調査を実施することが適切と考えます。機構からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○橋田部会長 それでは、本日、参考人として御出席いただいております出島先生から御意見や補足などをお願いいたします。

○出島参考人 よろしくお願いします。シナクリンという鼻噴霧用ステロイド薬で、主にアレルギー性鼻炎、花粉症及びダニなど通年性、両方に適用のあるお薬で、昭和の時代から長らく使用した経験があり、非常に安全な薬と理解しています。既に、日本耳鼻咽喉科学会のほうで、担当の保険医療委員会で検討させていただきました。鼻噴霧用ステロイド薬については既にベクロメタゾン製剤が同じくステロイドの製剤がOTC化されております。本剤も、このベクロメタゾン製剤と安全性等を比較して明らかに異なるところがなく、有効性もあるだろうということで、OTCとすることについては可と考えております。

 留意事項については、この既存のOTCのベクロメタゾン製剤と同様に、やはり使用期限を1か月とするということで、何分ステロイド剤ですので、余り長期に使いますといろいろ心配な面が出てくるだろうと。また、1か月を超えて使うという場合には、ほかの疾患で鼻症状が起こっているというようなこと、特に最近はアレルギー、あるいは好酸球性副鼻腔炎も増えておりますので、その辺りの懸念があり、1か月以上使う場合にはやはり「鼻内を詳細に観察できる耳鼻咽喉科の専門医の診察が望まれる」という文言を申し入れています。

 したがいまして、学会としては本剤のOTC化について、特段問題はないだろうと考えており、文書で報告させていただいたところです。以上です。

○橋田部会長 ただいま御説明いただきました内容に関して、御質問あるいは御意見がありましたら、お願いをいたします。

○鈴木委員 今の、出島先生は学会の参考人ということですが、医会があるのかどうかですが、医会としてはどのような御意見なのか確認させていただきます。

○出島参考人 医会のほうは部坂先生という先生、日本耳鼻咽喉科学会の保険医療委員会で、同じメンバーですが、文書を頂いております。一般用医薬品への転用は可能である。そしてOTCとしての留意事項については、症状によって適宜増減と書いてございますが、最大の噴霧は8噴霧までが望ましい、長期の連用を防ぐために、「1年間に1か月」は、やはり付けたほうがいいでしょうというようなことが、文書としてここに来ています。

 医会のほうも同じく、私に参考人としての意見、発言については任せると聞いておりますので、転用については可とすると、報告が来ております。

○橋田部会長 ありがとうございました。ほかに御質問、あるいは御意見等、いかがですか。

○五十嵐委員 成育医療センターの五十嵐と申します。添付文書()を御覧いただきたいのですが、これに要望したいと思います。この左側が、恐らく1ページ目で、右側が2ページ、裏面の添付文書()なのだと思うのです。左側を拝見しますと、してはいけないことの3番目に、「本剤は、他のステロイド点鼻薬の使用期間も合わせて、1年間に1か月を超えて使用しないこと」と書いてあるわけですが、前提としてこの薬は副腎皮質ステロイドであること、それが前提としてあった文章ですよね。それで、この薬が副腎皮質ステロイドであるということが1ページ目には書いてなくて、いろいろステロイドの点鼻薬を使わないとか、いろいろなことが書いてあるのですが、右側の3分の1ぐらいの所に、「本剤は、フルニソリド(ステロイド)を配合している」と。ここで初めて、この薬が副腎皮質ステロイドだということが分かるのです。だから、できれば本当を言うと、この「季節性アレルギー専用」の所、この辺りのどこかに、「フルニソリド(副腎皮質ステロイド)」とか、要するに出自を明らかにしていただいたほうが、してはいけないことの四角の3の文章もいきるのではないかと思うのですが、どうですか。

