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2017年7月21日 第5回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」議事録

○日時

平成29年7月21日(金)9:00~12:00


○場所

中央合同庁舎5号館専用第22会議室(18階)


○出席者

岩崎アドバイザー、上條アドバイザー、千把アドバイザー、野沢アドバイザー、二神アドバイザー、堀内厚生労働大臣政務官、宮嵜障害保健福祉部長、朝川企画課長、内山障害福祉課長、武田精神・障害保健課長、高鹿障害福祉課障害児・発達障害者支援室長兼地域生活支援推進室長、市川障害福祉課長補佐、照井障害福祉課長補佐 、高沢職業安定局雇用開発部障害対策課長補佐(オブザーバー)、公益社団法人日本医師会、独立行政法人国立病院機構、全国手をつなぐ育成会連合会、特定非営利活動法人日本失語症協議会、社会福祉法人全国盲ろう者協会、公益社団法人日本看護協会、社会福祉法人日本盲人会連合、公益財団法人日本知的障害者福祉協会、公益社団法人全国脊髄損傷者連合会、特定非営利活動法人全国地域生活支援ネットワーク

○議題

1.関係団体ヒアリング4
2.その他

○議事

○内山障害福祉課長 定刻となりましたので、只今から「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」の第5回会合を開催させていただきます。

 御出席いただきました団体、アドバイザーの皆様におかれましては、御多用のところお集まりいただき、誠にありがとうございます。

 本日のアドバイザーの皆様の出席状況ですが、平野アドバイザー、井出アドバイザーにつきましては、所用により欠席でございます。

 続きまして、構成員の出席状況ですが、本検討チームの主査であります堀内厚生労働大臣政務官につきましては、本日、公務により途中で退席をさせていただきます。

 撮影はここまでとさせていただきますので、報道カメラの方は退席をお願いいたします。

(報道関係者退室)

○内山障害福祉課長 次に、本日ヒアリングを行います関係団体の方々を、ヒアリングの順に御紹介させていただきます。

 公益社団法人日本医師会より、松本純一常任理事、松本吉郎常任理事でございます。

 独立行政法人国立病院機構より、古都副理事長、中川四国こどもとおとなの医療センター院長でございます。

 全国手をつなぐ育成会連合会より、久保会長、田中統括でございます。

 特定非営利活動法人日本失語症協議会より、園田事務局長、山口理事でございます。

 社会福祉法人全国盲ろう者協会より、福島理事、山下常務理事でございます。

 公益社団法人日本看護協会より、荒木常任理事、新田様でございます。

 社会福祉法人日本盲人会連合より、竹下会長、及川副会長でございます。

 公益財団法人日本知的障害者福祉協会より、橘会長、河原政策委員会委員長でございます。

 公益社団法人全国脊髄損傷者連合会より、大濱代表理事でございます。

 特定非営利活動法人全国地域生活支援ネットワークより、大原代表理事、小田事務局長でございます。

 以上の方々に御出席をいただいております。

 なお、公益社団法人日本医師会様、独立行政法人国立病院機構様については、意見を述べていただき、アドバイザー等からの質疑応答を行った後、所用により途中退席をいたします。

 次に、本日の資料の確認ですが、ヒアリング資料1から10として、先程御紹介した関係団体から事前に提出された平成30年度報酬改定に関する意見資料を用意しております。過不足等がございましたら、事務局にお申し付けください。

 次に、本日のヒアリングの進め方についてですが、本日は3ラウンドに分けて実施をさせていただきたいと思ってございます。まず、1ラウンド目としまして、途中退席されます日本医師会様、国立病院機構様の2団体に意見を述べていただいたところで、アドバイザー等からの質疑応答をまとめて行います。

 2ラウンド目としましては、次の4団体に意見を述べていただき、再び質疑応答を行います。

 3ラウンド目についても、残りの4団体に意見を述べていただき、再び質疑応答を行います。その後、全体を踏まえた質疑応答を行わせていただきたいと思ってございます。

 また、御意見については1団体10分といたしまして、御説明時間が5分を経過した時点でベルを1回鳴らします。10分を経過した時点でベルを2回鳴らしますので、その場合、速やかに意見をまとめていただきますようお願いをいたします。

 なお、御説明については、机上に配付しておりますヒアリング資料の概要ページを用いた上で、こちらから事前にお伝えさせていただいております3つの視点、1つ目が質の高いサービスを提供するという視点、2つ目が地域において利用者の個々のニーズに応じたサービス提供を受けられるようにするための視点、3つ目が持続可能な制度としていくための視点。この3つの視点を踏まえて行っていただければと思ってございます。

 それでは、早速でございますが、御出席の皆様から御意見を賜りたいと思います。まず初めに、公益社団法人日本医師会様、よろしくお願いいたします。

○日本医師会 ありがとうございます。

 日本医師会の常任理事の松本純一と申します。障害福祉を担当しております。

 本日は、このようなヒアリングの機会をいただきまして、大変ありがとうございます。早速ですが、資料に沿って御説明をさせていただきます。

 資料の2ページ、スライド番号の2でございますが、日本医師会の概要でございます。本会は、医道の高揚、医学及び医術の発達並びに公衆衛生の向上を図り、社会福祉を増進することを目的とする団体でございまして、会員はここにありますように、医師168,500余名、そのうち病院・診療所の開設者・管理者は約半分の8万3,600余名、勤務医・研修医が8万4,800余名となっております。

 続いて、3ページの意見の概要を御覧ください。要望は大きく3つに分けておりまして、1つ目が「「重症心身障害児」にあてはまらない医療的ケア児への支援の充実」、2つ目が「医療的ケア児を含めた小児在宅医療・福祉サービス全般」、3つ目が「高齢障害者の介護保険サービス利用について」でございます。

 今回、日本医師会としては、主に医療的ケア児に対する支援の拡充を要望いたします。現在、気管切開や経管栄養などの医療的ケアを必要とする子供たちが、NICU等を退院し、在宅で療養するケースが非常に増えております。推計では、全国に1万7,000名程いるとされております。こうした子供たちの在宅医療・療養に係る支援が求められており、昨年には児童福祉法の一部が改正されまして、医療的ケアを要する障害児が適切な支援を受けられるよう、自治体において保健・医療・福祉などの連携促進に努めるものとされております。本会でも小児在宅ケア検討委員会を設置いたしまして、小児の在宅医療に対応する医療機関をいかに増やすか、また、医師会としてどのような役割を果たすべきかということを中心に検討を進めております。

 最後、24番目のスライドにありますように「どんな子どもも地域で安心してすこやかに生活できる未来を創造する」という理念のもと、次に述べます事項について、要望いたします。

 詳細につきましては、隣の松本吉郎常任理事より説明をいたしますので、よろしくお願いいたします。

○日本医師会 小児在宅ケアを担当しております松本吉郎と申します。

 4ページを御覧ください。「医療的ケア児の重症度の判定基準の導入」についてでございます。御承知のとおり、重度の肢体不自由と知的障害が重複した状態が重症心身障害児になるわけですが、人工呼吸器を装着するような医療的ケア児でも、自力歩行ができ、知的障害のない子供もいらっしゃいます。むしろ動ける子供のほうがケアが大変になるのですが、重症心身障害児ではないということでサービスを受けられなかったり、サービス報酬が下がるため、事業所が受け入れられないといった実態がございます。

 そこで、運動機能と医療的ケアの継続期間を考慮しない、医療依存度の重症度判定基準等を導入し、重症心身障害児と同等に扱った上で、医療的ケアに特化した支援を要する場合は加算を付けることを求めております。

 5ページをお開きください。「短期入所における「高度医療対応型類型」の新設」でございます。医療的ケア児の介護に当たる家族、特に母親は休みなく子供のケアに当たっております。人工呼吸器を装着した子供の場合は、目を離すと数分で亡くなる可能性がありますので、吸引が頻回にあるときはトイレも我慢したりしている状態です。家族の負担軽減、レスパイトのため、短期入所を充実させる必要がありますが、医療的ケアを提供可能な医療型短期入所は報酬単価が医療保険による報酬と比較すると低い水準にあり、参入が進んでおりません。人工呼吸器を付けた子供でもそうでない場合でも単価は同じです。また、人工呼吸器を付けた子供は急変しやすいため、医療保険の病床に移ることもあります。そうすると、例えばその子供用に短期入所として1週間あけていた病床が使えないということもあり、ある大学では半年で1億の赤字になったという話も聞いております。

 そこで、短期入所に「高度医療対応型類型」を新設し、医療型の報酬に加えて、医療保険の障害者施設等入院基本料相当を加算した報酬を付けていただきたいと思います。また、福祉型短期入所でも、主治医や看護職と連携し、喀痰吸引等研修修了者が対応する事業所については、報酬を医療型としていただきたいという内容です。

 短期入所は、今、在宅で頑張っているお子さん、親御さんたちにとっても大事ですが、NICU等に入っている子供の親御さんにとりましても、これから在宅へ移行するのを後押しするものであり、大変重要です。

 6ページです。マル2は、重症心身障害児に該当しない医療的ケア児が重症心身障害児デイサービスを利用できるようにしてほしいという内容です。現状では、重症心身障害児ではない児童を受け入れても、事業所の報酬が下がるため、なかなか事業として受け入れられないという状況です。重症心身障害児扱いとした上で、医療的ケア加算の上乗せを要望いたします。

 マル3ですが、小児ではなく、大人の医療的ケア者の話になりますが、現在の生活介護サービスには放課後等デイサービスのような重心単価や事業所定員の特例がなく、看護師等の雇用が困難であったり、小規模な事業所は定員の基準を満たせず、廃業せざるを得ない状況にあります。小規模の事業所でも看護職等を配置して生活介護を提供できるよう、定員の特例と加算をお願いしたいと思います。

 7ページでございます。「医療的ケア児者に対する通園、通学、通所支援サービスの拡充」をお願いしたいと思います。

 9ページは、相談支援専門員に対する要望です。指定一般相談支援の対象の医療的ケア児への拡大を上げております。

10ページにありますように、精神障害者等については、精神科病院や入所施設から地域に移行する際には、退院前から相談支援専門員が病院に入り込んで支援ができるのですが、医療的ケア児がNICU等から退院する場合はその仕組みがありません。在宅への移行をスムーズに行うためにも、地域移行、地域定着相談の対象を医療的ケア児にも拡大するとともに、入院医療機関においても、相談支援事業所等に対し、計画策定のための情報提供を行った場合には、障害福祉サービス費より報酬が請求できるようにしていただきたいと思います。

11ページには、医学的知識を持つ相談支援専門員の養成の促進をお願いしてございます。

 相談支援専門員制度が導入された際には、対象は主に精神疾患や発達障害を持つ者が想定され、医療的ケア児は考慮されておりませんでした。医療的ケア児者の生活支援に対応したカリキュラムにするとともに、医療的ケア児者コーディネーター配置加算を創設し、養成コースの受講意欲を高め、配置が進むようにお願いいたします。

12ページは、少し大きな話になりますが、現行の障害福祉サービスの給付決定は市町村の担当者に委ねられており、地域差あるいは担当者による差が非常に大きいと言われております。介護保険ではきちんと審査会がありますが、障害福祉の場合はそうはなっていないとも聞いております。また、障害福祉サービスにおいてもきちんと給付管理やモニタリングを行うことで、その人の状態に応じたサービスが受けられるようにすることで予算の適正化にも繋がるのではないかと考えます。

○日本医師会 よろしくお願いしたいと思います。

 最後に、新しく創設されました医務技官がその就任会見で、2018年の診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス報酬の改定につきまして、財源は恐らく薬価しかない、薬価改定で出る財源を医療本体、介護、障害の3つの間でどうするかというような発言がございました。我々はこの発言は全く容認できません。薬価改定財源はあくまでも公的医療保険のものでありますので、介護、障害報酬に充当するという考えは不適切でございます。その点を最後に指摘させていただきまして、終わらせていただきます。

 よろしくお願いします。ありがとうございました。

○内山障害福祉課長 どうもありがとうございました。

 引き続きまして、独立行政法人国立病院機構様、よろしくお願いいたします。

○独立行政法人国立病院機構 このたびはヒアリングの機会をいただきまして、ありがとうございます。国立病院機構の中川と申します。当機構の理事、四国こどもとおとなの医療センターの病院長、また、国立重症心身障害協議会の会長を務めております。

 それでは、時間が限られておりますので、早速ですが、説明に入りたいと思います。

 初めに、当機構について紹介させていただきます。資料の2ページを御覧ください。

 当機構は、国の行政改革に伴いまして、平成16年に国の組織から独立行政法人となり、現在、143の病院を抱える組織となっています。143の病院のうち、障害福祉サービスを実施している病院は、療養介護が82病院、医療型障害児入所支援が81病院、更に短期入所を69病院で行っております。医療とともに障害福祉サービスを提供する機関としては非常に重要な役割を担っていると認識しております。ただ、法人の財務の状況は、経営改善の努力を行いながら、障害福祉サービスと医療の提供に力を尽くしておりますが、昨年度は収支がマイナスとなっております。

 3ページを御覧ください。独立行政法人として定めている業務運営の中期計画においても、障害福祉サービスに関して、療養介護サービスの更なる充実、医療依存度の高い重症児など他の医療機関では受入れの難しい障害者の受入れ、さらに、在宅療養患者の支援のために一時的入院や通所支援等についても取り組むことなどを業務計画として掲げております。これらを実現するため、各病院で障害福祉サービスの提供に努力をしておるところでございます。

 4ページ目を御覧ください。障害福祉サービス等報酬改定に関しての意見を説明させていただきます。要望は大きく3つございます。1つ目が、療養介護サービスにおける人員配置体制の評価の継続。2つ目が、地域生活の環境確保としての短期入所の充実。最後に、療養介護が必要な利用対象者への柔軟な対応の継続についてでございます。

 まず1つ目です。現在、療養介護を行う現場では、利用者の加齢に伴い、筋肉や関節の拘縮の進行による脊柱後弯、側彎、胸郭の扁平化が進んでおり、その結果として、逆流性食道炎などの消化器疾患や呼吸障害が出現する傾向にございます。そのため呼吸器管理、更に加齢に伴う病態の変化などに対応しながらの生活支援が重要になっています。

 また、総合周産期母子医療センター等から退院する重度の病態を有する子供たちも受け入れています。特に9歳以下の重症児では、24時間人工呼吸器を装着している利用者が4割を超えています。超重症児の割合も5割を超えております。残念ながら亡くなる方も多く、医療ニーズが非常に高い状況にございます。こうした利用者の病態に適切に対応しながら支援を行うために、生活支援員を1.7対1や2.5対1と、より手厚く配置しております。

