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2017年10月26日 第9回過労死等防止対策推進協議会 議事録

労働基準局総務課(過労死等防止対策推進室)

○日時

平成29年10月26日(木)10:00〜12:00


○場所

厚生労働省 省議室
(中央合同庁舎第5号館9階日比谷公園側)
(東京都千代田区霞が関1−2−2)


○出席者

<専門家委員>

岩城穣委員、岩村正彦委員、川人博委員、木下潮音委員
宮本俊明委員、森岡孝二委員、山崎喜比古委員

<当事者委員>

寺西笑子委員、中原のり子委員、西垣迪世委員、前川珠子委員

<労働者代表委員>

白井桂子委員、中川義明委員、村上陽子委員

<使用者代表委員>

山鼻恵子委員、輪島忍委員

○議題

(1)平成29年版過労死等防止対策白書、平成29年度の取組状況・予定及び平成30年度概算要求について
(2)今後の過労死等防止対策の進め方について
(3)その他

○議事

○岩村会長 おはようございます。ただいまから「第9回過労死等防止対策推進協議会」を始めさせていただきたいと存じます。委員の皆様におかれましては、御多用中にも関わらずお集まりいただき、誠にありがとうございます。

 本日の委員の出欠ですが、堤明純委員、八野正一委員、小林信委員、小林治彦委員が、それぞれ御都合により御欠席ということでございます。

 はじめに、本日付けで委員の改選がございました。新たに就任されました委員お二人を御紹介いたしたいと思います。恐縮ですが、お手元の資料のうち後ろのほうにあると思いますが、参考資料1を御覧いただきたいと存じます。

 労働者代表委員の中村慎吾委員に替わりまして、白井桂子委員でいらっしゃいます。同じく、労働者代表委員の冨田珠代委員に替わりまして、中川義明委員でいらっしゃいます。よろしくお願いいたします。

 また、事務局にも異動がありましたので、御報告を頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。

○佐藤企画官 事務局に異動がございましたので、御紹介申し上げます。労働基準局安全衛生部計画課長の久知良です。労働基準局安全衛生部労働衛生課長の神ノ田です。

○岩村会長 どうもありがとうございました。それでは、カメラ撮影はここまでとさせていただきたいと思います。

 お手元にあります議事次第を御覧いただきたいと思います。本日は議題が3つほど用意されております。1番目の議題は、平成29年版過労死等防止対策白書、平成29年度の取組状況・予定及び平成30年度概算要求についてです。過労死等防止対策推進法に基づき、平成29年版過労死等防止対策白書が策定され、今月6日に閣議決定が行われ、更に国会への報告が行われた上で公表されたところです。また、今年度に入り6か月が経過したところではありますけれども、この間、各行政機関において平成29年度の取組が進められております。そして、平成30年度の概算要求が行われているところです。

 本日は厚生労働省のほか人事院、内閣人事局、総務省、文部科学省からも御出席いただいております。

 そこで、まず厚生労働省から、平成29年版過労死等防止対策白書の概要と厚生労働省における平成29年度の過労死等の防止対策の実施状況、さらに過労死等防止対策に係る政府全体の平成30年度予算について御説明いただきたいと思います。その後に人事院、内閣人事局、総務省、文部科学省の順番で、各省における実施状況を御説明いただくこととさせていただきます。その上で、最後に説明事項に関する質問又は議論の時間を設けたいと存じます。

 まず、厚生労働省から御説明いただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○佐藤企画官 資料1-1と資料2、資料7に基づき御説明申し上げます。最初に資料1、過労死等防止対策白書骨子で説明させていただきます。それぞれのページの右下に小さくページが打ってありますので、そちらを申し上げながら説明します。

 まず1ページ、先ほど会長もおっしゃいましたが、今回の白書は昨年に続き2回目の白書でございます。第1章から第4章までのつくりとなっています。第1章では労働時間やメンタルヘルス対策の状況について記載しております。御承知のように、過労死等防止対策推進法につきましては、それに基づく大綱が定められています。その中で3つの目標が掲げられており、それに関するものが1ページです。

 左下、1-1図、目標の1つ目ですが、週労働時間60時間以上の雇用者の割合を5%以下ということで、60時間以上の雇用者の割合を示したグラフです。茶色のところが週60時間以上の方の割合で、少しずつ減ってはおりますが、平成28年で言いますと7.7%という水準になっております。

 右上、1-2図は年次有給休暇の取得率についてのグラフです。取得率を平成32年までに70%以上にするという目標ですが、平成27年では48.7%という水準になっております。

 右下、1-3図ですが、メンタルヘルスケアに取り組んでいる事業場の割合のグラフです。目標は平成29年までに80%以上とすることとされておりますが、平成27年の数字で59.7%といった状況になっています。平成27年のこの数字を企業規模別に見たものが右側のグラフです。御覧いただきますように、事業所規模が50人未満のところで数字が低くなっている様子が御覧いただけるかと思います。

2ページは第2章、過労死等の現状について記載したものです。こちらは、民間雇用労働者についての脳・心臓疾患と精神障害の支給決定件数を表しております。

 左側、2-1図が脳・心臓疾患に関する支給決定件数の推移です。水色のグラフが支給決定件数、オレンジ色がそのうち亡くなられた方の数字です。平成28年では260件の支給決定があり、そのうち107人の方が亡くなられているといった数字です。

 右側、第2-2図ですが、精神障害の方の支給決定件数の推移です。こちらも水色のグラフが支給決定件数、平成28年度では498件となっておりまして、そのうち未遂を含め自殺の方が84件という数字になっております。

3ページですが、労働安全衛生総合研究所の過労死等調査研究センターで、過去5年間に労災認定された事案を分析した結果です。左側、3-1図が脳・心臓疾患、精神障害の年齢階級別の事案数です。青い方が脳・心臓疾患、赤い方が精神障害のグラフです。脳・心臓疾患につきましては50代の方、40代の方が多くなっておりますが、精神障害の方は30代、40代、また29歳以下というところでも相当の方が該当しております。

 右下、3-2図は業種別に5年分の事案数を見たものです。水色のグラフが脳・心臓疾患、オレンジ色が精神障害です。脳・心臓疾患につきましては運輸業,郵便業が464件、卸売業,小売業が229件という順で多くなっております。精神障害につきましては製造業の349件、卸売業,小売業の290件、医療,福祉の230件という順番になっています。

4ページ、過労死の大綱の中で重点業種ということで、5つの業種を列挙してあります。自動車運転従事者、外食産業、医療、IT産業、教職員というように5つ掲げられているわけですが、そのうち昨年度は、自動車運転従事者と外食産業につきまして、深掘り調査ということでアンケート調査を実施しました。その結果を示したのが4ページです。

4ページは自動車の部分です。自動車と一口に言いますが、一様ではないということで、バス、タクシー、トラックに分けて分析した結果です。左側の上のほうがストレスや悩みの内容(業務関連)の結果ですが、バスの運転者で59.5%と一番多くなっております。その悩みの内容につきまして、下で結果を示しております。全体では仕事での精神的な緊張が多くなっておりますが、バスの運転者では長時間労働の多さ、タクシーの運転者では売上・業績、トラックでは精神的な緊張、こういったものが多くなっております。

 右側はトラックについて企業にお尋ねした結果です。荷主から要請される事項等についてお聞きしたところ、「荷主の都合で出入荷で手待ち時間が発生する」が55.6%と多くなっております。また到着時間の要請、契約外の荷役作業・附随作業等も一定の数が挙げられております。右下は健康診断の受診率についての結果です。輸送・機械運転従事者、これにトラックも含まれるわけですが、健康診断の受診率は95.2%あるという調査がある一方、今回調べましたトラック運転者の労災認定事案では約7割、69.2%にとどまっているといった状況になっております。

5ページは外食産業について同様のアンケート調査の結果です。ストレスや悩みについて、業務関連のものをお尋ねしたものですが、外食産業も仕事の中身により、幾つかの店舗を統括するようなスーパーバイザーの方、店長の方、従業員の方、また従業員のうち非正規の方に分けて分析した結果です。ストレスにつきましては、店長の方が一番多く64.3%になっております。左側の下はその中身について分析したものですが、スーパーバイザーの方や店長の方は売上・業績などを掲げる方が多く、店舗従業員の方は仕事での精神的な緊張を掲げる方が多くなっております。また真ん中辺、スーパーバイザーの方では社内で上司と部下の板挟みになるといったことを掲げる方も多く、店長では客からの苦情等を掲げる方も多くなっています。

 右側で疲労蓄積度を見ております。疲労蓄積度につきましても、スーパーバイザー、店長の方は従業員に比べて高い数字となっています。右下の休日出勤の回数を見てみますと、平均的な月で0.9回とか1.5回ですが、最も多かった月では3日を超える数字がスーパーバイザーの方、店長の方で認められるところです。

6ページは、これも大綱の中で求められているものですが、法人役員や自営業者、一般的には労働基準法の適用のない方が多いかと思います。こういった方々の状況を調べるアンケート調査を実施しております。上半分が平均的な1週間の実労働時間です。緑のところが40時間以上50時間未満、水色が30時間未満、こういったところが数的には多いのですが、右端の60時間以上という数字が、法人役員では9.3%、自営業者では13.6%となっております。先ほど冒頭で、週60時間以上の方を5%以下にするという目標の中で、労働者の方が7.7%という数字がありました。これと比べても多い数字が出ております。

 下半分はストレスについてお尋ねしています。法人役員、自営業者ともに6割近く、ストレスがあるとおっしゃっています。ただ、その中身につきましては、右側で御覧いただけますように、今後の事業展開、業績資金繰りといったものを掲げる方が多くなっております。こういったことから、一般の方と同じように長時間労働の抑制やストレスへの対応も必要ではないかと考えます。

7ページ、8ページは一昨年、業種横断的に実施しましたアンケート調査を再分析した結果です。週の残業時間、年間の年休取得日数やメンタルヘルスの状況に、他の要因がどのように影響を及ぼしているかを調べたものです。

 上半分が労働時間把握の正確性が与える影響について記載しています。労働時間を正確に把握されていないという方を0とした場合、水色の棒グラフの「正確に把握されている」と答えた方については、週の残業時間ではマイナス6.136時間以上残業時間が減る。年次有給休暇取得日数では年間1.93日取得日数が増える、メンタルヘルスの状況は良くなっているという結果が出ています。同様に、下の3-4図では残業手当の支給の有無の影響を見たものです。支給されていない場合を0とした場合、水色のグラフの「全額支給されている」という方は年休取得日数は多くなり、メンタルヘルス状況は良好になるといった結果が出ております。

8ページを御覧ください。3-5図は平均的な1週間当たりの残業時間が与える影響です。0時間を基準とした場合、例えば紫色の「週20時間以上残業している」という方は、年休の取得日数は少なくなり、メンタルヘルスの状況は悪くなっているといった結果になっています。また、3-6図では「今の職場やこの仕事にやりがいや誇りを感じている」といった方、また「自分に与えられた仕事に裁量を持って進めることができる」方、「全体として、仕事の量と質は適当だと思う」という方が、メンタルヘルス状況が良くなっているといった結果が出ております。