○橋田部会長 いかがですか。

○医薬品医療機器総合機構 機構から回答させていただきます。御意見ありがとうございました。検討させていただきたいと思うのですが、添付文書の記載要領が既に決まっているところもあり、なかなかこの品目だけ自由に記載を変えるのは難しいかなとは思いますので、そういった御意見があったということで踏まえて、申請者も含めて検討させていただきたいと思います。

○医薬安全対策課長 添付文書記載要領担当課の医薬安全対策課です。今の御指摘ですが、成分が何かということをここに書いてはいけないというルールではありませんので、先生御指摘のように、「クリアノーズ」の下がいいのかということではありますが、副腎皮質ステロイドということを、きちんと成分の出自として明らかに書かせる方向で、医薬安全対策課としては問題ないと思っておりますので、そのように機構を指導したいと思っております。

○橋田部会長 ほかにいかがですか。

○神田委員 効能・効果についてですが、1日2回の投与で十分な臨床結果を有しているということで、利便性それからコンプライアンスの向上が期待できるとして開発されたという御説明が、先ほどありました。その効果についてですが、一般用となるので仕方がないのかもしれないのですが、あと縷々効果があるという説明も確かにあったのですが、これは一般用は1日2回で、1回が1噴霧という、1回1回ですよね。それで、医療用からくるわけですので、医療用はどのくらい使うのかということで、これは資料概要の4ページに、一般用と医療用で比較の表が載っています。先ほど参考人の方もちょっと医療用のことをおっしゃったのかなとは思ったのですが、これを見ると、一般用の今言った用法・用量と、医療用ですと、1日2回というのは同じですが、1回が1~2噴霧だから、2噴霧までできるということ。それから年齢とか体重とか症状によって適宜増減するということで、限度は1日8噴霧まで、それぞれ8噴霧までとなっている。一般用と比べますと、やはり当然と言えば当然なのかもしれませんが、医療用のほうとは随分その差があると思ったときに、この一般用の用量というのは、本当に効くのでしょうか。有効性を本当に期待していいのか。そうは言っても、医療用と同じようにはできないという側面があることは分かるのですが、その辺の効果の期待度というのですか。これは別に体重とか年齢とか関係なく、一般用は皆おしなべて1回ずつ噴霧ということなので、その期待度との関係ですね。医療用と比べての期待度というのがどのくらいと受け止めていいのかということを、お願いします。

○医薬品医療機器総合機構 機構から回答させていただきます。有効性ということと、あと医療用でどのくらいの用量で使っていたかという二つについて、回答させていただきたいと思います。まず、有効性についてですが、資料概要の23ページを御覧ください。23ページの下の1)に、初期臨床試験及び拡大臨床試験という項目がございます。こちらが一般用の用量である、1日4噴霧の有効性になっております。「改善」以上として75%、「やや改善」が、何らか改善が見られたという形で御理解いただけたらと思いますが、87.5%ということで、高い有効性が確認されております。その下の拡大臨床試験という、また別の試験ですが、そちらでも改善率として81.1%、「やや改善」として94.3%ということで、一般用の用量としても高い有効性は確認できております。これが有効性についてです。

 もう一方、医療用でどういった形で使用していたかということですが、それは資料概要の21ページを御覧ください。21ページの下の表イ-17で、こちらは使用成績調査における、医療用でどれぐらいの投与をしていたかという、実際のデータになります。一番左の1日投与量を御覧いただくと、OTCの場合、100 μ g の量になりますので、OTCは上から3番目の「100 μ g 以上150 μ g 未満」という所になります。ここの割合が60.9%となっており、全ての用量のうち6割はOTCの用量で使用されていたことがお分かりいただけるかと思います。医療用は最大16噴霧ということで、かなり確かに多い印象を受けられるかと思うのですが、実際使用されていたのはOTCと同じ100 μ g 程度で、これが一番多い用量になっております。

