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2017年5月22日 第19回 透明かつ公正な労働紛争解決システム等の在り方に関する検討会

労働基準局

○日時

平成29年5月22日(月)15:00〜17:00


○場所

中央合同庁舎第5号館厚生労働省議室(9階)


○出席者

荒木 尚志(座長) 石井 妙子 鹿野 菜穂子 小林 信 小林 治彦
高村 豊 土田 道夫 鶴 光太郎 徳住 堅治 中山 慈夫
長谷川 裕子 水口 洋介 村上 陽子 八代 尚宏 輪島 忍

○議題

・報告書のとりまとめについて
・その他

○議事

〇荒木座長 それでは、ほぼ定刻となりましたので、ただいまより第19回「透明かつ公正な労働紛争解決システム等の在り方に関する検討会」を開催いたします。

 委員の皆様方におかれましては、御多忙の中、御参集いただき、ありがとうございます。

 本日は、大竹文雄委員、岡野貞彦委員、垣内秀介委員、斗内利夫委員、中村圭介委員、水島郁子委員は御欠席と聞いております。また、鹿野菜穗子委員は遅れて到着される予定と伺っております。

 本日の議題ですが、「報告書のとりまとめについて」「その他」となっております。

 では、配布資料の確認を事務局からお願いします。

〇大塚調査官 本日の資料は、資料の番号なしですけれども、前回の報告書に修正を加えました報告書のたたき台の修正版がお手元にございます。

また、前回、今回ともに御欠席の大竹委員と岡野委員と垣内委員の3名の方々から、意見書が書面で出てきておりますので、そちらも配布しております。また、岡野委員の意見に関しましては、先月28日に公表されました経済同友会の提言、これも委員の皆様方の机上には配布しているところでございます。

 もし漏れなどがございましたら、お手数ですけれども、事務局のほうにお申し出ください。

 以上です。

○荒木座長 ありがとうございました。

 前回の検討会では、報告書のたたき台について議論をいただきました。前回いただいた御意見を踏まえまして、今回はたたき台を修正した報告書(案)を事務局に作成してもらいましたので、こちらに基づいて、本日も引き続きとりまとめに向けた議論をいただきたいと考えております。

 なお、前回、今回とも出席できない委員からは、今、紹介がありましたとおり、報告書(案)についての意見の提出の希望がありました。3名の委員からは文書という形でご意見をいただいております。

 本日の進め方ですけれども、まず事務局から、報告書の前回のたたき台から今回の報告書(案)への修正点を中心に説明をしていただき、また、欠席委員からの御意見を紹介した後に、とりまとめに向けた議論をしていきたいと考えています。

 では、事務局より資料に基づいて説明をお願いします。

〇大塚調査官 では、修正点を中心に御説明申し上げます。

 資料の5ページをお開きください。

 現行の仕組みの改善のうち、労働局の仕組みに関する点につきまして若干修正を加えております。5ページの下のほうのeの部分でございますけれども、「任意性の見直し、」の後に「参加を確保する措置を講ずる」といったような文言を追加しております。

  次に6ページをお開きください。6ページの真ん中辺りのbでございますけれども、なお書きを追記しております。目安となる解決金額の水準を示すことが適当という意見があったというものを追記しております。

次にページがちょっと飛びまして、8ページをお開きください。8ページは、現行の仕組みのうち労働審判に関する御意見の部分でございますけれども、輪島委員からの御指摘もございましたので、2か所追記しております。65歳以降に労働審判員に就任する方も相当いるということですとか、あるいは、労働審判員の研修につきまして、そのニーズも非常に高いといったような御発言がありましたので、それを追記しております。

 9ページの下のほうでございます。これは土田委員から前回御指摘がございましたので追記しておりますけれども、労働局と労働委員会の事案の振り分けに関する御発言部分を追記しております。連絡協議会におきまして、どういった事案が労働委員会のあっせんに適しているのかといったことを意思共有を図るという部分の文脈で追記しております。

 以上が現行の仕組みに関する意見の修正部分でございました。

 次に11ページに飛んでいただきまして、11ページは金銭救済制度についての検討に係る記述の総論部分でございますけれども、このページの一番下の「以下、」の段落のところでございますけれども、この検討会を振り返ってみますと、必要性についての議論はさておき、まず個別的論点から議論をして、在り方についての議論をしたと。その後に、必要性についての御議論をしていただいたということがございましたので、その辺の経過が原案では余り十分ではなかったということで、追記しているものでございます。

 次に12ページでございますけれども、12ページは下のほうでございまして。これは例1についての記述でございます。前回、長谷川委員のほうから、事務局のほうから過去の検討経緯に関して、うまくいかなかった原因について詳細に説明があったために、委員間で余り議論が行われなかったのではないかというような御指摘もございましたので、事務局の資料で、過去の例1の検討に際して、どこで困難な点に当たったのかということを出しておりました。その辺の記述を次のページにかけて追記しております。

 その上で、13ページの8行目でございますけれども、ここからは、前回、例1に関する過去の検討経緯と、あと、中山委員のほうから御指摘があった点についての反論といいますか、御意見を並列で並べていったのですけれども、ちょっと構成を変えまして、まずは、例1方式に関する一般的な御意見、垣内委員などの御意見を書いた上で、その上で、中山先生がおっしゃっていた点に関する御意見を記述するといったように、まず構成を改めております。

 その上で、この例1についての最後の締めの言葉は、前回、「困難である」といったようなことになっておりましたけれども、「依然として課題が多い」といったような書きぶりに変えております。

 例2については、締めの言葉だけ変えています。一番下のところですけれども、「困難である」といったような記述に変えてございます。

 次に14ページでございますけれども、上のほうでして。そもそも例3方式についてですけれども、例3方式は、新たに提示された選択肢であると。その上で、判例などをそのまま条文化するものではなくて、新たな権利を創設するという仕組みなので、法的性格とか、権利の発生要件とか、効果などをしっかり議論する必要があるといったような御意見がございましたので、この辺の記述を記載しております。

 その上で、例3につきましては、その下にありますように、中山委員のほうからは、はっきりと反対であるといったような御意見もございましたので、その辺を追記しております。

 さらに、3分の1ぐらいのところですけれども、《論点》といったところで追記しておりますのは、対象となる解雇などにつきましての論点は、これは例3に限った論点ではなくて、仮に、例1方式などをとる場合にも共通の論点として考えられますので、その辺の記述を追記しております。

 このページの下のほうから、禁止解雇についての御議論があるわけですけれども、その関係で土田委員のほうからさまざまな御意見がございまして、次のページの15ページでございますけれども、差別的な解雇につきまして、仮に対象とするとしても、労働者の選択肢の拡大という趣旨のみで、それが正当化できるかどうかは疑問であるといったような御意見がございましたので、追記しています。

 また、同じく土田委員のほうから、前回、労働組合法第7条で禁止されているような解雇、組合差別の解雇などにつきまして、これもその対象にするかどうか慎重に検討すべきというような御意見がございましたのと、それに対して、前回、水島委員のほうからは、労働者の意思によって利用されるものであれば、対象として構わないのではないかといったような趣旨の御意見がありましたので、それらを追記しております。

 このページの真ん中よりちょっと下のところでございますけれども、※のなお書きのところで、諸外国では、禁止解雇につきましても金銭救済の対象からあえて外していないという記述がありましたけれども、具体的にどの国なのかということで、ドイツやフランスなどを例示しております。ただ、ドイツにしても、フランスにしても、ここの報告書にあるような例3方式を必ずしもとっているわけではございませんので、その旨もあわせて記述しております。

