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2017年7月10日 独立行政法人評価に関する有識者会議 労働WG(第16回)議事録

○日時

平成29年7月10日(月)12:58~15:11


○場所

中央労働委員会労働委員会会館講堂(7階)


○出席者

今村主査、志藤構成員、関口構成員、高田構成員、戸田構成員、中村構成員

○議事

○今村主査

 皆様お集まりですので、始めさせていただきたいと思います。ただいまから、第16回独立行政法人評価に関する有識者会議労働WGを開催いたします。構成員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日は、松尾構成員、宮崎構成員が御欠席です。また、後ほど事務局から御紹介があるかと思いますが、本WG構成員に新しく御就任された松浦構成員、三宅構成員が御欠席です。

 はじめに、酒光総合政策・政策評価審議官から御挨拶を頂きます。よろしくお願いします。

 

○総合政策・政策評価審議官

 総合政策・政策評価審議官の酒光です。どうぞよろしくお願いいたします。独立行政法人評価に関する有識者会議の労働WGの開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。構成員の皆様には、特に今日いらっしゃる方は昨年からずっとやっていらっしゃる方々で、本当にお世話になりましてありがとうございます。また、今年も幾つかお願いすることになりますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。ここにいらっしゃる方々は、そういう意味ではよく御存じかと思いますけれども、やや記憶を新たにするという意味で、若干、経緯等を確認させていただきます。

 独立行政法人の評価の方法につきましては、一昨年度に変更がございまして、評価指針に基づいて主務大臣が評価するという形になりました。ですから、この有識者会議の御意見を踏まえて、主務大臣が最終的に責任をもって評価するということになっております。

 初年度の平成26年度評価ですけれども、このときは総務省から厚生労働省他、幾つかの省庁につきまして、少しAの割合が多いのではないかという御指摘を受けたところでございます。この辺りは時間の関係で説明を省略しますが、参考資料5に書いてございますので、御関心があれば御覧いただければと思います。

 これを踏まえまして、昨年度の平成27年度評価では、有識者会議の皆様に大変的確な御議論をいただきまして、評価指針に則した厳格な評価を行ったということでございます。平成27年度評価についての総務省の指摘ですけれども、これは参考資料6をお配りしておりますので、御覧いただければと思いますが、個別省庁についての指摘は特にありませんでしたが、全体的な指摘といたしまして、この2ページ目の1の最後のパラグラフで、総務省の委員会としては、SABCDは関係ないのだと書いてありますけれども、「その評定を付すに至った判断の根拠、理由等が合理的かつ明確に分かりやすく説明され、主務大臣において、年度評価等の結果によって判明した独立行政法人の業務運営上の課題や法人を取り巻く社会経済情勢の変化などを踏まえた業務及び組織の見直し等の対応が行われることが重要である」と書かれています。やや長いので、要約的に申し上げますと、根拠を明確にした評価を行って、それが業務の改善等につながることが大事だという指摘でございまして、正にそのとおりですし、昨年度もそうしていただいたかと思っております。

 具体的な進め方ですが、参考資料22ページ目を御覧ください。ここが考え方の基本になりますけれども、項目別評定の所にございますが、B評定というのがあくまでも基準になりまして、定量的指標において、目標値の100%以上120%未満の場合はB評定ということになります。そして、目標値の120%以上の場合にA評定ということになります。さらに、その上で質的に顕著な成果があったという場合にS評定になるということですので、これを踏まえまして、独立行政法人の評価に当たりましては、目標の達成率、これを基準として絶対評価を行った上で、さらに、目標設定が適切かどうか、これもかなり去年やっていただきましたけれども、例えば、過去の実績から見て安易に達成可能な目標になっていないかどうかですとか、数値目標以外に考慮すべき質的な面があるかどうか、こういったことに留意していくことが大事かなと思っておりますので、構成員の皆様におかれましては、これらを踏まえまして、独立行政法人の厳正な評価、それから当然ながら業務の改善、こういったものにつながるようなことに向けて、専門の御見地から御知見を頂ければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

○今村主査

ありがとうございました。それでは、本日の議事について事務局から説明をお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 政策評価官室室長補佐の宮崎と申します。どうぞよろしくお願いいたします。本日の議事についての説明の前に、本年度の本WGの構成員について説明させていただきます。構成員につきましては、参考資料15ページの名簿のとおりとなっております。労働WGですが、新たに就任した委員につきまして、本日は御欠席ですが、41日付けで、松浦民恵法政大学キャリアデザイン学部准教授、三宅淳巳横浜国立大学先端科学高等研究院副高等研究院長・教授に、新たに構成員として御就任いただいておりますので、御報告申し上げます。

 それでは、本日の議事について説明いたします。本日の議事は、お手元に配布させていただいている議事次第のとおり、勤労者退職金共済機構の平成28年度業務実績評価に係る意見聴取です。評価項目ごとに、法人側から業務実績及び自己評価について説明いただき、有識者の皆様から御意見、御質問をいただきたいと存じます。

 参考資料3の総務大臣が定める「独立行政法人評価に関する指針」を踏まえ、先ほどの審議官の御挨拶の繰り返しになりますが、B評定が標準であること、A評定以上を付すには、定量的指標において120%以上の達成度が求められていること等に御留意いただきますようお願いいたします。

 なお、独立行政法人の評価スケジュール全体につきましては、参考資料1の別添610ページになりますが、そちらに書いてあるとおりで、本日の意見聴取等を踏まえて、主務大臣による評価を実施することとしております。事務局からは以上です。

 

○今村主査

 それでは、勤労者退職者共済機構の平成28年度業務実績評価について議論をしていきたいと思います。初めに、「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項」のうち、「1-1 退職金共済事業(一般の中小企業退職金共済事業)」について、勤労者退職金共済機構からポイントを絞ってごく簡潔な御説明をお願いします。

 

○勤労者退職金共済機構理事(成田)

 勤労者退職金共済機構で総務を担当している成田と申します。どうぞよろしくお願いします。

 それでは、項目No.1-1について、資料1-14ページ、「確実な退職金支給のための取組」のうち「一般の中小企業退職金共済事業における退職金未請求者に対する取組」です。数値目標は、請求権が発生した年度における退職者数に対する当該年度から2年経過後の未請求者数の比率を中期目標期間の最終年度までに1%程度としているかとなっています。

5ページ、「平成28年度退職金未請求者に対する主な取組結果」ですが、平成28年度は、「新たな未請求退職金の発生を防止するための取組」として、未請求者へのテレホンアプローチ、請求手続要請文書の再送付など、各種の取組を引き続き実施するとともに、新たに住民基本台帳ネットワークを活用し、住所情報を入手したところです。これらの取組により、一番下のグラフですが、数値目標である平成28年度の未請求率については1.46%と、3年連続で取組開始前のおおむね半分以下の水準である1.4%台に抑制したところです。

6ページに幾つかグラフを付けていますが、左上のグラフは退職金の請求時期の分布です。退職者のうち、4人に3人までは退職後1か月以内、10人中9人までが3か月以内に請求いただいています。さらに、1年以内に9798%の方が請求されますが、残りの23%の方に受け取っていただくのが難しい状況です。様々な対策を実施しても、退職後2年目までに更にもう1%程度の方に受け取っていただくのがやっとというのが実情です。

 右側のグラフは、退職後1年から2年までの状況をより詳しく見たものですが、平成19年度以降に実施した様々な周知施策の結果、平成22年度の退職者の折れ線、平成23年度の退職者の折れ線と、少し下がってきていますが、平成24年度以降の退職者の方については、未請求率が1.4%台まで下がって以降は、岩盤に突き当たったような形になっています。

 左下のグラフですが、平成28年度において、黒字の通常の対策に加えて、年度後半に赤色と緑色の追加対策を行った様子をお示ししていますが、最終的な未請求率は1.46%にとどまっており、更なるコストを掛けても岩盤を崩せない状況が御覧いただけるかと思います。未請求者の8割以上が、受給権のあることを認識した上で請求してこられない方々ですが、右下のグラフを御覧いただきますと、未請求者の退職金額は、半数近くが5万円未満となっており、手続が面倒であるということが未請求の大きな理由となっている可能性もあります。一方で、退職金が100万円を超える方も1割弱いらっしゃいますが、「遺族が相続を放棄している」、「生活保護を受けている」といった複雑な理由がある模様であり、プライバシーに踏み込んで受給を勧奨することは、現在の法制度の枠組みでは難しいのではないかと考えられます。こうした状況を踏まえますと、未請求率の一層の縮減に向けて追加的な対策を実施することは、費用対効果やプライバシーの観点から、必ずしも被共済者全体の利益にかなうとは言い切れないのではないかと考えられます。

したがいまして、平成28年度の未請求率が3年連続で1.4%台となったことは、現状、到達しうるほぼ限界点まで達したと考えられることから、自己評価をBといたしました。法人の説明は以上でございます。

 

○今村主査

 ありがとうございます。それでは、ただいまの御説明について、御意見、御質問等がございましたらお願いします。

 

○戸田構成員

 御説明、ありがとうございました。1点確認なのですが、今のお話ですと、1.4%という中で、その要因をいろいろと分析されていて、それは非常にすばらしいと思っているのですが、確認させていただきたいのは、残りの1.4%の方々というのは、そもそも住所がよく分からないのでなかなかここもアプローチができないというところですとか、もう少し定性的に1.46%に当たる方々がどんな方々なのかを、もし分かる情報がありましたら教えていただきたいのですが。

 

○勤労者退職金共済機構理事(西川)

 中退共を担当している西川です。私から御説明させていただきます。今おっしゃいましたとおり、1.46%の中には、住所の分からない方、それから分かっていらっしゃる方、両方いらっしゃるわけですが、ただ、8割以上は住所が分かっているという状況でして、私どもからアプローチをしている対象となっています。

(4)に書いてあります方々については、住所の分かっている方々の内訳ですが、金額の分布を見ますと、御覧いただけるとおり、10万円未満で5割以上ということですので、恐らく手続が面倒であるとか、そういった理由で請求してきていただけないのではないかと考えているところです。

 一方で、非常に金額の高い300万円以上というようなところも2%程度の方々がいらっしゃるわけですが、こういった方々については、先ほど成田理事からも若干言及がありましたけれども、例えば遺産を相続された方が相続放棄をされているので受け取れないとか、そういった何かしらの特殊な事情があるということを聞いております。私共といたしましては、受給権があることの周知まではできるのですけれども、説得まではなかなか難しいと私どもは考えているところです。

 

○今村主査

 はい、どうぞ。

 

○志藤構成員

 今、御説明を最初に伺いながら、これをどこまでおやりになる積もりなのだろうと、ちょっと不安になってまいりました。そこまでして嫌がるものを、というのも変な表現ですけれども、いらないというものを、むんずと捕まえて何とかもらえというような、非常に変な言い方になりますけれども、そこまでする必要があるものなのかどうかと思いながらお話を伺っておりましたら、最後に費用対効果とかプライバシーの問題もあるのでとおっしゃっていただいて、ほっと胸をなで下ろしたような次第です。もちろん100%の達成が可能なものも世の中にはありますが、不可能なものもあると思いますので、その辺の見極めをするということも大事な業務かと思いまして、余りパーセントというものだけに捕われて、自分が構成員でありながらこういうことを申し上げるのも何だか心苦しいのですが、特にこういう評価ということになりますと、どうしても数字というものに縛られるとは思いますけれども、もう少し柔らかなといいますか、世の中の常識的なものの判断というものも併せてしていただかないと、数字だけに引っ張られて、どうしても100%ということで、無理をなさる必要はないと思いながらお話を伺っておりました。単なる感想です。

 

○勤労者退職金共済機構理事長

 今、大変貴重な御意見をありがとうございます。これからパワーポイントが出ますけれども、私は昨年この会議に初めて出させていただいて、貴重な御意見、大変参考になりました。私は民間から来て、最初、少し何か違うかなと思ったのですが、この会議でお話を聞いて、同じなのだなと。したがって、今年は、やったことよりも、むしろ皆さん方に御納得いただけるように、パワーポイントをかなり直しました。今、御指摘のように、私も評価する立場にいましたので、評価の恐ろしさは十分分かっていまして、数字だけが走って、本末転倒になるようなことのないように、あるいはコストはものすごく削減要求がきていますので、その中での優先順位は理事長が付けるというつもりでおりますので、今、大変有り難いお話でありますけれども、数字だけが走って、点数だけを取りにいっているわけではございませんので、どうぞ、御安心いただきたいと思います。

