ホーム > 政策について > 審議会・研究会等 > 労働基準局が実施する検討会等 > 平成29年度化学物質のリスク評価検討会(有害性評価小検討会) > 平成29年度 化学物質のリスク評価検討会(第1回有害性評価小検討会)議事録 (2017年7月13日)




2017年7月13日 平成29年度 化学物質のリスク評価検討会(第1回有害性評価小検討会)議事録 

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

○日時

平成29年7月13日(木)15:00〜


○場所

経済産業省別館104会議室(1階)


○議題

平成28年度ばく露実態調査対象物質の有害性評価について 他

○議事

 

○平川化学物質評価室長補佐 本日は大変お忙しい中御参集いただきまして誠にありがとうございます。定刻になりましたので、平成29年度「第1回有害性評価小検討会」を開催いたします。

 まず、開催に際しまして事務局から報告がございます。このたび、静岡県立大学教授の吉成浩一先生が新たにリスク評価検討会委員に加わり、有害性評価小検討会に所属することとなりましたので紹介いたします。

○吉成委員 よろしくお願いいたします。

○平川化学物質評価室長補佐 また、このたび、事務局に異動がありましたので紹介させていただきます。化学物質審査専門官の磯崎です。

○磯崎化学物質審査専門官 磯崎です、よろしくお願いいたします。

○平川化学物質評価室長補佐 主にばく露評価小検討会などを担当する予定です。よろしくお願いいたします。

 それでは、座長の大前先生に以降の議事進行をお願いいたします。

○大前座長 皆様、今日はお暑い中をお集まりいただきましてありがとうございます。最初に配布資料の確認をよろしくお願いいたします。

○平川化学物質評価室長補佐 本日の議事と資料の確認をさせていただきます。本日の議事ですが、平成28年度ばく露実態調査対象物質(初期評価)の評価値についての検討を予定しております。議事次第の表紙にあります丸数字1から丸数字5の物質、テトラエチルチウラムジスルフィド、二塩化酸化ジルコニウム、ニッケル(金属及び合金)、ピリジン、メタクリル酸です。

 次に、資料につきましては3分冊となっております。A4縦の資料が2冊、他はA3横の資料です。傍聴者向けには机上配布の資料はございませんので、合計2分冊となります。

 資料の確認に移らせていただきます。資料の方ですが、資料1につきましては、A3横長の束の資料で、1-1から1-5までとなっております。

 資料2は、今後の予定で、A4縦の資料右下1ページと書いているところです。

 次に、参考資料です。A4縦の資料の3ページ目が参考資料1で、参集者名簿です。

 次に、参考資料2が有害性評価書で、本日御議論いただきます5物質につきましての有害性評価書を付けております。テトラエチルチウラムジスルフィドが5ページから、二塩化酸化ジルコニウムが33ページから、ニッケル(金属及び合金)47ページから、ピリジンが63ページから、メタクリル酸が87ページから100ページまでとなっております。

 次に参考資料3を御覧ください。それぞれの物質につきまして、ACGIH及び日本産業衛生学会の許容濃度等の関連資料を付けております。表紙の次からページ数を入れており、テトラエチルチウラムジスルフィドが1ページから、二塩化酸化ジルコニウムが3ページから、ニッケルのACGIH7ページから、日本産業衛生学会が15ページから、ピリジンのACGIH29ページから、メタクリル酸のACGIH35ページから、日本産業衛生学会が37ページからとなっております。

 次に参考資料4、国が行う化学物質等による労働者の健康障害防止に係るリスク評価実施要領です。

 次に参考資料5、リスク評価の手法(26年改定版)117ページからとなります。最後に参考資料6、参考資料のうち右下にページが振っていないところです。リスク評価事業における有害性評価手順(平成27年度版)(机上配布)ということで、下にページ数が120まで振られております。

 以上、先ほどの参考資料4以外に資料に不備等がありましたら事務局までお申し出いただきますようお願いいたします。

○大前座長 資料はおそろいでしょうか。

 特にないようでしたら今日の議事に入りたいと思います。平成28年度ばく露実態調査対象物質(初期評価)の評価値についてということで、既にもう何回かやっておりますが、今日皆さんにお願いする議事はそれぞれの5物質の一次評価値と二次評価値を最終的に決めていただくということが、今日のこの会議の目的ですのでよろしくお願いします。

 それでは順番に5物質のうちの1番、テトラエチルチウラムジスルフィドからやっていきたいと思います。事務局、説明をよろしくお願いします。

○平川化学物質評価室長補佐 テトラエチルチウラムジスルフィドにつきまして説明させていただきます。参考資料2-1に詳細資料を付けておりまして、それを要約したものが資料1-1です。よろしくお願いいたします。

 テトラエチルチウラムジスルフィドの説明をさせていただきます。まず物質名はテトラエチルチウラムジスルフィド。別名ジスルフィラムです。CAS番号97-77-8です。化学式ですが、そちらにございますとおりC10H20N2S4 であり、構造式は資料のとおりです。

 物理化学的性状ですが、外観は特徴的な臭気のある、白〜灰色の粉末、沸点は2.3 kPa117 ℃、融点は71 ℃、密度1.3 g/cm3 、溶解性()0.02 g/100mlとなっております。

 生産量等用途のところ、製造・輸入量は929トン(2013)です。用途は有機ゴム薬品(加硫促進剤)、硫黄供与型加硫剤、医薬品となっております。

 次に、重視すべき有害性です。発がん性につきましては、ヒトに対する発がん性は判断できないとしております。根拠ですがヒトについてのデータがない、また動物についてはB6C3F1マウス及びBAKF1マウスを用いた試験で肺腺腫、肝がん、皮下線維肉腫の発生頻度の上昇が報告されているが、試験の信頼性について疑問が呈されている。IARCMAK1997年の報告です。SDラット、F344ラットを用いた試験では、明らかな腫瘍発生頻度の上昇は見られていないということです。IARCではグループ3に、ACGIHA4に分類しているということです。各評価区分は資料のとおりです。

 次に、発がん性以外の重視すべき有害性です。生殖毒性は判断できないとしております。根拠としては、ヒトでの調査報告例では、ジスルフィラムと催奇形性を結び付けることができないとコメントされている。また、動物実験では、いずれも母動物に毒性が発現する投与量、あるいは母動物に対する毒性が不明なため、生殖毒性は判断できないとなっております。

 参考として、NOAEL= 30 mg/キログラム体重、根拠といたしましてC3Hマウスにジスルフィラム1 mgを妊娠前3週間及び妊娠期間中に週5日混餌投与した。検査した83胎児に胎児毒性も奇形も認められなかったという情報がございます。

 また、この試験における不確実係数につきましては根拠:種差(10)ということで、評価レベルは18 mg/キログラム体重となっております。

 次に神経毒性です、神経毒性につきましては「あり」としております。根拠ですが、アルコール依存症患者へのジスルフィラム投与で精神障害(0.1251.5 g/)及び末梢神経障害(0.25から1.5 g/)などの副作用が報告されているというものです。これに関して、NOAEL= 125 mg//日でして、不確実係数を10、根拠はLOAELからNOAELへの変換ということで、そこから計算いたしますと評価レベルは1.25 mg/m3 ということになります。

 次に遺伝毒性は判断できないとしております。根拠ですがin vitroの姉妹染色体分体交換試験、DNA鎖分断試験、マウスリンフォーマー試験)で陽性を示したが、復帰突然変換試験及びin vivoの染色体異常試験、小核試験では陰性を示したということで判断が分かれるので判断できないというものです。

