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2017年2月27日 第71回社会保障審議会介護保険部会 議事録

老健局総務課

○日時

平成29年2月27日(月)16:00~18:00


○場所

ベルサール九段 ホール


○出席者

遠藤、石本、伊藤、井上(隆)、井上(由)、岩村、大西、久保、
黒岩(代理:小島参考人)、小林、齋藤(訓)、齊藤(秀)、佐野、鈴木(邦)、鷲見、
武久、土居、栃本、馬袋、花俣、東(代理:折茂参考人)、桝田の各委員
(岡、鈴木隆雄、藤原の各委員は欠席)

○議題

1 基本指針について

○議事

○尾崎企画官 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第71回「社会保障審議会介護保険部会」を開催いたします。

 委員の皆様方におかれましては、大変お忙しいところをお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 まず、前回の会議から委員の御異動がありましたので、新しい委員を御紹介させていただきます。

UAゼンセン日本介護クラフトユニオン会長の久保芳信委員でございます。

○久保委員 どうぞよろしくお願いいたします。

○尾崎企画官 報道関係の方に御連絡いたします。冒頭のカメラ撮影はここまででございますので、御退席をお願いいたします。

(報道関係者退室)

○尾崎企画官 それでは、以降の議事進行は、遠藤部会長にお願いしたいと思います。

 どうぞよろしくお願いいたします。

○遠藤部会長 皆様、こんにちは。昨年12月に介護保険制度の見直しに関する意見について取りまとめをいただきましたが、約3カ月ぶりの開催ということになります。本年もまたどうぞよろしくお願いいたします。

 まず、本日の出欠状況につきまして、御報告いたします。

 岡委員、黒岩委員、鈴木隆雄委員、東委員、藤原委員が御欠席です。また、伊藤委員、土居委員がおくれて御到着の御予定です。

 また、代理出席についてお諮りしたいと思います。

 黒岩委員の代理として小島参考人、神奈川県保健福祉局福祉部長、東委員の代理として折茂参考人、全国老人保健施設協会副会長の御出席をお認めいただければと思いますが、よろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、議事に移りたいと思います。

 本日は、第7期の介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な指針の策定を議題としたいと思います。

 まず初めに、事務局から資料の説明をいただきまして、しかる後に委員の皆様に御議論いただきたい。そういう段取りで行いたいと思います。

 まず、本日配付されております資料について、事務局より確認をお願いしたいと思います。

○尾崎企画官 資料の確認をさせていただきます。

 お手元に、資料1「基本指針について」という資料を配付させていただいております。また、それに対応する参考資料としまして、参考資料1「基本指針について(参考資料)」。参考資料2は現行の基本指針そのものでございます。参考資料3としまして、昨年12月に取りまとめをいただきました本部会の意見書を添付させていただいております。参考資料4は、ことしの2月7日に閣議決定されました「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案のポイント」でございます。

 以上、資料が1つ、参考資料が4つでございます。不備等はございませんでしょうか。

 よろしければ、以降の議事は遠藤部会長、よろしくお願いいたします。

○遠藤部会長 それでは、まず、資料1につきまして、事務局から説明をお願いしたいと思います。

○竹林介護保険計画課長 介護保険計画課長でございます。

 私から、資料1の説明に先立ちまして、少し最近の動きについて御報告をさせていただきます。

 きょうは、参考資料3ということでつけておりますけれども、昨年12月9日に当部会の意見書をお取りまとめいただきました。その後、政府部内で法案化の作業を行っておりましたけれども、去る2月7日、本日、参考資料4としてつけておりますが、地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案を閣議決定し、続いて国会に提出させていただいております。本日、このポイントについて冒頭で少し御説明させていただきたいと思います。

 参考資料4をお開きいただけますでしょうか。

 1ページをお開きいただきたいと思います。こちらは、地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案のポイントでございます。

 大きく分けて5つの柱がございます。

 最初の3つが、ピンクでくくっておりますけれども、「地域包括ケアシステムの深化・推進」という目的の中で3本の柱を書いてございます。最初に自立支援・重度化防止に向けた保険者機能の強化等の取り組みの推進ということで、保険者であります全市町村が保険者機能を発揮し、自立支援・重度化防止に向けて取り組む仕組みを制度化するものでございます。具体的には、国から提供されたデータを分析の上、計画を策定すること。その計画に介護予防や重度化防止等の取組内容と目標を記載すること。都道府県による市町村への支援事業の創設、あるいは財政的インセンティブの付与の規定の整備といった内容でございます。詳しくは後ほど2ページにつけておりますので、御参照いただければと思います。

 2本目の柱でございますけれども、医療・介護の連携の推進等でございます。1として、「日常的な医学管理」や「看取り・ターミナル」等の機能と、「生活施設」としての機能とを兼ね備えた、新たな介護保険施設として介護医療院を創設するものでございます。※印にございますように、現行の介護療養病床の経過措置期間につきましては、6年間延長する内容となっております。病院または診療所からこの新たな介護医療院に転換した場合には、転換前の病院または診療所の名称を引き続き使用できることとする措置も講じております。2といたしまして、医療・介護の連携等に関し、都道府県による市町村支援の規定を整備しております。

 3つ目の柱でございますけれども、地域共生社会の実現に向けた取り組みの推進等でございまして、ポツが2つございますが、1つは、市町村による地域住民と行政等との協働による包括的支援体制づくりや、福祉分野の共通事項を記載した地域福祉計画の策定について努力義務化するものでございます。こちらは社会福祉法の改正となっております。また、高齢者と障害児者が同一事業所でサービスを受けやすくするため、介護保険と障害福祉制度に新たに共生型サービスを位置づけるものでございます。こちらは、障害者総合支援法、児童福祉法と介護保険法の改正となってございます。

 先ほど申し忘れましたが、2の1につきましては、3ページ目に詳しい資料をつけております。また、この3番目の柱につきましては、4ページ目に詳しい資料をつけておりますので、それぞれ後ほどごらんいただければと思います。

 それから、次の大きなくくりでございますが、この水色のところでございます。「介護保険制度の持続可能性の確保」という中に2つの柱を書かせていただいております。

 4番のところでございますが、2割負担者のうち特に所得の高い層の方について、世代内、世代間の公平を確保しつつ、制度の持続可能性を高める観点から、この3割負担をお願いするものでございます。負担増となる方は、約12万人、3%程度という推計をしております。この改正事項につきましては、30年8月の施行ということで、後ろの5ページに詳しい資料をつけております。

 また、5番目の柱でございますけれども、介護納付金への総報酬割の導入でございまして、各医療保険者が納付する介護納付金につきまして、応能負担の観点から、被用者保険間では総報酬割、報酬額に比例した負担に変えるものでございます。こちらにつきましては、激変緩和の観点から、段階的に導入するとともに、負担増となる被用者保険者に対する支援措置も講じることとしております。こちらは、29年8月分の介護納付金から適用することとされております。

 今の4番と5番以外の制度改正事項につきましては、基本的に平成30年4月1日施行ということになっております。

 参考資料4につきましては、以上でございます。

 続いて、資料1の御説明をさせていただきたいと思います。

 1ページになります。このページでは、基本指針の位置づけについてまとめております。

 最初の3つの○が法律上の位置づけでございます。まず、最初の1つ目の○でございますけれども、医療介護総合確保法とよく呼んでおりますが、地域における医療及び介護の総合的な確保の推進に関する法律というものがございまして、ここに規定されております総合確保方針、これは昨年1226日に一部改正済みでございますけれども、こちらに即しまして、この介護保険の基本指針を定めることとされております。ちなみに医療法による医療計画も同様の構成になっていまして、この総合確保法の総合確保方針の下に、介護保険の基本指針と医療計画の基本方針がぶら下がっているような法構成になっております。2つ目の○でございますが、都道府県及び市町村はこの基本指針に即して3年間の計画をつくっていただくことになっておりまして、この基本指針は計画作成上のガイドラインの役割を果たしているものでございます。3つ目の○でございますけれども、基本指針では、法律上、以下の3つの事項について定めることとされております。

 4つ目の○からは法律以外のことでございますけれども、まず、現行の基本指針で第6期以降の市町村の計画につきましては、「地域包括ケア計画」という位置づけで、団塊の世代が全て75歳以上になります2025年を見据えて、そこまでの各計画期間を通じてこの地域包括ケアシステムを段階的に構築していくという、その中の第6期という位置づけとなっております。したがいまして、第7期につきましても、まず、第6期で目指した目標などを踏まえまして、さらに2025年を見据えて着実に地域包括ケアシステムを進めていくために、第7期の位置づけを明らかにすることが求められていると思います。また、都道府県、市町村の介護の計画と医療計画につきましては、30年度以降、計画作成・見直しのサイクルが一致することになりますので、第7期の計画ではこれまで以上にこの医療計画との整合性等につきまして求められていると思っております。

 2ページ目になりますけれども、こちらでは、基本指針の改正に係る今後のスケジュールについてまとめております。まず、左のほうから、本日のこの部会で、構成案等について御検討いただきまして、3月10日に予定しております全国課長会議におきまして、自治体の皆様にこの構成案の提示をさせていただきたいと思っております。

 その後、国会で法案の審議の状況を見ながら、また当部会におきまして、今度は文案、この文案は現行の告示を参考資料2ということでつけております。このような40ページぐらいの分厚いものになりますけれども、これのようなものの第7期のバージョンを次回の介護保険部会でまた御議論いただき、その議論を踏まえて反映したものを今度は法改正に向けた臨時の全国課長会議に提示をさせていただく。その後、法令審査やパブコメなどを経まして正式な告示になるということでございますけれども、自治体の皆様には、計画づくりや保険料の検討をしていただかなければいけませんので、この文案の段階で作業を進めていただきたいと思っているところでございます。

 次の3ページから4ページにかけては、現行の基本指針の構成をまとめております。このページは詳しくは御説明いたしませんけれども、3部構成になっていることを頭に置いていただきたい。まず、第1というところで、市町村、都道府県にまたがる基本的な事項について書かれており、第2というところで、市町村計画の作成に関する事項がまとめてあります。第3というところで、都道府県計画の作成に関する事項がまとめてあります。このような大きな3部構成につきましては、第7期の基本指針でも維持してはどうかと考えているところでございます。

 続いて、5ページになります。第7期の基本指針の検討に当たって考慮すべき要素ということで、事務局では大きく分けて4つぐらいあるのではないかと考えております。

 まず、1つ目の柱でございますけれども、現在、国会に提出させていただいておりますこの地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案の関係でございまして、保険者機能の強化等の内容がございますが、今後、国会の審議を経て成立した場合には、その成立した内容を踏まえて、基本指針に反映させていただくことになると思います。

 次の柱でございますが、法案に盛り込まれていないものでも、昨年12月にこの当部会でおまとめいただきました意見書の関係、地域包括支援センターの機能強化を初めとした内容につきましては、反映させていただく必要があるのではないかと考えております。

 3点目でございますが、先ほど御紹介をした総合確保法に基づく総合確保方針で定められている関係、これは親玉の方針になりますので反映する必要がありまして、医療計画との整合性の関係、関係者による協議の場の関係等々でございます。

 その他、基本指針の検討に当たって考慮すべき要素として、今、事務方として意識をしておりますのは、例えば、ニッポン一応総活躍プランに盛り込まれた「介護離職ゼロ」の関係でございますとか、あるいは、昨年来、療養病床の在り方等に関する特別部会におきまして議論の整理をしていただきましたけれども、そこで盛り込まれております介護療養病床に係る総量規制の取り扱い等の関係でございます。