 

○今村主査

 いかがですか。

 

○戸田構成員

 何度も質問させていただいて恐縮なのですが、私も先ほどの志藤構成員とほぼ同じような印象を持っておりますので、その点、まず御留意いただいた上で、もう1つ追加的に質問させていただきます。6ページの(4)の平成26年度脱退未請求者の金額階級別構成比のグラフですが、こちらは、一般的に請求を受ける方々との平均と見ても、やはり低いと言えるのか。例えば、このグラフを見させていただきますと、10万円以下の請求額の方が半数を超えるという数字ですが、実際に請求される方々の金額の分布、若しくは平均でもかまいませんし、何かそういう情報が分かって、やはりその中でも低いということをおっしゃっていただくと、やはり金額が低いのでなかなかコストが見合って請求されないというような話も分かるのではと思いますが、その点、教えていただければと思います。

 

○勤労者退職金共済機構理事長

 お答えします。平均は、どの共済も大体100万円です。ただ、こういう事業というのは、戸田構成員のほうが御専門だと思いますが、平均値だけで見ていると、例えば雇用期間とか、間違えることはいっぱいあるのですけれど、100万円という相場感で考えていただければいいと思います。

 

○今村主査

 平均で100万円ということですか。

 

○勤労者退職金共済機構理事長

 平均です。

 

○今村主査

 ということは、この5001,000万円とか、100万円以上というのは、多いほうですか。

 

○勤労者退職金共済機構理事長

 多いほうですね。

 

○今村主査

 そうですか。ありがとうございます。

 

○中村構成員

 目標が1%ではなくて、1%程度なので、十分に目標に入っているのではないかと私は思っています。この場合の120%を目指すというのは何なのかというのは、ちょっと逆に難しいのかなという気がしてて、ここら辺はたんたんと業務が行われているというような評価でいいのではないかと私は思っていますけれども。

 

○勤労者退職金共済機構理事長

 お答えいたします。この1%程度というのを決めたときは、実はストレッチ目標で、要は120%ぐらいのイメージで1%程度とこういうことだったようでございます。私も、そう思います。同感です。

 

○今村主査

 これでこの項目は終わりにしたいと思いますが、今回初めて円グラフが出てきたわけです。今、理事長がおっしゃったように、目標設定のときに120%ぐらいのストレッチと言ったのですが、もっと大きかったのかどうかということも、去年からずっと議論しています。結局、100%の上か下かでBCかに変わるわけですね。つまり、仮に100%だとしても、Cということもあり得るわけで、そういう意味では、ほかの枠組みとの整合性を考えると、安易にBだと認めるわけには、そう簡単にはいかない問題だということは依然として残ると思います。

 ただし、各委員がおっしゃったように、コストベネフィットとか社会的なインパクトを考えて、この問題は、当初の目標設定が、理事長が今おっしゃるように甘かったと。それによって、ずっと引きずってきて、できるだけ達成しようとして努力したけれども、ここにきて、逆にいろいろなデメリットが出てきているということで、皆様の印象としては、100%を超えているのと同等と判断していいのではないかということだと思いますので、そういうことでまとめさせていただきます。ただし、目標設定の数値目標を厳格に適用するという方針は、やはりやめるわけにはいきませんので、質的な部分で判断をするということは、併せてさせていただきます。

 それでは、次にいきたいと思います。2番、お願いします。1-2ですね。

 

○勤労者退職金共済機構理事(成田)

 資料の7ページ、項目No.1-2、「確実な退職金支給のための取組」の「特定業種退職金共済事業における長期未更新者への取組」です。数値目標については、共済証紙の販売額の累計と、貼付確認額の累計の差額について、前中期目標期間の終了時から100億円程度減少しているか等となっています。

8ページです。特退共につきましては、御案内のとおり、共済契約者から退職届が出されることはなく、被共済者が業界から引退したときに退職金をお支払いする制度で、「長期未更新者調査」は、過去3年間共済手帳の更新のない被共済者に対し、手帳更新、退職金請求等の手続を要請するもので、平成28年度もそれぞれの対象者に対して調査を実施しました。

 また、新規加入者に対する「加入通知書」の発行、被共済者の住所データのデータベース化、建退共について共済証紙の適正な貼付に向けた取組等を引き続き実施しました。

 さらに、建退共については、在籍者の生年月日等の入力作業を完了し、清退共、林退共も含め、長期未更新者調査のフォローアップ調査や、住基ネットを活用した住所の特定等も新たに実施しました。

9ページで、数値目標である「販売貼付差額」については、平成24年度末に比べ、32億円増加したところです。販売貼付差額は、証紙が販売されてから、これは公共工事では契約時ですが、手帳に証紙が貼付され、250日働いた後の手帳更新時に貼付が確認されるまでの、おおむね12年程度の間で生じるものです。平成15年度末から平成24年度末まで差額が減少してきておりますが、右下の折れ線グラフを御覧いただきますと、これは、この時期が証紙販売額が低下する局面であったことが考えられます。一方、近年のように証紙販売額が上昇する局面では、差額全体の減少を実現することは困難となっています。

なお、現在の数値目標は、証紙貼付方式を前提として設定されているものと認識していますが、労働者の退職金の充実を図る上では、証紙貼付方式自体を見直し、建退共制度について、抜本的な改善を図ることが必要ではないかと考えています。

10ページの建退共の長期未更新対策については、被共済者のうち、住所を把握していない方、住所情報を画像データでしか保有していない方がいらっしゃるとともに、現在の長期未更新者調査が退職金の請求に直結していないという問題があると考えられることから、次期中期計画においては、現在の数値目標に替えて、過去3年間以上手帳更新がなく、掛金納付月数が24月以上の被共済者を削減するための数値目標を設定し、必要な予算及び体制を確保した上で、住所情報のデータベース化を進め、住所が判明しており業界を引退している可能性が高い被共済者に対する通知や、集中的な広報活動を行うことを要望していきたいと考えています。

11ページは、先ほどの建退共制度の掛金納付方式の見直しについて記載しています。掛金納付方式の見直しについては、機構に設けられた検討会の取りまとめを踏まえて、本年3月の運営委員会などで、証紙の取扱を不要とする口座振込・振替方式の導入の推進に向けて検討することとされており、本年度、電子申請方式の実証実験を実施する予定であり、次期中期計画期間においても、引き続き検討を進めていくこととしたいと考えています。

先ほど御説明したとおり、数値目標である共済証紙販売額と貼付確認額の差額については、平成28年度末において、平成24年度末と比較して、32億円増加しておりますが、この理由については、通常の手続により発生する差額は、証紙販売額の増減により増減しますが、近年、証紙販売額が増加傾向にあることが主な要因と捉えており、そのほかの取組については、おおむね計画どおりの取組を実施したことから、法人の自己評価をBとさせていただきました。法人からの御説明は以上です。

 

○今村主査

 この件について、御質問、御意見をお願いいたします。

 

○戸田構成員

 ありがとうございました。ここの項目は、昨年もいろいろとコメントさせていただいたかと思うのですが、昨年は私なりの知見という形なのですけれども、今回の御説明で、証紙発行額が増加していることが差額が減少しない要因だという御説明だと思うのですが、私自身の感覚としても、建設業に対する需要が、当初の目標設定時とやはり大きく変わっており、それまでは建設業への就業者の人口が減っていたところが、ここ34年はほぼ横ばいであるというような観点から、そういう意味でも、新規に就業される方がいらっしゃるので、貼付の証紙の発行額も増えているのではないかということを昨年申し上げさせていただいたのですが、やはり、そういった事情は今年度も変わらず、そういった背景があるので、こうした状況になっているという理解でよろしいでしょうか。

 

○勤労者退職金共済機構理事長代理

 建退共を担当させていただいている稗田です。御指摘のとおりかと思います。9ページの右下の表にありますように、折れ線グラフで示させていただいている掛金収入については、近年増加傾向にありまして、これが上の四角にありますように、通常の手続により発生する販売貼付差額を増加させることから、それが主な要因であろうと私どもは考えているところです。

 

○今村主査

 この目的自体は、長期未更新者の減少ということですよね。

 

○勤労者退職金共済機構理事長代理

 恐らく、根本的な問題は、私どもとして、目標設定時に適切な数値目標を設定できなかったこと、そこに問題があるのではないかと考えております。長期未更新には、働いておられる方も、それから、実は退職しておられる方もおられて、そこが数字が不明確だという点はあるのですが、やはり、長期未更新という現状を正面から捉えて、それを減少させていくという目標設定を立てることが、私どもの業務の目標としては適切ではないかと考えているところです。

 

○今村主査

 いかがでしょうか。昨年からの傾向のいいインパクトだと思うのですが、数値目標設定の厳正さが今後ますます問われると思いますし、そのときの状況分析が非常に大事になってくると思います。今年は目標の再設定もありますので、是非、よろしくお願いいたします。

 それでは、次、1-3をお願いします。

 

○勤労者退職金共済機構理事(成田)

 項目No.1-3、資料13ページの「サービスの向上」の「業務処理の簡素化・迅速化」です。数値目標は、中退共事業においては受付から25日以内、建退共、清退共、林退共においては受付から30日以内の支払いができたかとなっています。

14ページです。事務処理の改善内容について記載していますが、マイナンバー法施行に伴う様式等の作成、中退共事業では、口座振替事務代行業者と各金融機関との間のデータの授受方式を順次、伝送方式に移行するための準備を行い、建退共事業では、中退法等の改正に伴い、支部事務取扱要領の改定を行ったところです。

以上の取組により、中退共、建退共、清退共、林退共の全てで、数値目標を達成しているほか、事務処理改善も進んでいることから、法人の自己評価をBといたしました。法人からの御説明は以上です。

 

○今村主査

 この点について、御意見、御質問はいかがでしょうか。先ほどからの議論の延長ですが、この目標設定自体はどうなのでしょうか。これは、ストレッチになっているのでしょうか。

 

○勤労者退職金共済機構理事長

 これは、昨年も申し上げたと思うのですが、退職金は、大体、どこの企業でも、大学でも、お辞めになって1か月ぐらいは出ないのではないかという感じがしまして、これをいたずらに早めるがゆえに、ものすごいコストを掛けたり、あるいは、その結果として納税を間違えたりしたら取り返しも付きませんので、私はここがちょうど世間的にも許される、いい感じかなと思っています。

 

○今村主査

 もう1つ、マイナンバー移行によって、色々と作業が発生したと思いますが、逆にそれはこの期日の遅延要因にはならなかったかどうか、つまり、そのような作業自体が負担が大きかったどうかということは、いかがでしょうか。それは、そんなに大きくなかったのでしょうか。

 

○勤労者退職金共済機構理事(成田)

 業務の増加等は一定程度ありましたが、例えば組織の見直し等の工夫をして、何とか対応している状況です。

 

○今村主査

 最終的に、このマイナンバーというのは、そういうシステムの迅速化にはプラスなのでしょうか。余り、関係がないのですか。

 

○勤労者退職金共済機構理事(成田)

 中退共につきましては、今後マイナンバーを未請求対策などに使っていくことは可能になると思っていますが、退職金を30日以内に支給するということについては、今のところ何とか対応しているところです。

 

○今村主査

 分かりました。ありがとうございました。

 

○勤労者退職金共済機構理事(西川)

 正直申し上げまして、最初の初年度については、支払い請求時にマイナンバーを書いていただくに際して、従来の書式の中にマイナンバーを書く欄がなかったものですから、書いてきていただけない方が多くて、その問合せをするのに非常に負担が掛かりました。ただ、今年からは新しい書式にマイナンバーを書く欄がある新しい書式がほぼ出回りましたので、大体今7割方ぐらいは書いてきていただけるようになりましたので、この負担感はどんどん減っていくのではと思っています。

 

○今村主査

 ありがとうございます。ほかになければ、次、項目1-4、お願いいたします。

 

○勤労者退職金共済機構理事(成田)

