ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(資金運用部会)> 第3回社会保障審議会資金運用部会(2017年6月15日)




2017年6月15日 第3回社会保障審議会資金運用部会

年金局

○日時

平成29年6月15日(木)8:58~11:01


○場所

全国都市会館3階 第2会議室


○出席者

神野部会長、植田部会長代理、井上委員、河村委員、神作委員、徳島委員、永井委員、原委員、平川委員、安浪委員、四塚委員

○議題

(1)GPIF改革の施行(10月1日)に伴う政省令事項の検討
(2)その他

○議事

○神野部会長 それでは、定刻より少し前なのですが、委員の皆様方おそろいでございますので、ただいまから第3回「社会保障審議会資金運用部会」を開催したいと存じます。

 委員の皆様方には、大変お忙しいところを、かつ朝早くから御参集いただきまして、本当にありがとうございます。心より御礼を申し上げる次第でございます。

 委員の皆様方の出欠状況をまずお話しさせていただきますと、本日は、臼杵委員、大野委員、杤原委員が御欠席との御連絡を頂戴いたしております。

 また、河村委員は10時ごろ、神作委員は1045分ごろ御都合により御退席される予定と伺っております。

 それでは、議事に入ります前に、事務局のほうから資料の確認をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。

○宮崎参事官 それでは、私のほうから資料の確認をさせていただきたいと思います。お配りしております資料は、議事次第、委員名簿に加えまして、資料1として「GPIF改革の施行に伴い、政省令等において定めることが必要となる事項」、参考資料としてA4横の資料をおつけしております。また、A4縦で参考資料として「年金積立金管理運用独立行政法人の役員の任命及び承認に関する基準(案)」をお配りしているところでございます。

 あわせて、委員の皆様のお手元には資料1の抜粋として、本日御議論いただきたい事項と役職員に対する再就職規制に関する比較の表。これは資料1の中に含まれているもので2ページ、5ページを単に抜粋したものでございます。議論の過程で御確認いただく意味で、御参考までに追加してお配りしております。お配りしております資料は以上でございます。資料の不備等ございましたら御指摘をいただければと存じます。どうぞよろしくお願いします。

○神野部会長 ありがとうございました。それでは、資料の過不足はございませんでしょうか。ありがとうございます。

 それでは、議事に入らせていただきますが、本日の議事次第をごらんいただきますと、その他を除いて1つでございまして、「GPIF改革の施行に伴う政省令事項の検討」という議事を準備させていただいております。

 この議事に入ります前に、前回GPIF役員の任命基準について御議論を頂戴いたしました。これにつきましては、御議論を頂戴した上で、その御議論を反映したものを私の責任において事務局と相談し、また委員の皆様方にも内々御相談申し上げながら、私の責任においてまとめるということで御了承いただいております。これはそれを条件に既にお認めいただいたものでございますが、結果につきましては、委員の皆様方に御報告を申し上げるというふうに前回お話をしたところでございますので、前回の議論を反映させて事務局のほう、私の責任においてまとめたGPIF役員の任命基準案について、事務局のほうから御報告いただければと思いますので、よろしくお願いします。

○宮崎参事官 それでは、お手元にお配りしております参考資料「年金積立金管理運用独立行政法人の役員の任命及び承認に関する基準(案)」をごらんいただければと思います。こちらにつきましては、前回までの御議論におきまして盛り込むべき事項ということで御議論いただいたものを基準の形で整理したものでございまして、今し方部会長のほうから御紹介ございましたように、部会長と相談して最終的にこのような形でまとめたものでございます。

 前回盛り込むべき事項として御議論いただいたものとの変更点が2点ございます。1点は各項目の規定の順序でございます。「1.目的」の後に「委員の構成」がございまして、その後に、前回までですと「各役員の基準」を配置しておりました。けれども、先に「欠格事由」を配置し、その上で「各役員の基準」ということで、順番を3と4を入れ替えてございます。

 また、この欠格事由に関しましては、前回の御議論の中で、例えば会社法における取締役欠格事由など、今回ソフトローとして基準を定めるに当たりまして、公共性の高い事業を行う法人の欠格事由としては、もう少しそういったものも参考に取り込んではどうかという御意見がございました。これらの御意見を踏まえまして欠格事由、2ページのところにございますけれども、例えば禁錮以上の刑に処せられた者、破産者、反社会的勢力との関係が認められる者など、GPIF同様に公共性の高い機関であります日本銀行あるいはその他の公的な性格を有する機関の欠格事由の例も参考として、通常考えられるものを追加してございます。

 なお、これまでの議論で、例えば資産運用の実務経験についてとか、あるいは欠格事由として過去に利害関係を有していた者の取り扱いなども御議論があったところでございます。さらには、任期途中で退任する場合などに備えまして、任期をずらして任命するということが当初ありますので、そのような任命に当たっては、各専門分野からのバランスを考えるべきではないかという御意見などもございました。

 こうした御意見につきましては、今後の実際の任命に当たり、運用において御意見を踏まえて対処していきたいと思っており、例えば過去の利害関係などに関しましては、これまでも運用委員の発表に当たっては、過去の経歴等を発表しているのと同じように、そうしたところの透明性を確保した上で運用していきたいと考えているところでございます。

 基準に関しての説明は以上でございます。

○神野部会長 どうもありがとうございました。

 事務局から前回の議論を反映させた基準について御説明をいただいたところでございますが、基準という形では盛り込んでおりませんが、この部会で委員の皆様方から貴重な御意見を出していただいておりますので、現実に、つまり、具体的な任命を進めるに当たってはその点について御考慮いただければと存じます。

 これは既に私の責任で直すということを条件にお認めいただいていることでもございますので、基準について特段の御異論がなければ、厚生労働省においてこの案に基づいて決定手続を進めていただきたいと考えておりますが、いかがでございましょうか。よろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○神野部会長 ありがとうございます。

 それでは、厚生労働省におかれては必要な手続に着手し、進めていただければと思います。

 それでは、議事のほうに入らせていただきますが、冒頭申し上げましたように、本日の議事は、「GPIF改革の施行に伴う政省令事項の検討」という議事を準備させていただいております。

 本日は、事務局から先ほども御説明がありましたが、GPIF施行に伴う政省令等において定めることが必要となる事項について、資料を準備していただいております。お手元の資料1の「御議論いただきたい事項」という抜粋のものをご覧いただきますと、議論をいただきたい内容が5項目にまとめられております。1つが再就職に関する規制関係。2つ目が経営委員会関係。3番目が情報開示。4番目がその他。5番目に運用関係。この5つにまとめていただいているわけでございますけれども、全体の分量が多いものですので、2つに分けて御議論を頂戴できればと思っております。

 つまり、最初の再就職に関する規制関係とそれ以外の2項目から5項目まで、2つに分けた上で御議論を頂戴したいと思っております。

 そこで、事務局のほうからまず資料1の最初の論点、議論をすべき内容とされているところの再就職規制関係について御説明いただければと思いますので、よろしくお願いします。

○宮崎参事官 ありがとうございます。

 それでは、今、部会長から御紹介ございましたように、大部に及びますので、まずは再就職に関する規制関係について、御説明させていただきます。

 資料1をおめくりいただきますと、本日の御議論いただく対象がございます。(1)から(4)がガバナンス改革に関する細目を決める部分でございます。あわせて、運用関係としてデリバティブの関係がございます。そのうち再就職に関する規制の関係をこれから御説明いたします。

 2ページをごらんいただければと存じます。本日御議論いただきたい事項として、大きく言うと5項目ある中で、(1)の再就職に関する規制といたしましては、項目マル1からマル6までのような項目を御議論いただきたいということでございます。ただ、かなり細かな規定もございます。大きな方向としては、今回GPIFの役職員に対する再就職規制は、国家公務員並みの再就職規制措置を講ずるということで、GPIF法の改正を行ったところでございます。こうしたことから、その法律に基づく政省令事項につきましては、国家公務員法の規定などを参考にしてはどうかということで、お諮りしたいということでございます。

 また、GPIFの職員構成等の特殊性を鑑みて、例えばマル3の求職活動の規制の適用除外の範囲に関し、運用専門職員の取り扱いをどうするのかということについてもあわせて御議論いただきたいということで、資料を用意させていただいています。

 それでは、具体的に再就職に関する規制について御説明させていただきます。4ページ、再就職規制に関するこれまでの経緯をまとめたものでございます。年金部会における議論におきましては、昨年2月8日の議論の整理の中にもございますように、利益相反について防止していくという観点から、GPIFにつきましては、独法制度を超えて公務員並みの措置が制度上担保される必要があるではないかという御意見がございました。

 こうした御意見を踏まえまして、2月16日に厚生労働省のほうから与党にお示ししたGPIF改革の方針の中では、公務員並みの再就職規制措置等を講ずるということを盛り込んだところでございまして、「2.改正法における規定」の中にございますように、昨年12月に成立いたしました改革法の中では、GPIFの役職員につきまして、再就職規制を独法通則法に定める規制に上乗せする形で、国家公務員を参考とした規制を定めているところでございます。

 具体的には次のページをごらんいただければと思います。再就職規制に関しましては、左側に項目が並んでおりますけれども、大きく申し上げますと3つございます。1つは、1段目の他の役職員についての依頼等の規制ということで、あっせんの原則禁止ということでございます。

 2つ目が在職中の求職規制ということで、職員が在職のままで次の再就職先に対して自分が就職することを要求したり、依頼するということを禁止しているという規定がございます。

 大きな3点目といたしましては、再就職した者が古巣である法人に対して法令等違反行為を依頼してきたりということなどを規制しているということです。大きく言うと、再就職規制に関しては、あっせん、在職中の求職規制、そして再就職者による働きかけに関する規定という3つの項目がございます。それに加えて、状況を把握するということで、役職員が営利企業等への再就職を約束した場合、理事長への届け出というものが4点目としてあるということでございます。

