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2017年10月2日 第3回「勤務間インターバル制度普及促進のための有識者検討会」議事録

○日時

平成29年10月2日(月)16:30~18:00


○場所

厚生労働省専用第22会議室


○議題

労働組合の取組について
意見交換

○議事

○花咲企画官 定刻となりましたので、ただいまより第3回「勤務間インターバル制度普及促進のための有識者検討会」を開催させていただきます。委員の皆様方におかれましては、御多忙のところお集まりいただき、誠にありがとうございます。本検討会の進行につきまして、座長にお任せするまでの間、事務局にて議事進行を務めさせていただきます。

 本日は、勤務間インターバル制度を導入していらっしゃる労働組合による取組の事例発表を予定しております。御紹介いたします。まず、ジョイフル労働組合から執行委員長の林芳久様、日立オートモティブシステムズ労働組合から中央書記長の新井淳様、そしてキリンビール労働組合から中央執行委員の横沼徹様の、お三方にお越しいただいております。

 なお、山本委員及び志手委員におかれましては、所用により本日は御欠席と承っております。

 続きまして、お配りしました資料の御確認をお願いいたします。本日の資料ですが、議事次第、座席表のほかは、資料13として、労働組合の皆様方からの御発表資料3種類を配布しております。もし不足等ありましたら、お申し付けください。よろしいでしょうか。それでは、これ以降の進行は今野座長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○今野座長 よろしくお願いします。今、お話がありましたように、今日は労働組合の方から事例発表をしていただきたいと思います。進め方ですが、ジョイフル労働組合が一番最初で、その次は日立オートモティブシステムズ労働組合、最後にキリンビール労働組合、そういう順番で進めたいと思います。

 多分、事務局からは、各組合の方には10分程度で話してくださいと言われていらっしゃると思いますが、事前に資料を見せていただいたのですが、10分では無理ですので、15分ぐらいでも結構です。余り速く話されても、こちらが分かりませんので、お任せいたします。10分は軽く受け止めていただいて、それよりも内容が分かるようにお話しいただきたいと思います。

 進め方は、各労働組合の方から事例発表していただき、若干の時間で質疑応答をさせていただき、最後にもう一度まとめて議論をして、今回の事例のことと、あとはそれを踏まえて、もう少し広く議論をしたいと思っております。

 前回の検討会で、EUの実態がどうなっているのかということを、事務局に調べてくるようにという宿題がありましたが、今、鋭意努力していただいておりまして、もう少し時間を頂ければと思います。したがって、結果については次回以降に説明するという進め方にさせていただければと思います。それでは、まずジョイフル労働組合の林さんからお願いいたします。

○林氏(ジョイフル労働組合) ジョイフル労働組合の執行委員長を務めております、林芳久と申します。どうぞよろしくお願いいたします。早速、入らせていただきたいと思います。まず、弊社、ジョイフル労働組合で、この導入に至ることになった状況としましては、2014年の2014労働条件闘争という中で、我々のUAゼンセンに集う外食産業の労組で構成するフードサービス部会というものがありますが、そちらの部会の統一取組として、勤務間インターバル規制の導入ということで取組を始めました。

 まずは、勤務間インターバルをやることについて、2014年には、28組合で取組をやりまして、9組合が合意に至ったという結果になりました。我々もそれに沿った形で「勤務終了時から翌勤務時間までは、11時間以上の休息時間を付与するよう努力する」とする要求を出しています。これは確実にやるというよりも、まずその制度の考え方であったり、インターバル制度についての周知という意味での内容であって、がちがちにきちっとそれを守っていくというような形の内容ではありませんでした。

 翌年に、インターバルを進めるために、どうしたらインターバルをきちんと把握できて、その勤務時間を把握できて、きちんと制度として成り立つかということで、労使で話合いを始めさせていただきました。その中で「実績把握のシステム化に関して労使協議のうえ、前向きに取り組みます」という文言を入れていただいて、一歩前進という形を作りました。

 その後、2016年に至っては、今、弊社で使用している「ジョイフルロジスティックシステム」という、自動発注・シフト作成支援というシステムがあるのですが、それを利用して、全従業員のシフトがそこに集まりますので、シフトを作成した時点での予定で勤務間インターバルの11時間が取れていない従業員に対しては、本社のほうからアラートが、各子会社の社長、エリアマネージャー、店長という形で伝わりますので、そこの従業員に対して、シフト変更を行っていくと。ただし、急な欠勤であるとか、どうしても人不足で代わりがいないというところに関しては、あくまで努力義務ということで、規定にも載せていませんので、そのときは仕方ないというのが現状です。

 今年の3月、弊社の代表と、この勤務間インターバルについての意見交換をする機会がありました。そこの時点で組合の考え方としては、まず8時間を社内規定に載せていただいて、8時間は必ず守ると。その後の3時間については、福利厚生の面からいって、努力義務としましょうと。ただし、8時間が守れない場合は、罰則を設けて、強い強制力を発生させたいという話をさせていただきました。

 それを受けて、会社側の経営トップからは、勤務間インターバルは全従業員に対して11時間を空けるのだという表明がありました。これはもう、店を閉めてでもやるのだという強い意見表明が出ましたので、これを受けて、今、会社側と組合で、どのような形でそれを実現させるのかと、実際に店を閉める条件なり、急な欠員のときにはどうしたらいいのかと、何でもかんでも店を閉めていくと、やはり売上げ等もありますので、会社が潰れるようなことがあれば、組合としてもそれは困ると。

 ですから、安易にただ閉めればいい、空けなければ閉めればいいということができないように、今、労使で話し合っています。どうしても店舗ごとで見ていくと、1店舗ごとでシフトを組んでいくので、急な欠員等が発生すると、その店で対応しなければいけないという部分が発生します。これだと、人がその店に20人しかいなければ、その20人の中でやり繰りしなければいけないので、どうしてもその勤務間インターバルを守ることができない状況になりますので、これを、そこのエリア、地域、全社で従業員の勤務条件であったり、そういったものを全て一つまとめにして、自動シフト作成システムというものを、今、作ろうとしています。

 ただし、これに関しては3年ぐらい時間が掛かるというような状況にあります。この自動作成システムが完成すれば、もし急な欠員が出ても、ボタン1つ押せば、何々店に代わりに出られる方がいますというものが出るような流れでやっていくように、今、進んでおります。ただし、現状はそういったものがありません。3年間も、この勤務間インターバル11時間を放ったらかしにするわけにはいかないので、そういったものがない中で、できることはないかということで今調整をしています。現状は、人がいない場合に関しては、他店舗からのヘルプ、また子会社内での社員の移動、社員の応援というものをやっていますが、それでも間に合わない場合は、本社から人員を派遣して、そこを開けていくと。それは勤務間インターバル、また労務管理を含めて、36協定を守るためとか、法定基準を取るためという形で、そこの支援はできるようにはなっていますが、急な欠員等には一切まだ対応できていません。

