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2017年7月27日 第49回中央最低賃金審議会 議事録

労働基準局

○日時

平成29年7月27日(木)
10:00~10:30


○場所

厚生労働省専用第21会議室(17階)


○出席者

【公益委員】

仁田会長、戎野委員、鹿住委員、中窪委員、藤村委員

【労働者委員】

木住野委員、小原委員、冨田委員、永井委員、新沼委員

【使用者委員】

秋田委員、小林委員、高橋委員、中西委員、橋本委員、増田委員

【事務局】

山越労働基準局長、井上大臣官房審議官
増田賃金課長、武田大臣官房付(賃金担当)、菊池主任中央賃金指導官
伊勢中央賃金指導官、由井賃金課長補佐、大野賃金課長補佐

○議題

平成29年度地域別最低賃金額改定の目安について(答申)

○議事

○仁田会長
 それでは、ただいまから「第49回中央最低賃金審議会」を開催いたします。本日、武石委員、須田委員が御欠席です。本日の議題は、中央最低賃金審議会目安に関する小委員会報告と平成29年度地域別最低賃金額改定の目安についてです。本年度の地域別最低賃金額改定の目安につきましては、目安に関する小委員会におきまして熱心な御審議を重ねていただきました。一昨日の第4回目安に関する小委員会におきまして、報告が取りまとめられましたので、委員長の私から御報告申し上げたいと思います。
 今年度の目安審議については、去る6月27日の中央最低賃金審議会において諮問が行われますとともに、目安に関する小委員会に付託をされました。その後、当小委員会におきまして、6月27日、7月12日、7月20日、7月25日の4回にわたって会議を開催いたしまして、委員の皆様には誠に熱心な御議論をいただいたところです。小委員会報告を取りまとめるべく、公益と労使各側の個別の打合せを数回にわたり開催し、とりわけ第4回につきましては、夜遅くまで御議論をいただきましたが、労使の意見の一致を得ることはできませんでした。しかしながら、公益委員の見解を小委員会報告として地方最低賃金審議会に示すように本審議会に報告するということを了承いただき、お手元にありますとおり、報告を取りまとめた次第であります。
 では、小委員会報告を事務局に朗読していただきます。