 項目No.1-4、資料の15ページの「サービスの向上」の2つ目の「情報提供の充実、加入者の照会・要望等への適切な対応等」で、数値目標はありませんが、評価の視点は記載のとおりです。

16ページです。「ホームページの活用による情報提供の充実」については、災害による被災者に対する罹災見舞い、災害救助法適用地域に最新の情報の提供などを実施、「サービス向上のための取組」については、中退共事業においてコールセンターを設定し、業務の見直しを継続的に実施、「相談業務の充実」についても、必要なマニュアルの整備などの取組を行っています。ホームページからの「ご意見・ご質問」を基に相談業務の満足度を集計しており、「参考になった」という回答は83.8%となっています。

 以上、取組につきまして、おおむね計画どおりと評価して、法人の自己評価をBとしました。法人の御説明は以上です。

 

○今村主査

 ありがとうございます。いかがでしょうか。

 

○戸田構成員

16ページに、「ご意見・ご質問」の相談業務の満足度というものがありますが、こちらは昨年度から収集されているものなのか、それとも、それ以前から収集されているのかというところを、教えていただきたいと思います。

 もし昨年以前から収集されているようでしたら、このデータがどんな形の推移をされているのかということも、教えていただければと思います。

 

○勤労者退職金共済機構理事(成田)

 収集は今回が初めてということではなく、以前からやっておりますが、申し訳ありませんが、今は手元に数字がないので、後ほど確認させていただきたいと思います。

 

○戸田構成員

 この場でお答えいただけなくても結構ですが、もし過去からとの比較がありましたら、やはりそこと比較して、例えば参考になったというパーセンテージが増えているのであれば、それ自体が評価できる項目になりますので、そういうところも意識されるといいかなと思います。

 

○勤労者退職金共済機構理事(成田)

 確認するようにいたします。申し訳ありません。

 

○今村主査

 これ自体は数値目標が設定されていないので、これが目標値というわけではないですが、去年も議論になりましたが、当初の目標設定が甘いかどうかということの判断材料になりますので、もし時系列で取れるのであれば、是非提供していただければと思います。よろしくお願いします。次はNo.1-5です。

 

○勤労者退職金共済機構理事(成田)

 項目No.1-5、資料の17ページの「サービスの向上」の3つ目の「積極的な情報の収集及び活用」です。

18ページですが、当機構では外部の有識者で構成している参与会があり、平成28年度は中退共・特退共合同の会議を2回開催し、各退職金共済事業の実施状況や情報セキュリティ対策等について御説明し、御意見を伺いました。

 また、中退共事業におきましては、社会保険労務士を対象とした調査を行い、中退共制度のメリット等について伺い、その結果を今後の業務運営に反映したいと考えています。

 建退共の検討会については、No.1-2で御説明したとおりです。

こうした調査結果を踏まえ、それぞれの業務運営に反映することとしており、おおむね計画どおりの取組ということですので、法人の自己評価をBとしました。法人の御説明は以上です。

 

○今村主査

 ありがとうございます。これについて皆様の御意見、御質問はいかがでしょうか。

 

○戸田構成員

 細かいことばかりで恐縮ですが、18ページ目に退職金制度の実態調査というものの結果を御紹介いただいておりますが、この調査について少し詳しく教えていただきたいのですが、これは毎年実施されているものなのか、それとも何年かに1度実施されているものなのか、それとも今回初めて実施されたものなのかについて、教えていただければと思います。

 あと、主な調査結果等を見させていただきますと、ここもいろいろと数字をどう見るかというのは、難しいところはあるかと思うのですが、おおむねこの制度については評価されていると見てもいいかと思っていますが、この調査結果を踏まえての機構としての見解というものも教えていただければと思います。

 

○勤労者退職金共済機構理事(西川)

 私から説明させていただきます。この調査自体は毎年度行っています。その時々によって対象とする企業の社数等が違ったりする部分はあるのですが、基本的にこの退職金制度(中退共事業)の実態調査については毎年度実施させていただいているということです。

 回答結果についてですが、私どもの調査の内容としては、例えば中退共制度を選んだ理由、どんなところに魅力を感じますか、あるいは逆にどんなところが問題ですか、といったことをお聞きしているわけですが、国の制度だから、安心できるから、そういう点がいつの調査でも高いパーセンテージを占めおります。一方で問題だと指摘される中では、やはり掛金の上限をもっと上げてほしいという御要望もあれば、逆に下限を引き下げてほしいという御要望もありますし、あるいは現在は懲戒解雇された方についても、最低でも2割はお支払いするという格好になっているのですが、そういったところについて、社の規定では懲戒解雇については一銭も退職金を払わないとなっているのに、どうして払うのだというようなお叱りを頂くこともあります。ただ、全体としては御評価いただいているのではないかと思っているところです。

 

○戸田構成員

 ありがとうございます。こうした調査を実施されているようでしたら、その結果を基に機構の業務の見直しですとか、もう少し不十分だと思われる点について改善されるなど、この調査の結果を踏まえて、機構としていろいろと取組をされているということも、今後、是非御検討いただければと思います。

 

○関口構成員

 すみません、今のところですが、18ページの調査対象が社労士になっているのですが、今の御回答ですと、「企業が」とおっしゃられていたのですが、これはどういったことなのか、確認させていただいてよろしいでしょうか。

 

○勤労者退職金共済機構理事(西川)

 実は昨年度の社労士を対象とするのは新しい取組でして、通常ですと既加入企業を対象にしたアンケート調査をやるのですが、昨年度については、中退共制度導入の窓口になってくださっている社労士の方を対象にしております。社労士の方々の事務所については2つの側面がありまして、一つは自分たち御自身が加盟する中小企業であるという側面、もう一つは中退共制度への加入を勧める窓口としての側面がありますので、両面から御質問させていただく格好の調査になっています。そういう意味では、若干、ほかの年度に行ってきた調査とはやや様相を異にする調査になっています。

 

○関口構成員

 昨年とそれまでとで何か別な結果が出たり、面白い結果が出たということがもしあれば、御披露いただきたいのですが。

 

○勤労者退職金共済機構理事(西川)

 分かったことは、社労士の方々も御自身では宣伝はしてくださっているわけですが、必ずしも御自身の事務所が入っているわけではないということがよく分かりました。それから、勧められる理由といったところ、顧客からお聞きになっているような問題点については、私どもが既加入企業等から聞いているところと、大きな違いはないという印象を持っております。

 

○志藤構成員

 すみません、イロハのイのようなことをお伺いするので申し訳ないのですが、そもそもこの法人というのは、誰のためにというか、どこの立場の人の、何を守るための法人なのかということが分からなくなった。と申しますのは、メリット・デメリットの所でデメリットとして、懲戒解雇の人にもお金が払われるのがデメリットになるということは、それは企業の人にとっての考えとしてはデメリットかもしれませんが、働いている労働者としては、懲戒解雇というのは会社が決めた1つのルールなわけで、そこに自分が当てはまって辞めさせられたとしても、その人の最低限の権利としての2割ぐらいはというのは、非常に心強いという部分もあるわけで、その辺の判断というのは、立っている立場によって非常に分かれるものだと思いますので、そもそもこちらの法人は誰の何のためにあるかという、すごく申し訳ない質問で心苦しいのですが、そこを整理してお教えいただけると有難いなと思いながら伺っていました。

 

○勤労者退職金共済機構理事長

 それでは、理事長から御回答します。誰のために、これはこの後の資産運用のところでも非常に重要な議論で、次の中期計画で私は柱にしようと思っていますが、誰のためにといったら被共済者のため、労働者のため。ただし契約主体は共済契約者、社長さんです。したがって、社長さんたちがこれに加入しようと言って、我々と契約をしない限りは、この制度が生かされない。

 このアンケートのお話は、社長さんから見ると、こういう制度はいいのだけれど、自分が懲戒解雇にした、例えば自分の会社のものを着服して、それで会社に大損害をさせて、懲戒解雇したのだけれど、制度的に2割は払わざるを得ない。それを多分、受け取った人が「2割もらっちゃった」と言うと、示しがつかない、こういうことではないかなということです。ただ、今の御質問について言えば、我々としては労働者のためにやりたいと思っています。

 

○今村主査

 その問題に対して私は昔、退職金の調査をしたときに、退職金共済の仕組みというのは経営者にとって都合が悪いと言われて、なぜかといったら、退職金に色々と色をつけて、従業員を励ましたり、はっぱをかけたいのだけれど、それができなくて非常に使い勝手が悪いと文句を言われたことがあります。

 だから、おっしゃるようにそういう制度上の問題があるのかもしれませんが、その問題はちょっと置いておいて、お伺いしたいのですが、正に今の志藤委員と関係するのですが、誰のためにこのデータを収集し、活用するのかという問題で、この18ページを見ただけでは、理事長は民間からいらしたわけですから、これは正にニーズ調査、マーケティングの基本調査なわけですよね。どういうサービスを作り出して、どういうサービスを提供していくかということの、活用の結果報告がほとんど書いてない。参与会に報告して、こういう参与からの報告がありますということは書いてあるのですが、具体的にどう活用したかということは一切ないので、これではBであるという裏付けにならないような気がしますが、どうでしょうか。

 

○勤労者退職金共済機構理事長

 痛い所を突かれました。全くおっしゃるとおりでして、当然、調査をする以上は、それに対して施策がないといけないということで、なくはないのですが、ここでパワーポイントに掲げて、皆さんに誇れるようなことは、今のところ余りない。ただ、これからそれを次の課題として、今日も先ほど申し上げたように大変良いご意見をいただきましたので、間に合わなかったことについては来年乞う御期待ということで、よろしくお願いします。

 

○今村主査

 是非、今回のこの意見を参考にして、利用者にとって使い勝手のいい制度を御検討いただければと思います。では、次にNo.1-6をお願いします。

 

○勤労者退職金共済機構理事(成田)

19ページの項目No.1-6の「加入促進対策の効果的実施」です。数置目標については、各退職金共済事業について、新たに加入する被共済者の目標数(29年度までの合計)が示されています。評価の視点は記載のとおりです。

20ページの各退職金共済事業を「取りまく環境」ですが、中退共については中小企業の減少など、建退共については人材の確保・育成という課題、清退共については製造量の減少、林退共については国産材価格の低迷など、それぞれ厳しい状況にある中で、10月を加入促進月間として、集中的な広報を実施するとともに、中退共については個別事業主に対する加入勧奨等、厚生労働省と連携した新たな業界団体への加入促進活動、インターネットやマスメディアを活用した広報、建退共については関係団体等と協力し、未加入事業主に対する加入勧奨及び既加入事業主に対する追加加入勧奨、清退共については酒類製造名鑑の未加入事業主に対する加入勧奨、林退共については林業大学校における将来の就労者に対する制度の説明などを実施したところです。

 これらの取組によりまして、加入実績については、林退共で目標を下回ったものの、機構全体としては目標431,225人に対し、488,274人と113.2%の達成率となったことから、自己評価をBとしました。法人の御説明は以上です。

 

○今村主査

 ありがとうございます。この点についてはいかがでしょうか。

 

○戸田構成員

 御説明ありがとうございます。ここの数値目標は、平成29年度までの合計という数字で目標設定を立てられているかと思うのですが、資料1-234ページで過去の推移等を比較して見ていますと、ほぼ目標をそこそこ達成している。5年間、平成29年度までの合計ということでは、達成しているところもあるのではないかと見ているのですが、その5年間の合計での数字の進捗としての、機構としての評価・見解を教えていただければと思います。

 

○勤労者退職金共済機構理事(成田)

 中期計画に5年間の合計数が書いてあり、それを各年度に割り振って、それぞれの年度の目標を作り、その達成に向かって取り組んでおりますが、過去の経過を見ますと、恐らく、林退共などで一部達成していない年度がありますが、それ以外についてはそれぞれの年度で目標を達成して、成果が出ているのではないかと思っています。

 

○今村主査

 よろしいですか。特になければ次にまいります。No.1-7、よろしいでしょうか。

 

○勤労者退職金共済機構理事(成田)

 項目No.1-7の「財産形成促進事業」で、21ページです。数値目標が7つほど設定されています。

22ページですが、1の融資業務について、貸付決定まで16日以内に全ての案件を処理するという1つ目の数値目標を今年度も達成しています。利用者へのアンケート調査結果については、棒グラフに記載のとおり、全ての項目について、2つ目の数値目標である8割以上の回答者から満足した旨の回答を得ています。