 6ページ目からになります。構成等の見直しということでございまして、ここから3段表の形で、左に現行の目次、真ん中の欄に目次構成の見直し案、右側にそれぞれの項目ごとに見直しに当たって考慮すべき要素の例として事務方で考えついたものを盛り込ませていただいております。一番上に注が書いてございますように、右側の考慮すべき要素として入れておりますのは、先ほど申し上げたような法案の関係でありますとか、意見書の見直しの関係、それぞれ●や○という分類をしておりますけれども、言ってみれば、これまでの当部会等における議論の蓄積を事務方として整理をしたものでございます。本日は、見直し案について、構成の見直しがこんな形でいいのかどうかに加えまして、今後、文章化に向けてさらにこんな要素も反映すべきではないかといった御意見を頂戴できればありがたいと思っております。

 それでは、始めさせていただきます。

 3部構成の最初に「第一 サービス提供体制の確保及び事業実施に関する基本的事項」でございます。基本的には真ん中の欄、見直し案に沿いまして御説明させていただきたいと思います。最初の地域包括ケアシステムの基本的理念というところでは、法律の趣旨、目的でございます自立支援、介護予防、重度化防止の推進ということを冒頭に書いてはどうかと考えております。その後、最初に長期目標ということで、2025年に向けた地域包括ケアシステムの構築に向けた目標を書き、これとの関係性が深い総合確保法に基づく計画や医療計画との整合性の確保を続いて書いてはどうかと考えております。その後、地域包括ケアシステムの構築を進める地域づくりですが、こことの関係で地域ケア会議・生活支援体制整備の推進といったことを書いて、記載の充実を図ってはどうかと考えております。その後、人材の確保があり、各論的な事項として、最初に認知症施策の推進。それから、高齢者虐待の防止等につきましても、特に家族支援の観点も含めてここに追記をしてはどうかと考えております。それから、介護サービスの情報の公表、従前「介護給付の適正化」という表題にしていたところにつきましては、もう少し内容を膨らませて「効果的・効率的な介護給付の推進」としてはどうか。従前「市町村相互間の連携及び市町村と都道府県との間の連携」としていたところにつきましては、今回の改正法案におきまして、都道府県による市町村支援を法定化したことに伴いまして「都道府県による市町村支援等」という部分と「市町村相互間の連携」というところに分けて記載してはどうかと考えております。

 それでは、7ページをお開きいただきまして、こちらからは3部構成の第二、市町村の計画の作成に関するガイドラインの部分でございます。この中がさらに3部構成になっておりまして、一で、まず、計画作成に関する基本的事項、総論的な事項があり、その後、9ページ以降になりますが、二でいわゆる法律上の義務的記載事項の関係でございます。10ページ以降で、法律上の任意記載事項の関係を整理しております。

 7ページから御説明させていただきます。最初に、基本的事項ということでございますけれども、一の1のところで、これからはデータ分析に基づく課題分析から始まるPDCAサイクルについてしっかり重要であることを書かせていただいてはどうか。それに伴って、表題も少し変えさせていただいております。その上でPDCAの流れに沿って構成を見直してはどうかと考えておりまして、最初に地域の実態の把握の調査につきましても、改良された介護予防・日常生活圏域ニーズ調査や介護離職、家族等の観点も含めた調査といったものもしっかりやっていただくことを書いてはどうかと考えております。3番目のところでは、その次に計画作成のための体制の整備というところで、関係部局として、防災部局や障害部局をしっかり明記することや、計画作成委員会の関係者として家族も追加すること、あるいは、ただ計画作成委員会をつくるだけではなくて、そこでしっかり議論をしていただいて、意見集約をすることが重要であるということもしっかり盛り込んでいただいてはどうかと考えております。あとは大体現状どおりでございます。

 8ページの冒頭のところで、今後は、立てた目標がしっかり達成されたかどうかの点検、評価といったものをしっかりし、公表していただくことが重要であることをしっかり書いていただいてはどうかと考えております。その後、日常生活圏域の設定や他の計画との関係につきましては大体現状どおりかと思っておりますが、枠外に※印をしておりますけれども、現在、国会に国土交通省の法律で賃貸住宅の関係の法律が出ております。この中に市町村賃貸住宅供給促進計画というものがございまして、空き家の活用などが書かれる予定だと聞いております。この法案が国会の審議を経て成立した場合には、この計画との調和についても加筆をしてはどうかと考えております。

 9ページ目でございますけれども、こちらは、法律上の市町村計画の基本的記載事項の関係でございます。1、2、3というところは、従前どおり、サービスの見込み量など計画の骨格部分でございますけれども、4番として、今回の改正法案では、従前の義務的記載事項に加えまして、市町村の自立支援の取り組み、あるいは介護予防や重度化防止の取り組み、給付適正化の取り組み、それらの目標設定といったものを法律で義務的に計画に記載していただくことにしておりますので、それを踏まえてこちらにもしっかり記述をお願いしたいと考えております。

10ページからは、市町村計画の任意記載事項になります。こちらでは、最初に三の1というところで、消費税財源を使ってしっかり重点的に進めていく事項として掲げておりますが、この中で地域ケア会議の推進についてもしっかり項目を起こして書いていってはどうだろうか。それから、2の(四)ということで人材の確保及び質の向上、こちらにつきましては、基本的には人材の確保というのは、国、ハローワークや都道府県と連携をしていただくことになると思いますけれども、市町村は、まず、サービスの利用料見込みなどを立てて、その確保策を考える立場でございますので、その際に人材の確保についてもしっかり意識をしていただくことが適当ではないかと思い、項目として新設してはどうかと考えております。

11ページでございますけれども、地域包括支援センターの評価が義務づけられたことに伴いまして、4の(三)に評価という表題を追加してはどうかと考えております。

12ページからは、都道府県の計画作成のガイドラインでございまして、おおむね、今、第二の市町村の計画のガイドラインのところで申し上げたことと同趣旨の修正でございます。1つ、特徴がありますのは、この12ページの4のところで市町村支援という項目をしっかり立ち上げるというところでございます。あとはおおむね市町村のところで御説明したとおりの内容となっております。

 私からの説明は、以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございました。

 それでは、ただいま事務局から御説明のあった内容につきまして、御意見、御質問等がございましたら、御発言をいただきたいと思います。なお、多くの委員が御発言できますように、要領よく御発言いただくように御協力をお願いします。

 それでは、鈴木委員、どうぞ。

○鈴木(邦)委員 全体の方向性とか構成はよろしいと思うのですが、何点か質問をさせていただきたいと思います。

 まず、6ページのところでございます。一の5に「高齢者の住まいの安定的な確保」とありますが、この中の右の□の文章の中に、「住宅施策との連携、『まちづくり』の一環としての位置づけ」とあります。この住宅施策とはどういう内容なのか、何を意味しているのかを教えていただきたいということと、「まちづくり」と簡単に書かれているのですが、何をもってまちづくりと考えているのかもぜひお聞かせいただければと思います。

 9ページのところでございます。二の2の、各年度における介護給付費等対象サービスの種類ごとの量の見込みのところですけれども、特定施設や、認知症グループホーム、あるいは小規模多機能型居宅介護などの居住系サービスは、計画設定の際に在宅サービスに入るのか、施設サービスに入るのか、どういう位置づけになるのか、それもお示しいただければと思います。

 6ページに戻っていただきまして、真ん中ぐらいの三です。医療介護総合確保法に基づく計画、医療計画との整合性の確保ということでございますが、ここに「整合性」という言葉が出てまいります。また、13ページを見ていただきましても、ここに8の(三)に「医療計画との整合性」という言葉がありますけれども、特別養護老人ホームは、診療報酬上は居宅扱いになっています。医療計画と介護保険事業計画の整合性を確保するとありますが、そのような両者の違い、自宅、在宅、居宅、施設の定義や、扱いに整合性がとれているのかどうかを含めて、整合性をとるということであれば、それらを合わせることもお考えなのかをお聞かせいただければと思います。

 8ページに戻っていただきまして、7の(六)です。市町村高齢者居住安定確保計画との調和でございますが、右を見ますと、市町村高齢者居住安定確保計画(サービス付き高齢者向け住宅等に関する計画)の法定化とあります。真ん中の文章だと、「調和」と漠然とした感じで、左の現行のものと同じ書きぶりなのですが、一番右を見ますと「法定化」と書いてありますので、これは、私は何度も発言しておりますけれども、従来から問題になっているサービス付き高齢者向け住宅が無秩序に増加して、地域、在宅サービスが混乱しているということもありますので、その法定化とはどの程度の計画的な整備を目指しているものなのか、もう少し詳しく教えていただきたいと思います。従来の内容を見ますと努力義務になっていますので、実効性がなく、市町村が業者に訴訟すると脅かされているような状況もあるわけですが、例えば、市町村が反対すれば、それがしっかり効力を持つものなのか、どういうレベルの法定化を想定しているのかを教えていただきたいと思います。

 最後に、12ページでございます。一番下の6の老人福祉圏域の設定ですが、これは以前にも質問したのですけれども、右を見ますと「老人福祉圏域と二次医療圏域とを可能な限り一致させるよう努めること」と書いてあります。これまでに幾つかの老人福祉圏域が二次医療圏域と違うというお話はされておりますけれども、二次医療圏域は医療ですからある程度広範囲なものを前提にしていると思うのですが、介護のほうは在宅医療も含めて日常生活圏域が中心になっていきますので、老人福祉圏域を二次医療圏域と一致させることの意味をどのようなものと考えていらっしゃるのか、それについて改めて御説明いただきたいと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございました。

 幾つか質問が出ましたので、事務局から1つずつ回答していただきたいと思います。もし質問の内容について御不明な点があれば、その点についても問い直していただいても結構でございます。

 事務局、どうぞ。

○竹林介護保険計画課長 どうもありがとうございました。

 最初に、総括的に私のほうから御説明をさせていただきます。

 6ページに、住まい、住宅施策の意味という話がありました。詳しくは後ほど高齢者支援課長から補足をしていただきますが、この部分につきましては、先ほど申し上げた総合確保法に基づく総合確保方針、これは昨年に別の審議会で議論をされてその議論を踏まえて昨年の年末に改定されておりますけれども、こちらの総合確保方針の中でこのような医療・介護ともに住宅施策との連携やまちづくりの一環としての位置づけをするようにと、ある意味、親玉のほうの基本方針からそのようにボールを投げられているという部分でございます。内容につきましては、後ほど高齢者支援課長から少し補足をさせていただきます。

 9ページの居住系サービスの量の見込みの取り扱いの部分ですが、こちらのほうは、特にこの指針で何か新しい整理をすることにはなっていなくて、もともと法律でそれぞれのサービスが法定されているわけですけれども、それぞれごとにその自治体で向こう3年間どれだけのサービス量が必要になるかということを、そのサービスの種別ごとに順番に書いていくという内容でございます。

 6ページ、13ページでございましたけれども、「整合性」という言葉、医療との整合性でございましたが、今、鈴木委員は特別養護老人ホームのことを例に挙げておられましたけれども、それぞれ法律上は、確かに特別養護老人ホームは、医療の世界では在宅の一部だし、介護保険法では入所施設ということで位置づけられていまして、別にそういった法律上の位置づけまで変えるようなことではなくて、ただいろいろな在宅医療のニーズあるいは介護保険のほうでの介護サービスのニーズ、量の見込みとかを調べるときに、全く無関係に考えるわけではなくて、それぞれ必要量とかを検討する際に、両方の整合性をとりましょう。ただ、法的な位置づけとしては、別にそれぞれの法律で決まっているものですから、それぞれの法的な位置づけを前提に、数量の計算をする際などの整合性を図っていくということが基本になろうかと思います。