 各項目に沿ってどのような規定を改正GPIF法で入れたかということを御説明させていただきます。まず、他の役職員についての依頼等の規制、あっせんの禁止でございます。独立行政法人の規制におきましては、左から2番目の欄、役職員が、密接に関係する法人等に対して、他の役職員等を再就職させることを目的に情報提供等をすることを禁止しております。これは、「密接関係法人」とございますけれども、例えば法人とかなり密接な関係がある関連会社、あるいは契約上2,000万円以上の契約をしていて、かつ契約総額が売上総額の25%以上など、かなり細かに規定がございまして、単に契約を結んでいるというだけでなくて、密接な関係を有している営利企業等に対しての禁止を行っているところでございます。これに対して、国家公務員法では、営利企業等に対する情報提供等を禁止しているということでございます。

 改正GPIF法による規制におきましては、独法通則法に定める、一番左側の規制に加えまして、金融事業者に対する情報提供等の行為を禁止するとしております。従いまして、例えば密接関係法人等の定義の中に入らないような金融事業者であっても、GPIFの役職員がみずからの職員のあっせん等を行うということはできないということでございます。

 2段目、在職中の求職規制です。独立行政法人におきましては、役職員が、法令等の違反行為に関連して、営利企業等に対して再就職の要求または依頼をすることを禁止しております。これは、御本人が何か法令に違反するような行為をしてあげるから、その見返りとして自分を雇ってくれというようなことをする行為を禁止するというものでございます。国家公務員法における規制におきましては、こうした法令等違反行為に限らず、利害関係のある企業等に対して情報提供等を求めることを原則禁止するということで、幅広くなっています。

 改正GPIF法における規制におきましては、独法における規制に加えまして、利害関係のある金融事業者に対するこの種の再就職の要求または依頼等をすること、あるいは情報提供等をすることを原則禁止するという形で法令上の規定がなされているところでございます。

 大きな3点目は、再就職者による法令等違反行為の依頼等の届け出でございます。独法通則法におきましては、法人の業務に係る法令等違反行為の働きかけに限定した上で、法人の役職員に対して何か働きかけを受けた、OBから法令に違反する行為をしてくれという形で働きかけを受けた場合に、それを理事長に届け出るという義務づけがございます。

 一方、国家公務員法における規制におきましては、そうした法令等違反行為に限らず、再就職者による離職前5年間在籍した内部組織の職員に対して、契約を働きかけるような行為も禁止をするということで、より広く禁止行為をかけているところでございます。改正GPIF法における規制におきましては、国家公務員法による規制を参考といたしまして、金融事業者に対して、国家公務員法で規制される行為と同様の行為を禁止するということで、規定がなされております。したがって、金融事業者に再就職した者が古巣であるGPIFに対して契約等を働きかけるような行為というのは、原則として禁止するということで規定を行ったということでございます。

 最後に、理事長への届け出でございます。これは、独立行政法人の場合は、役職員が在職中に営利企業等への再就職を約束した場合には、届け出を義務づけているところでございます。国家公務員法では、在職中に再就職の約束をした場合に加えまして、離職後2年の間に営利企業等に再就職した場合には届け出をするという規制をかけております。同様に、改正GPIF法における規制におきましては、在職中に再就職の約束をした場合に加えて、役員あるいは管理職員等が離職後2年間のうちに、金融事業者に再就職した場合には届け出をするということでございます。

 これは法令に基づいて離職後2年間のうちに金融事業者に再就職することを禁止するわけではございません。情報として把握しておくという趣旨でございます。これが改正GPIF法による規制の概要でございますが、それぞれの項目につきまして、こうした法令改正を行った上で、政省令等で規定をしなければならないという部分があり、これが本日の議論の対象となるわけでございます。

 6ページをお開きいただければと思います。まず政省令で規定させていただく必要があるものの1つ目として、大きな柱の1点目、再就職のあっせん規制の対象となる事業者の範囲として、子会社をどうするかという点がございます。これは対象となる金融事業者そのものではなくて、そこの子会社に何か隠れみのとして再就職するような場合、一定のルールをつくる必要があるのではないかということで、国家公務員法でも同様に子会社の範囲を規定しており、それを参考にするというものでございます。

 6ページ下のほうにございますように、子法人、子会社の範囲といたしましては、国家公務員法に基づく政令を参考といたしまして、株主等の議決権の総数の100分の50を超える議決権を保有していれば、それは規制の対象に含めるということにしてはどうか。また、「子法人を含めて、議決権の総数の100分の50を超える議決権を保有する法人」とありますのは、例えば孫会社と言ったほうがいいのかもしれませんけれども、親会社と子会社とあわせて孫会社の議決権の100分の50以上を持っているような場合も規制の対象に入れるということでございます。逆に言いますと、100分の50未満の議決権を保有していれば対象外ということですが、100分の50を持っていて、支配権を持っているような会社につきましては、子会社や孫会社まで含めて再就職あっせん規制の対象となる事業者に入れるという趣旨でございます。

 7ページは再就職規制の2番目になりますけれども、現職の者が在職中に求職することについての規制に関する規定でございます。改正法におきましては、利害関係のある金融事業者を対象として、在職中の職員が求職活動することについての規制を設けたところでございますが、規制対象とする利害関係がある金融事業者というものをどの範囲にするのかということでございます。これに関しては7ページの下のほうにございますように、これも国家公務員法に基づく政令で同様の規定がございますので、これを参考として、「利害関係がある」とは、GPIFと契約を実際に締結している金融事業者、加えて、契約の申し込みをしている金融事業者、さらに契約の申し込みをしようとしていることが明らかである金融事業者、ここまでを対象としてはどうかということでございます。これによりまして、現在、既に受託をしている運用受託機関のみならず、例えばマネジャー・エントリー制のもと手を挙げている事業者、運用会社、あるいはそのための準備をしていることが明らかな運用会社なども含めまして、再就職規制の対象としてはどうかということでございます。

 続きまして、同じく求職活動の規制に関わりますけれども、8ページをご覧いただければと思います。現役の方で在職中に求職活動をする際の規制の適用除外の対象として、国家公務員法では、例えば他の組織に現役で出向するような場合とか、あるいは職員のうちでも組織の意思決定の権限を実質的に有しない地位についている職員、あるいは業務の公正性の確保に支障が生じないと認められるような場合につきましては、求職活動の規制の適用除外、つまり、求職活動をすることを認めるということで、一定のルールのもとで適用除外を認めているところでございます。

 こうしたものを参考として、GPIF法におきましても同様の適用除外を設けてはどうかということでございます。現役出向の場合は、既に法律でそのような規定を設けているところでございますが、省令におきまして御検討いただきたい点は、「組織の意思決定の権限を実質的に有しない地位」というのはどの範囲なのか、あるいは「業務の公正性の確保に支障が生じないと認められる場合」はどういう場合なのかということをそれぞれ省令で規定する必要がございまして、それを9ページ以下に記載をしているところでございます。

 9ページの上段、組織の意思決定の権限を実質的に有しない地位についている職員は再就職規制、求職活動の規制の対象外とするということですが、対象範囲といたしましては、本省課長補佐級以上の職員以外の職員ということで、課長補佐級以上は規制の対象となる。補佐級未満、係長級以下の方々につきましては、意思決定の権限を実質的に有しないということで、求職活動の規制の対象外にするということでございます。これは国家公務員法に基づく政令を参考にこのような規定を置いてはどうかということでございます。

GPIFにおきましては課長代理に相当する職が本省の課長さんに該当いたしますので、部長や課長、課長代理、あるいは企画役といった役職についている者につきましては、この規制の対象となり、係長クラスあるいは係員のような若手の方々につきましては規制の対象外にするということでございます。

 後段の部分は、業務の公正性の確保に支障が生じないと認められる場合としてはどういう場合があるのかということでございます。これも国家公務員法を参考といたしまして、まずは下記の4つに該当する場合、かつこれは業務の公正性を損ねるおそれがないとして、理事長が個別に承認をした場合は対象外としてはどうかということです。例えば裁量の余地が少ないと認められる場合、職員の有する高度の専門的な知識経験を必要とする再就職先に再就職する場合、親族からの要請に応じて再就職する場合、一般公募に応じる場合、こうした4点につきましては、個別の承認ではありますけれども適用除外ということにしてはどうかということでございます。これも国家公務員法の同様の規定を参考として、国家公務員法に基づくいろいろな運用状況を参考として認めていってはどうかということでございます。

 あわせましてGPIFに関して御議論いただきたい点が10ページでございます。求職活動の規制の適用除外として御議論いただきたい点として、運用専門職員の取り扱いについて少し御議論いただきたいというところでございます。GPIFでは、運用の多様化、高度化に対応するために、専門性が高い人材を運用専門職員として3年以内の有期の雇用契約により採用を進めているところでございます。こうした人材は業務の推進に大変貢献をいただいているわけですけれども、こうした人材について考えますと、2番目の○にございますように、期間の定めのある雇用契約を結んでおりまして、専門性を生かして関連の業界からキャリアアップしてGPIFに在籍いただいているということでございますし、高い専門性がございますので、例えば利益相反を避けるために総務部門に一時的に置くということも、専門性故に来ていただいているのに専門性を生かせないポジションにつける形となり、なかなか実態としては難しいという状況もございます。ですので他の一般の職員とは違いがあるのではないかと考えております。その上で、この求職活動の規制対象をどうするかということですけれども、基本的には他の職員と同様に求職活動の規制対象としつつも、上記のような差異も踏まえて、他の職員と異なる一定の配慮措置が必要ではないかということで、御議論いただきたいということでございます。

 具体的には、ヘッドハンティングの会社のような、こうした運用の専門職員の求職、就職活動に当たって一般に利用されているような、代理人を介した求職活動であって、業務の公正性を損ねるおそれがない場合につきましては、規制の適用除外としてはどうかという提案でございます。

11ページに現在の運用専門職員の状況を簡単に表にまとめております。任期は1年~3年、更新あり。報酬については年俸制ということでございます。現在は4月1日現在で16名の職員がおりますけれども、前職としては証券会社、信託銀行、コンサルティング会社等々からGPIFに公募に応じて移っていただいているというものでございます。

12ページ、具体的な適用除外の対象でございますけれども、運用専門職員の方々につきまして、代理人を介した求職活動であって、業務の公正性を損ねるおそれがない場合に限って認めるということでございます。具体的には、代理人を介した求職活動全部を除外するということではなくて、例えば代理人を介した求職活動であっても、面接など、具体的に当該職員と対象となる利害関係金融事業者が直接に接触するということについては、在職中は認めない、適用除外の対象としないということで、代理人を介したヘッドハンティング会社に登録して、みずからの情報を金融事業者等に提供する、あるいは金融事業者からどういう条件で募集しているという情報をとるというところまでは、代理人を介して行うことを認め、一方で、さらに進み、直接に面接をするというところは、在職中は認めない形にしてはどうかということでございます。