 その後の権利の発生要件についてのものでございますけれども、このページの一番下の部分でして。権利内容に加えて、禁止解雇なども対象とするのであれば、その辺の要件の記載ぶりを変える必要がございますので、趣旨を明確化するための表現の修正を行っております。

16ページは、真ん中よりちょっと下のところでございまして。これは取り下げができるものと位置づけるのかどうか、できないものと位置づけるのかどうかという点に関しましてですけれども、取り下げをできない仕組みとすることが考えられるというふうに前回書いておりましたが、この点につきましては、さまざまな選択肢についてさらに検討すべきといったような意見もございますので、それもなお書きで追記しているところでございます。

 その次の17ページは、特に変更はございません。

19ページでございます。真ん中辺りでございますけれども、ニの部分の記述を追記しております。これはバックペイの発生要件につきましては、請求時までとすることが適当であるといったような御発言が小林治彦委員のほうからございましたので、追記しております。

 その後、bの「労働契約の終了」のところですけれども、次の20ページの上のほうですけれども、労働者に対して契約解消金が支払われた場合に、労働契約が終了することとすることが適当であるというふうに前回記載しておりましたけれども、「考えられる」という表現に修正しております。

 その後の部分ですが、(エ)の論点のaの部分。これは前回記述していたものでございますけれども、他の訴訟との関係に関しましては、これまで、水口委員とか、徳住委員のほうからもいろいろ御意見があったところでございます。それに関しまして、bの部分で、過去の御発言を追記しているところでございます。

 その後、(オ)の金銭的予見可能性の部分についてですけれども、最初のほうに、予見性を高めるために余り必要ないのではないかといった御意見の続きとして、次の21ページの一番上の部分ですけれども、必ずしも上・下限は必要ないのではないかという趣旨の御発言が第17回中村委員のほうからございますので、これも追記しているところでございます。

 それと、真ん中辺りですけれども、上限を定めると不当な解雇を誘発するのではないかという徳住委員の御意見もございましたので、これも追記しているところでございます。

 その後の(b)の部分ですけれども、これは金銭水準の明確化についての議論の結論部分の記述でございますが、これにつきましてなお書きを追記しております。さまざまな選択肢についてさらに検討すべきではないかということでございます。

 その下のほうに、具体的な金銭水準に関しまして、まず、鶴委員が第17回に発言したものがこのページの一番下に書いてございまして、下限の水準に当たりましては、解雇が有効な場合であっても、1〜3か月という考え方があるので、それが参考になるのではないかといったようなことに対しまして、それに対する反論がございましたので、次の22ページに追記しております。村上委員からの御意見でしたけれども、今回検討しているのは解雇無効の場合なので、有効の場合の3か月よりははるかに高い水準になるになるのではないかといったような御指摘がございました。

 それと、22ページの上のほうですけれども、追記しているものがありまして、中小企業の負担などにも十分配慮したものとすべきという小林治彦委員の御発言がございますので、追記しております。

 その後に、バックペイの部分の記述が(e)にありますけれども、バックペイについて限度額を設定するかどうか。これは前回は上限額という書き方をしておりましたけれども、限度額に設定するかどうかという記述に書き改めました。これに関しましては、御意見として1つ追記しておりますけれども、バックペイに限度額を入れると、使用者側が徹底的に争うため、審理が長期化するといったような水口委員の御意見がございましたので、これも追記しております。

バックペイに限度額を設けることについての結論部分が、次のbの直上のところに書いてございますけれども、限度額を設定しないことも考えられるが、引き続き議論を深めることが適当であると考えられるといったような表現にしております。

その次のbの部分は、法定水準と労使合意の関係について議論していただいたものでございまして、このページの一番下の部分でございますけれども、労働協約であらかじめ解消金の水準を定めておくということが現実的ではないのでないかといったような輪島委員などの御意見がございましたので、これを追記しております。

次の23ページでございますけれども、23ページの(カ)の時間的予見可能性の部分についてでございます。これにつきましては、前回、一定期間の短期消滅時効を設けることが適当であると考えられるということにしておりましたけれども、なお書きを追記しておりまして、この点に関しましては、労働者にとって出訴期間の制限を設けることだけではなくて、諸外国と同様に、使用者においてもさまざまな解雇制限があるので、そういったものがないとバランスを欠くのではないかといったような村上委員の御発言が過去にございましたので、この点を追記しております。

このページの(キ)から他のシステムへの影響についての議論が行われましたけれども、これに関しては、次の24ページの真ん中辺り。これは、労働審判はそもそも裁判外なのか、裁判上の仕組みなのか、どちらに入るのかといったような議論の中で、徳住委員のほうから、裁判外の解決と見るべきではないかといったような御発言がありましたので、それを追記しております。

次の25ページについてでございますけれども、(ク)です。これは見出しを改めました。前回「その他」としておりましたけれども、水口委員のほうから、就労請求権に関しての話なので、見出しにきちんと書いてほしいという御意見がございましたので、括弧書きで追記しております。

その後のマル3が「使用者申立制度」についての御意見でございますけれども、まず、イのところで、長めに線を引いている場所があります。これに関しましては、前回の資料の中では、使用者申立は労働者申立に比べて、法技術的に一段ハードルが高いといったような簡潔な表現にしておりましたけれども、具体的に、土田委員あるいは山川委員などが過去におっしゃったことを引用した形で、少し詳細に書いているところでございます。

また、小林治彦委員のほうから、前回あった御発言を追記しておりますけれども、労働者申立であれば、労働者自身の選択肢がふえる観点から、金銭救済制度は労働者にとってもプラスになるといったような御発言がございました。

また、その下の部分でございますけれども、過去に徳住委員のほうから御指摘がございまして、使用者申立を入れるとなると、それはまさに検討対象から除くとしておりました「事前型」に近いのではないかといったような御指摘がありましたので、追記しております。

その上で、ウの部分が使用者申立に関するいわば締めの言葉でございますけれども、「容易でない課題がある」としているため、「今後の検討課題とすることが適当」という表現に改めております。

次に、(3)からが必要性に関する論点でございます。これに関しましては、26ページに今までの御意見を並べさせていただいておりますけれども、下のほうのオの部分。これはさまざまな御意見がございまして、全般的にその必要性を否定する御意見をオのところで書かせていただいております。それに関して、過去の検討会におきましては、例えば、下線の1点目ですけれども、これを設けることによって現行制度が硬直化するのではないかという高村委員の御意見とか、あるいは、和解の結実の度合いが破壊してしまうのではないかという徳住委員の御意見とか、その後にありますように、集団的労使関係に与える影響が懸念されているという斗内委員の御意見等々がございましたので、この点の御意見を過去の御意見の中から丁寧に拾っております。

次のページのクの部分は、これは18回(前回)のときの御意見のやりとりを載せさせていただいているものでございますけれども、今後、労政審で議論をすることについて賛同するという小林治彦委員の御意見とか、あるいは、引き続き、検討が難しい論点が多数あるため、専門的な検討の場で検討を進めるべきではないかといった小林信委員の御意見などがございました。この辺を追記しております。

ケのところですけれども、このケの部分が、ある意味この必要性に関する締めの言葉の部分でございますけれども、既に述べたようなさまざまな御意見がありましたので、必ずしも委員全体でコンセンサスが得られているわけではないといったことが、最初の文章に書かれております。また、必要かどうかというのは、金銭水準、その他の制度設計の仕方によるものであるといったこともあわせて明記しております。その次の文章のところにも書いてございますように、解雇紛争についての労働者の多様な救済の選択肢の確保等の観点からは一定程度必要性が認められると考えられ、この金銭救済制度については、法技術的な論点や金銭の水準、現行の労働紛争解決システムに対する影響等も含め、過去に労働政策審議会等において検討をされた仕組み(例1)とともに、本検討会において新たに提示された仕組み(例3)などについて、有識者による法技術的な論点についての専門的な検討を加えつつ、さらに検討を深めていくことが適当と考えるとしております。