 8ページのほうも、高齢者居住安定法の関係ですが、高齢者支援課長からお話ししていただこうと思っています。

 最後、12ページでございましたけれども、老人福祉圏域のお話は、介護保険のほうも圏域の考え方が2つございまして、1つは市町村レベルの圏域の考え方で、こちらにつきましては、8ページの上のほう、6というところで日常生活圏域の設定がございます。こういう市町村計画における日常生活圏域、これは中学校区のような、歩いて行ける範囲というか、日常生活が達成できる範囲の圏域で、この範囲で地域密着型サービスなど、そういった身近なサービスの整備を進めていく単位でございます。それに対して、老人福祉圏域のほうは、主として医療との連携や、あるいは入所施設の需要などに対応するような、ある程度広範囲の、都道府県計画のほうに書く圏域でございますので、こちらのほうは、そういう目的であれば、医療計画のほうの二次医療圏となるべく一致させるようにという話が数年も前から進めているところでございます。現状におきましては、ほとんどの圏域がそろっておりまして、一部包含関係と申しますか、老人福祉圏域のほうが大きくて、その中に幾つかの二次医療圏が入っているかその逆のパターンかになっていまして、圏域がばらばらな例はなくなっていると承知しているところでございます。

○佐藤高齢者支援課長 続きまして、若干補足させていただきます。

 2点ございまして、まず、1点目が、6ページの一の5番の高齢者の住まいの安定的な確保についての御質問でございました。先ほど計画課長から申し上げたものが直接の、要は昨年末の告示改正を受けたものと考えておりますけれども、大もとは、御指摘のように、有料老人ホームあるいはサービス付き高齢者向け住宅が地域におけるニーズ応じて計画的に適切に供給される環境を確保するとともに、これらの住まいにおける入居者が安心して暮らせるように、都道府県が適切な指導、監督を行うよう努めるなどのことが、現行のこの基本指針に書いてございます。そういったことを踏まえまして、この住まいについては、保険医療・介護等のサービスが提供されるということと相まって、一つそういったものを位置づけるということを考えてございます。

 「まちづくり」が何かという御質問もございましたけれども、これも昨年末の告示改正の際の議論では、特に細かい定義というのは承知しておりませんが、まさにさまざまな生活機能、さまざまな必要な生活を支援するような機能、医療・介護を含めて、そういったもの全体として意図しているものだと理解してございます。

 続きまして、8ページの真ん中の7番の(六)市町村高齢者居住安定確保計画との調和の法定化の中身でございますけれども、昨年の地方分権関係の法改正におきまして、サービス付き高齢者向け住宅の整備を含めた高齢者居住安定確保計画について、市町村がつくることができる、策定できるということが法律上明記されました。これまで市町村も実態上つくることはできなくはなかったのですが、よりその市町村自身がみずからのエリアの中でしっかり居住の安定を計画的に進めるという必要性からそのような議論があって、市町村がつくれるということになりました。これが直接の契機で、今回、その見直し案として追加させていただきたいというものでございます。

 以上でございます。

○遠藤部会長 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木(邦)委員 理解できたものと確認したいものとがあるのですが、最初に、1つ、居住系サービスは在宅サービスか施設サービスか、それをお答えいただきたいということと、法定化とのことですけれども、計画をつくることは市町村もできるということで、それはある程度規制も可能だという内容も含まれるものであると理解してよろしいのかということです。サービス付き高齢者向け住宅はサービス付きですのでただの住宅ではないのですから、きちんとそのサービスの提供が可能な範囲でつくらないと現場が混乱するのです。人里離れた山奥に大規模な住宅をつくって、利用者は首都圏から連れて来ますというような話をされても、現場としては受け入れられず、まちづくりという観点からも、掛け離れた内容になってしまいますので、整理をお願いしたいと思います。その2点を確認させてください。

○遠藤部会長 事務局、お願いします。

○竹林介護保険計画課長 先ほどの説明が要領を得なくて、済みません。

 1つは、まず、基本指針上の話でいいますと、これは現行の基本指針です。これは参考資料2としてつけておりますけれども、こちらの15ページから16ページ、17ページにかけてのあたりが、今、鈴木委員御指摘の介護給付等対象サービスの種類ごとの量の見込みという部分でございまして、ここは基本的には第7期でもこの構造自体を変える必要はないと思っていますが、特に特定のサービスが在宅に分類されるのか施設に分類されるのかということはこの基本指針では言及しておりません。それは大もととしてむしろ法律の位置づけの話がございまして、法律では、大きく分けて、この特定施設入居者生活介護、いわゆる特定施設のサービスなども、在宅というか法律上の用語で言えば居宅サービスになりますけれども、大きく分けて施設と居宅サービスという分け方があって、ただ、我々が通常居宅サービスと言っても、訪問介護とか通所介護とそういう特定施設では大分性格が違いますので、通常は居住系サービスと呼んで、いろいろな各種の資料づくりなどのときには分けて書いていることが通常でございますが、法律上の大きな根っこから言えば、そういう施設かあるいは居宅サービスかということになって、居宅サービス側に入っているということでございます。

○佐藤高齢者支援課長 2点目の8ページの真ん中のところでございますけれども、この市町村高齢者居住安定確保計画の法定化について、これはサービス付き高齢者向け住宅等についての計画的な整備についての記載でございます。サービス付き高齢者向け住宅は、ソフトとハードが一定の水準を満たす住宅を登録していただきまして、その登録に基づいて事業を進めていただく、運営を進めていただくことになってございます。規制ということになりますと、住宅が基本ですので、直接的に住宅そのものの建築を規制するという部分はこの法律ではございませんので、ほかのいろいろな目的からの法律という意味では規制はございますけれども、この法律そのものは計画的な整備を進めていくというものでございます。

 ただ、御指摘のように、まさに介護対象サービスに関する施策と居住に関する施策はしっかり有機的に連携をしませんと、なかなか包括的に地域包括ケアを進めていくことが整合的にできないということがございますことから、委員の御指摘のような、計画における整合というものをしっかり図ることにしております。

 また、現場におけるサ高住そのもののいわゆる支援策についても、自治体のほうでまさに地域の実情を踏まえて、よく福祉部局と住宅部局は協議の上、補助金等の支援策についてはお決めいただくという形であることは、前の会議でしたか、何がしかの場で一度御説明申し上げた記憶がございます。

 以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 鈴木委員。

○鈴木(邦)委員 もう一つはっきりしない説明ですけれども、介護保険事業計画や医療計画をいかに緻密につくっても、現場にサ高住がぽんとできてしまうということが改善されないと、結局、絵に描いた餅になってしまい、非常にむなしい計画になりますので、そこは医療部局、介護部局、住宅部局、この3つの部局がしっかり整合性をとって、実態として地域で混乱が起きないようにしていただきたいと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ほかにいかがでしょうか。

 それでは、馬袋委員、どうぞ。

○馬袋委員 ありがとうございます。

 それでは、今回の基本方針について、とりわけ地域包括ケアシステムの中で在宅ケアをいかに進めるかというのは重要だと思っています。その中でも中重度の利用者のケアについては特に医療・介護連携が極めて重要だと認識をしていますし、また、人材確保が重要であること、そして、そのサービスを担う事業者の供給量と質の担保という意味も含めて、そういった観点から基本指針について幾つか御質問と要望をさせていただきます。

 ページ番号5の基本方針の検討に当たって考慮すべき要素において、地域における医療及び介護を総合的に確保するための基本方針が位置づけられていますけれども、これらの中で、特に医療計画、介護保険計画、都道府県の計画を一体的に作成して、これらの計画の整合性を確保できるように「都道府県や市町村における計画作成において、関係者による協議の場を設置」と書かれています。

 具体的には7ページになると思うのですが、見直し案に考慮すべき点の中から2つのことが挙げられています。下から2つ目のところ、考慮すべき点というのはここには記載されているのですけれども、都道府県や市町村がこうした特に在宅の医療ニーズを推計し、その推計値を示すに当たって、関係者による協議の場というのはどこに設置をされるのかということの具体的なイメージを教えていただきたいのが1点と、もう一つは、当然、連携する介護事業者の意見というのは、ここで言われる協議の場には反映していただけるかどうかについても御質問したいと思います。

 次に、介護人材のところでありますけれども、特に介護人材のところは、サービスの質・提供量を、都道府県、市町村によって確保に向けた支援をするとあるのですが、目標値の設定も含めて取り組みを講じないと解決しないと思います。そこで具体的なことをやらないと間に合わないと思うのですけれども、具体的には、どこがどのような内容で計画し書かれるのか、取り組みを実施されるのかということを教えていただきたい。

 最後に、10ページの見直し案に考慮すべき要素の下から3つ目の●のところなのですが、ここに新規参入等のことが書かれているのですけれども、この点は特に新規参入とか新設とかの公募において、事業者の参入機会の公平性、はじめから、どこでないといけないという事業所の指定ということではなくて、機会の公平性、審査や判断の過程において中立で公正であること。そして、その経過と審査内容について、公表も含めて透明性の確保を強くお願いしたいと思います。特に公募等は、急に公募内容が開示されて、すぐに締め切り日がきてしまうような実態があります。計画から実行について、そして提案する機会が公平に与えられているのかな、ということもありますので、ぜひ公平で、公正で、透明である公募の体制については、強くお願いしたい。これは要望です。

 以上です。

○遠藤部会長 質問について、事務局、お答えをお願いいたします。

○竹林介護保険計画課長 介護保険計画課長でございます。

 御質問をいただきまして、ありがとうございました。

 最初に、在宅医療ニーズとの関係あるいは関係者による協議の場に関する御質問でございます。

 こちらにつきましても、昨年末の総合確保方針でボールを投げられて、今、こちらの部会と、医療計画でも、また医療計画の見直しに向けた検討会が行われておりまして、そこで議論されています。まだそういう意味ではこれから煮詰めていく部分が多くございますけれども、非常に単純に言えば、まず、医療計画は都道府県レベルでつくることになっている。それから、介護保険の計画は県レベルものと市町村レベルものがありますけれども、ベースとなるのは市町村レベルのものですので、医療と介護の整合性を図るためには、まず、作成主体が県が中心になるものと市町村が中心であるものの整合性を図らなければいけないということなので、そういう意味では、庁舎の中での連携だけではなくて、県と市町村という行政主体を超えた話し合いをしっかりしていかないと両計画は整合しないという問題意識から、基本的には都道府県と市町村、それにさらに関係者にも入っていただく形でこの協議の場をつくってはどうかという話になっていると思います。

 どこに設置されるのかというのは、そういう意味ではまだこれから煮詰めていくところですけれども、ベースとしては、県なのだと思うのです。正式なあれはあれですけれども、やはり取りまとめのポジションとして、県の方と市町村の方と民間の方が入ると考えたときには、発起人というか、声かけ人は県が基本になりながらしていくということではないかと思います。