 下の絵の左側に注として書いておりますように、いずれにせよこれは代理人から利害関係金融事業者に自己の情報が提供される場合等には、事前に任命権者、理事長の承認を得るということで、個別の承認に係らしめる、任命権者は公正性の観点から承認して問題がないかを個別に判断するという仕組みのもとでこのような適用除外を入れてはどうかという趣旨でございます。

13ページは金融事業者再就職者による依頼等の規制の関係でございます。先ほどの再就職規制の中では3番目の柱に該当するものでございますが、金融事業者に再就職した者から何らかの行為をするように依頼が生じるような場合につきましては、国民の信頼を損なう可能性があるということで、GPIF法におきましては規制をかけたということを先ほど御紹介したところでございます。その場合に、自分が在籍していた内部組織、古巣のポジションに働きかけをすることを規制するということでございますが、その古巣の範囲というものをどうするのかということでございます。例えば課単位にすれば、隣の課に働きかけに行くのはいいということになるわけですけれども、この場合は、13ページの下にございますように、現在もGPIF省令で、独法通則法に基づく規制の範囲で内部組織の範囲を定めておりまして、これが部単位で規定をしております。規定としては「現に存する理事長の直近下位の内部組織」と書いておりますが、ややわかりにくい規定になっていますが、普通に考えますと、部単位ということでございます。

 国家公務員の場合は局単位でこの種の規制をかけておりますけれども、GPIFの場合におきましては、局という単位がございませんので、理事長の直下というのが部の単位になります。部の単位で規制をかけてはどうかということでございます。したがいまして、同じ部の中で違う課、隣の課であったとしても、そこに何か働きかけを行う行為というものは禁止されるということでございます。

14ページは、同様に金融事業者再就職者による依頼等の関係でございます。14ページの場合は、特に管理監督の地位にあった者が金融事業者に再就職した場合には、離職前、5年よりも前に在籍していた場合でも、こうした働きかけを離職後2年間は依頼してはならないということで、上乗せのさらに上乗せをしている規定がございます。管理監督の地位というものにつきましてどの範囲にするのかということでございますけれども、これも現行のGPIF省令の中で管理監督の地位ということで、課長相当職以上ということで規定をしておりますので、同様に課長相当職以上の方につきまして規制をかけてはどうかということでございます。GPIFにおきまして、離職よりも6年、7年前にある課の課長をされていれば、そこのポストにいたのが5年以上前であったとしても、離職後2年間は古巣の課長をしていた課に対して、職務上の行為をするように要求または依頼してはならないという規制がかかってくるということでございます。それ以外の方につきましては、離職の5年間のポストということで、より狭くなっています。ここは管理職にあった者についての規制を上乗せでかけるという趣旨でございまして、課長相当職以上としてはどうかということでございます。

 さらに細かい規定が続いて恐縮ですが、15ページは金融事業者、再就職した者による依頼等の規制対象の適用除外ということで、これは国家公務員法で営利企業等に再就職した者であっても、例えば電気、ガス、水道の供給契約とか、日本放送協会による放送契約などにつきましての依頼、働きかけというのは、利益相反等を考える規制の対象にする必要はないということで、適用除外としています。これは、GPIF法に当てはめられた場合には余り想定しがたいケースではございますが、国家公務員法を参考にこの種の契約を適用除外ということで規制させていただいてはということでございます。金融事業者に再就職した方が、こうした契約を働きかけに来るということは通常は考えられないのですが、国家公務員法を参考に同様の規定を念のため置いておくということでございます。

16ページ、同様に再就職者の関係でありますが、再就職者から禁止されている依頼等を受けた場合の理事長への届け出ということで、具体的にどういう項目を届け出る必要があるかということも、政令に規定する必要がございます。これにつきましては、国家公務員法に基づく政令を参考として、16ページ下の段にありますように、要求を受けた方の御氏名、生年月日、職位、そして依頼等をしてきたOB、再就職者の氏名、その方がその地位についている金融事業者の名称、その事業者における地位、依頼等がいつ行われたのか、どういう内容だったのかということを書面にて理事長に報告をするという責務をかけたいということでございます。

 再就職規制に関する関係では、17ページ、金融事業者の地位についた場合、再就職した場合の理事長への届け出ということでございます。先ほど御説明いたしましたように、独立行政法人の通則法ではそこまでの届け出は求めていないところでありますけれども、今回改正では、離職後2年間、金融事業者に再就職した場合は、届け出を行わなければならないとしたわけでございます。

 ただ、この場合も、必ずしも届け出を要しない場合というものが国家公務員法では定められておりまして、その例として、日々雇用の方、日々雇い入れられているような場合、あるいはその他政令で定める場合は適用除外という規定が置かれております。これをGPIFに考えますと、日々雇い入れられる者というのはあり得ると思うのですが、国家公務員法が政令で規定しておりますのは、そのほかに任命権者等の要請に応じて特別職国家公務員等となった場合、あるいは営利企業以外の事業の団体の地位について、報酬額が一定額以下の場合などを規定しております。

 具体的に言うと、例えば関係省庁のパンフレット等を見ますと、前者の例としては内閣総理大臣の秘書官として一定期間特別職の国家公務員となるような場合などは除外するとか、あるいはボランティアとして団体の地位について、年間103万円以下の報酬しか得ていないような場合ということでございますので、GPIFの役職員が対象となる金融事業者に就職して、このような地位につく可能性というのはないと考えられますので、今回は同様の規定は置かないということで整理してはどうかということでございます。

 したがいまして、日々雇い入れられる者となった場合につきましては適用対象外になりますけれども、それ以外には現時点では想定される場合がないということで、政令では特に定めないという趣旨でございます。

 以上、大変長くなりましたが、再就職に関する規制、多くは国家公務員法による規制を参考にして規定を行うというもので、一部運用専門職員などの取り扱いについて特に御議論いただきたいということで、資料を用意させていただいた次第でございます。

 以上でございます。

○神野部会長 どうもありがとうございました。

 再就職に関する規制関係について、資料に基づいて御説明いただきました。御質問、御意見を頂戴したいと思いますが、2ページに戻っていただくと、論点が大分多岐にわたっておりますけれども、御議論いただきたい事項として、今、御説明いただいたのは、ここに掲げてある再就職あっせん規制の対象となる子法人の範囲等々、1項目から6項目に分けて御説明を頂戴し、論点についても国家公務員法の規定を参考にしたのだけれども、それについての意見、それから備考のほうにも論点としてというか、運用専門職員の取り扱い等々について挙げられてございますので、それを念頭に置いていただいた上で、御質問、御意見を頂戴したいと思います。いかがでございましょうか。どなたからでも結構でございます。河村委員、どうぞ。

○河村委員 御説明ありがとうございます。

 規制のかけ方も最初からちゃんと襟を正しておかなければいけないということで、国家公務員並み、またはそれ以上の規制ということで、大変重要な問題ではないかと思います。

 私からは、今、御説明の中にもありましたやや特殊な立場におありになる運用専門職員の方の規制のところについて、ちょっと御質問とコメントをさせていただきたいと思うのですけれども、こうした方々をどういう意図でGPIFとして採用しているかということなのですが、10ページのところで御説明も下さったのですけれども、専門性を生かして関連の業界でキャリアアップしていく過程でGPIFに一時的に在籍していると。専門性が高い方で、任期が3年。これは3年が終わって、また再契約ということも可能ということだと思うのですけれども、国のためにこういう優秀な方に是非いらしていただきたい、そういう考え方でよろしいでしょうか。

○宮崎参事官 はい。

○河村委員 であると、そういう方々の立場に立ったときに、12ページでお示しくださったような規制、国家公務員の場合とかいろんなことを考えれば、これぐらいのことはというのはわからなくはないのですが、現実問題としてはちょっとどうかなというところがあります。12ページ、今、御説明いただいたところでは、大きな赤い○がついているのは在職中でも代理人を介した自己の情報提供までは可能だと。ヘッドハンターとかに登録して自分の情報を知らせるということまでは可能だと。だけど、事前に理事長に届けて承認をいただいておくという理解でよろしいでしょうか。

○宮崎参事官 はい。

○河村委員 現実の問題で考えると、ヘッドハンターというのはいろいろあって、こちらから誰か探して登録するというものではないのかなと。ここの立場で運用専門職員としていらしてくださっている方は、ある程度専門性が高くて、GPIFでもそれなりのお立場におつきになるような方ですので、本当に指名でヘッドハンターに金融機関から依頼が入るような、そういう方になるのではないかなと思います。そうすると、キャリアアップのための一環として3年間GPIFにいたけれども、次を考えるというときに、どこかのヘッドハンターに自分から登録して、そこが依頼する会社の情報を持っているかというのはわからないのですね。

 例えがいいかわからないのですが、土地とか住宅を買うときに不動産情報のネットワークがありますね。例えばここの土地が売りに出ていて、その土地はどこどこの不動産業者と専任媒介契約になっているか、そうでないかというのがあって、要するに、どこの土地が売りに出ているかというのがネットワークに登録されていれば、誰でも見ることができる。だけど、その売買を仲介するのは、専任媒介契約を結んでいなければ、どこの不動産屋さんでも仲介できるのではなかったでしたか。正確かどうかわからないのですけれども。これはそういうマーケットではないのではないですか。

 金融機関、いろいろなところがあると思いますが、それなりの立場の方を募集しているといったときに、共通のオープンなマーケットがあって、どこどこがどういうポジションを募集していますということがみんながわかっているという状況ではないと。通常の場合、あの人、いいなという感じで思っているところがあるとすると、どこか特定のヘッドハンターに頼むのだと思うのです。媒介で依頼してもらうということになるのが普通なのではないかなと思います。

 では、逆にGPIFに3年間有期契約でお勤めになられる方のお立場からすると、自分が一番いいところに行きたいなと思ったときに、ヘッドハンターにこちらから登録というのがよくあることなのか、それは余りないのではないかなという気もしますけれども、ちょっとわからないですが、でも、できるとして、どのヘッドハンターがどの再就職先の話を持っているかわからないですね。普通の流れとしては逆に来るほうが普通ではないかと思うのです。