なお書きに書いてございますように、そういったような制度を創設する必要はないという御意見もありましたので、この辺りも明記しているところでございます。

その次以降に関しましては、資料の変更はございません。

以上が事務局から提出していました資料の説明でございましたけれども、欠席委員の3名の方から出されている意見につきましても、簡単に紹介させていただきます。

まず1点目は大竹委員の御意見でございますけれども、1パラ目には、本検討会の成果をもとに労働政策審議会での検討を進めていただきたいということが書かれております。

また、2パラのところでは、労働審判制度が予見可能性が低いという問題があるため、金銭水準については何らかの基準をつくるべき、あるいは、その上限、下限、ガイドラインなどの設定は必要。ガイドラインには、勤続年数、年功賃金の程度、退職金制度の状況なども考慮に入れる必要があると、そういったような趣旨の御意見が提出されております。

次に岡野委員の御意見でございますけれども、1ページ目の1点目には、「解雇無効時における金銭救済制度の導入は不可欠である」ということが表題として書かれた上で、その不可欠であるという根拠をその後に記載されておりまして、その後に、「したがって、」として、「解雇が権利濫用とされる場合において、公正かつ客観的な基準に基づき、金銭的な補償を行い得る金銭救済制度を法的に整備すべき」といったような御意見が書かれております。

次の2ページ目の2点目ですけれども、報告書の「例3」を軸に、制度実現に向けた具体的検討を行うべきであるとして、4月28日に経済同友会が公表した提言のエッセンスがその後に列挙されております。そこでは、例えば1点目にありますように、働き手の申立(労働者申立)を原則としつつ、極めて限定的な場合に限り裁判所が使用者申立を認めることも想定といったようなことが書かれておりますし、また、2点目には、金銭補償額は賃金の半年分から1年半分の範囲内ということが提言されております。これらを引用しつつ、下のほうですけれども、例3が例1よりもわかりやすいといったことですとか、あるいは、例3を軸に実現に向けた具体的制度設計を検討すべきといったようなことが記載されています。

次に垣内委員の御意見です。

垣内委員の御意見は4点ございます。1点目は、報告書の項目を見出しにされていますけれども、例1についての記述であります。まず1パラ目は、形成訴訟構成についての問題点を指摘されておりまして、2パラでは、金銭支払を契約終了の要件とせずに、形成判決の確定によって契約終了する場合について、労働者保護の観点から問題がないか検討をする必要があると書かれております。

その上で、例1についての留意点を2点記載されております。「第1に、」として、契約の終了時期とかバックペイの問題を掲げられた上で、それらの問題は例1によっても同様に生じ得る問題でありまして、例1をとったからそれらの課題が解決されるわけではないといったことが記載されております。

次に「第2に、」としてですけれども、形成判決方式というのは、法律が特に必要と認めた場合に例外的に採用される方式であると。その上で、形成判決方式の構成をとることにつきまして、十分な論証が必要であると記載されております。

次のページの部分ですけれども、こういった形成判決構成につきましては、使用者申立に親和的である。ただ他方で、労働者申立には必ずしも適合しないといったようなことが書かれております。

2点目ですけれども、これは金銭的予見可能性についての御意見です。類型的な考慮要素を定めておくことは、権利の性質を明らかにするという意味で必要といったことですとか、あるいは、金額に上限、下限を定める方策は、場合によっては本来考慮すべき要素を切り捨てる機能を持ち得るものだとすれば、かかる権利の縮減を正当化するに足りる十分に合理的な説明が要求されるということで、上・下限をつくるに当たっては、十分その必要性を吟味する必要があるといったようなことが書かれています。

この2ページ目の一番下の部分でございますけれども、仮に上限を設けるとしても、特別な事情があるときの例外規定を設けることも一つの選択肢ということで、上限そのものをコンプリートさせずに、例外規定を設けて、特別な事情がある場合には、それを超える運用というのもあり得るのではないかといったようなことを御示唆されております。

3点目は、使用者申立に関する御意見でございます。使用者申立につきましては、もっぱら使用者側のみの意思に基づいて、本来、法的に無効と評価される解雇を実質的に有効なものにできるということを意味するものであると意義づけた上で、現在の解雇法制との断絶は、労働者申立と比較して格段に大きいという御指摘をされております。

次に4点目、必要性についてでございますけれども、先生は定見はないとされつつも、上のほうで書かれておりますのは、金銭的解決に対する使用者側の拒否権を奪う機能を有するものと位置づけることができるのではないかということをまず書かれております。その上で、労働者側が金銭的解決を志向しているにもかかわらず、使用者側が合理的な理由なくそれを拒絶しているために合意による解決が暗礁に乗り上げているような事例を想定した場合には、労働者側に新たなオプションを与えるものとして評価できるというふうな評価をされております。

その上で、制度創設のメリット、デメリット、この検討会でもさまざま行われましたけれども、そういったメリット、デメリットは、ある程度制度の内容が具体化されない限り評価することが困難な面がある。現在の議論状況では最終的な評価をするには時期尚早という印象を受けるということが記載されております。

さらに、新たな制度によってどのような労働者が救われるのか、そうした場面が実際上、どの程度想定できるかにつきまして、より具体的に検討をし、認識の共有をしていく努力が必要なのではないか、といったような御意見が記載されておりましたので、ちょっと長くなって恐縮ですけれども、紹介させていただきました。

以上でございます。

〇荒木座長 ありがとうございました。

 それでは、御質問・御意見等をお受けしたいと思いますけれども、本日提出いただいた報告書(案)について、もし修正の御意見をいただく場合には、可能な限り具体的に、どの文章をどう修正するかという具体的な御示唆をいただければありがたいと思っております。

 では、どうぞ御自由に御発言ください。

 村上委員。

〇村上委員 労働側委員の代表としまして、解雇無効時の金銭救済制度の必要性はなく、引き続き検討をする必要性もないということを強く申し上げたいと思います。

 まず、制度の必要性はないという点であります。報告書の26ページ辺りにも書いておりますが、現行の労働審判制度は、柔軟かつ適切な紛争解決に貢献し、制度として有効に機能している中、新たな制度は、労働審判を初めとする現行の紛争解決システムに悪影響を及ぼす可能性があること。また、制度を盾にし、企業のリストラの手段として使われかねないこと、労働者にとってインセンティブはないことなど、その理由はこの間の検討会でるる述べてきたところでありますので、こうした観点をぜひ尊重いただきたいと思います。

 また、次に、引き続き検討する必要性はないという点であります。制度の必要性などについての意見がこれだけさまざまに分かれており、検討会としてのコンセンサスが得られていないことは報告書にも記載のとおりです。こうした状況で、さらに、労働政策審議会で検討を続けることが果たしてできるのかという疑問がございます。労働政策審議会に報告するということはあっても、労働政策審議会での検討を継続する必要はないと考えております。

 その上で、具体的に修正いただきたい点について申し上げます。文書で配布いただくことも事務局と相談いたしましたが、出席している委員はこの場で発言をということがございましたので、長くなりますが、発言をいたします。

 前回、議論の内容と経過を忠実にトレースした報告書(案)を作成いただくことを強く要望いたしました。この間の検討会では、例3に議論が集中し、多くの法的課題が浮き彫りになりました。このような中で、一定の結論を誘導するような文言が報告書内にはいまだ散見されております。前回から修正がなされている部分もございますが、評価を加えている部分については修正いただきたいという観点から、修正点について9点申し上げます。