 閾値の有無は判断できないということです。この理由ですが、「遺伝毒性」の判断を根拠としております。

 次に左下、反復投与毒性に関するヒトへの調査データです。これにつきましてはLOAEL100 mg//日としております。根拠ですが、アルコール依存症ではないボランティア52人にジスルフィラムを連日2週間投与し、2週間目の最後にエタノール150 mg/キログラムを投与した。ジスルフィラムの用量は、最初の2週間は1 mg、次の2週間はアルコール不耐性を示さなかったボランティアに100 mg、同様にして200 mg300 mgと増量した。この試験の結果、アルコール不耐性反応はジスルフィラム100 mg(1.5 mg/キログラム/体重)で現れるとしております。これに関する不確実係数はLOAELからNOAEL変換に基づきます10、評価レベルは計算の結果1.0 mg/m3 としております。

 次に、これまで示されております許容濃度等についての説明をいたします。まずACGIHですが、TLV-TWA1976年に2 mg/m3 との勧告があります。根拠ですが、アルコール依存症医療の維持療法として推奨されている投与量(経口)に基づき、労働者が作業環境濃度にばく露することによって発現するアンタビュース(ジススルフィラム)様症状を最小限に抑えるためのTLV-TWA 2 mg/m3 を勧告するというものです。

 日本産業衛生学会では設定はございません。DFG MAKでは2 mg/m3(1978)NIOSHRELTWA 2 mg/m3 となっております。

 それらに基づき評価値()です。まず、一次評価値はリスクが十分低いか否かの指標、これにつきましては行政指導の参考として活用しているものですが一次評価値としては、なしということです。理由は発がん性を示す可能性があり、遺伝毒性が判断できない場合で、生涯過剰発がん(1×10-4 レベル)に相当するばく露濃度が設定できないため、一次評価値なしとしております。

 次に二次評価値です。この二次評価値は、健康障害防止措置の規制等が必要か否かの指標ということです。二次評価値は2 mg/m3 、理由といたしましては、ACGIHが勧告している許容濃度を二次評価値としたものです。テトラエチルチウラムジスルフィドの説明につきましては以上です。よろしくお願いいたします。

○大前座長 ジスルフィラムに関しての説明をしていただきました、何か先生方から御意見あるいは御質疑はございますでしょうか。

○江馬委員 生殖毒性のところなのですが、参考資料2-1254行目から257行目にマウスに4.9 mg/キログラムを投与した実験の結果が出ています。参考のNOAELに記載されてないのはこの資料の記述が不備なためですか。投与経路とかが記載されていないのでこの資料の記載はやめて、その下の実験の記載を参考のNOAELの記載に持ってきたということでしょうか。

○大前座長 引用はMAKなので、恐らくMAKにこれだけしか書いていなかったということだと思います。もとの文献に関してはMAKの。

○江馬委員 はい、わかりました。

○大前座長 記載の漏れなのか、ちょっとそこまでは、今、情報がございません。

○江馬委員 参考のNOAELのところに、どこかに発生毒性のNOAELと書いたほうが分かりやすいと思います。

○大前座長 ああ、この参考のところですね。

○江馬委員 はい。生殖毒性が判断できないと書いて、下にNOAELと書いてあるのはおかしい。発生毒性のNOAELということだと思います。

○平川化学物質評価室長補佐 そうしますと、NOAELのところに(発生毒性に関する)とか、そのような形でNOAELとイコールの間にそのような形で書くという。

○江馬委員 NOAEL(発生毒性)=にしたら一番簡単かと思います。

○大前座長 これ、どうしましょうか。発生毒性、生殖毒性も親に対する毒性、子どもに対する毒性もまとめて生殖毒性という言葉を使ってしまっているというバックがあるので。

○江馬委員 そうですね。

○大前座長 発生毒性という言葉をここに入れるとちょっとややこしい感があるのですが、どうしましょうか。でも、カッコして入れておけばいいですか。生殖毒性全体の中の一部という。

○宮川委員 私の考えでは、生殖毒性自体は両方含むわけですが、今回選んだものがどちらから取ってきたのかというのが、分かるということではれあればカッコして、あってもいいような気がします。

○大前座長 分かりました、そういうことでよろしゅうございますか。一応、概念としては生殖毒性の中に発生毒性も含んでいるのですが、今回は取ってきているものがここにカッコ付けで記載をするということです。ありがとうございました、そのほかいかがでしょうか。

○西川委員 反復投与毒性に関するヒトへの調査データのところで、いわゆる毒性のエンドポイントがアルコール不耐性反応となっています。これをイコール毒性と考えてよろしいのでしょうか。

○大前座長 これは薬効ですものね。

○西川委員 そうですよね。

○大前座長 こういう効果を見るために薬を使っているということなので。確かに、ヒトに対する影響であることは間違いないのですが毒性と言うべきかどうか。ちょっと厳しいことは厳しいですよね、毒性と言うには。

○西川委員 そうですよね。

○大前座長 ACGIHもある意味、このことがないようなレベルで2 ppmに決めているというので、影響とは見ているけれども毒性とは言い切れない、言えないという感じの表現だと思います。どうしましょうか、反復毒性とここに入れていますがどうしましょうか。医薬品の場合はこういう感じが常にありますよね。といっても、恐らくこういうデータ・情報しかなかったのだろうと思います。ここにこれを書くのはやむを得ないのですが、ただ、少なくともこれは毒性として見るべき影響ではない。薬効として見るべき影響だという、そこら辺はやはり認識しておかないとまずいと思います。

○高田委員 評価値()の一次評価値なしの理由で、発がん性を示す可能性があるという表現がされています。しかし、上の発がん性のところではヒトに対する発がん性は判断できないと書いていて、この辺の齟齬は大丈夫でしょうか。

○大前座長 そうですね、IARCグループ3ですが、これと少し矛盾するのではないかというお話です。

○平川化学物質評価室長補佐 現時点で発がん性がないという形の報告がないという、ないとも言い切れないということで、理由の書き方と発がん性の「判断できない」の表現が不整合ということかと思います。理由の表現を適正な表現に直すという形で行きたいと思いますが、「発がん性を示す可能性があり」をどう修正すればよろしいでしょうか。

○大前座長 むしろ、何もないほうがいいような気がします。グループ3はまだ評価されていないという区分なので、あるかないかも分からない。これから評価される物質なのでしょう、IARCでは。

○津田委員 Group 3であるというのは要するに疑っているわけです。疑っていて評価したけれども、それに対して更に上のグループ、12に分ける材料が不足していて、今のところ判定できないというのがグループ3なのです。ですから、大ざっぱに言うと発がん性が疑われる物質なのです。

○大前座長 そうすると、この一次評価値の理由のところで、「発がん性を示す可能性」ではなく「発がん性が疑われている物質であり」というほうがいいですか。

○津田委員 それならいいと思います。

○大前座長 IARC Group 3と矛盾しない、はい。

○西川委員 今の点、IARCのグループ2Aというのは恐らく発がん性あり、グループ2Bが発がんの可能性ありなのです。したがってそれと同じ、2Bと同じになってしまうのではないですか。これは重視すべき有害性。

○大前座長 いや、発がん性を疑っているという文章だったらまだいいと思います。

○西川委員 いや、試験はあったのですが、信頼性に問題があるから結論が出なかったということですよね。したがって、現時点では判断ができないというようなことだと思います。だから、その辺を文章にすればよろしいのではないでしょうか。

○津田委員 どうやって表現するのでしょうかね、全く無罪放免というわけないでしょう。

○西川委員 「検討されている」でいかんですか。

○大前座長 ああ、なるほど。

○津田委員 「発がん性が検討されていた」か。とにかく、これ、データが古いんですよ。チウラムジスルフィドは1987年ですから大昔ですね、それから再評価が変わっていないから。

○平川化学物質評価室長補佐 「発がん性が検討されており」ではないですか。

○津田委員 「発がん性が検討されたが結論を得ていない」。

○平川化学物質評価室長補佐 「発がん性が検討されたが結論を得ていないが、遺伝毒性が判断できない場合で」という形でつないだらよろしいでしょうか。

○大前座長 少なくともこの可能性あり、2Bみたいな感じで。

○平川化学物質評価室長補佐 要するに、疑っていると分かればいいと思います。

○大前座長 そのほかよろしゅうございますか、一応、二次評価値に関してはACGIH、あるいは産業衛生学会、場合によってはMAKを使うとなっていますので、この場合はACGIH2MAK2ということで同じ数字を出しております。根拠は先ほどの薬効が出るか出ないかというところです、2ということでよろしゅうございますか。今、何か所か修正がありましたが、評価値としては一次評価値がなし、二次評価値が2でよろしいということでよろしゅうございますね。ありがとうございました。

