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2017年10月24日 第1回「雇用類似の働き方に関する検討会」議事録

雇用環境・均等局在宅労働課

○日時

平成29年10月24日


○場所

TKP新橋カンファレスセンター ホール3A


○議題

1 開会の挨拶
2 雇用類似の働き方を巡る現状等について
 (1)雇用類似の働き方を巡る現状について
 (2)今後の進め方等について
3 その他

○議事

在宅労働課指導官:それでは定刻より少し早いところではございますが、皆さまおそろいですので、ただいまより第1回雇用類似の働き方に関する検討会を開催いたします。委員の皆さま方におかれましては、ご多忙のところお集まりいただき、誠にありがとうございました。本検討会の進行につきまして、座長が選出されるまでの間、議事進行を務めさせていただきます厚生労働省の三浦と申します。よろしくお願いいたします。

 まず、本検討会の開催に当たりまして、厚生労働省雇用環境・均等局長の宮川からご挨拶申し上げます。

雇用環境・均等局長:雇用環境・均等局長の宮川でございます。本日は雇用類似の働き方に関する検討会の委員にご就任いただきまして、誠にありがとうございます。また、本日はお忙しい中ご出席いただきまして、重ねて御礼申し上げたいと思います。本年3月に決定されました働き方改革実行計画の中に、柔軟な働き方がしやすい環境整備という項目がございまして、その中で非雇用型テレワークをはじめとする雇用類似の働き方が拡大しているという現状に鑑みまして、その働き方について順次実態を把握し、保護等の在り方について法的保護の必要性を含めて、中長期的に検討するということが盛り込まれているところでございます。このため、まず雇用類似の働き方につきまして、実態等を把握・分析した上で、課題整理を行うためにこの検討会を開催させていただくことといたしました。委員の皆さまにおかれましては、幅広い視点からお知恵を拝借したいと考えておりますので、ぜひご忌憚のない、闊達なご議論をお願いいたします。本検討会が実りあるものとしていただきますようお願い申し上げまして、私の挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

在宅労働課指導官:続きまして、委員の皆さまをご紹介いたします。東洋大学法学部教授の芦野訓和様、明治大学政治経済学部准教授の飯田泰之様、本日は所用によりご欠席でございます。京都大学大学院人間・環境学研究科教授の小畑史子様、筑波大学ビジネスサイエンス系教授の川田琢之様、東洋大学法学部教授の鎌田耕一様、早稲田大学法学学術院教授の土田和博様、特定非営利活動法人フラウネッツ理事長の宮田志保様、リクルートワークス研究所グローバルセンター長の村田弘美様、一般社団法人クラウドソーシング協会事務局長の湯田健一郎様です。以上9名となります。

 また、会議のオブザーバーといたしまして、経済産業省経済産業政策局産業人材政策室伊藤参事官、公正取引委員会事務局経済取引局経済調査室山本室長、二方にご参加いただいております。

 続きまして、厚生労働省から雇用環境・均等局長の宮川、大臣官房審議官(雇用環境・均等、子ども家庭、少子化対策担当)の成田、在宅労働課の元木、総務課企画課の岡、労働基準監督課の土田、労働基準局関係法課の飯田、在宅労働課の永倉、以上でございます。なお、小畑委員におかれましては、所用により途中でご退席をされます。

 次に、お配りした資料でございます。本検討会の開催要項について、厚生労働省からご説明いたします。

在宅労働課課長補佐:では資料1に基づきまして、簡単に開催要綱について説明させていただきます。1の趣旨ですけれども、雇用類似の働き方が拡大している現状に鑑み、その働き方について順次実態を把握し、雇用類似の働き方に関する保護等の在り方について、法的保護の必要性を含めて中長期的に検討する必要があります。このため、まずは雇用類似の働き方に関する実態等を把握・分析し、課題整理を行う必要がある、というものになります。

2の検討事項ですけれども、(1)雇用類似の働き方に関する実態や課題の把握とあります。こちらの事項を中心に検討を行っていただきたいと考えています。また若干の補足ですけれども、労働政策審議会の労働政策基本部会におきまして、雇用類似に関する検討を行うこととしています。ですので、本検討会ではこの基本部会での議論にも資するように、実態把握や課題整理などを行っていただければと考えているところです。

3の検討会の運営等ですけれども、こちらは事務的なことになりますので、後ほどお読みいただければと思います。以上です。

在宅労働課指導官:それでは、まず初めに本検討会の座長についてお諮りいたします。ただいま説明がありました、開催要綱の3の検討会の運営等の(2)におきまして、検討会の座長は、委員の互選により選出する、としており、これに従い、座長の選出を行いたいと思います。座長の選出につきましては、事前に各委員にご相談させていただいた通り、鎌田委員にお願いしたいと考えておりますが、よろしいでしょうか。

委員全員:異議なし。

在宅労働課指導官:ご賛同をいただきましたので、鎌田委員に座長をお願い申し上げます。それでは座長にご就任いただきます鎌田委員よりご挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

鎌田座長:皆さんの忌憚のないご意見がいただけるように進行に努めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

在宅労働課指導官:ありがとうございます。これ以降の進行につきましては、鎌田座長にお願いをいたします。

鎌田座長:それでは、時間も限られておりますので、本日の議題に入りたいと思います。初めに、本日の進め方ですが、まず議題1の(1)雇用類似の働き方を巡る現状について、厚生労働省から資料をご説明いただき、その後オブザーバーとしてご参加の経済産業省に資料7の説明をいだだいて、その上で議論に入りたいと思います。次に、議題1の(2)として、今後の進め方等について、厚生労働省から資料をご説明いただき、議論に入りたいと思います。

 それではまず、資料2から4について、厚生労働省からご説明をお願いいたします。

在宅労働課課長補佐:それでは、私のほうから資料2から4について、ご説明させていただきたいと思います。まず、資料2ですけれども、これは雇用類似の働き方を巡る現状について集めた資料になります。おめくりいただきまして、2ページ、まずはこれまでの政府決定等についてご紹介させていただきます。冒頭、局長からも挨拶がありましたが、2ページは「働き方改革実行計画」本文の抜粋になります。下線部分ですけれども、雇用類似の働き方が拡大している現状に鑑み、その実態を把握し、法的保護の必要性を中長期課題として検討するというふうに指摘されているところです。

 続きまして、3ページです。こちらは同じく「働き方改革実行計画」の行程表を抜粋したものになります。説明は省略させていただきます。

4ページです。「経済財政運営と改革の基本方針2017」ということで、「働き方改革実行計画」以外の政府決定の中でも、同様の指摘がなされているところです。下線部ですけれども、こちらも雇用類似の働き方の実態を把握し、有識者会議を設置して法的保護の必要性を検討するというふうに言われているところです。

 続きまして5ページです。「未来投資戦略2017」においても、雇用関係によらない働き方の検討について、指摘がされているという紹介になります。

 駆け足で申し訳ないですが、6ページお願いいたします。これまでも雇用類似に関する働き方の関係で、いくつか指摘されている事項があります。6ページの1のところですけれども、「今後の労働契約法制の在り方に関する研究会」、これは平成17年にまとめられたものですが、この報告書の中では、労働契約法制の対象とするものの範囲として、若干労働基準法上の労働者以外の者を入れてもいいんじゃないかというような議論がなされていたところです。真ん中ぐらいのところですけれども、請負契約、委任契約等に基づき役務を提供してその対償として報酬を得ており、特定の者に経済的に従属している者については、労働契約法制の対象として、一定の保護を図ることが考えられるのではないかと、この研究会の中では、このような指摘もされていたところです。

 おめくりいただきまして7ページ。今度は平成22年にまとめられたものですが、「個人請負型就業者に関する研究会」を厚労省でやっていたというところがあります。この中の下線部分ですけれども、労働者とは判断されない個人請負型就業者についても、一定の基準に対して、労働者との均衡の上、例えば就業条件の明示等何らかの既存の労働者保護の制度を適用すべきという意見もあった、というふうにまとめられているところです。

 続きまして8ページです。今度は「平成26年度今後の在宅就業施策の在り方に関する検討会」、これは厚労省の委託事業でやっていたものですけれども、この報告書を抜粋したものになります。ここでは在宅就業というものに限ってはいたのですが、在宅就業の適正な就業条件の整備にかかる対策について、法的保護も含めて検討されたものというところです。12では後ほど出てくるのですが、家内労働法を改正したらどうか、ということについて検討していただいたのですけれども、2の一番下の部分ですが、この時は、在宅就業に必要な観点を盛り込んだ立法措置を講じることは、将来的に必要な課題ではあるが、現時点では機が熟しているとはいえないというふうにされまして、法改正は、と、この検討会ではこういう結論が出たというところになります。

 ちょっと飛ばしまして、続きまして10ページをお開きいただけますでしょうか。10ページは「働き方の未来2035」の報告書の抜粋になります。ここの指摘は11ページですが、11ページの4、上の部分の真ん中からですけれども、2035年においては、狭い意味での雇用関係、雇用者だけを対象とせず、より幅広く多様な働く人を対象として再定義し、働くという活動に対して、必要な法的手当て・施策を考えることが求められる、というふうに指摘されているところです。