○橋田部会長 よろしいですか。ほかにいかがですか。

○望月委員 先ほど五十嵐委員から御指摘のあった商品名の所の件なのですが、とても重要な御指摘だと、私は思います。厚生労働省のほうからも、ここにステロイドである旨、書けないことはないという御返事を頂いているのですが、一般的な話として企業の場合、商品名、これで言うと「アルガード」という、ここの会社のこうしたアレルギー疾患用のものとして、その商品名を冠にして、その後にいろいろな剤形の違い等々を書かれているのですが、ほかのアルガードになると、メキタジンという、いわゆる従来から使われている抗ヒスタミン薬だったりとか、中身がかなり違うものが含有されている。商品名のメインの部分は同じでもということで、昔からOTCについては、いろいろな意味で販売者側も混乱するし、ユーザー側も混乱するという状況は、どうしてもあったと私は思っております。商品名というのはかなり国民一般に浸透させているものなので、簡単に変えられないと言うのも分かっておりますが、きちんと中に入っている成分が明らかに異なることを理解していただけるような表現を、併せて書いていただくようなことは、これから御検討いただきたいと思います。

○橋田部会長 いかがですか。

○一般薬等審査部長 機構から御返事させていただきます。先生方の御指摘を踏まえまして、申請者と相談をしまして、検討をしたいと思っております。また、類薬もございますので、そちらとの統一性というか、その点についても、申請者以外とも相談をしたいと思いますので、出来上がりましたら、また先生方に御覧いただき、きちんと確認をさせていただければと思います。

○医薬安全対策課長 医薬安全対策課です。先生の御指摘、非常に重要な御指摘だと思っております。今回のケースは単剤、成分が単一であるという部分がございまして、例えば、感冒用の配合剤とかですと、同じ販売名の冠のもとに、いろいろと異なる成分のバリエーションがあって、その成分名を全て書くというのも、なかなか一方で難しいというところもございます。そういう中で、どういうバランスの中でこの記載要領等をどう考えていくかということは、非常にいい御示唆を頂きました。ちょっと検討させていただきたいと思います。今回のケースは、特にステロイドであるということもございますので、こういうものについては、やはりきちんとその出自を明らかにするということは、販売する側にとっても、お使いになる側にとっても、安全対策上非常に大事なことだと思っておりますので、これについては徹底して対応させていただきたいと思っております。

○橋田部会長 ほかによろしいですか。

○神田委員 今日どうしてほしいということではないのですが、一つあります。先ほどの1のほうとも関係もするのですが、例えば使用期間、これを使い始めて途中で止めても、数度に分けて使えるのですよね。でも、1年を超えては、それを超えては使用しないということなので、意味は1年間だったら使用し始めても、ちょこちょこ使ってもいいということですよね。そう受け止めてよろしいですか。

○医薬品医療機器総合機構 1年間に1か月の期間であれば、例えば1週間、1週間、1週間という形でも使えます。

○神田委員 だから、使い始めてもということになりますよね。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○神田委員 そういうことで、保管及び取扱上の注意と、よく添付文書とかに出ているのですが、その場合、使用期限内であっても、一度開封したら、できるだけ早く使い切りましょうというのが必ず、このほかのお薬にもあって、先ほどのにもあるのですね。食品でしたら、賞味期限中に食べ切りましょうと。それはさっさと食べればいいのですが、お薬の場合、さあ使いましょう、早く使い切りましょうと言われても、それは用量をきちんと守るのがお薬のはずなので、そういったときに合わないような気がするのですね。適量を投与しないでくださいというふうな文章と同時に、開封したら早く使い切ってくださいみたいなところがあると、細かいことを言うようですが、お薬にはちょっと合わない言い方ではないか。これはこのお薬に限らず、1番目のほうにももちろん書いてあります。1番目のほうは小さかったので、きっと使い切るだろう、問題ないなとは思ったのですが。そんなことで、お薬でもこういう表現をするのですねということです。