 利用者の重症化が進んでいるため、人員配置体制加算はぜひ継続していただきたいと考えております。

 また、病態が重症化した利用者の生活支援を充実するには、医学的な知識を持つ看護師が生活支援員としての役割を担う重要性が増してきております。例えば、当機構に併設されている特別支援学校には、看護師が利用者に付き添ううことで授業や遠足などの学校行事にも積極的に参加することができています。しかし、人口構造の変化や各施設の地域環境を踏まえると、需要に応じた専門人材を確保していくことは非常に難しくなってきております。

 そこで、看護師が一定数以上の配置がされている場合に、生活支援員に含めるといった現行の取り扱いを継続するなど、サービスの質の確保と人材確保が困難な場合への配慮が必要です。

 持続可能な支援のため、今いる職員がそれぞれの能力を最大限に発揮し、効率的にサービスを提供していく体制を整える必要があると考えていますので、手厚い配置体制の評価を重ねてお願いいたします。

 2つ目の(1)です。医療ニーズの高い障害児者が安心して在宅での生活をするためには、家族の負担軽減を図る環境整備が不可欠でございます。しかしながら、厚生労働省の調査でも、医療型短期入所を利用していない理由に、施設等がない、あるいは近隣にない、あるいは医療的ケアに対応してもらえないという結果が出てございます。現在、当機構では、療養介護を行っている病院の8割以上の病院、すなわち69病院で短期入所を実施、3割以上の病院、29病院で訪問看護を行い、在宅支援に取り組んでいるところでございます。

 今後、限られた障害福祉サービス費の中で療養環境を向上させるためには、施設の増加だけでなく、安心して在宅での生活を送ることができる多職種の連携する支援体制が必要と考えています。当機構としても、積極的に短期入所支援に取り組んでいきたいと考えており、医療ニーズの高い利用者への支援や利用者への緊急時支援に対する評価の充実をお願いしたいと考えています。

 次に(2)です。療養介護を利用している方が地域での生活を希望する場合、在宅ではなく、社会福祉施設等を選択されることもございます。現在、病院から在宅生活への移行をする場合には、地域移行加算が算定できますが、社会福祉施設等へ入所する場合の移行については加算が算定できません。利用者が安心して他の施設等での支援へ移行していくために、関係機関との連携強化が必要と考えます。そのため、他の社会福祉施設等への入所も、地域移行加算の対象にしていただきたいと考えます。

 最後に、療養介護が必要な利用対象者への柔軟な対応についてであります。

 強度行動障害を持つ障害児者は18歳という年齢にかかわらず、入所支援が必要な場合があります。状態が悪化している場合には、精神科的な薬物療法や行動療法などの医学的な管理をしながら生活支援を行う必要もあります。現在、地域によっては、18歳以上の強度行動障害を持つ障害者が新たに療養介護による支援を受けている場合があります。今後も療養介護による支援が必要と判断される場合には、地域の実情に応じて、引き続き自治体の判断による支援を受けられるようにしていただきたいと考えます。

 以上でございます。ありがとうございました。

○内山障害福祉課長 どうもありがとうございました。

 それでは、今、御意見を賜りました2つの団体、日本医師会様と国立病院機構様に対しまして、御質問等がアドバイザーの皆様からあれば、お願いをいたします。

 では、野沢さん、お願いいたします。

○野沢アドバイザー 野沢です。貴重な御意見をどうもありがとうございます。

 日本医師会さんにお聞きしたいのですけれども、医療的ケアの必要な方が地域で暮らすというのがこれからかなり増えていくことは明らかですね。そのときに医療的なケアを誰がするのかということが問題になってくると思うのです。医師や看護師など医療職だけにお願いしていくと、なかなか限界がある。その一方で、家族はかなりのことをやっていますね。なので、福祉職が家族に近いようなこともやれるように、研修等を受けて、ここにも一部出ていますけれども、福祉職が担っていけるようにするというのは、いろいろなことを考えたときに必要かなと思うのですが、その辺りは医師会としてはどのように考えていらっしゃるのか、お聞きしたいのです。

○日本医師会 本当におっしゃるとおりでございます。この医療的ケア児、あるいは小児在宅ケアの領域に関しまして、これはいろいろな方面で言われていますけれども、多職種の連携は非常に大事なことで、まだ全国的にそうたくさん進んではおりませんけれども、そういった多くの関係する方々を集めた講習会等を大阪府とか埼玉県、岐阜県といったところで行っております。

 また、医師に対しても、なかなかこの分野はなれていない方もいらっしゃいますので、小児在宅のケアに必要な実技講習会等を開いて、医療的ケア児への対応につきましては、なるべく多くの方々に携わっていただくような計画を立てて進めております。

○野沢アドバイザー そのときに、福祉職が医療的なケアをできるようにしていくというときの費用です。これは全部、障害者福祉の予算でやるとなると、これもなかなか大変かなと思うのです。先程、薬価を回すのは容認できないとおっしゃったのですけれども、一部、医療的なケアをする部分の費用について診療報酬の側から少し手当てをすること、それもやはりだめでしょうか。

○日本医師会 そういう意味ではなくて、恐らく、往診とか訪問看護などでも、これはいわゆる介護の部分ではなくて、医療的な部分で入るという形になると思いますので、それは当然、診療報酬で手当てすることになろうかと思います。

○野沢アドバイザー あともう一つ、国立病院機構さんに聞きたいのですけれども、強度行動障害の方が療養介護による支援を受けている、これは件数としてはどのぐらいあるものなのでしょうか。

○独立行政法人国立病院機構 143病院がございまして、82病院で療養介護を行っています。その中で9施設が強度行動障害を有する方に対する支援を行っております。

○野沢アドバイザー 強度行動障害の改善に向けては、どのような支援というかサービスをやっているのでしょうか。

○独立行政法人国立病院機構 病態そのものをよくするというのは、精神科的な薬物療法あるいは行動療法にかなり限られてはおりますけれども、生活環境としては、時代とともに非常に改善が進んでいるところです。

○内山障害福祉課長 よろしいでしょうか。

 ほかに御質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、日本医師会様と国立病院機構様については、御意見を伺うのをここで終了させていただきたいと思いますので、御退席いただければと思います。どうもありがとうございました。

(日本医師会、独立行政法人国立病院機構退室)

○内山障害福祉課長 引き続きまして、2ラウンド目としまして、4団体から御意見を伺いたいと思います。

 まず初めに、全国手をつなぐ育成会連合会様、よろしくお願いいたします。

○全国手をつなぐ育成会連合会 ありがとうございます。全国手をつなぐ育成会連合会の会長の久保でございます。よろしくお願いいたします。

 育成会は、約65年前からスタートいたしまして、全国の都道府県、それから8政令市を正会員としておりまして、55団体が正会員で、8ブロックに分けてそれぞれ活動をしております。会員としましては、約20万人強の会員がおりまして、そのほかに私たちの活動を支えていただくための賛助会員もおられます。

 今日のサービス等報酬改定に関する意見の概要でございますけれども、視点1につきましては6項目、視点2につきましては7項目、視点3につきましては6項目ということで、ちょっと量が多いので、私のほうからいろいろ話をするよりも、田中のほうから詳細を説明させていただきます。

 以上です。

○全国手をつなぐ育成会連合会 それでは、視点に沿ってまとめてまいりましたので、順次説明してまいりたいと思います。

 まず、より質の高いサービスを提供していくための方策として、「相談支援」に関しては、現行、個別給付ということで計画相談が進むことになっておりますが、全国的な様子を見てみますと、かなり格差があるという実態がありますので、これをまず質を上げていくということで押さえていただければと思っております。その上で、モニタリングの標準期間について、必要な方にきちんとした支援が届くという視点で、回数を頻回にしていただければと思います。

 地域定着に関しては、地域移行とワンセットで捉えている自治体が多いのですが、家族同居の高齢化による支援不足を補う視点がありますので、一定の基準を示して、例えば70歳以上で、親子2人であれば地域定着が使えるといったような考え方を示していただければと思います。

 先程医師会のほうからもありましたが、NICUの退院の方へのケアを密にしていただきたいと思います。また、児童に関して初回加算が盛り込まれておりますけれども、これを計画相談にも及ばせていただければと思います。

 退院時のカンファレンスに関しても、加算を付けていただければと思います。

 次に「グループホーム」ですが、グループホームが果たす役割は、入所施設をこれ以上つくらないという視点でも重要になっておりますので、重い人が暮らせる仕組みになるように、重度訪問介護手当相当まで重度支援加算を付けていただく。また、高齢化や重度化に加えて、日中支援加算の上限を見直していただきたいと思います。また、建物を確保する上でのスプリンクラー、防火壁などを整えたところには加算を付けていただければと思います。また、個別の利用についてのサービス等利用計画のホームヘルプの現行の経過措置については、恒久化していただければと思います。

 次に「児童発達支援・保育所訪問支援」ですが、保育所訪問の支援先を拡大しましたので、供給が間に合わなくならないような対応をしていただければと思っております。

 次に「自立訓練・就労移行支援・継続支援」ですが、この枠組みに関して、特に就労継続Bの工賃による加減算について検討していただければと思っております。また、成年後見制度を見直しされて、これから促進を図っていくことになりますが、法人後見を事業所運営法人にも及ばすということで広げた場合には、何らかのインセンティブが働く仕組みをつくっていただければと思います。

 次に「入所施設における生活環境の向上や役割の明確化」ということで、現行、入所施設を利用されている方がまだ10万人以上いる中で、多床室に関してはなるべく早く解消する形で、報酬のインセンティブを上げていただければと思います。また、入所施設が閉鎖的と感じている部分もありますので、オンブズマンや第三者の視点を取り入れた対応に関しては、加算をしていただければと思います。

 次に、個々に応じたサービス提供体制の確保に向けての課題ですが、一番力点を置いていただきたい視点として、重度障害者包括支援というサービスがあります。11ページ以降に参考資料として研究成果を付けさせていただきましたが、今、対応している枠組みとしては、3つの分野に及んでおります。1番目が人工呼吸器などが必要な身体障害の方、2番目が最重度の知的障害者、重症心身の方、3番目が強度行動障害の方ということで、今このサービスを実際に利用している方は全国で31人しかいないのですが、31人のうち、2型と3型のみが利用されていて、1型は重度訪問の二人対応ということで対応するところの包括の報酬を超えますので、対応されていないという実態がありますので、この対応について、個別な対応として地域での暮らしがこの仕組みで整うように工夫をしていただければと思っております。

 次に「地域生活支援拠点」です。地域支援拠点に関しては、現在この拠点を設置しようとする際には、グループホームの補助金の採択の順位が上がるという取り計らいをしていただいておりますけれども、それだけでは十分に機能していかない点がありますので、施設整備費をこの枠に関しては積み増すということで進めていただければと思います。

 次に「自立生活援助」になりますが、新設されるサービスとして期待しているところですが、地域定着との併用を可能にして、先程お伝えした高齢の家庭などの支援が整う形にしていただければと思います。

 「就労定着支援」に関しても、個別の対応が十分に対応できるようにしていただくことで、特に最長3年という考え方で今進められているようですけれども、サービス等利用計画によって再延長が可能だということにしていただきたいと思います。

 「医療的ケア児に対する支援」に関しては、先程もお伝えしましたが、医療に関して短期入所、特に欠けている部分がありますので、ここを補っていただければと思います。

 「高齢障害者に対する支援」ですけれども、介護保険への移行ということが大きな課題になっておりますので、高額障害福祉サービスの軽減策が十分に機能するようにしていただければと思います。

 特に懸念される項目について、具体的に50歳から55歳の間で、今までサービスを利用していなかった方たちの懸念がありますので、懸念にならないような対応策を考えていただければと思います。

 行動援護に関して、今、経過措置で従業者資格要件を認めていただいているところですが、まだ対応がし切れていない事業者があるので、延長していただければと思います。

 次に、予算に関しての対応策ということで、まず「グループホーム」ですけれども、グループホームに関しては、重度者が暮らしやすくするための区分による傾斜配分を強くしていくということはいたし方ないと思っていますが、報酬の減額が区分の低い人に対して個別の暮らしの不利益にならないようにしていただければと思います。

 また、グループホームと入所施設を比較すると、補足給付という視点で大きな開きがありますので、家賃補助と施設における補足給付の金額が、足並みがそろうような視点で調整をしていただければと思います。

 次に「放課後等デイサービス」ですけれども、放課後デイサービスに関しては、いろいろ工夫をしていく必要があると思いますが、まずは障害支援区分を用いて、ここも傾斜配分を用いていただく。また、児童の健全育成という視点での位置付けの事業になっておりますが、家族支援の要素もありますので、特に日中一時支援が全国一律に対応されていない現状に関しては、必須事業として地域生活支援事業の中でうたっていただければと思います。

 「食事提供体制加算」ですが、経過措置の終了は受け入れるという前提で、廃止はやむを得ないと思っておりますが、必要な方に対しては、新たに視点を持って対応できるということで取り組んでいただければと思います。

 障害児福祉サービス全般に関してなのですけれども、特に強調したいところとしては、利用者負担のあり方ですが、現行の利用者負担に関しては、以前の措置制度時代から比べるとかなり手厚い水準になっておりますので、応能負担という視点で、負担公平性の観点からも見直しをしていくことが必要だと受けとめております。

 「就労定着支援の制度化に伴う報酬の適正化」についても、御検討いただければと思います。

 「高齢障害者の利用者負担軽減のあり方」に関しても、先程の報酬の利用者負担のあり方と重ねて、必要な対応に関しては必要な金額を検討していただくということも付け加えさせていただければと思います。

 以上です。

○内山障害福祉課長 どうもありがとうございました。

 引き続きまして、特定非営利活動法人日本失語症協議会様、よろしくお願いいたします。

○日本失語症協議会 日本失語症協議会でございます。本日はありがとうございます。

 早速ですが、日本失語症協議会は昭和55年に発足いたしまして、NPO法人認可は平成11年でございます。

 活動は、失語症と麻痺性構音障害の方の患者、家族、支援者によって全国に友の会及び個人会員を擁しております。活動内容といたしましては、全国大会の実施、啓発活動、社会福祉整備のための陳情、失語症に関する調査研究事業、これはほとんど毎年させていただいております。機関誌の発行、ホームページの充実などを心がけております。

 代表は、当事者の八島という者でございます。

 初めに、少し失語症に関して御説明をさせていただきたいと思います。失語症は全国に20万人とも50万人とも60万人とも言われておりまして、正確な数字を厚労省さんもつかんでいない現状でございます。脳卒中の発症者の約30%、また、交通事故や脳外傷、心筋梗塞などで低酸素脳症になった方が、言語野を侵されることで失語症になられる方が多いようです。

 我々はコミュニケーションに関する全てのこと、つまり話すこと、書くこと、聞いて理解すること、読むこと、文章を構築すること、計算することなどが大なり小なり侵されます。重症の方は全失語といって、ほとんど何もお話しになれません。軽い方は単語が出てこないとかそういう方がいらっしゃいます。やはり就労には大きく差しさわります。