 次、12ページです。5のところが「雇用関係によらない働き方」に関する研究会、今日来ていただいています経産省さんの研究会になるのですけれども、この中でも下線部、中長期的には、労働法制や社会保障の中で雇用関係によらない働き手をどのように位置付けるか、議論を深めていくことも求められる、というふうに指摘されております。また、下は参考で書いていますが、これも今日来ていただいています公正取引委員会さんの研究会で、「人材と競争政策に関する検討会」というものが開催されています。これは今まさに開催されているところですので、ご紹介にとどめておきたいと思っています。

 続きまして、14ページお願いいたします。14ページ以降は既存の調査についてまとめたものになります。14ページは自営業主の人口の推移を表したもので、国勢調査から抜粋をしております。赤い線を見ていただければ分かると思うのですが、自営業主ということで見ると、年々減っているというような状況になっております。さらに職種別で見てみますと、農林漁業、製造業、卸・小売業といった職種は大幅に減少しておりまして、一方でサービス業、医業・士業については横ばいか増加しているかということで、あまり変わっていないという傾向になるのかと思います。これについては14ページは自営業主全体で見ているんですが、15ページのほうは雇い人のない事業主ということで限定して見ておりまして、どちらを見ましても、傾向としてはそれ程変わらないということが言えるのかと思っています。

 続いて16ページです。今度は個人事業者数を拾ったものになります。これは総務省の平成26年の経済センサスから抜いているものになるのですけれども、個人が事業を経営している企業数ということで見ますと、約209万というふうになっておりまして、職種別に見てみますと、卸売業、小売業が一番多くて、次いで宿泊業、飲食サービス業、生活関連サービス業、こんなものが多くなっているというところです。

17ページ。今度は雇用によらない働き方の状況について分析したものになります。この表ですけれども、黒い線が就業者の伸びを表しているもので、赤い点線が雇用者の伸びを表しているものになります。見ていただければ分かると思うのですけれども、日本では雇用者数の伸びが就業者数の伸びに比べて大きくなっているという状況ですので、雇用によらない働き方というのは欧米と比べると、そこまで伸びているとは言えないのかということが分かるかと思います。

 続きまして18ページ。今度は雇用関係によらない働き方の1つとして在宅ワークというものを紹介させていただきます。在宅ワークとは、上の箱の※印ですけれども、情報通信機器を活用して請負契約に基づきサービスの提供等を行う在宅形態での就労をいうものです。この人数は、2013年度の厚労省の調査ですけれども、126.4万人というふうに推計されております。性別は男女がおよそ半々ずつ、若干男性が多いかなというところでして、年齢層はかなり幅広く存在しているという状況になっております。この資料がしばらく続きますけれども、時間の関係上、すみません、はしょらせていただきます。

 飛んでいただいて、次22ページをお願いいたします。22ページは業務委託契約従業者を活用している業務内容になります。右側の円グラフを見ていただきたいのですけれども、こちらは企業に聞いた調査でして、業務委託契約従業者を最も活用している業務内容は何ですか、と聞いたものになります。この時は平成21年の調査になるんですが、営業・販売、情報処理技術、運送、講師・インストラクター、美容・理容、こういった業種について多いと回答がなされたところです。この5業種についてもう少し詳しく見ていった調査があります。それが次のページ23ページ以降になります。これは先ほどの5業種に絞って、もう少し働き方の実態を詳しく見たという調査になっております。これも時間がないので、いくつかに絞って見ていきたいと思います。まず23ページは業務場所になります。個人調査と事業所調査とありまして、それぞれ若干回答に差異はあるのですけれども、就業場所ということであれば、講師・インストラクターだったり、理容・美容だったり、こういった職種については、事業所内で働いていますという回答が多いというところです。これは職種によってかなり働く場所はまちまちという結果が出ておりますので、場所だけでもなかなか雇用によらない働き方であればこうだ、というふうに言うのは難しいのかなというところが分かるかと思います。

 続きまして24ページ。今度は出社日時について見たものになります。個人調査のほうを見てみますと、講師・インストラクターの半分ぐらいは指定された曜日・時間に出社していると回答しています。一方で営業・販売だと7割弱が出社日時は自由に決めているというふうに回答していまして、これも職種によってばらばらかなというところです。

 次、25ページです。決められる仕事の進め方について見たものになります。右側個人調査ですけれども、これを見ると、大体どの職種も会社の同意を得れば、ほとんど自分で決めることができるというふうにする回答が多いということが分かるかと思います。

 ちょっと飛ばします。27ページお願いいたします。27ページは報酬を決める要素について見たものになります。これも個人調査のほうを見てみますと、情報処理技術では業務の質や量に応じて決める割合が4割弱で最も多く、講師・インストラクターでは業務に要した時間に応じてという割合が4割弱というふうに高くなっているところです。他の業種については、業務から得られた売り上げに応じてという割合が高くなっているというところで、これに関しても働き方によって差があるのかなというところになります。

 続きまして28ページ。今度は業務依頼を断る頻度というところになります。これは個人調査を見ましても、事業所調査を見ましても、ほとんどない、全くないという回答が多いのかなというところです。

 次29ページです。今度は他者への業務代行の可否について見たものになります。左側の事業所調査を見ていただきたいのですけれども、軽貨物運送業では他社を雇用し、業務に従事させてもよいという回答が半数近くにはなっているのですけれども、他の事業所について見ると、他者に行わせることはできないという回答が多くて、これは個人調査のほうで見ますと、ほとんどの業種がそのような回答になっているというところです。

 ちょっと飛ばしまして、31ページお願いいたします。今度は個人請負事業者の専属性について見たものになります。この2つ目のところです。講師・インストラクターでは1社専属は1割も満たしていません、というようなところなのですが、他の業種については1社専属が多いというところでして、若干、講師・インストラクターだけ回答の傾向が違うというところが分かります。

 また飛んで、35ページをお願いいたします。必要な経費の負担というところですが、傍聴の方には差し替えを配布しております。委員机上に差し替えた資料を配布しております。必要な経費の負担をどっちがしていますかというところですけれども、これはどの職種を見ましても、必要な経費は自分で全て負担しているというふうな割合が最も高いという結果になっております。

 飛ばしまして、37ページお願いいたします。37ページは、取引先への不満や苦情の有無と内容について表したものになります。右側の棒グラフですが、これは取引先への不満や苦情を言ったことのない割合となっていまして、比較的高いというところです。ただ情報処理技術について見てみますと、言ったことのない割合が55.6パーセントでしたので、取引先に対して何らか不満や苦情を言ったことがあるという回答は4割ぐらいなのかなというところです。この情報処理技術について、どういうふうな不満を言ったことがあるかというのを、左のグラフで見てみますと、契約単価について、仕事の発注量についてといった回答が多くなっているというところになります。ここからも数枚続くのですけれど、時間の関係上これは省略させていただきまして、次にいきたいと思います。

 続きまして、41ページをお願いいたします。今度は関係する法律についてまとめたものになります。41ページは労働者に適用される主な法律の概要というところで、労働者であれば適用される法律、もちろんこの他にもいっぱいあるのですけれども、代表的なものを示したものになります。例えば、左側、労働条件の最低基準等を定めている労働基準法、真ん中、労働契約に関する基本的事項を定めています労働契約法、一番右、不当労働行為の禁止等を定めています労働組合法、こんなものがあるという紹介になります。詳細な内容の説明は省略させていただきますけれども、一番下の※で書いてあるところですが、一般に、労働法令におきましては、適用対象となる労働者に該当するかどうかというのは、契約の名称にかかわらず、実態に即して判断するとされているということを付け加えさせていただきます。

42ページです。今度は労働基準法上の労働者には該当しない者のうち、一定の要件を満たすものについては労働法令の適用があるという、ちょっと例外的なケースを示したものになります。左側が家内労働法という法律ですけれども、保護の対象のところを見ていただきたいのですが、この家内労働法の対象となる家内労働者というのが、部品や材料の提供を受けて、個人または同居の親族と、物品の製造や加工を行うものということで、内職のようなイメージのものになります。この家内労働関係では使用従属関係はありませんで、労働基準法の労働者ではないというものになります。この家内労働者に該当する場合には、この家内労働法上で、一定の保護がありまして、例えば委託者の義務として、家内労働手帳の交付とか工賃の支払の確保とか、このような義務が発生するというところになります。右側が労災保険ですけれども、労働者以外の者でも加入できるという制度があります。業務の実態、災害の発生状況などから見て、労働者に準じて保護することが適当であると認められる一人親方等に対しては特別に任意加入を認めているというものがあります。この対象としては、労働者を使用しないで特定の事業を行うことを常態とする一人親方等とありまして、特定の事業とは※で書いてあるような事業の中身になるところです。

 続きまして、43ページ。今度は民法の規定になります。労働者でない人ということが前提になると、基本的には民法の法律等が原則になってくるのかなというところですけれども、一番左側が請負に関する規定になっていまして、請負契約とは当事者の一方が仕事の完成を約し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約する契約というところになっていまして、仕事の完成というのがポイントになってくる契約の形態なのかなというところです。真ん中が委任(準委任)に関する規定ですけれども、委任契約というのは、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方が承諾することによる契約ということになっておりまして、委任契約の場合は法律行為なんですけれども、事務行為を委託する場合には、この委任の規定が準用されることから、一般的に準委任と呼ばれております。詳細の中身は省略させていただこうと思います。