 その後、現状では弊社で言うと、あくまで努力義務ということで、それを違反したことに関しては、一切おとがめがない状態ではあります。シフトの作成時点で、予定でなるべくそこの部分は消すようにはしていますが、急な欠員に対しては、やはり対応ができないというところが、今の一番の問題、厳しい状況になっていると考えております。

 基本的には、勤務間インターバルは、我々組合員からしてみればすごくいい制度のはずなのです。しかし、組合員自体に話を聞くと、やはり人不足が背景にあるのですが、これを入れられると自分たちが大変になると。今でも人がいなくて、店長が体を張っている部分がある。そこの部分でまた11時間空けるとなると、とてもじゃないけどやり切れないと。

 ですから、本来であれば我々働く側のためにあるような制度であるにもかかわらず、実際に働いている現場の人間にとっては、それが負担になっている部分があります。ここを組合としても教育、また、きちっとしていかないと、何のためにしているのかという形になると思います。

 やはり会社側と話をしている中で出てくるのが、あくまでこのインターバルというものは、今は努力義務で法律ではないと。であれば、まずは長時間であったり、12時間以上の部分を減らすとか、法定基準をきちっと取らせるとか、そういった法律で規定されていることにまず取り組むのが先だと。実際に今それに取り組んでやっているのですが、勤務間インターバルに関して言えば、やはりまだ努力義務というところもあって、経営陣の中には、そこまでする必要があるのか、社内規定に載せて罰則を設けるまでする必要があるのかという声はあります。

 ですので、このインターバル、働き方改革も含めてですが、やはり我々働く側も、考え方を変えていかないことには、到底なかなか根付いたものにならないのかなと考えております。ただの改善ではなく、本当に法律までにしていただいて、働いている側の考え方自体も変えていかないことには、どうにもいかないのではないかと、すごく実感として感じているところです。

 ですので、基本的には、このインターバルのメリットとしては、これをやっている会社というのをアピールできれば、求人などに関してすごくプラスになる材料でありますし、当然、働いている人間にとっては、長く安心して働き続けられる会社になっていきますので、是非、組合としても進めていきたいと思っております。

 弊社の場合は、トップの表明を受け、周りがせざるを得ない状況になっています。会社が本気で動き始めました。そういった意味で、企業のトップの方がやるのだという強い意思を持っていただけるのが一番だと思います。それと併せて、我々、外食産業の生産性の向上についても、考えていかなければいけない問題なのかなと思っております。

 特に我々ジョイフルの場合は、ファミリーレストランをやっていますが、24時間営業が7割ぐらいあります。この24時間営業で勤務間インターバルを空けていくというのは、やはり相当厳しい現状もありますので、営業時間も含めて、会社側にお願いしていかなければいけない部分が出てくると考えております。

 弊社にとっては勤務間インターバルは努力義務であって、罰則も何もまだ設けていなくて、これからになりますので、まだまだ形だけのところはありますが、考え方として、また外食産業全体として、この勤務間インターバルというものはやれることなのだという感触をつかんでおりますので、是非、皆様方にはしっかり議論していただいて、法律としてできるようにお願いしたいと考えております。以上です。

○今野座長 ありがとうございました。後で皆さんから質問していただきますが、補足の事実確認ですけれども、先ほどおっしゃられたように、ジョイフルというのはファミレスの会社なのですか。

○林氏 そうです。ファミリーレストランですね。九州発祥です。

○今野座長 そうですか。従業員は何人ぐらいいらっしゃいますか。

○林氏 パート、アルバイトも含めて、今、19,000名ぐらいが働いております。社員がそのうち1,500名ぐらいという形で、ほぼパート、アルバイトという短時間の人たちの働き方という形になります。

○今野座長 そうすると、店舗数も多いですよね。

○林氏 店舗数が今、直営で750店舗です。

○今野座長 そうすると、そちらに行けば、あちこちにジョイフルがいっぱいあるということですね。

○林氏 そうですね、東京都内はちょっとなかなか、赤坂に1店舗と端っこの青梅とかあの辺に3店舗ぐらいありますが、関東は今からですね。埼玉とか千葉とかいうところに、少しずつ出してきているという形です。基本は九州なので、九州では圧倒的な店数だと思っております。

○今野座長 ありがとうございました。それでは皆さん、何か御質問がありましたら、どうぞ。

○小曽根委員 お話ありがとうございました。幾つか基本的なところで教えていただきたいのですけれども、3点ほどあります。まず1点目が、11時間以上のインターバル時間をお考えだと伺いましたが、そもそもこの制度導入前、シフトはどれぐらいの空き時間を入れて組んでいらしたのかという点です。それに併せてパート、アルバイトの場合ですと、御自身の希望の時間帯が優先されることも少なくないと思います。前の日の夜に働いて、次の日の朝にまた働きたいという方には、どのように対応していらっしゃるのでしょうか。

2点目につきましては、2ページ目のところで、11時間を守るために店舗を臨時休業にしてもよいといったようなお話を頂きました。一方で、お客様がいきなりお休みだとびっくりされるのではないでしょうか。顧客対応という意味で、この臨時休業について、どういったお考えで、それでも休業しようとなったのかということを教えていただきたいというのが2点目になります。

3点目が、最後のデメリット等の御紹介のところで、働く側の意識も変えないと、この制度はなかなか根付かないのではないかといったようなことをおっしゃっていただきました。これについて、今の時点で、もちろん規定化されていないということではありますが、働いている方に対して、勤務間インターバルのメリットなり何なりの働き掛けをどのようにされていらっしゃるのでしょうか。この3点を教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。

○林氏 まず、社員で考えると、12時から21時までの9時間拘束の8時間労働、若しくは15時から24時の9時間拘束の8時間労働というのが、もともと基本的なスタイルです。ただ、人がいなければ9時から働いて22時までとか、人に応じて自分がその穴を埋めていくというのが社員の働き方になっておりました。

 ですから、パート、アルバイトの方に関しては、おっしゃられたように希望がありますので、夜しか働けないとか、夜と朝に働きたい、またランチタイムに働いて、また夕方も働きたいというような方がいらっしゃいます。パート、アルバイトに関して言えば、ここも11時間をきちっと空けると、それを条件にするという形で、今、動いております。

 本人の希望は当然あるのですが、それでも同じ働く仲間なので、働く者同士、そこは11時間きちんと空けるのだという考え方で取り組んでおります。当然、パート、アルバイトの方に関して言えば、時間数で働いていますので、働けなくなると賃金に直結します。そういった部分もありますが、そこは理解をしていただかないと、勤務間インターバルというものは、弊社で根付かないのかなと考えております。

2つ目の臨時休業ですが、これはまだ、そこまでやるという強い意思を表明していただいただけであって、具体的にどのような形で閉めるのかというのは、まだ会社と協議をしている途中です。おっしゃられるように、いきなり閉められたら、お客様はどうなるのかというのはあります。基本的に弊社の場合、近隣に店舗がありますので、そちらのほうに看板を出して誘導するという形を取る以外はないです。