9ページ以降は対策の実施状況です。9ページは昨年末、長時間労働削減推進本部が決定しました「『過労死等ゼロ』緊急対策」についてです。1つ目として、違法な長時間労働を許さない取組の強化ということで、新たなガイドラインを設け労働時間の適正把握を徹底したり、企業本社に対する指導や企業名公表制度の強化を進めるほか、2としてメンタルヘルス・パワーハラスメント防止対策のための特別指導・周知啓発等に取り組んでおります。また、3にありますが、緊急要請をしたり相談窓口を充実したり、法令違反で公表した事案をサイトで掲載するといった取組を進めているところです。

10ページは働き方改革実行計画の関係です。詳しくは申し上げませんが、時間外労働の上限規制、パワハラ対策、メンタルヘルス対策等が定められております。この中で、右側のパワーハラスメント対策、メンタルヘルス対策の所の、下の方で「過労死等防止対策推進法に基づく大綱において、メンタルヘルス対策等の新たな目標を掲げることを検討するなど、政府目標を見直す」といった記述も入っているところです。

 最後の11ページ、その他の実施状況につきまして、法律の4つの柱である調査研究等、啓発、相談体制の整備、民間団体の活動に対する支援に分けて紹介しているものです。白書で詳しく説明させていただいております。この最後にコラムが書いてあります。民間団体の方、国、地方公共団体の方の取組をコラムで紹介しておりまして、過労死弁護団、家族の会の皆様にも執筆いただいております。以上が1-1の説明です。1-1につきまして、白書は平成28年度に実施したことを中心にまとめているものです。

 続きまして、資料2を御説明させていただきます。資料2は平成29年度、今年度における実施状況をまとめたものです。平成29年度の取組ですが、平成28年度を引き続き進めるといった内容もありますので、中身については飛ばし飛ばし説明させていただきます。

1ページ目は、今ほど申し上げました「『過労死等ゼロ』緊急対策」です。赤字で書いてあるところが、この日より実施ということで、今、正にそれぞれについて取り組んでいるといったところです。

2ページ目は働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱です。で労働時間の関係等が示されております。

3ページは正にこの11月、過労死等防止啓発月間における取組を載せております。法律ができまして3年で、ようやく47都道府県でシンポジウムを開催することができることになっております。左側にポスターをお示ししておりますが、今年度は総務省、文部科学省もクレジットを入れていただいたといったところが去年と違っているところです。

4ページ目は11月に実施する過重労働解消キャンペーンについてです。使用者団体等に協力要請をしたり、ベストプラクティス企業への職場訪問、重点監督を実施するといったことがあります。この土曜日、1028日に無料の電話相談を実施する予定としております。また、セミナー等の開催も予定されています。

5ページは、先ほど申し上げました労災認定事案の分析が上半分です。労災認定事案、不支給事案を分析してきたところです。今年度は3年間の研究成果の取りまとめをすることとしております。そのほかにも10年程度かけるコホート研究、職場環境の改善に向けた介入研究、実験研究を引き続き進めているところです。

6ページは、先ほど自動車や外食産業について申し上げました労働・社会分野の調査・分析です。本協議会からも森岡委員、山崎委員に委員として御参画いただいております。先ほど申し上げた外食・自動車以外の重点業種がIT、教職員、医療です。これを今年度分析して、来年度の白書に載せられればと考えております。

7ページは職場のパワハラ予防・解決のための周知・啓発、また学生に対する労働条件の啓発、年休の取得促進です。赤字が今年度の実績を盛り込んだものです。

8ページは長時間労働削減対策ということで、監督指導の徹底、過重労働解消キャンペーン、「かとく」の新設、新しいガイドラインの周知徹底、こういった諸々のことを書いております。

9ページはメンタルヘルス対策の実施状況です。左下のストレスチェック制度が設けられ、平成296月末現在で事業場の実施率82.9%というような数字があります。また、右側では事業場の取組を支援する施策として産業保健総合支援センターによる支援、専門的な相談、訪問指導等をやっているといった実績を掲げております。

10ページ以降、商慣行を踏まえた取組ということで、自動車運送業への取組ということでは、関係省庁連絡会議がこの828日に「直ちに取り組む施策」を策定し、今後行動計画を策定予定ということです。またトラック協議会、トラック運送業の生産性向上協議会というものの中で、ガイドラインについて御検討されています。真ん中の建設業ですが、こちらも関係省庁連絡会議が、この828日に「建設工事における適正な工期設定等のためのガイドライン」を策定し周知をしているということです。また、建設業の働き方改革に関する協議会ということで業界団体、民間の会社が一緒になって議論をしていただいています。一番下、情報通信技術者の労働条件を向上させる取組、これは引き続き行っているものです。

 続きまして、11ページは医師の働き方改革に関する検討ということで、働き方改革実行計画を踏まえ医療界参加の下で検討会を設け、平成30年の年明けをめどに中間整理を行う予定ということで、今現在御検討いただいているところです。その次は医療従事者の確保・定着に向けた勤務環境改善のための取組、これは引き続きやっているものです。相談支援、調査研究、マネジメントシステムの普及促進等を進めております。

12ページは相談体制の整備です。これも引き続きやっているもので、赤字で実績を盛り込んでいます。

 最後のページは過労死遺児交流会の開催です。89日に交流会を実施したところで、その中身を写真等で御紹介しております。

 最後に資料7ですが、今まで申し上げたような施策を、法律の4本柱である調査研究等、啓発、相談体制の整備等、民間団体の支援に分けて整理したものでして、それぞれの概算要求額を記載しております。平成30年度の要求額、総額では1369,000万円となっております。これにつきましては、後ほど御覧いただければと思っております。説明につきましては以上です。よろしくお願いいたします。

○岩村会長 ありがとうございました。続きまして人事院から御説明をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○荻野人事院職員福祉局職員福祉課長 人事院職員福祉課長の荻野と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 人事院の過労死等防止のための対策について御説明させていただきます。資料3を御覧ください。人事院では国家公務員の過労死防止につきまして、内閣人事局と連携して取り組んでおります。今年度におきましても、こころの健康づくり対策、パワー・ハラスメント防止対策、長時間労働の是正等、過労死等事案の分析、こういったことを柱にした対策を講じた、あるいは講じることとしているところです。

1つ目、こころの健康づくり対策、パワー・ハラスメント防止対策につきまして、まずキーとなる方たちの研修に力を入れて行っています。例えば、各省の健康安全管理担当者に対し、健康管理制度の説明会の中で過労死に関する説明を行ったり、あるいはこころの健康づくりの研修で具体的にこころの健康づくりを求めたりもしております。また、e-ラーニングの自習用教材に、過労死等防止のための取組に対する内容を加えております。それから、職場環境改善に係る実習とありますけれども、こころの健康づくりのための職場環境改善ファシリテータ研修というものを行っております。このファシリテータは各部署における健康管理者や保健スタッフ等になっていただくことを想定しているものです。そういった研修を本年度も本院と地方事務局で行うことにしております。

2つ目のマル、周知についてです。周知という点では、メンタルヘルスであればガイドブック、職員用と管理監督者用の2種類作っておりますが、どちらにも過労死防止のための取組も含めており、これを配布しております。パワー・ハラスメントにつきましても同様に、パワハラ防止ハンドブックを作成して配布しております。また、これからの作業になりますけれども、本年度、パワハラ防止ハンドブックにつきまして、パワハラの典型例ですとか防止のための効果的事例といったものも収集し、追加して改定をしたいと考えております。

3つ目のマル、相談体制の運営です。こころの健康関係は下のほうにありますが、こころの健康相談室を本院と10か所ある全国の地方事務所、事務局に設けております。どこの府省の職員の方でも利用可能です。それぞれの府省において、こころの健康相談の体制というのはあると思いますが、自らのところではなかなか相談しづらいといった事情がある方もいらっしゃるかもしれませんので、どこの府省の方でも利用可能、匿名でも利用可能な制度を設けております。

 職場復帰相談室というのは、メンタルでお休みをされていた方が職場に復帰されるに当たって専門家のアドバイス等が必要だろうということで、これも各府省共同で利用できる体制を本院と全国の事務局に設けているところです。こちらの利用は、どちらかと言うと人事当局の方が御本人を伴って来られることが多いと聞いております。そういった体制も設けております。

 また、パワハラということで言えば、公平審査局の中に苦情相談の制度がございます。職員本人は匿名でも利用が可能です。人事院職員(職員相談員)が対応します。もちろん、パワハラだけを扱っているところではないのですが、パワハラの案件もあります。下に表を付けておりますけれども、平成28年度にはパワー・ハラスメント関係264件の相談を受けているところです。

2つ目の柱、右側ですが、長時間労働の是正等についてです。従来から、人事院では超過勤務縮減指針に基づく周知啓発などをしてきたところですが、今年夏場の勧告時、国会内閣への報告におきましても、長時間労働是正について盛り込んでおります。

 この中では、長時間労働の是正の重要性はかつてなく高まっていると強い問題意識を示しており、具体的に各職場、現場におけるマネジメント強化、府省全体としての業務の削減・合理化を求め、民間労働法制の議論等を踏まえ、実効性ある措置を検討していくこともしております。また、各府省にもあらゆる機会を捉えて、長時間労働の是正を働きかけていくこととしております。

3つ目の柱、過労死等事案の分析につきましては、心・血管疾患、脳血管疾患、それから精神疾患を発症して死亡等した事案で、公務災害と認められた事案の情報について分析を実施しております。また2つ目のマル、今後、公務災害と認められなかった事案につきまして、データベースの取りまとめ等を進めていくこととしております。以上です。

○岩村会長 ありがとうございました。続いて、内閣人事局から御説明を頂きたいと思います。よろしくお願いします。

○池田内閣官房内閣人事局参事官 内閣人事局の池田です。よろしくお願いいたします。内閣人事局では、人事院と連携しながら、国家公務員に対しまして啓発や相談体制の整備のための取組を進めております。資料4を御覧ください。今年度中の過労死などの防止対策の実施状況ですが、今ほど申し上げました啓発、相談体制の整備という観点で2つの柱を立てて取組を進めております。資料の表側のワークライフバランスの推進と、裏側の心身の健康の保持増進という2つの柱です。

1つ目のワークライフバランスの推進は、「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」に基づき、赤字でありますが、超過勤務の縮減、年次休暇の取得の促進といったことによってワークライフバランスを推進しているところです。

として、78月をワークライフバランス推進強化月間として今年度も実施いたしました。右中段にありますのが、今年度のワークライフバランスを推進するための各官庁などに掲示いたしましたポスターです。この取組は、平成2728年度に引き続いて3年目ですが、勤務時間の前倒しなどによって長時間労働を打破し、生活スタイルを変革するという「ゆう活」です。この取組の結果、この期間中ですが、各省庁は水曜日を定時退庁日と指定している所が多いと思いますが、この状況を御説明いたしますと、本省などでの退庁の状況ですが、こういったゆう活を実施している者の定時退庁の割合は72.2%、また、職員全体の20時までの退庁割合は79.0%となっております。参考として、推進強化月間前の628日の水曜日、これは20時までの退庁割合が75.9%となっておりますので、やはりこの期間中の退庁の時間が早くなったことが申し上げられます。