 続きまして、44ページです。今度は独禁法・下請法について並べたものになります。一番左側、独禁法の関係部分のご紹介ですけれども、独禁法では事業者における不公正な取引方法を禁止しておりまして、例えば、委託者が受託者に対し優越的地位にある場合に、その地位を利用して、正常な商慣習に照らして不当に、対価の支払い遅延等を行うことは優越的地位の濫用として禁止されているというところです。これについては、下請取引で問題が起こる場合が多いので、補完法である下請法で一定の要件を満たす下請取引について規制がされております。右側がその下請法になるんですけれども、この対象は事業者の資本金規模と取引の内容によって定義されておりまして、下請事業者には個人も含まれ得るというところになります。この対象となる取引に関しましては、親事業者の義務として、例えば書面の交付の義務が発生したりということが規定されています。また、禁止事項として、受領拒否の禁止や下請代金の支払い遅延の禁止、このようなものが規定されているというところになります。

 最後45ページです。これは法律ではないですが、調査の中でも途中で出てきました、在宅ワークの関係のガイドラインになります。在宅ワークは先ほどもご紹介した通り、請負契約に基づくものになりますので、基本的には労働関係法令は適用されません。そこで、発注者が在宅ワークの契約締結時に守るべき最低限のルールとして、ガイドラインを厚労省で作っているというところになります。詳細の紹介は割愛させていただこうと思うのですけれども、こちらのガイドラインについては、別途厚生労働省のほうで開催しております「柔軟な働き方に関する検討会」というものがありまして、そちらで今改定の検討を行っているということをお伝えさせていただきます。駆け足で恐縮ですが、資料2については以上になります。

 続きまして、資料3です。今度は労働者の関係の資料を集めたものになります。2ページをご覧いただきたいと思います。最初は労働基準法と労働組合法における労働者について表したものになります。労働基準法と労働組合法における労働者というのは、定義の違いもありまして、必ずしも一致しないと解されております。労働基準法は左側ですけれども、こちらの定義は事業または事務所に使用される者で、賃金を支払われる者というふうに、使用されるというところがポイントになってくるかと思います。ですので、判断基準が下の箱にありますけれども、総合的に勘案することにはなっているのですが、最初の要件として、使用従属性に関する判断基準というものが出てくるところになっています。右側、労働組合法のほうは、定義のところ、賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する者とされておりまして、使用されるという文言は入っておりません。ですので、一般的には労組法上の労働者のほうが労働基準法の労働者よりは広いというふうに見られることが多いのかと思います。判断基準ですけれども、業務組織への組み入れ、契約内容の一方的・定型的決定、報酬の労務対価性、このようなものが基本的判断要素とされております。

 次3ページ以降ですけれども、主な裁判例について挙げさせていただいたものになります。こちらも時間がありませんので、詳細の説明は省略させていただきたいと思います。また裁判例ですので、この業種であれば必ずこの結果になるというものではありませんので、労働者性は個別・具体的に判断していくというところになります。ごく簡単になんですけれども、3ページ、横浜南労基署事件ですけれども、これはトラックの運転手さんについて争われたものでして、結果としては労働者性は認められなかったという最高裁の判例になります。

4ページは研修医さんの事例です。こちらも同じ最高裁ではあるのですけれども、こちらは認められたという結果になっています。病院の指揮監督の下で労務を提供したというふうに判断されているものになります。

 飛ばして、5ページ。藤沢労基署長事件ですけれども、これは大工さんの事例になっていまして、これは指揮監督の下で労務を提供していたものと評価することはできないというふうに労働者性は認められなかった事例になります。

6ページ。今度は新宿労基署長事件と言われているものでして、映画撮影技師、カメラマンの労働者性になるのですけれども、これは地裁では労働者性が否定されたんですが、高裁で肯定されたという事例になっていまして、その結果、労働者性が認められたという結論になっております。

 次7ページです。7ページはNHKの受信料を集金する人の労働者性についてというところでして、この使用従属関係を認めることは困難であると言うべきというふうに、労働者性は認められなかった事例になっています。

8ページ以降は労働組合法上の労働者性に関する裁判例になります。8ページに関しては、放送管弦楽団員の人の、労組法上の労働者性というところですが、認められたという結論になっています。

9ページ。これはオペラ合唱団員についての労働者性について争われておりますが、これも認められたという事例になります。

10ページ。INAXメンテナンス事件。これは住宅設備機器の修理補修等を行う人、カスタマーエンジニアと呼ばれると思うのですが、この人について労働者性が争われたもので、これも認められています。

 最後11ページ。ビクターサービスエンジニアリング事件ですけれども、これは顧客のお家で、音響製品とかの出張修理等の業務を行う人のものですが、これも認められております。労組法上の労働者に関しては、全て最高裁の判決を紹介させていただいたのですが、全部認められているというふうに、結構広く認められる傾向にあるのかというところです。

 続きまして、13ページです。今度は海外、外国の労働者について見た資料になります。これは2006年のJILPTの研究資料から引用したものですけれども、若干古いかもしれないということはご容赦いただければと思います。

 ごく簡単に説明させていただきますと、アメリカでは労働者の概念は相対的になっていまして、各法令の趣旨・目的によって異なっているというところです。その判断基準として、例えば使用者の就業者に対する指揮命令権限の有無を中心とする諸要素による判断、コントロール・テスト、コモン・ロー・テスト等と呼ばれているものですけれども、こういった判断基準でなされているものもあれば、3つ目の点ですが、公正労働基準法においては、労働者は就業者の経済的実態を中心に使用者の指揮命令を含む諸要素から判断されているというふうに、経済的実態テストと呼ばれているようなんですが、こんなものが使われているというところのようです。

 右側、イギリスです。イギリスは労働者の概念は統一的となっていまして、労働者、employeeと呼ばれているのですけれども、こういう人たちは雇用契約を締結した者、または雇用契約に基づき労働する者というふうにされております。3ポツ目、判断の枠組みですけれども、賃金その他の報酬と就業者自身の労務とを交換する契約であること、就業者が使用者の指揮命令に服すること、上記以外の契約条項が、当該契約が雇用契約であることと矛盾しないことというふうにされております。

 さらに右側、フランスです。フランスも労働者の概念は統一的となっているそうです。2つ目のポツ、労働契約概念としての法的従属関係の有無により判断されるというふうになっていまして、その考慮要素は、活動における自由の有無、労務に服する時間決定の自由の有無、報酬の実態及び性質というふうにされております。

 一番右側ドイツです。ドイツも労働者概念は統一的となっておりまして、労務提供者の人的従属性の有無、程度により判断されるというところになっております。

13ページが労働者の枠組みの基本的な部分となっていまして、14ページになりますと、この労働者の概念が拡張しているような具体例があるかどうかというところを見ているものになります。

 アメリカに関しては、制定法上、労働者を拡張する例は見られない、ただ労働者の判断基準の運用によって、相対的に労働者を拡張していると考えられる場合があるということで、先ほどご紹介した通り、いくつか判断のテスト、基準みたいなのがあるようですので、それとの関係で若干広がっていると見られる場合があるのかというところかと思います。

 右側イギリスです。イギリスではemployeeという概念の他にworkerという概念があるようでして、このworkerは就労者とここでは呼ばれていますけれども、就労者は雇用契約、または当該個人が、専門職や事業の顧客とはいえない契約の相手方に対して、自分で労働やサービスを提供する契約の当事者というふうにされていまして、この定義に該当する人については、最低賃金とか労働時間規則とか一定の法律の保護は受けられるということのようです。この概念は労働者+α、employee+αというふうに普通の労働者よりも広い概念となっているようです。

 右側、フランスです。フランスでは職業によって法律の規定のされ方が若干違っているようでして、例えば一番上のジャーナリストのところですけれども、ジャーナリストと報道機関の契約は、一定の要件を満たした場合に労働契約と推定されるというふうに労働法典に書いてあるようです。ジャーナリスト業の者は、労働法典の一定の規定、労働契約とか労働条件、こんなものが適用されるというふうに法典に書いてあるようです。これが職業ごとにかなり規定がありまして、15ページ、16ページ辺りまで続いてものになりますが、詳細はここでは省略させていただきます。

 一番右側はドイツです。ドイツでは労働者類似の者というような概念があって、そういうものについては、休暇とかセクハラ防止とか、一定の保護があるということです。この労働者類似の者に当たるかどうかというのは、経済的非独立性というものが判断基準となっているとされております。これが労働者の拡張の具体例となっていまして、17ページ以降はさらに個別の労働条件等について、各国比較をしているものになるのですけれども、時間がありませんので、ここでは説明は割愛させていただこうと思います。資料3は以上になります。

 最後、資料4、今度は縦紙のものになります。主な検討課題ということで、これからご議論いただきたいところを示したものになります。

 一番上の○印ですが、雇用によらないさまざまな働き方がある中で、「雇用類似の働き方」にはどのようなものがあると考えますでしょうか、というところです。

2つ目の○、これは上とも絡むのですけれども、近年、クラウドソーシング事業やシェアリング・エコノミーの普及などによって、新しい働き方が発生しています。このような新しい働き方について、どのように位置付けていけばいいでしょうか、というところになります。