 おっしゃられたように、我々も会社の営業側も危惧しているのは、やはりそういったことが頻発すると、お客様の信用をなくしてしまう。また、働く者の勝手な理由で店を閉めざるを得ないというような状況が発生したときに、どのような対応をするのかということは、今、話合いを進めている最中です。

3つ目の働く側への働き掛けということで、今、毎月発行の壁新聞と、3か月に1回の機関紙の中で、勤務間インターバル、また職場員集会という形で店長たちを集めた集会の中で、労務管理も含めて、この勤務間インターバルは誰のためにやるのかということも含めて、話を続けております。ここができないことには、当然、上部団体からの意向もあって、それをみんなでやるのだと言ったとしても、組合員がそれをノーと言えば、我々はそれを要求することができなくなりますので、そこの意思統一は、今、やり続けている最中です。

○小曽根委員 ありがとうございます。

○今野座長 今の点に関連して、働く側の意識を変えなければいけないというのは、具体的にどういうことですか。仕事があると働いてしまうという、そういう意識でしょうか。

○林氏 労務管理は、今すごく厳しくうちの会社もやっていますが、どうしても人がいないとなると、今は店を閉めることができないので、自分で働かざるを得ないのですね。そうなると、無理をしてやっている、ある意味ごまかしてサービス残業をやっているみたいな、賃金不払いが発生している、そこまでしてでもやらなければいけないというのが、店長たちの中に一部まだあります。

 勤務間インターバルを入れることによって、それを助長するのではないかという恐れというのは、現場で働いている人間にはあります。きちんと今、賃金不払い残業についても取組を行っています。以前と比べて大きく改善しておりますが、それでもやはりゼロにはまだなっていないのが現状です。その人不足の中で、この勤務間インターバルを入れるというのは、逆に自分たちをいじめるのではないのかというような意見が、まだ根強くあるというのが現実です。以上です。

○今野座長 ほかにいかがでしょうか。

○影田委員 また関連して質問なのですが、組合員の範囲といいますか、パート、アルバイトの方々は構成の範囲に入っていらっしゃるのですか。

○林氏 全て組合員です。課長職以下の者は全て。

○影田委員 パート、アルバイトの方も。

○林氏 はい、ユニオンショップで結んでいて、全員、組合員です。

○影田委員 ありがとうございます。

○小林委員 努力義務として導入をされてからですけれども、業績としてはどのような形で影響があると考えられますか。

○林氏 今のところ業績にどう影響したかというのは見えていません。基本的に超えたとしても罰則がない状況なので、基本的には同じ流れでずっと進んでいるわけなのですよね。取りあえず勤務間インターバルはすごく意識されるようになりましたが、超えたからといって、それによって何か罰があるわけではないので、注意はされますが、叱責されるぐらいで終わるというのが現実なので、それが即座に業績に影響したということは、今のところは見えていません。

○小林委員 働き方も、そこまで変化したという感じではないということですか。

○林氏 そうですね、シフト自体は、やはりそこの11時間を空けなければいけないという部分で、全ての毎日のシフトを全部チェックされますので、その辺は意識は高くなっていますけれども、どうしてもできないという場合は、あくまで罰則はないので、そこまで強くできない状況です。

○今野座長 ほかにどうですか。

○輪島委員 本日はありがとうございました。1点目の確認は、正社員1,500人の方ということではなくて、19,000人全体の方が対象でやっているということですか。2点目の、関心は3年後のシステムですが、それでかなり店舗が、20人のオペレーションの所にシステムが入って、誰が張り付いているのかが一瞬で分かって、そこに応援を入れる仕組みができると、かなりワークしていくようなイメージなのでしょうか。

 それから3点目は、そのシステムの中で言うと、誰が応援に行けるのかが分かってくるということですよね。そうすると、九州の濃密なエリアであればいいと思うのですが、今、都心では赤坂と青梅とおっしゃっていたので、そこが常に何人かを借りていると、常に現場のオペレーションに人的なものを、結局割かなければいけないとか、結構御苦労なのかなという気もするのですが、その辺の長いオペレーションをどのようにお考えなのかなということをお聞きしたいと思います。

○林氏 そのシステム自体は、恐らく今現在、この世に存在していないというのが一つあります。なので、そこにお金と時間を掛けて作るという形で今は進んでおりますが、それがどこまで形になるのかというのは、ちょっとまだ見えていません。今月10月から自動で作成するシフトの支援システムというものが、一応、実験段階に入って始めようとしていますが、話を聞くと、それと今度作ろうとしている部分はまだリンクしていないという話なので、それがどこまで進むのかというのは、我々は専門外なので、ちょっとよく分からないのですが、ただ、そこに掛けるお金と人と時間はちゃんと用意するという約束を頂いているので、それができてしまえば、言われたように、近隣に店がある所については恐らく全然問題はなくなってくるのかなと。

 あと、周りに店舗がない状況のお店に関しては、もともと我々の店舗は、大体は社員が店長1人で、1店舗で平均すると2人いないのです。1.5人とかという状況でやっていますので、副店長、一般社員という者を、もしそこに人がいなければ配置していくと。当然、利益面でいうと、社員を多く配置するとその分が下がっていくのですが、労務管理を守るためには、周りに店舗がない店には、そういった形で対応していかなければいけないのかなと考えております。そういう感じですかね。

○今野座長 それで3点、大丈夫ですよ。ほかにどうでしょうか。やはりお話を聞いていると、特に問題なのは店長ですね。

○林氏 それは感じます。本当に我々も組合員として恥ずかしいのですが、現場の店長は自分の店を守るというのがありますので、やはりそこで体を張ってしまう者がいます。今、特徴として面白いのは、やはり入社して3年ぐらいの社員というのは、そういったサービス残業とかに関しては、一切しなくなってきているのです。取組を始めているので、そのような社風に変わってきています。

 ただ、10年、15年の昔を知っている店長たちというのは、やはり体を張ってしまう。逆に3年、4年で店長になり立ての人たちも、自分の仕事が回せなくてサービス残業を発生させてしまっている。仕事が終わらなくて、その分を引いてしまうと評価に関わるという、そこは評価されないのですが、そういった恐怖というかトラウマというものがありまして、サービス残業をやってしまう。そういう人たちがなかなかこういうインターバルというものを理解してくれないというのが現実としてあります。

○今野座長 ほかにいかがでしょうか。組合の方たちはありませんか。いいですか。今、おっしゃられたように、店長は仕事をやらなければいけないですものね。店舗を閉められないですものね。

○林氏 そうですね、店舗は閉められないですね。

○今野座長 何かあったときにね。そうするとやはり、支援システムをどう作るかというのは、決定的に重要ですよね。先ほどシステムの話がありましたが、それを含めて支援システムをどうやって作るかを整備しないと。

○林氏 そうですね。支援システムはすごく大事だと思いますし、店長はやはり自分の評価というものをすごく気にしているのですね。当然、賃金にも跳ね返ってきますし、上位役職を取っていくといったときに、やはりそういったところができていないとなると、評価が下がるのではないかということがありますので、やはり会社側からも、そういうことに関しては評価の対象外ですよと、逆に嘘をついているほうが評価を下げるのですよと、今、言っていただいているのですが、やはりそれを信用し切れていないというところがあったりするので、そこの部分を改善できれば、正直にきちっとやれるようになるのかなと考えております。

