ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働基準局が実施する検討会等> 平成28年度化学物質のリスク評価検討会(遺伝毒性評価ワーキンググループ)> (平成29年2月21日) 第3回遺伝毒性評価ワーキンググループ 議事録(2017年2月21日)




2017年2月21日  (平成29年2月21日) 第3回遺伝毒性評価ワーキンググループ 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

○日時

平成29年2月21日(火)15:00~17:00


○場所

中央合同庁舎第7号館共用会議室(11階)


○議題

(1)平成28年度に実施したBhas42細胞を用いる形質転換試験(16物質)の評価について
(2)平成28年度に微生物を用いる変異原性試験を実施した物質(28物質)に関する遺伝毒性の総合評価について
(3)「微生物を用いる変異原性試験の具体的手法及び試験結果の評価方法について」の改正(案)について
(4)平成29年度非遺伝毒性発がんスクリーニング試験対象物質の選定方針について
(5)平成29年度エームス試験対象物質の選定について ほか

○議事

○平川化学物質評価室長補佐 本日は、大変お忙しい中御参集いただきまして、誠にありがとうございます。定刻になりましたので、ただいまより平成28年度第3回遺伝毒性評価ワーキンググループを開催いたします。本日は、荒木委員が所用により御欠席でございますが、その他の委員と、追加参集者として発がん性評価ワーキンググループの西川委員、若林委員に御出席いただいております。

 それでは、以降の進行は、座長の清水先生にお願いいたします。

○清水座長 それでは、議事進行を仰せつかりましたので、よろしく御協力のほどお願いいたします。議事に入る前に、事務局から議事次第と資料の確認をお願いします。

○平川化学物質評価室長補佐 それでは、本日の議事について説明させていただきます。主な議題は大きく5点あります。1点目、平成28年度に実施したBhas42細胞を用いる形質転換試験(16物質)の評価について。2点目、平成28年度に微生物を用いる変異原性試験を実施した物質(28物質)に関する遺伝毒性の総合評価について。3点目、「微生物を用いる変異原性試験の具体的手法及び試験結果の評価方法について」の改正()について。4点目、平成29年度非遺伝毒性発がんスクリーニング試験対象物質の選定方針について。5点目、平成29年度エームス試験対象物質の選定について。6点目、その他。大きく5点になります。

 次に資料の確認をいたします。本日の資料については、A3版左上1点留めの資料とA4版左上1点留めの資料と、机上配布資料として、2点用意しております。資料番号順で申し上げます。A4版資料の方から、資料1-1、平成28年度にBhas42細胞を用いる形質転換試験を実施した物質について、1枚の資料です。資料1-25枚組の資料で、Bhas42細胞を用いる形質転換試験結果一覧(日本バイオアッセイ研究センター実施分)です。次が資料1-3、これも5枚組の資料です。Bhas形質転換試験結果一覧(食品薬品安全センター秦野研究所実施分)です。資料1-4、これは机上配布で平成28年度Bhas42細胞を用いる形質転換試験実施物質の報告書の内容です。

 次に資料2です。資料2-1、平成28年度にエームス試験を実施した物質に関する遺伝毒性の総合評価について、1枚の資料です。次に、資料2-2A3版の資料で、平成28年度にエームス試験を実施した物質に関する遺伝毒性の総合評価()です。資料2-3は机上配布で、エームス試験結果報告書となっております。

 資料3です。資料3-1、「微生物を用いる変異原性試験の具体的手法及び試験結果の評価方法について」の改正()についてです。資料3-21枚の資料で、陽性対照に対しての選択及び代謝活性化系を用いる場合の留意事項です。資料3-31枚の資料で、ガスばく露法の追加等を内容とする試験基準の改正()の一部修正です。資料3-414ページの資料で「微生物を用いる変異原性試験の具体的手法及び試験結果の評価方法について」(平成1128日付け化学物質調査課長事務連絡)の一部改正案です。

 次に資料4です。資料4-1は平成29年度非遺伝毒性発がんスクリーニング試験対象物質の選定方針です。資料4-2-1A3版資料で、7枚で構成された資料です。平成29年度Bhas42細胞を用いる形質転換試験の対象物質リスト(製造・輸入量が1,000t以上)のものです。A4版資料で、資料4-2-2は、平成29年度形質転換試験の候補物質リスト(構造活性相関結果から)で、3ページものの資料です。次に資料5です。これもA4版資料1枚で平成29年度変異原性試験候補物質を示したものです。

 最後、参考資料です。いずれも1枚物です。参考資料1は、遺伝毒性評価ワーキンググループ参集者名簿です。参考資料2は、Bhas42細胞を用いる形質転換試験による調査の基準(平成26年第3WG合意事項)です。参考資料3は、職場で使用される化学物質の発がん性評価の加速化の資料です。以上の資料について不備等がありましたら、事務局までお申し付けいただきますようお願いいたします。

○清水座長 資料の不足等がありましたら事務局までお申し付けください。それでは、議題1、平成28年度に実施したBhas42細胞を用いる形質転換試験の評価について、事務局から説明をお願いします。

○平川化学物質評価室長補佐 それでは、平成28年度に実施したBhas42細胞を用いる形質転換試験の概略を申し上げます。その後、詳しい試験結果について、試験を実施しました日本バイオアッセイ研究センターと、食品薬品安全センターから御説明していただきます。

 まず、これまでの経緯ということです。1(1)WGでの評価及び試験の実施です。遺伝毒性評価WGにおいて、「遺伝毒性なし」と評価された物質のうち、非遺伝毒性発がんスクリーニング試験対象物質の選定方針の基準に基づいて、資料1-2及び資料1-316物質を平成28年度の遺伝毒性評価WGで選定し、平成28年度の委託事業等により、Bhas42細胞を用いる形質転換試験を実施したものです。

 試験実施物質については、次の1~16のものです。1~8が日本バイオアッセイ研究センター実施分、9~16が食品薬品安全センター実施分です。

 本日の本WGにおける検討事項ですが、2(1)Bhas42細胞を用いる形質転換試験結果の評価を行う。2(2)が、試験結果が陽性と評価された物質について、ラット肝中期発がん性試験の候補物質にするかを検討していただきます。

 それでは、平成28年度に試験を実施していただいた日本バイオアッセイ研究センターと食品薬品安全センターから御説明をお願いいたします。

○清水座長 それでは、日本バイオアッセイ研究センターからお願いいたします。

○日本バイオアッセイ研究センター 資料1-2に被験物質に関する情報、用量設定試験及び細胞増殖試験、形質転換試験、結論について概要をまとめてあります。一番上に試験番号として、当センターで振った番号を書いています。74837490までの8物質、8試験となります。

 結論から言いますと、74887490の物質名は、グルコン酸カルシウムと、カルシウム=ジホルマート、この2物質が今回陽性に出ております。個々の物質の結果については、次ページの図を見ながら説明させていただきます。

 図については、A4版の1ページで1物質分の試験結果をまとめてあります。上段に示したグラフが、用量設定試験の増殖率の結果です。下段のほうに示したのが形質転換試験の結果です。黒いプロットは、相対増殖率を表しております。白いプロットは、形質転換巣のウェルあたりの数を示しております。

 最初の7483から説明させていただきます。こちらは、最高用量10 mMより公比210用量で実施しております。上の図1で分かりますように、5 mMと、10 mM、上の2濃度ですが、こちらで強い細胞増殖阻害作用を示しております。そのほか、*のようなマークを付けたのですが、位相差顕微鏡による観察でコンフルエントよりも少ない細胞密度を示した濃度がありまして、それが0.0782.5 mMまでの、先ほどの強い毒性を示した用量よりも、低めの6用量になりますけれども、こちらがコンフルエントよりも少ない細胞密度を示しております。

 このような用量で形質転換試験を実施しますと、固定する最終日までに細胞が部分的に剥がれてしまって、評価対象外となる可能性が高いと判断しまして、0.078mMとほぼ同等の用量ですけれども、0.08 mMを最高用量に設定しまして、図2に示した形質転換試験を実施しております。

 予想どおり形質転換試験の0.08 mMでは、部分的にコンフルエントよりも少ない細胞、部分的に最終固定日に細胞が剥がれておりまして、評価対象外となっております。形質転換率の有意な増加は白プロットですが、認められませんでした。こちらは陰性の結果になります。