3つ目、これらについて把握した上で、雇用類似の働き方に関する保護等の在り方について、どのよう考えますでしょうか、というところになります。

 この辺りを中心に検討いただければ、ありがたいなというふうに考えているところです。長くなって申し訳ないですが、資料説明は以上になります。

鎌田座長:ありがとうございます。それでは引き続き、経済産業省から「雇用関係によらない働き方に関する研究会」で実施された調査の概要についてご紹介をお願いいたします。

経済産業省:おはようございます。経済産業省伊藤でございます。資料7に基づきましてご説明いたします。政府全体としましては、まさに厚労省さんの本検討会に至る予備的な段階として位置付けられるものとなりますけれども、昨年201611月から今年3月まで経済産業省におきまして、「雇用関係によらない働き方に関する研究会」を開催いたしましたので、ご報告申し上げます。

1ページ。元々の出発点としましては、先ほど事務局からご説明がありました問題意識と共通しておりまして、人口減少あるいは技術革新の進展等で副業あるいはテレワークまたフリーランス、こういった非伝統的な働き方に焦点が当たるということで、世耕経済産業大臣からの指示の下で、実態調査と課題の整理ということで、特に今申し上げた研究会では雇用関係によらない働き方についての実態把握をいたしました。委員については、下段にございますように本検討会の湯田委員にもご参画をいただきましたし、また厚労省の在宅労働課さん、そして労働政策担当参事官室にもオブザーバーで参加をいただいたところでございます。

2ページ。実は経済産業省では同時並行でいわゆる第4次産業革命IOTあるいは人工知能、こういった動きについて第4次産業革命の光と陰ということで、2年間にわたって検討しておりまして、実はその文脈の中からもオープンイノベーションが重要である、また働き方、仕事・業務についてはこれまでの企業単位からプロジェクト単位といったことに、これはアメリカ、ヨーロッパはもちろんですけれども、日本でもそういった大きな方向性が観察されるということで、言ってみれば、会社と働き手の関係がこれまでのような11のカチッとした関係からやや相対化をしてきていると、こういった観察が有識者の方から指摘をされたということでございました。これは実は先ほど事務局からご説明のあった厚労省さんの「働き方の未来2035」のレポートでもそういった指摘があったということでございます。

 実態調査ということで、先ほど事務局から平成21年度、23年度、24年度の厚労省さんの委託調査とご紹介ありましたけれども、これも参照させていただきながら、現時点での状況ということで、4ページ以降、実態の調査をいたしましたので、ご説明いたします。

 まず、いわゆる雇用関係によらない働き方ということで、4000名ということで、かなり大規模な調査を実施いたしました。内訳としましては、実は純粋に雇用関係なしというのはAというカテゴリで、これは2000名の方でございまして、それとの比較という意味も含めてB、これは雇用関係なしに当たる方で、実際にはこういうケースが大変多いわけですけれども、雇用関係あり、雇用関係の仕事をしながらもう1つの仕事の在り方として雇用関係なしと、あり・なしということで、一般的には副業という表現が使われることが多いわけですけれども、こういった方は1000名。そして比較のCということで雇用関係ありの仕事を2つ以上ということで、あり・ありということでございます。

5ページにその外円を記載しておりますけれども、逆に対象になっていないものを申し上げると、一番下の左下にあります、もちろん仕事をされていない方、少なくとも収入がない方、これは対象外でございますし、また右下、1社のみの雇用による働きという方、日本では一般的な労働者の方はこういった形態を取られている方が多いわけですが、これも対象外ということになります。

 また、左上、これは純粋には雇用関係なしのカテゴリに該当するわけですけれども、いわゆる侍業、弁護士さん、会計士さん等、またこの辺りは線引きがグレーになってくるところもあるわけですけれども、いわゆる自営業の方、農家の方、こういった方は対象外ということで位置付けております。

6ページ。大変詳細な調査なので、ここではポイントだけ申し上げます。6ページはサマリーで、浮かび上ってくることは、非常に働き方は多種多様であるということで、なかなかひとくくりにはできないということが分かるわけです。

 その中での傾向としましては、まず満足度については、約半分が選択肢として、選択解答で満足・やや満足と回答されているということで、不満・やや不満は2割であるということです。また労働時間はこの対象の中では、32.4時間である。最も多い年収層は300万~399万であって、これが2割ぐらいであるということ。また6割以上の方が今されている働き方を今後も継続したいと回答されているということでした。

 かなり時間をかけて調査をしましたので、スキルについては雇用関係によらない働き手の半数以上がスキル形成に十分費用をかけていないと、唯一自覚をされているということ。また必要なスキルについて、発注側の企業ニーズと働き手ご自身がこういうスキルが大事だと思っていることの間にはギャップがあるということが浮かび上ってきたということであります。

 また課題につきましては、自由回答等々していただきました。企業が個人との契約、雇用関係によらない働き方との契約をもっと柔軟に可能にしてほしいと。裏返して言えば、それが必ずしも柔軟になっていないということ。個人との契約が法人との契約に比べると、相対的に不利になっているというご認識。また企業がフリーランスに対して、対等なパートナーとして接してほしい、こういったご回答があったということでございます。

 また、このようにフリーランスを現実に活用している企業は全体のこの調査の中で2割。また企業の側におけるボトルネックとしては費用対効果が不明、秘密等の流出懸念、個人の社会的信用力、発注先選定等の相談相手がいない、こういったことが上げられているということでございます。

 詳細にわたりますので、また検討会の審議の中でぜひご紹介させていただければと思いますけれども、ごくかいつまんでいくつかだけ申し上げます。

8ページ。先ほど労働時間32.4時間、これは就業者全体では38.9時間という統計が出ておりますので、相対的には短いということになります。また年収についても、全般的には雇用者全体の統計に比べると低い年収にとどまるということになるわけです。ここで注意すべきは、やはり主たる生計者ではない層といった層が、労働時間、年収共に押し下げるということで、雇用関係によらない働き方については、ご本人が他に収入の手段を持っているかどうか、また配偶者、家族の方との関係、こういったことが大変大きく影響するということが浮かび上ってくるということでございます。

 飛びまして、11ページをご覧いただけますでしょうか。先ほど、半分ぐらいが満足しているというご回答があったわけですけれども、その中で具体的な理由として上げられているものは、一番多いのは自分のやりたい仕事が自由に選択できる、また複数回答ですけれども、20パーセントを超えている選択肢、特に雇用関係なしに着目した場合は、労働時間・通勤時間が短いこと、労働時間の裁量権が自分にあること、働く場所の選択ができること、家族との時間・育児や介護の時間が取れること、最後に人間関係の煩わしさがないこと、こういったことが上げられておりますので、こういったことがメリットとして意識されているということが浮かび上ってくるということであります。

13ページをご覧いただけますでしょうか。今後の働き方の展望としては、やはり現在の働き方を続け、事業(売上・顧客等)を拡大したいということが4割ということでございます。

14ページ、スキルでございます。先ほど申し上げたようにスキル形成にほとんどお金をかけていないということ。

15ページ。企業が求めるスキルでございます。ここではやはり専門性に関するスキル、問題解決能力、コミュニケーション、人脈・ネットワークを構築するスキル、こういったことが挙げられているわけです。青が企業が挙げているもので、赤が働き手が挙げているものということで、専門性に関するスキル等共通しているものもありますけれども、一部ずれているものもあるということで、この辺りが今後の働き手にとってのスキルアップ、重要分野になろうかということだと思います。

17ページ、ご覧いただけますでしょうか。雇用関係なしの層において、それまでの間、何をされていたかということを調査した結果は、過去に雇用関係の下で働いていたという方が多数でありまして、そういう意味では雇用経験を全く経ずに雇用関係によらない働き方を選ばれている方は少ないということが分かっているということでございます。

 時間の関係で、20ページご覧いただけますでしょうか。また働き手が今後望む環境整備として上げられているものとしては、企業からの支払い遅延への保障、あるいは労災、あるいは公平な市場ルールの整備、年金などの保障制度ということで、総じていわゆるセイフティネットの強化といったことが挙げられているということでございます。

22ページ。企業にも同様の調査をいたしまして、実際にフリーランス、雇用関係によらない働き方を活用している場合の課題・現状等を調査いたしました。企業におけるこういったフリーランスあるいはアウトソーシングの活用のボトルネックとして挙げられているものは、費用対効果が不明という回答が一番多い。またそれに次いで、技術・ノウハウ・機密情報等の流出に対する懸念、こういったことが挙げられているということでございます。

23ページ。実際に活用している企業と活用していない企業を比べますと、活用している企業は、専門的知識・スキルの活用、あるいは自社で得られない外部人材の確保、自社社員の人材育成、こういったことが意識されているということが浮かび上ってくるということでございます。