○今野座長 おっしゃられたシフトを組むシステムについてですが、主婦などが働くようになり短時間を組み合わせなければいけないようなことは外食とか小売り等のいろいろな所で起きているの、でどこかが標準的なシステムを作れば3年もかけずに簡単にできないのですか。

○林氏 それは恐らくどこかすれば、ただ、外食は外食で特殊な内容があるのであれですが、うちの経営陣が考えているのは、それを作り切れれば、それを売れると。

○今野座長 売れると、なるほど。

○林氏 制度自体を。

○島田委員 今の補足でお聞きしたかったのは、独自開発でやられているのですか。何かパッケージソフトがあって、それを応用していこうというのか、完全にジョイフルさんで独自開発されているのですか。

○林氏 今は独自開発でやっていると思います。

○今野座長 ということは市場にいいシステムのパッケージがないということですね。あるのではないですか。いや、分かりませんが。

○林氏 どこかあれば教えていただければ、会社に伝えます。早くできれば、それに越したことはないので。

○今野座長 でも普通に考えると、例えばジョイフルさんみたいな大手の外食はみんな困っているはずですよね。

○林氏 そうだと思います。

○今野座長 ですから、大手の外食は何かシステムを入れているはずですよね。みんなできていないということなのですかね。

○林氏 よその会社なのであれですが、労組の中で意見交換する中では、やはり労務管理についても、うちの会社が一番きちんと正直にやっているのかなというのは感じます。特に我々のように24時間営業でやっている店で困るのは、日にち跨ぎですよね。ちょっと話がずれますが、24時から1時まで働きました、1時間しか働いていないけれども、その日は1日出勤したことになるのです。その後、2日間空いたとしても1時間のために出勤になるので、そういったところを、また労務管理として法定基準を守るためということになると、どこの会社もすごく苦労されていると思います。

○柴田委員 今日はありがとうございます。今、経営陣の方は24時間のあり方について、何かコメントはなされているかを教えてもらいたいということと、ほかの同系列のファミリーレストランで24時間をやめたみたいなことも、ちょっと聞いたことがあるのですが、その点、どういうことか教えてほしいのですが。

○林氏 今、24時間営業に関しては、経営陣のほうからも、これをずっとやる必要はないと、やるつもりもないということで話が出ています。今、取り組んでいるのは、当然、売上げが低い、赤字の店舗に関しては時短にするのと、あとは、人を採用できないので店長が入らざるを得ない状況になっている店についても、時短をする、若しくは閉店するという形で、今、話が進んでおります。

 実際に毎年、24時間をやめていく店舗というのは、年間30店舗ぐらい出ていますので、基本的には1015年掛けたら、全ての店が時短になってしまうという形だと思っています。ですから、24時間にはこだわっておりません。

○今野座長 大分もう時間を頂いたので、また後から質問があるかもしれませんが、ありがとうございました。それでは、その次は日立オートモティブシステムズ労働組合の新井さん、お願いいたします。

○新井氏(日立オートモティブシステムズ労働組合) 日立オートモティブシステムズ労働組合で中央書記長を務めております新井です。本日はよろしくお願いいたします。それでは、私の方から日立オートモティブシステムズ労使間で現在検討を行っている「勤務間インターバル休息時間制度」について御紹介させていただきます。なお、弊社、労使間における勤務間インターバルの論議については、現在進行形であり、まだ正式導入はされておりません。来年4月からの正式導入を目指して、今、試行期間を開始し、検証を行っている最中ですので、御承知おきいただければと思っております。

 本日は導入に向けた、これまでの労使の論議内容と、労働組合として考え得る課題について紹介をさせていただくとともに、本日、お越しいただいている皆様から、本制度の正式導入に当たって、御助言等を頂ければと思っておりますので、よろしくお願いします。では、説明に入ります。資料にのっとって説明させていただきます。

 本日の内容についてですが、まず、「会社の概要」、2項目目は「導入にいたる経緯」、3項目目は「勤務間インターバル休息時間制度」の概要、そして、「正式導入に向けて」といった形で説明させていただきます。

 まず、3ページ目の会社の概要について、若干触れさせていただきます。我々、日立オートモティブシステムズ株式会社については、自動車部分品及び輸送用並びに産業用機械器具・システムの開発、製造、販売及びサービスとなります。

 設立は、200971日となります。2004年に日立製作所が、株式会社トキコと日立ユニシアオートモティブ株式会社を吸収合併し、その後、200971日に日立製作所より分社独立し、日立オートモティブシステムズ株式会社として、今に至っております。現在も日立製作所の100%子会社であり、20173月期の売上げについては、9,922億円、従業員数は、約4万人となっております。

 弊社の顧客としては、海外を含む各自動車メーカーとなり、アメリカ、欧州、中国、アジア、日本の各拠点に開発・製産・営業拠点を設けております。グローバルトータルで、グループ会社62社、133拠点、製造工場としては61か所となっています。

 次に、労働組合についてです。労組の成り立ちとしては、2004年の企業合併以降、日立労組、トキコ労組、ユニシア労組の3労組が併存しておりました。その間、1企業3労組で運営し、その後、2009年に会社の分社独立、労働条件の統合等も踏まえて、201212月に3つの労組を統合して、日立オートモティブシステムズ労働組合を結成しております。拠点としては、本社と、工場の拠点に分会を置いております。3支部10分会、組合員数については、約7,800名弱です。

 それでは、これ以降、勤務間インターバル制度について説明します。まず、導入に至る経緯ですが、2014年の春闘において、上部団体の方針に基づいて、ワーク・ライフ・バランスの実現に向け、「全ての労働者の十分な睡眠と生活時間を確保するため、24時間につき、11時間の勤務間の休息時間を確保すること」を要求しております。このときの労使論議の中では、会社は制度上、現行どおりとしながらも、深夜労働に焦点をあてた取組みを推進するとの見解が示されております。

 その後、深夜労働の実態として、微減にとどまっていることからも、2016年春闘において、再度、勤務間インターバル休息時間の要求を掲げました。そして、2017年春闘においても、長時間労働の問題が社会的に大きく取りざたされ、働き方改革の社会的気運が高まっている状況、また法改正の動向等も踏まえて、再度、要求を掲げました。2017年春闘においては、労使で、その必要性や、社会的動向の共通認識を図り、試行期間を設けた上で、20184月からの正式導入を目指すことを合意しております。

 次ページです。勤務間インターバル休息時間の確保の論議に合わせて、ダイバーシティの推進の観点からも、誰もが働きやすい職場環境を整えるために、「20-17活動(ニイマル-イチナナ活動)」というのを発足させました。

 「20-17活動」とは、2020年までに、年次有給休暇の取得を1人平均年間20日以上、時間外労働を1人平均で月17時間以下とすることで、年間の総実労働時間を2,000時間以下とする活動です。