 次の物質は、7484のイソ酪酸の結果です。こちらも同様に10 mMの最高用量まで実施しています。細胞毒性は認められません。最高用量の10 mMでも50 %以上の毒性は認められなかったために、本試験、図4ですが、こちらの形質転換試験を最高用量10 mMから実施しております。白プロットを見ていただいたとおり、形質転換率の有意な増加は認められませんでした。こちらも陰性になります。

 次ページです。右上の7485、酪酸の結果です。こちらも最高用量10 mMまで実施しておりまして、やはり50 %以上の相対増殖率の低下は認められていませんので、図6に示したように、最高用量を10 mMで形質転換試験を実施しております。こちらは、相対増殖率は用量設定試験、上の図5と同様の黒プロットですけれども、推移を示していますが、最終固定時に、上に濃度、白プロットが5 mM10 mMのところはなくなっていますが、こちらの用量では細胞が剥がれて、最終固定時に失われていたことから評価対象外となっています。残りの用量の形質転換率に関しては、有意な増加は認められておりませんでした。こちらの酪酸の結果も陰性になります。

 次ページです。右上の7486、硫酸鉛です。図7ですが、硫酸鉛の用量設定試験を最高用量10 mMから実施しましたが、こちらは相対増殖率が、0.31 mM以上の用量で50 %未満の相対増殖率を示しています。更に最低用量の0.020 mMでも、コンフルエントよりも少ない細胞密度を示していました。先ほどと同じ理由で形質転換試験の用量としては、不適、適切でない毒性の強い用量となりますので、更に低い濃度で2回目の細胞増殖試験を実施しております。それが図8のグラフになります。こちらで0.05 mMではコンフルエントを示していまして、それより1個上の0.071 mMでは、コンフルエントよりも少ない細胞密度であることが分かりました。

 この結果を受けて、下の図9、こちらに形質転換試験のグラフがありますが、最高用量を先ほどの結果から、0.01 mMに設定して、そして、公比ルート√2で実施しています。その結果、0.005 mM以上の用量では細胞毒性作用により、細胞が部分的に剥がれたことから評価対象外としております。残りの4用量で形質転換率の有意な増加は認められていませんでした。そのため、こちらの硫酸鉛に関しても陰性の結果です。

 次ページ、右上の7487、図10に、4-tert-ペンチルフェノールの細胞増殖試験の結果を示しています。相対増殖率の結果は、1.3 mM以上の用量で被験物質の作用により、細胞が固定されていたと判断できるような結果になっています。位相差顕微鏡でウェルの細胞を観察しまして、その結果と相対増殖率が不自然に上がっているところを総合的に判断して、高濃度のままでは細胞が固定されて残っていたと判断しました。その下の用量、0.63 mM0.31 mMでは、10%未満の相対増殖率で強い細胞毒性を示しております。0.16 mMでは、相対増殖率が高いのですが、位相差顕微鏡による観察でコンフルエントよりも少ない細胞密度を示しています。

 この結果を受けて、下の図11に示しましたけれども、0.16 mMを最高用量として形質転換試験を実施しております。その形質転換試験の0.16 mMでは、細胞毒性作用により、やはり細胞が部分的に剥がれており、評価対象外としております。残りの用量での形質転換率の有意な増加は認められておりません。こちらも陰性となります。

 次ページ、右上の7488ですが、図12のグルコン酸カルシウムの細胞増殖試験の結果です。上に濃度、5 mM10 mM150 %以上の相対増殖率を示しました。1度目の形質転換試験の結果は、図13に示してあります。公比を√2と狭くして実施しています。3.5 mM以上の4用量では、150 %以上の相対増殖率を示しておりまして、10 mM1用量のみですけれども、白プロットの一番右端ですが、ダネット検定有意水準0.05片側検定で、ネガコンに対して有意な増加を示しました。1用量のみの有意な結果となってしまったため、図14に示したように、2回目の確認試験としての形質転換試験を実施しています。更に細かい用量にしまして、交差を使った用量で試験を実施しています。その結果、7 mM8 mM9 mM10 mM4用量で有意な増加を示しております。

 陽性の結果であったため、図15に確認試験のプレートから代表的なウェルの写真を示しております。Aがネガコン、Bがポジコン、C10 mMのグルコン酸カルシウムのウェルの写真となります。こちらは陽性の結果となります。

 次ページです。右上に7489、図16ですが、最高用量10 mMでも50 %以上の相対増殖率を示したために、本試験の最高用量の10 mMで実施しています。図17の形質転換試験の結果、形質転換率の有意な増加は、こちらは認められませんでした。ナトリウム=D-グルコナートは陰性の結果でした。

 次ページです。7490、カルシウム=ジホルマートの細胞増殖試験の結果です。図18に示しましたが、上の2濃度、5 mM10 mMで、150 %以上の相対増殖率を示しております。公比を√2にしまして、図19に示したように、形質転換試験を実施しています。増殖率は、上4濃度、3.5 mM5.0 mM7.1 mM10 mMは、細胞増殖試験と同様に上がっております。白プロットの形質転換率ですが、こちらも剥がれてしまって、評価対象外とした10 mMは除いているのですが、その下の3用量、3.5 mM5 mM7.1 mM、この3用量で有意な増加を示しております。図20に陽性の結果のため代表的なウェルの写真を示しています。Aがネガコン、Bがポジコン、Cは、カルシウム=ジホルマートの7.1 mMの用量のウェルの写真です。カルシウム=ジホルマートに関しては、陽性の結果です。

 今回、当センターで実施した8物質のうち、陽性となった2物質は、両方ともカルシウムを含む物質となっています。以上です。

○清水座長 ありがとうございます。ただいまの日本バイオアッセイ研究センターからの御報告では、グルコン酸カルシウムと、カルシウム=ジホルマートの2物質が陽性で、ほかは陰性ということでしたが、何か御質問、御意見がありましたらお願いいたします。

○若林委員 カルシウムの2種の化合物が陽性になっていると思いますが、大体同じようですが、グルコン酸カルシウムのほうが、やや強めに出ていますけれども、カルシウムが入っていることがこの陽性を来す要因になっているのか。例えばグルコン酸だけにするとか、あとは、他の塩とかでテストした結果はありますか。

○日本バイオアッセイ研究センター 当センターでは、今まではそういった結果はありません。何らかのカルシウムの関与があるような気はするのですが、データは持ち合わせておりません。

○若林委員 ジホルマートとか、アルミニウムジホルマートのようなものがあるようですけれども、何か他の塩とか、カルシウムのフリーのグルコン酸そのもの自体とか、物質としてはアベイラブルだと思いますので、要因を探るためにはそういうものと比較するのも、ある場合には必要になってくると思います。

○日本バイオアッセイ研究センター 一応、7489、この2物質に挟まれた物質ですけれども、こちらがナトリウム=D-グルコナートとなっているので、ナトリウムになったというものが、一応、今回の試験は含まれていました。

○清水座長 よろしいですか。

○若林委員 はい。作用メカニズムは何かなということがとても気になります。

○清水座長 なるほど。培地にはカルシウム剤関係のものは何か入っているのですか。

○日本バイオアッセイ研究センター 培養液は、MEMF12の半々になっていますので、カルシウムは含まれております。

○清水座長 含まれているわけですね。ほかに何か御質問はありますでしょうか。

○本間委員 最初の4-メトキシフェノールですが、先ほどの説明だと、0.078 mMでしたか、0.08 mMですか、この部分のデータが細胞の剥離のため観察できなかったといった説明でしたけれども、この上がり方を見ると、0.06 mMの前に少し上昇傾向が見られますよね。もし仮に、これ、先ほどの試験と同じように、この間を例えば0.07 mMとかで取った場合に、上がる可能性というのはあるのかどうかをお聞きしたいと思います。

○日本バイオアッセイ研究センター 上がっていきかけているように確かに見えますね。ただ、一応、用量設定試験を公比2でやっていまして、本試験はもっと狭めて、公比√2で行っていまして、陽性に出た再試験を実施した7488についても、全く同じ用量設定が公比2で、1回目の形質転換試験が公比√2で行っていまして、そちらで1用量だけ出ましたので、それで確認試験のための7488のグルコン酸カルシウムに関しては、更に公差で狭めたという感じで実施しておりまして、こちらに関しては、更に狭めた公差は考えませんでした。