 1点目は14ページのウ「例3について」です。「労働者の選択肢を拡大するという観点や、金銭の支払と労働契約の終了の関連性、国民にとってのわかりやすさ等を考慮すれば、例1や例2に比べると相対的には選択肢として考え得るという意見があった」との記載がございますが、この間、垣内委員などからは、「今まで挙がっている1、2、3の中では相対的にこれが選択肢として最もあり得るものなのかなという印象を現状では持っているところ」との御意見があったことは承知しておりますが、それ以上、労働者の選択肢を拡大するという観点や、金銭の支払と労働契約の終了の関連性といったことについての発言ではなかったと承知しております。

 今回、岡野委員からの御意見の中には、「 検討会で新たに提示された選択肢「例3」が、「例1」よりも分かりやすいため、国民の理解が得られやすく、最も実現可能性が高いこと」との記載が ございましたけれども、それ以外の提言については、このように議論の方向性を印象づけるようなものを追記するのは不適当だと考えております。よって、「労働者の選択肢を拡大するという観点や、金銭の支払と労働契約の終了の関連性等を考慮すれば」という部分は削除いただきたいと考えております。

 2点目は、同じく14ページの論点(ア)「対象となる解雇」についてです。bの部分で、労働基準法等で禁止されている解雇についての記述がございます。こちらについては、「労働者の選択肢を増やす観点からは対象とすることが適当であると考えられる」という記述がございますが、この点については、前回も議論がございましたが、法令違反の解雇をした使用者のもとで働き続けたくない場合もあるという発言を踏まえての記載であり、この点は意見が分かれていたという印象を持っております。コンセンサスを得るには至っていないということで、「適当である」という部分は削除をしていただきたいと考えております。

 3点目は、17ページの上段に記載の(d)です。こちらは権利の法的性質についての記述です。「労働契約解消金の支払請求後の取り下げができない仕組みとした場合の課題への対応については、権利行使を裁判上での請求や書面など一定の形式による請求に限ることから、権利行使についての周知広報によって対応することまで、様々な選択肢が考え得る」ということは、この間の議論の意見が記載されているものとして理解しています。

 しかし、この点について、検討会でコンセンサスを得られていない以上、例3の導入を前提としているようにも読めます。報告書の「労働者保護を図る観点から、どのような対応が望ましいか、引き続き、議論を深めることは適当である」という文章の「適当である」については、削除をするか、もしくは「考えられる」といった記述にしていただきたいと思います。

 4点目は、18ページ下段に記載のチの部分です。こちらは労働契約解消金についてです。使用者による金銭の支払及び労働契約の終了に関し、金銭の性質については、労働契約解消金の構成を初めバックペイなどについてさまざまな意見が出されたところです。しかし、報告書では、「こうした意見を踏まえ、労働者の保護を図りつつ、紛争の迅速な解決に資する観点から、どのような整理とすることが適当か、引き続き、議論を深めることが適当であると考えられる」と、あたかも例3を前提に、この先も議論をすることについてまで、記載がされています。検討会の意見は一致を見ておりませんので、この部分についても「適当である」は削除をしていただきたいと考えます。

 5点目は、19ページのハのバックペイ発生期間の部分です。バックペイの発生期間については複数の考え方があることや、バックペイは民法第536条第2項に基づき支払われるものであることは理解しておりますが、これも例3が議論の前提ではない以上、「例3の仕組みによる金銭救済制度における労働契約解消金の中にバックペイをどのように位置づけるか」などについて、「引き続き、議論を深めることが適当と考えられる」という記載部分については、「適当」という部分を削除するべきだと考えます。

 また、6点目で、20ページの一番下の箇所は、私が以前に申し上げた発言部分を拾っていただいているのですが、「金銭的予見可能性を高める方策」の部分で、労働者側には必ずしも金銭的予見可能性を高めてほしいというニーズはないということは申し上げましたが、その続きとして、予見可能性を求めているのは、むしろ、幾ら支払えば解雇できるのかということを知りたい使用者側にあるのではないかということを第7回の会議で発言しておりますので、その点について補足をいただきたいと考えております。

 それから、7点目は、21ページの(b)の点についてです。これは解消対応部分などについての箇所です。金銭的予見可能性を高める方策の在り方については、労働契約解消金の水準についてさまざま意見が出されたところでありますが、解消対応部分については、さまざまな選択肢について、さらに、検討をすべきという意見があり、「解消対応部分 (+その他慰謝料的な「損害賠償的部分」) については、上記の金銭の性質を踏まえた、一定の考慮要素を示すとともに、その予見可能性を高めるため、上限額や下限額などの限度額を設定することが適当であると考えられる」とありますが、この部分についてはコンセンサスを得られてないのではないでしょうか。

先ほど、垣内委員の提出資料の中でも、2ページに、類型的な考慮要素を定めておくことは、権利の性質を明らかにするという意味でも、必要だと思われるけれども、これに対して、上限、下限を定める方策については、かなり慎重な検討が必要だというような記述もあったところです。また、検討会では、そもそも上限、下限というものについて示すべきではないという意見もあったところであり、このような意見を踏まえれば、報告書の「適当であると考えられる」というのは書き過ぎではないかと考えておりまして、削除をいただきたいと思っております。

 次に、8点目で23ページの(カ)の「時間的予見可能性を高める方策」についてです。こちらについては、下線部分を追記いただいておりますけれども、労働契約解消金の支払を請求することができる権利について、権利行使することができるときから一定期間の短期消滅時効を設けることは、論点としては示されましたが、これについて「適当である」と言うまでのコンセンサスは得られていなかったと思いますので、「適当である」という部分は削除をいただきたいと考えます。

 また、同様の趣旨から、bにあります「消滅時効の期間の統一化等を内容とする民法改正の動向を踏まえつつ、労働者の権利保護を図り、迅速な紛争の解決に資する観点からどのような期間が適当か、引き続き、議論を深めることが適当である」という一文も削除をいただきたいと思います。

 最後になりますが、23ページから記載の(キ)「他の労働紛争解決システムへの影響」の24ページにあるcの部分です。「仮に金銭救済制度を創設した場合の他の労働紛争解決システムへの影響については、迅速な紛争の解決を図る観点からは、可能な限り、引き続き都道府県労働局におけるあっせんや労働審判制度が有効に機能するよう、金銭救済制度を前提とした都道府県労働局におけるあっせんのルール等を構築するなどの方策について、引き続き、議論を深めることが適当である」とありますが、これについては、金銭救済制度の導入が前提ではないため、「適当である」という部分は不適当ではないかと思っております。よって、「適当である」という部分は削除をすべきと考えております。

 以上、修正いただきたい点が多く、発言が長くなりましたが、改めて、事務局におかれては、とりまとめに当たりまして、議論の内容と経過を忠実にトレースした報告書(案)を作成いただくことを強く要望いたします。

 以上です。

〇荒木座長 ありがとうございました。

 ほかにはいかがでしょうか。

 鶴委員。

〇鶴委員 どうもありがとうございます。

 まず、この報告書に関しましては、先ほど座長のほうから、具体的な修正点ということで、私は、基本的に全体として、この内容で結構だと思います。

 1点だけちょっと修正をお考えいただきたいところがあるのですけれども、大きな話として、まず申し上げたいのは、この報告書の構成自体が、こういう意見があったということで、さまざまな意見を前回からの修正として加えていくという形になっていて、いろいろな委員の立場、皆様あると思うのですけれども、そこに入っている意見について、もちろん納得できない意見やそれぞれの委員が見て根拠がどうかというのも当然あるのだと思うのですね。