ですが、超過勤務の縮減と休暇取得促進、ワークライフバランス推進のためのマネジメント能力の向上として、特に管理職に対する働きかけを進めております。アとして、超過勤務予定の事前把握の徹底です。これは超過勤務を縮減するために、あらかじめ超過勤務の理由や見込時間を把握することによって、できるだけ残業時間を少なくするという取組です。また、年次休暇についても、御家族などとの旅行など、事前に計画する必要がありますので、連続休暇を取得するために、計画表を活用していただくなどをしております。

 また、働き方改革と女性活躍、ワークライフバランス推進に係る管理職向けe-ラーニングも実施しております。これについては、先月末から全管理職を対象として行っているところです。

 また、こういったe-ラーニングに加えて、現実のマネジメントセミナーなども開催しており、本省及び全国の9ブロックで今年は600名が参加して、管理職として求められる行動・役割について、講義のほかグループ討議も行っております。

 裏面です。心身の健康の保持増進です。これについては、管理職員などによる健康マネジメントの推進という観点で、以下の4点を進めております。は管理監督者のためのメンタルヘルスセミナーです。今年度は、全国6ブロック、そこに掲げてある地域で管理職員などを対象に合計350名が参加する見込みです。これは、メンタルヘルスの基礎知識やメンタルヘルス不調者への実際の対応方法を習得するためのセミナーです。

として、各府省のカウンセラーの講習会も全国で6ブロック、そこに掲げられている地域で実施いたします。これは各府省で配置されているカウンセラー合計240名の方に集まっていただき、講習会を行うものです。カウンセラーの方は様々な基礎資格や経験がありますので、官庁での実際のカウンセリングについて、よりカウンセリング能力を高めてもらうといった講義を行っております。

として、e-ラーニングを用いたメンタルヘルス講習、ハラスメント防止講習です。平成28年度から新任管理者について、「心の健康づくり」「ハラスメント防止」に関する研修の受講を必修化をしておりますが、各府省での取組に加え、内閣人事局としてe-ラーニングを用いたこういった講習を提供しております。今年度ですが、新任の管理職員・課長補佐など、約1万人を対象に実施いたします。メンタルヘルス、セクシュアル・ハラスメント、パワー・ハラスメント、マタニティー・ハラスメントの基礎知識、また部下との相談対応方法などをPC上で受講するものです。

 最後に、生活習慣病対策等の健康増進対策の推進です。過労死等の原因となる脳血管疾患や心臓疾患を予防する観点から、健康診断等の結果、要医療・二次健診の対象となった職員の方へ、確実に受診等の指導を行っているところです。以上です。

○岩村会長 ありがとうございました。次に、総務省から御説明を頂きたいと思います。よろしくお願いします。

○吉武総務省自治行政局公務員部安全厚生推進室長 総務省安全厚生推進室長の吉武です。よろしくお願いいたします。資料5を御覧いただきたいと存じます。総務省における地方公務員に係る対策の実施状況について、御説明申し上げます。平成29年度における地方公共団体に対する助言・情報提供等を通じた周知・啓発については、本年4月に全ての地方公共団体が参加し、働き方改革に係る共通の課題について、具体的・実践的な取組手法等を検討するための協議会を設置いたしました。9月までに都道府県、政令指定都市が参加する分科会を全国6ブロック全てで開催しております。また、市町村が参加する部会を上半期に4か所で開催し、意見交換等を行ったところでして、10月以降も全国4か所で市町村が参加する分科会を行うことといたしております。

 次にゆう活の実施に合わせた時間外縮減の働きかけです。厚労省がお示しになった超過勤務の把握に関する通知について、2月に各地方公共団体に通知するとともに、ゆう活を含む時間外勤務縮減に向けた取組を一層推進するよう、4月に改めて地方公共団体に通知いたしました。また、4月、8月に開催いたしました全国会議において、都道府県・政令指定都市の人事担当課長や市町村担当課長等に対して要請を行ったところです。

 結果、これまでにゆう活や定時退庁については、47全都道府県、熊本市を除く19政令指定都市、366の市区町村に取り組んでいただいているところです。また、このほか、一斉消灯とか、幹部職員による巡回、連続休暇の取得促進等、それぞれの団体での取組も進んできているところです。

 また、自治大学校の研修課程の活用として、都道府県、市町村の幹部候補職員が参加する研修課程、上半期の4コース全てにおいて、約350名に対してワークライフバランスやメンタルヘルス等に関する講義を実施しております。これについては、下半期も同様に4コースにおいて実施するところです。

 次に相談体制の整備等としましては、地方公務員共済組合において、無料の電話やWEBによる相談、全国都道府県に面談場所を設け、臨床心理士、カウンセラーによる面談を実施しております。本年8月現在で数値を把握できる道府県職員分で電話相談で1,202件、面談で374件と、昨年を若干上回る状況の相談・面談を受けているところです。また、メンタルヘルス対策を担当する地方公共団体職員向けにも、地方公務員災害補償基金等の事業として、電話やEメールによるアドバイスを実施するほか、担当職員等へのメンタルヘルス・マネジメント研修を、この9月までに全国14か所で約2,000名に対して実施しております。また、10月以降も行っていくこととしております。

 さらに、ストレスチェックテストの実施について、全国市町村担当課長会議等で要請を行っておりますが、平成28年度現在で都道府県・政令指定都市については、ほぼ100%の団体がストレスチェックテストを実施しております。市町村については、現在集計中です。

 なお、最後の調査研究ですが、本年度は公務上の災害として認められなかった事案386件についても、発症前の時間外労働時間等についてのデータベースの取りまとめを進めているところです。以上です。

○岩村会長 ありがとうございます。最後に、文部科学省から御説明いただきたいと思います。どうもよろしくお願いします。

○矢野文部科学省初等中等教育局初等中等教育企画課長 文部科学省の初等中等教育企画課長です。どうぞよろしくお願いいたします。資料6に基づいて御説明申し上げます。今年4月に発表いたしました公立学校の教員勤務実態調査からです。13ページを御覧ください。教員の勤務実態については、ここに記載のとおりですが、看過できない非常に深刻な状況であることが改めて明らかになったところです。

 例えば、1ページの下の部分を御覧いただきますと、教員の1週間当たりの平均の学内の勤務時間は、小学校の副校長・教頭が63時間34分、教諭が57時間25分ということで、これは平成18年の前回の10年前の勤務実態調査と比較してということですが、いずれも4時間以上延びているということです。また、中学校についても、副校長・教頭が63時間36分ということで2時間以上、教諭は63時間18分で5時間以上延びているという結果が出ているということです。

 資料の2ページでは、1週間の勤務時間の分布を表しており、例えば左側の教諭のうち、小学校は5560時間未満、中学校は6065時間未満の者が占める割合が高くなっていることが分かります。勤務実態調査は以上です。

 資料の4ページは、今年6月に発した業務改善の通知です。先ほどの勤務実態調査の結果も踏まえ、各教育委員会に対して、学校現場における業務改善の徹底について周知しているところですが、この中では業務改善方針の作成、都道府県ではかなりできているのですが、市町村の意識、学校の服務監督に当たる市町村の作成状況がやや少なくなっているという状況です。また勤務時間の適正な把握、労働安全衛生管理体制の整備、部活動の適切な運営等について、取組を徹底するように依頼しているところです。部活動については先ほどは触れませんでしたが、中学校の土日の部活動について先生が携わる時間が10年前に比べて倍増しているという結果が出ております。そういった取組を徹底するように依頼しております。

 中教審への諮問ということで、56ページをお開きください。勤務実態調査の結果を踏まえ、資料の5ページですが、中央教育審議会に対し文部科学大臣から諮問した内容です。文科省では今年3月に学習指導要領の改訂を行い、例えば英語の時間、小学校36年まで年間35時間増やすという改訂、これは子供たちが21世紀を生きる上でどうしても必要であろうということですが、その新しい学習指導要領を平成32年から円滑に実施するためには、先ほど申しました勤務実態は看過できない状況にあるということで、今回の諮問に至ったということです。

 具体的に申しますと、資料の6ページの3つの事項です。1つ目は、学校が担うべき業務の在り方について。年々、学校の役割がどんどん拡大していると。これは欧米と違って知識を伝達するだけではなくて、知・徳・体、体と心、全人格的な教育を行うのが日本の学校教育の特質だと思いますが、そういったことが非常に評価されている反面、そういった特質からかなり業務の範囲がどんどん膨れ上がってくる、家庭の教育力が落ちる、地域の教育力が落ちることになると、学校にどんどん流れ込んでくるという実態があります。そういった学校が担うべき業務の在り方について、再度見直していこうではないかということが1つです。

2つ目は教職員及び専門スタッフが担うべき業務の在り方ということです。教員だけではなくて、日本の学校は圧倒的に教員の率が多いのです。例えばイギリスは教員とその他のスタッフが大体55という実態がありますが、そういった役割分担について見直そうではないかということが2つ目です。

3つ目は、学校組織と勤務の在り方です。これも法令等、年々、社会の要請に基づいて、学校の組織は複雑あるいはものすごく増えてきている。いろいろな委員会が増えてきていることもあり、その在り方も見直していこうということでした。

 先ほど申しました中央教育審議会の下に教員の働き方改革特別部会がつくられ、7ページですが、829日に中教審の同働き方改革特別部会から緊急提言が示されております。その内容は、3つのポイントに分かれております。1つは、校長と教育委員会が勤務時間を意識した働き方改革を進める。これは今すぐにでもできる中身を出していこうということで、例えばICTやタイムカードなどで勤務時間を客観的に把握するといった努力をする、あるいは管理職の役割分担の明確化、マネジメント研修、そういった辺りを強調させていただいたところです。

2つ目は、全ての教育関係者が学校教職員の業務改善の取組を推進していくということです。先ほど申しましたとおり、都道府県の教育委員会はかなり業務改善方針の計画を策定してきているわけですが、市町村においてはまだ10%程度でして、今回の改革については、市町村や学校、学校長、そういったあたりの改善を強く促していくことだと捉えております。

3つ目は、国として持続可能な勤務環境整備の支援を充実させるということです。先ほど申しましたとおり、例えば英語の専科教員を入れるとか、あるいは教員以外のスタッフをもっと学校に取り入れていくといった中身でした。

8ページを御覧いただきますと、これらの緊急提言の内容を踏まえ、御覧の予算、例えば箱の右側にある教員以外の専門スタッフ、スクール・サポート・スタッフの配置の促進とか、あるいは部活動指導員の配置の促進、さらにはで小学校の専科指導に必要な教員の充実とか、学校総務・財務業務の軽減のための共同学校事務体制強化、そういった辺りの概算要求を現在しているところです。

 最後になりましたが、9ページをお開きください。こちらについては運動部活の在り方です。現在、スポーツ庁の検討会議において議論し、休養日の設定、これは平成1桁の時代に週1日以上は週休日を設けるという目安を設けていたわけですが、さらに今年度末を目途にガイドラインを作成する予定です。

 以上が文科省の過労死等の防止のための主な取組です。現在、教員の働き方改革特別部会で月2回程度のペース、猛烈なスピードで議論を進めており、年内に中間まとめを取りまとめ、緊急対策を出すとともに、来年しかるべきタイミングで最終報告を得たいと、こういう手はずでいるところです。以上です。