 先日行われました失語国際連盟では、ベストプラクティスとして、失語のある方はコミュニケーションと人生、生活にある効果をもたらすようにデザインされた集中的にかつ個人に適した失語症セラピーを提供されるべきである。失語のある人々は、誰一人として彼らのニーズや望みを伝達する手段なしに、また、その達成のための方法や時期に関する計画書なしにサービスを停止されるべきではないという提言がなされております。

 また、本日は意見を述べさせていただきます。

 1つとして、より質の高いサービスを提供していく上での課題及び対処方法に関して。

 まず「(1)報酬単価について」。事業収入を加算にするものではなく、事業所本体の基礎になる報酬に重点を置いて、事業所が安定して運営できる報酬単価にしていただきたい。介護保険事業所も同じですが、特に小規模事業所には手厚い単価設定が必要だと思います。事業所は、一定のサービスを保持する必要があり、報酬減はサービスの低下を招きます。障害特性に応じた事業所の職員及び報酬体系が必要です。事業所本体の報酬単価が認められない場合には、特に、リハビリ専門職や相談専門職が行った行為は一律ではなく、その業務内容に応じた特別加算が必要だと思っております。

 「(2)就労継続支援の質の評価について」。就労継続支援では職員の処遇改善ばかりではなく、職員の処遇改善指標はどれだけ利用者の就労に繋げたか、実績も評価の対象として職員の勤務評価も勘案していただきたいと思います。

 視点2、個々のニーズに応じたサービスの提供云々のところでございます。

 「(1)失語症に特化したコミュニケーション支援サービス」の必要。失語症のコミュニケーションサービスを創設していただきたい。失語症の意思疎通支援に関しましては、失語症状の特性を理解したコミュニケーション支援者の存在が必要不可欠である旨をこれまでも何度となく訴えてきておりますが、今後、失語のある方の社会参加、福祉の向上を実行するためには、失語コミュニケーションに特化した制度が必要です。現在、地域生活支援事業で行われておりますコミュニケーション支援事業、移動支援事業でも、対象は聴覚・言語機能、音声機能、視覚障害者あるいは児となっており、言語障害者は含まれておりません。

 「(2)基準該当サービスへの加算について」。介護保険制度の施設の中で基準該当により、障害福祉サービスの提供が行われている施設に対しては、指定障害福祉サービス事業所と同等の加算を付けていただきたい。十分なサービスを行うためには、一般の障害福祉事業所と同等の加算が必要です。

 「(3)自立訓練に於ける人員配置の見直しについて」。現状、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく障害福祉サービス事業の創設及び運営に関する基準の第52条第1項第2号において、看護職員、理学療法士、作業療法士及び生活支援員となっておりますが、リハビリ3職種として言語聴覚士を追加してください。

 「(4)計画相談支援給付費」。障害福祉サービスはサービス等利用計画の作成が必要で、セルフプランという選択肢もございますが、失語症者は自力での作成が困難です。このため、作成を依頼することが必要になりますが、失語症者のサービス等利用計画の作成を引き受けてくれる相談支援事業所が介護保険と比べ極端に少なく、対応が不十分であり、失語症者の計画作成を受け入れてくれる事業所の報酬を考慮するとともに、相談支援員のスキル向上と質の担保が必要だと思います。

 予算額の視点3です。

 (1)専門職等に対する加算は、配置するだけでは意味がなく実績に応じた報酬にするべきです。質の高い介護やリハビリをしているところを把握し、資格のない者やボランティアに対しての報酬とは差別化すべきです。それぞれの施設の質の向上を促していく上でも必要です。

 (2)実際に相談や研修など実績、実情、事業所の内容をしっかり把握しチェックすることが必要かと思います。施設での経営が妥当に進んでいるかそうでないかを精査、調査するべきです。

 (3)作業所などは、工賃が上がっているか、しっかり就労に結び付けているか等々を精査する必要がございます。単なる工賃をもらえるデイサービスになってしまっているところが少なからず存在する現状がございます。

 (4)それぞれの施設に適した専門職の配置があるか、精査、是正が必要です。

 (5)行政に関する多くの書類等に関して、簡素化が必要です。事務職の負担軽減は経費の節減にもなります。

 私からの発表は以上です。

 何か過不足があれば、山口理事、お願いいたします。

 では、私どもは終了いたします。よろしくお願いします。

○内山障害福祉課長 どうもありがとうございました。

 引き続きまして、社会福祉法人全国盲ろう者協会様、よろしくお願いいたします。

○全国盲ろう者協会 全国盲ろう者協会の理事をしておりまして、盲ろうの当事者の福島といいます。

 私たちも少し障害が特殊なので、盲ろうについてお詳しい方もここにはいらっしゃいますけれども、余りなじみがない方もいらっしゃるかもしれませんので、少し盲ろうの障害とは何かということについて、最初に御説明します。

 私は、今こうやってお話ししておりますが、自分の声は聞こえていなくて、その点は聴覚障害者と同じですが、同時に、皆さんの姿が見えていないという点では視覚障害者と同じです。実際、18歳のときまでは普通の盲人で、18歳で耳が聞こえなくなったのです。そのときは高校2年生の終わりで、この先どうなるかと思いました。ちょうど国際障害者年の年、1981年でしたけれども、高校は卒業できるのかどうか、大学なんか行けるのかどうかと不安でしたが、とにかく前例がないのであればやってみたらどうだと担任の先生に励まされて、チャレンジして、そして多くの人たちに、今で言えば通訳介助者に相当するサポートですね。通訳者、そして一緒に移動してくれる人が私の周りに出てきたので、大学に入ることができました。

 その後、大学院に進んで、幸い大学教員になって、今は東京大学で教員をしております。これは全て通訳介助者がいてくれたから。人の手によって助けられる、人の手によって生きると言葉でよく言いますが、私はまさにそれを具体的に感じながら生きてきました。

 一方、ちょうど私が盲ろう者になったのと同じころに盲ろう者になった男性で、そのとき30歳ぐらいだったようですが、もともと耳が聞こえなかった人で、御家族はいたのだけれども、御家族も耳が悪かったり、ほかにも障害があったりして、コミュニケーションができなくなって、その方は東京の真ん中、ある23区の一つに住んでおられるのですが、情報がなくなってしまったのですね。御家族も亡くなっていく。その人は家の中のことは何とかできるから、食事とかお風呂はできるのだけれども、情報が入らない。30年たって、今から4年程前に私たちの団体と繋がって、手話も大分忘れかけていらっしゃったのです。盲ろう者の場合は、普通の手話ではなくて手でさわって手話を行うのですけれども、そのときの話を聞いて私が驚いたのは、元号が変わったということ、昭和天皇が亡くなって平成になったということをその人は知らなかったのです。すごくショックでした。東京の真ん中にいて、そういうことが伝わっていない人がいたということ。これが盲ろう者の一つの典型的な例です。

 それで、どうしていけばいいのか、盲ろう者の福祉をどう進めていけばよいのかということになりますが、2年前、平成2712月に社会保障審議会の障害者部会で方針を出してくださっているのです。先程の失語症の皆さんも含めて、意思疎通の支援については基本的に現行の支援の枠組みを継続しながらも、盲ろうとか失語症などの障害種別ごとの特性やニーズに配慮したきめ細やかな見直しをしておくべきという方針を出してくださっています。これは本当にありがたいことです。

 やはり特殊なニーズを抱えていますので、これまでの枠組みだけでは限界があります。福祉制度に関連して、今は地域生活支援事業で盲ろう者の通訳介助者の養成や派遣などをやっていただいているわけですけれども、物すごく格差があるのです。都道府県の差があったり、あと絶対量も少ない。大体全国平均で月に十何時間かです。少ないところだと月に数時間しかサービスが利用できない。これはその数時間しか情報が伝わらない、コミュニケーションができない、移動ができないということですので、これはもう確かに、御飯を食べて、トイレに行ってということはできるけれども、人間として文化的な存在として生きるということがほとんど許されていない状態なのです。

 でも、御承知のように、地域生活のほうは全体的な額に制約もありますし、メニュー事業的な性格ですから、ほかの様々な障害の皆さんとのパイの分け合いみたいな感じになってしまって、盲ろう者みたいな後から出てきた、これまで分からなかった障害者は非常に不利になっていくのです。地方に行けば行く程その傾向が強くて、それで、やはりこれは新しい制度、同行援護の中に盲ろうを加えていただいて、そして、盲ろう者向けの通訳もできるガイドさん、いわば手話通訳兼ガイドヘルパーみたいな人ですね。両方できる人、1人2役できる人が通訳介助者なのですが、そういう人をとにかく同行援護の中に入れていただけないかというのが私たちの願いです。

 盲ろう者加算をすることで、盲ろう者向けの通訳もできるガイドが確保されたら、地域の人たちも含めて、日本のどこにいても最低限のコミュニケーションと移動ができるかなと。

 ただ、1点お願いしたいのは、そこで国庫負担基準もきちんとお考えいただきたい。そうでないと、端的に言えば、加算されて単価が上がっても、派遣時間が減ってしまったというのでは意味がないので、その点は御配慮いただきたいと思っています。

 以上です。

○内山障害福祉課長 ありがとうございました。

 引き続きまして、2ラウンド目の最後、4番目でございますけれども、公益社団法人日本看護協会様、よろしくお願いします。

○日本看護協会 よろしくお願いいたします。

 障害福祉サービスに関しまして、このように意見聴取の機会を初めていただくことができました。ありがとうございます。よろしくお願いします。

まず1ページ目から御説明いたします。日本看護協会の概要ですが、設立は昭和21年、今年70周年を迎えます。

 活動目的及び主な活動内容は、保健師・助産師・看護師・准看護師の資格を持つ個人が自主的に加入し運営する、日本最大の看護職能団体となります。主な活動内容は、看護の質の向上、働き続けられる環境づくり、ニーズに応える看護領域の開発・展開です。

47都道府県看護協会と連携して活動しており、会員数は、約71万人です。

2015年にあらゆる世代の命、暮らし、尊厳を守るという看護の将来ビジョンを発表しております。今年度は重点施策として、NICUGCUからの退院支援を中心的に担える看護師の育成研修事業などを行っております。退院支援から看護師が関わることが多い医療的ケアを必要とする重症なお子様が増えていることを鑑み、その家族も含めて命、暮らしを支えるという視点から、本日は意見を3点述べさせていただきます。

 第1に「医療的ケア児へのサービスの充足」について。こちらは、泊まり・通いのサービスの充実及び移動サービスの充実について。第2に「共生型サービスへの参入のしやすさに配慮した基準の検討」について。第3に「医療・福祉両面からのサービス調整を可能にする連携・協働の強化」です。

 ヒアリングに際しては、障害福祉サービスを行っている事業所、訪問看護ステーション、NICUGCU、小児科を有する病院などに情報収集を行いました。

 まず第1の「医療的ケア児へのサービスの充実」、泊まり・通いのサービスについてです。医療的ケア児へのサービスの充実に関しては、既に日本医師会、国立病院機構さんから資料も出されておりまして、同じような背景を踏まえております。こういった状態のお子さんたちが泊まりや通いのサービスを受けられるようになりますと、介護者が休息できたり、医療的ケア児の兄弟の育児時間を確保できたり、あるいは就業継続や社会復帰が可能になるのではないかと考えまして、以下の3点を提案します。

1つ目に、視点2に関しまして、医療的ケア児の受入れのためには、心身の状態を観察し、異常の有無のアセスメントが必要であり、医療行為が実施できる看護職の配置が必須ですので、こちらを評価していただきたい。

2つ目に、視点3にも関係しますが、施設やサービスを新設するのは難しいので、地域密着型のサービスとして既に看護職配置のある看護小規模多機能型居宅介護事業所あるいは療養通所介護事業所を活用することが望ましいと考えます。こうした事業所が、医療的ケア児の自宅近くの泊まり・通いの場として活用できるようにしていただきたい。

3つ目に、視点1に関係して医療的ケア児が利用できる放課後等デイサービスの整備・推進をしていただきたい。

 看護小規模多機能型居宅介護事業所、通称看多機につきましては、参考資料4で少し御説明を加えさせていただきたいと思います。

 平成24年に創設された地域密着型サービスで、現在、全国に約350カ所ございます。医療ニーズの高い人の地域での生活継続が目的で設置されております。通い、泊まり、訪問看護、訪問介護の4つのサービスを柔軟に組み合わせて提供できます。24時間365日利用することができます。

 看護の配置は看護小規模多機能型居宅介護の中で柔軟な運用が可能となっています。設置基準としましては、登録定員が29名以下です。平成27年度より基準該当サービスとして障害福祉サービスへの登録が可能となりましたが、まだそちらについては登録数が多くありません。ヒアリングによりますと、基準該当サービスで障害児者を受け入れると29名の枠の中での受入れとなり、高齢者の利用数を制限しなければならないということで、かなり制約を感じていらっしゃる現状があります。

 続きまして「医療的ケア児へのサービスの充足」の2つ目、移動サービスの充実です。こちらは参考資料5を御覧いただきますと、医療的ケアのあるお子さんは呼吸器を付けていたり、あるいはほかのデバイスが装着しているためにそれらを搭載できるような大きな移動装具が必要となります。例えば右のようなワンボックスカーですと、軽度の発達障害のお子さんですと5人から7人を一度に送迎できるのですが、右のお子様のように、ワンボックスカーを改造しても1度に1人しか送迎できないというような状況もございます。そのため、何度も送迎を繰り返さなければいけないという状況があります。これに関しまして、4つ提案があります。1つ目に、移動に関連する報酬単価を引き上げていただきたい。2つ目に視点1、2に関連します、物的・人的資源への補助の充実。3つ目に成長・発達や体格の変化に合わせた移動具の開発・普及。4つ目に看護師が移動支援、同行援護、行動援護等にかかわっている場合には、報酬上評価をしていただきたい。

 第2に「共生型サービスへの参入のしやすさに配慮した基準の検討」をして頂きたい。現在、療養通所介護事業所においては、重症児者、医療的ケア児を基準該当サービスで受け入れておりますが、先程別の団体もおっしゃっていましたが、急な入院や欠席等で毎日定員を満たすことが難しく、人員配置は経営上苦しい状況があります。そのため、既に看護職配置のある看護小規模多機能型居宅介護事業所等の障害福祉サービスへの参入をしやすくするためにも、人的設備、運営基準等を柔軟なものとして参入を促進していただきたい。また、欠席時の加算の引上げを検討していただきたい。

 第3に「医療・福祉両面からのサービス調整を可能にする連携・協働の強化」という体制整備についてです。現在、相談支援専門員が医療的ケア児の福祉サービスの調整に関わっていますが、大きく2つの局面で、やはり看護師が関わる必要があると考えています。

 まず1つ目ですが、NICUGCUからの退院時に看護あるいは病院のソーシャルワーカーと一緒に相談支援専門員が入ってサービス調整に関わるということ。2つ目は小児の場合はライフイベントやライフステージによって様々ニーズが変化しますので、サービス調整において医療ニーズも含めて訪問看護師と相談支援専門員が連携・協働できるような体制を強化していただきたい。