 介護人材の関係でございますけれども、ここは先ほど10ページで今回新設してはどうかと御提案申し上げたところでございますが、基本は人材がどれぐらい必要かということのベースは、サービス量をこれからどれだけふやしていくのかということがベースにあるわけです。したがって、今も県でいろいろと人材の今後の必要見込み数とかを計算していただいておりますけれども、県の計算のベースには、各市町村がそれぞれのサービス種別ごとに今後どれだけふやしていくのかというのを出していただいているのを県レベルに集計して、それにこのサービスならサービスが1伸びるときに人材がどれぐらい必要なのかという換算をして、人材の必要数を出しているということでございますので、そういう意味では、その作業は実は市町村でもできるというか、これだけ我が町で3年間でサービスを伸ばす、あるいは2025年に向けてサービスをこれだけ伸ばすという計算をすれば、必要な換算などについてはまた国のほうでも少し御助言したいと思いますけれども、基本的にはそれをベースに人材がどれぐらい必要になるかということの計算ができる。それをどうやって埋めていくのか。ここは市町村単独では難しいと思うのですけれども、ハローワークなり都道府県と連携をして、それをどうやって埋めていくのかというところについても、市町村だけでやることはもちろん難しいのですが、よく意識を持って考えていただこうと。サービスをふやすに当たって、今、人材の確保が一つの制約になりつつありますので、そういう意識を持って考えていただこうということで、こういう御提案をさせていただいているところでございます。

○遠藤部会長 馬袋委員、よろしいですか。

○馬袋委員 2点、先ほどの在宅医療のところはとりわけ地域に非常に必要ですし、どちらかと言えば、市町村、生活圏領域に非常に密接になると思います。その面では、在宅の医療の提供に当たられる方々及びチームというところの中で協議の場を設けませんと、具体的な内容の中まで実施できないのではないかということです。当然医療計画は県なのですけれども、具体的なところではそういった場が必要ではないかと思っています。

 それから、人材のところなのですけれども、確かに県でお取りまとめいただくのはよいのですが、先ほど市町村計画の中で、事業参入とか、今後どうするかというものも踏まえて、関係介護事業またはその関連事業の関係者と、市町村の方々も含めた協議をして、人材をどう確保するのか。逆に、あるサービスを強化するのでそちらの人材が必要だとか、具体的なところは、市町村の場で、介護事業を担当しているメンバーとの協議をしながら、どれぐらいの供給量を具体的に誰が、その施策に対して県がどういう形で支援するのかを具体的にしませんと、なかなか進まないのではないかと。ぜひそういった意味でのサービスの提供量、供給も含めた協議の場を確実にしていただいて、人材確保ということをお願いしたいと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。

 それでは、折茂参考人。

○折茂参考人 ありがとうございます。

 只今、介護保険計画課長からサービス量の必要性という観点でのお答えがありました。それを踏まえまして、例えば資料1の6ページ「基本指針について」の「見直し案(新)」の覧の「一 地域包括ケアシステムの基本的理念」の1に「重度化防止」と記載されていますが、この「重度化防止」というのはとても重要なことで、重度化を防ぐことがサービス量の必要性にも絡んでくるのです。

 ただ介護の世界では、医療の世界と違ってエビデンスがなかなかつくりづらくて、何をもって重度化と判定するのかという明確な指標がどこにもありません。基本指針に「重度化防止」と書くことはとてもすばらしいことですが、どんな指標に基づいて重度化になったとか、ならなかったと判断するのか、果たしてこの介護の世界にそのような指標があるのでしょうか。また、同じところに「自立支援」との記載もあります。「自立支援」という言葉もすばらしい言葉なのですが、恐らくここにいらっしゃる皆様方のそれぞれが思っている「自立支援」という言葉の定義が必ずしも一致していないと思います。かけ声ばかりで「自立支援」と書いても、結局、市町村とか都道府県の担当者がこれを見て、「自立支援」は大事だと認識するだけで、「自立支援」の定義やそのエビデンスづくりのところまでは行き着かないと思います。

 「自立支援」というのは、医療の世界で言えば、もとの状態に戻すことが明確な目標設定ですけれども、介護の世界の「自立支援」は重度化とか軽度化という問題ではなくて、その方の願いや思いを実現するということだと思います。そうした「自立支援」や「重度化防止」も含めて、どんな指標を介護の世界で設定できるかがとても重要で、そうした介護の世界でのエビデンスをつくり、医療と同じようにしっかり明確な根拠を持った介護が提供できるようになることが重要だと思います。そのような指標がないと、サービスの量の調整はできないと思います。お世話型介護ばかりをやっていたら、サービスの量などはどんどん増えてしまいます。この基本指針に記載される言葉の捉え方が人によって違うなかで、曖昧に書かれてもいかがなものかと思います。

○遠藤部会長 ありがとうございました。

 ただいまのは御意見ということでよろしゅうございますか。

○折茂参考人 自立支援の考え方等について教えてください。

○遠藤部会長 そうですか。それでは、コメントがあれば。

○竹林介護保険計画課長 今、折茂参考人から御指摘いただいたことはまことにごもっともだと思っていまして、自立支援と一言で言ってもいろいろな捉え方があるし、重度化防止ということも具体的にどういう指標でどうはかっていくのかというのはすごく大きな課題だと思っています。

 この基本指針の冒頭の部分では、その辺の細かな定義でありますとか、指標の話まで踏み込んで恐らく書くことにはならなくて、物の考え方として、いろいろな関係者が集まって自治体の計画をつくるときにまず最初に念頭に置くこととして、介護保険というのは自立支援や重度化防止・介護予防を目的とする制度でしたので、そこから立ち返って、皆さん、いろいろなことを議論していきましょうというレベルのことだと思いますので、この基本指針に書くこととしてはそれほど具体的なことまで多分踏み込めないのだろうと、今の基本指針を見てもそういう感じなのですが、今、折茂参考人から御指摘があったことは、我が局のさまざまな行政分野でこれからも引き続き検討を続けてまいりたいと思っております。

○遠藤部会長 よろしくお願いします。

 こちら側にいきましょう。

 それでは、久保委員、小島参考人、佐野委員の順番でお願いします。

 久保委員、どうぞ。

○久保委員 ありがとうございます。

 前任の陶山より交代いたしました、久保と申します。私の立場は、介護従事者の代表者として、前任者の臨時委員を引き続き受けさせていただきました。今後、できる限り介護従事者の声を集めて発言させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 今回議題の基本指針について、議論にあたっては介護従事者の立場から、介護人材の確保及び資質の向上という観点で意見を述べさせていただきたいと思います。先ほどと若干かぶる部分がございますけれども、よろしくお願いします。

 次期介護保険事業計画は、3年ごとの計画にとどまらず、2025年の団塊の世代が75歳となるいわゆる2025年問題に向けて、大変重要な位置づけです。2025年は、介護人材が38万人不足すると推定されています。介護保険制度を持続させるために不可欠なのは人材です。既に離職者の穴埋めができず、人員基準を満たせないことが理由として事業所閉鎖が頻発しており、組合員からは人材が不足して過重労働が発生しているなどの声も寄せられています。2025年に突然38万人が不足するわけではなく、現在でも人材が不足している中で、どのような具体的な施策を講じて介護人材不足という課題を解決するのかが喫緊の問題です。したがって、第7期、第8期、第9期のそれぞれの計画の中で、具体的に何名を充足するかという数値目標と、その実効性確保のための具体的施策計画が必要です。

 このような観点で申し上げますと、市町村の事業計画では、資料1「基本指針について」の10ページ、任意項目の中の(四)で介護人材の確保及び資質の向上という項目があり、同じく都道府県では15ページ、任意項目の中で3に地域包括ケアを支える人材の確保及び資質の向上に資する事業に関する事項という項目があり、それぞれ任意記載事項の位置づけですが、この見直しは基本的記載事項として位置づけるべきであると考えます。

 市町村と都道府県に取り組んでいただきたい要望が、2点あります。

 私どもの組合員を対象とした処遇改善調査において、月給制の年齢構成推移を見ると、20歳代は201222.5%から201613.1%に、また、30歳代は201226.4%から201620.5%に、20代、30代ともに5年連続で減少しています。この若年層の減少傾向は、介護人材確保にまさに黄色信号がともっていることをあらわしていると言えます。福祉の学校へ進学する学生数も減少、その上、学校の進路指導からは現実を踏まえて介護職はやめておいたほうがよいなどと指導されるケースもあると聞きます。どうか社会全体に対して介護の仕事へのイメージがアップするような施策を講じていただきたいと考えます。

 また、介護職員の働く上で例年不満の上位に位置する賃金についてですが、2015年のデータで年間賃金総額を比較します。賃金構造基本統計調査の全産業年収平均は454700円、私どもの処遇改善調査の月給制年収は平均3086,000円となっており、1454,700円の開きが生じています。この数字を12カ月で割り返すと、月額121,225円の開きです。これが介護職員の処遇改善加算も含めた賃金実態です。介護職員に対する処遇改善を目的として介護職員処遇改善加算が実施されていますが、確実に加算が介護職員へ行き渡っているのか。調査・検証をしっかりと行っていただきたいと考えます。

 以上です。

○遠藤部会長 御意見として承りました。ありがとうございます。

 それでは、小島参考人、お願いいたします。

○小島参考人 私からは3つございます。

 最初に折茂参考人がおっしゃった、自立支援とか重度化予防の目標値の設定でございます。第3期の折に、介護予防を導入したときに、自然体の認定者と介護予防の認定者という設定をして、その差を取り組むべき目標値と、このように定めたわけでございますが、その後の検証がなかなか難しかったことと、第4期以降、なかなか同じようには計画設定ができなかったこともありますので、先ほど指針の中には目標の設定の考え方そのものまでは触れられないということですけれども、第3期の折に示された計算式のようなものを示されて、各市町村がこれを設定するというのはかなり難しいかと思いますので、そういう意味では、この見直し案の言葉なのですが、この「支援」という言葉は、市町村が行う地域における自立生活の支援とか、いろいろあって、そこの後に取り組みとかというのであれば記載はできるのですが、目標というよりは方向性とか、その辺を少し言葉を考えてもらったほうがいいのかなというのが1点でございます。

 2点目は、今、久保委員からも話が出ましたが、介護人材の話なのですが、この指針の大きな3つの中には、市町村の計画と都道府県の支援計画の部分とそれぞれ書いてあるわけですが、記載されている場所が異なっているのかなと。また、市町村に介護人材の確保または資質の向上を求めているということは、市町村の大きさというのは大小さまざまでありますので、確かに単独でできるというのは難しいのではないか。そういう意味では、同じ記載を都道府県計画の方に書いていただければ一体となってやるという表現に資するかと思っていますので、特に今回の指針の中で赤字で書かれて新規で参入したところについては、そこを工夫していただきたいという思いです。

 特に先ほども申し上げた目標設定のところもそうなのですが、3つ目は、適正化の話をしたいと思います。介護給付の適正化は、3期のときに国から策定指針が示されて、それぞれの市町村の事業計画あるいは都道府県の支援計画の中に盛り込んでいるところもあれば、別に計画を立てているところもあります。介護給付適正化計画という名前で別につくっているところもあるのですが、先ほど一番最初に事務局の説明では、「介護給付の適正化」という文言を、一番最初の基本的事項では「介護給付の適正化」という言葉を使わないで「効果的・効率的な介護給付の推進」という言葉で、これは幅広に捉える必要があるという説明があったかと思います。

 一方では、例えば、それぞれの都道府県の部分にしても、こちらについても、介護給付等の適正化への支援及び目標設定ということがありまして、ここの一番頭に書いてあるものは市町村が行うとありまして、ほかの事業支援計画の場合には老人保健福祉圏域ごとに考えるとか、圏域調整をした数字で支援計画には載せるとか、そういったことで、単純に市町村の計画の積み上げをするわけではないわけなのですけれども、ここでは市町村が行うということが頭に冠されていますので、県下の市町村、個々の数値目標を都道府県が示さなければいけないのか。この辺が疑義があります。