 ただ、いろいろな意見があって、その意見を言った以上、この意見を入れてくれということになれば、ここにみんな記載されているというところなので、基本的に、それぞれ出た意見を入れているので、ここは違うのではないか、ああではないかということは、そういう構成になっておればなかなか難しいのかなという印象です。

 ただ、私は、今回、検討会で出たさまざまな意見が全部ここに盛り込まれているので、第三者また歴史的に検討できるということで、今後まさにそれがやりやすい形になったのかなという感想を持っております。

 その感想の上で、ただ、いろいろな意見、こんな意見、あんな意見があるということを言ったとしても、私は一番大事なのは、27ページの一番最後のケの部分だと思うのですね。ケの部分については1点私もコメントしたいと思うのですけれども、基本的にここに書かれていることを維持をしていただきたいというお願いです。

 1点目は、金銭救済制度の必要性ということで、報告書にあるように、また、先ほど村上委員からもありましたように、必要性についてのコンセンサスが得られたわけではないということだと思うのですが、だからといって、必要性が全く否定されたということではないかと思います。繰り返しになりますけれども、労働者申立に限る場合は、選択肢の多様化を通じて当然メリットを受ける人たちが出てきます。これは、きょう、垣内委員も具体的な形で1つ例をお出しされていたと思いますけれども、また、メリットを受けると思う人がその制度を利用するということだと思いますので、それは当然出てくる。また、予測可能性が高まることで、当然、労使双方にメリットがある。既存のあっせん、労働審判にも好影響を与える、こういった議論はこれまでも、私以外のほかの委員からも何人も主張をされ、報告書にも記載されているということだと思います。

 したがいまして、必要性は明らかだと思いますし、必要性をサポートする委員は、私は決してこの中で少数派ではないと思っておりますし、大きなウエートを占めるという認識をしております。ということで、必要性が一定程度認められている認識というのは、必ずこの報告書の現状のように明記されるべきだし、それが認識されることを前提に、労働政策審議会で議論、検討を深めていくべきだと思います。

 先ほど村上委員から、議論することは適当であると、その「適当」というのをいろいろな部分を全部削除してくださいと。それについては、これだけ論点を提示したわけなので、労政審で議論されるということになれば、そこのものについては、また、再度、きちっと議論を深めてほしいというメッセージで、ここまでこの検討会で議論をしたのであれば、次のところへ行くということを前提に、そこはさらに議論をしていただきたい。その「適当」というのが抜けてしまえば、その項目は結局議論されないという形になるので、私は、先ほどおっしゃられた修正意見は適当でないというふうに思います。

 それで、2番目ですけれども、これは、本日、大竹委員、また、岡野委員からも非常に強調されている点だと思うのですけれども、労政審で議論されるということを考えると、金銭の水準というものについてしっかり議論をしていただきたい。金銭的予測可能性を高めるためには、当然、金銭水準の明確化が必要でございます。考慮要素、上限、下限、目安、もちろんいろいろなアプローチはあります。

私は、この中で、上限、下限、先ほどこの報告書のような書き方になっているのは、上限、下限という考え方が、いろいろな意見がある中で一番受け入れやすいのではないかということが1つ私は想定されていると思いますけれども、いずれにしても、この3つについて更なる検討事項ということで、これはケのところに金銭の水準のところで書いていますけれども、しっかり労政審で検討をしていくべき事項として、この明記をお願いしたいと思います。

 1点、これはどのような形の修正ということについてはいろいろお考えがあると思うのですけれども、ケの「なお、」以降のところですね。必要がないという意見があった。その中で非常に大きな労働審判制度が有効に機能している。これはほとんどの委員の中で認識があったと思うのですね。ただ、ここに「現行の労働紛争解決システムに悪影響を及ぼす可能性がある」という記述があります。この制度をつくったら、必ず悪影響が出るというような認識がこの検討会の意見ということであれば、もちろん違う意見もあったということです。私も申し上げましたし、垣内委員もそういう影響を与えるとすれば、解消金の考慮要素、算定基準がどの程度によるかというところがポイントになると指摘されています。制度をつくったといって、何かほかのもののプロセスにどれぐらい影響を与えるのかということについては、それほど影響はないのではないか。これは何人の委員の方もそういう御意見があって、今、この報告書の中に入っているわけですね。

 それを考えると、この意見だけ最後のケのまとめのところに出ているのは非常にバランスを欠いているなということで、私、先ほど申し上げたように、審判や訴訟など、現行の労働紛争解決システムへの影響も、解消金の考慮要素を算定基準のどの程度かによるという意見があったという文言を、何らかの形で、最後、この「なお書き」を、ここにこういう形で悪影響ということで書くのであれば、それも並行して、ケのどこかに載せていただかないとバランスがとれないということで、ここは強く申し上げたい、要望したいと思います。

 以上でございます。

〇荒木座長 ありがとうございました。

 高村委員。

〇高村委員 これまでの検討会の中で、例1、例2、例3というような具体例を出されて、それらに関して議論を重ねてきたことは事実であります。しかし、これまでの検討会の中で、具体的に、この制度を新しい制度として導入しようということで検討会の議論が収れんされたとは思っていません。こういう制度で行こうということで、検討会でコンセンサスが得られておらず、なおかつ、その中でも、例えば法的構成とか要件とかさまざまな問題について、まだまだ時間的に十分に議論はできませんでした。したがって、これは引き続き、さらに、専門家を含めた検討が必要だということであれば、それは、私は、鶴委員がおっしゃっているようなことでいいのだろうと思います。

しかし、前提として、この検討会では、この制度導入の必要性も含めて、検討会としての一定の結論を得ることはできなかったわけですから、基本的に、この報告書で今後の政策誘導をするような記述はやはりすべきではありません。この検討会の中でどういう議論があったかという段階でとどめるべきだというのが私の考えであります。もちろん制度導入は必要ないと思っております。

〇荒木座長 中山委員。

〇中山委員 このとりまとめについて修正をお願いしたい点を4点挙げたいと思います。1つは、これまでの議論で出ておりませんが、現行の制度の改善について、これの5ページの下のf。「なお、」から始まる現行の法制度の改善、これは都道府県労働局の個別労働関係の解決ということで、特にあっせんについて書かれた記述です。私のほうで指摘したいのは3行目の末尾ですが、「参加が強制されない点を強調する記載ぶりを改めるとともに」と、この部分を削除していただきたいと思います。

 というのは、fで書かれている、現行の「参加が強制されない点を強調する記載ぶりを改めるとともに」云々とありますが、これについては、これまでの検討会で具体的に議論されたことはないはずです。前回、このたたき台で初めて見たわけですけれども、そこまで議論されていないのと、現在の取扱いとしては、相手方に参加強制はない、任意参加ということであれば、むしろ、手続上、この点を開始するときに明示するのは、手続の適正・透明性の点から当然だと思います。

 さらに、これは個別労働紛争解決促進法ができたときの議論で、もともとこういうあっせん制度をどこでやるのか。労働委員会でやるのか、裁判所の調停等でやるのか、労働局のあっせんでやるのかという議論があって、そのときに、労働局でやるとしたら、労働局というのは、労基法等について使用者に対して監督・指導機関であって、もちろん司法検察権限とか行政権限を持つ、そういう機関なので、そこの中で中立・公正に民事紛争の解決を行うというのであれば、そこは、使用者に参加や和解を事実上強制することにならないように、そういった懸念が表明されたところです。

したがって、私が削除をしていただきたいというのは、現行の取扱いについては、立法の経過でそういう点も指摘されておりましたので、現在の記載ぶりも決して強調するとは理解できないので、現状の取扱いを維持すべきであると思います。この部分は「適当」という結論になっておりますので、この部分を削除いただきたい。これが1点目です。