○岩村会長 ありがとうございました。ただいま、関係各省庁から御説明を頂いたところですが、これらの資料や御説明について、御意見あるいは御質問をお願いします。本日は、もう1つ重要な案件が議題としてありますので、御発言いただくに当たり、ポイントを絞った上でなるべく簡潔に御発言いただくようお願いします。質問に関しては、事務局からまとめて御回答していただく形にしたいと存じますので、よろしくお願いします。

○寺西委員 全国過労死を考える家族の会の寺西と申します。よろしくお願いします。家族の会から2点お願いを申し上げたいと思います。

1点目は、221ページのコラム16に遺児交流会の開催を明記していただいています。私たち全国過労死を考える家族の会は、これまで独自で遺児交流会を行ってきましたが、2016年度から国の開催で、昨年12月に実施してくださいました。親を亡くした、取り分け父親を亡くした家族が、アウトドアのスキー場とか、スポーツ関係の所へ連れていけないことがあって、全面的にこうした過労死の遺児を対象にしたプログラムを組んでいただき、大変有意義な交流会を開催していただきました。母親だけでは到底連れていけない所、また、普段から父親がいない生活の中で言葉にできない、態度に出せない、そうした子供と親を対象としたプログラムの交流会を、是非、今後も続けていただきたい。2017年度には、早々に夏のアウトドアの行事で実施していただいたことは、遺児たちにとって有意義な交流になりましたので、引き続き予算措置を考慮いただいて、今後も続けていただきたいお願いとお礼を申し上げます。

2点目は、文科省へのお願いです。今、御報告いただきましたが、全国過労死を考える家族の会は、文部科学省初等中等教育局長の橋道和様へ、829日に中教審で出された学校における働き方改革の特別部会に関わる緊急提言について、要望書を提出させていただきました。これには、勤務時間を意識した働き方を進めるための教職員の勤務時間を正確かつ確実に把握・分析して、実効性のあるものにしていく、そうした改善を開示していただきたいということと、全ての教育関係者が学校教職員の業務改善に確実に取り組むよう、学校現場における周知義務を充実させてくださいという要望です。最後に、国として持続可能な勤務環境整備のための支援の充実が確実に遂行されているか、常に把握して改善する体制を構築するとともに、更なる具体的な対策を進めてくださいという要望をしました。

 学校の先生は大変な職場であるという現状に対して、実効性ある働き方改革に関わる、こうした要望を家族の会としてもお出しさせていただいていますので、是非とも過労死防止協議会においても連携して御報告いただきたいというお願いです。以上です。

○岩村会長 ありがとうございます。ほかにいかがですか。

○森岡委員 白書について要望と意見を簡単に申し上げます。昨年の白書に比べて、いろいろな点でかなり掘り下げや詳しい記述がされていて、随分改善されていることに感謝しております。その上でのことですが、例えば185ページのコラム7ですが、長時間労働を行っている事業場の是正事例が紹介されています。こういう具体的な個別事例を少し踏み込んで白書の中で明らかにすることは、啓発的にも研究的にも大変重要な意味があると思いますが、ここでは36協定の限度時間の違反ということで、違法な長時間労働の例が挙がっています。そもそも36協定の限度時間が適用されていない業種の実態はもっとひどいものがあるはずです。個別の36協定の中身を見ても、適用除外業種について信じられないほど長いものになっています。

 もう1つ、特に休日労働については、大阪過労死問題連絡会が公開請求をして入手した協定書によりますと、個別企業の名前は申しませんが、非常に有名な企業で、例えば朝850分から翌日の850分まで、24時間が始業・終業になっている。あるいは、午前0時から24時までという例もあります。つまり休日労働の場合、24時間働かせてよい協定になっている。つまり、青天井なのです。これも限度時間がないわけで、その辺の実態をもう少し踏み込んで明らかにする必要があろうかと思います。

 また実態を明らかにするという点では、今年は全都道府県で啓発事業として11月に過労死等防止対策推進シンポジウムが行なわれます。その際、多くの会場で遺族・家族から見た現場の働き方についての具体的事例に関する話が、訴えなり経験談としてあることになっています。その中で幾つかのものは、個別企業にとってのダメージにならないように、あるいは個人情報については配慮がされた上で、白書のコラムに反映する、あるいは記述に取り込む。例えば高橋まつりさんのケースについても、昨年、母親が中央集会で訴えられました。そういうもの含めて、何らかの形で具体的な事例をなるべく読者に働きかける意味で、あるいは考えるための共通の素材とする意味で活かしていただけないかという要望です。以上です。

○岩村会長 ありがとうございます。それではお手が挙がっておりました西垣委員、それから白井委員の順番でお願いいたします。

○西垣委員 兵庫過労死を考える会の西垣です。私は4点ほど、実は見直しにも関連した部分も触れさせていただきたいと思います。まず2回目の過労死白書並びに社会面調査等において、今、様々な調査が進み、多くのことが明らかになってきていると思います。そのことに、厚生労働省をはじめ関わってこられた皆様方に感謝したいと思います。

 まず1点目は白書の143ページ、それから概要ですと36ページ、骨子ですと7ページに掲載されている労働時間の正確性と残業手当支給の有無と支給割合が及ぼす影響についてです。これは143ページの白書を一部読ませていただきます。「本分析結果から、『労働時間を正確に把握すること』及び『残業手当を全額支給すること』が、「残業時間の減少」、「年休取得日数の増加」、「メンタルヘルスの状態の良好化」に資することが示唆される。」と書かれています。

 さらにその上には、「『一部支給されている者』は「週の残業時間」が長くなる傾向を示しているが、これはいわゆる固定残業代支給対象者やサービス残業者が含まれ」て、こういう結果は問題だという指摘はそのとおりだと思います。実はこの点を改善したことから、残業時間をも改善できたという、昨年の兵庫シンポジウムにおけるある企業の報告もありました。大変大切なことかと思います。

 ただ私が思いますに、この実労働時間の把握に関して、今、働き方改革関連法案が出ておりまして、そしてその成立後に労働安全衛生法改正で労働時間把握の義務を明記したいということが進んでいるように思います。でも関連法案の成立に関係なく、これは先に、何にも増して優先的に実施すべきことではないかと思います。さらに単なる健康管理時間としての概念ではなく、働いた時間の残業代は全額支給すべきであります。これが過労死を減らすことになるのではないかと思います。

 そういう点で、見直しにおいては、単に4つの対策についてのみの見直しではなく、例えばガイドラインを1月に制定してくださったこの件の法制化についても検討していただければうれしいと思います。つまり労働時間を把握しながら残業を減らすという取組をしなければ、砂上の楼閣の施策になるのではないかと思います。これが第1点です。

 ただ、息子の会社は、先ほど森岡先生が御紹介されたのによく似ているのですが、36協定で113時間、8を足して21時間働くことができる会社です。残り3時間は各所の休憩時間として散りばめられています。夜中の3時から340分にも休憩時間があります。実質24時間勤務可能の会社です。そして納期内に成果が上がるまで働かせることのできる会社となります。息子は37時間連続勤務をして過労死で亡くなりました。実労働時間の記録はほぼ正しく、残業手当もほぼ全額出ていました。でも、その中で息子は亡くなっています。今現在は会社には残業時間を減らす努力をしていただいていますが、このような企業も数多くあります。事業主に、働く者の健康管理の義務があること。これは大綱に書いていただきましたが、これをもっと徹底し、その考えに基づく労務管理の徹底をさせていただきたいと思います。

 そういう意味で、1つ評価すべきは概要の40ページ、白書は151ページ、骨子でしたら9ページの「是正指導段階での企業名公表の強化」は評価したいと思います。9月に運送会社が初の公表をされています。ただ、公表の場合、2事業場の場合を公表するとされているのですが、例えば1事業所でも2個以上の案件があった場合に公表するというようなことも検討お願いできないものでしょうか。

3番目です。白書の69ページ、というより概要の19ページがよく分かるのではないかと思います。いわゆる業務上の事案と業務外の事案の労働時間の比較をしている表がまとめられています。まだ今から本格的に調べられるのだと思いますが、業務上事案と業務外事案の単なる時間比較ではなく、業務外事案の中に過労死事案を見逃してはいないか、見落としてはいないかという観点で調査していただきたいと思います。つまり、その業務外事案の中に実労働時間が正しく反映された上での判断かどうかという観点、これを抜かしてはならないのではないかと思います。その資料が、過去5年間の調査資料にないということであれば、これから判断されるときに必ずその件を調べていただくことを付け加えていただきたいと思います。私たちは遺族の中でたくさんの長時間労働をしていたのに、会社は20時間しか付けてくれなかったということで、労災が認定されていない事例がたくさんあると知っています。

 最後に4つ目です。IT企業の働き方検討をしていただいていますことに感謝申し上げます。この調査を単なる調査に終わらせずに、有効な対策を示し、業界への実効性ある指導を実施していただきたいと思います。先日も九州にまいりました。SEの方が亡くなられた事案がたくさんありました。1年以内にも亡くなっておられます。早急に何とかしていただきたいと思います。以上です。

○岩村会長 ありがとうございました。それではお待たせしました。白井委員どうぞ。

○白井委員 発言の機会を与えていただきましてありがとうございます。西垣委員の熱い御発言に私も重なる部分がありますので、重なるところについては少々省かせていただきます。骨子の7ページのグラフを見ますと、労働時間を正確に把握することが残業時間の減少等に非常に資するという分析結果については、本当にこのとおりだろうなと実感しているところです。

 私は公務の職場で、国家公務員や地方公務員の一部、あるいは教職員の労働時間が管理されていない実態があることについては実感しているところです。36協定の締結義務がない職場においても、それに準じるものを締結し、やはり労働時間をしっかり把握することにつなげることが必要と考えています。

 労働時間に対する意識が明確になりますので、それにより労働時間が削減される例を私は実体験をしています。公務の職場で、36協定締結の義務はない職場でしたが、それに準ずる協約を労使で確認して確認書を結んでいました。それにより労働時間が明確になり、そのことで労働時間が削減された、無駄な労働時間が削減されたことになるのかなとも思います。だらだらと仕事を区切らないで行うのではなく、しっかりと仕事を区切ってめりはりを付けて行うことが、マネジメントとして、できていたというようなことなのかなと思います。

 もちろん公務ですので、住民サービスを低下させるわけにはいきません。そのことについては十分に承知しております。発災のときは、ある意味私たちが住民の前に出て、住民を支えなければならないということについては十分に承知をしています。そういうことについて言っているのではなく、普段の仕事にめりはりを持ちマネジメントをするということについては、まず労働時間の把握ということが非常に重要であると思います。

 公務の県庁、あるいは市役所等は、不夜城と揶揄されることもあります。是非教職員、公務員を含め、全ての労働者の労働時間の適正な把握をすべく文部科学省、人事院、総務省の皆様に取組を強化していただければ幸いと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○岩村会長 ありがとうございました。すみません、時間の都合があり、先ほど申し上げたように、もう1つ重要な案件がありますので、申し訳ございませんけれども、この辺りでこの議題については終わらせていただき、次の議題に進ませていただきたいと思います。

 議事次第に再び戻って御覧いただきますと、2番目の議題として今後の過労死等防止対策の進め方についてというのが挙がっています。過労死等防止対策推進法には、附則の第2項において「この法律の規定については、この法律の施行後3年を目途として、この法律の施行状況等を勘案し、検討が加えられ、必要があると認められるときは、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする」との定めがなされています。