 ですから、こういうふうに規制をかけてしまうと、あらぬ疑いを持たれないように厳しくということなのはわからなくもないのですけれども、ただ、実際の運用専門職員となられる方のお立場からすると相当難しい。理事長に事前に届けて御承認いただければ、どこかのヘッドハンターに自分の情報を登録することはできるといっても、在職中はそこまでで、相手方がそういう情報を持っているかもわからないし、そういう話は、ヘッドハンターとだけで話が決まるものでなくて、就職する側の相手とも会っていろんな話をして、いろんなことを相談すると思うのですけれども、それも結局、在職中は絶対だめと。3年終わったところでというのが、ちょっと現実的かなと。60歳近いとか、それぐらいのお立場の方ではない、もうちょっとお若い方がなられるポジションで、そういう方々が3年間お勤めになって、放り出されかねないような状況になってしまうのではないかと少し心配なところがあります。

 ですから、そういったあたりは、例えば在職期間中のごくごく最後のほうに限るような、何らか別の規制のかけ方を考えて緩めるということを一つ選択肢として考えてもいいのではないかなと思います。ただ、いろんな考え方があって、きちんと襟を正してというほうを優先させるとすれば、こうやってやるしかないのかなと。それもわかる気がするのですけれども、ただ、そうすると、結果的にどうなるかとなると、GPIFというのは、3年間で、こういうポストがあって、国民から預かった資金の運用に携われるすごい貴重な経験のポジションであろうとは思うのですが、ただ、後々のことを考えると、ちょっとここに行くのはというふうに二の足を踏んでしまう方が多くなってしまいかねないかな、そこのバランスもどうかなという気がいたします。

 はっきりしないコメントで恐縮なのですが、以上でございます。

○神野部会長 ありがとうございました。

 いわば求職活動に関するあり方について御質問と御意見がございました。いかがでございましょうか。

○宮崎参事官 今、河村委員から御指摘ございました点について、どのような求職、就職活動ルートがあるのか。これはいろいろケースがあり得るのだと思います。かなり専門性を持った方ということを考えますと、こうしたヘッドハンティング会社に登録するということは一般に行われていると聞いておりまして、その意味でこのような規制を置いてはどうかということです。

 ただ、委員御指摘のように、一方で余り規制が強過ぎるということになりますと、本来来てほしいと思っていた大変専門性の高い方が、それによって敬遠されるということがあってはいけないということで、その辺のバランスをどう考えるかということで、一つの案としてこのような形を提案させていただいているところでございます。

 法律改正の趣旨からいたしますと、利益相反をできるだけ防止するという観点ですと、運用専門職員というのは、まさに金融事業者との最前線に立つケースが非常に多いものですから、そういう意味では、利益相反というのをまさに考える対象でもありますし、一方で、委員御指摘のような専門性を生かしたよりよい方を採用するにはどうすればいいのかということとの兼ね合いで、どのような規制がいいのかということを御議論いただいた上でと思います。一つの案としてこのようなものを出したということでございます。

○神野部会長 ありがとうございます。よろしいですか。

○河村委員 はい。

○神野部会長 どうぞ。

○徳島委員 私も運用専門職員のところ、御趣旨はよくわかるのですが、この原案はやや厳し過ぎるかなという気がいたします。というのは、原案の通りですと、有期雇用の運用専門職員が雇用期間の最後の段階で、まさに河村委員が言われたとおり、放り出されるというか、要するに、雇用がなくなるリスクを追わなければいけなくなります。転職活動の実際を考えますと、利害関係金融事業者との面接を禁止するというのは、いかにも厳し過ぎるのではないでしょうか。ただ、この場合にもフリーに認めること自身は適切でないと思いますので、資料の左にある登録と同様に、任命権者の承認を得ることを条件に面接を可能とするのでいかがでしょうか。そうしないと、GPIFを退職した後にすぐ雇用されない事案が生じる可能性が極めて高いと思います。私どもも中途採用で人員を採用するケースがありますが、直接の面談というのは必須事項でございます。それを禁止してしまうのは、本来の趣旨である専門性の高い職員を雇用する目的を阻害することになりかねないという気がいたしております。

 あと一点は、先ほど代理人のところはどちらのケースも考えられると思います。ヘッドハンターから連絡してきた際にも業者に登録するというステップが必要になります。ヘッドハンターがアクセスしてきて、職員がそのヘッドハンターと面談をするという段階に、登録が必要になりますので、資料の左側はこれでいいのかと考えております。

 以上です。

○神野部会長 ありがとうございました。他にいかがでございましょうか。平川委員、どうぞ。

○平川委員 ありがとうございます。

 今の観点ですけれども、基本的には一般国民から見て在職中の求職活動が利益相反になるのではないかというあらぬ疑いをかけられる可能性があるのではという点から厳格な取り扱いというのが重要なのではないかなと思います。

12ページの在職中のところ、率直に言っていろいろ難しい面があるなと思います。確かに該当する有期雇用職員にしてみれば、次の就職先をどうしていくかというのは重要な問題で、そういう意味から、就職の準備もしくは面接等も行っていきたいということもありますが、ただ一方で、国民から見れば、GPIFを足がかりにして、それを有利な材料にして就職活動をしていくということに対して、いろんな不信感が起きる可能性があるので、一定程度規制というのはやむを得ないのではないのかなと思っているところであります。

10ページの2つ目の○の「専門性を生かして関連の業界でキャリアアップをしていく過程でGPIFに一時的に在籍している」という文章ですけれども、これをそのまま省令に規定するわけではないですねというのが質問です。この文章が省令としてふさわしいかどうか。少し違和感がありますので、この辺は工夫をしていただいたほうがいいのではないかと思いました。有期雇用契約職員の関係については意見として言わせていただきます。

 他に何点かございまして、7ページの求職活動の規制対象となる「利害関係金融事業者の範囲」ですけれども、GPIFと契約している金融事業者、申し込みをしている金融事業者、申し込みをしようとしていることが明らかである金融事業者というのが記載されておりますが、例えば過去5年間ずっと契約していて、たまたま今年は契約していないという場合もあるかと思います。「明らかである」というのは何なのか、この範囲の判断をどうするかということが不明確です。申し込みはしていないけれども、過去5年間、10年間契約していて、たまたま今年はしていませんでしたという事業者について、どうするのかということを含めて、「明らかである」という範囲の内容の明確化、もしくは過去、先ほど言ったような場合も対象とすべきではないのかなと考えます。

 9ページの下のほうに「任命権者の承認が必要」と書いてあるのですけれども、「任命権者」というのは公務員用語だと思ったのですが。任命権者というのは、任用とか、公務員にしかあり得ないような世界の言葉だと思ったのですが、これは明確に理事長の承認が必要ということに整理すればいいのではないかなと思います。

 あと、「職員の有する高度の専門的な知識経験」とあるのですけれども、これが少し曖昧かなと思っていますので、イメージとしてどういうものが考えられるのか教えていただければと思います。

17ページのところ、なかなかあり得ない事例だと思いますが、全くあり得ないというわけでもないかもしれませんので、あってもなくてもいいという感じではありますけれども、これは念のために定義を残しておいてもいいのではないかと思います。

 意見と質問でございました。以上です。

○神野部会長 多岐にわたりますが、5点ばかりあるかと思いますけれども、よろしいですか。

○宮崎参事官 まず、7ページの規制対象となる利害関係金融事業者の範囲につきまして、御意見、御質問がございました。契約を締結している事業者に限らず、申し込みをしている事業者、申し込みをしようとしていることが明らかである金融事業者というものを対象にしております。

 過去に締結をしていた事業者かどうかというのは、過去に契約を締結していて、現在は締結をしていなくても、2番目、3番目に該当するような方であれば当然対象になりますけれども、一方で、全く業態を変えて、GPIFはもう対象にしないというところまでを規制の対象に入れる必要はありませんので、そういう意味では、まさに2、3をどう解釈するかという点にかかってこようかと思います。

 2は現に申し込みをしているということですので、例えば契約が締結していないものの、現在GPIFが各アセットクラスごとに導入を進めつつありますマネジャー・エントリー制のもとでリストに入るということで手を挙げているところは、こうしたところに入ってくることになろうかと思います。

 申し込みをしようしていることが明らかである事業者というのは、細かに規定することも難しいので、これ以上の規定は難しいのですけれども、GPIF等の機関投資家を対象として受託をするということで、体制等を含めて準備をして、具体的に計画が明らかになっているような場合はこの中に入ってくると思いますし、必ずしもそこまで明らかでなければ、そこまでを対象にするのは、この種の規制では難しいのかなと思います。余り不確かな根拠で規制対象にするというのは、この種の営業なりあるいは職業選択の自由を規制する項目においてはそこまでは難しいのかなと思います。

 ただ、実態で申しますと、GPIFがマネジャー・エントリー制などをとりますと、機関投資家を対象としている多くの運用会社が手を挙げてくると思いますので、そういう意味では、かなり多くの範囲の金融事業者が対象になってくるというものだと理解をしております。

 9ページの任命権者です。現在のGPIF法の政省令におきましても同様に「任命権者」という文言を使っておりますので、任命権者の承認というものを、法令で言いますと使っておりますけれども、例えば運用専門職員等に関していえば、理事長が任命権者となりますので、理事長の承認が必要になるということになります。

○神野部会長 10ページ、このまま省令の案文に行くのですか。

○宮崎参事官 10ページ、これは省令の文言とは一切関係がございません。運用専門職員の性格を記述するために書いているものでございまして、省令上は運用専門職員という定義はまた別にあろうかと思いますので、これがそのまま省令上の文言になるということはございません。