 提案としましては、まず、充足が進んでいる相談支援専門員と医療的な知識・技術を有する看護師が連携・協働してサービスの調整役を担うための報酬上の評価をいただきたい。

 また、サービス会議等を持つ場合には、同様に評価して頂きたいという点です。

 以上です。

○内山障害福祉課長 どうもありがとうございました。

 それでは、只今2ラウンドで4団体の方に意見をいただいたわけですけれども、全国手をつなぐ育成会連合会様、日本失語症協議会様、全国盲ろう者協会様、日本看護協会様の4団体からの御意見に対して、御質問等があればアドバイザー等の皆さんからお願いをしたいと思います。よろしくお願いします。

 では、二神さん、よろしくお願いします。

○二神アドバイザー 貴重な御意見をありがとうございました。

 日本看護協会様にお伺いしたいと思うのですけれども、御説明いただきましてありがとうございました。医療的ケア児へのサービスの充足ということで、看護職の方の配置が非常に重要だということをお伺いしたのですけれども、特にこの検討チームでも言っております専門性の向上によってのサービス、質の向上の観点重要だと思うのです。

 今、看護職の方たち、長時間労働であるとか労働環境が非常に厳しい中での労務管理のいろいろな問題があると思うのですけれども、そういった労働環境をよくすることによって離職率の低下、定着率を向上させるということの取組みが非常に重要になってくるかと思いますが、どのような具体的な取組みをされているのか。例えば、長時間労働が問題なので、ワーク・ライフ・バランスの充実であるとか、看護職の方たちも非常にスキルアップということを望んでいらっしゃると思うので、そういうスキルアップのための環境づくりであるとか、教育訓練であるとか、そういったことなども考慮されて取り組んでいらっしゃるのか、お伺いいたします。

○日本看護協会 御質問ありがとうございます。

 ワーク・ライフ・バランスについては、以前よりワーク・ライフ・バランス促進の事業を行っております。インデックス調査などを行って、各施設での労働環境についてのベンチマーキングなどをして、改善ポイントをそれぞれの施設で上げて改善していくという、それをまた看護協会がサポートするような事業を行っております。

 もう一つは、夜勤を行うことが看護師の働き方の大きな特徴ですので、夜勤のガイドラインなどを作成し、長時間の夜勤を避けるためのシフトの組み方などに関して管理者に教育を行っております。

 スキルアップにつきましては、本協会や各都道府県協会のほうで様々な研修を行っております。看護師という国家資格だけではなく、認定看護師、専門看護師というようなスキルアップの道筋があります。訪問看護を始めるナースや地域に出ていくナースを増やすためにも、訪問看護入門プログラムなどを作成して、支援しております。

○二神アドバイザー ありがとうございます。

○内山障害福祉課長 よろしいでしょうか。

 ほかにございますでしょうか。

 それでは、上條さんから、お願いします。

○上條アドバイザー ありがとうございました。

 幾つかお伺いしたいのですが、日本失語症協議会の方に、失語症の人に特化したコミュニケーションサービスが必要だというところなのですが、現状は特にないわけで、皆さんどのように現状はコミュニケーションの支援を受けているのでしょうか。

○日本失語症協議会 ありがとうございます。

 現状は大体、私も山口も家族でございますが、ほとんど家族が担っているのが現状でございます。そして、各地で失語症会話パートナーといういわゆるボランティアが養成されており、市区町村が養成しているところがぼちぼち出ている。あと、個人的に言語聴覚士の集まりであるグループが養成して支援しているという形もございますが、あくまでもボランティアであり、一緒に行動することの支援ができる。単なる会話の支援だけ、それも個人の尊厳にかかわるような刑事事件とか裁判にはもちろんつき添えない。単なる会話相手ということに限定されております。

 一昨年ですが、厚労省さんのほうで意思疎通支援者が必要ではないかということを検討いただきまして、まだそれは実際には行われておりませんが、希望的観測では将来それが制度化できるのではないかと。都道府県単位で言語聴覚士協会さんとも協力して、それが可能になれば、またそれに対する加算もお願いしなければならないという現状でございます。まだほとんどございませんというのが現状でございます。

○上條アドバイザー 支援者はそれぞれとても個別性が高くなるかと思いますので、どのように資格みたいなものをつくっていくのかというところが課題なのかと思います。

 そういう意味では、盲ろうの方も通訳手段といいますか、意思疎通の手段が人それぞれ、様々という中で、現状では地域生活支援事業の中で通訳介助者の派遣があるわけですが、御意見の主なところとしては、これを個別給付の事業に変えていくというところが大きいのかなと思います。個別給付になった同行援護で対応できるようになったとした場合に、コミュニケーションの手段が人それぞれ多様な方法になってくるということで言うと、1人の通訳者が複数の人にどれだけ汎用性のある通訳とか介助ができるのかといったところが課題かなとも思っています。

 それから、盲ろうの方でも現行の通訳介助者派遣事業を使っていない方も結構たくさんいらっしゃると思うのですが、その点はどうすれば利用者が増えていくとお考えかというところをお伺いしたいと思います。

○全国盲ろう者協会 最初の点で、個別給付にかえていくということだろうかという御指摘ですが、これは変えていくのではなく、先程の報告書にありましたように、従来の施策を基本にしつつ、更にきめ細かな対応をしていくという方針ですので、今ある地域生活の、十分ではないですけれども、それはそれとしてメリットの部分もありますので、それは残しつつ、だけれども、絶対的に予算が不足しているところやサービスを提供する体制が不足しているところがあるので、そこにプラスして個別給付を実施していく。だけれども、現実問題、おっしゃったように、盲ろう者が余り利用していない地域があった場合に、それだけで個別給付の事業が成り立つということが考えにくい地域もありますので、そこでいかにユーザーを掘り起こしていくかということはあります。

 ただ、盲ろう者というのは、手帳で調べた限り、全国で1万4,000人ぐらいなのですが、65歳以上が8割ぐらいなのです。これはほかの障害者も似たようなものかもしれませんけれども、非常に高齢の方も多いですし、更にほかのいろいろな御病気が重なっていて、コミュニケーションがどうという以前に、生命を維持するところのケアがすごく大事な人もいらっしゃるので、私たちの予想では、今、通訳派遣を利用している人は1,000人ぐらいですが、今後増えたとしても、どんなに増えても2,0003,000というぐらいであって、1万とか2万に増えることはまずあり得ないと思っております。数が少ない。だから、ばらまかれている状態になっている。その中でどうやっていくかという工夫。

 多分、全身性障害の皆さんは数千人だったと思いますが、ちょっと似ている雰囲気かなと思っていますので、いろいろなノウハウも学びながら、少ない中でどうやっていくか。どうやって既存の制度も組み合わせながら、同行援護のいいところを利用しながらやっていくかということだと思っています。

 1人の通訳者がいろいろな盲ろう者の通訳をできるかということは、確かにそれは大変なのですが、例えば今日私と一緒に来ている人は、こちらの人は指点字がメーンですが、こちらの人は指点字と手話も一定程度はできます。それから、ほかの方法も細かく言えばいろいろあるのですが、つまり、盲ろう者の通訳者というのは得意なコミュニケーションが最低1つ、だけれども、できれば2つ以上身に付けるというような、軍隊で言うと特殊部隊みたいな人たちなのです。だから、脱落する人も割と多いし、やりながらしんどくなってしまう人もいるのですが、でも、できた時の感動とか達成感はすごく大きいので、続く人もいるみたいな感じです。そういうことで、私たちは通訳者の養成ということをすごく大事にして、その負担は今も個別給付になってからも同じだと思っています。

○上條アドバイザー どうもありがとうございました。

○内山障害福祉課長 引き続きまして、岩崎さん、よろしくお願いします。

○岩崎アドバイザー 貴重なお話をありがとうございます。岩崎でございます。

 1つは、日本看護協会様にお尋ねしたいのですけれども、看護小規模多機能型居宅介護事業所のお話を大変興味深く聞かせていただきました。あと、訪問看護ステーション等も最近は増えていらっしゃると思うのですけれども、実際に福祉サービスの中に入ってきていただける看護職の方というのは、皆様のお話にもあったように、まだ十分ではない状況だと思います。ただ、それが賃金だけの問題なのかどうなのかということで、賃金以外のところで看護職の方たちが定着するために何か必要な条件とかがあったら、ぜひ教えていただきたいと思います。

 もう一つは、その他の団体の皆様に、先程来、コミュニケーション支援のことがありますが、コミュニケーションを支援するということ、つまり意思決定支援に繋がっていくことだろうと思うのですけれども、それを報酬と関連したところで意思決定支援について何かお考えをお持ちの団体様がいらっしゃったら、教えていただきたいと思います。

 以上です。

○内山障害福祉課長 では、まずは日本看護協会様から、よろしくお願いします。

○日本看護協会 ありがとうございます。

 やはり賃金や待遇の違いというところは大きいですが、今、病院施設で働いているナースの中には、まだ地域で展開される看護についてよく知らないという側面があると思います。そこで、看護協会でも様々な情報発信をしたり、病院の看護管理者と地域の看護管理者などがいろいろな場で連携を取れるような、職場を超えた地域での看護職同士の連携事業なども日本看護協会から働きかけたりしております。

 また、病院の看護師が一定期間、訪問看護ステーションに出向するというモデル事業も施行しております。そういう中で地域の看護に興味を持つ看護職が増えることを期待しております。

○内山障害福祉課長 では、意思決定支援についてのコメントがある団体としまして、日本失語症協議様、どうぞよろしくお願いします。

○日本失語症協議会 私どもでも、実はいろいろ意思決定支援について御相談をいただきます。先日も、弁護士さんから遺言について、失語症者の書いた遺言は妥当というか、正当性があるのかという質問をいただきました。失語症の方は、表出が無理ということであり、頭の中ではその文章は浮かんでいるのです。ですから、正確な意思疎通支援の方法のスキルを持った者が、その遺言書なり証言なりをすれば、それは有効ではないかと思うのですが、その失語症者の状態を私どもは直接会って拝見しているわけではないので、その弁護士さんには、何とも申しようがございませんと言いました。

 つまり、失語症の方は表出ができないけれども、何か考えたり決めることは自分の意思でできる方が多い。でも、それを表出する手段がないので、それが法的に認められる場合が少ないという現状がございます。先程刑事事件ということもありましたけれども、加害者ではない、被害者であった者が加害者にされてしまう。また、法律で本人の意見しか証言として認められないので、裁判に負けるという方が多く出ております。つまり、担当言語聴覚士が助言しても、それは本人の証言ではないので認められないという現状がございまして、それは基本的人権にかかわるのではないかと私どもでは考えておりまして、協会としても、どうにかしなければいけないと今、悩んでいるところでございます。

 すみません、山口からも。

○日本失語症協議会 ちょっと視点が変わるかも分かりません。失語症の方の場合は主に言語のリハビリが中心でございます。これは言語聴覚士の方と個人とが個室でレッスンを行う。そうしますと、聴覚士の方のレベルによって、すばらしい聴覚士に訓練を受けた方と、そうでない方の場合では格段の違いがございます。今のサービスの報酬でいきますと、どちらもこれは差がないと思うのです。

 これは難しいことかも分かりませんが、私どもの先程の資料の視点3の中に、事業所の実績、内容をしっかりチェックしていただきたい。その中に研修という言葉がございますが、言語聴覚士のみならず、作業療法又は理学療法、こういう方々のレベルアップをどうしていくのか。特に個室で行う言語聴覚士の場合は、レベルアップというのはなかなか難しい。そうすると、モニタリングをして、後程上司ですとか同僚がお互いに意見を交換しながらアドバイスをしたり、レベルアップをしていく。そういうことによって、より質の高いサービスを失語症の方にしていけるのではないかと思っておりまして、やはり報酬単価という観点の中に、質というのは加味できないかということで、今日の観点とはちょっと違うかも分かりませんが、ぜひ質の評価を加味した報酬ということをやっていただきたいと思いますし、事業所の中でこういう研修が盛んに行われる。そうすると、いい事業所にはたくさんの方が入っていく。逆に、そういう方が来れば事業の運営として助かる。そうなると、盛んに事業所の中でいかにレベルアップをしていくかということが事業所同士の中での一つの競争というようなものになっていくので、ぜひ実績ですとか研修という事業の中身を評価するような、これは大変難しいことだと思うのです。何で評価するのかというのがあるかと思いますが、ぜひ質の評価というものを加味した報酬、サービスという観点を折り込んでいただけたらありがたいと思っております。

○内山障害福祉課長 ほかに意思決定支援に関して。

 それでは、全国手をつなぐ育成会様。

○全国手をつなぐ育成会連合会 意思決定支援とコミュニケーション支援、意思疎通支援は分けて考えるべきだと思っております。意思決定支援に関しては、本人の主体性の尊重ですので、報酬云々にかかわらず、基本的な原則として進めていく必要があると思っております。

 また、コミュニケーション、意思疎通支援ですけれども、意思疎通支援に関しては知的発達障害の方はコミュニケーション障害という捉え方も必要になりますが、伝え方や本人の情報発信の受けとめに関して十分やりとりが開発されていないと認識していますので、分かりやすい情報提供ということで、差別解消法でもそこが大きな課題ということで、情報アクセシビリティーに関しては明示されておりますので、ぜひ国としてはこの手段に関しての研究開発をして、その開発した結果が般化される、誰でもが使えるようにしていくことで、個別の報酬に載せてしまうと対応する人が限られると思いますので、個別の報酬とは余りなじまない仕組みだと理解しております。

○内山障害福祉課長 ありがとうございます。

 ほかに意思決定支援に関しまして、コメント、御意見のある団体はありますでしょうか。

 3ラウンド目でお聞きいたします4団体の皆様には、まだ御意見を聞いていないところですけれども、意思決定支援に特化して何かコメントがある団体がございましたら、この場でお聞きしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

 それでは、日本知的障害者福祉協会様。

○日本知的障害者福祉協会 橘です。

 国のほうでガイドラインをお示しされましたね。それに基づきまして、我々は一昨年度から知的障害の方々の意思決定支援はどうあるべきかということで特別委員会を設けまして、このたびガイドブックを作成いたしました。これは現場で生かせる形と。つまり、障害福祉サービスを利用する大前提の部分、これは相談支援事業が対応するものだと私は捉えているのですけれども、日々の支援に対する意思決定もあるわけです。今日の御飯は何を食べる、何をしたいと、日々の意思決定支援も細かにあるわけですね。そういう部分においては、各事業所の中で報酬ということと関係なく対応すべき問題だと捉えております。