 最後24ページ。私どものこの研究会で整理をした課題としては、大きく3つございます。1つは働き手の社会環境の整備、まずは認知ですね。この雇用関係によらない働き方そのものの認知度がだいぶ低いということで、これを高めていこうと。この関係からは民間の動きとして、今年に入ってフリーランスの方を中心として一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリアフリーランス協会が発足した、こういった動きがあるので、併せてご紹介させていただきますけれども、こういった認知度、あるいはセイフティネットといった問題が1つ。

2点目としまして、先ほどのスキル、もちろん雇用関係によればOJT、On the Job Trainingといったスキルアップの手段があるわけですけれども、そういったことがない中でのスキルアップ・教育訓練の在り方、これについて働き手の方、また企業からも大変問題意識が高いということが整理されております。

3点目としては、これはむしろ企業における問題として、実際にこういった働き方、こういったフリーランスのような方を活用する側においても、そもそも自社の業務をタスクとして分解をして、それを切り出すということが必要になるわけですけれども、そういったことがまだ十分できていないと、こういったことも非常に観察されることでございまして、企業の側においてのマインドセットあるいは業務の見直し、こういったことが課題として挙げられているということでございます。私からは以上でございます。

鎌田座長:ありがとうございます。それではこれまでのさまざまなご説明を踏まえまして、委員の皆さまにご意見をいただきたいと思います。ただ最初ということでございますので、各委員からそれぞれ5分程度でご意見を伺いたいと思っております。それで順番ですが、芦野委員から始めまして、順繰りに5分程度ということでお話をいただければと思います。では芦野委員よろしくお願いいたします。

芦野委員:改めまして、東洋大学の芦野です。私の専門は先ほど説明もありました民法に関するところです。その観点から本検討会で検討したい、あるいは検討すべきことについて、少し私なりの考えを述べさせていただきたいと思います。

 本検討会の課題としては、先ほどの資料4のご説明でもありましたが、大きく言うならば、人々がより働きやすい社会を作りだすために、現状を把握して、さらに私に課せられているのはそこでの法的な権利義務を明らかにすることなのかなというふうに考えております。そのような観点から、ではこの検討会でどのようなことを明らかにしていきたいかということを述べさせていただきます。

 結局、私は民法の中でも契約ですので、法的な観点からは実態把握のために、一体対象となっている契約は何なのかというところがまず1つ問題になるだろうと。先ほどの説明でもありましたが、民法典では役務を提供する契約については4種類ありますが、今回に関連するものとしては、雇用、請負、委任があります。これは民法の問題とも限りませんが、話の筋は少しずれますが、そもそも雇用と労働契約というものが同じかどうかというところも1つ議論があるところです。例えば労働基準法の適用がない働き方は雇用と言えるのではないかというような意見もあったりします。それは恐らく労働法の先生方にお教えいただけるところだと思いますが、話は民法に戻ります。

 雇用、請負、委任、これは全部報酬の有無ですね。賃金を想定していないということです。なぜかと言いますと、民法典はもう作られたのは120年前ぐらいですが、民法典が前提としているのは、自由で対等・平等な当事者の合意に基づく契約です。しかし、そこで想定されているような働き方と、ここで私たちが検討しなければならない働き方というのが、実態と法制度が一致しているのかどうかというのをまず明らかにしていきたいと思っております。一方で、明らかになったときに、実態と乖離があるではないかと、こうなったときに、では人々がより働きやすいための法解釈あるいは法の在り方というのはどのようなものなのか、というのを検討できればと思っております。

 具体的な話で申し上げますと、先ほどの、例えば、労働契約法では使用者側の安全配慮義務というのが労働契約法の5条で定められていて、使用者は役務を提供する人、働く人の身体健康に配慮すべき義務というのが定められていますが、民法典では特にありません。しかしながら、最高裁等の判例でも、請負契約であったとしても、注文者側に一定の安全配慮義務が認められるような場合があります。そこでポイントとなるのは、まさに実態の話でして、要は使用者と請負人との間にどのような関係性が見られるかどうか、さらには両当事者が、名目上は例えば委託契約という、あるいは業務委託契約という契約の文言を使っていたとしても、両当事者が負うべき義務、とりわけ役務の提供者側が負うべき義務、債務の内容がどのようなものなのか、というところから判断していくことになります。

 従いまして、一番初めにどのような契約かという契約の類型の話をしましたが、類型の話と同時に実際の実態、契約内容を把握することが非常に重要になってくると思います。そういう点では、本検討会ではヒアリングを下にして、実際の働き方、皆さんの働き方を知ることができる非常にいい機会だと思いますので、そこで知ることができました実態に基づいて、私のほうとしては、これまでの判例の考え方や学者の見解とかに基づいて、どのような将来像が望ましいのかということについても少し述べることができればと考えております。以上です。

小畑委員:小畑でございます。厚生労働省の説明を拝聴いたしまして、資料24142ページの辺りかと思うんですけれども、労基法のアプローチ、家内労働法のアプローチ、またさらに民法のアプローチ等もあるかと思うんです。またその法の本体でいくのか、ガイドラインでいくのか、また部分的に適用除外をするとか、また労災のように特別加入制度を認めるかというようなさまざまな在り方があり得るかと思うのです。労基法に関して申しますと、刑罰法規であるということでございますので、その義務主体にとっての予測可能性とか明確性というのが非常に重要になってくる。また監督が可能かということも、さまざまな働き方について問題になってくるところかと考えております。

 そして、クラウド等の新しい働き方につきまして、この中で議論するかと存じますけれど、2016年の2月に内閣府の規制改革会議のほうで多様な働き方と健康の確保ということで少しお話をしたことがございました。当時はアメリカでもEUでもそのクラウドソーシングについての対応が模索されていた中でございました。これから将来我が国のクラウドを考えた場合、クラウドソーシングが国境を越えるかどうかという点等も重要かと思います。また、現在労働者の定義ということを考えますと、報酬額、仕事の引き受け、仕事の完成に至るプロセスを自分で決定するということ等がございますが、典型的な当時のクラウドワークではちょっと外れてしまうのではないかということ、また報酬というのが通貨ではなく、ポイントの形を取るということも考えられます。家内労働法ではITの発達は予想せずに作られておりますので、クラウドソーシングは物ではなく、財とかサービスとかアイディアを提供していくものも多く、報酬も通貨ではなくポイントの形を取ることも多いという点で、どういうふうなアプローチがあり得るのかということも問題かと思います。

 先ほど芦野先生から安全配慮義務のお話等ございましたが、例えば労災の予防について考えてみますに、過労死等も大変重要ではございますが、仕事を依頼する会社にとっては1回的な依頼である可能性がありますので、その場合、それまでまたはそれ以降に蓄積した疲労については無関係でございますし、クラウドワーカーがどれくらいの時間、どのような環境で働いているのか、また数人のチームで働いているのか、1人でやっているのか等の情報もない状況でございます。

 それと比較しますと、サイトの管理者の方は受注数や頻度、業務量等、重畳状態等の情報も比較的多くあると考えられますが、その取り締まりをさせていただく対象として、よりふさわしいと言えるかもしれないのですけれども、そのクラウドワーカーの住所も顔も知らない状態、どのような環境で働いているか、数人でチームを組んでいるか等の具体的な内部的事情が把握されているかどうかと、この検討会でもヒアリング等を通して、お伺いしたいところと考えております。

 また、効果的に安全や健康を確保するということに関してですが、家内の労働法と同様に労働安全衛生法規に準じた対策を部分的にとらせるということは1つの方策かと考えております。

 家内労働法の規定というのは、その就業時間については努力義務でございまして、勧告はできるが、それに過ぎないと。また委託にかかる業務に関しては、機械、その他の設備、原材料、その他の物品を家内労働者に譲渡し、貸与し、提供するとき、危害を防止するため必要な措置を講じることは義務づけられておりまして、講じない場合には、一部使用停止命令等をすることができるという作りになっております。

 また、そのサイトの管理者から見て、発注者が過酷な労働を強いた前例があるとか、注文が過密だというような場合に、何らかの表示をする等をして、警告を与えるということも選択肢かと思われました。

 それからこれも、仕事と生活の調和に関する、労働時間に関する検討会が昨年秋に行われましたが、その中でちょっと出てきた内容で、先ほどの経産省のご説明に出てきたところとちょっと違うところがありました。それは部分的なお話だとは思うのですが、例えばフリーの美容師さんとかエステティシャンの方々が非常に長い間、長時間労働をされていることが、労働者であるエステティシャンや美容師の方々の労働時間の長さに影響を与えるのではないかと、そういうようなご発言がありましたので、ちょっと紹介させていただきたいと思いました。

 また、雇用類似と言えるかどうかということとも関係あると思うのですが、労災の特別加入の関係で、一人親方などがかぶっていますけれども、やはり一人親方と呼ばれる方の被災のケースというのは、死亡災害が非常に多いのは建設でございますが、その中でもやはり一人親方の被災のケースが非常に多いというようなこともございます。このようなことも加味しながら、この検討会の中でさまざまな観点から、今までの枠組みを超えて、かもしれないのですけれども、検討を深めるということが必要かと存じます。以上でございます。