 次に、「勤務間インターバル休息時間」制度の概要について説明させていただきます。正式導入については来年4月を目標として、試行期間を設け、現在活動を推進中であります。試行期間については、8月から来年3月までとし、勤務間インターバル時間としては、10時間ということで設定しました。10時間の根拠については、後ほど説明させていただきます。

 なお、勤務間インターバル時間の設定については、試行期間の状況を勘案し、正式導入前に、改めて労使論議を図ることにしております。また、試行期間中の給与の取扱いについては、裁量労働勤務適用者、フレックス勤務適用者、時間管理をされている者で、記載されているとおりとしております。この点についても後ほど追加の説明をさせていただきます。

 次に、対象者・対象部門の範囲です。基本的には、課長相当職以上を除いた全員を対象としております。また、休日労働や出張時の取扱い、サテライトオフィス勤務者についても、勤務間インターバルの対象としております。

 なお、在宅勤務の取扱いについては、通勤時間をカットできることや、自宅での育児・介護対応後に業務を遂行するなど、本人の裁量と責任の範囲で業務を遂行するといった在宅勤務制度の趣旨を鑑み、対象外としています。

 また、始業時間の事前申請としては、勤務間インターバル休息時間の確保により、翌日の始業時間が所定の始業時間を割り込む場合は、翌日の所定始業時間前までに上長に届け出ることにしております。

 次ページです。試行期間中に、勤務間インターバル休息時間の確保が困難な場合は、その理由を記載の7項目から選択し、届け出ることとしております。なお、これらの理由であれば、勤務間インターバル休息時間が確保されなくてもよいというものではありません。まずは試行期間の中において、どういう理由で勤務間インターバル休息時間が確保できなかったのか、改めて調査して、今後、その対策を行っていくことを目的としております。

 次に、勤務間インターバル時間10時間の根拠ですが、睡眠時間、通勤時間、その他生活時間として、10時間ということです。これは会社の見解です。労組の主張点については、後ほど説明させていただきます。

 また、試行期間中については、現行の賃金制度、フレックスタイム勤務制度、裁量労働勤務制度を変更しないことを前提としております。そのため、試行期間については、勤務間インターバル休息時間の確保の取組を「推奨」という位置付けにしています。勤務間インターバル休息時間確保に伴う始終業時間の設定は、各種制度の趣旨、法的観点も踏まえ、本人意思に任せる、委ねるという形を取らざるを得ないことから、「推奨」と位置付けております。

12ページです。労使の論議の中で、労使での主張が異なる点について説明します。まず、対象範囲について、課長相当以上は対象外としていますが、組合としては、この層も含む、全ての従業員を対象とすべきと考えております。

 次に、勤務間インターバル休息時間の設定時間ですが、労組としては11時間必要だと考えております。11時間の根拠については、1つは、先行するEUの労働時間指令、また、総務省の生活時間に関する調査結果、また、弊社の36協定の上限時間との整合性、また、深夜労働をさせないための時間設定、加えて、会社が掲げる「20-17活動」など、健康経営を成し遂げていくためにも最低限の時間設定と考えております。

 また、前日の勤務により、翌日の始業時間が所定労働時間に割り込む場合の賃金の取扱いについての労組側の見解としては、働いたものとみなすこととしております。みなし労働にすることにより、長時間労働の抑止効果にもつながるものと考えております。

 適用除外の規定については、働き方改革、長時間労働縮減の観点からも、真に限定的な除外理由としなければ、現状の働き方は変わらないというように考えております。これらの内容については、試行期間での基礎データを踏まえ、正式導入前までに、労使論議を再度図っていきたいと考えております。

 次ページです。試行期間は8月から始まったばかりですので、まだデータの蓄積はこれからとなりますが、本年度の4月と8月との比較結果を示したグラフを記載しました。各単月で勤務間インターバル時間として10時間を確保できなかった1人当たりの回数を、時間管理されている「フレックス勤務者・時間管理者」、「裁量労働勤務者」、「月俸者」で分けたグラフです。全般的には、減少傾向となっております。特にフレックス・時間管理者については、大きく減少している状況です。今後も細部のデータを更に検証してまいりたいと思っております。

 最後のページです。正式導入に向けた検討課題をまとめたものです。1項目目として、海外との時差対応となります。海外との時差については大きな課題だと思っており、特に、時差の大きい国、アメリカ、欧州に所在する顧客、また海外現地法人との連携を取りながら業務を行う従業員に対して、本制度をどう適用していくかという課題です。

2項目目は、適用除外規定(範囲)についてです。適用除外をどこまで認めるかについて、公平性、妥当性を担保するためには、どの領域まで認めるのか、といった課題があります。

3項目目は、カーメーカーに対する供給責任を果たす際に、本制度をどう適用していくかという課題です。

4項目目は、始業開始時間を超えた際の賃金の取扱い、また、勤務制度との整合性、といった課題です。

5項目目は、管理者並びにそれらをチェックしていく勤労部門も含めた、全体のシステムの作り込みが必要であるということです。

 最後に、法改正の動向も踏まえる必要もあります。正式導入に向け、これらの課題について十分に検討を行った上で、試行期間における課題や職場の声等も踏まえて、制度制定を行っていきたいと考えております。以上が、事例報告となります。

 なお、先ほど、冒頭にお話したとおり、現在、試行期間中ですので、是非、ここにおられます有識者の皆様からの御意見を反映させていただき、より良い制度とさせていただきたく、よろしくお願いいたします。以上、私からの報告とさせていただきます。

○今野座長 ありがとうございます。それでは、御意見、あと、アドバイスもとおっしゃっていましたので、あればお願いいたします。

○新井氏 是非、頂ければと思います。

○杉崎委員 質問になりますが、2点、お伺いしたいと思います。今し方、供給責任のことを御説明いただきましたが、今、こういった制度を試行している、また、来年4月から本格導入に向けて協議をなさっているということを、取引先の各社に対して通知しているかどうかが、1点です。

 もう一点は、今回のインターバルの試行導入と併せて、働き方改革とか、労働時間の短縮に資するような、その他の社内的な施策を、セットでやっているものがあるのかについて、教えていただきたいと思います。

○新井氏 1点目の供給責任ですが、我々はサプライヤーですので、自動車部品メーカーという位置付けの中で、カーメーカーとの生産、サプライヤーチェーンというところが非常にあります。特に生産システムとして「JIT生産(Just In Time)」、で、在庫をなるべく持たないといった中においては、品質課題やデリバリー課題等、イレギュラーな状況が発生した場合、課題になり得る可能性はあります。現時点においては、生産現場では、昼夜の交替勤務等はありますが、原則、勤務体制としては、勤務間インターバルは確保されており、生産供給面においては、特段問題ないものと認識しております。一方で、設計部門、品質部門等の間接部門においては、例えば、品質問題や設備トラブルが発生した場合や社内的な予算・決算業務等、早急な対応が求められること場合も想定されます。現状は試行期間ですので、そういった事象をまず洗い出す段階と捉えております。よって現時点においては、まだ顧客への通知を行っていません。今後、試行期間の状況を踏まえて、対応を検討していかなければならないものと考えております。