 子育て世帯向けの特例金利については、マイナス金利施策の影響等から、金利環境は厳しいものの、転貸融資の8割近くを占めるなど好評であることに鑑み、時限措置としての位置付けは維持しつつ、適用期間を延長しました。平成28年度についても、金額、件数とも7割以上が子育て特例適用対象となっています。

職員の「融資審査能力の向上」については、外部講師の招聘や通信講座の活用を継続的に実施しています。

23ページの2の「周知について」の(1)の「わかりやすく親しみやすい広報媒体の作成」については、ホームページコンテンツの見直し、フリーペーパー「あんふぁん」や「SUUMOリフォーム」の活用、転貸融資利用者の声をホームページに掲載するなどを行いました。(2)の「お客様お問い合わせへの対応」については、問合せ件数が増加しており、よくある質問をホームページ上のQ&Aに追加掲載しました。

24ページの(3)-1の「ホームページのアクセス件数」も増加しまして、3つ目の目標を達成していますが、その背景として(3)-2に記載しているとおり、平成28年度は広告代理店を使った「財形制度周知・広報キャンペーン」を実施したことがあると考えられます。この業務の委託内容には、施策別の効果の検証や、今後の周知活動に関する提言も含まれており、今後の勧奨活動において有益な情報が得られたところです。

25ページの「行政機関等のメールマガジンの活用」など、4つ目から7つ目の目標についても、いずれも達成しています。また、「勤労者財産形成システムの再構築」も予定どおり完了しています。

 以上の取組により、全ての数値目標を達成していることから、法人の自己評価をBとしました。法人の説明は以上です。

 

○今村主査

 ありがとうございます。この点についてはいかがでしょうか。

 

○高田構成員

24ページの周知・広報キャンペーンの取組で、新しいことをされたということですが、具体的にはどういうことがあるのでしょうか。

 

○勤労者退職金共済機構理事(西川)

 私から御説明をさせていただきます。平成28年度の周知・広報キャンペーンについては、総合的な対策を取りたいと考えたところです。大きく分けると使った機関、それから戦略、そういったところが違っていたと考えています。まず使った機関ですが、これは広告代理店を総合評価方式で一般公募致しまして、プレゼンをさせた上で、内容を吟味した上で決定したということです。やはり餅は餅屋ということで、実施時期ですとか施策の集中のさせ方、メディアの使い方、そういったことが非常にうまくいったのではないかと考えています。

 また、今回の場合、1つ折り込みましたのは、打った施策がどの程度の効果を上げたかについても結果を検証し、客観的な数字によって報告してほしいということをお願いしたところです。こういった広告代理店は、モニターを配下に何万人も持っていまして、そこに対して私どもの指名したような、例えば経営者層だとか、若手のサラリーマンだとか、そういう特定の層に対してのアンケートを実施し、施策を全部実施した後で、もう一度広告に対して接触したかどうか、それをどう評価したか、そういう回答を受け取る形で施策の効果をチェックできるシステムを持っておりまして、それを利用したということです。

 今回のそういった高価の検証結果の中で、最も私どもの目を引いた結果というのが、広告に接触した層で、現在は財形制度を利用していない方々で、会社に財形制度がないと思うから利用していない、と回答した方々に、財形制度を利用したいと思うかという質問をしたところ、半数近くの人間がしたいと思うという回答をしてきた点です。

 従来、財形制度を導入していない経営者の方々に、導入しない理由をお尋ねしますと、一番多い回答というのはニーズがないからと、従業員が財形制度を使いたいと思っていないからという、そういう回答だったわけですが、今回の調査の結果、決してそういうことではなくて、ニーズというのは知りさえすればあるのだということが分かりましたので、今後、私どもとしては、事業主の方々への説得材料として使うとともに、従業員の方々への広報も積極的に進めていきたいなと考えた次第です。

 あと、戦略としては川上戦略と申しまして、私どもの転貸住宅融資は、やはり大本となる財形貯蓄制度に入っていただかないと、これは利用していただけないので、まず財形制度を皆さんに知っていただくのを目標にしようということで、かなり財形制度を前面に押し出したキャンペーンを打たせていただいたということです。そういったところが新しい取組です。

 

○今村主査

 今の件に関わってくるのですが、まず入札をしたときの、入札者を判断する側の、こういう広告メディアに関する知識はどのぐらい十分だったのか。ただ金額で判断したのか、プレゼン内容を理解した上で説得されて判断したのかというのが、まず1つです。

 もっと大きな問題として、このNo.1-7の目標設定の中を見ても、旧式な技術と言ったらおかしいですが、その当時、利用可能なものの中で、形だけ数値が挙げられているという言い方は変ですが、これは平成29年度で最後になって、また新しく目標設定期間が設定される、そのときに考えなければいけないのですが、つまり目標を設定した後の、その後の新しい技術、テクノロジーの登場ですね。特にメディアに関して。それから、逆に目標を設定した後の、新たなリスクの登場。そういうことに対して、どの程度評価に組み入れていくことができるかという問題にも関わってきますので、そういう意味で、274%がすごいなということでなくて、そういう要素をどう加味していくかという問題もあるかと思いますが、どう御判断されるか、2つ目の質問はそれですが、教えていただければと思います。

 

○勤労者退職金共済機構理事(西川)

 まず最初の総合入札方式ですが、こちらは入札仕様書の中に、私どもの転貸制度、あるいは財形制度の問題点、現状はどういう問題があるのか、私どもがどういう問題を認識しているのか、その解決策のために今度の応募をするのであるという問題意識、何を求めるのかを明示いたしました。さらに、ただ広報をやるだけでなく、その結果についての検証と、さらにその検証結果を踏まえて翌年以降どんな施策を打てばいいか、その提案まで全部含めての事業をお願いしたいという、そういう形での仕様書を書きました。それに対してのプレゼンを全ての参加企業にやってもらった上で、私どものほうで評価委員会を作って、そのプレゼンを聞いた人間で、ちなみに評価委員の中に理事長も入っていましたが、評価をしたということです。

 それから、新しい技術についてはおっしゃるとおりで、この数値目標の中には入っていないのですが、一番端的に高価が見えるのは、ホームページへのアクセス件数だと思っています。例えばYouTubeですとかリスティング広告等で、ホームページのほうに跳ねるような、見に行けるようなやり方をしていますし、それからキャンペーン期間中には特設サイトというものを設けまして、ふだんよりもちょっと変わった広告を、その中に掲載するような形で、財形制度あるいは転貸融資制度というものを印象づけるということもやっています。

 そういう意味では、そこは技術の面での新しさに加えまして、とにかく財形制度を若い方に利用していただきたいということですので、絵柄等も若い人向けのマンガにしてみたりとか、あるいは若い人に受けるようなミュージシャンを登用して、そこで歌いながら宣伝をしてもらうとか、そういった取組をやらせていただいたところです。

 したがって、新しい流れというものを取り込みながら対策を打っていくわけですが、先ほど申し上げたように、広告代理店からも来年度の取組についての示唆をいろいろともらっておりますので、今後はその示唆も生かしながら、来年度以降、新しい媒体等も活用しながら、施策を打っていきたいなと考えているところです。

 

○今村主査

 ネットワークを巡る環境はいろいろ変化していて、ツイッターで発言する大統領も出てきていますし、そういった意味でいろいろな可能性もあるし、ビッグデータ等のいろいろな資源もあるかと思いますので、是非それは十分前向きに幅広く御活用いただければと思います。

 その分、目標の達成が緩やかになっている、楽になっているという部分もないわけではないかと思いますが、ここは皆様の御意見でBということになるのかと思いますが、いかがでしょうか。特に質問があればどうぞ。

 

○戸田構成員

 質問というよりはコメントです。ここの表も、今回は全体的にですが、機構の皆様のプレゼンテーションが分かりやすくて、非常に新しい取組をされているということはよく理解しています。この項目も正にそれを代表するようなものでして、やはり評価できるポイントというのは、ただ単純に広告代理店を活用してPRするだけではなくて、そこはうまくPDCAサイクルを回して、次の課題を見つけ出して、それに対してまた打つ手を考えることまでやっていらっしゃるというところは、非常に高く評価できると思います。このような形で是非、今後も続けていただければと思っています。

 

○高田構成員

 先ほどの18ページの所で、前の所との関連を伺いたいのですが、建退共制度に関する検討会を作って、口座振替の方式の導入を検討されている、こういうことは大変的確な施策だと思うのですが、こういう検討のされ方と、24ページのキャンペーンの、外部の提案をコンペで取り上げてやっていくというのは、何か関連があっておやりになったのか。それとも、これは全然別のやり方ということでしょうか。

 

○勤労者退職金共済機構理事長

 私から御説明します。建退共制度については、これは長年の懸案でして、隣にいる稗田代理にほとんどやっていただいているのですが、これは正に業界、労働者、あるいは公共の方々の御意見を何度も聞いて、単純にこの制度自体の問題ではなくて、建設労働者の問題にまで踏み込んで、もちろん国交省からも偉い方がいらっしゃったし、労働省のOBの方もいらっしゃったし、大変詰めた議論を6回、ちゃんとした相当立派な報告書も作って、作っただけではなくて、それを今年の12月ぐらいまでに、何とか実証実験に持ってこようという話です。

 一方、こちらの財形のほうは、正におっしゃるとおりで、コンサルタントとかこういう方々を使うときに丸投げが一番まずいわけで、1つだけ御披露させていただくと、例えばアンケート調査をする。そうすると、どこもみんな当然マーケットに聞くわけで、何歳以上の男性とか女性というのを持ってくるのですが、そうではないと。要するに中小企業の経営者に一定人数聞けというのとか、それはこちらでレイアウトを作らないと全然違うものになってきます。やってみると私が思った以上に、これは財形チームの若い方がやってくれましたが、やはり我々よりもいい感性を持っていまして、そういう面で言うと、本格的なマーケティングという面では第一歩を踏み出せたかなと。ただ、お金が結構かかるものですから、そんなにたくさんはできないということです。

 

○今村主査

 いかがでしょうか。この問題は以上でよろしいでしょうか。是非データの有効活用、新しい知識を積極的に活用するということで、よろしくお願いします。

 それでは、次の事項に移りたいと思います。続いて、「業務運営の効率化に関する事項」、「財務内容の改善に関する事項」、「その他業務運営に関する重要事項」に係る項目別評定について議論をしたいと思います。

 それでは、先ほどと同様の流れで、法人からポイントを絞って、ごく簡潔な御説明を頂き、その後、質疑応答ということでお願いします。では、No.2-1からお願いします。

 

○勤労者退職金共済機構理事(成田)

 項目No.2-1、資料26ページの「業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置」として1から4までの項目が挙げられており、評価の視点については記載のとおりでございます。資料の27ページを御覧ください。

 まず、基本認識として、当機構は金融業務を行う中間目標管理型の独立行政法人であり、退職金の原資である約5.5兆円の運用資産と2,000万件以上の個人情報という被共済者の貴重な財産をお預りしています。資産運用と情報セキュリティ分野は急速な情勢変化に機動的に対応していく必要のある分野であり、システム投資面では弛まざる資源投入が不可欠でございます。

 平成25年に策定した現行の中期計画では、この分野について具体的な記載が余りございませんが、その後、平成274月の改正独立行政法人通則法の施行、同年5月の中退法の改正により、独立行政法人は監査室やリスク管理・コンプライアンス委員会の設置等のガバナンス強化が求められ、5兆円以上の資産を運用する当機構については、資産運用におけるリスク管理体制の1つとして、厚生労働大臣の任命による資産運用委員会が設置されました。

 また情報セキュリティについては、日本年金機構からの個人情報流出事案以降、サイバーテロの脅威が急速に高まっており、情報セキュリティの対策も喫緊の課題となっております。

こういった環境変化を踏まえ、当機構としては、平成28年度において、いわば中期計画の「ローリング」を行い、これらの課題に対応するための新たな対策を実施いたしました。