○医薬安全対策課長 よろしいですか、医薬安全対策課です。先生の御指摘の部分なのですが、医薬品、食品はそういった部分で、大きな違いがあるというのは、全くおっしゃるとおりです。今回の例も御覧いただければと思うのですが、なるべく早く使用するということであって、使い切れということは、薬の世界では申し上げておりません。それを言ってしまいますと、むしろ不適正使用で、過量にお使いいただくとか、そういったことにもなりかねませんので、あくまで、なるべく早くということでございまして、残ったものは使用期限を過ぎれば廃棄をしていただいて、新しい製品を購入いただくということを御検討いただくべきものということで、こういった趣旨で書かせていただいているということです。

○神田委員 分かりました。なるべく早くという捉え方がずれていたということですね。でも普通、なるべく早くと言われると、さっさと使えと言われているような気がしまして。ちょっと賞味期限の食品のほうの表現と似ておりますので、そこがちょっとどうかなと思いました。今日は意見ということで、結構です。

○橋田部会長 先ほどの商品名の話は非常に重要なことです。それから、今の使い方の問題等々についても、やはりこれからどんどん見直していく、新しい現状に合った形で表現はその都度考えていただくことは、必要かと思いますので、是非機構のほうにもお願いをしたいと思っております。ほかに特段の大きな問題というのはなかったようですが、ここで議決に入らせていただいてよろしいですか。

 それでは議決に入らせていただきます。本議題について、承認を可としてよろしいですか。また、要指導医薬品に該当するとして、よろしいですか。御異議がないようですので、承認を可、要指導医薬品に該当するとし、薬事分科会には文書配布による報告とさせていただきます。ただし、先ほどの品目と同じことになりますが、提供資料等々については必要な訂正、修正もしていただき、それについては参考人の出島先生、あるいは御質問いただいた委員の先生にも、また御相談いただくということで、進めていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

 それでは出島先生におかれましては、お忙しいところお時間を頂きまして、ありがとうございました。

                                ( 出島参考人退室)

○橋田部会長 それでは、その他事項に移らせていただきます。続きまして、その他事項の議題1ですが、事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 それでは、その他の議題としまして、資料3でございます。医薬品セレキノンSの安全性等に関する製造販売後調査期間の延長について、事務局より御報告申し上げます。本件につきましては、製造販売業者である田辺三菱製薬株式会社より、セレキノンSの承認条件である製造販売後調査につきまして、調査期間を延長したいとの申出があり、調査期間を延長しましたことから、本日はその概要を御報告するものです。なお、本件につきましては、既に6月末に、委員の先生方には事前に御確認を頂いておりまして、御了解を頂いています。

 資料3の1ページ目の下のスライドから説明しますと、セレキノンSですが、トリメブチンマレイン酸塩を有効成分とする、過敏性腸症候群の再発症状の改善薬です。効能・効果としましては、過敏性腸症候群の次の諸症状の緩和ということで、以前に医師の診断・治療を受けた人に限るという形で限定した効能・効果としまして、2013年5月、平成25年に、承認後、少なくとも3年間の安全性に関する製販後調査を実施することを承認条件として、付されて承認がなされていまして、翌平成26年7月10日より販売が開始されています。

 2ページ目の上のスライド3です。こちらは特別調査の概要ですが、製販後の本製品の使用状況につきまして、調査予定症例数3,000例としまして、調査期間3年ということで実施されています。下段のスライド4に移りまして、調査状況の進捗です。こちらは2014年7月の販売開始から2016年5月までの期間ですが、使用者アンケートの収集数は139と、かなり少ない状況でした。この理由ですが、本医薬品は販売対象が若干限定されていて、特殊ということもございますので、製造販売業者としても一部地区に地域を限定して、慎重に販売をしていたと。そういったこともありまして、販売当初の2年間は回収数が少なかったという報告を受けています。その後、1年間ですが、全国規模に展開しておりまして、販売が増えてきていることと、疾患の啓発活動に取り組んでいることで、アンケートの回収数の改善が見られまして、ここ1年では月100件程度の収集が可能となっていまして、2017年5月までの間に2,093件という症例が集まっています。