 また法律に基づく大綱においても、「社会経済情勢の変化、過労死等をめぐる諸情勢の変化、この大綱に基づく対策の推進状況等を踏まえ、また、法附則第2項に基づく検討の状況も踏まえ、おおむね3年を目途に必要があると認められるときは見直しを行う。」と述べられているところです。

 こうした中、平成26111日に法律が施行されてから、間もなく3年を迎えることになります。また、大綱を策定した平成277月から2年以上が経過しています。そこで本日は、今後の過労死等防止対策の進め方について、フリーディスカッション形式で皆様の御意見を頂戴したいと考えています。もちろん御意見をお出しいただく前提として、事務局などに確認しておきたいというようなこともあろうかと存じますので、そのことも含めて今後の進め方についての御質問、御意見を各委員から頂きたいと思います。それではいかがでしょうか。では、森岡委員どうぞ。

○森岡委員 骨子の最初の図1-1で、週労働時間が60時間以上の雇用者の割合を平成32年までに5%以下にするという数字が挙がっています。この数字は比率で見ても絶対数で見ても徐々に下がっていて、5%に近付けるには、まだなお大きな取組が必要でしょうけれども、傾向的に減少していることは明らかです。

 しかし他方で、例えばこの9月下旬に発表された2016年度の「社会生活基本調査」における正規の職員・従業員の週労働時間を見ますと、その前の2011年調査が週53.1時間。今回は52.9時間です。どちらも四捨五入すれば53時間なのですね。ほとんど変わっていない。

 正規の職員・従業員の労働時間はフルタイム労働者の労働時間をほぼ表すと考えられます。しかし、社会生活基本調査の個表集計をもとに、フルタイム労働者で取るほうが、やや正規の職員、従業員よりも長いことを明らかにした研究報告もあります(黒田祥子(早稲田大学)「日本人の働き方と労働時間に関する現状」、内閣府規制改革会議雇用ワーキンググループ資料、20131031日)。

 いずれにせよ、週60時間というのは、124時間働く場合もありますが、週5日で計算すれば、平均して14時間残業する、100時間の場合で言えば、5時間残業する計算になります。これでは過労死はなくなりませんが、過労死をほんとうに減らすというのであれば、少なくとも週60時間以上の労働者はゼロにしなければなりません。

 それと合わせて例えばインターバル休息規制、前日の終業から翌日の始業まで最低連続休息時間をEU(欧州連合)並みに11時間以上の休息を確保することを義務づけるとか、あるいは2015年度の社会面調査に年休の年間取得日数ゼロという比率が34.5パーセントと出ていますが、こんな数字をなくしていく。労働者の年休取得を企業に義務づけるなど、取得推進のもっと強い施策を講ずる。こういうものと抱き合わせにしないと、過労死の防止は効果が上がらないと思います。

 そういう点で、この大綱の数値目標も大きく見直す。この点で大綱の中に盛り込むべき積み残し課題があることはこれまでの議論からも明らかです。それが今までの過労死防止の取組で、ますます必要になってきている、ということが協議会の共通認識になりつつあるのではないか。そういうことで、是非踏み込んだ見直しを大綱についてお願いしたいと思います。以上です。

○岩村会長 ありがとうございました。他にはいかがでございましょうか。では中原委員、前川委員、そして村上委員ということでお願いいたします。まずこちらの列でということでお願いします。では、中原委員どうぞ。

○中原委員 東京過労死家族会の中原のり子です。こちらの会議は労働政策審議会とかではありませんが、関連してちょっと感じたことを一言発言させていただきたいと思います。私は労政審などを通しで傍聴してきましたが、時間規制の課題で被災した当事者の意見が全く反映されていないことを強く感じています。

 また先ほど事務局から紹介された医師の働き方協議会では、私は次々回の医師の働き方協議会でヒアリングの予定が入っていますが、以前にも私はこの場で医師労働に携わる研究者とか当事者を組織作りの中に盛り込んでほしいということを発言しましたが、残念ながらこれが実現されていません。この場での発言は、議事録に残るだけ、私たちの言い放しというのは非常に残念に思います。こういう私たちの意見が様々な検討会で反映していただけないものか、改めて事務局にお願いしたいと思っています。

 もう1点なのですが、厚生労働省の行政指導に関することなのですが、例えば飲食業で食中毒を起こすと営業停止や原因分析の指導が入ります。死亡者が出た場合は、会社の存続につながるような重大事件として指導されているというふうに存じ上げておりますが、過労死事件については今年になって電通は刑事事件としての審判が下されました。その後、ある報道記者の過労死事案では、その会社は労働局、労基署からの指導がなかったから重大事案又は法律違反の認識はないという発言がありました。またこの度、新潟の研修医過労死事件では、遺族は市と病院長を告発されました。

 こういった過労死認定後の適切な指導監督が徹底しないと、指導に入らない企業は重大事案して受け止めないという事態に陥る恐れがあります。電通事件のように、刑事事件を含めてこういう告発が必要なのか。あるいは労働局の対応について、その後の遺族感情とか社会が納得するような体制を構築していただきたいと思います。

 私たち遺族は、決して厳罰主義ではありません。過労死防止の対策を構築していただきたいということを切に願っています。以上です。

○岩村会長 ありがとうございます。事務局の御質問ということだったと思いますが、事務局いかがでしょうか。

○村山総務課長 先ほど来、御質問にわたる御発言もいろいろあったかと思いますので、最初に中原委員の御質問にお答えして、他の委員から御質問いただいた点についても、お答えしたいと思います。

 まず、中原委員からお話のありました、本協議会での御議論、とりわけ当事者を代表されている委員の御意見についての、労働政策審議会の分科会・部会への反映の在り方についてです。それぞれの法令に基づく審議会等の委員構成や所掌事務等あるところではありますが、ただいま中原委員からも、毎回労働政策審議会の関係の分科会の傍聴も頂いているというお話もありましたので、その関連でお話ししたいと思います。

 委員にも御記憶にとどめていただいていると思いますが、先般の65日に建議を取りまとめた、時間外労働の上限規制等をめぐる関係の分科会の議論の山場の1つでありました、427日の労働条件分科会におきまして、中小企業団体中央会の小林委員から、「是非、過労死等防止対策推進協議会の場でどういう議論があり、とりわけ当事者の方がどういう思いを持って、働き方改革、中でも上限規制の議論を見守っているのか、事務局から説明し、共有してほしい」との御発言がありました。突然のお尋ねでしたので、私どもからつたない説明ではありましたけれども、労働政策審議会の場で本協議会における議論の概要を共有し、それが公労使各側の委員の方々にも共有されて、その後の上限規制の具体化に向けた議論につながっていったと思います。

 これは一例で申しましたが、基本的に私ども役所で事務局をしているということは、それはそれぞれの審議会・協議会の役割分担はありますけれども、その連携を有機的に図って良い方向に議論が行くように進めていくという任務を担っていると思っていますし、とりわけ今回の議論にあっては、使用者側の方からあえて連携を図る観点からの話もあって、成果につながったということは申し上げておきたいと思います。

 委員からは、医師関係の個別の検討会の名前も挙がりましたが、個別の検討会や委託の研究の中でも、様々な形で委員の御意見を頂く機会を設ける努力もしており、今後とも、より工夫をしていきたいと考えております。全体として御理解いただければと考えています。

 中原委員からの2点目、監督指導の関係です。個別の事案について議論する場ではないと理解していますので、一般的な形でお答えしたいと思います。「『過労死等ゼロ』緊急対策」、またそれに先立つ一連の対策の中においても、当初は月100時間超の時間外労働等が疑われる事業場には全数監督し、さらに今はそれを80時間超に拡大して取り組んでいるところです。

 そうした対象の中に、脳・心臓疾患等の労災の請求があった時点で、対象として扱っていることについては、国会等でも繰り返し申し上げているところです。そうした個別の対応の中でも、違法な長時間労働が疑われる事業場について、法違反がないかしっかり見ていくということについては、監督指導の最重点の課題として、引き続きしっかり取り組んでいきたいと考えています。

 その上で、先ほどの前段の議題も含めて何点か御確認もありましたので、ごく簡単に御回答したいと思います。

まず寺西委員から、遺児交流会の引き続きの開催を求める御意見を頂きました。私どもも、事業委託先の事業者の御努力や、何にも増して家族会の皆様方の思いに支えられて、非常に意義のある取組になっていると考えています。これまでの実績、また本日、寺西代表から御言葉を頂いた件なども含めて、来年度所要の予算を確保できるよう、財政当局との調整に全力を上げてまいりたいと考えています。

 森岡委員から、白書の中の監督指導の実例を取り上げたコラムの中で、現在の限度基準告示の適用除外業務がやや手薄い、まだまだ改善の余地があるという御指摘であり、今後の糧にしていきたいと思っております。一方、白書の42ページ、これは脳・心臓疾患や精神障害で、労災認定された事案の紹介のコラムです。労災の認定事案ですから、これが監督指導のときの労働時間と同一かという別途の議論があるかもしれませんが、少なくとも労災認定の前提となった時間については非常に長時間労働、またそれがどういう背景で起こっているかということについて、初めの2つの例を見ていただくと分かりますが、トラックの運転手、すなわち限度基準告示の適用除外の職種ですけれども、こうしたところにもフォーカスを当てて対応しております。森岡委員からは、シンポジウムでの対応なども含めて貴重な御提言も頂きましたが、さらに、どのようにすれば伝わっていくのか考えていきたいと思います。いずれにしても、白書に改善事例を載せたのは、ただ単にひどい事例があった旨を共有するだけではなく、どうやって労使、とりわけ使用者の努力で改善されて良い方向に持っていかれているのかについての、重要な発信の場としたかったからです。

 先ほど事務局から説明した働き方改革のベストプラクティス企業の選定を11月に行うわけですが、選定された企業に、どのようにより良く取り組んでいただいているかということを、企業の御協力も頂きながら、幾つかのシンポジウムで発表していただくことも予定しています。こうした点も含めて、取組の改善に努めてまいりたいと考えています。

 また、西垣委員、白井委員から頂きました労働時間の把握の問題については、更に深めていただければと思いますが、まずは審議会で取りまとめた労働安全衛生規則の改正等については、法案と一体の形で実現したいと考えていますが、更に何ができるかということについては、御意見はしっかり受け止めていきたいと考えています。

○岩村会長 ありがとうございました。では前川委員、お願いします。

○前川委員 東北過労死を考える家族の会の前川と申します。1つお伺いしたいのですけれども、週労働時間60時間というのは、月に直すと普通に考えて8時間で5日働いて、20時間残業して月4週間あったとしたら、月80時間になりますね。ということは、その目標数値が最初から過労死ライン、脳・心疾患系の過労死ラインが月80時間だったと思うのですけれども、過労死ラインをなくすという目標にはなっていない。過労死防止のための対策に対する大綱の数値も5%以下なので、ゼロは目指していないとなっているのです。

 あと、見せていただいたのですけれども、文部科学省における過労死等の防止対策の実施状況について、こちらも週計算で行われているということは、大体平均が過労死ラインと理解してよろしいのですね。