 もう1つの質問についてですが、働き方改革として「20-17活動」について申し上げましたが、労働時間管理としては、時間外労働平均17時間以下とすること、また、年休を20日以上取得することを2020年までに目指す取組みを行なっています。

 同時に、36協定の上限時間も17年度より変更しております。昨年までは、特別条項も含めると、月当たり100時間まででしたが、今回、80時間までに変更しております。この法的基準を遵守するため、社内での労使管理基準を設けております。社内のローカルルールの中で、2か月ないし6か月平均の時間外労働の平均値を、昨年の80時間から60時間まで下げています。また、2か月連続80時間の時間外労働を行った場合、次の月は45時間以内に収めるという規定もあり、本年度より、2か月連続60時間の時間外労働を行った場合は、次の月は必ず45時間以内とする、という規定に変更しています。

 年休についても、昨年の基準は、一人平均17日、全員が最低10日は必ず取得としておりましが、ここ数年、この基準を一定程度クリアしてきたこと、また、働き方改革を強力に推し進めるといった意向も反映し、本年度より一人平均20日、全員12日最低取得に変更しております。

 その他、深夜時間帯のメールの発信の規制や、定時退社日の設定・労使巡視等を行っています。

○杉崎委員 ありがとうございます。

○今野座長 ほかにいかがですか。

○土肥委員 少し教えていただきたいのですが、まず、この制度の導入に当たっては、就業規則の中に書き込むということを考えられておられるのか、若しくは、労働衛生のような健康管理、衛生管理の部分のような規則の中で書き込もうとされているのか、若しくは、両方で必須義務と努力義務のようなことを労働組合として考えられておられるのかというのが、まず1点目です。

○新井氏 労組としては、制度として新設するといった考えにあり、労働協約並びに就業規則に導入していくことを考えています。インターバル時間の規制値を11時間、若しくは、10時間を超えることは、原則、無しと考えています。ただ、除外規定をどこまで設けるか、認めるかといった課題の見極めが必要と考えます。

○土肥委員 ありがとうございます。就業規則で書くということになりますと、時間管理を受けている対象者だけなのか、管理職層まで含めた労働者全体を対象とするのかという議論が生じる部分があるので、どのようにされるのかと思いました。これが1点目です。

2点目は、今、残業の状態の規制の話全体を聞いていると、長時間労働は、かなりよく規制されておられるという気がいたしますので、この制度の導入目的は、簡単に言うと、少ない日数だけでも徹夜をしてしまうとか、夜遅くまで働いてしまうという仕事の仕方を変えるための制度の目的が主体であるという理解でよろしいのでしょうか。

○新井氏 基本的には、現在、長時間労働をせざるを得ない人、してしまっている人に対し、勤務間のインターバルを設けることで、きちんと健康管理していくという趣旨です。例えば、期末の忙しい時期に連続的にやらざるを得ないような、経理業務などに従事している職場においても、きちんと勤務間インターバルを取ることができる体制を整えることが必要といった考えです。

○土肥委員 ありがとうございます。3点目が、10ページ目に書かれている、除外理由というか、こういう理由の場合という事例が7項書かれておりますが、実際にこういうもので、まだそれほど制度を運用されてはいないのですが、どれがよく出てくるのか。

○新井氏 今、一番多いと言われているのが、昼夜が反転しているようなアメリカ、欧州とのテレビ会議や電話会議であるものと考えております。ただ、本当にそうなのかというと、慢性的に忙しくて残っている人とか、また、課長、部長が残っているから帰りづらいといった話を聞くこともあります。働き方の見直しを含め、試行期間の中で、理由を明確化していきたいと考えています。

○土肥委員 最後、もう1つです。この中で在宅勤務制度の話が出てきています。私どもも海外拠点と連絡するのに、在宅勤務で家に帰って、夜中やっているという、どちらのためにあるのだろうかと思ってしまうような制度になってしまうこともよくあります。もしよろしければ、在宅勤務が、簡単に言うと、週何回ぐらい認められているのか、そういう制度があって、この制度ですと、規定労働時間以外も在宅勤務をしていいという制度になっているわけですよね。

○新井氏 在宅勤務の対象者については、月俸者や裁量勤務者、また、ご家族の中に育児・介護が必要な人がいる従業員となりますが、その期間は、特に設けておりません。

○土肥委員 そうすると、いろいろな制度が組み合わされていく中で、在宅勤務が、実は夜中働く制度を担ってしまわないようなことも考えておかれないと、たまにそういうことが起こるという気がいたします。以上です。

○新井氏 その点も踏まえて、在宅勤務の適用有無について確認していきたいと思います。ありがとうございます。

○今野座長 まだ御質問があるとは思いますが、ゆっくりしすぎまして、今度、少し急がなければいけなくなりまして、次の横沼さんにお話いただいてから、また質問、議論をしたいと思います。では、横沼さん、よろしくお願いいたします。

○横沼氏(キリンビール労働組合) キリンビール労働組合中央執行委員の横沼と申します。よろしくお願いいたします。これから、キリンビールにおける勤務間インターバル制度導入に向けての取組について紹介いたします。まず前提ですが、我々も今、試行段階です。本導入20181月に向けて、今取り組んでいるところですので、事前にお伝えをさせていただきたいと思っています。

2ページ目に移ります。本日お話する内容は目次のとおりとなりますので、順番に御説明させていただきます。

3ページ目です。初めにキリンビール労組・会社概要について御紹介させていただきます。下のキリンビール()概要のほうを見ていただきたいと思いますが、我々は酒類の製造、営業、販売を事業としている会社です。事業場は、本社のほかに全国に46の営業拠点と、北は北海道、南は福岡まで、9つの工場を有しております。従業員は約5,200名となっております。また、上の表を見ていただきたいのですが、キリンビール労働組合としましては、キリンビール株式会社に在籍する総合職社員、再雇用社員から構成をしております。組合員数は約2,600名となっております。

4スライド目に移ります。取組の経緯についてです。日本における綜合飲料事業を担う会社として、キリン社、キリンビール社、キリンビバレッジ社、メルシャン社とありますが、これらの会社間を超えて働くことが求められている中、働きやすさにつながる事項については、制度の枠組みを共通化することを、2016年の8月から労使で検討を進めております。

 少し会社の組織について説明をさせていただきます。左下の図を御覧ください。キリンビールの親会社であるキリンホールディングス社は、綜合飲料事業と医薬・バイオケミカル事業に大きく分けられております。国内の綜合飲料事業というところですが、こちらにつきましてはビール類を中心とした酒類を扱うキリンビール社、ワインを中心とした酒類を扱うメルシャン社、清涼飲料水を扱うキリンビバレッジ社、これらの3社を取りまとめる国内綜合飲料のキリン社から構成されております。