 次の物質は二塩化酸化ジルコニウムです。事務局からよろしくお願いいたします。

○平川化学物質評価室長補佐 それでは、資料1-2にあります二塩化酸化ジルコニウムについての説明をさせていただきます。物質名は二塩化酸化ジルコニウムです。別名はオキシ塩化ジルコニウムです。この化合物については水和物もあるのですが、無水物としてのCAS番号を記載しており、CAS番号は7699-43-6です。化学式ですが、無水物であるCL2OZrとしておりまして、構造式もそれに合わせています。

 次に、物理化学的性状です。外観は白色結晶又は白色の固体です。融点は約60 ℃。八水和物ですと分解ということです。密度は八水和物のものとして1.91 g/cm3 。溶解性については、冷水に極めてよく溶け、1リットル1,000 g以上溶けるということです。熱水、中和により分解となっております。

 次に、生産量等用途です。製造輸入量は経済産業省の2013年統計で13,827トンです。輸入量は化学工業日報の2013年集計で19,074トンとなっています。用途ですが、ジルコニル石鹸(塗料乾燥剤、各種撥水剤)、レーキ顔料、触媒、紙パルプ排水中の微細物の凝集除去、有色物質の無色透明化による公害処理用、その他ジルコニウム化合物の原料となっています。

 次に重視すべき有害性に移ります。まず、発がん性は判断できないとなっています。根拠としては、ヒト、動物とも調査した範囲では報告は得られていない。ACGIHはジルコニウム及びジルコニウム化合物についてA4に分類しているということです。その他、各評価区分ですが、IARCでは情報なし、産衛学会、EU CLPNTPいずれも情報なしです。ACGIH1996年に、先ほど申し上げたA4に分類しています。

 次に、発がん性以外の有害性です。生殖毒性は判断できないとしており、根拠は調査した範囲内での報告は得られていない。神経毒性も判断できない、根拠は調査した範囲では報告は得られていないとしています。

 次に、遺伝毒性ですが、ありとしています。根拠ですが、in vitroの試験系ではネズミチフス菌でS9の添加の有無にかかわらず遺伝子突然変異を誘発しなかったが、ヒト末梢血白血球では10及び20μg/mLで染色体異常及び姉妹染色分体交換の増加が見られた。in vivoの試験系では、マウス(swiss albino雌雄)LD50 20分の16分の1及び2分の1、雄で言いますと225750及び2,250 mg/キログラム体重、雌で言いますと220733及び2,200 mg/キログラム体重の二塩化酸化ジルコニウム水溶液を単回経口投与した試験で、骨髄細胞の染色体異常が増加したということで、遺伝毒性ありとしています。

 閾値の有無ですが、なしということで、遺伝毒性の判断を根拠としています。

 次に反復投与毒性に関する動物試験データです。LOAEL6 mgZr/m3 ということになっています。根拠ですが、猫(4)、犬(8)、モルモット(20)、ウサギ(20)、ラット(72)(いずれも系統、性別不明)ということです。これに、水に溶かした塩化ジルコニウム(エアロゾル、平均粒径0.6μm)6 mgZr/m3 16時間、15日で60日、吸入ばく露したとしています。塩化ジルコニウムは水と反応して二塩化酸化ジルコニウムとなっており、それを吸入した動物では、イヌの2か月でヘモグロビン値及び赤血球数の僅かな低下が見られた。これは3匹で測定し、最大低下量でヘモグロビン1.63.4 g/100mL、赤血球0.51.8×106/mm3 です。ラット及びモルモットでは、呼吸器感染と思われる死亡の増加が認められた。ラットで72分の8匹、モルモットで20分の3匹ということです。肺の組織検査では軽度のうっ血、浮腫及び出血が認められたとしています。これについての不確実係数を100としています。根拠は種差(10)LOAELからNOAELへの変換10としていまして、評価レベルは0.16 mg/m3 ということで、これは八水和物としての評価レベルとなっています。計算式は以下に書かれているとおり、時間補正と八水和物に換算した量ということで、この数字が出てきているところです。

 次に許容濃度等です。ACGIHのほうですが、TLV-TWA5 mg/m3(ジルコニウム及びその化合物)としての値で、1956年の勧告です。あと、STEL10 mg/m3 、これもジルコニウム及びその化合物、ジルコニウムとしての量ということで、1976年勧告ということです。根拠ですが、吸入試験では、塩化ジルコニウムとして6 mg/m3 2か月ばく露(水中で二塩化酸化ジルコニウムに転化)により、ラット、モルモットでは死亡率がやや増加したが、ウサギ、ネコ、イヌでは死亡率は増加しなかった。ジルコニウムで3.5 mg/m3 1年間吸入ばく露した試験では、動物に悪影響は見られなかった。以上のことから、TLV-TWA値として5 mg/m3 を、TLV-STEL値として10 mg/m3 を勧告する。ラットへのジルコニウム長期投与で発がん率に影響がなかったことから、ジルコニウム及びジルコニウム化合物の発がん性はA4(ヒトに対する発がん性は分類できない)とする。Skin又はSENを勧告する十分なデータはないとされています。

 日本産業衛生学会では設定なしとなっています。DFG MAKでは吸入性画分として、1998年に1 mg/m3 2002年にピークばく露限度カテゴリー11、1998年にSahとなっています。また、ジルコニウム金属、合金及び水溶性化合物については、MAKは制定されていないとなっています。NIOSHRELでは、TWA 5 mg/m3 STEL10 mg/m3(1994)、ジルコニウム化合物として、ジルコニウムの量としての勧告です。OSHAPELTWA 5 mg/m3 STEL 10 mg/m3 ということで、ジルコニウムとしての量での勧告です。

 最後に、評価値()です。一次評価値はなしということで、理由は原案では発がん性を示す可能性があり、遺伝毒性が判断できない場合で、生涯過剰発がん、1×10-4 レベルに相当するばく露限度が設定できないためとしています。二次評価値は5 mg/m3 、ジルコニウムとしての量ということです。理由はACGIHが勧告している許容濃度を、二次評価値としたとしています。先ほどの議論で理由の表現について、「発がん性が検討されていたが、結論を得ていないが」という形の表現に直すことでよろしければ、その表現に理由を直していきたいと考えています。よろしくお願いします。

○大前座長 この物質はグループ3ではないので、その表現ではなくてもいいです。グループ3だと、先ほどの表現と同じだと思いますが。

○津田委員 関係ないですね。

○大前座長 ええ、「発がん性の情報がない」と書いてあれば、それでいいと思います。

○平川化学物質評価室長補佐 そうしますと、ここの理由は特に変えなくてもいい。

○大前座長 ええ。

○平川化学物質評価室長補佐 分かりました。

○大前座長 むしろ書かなくてもいい。もともと情報がないということなので、まだグループ3でもないです。いかがでしょうか。何か古い情報しかないですが。

○西川委員 まず許容濃度等のところ、ACGIHのところ、下から3行目に、「ラットへのジルコニウム長期投与で発がん率に影響はなかった」と書いてあるのですが、このデータは評価書には載っていないですよね。

○大前座長 そうですね。これはACGIHの提案理由には書いてあるのですか。230行目のところに、「ラットへのジルコニウム長期投与で発がん率に影響がなかったことから」という、これはこのまま付けるのですね。