 その辺、全体的に総じて言えることは、新たな取り組みとして赤字で入れたものについては、都道府県の役割と市町村の行うべきものをよく見ていただいて、記述については表現を直していただければと思っております。

 また、今の部分、適正化について、最初では幅広でということで「適正化」の言葉を使わなかったのは、今度は逆に今まで任意項目だったものが義務づけされる記載事項に格上げされているということですから、適正化についてどのように考えておられるのかということに疑義が残るかと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 これは御要望、御意見でよろしゅうございますね。

 関連で、事務局からコメントをお願いいたします。

○竹林介護保険計画課長 いただいた御意見は御意見として、反映できるものはしたいと思っているのですが、事実関係だけ申し上げますと、今、小島参考人がおっしゃっていたのは、場所としては、まずは市町村計画の9ページに書いてある4番で追加している部分、あるいは14ページの都道府県計画で3番で追加している部分だと思います。ここにつきましては、今、国会に提案中の改正法案の中で、まさにこの文言で義務的記載事項として位置づけられております。もちろん法案ですからまだ国会審議中ということで、それで確定しているわけではありませんけれども、現行の内容としては改正法案の内容をそのまま引き写しているということで、御理解というか、法案が変わらないのにこの指針だけ法案と違う内容を書くことは難しいので、法案に沿った内容であることは事実関係としては御承知おきいただきたいと思います。

14ページに書いてありますのは、これは文章が読みづらくて恐縮なのですけれども、まず、市町村が行う自立支援、市町村が行う介護予防とか重度化防止、市町村が行う介護給付の適正化、こういったものにどういう支援策を講じるかということを書いてほしいということと、その支援策の目標を書いてほしい。県として、例えば、研修をやるなら研修を何回やるかとか、そういったことを書くのがここの目標ですので、市町村の行うそういう取り組みについての数値目標を定めるものではございません。県が市町村に対してどういう支援を行うかという内容と、その市町村に対して行う支援の目標をこの計画の記載事項としては求められているということでございます。

○遠藤部会長 小島参考人、よろしいですか。

○小島参考人 はい。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 お待たせしました。佐野委員、お願いいたします。

○佐野委員 意見を何点か述べたいと思います。

 まず、今回、こういう基本指針をこの介護保険部会で議論することになったことは高く評価したいと思います。この部会は3年ごとの制度見直しに向けた検討を行うだけではなくて、例えば、総合事業の進捗状況ですとか、今回の法案に盛り込まれておりますインセンティブ関連などの検討もぜひ対象としてやっていただければと期待しております。

 それから、中身のほうで、今回、改正法案に基づいて、市町村や都道府県がいわば被保険者の自立支援、重度化防止等々に取り組む上で目標設定を実施するということで、PDCAサイクルを回すことが明確になっているのは大変いいことだと思います。

 ただ、あえて言わせていただくならば、基本指針に示されている第2の市町村介護保険事業計画と第3の都道府県支援計画には入っているのですけれども、そこに入れるのであれば、第1の基本的事項にも、取り組み、目標設定、運営、評価というPDCA項目を加えて、国も含めた全体での体制構築と位置づけたほうがいいのではないかと考えます。また、公表については、努力義務になっているようですが、できるだけこの取り組み成果を見える化するスキームを考えていただければと思います。

 次に、7ページの3の(二)の中に、市町村の介護保険事業計画作成委員会、都道府県にも同じようにこの計画作成委員会というものがあるのですけれども、ここについては、地域の状況にもよると思いますが、可能な限り2号被保険者や費用負担者の代表も委員として参画できるような工夫をお願いできればと思います。

 最後に、これは本来基本指針のマターかどうかわからない部分はあるのですが、この中身を見ますと、いわゆる介護保険料の徴収ということについては全く記載がない形になっています。例えば、市町村国保の2号被保険者に対しては、個々の保険料とセットで介護保険料を徴収していますので、介護保険料の収入を確保するために収納率を改善する取組みとの連携なども必要になるのではないかと考えます。そういう面で、基本指針に書くのかどうかということも含めて検討いただければと思います。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 これは事務局からコメントは必要ありませんね。それでは、御要望としてお聞きしました。

 それでは、大西委員、齋藤訓子委員。

 大西委員、どうぞ。

○大西委員 ありがとうございます。

 今回、30年度からの介護の保険計画の改定に向けまして基本指針をつくるということで、このような審議の場を設けていただきまして、部会でこの基本指針についても議論していただくということは、今、佐野委員からもお話がございましたけれども、本当にいいことだと思っておるところでございます。特に今回の基本指針につきましては、何といいましても、地域包括ケアシステムの構築をしっかり、全国津々浦々それぞれの地域でやっていかなければならないのだと、そのためには、保険者機能の強化といいますか、保険者がもうちょっとしっかりしろということかと思っておりますけれども、我々保険者である市町村が介護保険の機能をきちんと働かせるように、いろいろな努力をしなければならない。そのために、目標等をきちんと置いて、その取り組みを強化するために成果目標に対するチェックといいますか、評価というものをきちんとやっていかなければいけないということかと思っております。

 地域包括ケアシステムというものが有効に機能するよう構築されるようにやっていくわけですけれども、何といいましても大事なのは、医療と介護の連携であり、都道府県と市町村との連携、それから、介護の給付の事業と、その周辺事業である新しい総合事業というものが展開されますけれども、生活支援、介護予防の事業も含めた補完的な福祉関係の事業、それから、こういったことで新しく出てきておりますが、障害福祉との関係での介護との整合性というか、連携といいますか、そのような新しい共生サービスといったものも出ておるわけでございまして、こういう介護保険を重点化しながら、あわせていろいろな分野との連携を図っていかなければならないと考えておるところでございます。

 そういうことで、地域包括ケアシステムの構築ということが一番の主題となるわけでございますけれども、まず、2ページにございますように、今回、まだ法律案が国会審議中ということで、その法案がきちんと通った後で具体的な作業に入っていくとのことです。きょう検討した構成案を全国課長会議に3月末にかけていただいてお話ししていただくようですけれども、それについて、厚生労働省のほうの方針案みたいなものを説明するだけではなくて、特に現場の状況なり意見というものを、ぜひともきちんといろいろ吸い上げていただきたい。それぞれの地域でいろいろな状況がございますので、御承知のとおり、新しい総合事業をこの4月から一斉に始めるとはいっても、従来型の事業しか移行できないところがかなり多いのです。新しい事業にまだ手が出せない。特に第2層の協議体あたりをつくって地域住民主体の助け合いのものをつくっていきましょうと言っても、やっと高松市でも1地区だけがどうにかそういう状況が整って、始め出したところでございまして、なかなか現場がついて行けていない状況です。ただ、やらなければならないというのはかなり意識しておりますので、その辺の悩みとか状況等について、ぜひとも現場の意見を、この課長会議あたりを通じてしっかりと吸い上げていただいて、今後の施策に反映させていただきたいというのが1つでございます。

 それとあわせまして、この基本指針の中で、特に地域包括ケアシステムをつくっていく場合に、いろいろな圏域設定みたいなものが必要かと思いますので、日常生活圏域ということで、基本的には中学校区単位とは言っておりますけれども、その事業によりましては、例えば、本市でありますと、自治の基本的な単位として地域コミュニティ協議会というものが44ございます。基本的にはその地域コミュニティ協議会単位で動かすというのが、一番機能的にいろいろな福祉サービスなどでも動くものですから、例えば、地域ケア小会議などというのは、このコミュニティ単位で開いていこうという方向にしているところでございます。

 したがいまして、そういうコミュニティ施策との整合性というものを、もう少しきちんとこの基本指針などでもうたうべきだというのを、どこかに書いていただきたい。コミュニティなり自治会なり、そういう文言がなかったものですから、そういうコミュニティ施策との整合性みたいなものを打ち出していただいて、地域包括ケアシステムの実効性みたいなものを確保することをぜひお願いいたしたいと思っております。

 もう一つ、医療・介護の連携というのが、これから非常に大きな話というか、一番大事なところだと思っております。ただ、残念ながら、医療関係の政策というのは基本的には都道府県単位でございます。今度、国保も一応、財政運営の責任主体が都道府県化するということで、直接的に市町村がなかなか医療関係については話がしづらいといいますか、そんなに権限等も持っていないということでございますので、医療と介護の連携をより密にするためにも、都道府県と市町村がより連携をしていかなければならない。そのために、都道府県が市町村にしっかりといろいろアドバイスをするなり、あるいは連携をとってやっていただきたい。また、医師会、特に高松市の場合は、高松市医師会が非常に協力的で、この前も在宅医療に関するシンポジウムを医師会が主導して開いていただきまして、在宅医療と介護を考えるという形でやっていただけたのですが、医師会と市町村行政との連携が非常に大事になってこようかと思っております。医師会の代表の委員の方々もおられますけれども、それぞれの地域において医師会と行政がうまく連携するように、我々市町村としても働きかけはしていきたいと思いますが、厚生労働省からも、ぜひそういう働きかけをよろしくお願いできたらと思っております。

 主にその2点、よろしくお願いしたいと思います。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 これも特段事務局からのコメントは必要ないということでよろしいですね。

 それでは、鈴木委員、どうぞ。

○鈴木(邦)委員 我々の役割を高く評価していただいて、ありがとうございます。

 我々医師会としても、地域包括ケアシステムを構築するためには、市区町村の行政と郡市区医師会が車の両輪になる必要があるとお話しさせていただいておりますので、ぜひ連携を強化していきたいと思います。

 よろしくお願いします。

○遠藤部会長 お待たせしました。齋藤訓子委員、どうぞ。

○齋藤(訓)委員 第7期の介護保険事業計画あるいは支援計画においては、特に在宅医療について、「病床機能の分化・連携の推進に伴う在宅医療の新たなサービス必要量における医療計画と介護保険事業(支援)計画の整合性」等を留意しなければならないということがあります。6ページ目のところに協議の場を持つことが明確に書かれてありますので、その協議の場がどのように機能するかにかかってくるかとは思いますが、市町村の計画担当者が、自分の地域で追加的に必要となる在宅医療サービスがどのぐらいかといったことや、あるいは、医療機能分化・連携の具体的なイメージ、そのことによってどんな利用者が地域にふえてくるのかをしっかりイメージした上で、介護保険サービスの見込み量を計画していかなければならないと思っております。ですので、国や都道府県においては、できる限り詳細なデータを提供する等の支援を充実するべきではないかと思っております。

 今後は、医療ニーズを抱えた方が在宅で介護保険サービスを使う量がふえることが予想されます。部会の意見書にも中重度の在宅生活を支えるサービス機能の強化として明記されましたが、特に地域密着型のサービスについては、全国どこに住んでいても利用ができる状況にしていくべきだと思っております。本部会においても提案をさせていただきましたが、現在、地域密着型のサービスについては、なかなか全国どこに住んでいても利用ができるという状況にはなっておりませんので、第7期の計画で市町村での整備が確実に進むように、計画策定の支援をお願いしたいと考えております。