○本間委員 印象としては上がる可能性はありますか。

○日本バイオアッセイ研究センター ネガコンの当センターのこの値がすごく低いので、少し上がると、確かに上がっているように見えるのですが、微妙な、ネガコン。それほど4-メトキシフェノールの図2のネガコンの値と、ネガコンの値が1.3ですので、最後の上がっているプロットが1.7ですので、それほど違いがないと判断して、確認試験等は実施しておりません。

○清水座長 よろしいですか。西川委員、どうぞ。

○西川委員 7487についてです。「細胞は固定された」と書いてありますが、細胞を固定する作用のあるものはこの試験には不向きというように考えてよろしいですか。

○日本バイオアッセイ研究センター 細胞を固定するような物質であっても、固定する高用量の部分、今回の結果で言いますと、図101.3 mM以上の4プロットに関しては固定されていますので、実施できない用量になります。経験上、固定するような物質も濃度を下げていきますと、その固定の作用が弱まって、普通の物質の毒性のように、その下の用量ですが、正しい増殖率を示しますので、更に弱まっていくと、増殖率は上がってきますので、被験物質に固定されたところにだまされずに、下の用量も見ていれば、適切に試験が実施できると考えております。

○西川委員 一般的な固定液であるホルムアルデヒドはこの試験で陽性になるのでしたか。

○食品薬品安全センター ホルマリンはマイナスです。

○西川委員 だからそれは固定作用は。

○食品薬品安全センター あります。もちろん濃度を高くすればありますし、……やるのですが、ホルマリンを入れますと、かなり薄い濃度でも、最後全滅します。揮発して、インキュベーターで。だからほかの試験と一緒にしてしまって、全部の細胞が全滅することはあります。

○西川委員 なるほど。

○食品薬品安全センター ホルマリンをもしもやるとしたら、かなり薄くして、そして、インキュベーターにその検体だけ、ホルマリンだけやって調べるしかないのです。

○西川委員 なるほど。ありがとうございます。

2つ目は、相対増殖率が100よりも上がるものだけが形質転換も陽性になっている、データだけを見るとそうなっていますけれども、大体そういう傾向というのはあるのですか。

○日本バイオアッセイ研究センター 3年間、形質転換の仕事をやらせていただいているのですが、その間に9物質が陽性になりまして、当センターの分だけですが・・・、、そのうち増殖率の上昇があったのは、7物質ありましたので、やはり細胞増殖が働くことでの作用というのは大きいのだと思っています。

 今回の結果を先ほど眺めていましたら、食薬センターでの2物質、今回の陽性物質も増殖がある物質で、今回のバイオアッセイでの陽性物質2物質も増殖がありましたので、今年に限っては、4物質とも増殖がある陽性物質だと眺めていました。

○西川委員 ありがとうございます。

○清水座長 ほかにはいかがでしょうか。

○本間委員 最後のカルシウム=ジホルマートの陽性反応ですが、恐らく統計的には、最高、最後の3用量で上がっているのではないかと思いますが、実際の絶対値を見ると、多分、2.5より下ですよね。ここでのコンカレントコントロールとの比較としては上昇なのでしょうけれども、そちらのヒストリカルデータと比べてこの程度の増加というのは、やはり増加と考えるべきなのかどうかということをお聞きしたいのですが。

○日本バイオアッセイ研究センター この試験系をやっていて面白いと思ったことが、当初、始めたときは、すごくバックグラウンド値が当センターの結果は高かったです。そのときは、ポジコンも含め、陽性に出るものの値は高かったのですけれども、段々当センターのネガコンの値が、食薬センターさんよりも大分低くなってきまして、それで、少しの幅での陽性のような形になるので、そこは若干、心配していることはしているのですが、それでも確かに低ければ、低いときの陽性も確かに2濃度、3濃度というところが出ると、確実に陽性だという印象はあるのですけれども、ちょっと答えになっていないかもしれないですけれども。

○本間委員 要は、ヒストリカルデータというのは取れないということですか、この試験は。

○日本バイオアッセイ研究センター そのようなことはないです。

○本間委員 ということは、そちらのヒストリカルデータというのはあるのですか。それと比べて、これは高いのかどうかと。

○日本バイオアッセイ研究センター ここ2年間が、かなり安定して低い値で出ていますので、そこのヒストリカルの分布からは外れております。

○本間委員 外れるのですね。分かりました。

○清水座長 ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。特にございませんでしたら次の食品薬品安全センターから御説明をお願いいたします。

○食品薬品安全センター 資料1-3です。これは結果の一覧表です。先ほどバイオアッセイさんが説明したのと同じような書き方です。一番上の試験番号は当研究所の試験番号で、G-16-038から045までとなっています。結論はバイオさんと同じで2検体だけ+になりました。それが0433-メチルブタン酸と、0452-エチルブタン酸でした。

 次、一つ一つ図を見ながら説明していきたいと思います。G-16-038です。テトラデカン。これは10 mMまでの最高濃度として、あとは最初の用量設定試験で、これは2分の1ずつ低くして細胞毒性作用を見ました。その結果、10 mMでも毒性はなかったので形質転換試験では下の図です。10 mMを最高濃度として形質転換試験を行いました。その結果、10 mMでは毒性が強すぎたので評価の対象外としました。こういう結果が出たのは、後にも何検体かあるのですけれども、細胞毒性試験は最初の用量設定試験ですが、3日間処理して測定しているのですけれども、実際の形質転換試験のときには10日間処理するので、それで細胞毒性試験は3日間の短期間処理なので、それで毒性が出なくても実際に10日間処理すると、それでどんどん、ほとんどの物質が、毒性あるものとしてはそうなのですが、長期間処理すれば毒性が出るのは当たり前なのですが、それで細胞が全部剥がれてしまったり、そういうことがありますので、そういうものは評価対象外としました。その結果、8 mMから下の濃度まで全然形質転換の誘導は見られませんでした。

 次にG-16-039のジイソブチレンです。これは1回目の用量設定試験では急激に毒性が出たので、2回目の用量設定試験をして、形質転換試験の濃度を決定しました。そして下の左側ですが、これが形質転換試験の結果で、1.5以上の濃度でやはり細胞が死んでしまいましたので、評価の対象になったのが3濃度、1.00.50.2しか取れませんでしたので、それで少なくても4濃度以上取ろうというのが今回の試験の計画だったので、それでもう一度濃度を取り直してやりました。その結果、1回目の試験と同じようにやはり形質転換巣の誘導は見られませんでした。

 次は040です。tert-アミルベンゼンです。これも1回目の用量設定試験では非常に強い細胞毒性を示したので、2回目の細胞毒性試験を行い、用量を設定しました。その結果、これも形質転換の誘発は全く見られませんでした。

 次は041です。これは10 mMまで全然毒性がなく、そして実際に形質転換試験でも、10日間処理しても、最高濃度のところの10 mMでもきちんと評価できました。その結果、形質転換は誘発されませんでした。

 次は042です。1回目の用量設定試験では全然毒性は出なかったのですが、形質転換試験のときに並行して行った細胞毒性試験では毒性が見られましたので、どちらが正しいか分からなくなってしまったので、細胞毒性試験だけをもう一度行いました。それが図1の右側です。形質転換試験と並行して行った細胞増殖試験と同様に増殖が阻害されましたので、この物質はある程度毒性があると判断しました。実際の形質転換試験は、高濃度の8 mM10 mMはやはり毒性が強く評価対象外となり、6 mM以下では形質転換巣は誘発されませんでした。

次は043です。これは3-メチルブタン酸です。これは10 mMまで毒性がなかったのですが、途中の濃度で増殖の促進が見られました。もう一度濃度を詳しく取ろうと思い、2回目の試験をしましたが、それでもやはり途中の濃度、1 mM前後のところで増殖が見られました。形質転換はそこで見られた濃度より少し低い濃度、増殖が見られたところは3日間処理のところでは増殖が見られて、それ以上の高いところでは増殖が見られなかったのですが、実際に10日間処理すると、多分10日間処理したために阻害のほうに細胞の増殖を抑えていると思うので、形質転換はほとんどゼロに近い値になりました。ですから細胞増殖よりも少し低い濃度で形質転換の誘発が見られました。そして下には実際に形質転換層の写真です。一番左がコントロールで、真ん中がポジティブコントロールのTPA、そして右側が検体の形質転換です。

 次は044です。これも1回目の試験で細胞毒性が強かったために、もう一回、2回目の試験を行い、用量を決めました。形質転換は4 mM5 mMでは細胞毒性が強すぎて評価対象外、3 mM以下では形質転換の誘発は見られませんでした。