○西川委員 これをそのままコピーペーストしたのですよね。

○大前座長 そうすると発がんの報告が、探せばある可能性があるということですね。ACGIHのが正しければ。

○西川委員 と思われますよね。

○大前座長 そうですね。別に発がん性はなかったという意味での発がん報告。

○西川委員 この辺りは整合性がうまく取れていないのかなと気がします。

○大前座長 どうしましょうか。これはジルコニウムの長期投与とあるけれど、このジルコニウムは今回、この物質に関しているものかどうかも、ACGIHの表現だと分からないですよね。

 これは難しいですね。難しいというか、もしACGIHの根拠がこの物質でなければ、このとおりでいいと思うのですが、発がん性、調査した範囲で見られていないという表現ができると思うのですが、この物質かどうかを確認していただいて、この物質でなければ発がん性の表現はこれでいいけれど、もしこの物質だったら、原本があるかないか分からないですが、発がん性の実験はあるけれども、発がん性は見られなかったと。

 だから、情報がないということではなくて、見られなかったと書かなくてはいけない、そういうことですね。

○西川委員 そうです。

○大前座長 ありがとうございます。だからこれは、今日は表現をペンディングしていただいて、この物質でなければこのままでいいけれど、この物質だったらここは書き換えるということですね。

ACGIHの部分は、これはこのままで、書き換える必要はないということだと思いますが、もしこの物質ではなかったら、ACGIHの根拠のところに括弧書きか何かで、本物質での実験はないということを書いておいていただくと矛盾はなくなるので、そこのところに関しては、表現についてはペンディングでお願いします。そのほかはいかがでしょうか。

 それからACGIHの場合は、ジルコニウムとして5 mg/m3 という数字で、この物質についてではないわけですよね。

○平川化学物質評価室長補佐 そうです。全体としての数字ということで、ジルコニウム及びその化合物としての勧告ということです。

○大前座長 この化合物としてある数字というのは、反復投与毒性のところで一番下の0.16、八水和物に換算した0.16というのがあるわけですよね。

○平川化学物質評価室長補佐 そうです。

○大前座長 そうすると、一次評価値と二次評価値の間に10倍以上差があったときは、一次評価値に書き込むというルールにしませんでしたか。

○平川化学物質評価室長補佐 そうです。

○大前座長 そうですよね。そうすると、この0.16 mg/m3 というのが一次評価値。ただし、この物質についてですけれどね。二次評価値の5というのは、この物質ではなくてジルコニウム全体としてということになると思うので。

○平川化学物質評価室長補佐 あと、すみません。0.16 mg/m3 の数字、これは八水和物ですが、これはこれでそのまま入れておいてよろしいですか。

○大前座長 これも、またジルコニウムの濃度に換算しますか。そのほうがいいのかな。

○宮川委員 換算しないと、10分の1かどうか分からないですよね。

○大前座長 分からないですね。でも、当然この数字のほうが小さくなるはずだから、この中からジルコニウムだけ取り出せば、当然数字が小さくなるはずだから、10分の1より小さくなるのは間違いないと思うのですが、この表現として0.16をそのまま使うのか、あるいはジルコニウムの数字として、要するにACGIHと整合性を合わせるという意味ですが。これは実際に測定するときは、ジルコニウムとしてしか測定しないのではないかな。化合物として分離できて、測定できるのかな。測定の専門の方、この中にはいらっしゃらないので、これは後日、また測定方法のところで出てくると思うので、この委員会ではやる必要はないことですが、どうしましょうか。この0.16というのはジルコニウムとして、これもこのまま入れておいて、ジルコニウムとして換算した数字も入れていただきましょうか。それで一次評価値のほうには、ACGIHとの整合性の問題があるので、ジルコニウムとして換算した数字を書くということでよろしいですか。

○高田委員 今の0.16のところのジルコニウム換算というのは、資料の左下の0.16の、1つ上の数字と違いますか。

○大前座長 ああ、0.045か、これにすればいいんだ。ありがとうございます、おっしゃるとおりです。もう既に0.045、ジルコニウムと書いてあるから、これでいいですね。

○西川委員 今の試験ですが、有害性評価書の98111行目にかけて記載があるのですが、恐らく1956年の報告で非常に古い。よく記載を見ますと、呼吸器感染による死亡が増加したとか、ネコ、イヌ等ではコントロール群が置かれていないとか、古い試験ですから仕方がないとしても、ちょっと試験の内容がお粗末な気がします。ほかに試験がなければやむを得ないと思うのですが、その辺りはコメントさせていただきます。

○大前座長 先生がおっしゃるとおりですよね。といって毒性に関する動物実験は、判断できないとか、ないとは書けないので、やむを得ないのですが、この数字は先生がおっしゃったように実験としてよくないので、むしろ一次評価値の数字は出さないほうがいいですか。計算すれば0.045になりますが。

○西川委員 どちらでもいいと思うのですが、出さないという手もあるかもしれませんね。

○宮川委員 手続書によると、信頼できる試験でないと対応しないということになっているので、1956年のことなので、これだとすると外しておいたほうが混乱しない気がします。

○大前座長 そうしますと、情報としてはここに書いておいて、一次評価値のところに、「なし」の後に、このデータはあるが、実験として非常に不完全といいますか、質の悪い実験と書いてしまうと悪いのですが、そのような実験なので、一次評価値としては採用しないということを、この評価値のアのところに書いておいてもらえばいいですかね。そうですよね。本当にそのとおりですね。ありがとうございます。

 確認ですが、0.045は書かないで、実験の質の問題で10分の1以下というルールだけれども、一次評価値としては採用しないという旨のことを、ここに書いてくださると。ありがとうございます。

 それから、この物質は吸入なんかすると、これは水に溶けやすいということは、結構酸性が強いのですか。何か塩素が外れてしまって、塩酸が出来るような気がして仕方ないのですが、そうすると何でもありかなという。

○宮川委員 どこかに塩酸が出来るという記述があったような、確認しないと分からない。

○大前座長 そうすると遺伝毒性なども、それは酸の影響だろうとか、今の鼻腔の症状なども酸の影響という、そういうことかもしれませんけれどね。

○吉成委員 85行目にあります。

○大前座長 85行目ですか、本当だ、ありがとうございます。「塩酸への加水分解の過程で気道を刺激し得る」、これですね。ありがとうございます。

 そうしましたら、この二塩化酸化ジルコニウムに関しては、一次評価値はなしということ。その理由として、実験が不適切なことを記載する。二次評価値は、これはACGIHのことをやっていますので、5ということでよろしいですか。ありがとうございました。

 それでは3物質目、ニッケル(金属および合金)を、お願いします。

○平川化学物質評価室長補佐 それでは資料1-3、ニッケル(金属及び合金)について説明します。まず物質名ですが、ニッケル(金属)です。別名はアルファベットの記載でNICKELとなっております。CAS番号7440-02-0です。今回、対象とするのは、金属以外に合金も対象ということで、ニッケル合金と併記しております。注として書いておりますが、この評価書では、合金中ニッケル含有率0.1 %以上で、粉じんとして吸入される可能性がある場合、対象としているとしております。化学式、構造式は、化学式Niとしております。

次に、物理化学的性状です。外観は様々な形状をした銀色の金属固体です。比重は8.9、沸点2,730 ℃、融点1,455 ℃、溶解性は水に溶けないとのことです。

 次に、生産量等用途です。生産量は2013年集計で、46,418トン。輸入量は2013年集計で35,238トン。いずれも金属ニッケルとしての集計です。用途ですが、特殊鋼、鋳鍛鋼品、合金ロール、電熱線、電気通信機器、洋白、メッキ、貨幣等(ニッケル地金の90%は合金に、そのうちの3分の2はステンレス鋼に用いられる)ということです。

 次に、重視すべき有害性に移ります。まず、発がん性です。ヒトに対する発がん性が疑われるとなっております。ここでの表記はIARCの評価ではなくて、GHSベースでの表記をしております。根拠はIARCでは金属ニッケルをグループ2Bとしており、Wistarラットへの金属ニッケルの吸入試験及び腹腔内への注入試験で発がん性が確認されている報告があるとしております。