 先ほど久保委員から出ました人材のことにつきまして、確かに12ページに都道府県の介護保険事業計画の基本のところには「介護人材等の推計及び確保」と書かれてあるのですけれども、そのほかに、15ページには在宅医療や介護連携の核となる人材の育成あるいは確保といった記載がされているのですが、この基本的記載事項と任意事項を分けるラインというのですかね、この「在宅医療や介護の連携の核となる人材」等についてはなぜ任意事項になっているのかが、私は理解ができないのです。任意事項になっているものでも基本事項に上げるべきものがあると思うのですけれども、基本事項に入れるものとそうではないものというのは何かラインがしっかり引かれているのかどうか、少し御説明していただけないでしょうか。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、事務局、お願いいたします。

○竹林介護保険計画課長 介護保険計画課長でございます。

 それぞれの計画の、ここでは「基本的記載事項」と書いてありますが、通常は義務的な記載事項と任意的な記載事項の仕分けは実は法律で決まっております。法律で決める際に、これは介護保険の分野だけではないのですけれども、一時期、地方分権の観点から、国が自治体の計画に対して必ず記載を求めることはよほどの理由がないと認められないという話がありまして、かつてはもっと広範に必要義務的な記載事項はあったのですが、例えば、ある特定の県で記載事項が決まっていないと全国の財政に穴があくとか、ほかの県に迷惑をかけるとか、幾つかのメルクマールがあって、そういったものに該当しないけれども、でも、やはり全国的に書いたほうが望ましいと思われることは全部任意的記載事項に全て落として、特段の理由があるもののみこちらのほうの義務的な記載事項にするという整理になったのです。

 このいろいろな自治体の量の見込みみたいなものは、結局、それをベースに全国への供給量が決まって、財政という形で市町村の計画が県の財政にも国の財政にも全て影響を与えますから、そういったものは介護保険の場合でも義務的な記載事項という位置づけになっていたのですけれども、介護人材の話は、それが即介護人材の記載が全国の財政に影響を与えるということではなかったので、これは任意的記載事項として整理がされたものです。

 今回、さらに自立支援の取り組みや介護予防や重度化防止の取り組みについても、これは総務省さんだとか政府部内の相当いろいろな関係府省とかなり調整をしまして、メルクマールに該当するものとして義務的記載事項と整理がされたということですけれども、任意的記載事項になっているものも、書いても書かなくてもいいといういい加減なものではなくて非常に重要なものだから法律に書けているのですが、しかし、メルクマールには該当はしていないということでございます。

○遠藤部会長 よろしいですか。

 それでは、こちらはいかがでしょうか。

 伊藤委員、井上隆委員の順でお願いいたします。

○伊藤委員 伊藤です。

 私は、人材確保と介護離職を中心に意見を述べさせていただきます。

 人材確保は、今も何名かの方から御指摘いただいて、まさにそうだと思っておりまして、市町村計画、都道府県計画のそれぞれに任意記載事項とされている点です。今、法的な整理のことも御説明いただきましたが、一億総活躍プランで、昨年の時点で2020年代初頭までに25万人のギャップが発生することを見込んで、政府を挙げて対策をとっていくというメッセージが出されていることから、その点は特段重要だと思っておりますので、任意的記載事項というところにとどまることなく、人材確保、取り組み等について必ず記載する必要があると思います。その前提としましては、国としての総括的な事項を記載する第一の項に、人材確保について明記する必要があると思っております。数量的なものはこれから積み上げるということ2なると思いますが、国の体制としまして、従来、人材確保というのは、社会・援護局のほうの福祉人材確保対策室と老健局、さらに職業安定局でも介護労働安定センターなども含めて全体的な厚生労働省としての取り組みがあると思いますので、それらの連携を含めた積極的な取り組みをここに記載していただければと思っております。

 その点、市町村、都道府県のところは、福祉人材確保指針と介護雇用管理改善計画について言及がありますが、福祉人材確保指針も見直しのサイクルを確立するという指摘がありますし、雇用管理改善計画のほうは改定済みですかね。こういったところで、それぞれの役割が明記されている、あるいはこれから検討されることになるでしょうから、それらとの連動を念頭に置いたものにしていただきたいと思います。以上が人材についてです。

 もう一つは、介護離職という点。5ページの一番下の考慮すべき要素ということの1つ目に「介護離職ゼロ」の実現と書いていただいている。この点をぜひ全体を貫く考え方に位置づけていただきたいと思っております。市町村、都道府県のところについては書かれておりますが、どうも第一のところで見ますと、「七 高齢者虐待の防止等(新設)」とあり、ここの考慮すべき要素に「家族支援」とありますが、もう少し広げて、介護離職防止という視点での取り組みを位置づける必要があると思っております。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、井上隆委員、お願いします。

○井上(隆)委員 ありがとうございます。

 意見・要望ということでお聞き取りいただければと思いますけれども、今回のこの基本指針の見直し案の項目の中で、一番私が評価できるのは、PDCAサイクルをしっかり取り入れましょうという点であり、今回の基本指針でしっかり書き込んでいただきたいと思います。

 それに関して申し上げますと、PDCAのPを立てるのも大変だとは思いますが、各自治体でしっかりとPDCまで取り組んでいただき、最後のAにつなげていくことが重要です。ただし、この見直し案の中にも評価までは書いてあるのですが、最後のAにどうやってつなげていくかというのは必ずしも明確になっていないところがありますので、何らかの具体化が必要ではないかと思います。

 また、PDCAを回していく上で重要になってくるのがデータだと思うのです。ですから、これまでもこの部会でもいろいろお話が出ましたけれども、ICTを利活用していってデータをフォーマット化していく、集めていく、エビデンスに基づいた施策ができるような形につなげていくということが求められます。昨年末にちょうど官民データ活用推進基本法なる法律も成立したようですので、そういう精神も踏まえ、データの利活用という視点も組み込んでいただきたいと思います。

 以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 今度はこちら側に行きます。

 それでは、武久委員、土居委員の順でお願いいたします。

○武久委員 大きく分けて2つのことで、要望や一部質問をさせていただきたいと思います。参考資料4の2ページですけれども、これを見て大変驚いたのですが、和光市は大分県の要介護認定率の半分しかない。全国的にもそうですけれども。ふえるのはともかくとして、これは、昔、10年前は多分同じぐらいあったのが減ってきたということは、逆に言うと、要するに、よくなってきているのか、それとも認定を厳しくしたのか、どちらかよくわからないのです。

 参考資料3の5ページの下のほうに書いてあるアウトカム指標は、一部前回の会議でも、要するに、要介護認定が改善する、要介護状態が改善するということに対する評価というのは、私は非常に重要だと思っているのですけれども、何か要介護率、要介護度が下がったらみんな悲しそうな顔をする。これはどう考えてもおかしいのですけれども、この辺のところを、30年、来年は同時改定ですから、医療と介護というのを、この30年、来年に結構連携してぴしっとやらないと次はまた6年後ですから、非常に大事だと私は思っているのです。

 ここのところを、一体どっちなのかと。行政が厳しくして要介護率を下げれば、それで市民はよかったと思うのか、それとも困ったなと思うのか。本当によくなったのだったら、私はどんどん評価したらいいと思うのです。

 資料1の6ページですけれども、この基本指針に基づいてこれからしばらく担当者の方が来年に対してのいろいろなことをお決めになっていくと思うのですが、この一の3番にも書いてございますように、在宅医療の充実です。だんだん皆さんもおっしゃいましたけれども、医療が重篤化していく。

 その右側の見直し案に考慮すべき要素として「コーディネーター等の具体的活動」と書いてあるのです。コーディネーターというのは一体誰のことか。私は、医療と介護のコーディネーターはケアマネジャーではないかと思うのですけれども、1年ちょっと前の医療介護連携推進会議の場で、非常に数多くの委員の方がケアマネジメントに対する不満を述べられました。これはそれぞれに当たっている部分もあるのですが、私自身も2000年の介護保険が始まる2年前の第1回のケアマネジャー試験を受けましたけれども、当時は医療系のケアマネジャーがたくさんいたのです。ところが、2006年の7対1の開始によって、看護師さんが病棟へシフトしていって、現在活動しているケアマネジャーは8割以上が介護系または福祉系になっているわけです。

 この中で、医療計画とかいろいろ書いてありますが、資料1の15ページ、「在宅医療・介護連携の核となる人材(医療と介護の両分野に精通し、各分野における連携を推進できる人材等)」と書いてあって、これは多分ケアマネジャーのことを言っているのかなと思うのだけれども、先ほどのところでもないし、また、コーディネーターをする人は一体誰なのか。また、ここの15ページの右側に書いてあるこういう連携を推進できる人材等は一体どういう職種を想定して書かれたのか。

 現実問題として、今、主任ケアマネジャーが3人いたら特定事業者として居宅が評価されるようになっていますけれども、この基本指針から見ると、医療がわかるケアマネジャーが在籍したら評価するということも一つは考えていかないと、この方針どおりはいかないのではないかと私は心配しているわけです。現実に、皆さん御存じのように、病床転換をして介護新類型に移ります。どんどんふえます。また25対1という医療療養からもシフトしてくるし、一般病床からも予想では10万床が新類型に移るのではないかということも言われております。介護保険のほうは物すごくパイが大きくなって、逆に言うと、医療保険は非常に少なくなるのですから、両方考えれば予算としては効率化されるのですけれども、このちょうど真ん中にいるケアマネジャーが、現在、福祉系の方が多いということはいいのですが、医療系の方もいないと、どんな薬を飲んでいるかとか、どんな病状なのか、お風呂に入れて大丈夫なのかと、いろいろなことが、みんな介護の前には医療があり、介護の後には医療があるという状況から考えると、病床転換してますます介護施設や在宅に要医療の重度者がケアマネジャーの手に委ねられる時代がもうすぐ来る。このときの準備を30年同時改定までに担当者の方にはきちんとしていただきたいと思います。

 質問としては、このコーディネーター役というのはどういう人を想定しているのか。もう一つ、15ページのこの連携できる人材等はどういう人を想定しているのか。この2つについて質問したいと思います。よろしくお願いします。

○遠藤部会長 それでは、事務局、コメントをお願いします。

○竹林介護保険計画課長 どうもありがとうございます。

 介護保険計画課長でございます。

 まず、武久委員の御指摘の1点目のコーディネーターですけれども、これは6ページ目の4つ目の△がついているコーディネーターのことを、今、おっしゃっていらっしゃったのですね。

○武久委員 △です。

○竹林介護保険計画課長 これは紛らわしい資料で恐縮なのですけれども、真ん中の欄でいいますと4の日常生活を支援する体制の整備ということで、これは例の生活支援コーディネーターです。協議体をつくって、医療・介護連携というより、もっと軽度な方の地域づくりをしていく生活支援コーディネーターの記述をもっと強化するという趣旨で書いてあるのです。

○武久委員 支援職種ですか。

○竹林介護保険計画課長 生活支援コーディネーターというのは、前の26年の制度改正のときに位置づけられたもので、総合事業の制度化とセットで、地域の住民の助け合いの仕組みなどを盛り上げていく役割を持った人なので、特定の職種ということではないのですけれども、そういった方々を市町村なりもう少し細かな単位で配置をしていこうと。そういった方々の動きをもう少し具体的に書いていこうということで、医療・介護の連携の文脈とはまた別のこととして、ここのコーディネーターというのは書かせていただいているものでございます。それとは別途、御指摘の点はよく問題意識を持ってしっかりやっていきたいと思います。