○神野部会長 ページでいくと14かな。

○平川委員 9ページの「高度の専門的な知識経験」というところです。

○宮崎参事官 失礼しました。9ページの「高度の専門的な知識経験」は、国家公務員法における取り扱いを参考にしてこの4規定を入れておりますけれども、専門的な知識経験で足りるものではなくて、高度の専門的な知識経験を必要とする場合であって、かつ、ここにはそこまで書いておりませんが、国家公務員法の規定では、利害関係企業等からの依頼を受けて就職する場合ということで、向こうから特にこの人しかいないということで請われる場合ということになります。その場合も高度の専門的な知識経験を必要とする場合ということで、国家公務員法における現在の取り扱いを確認いたしましたところ、通常で考えますと、その人以外の人では代替できないような、かなり高い専門性、高度の専門性ということでありまして、実際にこれを適用して除外した例はないということであります。例えば資金運用に関する専門的な知識経験があるからといって、この項目によって金融事業者への再就職が適用除外になるという取り扱いではございません。これは国家公務員法の例を参考にしておりますので、実際の取り扱いにおきましても、そうしたものを参考として、かなりレアなケースであると考えておりますし、そのように取り扱う予定であります。

17ページの規定であります。これは届け出の対象外にする者をどうするかということですので、こういう場合を規定しないとどうなるかというと、仮にそういう場合が出れば、届け出てもらうというだけでありまして、これがだめだとかいうわけではございません。単に届け出の対象から除外するかしないかという規定なので、もちろん入れても構わないのですけれども、入れた場合は届け出の対象からなくなるというだけです。現実を考えますと、必ずしもここを適用除外にしなくても、もし万が一このような事例があれば、それは届け出てもらえばいいだけではないかなということで、特に規定する必要はないのかなということで判断したというものでございます。

○神野部会長 全て大丈夫ですか。

○平川委員 回答いただきました。

○神野部会長 ありがとうございます。では、ちょっとお待ちください。井上委員、どうぞ。

○井上委員 ありがとうございます。今回、国家公務員法の規定を準用されるということで、GPIFの求職活動に厳格な管理が必要ということですので、基本的にはこういう方向でよろしいのではないかと思います。先ほどの運用専門職員のところで、かなり就職が厳しくなるのではないかという御指摘もありましたが、直接的に利害関係金融事業者とコンタクトを持つというのは、違和感がありますので、代理人を介した求職活動であって、業務の公正性を損ねるおそれがない場合に限って求職活動を認めるということでやむを得ないのではないかなという感じがいたします。

 質問ですが、これは前回御議論しました経営委員も再就職規制の適用の範囲にかかってくると考えてよろしいのですね。

○宮崎参事官 はい。

○井上委員 例えば企業のトップの方とかトップに準ずる方が経営委員に入られたといった場合に、その方に対し例えば他の企業から社外取締役に就いてほしいという要請があったというケースですと、企業が取引上密接な関係を有する金融事業者はであるならば役員欠格事由に抵触し許されないと思いますが、取引上密接な関係を有する金融事業者以外の企業の社外取締役に就く場合には、どのような扱いになってくるのか、教えていただければと思います。

○神野部会長 よろしいですか。どうぞ。

○宮崎参事官 まず、役職員に対する再就職規制に関しては、概念上、役職員全てにかかりますけれども、一方で、非常勤の職員については、就職規制という観点で言うと、もう既に別のところに就職されていて、兼職で来られているという形でありますので、この種の規制というものはかからないものが入っております。

 一般的に経営委員、監査委員は、この規制とはまた別に、GPIFの役員として受託者責任、あるいは秘密保持義務等々の規制がかかっておりますので、これは今回運用委員と異なりまして、経営委員、監査委員は役員としての取り扱いになりますので、現在の理事長、理事等と同じように受託者責任、秘密保持義務、あるいは自己や第三者の利益を図る目的で契約を締結させてはならないという禁止行為、あるいは通常なかなか想定できませんけれども、何かあって損害を与えた場合の損害賠償責任等が職員とは異なって、きちんとかかっているということがございますので、この種の利益相反等が生じれば、それらの規定に基づいて、例えば経営委員の解任事由にあたったりという形での規制がかかっているということでございます。

 一方で、御指摘にありましたその他の事業会社等で社外取締役をする場合はどうかということに関しましては、前回までの御議論の中でございましたように、金融事業者であって、GPIFと取引上密接な利害関係を有する者またはそこの役員、あるいは金融事業者の団体の役員というものが欠格事由に該当しておりますので、金融事業者であって、受託契約を結んでいるような会社の社外取締役などはできませんけれども、一方で、金融事業者であっても、取引上密接な利害関係を有しない、全く利益相反と考えられないような金融事業者であれば、そういうものも可能ですし、事業会社なども社外取締役等を行うことも可能でございます。

 欠格事由としてはそのような整理をした上で、繰り返しになりますが、利益相反等の行為に対しては、役員として受託者責任等々を課す中で、そこをしっかりと見ていくという法規制になっているということでございます。

○神野部会長 よろしいですか。お待たせしました。神作委員、どうぞ。

○神作委員 ありがとうございます。

 私も多くの委員の先生方が御指摘された運用専門職員に関する求職活動の規制の適用除外、10ページから12ページについて御質問と御意見を述べさせていただきます。運用専門職員については、ややその他の職員と状況が異なるので、別途考える必要があります。というのは、これまでも委員の先生方からすでに御指摘がなされましたように、一方では、何らかの規制が必要だけれども、非常に厳格な規制をすると、かえっていい人に来てもらえなくなる可能性があることから、バランスのとれた規制を考えていく必要があるからです。

 御質問と御意見と申しますのは、12ページの図を拝見いたしますと、代理人を介すると例えば情報提供等ができるとあります。ただ、面接活動という直接接触までは認めない。基本的にはこのようなな考え方ではないかと理解しましたけれども、御質問は、基本的な考え方として、情報提供まではいいと考えておられるのか、それとも情報提供からさらに進んでその地位につくことを要求し、さらには約束するというレベルまで許容されるという前提に立っているのか。いろいろな段階があると思いますけれども、基本的な考え方として、面接はだめですよ、情報提供まではいいけれども、それ以上先に進むのはだめという考え方で、面接は認めないということなのか。直接接触は認めないということの趣旨についてお伺いしたいと思います。面接というのが直接接触の典型的な基準となっていると理解しましたが、その背後にある考え方について御質問したいというのが第1点です。

 もう一点は、一体何を規制するのかということとも関わるのですが、私は法律家として、代理人について何ら規制がないという点が非常に気になっておりまして、これまでの議論の前提では、人材あっせん業者が当然代理人なのだという前提で話されていると思いますけれども、この図を見る限り、代理人というのは必ずしも独立した業者に限られないようにも思われます。

 代理人については一定の制約を課すことを考えておられるのか、あるいはそういったものは任命権者の承諾を得る段階でこういうこともあわせて考えるのか。もしそうだとすると、任命権者の承認については、代理人がどういう人であるか、本人との関係や属性等についても代理人に関する情報を提供しないと、任命権者は承認をするにあたり適切に判断できないのではないかという危惧を抱いております。

 いずれにしても、運用専門職員について、別途このような場で議論するというのは非常に重要なことだと思いますけれども、今、申し上げた2点につきまして御教示いただければと思います。よろしくお願いいたします。

○神野部会長 では、面接の背後理念と代理人問題。

○宮崎参事官 まず1点目の点ですが、先ほど徳島委員からも御紹介がありましたが、通常で言いますと、そういう仲介者がいて、情報のやりとりがあった上で、最終的には就職まで、面接があるということを考えたときに、直接接触するというところ以降は、現に種々の運用の判断を行っている者が想定されますので、就職をめぐって直接やりとりするということについては、在職中は排除すべきだろうということで、そこで線を切っております。

 提供する内容というのは、現在の法規制で言いますと、自身の情報提供、再就職する先の情報提供を依頼すること、再就職したいという意思を伝えること、再就職してくれということで依頼が来ること、そうした種々の情報のやりとり、第三者の仲介業者等と通じて行うものはいいだろうということですけれども、より進んだ具体の直接的なやりとり以降は、在職中は禁止してはどうかということで整理をしております。直接のアプローチ以降は、職を離れてからやれるということであります。

 逆に言いますと、職を離れてから実際に就職するまでのリードタイムを少し短くする意味で情報提供までを、「しか」という言い方もできるのかもしれませんけれども、認めてはどうかという案にしております。

 後段の代理人のところは、先生御指摘のように、どのように定義するのか、非常に難しいところではありますが、我々としては、先生が先ほどお話しになったところで言いますと、後段の任命権者である理事長が判断するに際して、その代理人がいかなるものなのかというところをきちんと把握をした上で、個別に判断をする。したがって、届け出をいただくときには、どういう代理人を使っているのかということについてもあわせて届け出をいただくことが必要になってくるだろうと思います。

 そこは代理人と言いながら、実際には全く代理人業もやっていないような、そういう実績もないような知人、友人あるいは本人とほぼ同一視されるような方がやっていれば、それは直接やっているのとほとんど変わりませんので、個別には承認できないという事例も出てくるかなと思います。そこは代理人の範囲で細かく限定するよりは、届け出の中できちんとそれを見て、個別承認の中で理事長なりが判断する。それは理事長が判断すると申し上げましたが、この仕組み自体から言いますと、例えば事後的に内部の合議体などでもそういうものを報告して、常勤の監査委員を含めて、きちんと第三者的なチェックも入るような仕組みのもとで制度を運用していくことで公正性を担保できればと考えているところでございます。

○神野部会長 では、どうぞ。

○原委員 今、委員の方のいろいろな御意見をお伺いして、私も最初、運用専門職員の求職活動という部分について幾つか疑問があったのですが、平川委員ですとか神作委員に御質問いただいたところ、代理人ですとか、高度の専門的な知識経験という部分がちょっとわかりにくかったのですが、御説明いただいたのでわかりました。ありがとうございました。

 その上で、最後コメントだけさせていただきたいと思うのですが、運用専門職員の求職活動、12ページの図も含めてですが、いろいろな難しいところかと思うのですが、ただ、4ページの下にもありましたけれども、今回の改正法においては、国民から預かっている年金の積立金を将来の年金給付のために運用していくというGPIFの業務の特性というものがあると思いますので、これを考慮して国民の信頼を確保し続けていくことが重要かと思います。そういった意味では、国民にとってもわかりやすい、納得しやすい仕組みにしたほうがよいと思います。確かに12ページの部分ですと、割と厳しいのではないかという御意見もあったかと思うのですが、そのように思いますが、ただ一方で、こういった公的年金の積立金に関する運用に携わっている方の在職中の活動ということについては、有期契約者ということであるかと思いますけれども、やはり在職中に利害関係がある金融事業者との直接の接触について、この図で言うと代理人を介しての情報提供というのは○で、直接接触は×というのは、やむを得ないのではないかと思います。