 次は045です。これは2-エチルブタン酸です。これは1回目の試験で微妙に、大体経験的に±20 %ぐらいだったら大体細胞毒性がないと思っていますが、20 %より少し上だったので、実験誤差か、本当に細胞増殖が見られているのか、そこを確認するためにもう1回試験を行いました。その結果2回の試験でもやはりデータは20 %より少し上ぐらいに増殖が見られました。これらの濃度を踏まえて形質転換を行いました。形質転換試験でもやはり20 %より少し上ぐらいに細胞増殖が見られ、そしてそのピークの濃度よりは低めのほうで形質転換の増加が見られました。これも先ほどの043の検体と同じように濃度が高いほうになると、10日間処理しているので毒性が働いてきたためだと思うのですが、形質転換の誘発は抑えられていると思います。下は写真で、左がコントロール、真ん中がTPA、右がエチルブタン酸によって誘発された形質転換巣です。以上です。

○清水座長 ありがとうございました。3-メチルブタン酸と2-エチルブタン酸の2物質が陽性であったと。ほかは陰性だったということです。何か御質問、御意見がありましたら、どうぞお願いいたします。

○若林委員 また構造の話になりますが、ブタン酸そのもの自体は研究はありますか。

○食品薬品安全センター いや、……。

○平川化学物質評価室長補佐 日本バイオアッセイ研究センターで行った物質のうち、分子式でいうとC4H802 というのが2つあります。これがブタン酸に該当するということでよろしいでしょうか。

○日本バイオアッセイ研究センター 7485がブタン酸になります。

○若林委員 7485ですか。もう1つ、バイオアッセイセンターさんと食薬センターさんで、今回、試験をされたもので、レラティブにセルグロースが上がるときに大体形質転換が上がっています。セルグロースが上がったところで形質転換が平行に上がらないデータはありますか。

○食品薬品安全センター グロスファクターなんかだったらそうですね。大体……は決まっていますので、TPAの場合もそうなのですが、大体グロスが一定になって、形質転換巣の数も一定になってきます。ですからいわゆる変異原物質でしたらそのエーモスですとか、その培養細胞では大体濃度を入れれば入れるほど突然変異などは増えてくるのですけれども、形質転換の場合は多分周りの細胞との接触が関係していると思うのですが、これがシャーレ当たり50個、100個などということはないです。うちの場合でしたら大体30個ぐらいでプラトーになってきます。

○若林委員 セルグロースをインダクションするようなものイコール形質転換があるというわけではないですか。

○食品薬品安全センター そうではないです。逆に毒性があるものでも、例えば___などでしたら、不思議なのですが、出てきます。ですから途中で培養しているときは、本当に毒性、細胞は全然細胞密度は高くなったりしていなくて、逆に低くなっているのです。3週間培養していると、結果として血栓管などは増えている。そういう物質もあります。

○清水座長 ほかにはいかがでしょうか。

○本間委員 先ほどの話に関係しますが、バイオアッセイセンターのバックグラウンドと食薬のバックグラウンドが2倍以上違うような印象があります。バイオアッセイが大体1から2ぐらいの間ですが、食薬センターは大体5前後です。写真を見てもフォーカスの顔が少し違うような感じがするのですが、その辺の差というのはどう考えたらよろしいですか。

○食品薬品安全センター 一番考えやすいのは、細胞の経済性などによります。ですから例えばうちでも細胞をいっぱい増やして、何十アンプルかを作ってやると、その前のものとはやはり背景などは違ってきます。ただし、うちの場合は、これは3回目の試験なのですが、最初に何十本……していて、ずっと同じアンプルを使っています。そして解凍して、次の実験用に蒔くまでも同じにそれだけ培養して。ですからほとんど同じ。それでバイオアッセイさんの場合は最初3年前に行ったときは割と高かったのですが、段々低くなってきたというのは、もしも同じアンプルを使っているのなら、その培養のコンディションとか何かが違うのかなと思っています。少なくとも血清ロットとか何かはずっと全部合わせています。

○本間委員 Bhasのバリデーション研究で、施設間の結果の一致率は大体どのくらいですか。

○食品薬品安全センター それはほとんど一緒です。

○本間委員 それは一緒ですか。

○食品薬品安全センター 一緒です。バリデーションのときには、血清はもちろんですが、ロットの形態数とか、あれもみんな合わせましたから。

○本間委員 多少そういったバックグラウンドが変わったとしても、結果の判定を間違う可能性はほとんどないと考えてよろしいですか。

○食品薬品安全センター ないと思います。

○本間委員 分かりました。

○食品薬品安全センター バイオアッセイさんは同じアンプルを使って、3年前と。それでも低くなってきている。

○日本バイオアッセイ研究センター もともと食薬さんから頂いた細胞で、去年、今年は同じアンプルから保存したもので、一昨年はその前の世代のものを使っていたので、少し違うかもしれません。少なくとも今年と昨年は同じアンプルから使っています。ほとんど食薬さんと同じ条件で血清も同じ条件でやっています。私どもでもバックグラウンドが違うなと認識しておりまして、どこが違うのか一度、佐々木さんにも相談したことがありますが、原因が分からないところがあることはあります。ただ比較的低いことはそんな悪いことではないだろうと思ってはいるのです。

○清水座長 よろしいですか。ほかにはいかがでしょうか。特にございませんか。ありがとうございました。2機関で16物質を試験をしていただき、そのうち4物質が陽性であったということで、試験そのものが全て妥当ということで御判断いただけたのではないかと思います。よろしいでしょうか。今回の評価の結果、陽性となった物質については、発がん性評価ワーキンググループで議論していただく予定の中期発がん性試験物質の選定に向けて、候補物質として追加する方向で準備を進めていただくことで、よろしくお願いいたします。

 それでは議題2に移ります。平成28年度に微生物を用いる変異原性試験を実施した物質に関する遺伝毒性の総合評価について、事務局から説明をお願いします。

○平川化学物質評価室長補佐 それでは資料2-1を御覧ください。エームス試験を今年度実施した物質に関する遺伝毒性の総合評価についてということです。これまでの経緯です。(1)WGの評価試験の実施ということで、これまでの遺伝毒性評価WGにおける評価により、エームス試験が実施されているものの、一部不備があり、「遺伝毒性はあるが、強弱判断不能」又は「遺伝毒性の有無の判断困難」とされた物質。また、エームス試験が実施されていないため、構造活性相関を行った結果「+」の判定になった物質。こういったものから試薬の入手可能な28物質について、今年度の委託事業によりエームス試験を実施したものです。

(2)に移ります。エームス試験結果の評価です。本日の資料においては試験機関からの結果の判定のみ入れていまして、後ほど各委員から内容の評価の説明等をしていただく予定です。

 また、本WGにおける検討事項です。試験機関による結果の判定及び委員の評価に基づいて、1~5のうちのどれに該当するのかの判断を本日していただくことになります。さらに、その評価結果を踏まえた対応ということです。1の遺伝毒性なしになった場合につきましては、評価終了ということで、Bhas42細胞を用いる形質転換試験の候補物質の選定にまいります。2の弱い遺伝毒性ありの場合、評価終了。3の強い遺伝毒性ありの場合については、行政指導の対象物質となるとともに、中期発がん性試験の候補物質に移行します。また、発がん性試験の情報が別途ある場合については行政指導の対象とするか、別途検討ということにさせていただきます。4の遺伝毒性はあるが、強弱の判断不能ということであり、文献調査も含めて強弱まだ判断不能ということであれば、別途検討、5も同じくということです。

 本日28物質の評価について、これまでの文献調査と合わせて各委員から説明いただければと思います。よろしくお願いします。 

○清水座長 それでは、個別物質の評価については各委員から報告をお願いしますが、荒木委員は本日御欠席で、担当分についてはあらかじめ報告を頂いておりますので事務局から説明をお願いします。各委員の報告が出そろいましたら、各物質の評価結果について事務局にまとめていただきます。よろしくお願いします。