 現在、国内の綜合飲料事業の成長に向けて、会社間を超えた働き方が増えております。人事制度の違いや、その複雑さから、継ぎ目の業務の増大につながっている側面が課題として挙げられます。このような背景の下、制度の枠組みを共通化することを労使で議論していますが、各種共通化案の1つとして、勤務間インターバル制度についての導入を議論しております。参考までに4スライド目の右下の図に、これまで議論している制度の一覧を示しております。

 それでは、5スライド目に移ります。冒頭に申しましたが、勤務間インターバル制度については、20181月からの本導入については、勤務者全員を対象としています。現在、そのために試行対象場所を決めまして、20177月からは制度の周知や理解浸透、9月から課題抽出のための試行運用を実施することとしております。

 下の表に試行に関する内容を示しております。試行対象場所につきましては、工場部門、営業部門、本社部門の各1場所ずつとして、各々の部門の働き方が異なるということがありますので、それらの働き方に応じた課題抽出を行っているという段階です。また、インンターバル時間につきましては、終業から始業までの間の11時間としております。

 インターバル時間の考え方については、6ページ目で説明させていただきます。インターバル時間については、健康維持の観点、連合・フード連合の方針、他社・諸外国の先行事例を勘案して、11時間としております。健康維持の観点につきましては、総務省のデータ等を参考にしながら、労働者の1日の生活時間であったり、睡眠時間の確保の必要性、それらを踏まえて、総合的に判断しました。

 続いて7スライド目です。ここでは試行運用を踏まえた制度導入に向けた取り組みについて説明をします。試行運用では、インターバル時間を確保するために、下の図に示しているとおり、勤務時間を繰り下げております。11時に終われば、10時から始業を開始する、これを基本としています。仮にインターバル時間が確保できなかった場合についての対応としては、現在、その理由を勤務情報の報告欄に記載し、その内容を検証した上で、制度導入に反映させていくとしております。なお、インターバル時間を確保できないことが複数回発生する場合については、リーダーが健康状態の確認を行うという対応を行っております。

8ページでは、制度導入におけるメリットを示し、その次のページでは今後の課題を述べたいと思っております。制度導入のメリットとして、働く者の観点と、企業の観点で考えております。働くものの観点は記載のとおりとなりますが、休息を確実に取得できる環境を整備して、恒常的な長時間勤務や不規則な勤務体系の改善につなげ、心身の健康を確保することができるというところ、また、ワーク・ライフ・バランスの推進につなげることができると考えております。企業の観点というところで記載をしておりますが、職場風土・個人の意識の醸成、業務効率化や総労働時間の削減を促進するなどを通じて、そうした時間を新たにチャレンジやイノベーションにつなげていくということも考えられると記載をしています。

9スライド目です。今後の課題ということで示しております。正に今、試行運用のところで、今後、本導入に向けてどうするかということですので、制度導入時の実行性を高めることが必要であると考えており、制度の理解浸透を図ることや、勤務入力システムの改善、規制方法などもあるかと思っております。また、インターバル時間を確保できない事例や、健康管理面の対応を検討する事例に対して、今、試行運用をしながら確認しておりますが、これを制度導入時にどう扱うかを労使で整理していきたいと思っております。

 下に、インターバル時間を確保できない可能性がある事例として、各職場でそれぞれ特色がある働き方をしているということで、工場と営業部門を取り上げております。工場でいきますと、製造工程のトラブル等の緊急呼び出しが発生した場合です。ビール工場は36524時間稼働している部署もありますので、どうしても止められないという場合があり、緊急呼び出しが発生してくると思っています。また、先ほど申したとおり、36524時間3交替勤務をしている職場がありまして、例えば病欠者が出た場合に、補充勤務をするという現状もあり、その補勤を行った場合はどうするのかも考えておかなければいけないと考えています。

 営業部門においては、飲食店への営業活動など、夜遅くまで活動を行って、当日早朝からお得意様に訪問する場合もありますので、このような様々なケースを今試行運用で洗い出し、本導入に向けて、進めていきたいと考えています。私からの説明は以上になります。

○今野座長 ありがとうございました。御質問はありますか。

 私から1つだけ追加で、一番最後のページで、インターバル時間が確保できない可能性がある事例で、工場、営業とあったのですが、本社部門ではどうですか。

○横沼氏 先ほどの労働組合側の紹介がありましたが、多分、経理の決算関係はどうしてもあると思います。具体的には初めの1週目とか、15日までの営業日とか、その辺りは大変厳しい状況もあるのかなとは想定しておりまして、そこも試行運用でしっかりと確認していかないといけないところだと思っております。

○今野座長 ありがとうございました。

○輪島委員 3社全体でもよろしいですか。本当に企業の労使で問題意識を共有し、様々な問題、課題をクリアにし、制度を普及していこうという、労使のお取り組みを高く評価したいと思います。

 細かいところがこれからいっぱい出てくると思います。除外規定の理由、日立さんの7つとか、我々企業側からすると、そういうことばかり出てくるので、それをどのように潰していくのか。それから、日立さんからいうと、海外拠点のところはどうしても気になって、例えば深夜、定時退社も、結局、海外拠点とやっていれば、会社にいざるを得ないので、定時退社できないとかいうことばかり我々経営側は聞くのです。メールでも、それをしたら深夜に仕事しているよねということになって、その割賃をどうするのかとか、細かいこととか。

 キリンさんの事例で見させていただくと、7ページで、所定がどんどんずれていけば、そこでどうやって取扱いをするのかとか、ノーワーク、ノーペイで賃金カットをどこまでするのかしないのかとか、法的に制度を整えるとなると、我々はかなりセンシティブになるのです。実態をどんどん進めていくときに、様々なことを教えていただきたいなと思って、本当に今日はいい機会でした。感謝しております。ありがとうございました。

○土肥委員 最後の9ページの所で気になったのが「健康管理面で対応を検討する事例に対し」と書かれています。前半の、「インターバル時間が確保できない事例」というのはよく分かるのですが、健康管理面で対応を要する事例というのは具体的にどのようなものがあったのかが1点です。

 交替勤務は43交替という理解でよろしいでしょうか。そうしますと、リリーフマン制度とか、そういうものによって、急な欠勤者が出たときの対応を取る仕組みがもともとおありなのかどうかという点をお伺いしたいと思います。

○横沼氏 まず1つ目の健康管理面の対応を検討する事例ですが、ここには明確に記載していないのですが、我々の事業に関わりがあるところなのですが、飲食を伴う活動という形で申し上げさせていただきますが、これがあります。夜間に居酒屋やレストランに訪問し、飲食を伴いながら情報収集および商談をする機会があって、それは営業活動の一環だという話もあるのですが、これは労働時間にしていないというところです。とは言っても、それを労働時間でないからインターバル時間を見ないでいいのかというところはどうなのかという議論がありまして、そこの点で、健康管理面というところで申し上げております。正に今から労使で議論していきたいと思っております。