 そういった意味で、厳し過ぎるのではないかという御意見もあるかと思うのですが、GPIFの特性ということを考慮すると、こういうこともやむを得ないのではないかなと感じております。以上です。

 ありがとうございました。

○神野部会長 どうもありがとうございました。

 御議論が尽きない場合にはまた戻っていただいて構いませんが、最初に申し上げましたように、残りの経営委員会関係から運用関係について御説明いただいた上で、また御議論させていただければと思っております。よろしくお願いします。

○宮崎参事官 それでは、経営委員会関係以降の資料について御説明させていただきたいと思います。資料の19ページ以降でございます。

 まず、19ページ、経営委員会の関係でございますが、経営委員会の議決事項に関して、省令で規定する内容について御相談するというものでございます。

19ページの四角囲みにございますように、今回経営委員会につきましては、例えば会社で言う取締役会のような役割を担って、法人の重要な方針を決めていく立場でございます。その意味で、法律上、経営委員会の議決事項というものは、かなり細かくいろいろ規定がございます。点線の中に第五条の三とありますが、一号のイからカまでに該当するところでは、例えば中期計画、年度計画の作成、変更、業務概況書の作成、業務方法書の変更、あるいは組織定員に関する重要事項については議決事項とする。さらには、経営委員会が特に必要と認める事項は議決事項とするということで、種々のことを議決対象にしております。

 一方、省令に委任されておりますのは、その中で監査委員会の職務の執行のため必要なものとして省令で定める事項、また、管理運用法人の業務の適正を確保するために必要なものとして厚生労働省令で定める体制の整備という規定がございます。これらの厚生労働省令で定める内容についてお諮りするというのが今回の趣旨でございます。

20ページ、具体的に厚生労働省令で定める事項をそれぞれ7つと5つ挙げております。これら挙げている事項につきましては、いずれも会社法における監査委員会等を参考にして規定を入れたものでございまして、20ページ上段でございますけれども、監査委員会の職務執行のために必要なものとして厚生労働省令で定める事項としては、例えば監査委員会の職務を補助すべき職員に関する事項、あるいは職員の理事長及び理事からの独立性に関する事項、指示の実効性の確保に関する事項等々を規定しております。監査委員会が実際に職務をきちんと果たしていくためには、それをサポートする職員というものが必要ですし、サポートする職員につきましては、理事長、理事から一定程度独立をすることが必要であろう。また、監査委員会に何か報告をした者が、報告した内容に基づいて不利益な取り扱いを受けることがあってはならないということで、例えば5には「不利な取扱いを受けないことを確保するための体制」といったようなものなど、監査委員会が適切に業務を執行するための事項を省令で規定し、これらを経営委員会の議決事項としてはどうかということでございます。

 下段のほうでございます。業務の適正を確保するために必要なものということで、例えば法令に適合することを確保するための体制として、コンプライアンスの関係、あるいは情報の保存、管理、執行部が日々執行する中で、いろいろな情報が日々生起するわけですが、こうした文書について例えば保存期間をどうするかとか、保存をどのようにするかということをきちんと規定することで、経営委員会がきちんと監視等の役割を果たせるように体制を築くということ。また、損失の危険の管理、リスク管理に関する規定といったものも同様でございます。これらはいずれも会社法の規定を参考として、今回のガバナンス改革が実効あるものとなるように具体的に記載をしたというものでございます。

 これ以上に具体的なものにつきましては、経営委員会が実際に発足してから、先ほど申し上げましたように、議決事項としては経営委員会が特に必要と認める事項などもございますので、経営委員会の中で十分御議論いただいて、具体的な役割分担というものを決めていくことになろうかと考えてございます。

21ページは、同じく経営委員会に関しまして、最低限の開催頻度をどれぐらいに置くかというところでございます。

 第五条の五の第2項として「厚生労働省令で定めるところにより、定期的に経営委員会を招集しなければならない」とございます。経営委員会がせっかくできても、休眠状態になって、実効性ある活動が行われないということを防ぐために、厚生労働省令で最低限これぐらいの開催頻度で定期的に開催しなければならないということを規定していくということでございます。これに関しては、現時点の定める内容として、原則月1回としてはどうかということで、案を盛り込んでおります。

 現在の運用委員会の開催頻度は、28年度の実績が22ページにございますけれども、原則月1回程度で、年12回行っております。

 経営委員会発足後、具体的な運用のあり方は経営委員会の中で御議論されて、やはりそれは原則月2回とすべきだということがあれば、運用上は月2回とすることもあろうかと思いますが、省令上、最低限これだけは定期的にやってくださいというものとしては、原則月1回としてはどうかという趣旨でございます。

23ページ以降は情報開示の関係でございます。1点目は経営委員会の関係で、経営委員会の委員長が公表すべき書類というものをどのように定めるのかということでございます。第五条の七、四角囲みにありますように、経営委員長というのは、会議の議事録その他省令で定める書類を作成し、省令で定める期間の経過後速やかに、公表しなければならないとの規定がございます。

 これにつきましては、例えば日本銀行の政策委員会におきましては、金融政策決定会合の議事録、議事要旨に関しまして、それぞれ規定を置いているところでございますが、例えば議事録につきましては、政策委員会が適当と認める期間とし、具体的には10年としている例がございます。あるいは議事要旨につきましては、会議の終了後、速やかに作成するというような取り扱いをしております。

 こうした日本銀行での取り扱いなども参考といたしまして、省令に規定する内容としては、法律に規定のある議事録のほかに、議事概要を作成するということを明記してはどうかということで考えております。

25ページ、公表の時期に関しては、議事概要に関しては会議終了後、速やかに作成し、経営委員会の了承を得て公表するという形にしてはどうか。

 また、議事録は、会議終了後、10年経過後に公表するという扱いとする案1と、会議終了後、7年間経過後に公表するという案2、2つの案を並べております。案1は、根拠としては日本銀行が同様に、委員の任期が5年の中で議事録公表の扱いを10年としておりますので、これを参考として記載しており、案2につきましては、現在の運用委員会で議事録の公表について御議論いただいた際に、7年というものを置いて取り扱っておりますので、これを参考として7年とするという案。両案置いております。

26ページ、情報公開に関して、もう一点ございまして、積立金の運用実績の公表頻度及び公表する書類に関する規定がございます。今回の法律改正におきましては、26ページの四角囲みにありますように、第二十六条第2項といたしまして、従来規定がございました業務概況書の作成を義務づける第1項の規定に加えまして、厚生労働省令で定める期間ごとに年金積立金の運用実績その他厚生労働省令で定める事項を記載した書類を作成し、公表しなければならないという、情報開示を義務づける規定を置いたところでございます。

 これにつきまして、27ページ、こうした義務づけを行う内容としては、現時点では具体的内容としては、保有する銘柄と時価総額について、年度ごと、1年に1回業務報告書の公表とあわせて、インターネットの利用等適切な方法により公表するという形で公表を義務づけてはどうかということで考えてございます。

28ページに、現在GPIFが自主的に取り組んでおります保有銘柄の開示につきまして、スケジュールを示しておりますが、GPIFは、昨年7月から保有銘柄の情報、保有する銘柄、債券については、発行体と時価総額についてオープンにするという取り組みを進めております。昨年7月の段階では1年4カ月前時点の銘柄の情報を開示し、市場への影響等の検証を行った上で、問題ないということで、第2段階に進み、昨年11月に8カ月前時点での銘柄情報等を開示いたしました。最終的に今年7月7日に今年3月末時点での保有銘柄の情報を開示し、市場への影響等を確認することで段階的な開示スケジュールを終了する予定になっておりますけれども、これを踏まえて、今後はこれを省令上の義務づけとして規定してはどうかということでございます。

29ページ、30ページでございますが、ガバナンス関係のその他の項目といたしまして管理運用担当理事の代表権の範囲というものがございます。改正法では、現在GPIFでアクティブ運用の増加やマネジャー・エントリー制度の導入等によりまして契約事務が増加している状況を踏まえて、契約事務を適切に実行できるような機動的な体制を確保するために、管理運用担当理事に代表権を付与しております。これは管理運用担当理事による機動的な運用を確保することでございますけれども、同時に取引の相手方の保護の観点からは、その代表権の範囲をあらかじめ定めることが適切であり、厚生労働大臣が定めるものとして、この内容を対外的に明らかにするということが必要となります。

30ページの下にございますように、その趣旨を踏まえて、今回厚生労働大臣が告示等で定める内容といたしましては、管理運用担当理事の代表権として「運用受託機関との契約締結に関する事務」というものを定めることとしてはどうかということでございます。

31ページ以下は、ガバナンスの関係とは異なりまして、運用関係で政省令事項として残されたものとしてはデリバティブの関係がございます。

32ページにございますように、デリバティブの関係につきましては、デリバティブ取引というものは、投機を目的としたものから変動リスクの管理を目的としたものまでさまざまなものがある中で、改正前の規定では、取引可能なデリバティブ取引というものが法律上限定されてございました。このような状況のもとで、昨年年金部会での御議論がございましたけれども、その中では、32ページの四角囲み上の段のほうにありますように、GPIFにおいてデリバティブの利用というのは限定的と解されますが、運用リスクの軽減につながるということもあるということで、例えば差金決済を伴う為替先物取引とか株価指数先物取引の例を出して、このようなものについては必要性が認められたというところでございます。

 こうした御議論を踏まえて、与党に示したGPIF改革の方針におきましては、四角囲みの下のほうにございますように、リスク管理のために一般的に活用されているデリバティブ取引のうち、現在GPIFの利用が認められていない、例えば為替先物取引のうち市場デリバティブ取引、株価指数先物取引について、リスク管理を目的とする場合に限定して利用可能とするということを明記し、具体的には、利用目的をリスク管理に限定することを法律上明記するとともに、利用機会、利用額の制限や経営委員会の関与のあり方等に関する担保措置を設定して、厚生労働大臣が認可する仕組みを設けるということで、デリバティブ取引に関する法令の改正を行ったところでございます。