 先程御質問があったことからすると、報酬に関しては相談支援事業の中で含まれるものだと捉えていると現状は考えておりますけれども、いかがでしょうか。

○内山障害福祉課長 ありがとうございます。

 ほかに意思決定支援についてコメント、御意見のある団体はございますでしょうか。

 では、全国脊髄損傷者連合会様、意思決定支援に関して、よろしくお願いいたします。

○全国脊髄損傷者連合会 当会の提出資料の6ページをご覧ください。意思決定というよりも意思疎通に関することですが、障害支援区分の認定調査は、できたりできなかったり場合はできない状況に基づき判断という考え方に基づいて実施されています。例えば、重度訪問介護の15%加算の判定基準の1つに、区分認定のコミュニケーションの項目が用いられています。この項目に対する認定調査員マニュアルの注釈では、運動機能の低下に限らず易疲労感等によってできない場合を含めて判断することとされています。しかし、この注釈が認定調査員にまだきちんと認識されていないと思いますので、これを徹底していただきたいというのが私たちの意見です。

○内山障害福祉課長 ありがとうございます。

 それでは、全国盲ろう者協会様。

○全国盲ろう者協会 報酬の問題とは直接関係ないのですが、せっかくお話が出ているので一言だけ。

 私は、自分自身の経験もそうだし、多くの盲ろう者との触れ合いやその人たちへの支援の様子を見てきて痛感するのは、意思決定というのはコミュニケーションがないとできないということです。つまり、盲ろう者の場合はコミュニケーションがないと何もないので、スイッチを切っているテレビみたいなものなので、何も見えず聞こえないという状況では、そもそも意思を決定することができない。これは知的障害があるかないかということとはまた別の意味で、どうにもならないということがありますので、少なくとも盲ろう者の文脈では、意思決定支援とコミュニケーション支援はかなり深くかかわっていて、中にはボーダー的な人もいらっしゃいますし、すごく深い問題だなと思っていますし、両方とももちろん大切で、双方を視野に入れた支援の構築が今後、いろいろな障害種別で必要なのだろうなと思います。

 以上、感想です。

○内山障害福祉課長 ありがとうございました。

 少し時間の関係がございますので、また御意見がございましたら、最後の全体を通じたところでさせていただきまして、一旦議事をもとに戻させていただきまして、2ラウンドの4団体、全国手をつなぐ育成会様、日本失語症協議会様、全国盲ろう者協会様、日本看護協会様に対しまして、御質問等のあるアドバイザーの方がいらっしゃれば、引き続きお願いします。

 では、野沢さん、お願いいたします。

○野沢アドバイザー 「もうろうをいきる」という映画がもう間もなく公開されるのですが、それを見たのですけれども、私は盲ろう者というと福島さんぐらいしか知らないのですが、コミュニケーションも、盲をベースにしたものと、ろうベースにしたものと、先天的な盲ろうをベースにしたものと全く違ったりして、生き方そのものもそれぞれ違って、佐渡でひとり暮らしをしている女性なども中に登場してくるのですけれども、それを考えた時に、1万4,000人ぐらいいらっしゃると聞いたのですが、全国に薄く広くぽつんぽつんといて、またそれぞれニーズが違うと、なかなか政策提言としてのニーズを形成されにくいというか、要求しにくいという非常に不利な状況に置かれているのは間違いないと思うのです。

 どこで誰がどう暮らしているのかすらもよく分からない。そういう方々にサービスなりいろいろなものを結び付けることと、それぞれ多様性に満ちたコミュニケーション支援のできる人を養成していくということを考えた時に、どのようにすればいいのだろうなと思うのです。加算だけで果たしてそれができるのかという感じもするのですけれども、その辺について何か工夫といいますか、どのようにすればいろいろな方をサービスに結び付けて、しかも、いろいろそれぞれ個別のニーズに応じたコミュニケーション支援ができる人を養成できるのかという辺りについての提案というか、アイデアがあれば教えていただきたいのです。

○内山障害福祉課長 全国盲ろう者協会様、お願いいたします。

○全国盲ろう者協会 まず、映画のこと、ありがとうございます。「もうろうをいきる」というタイトルの非常に地味なドキュメンタリーなのですが、余りおもしろくはないけれども、いい映画です。ストーリーがあるというわけではないけれども、いい映画です。つまり、私のようなちょっと特殊な人間ではなく、普通の盲ろう者が出てくるということです。今度、厚労省で26日にやらせていただきます。午後6時か6時半くらいですので、余り残業なさらないで、見に来ていただければいいかなと。

 今のお尋ねなのですが、本当におっしゃるとおり、言ってしまえば盲ろう者一人一人全て違うとも言えるのです。例えば、コミュニケーションで手のひらに字を書く手書き文字というものがあります。私の手のひらに通訳者が「あいうえお」と平仮名で書いたり、片仮名で書いたりする、それなんか一番簡単ではないかと言われるのですが、一番難しいのです。これは見えて聞こえる膨大な情報の中から何を選んで、何を表現するか。しかも、読者が1人しかいない。つまり盲ろう者が1人しかない。読者が1人しかいない新聞をつくっているようなもので、文字で世界を切り取りつつ、読者の読解力が一人一人違うから、難しい表現をしていい人とそうではない人とか、あるいは関心を持つジャンルが違うこともある。そういうことに配慮しながらやっていくということは、結局はまさに個別支援しかなくて、最終的にはパーソナルアシスタンスですね。1人の盲ろう者に1人ないし何人か少人数の支援者チームがつくみたいなのが恐らく理想で、ただ、そこまで行くためにどうやって過渡期を通過していくかということは難しい課題です。でも、基本は一対一のコミュニケーション、それを通して通訳をするにしても、何をするにしても、その人の気持ちになって、その人の得意なコミュニケーション方法でやるということ。そうでないと余りにも個別性が大きくて、そして障害が重いから、何か決まったコミュニケーションを一つぽんと決めて、それをやってくださいといってもだめなのですね。

 その点、アメリカなどは全員手話で統一するので、音声や盲から盲ろうになった人などはすごく困っているのですが、そんなのは自分が勉強しないからだめだということで切り捨てるのです。日本はその点、かなりきめ細かく丁寧にやっているので、何とか日本のよさを残しつつ、でも、おっしゃったような難しさにも挑戦していきたい。ゴールはパーソナルアシスタンスだろうという感じです。

○内山障害福祉課長 ありがとうございました。

 ほかに御質問ございますでしょうか。

 それでは、なお御質問がある場合には、また最後の全体を通じた部分で御質問していただくこととしたいと思います。

 引き続きまして、3ラウンド目の4団体に移りたいと思いますが、まず、社会福祉法人日本盲人会連合様、よろしくお願いいたします。

○日本盲人会連合 ありがとうございます。日本盲人会連合からは、竹下と及川が出席しております。6つの制度について報酬改定のお願いをしたいと思っておりますが、今日は時間の関係上、外出時における私たちの安全、命にかかわる部分の制度の充実と、もう一つは子供の発達について主張させていただきたいと思います。

 具体的には、及川副会長から述べさせていただきます。

○日本盲人会連合 日本盲人会連合の副会長の及川といいます。

 この1年間、鉄道駅ホームから視覚障害者が転落し、死亡したり、怪我をしたりするという事故が多発しております。こういったことを私たちも検証して、どこに原因があるか、どこを改善すればいいか、今後将来に向けてどうしたらいいかということを常に団体内で論議を深めております。

 本日は、竹下会長から話があったように、大きな項目として3点挙げさせていただいております。これはどの項目も連動しているものですので、その点をお含みの上、お聞きいただければと思っております。

 まず、大きな1番の「自立訓練(機能訓練)」のことですが、実はこの概要にも書かせていただきましたけれども、機能訓練のニーズと、訓練する事業所・施設とがミスマッチしているという実態があります。例えば、歩行訓練をする場所が全国的に非常に少ない状況があります。したがって、私もそうなのですが、きちんとした歩行訓練、つまり、独立して歩くという訓練を受けていない視覚障害者がいます。

 また、私も家庭を持っておりますが、いずれは家内に旅立たれたて、1人で生活することも考えられます。ただ、私は日常生活における訓練というものを受けておりません。私のように、全国の多くの視覚障害者が日常生活作業のノウハウを会得しておらず、日常生活の質、QOLを高める訓練を受けていないという実態があります。

 そこで、昨年度、私たちの調査、厚生労働省の平成28年度障害者総合福祉推進事業「視覚障害者のニーズに対応した機能訓練事業所の効果的・効率的な運営の在り方に関する調査研究事業」で、このことについて調査しました。この調査に基づいて私たちが考察し、自立訓練(機能訓練)について、今後のことをどうするかということを述べさせていただきます。

 1つは、人員配置、報酬を実態に合わせるということをお願いします。これが視点の1です。これは先程前段にもお話しいたしましたように、身体障害者の訓練施設、いわゆる手、足、体幹、それぞれの訓練施設は全国に190施設あります。しかし、視覚障害者の訓練施設は全国に17しかありません。前段にお話しした、私たちが調査した実態調査の中では、参考資料の18ページにも掲げさせていただいておりますが、自立したい、訓練を受けたいというニーズが約60%あるのですけれども、なかなか施設が少なくて、訓練を受ける状況にないという実態があるわけです。したがって、このような点を今後、改善していっていただきたいと考えております。

 人員配置については障害者の自立訓練施設においては1対6の人員配置で訓練を受けています。しかし、私たち視覚障害者への訓練は、指導していただく方からの模倣、いわゆる伝達することをうまく受けとめることが大切なので、できればマンツーマンでやっていただくのが一番望ましいのです。ただ、そういった状況にないので、本当は人員配置を1対1にするのが望ましいのだけれども、せめて1対2.5ぐらいに人員配置の見直しをお願いしたいと考えております。

 2番目は、訪問に関する格差の加算を設定してほしいということも、ここに掲げさせていただきました。

 それから、3番目として、通所手段の確保も確立してほしいと思っております。私たちは、自立に向けてはもちろん職場への通勤、学校への通学、就労支援事業所等への通所、これらのことがないと自立はあり得ないことだと思っております。

 4番目の自立訓練等に繋げる相談についても、やはり在宅でいろいろ悩んでいる仲間が多くて、前段で述べたようなことを含めて相談に乗ってあげて、自立に向けた支援をしていきたいと思っております。

 次は、大きい2番目の「同行援護」についてです。同行援護事業については、現在、身体介護を伴わない形での報酬という設定になっていることが多いと理解しております。ただ、実際は、私も同行援護を受けているのですが、身体介護を受けています。例えばどういう時かといいますと、尾籠な話になりますが、トイレに行った時に、こうして用事するのだよとか、和式だとここをまたいでくださいとか、それから、大きな堰とか水ためで、このくらい足を出してと手足をとっていただいて等、このような形で援護いただいているのです。そういう意味では、ぜひ身体介護を伴わないではなくて、介護を伴うという一本化を目指していただきたいと思っております。

 それから、運営事業者についてお話しさせていただきますと、単価が安いために、非常に収支バランスが悪い状況です。調査によりますと1割の事業者が事業所の廃止もしくは縮小を考えざるを得ないと答えております。これは厚労省が昨年実施した調査からの実態です。そのため、事業所の運営を安定させるために、身体介護が伴う同行援護の報酬に一本化していただきたいと思っております。

 最後に、大きな3番目の「その他の障害福祉サービス」です。先程竹下会長からお話がありましたが、基本的にここには、私たちにかかわるサービス・事業を掲げさせていただきました。なぜなら、すべからく視覚障害者の特性を配慮したサービス・事業にはなっていないということをお話ししたかったからです。特に4番目の児童発達支援事業に関連する内容で、今、岩手県でこのことをどうしようと本当に悩んでおります。といいますのは、これはちょっと余談になりますが、私は教育と福祉というのは連動していると思っています。それは、学校では生活の有り様とか生活の社会的な知識を持つような教育をしていただいて、社会に出てきた時にはきちんと自立に向けた社会資源が構築されていないと、重複視覚障害者は自立できません。現在、障害福祉サービスの中で重複視覚障害者、いわゆる視覚障害を持ちながら知的障害を持つそういう方々が、社会自立資源が全く構築されておられないために、どのくらいの方々がいるか、実態やニーズも把握できていないという状況があります。岩手県では、そういうことではいけないということで、今、重複視覚障害者社会自立支援環境構築検討委員会というものを立ち上げて調査しておりますが、なかなか調査が進まなくて、その実態もつかめないというのが実態です。ですから、1の「自立訓練(機能訓練)」にも付加して、こうした重複視覚障害者に対する自立資源の構築をぜひお願いしたいと思っております。

 以上です。

○内山障害福祉課長 ありがとうございました。

 引き続きまして、公益財団法人日本知的障害者福祉協会様、よろしくお願いいたします。

○日本知的障害者福祉協会 本日は参加させていただきましてありがとうございます。日本知的障害福祉協会の橘でございます。

 あちらこちら、梅雨明けになったようでございますけれども、じめじめとしたお願いでなくて、からっとしたお願いをしたいと思いますが、いかがでございましょうか。

 私どもの協会の対象者は、知的障害の子供さんから大人、高齢者まで非常に幅広く利用対象としている施設事業所の団体でありまして、ですから、対象とする事業が多種にわたっております。協会の中でそれぞれの種別部会を組織しておりまして、このたびの報酬改定に向けて各部会から要望がたくさん上がってきておりました。でも、御指摘がありましたように、あれもこれもということではなくて、絞った形で今回提出をさせていただいております。

 協会内に部会もありますけれども、政策委員会というものもありまして、今日は政策委員長の河原が来ておりますので、詳細に関しましては、河原のほうから御説明させていただきます。NHKののど自慢ではありませんけれども、鐘2つの中で謙虚に終わるようにしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○日本知的障害者福祉協会 今、御紹介いただきました、日本知的障害者福祉協会、政策委員会の委員長を担当しております河原と申します。

 橘会長の御説明がありましたとおり、からっとした御提案ができるかどうか分かりませんが、まず初めに、お手元の資料の概要版のところを御覧ください。障害のある方が将来も安心して暮らすことができる質の高い支援の構築、安定した福祉従業者の確保が非常に大事だということと、質の高いサービスを提供している事業所の評価、この辺の部分を反映した報酬体系についてということで、以下、概要版、3ページ、4ページの9項目にわたって御提案をさせていただきました。

 それでは、それぞれの内容について御案内をさせていただきたいと思います。詳細版の5ページを御覧ください。まず「(1)障害福祉サービスの人材の確保および定着について」でございます。こちらは御承知のとおり、全産業との比較において有効求人倍率であるとか離職率というのはどうしても障害福祉事業所は高い。若い人たちが熱意を持って長く働く職場環境、そのための報酬上の評価が必要だということで3点程挙げております。

 まず1点目、処遇改善等の給与改善を行われておりますが、一般企業との給与格差、この辺のところの報酬上の評価ということで、参考資料1に比較表を付けておりますので、後で御参照いただきたいと思います。

 2点目でございます。福祉専門職員配置等加算、こちらは資料にも掲載がありますように、(I)と(II)は国家資格の配置になっております。(III)は勤続年数に応じての加算になっております。性格が異なる加算であることから、併給できるよう御配慮をお願いしたいと思います。