○平川化学物質評価室長補佐 それでは荒木委員の担当物質について事前に評価結果をいただいておりますので、説明をさせていただきます。資料は通し番号1番、A0037、イソブチロニトリルです。文献調査も合わせての評価ということです。NTPのデータTA98TA100TA1535TA97(サルモネラのみ)で陰性、安衛法変異原性データ集のCHL細胞を用いる染色体異常試験で陰性、EPAHPVS のロバストサマリーのマウスリンフォーマ試験で陰性、TA98TA100TA1535TA1538で陰性、in vivo染色体異常試験で陰性のデータがあるということです。安衛法変異原性試験データ集のTA98TA100TA1535TA1537WP2uvrA/pKM101の試験でTA100WP2uvrA/pKM101の代謝活性化の有無で再現性のある陽性が確認されていたが、国内で実施されたエームス試験の結果だけが陽性であることから評価保留としていました。今回の微生物を用いる変異原性試験結果において、国内の他のラボのデータでも陰性であることから最終的に陰性と判断したというものです。

 次に通し番号2A0082、ジアミノベンゼンスルホン酸です。TA98TA100で陰性であるが菌株が不足している。なお、Tox letterに、CHO細胞を用いた染色体異常試験の高用量39 mg/mLの代謝活性化によらない場合で陽性の報告があるが、用量反応性や再現性が不明であることから評価保留としていたということです。今回の微生物を用いる変異原性試験結果において陰性であることから、最終的に陰性と判断をしたということです。一部文献調査にデータの誤りがあったということが付け加えられておりました。

 次に3番、A0101p-ターフェニルです。Chem Res Tox. においてTA98TA100TA1535TA1537TA1538(サルモネラのみ)で陰性、マウスリンフォーマアッセイでEquivocalとの報告がある。いずれの試験も数値等の詳細なデータが示されておらず評価保留としていました。今回の微生物を用いる変異原性試験結果において陰性であることから、最終的に陰性と判断をしたということです。

4番、A0119、ジメチルグリオキシムです。文献データの詳細が不明であることから評価保留としていた。今回の微生物を用いる変異原性試験結果において陰性であることから最終的に陰性と判断したということです。

 次に5番、A01594,4'-ジニトロジフェニルエーテルです。これについて、TA100で陽性と考えられるが、陰性対照値が高く2倍まで達していない、他の試験菌株のデータもないので評価保留としていたということです。今回の微生物を用いる変異原性試験結果において陽性であることから、最終的に最大比活性値をもって強い陽性と判断したということです。

 次に6番、A0171、フェニルイソシアネートです。TA100のデータは1用量のみであり、復帰変異は上昇を示しているが2倍はない。IUCLIDin vivoマウス骨髄小核試験の陰性データ、Ecotoxicol and Environ Safetyに染色体異常試験の陰性データがあるが詳細不明である。なお、IUCLIDECAの登録データが公開されていないので、IUCLIDの微生物試験データも詳細不明。微生物のデータが上昇傾向であり不十分なデータなので評価保留としていた。今回の微生物を用いる変異原性試験結果において陰性であることから、最終的に陰性と判断したということです。

 引き続いて7番、A0172、フェニル酢酸クロライドです。酸クロリドのデータで溶媒にDMSOを使っていることから、反応生成物の影響が考えられるので評価保留としていました。今回のDMSO以外の溶媒を用いた試験において陰性であることから、最終的に陰性と判断したということです。

 最後の物質28番です。平成26年度の遺伝毒性評価ワーキンググループで荒木委員に評価をいただいていたものです。その評価結果です。TA98で陽性のデータがあるがデータの詳細は不明であることから強弱判定不能としていた。今回の微生物を用いる変異原性試験結果において陰性であることから、最終的に陰性と判断をしたということです。荒木委員からのコメントは以上です。

○清水座長 ありがとうございました。荒木委員からのコメントが全部終わりましたが、今までに何か御質問ございますか。よろしいでしょうか。もしなければ、次に太田先生から御担当の部分をお願いします。

○太田委員 8番、A02051,3,5-トリヒドロキシベンゼンです。これは染色体異常がマイナスS9で陽性になっていました。ただエームス試験がTA981株しかやっていなかったので、それは陰性だったのですが、菌株が足りないということで判断困難となっておりました。今回のエームス試験の結果は陰性でした。ということで、最終的にエームスが陰性、染色体異常が陽性。ただ、D201 mg/mLですので強くはありません。その後文献的に小核は陰性というデータが出てきました。ということで総合判断です。染色体異常は陽性で小核が陰性の場合でも弱いですか。

○本間委員 in vivoですよ、これは。

○太田委員 in vivoの小核は陰性でin vitroの染色体異常は陽性の場合の取扱いは、このスキームからいくと弱い遺伝毒性でいいのですかね。ということになりますか。

○本間委員 はい。

○清水座長 エームスを主体に、一応この委員会では考えております。

○太田委員 では2の弱い遺伝毒性ありということで、in vivoでの小核は陰性であることを付け加えておきます。

 次の9番です。これも菌株不足、TA98しかやっていなかったので強さは分からないということで判断困難としておきました。今回のエームス試験でTA98で強い陽性が出ております。そして、総合判断は3の強い遺伝毒性ありでよろしいかと思います。

 通し番号21番、Isobutyryl chlorideです。これは情報がなかったのでエームス試験を行った結果、陰性でした。ということで遺伝毒性なし。

22番のデカノイル=クロリド、これも同じく陰性で、遺伝毒性なしという評価でよろしいかと思います。私の担当は以上です。

○清水座長 今、御報告いただきましたが、最後の2物質に関しては構造活性相関でプラスになっているのです。この辺はどのようにお考えですか。

○太田委員 エームス試験の結果はきれいにネガティブでしたけれど。

○清水座長 ではネガティブという判定。何か御意見ございますか。よろしいでしょうか。特にございませんでしたら、では本間先生お願いします。

○本間委員 12番、最初の2286、亜テルル酸ナトリウムです。こちらはエームス試験のデータは文献でプラスのデータもあればマイナスのデータもある、ただDNA修復試験で陽性の報告があるということで、実際の今回の試験では陰性でした。これに関しては遺伝毒性なしの評価でよろしいのではないかと思います。

13番の2287、ヒドロキシルアミン-O-スルホン酸、こちらもエームス試験プラスマイナス両方のデータが報告されています。同じようにDNA修復試験が陽性ということでしたが、実際試験をしますと陽性で非活性値が3.69×10の2乗。これはスルホン酸ですので陽性の可能性は高いのではないかと思います。こちらのほうはアラートがあるのではないかと思いますので、こちらは強い遺伝毒性ありの評価でよろしいかと思います。

14番、Thymidineです。こちらは生体内の化学物質ですので、それほど大きな問題はなさそうだったのですが、こちらはエームスも陽性の報告、マイナスの報告、またSCEで陽性の報告、またHPRTの突然変異試験でマイナスの報告もあります。結果としてはプレインキュベーション法で陰性の結果が出ています。遺伝毒性なしの判定でお願いします。

15番、2-モルホリノエタノール、こちらに関してはエームスが陰性ですがDNA修復の試験で陽性。あと、形質転換試験で陽性の報告が出ています。あとはきれいな陰性ですので、これも遺伝毒性なしの評価でよろしいかと思います。

16番、アミノベンゾトリフルオライド、こちらに関してもデータはエームス試験陽性、陰性の結果があります。実際の試験としては、こちらの比活性値は9.30×10の2乗。構造から見てもエームス試験陽性の可能性が高いのではないかと思います。こちらのほうは強い遺伝毒性ありという判断でよろしいかと思います。

24番、1-ヒドロキシ-2-プロパノン、こちらは遺伝毒性が不明という報告になっています。こちらはプレインキュベーション法で陽性の判断です。比活性値2.2×10の2乗で、こちらは構造活性相関ではこれ自体がエームスの変異原性のアラートですので、これは3の強い遺伝毒性ありの判定でよろしいかと思います。私の担当は以上です。

○清水座長 ありがとうございます。何か御質問ございますでしょうか。今までの取決めですと、10の3乗以上が強い遺伝毒性としてきたと思うのです。

○本間委員 ですと、弱い遺伝毒性ということですか。

○清水座長 それと通し番号13番は。

○本間委員 それは遺伝毒性ということでそういうルールでしたか。変異原性と遺伝毒性は、エームスの結果と遺伝毒性とは同じと考えていいのでしたか。

○清水座長 はい。エームス試験が10の3乗の場合にはもう強い遺伝毒性としてきたように思うのですが、どうでしたか。

○平川化学物質評価室長補佐 エームス試験ではそうしています。

○清水座長 はい。そうするとあの13番は。

○本間委員 いや、ルールであればそうなのですが、科学的に言うとエームスの強い陽性というのは余り発がん性と相関がないので、総合的に考えるしかないのではないかと思っていたのですが、ルールとしてそれであれば、今、言っていた強い陽性というのは全て弱い遺伝毒性に変わります。

