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2017年6月5日 第136回労働政策審議会労働条件分科会 議事録

労働基準局労働条件政策課

○日時

平成29年6月5日(月)18:00~19:30


○場所

厚生労働省専用第22会議室


○出席者

【公益代表委員】

荒木委員、安藤委員、川田委員、平野委員、守島委員

【労働者代表委員】

川野委員、柴田委員、冨田委員、八野委員、福田委員、村上委員、世永委員

【使用者代表委員】

秋田委員、小林委員、早乙女委員、三輪委員、輪島委員

【事務局】

山越労働基準局長、土屋審議官、村山総務課長、藤枝労働条件政策課長、荒木監督課長、宮本計画課長

○議題

時間外労働の上限規制等について

○議事

○荒木会長 定刻になりましたので、ただいまから第136回労働政策審議会労働条件分科会を開催します。本日の委員の出欠状況ですが、御欠席の委員として、公益代表の黒田祥子委員、水島郁子委員、両角道代委員、労働者代表の神田健一委員、使用者代表の齋藤貴久委員、佐藤晴子委員、杉山敦志委員と伺っています。本日の議事に入る前に、定足数の報告を事務局よりお願いいたします。

○中嶋調査官 定足数について御報告いたします。労働政策審議会令第9条により、委員全体の3分の2以上の出席、又は公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされていますが、定足数が満たされていることを御報告いたします。

○荒木会長 カメラ撮りはここまでということでお願いいたします。それでは、本日の議事に入りたいと思います。お手元の議事次第を御覧ください。本日の議題は「時間外労働の上限規制等について」です。前回の労働条件分科会では、報告案について議論いただきましたが、本日は前回の報告案についての、各委員からの御意見を踏まえて、事務局のほうで修正を加えた資料を準備いただいています。事務局より資料の説明をお願いします。

○中嶋調査官 皆様のお手元には、前回の議論を踏まえて一部修正しました報告案を、資料No.1としてお配りしていますが、併せて分かりやすいように修正箇所を赤字で明示したものを資料No.2としてお配りしています。私からはこちらの資料No.2を使いまして、修正箇所について御説明させていただきます。

 まず、1ページの下の方です。4分の1、最後のブロックに当たる所です。こちらについては前回、時間外労働の上限規制導入と合わせて、企業文化や職場風土の見直しを図ることなどの重要性、労働時間の適正な把握の必要性について、御意見を頂戴しました。また、全ての労働者が健康で充実して働き続けることができるようにしていく旨の基本認識。そのことに向けて、国、地方公共団体、使用者、労働組合等、全ての関係者が努力していく必要性についての御意見を頂戴しました。これらを踏まえた修正です。

 該当のパラグラフ全体を読みますと、「この報告を受けて、厚生労働省において、スピード感を持って、時間外労働の上限規制等に関する労働基準法等の改正をはじめ所要の措置を講ずることが適当である。併せて、すべての労働者が、健康とワーク・ライフ・バランスを確保しながら働き続けられるよう、国、地方公共団体、使用者、労働組合等のすべての関係者には、取引条件の改善、企業文化の見直しや労働時間の適正な把握を含め、引き続き不断の努力が求められる。」としています。

 次に3ページの上から6行目です。ここは時間外労働の上限規制の中の(2)「現行の適用除外等の取扱い」の冒頭の記載です。これについては前回、健康確保の観点から、これらの業務における長時間労働の是正が喫緊の課題である旨の御意見を頂戴したところでして、そのことを踏まえ、「健康確保に十分配慮しながら」と加えたものです。該当の文全体を読みますと、「これらの事業・業務については、健康確保に十分配慮しながら、働く人の視点に立って働き方改革を進める方向性を共有したうえで、実態を踏まえて、以下のとおりの取扱いとすることが適当である。」としています。

 続いて4ページ中程の(3)「労働基準法に基づく新たな指針」の最初のポツです。こちらについては前回、新たな指針の内容について、積極的に周知する必要がある旨の御意見を頂いたところですので、そのことを盛り込んだものです。このポツ全体を読みますと、「可能な限り労働時間の延長を短くするため、新たに労働基準法に指針を定める規定を設け、当該指針の内容を周知徹底するとともに、行政官庁は、当該指針に関し、使用者及び労働組合等に対し、必要な助言・指導を行えるようにすることが適当である。」としています。