○伊㔟中央賃金指導官
 それでは朗読いたします。中央最低賃金審議会目安に関する小委員会報告。平成29年7月25日。1 はじめに。平成29年度の地域別最低賃金額改定の目安については、累次にわたり会議を開催し、目安額の根拠等についてそれぞれ真摯な議論が展開されるなど、十分審議を尽くしたところである。
 2 労働者側見解。労働者側委員は、最低賃金の水準が依然として低く、地域間の格差が拡大傾向にあるとの問題意識から、一般労働者の賃金改定率だけではなく、あるべき賃金水準の議論を行うことが必要であると述べ、「円卓合意」や「雇用戦略対話合意」も踏まえつつ、生計費を考慮し、当面目指すべき水準として、最低賃金額が800円以下の地域をなくすことが急務であり、Aランクについては1,000円への到達を目指すべきであると主張するとともに、これらの水準の到達時期については、経済環境等にも配慮しつつ、3年以内とすべきであると述べた。
 また、現在の地域別最低賃金額の水準で法定労働時間働いた場合でも年収200万円に到達せず、最低賃金法(昭和34年法律第137号)第1条の「賃金の低廉な労働者の労働条件の改善を図る」という法目的に鑑みて低水準であると述べるとともに、最低賃金近傍で働いている労働者の中には、正社員として働く機会がないこと又は家庭の事情があること等により非正規雇用で働いている者が少なくないことから、雇用形態に関わらず、働いて稼いだ賃金で家族とともに生活し、将来展望が描ける社会を実現すべきであると主張した。
 さらに、目安制度が導入された昭和53年当時に比べ、生活文化圏や経済圏が広範囲となり、隣県との格差拡大が働き手の流出にもつながっている状況を是正するためには、地方最低賃金審議会の自主性発揮を促すことが必要であり、目安額を示す際はこうした点を考慮すべきであると主張した。
 最低賃金がその機能を発揮するには一定程度の影響率は必要であり、また影響率上昇による雇用への悪影響は出ていないと主張した。
 労働者側委員としては、上記主張が十分に考慮されずに取りまとめられた下記1の公益委員見解については、不満の意を表明した。
 3 使用者側見解。使用者側委員は、中小企業の景況感は緩やかながら改善傾向にあるものの、その動きは大企業に比べて鈍く、休廃業や解散する企業の件数が過去最高となったことに加え、人手不足の影響が強まっており、先行きの不透明感は依然として強いとの認識を示した。
 また、「働き方改革実行計画」(平成29年3月28日働き方改革実現会議決定)に記載されている最低賃金に関する内容は、これまで政府が示してきた方針と同様のものであり、その意味は、毎年機械的に最低賃金を3%程度引き上げるのではなく、名目GDP成長率が3%に達しない場合には、そうした状況を考慮しながら最低賃金の引上げ額を議論することであると主張した。
 さらに、最低賃金の大幅な引上げには、当該引上げの影響を受けやすい中小零細企業に対する効果的な生産性向上等の支援策の実施や拡充が不可欠である一方、政府の施策の十分な成果が見られないまま最低賃金の大幅な引上げだけが先行して実施されてきたとの現状認識を示した上で、今年度についても合理的な根拠を示さないまま、最低賃金の大幅な引上げの目安を提示することとなれば、目安制度、ひいては最低賃金の決定プロセス自体が成り立たなくなるのではないかとの強い懸念を表明した。
 また、今年度の目安審議に当たっては、諮問文で求められている働き方改革実行計画への配慮は必要であるが、目安審議は、最低賃金法(昭和34年法律第137号)第9条に定められている最低賃金決定の3要素を考慮すべきであり、これらを総合的に表している賃金改定状況調査結果のとりわけ第4表を重視するとともに、急激に上昇した影響率を十分に考慮した、合理的な根拠に裏打ちされた目安を提示すべきであると主張した。
 使用者側委員としては、上記主張が十分に考慮されずに取りまとめられた下記1の公益委員見解については、不満の意を表明した。
 4 意見の不一致。本小委員会(以下「目安小委員会」という。)としては、これらの意見を踏まえ目安を取りまとめるべく努めたところであるが、労使の意見の隔たりが大きく、遺憾ながら目安を定めるに至らなかった。
 5 公益委員見解及びその取扱い。公益委員としては、今年度の目安審議については、平成29年3月28日に中央最低賃金審議会において了承された「中央最低賃金審議会目安制度の在り方に関する全員協議会報告」(以下「平成29年全員協議会報告」という。)の3(2)で合意された今後の目安審議の在り方を踏まえ、加えて、「働き方改革実行計画」(平成29年3月28日働き方改革実現会議決定)に配意し、諸般の事情を総合的に勘案し、下記1のとおり公益委員の見解を取りまとめたものである。
 目安小委員会としては、地方最低賃金審議会における円滑な審議に資するため、これを公益委員見解として地方最低賃金審議会に示すよう総会に報告することとした。
 また、地方最低賃金審議会の自主性発揮及び審議の際の留意点に関し、下記2のとおり示し、併せて総会に報告することとした。
 さらに、政府において、中小企業・小規模事業者の生産性向上等のための支援や、取引条件の改善等に引き続き取り組むことを強く要望する。
 また、行政機関が民間企業に業務委託を行っている場合に、年度途中の最低賃金額改定によって当該業務委託先における最低賃金の履行確保に支障が生じることがないよう、発注時における特段の配慮を要望する。
 記。1 平成29年度地域別最低賃金額改定の引上げ額の目安は、次の表に掲げる金額とする。平成29年度地域別最低賃金額改定の引上げ額の目安。ランクA、都道府県、埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪。金額26円。ランクB、都道府県、茨城、栃木、富山、山梨、長野、静岡、三重、滋賀、京都、兵庫、広島。金額25円。ランクC、都道府県、北海道、宮城、群馬、新潟、石川、福井、岐阜、奈良、和歌山、岡山、山口、徳島、香川、福岡。金額24円。ランクD、都道府県、青森、岩手、秋田、山形、福島、鳥取、島根、愛媛、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄。金額22円。
 2(1)目安小委員会は、今年度の目安審議に当たって、平成29年全員協議会報告の3(2)で合意された今後の目安審議の在り方を踏まえ、特に地方最低賃金審議会における自主性発揮が確保できるよう整備充実や取捨選択を行った資料を基にするとともに、働き方改革実行計画(平成29年3月28日働き方改革実現会議決定)に配意した調査審議が求められたことについて特段の配慮をした上で、総合的な審議を行ってきた。
 今年度の公益委員見解を取りまとめるに当たっては、特に非正規雇用労働者の処遇改善が社会的に求められていることを重視し、名目GDP成長率は前年に比べ低下したものの、賃金改定状況調査結果第4表の賃金上昇率や春季賃上げ妥結状況等における非正規雇用労働者及び中小企業の正規雇用労働者の賃金上昇率など賃金に関する指標が全般的に上昇傾向にあること、影響率は上昇している一方、雇用者数等については増加傾向にあること、地域別最低賃金の最高額に対する最低額の比率を引き続き上昇させていく必要があること等、様々な要素を総合的に勘案し、検討を行ったところである。
 目安小委員会の公益委員としては、地方最低賃金審議会においては、地域別最低賃金の審議に際し、目安を十分に参酌することを強く期待する。
 (2)生活保護水準と最低賃金との比較では、前年度に引き続き乖離が生じていないことが確認された。
 なお、来年度以降の目安審議においても、最低賃金法(昭和34年法律第137号)第9条第3項及び平成29年全員協議会報告の3 (2)に基づき、引き続き、その時点における最新のデータに基づいて生活保護水準と最低賃金との比較を行い、乖離が生じていないか確認することが適当と考える。
 (3)最低賃金引上げの影響については、平成29年全員協議会報告の3(2)及び4(3)に基づき、引き続き、影響率や雇用者数等を注視しつつ、慎重に検討していくことが必要である。
 (4)目安小委員会の公益委員としては、中央最低賃金審議会が今年度の地方最低賃金審議会の審議の結果を重大な関心をもって見守ることを要望する。以上です。