 3点目でございます。社会福祉施設職員退職手当共済、これは公費助成がなくなりました。これに当たって、社会保障審議会のレポートに報酬上適正に反映すべきであるという報告がありますので、この辺のところの御配慮をお願いしたいと思います。

 おめくりいただきまして「(2)食事提供体制加算について」でございます。こちらは加算の継続に当たって利用者負担の軽減というところが一つのポイントです。既に利用者の方は食材費の負担をいただきながら食事をとっているのでございますが、この加算が廃止されますと、成人の方の場合、当協会の調査で月当たり1万5,000円の負担。これは就労B型の平均工賃の1万5,000円に相当するものになると、この部分では低所得の方への負担が大きくなる。それが利用者のサービス抑制にも繋がりかねないということ。子供の場合には、子供の成長に直結する食育の観点という部分から、加算の必要性ということで、継続的な加算の位置付け、並びに子供の場合には子供の健やかな成長の一環として、食育等支援加算というような形で加算の恒久化をお願いしたいと思います。

 次のページ「(3)放課後等デイサービスおよび就労継続支援A型の適正化について」は、今年度からこの両サービスの適正化が図られましたが、まだまだその内容について一定の基準を満たしていない事業所等、この辺については減算等を含めた厳格な対応をお願いしたいと思います。

 「(4)重度・高齢障害者等への支援」でございます。こちらは社会保障審議会のレポートにも重度化・高齢化地域で安心して暮らすための施策というものが書かれております。提案の内容として、マル1からマル3はグループホームです。まず1点目は、重度者・高齢者に対応するグループホームとして、人員配置の強化、日中支援ができる体制並びに看護職員の配置等々、新たなグループホームの整備について御検討いただきたいと思います。

 2点目、これは個別に対しての加算です。入所施設等で行われている重度障害者支援加算II、これもグループホームの対象者に適用いただきたいと思います。

 3点目、グループホームの介護サービス包括型の個別のホームヘルプ利用、こちらは経過措置でございますが、経過措置の継続をお願いします。

 4点目、地域生活支援拠点事業であります。こちらは面的整備と多機能拠点型に例示がされておりますが、面的整備を行う場合において、中心となる事業所が調整を行った場合の報酬の評価、並びに多機能拠点に関しては施設整備等を含めた予算の確保をお願いしたいと思います。

 引き続いて「(5)質の高いサービスを提供する事業所の適正な評価について」でございます。こちらは重度高齢化に関して、生活介護の事業、利用者の数が増えている、過去の報酬が下がってきた等々を含めて、現行水準の維持をお願いしたいと思います。並びにプログラムの内容については、そこに書かれているような様々な支援、これを個別支援計画に基づいて行っているというところで、プログラムの内容によって差を設けるのは困難かと思います。また、重度高齢化に対応するため、現行の人員配置体制加算を上回る配置をした場合の評価をお願いしたいと思います。

 続いて、入所施設の配置の見直しでございます。こちらは津久井やまゆり園等で大変悲惨な事件がありました。ハード面での安全対策は国のほうからも示されておりましたが、人的な配置も非常に必要かと思われますので、配置基準の引上げ等々をお願いしたいと思います。

 3点目、就労B型事業所の目標工賃達成加算の要件でございます。こちらは前年度、前々年度、既にI型とII型を取得しているところは高い工賃を支給している関係から、この要件を外していただくことをお願いしたいと思います。

 4点目、宿泊型自立訓練です。こちらは利用率が非常に低いですが、できるだけ期間内に移行された場合の評価をお願いしたいと思います。

 「(6)障害者の社会参加の促進と、自立した生活を営むための支援について」です。こちらは障害のある方が生き生きと地域で働くための施策ということで、通学・通園時の支援の報酬上の評価、並びに2点目、就労継続のB型で一般就労した場合の報酬上の評価、それから就労移行支援の就労定着加算については、今回、就労定着支援事業との関係がありますが、必要性があるというところでの加算の継続。

 4番目と5番目、新規事業の自立訓練と就労定着事業でございますが、こちらは単発の評価より総合的な評価ということで、できるだけ月額による個別給付の創設をお願いしています。

 共生型のサービスについては、公的なサービスが低下しないよう、制度上の設計をお願いしたいと思います。

 続いて「(7)障害児に対する専門的で多様な支援について」です。医療的なケア、重度・高齢化の子供さんが増えております。その点では、現行の入所施設の4.3対1、児童発達支援センターの4対1、この基準を児童養護施設の基準、4対1に合わせるというところの職員配置の基準の見直しと報酬上の評価をお願いします。

 2点目、現在、障害児入所施設へ入所されている方のうち、虐待、養育放棄、保護者の養育力不足の方が約7割以上を占めております。これらの方への対応として、家庭支援専門員の配置をお願いします。また、被虐待児の加算が1年という適用ですが、1年ではなかなかこれの解決を図れないということですので、期間の延長並びに医療的ケア、重度重複、様々な重度の障害児に対しての個別の加算並びに保育所訪問等の単価に当たっては、経験豊富な職員の配置というところで、その内容の見直しをお願いしたいと思います。

 「(8)質の高いサービスを持続的に利用できるようにするための相談支援の拡充について」は、計画相談がほぼ97%になっております。今後、共生型サービス等地域共生社会の実現に向けては、相談支援事業所の位置付けが非常に重要になってくるというところで、安定的な運営並びに特定事業所加算、これは今、3名配置が非常に低い取得率であるということで、2名以上の配置並びに参考資料等にも書いてありますが、インテーク・アセスメント、この部分には非常に力がかかる、時間もかかるということですので、障害児と同様の初期加算の創設並びにモニタリングの期間において、本人及び家族の高齢化、医療的ケア、行動障害により頻回に対応するケース並びに複数サービスを必要とするケースに対して、モニタリングの期間を柔軟的にお願いしたいと思います。

 最後でございます。重度障害者支援加算II、こちらは強度行動障害支援者養成研修の修了ということが前提になって、平成30年3月31日までの経過措置になっておりますが、本協会の調査によりますと、必要とする職員に対して全体の受講率がまだ3割を満たないという実態がありますので、経過措置の延長をお願いしたいと思います。

 以下、参考資料に今回の提案の根拠を付けておりますので、御参考いただきたいと思います。

 以上で私からの説明を終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。

○内山障害福祉課長 ありがとうございました。

 引き続きまして、公益社団法人全国脊髄損傷者連合会様、よろしくお願いいたします。

○全国脊髄損傷者連合会 脊損連合会の大濱です。このような機会をいただき、ありがとうございます。

 私どもは、3ページ目の意見概要からお願いします。「重度訪問介護のサービスを受けられない問題について」ということで、なかなか介護者が確保できない、なかなか重度訪問介護の事業所がうまく回っていないのが現状です。その辺りの補強のために、サービス提供体制関連として、ここに1番から8番まで挙げさせていただいています。

 1点目は、常勤ヘルパーが提供する重度訪問介護に対する加算の創設です。これは、多くの事業者は常勤ヘルパーの割合が3割から4割ぐらい、あとはパートやアルバイトのヘルパーが働いていますが、そうなると正月休みや夏休みで非常勤のヘルパーが休むと、その穴を常勤ヘルパーが埋めるので、かなり負担がかかります。そのことも踏まえて、常勤ヘルパーが提供する重度訪問介護に対する加算の創設をお願いします。

 2点目は、同行訪問によるOJTに対する加算の創設です。これは、医療的ケア、高度で個別的な介護技能、特殊な方法による意思疎通など、非常にOJTに時間がかかっているためです。例えばALSの場合、OJTに非常に時間がかかり、3回や4回ではなく、場合によっては1年ぐらい実施しないとコミュニケーション支援ができない事例もあります。この辺りの同行訪問に対する加算を今回新たに創設していただきたい。

 3点目は、二人介護の要件として、人工呼吸器、医療的ケア、重度障害者などの追加です。現在、二人介護の要件として、家にエレベーターがない、入浴中の重介護などの例が挙がっていますが、実際になかなか二人介護を市町村が認めてくれないのが現状です。したがって、人工呼吸器を使っている、医療的ケアが必要、それから四肢麻痺等の重度障害者である場合等を、二人介護の要件として追加すべきであるというのが私たちの要望です。

 4点目は、利用者の死亡や入院に備えた給与保障です。これは、特に重度訪問介護の場合、長時間の利用者が多く、1日20時間や24時間のサービス利用が珍しくありません。その介護にヘルパーが四、五人入っています。もしその利用者が亡くなると急に仕事がなくなって、その給与保障を行うと事業所に非常に負担がかかります。実際に、障害者の高齢化が進んでいるため、このような事例があちこちの事業所で最近見られるようになっています。ですので、これに対する対策として、従前の介護給付費の額を3カ月分ぐらいは請求できるようなシステムをつくっていただくなど、ここに2つの案を挙げております。

 5点目は、ヘルパー事業所の間接コストの軽減です。これについては、特に重度訪問介護計画書や勤務形態一覧表は要らないのではないかという意見が、多くの事業所から寄せられています。事業所の運営上本当に必要かどうかという視点に立って、もう少し軽減する措置を考えていただきたい。特に事業所の指定申請書類のうち、自治体が独自に追加している書類があります。この辺りは特段の簡素化を厚労省からお願いしていただきたい。

 6点目は、15%加算の対象を「意思疎通ができる人工呼吸器使用者」まで拡大することです。先程田中さんの御説明にもありましたが、重度訪問介護の事業所は非常に少ないのが現状です。一方、現在の15%加算は意思疎通の問題が要件の1つに挙げられています。したがって、高位頸髄損傷者や筋ジストロフィーなど、人工呼吸器を使用する場合については、コミュニケーションに支障がない場合も15%加算の対象としていただきたい。

 7点目は、認定調査員マニュアルの関係で、先程も触れましたが、コミュニケーションができない状態を認定調査員がきちんと把握しているかどうか非常に疑問です。今までの認定調査ではこのことが障害者にきちんと説明されていない事例がかなり多いようです。ですので、例えば疲労があって会話ができない、コミュニケーションができないような状態を障害支援区分に反映できることを、きちんと認定調査員に周知徹底していただきたい。

 8点目は、喀痰吸引等支援体制加算の大幅な引き上げと対象事業所の拡大です。この加算は、喀痰吸引や経管栄養を必要とする障害者が対象ですが、加算額が1日1,000円に過ぎません。また、現行制度では、20%の特定事業所加算を取得しているヘルパー事業所は加算を算定できません。これでは、ヘルパーも喀痰吸引や経管栄養をできるという制度改正が実現したにもかかわらず、インセンティブがなさ過ぎます。もう少しインセンティブが働くシステムを考えて、積極的にヘルパーが資格を取るようにしていただきたい。はっきり言って、現場では5年前の法改正は要らなかったのではないかという声も挙がっていて、従来どおりの違法性阻却で喀痰吸引するヘルパーが逆に増えているのが現状だと思います。

 次に、大項目2番目の「24時間365日のシームレスな重度訪問介護の利用について」です。1日24時間の重度訪問介護を利用する重度障害者であっても高等教育を受けるのは当然のことでして、しかし、大学等に通っている時間帯は重度訪問介護を利用できない、仕事中も使えないというのが現状です。また、地方によっては非常に切実だと思いますが、買い物等に自動車で行くことができない、その間は重度訪問介護を利用することができないという制度になっています。このために大学を諦めた人、就労を諦めた人たちが私たちの仲間にはかなりいます。この辺りをきちんと整理しないと、インクルーシブな社会の実現からかけ離れてしまいます。ですので、ぜひ高等教育を受ける場合も含めて、通勤や通学の時間帯についても、それから、ヘルパーが自動車を運転している時間帯についても、きちんと報酬を算定できるシステムにしていただきたい。

 次に、大項目3番目の「訪問系サービスの国庫負担基準について」です。訪問系サービスの支給決定に際して、やはり国庫負担基準がかなり足枷になっています。これは従来から申し上げていることですが、特に小規模な市町村では、国庫負担基準が非常に低いために、市町村にかなりの負担がかかっています。ですので、国庫負担基準の大幅な引き上げをお願いします。

 また、介護保険の給付対象年齢に達した場合に国庫負担基準が著しく低下するという問題もあります。8ページ目に金額も挙げましたが、これを介護保険の対象でない人の国庫負担基準と同額に設定し直していただきたい。

 次に、大項目4番目の「地域相談支援について」です。資料に書いてありますように、地域移行支援の対象になる移行元の拡大をお願いしたい。私たちのような脊髄損傷の場合、一般病院から退院して地域で暮らすことになりますが、これが地域移行支援の対象になっていません。また、親元からひとりで暮らすという場合も対象になっていません。地域で暮らすという視点が大事だということであれば、この辺りについても地域移行支援の対象としていただきたい。

 最後に、大項目5番目の「就労継続支援A型およびB型について」です。私たちの関係団体の中で幾つかA型の事業所をしているところがあります。そこでは重度障害者がかなり働いているのですが、現行の重度支援体制加算は、障害基礎年金1級受給者の割合が算定要件となっています。就労継続支援のほかに介護給付費の支給決定も受けていて、現在すでに障害支援区分の認定を受けている方について、一定以上の区分の認定を受けている利用者の割合を評価する制度も少し考えていただければありがたいです。

○内山障害福祉課長 ありがとうございました。

 それでは、本日の最後になりますけれども、全国地域生活支援ネットワーク様、よろしくお願いいたします。

○全国地域生活支援ネットワーク 全国地域生活支援ネットワークの大原です。今日はこのような貴重な御機会をいただきまして、ありがとうございます。

 2ページ目に我が法人の概要が書いてありますが、時間に限りがございますので割愛させていただきます。主に地域で障害のある方が暮らしていけるための事業所団体と、当事者、行政などと繋がりながら共生社会を目指していこうということをミッションに掲げております。

 まず、障害福祉サービス等の報酬改定の議論を当法人で進めるに当たって大事にしてきた点を3ページ目の冒頭に記させていただきました。我が国の様々な財政状況であったり高齢化、人口減少問題などを踏まえると、私たちとしては、特に視点3について真剣に議論する必要があるのではないかということを大事にしてきました。財源を確保していく必要性もありますし、一部事業については国民からなかなか理解を得られていない状況もあります。そういう意味においては、規律のあり方などに踏み込む必要があるのではないかと思いました。

 ただ、一方で、まだまだ特に重度の障害のある方々が地域で暮らしていくためのサービスについては不足しているような状況にありますので、こうした点も踏まえて、私たちはほかの団体の方も伺っているのですが、特に視点3が多い団体だなと思っているのですけれども、メリハリのきいた要望と提案をしていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

13点のサービス等について整理をさせていただきました。皆様におかれましては、6ページ目の詳細版というところで御説明をさせていただきたいと思います。

 先程申し上げましたとおり、財源を確保し、持続可能にしていくためには、いろいろと踏み込んだ議論が必要であろうということで、まずは利用者負担について御提案させていただくものです。本人もしくは世帯の資産等を十分に鑑みながら、現状の資産要件を再検討したり、もしくは他制度で使われている仕組みなどを参考に新たな区分構造を設け、財源確保に努めるべきではないかということが1点目です。