○清水座長 ただもう1つ、24番も同じ10の2乗なのです。ただこれもやはり、ですから陽性でも弱い遺伝毒性として、16番が9.3×10の2乗、ほとんど10の3乗に近い、これはむしろ逆に102乗でも103乗に近い陽性であると考えてよろしいのではないかと。確か今までそういうルールでやってきたと思います。よろしいでしょうか。そうすると。

○本間委員 16番だけが強い陽性ということですか。

○清水座長 16番だけがいわゆる強い遺伝毒性です。それで13番は弱い遺伝毒性ということになって、もう1つ後ろの24番も10の2乗ですから弱い遺伝毒性ということでいかがでしょうか。何か御意見ございますか。事務局のほうよろしいですか。

○平川化学物質評価室長補佐 あとで確認させていただきます。

○清水座長 はい。それでは山田先生お願いします。 

○山田委員 17番目のC0751-114-アミノ-m-クレゾールについては、遺伝毒性有無の判断を困難にしていましたのは、文献ではエームス試験がマイナスでマウスリンフォーマがプラスという結果があったのです。エームス試験の結果は菌株があまりそろっていなくて古いデータだったということで、もう一回エームス試験をやっていただきました。その結果、比活性値が2.42×10の3乗ということでエームス試験が陽性になっていました。マイナスS9TA100TA1535で陽性になっているという結果です。エームス試験が強く出ましたので3の強い遺伝毒性ありということになるかと思います。

18番のジヒドロキシアントラキノン、試験番号がT-2292のものについても、エームス試験は実施はされていたのですが、詳しい条件がよく分からない情報でしたので、これもエームス試験をやっていただきました。その結果、プラスS9TA100TA1537、特にTA1537で非常に強く出まして、4.34×10の4乗という5桁の比活性値になっておりました。これは強い遺伝毒性があるということで3と判断します。

 次の19番、ダイレクト レッド23という物質については、エームス試験がTA98のみで実施されていて陰性という文献情報でしたので、きちんとエームス試験をやっていただこうということで、結果は、プラスS9TA100TA98TA1537で陽性になっていました。比活性値は4.22×10の2乗とあまり高いものではなかったので、弱い遺伝毒性ありということで2になるかと思います。

20番、5-メチルベンゾトリアゾールという物質です。これはin vivoのデータがなくて、あと菌株も揃っていない試験の情報しかなくて、あと最高用量が1,000までで、それで陰性ということでしたのでもう一度やっていただきました。実際は1,000より高い用量でも試験はできていました。それで陰性でしたので、遺伝毒性はないということでいいかと思います。

25番、トリ又はテトラメチルベンゼンという物質なのです。これについては、in vivoの小核試験は陰性だったのですが、エームス試験は用量が低くて菌株もそろっていないもので陰性という結果でしたので、エームス試験を実施していただきました。その結果陰性でした。姉妹染色分体交換試験が陽性ではありますが、in vivoの小核試験が陰性ということもありまして、エームス試験も陰性でしたし、これは遺伝毒性なしにしてはどうかと思います。

 その下の26番、リアクティブ オレンジ-16という色素。これは、エームス試験は数多く実施されていたのですが判定に矛盾がありましたので、判断ができないため、もう一度試験をしていただきました。その結果、最高用量の5,000 μg/プレートまでやって、シンプルに全然何も、どの菌株でも出ないという結果でしたので、エームス試験は陰性ということです。あとin vivoの骨髄小核試験も陰性という文献情報がありますので、総合的には遺伝毒性なしということになるかと思います。

 最後が27番、5-(1',2'-ジチオラン-3'-イル)-バレリアン酸という物質で、これもエームス試験のデータはあるのですが、3菌株しかなくて、特にプラスS9では判断ができないという結果で、in vivoのデータもなかったのでエームス試験を実施していただきました。これも先ほどの物質と同じように5,000 μg/プレートの用量までやってシンプルにどの株でも出ないという結果で、生育阻害や沈殿もなくてきれいに陰性の結果でしたので、エームス試験は陰性ということで、これはin vivoのデータはないのですが遺伝毒性なしということでいいかと思います。以上です。

○清水座長 ありがとうございます。何か御意見、御質問ございますか。

○若林委員 アミノクレゾールということですよね。

○山田委員 そうですね、陽性結果はS9がマイナスのときのみで、プラスのときは陽性になっていないのです。

○若林委員 どういう格好でDNAにつくのだろうと思って。

○山田委員 それはちょっとすみません、分かりません。

○若林委員 ダイレクトミュタジェンですね。

○山田委員 という結果になっていまして、構造活性相関はマイナスなのですが。

○若林委員 ちょっとイメージできないので。

○山田委員 マウスリンフォーマもマイナスS9で陽性という結果になっています。これはプラスS9では実施していないのですが。

○若林委員 これはいずれにしてもマイナスS9ですね、これは。

○山田委員 そうです。

○若林委員 強、10の3乗ですから強いやつですね。

○山田委員 強いのです。

○清水座長 ほかにはございますか。よろしいですか。ありがとうございました。あと最後は私の分担のところです。通し番号で10番、アシッドレッド-33です。変異原性試験は菌株としては全て行われておりましたがネガティブ。これは文献調査でもin vivoの小核試験が行われておりますがネガティブということで、これは今回の試験結果でもネガティブですので、遺伝毒性なしということで1としたいと思います。

 その下の11番、二酸化セレンです。これは今回の試験では10の3乗という非常に強い変異原性を示しております。過去の報告では菌株が十分でないというようなこと、それから強弱が不明であったということで上がってきたわけです。10の3乗ということで今回の試験は強い変異原性ありということで3と判定したいと思います。

 通し番号23番、Heptanoyl chlorideです。これは菌株としてはTA100TA98TA1537E-coliで過去の文献ではネガティブということでした。構造活性相関はあるということですが、今回の試験では陰性ということですので、これは遺伝毒性なしの1としたいと思います。何か御意見ございますでしょうか。よろしいですか。それでは一応、今の御報告を基にして事務局からまとめて確認をしていただきたいと思います。

○平川化学物質評価室長補佐 それでは、通し番号順に、総合評価を1~5の数字で申し上げますので御確認をお願いします。通し番号1番が1、通し番号2番が1、通し番号3番が1、通し番号4番が1、通し番号5番が3、通し番号6番が1、通し番号7番が1、通し番号8番が2、通し番号9番が3、通し番号10番が1、通し番号11番が3、通し番号12番が1、通し番号13番が2、通し番号14番が1、通し番号15番が1、通し番号16番が3、通し番号17番が3、通し番号18番が3、通し番号19番が2、通し番号20番が1、通し番号21番が1、通し番号22番が1、通し番号23番が1、通し番号24番が2、通し番号25番が1、通し番号26番が1、通し番号27番が1、通し番号28番が1、以上です。

○清水座長 ありがとうございます。今、事務局からまとめていただきましたけれども、以上の結果でよろしいでしょうか。特に御意見ございますか。

○西川委員 ちょっと確認したいのです。8番目の物質はエームス陰性ですが2とした理由は何でしたか。

○太田委員 それは、普通は、染色体異常はin vitroで陽性であっても、in vivoの証拠試験が陰性であればですね、染色体異常については問題なしと振ったので1回で入っているのですが、ここでのスキームがin vivoで陰性の場合に、あとin vitroの試験の感じでこうスキームがありまして、これに当てはめると2になってしまうのです。そこはちょっといつもしっくりいかないところなのですが。

○西川委員 スキーム上は2になるということですね。

○太田委員 はい。

○西川委員 分かりました。

○本間委員 今回のエームス試験のデータの信頼性は高いと思いますが、そこの染色体異常の試験の信頼性というのはどうなのでしょうか。

○太田委員 ただ、equivocalではありませんので、かなりはっきりシンテンステイタが出ていたので、マイナスS9で。

○本間委員 それは科学論文ですか。

○太田委員 いや、どこかにちょっと。

○本間委員 そうですか、分かりました。

○清水座長 文献調査。

○太田委員 文献というか報告書です、試験報告書。

○清水座長 はい。ほかに何かございますか。よろしいでしょうか。それでは、遺伝毒性がないとされたものにつきましては、次回検討するBhas42細胞を用いる形質転換試験の候補物質に追加することとします。強い遺伝毒性があるとされたものについては行政指導の対象物質として、また発がん性評価ワーキンググループで議論していただく予定の中期発がん性試験物質の選定候補として追加する方向で、事務局は対応をお願いします。以上です。ありがとうございました。