 2のページ、スライド5ですが、御説明申し上げたとおり、この3年間の調査期間では約2,000例という収集状況ですので、目標症例数である3,000例を収集するために、この度、調査期間を1.5年延長して、3年から4.5年としたものです。説明は以上でございます。

○橋田部会長 ありがとうございました。本件は既に御説明を頂いている内容ですが、製造販売後調査の期間を延長するという件でございます。本件につきまして、何か御質問、御意見等がありましたらお願いいたします。よろしゅうございますか。それでは、その他事項の議題1ですが、御確認を頂いたものとさせていただきます。

 それでは、議題2に移ります。その他事項の議題2につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 その他事項の議題2でございます。議題名としまして、一般用の漢方処方製剤及び生薬製剤の承認基準の整備についてで、資料4と資料4-2を用意しているので、御覧ください。基本的には資料4を御覧いただければと思います。一般用の漢方製剤及び生薬製剤の承認基準の整備についてですが、一般用医薬品につきましては、昭和45年に制定した風邪薬の承認基準から平成23年に制定した鎮痒消炎薬まで、これまで15の薬効群について、製造販売に関する承認基準を制定しておりまして、こちらについては都道府県知事が承認権限を有して、製造販売もされています。

 資料4の上段の枠内に示しておりますように、地方からの提案に対する対応方針という、平成2712月の閣議決定におきまして、医薬品の承認の事務・権限については、日本薬局方において品質に係る規格が定められているものについては、承認基準の見直しを行った上で都道府県知事に移譲することとされております。一般用漢方処方製剤は平成28年度中に、生薬単味製剤を平成29年度中に実施することが閣議決定されています。

 一般用の漢方製剤につきましては、資料4の1ページ目の1の部分、それから、次の2ページ目の図のほうが分かりやすいかもしれませんけれども、2ページ目の図で言うと左側ですが、既に平成20年9月30日に一般用漢方製剤の承認基準は制定しておりまして、この部会でも御報告してまいりました。その後、平成24年までに3回改正しておりまして、改正の都度、この部会でも御報告しておりますが、現在、294の漢方処方が規定されています。この承認基準の名称を「一般用漢方製剤製造販売承認基準」に改めまして、その294処方のうち、日本薬局方の16改正の第2追補段階で収載されていた28処方ですが、こちらを都道府県知事が承認することを定めている告示に、平成28年度に追加する改正を行って、平成29年4月1日から施行しています。

 また、一般用の生薬製剤ですが、同じ2ページ目の表の右側にありまして、日本薬局方医薬品承認申請の手引と、真ん中上段辺りにあるかと思いますが、従来からこちらを承認審査における基本的な基準として取り扱ってまいりました。矢印で示したとおり、薬局方にその規格等が規定されている30の生薬につきまして、一般用生薬製剤製造販売承認基準というものを定めて、審査を統一的かつ適切に行えるよう整備するために、本年3月から4月にかけてパブリックコメントを実施し、広く意見公募を行いました。今後ですが、このパブリックコメントで頂いた御意見を踏まえて、本年度中にこの製造販売承認基準を制定してまいります。また、古くから用いられまして、大臣承認において十分な審査実績のある煎剤の部分である19品目につきましては、閣議決定に基づきまして、都道府県知事が承認する品目に加えるための告示改正を本年度中に実施して、来年度から施行する予定です。説明としては以上でございます。

○橋田部会長 ありがとうございました。一般用漢方製剤及び生薬製剤の製造販売承認基準の整備でございます。ただいまの御説明に対しまして、御質問、御意見等がありましたらお願いします。

○鈴木委員 権限を移譲するという趣旨は分かるのですが、製造販売の承認を都道府県に移譲することにどういう意味があるのでしょうか。工場がある、本社がある場合にそれが機能するのか、どういう意味があるのか、地方に移譲する意味を教えていただけますか。