 具体的には、「ガバナンス強化」として、組織、体制、予算の各側面から取組に着手いたしました。1の組織面での対応については、ガバナンス強化に向けて外部有識者の知見の活用を行うことにいたしました。1つ目は、中退法改正により設置された大臣が任命した委員により構成される資産運用委員会を9回にわたり開催し、約20時間にわたる審議をお願いいたしました。審議においては、機構の特性についての認識が共有され、それを踏まえてさまざまな課題を御審議いただきました。中でも中退共の基本ポートフォリオの見直しにおいては、「運用の基本方針」に示された「安全かつ効率」について当機構にとっての解釈が具体化されたほか、「リスクテイクは累積剰余金の範囲内」という金融業務を行う独立行政法人としての重要な方針についての合意も形成されるなど、中長期的な業務運営の安定性を確保するための資産運用体制構築に向け、顕著な進展・成果があったと考えられます。また労働政策審議会における、当機構の資産運用方針を知らずに制度を論じることは不適切であるとの指摘を踏まえ、委員会に出席する厚生労働省勤労者生活課長を介して、制度設計を所管する労働政策審議会への情報提供・提言ルートも確立されました。

2つ目は、リスク管理・コンプライアンス委員会の外部有識者委員として、コーポレートガバナンス専門の弁護士を招聘し、リスクへの備えとリスク発生時の対応能力の強化に向けて貴重な助言をいただきました。

 また、3つ目は、CIO補佐官の業務の第三者による点検・牽制のため、サイバーセキュリティの専門家を外部有識者委員として招聘してCIO補佐官報告会を設置し、世界的サイバーテロ対策に関する助言やシステム投資額のレベル感の提言などを得ました。

 2の「体制改編」については、資源投入に関する優先順位付けのための体制・プロセスの明確化を図りました。情報セキュリティ体制については、情報セキュリティ委員会の委員長をシステム担当理事から理事長に格上げし、総務部とシステム管理部の責任分担体制を明確化し、新たに約300項目にわたる機構のリスクマップを作成し、リスク管理・コンプライアンス委員会において情報セキュリティ対策等の重要度を明確化し、システム化委員会を設置し、機構全体としてシステム化を統一的に推進・管理することとし、監事・監査室によるモニタリングの体制を確立し、PDCAが確実に機能する体制といたしました。

 3の「予算措置」については、中期計画において想定されていなかった情報系システムと業務系システムの物理的分離等に必要な約8億円の予算を確保しました。

 4の「情報セキュリティ対策」については、ハード面、ソフト面で対策を実施しました。ハード面では本年5月に情報系システムと業務系システムの物理的分離を行い、ソフト面ではヒューマンエラー対応のためのPDCAサイクルとインシデント対応体制を構築しましたが、ヒューマンエラー対応は継続的取組が不可欠であり、インシデント対応についても作成したインシデント対応手順書等が本番で機能するよう訓練、改善を重ねていくことが必要であると考えております。

これらの取組の結果は、5の「次期中期計画への課題」につながっていくと考えられます。

 資産運用については、資産運用委員会での議論を踏まえ、財務基盤の安定性を確保した上で、運用体制の整備、強化を目指していきたいと考えております。また資産運用業界でのキーワードとなりつつある「フィデューシャリー・デューティ」の考え方を踏まえた運用姿勢、体制のあり方についての議論、さらに、「スチュワードシップ・コード、ESG投資」のあり方についても議論を深めていきたいと考えています。

 システムについては、物理的分離により大量の個人情報流出の可能性がかなり小さくなったことから、業務の根幹である業務システムの再構築に着手する予定です。特に中退共システムについては、現在使用されているプログラミング言語を使える人材がほとんどいなくなる中で、早急に取り組む必要があります。建退共についても掛金納付システムの新設などに取り組みます。

そのほかBCP体制の強化も必要であると考えております。

28ページには、従来から継続している対策を記載しておりますが、1の「効率的な業務体制の確立等」として、(2)の業務量・内容の変化を踏まえた組織再編や人員の再配置などの対応も行いました。

また、29ページに、これまでの機構の対応と機構のシステムに対する攻撃などの発生状況を並べております。これまでのところ情報流出事案等は発生していないものの、各種の取組がぎりぎり間に合っているという状況であることが御覧いただけるかと思います。

 以上、平成28年度においては、現中期計画策定時に想定されていなかった環境変化を踏まえた新たな対策を実施するとともに、これらの取組により次期中期計画に向けた課題が明らかになり、これに対応する基盤が整備できたという観点から、法人の自己評価をSとさせていただきました。御説明は以上です。

 

○今村主査

 ただいま御説明がありました事項について御意見、御質問等がありましたらお願いします。

 

○勤労者退職金共済機構理事長

 一言、追加させてください。この施策は私は中期計画のローリングだと思っていまして、中期目標というのは、主務大臣と理事長が十分に議論した上で、お互いに目標を作り、共有をし、ミッションをするという総務省のペーパーがあって、私自身はローリングという位置付けですから、さすがに大臣とまではお話しませんでしたが、これは機構だけでできたわけではなくて、今回変わりましたが、岡崎厚労審、それから山越局長、宮川総括審議官、厚生労働省トップが挙げて我々を応援してくれて、一緒になってやってきたということでSとさせていただきました。よろしくお願いします。

 

○今村主査

 この点についていかがでしょうか。

 

○戸田構成員

 丁寧な説明をしていただいて、確認で恐縮ですが、項目を幾つか見せていただいていると、例えば資産運用委員会というのは恐らく従前もやっていらしたように記憶しておりますし、幾つかそういう平成28年度以前から実施されているものもあるかと思いますので、改めて確認させていただきたいのは、平成28年度に新たに実施した新規施策について少しポイントだけ教えていただければと思います

 

○勤労者退職金共済機構理事長

 いずれも平成27101日以降です。資産運用委員会の立上げは平成27101日です。情報セキュリティ委員会も平成28331日です。いずれにしても立上げであり、本格的に実施をしたのは、要するに組織として定着させたのはいずれも平成28年度です。

 

○今村主査

 今の質問に関連してですが、人員増はしないでこれだけの作業をしたということですけれども、具体的に例えば残業時間など、総労働時間数のようなものが、この問題の追加的な作業だけでどのくらい増えたか、増えなかったかなどを教えていただければと思います。

 

○勤労者退職金共済機構理事長

 手元にございませんが、まず資産運用委員会については資産運用委員の方が恐らく3か月に1遍ぐらいのイメージでいらしたのだと思いますが、毎月2時間から3時間やらせていただきました。現実には資産運用委員会の方々の知見を全部流し込んだということでございます。リスク・コンプライアンス委員会は職員がみんなでリスクマップを作ってくれたわけですけれども、最終的な判断、経営判断という言葉を使っていいのかどうか、リスクが起こったとき、例えばインシデントが起こって、銀行口座番号付きの個人情報が大量に流れたとき、退職金を予定どおり払ったらいいのかどうかについて、善管注意義務上どうだということについていえば、これはリスク・コンプライアンス委員会の有識者委員にお願いしましたアンダーソン・毛利・友常法律事務所の金子弁護士に相当時間的にいったら1516時間、弁護士意見書も3本ぐらい出していただきました。その相方が実は我々経営層でありまして、残業時間ではないのですけれども。かなり外部の知見を使った。ただし職員の方も、当然のことながら資産運用委員会をそれだけやっていますから、議事録の作成、議事回しなどは相当な負担ですけれども、時間は把握していないですよね。みんなの残業時間帯を。数字的には持っていません。

 

○今村主査

 今の理事長のお言葉を聞いていると、ここの場は機構という組織に対する評価ですが、むしろ理事長はじめトップの皆さんにSをあげたいということは全く同感であると。いかがでしょうか。

 

○戸田構成員

 やはりSを付ける以上、心苦しいのですが、それなりにSを付ける理由、根拠をきちんと明確にしないといけないという観点で幾つか質問させていただきます。今のお話を伺っていると、セキュリティ対策などはもちろん普通の金融機関であれば当たり前にやらざるを得ない状況である中で、恐らく評価できるところとしては、機構としてこれまでは一部セキュリティ対策などが不十分と思われるような箇所があったと。しかしそこを平成28年度からはかなりしっかりとされたと。ここのメニューを見させていただくと、やはりセキュリティ対策は、私は専門家ではないですが、出てくるキーワードはBCP等も含めてカバーされていることも考えると、やはり平成28年度の中でしっかりと整備されて、セキュリティ対策に完全というのはなく、いついかなるときに想定外のことが起こることもありますので、セキュリティ対策に完全はないのですが、講じ得るべき施策はほぼ講じているという考え方に立つと、まだSではなくAかなという印象も持っています。やはりもう一度Sとされる根拠を教えていただければと思います。

 

○勤労者退職金共済機構理事長

 決めるほうはそちらなので、あれなんですけど、まず、情報セキュリティ対策だけではないのです。最初に書いたようにガバナンスなのです。それはちょうど私も民間でずっとこういう仕事をやっていましたが、一言で言うと、民間で10年やってきたことをこの1年で凝縮してやったということです。それだけベンチマークもあったのですけれども、やはりそれをやったのは役員が中心になりましたが、実際にやっていただいたのは職員ですから、職員の方々の負担はなかなか大変だった。また納得してやってもらったのが1つ。

 もう1つは、うちは建退共、清退共、林退共の特退共は支部があるのです。全部それぞれの業界のところに事務を委託しています。その支部の方々にも同じようにモニタリングもし、徹底をしていった。ただし、こういうインシデントというのは100%ということはありませんから、そうはいってもどこかで起こるかもしれないので、その場合を考えて、インシデントが起こったときにどうするか。最後は払うか、払わないかの判断まで考えて、更に言うと民間であれば社長の判断でいいのですが、ここは最終判断は厚生労働省になるので、厚生労働省さんもやはりいきなり言われても困るでしょうから、こういうのが行きますよといって、今現在では仕方ないでしょうねという、そういうペーパーまで頂きましたので、それはこういう組織ではなかなかないのかなという感じがします。一言で言うと、予防を徹底的にやったという。ところが予防もそれほど自慢できるものではなくて、3枚目に出ていますが、本当にタッチの差なのです。一つひとつの予防が2週間後ぐらいにはそれのテロに曝さらされていたという面でいうと、余り偉そうなことは言えないのですが、その全ての合せ技というのですか、それを見てくださいと。それは何かというと、最初に申し上げましたように、中期計画を期間中に厚生労働省さんとたくさん議論しながらローリングをして、ここまで持ってきたということだと思います。

 

○今村主査

 いかがでしょうか。

 

○戸田構成員

 ありがとうございます。おっしゃるとおりセキュリティ対策には完全というものはないので、講じ得るべき施策を講じるしかないと思うのですが、お話を伺っていると、平成28年度中に先ほど理事長も民間で10年間やってこられたことを1年間でやったと、スピード感を持ってやったことは大いに評価できると思います。その点で評価を上げるのは異論はないのですが、もう1つ強調すべき点としては、次期中期計画に向けていろいろと取組をされているところも、ここの項目に限らずですが、もう少し強調されてもいいのかと。課題をきちんと見付けた上で、もちろん短期間ではできないことというのもありますので、その中で次期中期計画に向けて5年掛けて見直していく、検討していくことも、きちんと内容を明らかにして、それを基に検討されているところは、より強調してもいいのかなとは考えます。

 

○勤労者退職金共済機構理事長

 ありがとうございます。全くそのとおりでして、今あえて申し上げませんでしたが、このレイアウトの一番右下、次期中期計画があって、ではそのガバナンス改革は何のためにやったのかというと、2つあって、1つは、先ほど申した中退共のシステムは今までずっとコストが抑えられていた関係もありCOBOLなのです。お分かりいただける人ならびっくりする。これは余り議事録に残るといいのかどうか分かりませんが。したがって技術者がいなくなってしまうわけです。ですから次期中期計画期間中にかなり改訂しないともうできない。そうするとその間にサイバーテロが来ると、非常に脆弱になるので、まずそこを固めようというのが1点あったことは間違いない。