 各評価区分です。金属ニッケルとニッケル化合物とあるので、ニッケル化合物は参考で※を入れております。IARCは、金属ニッケルを1990年に2B、ニッケル化合物は2012年にグループ1とされております。産衛学会はニッケル製錬粉じんが2011年に第1群、これ以外のニッケル化合物は、2011年に第2Bとなっています。EU CLPでは、粒径1 mm未満が2008年に2とされております。NTPでは金属ニッケルは合理的にヒト発がん性因子であることが予測される。一方、ニッケル化合物はヒト発がん性因子であることが知られているとなっております。ACGIHは金属ニッケルはA5、不溶性ニッケル、二硫化三ニッケルはA1、水溶性ニッケルは1998年にA4となっております。

 次に、発がん性以外です。生殖毒性は判断できない。根拠は、調査した範囲内では報告は得られていないということです。神経毒性は判断できない。同じく根拠は調査した範囲では報告は得られていないということです。遺伝毒性は判断できないということで、根拠はヒト末梢血リンパ球を用いた染色体異常試験で、金属ニッケル粉末は染色体異常の増加を示さなかったとの報告があるが、判断する十分な情報とはいえないとなっております。

 次に、遺伝毒性を判断できないという根拠を基にして、閾値の有無を判断できないとしております。

 次に、反復投与毒性に関する動物試験データです。動物試験データの結果から、LOAELはニッケルとして0.1 mgNi/m3 となっております。根拠ですが、雌雄Wistarラットを各群50匹に、00.10.41 mgNi/m3 として、金属ニッケル粉末(MMAD= 1.8μmGSD= 2.4μm16時間、15日で103週吸入ばく露し、130週間観察したところ、対象群と比較し、雄0.1 mgNi/m3 として、その群で赤血球数・ヘモグロビン濃度・ヘマトクリットで平均値が78 %上昇し、統計学的有意差を認めたとしております。この動物試験データからの不確実係数は、UF= 100としております。根拠は種差LOAELからNOAELの変換ということです。したがって評価レベルは、計算にあるとおり、7.5×10-4   mgNi/m3 としての数値となっております。

 次に許容濃度等です。まずACGIHTLV-TWAですが、金属ニッケルとして、1.5 mg/m3 2001年の勧告です。根拠ですが、上記は、吸引性粒子に対する職業ばく露の許容濃度であり、実験動物で報告された肺がん、鼻腔がんや肺の炎症性変化が生じる可能性を最小限とすることを意図したもの。金属ニッケルはA5、不溶性ニッケルと二硫化三ニッケルはA1、水溶性ニッケルはA4と分類される。SkinSENTLV-STELを勧告する十分なデータはないとされております。

 次に日本産業衛生学会です。ニッケルの許容濃度は1967年に1 mg/m3 の許容濃度が勧告されております。また、気道感作性第2群、皮膚感作性第1群、生殖毒性第3群と勧告されております。一応、参考までにニッケル化合物(製錬粉じん)の評価値は2009年に、10-3 過剰発がん生涯リスクレベルが10 μgNi/m3 10-4 過剰発がん生涯リスクレベルが1 μgNi/m3 となっております。

 また、製錬粉じん職場以外での許容濃度(吸入性粒子)として、2009年に水溶性ニッケル化合物で0.01 mgNi/m3 、水容性以外のニッケル化合物が0.1 mgNi/m3 、気道感作性第2群、皮膚感作性第1群、生殖毒性第3群、2014年に勧告ということです。DFG MAKは設定なし、NIOSH REL0.015 mgNi/m3 となっております。

 最後に評価値()です。一次評価値は閾値の有無が判断できないということで、なしとしております。理由ですが、発がん性を示す可能性があり、遺伝毒性が判断できない場合で、生涯過剰発がん(1×10-4 レベル)に相当するばく露濃度が設定できないためとしております。

 二次評価値は1 mg/m3 です。理由は日本産業衛生学会が勧告している許容濃度を二次評価値としたということです。以上、よろしくお願いします。

○大前座長 御意見、御質問いかがでしょうか。

○宮川委員 生殖毒性についてですが、ヒトのほうについては記述があって、ただネガティブなデータと当初の調査報告は信頼が置けないということもあって、影響は見られていないということでいいのですが、動物実験のほうの報告なしとなっているのですが、ヒトのほうで参考にされている産業衛生学会の勧告で、参考資料3のちょうど真ん中辺りに、ニッケル及びニッケル化合物の生殖毒性が産業衛生学会が第3群にしていて、その根拠がスミスという方の1993年の動物実験なのです。胎児死亡などの増加ということで、明確に判断できないために、一番レベルの下の第3群ということにしておくという結論で、一応書いてあるのが、産業衛生学会のものについて、片方で引用されていて、片方で引用されていないので、この検討会として、「いや、これは生殖毒性としては取らないのだ」ということであれば、それで結構だと思いますが、報告なしということでは、ちょっと資料と合わないのかなという気がいたしますので、御検討いただければと思います。

○大前座長 提案理由の何行になりますか。

○宮川委員 234行ですが、提案理由そのものではなくて、生殖毒性の提案理由なので、その次にありますね。

○大前座長 席順の直前の1枚ものですね。

○宮川委員 そうです。このページの左下に「動物では、Smithsが」というのがあって、「死亡児を出産した母動物数の増加や、児動物の死亡数が増加したと報告している」とあるので、報告がないと言ってしまうとまずいかなと思ったので。

○大前座長 先生、この実験は金属ニッケルではない、塩化ニッケル。

○宮川委員 ああ、そうか、そうですか。

○大前座長 ですから、いいのではないですか。

○宮川委員 分かりました、すみません。さらに言えば、実験はこれだけれど、ニッケルとして判定を下しているけれども、この会議では金属ニッケルで限定しているので、塩化ニッケルは採用しないと。

○大前座長 そうですね。ありがとうございます。そのほか、いかがでしょうか。

○西川委員 有害性評価書、参考資料2-3323行目に、許容濃度の設定に係る産衛学会の根拠を示すものですが、そこに「最も質の高い動物実験データは米国NTPによる一連の吸入ばく露研究である」と書いてあるのですよね。ところが、例えば124行からの反復投与毒性、それから159行目からの発がん性試験に、それの記載がないような気がするのです。勘違いかもしれませんけれども、この323行目以降に飛びますと、この試験で得られたラットでの慢性炎症・腺維化、リンパ節のリンパ形成、それから嗅上皮の炎症と萎縮、こういう所見について反復投与毒性のどこにも記載がないと思うのですよね。ここがひょっとしたら記載漏れじゃないかと思いますが。

○大前座長 ちょっとお待ちください。確認しましょう。最も下の米国NTPの一連の吸入ばく露実験のここのところは、金属ニッケルの話かどうかというのは、ここだけではちょっと読めないですよね。ここは無機ニッケルのことが書いてあるのですかね。今のNTPの試験ですが、このNTPの試験の中身がちょっとここだと読めないので、あれですけれども。

○津田委員 その次の327から下の部分は、その内容と違うのですか。

○大前座長 327から下は水溶性ニッケルですよね。

○津田委員 そういう意味ですか。

○大前座長 今回は金属の話なので、今の最も質の高いNTPのこれは、金属のばく露実験なのか、あるいは金属ではないニッケルのばく露実験なのか、ちょっとここだけでは読めないので、どこを見ればよいのだ。

○高田委員 産衛学会のニッケルの許容濃度のところの、下の番号で言うと22ページの2)の「最も質の高い動物実験は」という、ここのところを引用しているのですかね。そうすると、文献番号ですと、2)から4)になりますので、その内容を書いてあるのは、前の17ページから18ページのところを見ますと、硫酸ニッケル、二硫化三ニッケルとか書いてありますけれども、これでしょうか。