5ページでは誤字を1か所、訂正させていただきました。5ページの上のほう、勤務間インターバルの2段落目です。「このため」で始まるパラグラフですが、こちらは「このため、労働時間等設定改善法第2(事業主等の責務)を改正し、事業者は」と書き足していた所ですが、労働時間等設定改善法第2条で使われている文言は「事業者」ではなく、正しくは「事業主」ですので、見え消しのとおり「者」を「主」に訂正させていただきました。申し訳ありません。

 続いて6ページの冒頭、4「その他」の(1)「法施行までの準備期間の確保」の所です。こちらについては前回、まず周知をした上で準備時間を確保するという旨の御意見を頂いており、そのことを踏まえまして、できる限り早期に制度の細則を確定させ、その周知徹底を図る旨の一文を追加しています。該当のポツ全体を読みますと、「中小企業を含め、急激な変化による弊害を避けるため、十分な法施行までの準備時間を確保することが必要である。また、施行に向けて、できる限り早期に制度の細則を確定させ、その周知徹底を図ることが必要である。その上で、施行期日については、事業運営や労務管理が年度単位で行われることが一般的であることを考慮し、年度の初日からとすることが適当であり、この点を踏まえ、具体的な期日を検討すべきである。」としています。

 最後は同じ6ページの(2)「上限規制の履行確保の徹底」の中の2「労働基準監督機関の体制整備」の所です。こちらについては前回、労働基準監督官の定員確保とともに、都道府県労働局の職員についても同様の対応が必要といった旨の御意見を頂いたところですので、そのことを盛り込み、「労働基準監督官の定員確保など労働基準監督機関の体制整備に努めることが適当である。」としています。前回からの修正点については以上となります。

○荒木会長 それでは、ただいま説明がありました報告案について、議論を行いたいと思います。御意見等があれば、よろしくお願いいたします。

○村上委員 前回の議論を受けて、報告について修文いただきましてありがとうございます。その上で本日は報告の取りまとめということですので、労働側委員として全体的な意見を述べたいと思います。

 働き方改革実行計画を踏まえまして、短期間ですがスピード感を持って、真摯な議論を重ねてきたと感じています。時間外労働の上限規制や勤務間インターバルなど、実行計画の内容だけではなく、上限規制をどのようにして実効性あるものにするのかという観点から、36協定の適正化に関して、例えば過半数代表者における課題や、労働基準監督機関の体制整備などについても、前向きな議論がなされて、報告にも記載がされました。こうした課題もあわせて、11つ着実に前進させることが重要だと感じています。

 前文にも記載いただきましたが、長時間労働の是正は喫緊の課題です。過労死等ゼロの実現も待ったなしです。そして、時間外労働の今回の上限規制の法改正というのは、まさにスタート地点だと考えています。法改正の議論を契機として、取引条件の改善や企業風土や職場環境の見直し、労働時間の適正な把握などを、11つ取り組んでいくことが必要です。そして、その根底には、1日は誰にとっても24時間であること、そして、その中で仕事だけでなく、家族との時間や地域での時間、休息の時間も大切だという認識を、全ての人が持つことが大切だと考えています。

 今後、すべての関係者には、不断の努力が求められます。私たち労働組合としても、それぞれの産業別、企業別の労使関係の場において、常態化した長時間労働をなくすという法改正の今回の趣旨を受け止め、法改正の内容を前向きなメッセージとともに、職場にしっかりと定着させるべく、その準備を含めてしっかりと対応してまいりたいと考えています。

 また、労働組合のない職場で働く人たちに対しても、そして、これから社会に出る若い人たちに対しても、働き方のルールを伝えていく取組みを、積極的に進めていきたいと考えています。

 私たちの地方組織からは、この問題に関して、36協定がきちんと締結されていない職場が多いという実態や、依然として不払い残業があるという声も聞かれています。厚生労働省におかれましては、まずはこういった点を踏まえ、現行法の周知・遵守に取り組んでいただくこととともに、この審議会の中でまとめられた報告に基づいて、意見も多数出ていましたが、改正内容の周知など、早期に所要の措置を講じていただくことをお願いしたいと思います。以上です。

○荒木会長 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。

○輪島委員 本日示された報告案ですが、平成29328日の働き方改革実行計画、そして平成29313日に結ばれました労使合意、この内容を踏まえた内容だと理解していまして、私どもとしては妥当な内容だろうと考えているところです。今後、使用者側としても責任を持って、この内容に真剣に取り組んでいきたいと考えているところです。