 それでは議題3に移りたいと思います。「微生物を用いる変異原性試験の具体的手法及び試験結果の評価方法について」の改正()について、事務局から説明をお願いします。

○上月有害性調査機関査察官 資料3-1を御覧ください。本日、微生物を用いる変異原性試験の具体的手法及び試験結果の評価方法について、大枠として2点の改正を御検討いただきたいと思っています。

 その1つは、2の「改正の概要」にある、(1)国際的に合意された有害性調査の基準を踏まえた改正として、OECDのテストガイドラインの規定を踏まえて、陽性対照の選択及び代謝活性化系を用いる場合の考慮事項を追加するというものです。

2点目は、(2)近年の技術進展及び知見集積を踏まえた改正として、以前から検討いただいているガスばく露法の追加等を内容とする試験基準について、その一部改正案の内容を修正いただくことについて、御検討をお願いしたいと思っています。

○清水座長 まず、1つ目の国際的な有害性調査の基準を踏まえた改正案の内容を事務局から御説明いただきたいと思います。

○上月有害性調査機関査察官 資料3-2を御覧ください。「陽性対照の選択及び代謝活性化系を用いる場合の留意事項」です。OECDのテストガイドライン471において、使用する細菌株の特性に基づいて、陽性対照参照物質を選択すること。また代謝活性化による測定では、2-アミノアントラセンを、S9-mixの有効性の唯一の指標として使用してはならないこと。また、S9-mixを必要とする陽性対照は、ミクロソーム酵素による代謝活性化を要求する変異原について、例えばベンゾピレンやジメチルベンズアントラセンを用いて評価するということが規定されております。

 安衛法の試験基準についても、このOECDのテストガイドラインの規定を反映してはどうかということです。

 改正案の内容が21つ目の○です。アンダーラインが既存の規定の中に追加する事項です。現在試験機関から提出される微生物を用いる変異原性試験結果報告書には、代謝活性化による測定に用いる陽性対照について、全菌株とも2-アミノアントラセンを用いているものがあります。これらをテスト菌株の特性に応じたものとして、TA100TA98については、ベンゾピレンを用いるということで、OECDのテストガイドラインに沿ったものにするといった一部修正をしたいということです。

○清水座長 ただいまの事務局からの説明について、何か御質問、御意見がございましたらお願いいたします。

○本間委員 恐らく科学的な合理性を考えた場合でも、2-アミノアントラセンだけを使ったとしても大きな問題はないのではないかと思います。実際に、これまで多くのラボではプラスS92-アミノアントラセンだけを使っているというのは、GLPでもかなり見かけられます。それについて、我々は特に指摘はしてきませんでした。

 ところが、中にはガイドラインを非常に忠実に守って、ベンゾピレンを使って、ガイドラインに沿った形で試験をしてくれるラボもまあまあは見掛けられます。

 したがって、その辺の不公平感をなくしたいというのもありますので、こういったものは私としては賛同しますが、皆さんはどうでしょうか。

○清水座長 いかがでしょうか。

○太田委員 何か問題があるのですか。

○本間委員 問題はないです。ガイドラインにそのように書いてあるので、書いてあるものを守っているところがあるということです。

○若林委員 2-アミノアントラセンとベンゾピレンで代謝系の違いがありますよね。

○本間委員 あります。そういう理由で、最初に2つの陽性対照を出したのだと思うのですが、現実的にはそんなに大きな影響はないと思います。しかし、ガイドラインに記載があるということで、それを遵守しているラボがあるということは確かな事実です。

○太田委員 やるに越したことはないけれども、「指標としてはならない」と書いてしまうと、すごく厳しいですよね。

○本間委員 厳しいというか、全てがやっていなければ厳しいかもしれませんが、2割か3割ぐらいのラボはやっているのです。

○太田委員 受け付けないということですよね。

○若林委員 ベンゾピレンとジメチルベンズアントラセンの両方をやらなければいけないのですか。

○本間委員 いや、要はこの表の形でやれば問題ないということです。これが全て2-アミノアントラセンになっているラボがかなり多いということです。

○山田委員 用量を変えて、全部同じでと。

○若林委員 2-アミノアントラセンとベンゾピレンとジメチルベンズアントラセンが書いてありますね。

○本間委員 それは文言としてはありますが、1と2の関係は、1に2-アミノアントラセンを使えば、2は2つのうちのどれかということでよろしいのでしょうかね。

○上月有害性調査機関査察官 1のほうは2-アミノアントラセンだけではだめというもので、2つ目のほうは、選択です。

○若林委員 ベンゾピレンとジメチルベンズアントラセンの選択をということですね。

○上月有害性調査機関査察官 実務的にはベンゾピレンだけ、TA100とかTA98に持ってくるということで。

○若林委員 ジメチルベンズアントラセンが必要なのですか。こう書いてあれば、やらなくてはいけないと律義に思う人はいますよね。

○本間委員 これはOECDのガイドラインからですかね。

○上月有害性調査機関査察官 そうです。

○本間委員 それを引用したということですから。

○若林委員 「や」は「又は」ということにしてはどうでしょうか。

○上月有害性調査機関査察官 そこの部分を修正させていただきます。

○清水座長 TA1535E-coli2-アミノアントラセンが非常にいいのですね。しかし、ほかのものに関しては2-アミノアントラセンは好ましくない。ベンゾピレンかジメチルベンゾアントラセンのどちらかを使えばいい。両方を使う必要はないと。

○山田委員 2の文章ですが、「被験物質がミクロソーム酵素による代謝活性化を要求するものである場合は」という判断はどこでするのでしょうか。ガイドラインについて上に示しているところの文章は間違っていないのですか。改正案の中での、引用の仕方がおかしいのではないかと思うのです。上述の改正案は、ベンゾピレンやジメチルベンズアントラセンというのは、ミクロソーム酵素による代謝活性化を要求する変異原として書かれているのはおかしくないですか。下の記載の「被験物質がこういう代謝活性化を要求するものであるかどうか」というのは、それが分からないから試験をするのですから、この書き方は違うのではないでしょうか。

 実際に、具体的にここで書きたいことは、2-アミノアントラセン以外にもう1つ使うのはこういうものですということだけだと思うので、この2の書き方は、意図することと違う内容ではないかと思います。

○穴井化学物質評価室長 そうすると、2は2-アミノアントラセンに加えるものは、ベンゾピレン又はメチルベンズアントラセンと書けばいいということですね。

○山田委員 そうです。そういう書き方です。この書き方だとおかしいのではないかと思います。

○清水座長 これは陽性対照のところですからね。

○山田委員 そうです。だから、「被験物質」という言葉が出てくることもおかしいです。

○清水座長 陽性対照物質として、ミクロソーム活性を要求するものはこうこうだということですね。

○山田委員 そうです。そのような。

○清水座長 「被験物質」というと、ちょっと。

○上月有害性調査機関査察官 2-アミノアントラセンに加えるものとしては、ベンゾピレン又はメチルベンズアントラセンを用いることに修正します。

○山田委員 そのような感じだと思います。

○清水座長 この辺の修文は、後で事務局と相談させていただきます。ほかに御意見はございますか。そうしましたら、議題3の中で、国際的な有害性調査の基準を踏まえた改正については、陽性対照の選択及び代謝活性化系を用いる場合の考慮事項を追加するということを、当ワーキンググループにおいて同意するということで、よろしいでしょうか。

(異議なし)

○清水座長 それでは、2つ目の「近年の技術進展及び知見集積を踏まえた改正案の内容」について、事務局から説明をお願いいたします。

○上月有害性調査機関査察官 資料3-3を御覧ください。以前から御検討いただいてきているガスばく露法の追加等を内容とする試験基準の改正案についてです。これについては、過去に、公表時に意見がありました。その意見を踏まえて、大枠としては3点の修正を御検討願いたいというものです。

1つは、ガスばく露法を選択する揮発性の液体については、試験機関において改良プレインキュベーション法、改良プレート法での実施の工夫もあることを踏まえて、「試験管又はプレートからの散出のおそれのある揮発性の液体」であることを明記してはどうかという点です。