川田委員:筑波大学の川田でございます。労働法分野の研究者という立場からということになります。時間が限られている中で、2点意見を述べたいと思います。まず1点目ですが、この後実態を把握した上で、雇用類似の働き方に対する保護等の在り方について検討していくということですが、厚労省に設置された検討会であることも考えると、まず要綱とか検討課題の中で既に述べられていることではありますが、働き手に対する保護の在り方というのが恐らく最も重要な点になり、実態の把握についてもそのような最終的な保護の在り方について考えるという観点から行っていく必要があるだろうというふうに考えております。

 その具体的な内容については、差し当たり労働法の立場からということになりますと、最終的には既存の労働法の、枠組みの中で捉え切れないような問題が出てくるかもしれませんが、少なくとも入口としては労働法の下で労働者に与えられている保護と類似したような保護としてどういうものが考えられるかというところから検討スタートするのが良いのではないか。そういう中で恐らく労働条件規制であるとか、契約関係の存続・保護、あるいは災害に対する補償といったようなもの等が中心となりますが、その他集団的労働関係も含めて、労働法の保護全体を検討の候補としては考えていく必要があるかと思います。それが1点です。

 それから2点目。これも既に議論の中で出てきていることですが、恐らく雇用類似の働き方というと、実態がかなり多岐にわたることになると思います。恐らく一方の極といっていいのが、例えば第4次産業革命というような言葉で表現されることもあるようなICT技術を生かすような働き方であるわけですが、他方で家内労働法が典型的に想定していたような産業革命という文脈で言うと、第1次の産業革命の前から存在していたような働き方というのも対象に入ってくるわけで、その保護の在り方についても、そういった多様性を念頭に置いて、恐らく一様ではないということになるかと思います。そういった視点が必要かと思います。

 特に雇用類似、労働法の分野からは労働者類似ということになりますが、その比較対象になる労働者にも結構多様なものがあるわけで、雇用類似というときに、雇用という点についていえば、例えば企業の中の高度専門職、事業の中核を担うような正社員、あるいは非正社員などの多様な労働者像のうちどれに類似しているのか。あるいは類似性というときにも、労働法の観点から見ると、先ほど紹介にあった労働者性の考慮要素の中で、例えば仕事の依頼に対する諾否の自由はあるけれども、時間的、場所的な拘束は非常に強く受けているとか、逆に、諾否の自由はないけれども、時間的、場所的な拘束がないとか、そういう労働者性の判断要素の切り口というのが1つの入口段階での切り口になり得て、それに応じた保護というのが考えられるのではないか。雇用類似という概念の多様性をこうした形で捉えていくべきではないか。

 繰り返しになりますが、最終的には既存の労働法の枠組みが捉え切れないというようなところに検討が深まる可能性があると思いますが、労働法の研究者という立場からは、入口としては既存の労働法の枠組みを使って分析していくというのが1つの有益な方法かと考えております。以上です。

土田委員:早稲田大学の土田と申します。独占禁止法を中心にいたしまして、経済法の分野を専攻、専門としております。私は3分間ぐらいのスピーチでいいのかなと思っていたものですから、若干短めになるかも分かりませんけれども、私の問題意識をお話しさせていただきたいと思います。

 かつて労働法と経済法というのは大きくはすみ分けといいましょうか、違う領域、対象に適用されるのだというふうに考えてきたのではないかと認識しております。ある人が労働法の適用を受けますと、その同じ人については経済法、独禁法は適用されないというふうに考えてきたのではないかと思っております。

 ところが、フリーランスと呼ばれるような人たちが増えてきて、同じ人に対して労働法が適用されると同時に独禁法、経済法も適用されるというふうに変わってきているのかと認識しているところでございます。この問題はフリーランスが生まれてきてというふうに言いましたけれども、その前から実はあった問題で、下請事業者、下請けと言いましても、次元が下がっていって、2次、3次というふうにだんだん小さくなればなるほど、下請事業者と言いながら、労働者に近づいてくるということは昔から認識されていた問題だろうと思います。それからコンビニエンスストアのいわゆるオーナーさん、私は実はあれはもう全く事業者だというふうに思っておりました。コンビニエンスストアのオーナーさん、これは個人事業者であって、例えば某有名なコンビニエンスストアの加盟店がおにぎり1個を150円にカルテルを結んで値上げしますと、130円だったのを150円にします、みんなしますと言えば、これは事業者であって、独占禁止法が適用されると考えてきたわけでございます。ところが、何とかコンビニエンスストアについても、加盟店のユニオンというのができて、これが本部と団体交渉する必要があるというようなことが言われてきて、これは2つの地方労働委員会では労働組合法上の労働者だということで認められている。そういう判断が出て、今中労委にかかっているだろうと思います。確定はしていないにせよ、そういう判断が出ているということで、同じコンビニの加盟店でも行為によって、価格カルテルという行為については独禁法が適用され、団体交渉する必要があるということでは、労働組合法上の労働者だというようなことになってきているのではないかと思います。

 同じ問題はプロスポーツの選手とかタレント・俳優というような人たちについても言われてきたわけですけれども、これはあんまり大きな問題にはならなくて、グレーゾーンのところかと思いますけれども、フリーランスと呼ばれる人たちが出現するということによりまして、この問題がより大きな形で表れるといいましょうか、認識されるようになってきたのではないかと思います。ですので、私の問題意識としては、労働法と経済法、独禁法との適用関係がどうなっているのでしょうかというのが1つでございます。

 少し話が専門的になって恐縮ですけれども、独禁法が適用できるということになりますと、その後は独禁法の要件に当たるかどうか、カルテルですと、不当な取引制限という26項の要件に当たるかどうかということが問題になりますので、その際にどういう問題があるのか。あるいは先ほどどこかに出てきたと思いますけれども、下請代金支払遅延等防止法、いわゆる下請法という法律もありますので、それがフリーランスと呼ばれるような人たちに適用できるのかどうか。要件を詰めて考えていかなければいけないだろうと思っております。

 基本的にはこの分野は労働法が適用され、そこが問題になるのだと思いますけれども、補足的に、補充的に独禁法、経済法の出番もどの程度あるのだろうか、貢献できるのだろうかということで考えてみたいと思っております。私のほうからは以上です。

宮田委員:特定非営利活動法人フラウネッツの宮田と申します。私は2003年ぐらいから在宅ワーカー、ソーホー個人事業主と呼ばれる方たちの支援を行っておりました。実は、こちらのほうに新しい働き方という言葉がたくさん出てくるんですけれども、2000年ぐらい、もうだいぶ前から、実は、新しい働き方と呼ばれている働き方は実際にあったんですね。決して新しくはなくて、実際にあったのですけれども、やっぱりご存じの通りインターネットを介するようになって、多様に広がって、いろいろなことが追い付いてこなくなったという状況があります。

 実際に、私のNPOのほうで相談のコーナーがあるのですけれども、今資料7で紹介いただいた相談の内容と今も昔もほとんど内容は変わらないです。在宅ワーカー、いわゆるフリーランスの方たちの中で、一番やっぱり私たちが答えられるのは民法です。資料の43ページ関係法律の概要の、民法の話はすることがあります。請負や、雇用に関するところなのです。ほとんど労働基準的な内容は対象外であるということで、なかなか健康を壊してしまったとか、たくさん働いているのだけど、何とかならないかというのは実際のところ答えられていません。そこをどこに相談するのかというところで、社員であれば労働局だったり、会社の上長だったり、会社が雇っているお医者さんだったり、たくさんあるのですけれども、残念ながら非雇用型テレワーカーや個人事業主の方、一人親方の方の相談場所というのは、あるのかもしれないけど、今のところまだまだ認知されていないというのが現状です。

 やっぱり雇用類似の働き方というような名前が付いているのですけれども、実際に労働はしているのですけれども、自分が何者であるか、どこに属するのかというのが明確になっていない状態でのスタート。先ほど資料7のほうにも非常に興味深いデータが出ていまして、実際に雇用関係なくして、社会人になって働いたという方は非常に少ないという資料が出ていたと思います。その通りだと私も思います。その中で、実際会社員や公務員を経験して在宅ワーカー、個人事業主、フリーランスになった方たちにとっては、社会保障の面や相談できる場所、条件とか法律とかが何も知識がない状態で放り出されてしまう。その中で、BtoBと言いますか、企業対企業、企業対事業主、企業対フリーランスなので、請負の契約はあっても、「あなた、その通りにやりなさいよ」という厳しい社会の現実が待っているということで、なかなか弱者ではないですけれども、きちっと法律で保護しなければいけないのではないかなと思っております。

 私の立場としては、現場がどうなっているのかという現状をお話しして、こういう働き方が実際に発生しているということをお伝えする役目かなと思っているのです。やっぱり先ほど資料にもあった通り、研修、スキルアップ、OJTですね。企業の中ではOJTを当たり前のようにやっています。もちろん在宅ワーカーとか個人事業主に企業が求めるものは専門性です。専門性を生かしてやっていかないと、なかなか仕事も継続していかないという問題点もあるのです。

 今在宅ワーカーとか個人事業主の方で、話題になっているAIを駆使してお仕事をなさっている方もたくさんいます。これからどんどんパソコン環境やインターネット環境やソフトが充実していく中で、一緒にスキルアップをしていかないと仕事の継続というのは難しいですよね。だからそういう場も残念ながら、今のところないです。これは法律で何かというような問題ではないですけれども、そこの企業との誤差といいますか、認識の違いを少しずつ縮めて、お互いに仕事が受けやすく、契約がしやすくなるような環境を整えていければいいなと考えております。よろしくお願いします。