 今回の見直しを契機にして、使用者、経営者は改めて、労側の村上委員もおっしゃいましたが、過労死、過労自殺はあってはならないものと深く認識をした上で、従業員の心身の健康の確保、生産性の向上の双方が実現できるように、環境を整えていく必要があると考えているところです。

 その上で時間外労働の上限規制の今回の導入ですが、経済社会に及ぼす影響は非常に大きいと考えておりますので、規制導入に当たっては様々な課題があると思いますので、11つクリアしていきたいと考えているところです。

 企業が円滑に改正法に対応することが非常に大事だと思っておりますので、各企業では先ほど申しましたように、働き方改革を進めていくことになると思いますが、やはり一企業では対応が難しい。商慣行であるとか消費者意識の見直しということがあると思いますので、同時にそういうものも進めていく必要があるのではないかと思っておりますので、政府におきましては、これからIoTAIなど、様々なものが進んでいくと思いますので、企業の働き方改革の加速に向けた支援ということを、是非お願いしたいと思っているところです。私からは以上です。

○荒木会長 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。

 労働条件分科会におきましては、本年3月に取りまとめられた働き方改革実行計画を踏まえ、この4月から時間外労働の上限規制等について、非常に短い期間の中で、精力的に議論を行ってまいったところです。

 私としては、時間外労働の上限規制等について、この分科会の検討結果として、報告()の内容で労働政策審議会の本審に報告をし、更に厚生労働大臣に建議をしたいと思いますが、いかがでしょうか。

( 異議なし)

○荒木会長 それでは、そのように進めさせていただきたいと思います。では、事務局のほうで建議と報告のカガミを配布してください。

( 資料配布)

○荒木会長 それでは、お手元にあります建議と報告の案について、御確認いただきたいと思います。労働政策審議会令第6条第9項及び労働政策審議会運営規程第9条の規定によりまして、「分科会の議決をもって労働政策審議会の議決とすることができる」と定められています。そこで、今、配布いただきましたカガミ文のとおり、労働政策審議会長宛てに報告をし、この報告のとおり厚生労働大臣宛てに建議を行うこととしたいと考えますが、よろしいでしょうか。

( 異議なし)

○荒木会長 ありがとうございました。それでは、そのように取り計らいたいと思います。これまで御議論いただきました委員の皆様の御協力に、改めて感謝申し上げたいと存じます。

 それでは、ここで山越労働基準局長から御挨拶を頂きたいと思います。お願いいたします。

○山越労働基準局長 それでは一言、御挨拶を申し上げたいと思います。委員の皆様方におかれましては、この4月以来、時間外労働上限規制等の問題について御議論を頂いてまいりました。労使それぞれから様々な御意見を頂きました。しかし、最終的にこうした形で報告書を取りまとめていただきましたことに、心から感謝を申し上げたいと思います。

 私どもとしては、この三者構成の分科会で報告を取りまとめていただいたということを重く受け止めまして、これを踏まえた法律案の要綱を作成しまして、その段階でまた御意見を伺うことにさせていただきたいと思っています。

 長時間労働の是正のためには、今回の法改正に加えまして、しっかりとした監督指導を実施していく。その中で労働基準法を守っていただくということが、当然必要であると考えています。また、それとともに労使の皆様の御努力によりまして、企業の中で働き方改革を進めていただいているところです。是非そうした取組も、今後とも進めていただければと考えています。

 いずれにしても、より良い働き方ができるように、今後とも努力をしていきたいと思っておりますので、御協力をお願いできればと思っています。誠にありがとうございました。

○荒木会長 それでは、事務局におかれましては、今日の建議に基づいて法案作成作業を速やかに進めていただき、本分科会に法律案要綱を諮問していただくようお願いします。最後に、事務局から連絡事項等はありますか。

○中嶋調査官 本日頂きました建議について、特に長時間労働に対する健康確保措置については、労働安全衛生法に関わる内容でもあるため、明日66()16時から開催予定の安全衛生分科会でも報告させていただきます。

 なお、次回の労働条件分科会の日程・場所については、調整の上、追ってお知らせをします。

○荒木会長 それでは、本日の分科会はこれで終了とします。なお、議事録の署名については、労働者代表の世永委員、使用者代表の輪島委員にお願いいたします。本日はお忙しい中、どうもありがとうございました。


(了)

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