 資産運用についても、我々は安全という定義から言えば、国債中心の確定利回りで今は運用していますが、もう0%ですから、経費率は中退共でも0.1から0.2かかるわけなので、結局、国債だけに依存しているわけにはいかない。となるとある程度リスクを取っていかざるを得ない場合に、体制を整備しないで闇雲にリスクものにいくというのは、これは許されないわけです。先ほど御意見が出ましたけれども、我々は共済契約者との契約に基づいてこの事業をやっておりますが、お預りをしているのは全て中小企業にお勤めになられている労働者が自らこつこつと積み立てた退職金ですから、それを毀損しないような体制固めをやりました。だからこれが次の中期計画に、これをまた厚生労働省さんと議論していきますが、つながっていくということです。

 

○政策評価官

 評価のSに関して、その理由付けなどをここで明確にすべきだということで御質問がありましたので、評価の考え方、基準の設定の仕方、仕組みだけを御説明いたします。参考資料3に、総務大臣が決定した「独立行政法人の評価に関する指針」があります。その9ページで、中期目標管理法人の年度評価の項目別評点の付け方の考え方を示しております。先ほど申したように、SABCDについて、100%、120%などと出ています。これは定量的な評価の場合でして、9ページの一番下に「財務内容の改善に関する事項」、「その他業務運営に関する重要事項」、こうした内部統制に関する評価等、定性的な指標等に基づき評価せざるを得ない場合、定量的に測定し難い場合の取扱いというのがあります。そこについては10ページの頭ですが、ABCD4段階で付けるというのが基本的な考え方となっております。そのうちのAは「難易度を高く設定した目標について、目標の水準を満たしている」というのが、定性的な指標等の一般的な考え方です。この法人については、もともと中期目標、中期計画をどのようにしてローリングしていくかという、その設定の仕方はいろいろ御議論があり、また次回の見直しにもつながってくるのだろうと思いますが、評価指針の見直しが中期目標期間の途中だったこともあり、難易度などが特に示されているものではありません。そういったことも踏まえて、法人側にどのような事情があったかを御議論いただければと思っております。仕組みだけ御説明いたしました。

 

○今村主査

 ありがとうございます。発生しないことに対してどのようにして数値目標を設定するか、大変これは不可能に近い問題です。そういう意味では、見掛け上100%超の達成はしていることは間違いないのですが、正にいざ事が起こったらこれは大変なマイナス幾つかというすごい話になるわけです。これは去年から取り組んでいる問題で、評価の平準化と対称性の問題を考えると、先ほどなぜマン・アワーという問題をお聞きしたかというと、1-1ですか、未請求者は1%に設定した、しかし実は1.4%ぐらいにしか下がらない。しかしこれはコストベネフィットからみると負担が非常に大変だというのに、御努力されている。それはもう大変ですねと。それに対して、ではこの問題はどのぐらいマン・アワーがかかりましたかといったら、首脳部で理事長はじめ皆さんが、それだけのS評価するぐらいの努力はされたと。しかし組織に関しては今のところはっきり把握されていないということです。これはちょっとそういう意味ではSにするには、質的な努力は十分やられるという客観的な評価がちょっと取りにくいという印象がいたします。また、先ほどの1-6の問題もそうですが、その後の技術変化です。つまり目標設定後に起こった新たなプラスの技術変化と、逆に、新たに発生したリスクというものにどのように対応するかという問題があります。これは正に質的な問題で評価をやらなければいけない。

 今、評価官室からありましたように、やはりこれは先ほどの総務省の指針にあるように、難易度を最大限評価するとしてもAしか評価できないということですから、これは理事長には特別にSを差し上げるとして、今回はこういう評価の仕組みそのものの制約もありますので、ここで全員一致でSということにはなかなか難しいというのが私の印象です。いかがでしょうか。だから次期の目標でローリングとして、是非、この今回取り組まれて、これは本当に大事な問題ですし、1回実際に少しずつのアタックはあるようですので、それに対して対策を取るという方向で、是非、この理事長の御努力を組織全体に敷衍していただければと思うのですが、いかがでしょうか。

 

○勤労者退職金共済機構理事長

 私の趣旨は、この評価の体系に一石を投じさせていただいた。私もずっとそちら側で、民間はもっと厳しくて、これでボーナスが100万円ぐらい違ったりする中でやってまいりましたので。いろいろな考え方があると思います。やはり独立行政法人が幾つもある、87あるわけですから、そことの一つの座標軸を合わせるという考え方もあるし、一方でこういうのが出てきたときに、1つのメッセージとして伝えるという方法もある。それは私が決めることではありませんので、別に評価してほしくて出したわけではないので、皆様方にここまで真摯に御議論していただきましたので、私の趣旨はこれで遂げられましたので、あとはお任せいたしますので、よろしくお願いいたします。

 

○今村主査

 ありがとうございます。冒頭から私が申し上げておりますように、目標設定後のこれは本当に大きなリスクの発生ですから、そういうことに対してもう組織が破壊的にダメージを受ける問題でもありますので、是非、これは審議官、評価官室のほうで今後更にいろいろな可能性を検討していただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。ではよろしいでしょうか。それでは次の2-2をお願いします。

 

○勤労者退職金共済機構理事(成田)

 項目No.2-2、資料の30ページの「業務運営の効率化に関する事項」の「業務運営の効率化に伴う経費節減」の「一般管理費及び業務費」、「人件費」です。数値目標につきましては、中期目標期間の最終年度までに、新規業務等を除き、一般管理費(人件費を除く。)については平成24年度予算額と比べて15%以上、業務経費については5%以上の削減となっております。評価の視点につきましては、記載のとおりです。

31ページです。上の棒グラフですが、24年度予算額と、28年度決算額を比較しますと、人件費を除く一般管理費については15%以上の削減目標に対して20.5%の減、業務経費につきましては5%以上の削減目標に対して14.4%の減となっております。また、人件費の節減について、給与水準の検証をしております。地域勘案指数が101.1ということで、27年度と比較すると1.0ポイントの減となっております。また、地域・学歴勘案指数につきましては101.7ですが、こちらは昨年度と比較して1.5ポイントの減となっております。

いずれも数値目標を達成しており、おおむね計画どおりであることから、法人の自己評価をBとさせていただいております。御説明は以上でございます。

 

○今村主査

 ありがとうございます。御質問はいかがでしょうか。業務経費及び人件費です。勘案指数については以前、他法人よりも若干高めだというような傾向がありましたが、それは大分収まってきたということでよろしいでしょうか。

 

○勤労者退職金共済機構理事(成田)

 管理職の比率が比較的高いことから、高くなっていると考えられますが、27年度と比較しますと、多少低くなっております。これは、定年退職者の方が多かったというような要因もあります。

 

○今村主査

 よろしいですか。特になければ、次にいきたいと思います。では、2-3をお願いいたします。

 

○勤労者退職金共済機構理事(成田)

 評価項目No.2-3、資料32ページの「契約の適正化の推進」です。数値目標はなく、評価の視点として、「調達等合理化計画」に基づいた取組が着実に実施されているか等となっております。

33ページです。「調達等合理化計画」に基づく取組の実施です。「調達等合理化計画」は、契約監視委員会による点検を受けた後に決定いたしました。「調達等合理化計画」を推進するため、合理化検討チームを機構内に構成し、決裁の回付前に役員及びチームに事前説明をする場を設け、チェックを受ける体制を確保しております。また、監事及び外部有識者で構成する契約監視委員会を昨年度は3回開催し、随意契約及び一者応札・応募に係る契約について審議を行った結果、契約内容についてはおおむね適正であると意見を頂いております。

 随意契約以外の契約も含めた競争性・透明性の確保については、企画競争や公募を行う場合は競争性・透明性が十分確保される方法により実施し、「一者応札・一者応募」となった契約については、入札方法や仕様書等の入札辞退届に理由欄を設ける等の見直しを行うとともに、入札説明書等を受領したものの応札しなかった業者に対して聞き取りを実施し、改善策を検討しております。

このほか、監事による監査も実施されております。

以上の取組について、おおむね計画どおりであることから、法人の自己評価はBとさせていただきました。以上です。

 

○今村主査

 いかがでしょうか。よろしいですか。では、おおむね目標達成ということで。次は3-1をお願いします。

 

○勤労者退職金共済機構理事(成田)

 項目No.3-1の「財務内容の改善に関する事項」の「累積欠損金の処理」について、資料の34ページです。数値目標は、累積欠損金が生じている林退共事業について、累積欠損金解消計画に基づき、年度ごとに9,200万円解消することとされております。

35ページです。平成28年度は、各種の取組により、13,500万円の当期純利益を計上し、目標達成率は147%、累積欠損金額は77,600万円と過去最低となり、平成26年度の厚生労働省の審議会の財政検証時の見通しと比べると、平成29年度、今年度末の水準にまで減少しております。

そのための取組としまして、1つは、資産運用に関しては、昨年4月に改正中退法が施行されたことから、資産運用委員会及び林退共の運営委員会における議論を経て、中退共との合同運用を開始したことにより、委託運用利回りが4.7%となり、委託運用資産が23,200万円増加したこと、加入促進対策については、新規加入目標は達成できなかったものの、脱退者も17%程度減少したことから、期末在籍者が微増となり、掛金収入が退職給付金を22,200万円余り上回ったこと、業務経費の削減については、決算額が7,300万円余りと27年度を下回ったことなどを挙げております。

36ページの表を御覧いただきますと、近年はほぼ毎年9,200万円の目標を達成してきております。27年度につきましては、加入促進や資産運用で一定の収益があったものの、責任準備金の単価の見直しにより、36,800万円を責任準備金に繰り入れ、当期損失を計上しております。一方、平成26年度の財政検証時の見通しでは、逆に1500万円責任準備金が減るという見通しでしたので、この差が47,000万円ほどございます。また、一番下の金利の見通しにつきまして、新規10年国債の利回りの実績が、26年度の財政検証時の金利見通しを下回っているなど、環境が変化していることも御覧いただけるかと思います。

法人としては、数値目標が140%を超えたことと、合同運用の開始を含めた各種の取組による成果があったと考えられることから、自己評価としてSとさせていただきました。説明は以上です。

 

○今村主査 

 ありがとうございます。この点について御質問、御意見等ありましたら、よろしくお願いいたします。

 

○戸田構成員

 ありがとうございます。お話を伺っていますと、この35ページに、累積欠損金が解消に向けている要因として、健全な資産運用、積極的な加入促進、事務の効率化による経費削減と3つ挙げていますが、お話を伺っていると、積極的な加入促進というところは、やはり大きく効いたのではないかと見ているのですが、その認識には間違いないでしょうか。

 

○勤労者退職金共済機構理事(成田)

 平成27年度は、非常に加入促進がよくて、それも収支の改善にプラスになったと思っております。平成28年度は、加入そのものは実は目標を達成しておりませんので、加入促進というよりは、辞められる方が減って、その結果、期末在籍、実際に働いていらっしゃる方が増えたので、収支で見ますと、掛金収入が退職給付金を上回ったということと、合同運用によって、委託運用部分がかなり利回りが高くなったということが、今回の収益の改善につながったのではないかと思っております。

 

○今村主査

 いかがでしょうか。

○高田構成員

 そうしますと、昨今の労働市場の好調さなどが非常に財政健全化の追い風になっているというようにも読めなくはないのですが、Sという根拠を、環境がよくなったという以外の自助努力的な要素として、こういう結果がありましたというのがもう少しあると、なるほどなという感じになるのですが、先ほどのような御努力が見えるところをお示しいただくと有り難いのですが。

 

○勤労者退職金共済機構理事(成田)

 今申し上げましたとおり、昨年度は非常に加入もよかったし、運用の状況がよかったわけですが、責任準備金の単価が変わり、責任準備金の繰入れが増えたということで、逆に累積欠損金が増え、昨年度はC評価をいただいております。そういう中で、累積欠損金を抱えている林退共事業について、制度を安定的に運営させる必要があるということは、機構や厚生労働省だけではなく、林業の業界や、林野庁にも非常に問題意識を持っていただいておりまして、そのために一連の改善策を、関係者が協力してやっていこうとしています。平成27年度のことなので、資料には書いてありませんが、例えば、掛金日額の引上げ、予定運用利回りの引下げをやり、また、削減した業務経費の削減の中には業界団体に委託している支部の経費も入っておりますが、こういう形で業界の方にも御負担をお願いし、林野庁の施策の中でも御協力を頂いています。合同運用についても、いろいろと議論をしたうえで開始し、関係者一体となって積極的な取組をしています。先ほど項目No.2-1で申し上げましたように、リスクは累積剰余金の範囲内で取るという原則の中で、累積欠損金がある林退共については、単独運用をしていたときよりはリスクを取って合同運用をしておりますが、そういったことについて資産運用委員会の皆様にも非常に御心配をいただいており、これについては業界で一生懸命、一体となって取り組んでいく取組の一環だということで、御理解いただいているというようなことでございます。S評価につきましては、120%以上プラス質的な改善ということで、関係者一体となった取組の中で一生懸命努力をしている、そういった面も含めて、つけさせていただいています。