○仁田会長
 どうもありがとうございました。皆様の御尽力によりまして、先ほど御報告した小委員会報告を取りまとめることができました。重ねて御礼申し上げたいと思います。なお、この報告にもありますとおり、小委員会としては政府が中小企業・小規模事業者等の生産性向上のための支援や取引条件の改善に引き続き取り組むことなどの要望をさせていただいておりますので、今年の答申においても、この趣旨を盛り込みたいと考えておりますが、いかがでしょうか。


(異議なし)


○仁田会長
 ここまでの内容について、何か御意見等ございますでしょうか。よろしいですか。それでは事務局から答申(案)を配布していただきたいと思います。


(答申(案)配布)


○仁田会長
 それでは、答申(案)を朗読してください。


○伊㔟中央賃金指導官
 それでは朗読します。(案)。平成29年7月27日。厚生労働大臣塩崎恭久殿。中央最低賃金審議会会長仁田道夫。平成29年度地域別最低賃金額改定の目安について(答申)。平成29年6月27日に諮問のあった平成29年度地域別最低賃金額改定の目安について、下記のとおり答申する。
 記。1 平成29年度地域別最低賃金額改定の目安については、その金額に関し意見の一致をみるに至らなかった。
 2 地方最低賃金審議会における審議に資するため、上記目安に関する公益委員見解(別紙1)及び中央最低賃金審議会目安に関する小委員会報告(別紙2)を地方最低賃金審議会に提示するものとする。
 3 地方最低賃金審議会の審議の結果を重大な関心をもって見守ることとし、同審議会において、別紙1の2に示されている公益委員の見解を十分参酌され、自主性を発揮されることを強く期待するものである。
 4 政府において、中小企業・小規模事業者の生産性向上等のための支援や、取引条件の改善等に引き続き取り組むことを強く要望する。
 5 行政機関が民間企業に業務委託を行っている場合に、年度途中の最低賃金額改定によって当該業務委託先における最低賃金の履行確保に支障が生じることがないよう、発注時における特段の配慮を要望する。
 別紙1及び別紙2は先ほど読み上げたものですので省略いたします。以上です。


○仁田会長
 ただいま、答申(案)について読み上げていただきましたが、何かこれについて御意見等ございますでしょうか。


(異議なし)


○仁田会長
 よろしゅうございましょうか。ございませんようでしたら、この案のとおり答申を取りまとめたいと思います。それでは答申を山越労働基準局長にお渡ししたいと思います。答申を用意してください。


(仁田会長より答申を山越労働基準局長に手交)


○仁田会長
 それでは一言、御挨拶をお願いいたします。


○山越労働基準局長
 それでは、御挨拶を申し上げます。本年度の目安につきまして、ただいま、答申をお取りまとめいただきまして、誠にありがとうございました。本年度の調査審議でございますけれども、働き方改革実行計画に御配意いただき、また、様々な要素を総合的に勘案していただきまして、真摯な御議論を尽くしていただいたと承知をしております。
 いただきました答申につきましては都道府県労働局に伝達をしたいと考えております。地方最低賃金審議会におきまして、円滑な審議が行われますように私どもこれから努力をしていきたいと思っております。長い間、御議論をいただきまして誠にありがとうございました。お礼を申し上げまして私の御挨拶とさせていただきます。本当にありがとうございました。


○仁田会長
 どうもありがとうございました。ほかに何かございますでしょうか。よろしいですか。それではこれをもちまして、第49回中央最低賃金審議会を終了いたします。本日の議事録の署名は、木住野委員と増田委員にお願いいたします。本日はどうもお疲れさまでした。


(了)
<紹介先>

労働基準局賃金課
最低賃金係(内線:5532)

代表:03-5253-1111

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