○大前座長 その次に文献が載っていて、2)3)4)がありまして、2)がニッケルオキサイドで、3)がニッケルサブスルフィドで、4)がニッケルサルファイドですから、この質のよい実験というのは、やはり金属ニッケルの話ではないですね。無機のニッケルではニッケルカルボニルとありますけれども、金属ニッケルではないですね。

○西川委員 この有害性評価書の一番最初に、ニッケル(金属及び合金)とあって、いろいろな試験についての紹介があるのですが。

○大前座長 ちょっとこんがらがっているのは、今の日本産業衛生学会の提案が305行目からずっと載っていますけれども、ニッケル許容濃度1 mg/m3 、これは1967年、これはメタルニッケルで、要するに変わっていない。それから、その下のニッケル化合物(製錬粉じん)の評価値があって、その下に製錬粉じん以外の吸入性粒子、水溶性と水溶性以外のニッケル化合物というやり方になっているのですね。

 したがって、今、先生が御指摘された323行目のこのときのものは、無機のニッケル化合物だけれども、それが水溶性かどうか、オキサイドは多分難溶性で、サブサルファイドが難溶性で、それから文献4)のもう1つ、何でしたか、あれは水溶性なのかもしれませんけれどもそこの実験なので、いずれにしても金属ニッケルのことはここには書いていないということだと思います。

○西川委員 なるほど、それでいいわけですね。

○大前座長 はい。

○西川委員 分かりました。

○大前座長 一番心配なのは、産業衛生学会の許容濃度が、1mg/m3 1967年で、それからACGIH2001年で1.5 mg/m3 なので、金属ニッケルの話ですが、どちらが正しいのか。ちょっと1967年のものを持ってきていいのかなという。提案理由書も一応書いてありますけれども、当時の提案理由書なので、それほど今みたいに精密にやっていないということはあるので、15ページになります。机上配布資料315ページがニッケルということで、これだけの提案理由なのです。たかだか30行ぐらいですかね。今の提案理由とちょっとレベルが違うので、そういう意味では内容の正確性といいますか、精密性から言ったら、本来はACGIH1.5というものが数字としてはベターですよね、一応ここの委員会はおおむね低いほうの数字を取るというような方針でやってきていますけれども、1967年と2001年と比べたら、ちょっと確かに67年の数字は小さいのですが、11.5なので大した差がないといえば大した差がないのですけれども、これはどうしましょう。67年でいきますか。

○吉成委員 67年のものは15ページの3段落目ぐらいの後に、可溶性のニッケル鉛も含めた値で、可溶性のニッケル鉛は今のデータを見てみると、結構低めに出ているものがあるので、それが入って1と低い可能性もあると思うのですけれども。

○大前座長 そうですね、この点あるいは金属ニッケルというように限定していないですものね。今、先生がおっしゃった67年の15ページのものは。ですから、明確に金属ニッケルと書いているACGIH1.5のほうがいいかもしれませんね。数字としては少し大きくなりますけれども。

○吉成委員 最後から2段落目に、「妥当性があるとは必ずしも言えない」と、自らそのような文章を載せていますので。

○大前座長 ええ、67年の時点でACGIHの文献を見ても妥当性があるとは言えないと、このときはですから、ある意味、エイヤッの時代、情報が余りにも少ないので、エイヤッの時代でもあったという、そういうバッググラウンドはあるので、どうしましょう、私は1.5のほうがベターではないのかと思うのですが。

○宮川委員 一番明確な理由は、この古いものは金属ニッケルについてではないということなので、採用しなかったということで、ACGIHを採るのがいいという気がします。

○大前座長 いかがでしょう。数字としては5割増になる、今までは大体、厳しいほうを採ってきましたが、今回逆に甘いようになってしまうので、そこの部分はあれですが、よろしいですか。

 それでは提案理由の不完全性といいますか、必ずしも金属ニッケルと67年の提案は言っていないと。ACGIH2007年と比較的新しいデータで、金属ニッケルということで、明確に区分してあるということで、ACGIHのほうが信頼性は高いだろうという理由で、二次評価値を1.5とするということで、よろしいですかね。ありがとうございました。では、そのようにさせていただきます。

 それから、一次評価値はこの表現でいいですよね。これは2Bですから発がんの可能性がありで、遺伝毒性に関しては、1個ネガティブな報告があるけれども、1個ネガティブな方向は、ちょっと不十分であるという理由で、1×10-4 レベルの設定ができない。ありがとうございます。では、ニッケルに関しては今日は一次評価値がこのまま、それから二次評価値はACGIH1.5ということでよろしくお願いします。

○大前座長 それでは、4番目の物質、ピリジンの説明をよろしくお願いします。

○平川化学物質評価室長補佐 それでは、資料4に沿いましてピリジンの説明をさせていただきます。物質名はピリジン、別名はアザベンゼンです。CAS番号110-86-1です。化学式は、C5H5N、構造式は資料のとおりです。物理化学的性状は、外観は特徴的な臭気のある無色の液体、沸点は115 ℃、融点は-42 ℃、蒸気圧は20 ℃で2.0 kPa。比重は、水を1とすると0.98、蒸気密度は、空気を1とすると2.73です。

 次に、生産量等用途です。2012年の集計で、製造・輸入量は4,000トンとなっています。用途です。医薬品(スルホンアミド剤、抗ヒスタミン剤)無水金属塩の溶剤及び反応媒介剤、医薬品原料、界面活性剤、加硫促進剤、鎮静剤、アルコールの変性となっています。

 次に、重視すべき有害性、発がん性です。これは収集当時の情報ということで、発がん性は判断できないとなっております。根拠ですが、IARCは英国での男性労働者のコホート調査をデータが不十分と指摘しており、雌雄のB6C3F1マウス、雄のF344ラット、雄のWistarラットでの発がん試験の所見についてもlimited evidenceと判断している。また、ACGIHでもA3に分類しているということです。

 各評価区分です。IARC2000年の区分では3ACGIH2004年でA3、産衛学会は情報なし。DFG MAK2009年は3BEU CLPは情報なし。NTPは情報なしということです。

 次に、重視すべき有害性、発がん性以外で、生殖毒性は判断できないとしております。調査した範囲内で生殖毒性に関する十分な報告が得られていないということです。

 次に、神経毒性です。ありという評価です。それに基づき、LOAEL6 ppmとしております。根拠ですが、ピリジンの蒸気濃度は612 ppm(19.438.9 mg/m3)の範囲にある化学工場の7人の労働者で、頭痛、一過性めまい、神経過敏、不眠、時々の悪心・嘔吐等の消化管トラブルが見られ、一例では、集中力の欠如、記憶力の低下、性的能力の減退が見られたということです。

 次に、遺伝毒性は、なしの評価です。根拠は、ヒトにおける遺伝毒性に関する情報が得られていない。in vitro試験系では微生物の復帰及び前進突然変異試験、ほ乳類細胞の姉妹染色分体交換試験、染色体異常試験及び遺伝子突然変異試験でほとんど陰性を示し、酵母の染色体異常試験は陽性であった。in vivo試験系では、マウスの小核試験、染色体異常試験及び不定期DNA合成試験で陰性、ショウジョウバエの伴性劣性致死試験では陰性あるいは陽性だったということで、「なし」ということです。

 閾値の有無は閾値ありです。根拠は、遺伝毒性なしということが根拠です。

次に、(参考)のところに動物投与に関するデータから、LOAEL= 15 mg/キログラム体重/日と示しております。根拠は、B6C3F1マウス(7週齢、1群雌雄各50)にピリジンを、雄に02505001,000 ppm104週間、雌に0125250500 ppm105週間経口(飲水)投与した実験で、雄の2501,000 ppmで肝細胞腺腫、雌雄の250 ppm以上で、肝細胞がん及び肝芽腫の発生率が有意に増加したというデータがあります。