 

○高田構成員

 分かりました。先ほどの前の項目についても、理事長が非常に強調されておられたように、単にこの組織だけではなくて、言わば関係諸機関の協調のもとで成果を上げた、そういうところを見てほしいという御趣旨だと理解をいたしました。ありがとうございました。

 

○戸田構成員

 ありがとうございます。お話を伺っていると、やはりS評価ですので、すみません、またここもいろいろ御質問して大変恐縮なのですが、やはり伺っていると、健全な資産運用の所で、資産額が23,200万円増加したというところは、収支が改善しているところに大きく寄与しているのかなと理解いたしました。ここは、資料に書いてありますように、資産運用委員会を立ち上げて、そこでどうポートフォリオを組むかというところを委員会の中で議論していただいて、そこに従って運用した結果というふうに見ているのですが、そのように考えていいのかということ。あと、実際に資産運用委員会を導入されて、28年度の先ほどのガバナンス体制のところにも関連するかと思うのですが、資産運用委員会を設置されて、実際に運用されている中で、やはり委員会を立ち上げて運用している機構としての評価といいますか、今の見解というところも教えていただければと思います。

 

○勤労者退職金共済機構理事(成田)

 運用については、当然、いいときもあれば悪いときもあるということで、たまたまという面もあって、今回こういう形になったかと思いますが、単に運用していてよかったというだけではなく、合同運用を始めるに当たっても、始めた後でも、資産運用委員の皆様には、逐次、御報告をし、いろいろと御議論をいただいて、そのなかで合同運用を継続しています。中退共の基本ポートフォリオの見直しに伴って林退共の基本ポートフォリオも見直されましたが、その結果どうなるのかということも含めて、28年度が始まる前から28年度中も、いろいろと御議論いただきながら、こういう形で進めてきたところです。

 

○今村主査

 目標達成度147というのは、135割る92147ということですね。それは確かに数値目標として120%ということは認めるわけですけれども、去年も議論になりましたが、数値目標自体が少ない、これだけで単独で評価をするというのに耐えるかどうかという問題もあります。それから、今、戸田委員がおっしゃったように、どれだけの質的な努力をしたかということに対する、客観的な資料がほしいということです。私も林業は時々見に行ったりするのですが、確かに中山間地域などは、林業だけではなくて、うなぎの養殖とかいろいろなことをやって、人がその地域から去らないように努力しているので、多分そういう結果が出ているのかなという部分もあるし、新しいドローンとかそういうのを使って伐採や消毒したりとか、いろいろ林業の仕事が多少負担が軽くなって、いろいろな要素があって退職者が減ってきているのだろうと思います。

 ですから、そういう意味では、機構の努力によって、これが140%、120%超えでプラス質的な努力というふうにするには、どうなのですか。もう1つ何かこう、先ほどから戸田構成員もおっしゃっていましたが、そこが少し欲しいのです。あとは市場的な運用益というのは市場的な要因ですよね。私も随分昔ですけれども、中退共のほうで120%以上と、当時は数値がはっきりしていなかったのですが、非常に運用益が市場の好転でよかったのですが、S評価と言いましたら、これは機構独自の要因による結果ではない、それもあるけれども、全てがそうではないので、S評価にするにはちょっと及ばないというようなことを言われて、残念な思いをしたことがありますけれども。それ以上のものがあるかどうかということです。その質的な部分について、いかがでしょうか。

 

○勤労者退職金共済機構理事(成田)

 最終的な御判断は有識者会議の委員の皆様と、厚生労働大臣がされることだと思っていますが、今、主査の御指摘のとおり、加入が伸びていないにもかかわらず、掛金収入が退職金を上回っていて、期末在籍も増えているというのは、かつて林業に従事しておられた方が、仕事が増えて、また戻ってきていただいているという面もあろうかと思っています。そういった面もありますが、加入促進についても、今申し上げましたように、業界も、林野庁も含めて、いろいろと御協力いただいているというような、そういった取組の面も含めて、ここに書かせていただいております。

 

○今村主査

 これはまとめておくだけで、後は評価はそちらでしていただけると思いますが。ということで、やはりこれが直接的な機構の努力の原因によって、147%を達成したという説明力には少し乏しいかなという印象は、戸田委員と同様にあります。

 

○中村構成員

 努力は認めるのですけれども、私も同じ意見でして、27年度はCだったと確か記憶しています。今年がSだと。では、この間、特段どういったことがというと、結局、累積欠損金が昨年度は逆にマイナスになったと、今年はうまくいってプラスになったと。単にそれだけでもってCになったりSになったりしてしまうものが、どうも腑に落ちないなという気がしていて、機構としての、特段のこういったことがここに効いているというような説明をいただれば、Sとして納得できるのですが、そこら辺はいかがですか。

 

○政策評価官

 関連して、事務局のほうからですが、35ページの資料にありましたように、この項目についてはは、健全な資産運用、積極的な加入促進、事務の効率化による経費削減ということで、要因が説明はされております。もっとも、それぞれの項目につきましても、1-62-23-2で、これら自体もその中期目標の管理すべきポイントとして挙がっております。そこの評価がいずれもBの評価ということでして、それを合成した結果となると、Sになっているというところについては、そこの飛躍について、併せて法人のほうから説明があったほうがいいのかなと思います。

 

○勤労者退職金共済機構理事(成田)

 今の評価官の御指摘についてですが、例えば、資産運用につきましては、冒頭申し上げましたように、5.5兆円の資産の中で林退共の資産は約145億円で、8億円の累積欠損金があるということですし、加入促進も、全体で40何万人の中で、林退共は、目標が2100人で、実績が1700人台、業務経費の削減も31ページの数字に対して、35ページに7,800万円と書いてありますが、26年度の給付経理から業務経理への繰入れが8,800万円だったものを、7,800万円に下げているということで、自己評価の仕方に工夫の余地はあるのかもしれませんが、機構全体のそれぞれの項目の中では林退共の部分は、埋没しているというか、評価に余り大きな影響を与えていないと考えています。一方、この林退共の「累積欠損金の処理」の項目のなかでは、正にこの8億円をどうするかという議論をしているところなので、それぞれの数字が少し大き目に取り上げられる形になっていると思っております。

 

○今村主査

 ありがとうございます。昨年度の評価に関してなぜCになったのかということについては、まだいろいろ議論が残っているかもしれませんが、それも合わせて、少なくとも、今後、こういった市場要因によって結果が大きく左右されるというものに、どう機構の努力という項目を埋め込んでいくかというのは、ちょっと現状では問題が残っているということは間違いないと思います。ただし、ここは機械的に120%達成してAだということを適用する以上の何かプラス・アルファの部分については、説得力が少し乏しいのではないか。ただし、それは評価の仕組みの問題でもありますので、是非、課題として残させていただければと思います。よろしくお願いします。

 

○勤労者退職金共済機構理事長

 最後に一言だけ。ありがとうございます。これも私も一石を投じたつもりなので、ちょっと36ページの表を見ていただきたいのですけれども、一番下の段に、新規10年国債の利回りというのがあって、平成17年度末に累積欠損金解消計画を作ったときは、1.77%だったのです。ここから予定運用利回りを引いたものが経費になり、かつ利益になるわけであります。ただいま現在、0.065%でありまして、これだけ見ただけでも数字が相当大変なのです。それは相当大変だねということで、26年度末に財政検証があって、そのときにやはり財政検証時の推計は、26年度末は1.027年度末は1.528年度末は1.9という金利で組み立てられておりまして、基本的にやはり累積欠損金がありますから、大きなリスクは基本的には取れないのですが、そうすると10年国債で運営していくという、それだけでも逆ザヤという中で、必死になって頑張っているということが1点です。それと、昨年度の評価はもう決まったことですから、私は理事長ですから評価に対するコメントは一切申し上げませんが、昨年度何でマイナスになったかというと、責任準備金が5億円近く増えたと。なぜかというと、いろいろな要因がありますが、かなりの部分が脱退率が減ったと。つまり、当初考えていた以上に人が定着したということで、園田委員には、民間ではこういうときはこうなんですと、余り御理解いただけなかったと思うのですが、やや言い訳っぽくなってしまったので、あれ以上議論はしませんでしたが、ということはありますよということで、だから別に、Sを付けてくださいということではなくて、林退共というのは、そういうところにありますということだけは、是非、御理解いただきたいと思います。以上です。

 

○戸田構成員

 すみません。度々申し訳ないのですが、私自身も、資産運用自体が、市場の利回りで、利回りが上がった、下がっただけで評価したいとは思っておらず、実際に市場の利回りとどれだけ乖離しているかと。その部分はやはり法人の努力だというように判断できるかと思いますので、そういった点も含めて、やはり法人で努力されているということをいろいろとおっしゃっていただくと、よりSとさせていただく説得力が増すのかなと思いますので、その点も含めて御検討いただければと思います。

 

○今村主査

 ありがとうございました。今後、B評価になっている項目についてもAを獲得されて、上積みした形でここでSを是非申請していただければと思います。今後の課題については、是非、引き続き、30年度以降になるのですか、目標設定の段階で、検討課題として残させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 それでは、次は3-2です。お願いいたします。

 

○勤労者退職金共済機構理事(成田)

 評価項目No.3-2、資料37ページの「健全な資産運用等」です。数値目標については、各事業本部の委託運用について、おおむねベンチマークと同等以上のパフォーマンスが達成されたかどうかです。評価の視点は記載されたとおりです。

38ページは、資産運用委員会の「平成28年度資産運用結果に対する評価報告書」の概要です。平成28年度は、先ほど御説明いたしました資産運用委員会が、年間を通じて活動した最初の年度となりました。ガバナンスの観点からは、従来は資産運用の企画・立案・実行の全てを機構で実施し、理事長が任命した委員からなる資産運用評価委員会から年に1回評価を受けるという体制でしたが、資産運用委員会設置後は、重要案件は企画段階から委員会が関与し、実施状況の評価・点検も、年間を通じて開催される委員会で実施されることから、かなり短い周期でPDCAが回り、委員会の意見を受けて、年度途中でも早期に改善が可能となりました。

 資産運用委員会からは、各事業本部の委託運用について、おおむねベンチマークと同等以上のパフォーマンスが達成されたと評価され、委託先管理、対外公表など、関連業務についても総じて適切な方針の下で運用されているとの評価を頂きました。また、委員会での指摘事項や決定事項にも迅速に対応しており、機構における平成28年度中の資産運用は、中退法その他の法令を遵守しつつ安全かつ効率を基本として実施するという基本原則にのっとり、長期的な運営の安定と中期的な健全性向上に必要な収益確保を目指すという基本方針に則して行われており、年間計画で掲げた目標を達成しているとの評価を頂きました。

 資産運用の基本方針の遵守状況についても、四半期ごとに運用状況を資産運用委員会に御報告し、資産配分割合等において違反のないことを確認していただいております。

こうした委員会の評価を踏まえ、法人の自己評価をBとさせていただきました。御説明は以上でございます。

 

○今村主査

 御意見はいかがでしょうか。建退共を除いてベンチマークよりは良い実績を残しているということになるわけですが、このような読み方でよろしいのでしょうか。特に意見がなければ、では、これはこれでということにいたします。

 次は評価項目No.3-3です。お願いします。

 

○勤労者退職金共済機構理事(成田)