 ということを、もっとみんな分かっていく必要があると思うので、できれば週でも月でもいいと思うのですけれども、統一していただけると非常に分かりやすいのではないかと思います。週だと少ないような、私は余り知識がないもので自分で計算してようやく理解に至ったのですけれども、多分学校の先生を取り巻く周りの方は、それを分かっていないと思うのです。これは国民の理解を得るということが非常に重要だと思うので、できたら単位を統一していただければ有り難いと思いました。

 もう1つ、過労死防止対策の状況についてお聞かせいただいたのですけれども、地方公務員あるいは内閣人事局における報告の中で、長時間労働をどのように把握するかとか、それをどのように削減していくかという具体的な数字とか、全くそれが表れていなくて、美しい誰でも調べれば出てくるようなことしか書いていない。私が実際に家族の会として、働いている方もしくは家族の方、あるいは過労死された方からお伺いした状況とは、かなりこの状況は違うのではないかと思います。

 実際は夜もずっと電気が点いているし、地方公務員も精神疾患は平成27年度で97件で、数字自体はすごく増えている。ですからこういう形でぺらっと1枚だけで終わるはずはないと、遺族としては考えます。その一人一人の死者の間に、何百何千の痛んだ人がいるということを、できれば考えていただき、もう少し詳しい内容の報告書を期待したいと思います。以上です。

○岩村会長 ありがとうございます。第1点は御質問ということだと思いますので、まず厚生労働省からお願いします。

○村山総務課長 前川委員ご指摘の第1点の時間数の数字の件ですが、大変重要な御指摘であると思っております。どういう意味で重要かというと、前川委員に分かりやすく整理していただいたように「分かりやすさ」という点と、もう1つ「検証しやすさ」があると思います。仮に何か数値目標を掲げ、それをチェックしていく際には、皆さんにとって利用可能な、オープンになっている統計、毎月、毎年出る統計の中で、数値がどのように把握できるのかということも大切なのだろうと思います。今申し上げているのは、週60時間という水準ではなくて、週で取るか、月で取るかということです。これは「労働力調査」という、4万世帯10万人を無作為抽出して、継続的に取っている統計のデータであり、月末の1週間の就業・不就業状況、労働時間、雇用形態などの統計から取っているデータで把握しやすく見やすいということもあって、目標として用いています。

 一方で、前川委員からお話がありましたように、この週60時間を原則法定の40時間との兼ね合いで言えば、1か月は4.3週ちょっとが平均ですから、月の時間外休日労働時間として見ると、87時間程度の水準になるということで、データの取りやすさと、その一方では過労死防止という観点から踏まえるべき脳・心臓疾患の認定基準と、どちらを優先させて整理し、どのように発信していくのかという問題だろうと考えております。

 その上で、週60時間という数字のレベル、長さ自体についてです。大綱にこの目標が盛り込まれた経緯ですが、議員立法されて初めての大綱であり、時間的な制約の下で検討する中で、どういう数字を掲げるのが相応しいのか精査する中で、既に政労使の間で合意されているワークライフバランス、仕事と生活の調和という観点からの政労使の合意の中で、こうした目標数値が使われているということも踏まえつつ、まず出発点としてこの目標が掲げられた経緯であったと理解しております。その上で、先ほど森岡委員、前川委員からも様々な御指摘がありました。今後どのようにすべきか、会長からございましたように、この場での今後の重要な議題と思います。出発点として、経緯として申し上げた経過があったということと、指標として掲げる場合には、ある程度信頼できる統計で毎年取れるようなものが必要なので、ただそれに分かりづらさがある場合、どのように、大綱なら大綱に表現していくのかという点に、課題があるという御指摘であったかというように受け止めております。私どもからの回答は以上です。

○岩村会長 ありがとうございます。私自身の個人的な見解では、過労死の基準の80時間というのは、もともと余り週労働時間という発想で作っていないのですよね。ですから、他方で実際の実務で労働時間を考える場合には、どちらかというと週で考えているので、そこのところのずれがどうしても生じることはあるかなと思います。今回、法制度化に当たっても、その辺の調整をどうするのだというのが議論になったということは聞いてはおります。

 各省庁それぞれに伺いますか。それとも先ほどの点は御意見ということで受け止めておきましょうか。いかがいたしましょうか。時間の都合があるので、どこか代表してという形でもいいのですが。

○前川委員 次回に期待したいと思います。

○岩村会長 分かりました。御協力ありがとうございます。それでは、村上委員、どうぞ。

○村上委員 今後の議論の進め方です。過労死等防止対策推進法が整備されたことによって、対策が充実されてきました。また、この間、法整備後の施策に尽力された皆様方の御努力には敬意を表したいと思います。調査研究などによって、問題の所在がかなり明らかになってきたことは、大きな成果だと思っておりますが、実態としては過労死、過労自殺はゼロになってはいないという現実がある中では、やはり法や大綱については強化の方向で見直すべきと考えています。

 本日は、具体的にこの部分ということではありませんが、問題として考えていることについて、何点か指摘したいと思います。先ほど過労死等防止対策白書の骨子の1ページで、大綱で目標とされてきたことについての現状について示されております。まず労働時間で言えば、先ほど森岡委員などからも御指摘いただいておりますが、勤務間インターバルについての導入企業の割合も目標になっていくのではないかと思います。また、先ほど来、縷々、議論がありましたが、労働時間がどれだけ適正に把握されているのか、数字の押さえ方というのも検討が必要かと思いますが、適正把握の状況であるとか、36協定を本来締結しなければならないのに、未締結である企業の割合をゼロにしていくなどの目標が必要ではないかと考えております。

 また、メンタルヘルス対策については、先ほど1ページのグラフを見ますと、目標に対して実態は大変低調であるという状況があります。今、第13次労働災害防止計画の議論も行われてきているところですが、メンタルヘルスケアを事業者として行っていかなくてはならないのだ、ということの意識付けをどのようにしていくのかということも、手法と併せて検討するべきだと考えております。

 さらに、グラフの中で見ますと、50人未満の事業場での対策が遅れているということがあります。これは、労働安全衛生法で50人以上の事業場にさまざまな措置が義務化されていること等の裏返しであるかとは思いますが、だからといって、50人未満の事業場で対策が遅れていることを許していいというわけではありません。支援策としては、産業保健総合支援センターでの様々な事業がありますが、それだけでは十分ではないのではないでしょうか。もう少し踏み込んだ施策も、目標ということではありませんが、目標を達成していくための手法としては考えていくべきではないかと思います。

 また、メンタルヘルス対策として、実際に数値が取れるのかどうかというところはあるのですが、睡眠時間についても、もう少し考えるべきではないかと思っております。健康経営であるとか、分野においては、睡眠時間の問題というのは取り上げられてきているところですので、産業保健の先生方の知見も得ながら、どういった数値が考えられるのかであるとか、手法についても御検討いただきたいと思います。

 長くなりますが、もう1点述べます。過労死等防止対策白書の中では、様々な業種についての分析がありまして、外食産業についての分析もございました。外食については、顧客からの苦情がストレスになっているということもありましたが、私ども労働組合としては、この問題は外食産業の職場だけではなくて、顧客に対するサービスを提供している職場では少なからず起こっている状況と認識しています。この間、トラックドライバーであるとか、建設とか医師などについては、様々なステークホルダーが集まった検討会ができていまして、そのような中で具体的で現実的な対策についての議論が進んでいます。サービス業のストレス対策についても、厚生労働省の中だけでは難しいかもしれませんが、消費者の意識改革ということも含めた対策を、少し考えていく必要があるのではないかと思っております。その点についても、今後検討いただきたいと思います。以上です。

○岩村会長 ありがとうございました。まず、木下委員からどうぞ。

○木下委員 木下です。今回、第2回の白書を拝見いたしまして、過労死等防止対策推進法の役割が、大変よく捉えられた白書であると考えております。と申しますのは、この法律は労働基準法や労働安全衛生法のように、規制・監督という視点からではなくて、調査・啓発、相談体制や民間に対する支援というような形で、幅広く対応をしていくことが可能だということで、社会の中で過労死、過労自殺を捉える法律として役割があると考えております。それから申しますと、今回対策大綱の3年を経ての見直しなどを踏まえる上では、是非この法律の特徴である調査・啓発の部分に、もっと注目をしていただきたいと思います。特に過去の事案の調査から、非常に過労死、過労自殺の起こりやすいという言い方は失礼な言い方ですが、発生の危険の高いときがどんなときかというのが明らかになってまいりまして、具体的な対策の縁になると思います。

 特に啓発の点から言いますと、労働者、使用者という労使関係だけでなく、取引関係を含めた幅広い社会の取組が重要であることを明らかにいたしました。今回の白書で言えば201ページのコラム10の「全日本トラック協会の対策」などがそれを如実に表しております。市民生活の中で求められるサービス、先ほど村上委員の発言にもありましたけれども、サービスレベルの向上が実は労働者の危険につながるということを気付くという対策は重要だと思っております。したがって、この過労死等防止対策推進法らしい対策の強化を、是非今回の対策、大綱の見直しの中で取り入れていただきたいと思っております。以上です。

○岩村会長 ありがとうございました。

○川人委員 川人でございます。まず、過労死防止法が施行されて3年ということで、この3年間の取組は、関係者の努力によって、大変評価できる取組ができてきたと、そのように考えております。今回の白書についても、それらの実践が反映されたものができたと、そのように思っております。

 ただ、一方では、この3年の間に、相次いで新しい過労死、犠牲者が発生しているということが事実なわけです。それは広告代理店の事件であったり、あるいは今年に入っても、新国立競技場での事件であったり、様々な現場で過労死が発生し続けていると。率直に言えば、過労死防止はどこ吹く風というような職場がまだまだたくさんあるというのが、調査を担当してきた私の実感であります。そういう意味では、この防止法は4つの柱で成り立っているのですが、その中でもとりわけ企業に対する啓発が最も重要な1つだろうと考えておりますので、その点今後とも一層努力をしていきたいと考えます。

 その上で、幾つか質問を兼ねて、意見を述べたいと思います。まず、インターバル規制については、現在、厚生労働省では、企業においてどのような全国的な実施状況があるのかについての把握をしているのか、あるいは今後把握する予定があるのか、それを教えていただきたいと思います。先日ある企業で聞きましたら、「川人先生、今度インターバル規制を実施することになりました」と言ってお話があったのですが、インターバルが9時間なのです。こういった実態を含めて、実施の有無、あるいは時間などについても、調査の状況について教えていただきたいと思います。

 次に、今回、広告代理店の刑事裁判が極めて注目を浴びました。簡易裁判所の裁判にもかかわらず、最高裁の法廷と同じような注目を浴び、それで社会の関心が高まったわけでございます。これも厚生労働省に質問ですが、労働基準法違反案件、あるいは関連の労働法規案件の刑事制裁、最終的には刑事的な制裁を受けた事案がどれだけあるのか。これらについては毎年把握しているのか、その他の状況について教えていただきたいと思います。白書には、かとくが書類送検を何件したという報告は出ているのですが、かとくに限らず、全体としての刑事制裁の状況をどのように把握されているのか教えていただきたいと思います。