 もう一つ、これは先程食事提供加算の御提案もございましたが、当方としては、地域生活の進めるグループホームとのイコールフッティングの観点から、入所における加算を廃止もしくはグループホームへの食事提供加算を求めたいと思っています。

 3番目の補足給付についてですが、これは介護保険を例えば倣いまして、一定程度の預貯金を有している御本人については支給されないという仕組みも検討すべきではないか。しかしながら、ある程度の上限を決めて、下回れば支給される措置はあるということ、並びに前項同様の考え方で、これもイコールフッティングの考えで言えば、グループホームにも支給増額があってもいいのではないかという点でございます。

 2番目の放課後等デイサービスについてですが、これは一部是正すべき点等々がこの間様々なところで議論された経緯がございますが、これは区分等、もしくはサービス提供時間に応じた傾斜配分の報酬構造が必要ではないかと。そうしますと、区分の低い子たちばかりを見ている事業所は、当然ながら報酬が下がることになります。しかしながら、子育て支援という観点のレスパイトにおいては一定程度役割を果たしているという点もございますので、例えば今の日中一時支援事業のような、ある程度職員要件を緩和した類型をこの放課後等デイサービスに用いるなどして、運用の工夫が必要なのではないかということと、もう一つは、例えば地域にある学童保育や放課後クラブと一体的に運営をして、どちらかというと区分の低い子たちというのはそういった子たちと一緒に放課後を過ごして、社会的なスキルであったり対人コミュニケーションを学ぶことが実は必要ではないかという視点に立って、そうした一体的な運営ができる規制緩和を図るべき報酬構造をつくるべきではないかというところです。

 最後になりますが、そうはいっても予防的な観点をしっかりと重んじて、将来的に二次障害をつくらないというようなところから、強度行動障害者の支援者養成研修を受講した場合の加算要件というものも、専門性の担保で設けてはどうかというところです。

 共同生活援助ですが、これは今後実施される自立生活援助事業を充実することを担保に、区分1非該当の方を減額してはどうかということが1点目。もう一つは、一方で重度の方々が暮らせるような基礎報酬や加算などについてはしっかりと担保していくということ。そして、個人単位で居宅介護を利用する、これは他団体からも幾つか御意見がございましたが、私たちもこの経過措置の恒久化を求めるところです。

 自立生活援助についてですが、これは1番目のところだけ申し上げておきます。この事業については、相談支援事業だけではなくて、生活支援のノウハウや在宅支援のスキルを持っているグループホームと併設するですとか、日々居宅の中で支援しているホームヘルプ事業所などの視点についても検討する必要があるのではないかと思ってございます。

 次のページ、就労支援A、Bについてですが、これは地域で様々な仕事をという観点で、施設外就労や施設外支援を推進していくところで、例えば1人、2人、施設外に行くというところに職員もついていかないといけないという非効率な実態もございますので、この辺については要件緩和をお願いしたいというところと、今、A型の運営が省令改正に伴って規制が厳しくなったことによってB型に移行するケースも見受けられます。この辺の対策についても、今後、議論する必要があるのではないかという点です。

 6番目の就労移行支援事業ですが、これは端的に、移行できていない事業所については大幅減算すべきではないかと。これは本来のサービス理念と逆行している実態があると思ってございます。

 7番目の就労定着支援ですが、これはサービス利用している方というところに限定しているものですが、広く公共福祉ということを考えた時に、例えば特別支援学校を卒業した子たちも対象に入れるなどの措置が必要ではないかという点と、私たちとしては、例えば就労のノウハウを持った方だけが定着支援をできるとは思っておりません。やはり生活支援と密着した中で、この方々の定着を図っていくと思っておりますので、この生活支援事業所との連携もしくは実施ということを、ぜひ強く加算対象、もしくは基準要件に含めてもいいのではないかと思っております。

 生活介護についてですが、最も多い生活介護、予算的にも多いところになっておりますので、報酬の減額、適正をしっかり議論すべきだと思っております。

 ただ、一方で、小規模で重度障害の方を中心にしている事業所については評価、もしくは強度行動障害の方々を中心に支援しているところについては、養成研修などの受講要件で加算を設けてはどうかというものです。

 以下、居宅介護、短期入所、相談支援とございますが、こちらに書いてあるとおりでございます。人員確保の面でそれぞれの引上げということと、やはり加算や短期入所については、重度の方を緊急的に受け入れるですとか、部屋を確保するための増額を求めたり、相談支援については、報酬上というよりもモニタリング期間をしっかりと障害区分やその人の特性に応じて傾斜的に評価される仕組みを設けていけばどうかという点でございます。

 共生型サービスについてですが、これは特に2こま目にございます。ここは、ただ高齢者、障害者、子供を一つの建物で一緒にすればいいというものではなくて、本来それぞれ一人一人がこの拠点で果たされるべき能力をどう引き出すか、もしくはその拠点が地域の中でどういう存在になるかということを大事にすべき点を考えると、やはり人材育成が不可欠だと思っております。これは横断的に、例えばいろいろな面を減算したところを積み立ててでも、そういった人材を育成するところにしっかり使うべきだと。ここではサービス提供責任者と書いてありますが、ただ建物で違う人たちを一緒に見ようということではなくて、しっかりつくるのであれば、理念に基づいた人材育成研修、それについた加算等の新設を求めることも私たちは要望として求めるところです。

 以上になります。かなり足早に御説明させていただきました。どうも御清聴ありがとうございました。

○内山障害福祉課長 ありがとうございました。

 それでは、3ラウンド目に意見を表明していただきました4団体、日本盲人会連合様、日本知的障害者福祉協会様、全国脊髄損傷者連合会様、全国地域生活支援ネットワーク様、この4団体に対しまして、御質問等、アドバイザー等の方からあれば、お願いいたしたいと思います。

 それでは、千把さん、よろしくお願いいたします。

○千把アドバイザー 貴重な御意見をありがとうございました。

 全国脊髄損傷者連合会さんに御質問をさせていただきます。

 資料9の3ページ、3番目で訪問系サービスの国庫負担基準の(3)ということで、詳細は7ページに記されているところなのですが、小規模市町村については給付費の全てを国庫負担又は国庫補助の対象にということで、私どもにとってはすごくありがたいような発言なのですけれども、全国町村会では必要な予算総額の確保ということで、そのように要望しているところです。

 この関係なのですけれども、当町では負担基準の範囲内で済んでいるのですが、どういったデータを参考にされたのか。いわゆる持ち出し負担している市町村数はどれくらいあるのか、把握されているのであれば、お教えいただきたいのです。

○内山障害福祉課長 全国脊髄損傷者連合会様。

○全国脊髄損傷者連合会 16ページに事例を載せています。県の補助金予算の制約で町村がこれぐらい負担していますという例です。これは小規模なある町の事例です。厚生労働省の過去の資料では、全国1,700市町村のうち基準超過の市町村が10%に収まるように国庫負担基準を設定しているとのことです。よろしいでしょうか。

○内山障害福祉課長 よろしいでしょうか。

○千把アドバイザー 結構です。ありがとうございます。

○内山障害福祉課長 ほかに御質問ございますでしょうか。

 では、二神さん、よろしくお願いします。

○二神アドバイザー 大変貴重なお話をありがとうございました。

 日本知的障害者福祉協会様にお伺いしたいと思います。5点目の質の高いサービスを提供する事業所の適正な評価についてということで、高い工賃を実現している事業所を評価する必要があるということで、ごもっともな御意見だと思いますし、ぜひ高い工賃を実現していただきたいと思います。これまでの何回かのヒアリングでも、全国的にA型にしても、B型にしても平均的な工賃が非常に低いという問題が指摘されているのですが、実際に工賃を引き上げるためには、ある程度の経営的な視点が必要になるのではないかと思うのです。例えば提供されるサービスとか製品にある程度の市場性を持たせるとか、あるいは生産性を上げるとか、そういったことがあるかと思うのですけれども、高い工賃を実現するための取組みとしては、具体的にはどのようなことをされていますでしょうか。

○日本知的障害者福祉協会 御質問どうもありがとうございました。

 正直なところ、就労継続のB型、A型、全国いろいろな事業がありまして、高工賃を獲得するためには幾つか地域差があったり、優先調達法によって一定の商品、仕事をいただくとか、そういった方策があります。それを有効に使っているところと、まだ優先調達法の関係も含めて有効に使えていないエリアがありますので、その辺のところでの格差は若干あるかと思います。

 いろいろ地元の産業と協力をしてやっているところもあれば、逆に、私は神奈川なのですけれども、神奈川はなかなか地元の産業といっても工場地帯ですので、工場の下請等々になってくると入ってくるものも限られる。そういった差がある中で、地元密着で皆さん御努力いただいているのではないかと持っております。具体的な例がなくてすみません。

 以上になります。

○二神アドバイザー 大変興味深いことなのですけれども、地元の連携というのは、例えば地元の企業さんとの連携でサービスの提供をされているということでしょうか。

○日本知的障害者福祉協会 そうです。それはいろいろな都道府県によって、市町村によっても産業の差がありますので、その土地土地の特性を生かしたところとマッチングをしてやっているところも多くあって、そういうところの力をかりて工賃を上げる努力をしているところも多いと聞いております。

○二神アドバイザー ありがとうございました。

○内山障害福祉課長 ほかに3ラウンド目の4団体に御質問ございますでしょうか。

 では、野沢さん、お願いします。

○野沢アドバイザー さっきも出たのですが、どこでどう暮らすかとか、どういう日中の過ごし方をするかというのは、本来は本人の希望というか、あるいは能力といいますか。特性だとか、そういうものに基づいて決めるべきだと思うのですが、制度上の格差というか不公平によってそれがかなり影響されている面もやはりあると思うのです。先程来出ている補足給付と家賃補助の格差、あるいは食事提供加算があるところとないところ。そういう事業所側といいますか、制度上の都合でいろいろと影響されている。これはやはり是正するのが本来かなと。本当に必要なところにその分を回すべきなのかと思うのです。

 日本知的障害者福祉協会さんにお聞きしたいのですけれども、協会の中のそれぞれの事業所さんも法人も、例えばグループホームをやっているところはいっぱいありますね。食事提供加算の問題をどう考えるかとか、家賃補助と補足給付の問題をどう考えるか、その辺はどういう議論をされているのか、ちょっと気になるのです。

○内山障害福祉課長 では、日本知的障害者福祉協会さん。

○日本知的障害者福祉協会 御質問ありがとうございます。

 正直なところ、今、部会と横断化して、補足給付の問題であるとかグループホームの家賃補助の問題がどうであるかというところを、横断化した議論としてはまだとり行ってはおりません。ただ、こういう報酬改定の時に、前回も補足給付の問題等がありました。それと、昨今のいろいろ厳しい時代がありますので、野沢先生の御指摘のとおり、制度間の不公平等を協会の中でも議論していかなければいけないのではないかという認識は持っております。その辺のところは、逆に部会横断化して、政策委員会等でも議論として挙げていくべきかなという認識でおります。明確な答えでなくて申し訳ございません。

 以上です。

○内山障害福祉課長 ほかにございますでしょうか。

 では、岩崎さん、お願いします。

○岩崎アドバイザー 日本知的障害者福祉協会様と全国脊髄損傷者連合会様にお伺いしたいのですけれども、職員さんの給与の問題です。これは前回のヒアリングでもちょっとお伺いしたのですが、処遇改善加算がついているけれども、更なる改善が必要という御意見がございましたが、その加算の効果をどのように評価していらっしゃるのかということをお尋ねしたいと思います。

 もう一つは、利用者さんが長期に入院されたり、あるいは亡くなられたりというところで、かなり事業所にとっては経営状況が苦しくなるというお話がございました。たしか処遇改善加算も実績に応じた配分になっていらっしゃるのではないかと思うのですけれども、そのあたりの関係で何か御意見等がございましたら、いただければと思いました。

○内山障害福祉課長 それでは、まず、日本知的障害者福祉協会様、今の御質問に対してコメントがあれば、お願いします。

○日本知的障害者福祉協会 御質問ありがとうございます。

 協会の資料の12ページの参考資料1-1を御覧いただきたいと思います。これは平成27年度の給与の比較ということで、御覧いただいてのとおり、民間の全事業所との比較を見ていただくと、年額80万、月額6万7,000円ぐらいの開きがあります。なお、これは平成28年度の調査結果ですので、今回、平成29年度の処遇改善加算、これが最大1のところをとったとしても、民間との給与格差を比べた場合、5万行くか行かないかぐらいの月額の差になるかなと認識しております。

 なお、処遇改善加算につきましては、取得率の問題もありますが、名称のとおり、対象者が直接介護の職員に限られている。相談支援専門員であるとかサービス管理責任者といった、直接ではないのですけれども支援にかかわっている者になかなか行き渡らないところが課題だと思っております。

 それから、入院、死亡の関係なのですけれども、それに関しては、データ等は持ち合わせておりませんが、少なくとも全国の入所施設を見ている場合、待機者が多いと聞いておりますので、そういった事案が発生した時には、多分、入所の定員は速やかに埋まるという実態があるのではないかと思っております。

 以上でございます。

○内山障害福祉課長 ありがとうございます。

 それでは、全国脊髄損傷者連合会様、よろしくお願いします。

○全国脊髄損傷者連合会 処遇改善加算の評価については福祉協会の方と同じ考えで、これを介護者にしか配分できないことは問題だと考えています。私たちの関係団体では、介護者を支援する職員として障害者を雇っている事業所も多いのですが、事務職員には処遇改善加算を全く配分できないという制度設計によって、介護職員との格差がかなり生じて、事務職員に不満がたまっているのが現状です。したがって、今日の要望には挙げていないのですが、事務職員にも加算をある程度配分できるようにシステムを見直していただければ大変ありがたい。これが1点目の答えです。

 2点目の、利用者が亡くなった場合ですが、亡くなった利用者については本体報酬が支給されないので、それに応じた加算も全く入ってきません。ですから、事業所でプールしたお金で介護者の給与を保障するか、プールしたお金がない場合はアルバイトの介護者を解雇するか、実際に解雇してしまうと事業所が立ち行かなくなるので、関連事業所から借金するなどという事例もあるようです。特に利用者1人のサービス量が大きい重度訪問介護の事業所には負担が非常に重いので、この辺りはもう少しご配慮いただければありがたいです。

 ありがとうございます。以上です。

○内山障害福祉課長 ありがとうございました。

 ほかに御質問はございますでしょうか。

 では、上條さん、お願いいたします。

○上條アドバイザー 日本盲人会連合の方にお伺いしたいのですが、訓練を訪問によって、その方の生活場面に即したところでというのはかなり有効だと思うのですが、そこら辺の必要性をもう少し、先程の話の中でもし十分でないところがあるとすれば、補足で説明いただければと思います。