33ページをお開きいただければと思います。今回の法改正におきましては、このような御議論を踏まえまして、これまで既に法律で規定されておりました債券オプションや先物外国為替なども含めまして、全てのデリバティブ取引につきまして、法律上、「運用に係る損失の危険の管理」を目的とするということを明記いたしました。

 その上で、先物外国為替に係る市場デリバティブ取引というものを法律上取り入れたところでございますけれども、さらに今後リスク管理に必要なデリバティブ取引を柔軟に規定することができるように、新たにデリバティブ取引であって、政令で定めるものを規定するという仕組みを導入したということでございます。

 政令で規定できるということになったということで、政令で何を定めるかということが今回の御審議の内容でございますけれども、今回10月1日の施行に当たり入れるものといたしましては、運用におけるリスク管理のために必要性の高いデリバティブ取引を認める観点から、既に年金部会での議論において御議論がされ、また、与党に対する説明や、あるいは国会等でもこの種のものを入れるということで、政府側からは御議論の中で説明をし、法律の立法過程において、議会においても説明いたしました株価指数先物取引を規定してはどうかということで、入れてございます。参考として34ページ以下に年金部会等で御議論いただいた際に示した資料等々を入れてございます。

 また、お手元の別紙の参考資料の中には、当時の立法過程におきまして、国会での御議論があった際にどういう説明をしたかということも含めて、資料をお配りしております。例えば裏側、14ページあるいは15ページなどにデリバティブに関する2月の衆議院予算委員会での大臣からの答弁、あるいは12月8日、法案の具体的な審議過程において、年金局長より答弁した内容を記載しているところでございます。こうしたことを踏まえまして、株価指数先物取引について政令で入れてはどうかということでございます。政令で規定するということでございますので、今後さらに必要があれば、政令で規定することを追加して入れるということは、例えば経営委員会等の議論を踏まえて、制度に関わることでございますので、資金運用部会で議論するということも出てくるかと思います。けれども、10月1日の施行の時点においては、既に御議論いただいた株価指数先物取引を入れてはどうかということで、提案をさせていただいております。

 以上でございます。

○神野部会長 どうもありがとうございました。

 2項から、つまり、残された論点について御説明いただいたわけですが、これも要領よく説明していただいておりますが、念のため先ほど御議論いただきたい事項とまとめております資料1の2ページも御参照いただきながら御議論を頂戴できればと思っております。いかがでございましょうか。どうぞ。

○神作委員 初めに御発言の機会を与えていただいてありがとうございます。

 資料の19ページ以降、経営委員会の議決事項についてでございます。これは基本的には会社法の規定を参考にしているということです。業務の適正を確保するために必要なものとして、会社法が定めているものと比較いたしますと、会社法においてはグループ会社の管理に関する事項が入っておりますが、私の理解では、年金積立金管理運用独立行政法人についてはグループ会社は存在せず、そのような問題は生じないと理解しておりますので、それを除いて会社法の並びで規定するというのは適切な方向であると思います。

 もう一点、最後の運用のところについて、今、御発言させていただいてよろしいでしょうか。

○神野部会長 どうぞ。

○神作委員 運用のところは、法律においてデリバティブ取引についてはリスク管理を目的とするものに限るという限定がございます。デリバティブ取引でリスク管理に必要なものであれば、先ほど申し上げましたように、会社法の並びで内部統制体制やリスク管理体制、コンプライアンス体制等はきちんと整備されることになるますと、デリバティブ取引については、実務のニーズをさらによく検討していただいて、リスク管理のために必要なものがあれば、そんなに限定的に考える必要はないと思っております。

 最後は意見にわたる部分でございますけれども、以上でございます。

○神野部会長 ありがとうございます。他にいかがでございましょうか。どうぞ。

○安浪委員 私もデリバティブに関してお聞きしたいのですが、36ページの図表によりますと、どういう場合にデリバティブをやるかということで、例えばリバランスの場合に、細かい話をしますと、当初先物の売りを立てて、株価が下がってくれば、先物取引では益が出ます。下がった分だけ現物株では損が出るから、先物の利益と現物の損失がバランスすることによって投資の価格を確定することができるという、そういうリスクヘッジだと思うのですけれども、デリバティブというのは、一般企業の場合ではほとんど簿外取引になるのですよ。貸借対照表や損益計算書に出てこないで、デリバティブを担当される方の個人使用で管理されている。

 過去デリバティブで大きな損失を出した会社の事例を見ますと、ほとんどがそういった個人に情報が集中していて、周りの方が誰もわからなかったと。大きな損失に膨らんできて、どうしようもなくなったときに、ああ、こんな状態だったのかということが初めてわかるというものでして、非常にリスクが高くて、管理に関して、デリバティブで損を出した会社は数え切れないぐらいあるのですけれども、この管理方法というのは非常に大事な問題でありまして、簿外になるから、職員のほうにもデータが上がってこない。やっている個人の方にどうしても情報が集中してしまって、資料はその方1人が持っていて、周りの方が誰も知らなかったというケースがやはり多い。

 リスク管理というのは非常に大切であって、どの会社さんも最初はデリバティブはリスクヘッジのためにやるのですとおっしゃるのですよ。私は投機のためにやるとおっしゃる方はいません。ほとんどの方はリスクヘッジのためにやるとおっしゃるのですけれども、そのポジションの売り方によっては、それが膨らんできて、知らない間に投機的なものにかわっていたというケースがほとんどなのです。

 ここであえて株式先物指数取引はいいよという形で、文書として認めるような形に考えておられると思うのですが、有名なイギリスのベアリングバンクが日経平均先物で大きな損失を出して倒産したという事例もあります。株式先物指数だけを認めてもいいのではないかというお話なのですが、なぜそれだけ認めるのかという理由と、管理が本当にできる体制なのか。デリバティブを管理する体制をつくるというのは非常に大変で、上の方に情報を上げたとしても、なかなか理解してもらえないし、理解しづらいですね。現在、先物の状況はどうなっているかというのを見るのは非常に困難でして、非常に複雑な形をしていますから、ちょっと見ただけではなかなかわからない。だから、非常にリスクが高いものであるという意味から言いますと、あえてここで株価先物指数はいいですよというような認め方をどうしてする必要があるのかなと。

 今のGPIFは、最近のコーポレートガバナンスコードの影響でもありますけれども、企業がたくさん増益決算を発表していまして、コーポレートガバナンスコードの影響でROEをもっと上げなければいけない。それに向かって努力されている会社もありますし、配当もふやされているというのが最近の傾向です。そういった形で、企業の中長期価値の向上に乗っかってGPIFの資産も増えていく。そうすることによって、国民の大切な年金資産が増えていって、老後が安心になるという形での運用というのは、GPIFの基本だと思っています。

 あえて、リスクを伴うような株価指数先物取引をどうして認める必要があるのかなという気が若干しておりまして、それに関してお話をいただければと思います。

○神野部会長 神作委員はもうお帰りになりましたけれども、お二方の御意見についてコメントがあれば、事務局のほうからお願いします。

○宮崎参事官 まず、デリバティブの今回の法令改正の内容でありますが、34ページを見ていただきますとお分かりいただけるかと思うのですが、今回、制度の上ではGPIFが利用可能デリバティブ取引というのは、債券先物あるいは先物外国為替取引、債券オプション、通貨オプションといったものは法令上認められておりまして、それに加えて、今回右側にありますような2つのものを入れるということを、昨年御議論いただきました年金部会等で御議論いただいた際にお示しをしていたというものでございます。ですので、デリバティブ取引、今回全く新しく入れて、株価指数先物だけ入れるという趣旨ではございません。現在あるものに加えてこれらのものを加えるというものでございます。

 あわせて、実際これを行うにあたりましては、例えば現在、左側の4つのものがありますけれども、現実的にはこれら体制等の問題もあって、必ずしも着手していないものもございます。必要性、体制等の問題もあってGPIF自身はやっていないものもございますので、制度として用意をするものと、それを実際行うに当たってどのような体制を整えるかというのは、今後は経営委員会等で具体的に議論いただいて適切な体制をとっていただく必要があると思いますし、その場合には不十分な体制で行われるということが仮にあるとすれば、それは例えば厚生労働大臣の監督等も含めて、適正なものにしていただくように持っていくということが必要になろうかと思います。

 いずれにしても、ここは安浪委員御指摘のようなリスク管理の体制をきちんととることが大事だというのは、おっしゃるとおりでございまして、ここは現在でも、あるいは今後もGPIFの中でかなり重点を置いて既に議論されている内容でございますし、実際にこれを動かすに当たっては、そこをきちんとした体制をとるということは当然に伴ってくるものだと思っております。

 ややそれますけれども、先ほど御議論いただきました専門職員として、一部はリスク管理の専門職員なども雇いまして、大変優秀な方に来ていただいて、GPIFとしてリスク管理にどういうふうに取り組むのか、システムも含めて取り組んでいると承知しております。その中で追加されるデリバティブ取引につきましても、適切なリスク管理が行われる体制をつくり、それを経営委員会などがきちんと見る中で、しっかりと、実施する場合には実施していくということになろうかと思います。

 あわせて、神作委員の御指摘にもかかわりますけれども、今回の株価指数先物取引を入れるというものは、逆に言いますと、これ以外を未来永劫入れないという趣旨ではございませんで、デリバティブ取引の中では、今後の必要性等を勘案して、追加していく必要があるかもしれないという必要性が出てくれば、きちんと議論した上で、政令の追加という形で入れるということは考えておりますので、そういう意味で、株価指数先物だけやるというよりは、現在ある取引に加えて入れるものとして、先物外国為替と外国指数先物取引を入れ、今後につきましては、経営委員会での御議論なり、それを踏まえて本当に必要性があれば、政令を改正するという形で、改めてこちらの資金運用部会での御議論をいただいて、それを追加するかどうかというのを御審議いただくという手続のもとで入れていくということになろうかと考えております。