村田委員:リクルートワークス研究所の村田と申します。私は外部労働市場、主に人材ビジネスを専門にしておりまして、その観点からいくつか申し上げたいと思います。まず雇用類似の働き方の名称です。雇用類似という名称があいまいで、例えばクラウドソーシング、ギグワークなどいろいろなものが出てきております。こうした働き方をするということに対する名称付けが必要と思います。

 次に、実態について、私はこれまで雇用類似の働き方に関しては、3つほど接点がございました。その接点は、最初は、25年位前に、リクルートの求人広告の審査をしている部署に所属しておりまして、当時は就職情報誌という紙の本、今はジョブポートですが、掲載内容に業務委託や請負というような就業形態が散見されておりました。

 当時は企業側も個人側も双方がどういう働き方なのか、どのような保護が必要なのかをまだ認識しておらず、一緒に何が必要なのか、もしくは必要としていないのかなど確認しております。当時は業務委託書、契約書の有無、契約書自体がきちんと結ばれていないケースもありましたし、指揮命令とか就業形態、労働時間の考え方みたいなものも双方ともによく分かっていない。報酬形態、就業場所、社会保険の有無とかいくつかのチェック項目というのをつくり、私どものほうでチェックをしておりました。

 当時、企業側はどちらかというと雇用に近いような考え方をされているところが多く、例えば社員旅行に連れていくとか、福利厚生の一部を適用しているなど、従業員と同じように業務委託の方にも優しくというような観点で、さまざまな手当を付与されているという状況も、散見されておりました。今は双方の意識が高まり、何がグレーゾーンなのか、何ができないのかという認知が少しずつ上がってきたと思われます。

2つ目は、弊社は元々は出版社で、周辺に業務委託や、フリーランサーという就業形態で働いている方が多くいらっしゃいました。今でも、例えば編集者、ライター、カメラマン、教育トレーナー、客員研究員というような、個人事業主、フリーランスも周辺にはたくさんおります。その主な特性としては、1社に専属して、1社に依存度の高い働き方をしている方、それと独立をして、複数の会社からお仕事をいただいている方、というように2つのフリーランスの形が見られます。私どもでは、1社専属で依存性の高い方に対してはディペンデント・コントラクター、複数の企業から受託する場合はインディペンデント・コントラクターというふうに、二分して考えるようにしております。1社専属と複数の方では、自由度や独立性もそれぞれに異なってまいりますので、別に分けて考える必要性があると思っております。

3つ目は、2000年以降リクルートワークス研究所というのを立ち上げて、研究における接点です。これまで個人独立事業者の調査・研究というのを数回行っております。これは求人の観点からとそれ以外の部分も含めてですが、サーベイ調査とか実際に個人の方にお会いしてお話を聞く取材調査というアプローチを行っております。

 求人からの観点では、現在の東京都で業務委託の状況について、把握したいと思い、私どものインディードという媒体で求人状況を調べました。これは弊社を含むあらゆる求人情報サイト、情報サイトに掲載されている求人募集を収集してまとめております。先週の時点では44職種がこちらに掲載されておりました。比較的新しい職種では、例えばスーパー等を回るラウンダー、アプリの開発者、ゲームなどのシステム画面のバグのチェックなどがありました。これは先ほどのクラウドワーカーに通じるものと思いますが、そうした募集が非常に増えてきていると感じております。それとウーバーイーツのような出前専門サービスのような比較的新しい職種も散見されており、従来型ではない働き方が非常に増えております。さまざまな職種も増えておりますので、改めて把握の必要性があると感じております。

 他にも、先ほどご報告いただきました調査にある職種、例えば建設、軽作業、物流、製造、コールセンター、カスタマーサポート、というような従来型の職種も多くあるというのが特徴です。

 賃金の動向に関しましては、日本に限らずグローバルの視点で、少しお話をさせていただきたいと思います。私はHRテクノロジーの研究をしており、雇用類似の働き方との関連でお話ししますと、最近はクラウドソーシングが急増しております。クラウドソーシング専門サービスもそうですが、こうした働き方を対象としたビジネスが非常に増えています。

 例えば企業人事向けでは、ベンダー・マネジメント・システム(VMS)というものがあり、従業員、通常の正社員と非正規雇用、雇用類似の働き方を企業が一括して管理するシステムが出ており、また、フリーランスを管理するフリーランサー・マネジメント・システム(FMS)というようなビジネスもあります。また多様なフリーランサーを管理する、クラウド・ソースド・リクルートメント等があります。これは例えばアマゾンさんのような企業が、一時的に大量に労働力を必要とする場合、先ほどのバグのチェックみたいな、数千、数万というような単位のものを一瞬というか、数分で業務を発注して処理をすると、そういった働き方があるのですけれども、高度なマッチングをして、振り分けて、十何万というタスクを数分で完了させるというような、雇用類似の方々を多様に活用するビジネスモデルもあり最近活用されております。

 その他に、フリーランサーの方の身元の調査、管理、報酬の支払いをサポートするもの、フリーランサーの事務代行とか営業代行をするサポートもあります。

 テクノロジー以外のサポートでは、海外ではジョブ型の国が非常に多いので、例えば米国であればギルドという職別の組合が、サポートをしております。職業の紹介、社会保険の団体割引や事務サービスなど、セーフティネットの機能というのも代替している、これも参考になるのではないかと思っております。

 雇用類似の働き方は、かなり広範になっていますので、まずはその把握をはじめるのがよいと考えております。以上でございます。

湯田委員:クラウドソーシング協会で事務局長をしております湯田でございます。よろしくお願いいたします。今、村田委員からもお話がありましたが、多様な働き方にむけた人材活用が進んでおり、私は企業へのコンサルティングや、ワーカーの方との意見交換、また非雇用型だけではなく、雇用型でのテレワーク活用企業への組織コンサルティングや採用支援を通して把握している現況や、変化を捉えながら発言をしていきたいと思っております。

 まず3点。非常に参加しやすくなっている。そして、同時に並行して就業することが増えている。そして、参加者増はしているものの、関連する知識の理解、浸透は十分ではない。このような事象を捉えて、検討していかなければいけないと思っています。

 クラウドソーシングでいいますと、現在登録されているユーザー数は昨年330万人を超えており、時間や場所にとらわれないという利点もあってさまざまなスキルの方が登録されています。1件数十円という仕事から、1カ月100万円の収入を得る方までいらっしゃいますので、安易にくくり過ぎず、適切に分類把握をして、検討していくことが必要と思います。

 先ほど小畑委員からご指摘がありましたように、日本の企業が海外の人材を活用する、海外の企業が日本の方を活用するというケースも増えており、また、金銭以外の報酬という形態をとる事業者もあり、クラウドソーシング事業者についてもひとくくりで定義できる状態ではない現状があります。そのため、定義の整理等も進めつつ検討していかなければいけません。日本でいうクラウドソーシングは業務委託としての認識が強いですが、海外のサービスでは消費契約に近いものや、また契約形式を明示しないものもあります。この辺りについても、雇用型か非雇用型かの整理だけではなく、さらに多様なサービスが広がっているということも把握していく必要があるかと思います。

 一方、発注者については、日本では発注経験がある方が、特に中小企業では多くないということもあります。土田委員からご指摘があった下請法や関連法令を知らないという方々もたくさんいらっしゃいますので、それらの認知を広げつつ、労働者性の判断基準等についてももう少し分かりやすくシンプルにしていく必要があると捉えております。

 受注者についても、自分が契約当事者という意識を持っていない方も多くいらっしゃいます。やはりインターネットを通じ気軽に仕事ができるということもあり、自分が個人事業主にあたるのか、また契約書を締結しているのか、どの契約項目が重要なのかということについて認識できている状況もあるため、情報整理をしたうえで、働き方のタイプごとに何に留意が必要だということを的確に伝えるために、どのような形式に分けておくほうがいいのか、ということも踏まえて雇用類似の働き方を整理していくべきと感じています。

 先ほどクラウドソーシングの説明にかかり、村田委員よりサービスの業態が分かれてきているというご指摘もありました。不特定の方に対しインターネットを通じ仕事依頼の募集を行うことをクラウドソーシングと広く言っているものの、現在サービス形態も広がり、指名した方を反復継続的に依頼し、1社への従属性が高くなる状況で活用されている企業も出てきていますので、それらのケース等も今後紹介していければと思います。

 まとめますと、多様な働き方に参加しやすくなっている状況を鑑み、周辺知識も含めて教育が必要になっていること。同時に並行して働く複業の状況が多くなることより、労働者を1つの類型に整理定義することは今後難しくなっていくと考えられ、資料7にも記載ありましたが、雇用型、非雇用型だけではなく、他のポジションとして整理しうる考え方等を提示していく必要があると思います。

 また、企業の事業運営において非定型で、小ロットで、スピード対応が必要な業務についてもアウトソーシングを活用している現状もあり、過度に企業に負荷が掛かる運用となると、人材活用がうまく進まないということもあります。関係者にとって分かりやすいフレームにしていくために、雇用類似の働き方の整理をどうしていくべきか、皆さんと検討させていただければと思います。以上でございます。