 次に業種別についてですが、今回運送業、あるいは外食店舗などの詳しい調査が行われました。先ほども委員から御発言がありましたが、サービス産業、とりわけ情報通信の産業について重視をして、今後、集中的な調査研究の対象にしていただきたいと希望しています。具体的に言えば、広告代理店もそうですが、テレビ、新聞、その他出版社などのメディアと言われる分野は、メディアの長時間労働が問題となっているだけでなく、その与える社会的な影響も大変大きいと考えます。その意味で、今後の調査分析の業種対象として、情報通信、とりわけメディアについて検討いただきたいのですが、その辺り、現在の計画を教えてください。

 最後に文科省にお聞きしたいのですが、文科省のこの間の調査、取組について、大変評価しております。その上で、新任教員という視点で、独自に調査をされているかどうか。今年の2月に東京高裁で、新任教員の公務上災害の判決が出て確定しました。私が知っている限りで、4人の新任教員の公務上災害が認定されておりますが、新任教員、とりわけサポートが重要な対象だと思いますが、この点で独自の調査を行っているのであれば、教えていただきたいと思います。以上です。

○岩村会長 ありがとうございました。厚生労働省、何点か御質問、それから文部科学省さんということですので、厚生労働省のほうからお願いします。

○村山総務課長 御質問に順次お答えさせていただきます。まず、勤務間インターバル制度の導入状況について、厚生労働省としてどのように把握し、あるいは対外的に説明しているのかという点です。過労死防止対策推進法に基づく調査研究が始まって、最初の年の大規模調査を企業と労働者に対して行いましたが、その際、初めて悉皆的なアンケート調査の形で、インターバル制度の導入状況を企業に伺ったところです。平成27年度の調査結果では、1,743社からの有効回答があったうち、導入していると答えた企業は2.2%、導入していないと答えた所が94.9%、無回答が2.9%。国会答弁等でもこの2.2%という数字でお答えをしているという状況ですし、また、働き方改革の実現会議の中で、労使の御議論を通じて、事業主に努力義務を課して、なるべく好事例を普及させていく方向で、厚労省も政府もしっかりやっていくようにという方向性を頂きましたが、その出発点になったのもこの数字でした。

 それから、お尋ねの確実にインターバル時間を確保しなければならない時間について、この調査で聞いておりますが、先ほど申しましたように、そもそも導入しているとお答えになった企業が2.2%なので、幅を持って見ていただければと思いますが、多かったのは「11時間超12時間以下」、「12時間超」という、11時間を超えて取っている所が約28%。それに対して「7時間超8時間以下」という所が28.2%でして、その間は少なくなっているということで、ふたこぶのような分布状況になっています。いずれにいたしましても、この調査の時点で、勤務間インターバルという言葉について、深い定義を与えているわけでもなくて、ある意味、企業の人事労務の担当者にばーっといろいろなことを答えていただく中で、丸を付けていただくような形でございますので、現在、労使合意、更には実行計画を踏まえて、インターバル制度についてより深掘りする労使の皆様方にも御参加いただいた検討会を設けて、いろいろな実例を発表していただいたり、そもそもいわゆる一口にインターバルといってもいろいろな工夫や実情の中で、いろいろな形態のものが行われているような状況も明らかになっていますので、今後調査、あるいは議論を深めていくときに、そうした状況も反映しつつ、仮に定義付けをするとすればどんなものが考えられるのか、そういった点を含めて御議論を深めていただく必要がある論点かと現時点では認識をしています。

 御質問の2点目ですが、監督指導の中でも司法処分に移った場合の結果について、どのように取りまとめ公表しているのかということについてです。年間、10数万件、監督指導を行う中で、違法とはいえ労使関係の中で直していただけるものは、是正勧告を行って直していただき、再監督して適法な形で定着させていくということが、私どもの基本姿勢であるわけですが、重大、悪質な事案等については書類送検をしているのは事実です。最近の送検状況は年間約900件前後です。これは安全衛生関係の違反なども含めての数字です。その先につきましては、どういう起訴、不起訴とか、あるいは公判に至ってどのようになったということについて、一定の把握はしているにしても、何か取りまとめて公表をするようなことは、特段行っていないというのが、今の現状です。

 これは検察や司法との役割分担もある中でそのようにしておりますが、一方で、最初の事務局説明でも申しましたように、送検したものについては、一律な基準できちんと国民の皆さんに見ていただけるようなことも重要ではないかということから、「『過労死等ゼロ』緊急対策」を踏まえまして、現在ホームページで一定の様式で公表しているということは、皆さん御案内のとおりです。

3点目ですが、業種別の過労死等防止対策は、最初の佐藤企画官からの説明にもありましたように、自動車運転従事者、教職員、IT産業、外食産業、医療という5つの分野、職種、業種がとりわけまずは重要だということで着手しておりまして、今この時点で、そういった意味ではIT産業という形ではこれから大規模なアンケート調査をやり、来年の白書に向けて分析したいと考えておりますが、メディアという切り口での取組を今やっているわけではないという現状にあります。雑駁ですが、以上です。

○岩村会長 ありがとうございました。では、文科省さん、お願いいたします。

○矢野文部科学省初等中等教育局初等中等企画課長 文部科学省でございます。今日お出ししました資料は、実は発表しました資料のごく一部で、発表した資料の中には、新任教諭という項目はないのですが、大体年代ごとにどれぐらい勤務時間があるかというのは調べておりまして、やはり20代が一番勤務時間が長いという傾向にあります。例えば40代、子育ての最中の女性は少し少なくなっているとか、そういったような傾向があるところです。それでよろしいでしょうか。

○岩村会長 ありがとうございました。川人委員、いかがでございましょうか。

○川人委員 文科省のほうに、新任教員、1年目というのは、特別の独自の問題があると思いますので、是非、独自の調査についても、実現をお願いしたいと要請します。

 業種別の問題については、今言われました5つの業種について、かなり調査の積み上げがなされてきているわけですが、それらを継続させながらも、更に特にこの間、社会的にも大きな問題になっている業種については、十分な調査を新たに着手していただきたいということを厚労省に要請したいと思います。以上です。

○岩村会長 ありがとうございました。それでは、岩城委員、どうぞ。

○岩城委員 弁護士の岩城です。私は4年目に入ろうとしている過労死防止の取組を大きく進める上で、過労死防止法14条の過労死等の防止のために必要な法制上又は財政上の措置としての心臓疾患と精神障害それぞれの労災認定基準の見直しが急務になっているのではないかということをお話をしたいと思います。

 過労死防止法2条は、過労死等について定義をし、このような過労死等はあってはならないということで、防止対策を定めております。他方、労基法、労基法の施行規則、労災保険法では、血管病変等、著しく増悪させる業務による脳・心臓疾患、心理的に過度な負担を与える自死を伴う業務による精神障害について、労働災害として補償を行うとしておりますが、これは過労死防止法における過労死、過労自殺の定義とほぼ同じものと考えられます。そして、厚労省や人事院、地方公務員災害補償基金は、これら認定のために、いわゆる認定基準を作って運用しており、これに基づいて労災と認定されたものが、いわゆる過労死、過労自殺の件数や事例として、今回の白書などでも取り扱われております。また、業務上認定がなされると、過労死を発生させたということで、刑事訴追や是正勧告等の監督行政が行われたり、企業名が公表されるなどして、過労死防止に向けた働きかけが行われております。そうであるならば、これらの認定基準は、社会的実態として発生している過労死、過労自殺を過不足なく、労災として認定するものでなければなりません。なぜなら、もし認定基準の要件が不当に厳しく、社会通念上は過労死防止法や労基法に定める過労死等であるにもかかわらず、認定要件の基準の要件に当てはまらないために、労災ではないとされると、当該事案は過労死等には該当しないとされ、遺族への補償もされず、また防止措置も取られないことになり、過労死の防止は進まないということになります。私は旧認定基準の時代に、3か月連続で100時間を超えた事案で、当時は直前1週間しか中心に見ないという制度の下で、業務外の認定がなされ、非常に悲しい思いをした記憶があります。

 このような観点から、現在の過労死と精神障害の認定基準を見ますと、以下のような点が指摘できます。1つは、現行の認定基準は、脳心は2001年から実に16年、精神障害は2011年から既に6年が過ぎております。いずれも、過労死防止法が成立する前に制定されたものであり、過労死防止法の趣旨に合致するものかどうかの検証が十分とは言えません。また、その後の調査研究や、社会意識の変化の反映も担保されておりません。例えば脳・心臓疾患の認定基準では、80時間、100時間といった時間外労働時間を中心としており、80時間を下回る事案では、今回の白書33ページの表1-10を見ても、60時間以上〜80時間未満の事例では、248件中わずか14件しか認定をされておりません。80時間というのは、事実上の足切りの基準になっているというのが実状です。

 また、労働時間を会社が適切に把握していなかったために、かえって労災認定が受けられないという不都合も生じております。さらに、 6070歳といった高齢者や、身体障害や内部障害を抱える障害者であっても、若者や健常者と同じ100時間、80時間という時間外労働時間によって評価をされている。また、出張のための移動時間、持ち帰り残業、自主的に疲れの取れない中途半端な中抜けの休憩時間といったものも、きちんと評価すべき仕組みがありません。さらには深夜交替制勤務や不規則な勤務、精神的な負荷の強い勤務などの質的過重性が、事実上軽視されているといった問題もあります。このように、一方では過労死防止法で過労死をなくすという宣言をしながら、他方で、明らかに社会的に見れば過労死とされる事案が十分な評価を受けられていないという問題があることから、認定基準の見直しについて御検討いただけないかということで、厚労省のほうに御質問したいと思います。

○岩村会長 では、厚労省の方、いかがでしょうか。今日、担当部局が来ていないので難しいかとは思いますけれども、可能な範囲でお願いします。

○村山総務課長 御意見は、担当の部局にもしっかり伝えたいと思います。他方で、現行の認定基準は多数の訴訟の中でも業務上外判断の規矩準縄として一定認められてきている、そういう積み重ねもあろうかとは思います。いずれにしても、御意見があった点については、しっかり担当の方に伝えたいと思います。

○岩村会長 では、輪島委員、お待たせしました、どうぞ。

○輪島委員 時間の関係がありますので、簡潔にということで、事務局に3つ質問と、1点お願いです。先ほど岩村会長のほうから、今日はフリーディスカッションということでしたけれども、今回の見直しの検討については、法律の見直しの規定と大綱の見直しの規定、双方があるということでした。政府が決定する大綱と、国会の審議を経て改正される法律、そもそも2つの見直しのプロセスは、基本的には違うものではないかなと思っておりますので、厚生労働省は、法律の見直しと大綱の見直しを同時に行うと考えているのか、どのように考えているのかについてお聞かせ願いたいというのが第1点目です。

 それから2点目です。労働政策審議会では、大臣からの諮問を受けて答申をして、それを閣議で閣議決定をして、閣法として出して国会で審議するという体制ですけれども、そもそも初歩的な質問で恐縮ですが、この過労死等防止対策推進法、議員立法ということで成立していますので、一般的に議員立法が法律改正をすることについて、どういうプロセスをたどるのか、教えていただきたいと思っています。