それから2つ目は、22ページの真ん中に(e)とございまして、「バックペイ分に限度額を設定するかについて」ということで、3つ目の黒丸で、「バックペイに限度額を設けない場合は、審理の長期化を招くことになり、弊害が大きい」と。これは私もこの検討会でこの趣旨のことを発言し、また、ほかの委員からも発言があったかと思います。ただこの点は、この記載ではわかりにくいと思いますので、「審理の長期化を招くことになり、」の後に、「金銭的予見可能性という点からも問題であり、」というのを挿入していただきたい。これが2点目です。

それから3つ目は、25ページマル3の「使用者申立制度」についてのウのところでして。今回、下線もありますが、このうちの「現状では容易でない課題があり」は削除をしていただきたいと思います。「容易でない課題」というのは、どういう趣旨か私どもはちょっと不明で理解できないのです。この使用者申立制度については、この検討会でさまざま反対論もあったのは承知しておりますが、これは政策的な点が中心でして、法理論的に、導入自体ができないのだと、こういうことで議論が深められてきているという経過はありません。

実際に、これは法制度が違いますけれども、欧州の制度でも、多くの国で使用者申立制度を認めているわけです。この報告書でとりたてて、「容易でない課題があり」というその裏づけを私のほうはちょっと認識できないので、ここは削除していただきたいと思います。その趣旨は、いずれにしろこの報告書を踏まえて労政審の労働条件分科会で検討するときに、使用者申立は容易でない課題があるのだから、これはもう対象外と、こういうことで、使用者申立制度について全く検討をされないというのは、私はいかがなものかと思いますので、この点は削除をお願いしたいと思います。

それから4つ目、最後ですが、これは先ほど来話のありました27ページ、ケの部分でして。これは中身を変えるという意味ではないのですが、この5行目に「法技術的な論点や金銭の水準、現行の労働紛争解決システムに対する影響等も含め」とあり、「等」とあるのですが、大きな論点として、金銭的・時間的予見可能性というのが1つあって、ここでは入っていません。私は、「法技術的な論点や金銭の水準、」の後に、「金銭的・時間的予見可能性」を挿入していただき、それから、原文に戻って、「現行の労働紛争解決システムに対する影響等も含め」ということにしていただきたい。これは先ほども話がありましたけれども、金銭的な予見可能性、時間的予見可能性は非常に大きな問題でして、この検討会ができるについて、「日本再興戦略」においても、そういったところをひとつ重視していたはずですから、入れていただきたい。

 以上です。

〇荒木座長 それでは、水口委員。

〇水口委員 この報告書(案)の21ページについて、先ほど村上委員も指摘されました(b)の「上限額や下限額などの限度額を設定することが適当であると考えられる」の箇所なのですが、この間、上限、下限額を設けるべきだという意見が出たことは間違いないのですけれども、この点はコンセンサスを得ていません。仮にこういうものを考えるとしても、上限だけにするのか、下限だけにするのか、あるいは、何らかの目安だけにするのか、さまざまな意見がありました。なお書きにそのことが書かれているのでしょうけれども、やはり「適当である」というまとめ方はミスリーディングだと思いますので、この点についてはぜひ修正していただきたいと思います。

 次に、個別的な修正点ですけれども、22ページの(e)の部分です。バックペイ分に限度額を設定するかについてですが、この黒ポツの2つ目はおそらく私が申し上げた意見だと思いますが、ややわかりにくい記載なので、このようにしていただけないかと思います。本文で、「バックペイに限度額を入れると、使用者側が徹底的に争うため」とありますが、この部分を「長期化によるリスクが減少するので、使用者側が徹底的に争うため、審理が長期化するのではないか」とし、文末の「ではないか」を「おそれが大きい」としていただけないでしょうか。中山先生が先ほど指摘されましたが、3つ目の意見では「弊害が大きい」ということで、両者の意見が平等に扱われていないように読めるので、「おそれが大きい」というふうに締めていただきたいと思います。

 それから、26ページのオの部分です。これは先ほど鶴委員が指摘されたこととも関連するのですが、オの1つ目の黒ポツの、本文ですが、読んでみますと、「現在、労働審判制度が有効に機能しておりこれで十分であるにもかかわらず、解雇無効時の金銭救済制度を導入すれば、こうした有効に機能している現行の紛争解決システムに」、ここまでは同じままで良いのですが、その後に続く部分について、意見を申し上げてきたつもりですが、悪影響の中身については、「調停や和解による合意による解決が減少し、判決を求めることになり、長期化するという悪影響を及ぼす可能性がある」と、このように補充していただければと思います。

 最後ですが、27ページのケの部分、この箇所については、これからもいろいろな意見出ると思いますが、一番重要なのは、反対意見がなお書きになっている点です。法律家が書く文書の多く、例えば準備書面では、なお書きというのは、要件事実に関連していない事情だけを書く部分を「なお、」として記載します。これは法定の文書の話ですが、報告書でも「なお、」だと、少し位置づけがおかしいと思います。やはり並列的な意見として、冒頭の「なお、」を削って、「これについては、」ということで、書き始めるべきだと思いますので、その点考慮をいただきたいと思います。

 以上です。

〇荒木座長 八代委員。

〇八代委員 既におっしゃった委員の発言について、中山委員からおっしゃった22ページ、25ページ、27ページについては、私も全く賛成ですので、それを記録していただきたいと思います。予見可能性ということが労働者の保護と並んで、こういう制度を考えるときに重要なポイントなので、そこはなるべく明記していただきたいと思います。

 それから、先ほど鶴委員がおっしゃった点も、私も全面的に賛成でありまして、今回の報告書は基本的によくまとめられていて、賛成意見・反対意見をきちっと整理されている。そのときに、並列ではなくて、ある程度、全てのコンセンサスが、全員賛成でなければ削除というのは暴論であるわけで、やはり多数意見に対して少数意見をバランスよく書いてあるのだと思います。

 それから、27ページのケのところは、これまで複数の委員から指摘されましたが、一番大事なところで、最後にこういう労働審判制度が有効に機能しているから、これを変えることは全て悪影響を及ぼすというのはやや短絡的な話でありまして。この点、きょう提出された大竹委員のコメントが、私は非常によくできていると思いますので、今のなお書き、「なお、」を取るかどうかは別にして、「これについて」という文章に引き続いて、現在の労働審判制度は事実上の金銭解決制度として有効に機能しているのは事実だけれども、その金銭解決の水準に非常に大きなばらつきがある。また、当事者にとって予見可能性が低いと。この当事者というのは、決して企業だけではなくて、私は、労働者にとっても重要な点だと思いますので、そういう意味で金銭解決の水準、上限、下限も含めて、ここに書くかどうかは別として、そういうことを決めるということには大きな意義があるかと思います。

 なぜ労働者にとって大事かというと、今の職場で非常に満足していない、自分の能力をちゃんと評価されていないとか、あるいは、非常に仕事がやりにくい、こういう労働者にとっては、ただしがみつくだけではなくて、今後ともここで働き続けるか、それともどれくらいの補償金をもらって辞めるかというのは当然考えるわけで、それを全く労働者側は考えないというのは、ごく一部の労働者の考え方ではないかと私は思います。私は一番大事なのは、労働者の中に非常に意見の対立がある。大企業の中で非常に守られている労働者と中小企業でそうでない労働者があるわけであって、大企業の労働者の意見だけを考えて、あらゆる今の職場の雇用補償に影響があるものは全部反対だという立場には強く反対しているわけであります。