鎌田座長:皆さんどうもありがとうございます。既にかなりさまざまなご意見をいただいて、参考となるところでございます。私からも1委員として、この問題に対する私の考え方といいますか、スタンスを少しお話ししておいたようがよろしいかと思いますので、お話をさせていただきます。

 まず、本検討会は雇用類似の働き方に関する検討会ということで、もう少し言いますと、雇用類似の形で働いている方たちの就業環境を整備し、必要であれば保護も加えていくなどの法的観点も含めて検討していくというのが、この検討会の趣旨でございます。こう言ってしまうと、割とありきたりなことかと思いますが、実はなかなかこの問題の本格的な取り組みというのは少なかったと思います。ここ12年で、先ほどの経産省の方のお話、今現在公取のところでも検討されているということ、いろいろなところで検討して、また、働き方改革実行計画の中でも取り上げられているということで、本当にここ数年で一挙に大きな問題といいますか、注目を浴びているわけで、そういった意味では検討の時期が今きたのかなと思っております。

 その際に、雇用類似の働き方という切り出し方ですが、これは社会的な意味でこういう切り出しがいろいろ認識をされていると思っております。私自身はこういった言葉でこの検討会の対象を一応切り出しておく、ということに対しては、よろしいのではないかと思っております。これはどういう意味かといいますと、経産省の方は雇用関係によらない働き方というふうなおっしゃり方をしていて、ところが具体的に調査ではいわゆる士業といいますか、税理士さんだとか弁護士さんという方たちは除いたということで、ですから個人事業主性が強い方たちは一応除いていくというような対象設定をされていると思います。

 もう一方で先ほどから皆さんからご議論されているように、労働者という概念が非常にいろいろなところで問題になって、そして労働者自身も多様化しているという中で、この雇用類似という切り出し方によって、労働者とはいえないけれども、しかし一定の就業環境の整備が必要となる、ある種の中間的なものを、本格的に検討してみたらどうかという趣旨ではないかというふうに思います。こういったアプローチも私は重要じゃないかと思っております。

 ただ、そうは言っても、労働者であるのか労働者でないのかというのはケースバイケースでいろいろ議論になるところではあります。そういたしますと、雇用類似の働き方の「類似」というのはどういうものを具体的にイメージするのか、ということになってくるのですが、これはこれから皆さんと実態を踏まえて議論していくことになろうかと思いますが、多種多様であるだろうと思います。

 今まで皆さんに議論いただいて、そうだなと思ったのは、今話題になっているフリーランスとかクラウドソーシングとか在宅ワーカーとかそういった形の人たちもおりますし、一方では従来型といわれるような人たち、例えば大工さん、芸能実演家の方たち、ドライバーの方たち、そういう方たちもいる。やはり全体を見ながら考えていかなければいけない。そうした場合、これから実態を踏まえて課題を考えるということになりますけれども、こういったさまざまな多種多様な人たちによって、たぶん課題というのもいろいろ違ってくるのではないか、そこら辺のところをこれからヒアリング等を進める中で実態を聞いて考えていきたいと思っております。

 ということで、あと保護と就業環境の整備についてですが、このことについては今皆さんのご意見の中で、いろいろな観点が提示されました。就業環境の整備ということは、労災、安全衛生の問題、賃金を含めた労働条件の問題、それから雇用の継続の問題等々が挙げられておりまして、こういったことも課題として考えていかなければいけないということと同時に、一方で事業主としての性格も持っているということから独禁法の問題、それから発注者あるいはクラウドソーシング会社等の方たちを活用する事業主の観点、こういったことも併せて検討していく必要があるのではないかと思っております。

 今、皆さんのお話を伺って、私としてはこういった感想を持ったところであります。さて、改めて、委員の皆さんのご意見を伺ったところで、さらにご意見があれば、補足でも結構ですが、いくつかご意見いただければありがたいと思います。ございませんでしょうか。ちょっと私がまとめ的な言い方をしてしまって、大変恐縮ですが、どうぞおっしゃってください。

 よろしいですか。まだもう少しメニューが残っておりますので、また後でおっしゃってくださっても結構でございます。それでは続きまして、資料5及び6について説明をお願いいたします。

在宅労働課課長補佐:では、資料5、資料6について、ごく簡単に説明させていただきます。資料5、今後の進め方という資料を用意させていただいています。第1回が本日ですが、現状や今後の進め方についてご議論いただくという回で、2回目につきましては、関係者のヒアリングを予定しております。それに関連しまして、資料6ですけれども、雇用類似の働き方に関する検討会における関係者ヒアリングについて、ということで資料を用意しております。働き方の実態は多種多様にわたるだろうと想定されますので、そもそもどういった関係者から声を聞いたらいいか、ということについても、本日の検討会でご議論いただけるとありがたいと思っているところです。例については、参考までに挙げているという形になるのですけれども、例えば、関係団体の方、労働組合法上の労働者と想定される業種、こういう業種の中には労働基準法の労働者には該当しないと一般に言われている人たちもありますので、そういった人たちが中心になってくるのかなと。あと個人請負の活用が多いと想定される業種、あと新しい働き方、こういった区分けが考えられるのかなというふうに例としては記載させていただいているのですけれども、あまりこれにとらわれることなく、ご自由に発言をいただけるとありがたいと思っているところです。ごく簡単ですが、以上になります。

鎌田座長:ありがとうございます。それではただいまの説明を踏まえまして、次回以降の関係者ヒアリングの対象者等に関してご意見がありましたら、どうぞお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

湯田委員:関係者のヒアリングについて、個別の方からケースを聞くことも重要と思う一方で、多くの意見を集約している団体も出てきています。先ほど伊藤参事官から紹介があったプロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会では、いろいろな業務に従事されている方、業務委託で受けているものの、特定の1社の方と取引がほとんどという方のケースも把握されていらっしゃいますので、そのような方々の意見抽出をしていただいた上で、協会の方にケース発表をしていただくのも良いかと思います。

鎌田座長:ありがとうございます。その他ございますか。宮田委員どうぞ。

宮田委員:団体の意見というのは非常に大切だと思うので、ぜひまとめた意見を聞きたいなというのはあるのですけれども、先ほどちょっと主婦の方という言い方をしてしまうといけないですけれども、扶養の中に入りながら仕事をされていらっしゃる女性だったり、職種でいうと専業主婦かもしれないんですけれども、そういう方たち、あと例えばこちらで芸能人というのもいくつか名前が出ていますけれども、芸能人といいますか、声優さんだったり、ある一定の雇用関係、所属事務所に入っていらっしゃる方の個別の環境がどうなっているかというのもちょっとお聞きしたいです。

鎌田座長:ありがとうございます。その他、何かございますでしょうか。特定に団体ではなくても結構で、こういったような職種、あるいはこういった業界の団体の方ということで結構だと思います。

 これから私と事務局のほうで具体的にどこにヒアリングをお願いするかというのを相談して決めたいと思うのですが、今私が何となく思っているのは、1つは多種多様な人たちがいる中で、課題もさまざまでしょうというお話をしましたので、今挙げていただいた人たち以外ということであれば、1つは大きく伝統的な職業で、雇用類似の方たち、今、芸能実演家の方たちが挙げられましたので、それも非常にいいかなと思いますし、あと建設とか運送関係の方たち、そういった人たちも考えられるかなと。

 それから裁判例等を見ますと、委託で働いている方たち、主にサービスですけれども、修理とか契約取り次ぎだとか、具体的には裁判例で上がっている人たちということになれば、NHKの受信料の受託集金等、裁判も起こしておられる方たちもいます。ただし、現に係争中のかたがヒアリングの対象でいいかどうかというのはいろいろ議論があるところなので、少し検討させていただきたいと思います。

 それから新しい働き方ということでいえば、先程来お話のあったフリーランスの方たち、メディア関係のフリーランスの方は結構たくさんいらっしゃる。ライターだとかエディターだとか、あるいは在宅ワークの方たちがいらっしゃる。ということで、こういったような人たちの個人でも結構ですし、こういう人たちの意見、利益をある程度広くご存じの方がいればヒアリングをしてみたい。他方でそういう人たちを活用している側の会社や人たちを、バランス良くヒアリングができればいいなと思っています。というところで、今考えて、具体的に誰にするかというのは、これから改めて皆さんのご意見を伺いながら決めていきたいと思っております。

 他に何かございますか。よろしいですか。もし、何かご意見があれば、どうぞ遠慮なく、この検討会が終わった後でもご指摘いただければありがたいと思っております。それでは、時間もそろそろ定刻にきておりますけれども、厚生労働省から何かございますか。

在宅労働課課長補佐:厚生労働省から次回の日程についてなんですけれども、すみません、具体的にはまだ決まっておりませんで、冬ごろをめどに調整中ということになっております。ですので、確定次第、開催場所と併せまして追ってご連絡をさせていただければというところです。

鎌田座長:ありがとうございます。本日はお忙しいところお集まりいただき、誠にありがとうございます。これにて第1回雇用類似の働き方に関する検討会を終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)

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