3点目ですが、今後の見直しの検討に向けた、この協議会でのスケジュール感、どのようなスケジュール感で考えているのかについて、お伺いしたいと思います。

 それから、先程来、様々な資料の御提示と御指摘があったものをお聞きしていると、今後の議論のためには資料の整理が必要ではないかと思います。特に重点分野も含めて引き続き継続してやっていくものは何かということ。それから、ストレスチェックなど大綱、法律が決まったあとに新たに制度が決まったものがあるので、何か含めるものはないのかどうかということ。それから、既存のトラックとか御指摘ある業種のものについても、深めていかなければいけないものや、議論のための整理が必要ではないかと思いますので、次回以降、整理したものを資料として御提出いただくことをお願いできないかということです。以上です。

○岩村会長 御質問、御要望ということで、厚労省でお答えをお願いします。

○村山総務課長 1点目、会長からも法律ができて3年、それから、大綱ができて2年半ほどたって、全体として見直しの議論を進めては、というお話しを頂きました。本日の先生方の御質問、御意見でも、様々な見解を頂きましたけれども、形として法律とか大綱というより、政策として何が足りないのか、あるいは何をすべきなのか、今、何を考えるべきなのかという点からの、たくさんの御意見を頂いたと思っております。輪島委員の最後の御意見とも重なりますけど、まず何をやるのかが決まって、それが、法律を変えなければできないことであれば、法律を変える議論を進めるということかと思いますし、大綱を変えることによってできることであれば、大綱を変えることであると思いますし、大綱には至らない、大綱に盛り込まれている内容の運用、例えば予算事業の運用や、そういったことで我々として気を付けることであれば、直ちに実施に移していくということかと思っております。まず、何をやっていくべきかのコンセンサスを作っていただき、事務局としても、当然それに御指導いただきながら最大限対応申し上げていくことが重要ではないかと考えているところです。

 それから2点目。内閣提出法案で特に労働分野の法案の場合、先ほど輪島委員に整理していただきましたように、法案要綱の審議会への諮問、答申を経て、各省庁協議を経たものについて、国会に内閣提出法案として提出して審議をお願いしていく、という流れです。議員立法は様々なものがあるので、議員立法一般というのは、私も知識がなくて、この場で突然のことでお答えしにくいのですけど、過労死等防止対策推進法のような、ある横断的な目的を持っていて、しかも基本法的な性格、つまり個々の分野の規制とか権利義務関係の調整ではなくて、国全体や関係者みんなでの取組方針や基本的な役割を定めて、こうした協議会の場、地方公共団体等の役割、そういったものを基本的に整理しているような議員立法は、少なくとも厚生労働委員会に付託されるものであれば、当初議員立法として成立したものは、議員立法により改正されてきている例が、悉皆的には分からないですけど、多いのではないかと思います。

 今、思い浮かびますのが、ちょうど10年ぐらい前に、自殺対策基本法とがん対策基本法がそれぞれ議員立法により制定され、それが10年経って、いずれも議員立法の形で改正されています。議員立法、基本的には特にこういう基本法的な性格のものの場合は、委員長提案の上、全会一致で議決されるというのが通例であると思います。その間に当然それぞれの、今、申し上げた自殺対策でもがん対策でも、当事者が参画される協議の場が設けられ、その中で大綱や基本計画が作られ、リボルビングで直され、でも、何回かやってみて、どうしてもこれでは法律を変えないと時代の変化に追い付いていかない、あるいは新しい課題が出てきているということになった場合に、今度国会での与野党の話合いの場に戻して、その中でコンセンサスが形成され、また、国会として法案を通していただけるような情勢になったときに成立してきている、そういう経緯があると思っております。悉皆的なお答えになっていないかもしれませんけど、直感的にはそうした例が一般的と考えているところです。

3点目のスケジュール感についてです。本日も御意見のかなり多くの部分は毎年の予算事業、あるいは公務員制度官庁の皆様とも連携しながら進めるいろいろな取組、あるいは、シンポジウムのような当事者や労使の皆様方と連携をしながら進める具体的な取組について、更に強化を、更なる見直しをという御要望だったと思います。また、本日もう1つ御意見が多かった数値目標に関しましても、例えばメンタルヘルスの相談の関係の指標は、先ほど村上委員からも「災害防止計画との連動もある」という御指摘を頂きましたが、今年で終期を迎える目標があります。来年度以降の目標をどうしていくのか。また、さらに来年8月末に提出する平成31年度の概算要求で、どういったものに重点をおいて、さらに拡充も含めて要求をするのかということとの兼ね合いがあるものは、皆様のコンセンサスを丁寧に作りながらしっかり閣議決定した上でやっていくというのが、ぶれのない形で実現につながっていくのではないかと思います。その意味では、少なくともそういった諸施策のベースになる大綱の見直しに関しましては、できれば来年の概算要求に十分余裕を持った段階でと考えています。現行の大綱も平成275月末までの協議会で大体のコンセンサスを作った上で、724日に閣議決定をしておりますが、そうしたスケジュールを参考としながら、御多忙の中恐縮ですが、協議会の開催頻度を少し上げさせていただきながら、大綱の見直し等の議論を深めていただければ大変有り難いと考えているところです。以上です。

○岩村会長 輪島委員、よろしいでしょうか。ほかには、いかがでしょうか。時間が過ぎているのですが、延長をお許しいただきたいと思います。

○寺西委員 寺西です。今後の大綱、または法律についての見直し、また、こういう分野も広げてほしいということで発言させていただきます。私たちは、これまで大綱作りのときに残された課題としまして、週労働時間の60時間以上の労働者をゼロにするということ。そして、80時間以上の時間外労働を認める特別延長を定める36協定をゼロにする。また、インターバル休息制度の導入について、数値目標を持って取り組むこと。全ての事業所労働者について、労働時間の客観的方法により適正に把握させること。こうしたことを主張してきましたが、現行法を前提にということで、この4つの意見は取り入れていただくことはできませんでした。ただ、この間、違反した企業名が公表されたり、また、労働時間の適正な把握のガイドラインの策定、これは通達の内部基準ではなくガイドラインに昇格したということ、そして、昨年から働き方改革が進んで、既に実行計画がなされ閣議決定されたということで、このような働く社会の情勢につれて、国としても大きな変化が起こっているところであります。やはり今後の大綱案についても、労働安全衛生法、労働契約法、そして、事業者には安全、健康確保義務を有する、そういうことが大綱の中にも盛り込まれていますので、是非働き方改革について、この大綱の副題になっている、過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ、こうしたものが原点になる、そうした対策を今後講じていただける、法律改正または大綱案を奥深く議論を持っていける、中身にしていただきたいと願っております、是非今後こういう方向でお願いしたいと思っております。

○岩村会長 貴重な御意見をありがとうございます。

○森岡委員 先ほど、私の発言で「社会生活基本調査」の2016年度の調査結果を申しまして52.9時間、はしょって53時間と申しました。これは、男性の正規労働者です。一言付け加えますと、60時間以上の5%以下にするという目標、男女計で見てますが、男女の別の労働時間は、大体年間で、52週に直せば580時間前後開いています。ですから、男女別を示さないと、本当の実効性のある目標数値とは言えませんので、その点も含めて御検討ください。

○岩村会長 ほかには、いかがでしょうか。

○川人委員 法律の、具体的には白書236ページにあります過労死防止法の法律の改正、それから過労死防止大綱の改正、この両方がテーマになり得るという話でした。それで、1点だけ法律の問題について申し上げますと、現在の法律で第4条の3項が、事業主について、過労死防止のための対策に協力するよう努めるものとするということの規定があり、これは、表現としてはやや弱いということは、制定当時から一貫して申し上げてきました。こういう表現上の問題も含めて、やはり法律改正について可能かどうかというのは、議論の検討はしていただきたいと思っております。その上で、防止大綱については、様々な実践を踏まえて、具体的に改正できる点を是非改正していただきたい、そのように考えております。以上です。

○岩村会長 最後にすみません。私も、3点だけコメントをさせていただくことをお許しいただければと思います。第1点として、先ほど1番目の議題にありました白書ですけれども、今回、このように非常に充実したものが作成され、公表されたということで、これに取り組まれました事務局に、厚く御礼を申し上げたいと思います。特に、様々な調査等によっていろいろなデータが提出され、かつ、分析が行われております。これは今後の、例えば労働時間の問題、あるいは安全衛生の問題を、立法も含めて検討していく上で、非常に重要な素材になるものだと思っております。そういう点では、協議会における取組としてのこの白書は、非常に重要な意味があると考えているところです。

 それから、もう1つ、実はこの協議会は、かなり私自身は重いものだと思っております。というのは、なぜかと言いますと、第一に事務方のほうが、基準局長をはじめ厚労省の、特に労働基準行政、それから、労働安全行政を担当する主な担当課長が出席しているということ。それが、すなわち即、関係分科会、労働条件分科会、あるいは労働安全分科会の事務局となっておりまして、そういう点での審議会との連携が図られているということが1つです。それから、もう1つは、先ほど総務課長からも御紹介がありましたけれども、メンバーの中に関係審議会のメンバーの方が入っているということで、ここでの議論が、実は関係審議会のメンバーの皆様に、ある意味直接伝わっていくということが重要かなと思っております。そういう意味で、この協議会は非常に重みのあるものだなと、私自身は考えているところです。

3番目ですが、インターバル規制については、これは今後真剣に取り組むべき課題だと思っておりますし、かなり有効な策だろうとは思っているのですが、いかんせん、「インターバルって何」という状況が、まだまだだと思っています。そういう点では、先ほど既に総務課長からも御紹介がありましたように、まず、インターバルというのがどういう意味を持って、どういうものであるかということを、とりわけ事業主の皆様、また、他方で労働組合あるいは労働者の皆さんに、きちんと理解をしていただいて、その上で各業種あるいは各職種に適合した形でインターバル規制の導入を広めていく。そのためには、好事例の紹介といったような着実な取組が必要でしょうし、特に労働行政の現場で様々な形で啓発活動を行って、場合によっては後押し活動を行って、できるだけ早くこれが普及していく、そういう方向で政策を取り組んでいただくのが、非常に望ましいと考えているところです。

 最後に、時間を私が勝手に使って大変申し訳なかったと思いますが、今日、今後の政策の進め方について、また、今後の法律または大綱の見直しについてのスケジュール感も含めて質疑、応答をさせていただきました。頂いた意見の中で、もしかすると宿題になった事項もあったかもしれませんので、それにつきましては、事務局である厚生労働省が中心となりまして、関係省庁と連携を図りつつ、次回の協議会に向けて準備をしていただければと存じます。また、本日頂戴しました今後の対策に係る具体的な意見や提言などにつきましては、先ほど輪島委員の御指摘もありましたので、事務局のほうで少し観点を整理した上で、ポイントを整理して次回の協議会までに御用意いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、本日は、ここまでとさせていただきたいと思います。委員の皆様方におかれましては、活発に御意見を頂きまして、誠にありがとうございました。最後になりますけれども、次回の日程につきまして事務局から御説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○佐藤企画官 次回につきましては、年明け以降の開催になるかと思いますが、日程等につきまして追って調整の上、事務局より御連絡させていただきます。よろしくお願いいたします。

○岩村会長 また事務局等、特に窓口になっている厚生労働省に対して、御質問等ありましたら、次回を待たずに出していただければと思います。そうしますと、次回にあらかじめ準備ができるということもあろうかと思いますので、よろしくお願いいたします。それでは、第9回過労死等防止対策推進協議会は閉会とさせていただきたいと思います。本日はお忙しいところ長時間にわたりまして、ありがとうございました。


(了)

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