 このデータに関する労働補正を労働日数補正で5分の7、不確実係数を1,000ということで、この根拠は、LOAELからNOAEL変換が10、種差は10、がんの重大性は10ということで、不確実係数1,000ということで、それらをもとにした評価レベルは、0.13 mg/m3(0.04 ppm)ということで、計算式は次のとおりです。

 反復投与毒性に関する動物試験データの欄に神経毒性のデータとして、LOAEL= 6 ppmとしておりますが、これはヒトに関するデータです。

 次に、許容濃度等です。ACGIH TLV-TWA1 ppm、設定は2004年です。根拠ですが、ラットの短期間吸入ばく露試験で最低濃度の5 ppmで嗅上皮の障害が見られた。ラット及びマウスでの反復経口投与の影響が検討された。2年間の(飲水)投与試験の最も低いNOELは、F344ラットで7 mg/キログラム、Wistarラットで8 mg/キログラム以下、マウスで15mg/キログラム以下であった。7 mg/キログラム/日の経口用量は、仕事中の70 キログラムの男性が10 m3 の空気を呼吸するとして、49 mg/m3(15 ppm)の吸入用量に相当する。これを5 ppmでのラットの鼻組織の病変が生じたデータと統合すると、TWAとして1 ppmを守れば、障害を最小化することが示唆される。経皮LD50 はかなり高いが、Skinの表記の基になるデータは十分でないということです。

 日本産業衛生学会では設定なしとしています。DFG MAKも設定なし、2008年にHとの勧告があります。

NIOSH TWAは、5 ppmUKLong-term exposure limit5 ppmShort-term exposure limit10 ppmとされております。

 それらをもとにした評価値()です。一次評価値が0.04 ppmで、これは閾値があるということで、それに基づいて動物実験データから数値を出しているところです。参考のところに数値の根拠を示しています。

 次に、二次評価値ですが、1 ppmということで、米国産業衛生専門家会議が発生毒性への影響を予防するために、1 ppmを勧告しているため、二次評価値1 ppmという数字をお示ししています。よろしくお願いいたします。

○大前座長 いかがでしょうか。左下の反復毒性投与に関する動物試験データは、これのNOAEL6というのは、ヒトのデータですよね。

○平川化学物質評価室長補佐 はい。

○大前座長 これは動物試験データで書かれてしまうと、ヒトも動物ですけれども。それから、ACGIHのこの根拠が書いてありますが、嗅上皮の障害、鼻組織の障害ですが、それで、二次評価値の1 ppmのところに、発生毒性の影響というのは、これはどこにあるのでしたか。発生毒性の影響を予防するために、1 ppmというのはどこからきましたか。生殖毒性は十分な報告がないということなので、これは発生毒性ではないですかね。鼻腔への、鼻組織への影響というそれの間違いですかね。このところは確認してください。少なくとも、ACGIHの根拠のところと、最後の理由のところが整合していないので、生殖毒性に関しては、十分な報告がないというところともちょっと矛盾するので、これは確認してください。先生方、ほかはいかがでしょうか。

○津田委員 ここに書いてあるIARCのグループ3では、ちょっと古いです。今、私の記憶と違うので調べましたら、2Bです。

○大前座長 これは何年ですか。

○津田委員 実は今年。

○大前座長 今年。

○津田委員 ボリューム119だから、まだ出ていないのです。

○大前座長 出ていない。

○津田委員 多分、『The Lancet Oncology』で要約が出ているかもしれません。

○西川委員 2Bで間違いないと思います。

○津田委員 間違いない。

○西川委員 はい。

○津田委員 ちょっと違っていると思ったので調べました。

○大前座長 そうすると、2Bの根拠というか、これは全く動物実験ですか。

○西川委員 動物実験です。

○大前座長 その動物実験の情報は、まだIARCの公表はされていないということですね。

○津田委員 Lancet Oncologyを見れば、かなり具体的に書いてあるはず。

○西川委員 出ています。『The Lancet Oncology』の。

○大前座長 いつも出ますよね、速報のようなものが。

○西川委員 レポートのところにもう出ています、見ましたので。

○大前座長 分類は出ているけれども、その根拠となった実験内容、要するに、ここに書けるような実験内容という意味ですけれども。

○西川委員 サマリーですけれども、それなりの情報は入っていたかと思います。

○大前座長 はい。

○津田委員 情報は入っていると思います。

○大前座長 どこのがんとか、あるいは種とか、それも『The Lancet Oncology

○西川委員 2ページです。

○大前座長 2ページでしたか。

○西川委員 ええ。確かに細かい情報はそれほど入っていなかったと思いますが、

○大前座長 どうしましょうか。今年の最新情報というか、その情報なので、この評価書を作った時点では当然まだ出ていない情報なので、評価書の結果はこのまとめなのですけれども、このA4のものを2Bという形で2Bのものに書き直すと、評価書をもともと変えなければいけない。

○津田委員 すでに公表されているわけですから。

○大前座長 では、そのようなプロセスでこの部分は評価書は3年後に新たに変更するにしても、2Bにした場合に、全体としての一次評価値、二次評価値に影響があるかどうか。二次評価値、ACGIHも一応、これはA32Bとほとんど同じですよね。ということは、ACGIHは一次は余り変わらないだろうと。それから、一次評価値、この0.04というのはどこからきているかというと、先ほどの閾値がある場合で、リミテッドエビデンスだとした動物実験をもってきて、そこから計算して0.04というのが評価レベルで出ていると。この数字は1 ppm4分の1でも小さいので、というか、これは発がんだからいいのか。そういう意味ではなくて、発がんだから0.04を一次評価値としてもってきていると。そうすると、2Bとした新たな情報をもってくると、0.04は変わる可能性があるわけですね。その濃度の振り分け方によって当然変わってくると思うので、そうしたら、実際にこれは初期評価の数字としてこれからばく露評価に入っていくわけですが、ばく露評価で実際に使うのは二次評価値を使います。したがって、一次評価値は、多少変わっても、ばく露評価の質に関しては、特に影響はないということなので、二次評価値、これはこのまま採用して、一次評価値についてはペンディングにして、新しい情報を得て、新たにここの一次評価値を計算していくと。

 それから、発がん性のところも判断できないではなくて、2Bという形の表現で、それで、動物実験の理由も新たに書き直すという形でよろしいでしょうか。では、今日の段階では、そういう形で二次評価値はOKと、それから一次評価値に関しては、現段階でペンディング、それから、発がん性の判断のところもペンディングにしておいて、新たな情報を得て、それでここを少し書き直していただいて、それを委員の先生方に回して最終的な了解を得るという形でよろしいでしょうか。その発がん以外のことで何かありますでしょうか。では、ピリジンに関しては一部ペンディングですが、二次評価値はこのまま採用するということで、ばく露評価のほうには進んでいくということでよろしいですね。ありがとうございます。

 それでは、最後の物質のメタクリル酸の説明をお願いします。

○平川化学物質評価室長補佐 資料1-5、メタクリル酸の説明に入ります。物質名、名称はメタクリル酸、別名は2-メチルプロペン酸です。CAS番号は79-41-4です。化学式はC4H6O2 、構造式は、資料のとおりです。

 次に、物理化学的性状です。外観、特徴的な臭気のある無色の液体、又は無色の結晶ということです。比重が水を1とした場合に1.02、沸点が159163 ℃、融点、先ほど、液体又は無色の結晶とあったように、融点は16 ℃という微妙な温度です。蒸気圧は130 Pa(25)です。溶解性は、水における溶解性が8.9/100 mL(25)となっています。

 次に、生産量等用途です。2013年の集計で、製造・輸入量は158,304トンです。用途は、熱硬化性塗料、接着剤、ラテックス改質剤、共重合によるプラスチック改質、イオン交換樹脂、紙・織物加工材、皮革処理剤となっております。

 次に、重視すべき有害性です。まず、発がん性です。ヒトに対する発がん性は判断できないとしています。根拠は、ヒト、動物ともに試験・調査事例の報告がないということで、各評価区分とも情報なしとなっております。