 あと、勤務に関してなのですが、ビール工場はいろいろな勤務形態がありまして、今、該当するのは、53交替。8時間8時間8時間で日勤休み、これをローテーションで回している職場があります。なかなか人数も限られているものなので、先ほど申したとおり、実態としては間を中継ぎする、補勤とか、そういうところが実態としてありまして、そのようなときにどうすればいいのかというところを、正に議論しているところです。以上です。

○今野座長 ほかにいかがでしょうか。3事例全部含めて、あるいは全体についての御意見でも結構ですので、何かございましたらお願いします。

○小曽根委員 キリンビールさんにお伺いします。先ほど輪島委員もおっしゃられたことなのですが、7ページの図式をしていただいたところの下の、11時間がどんどんずれていってしまうと、始業時刻もずれていくというところです。これはいろいろな企業さんが気にされていて、こんなことが続いたら大変だよね、1周して所定の始業時刻に戻ってしまうかもしれないねという笑い話もあったりします。この辺りについて実際に大分後ろずれしているところが出てきているのか、もし出てきているのならば、それをどのように対応していこうと考えていらっしゃるかを教えていただければと思います。お願いします。

○横沼氏 実際正直言って、9月しかまだ試行していない状況なので、事例というのは大変少ないものになっています。先ほど申したとおり、今、インターバル時間を確保できない場合は、報告をして、確保できない状況でも働いているという状況がありまして、そういう意味でいうと、どんどん後ろずらしにずっとなっているという多数の事例があるというところは、今認識をしていません。ただ、おっしゃられるとおりで、そのような場合も想定されると思っておりまして、今後、どのようにするかを検討しないといけないと思っております。

 また、先ほどの3交替勤務でいくと、定時業務が基本というか、定時業務になっておりますので、そこの部分の労働時間の扱いというところは、正に議論しないといけないところだと思っていまして、今、労使で議論しないといけないこととして挙げております。

○今野座長 ほかにいかがでしょうか。

○小林委員 前回の人事側の話をお伺いしても感じたことですが、やはり制度が導入される重要な要素として、トップ側の協力が得られるかどうかというのも非常に重要なのかなと感じました。トップにとっては、本日のジョイフルさんの資料の最後の部分ですとか、キリンさんの資料の8ページですとか、いろいろメリットがあるのだろうなと思ったのです。一方で、導入に難しさがあると感じたのは、店長ですとか、管理職の抵抗部分だと思うのですが、管理職に、何らかのメリットがないと、なかなか進んでいかないのかなと感じます。本日お伺いした話の中でも、インターバルを守れなかったときに、罰をどうしようかというようなお話がありましたが、何か反対に管理職の方でもいいのですが、インターバルを守れたときに、何かご褒美のようなプラスのインセンティブを与えるということで、抵抗感をなくす方向に進んでいくというような、そういう議論はないのかなとも思います。

 あと日立さんの資料の13ページのところで、働き方の変化のところですが、制度が作られていった結果として、こういう変化が見られるということが恐らく一番重要だと感じております。ただ、資料の中で、インターバルを守れない日数が一番マイナスに動いているのが、制度の対象ではなかった管理職の部分のようです。管理職の部分に導入を進めていけることができれば、実際に働き方全体の変化も見られるのではないかということで、管理職のところは、非常に重要なポイントなのかなと。それは感想になってしまうのですが。

○今野座長 何かありましたら。今2つ言われたので、1つはご褒美はないのかということ、1つは管理職をどうするかという問題だと思うのですが、何かありましたら。別に強制はしないですが。

○横沼氏 実情というところで。まずインセンティブを考えているかというところは、まだそこまで行き着いていないというのが現状です。このインターバル制度は、勤務者全員なので、管理職も全て全員が対象となっていくということで、当然、職場の中で管理職だけがそういう働き方でいいのかという議論もあると思いますし、初めに申し上げた、トップからのメッセージは、大変その点で必要だと思っています。場所ごとによっては、当然トップから管理職の評価をするであったり、それは労務管理の1つだという捉え方もあると思いますので、どういう形で定量的にどこまでできるかとか、いろいろな形があるとは思うのですけれども、確かに議論すべき項目の1つかなというところで、感想ということで述べさせていただきます。

○今野座長 新井さんの所も、結局、管理職対象でやっているのですか。データでは管理職のデータがありましたよね。

○新井氏 労使の論議の中では、勤務間インターバルの対象を、基本、組合員としております。ただし、社長からのトップメッセージとして、強い意志を持って取組むことを明言されております。「20-17活動」をはじめとした、総実労働時間縮減施策を進めていく中で、今回、課長相当職以上も対象とすべきと考えております。なお、今回、インターバル休息時間のデータも比較したところ、減少傾向となっており、一定程度の効果があるものと考えております。

○島田委員 管理職とおっしゃられたところは、インターバル規制は入っているのだけれども、41条の管理監督者扱いにしているのか、そうではないのかというところを、それぞれ教えていただければ大変有り難いと思います。

○林氏 我々の所では店長は管理監督者ではありません。課長以上が管理監督者ということなので、管理監督者について言えば、先ほどの課長職というのは、インターバルは逆に取りやすい。店長のほうが1店舗を任されて、その中で人のやり繰りがあるので取れないというのが現状です。

○今野座長 今の点で、林さんの所は、管理職を含めてインターバルの制度をやっていると、そういうことでいいですか。

○林委員 そうですね。取締役以外は全てということです。

○今野座長 新井さんの所はどうですか。

○新井氏 私どもの所の管理監督者というのは、課長以上となっております。

○島田委員 インターバル規制の対象にはしているということですね。

○新井氏 試行期間の中のインターバル規制の対象者は、原則、組合員のみとなります。ただし、課長職以上の方においても、インターバル規制を意識した働き方をおこなうよう、展開させていただいています。

○今野座長 横沼さんどうですか。

○横沼氏 先ほど述べたところもありますが、インターバル制度は管理監督者も含めるということなのですが、多分、理由としては、今、労働時間も管理監督者は一応見ていまして、場所ごとで、ある人だけが突出して、管理監督者だけが時間が長いという状況ではなく、先ほど言った職場の運営であったり、個人の意識の改革、そういうところも含めた対応だということで認識しています。

○島田委員 ただ、一応、管理監督者扱いにはなっていると。

○横沼氏 そのとおりです。

○島田委員 ありがとうございました。

○今野座長 それでは、そろそろ時間なので、何かあれば。なければ閉めますが。よろしいでしょうか。それでは、3人の方、ありがとうございました。これまでいろいろ議論をして、事例をお聞きしたりとか、それを巡っていろいろな御意見も頂いたりしましたので、その議論の内容を一度整理をさせていただきたいと考えております。その整理をした結果として、今後、どのように進めていくかというのを少し事務局と相談をさせていただければと考えています。それでは、今日はこれで終わります。日程等について事務局から説明をお願いできますか。

○花咲企画官 第4回の検討会の日程ですが、年明け1月頃を予定しております。また調整の上、改めて御連絡させていただきますので、どうぞよろしくお願いします。

○今野座長 それでは終わります。ありがとうございました。


(了)

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