 もう一つは、視覚障害のある方を主に対象としたグループホームの例を挙げていらっしゃいましたが、そこでの運営の工夫とか何か特徴みたいなものがあれば、教えていただければと思います。

○内山障害福祉課長 では、日本盲人会連合さん。

○日本盲人会連合 ありがとうございます。竹下からお答えさせていただきます。

 まず1点目の生活訓練、機能訓練の部分ですけれども、特に我々が今大きく意識しているのは、中途視覚障害者の場合なのです。御存じのとおり、最近は視覚障害者の実態として、小さい子がどんどん減ってきておりまして、中途視覚障害者がどんどん増えていっているという人口実態になっております。その中で、中途視覚障害者で歩行訓練を受けている人、あるいは日常生活の訓練を受けている人が非常に少ないわけです。その理由は幾つかあるわけですけれども、1つは、なかなか視力を失ってからそういう訓練とか福祉に結びつかないという実態があります。これをどういう形で導くかということを、今、一生懸命に眼科の先生方とも相談しながらシステム化を図っております。

 もう一つは、先程及川が言いましたように、残念ながら視覚障害者を対象としている訓練施設が全国に17カ所しかございません。さらに、その実態を見ていますと、例えば鹿児島の例ですと、県立図書館で1名の職員が、言葉は悪いですけれども、片手間に歩行訓練をやっている。そうでないと職員配置ができないから、そういう実態になるわけです。

 そういう中で、なかなか自分の地元で訓練を受けられない。私は京都に所在しているのですけれども、京都などはある程度そこは充実しておりまして、近畿圏内から歩行訓練等に来るわけです。したがって、入所の形で行うことになります。そういう条件を満たす方がなかなか少ない。すなわち家を離れて入所施設に入って訓練を受けることは、なかなかできないという実態がございます。

 もう一つは歩行訓練、先程これも及川が言いましたけれども、今の基準が1対6になっているわけですが、しようもない言い方で悪いですけれども、1人の歩行訓練士が6名を同時に見るなどというのはあり得ないわけです。しかも、1人の視覚障害者の訓練をやるのに相当の時間がかかるわけですけれども、それを訪問の形でやると、間違いなく1日に1人やることが精いっぱいです。しかし、そういう実態をクリアしていこうと思うと、事業所は成り立たないわけです。それがために事業所が閉鎖していくという現実があるわけです。

 それらを克服するためには、どうしても、もう少し配置基準を変えて、事業所としての成り立つような形をとらないと、私たちの言い方で言うと、いつでも、どこでも、誰でもが歩行訓練や生活訓練を受ける実態にならないというところが今の状況だと思っております。

 それから、グループホームのことを取り上げていただいてありがとうございます。実は視覚障害者がグループホームに入るというのは大きく2つの理由があります。1つは、例えば65歳前の障害福祉サービスのグループホームであろうが、65歳の介護保険事業所のグループホームであろうがそうなのですが、視覚障害のある方と他の方とが同じグループホームを利用している場合、残念ながら援助の仕方が大きく違うために、孤独な形になってしまいます。すなわち見えないことから生じる援助の仕方、特にそれは情報提供が基本になるわけですけれども、それが他の方は、例えば口頭で指示をして安全確保ができたり、あるいは様々なサービス提供ができるわけですが、視覚障害者の場合は個別の情報を提供したり、あるいは個別の手引きをしないとグループホームの中でも動きがとれないために、そういう視覚障害者の特性を理解した職員を配置できることがまず条件としてあって、変な言い方ですけれども、全盲の方が仮に6人、7人いても、それぞれが見えないとある意味では共同生活が成り立つのですが、仮に1名が全盲で、ほかの障害の方が6名、7名いると、1人の全盲の人は、他の方と同時に行動ができないために、グループホームとして成り立たないという現実があるわけです。そのために、どうしても我々の地方の組織は、自分たちが視覚障害者のためのグループホームをつくろうということで動いている場合が多いと思っております。

 以上であります。

○内山障害福祉課長 ありがとうございました。

 ほかに御質問はありますでしょうか。

 では、野沢さん、お願いします。

○野沢アドバイザー 全体でもいいですか。

○内山障害福祉課長 時間の関係もありますので、2ラウンド目の4団体も含めまして、全体の御質問も含めてお願いできればと思います。

○野沢アドバイザー 私、何度かこの報酬改定のオブザーバーをさせていただいているのですけれども、今回の特徴は、厚労省側から視点の1、2、3を提示して、これに沿って意見を出してくれと、特に焦点は3ですね。これは減額に繋がるものなので、なかなか言いにくいというのは分かります。これまでも余りそういう提案はなかったし、中には、そんなことを言う前に予算を確保するのが厚生労働省の仕事だろみたいな、そういうことをはっきり言う団体もあったかと思うのです。やはりそれぞれの団体の中でいろいろと損するところがあるわけで、団体として意見をこういうところで出すのは非常に困難だというのは分かると思うのです。

 一方で、やはり同じ事業をやっていても、本当に難しい人、厳しい状況でやっているところと、そうでもなくても意外に収益を上げているところがありますね。それはどれだけ我々が外から見ても、実際に経営している人にしか分からないのですね。その辺は本当にそういうことを分かっている人にちゃんとそれを言ってもらって、やはりこういう場できちんと個別的な支援がもっと必要だとか、あるいは難しい人の地域生活をちゃんとやろうとか、そういうことを充実させようとすればやはり予算は要るわけで、そこに必要な財源をシフトしていくというのは当然真剣に考えなければいけないと思うのです。

 今回も、私はひいきで言っているわけではないですけれども、育成会とか全国ネットとかはかなりその辺をきちんと答えてくれているなという感じがします。育成会の中だって食事提供加算に反対している人は物すごく多いですね。あるいは放課後等デイにたくさん日数を使っている人だって相当います。それでもこれを是正すべきだという意見を出してきている。全国ネットだって、私はびっくりしたのは、生活介護減額と、どうやってこれは団体の中の意見をまとめたのかなと思うのです。でも、こういうものを出してきてくれないと、リアルな議論、本当にいいものをつくっていくことの議論は難しいなとも考えているのです。

 今後、ほかの団体も含めての参考で聞きたいのですが、相当反対議論もあったと思うのですけれども、どのように団体内での合意形成をしてきたのか。その辺の内情を御披露していただけると参考になるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○内山障害福祉課長 それでは、全国手をつなぐ育成会連合会様、今の御質問についてコメントできるところがあれば、お願いいたします。

○全国手をつなぐ育成会連合会 このことに絞って議論をするということではありませんけれども、各地で総会があったり、県大会だとかいろいろ大会もありますので、研修会もあります。そういうところに私や統括が呼ばれることが多々ありますので、そんな時に、今こんなことを考えていますけれども、皆さんどうでしょうかという投げかけをしながらその反応を見たり、意見を聞いたりというようなことをしながらまとめてきているという状態です。

○内山障害福祉課長 ありがとうございました。

 それでは、全国地域生活支援ネットワーク様。

○全国地域生活支援ネットワーク ありがとうございます。

 私たちの加盟団体は今、約50あるのですが、本当に小さなNPOで、放課後等デイサービスしかやっていない事業所から、中堅の社会福祉法人を運営しているところから、入所施設なども持ちながら大きく運営をしているところからばらばらなのですけれども、私たちの特徴は、私も今年38歳になるのですが、役員は皆、30代から40代前半です。

 現場にいる職員の声をリアリティーに聞いていく中で、先程野沢さんもおっしゃいましたけれども、今、地域の中で支える重度の人たちをこれからずっと持続的に支えていくことを考えていった時に、これを総花的に全部引き上げてくださいという議論にはならないであろうと。むしろしっかりそこにはメリハリを付けて、例えば法人だけの努力ではなくて地域の中で障害の軽い人たちを何か共同して支える仕組みをつくれないかとか、そういったことがもしかすると私たちの専門的な、いわばクリエーティブな面ではないかという議論と、一方で、確立された制度をそれに倣ってやっていくということではなくて、むしろそういった制度は本当に命にかかわるような重度の方々にしっかり当てて、私たちもそこでしっかりと国民的な理解を受けるために、しっかりとした専門性を養っていこう、培っていこうというようなところが最初の切り出しでした。議論の8割は、3についてどこを削るかという議論で、みんなつらい顔をしながら、経営者の端くれも何人もおりますので。ただ、自分の身を切りながらも、この国の障害者の暮らしを持続させていくということで、これを機にしっかり覚悟を持った議論をしようということで、みんなで合意したところでございます。

 以上です。

○内山障害福祉課長 ありがとうございました。

 今、御出席の8団体を通じまして、ほかに御質問等があればよろしくお願いします。

 では、全国盲ろう者協会様、どうぞ。

○全国盲ろう者協会 3つ目の視点について、野沢さんがおっしゃったように、やはり当事者団体としては、本音から言うと、こんなこと言われてもなという感じはあるわけです。自立支援法ができて10年で2倍になりましたと言われても、介護保険のほうも増えているし、いろいろほかにも増えているところがある。これはむしろ潜在していたニーズが顕在化したわけであって、福祉が充実したわけであって、この10年間もとてもすばらしい10年間ではなかったかと思いますので、増えたことが悪いことであるかのように言うのはちょっとねというのが本音です。

 盲ろう関係であえて言えば、人数が少ないですので、我々がある程度加わったとしてもそんなに全体的な影響はないので、何とかお許しくださいというところが、あえて言えば3番目のところです。

 だけれども、私はそれとは別の視点があるのではないかと思っていて、例えば大濱さんの発表でも、就労や大学に行ったりするのが難しくなった人がいるという話が出ていましたね。盲ろう者でも十分な支援が受けられないために職を失うということはあって、それは御承知のように、通勤におけるサポートができないという問題がある。これは視覚障害者も同じです。その辺をきちんと考えていただければどうなるか。すなわち労働者が増えるわけで、障害者が労働者になる潜在能力がある、潜在可能性があるということ。さらに、予算が増えるというけれども、そのお金は障害者自身に直接行くことはほとんどなくて、支援員さんに行っているわけで、新しい雇用をつくっているわけで、どぶに捨てているわけではない。無駄な道路をつくっているわけではない。そのお金は全て生きて社会に循環するので、予算が増えたということは、雇用対策もしているのだということをぜひ前向きに考えていただいて、そして、お金にはならない、すぐには出ないかもしれないけれども、重い障害を持っている人たちも含めて、その人たちの周りにいる人が、彼ら、彼女らから得ている様々な大切なもの、豊かなものがあると思いますので、命を大切にしていくということ。相模原からもうすぐ1年ですが、障害者の命を大切にするという取組みにお金を使うことが、実は社会全体を根っこの部分で支えているのだということを、厚労省さん自身がぜひ財務省を説得していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 以上です。

○内山障害福祉課長 ありがとうございました。

 野沢さん、お願いします。

○野沢アドバイザー ちょっと誤解されるといけないので、私たち、財源が増えることは非常にいいと思って、増やさなければいけないと思っているのです。もちろん厚労省に頑張ってもらって、財務省を説得してもらいたいのです。その説得するための材料として、やはりもっと身を切る議論も必要だろうと思います。どの企業だって何か新しい事業を始めたり行政を動かすためには、それまでの事業を見直して、無駄なところはないかというのはやって、そうでないとなかなか説得し切れないですね。当然、この業界もいろいろやってみれば、そうとはいえ、少し削ってもいいなと。今の福島さんのような方々が世の中に発信することによって世の中を変えていくことも分かるわけで、こういう人たちをもっともっと増やす。そのために個別的な支援や難しい人の地域生活を重視していこうと。そのためのお金をつくるために、もう一度、これまでの自分たちのといいますか、障害者福祉全体の予算のあり方を見直していくことが必要だろうなと、私はそういうつもりなのです。

○内山障害福祉課長 ありがとうございます。

 では、日本知的障害者福祉協会様、どうぞ。

○日本知的障害者福祉協会 正直言いまして、視点3の部分をどうするかというのは、視点をいただいた時にすごく戸惑うところが多かったです。視点1、2、3を御提示いただいてから、協会の中でも要望に関して、今までですと幾つかの加算を新設してほしいという、新たなものをバージョンアップするという意見が多かったところを、今回はできるだけ現行の仕組みの中のバージョンアップが図れるところを中心にということで、このような内容にまとめたと思っております。

 ただ、視点3のところですごく感じるところは、仕組みの切りかえを幾らやったとしても、今、人がなかなか集まらなくなるかもしれない。一億総活躍社会と言われながらも、障害福祉にかかわる人材が確保できないことには制度維持が難しいだろうと。そういう観点から、最初に人材確保の定着というところでまとめさせていただいている部分もありますので、当然、全体のパイの問題とか仕組みの切りかえもあると思うのですが、やはり人が確保できることについて、何らかいろいろな団体が知恵を出し合う、もしくは国とも話し合って人材の確保をやっていくということが、制度を維持していく重要なポイントではないかと考えております。

 以上です。

○内山障害福祉課長 ありがとうございます。

 ほかに全体を通じて御質問。

 それでは、今の関係だと思いますので、日本盲人会連合さん。

○日本盲人会連合 ありがとうございます。竹下です。

 今の野沢さんの指摘は、私は前向きに捉えるとすれば、重要なのは、流動化策という言い方が正しいかどうか分かりませんが、重要だと思うのです。私は全ての障害者を念頭に置いてしゃべるだけの知見は持ち合わせておりませんけれども、視覚障害者で考えた場合に一番分かりやすいのは、例えば中途視覚障害者がそのまま放置されることによって生じる、それを支えるための援助というのはどんどん広がるばかりなのです。それに対して、ケース・バイ・ケースですけれども、その視覚障害者が就労に移行できる場合にそれをきちんと移行させていくことによって、大きく福祉のありようも変わっていきますし、金の使い道も変わっていきますし、昔、カーターさんが言った言葉をかりるならば、税金を使う障害者から税金を生む障害者にするということも、幾らでもあり得る話だと思うのです。

 そういう意味からいうならば、固定的に福祉を考えるのではなくて、障害者の社会活動にどういう形で誘導していくのかということの視点があれば、予算の膨れ上がることの意味合いが十分に価値のあるものとして受けとめられるのではないかと思うのです。私はそう思います。

 以上でございます。

○内山障害福祉課長 ありがとうございました。

 ほかに御質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、予定の時刻も迫っておりますので、本日予定しております議事を以上で終了させていただきたいと思います。

 次回の検討チームは、7月31日月曜日、9時から12時まで、場所はまた厚生労働省を予定してございます。議事は、関係団体ヒアリングの5回目でございます。

 本日は、ヒアリング団体の皆様を初め、お忙しい中、長時間にわたり御出席いただきまして、どうもありがとうございました。これをもちまして「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」の第5回会合を閉会いたします。どうもありがとうございました。


(了)

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