 次に、発がん性以外の有害性です。生殖毒性は判断できない。根拠は、調査した範囲内ではヒトでの調査報告例なし。動物実験による検討例も4件あるが、判断材料に乏しいとなっています。

 なお、参考までに、その動物実験のうちの1つからNOAELを出していまして、300 ppmとなっております。根拠ですが、SDラット雌、22又は23匹を1群とし、メタクリル酸、050100200300 ppmを妊娠6日から20日まで吸入(16時間)させた結果、300 ppm群で、体重増加に有意な抑制を認めたが、着床や生存胎仔の数、死亡胚や吸収胚の発生率、胎仔の体重に影響はなく、奇形や変異の発生率にも有意な増加はなかった。不確実係数はUF = 10ということで、根拠は種差としております。評価レベルは22.5 ppmとなっており、計算式は資料のとおりで、労働時間補正を入れたものとなっております。

 次に、神経毒性ですが、判断できないとしております。根拠は、ヒトでの報告事例が1件あるが「他の化学物質との複合ばく露の可能性が除外できない」とされております。このほかは、動物実験の報告もないとされています。

 次に遺伝毒性です。判断できないとしております。根拠は、in vivo試験系において最近の遺伝子突然変異試験で陰性、DNA付加体形成試験で陽性と報告されているが、in vivo試験データは、調査した範囲で報告がなく、判断できないという根拠です。

 次に、閾値の有無です。遺伝毒性が判断できないという根拠から判断できないということになっています。

 なお、反復投与毒性に関する動物試験経過データでは、NOAEL20 ppmとしています。根拠ですが、F344/Nラット(雌雄各10/)10匹、SDラット(雌雄各10/)にメタクリル酸、020100300 ppm16時間、週5日、90日間吸入ばく露した試験において、最小用量とした20 ppm以上のばく露群で雌雄ともに鼻腔上皮の変性が見られるとなっております。

 次に、不確実係数は、LOAELからNOAELの変換を根拠とする10です。種差についてのコメントは、マウスなどの齧歯類は、鼻粘膜刺激に対してヒトよりも感受性が高く、不確実係数は1を採用とすることが妥当と考えるということです。評価レベルは、1.5 ppmとなっており、計算式は、次のとおりです。

 次は、許容濃度に移ります。ACGIH TWA2005年に20 ppmと勧告されています。根拠ですが、限定的な動物及びヒトのデータを基に、眼及び皮膚に刺激性変化が生じる可能性を最小限にすることとしたもの。メタクリル酸の刺激性は、類似物質であるアクリル酸のそれよりも小さいと考えられることから設定に際しては、アクリル酸の閾限度値(TLV-TWA 2 ppm)との類似性も考慮されている。SkinSEN表記あるいはTLV-STELを提言する十分なデータはないとされております。

 次に、日本産業衛生学会ですが、2012年に2 ppmの勧告がされています。根拠ですが、マウス、ラットの慢性吸入ばく露試験から得られたLOAEL20 ppmから、NOAEL変換への不確実係数10、種差は齧歯類はヒトより感受性が高いことから不確実係数を1を採用することが妥当と考えられ、以上をもとに計算すると、20 ppm10分の1で、2 ppmという数字になります。

DFG MAKは、5 ppm、妊娠グループC2005年に勧告されています。NIOSHRELは、TWA200 ppm2014年の勧告ということです。

 以上をもとにしての評価値案ということですが、一次評価値は、リスクが十分低いか否かの指標、行政指導の参考として活用ということで、一次評価値はなしとしております。

 後から御意見を頂ければと思いますが、理由は、発がん性を示す可能性があり、遺伝毒性が判断できない場合で、生涯過剰発がん(1×10-4 レベル)に相当するばく露濃度に設定できないためとなっております。

 次に、二次評価値は2 ppmで、これは日本産業衛生学会が勧告している許容濃度を二次評価値としたというものです。以上です。よろしくお願いいたします。

○大前座長 一次評価値の先ほどの理由の表現のところは、先ほど言っていましたので、それに変えていただくことでお願いします。先生方、御意見、御質問はいかがでしょうか。

○江馬委員 生殖毒性の参考のところが、NOAELが母体毒性のNOAELです。それから、一番下の枠の反復投与毒性に関する動物試験データがNOAELになっているのですが、LOAELだと思います。20 ppm

○大前座長 そうですね、LOAELです。これは大きな間違いです。ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。これはIARC等と発がんに関しては情報がないということなので、理由のところの表現は先ほど情報がないという、2つぐらい前の物質と同じようにしていただくということです。

○西川委員 その情報がない場合の書き方ですが、例えば、発がん性を否定する情報がなく、といったことでは駄目ですか。

○大前座長 理由のところにですか。

○西川委員 ええ。

○大前座長 どうでしょう。

○西川委員 同じことなので、どちらでもいいのですが。

○大前座長 評価小検討会のほうでは発がん性は判断できない。もちろん情報がない場合、そういうような形で否定するという形容詞は付けたことはないのですが、いかがでしょうか。

○津田委員 それは難しいと思います。発がん性を否定するというのはほとんど不可能なので。

○大前座長 そうか、逆にね。

○津田委員 IARCでも1物質だけです、グループ4にしていたのは。

○大前座長 そうですね。

○津田委員 発がん性があるだろうと思って評価したけれども、調べた範囲ではなかったという。ナイロンの原料の1つでカプロラクタムという物質です。Group 4に一つだけ入っています。Group 4 probably not carcinogenic ですから否定は難しいと思います。

○大前座長 はい、分かりました。西川先生、そういうことでいいですか。

○西川委員 はい。

○大前座長 ありがとうございます。ほかに御意見、御質問はありますでしょうか。

○西川委員 細かいことですが、許容濃度等、日本産業衛生学会のところで、根拠、マウス、ラットの慢性吸入ばく露試験と書いてありますが、これは実は90日試験なので、正確には「亜慢性」と書いたほうがよろしいかと思います。

○大前座長 これは提案理由は慢性と書いてあるのでしたか。少しお待ちください。提案理由は慢性と書いてありますね。これは単純にこの引用なので、この部分は取りあえず引用だからということで「慢性」にしておいてください。本当は「亜慢性」だという先生の御指摘はそのとおりだと思うので、本当は提案理由を直さなければいけないということになりますけれども。これに関しては、あくまでも産衛のあの部分を引用しているという意味合いなので変更しない。ほかはよろしいでしょうか。

 それでは、メタクリル酸に関しては、一次評価値はなし、それから、二次評価値は、2 ppmということでよろしいでしょうか。どうもありがとうございます。

 では、予定の5物質が終わりました。最後は事務局から今後の予定について、「その他」をお願いします。

○平川化学物質評価室長補佐 それでは、本日御議論いただいた、資料1-1から資料1-5で、指摘があった点については、また改めまして先生方にメール等をお送りさせていただきます。そちらの内容の御確認をお願いできればと思います。また、追加で情報をいただけるという話もありますので、そういった情報を基にしてまた直していきたいと思います。

 それでは、今後の予定です。本体資料の1ページを御覧ください。議事次第等の次のページですが、第2回、既に開催案内のほうはお送りさせていただいておりますけれども、727()午後3時からの開催です。場所は、厚生労働省が入っている中央合同庁舎第5号館、専用第21会議室(17)を予定しております。

 議題ですが、がん原性試験結果の評価についてです。よろしくお願いいたします。事務局からは以上でございます。

○大前座長 今度は727日です。よろしくお願いいたします。ほかに事務局から何かありますか。

(発言なし)

○大前座長 それでは、少し時間が早いですが、本日の小検討会を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室(内線5511)

ホーム > 政策について > 審議会・研究会等 > 労働基準局が実施する検討会等 > 平成29年度化学物質のリスク評価検討会(有害性評価小検討会) > 平成29年度 化学物質のリスク評価検討会(第1回有害性評価小検討会)議事録 (2017年7月13日)

ページの先頭へ戻る