 ですから、こういう解雇無効時の金銭補償の必要性は、当然ながら労働者にとってもあるわけで、そういう意味で予測可能性ということを当事者両方にとって必要だということをきちっと考える。そのためにも27ページのケの部分は、労働審判制度についての評価もあわせて、金銭救済制度の創設の必要性があるということとないという点をちゃんと並列的に書いていただきたいと思っております。

 以上であります。

〇荒木座長 土田委員。

〇土田委員 5点ほど申し上げます。13ページの(イ)のすぐ上のところ、13ページの上から3つ目のポツですけれども、例1に関する「一方、金銭の支払がないまま判決がなされ、」云々というところですが、前のたたき台のときには、私の発言ですが、「解雇が権利濫用で無効とされている場合に、金銭の支払とリンクさせずに契約の終了という効果が発生する仕組みとすることは解雇法制の観点からして難しい」と、こういう文章だったのが少し変わっているのですけれども、私はいわゆる例1に対する批判としては、今、私が口頭で申し上げた文章のほうが的確というか、ここで発言した内容になっておりますので、そのように修正していただければと思います。

 それから、14ページの一番上のところ、先ほど村上委員が削除をしたらどうかとおっしゃったところですが、3行目、「労働者の選択肢を拡大するという観点や、金銭の支払と労働契約の終了の関連性、国民にとってのわかりやすさ等を考慮すれば、」「考え得る」と。私、第16回で、いわゆる例3が例1や例2に比べると選択肢として考え得るという前提で、労働者の選択肢の拡大、それから、国民にとってのわかりやすさをベースとした制度にすべきと、こういう発言をしておりますので、ここは削除いただく必要はないと思います。

 それから、22ページの一番下のところですけれども、「労使協定または労働協約で労使があらかじめ労働契約解消金の水準を決めておくということは現実的ではないと考える」ということですが、これについては、前回、私のほうから、現実的ではないというのは、現在、労働契約の解消制度がないからそういうイメージがわかないということであって、制度が実現すれば、そのような労働契約解消金に関する水準についての団体交渉や労働協約の締結が行われるのではないかと発言しましたので、その点を追記していただきたいと思います。

 それから、25ページですが、先ほど中山委員が言われたマル3の「使用者申立制度」についてのウの表現「容易でない課題があり」。私もこれは「容易でない」という文章は日本語として若干意味はとりづらいので、「困難な課題」というふうに修正してはいかがかと思います。これは中山委員は多分御不満でしょうけれども、要は、同じ25ページのマル3のイのところで、4つ目のポツ、「解雇後に使用者に再度解雇を認めることとなり、使用者側に、二の矢を放つこととなるような解雇権を与えることとなる」という観点からすると、私自身は、「使用者申立制度」「今回は断念すべき」ではなくて、「未来永劫に断念すべき」だと思っているのですけれども、「今回は」で結構ですが、そういう理由からすると「困難な」という表現の方が適切と思いますので、そのような表現を検討していただければと思います。

 それから、最後の27ページの箇所ですが、カとケのところです。カの上から5行目の「これに対しては、解雇され、地位確認を求めず金銭解決したいが、合意によらず判決で解決したいという労働者のニーズはある」と、これは私の発言ですけれども、きょうの岡野委員の提出資料、垣内委員の提出資料の3ページの4のところも、ほぼ同様の趣旨だと思います。

 私も、前回も今回ももう少し具体的に正確に申し上げますので、若干このような内容で修正していただければと思います。カのところですが、「これに対しては、」の後です。少し長くなりますけれども、「不当解雇について地位確認を求めず、金銭解決を求めるという一定のニーズがある中で、労働審判やあっせんなど合意による解決を組み込んだ現行労働紛争解決システムにおいて、合意の成立が困難な状況に直面した労働者に対し、それらの現行システムとは別に、合意を必要としない労働者申立の金銭救済制度を設けることは、労働者の救済手段を多様化し、労働者保護の意義を有すると考えられるという意見があった」というような表現に直していただければと思います。

 前回も言いましたけれども、私の乏しい経験ではありますが、労働局のあっせん、労働委員会のあっせん、それぞれやっていますと、まず労働局のあっせんの場合は、これはかなり迅速なシステムで解決できるということが前提であります。そうすると、1回2時間ないし3時間で解決します。そうしますと、これは労使合意は何とかとりたいということで、この短い時間帯でやるということになると、落としどころとしてはこれくらいですよねということで、それはいわゆる低水準につながります。

労働委員会ですと、これは基本的に1回で終わらないで、かつ、労使委員がつきます。したがって、それぞれ労働者側・使用者側の意向をより丁寧に聞いて、時間をかけてやる。したがって、労働局あっせんに比べると、労使合意が、それぞれの特に労働者側の納得性を得る形で実現することが多いと経験則上は思われます。しかしながら、やはりこれも労使合意なので、労使委員がどれほど頑張って努力されても、あっせんがどうしても成立しないことはあり得るのです。

 そのような場合に、前回も言いましたが、次のステップに行っても合意がなかなか難しいだろうという、そういう状況の中で、合意によらない客観的な基準に基づいて、かつ、相当の金銭水準を、既に私は何度も言っていますが、早期退職優遇者制度の最後の水準が参考になると思いますけれども、そういった水準で金銭救済制度を設けることには一定の必要性があり、ニーズがあると考えております。

 したがいまして、27ページのケのまとめにつきましても、先ほど来御意見もありますとおり、労働者の多様な救済の選択肢の観点からは一定程度認められ得ると考えますので、この文章については、基本的に維持をお願いしたいと考えております。

 以上です。

〇荒木座長 ありがとうございました。

 それでは、小林治彦委員。

〇小林(治)委員 何点か申し上げます。まず、制度自体についてということで前回申し上げましたが、商工会議所自体としまして、解雇に関するルールが明確化されまして、労使双方が納得する早期解決制度というものが実現することを従来から賛同しております。今回の議論につきましては、あくまでも労働者からの申立を前提としており、商工会議所としては、労働者の選択肢を増やす制度だと理解しておりまして、その点から賛同したいということを前回申し上げました。

 また、報告書自体についてですけれども、これまでの検討会で議論されていた内容が大体網羅されていると思いますので、この報告書をとりまとめるということにつきましても、賛同をしたいと思っております。

 最後に、今後の議論ということなのですけれども、報告書にございますように、労働政策審議会で議論を進めるということにつきまして、前回も申し上げましたけれども、この点も賛同をしたいと思っております。

 ただし、6点ほど配慮をいただきたい点があります。

 1点目は、前回も申し上げましたが、先ほどから出ておりますように、委員の皆さんの中で合意が得られなかったことは多々あると思いますので、例えば、別途、法律の専門家の方々による作業部会を設置していただくことなども検討をしていただきたいというのが1点目でございます。

 2点目は、経営者・労働者双方という意味ですけれども、検討に当たりましては、さまざまな属性の方々から丁寧にヒアリングをして意見を聞いていただきたいということです。

 3点目は、簡素な制度を検討していただきたいということです。特に中小企業でも十分理解でき、円滑な運用ができるような簡素な制度を検討していただきたいということであります。

 4点目は、予見可能性の高まるような制度にしていただきたいということでございます。

 5点目は、労使双方からの相談体制に対応できるような整備をお願いしたいということでございます。

 6点目は、従来から申し上げておりますように、中小企業の費用負担には十分配慮いただきたいということでございます。

 以上、検討に当たりましては、6点ほど御配慮いただければと思っております。

 以上でございます。

〇荒木座長 ありがとうございました。

 鹿野委員。

〇鹿野委員 この間、日程の調整ができず欠席続きでしたので、もしかしたらちょっと誤解しているところがあるかもしれませんが、今回の報告書について4点ほど申し上げたいと思います。