 むしろおっしゃっている15ページに記載されています「在宅医療・介護連携の核となる人材」のほうが、むしろそういう御趣旨で言えば問題意識に沿っていると思うのですけれども、こちらも実は昨年末に改定されました総合確保法に基づく総合確保方針の中でまさにこういった人材を各自治体で育成するべきだと書いてあるのをそのまま引き写したもので、これを具体的にどうしたらいいかというのはこれから検討していきたいと思います。ここに書いてある趣旨は、総合確保方針で下げ渡されているというか、ボールが投げられているので、それをそのまま書いているということでございます。

○武久委員 だから、それは今ある職種を想定して言っているのか、それとも、全く新しい職種を想定して言っているのか、その職種の元職はどんなことを想定しているのか聞きたいと思います。

○竹林介護保険計画課長 これはまた数カ月後に文面にするときまでに、私の担当の部分だけでもございませんので、関係課でよく相談をしてもう少し具体化をさせていただきたいと思います。今の時点では、私自身はノーアイデアというか、お答えできるだけのものがございません。申しわけございません。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 土居委員、お待たせしました。

○土居委員 まず、この基本指針に関して介護保険部会で議論するということになったのは大変いいことだと思います。

 その上で、3つコメントをさせていただきたいと思います。

 まず、1つは、先ほど折茂参考人や小島参考人もお触れになりましたけれども、資料の9ページの赤字の4のところで、まさに重度化予防、自立支援に関連するところであります。この点は確かに現時点でどういうことをもって自立支援と言うか、どういうことをもっと重度化予防と言うかということについての衆目が一致したものがないというのは確かにそのとおりだとは思うのですが、今の通常国会で改正法案が出ていて、そこでは財政的インセンティブを付与することが規定されているわけですから、やはりこれをないがしろにするわけにはいかない。ある程度の客観性を持って重度化予防なり自立支援というものを何らかの形で規定をして、それに対して財政的インセンティブを付与するなら付与するという形に持っていかないと、曖昧なまま決めつけられないから一つに決めつけるべきでないというものに流されると、そんな形で財政的インセンティブを付与するわけにはいかないだろうと思います。

 そういう意味では、多少の試行錯誤はやむを得ないと思いますけれども、重度化予防や自立支援というものについて何らかの指標での定義をまずは設定して、もちろん1回で最初の設定で100点満点のものができるわけではないとは思いますから、ある程度の試行錯誤はあってもやむを得ないのではないかと。何も明確に規定せず曖昧なままインセンティブを与える形にするべきではないと思います。そのかわり、重度化予防ということは、「重度化」という言葉自体が要介護度が重くなるということを指していると当然考えられますから、要介護認定についてはしっかり客観化していく取り組みとセットでこれを進めていくべきではないかと思います。

 2点目ですけれども、鈴木委員も御懸念されていたサ高住に関連してであります。私も全くその懸念は同感であります。確かに事務局からの御説明で、計画とどう連動させるかということになると、居住地の選択の自由もあるのだろうと思いますから、なかなか強制的なものがないというニュアンスだったように私は受けとめたのです。けれども、今月21日に、大阪府が高齢者保健福祉計画推進審議会の専門部会の報告書を出しました。ここでは、ずばり有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅のサービス内容についての分析をしていて、そこについて明確な課題であるということをうたっております。要は、特養などの介護3施設よりも大幅にふえていること、それから、サ高住などでの区分支給限度基準額に対するサービスの利用がかなり高い率になっていることだとか、要介護3以上では特養よりも費用がかかっていることを、はっきり大阪府の専門部会の報告書で明記しております。これが大阪府だけのことなのか、ほかの県でもそうなのかは私にはよくわかりませんけれども、少なくとも大阪府はそこまで分析している。

 確かに介護レセプトだけを見ることでは、サ高住でどういうサービスが行われているかは、ほかの在宅の方とはなかなか区別しにくいので、なかなか分析が難しいことを私も承知しております。けれども、大阪府は一歩踏み込んでそこまで分析をされた。かつ、それに対して、その報告書の中での対応策として、高齢者住まいの入居者のサービス利用の適正化を検討せよと。それから、集中的なケアプラン点検などで適正化に向けた取り組みをせよということもその報告書でうたっているということは、次期計画策定に大いに参考になるケースではないかと思います。

 もちろん全ての県でこういうことができればそれに越したことはないですけれども、今の国会で審議中の改正法案でも、都道府県の市町村支援を深めるということがうたわれているわけですから、こうした都道府県の分析及びそれを市町村への情報提供なり支援につなげていくことは非常に重要なことです。確かにサ高住の建設自体を強制的にストップさせるわけにはなかなかいかないかもしれませんが、そのお住まいの入居者がほかの自宅などでの在宅におられる方々の要介護者とサービスの利用状況がどう違うかを分析する。介護レセプトだけではできないのであれば、さらなる追加的な分析も加えて、さらに適正化に向けて取り組んでいくことは、今度の計画を策定していく上では非常に重要な取り組みで、大阪府がそういう例を示したことは非常に重要と思います。

 そういう意味では、今、参考資料1の7ページにありますけれども、老健局で検討されているこの計画策定のプロセス及び支援ツールを、市町村、都道府県には積極的に活用していただいて、これをさらなる計画の洗練化につなげていただきたいと思います。

 これに関連して、最後の1点ですけれども、行く行くはこの基本方針を告示することになるわけですが、特に私が重要だと思うのは、地域差の分析と、なくせる地域差の解消策を提示することだと思います。確かに、見える化システムによってそれがさらに市町村の保険者にもきめ細かく分析できるようになってきたことは大変喜ばしいことだと思います。まだ全ての市町村でそういう分析の体制になっているかどうかは私もよくわかりませんけれども、全ての保険者で、この地域包括ケア見える化システムを積極的に活用していただくこと、その中でも、年齢構成を調整した後で地域差を見る指数のようなものを盛り込んでいただいて、この指数を見ることによって何を改めればいいかがかなり物語れるような、そういう指標をこの見える化システムの中に乗せるなどして、保険者の計画策定がよりよくできるように、そして、なくせる地域差については解消できるような方策がデータから物語れるようなものにしていただければと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。

 鷲見委員、栃本委員の順番でお願いします。

○鷲見委員 ありがとうございます。

 ケアマネジャーと医療との連携についての課題につきましては、我々もしっかり認識し、取り組んでいきたいと思っています。また、今年度は研修のカリキュラムが大きく変わっておりまして、医療との連携はかなり重点的に法定研修もカリキュラムが変更され、そこに向けて全国的に展開し、取り組んでいるところでございます。また、当協会といたしましても、医療連携に寄与でき、そして、地域の中で取り組める人材育成についても、今年度、5日間をかけた研修を行っているところでございます。

 今回の基本方針につきましても、計画を現実的なものにするためには、計画のそもそもの妥当性ということが非常に重要なことだと思います。そのためには地域の中で限られた人材がいかに効果的に活躍できるかというところが重要だと思っております。

 そうなりますと、このいろいろな地域の中において事業やサービスが展開されていますが、その中でどういう方々がどういう機能を果たし、どういうふうにしたらうまくいっている事例があるのかということを、ぜひ市町村はその地域、地域でしっかり住民とともに把握し、進めていっていただきたい。そうしませんと、多分、事業計画の中に数字で出てくるのは、サービスの機関が幾つあるとか、こういうものが足りないとかという話であろうと思いますが、1つのサービスがいろいろな機能を果たしているということはケアマネジメントをしていて非常によくわかることでございます。ですから、代替できる機能があればそちらで賄っていくなり、その地域の特性に合った検討をしていただくことが重要だと思います。

 実際にこの6ページの地域ケア会議の中の個別事例検討につきましては、時期や期間をきちんとイメージして、その自立に向けてどういった介入が効果があるのかということを一つ一つ丁寧に検討していっていただきたいと思いますし、それを皆さんに伝えていただきたいと思います。

 また、先ほどサービス付き高齢者向け住宅の件が出てまいりましたが、当協会においても、実際に、今、どのような実態があるのかということを全国の会員を通して意見聴取をしているところです。その中にあって、どういう提供のなされ方をするとより効果的なのかということを、また次回、御報告申し上げたいと思っております。

○遠藤部会長 よろしくお願いいたします。

 栃本委員、お待たせしました。

○栃本委員 ありがとうございます。

 最初に質問しようと思ったのですが、時間の関係があるので、私からは質問ではなくて計画ということで、そもそも介護保険事業計画におけるPDCAサイクルということをおっしゃっていますけれども、そこで言うPDCAサイクルは一体何なのかということなのです。

 例えば、第7期の前の第6期について評価して吟味することが必要で、それを行う時間とか作業というものを十分にしないと、単に新たに3年間の計画をつくるため、保険料を定めるためだけの計画になってしまい、到底、PDCAサイクル、要するに、効果があったかとか、実際にやってみたけれど結果はどうだったかというのが明らかとはならないし、PDCAサイクルなどにはならない。PDCAサイクルと言う以上、意味があるものにしなければいけない。制度論からいったら、PDCAサイクルの場合は、効果があったのかとか、他の数字と突合してどういう関係、関連性があるのかとか、市町村ごとに比較分析できるとか、そういう観点からやっていかないと、つまり、計画をたてるということだけに終わらせるのではなく、その数値を他の数値と結びつけて分析する、成果を評価する、ないしはのちに評価するためのデータを計画に際して、また計画の実施に際して取っておくそのための作業が一番重要なわけではないですか。

 ところが、ここ数回の市町村の介護保険事業計画は非常に空洞化しているというか、形式化しているところがあるわけです。第7期のこの計画をばしっとやらないと、2025年に向けた路線というか、それが崩れると思うのです。だから、ぜひ第7期の計画に当たって、今から具体的なテクニカルな意味での事業計画の基本指針を考えてもらいたいというお話しをします。

 昨年12月9日に部会長のもとで取りまとめられました意見書というものは、いわばマクロのレベルの計画というか、戦略です。それをメゾのレベルに落とした場合に、市町村の介護保険事業計画となります。ともに両輪という意味があるとともに、戦略を地域で具体化するために非常に重要なものになります。市町村介護保険事業計画を介護保険部会で取り上げたことはもちろんすばらしいことなのだけれども、もっといえば、両輪という重みがあり、国レベルのマクロの計画とメゾのレベルの計画で、このメゾのレベルの計画がきちんと回っていかないと形骸化してしまったら、部会が取りまとめた意見書も書いただけのこととなります。

 その上で幾つか技術的なことを簡単にお話しします。きょうの資料であります参考資料2で第6期の基本指針があります。例えば、参考資料2の10ページあたりですけれども、給付の実績把握と分析ということで、計画策定時における給付状態であるとか、そういったものを見える化システムであるとか、状況調査であるとか、そういうものを突合しながら見ていくことになっていますね。そういうことであるなら、分析といった場合に、それに資するよう計画立案の際に具体的な数字の記入をきちんとしなければいけないと思います。

 なるほどこれは基本指針であるからということで、ある意味では、いわば定性的ないしは留意的な事項であるとか、宣言的な部分がどうしても多いわけですね。実際、参酌すべき標準という部分になると、例えば、今の参考資料でいえば41ページなどは、何々を勘案して量の見込みを定めることということだけ言っているわけだね。それだけの記述にすぎかいから具体的な参酌標準になりがたい。