2つ目は、溶媒の選択については、有機溶媒については溶解又は懸濁の別が重要であることから、「溶解を優先」するということを明記してはどうかというものです。

3つ目は、用量設定試験のプレート数について、平成263月に厚生労働省化学物質対策課長名で、Q&Aを示している内容と同じく、「2回の本試験を行い、再現性を確認する場合は、1枚のプレートを用いることで差し支えない」ということを明記してはどうかというものです。

 次に、資料3-4ということで新旧表が付いております。ガスばく露法による試験の手法を加えるということで、単線のアンダーラインが引かれている部分は、以前からの検討によって各委員から御意見を頂いているものです。今回御検討いただくというのは、二重下線をしている箇所について、御検討いただければというものです。ガスばく露法の揮発性自体の関係の部分というのが、新旧表の資料の4ページの部分です。左側です。従前は揮発性の液体については、全てガスばく露法で実施するということを御検討いただいていたのですが、それでは工夫をしている試験機関との兼ね合いがあることから、試験物質は気体であるときと、試験管又はプレートから散出のおそれのある揮発性の液体についてガスばく露法を使うと。そういうことにしております。

 最後の1点は、プレート数の関係で、5ページの二重下線の部分です。7ページの陽性対照のところは、先程御検討いただきまして、書き方の修正も御指摘を頂いた部分です。以上です。

○清水座長 ただいまの事務局からの説明について、何か御質問、御意見がございましたらお願いいたします。ところで、5ページの(3)のプレート数のところですが、ここの文章と最初の資料3-33つ目の○が、若干違っていて、これは再現性の確認試験ですね。

○上月有害性調査機関査察官 ここは確認試験の規定の部分です。

○清水座長 本文のほうは、「用量設定試験」と記載されていますが。「再現性を確認する場合は、1枚のプレートを用いることで差し支えない」と、5ページの「用量設定試験は1枚のプレートとして差し支えない」と、これは同じ意味ですか。

○上月有害性調査機関査察官 プレート数の関係については、7ページに確認試験の部分があります。今回御議論いただくのは、5ページのほうのプレート数の関係です。

○清水座長 よろしいでしょうか。

○本間委員 結果が出て、リバータントを求める段階になったときに、よく議論されるのは、比活性を求めるのは本試験で求めるべきか、それとも用量設定試験で求めるべきか、確認試験で求めるべきかと議論があったことがあるのですが、ここの部会では、全てにおいて一番高いものを選ぶという原則だったと思うのですが、それに関しては守るということでよろしいですか。プレート数が変わったとしても。

○清水座長 特に異存はなかったと思います。ほかにはよろしいでしょうか。特にございませんでしたら、議題3のうちで「近年の技術進展及び知見集積を踏まえた改正」、そしてこれまで検討いただいた「ガスばく露法の追加等を内容とする試験基準の一部改正()」については、事務局からの説明のとおりに修正した上、これにより改正することを、このワーキンググループで同意するということでよろしいでしょうか。

(異議なし)

○清水座長 ありがとうございます。

 次に、議題4「平成29年度非遺伝毒性発がんスクリーニング試験対象物質の選定方針について」です。事務局から説明をお願いいたします。

○平川化学物質評価室長補佐 資料4-1「平成29年度非遺伝毒性発がんスクリーニング試験対象物質の選定方針」についてです。この表現ですが、先ほど資料1で説明のあった、Bhas42細胞を用いる形質転換試験を行うということで、平成25年度の第4回遺伝毒性ワーキンググループで決まっておりますので、その候補物質の選定に関する内容ということになります。

Bhas42細胞を用いる形質転換試験の対象物質は、先ほど16物質の評価ということでいただきましたが、平成29年度においても16物質の評価を行いたいと考えています。

 物質の選定は、遺伝毒性なしと判断されている物質の中から、試験物質を選定していきます。あと、構造活性相関でもマイナスというのも、これとほぼ同じ扱いということで考えています。

 したがって、候補となる対象物質ですが、本日配布しているA3版の資料4-2-1を御覧ください。平成27年度の第1回ワーキングで候補対象となっている物質から、平成27年度以降に形質転換試験が行われた物質について網掛けをしているものが1つです。もう1つは、資料4-13にある「アルカン酸のように、化審法で同じグループに属する化学物質は、まず炭素数の小さいものについて試験を行い、その結果が「陰性」であれば、炭素数の大きいものについては試験を省略する」という考え方が示されていますので、その考え方に基づいて網掛けをしています。したがって、網掛けをされていないものが、平成29年度の形質転換試験の対象になるものと考えていただければと存じます。

 今回、先ほど若林委員からも話がありましたように、アルカン酸に関し、分子量が小さい方が陰性で、分子量の大きい方が陽性という結果になっているというのが、今回はありました。アルカン酸は非常にたくさんの種類があるので、C9C10というクラスについては多い部類に入るので網掛けさせていただいていますが、それより小さいものについては対象ということで、網掛けを抜いています。そのような形で整理したところ、試験ができそうなものが、資料4-2-1の中でも、今のところ16物質はあるのではないかと考えております。

 あと、A4版の資料4-2-2に、構造活性相関の結果から全てマイナスと出ているものについて、製造量10万トン以上の物質をピックアップし、今年度全てマイナスの中から一部選んだところ、資料4-2-216Isovaleric acid9については、今回は陽性の結果に出ていることもありますので、資料4-1と資料4-2の中から、来年度の対象物質として選んでいく方向で進めていきたいと考えているところです。以上、今後の方針ということでの説明です。よろしくお願いいたします。

○清水座長 御意見、御質問がありましたらお願いいたします。

○若林委員 グルコン酸のカルシウム塩が陽性だったのですが、このリストの中にグルコン酸のカルシウムのところが、ナトリウム塩なども全部載っています。今後、グルコン酸を更に進める場合には、対象物質として、ナトリウムですとかマグネシウム塩がありますので、そういうものを並行してアッセイをするといい情報が得られるのではないかという気がするのですが、もし可能であれば。ただ、費用の点ですとか、いろいろあるでしょうから。あと、実際に対象とする物質がほとんど出回っていないということもあるかもしれません。化学的には非常に興味があります。

○平川化学物質評価室長補佐 はい。金属塩の集合体で1つのセルとなっているようなものも、例えば資料4-2-12枚目のS-1665のように、集合体として入っているようなものもありますので、これについて1つずつ分けていくかどうかといったところも、今後検討させていただきたいとは考えています。

○清水座長 ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。

 それでは、ただいまの意見も踏まえて、事務局のほうで被験物質の溶解性などを精査して、資料4-2-1と資料4-2-2の物質を候補として進めるようにお願いいたします。

○平川化学物質評価室長補佐 はい。

○清水座長 次に、議題5「平成29年度エームス試験対象物質の選定について」です。事務局から説明をお願いいたします。

○平川化学物質評価室長補佐 来年度の変異原性試験候補物質で、資料5を御覧ください。この変異原性試験の実施については、文献調査でエームス試験のない物質、若しくは遺伝毒性ありだが強弱の判断不能、遺伝毒性の有無の判断が困難とされている物質について、これまで変異原性試験を実施してきました。あと文献調査の後の構造活性相関で「+」のあるようなものについても、変異原性試験の候補ということでやらせていただいていました。

 今回、こちらの5つの物質を選定理由ということで、まずこれらを対象にしたいということと、文献調査で候補となっていた物質についても、試薬が購入できないその他の理由で行われていないもの等がありますので、そういったものを精査した上で、今後候補として実施していきたいと考えているところです。したがって、これまで例年30物質程度をしていたと思いますが、候補については若干少なくなる可能性があると考えています。

○清水座長 御質問、御意見がありましたらお願いいたします。よろしいですか。特に御意見がないようですので、事務局では、被験物質の溶解性などを精査した上で、資料5の物質を候補として、これまでエームス試験を実施していなかったものについても、できるものから順次実施の方向で検討を進めるようにお願いいたします。

 次は議題6「その他」です。事務局から何かございますか。

○平川化学物質評価室長補佐 本日の審議を踏まえ、今後の試験の実施等を行ってまいります。

 次回は、議題等がまとまりましたら、改めて日程調整をさせていただければと思います。

○清水座長 全体で何か御質問、御意見はございますか。よろしいでしょうか。

 以上をもちまして、本日のワーキンググループを終了いたします。ありがとうございました。


(了)

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