 評価項目No.3-3、資料41ページの「財務内容の改善に関する事項」の「財産形成促進事業」、「雇用促進融資事業」についてです。評価の視点は資料記載のとおりです。

42ページ、「財産形成促進事業」については、(1)の「効率的な財政運営」として、財形融資債権からの利息収入については、貸出残高の減少が続いている中、子育て特例措置の延長もあって前年度から減少しましたが、経費については効率的な財政運営に努めたことにより、経費率が前年度の0.17%から0.14%に低下したこともあり、17億円の当期純利益を確保し、利益剰余金は114億円に増加しました。貸付金利の水準については、平成24年度に財務分析等の結果を基に定めたスプレッドによって決定しておりますが、マイナス金利政策など、金融環境が大きく変化し、転貸融資件数・金額とも減少傾向にあるなど、前提条件が大きく変化していると思われることから、近く最新の状況を踏まえて、適正スプレッド等を見直す予定です。

 (2)の「債権管理」については、債権の適切な管理に努め、リスク管理債権からも1,600万円を回収し、償却額については、300万円となりました。ページの下にデータを添付しております。

43ページの「雇用促進融資事業」については、昨年のこの会議において、「回収不能見込額」などについてディスクロージャーが必要ではないかといった御指摘があったことから、新たなデータを記載しております。

 (1)の「債権管理」については、引当金の調整等、債権の適切な管理に努めたほか、抵当物件の売却等により回収を行い、平成28年度は、リスク管理債権からも31,000万円を回収し、償却額については1,300万円となりました。ページの下にデータを添付しております。

 また、雇用促進融資関係の資料としては、44ページに債権分類別残高の推移、45ページに償却額と債権回収額の推移、46ページに貸倒引当金と債権残高の比率の推移を新たに添付しております。平成13年度末に廃止された雇用促進融資制度の平成28年度末の残高は、約25億円と、制度廃止時点の6.4%弱まで減少しております。同制度の契約累計額、3,664億円との比較では、約0.7%です。 残存債権は、かなりの部分がリスク管理債権となっておりますが、担保価値等を定期的に見直して、引当金額を調整しておりますので、リスク管理債権比率の上昇に伴い、債権残高に対する貸倒引当金の比率も上昇しております。(2)の「財政投融資への償還」については、約定どおり償還いたしました。

 以上の取組について、おおむね計画どおりの取組ということで、法人の自己評価はBとさせていただきました。御説明は以上でございます。

 

○今村主査

45ページの償却額と債権回収額の累計というのは、これは特に御説明はされますか。

 

○勤労者退職金共済機構理事(西川)

 私から御説明させていただきます。こちらでは償却額がどのぐらいの規模になっているかというのを、平成17年度以降の累計額で御覧いただいているということです。平成143月で、雇用促進融資制度は廃止になっておりますので、どんどん内容が残っているものについては悪くなっていくということです。ただ、これまでの回収額と償却額の比率を見ていただくと、償却額はそれほど野放図に増えていっているわけではないというのが御覧いただけるかと思うのと、内容が悪化していくに合わせて、貸倒引当金の比率も、46ページで御覧いただけるように上げてきておりますので、そういう意味では、私どものほうで引当金の額が不足するというような状態にはならないと考えております。

 

○今村主査

 分かりました。特にこの赤い所、償却額がそれほど大きく増えていないというのは御努力の結果ということで評価してよろしいのでしょうか。

 

○勤労者退職金共済機構理事(西川)

 そのようにお考えいただければと思います。

 

○今村主査

 ほかはよろしいでしょうか。

 

○戸田構成員

46ページで、残っている債権の中にリスクが高いものがあるので、貸倒引当金を積んでいるという話だと思いますが、貸倒引当金の実額としては、平成27年度から比べて、平成28年度は増やしていますでしょうか。

 

○勤労者退職金共済機構理事(西川)

43ページの下段を御覧いただくと、貸倒引当金の実額をお示しさせていただいております。回収が進んでいますので、平成27年度から平成28年度については、若干減るような格好になっております。

 

○今村主査

 ありがとうございます。よろしいでしょうか。特になければ、次は、評価項目No.4-1についてお願いします。

 

○勤労者退職金共済機構理事(成田)

 評価項目No.4-1、資料47ページの「その他の事項」として、第4から第9です。数値目標については、1つ目は、中退共事業の既加入事業主に対して財産形成促進事業の資料を毎年度3,000件以上送付しているか、2つ目は、中小企業事業主に対して中退共制度と財産形成促進事業の資料を毎年度1,000件以上を送付しているかということです。

48ページ、「退職金共済事業と財産形成促進事業の連携」について、各種の取組を書いております。この5番目と6番目のポツが数値目標の部分で、それぞれ数値目標を達成しております。

 災害時における事業継続性(BCP)の強化です。中退共事業においては、災害時に備えて事業継続のため、データを遠隔地に転送することとなっており、そのテスト作業も定期的に実施しております。建退共、清退共、林退共においては、被共済者に対する振込の通知と同日に、金融機関への振込、振替データの伝送を行っております。財形事業においても、外部におけるデータのバックアップを実施しております。

49ページ、「予算、収支計画及び資金計画」の内容です。棒グラフに予算と決算を書いておりますが、いずれの年度においても業務費、人件費、一般管理費について、予算の範囲内で執行しております。また、「短期借入金の限度額」についても、49ページの記載のとおりです。

50ページ、「職員の人事に関する計画」です。先ほどお話がありましたが、超過勤務の縮減に取り組むとともに、女性活躍促進法、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画に沿って、「子供職場参観日」、「仕事と育児の両立支援講座」を実施しました。職員の研修についても、各職務に応じた研修を実施しております。職員の採用については、新たに「リクナビ」も活用しまして、322名の応募者から10名を採用しています。

 以上の取組について、全体的におおむね計画どおりの取組といたしまして、法人の自己評価はBとしました。御説明は以上でございます。

 

○今村主査

 御質問、御意見をお願いいたします。よろしいですか。先ほど来提案がありました、新たに発生するリスクに関するコンプライアンス等の意識の向上と、この人事の研修計画は実はリンクしているはずですし、ダイバーシティが発生してくることで管理職のジェンダー別の構成とかいろいろ変わってきて、管理方法も変わってくるので、是非、この辺はまた柔軟に検討していただければと思います。よろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。それでは、一応、一通り終わりました。どうもありがとうございました。

 次は、まず法人の監事より、業務の監査結果等をまとめた監査報告について御説明いただくとともに、監査等を踏まえた現在の法人の業務運営の状況や、今後の課題、改善方針等についてコメントをお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○勤労者退職金共済機構監事(稲見)

 監事の稲見でございます。隣におります東監事とともに業務監査を行っております。監査報告については、別添資料1-4に記載させていただいているとおりです。

 監査の方法及びその内容については、監査実施計画に基づきまして、役職員との意思疎通等を図りまして、情報の収集並びに監査の環境の整備に努めるとともに、理事会その他重要な会議に出席して、業務の執行状況について御報告を受け、さらに必要に応じて説明を求めております。併せて、決裁等の重要な書類についても閲覧を実施しまして、事務所内において業務、財産の状況及び厚生労働大臣に提出する書類等の調査をしております。

 また、監査室による内部監査の結果報告を受けまして、指摘事項等がある場合には、その内容について説明を随時求めまして、併せてモニタリングを実施しています。

 次に財務諸表等についてです。その検証に当たっては、会計監査の適正性及び信頼性を確保するために、会計監査人から随時、職務の執行状況について報告を受けております。また、必要に応じて説明を求めております。その監査結果については、先ほど御説明した監査報告書に記載のとおりです。

 監査等を踏まえた業務運営の状況ですが、機構が定めた第3期中期計画に基づいて、平成28事業年度計画に沿って業務が着実に実施されていることを確認しております。

 資産運用に関しても、先ほどの御説明にもありましたように、厚生労働大臣任命の外部有識者委員による「資産運用委員会」が開催されておりまして、資産運用における内部ガバナンスの強化が図られていることを確認しております。当委員会において検討された結果、中退共事業に係る資産運用の基本ポートフォリオの見直しが実施されております。こちらは資産運用の基本方針に基づきまして、安全かつ効率を基本とした資産運用が着実に実施されたことを確認しております。

 情報セキュリティ関係ですが、こちらの対策の推進についても、理事長を委員長とした「情報セキュリティ委員会」を開催するとともに、平成28年度は新たに「システム化委員会」を設置して、組織体制面の強化が図られております。このように多面的な対策が講じられていることを確認しております。

 また、昨年の中退法の改正に伴って、解散厚生年金基金からの資産の移管、並びに特定退職金共済制度からの資産移管なども実施されておりますので、加入促進の一層の推進を期待しております。引き続き法人としては法令を遵守して、効率的・効果的に業務運営を努めていただきたいと考えております。以上でございます。

 

○今村主査

 ありがとうございます。続いて、法人の理事長より、日々のマネージメントを踏まえて、現在の法人の業務運営の状況や、今後の課題、改善方法等についてコメントを頂ければと思います。よろしくお願いいたします。

 

○勤労者退職金共済機構理事長

 先ほどからお話しておりますが、簡単にまとめて申し上げます。大きく2本の柱を立てて業務運営に努めております。1本目は、日々の業務を着実に実行し、かつ、業務の効果的・効率的な運営に当たっては、常に努力を続けていくということです。昨年も申し上げましたが、お陰さまで、この分野は職員が大変頑張ってくれておりまして、PDCAは回っておりますし、私から見ても危なげなく業務はできていると思っております。

2本目は、先ほど議論になりましたけれども、国民の2つの貴重な財産、すなわち退職金と個人情報をお預かりしておりますので、その財産を守るために、資産運用体制と情報セキュリティ体制の強化が必要であると考えております。先ほど御説明させていただきましたが、昨年度にガバナンス体制の見直しを行いました。この結果、次期中期計画の厚労大臣との議論の発射台もできたと思っております。

 具体的には、資産運用については、低金利下においてリスク体制の構築は不可欠ではありますが、その前提となる利益剰余金を確保するための体制整備をはじめ、機構の行動規範の確立などであります。システムについては、情報セキュリティ体制がハード面で整いましたので、いよいよ業務系システムの再構築という大事業に取り組もうと思っております。

 すなわち、平成28年度に行ったガバナンス体制の構築は、今中期計画期間中の大きな環境変化を踏まえたという位置付けにととまらず、次期中期計画で、当機構を持続可能な組織にするための準備でもあります。引き続き厚労省の御理解、御指導を得て、適切な業務運営、本年度は、特に次期中期計画の策定に万全を期してまいりたいと思っております。本日は、本当にありがとうございました。

 

○今村主査

 どうもありがとうございました。今の御発言内容について、御意見、御質問等がありましたら、お願いいたします。よろしいですか。

 それでは、勤労者退職金共済機構の平成28年度業務実績評価に係る今後の取扱いについて、事務局から説明をお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 本日、法人から説明のありました業務実績及び自己評価に対して、構成員の皆様から寄せられた御意見や、法人の監事及び理事長のコメント等も踏まえて、厚生労働大臣による評価を決定いたします。その評価結果については、法人に通知するとともに公表いたします。決定した内容については、後日、構成員の皆様にお送りいたします。

 なお、勤労者退職金共済機構については、本年度が中期目標期間の最終年度に該当するため、89()開催予定の第22回労働WGにおいて、中期目標期間の最終年度に実施される中期目標期間終了時に見込まれる業務の実績の評価、いわゆる「中期目標期間見込評価」等について御意見を賜ることとしておりますので、よろしくお願いいたします。

 本WGの次回の開催については、連日の開催となりまして、大変恐縮でございますが、711()10時から予定しております。場所は、本日と同様、中央労働委員会7階の講堂です。議題としては、労働政策研究・研修機構の平成28年度業務実績評価について御意見を賜ることとしております。

 最後に、本日、構成員の皆様の机上に配布した資料の取扱いですが、資料の送付を御希望される場合は、事務局より送付いたしますので、机上に置いたままで御退席いただきますようお願いいたします。事務局からは以上でございます。

 

○今村主査

 こういう政府関係の組織の評価というのは、イノベーションとか、クリエイティビティーと違って、シンクアウトボックス、これまでの既存の箱から抜け出すのはなかなか難しいところですが、本日の機構からの御発言は非常にいい考える切っ掛けになったので、是非、この機会をいかしていただければと思います。我々も来期の中期目標計画において、是非、十分考慮させていただきたいと思います。

 それでは、本日は以上とさせていただきます。長時間にわたりまして、御熱心な議論をありがとうございました。どうもお疲れさまでした。


(了)

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