 昔の平成7年に取りまとめた老人福祉計画、あのときなどはもっと綿密だったではないですか。あのときは、私はきょう持ってきているのですけれども、この庁内体制でも何人が加わって、開催を何回して、作成委員会を何回で何人でどこの部局から来て、悉皆調査とかでないしは抽出調査でとか市町村ごとに全部書いている。その上で、手短にお話ししますけれども、サービス必要度であるとか、そういうものを書いている。そのための参酌標準がだされているのです。もう一つは、例えば、健康診査であると、現状の受診率が書いてあって目標受診率も書いてあるということで、参酌すべき標準というものがきちんと出されそれにもとづき推計している。地方分権だから、なかなかそれを具体的に示せないというのはあるから、どうしてもそうなるというのはよくわかるのですけれども、本当の意味で、国が12月までにまとめたものを実際に市町村の介護保険事業計画に対応する形で行うことになると、参酌標準というものを何らかの形で具体的なものを示す。つまり、そういう委員会を設置したというだけではだめなわけです。具体的に何回とか、メンバーとか、そういうものを書かないと、ほかのデータとの突き合わせというか、そういうことが後で対応させることが難しいということです。

 ワークシートをよくつくられますね。ワークシートで、先ほど来、小島参考人だったか、お話があったかもしれませんけれども、自然体推計というものと、施策反映ワークシートとありますね。施策反映ワークシートの部分を相当工夫してつくらないとだめということをぜひお願いしたい。まだ時間的に課長会議までにはないかもしれないけれども、先ほどのスケジュール表で見ると、今後時間はまだ私はあると思うので、ぜひ施策反映ワークシートについては、策定者が推計したり算出するときに目安になる算式や係数など本当の意味の参酌標準をしめし、そこに代入する数値が分かることによって、他のデータと突合して政策評価できるような数字がとれるようなものを書かせないと、それをフィードバックする作業ができないと思います。先ほど来、前回の12月に部会でまとめたものでも、いろいろな数字と突合してとエビデンスとか、見える化とかいろいろな話があったではないですか。それこそが本来のPDCAだからね。

 最後に、先ほど法案の説明で、強化法の中で、社会福祉法も改正になりましたね。これは細かいというか、小さい話なのだけれども、社会福祉法の改正の中で、107条で市町村の地域福祉計画というものの書きぶりが変わりました。従来の2000年のものではなくて、新しい条文は老人福祉とか、児童とか、障害とか共通部分という形で地域福祉計画の意味あいが前の意味のないものから大きく変わったわけだから、それとの関係で、介護保険制度が介護保険とそれ以外のグレーの部分をすべて取り込むのか、事業計画にかかせるのかというのはどうなのか。全部介護保険給付外とか、その他もろもろ全部取り込んで書くというのは考えとしてありますが、せっかく社会福祉法の中も新しく107条が変わったから、そちらのほうにぶち込ませるというか、そちらのほうで対応させるというかたちにしないとよくないと思うのです。そういう意味で、基本指針を定めるときに、改正社会福祉法の中の107条部分が変わっていますから、それとの関係をうまく書いたほうが、むしろ共助とか何とか、そういう部分の対応ができると思います。

 長くなりましたけれども、以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、桝田委員、どうぞ。

○桝田委員 10ページの中で、市町村の任意記載事項ですけれども、人材の確保と資質の向上というのは新しく入ってきたのですが、基本事項のほうに福祉人材確保指針と介護雇用管理の改善等の部分も入っていて、両面で人材確保というものをかなり市町村も考えなさいという計画になっているのですけれども、ただ、ちょうど人材確保の上にあります報酬の独自設定という問題。

 市町村は、地域密着型サービスというのは、いわゆる介護報酬の決まっている部分を上限として設定できます。地域支援事業のほう、特に総合事業で、今、緩和型サービスがだんだん揃ってきました。4月からスタートで、そこで起こっている問題というのは、当然基準を緩和しますので、報酬は下がります。それはそれで理解できるのですけれども、その中に、介護職員の処遇改善加算がなくなってしまっている市町村がかなり増えてきています。そうすると、人材確保のための問題とすれば、処遇改善加算を使って、介護職員さんの待遇はいわばどうにか維持・向上しようと、報酬全体が下がってもどうにかできるかなという部分が、それがなくなってしまうととんでもないことが起こってまいります。そこはちょうど(三)と(四)で並んでいますので、そういう意味を含めた考え方というのをしていただかなかったら、この報酬の独自設定だけがひとり歩きしますと、結果とすれば何の意味もなさないということが起こってしまいますので、その点の御配慮をお願いします。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 石本委員、どうぞ。

○石本委員 ありがとうございます。

 端的に2点でございます。

 1点目、人材確保につきましては、とにかく実効性がある取り組みが重要であるということと、確保という数のことだけに偏るのではなくて、私ども職能団体もしっかり取り組みたいと思っております質の向上というところも、しっかり見据えた取り組みにしていただければということの要望でございます。

 もう一点が、この場でお聞きすることではないかもしれないのですが、6ページの介護サービス情報の公表というもともとあるものが書いてございますが、先般行われた規制改革推進会議の中でも、この制度については8割以上が使われていないというか、有効性がないではないかという御指摘も出ているとも聞いておりますので、これについては何かここで言及するなり取り組みについてもっと推進するなりというのが出てくるものなのか、全く別物として考えるべきなのかというのをお尋ねしたかったので、その点だけよろしくお願いします。

○遠藤部会長 それでは、事務局、これについてコメントがあれば。

 振興課長、どうぞ。

○三浦振興課長 振興課長でございます。どうもありがとうございます。

 情報公表自体は、ここのメンバーの方は恐らく規制改革会議のことは御存じないかと思いますので簡単に御紹介いたしますと、今ほど石本委員におっしゃっていただきました使用頻度です。余り使われていないのではないかといった御指摘から、中身の改善、使い勝手のよさですとか、あるいは利用をしやすくしてほしいといった御指摘を、今、いただいておりまして、議論を継続して行っている状況であります。

 そういう意味では、こちらの基本方針と直接関係するというよりは、その運用レベルにおいてどのように改善をしっかりしていくかということが主要な議題かと理解しております。こちらの方でどのように扱うかということは、またもう少し考えたいと思いますけれども、少し違う話か思います。

○石本委員 ありがとうございます。

○遠藤部会長 よろしいですか。

 それでは、お待たせしました。花俣委員、どうぞ。

○花俣委員 もうお時間も来ているのに大変申しわけないので、本当に簡単な質問だけ数点させていただきたいと思います。

 資料1の9ページの二の4の新設される項目、先ほど小島参考人からも御指摘がありましたけれども、この「自立した日常生活の支援、要介護状態の予防又は軽減若しくは悪化の防止」云々とありまして「適正化への取組及び目標設定」とあります。これは参考資料4の改正案のポイントの2ページのところに先進的な取り組みとして要介護認定率の低下が例示されていますけれども、これは認定率を下げることを目標に入れることを想定されているのかどうかということを確認させていただきたいと思います。

 7ページにも、要介護者地域の実態の把握というものがありますけれども、これについては、モデル調査みたいなものがありますでしょうか。もしあるとしたらお示しいただきたいということと、もしそういった調査があるのであれば、調査票の設計はどこでなさるのかという点です。

 もう一点、最後です。10ページで三の1の(三)のところです。生活支援・介護予防サービスの基盤整備の推進となっているのですけれども、先ほど大西委員からもお話がございましたように、この推進の前の実態が非常に気になるところですので、市の具体的なお話もございましたが、こういった実態がどうなっているのかということについては、お示しいただけるのかどうかということで、この3点だけお願いしたいと思います。

○遠藤部会長 それでは、事務局としてコメントをお願いしたいと思います。

○竹林介護保険計画課長 まず、1点目でございますけれども、参考資料4の2ページ目にありますのは、結果として認定率が下がっているということを書いているだけでございまして、2つ整理して考える必要がありますが、まず、各自治体の計画の記載事項として書いているのは、市町村レベルであれば自立支援だとか重度化防止に向けた具体的な取り組みと、その取り組みに関する目標なのです。例えば、地域ケア会議を何回開催しますとか、通いの場を3年間でどうふやしますとか、そういうそれぞれの取り組みごとの目標をどうするかということですので、結果として発生する要介護認定率がどう動くかみたいなことを各自治体の御判断でもちろん書いていただいてもいいのですけれども、法律上ここに書いてありますのは取り組みと、その取り組みに関する目標ということですので、どちらかというと結果として発生することについては義務づけられてはいないということです。

 先ほど土居委員からもお話がありましたけれども、それとは別に国のほうで財政的インセンティブをつけるときの評価の仕方としては、この介護保険部会でも昨年末の報告書のまとめがありまして、いろいろアウトカム指標の話と、アウトプット、プロセス指標で、アウトカム指標というのはまさに結果として生じていることに着目して評価することなのですが、そこについてもこの報告書では利用控えみたいなものが起きないようにちゃんと注意をすべきだという話はしっかりいただいていますので、そういったものを踏まえながら、どういったものにすればいいのか。水際作戦にならないような指標をこれから考えていく必要があると思っています。

 2点目ですけれども、要介護者に対する調査としてはどんなものがあるのかということで、これは各自治体でそれぞれが創意工夫されていらっしゃる部分もあると思います。国のほうでは、1つは専ら要支援者や要支援になる前の方を対象にした介護予防・日常生活圏域ニーズ調査というものがありまして、そちらは国のほうで調査票と調査の手引きみたいなもの、計画にどう反映させるかみたいなものの調査票のひな形と使い方についてのガイドラインをつくって、各自治体に既に去年の秋にお配りしています。それに基づいて多くの自治体で、今、調査を実施されていると思います。

 それから、専ら要介護者です。重度の方を念頭に置いたものとしては、今回、介護離職の関係も含めて、要介護者に当たる方の就労継続をどうするかとか、どういうサービス利用をしたら在宅生活が継続できるのかといったことが把握できるような調査票で、これも昨年の秋に各自治体に提示をして、今、各自治体で実施をされているところだと思います。

 今後、結果をどう計画に反映したらいいのかというところについても国のほうでガイドラインをまとめて御提示する予定であります。その他、各自治体でさまざまな工夫を凝らした調査があると思います。

○三浦振興課長 3点目は、体制整備事業の実施状況ということでのお尋ねでしたので、振興課長よりお答えいたします。

 体制整備事業は、御案内のとおり、前回の介護保険法改正により、27年度から平成30年度までのどこかでスタートしてくださいという形になってございます。何度かお示ししている総合事業の実施状況の表の中に体制整備事業の進捗状況、開始している自治体の数が掲載されております。例えば、去年の9月30日の部会の資料に入っております。

 手元の数字を申し上げますと、27年度開始が保険者にして68028年度開始が700強で、29年度の見込みで23030年度というところが140という形で把握をしております。保険者数は全体で1,600でございますので、まだ3分の1ぐらいは開始していないというのが実情でございます。

 また、開始した自治体の状況も、同じように昨年9月30日の部会の資料の中で、例えば、どういう事業をやっているか、どういうニーズ把握をしておるかです、どれぐらいのサービスがつくり出されたか、といったデータをお示ししておりますので、また委員にはお時間をいただいて御説明させていただければと思います。

○花俣委員 わかりました。ありがとうございました。

○遠藤部会長 ほかに御意見はございますか。

 よろしゅうございますか。

 それでは、大体御意見は出尽くしたようでございますので、本日はこれぐらいにしたいと思います。事務局におかれましては、非常にいろいろと御意見をいただきましたので、基本指針の策定の作業を進める上において、ただいまの御意見等について十分配慮して進めていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、次回の日程について、事務局から連絡をお願いいたします。

○尾崎企画官 次回の日程につきましては、追って御連絡をさせていただきます。

○遠藤部会長 それでは、本日の部会はこれにて終了したいと思います。どうも長時間ありがとうございました。


(了)

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