○事務局 地方に移譲する意味という御質問を頂いて、ありがとうございます。こちらは地方の提案に基づいているもので、地方のどこに下ろすのかという話だったのですが、例えば、東京に会社Aがある、製造販売を取っておりますというのであれば、東京都の知事が承認を下ろせます。もしそれが大阪であれば大阪府知事が下ろします。大臣が承認する場合は、機構のほうで審査をしております。大阪の方とか北海道の方、沖縄の方、皆さん東京に来なければいけないというのがあります。都道府県のほうで承認すると、その会社がある地元の所にすぐに行って相談ができますし、あと、申請手数料も安い、それから、審査期間が短い。なぜそうなるかと言いますと、承認基準がしっかり決まっているからですが、そういうような形で、地方のメーカーの育成とか、しっかり監視もできるということで、地方のほうから提案があったのです。

○鈴木委員 分かりました。地方に本社がある場合に、メリットがあるということですね。確かにそうだと思います。了解しました。しかも、内容が日本薬局方に規定されていて、恣意的というか、適当な審査にはならないことが担保されているものに限るということですね。分かりました。

○橋田部会長 ほかに何か。

○川原委員 今のことに関連しまして。私、生薬等委員会のほうにも出ておりますので、こういった取組がようやく始まって頂いて、非常に有り難いというのが正直な感想ですが、漢方業界は大手企業ばかりではなくて、中小企業もかなり多いですし、その中で、薬用植物あるいは生薬の国内栽培、あるいは、国内での使用を振興していく観点からも、こういう取組は新たな一歩になるのではないかということで、非常に期待しています。今後も、局方委員会でもしっかり企画を固めていって、都道府県でもしっかりと対応をしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○橋田部会長 ありがとうございました。この基準を整備することの意味は、今、御説明いただいたとおりでございます。内容につきましては、先ほど御説明いただいたものが整備の内容ということでございます。ほかに御質問、御意見等はございますか。よろしゅうございますか。ありがとうございました。それでは、その他事項の議題2ですが、これも御確認を頂いたものとさせていただきます。どうもありがとうございました。

 それで一応、予定した議事が終わりました。その他、事務局から御連絡いただきとうございます。

○事務局 1点追加で御報告でございます。他部会の関係でもありますが、以前、当部会で御審議いただいたアルミノプロフェン(ルミフェン)ですが、こちらは要指導医薬品として承認されておりまして、製造販売後調査が終了したことに伴い、先般、医薬品等安全対策部会安全対策調査会におきまして、要指導医薬品から一般用医薬品に移行することが提案されました。これを受けまして、本年6月に橋田会長とも相談しまして、当部会の委員の先生方皆様に製造販売後の調査報告書を回付して、御確認いただきました。結果、特段の御指摘はなく、その後、7月14日に開催された医薬品等安全対策部会においても報告がなされまして、一般用医薬品に移行したことをこの場で報告させていただきます。以上でございます。

○橋田部会長 ありがとうございました。要指導医薬品から一般用医薬品への移行ということで、1品目について承認したわけです。よろしゅうございますか。ただいまの件につきまして、御意見、御質問等があればお願いします。よろしいですか。それでは、どうもありがとうございました。最後になりますが、事務局から何かございますか。

○事務局 本日は長時間にわたる御審議、ありがとうございました。次回の当部会の開催日程につきましては、追って先生方の御予定を伺った上で調整させていただきますので、よろしくお願いいたします。

○橋田部会長 それでは、これで本日の要指導・一般用医薬品部会を終了します。ありがとうございました。

 


(了)

備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬生活衛生局 医薬品審査管理課 課長補佐 大原(内線2737)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(要指導・一般用医薬品部会)> 薬事・食品衛生審議会 要指導・一般用医薬品部会 議事録(2017年9月6日)

ページの先頭へ戻る