○神野部会長 ありがとうございました。他にいかがでございましょうか。永井委員、どうぞ。

○永井委員 ありがとうございます。

 情報開示のところで2点御意見を申し上げたいと思います。1つ目は経営委員会の議事録についてですけれども、今回2案お示しいただいて、7年と10年というところでございますが、記載されている日本銀行に従うとか、現状に従うという理由については、少し説得力に欠けるのではないかと思っております。10月からのガバナンス改革、ガバナンス強化ということで、GPIFがどのように変わるかといった点は、被保険者から非常に注目されておりますし、そういう意味でも、日本銀行に従うとか、現状ということであれば、これまでもよりも後退してしまうと捉えられてもおかしくないのではと思っております。最低でも現行の7年間経過後の開示というものよりも前倒しを図るべきではないかと思っております。

 もう一点は運用実績の公表のほうでございますけれども、現状、GPIFでは国民に対して適時適切な情報開示を行う観点で、事業年度ごとの業務概況書による公表のほかに、四半期ごとに運用状況が報告されております。本日の資料を拝見いたしますと、四半期というものには言及がされていないように見受けられますが、それについてはどのような取り扱いとなるのか教えていただきたいと思います。10月のGPIF改革の施行以降、四半期ごとの運用状況の公表はしないということになるのか、確認をさせていただきたいと思います。

 以上です。

○神野部会長 質問の運用状況のところについて、お願いできますか。

○宮崎参事官 まず、今回御議論いただいておりますのは、政省令で義務づける内容でございますので、その義務づける内容に加えて、GPIFが自主的な取り組みをするものを何か制約するものではございません。現にGPIFにおかれましては、種々の情報開示、今、積極的に取り組んでおりまして、各種の媒体を使いました情報発信や、わかりやすい説明をするために業務概況書の内容を見直したり、いろんな形でやっておりまして、そうした情報開示に向けた取り組み自身は、今後もさらに進めていくべきものだと考えておりますので、委員の御指摘のようにその方向で実態としては取り組んでいくものだと思っております。

 ただ、一方で、法令上義務づける範囲として何が適切かということで、今回このような内容をお示ししております。その点で言いますと、まず議事録の開示に関しましては、日本銀行が委員に対する自由な議論を確保するために、あるいは市場への影響等々を勘案して、委員の任期の中で10年という期間を置いております。

 一方で、御指摘のように、GPIFの今の運用委員会の整理としては7年でおりますので、こうした7年、10年というものが選択肢としてあるのかなと思いますが、それよりさらに短くするということになりますと、例えば任期中に、その任期にかぶってどういう議論があったのかということがより詳細に、議事録と議事概要の違いで申しますと、議事録は各委員の名前が実際載った形で、非常に機微にわたるところまで含めて委員間の意見の相違等が見られる形になりますので、そうしたものを出すということは、なかなか自由な討議の妨げとなるようなこともあるのではないか、あるいは市場への影響等、数年にわたって契約を締結していくようなことも考えられる長期の投資家でございますので、そういう影響等を考えますと、種々の決定が非常に見えるということがどうなのかというところで、一番短いところで7年ということが、運用委員会での過去の議論であったと聞いております。基本ポートフォリオの作成なども5年に一度ではございますけれども、5年の前に先立って準備期間として1年なり1年半程度議論を重ねるということも踏まえまして、7年という規定を置いたと聞いておりますので、それより短くして議事録を開示するというのはなかなか難しいのかなと考えているところでございます。

 また、四半期に関しましては、義務づけの対象をどうするかということで、今回の議論の対象にしていますので、特にこの規定を入れるからといって、四半期の開示をやめるということを意図しているものではございません。従来も四半期につきましては、特に法令上の規定はございませんけれども、国民の皆様に情報提供するという観点から、1、2、3四半期の状況を開示してきたところでございます。もちろん、これにつきましては、長期的な投資家という観点からあり方を議論する声もないわけではございませんが、現時点で四半期の開示、従来やっていたものをやめるということを考えているわけではございません。

 以上でございます。

○神野部会長 ありがとうございます。

 ほかに。どうぞ。

○徳島委員 デリバティブのところに議論を戻したいのですが、若干安浪委員の御発言に重大な事実誤認があるので、それだけお話ししておきたいと思います。

 デリバティブはリスクが高いという御発言は、レバレッジをかけていない場合はあり得ないお話でございます。多分四塚先生のほうがお詳しいと思いますが、すなわちGPIFは、株式とか債券という資産を100%ロングで持っているわけです。それに対してレバレッジをかけなければ、デリバティブだからリスクが高いということは全くなくて、実は安浪委員の御発言の中で注意しないといけないのは、管理をしっかりしないといけないということです。これは大事なところで、ただ、GPIFもデリバティブが簿外になっているというのが必ずしも正しくなくありません。デリバティブの時価を適切に評価して、PLで認識していますので、ポジションは確かに簿外になっていると言えますが、収益に与える影響は時価で評価していますので、十分に認識されています。そこは過去の事業会社などとは違います。

 そういった意味では、今回リスク管理の多様化として、既に利用可能なもので債券先物、先物為替といったものがあるのに対しで、株式に関してのリスクヘッジのツールがないことが問題なわけです。資産間のバランスといった意味では、株価指数先物取引を認めるということは積極的に考えていいと思っていますし、ただ、安浪委員が御指摘されているようにリスク管理が本当適切にされているかどうか、リスクをきっちり管理することが重要で、本日の資料の36ページなどに概念的にリスク管理を実施し、ポジションの報告ルール等が記載されていますが、既に認められているデリバティブを利用されている場合に、適切に報告されているかどうかとか、そういった実務御説明いただかないと、概念的に御説明いただいただけで、どうぞ使ってくださいとはなかなか言いにくいのが正直なところです。

 そういった意味では、安浪委員の御指摘の中で一番大事なのはリスク管理、デリバティブに関して管理が重要であることは間違いではございませんし、それは御指摘のとおりだと思います。現行GPIFがどういうふうにリスク管理に取り組まれているのか、それから今後経営委員会、監査委員会にどう報告していくおつもりなのか、そのあたりのイメージを明らかにしていただけたらと思います。

 以上です。

○安浪委員 よろしいですか。一つ気になっているのは、例えば株価下落状況のときに先物の売りを立てて、下がれば先物で利益が出て、現物で損が出て相殺される、そういうリスクヘッジを考えておられると思うのですけれども、リバランスの場合にやるというのは、GPIFの先物の売りというのが相当大きな金額ですね。僕は中身はわからないのですが、どの程度の金額の先物の売りが立つのか。それの反対売買はどのようなタイミングでやっていくのか。一部やるのか、繰り越すのか。この中に「将来の一定の時期に相当の確実さをもって行われる場合等に限定する」という制約条件が入っているのですけれども、そこら辺の制約条件を具体的に守れるのかどうか。金額が巨額ですから、GPIFがリバランスのために株式の保有比率を下げる、そういったデリバティブをやろうとしますと、相当大きな金額を動かさざるを得ない。その売り建ての解消にどのぐらいの時間がかかって、解消するタイミングが一定の時期に相当の確実さをもって行われる場合等に限定するというような条件を守れるのかどうかというところが気になるのです。

 金額が大きいということからすると、そういったところにリスクが潜んでいるのではないかという気がいたしました。

○神野部会長 関連ですか。

○四塚委員 関連です。

○神野部会長 どうぞ。

○四塚委員 ポジションが大きいということに関して言いますと、マーケットに対するインパクトが大きいのは現物のほうであって、それを緩和するために先物でまず最初に取引して、現物でそれを代替していくということなので、御心配は当たらないと思います。

 あと、徳島委員も言われたように、一般企業と異なって、市場運用を行う主体ですから、当然全てのポジションは時価評価されているわけで、簿外で知らないうちに損失が膨らんでいるということはあり得ないと考えていいと思います。

 さらに申しますと、ヨーロッパの年金では、ALM(アセット・ライアビリティ・マネジメント、資産負債管理)が厳密に行われています。要するに、年金は非常に長期の債務を持つものなので、それに対応して長期の債券が必要だと。そういう管理がかなり厳格に行われるようになってきていて、そのために国債だけでは必ずしも効率的に運用ができないということで、金利スワップも大規模に行われるようになっているのです。

 例えばデンマークのATPという公的年金がありますけれども、若干古い数字ですが、日本円で言うと想定元本3兆円ぐらいの金利スワップをやっているという実態があります。

 以上です。

○神野部会長 お待たせしました。井上委員、どうぞ。

○井上委員 経営委員会の議決事項につきまして、今回の省令では会社法並みということで、方向性としては賛成いたします。問題は、この省令に基づいて具体的にどういう付議事項の規定を経営委員会が定めていくかということでございますので、ぜひ漏れのないようにお願いします。株式会社では非常に細かく決めておりますので、それらも参考にしながら、これはガバナンス改革の本当に中心的な部分でございますので、しっかり準備をしていただきたい。

 また、新しい体制に移るに当たって空白期間が生じないように気をつけていただきたい。しっかり準備をして、新しい経営委員会、経営委員の方がすぐに仕事に移られるようにしていただきたい。それでもさらに追加して何か決めていかなくてはならないことがどんどん出てくるのだと思うのですけれども、一番重要なのは、経営委員会に何を付議するのかというところだと思います。そのあたりも含めて、具体的な検討、準備を始めていただきたいと考えています。

 以上、意見でございます。

○神野部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。

 それでは、そろそろ終了の時間に達しておりますので、非常に生産的な御議論を頂戴いたしましたことに深く感謝申し上げます。

 本日いただいた貴重な議論を踏まえて、きょうの資料1の表題「GPIF改革の施行に伴い、政省令等において定めることが必要となる事項」の案を事務局のほうで作っていただいて、それを次回のこの会議の資料として提出していただければと思っております。

 それに基づいてまた御議論を頂戴したいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、予定の時間になりましたので、これにて本日の審議を終了させていただきますが、次回の開催等々について連絡事項を事務局のほうからお願いいたします。

○宮崎参事官 次回の部会の開催日時につきましては、事務局から各委員の御都合を伺いまして調整させていただいた上で、追って正式な御案内をお送りしたいと思います。来月になると思いますけれども、改めて御案内させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○神野部会長 どうもありがとうございました。

 それでは、これにて本日の審議は終了とさせていただきます。お忙しい中をお集まりいただきまして、積極的な御議論を頂戴したこと、深く感謝を申し上げる次第でございます。

 どうもありがとうございました。

 

 


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(資金運用部会)> 第3回社会保障審議会資金運用部会(2017年6月15日)

ページの先頭へ戻る