 まず第1点です。12ページから、例1、例2、例3について検討が続くわけですが、そのうちまず例1については、解雇を無効とする地位確認判決を前提とする仕組みということになっています。ただ、この仕組み、手続的な仕組みだけで完結できるかのようにも見えるのですが、この仕組みにおいても、労働者が金銭の支払を請求し、その支払によって労働契約を終了させるということの実体法上の根拠はいずれにしても必要なのではないかと思います。

もちろんバックペイの支払請求権は、解雇無効であれば、従来から民法536条の2項に基づく未払賃金債権ということで認められてきたのであり、従来どおり、実体法上の特別な規定がなくても導かれると思われるのですが、それを除くところのいわゆる純粋な労働契約解消金というものを考えた場合には、それは実体法上の根拠が必要なのではないかと思うのです。

ここに「給付判決」等についての言及があるわけですが、これはまず実体法上の給付請求権というものがあって、それを前提として給付判決というものが下されるということになるのではないでしょうか。

 そのように考えますと、例3の検討の中で論点として出てきた権利の性質とか、あるいはこの解消金の中にどのようなものまで含まれるかとか、あるいは、金銭水準とか、あるいは、いつまで撤回を認めるのかということなどは、実は、例1においても問題となり得るのではないかと思われるわけです。

 その上で、例1と例3との決定的違いはどこにあるのかというと、例1は、地位確認判決を経ないと金銭解決の制度を利用できないということで、つまり、解決金請求権の要件の1つとして地位確認判決を得たことというのを設けるかどうか、そういうことが一番大きな違いということになるのではないかと思います。

 そうであれば、例1では、既にここにも書いてあるのですが、2つの判決をとらなければいけないということになりますと、一回的な紛争解決という観点からは適切ではないということになるでしょうし、また、1つの訴訟において地位確認と他の給付判決とか形成判決をあわせるというような仕組みを考えた場合には、既に指摘されたような手続的な難点があるということと同時に、実質的にも、もし仮に、金銭の支払がされていない段階で労働契約終了というような形成判決が出されるということが考えられているとすると、それは労働者の保護の点から問題があると思います。

 そこで、例3のように、地位確認判決を前提としなくても、解雇無効の実質的な要件が備わっている場合、これは労働契約法の16条の実質的な要件をそのまま持ってくるのか、それとも少し表現を変えるのかというのは幾つかの考え方があるかもしれませんが、少なくとも無効の実質的要件が備わっている場合であることを前提に、労働者側の一つの選択肢として解決金請求権を認めるということが検討されてきたのではないかと思います。

 そうすると、なお検討すべき論点はここにも記載のとおり非常に多いのですが、例1と比較すると、例3のほうが相対的には難点が少ないと言えるのではないか。ですから、今後、金銭解決制度についてさらに検討を深めていくべきだということになるのであれば、例3を前提にして、さらに、ここで浮かび上がってきた論点について検討を深めていくということが望ましいのではないかと思いました。報告書の書き方としては、12ページの例1についても、実体法的な根拠が必要であるということがわかるような形で書いていただければと思いました。

 第2は、今の点とも関連するのですけれども、14ページのウのところに例3が挙げられていて、それについての考え方が記されているのですが、そこの本文の6行目辺りに、「新たな権利を創設する仕組みであるため、」云々というくだりがあります。これについては、先ほどの裏返しですけれども、例3だけが新たな権利を創設するということになるのかというと、私はそういうわけではなく、例1のような形をとっても、いずれにしても新たな権利を創設しないと難しいのではないかと思いますので、これは例3だけの特別な難点ということにはならないのではないかと思いました。

 それから、第3に、個々のところでもいろいろと思うところはあるのですけれども、記載されていることと重複しますので大方は省略したいと思いますが、25ページにある「使用者申立制度」についてのみ一言申し上げたいと思います。私も、これは現状では難しいのではないかと思っているところです。つまり、本来無効とされる解雇があったということがここでは大前提になっているのですが、使用者申立てを認めることは、その場合において、使用者が金銭を積めばその無効な解雇を正当化できるということを認めることになり、少なくとも現在の解雇法制においてはそれは難しいのではないかと思います。先ほど垣内委員の御意見の紹介がありましたけれども、その点では垣内委員と同意見です。もちろん、政策判断として、別個の解雇事由を何らかの形で設けること、つまり例えば一定の要件が備わった場合については金銭的な給付を加えることにより解雇しうるものとするような新たな解雇事由を設けるということが全く考えられないということではないのかもしれません。けれども、少なくとも現行の解雇法制を前提とした場合には、使用者申立てははるかに難しいのではないかと感じました。

 それから、4つめは、27ページのケの最後のところの書き方についてです。先ほども議論があったところですけれども、私も、「悪影響を及ぼす可能性がある等の理由から」という表現に違和感を覚えました。この「悪影響」というのは、確かに内容によっては悪影響を及ぼすというおそれがあるということであればそうだと思います。例えば、個別の論点の中に出てくるバックペイに関し、従来は請求できていたものについて制限を加えたりとか、あるいは、その他の金額についても低い限度に落とし込んでしまって、むしろ労働者の権利を制限するような、そういう内容のものになれば、これは労働者の利益という観点から悪影響でしょうし、それがひいてはほかの紛争解決システムにも影響を及ぼすというおそれもあると思うのです。けれども、それはあくまでも具体的な制度設計の中身によるということです。そこで、この「悪影響を及ぼす可能性がある」という記載を残すのであれば、「その制度の具体的な内容によっては悪影響を及ぼす可能性がある」という表現ぐらいが適当なのではないかと思いました。

 以上です。

〇荒木座長 ありがとうございました。

 徳住委員。

〇徳住委員 私は、解雇の金銭解決制度に関し、今回検討された内容については、必要ないという立場から議論したいと思います。関連するのは、27ページのカとケの部分です。今回の議論を振り返ってみて、現行制度を充実させることによって克服できるのではないかという意見があったことと、例1から例3における、最大の相違は、先ほど土田委員もおっしゃいましたけれども、労使の合意によって金銭額を決めるのか、それとも、判決によって金銭額を決める制度を求めるのか、この相違だと思います。

 その観点から言うと、現行のあっせんにしても、労働審判制度にしても、訴訟の和解にしても、労使の合意というものが大変機能しているので、現行の紛争解決システムの改善とブラッシュアップ、各制度間の連携の強化によって、より適切な妥当な解決を図られると私は思っています。解決金の金銭額を、上限を決めたりして決定することによって適切かつ妥当な結果が得られるかというと、私は、それは性格的に不可能な部分を含んでいると考えます。なぜなら、金銭額の考慮要素をどう考えるかという問題に関して、余りにも多様性があり、その限界を設けることが大変難しいことだと思うためです。それは、以前の検討会で、難波裁判官が、「上限を設けられたりするのは裁判官にとって邪魔になる、必要ない」というようなことをおっしゃいましたけれども、私はその言葉に象徴的にあらわされているのではないかと思います。

 また、ドイツにおいて、解消判決制度が全く利用されていない中で、訴訟の第1回の和解で全部解決しているのは、労使の合意によって決めざるを得ないという、金銭額の判断要素の多様性がそうさせているのではないでしょうか。

 解決金の上限に関しては、例えば、50歳の労働者が定年までの残り数年の地位の確認とバックペイを求める場合の金銭額は相当な金額になりますし、また、マタハラ等で退職強要をされた場合の訴訟についての金銭額も相当高くなります。こういう多様性がある中で、そこに一定の上限を定めるということについては、私は問題があると考えます。

 そういう点では、労使の合意によって金銭額を決めていくことがポイントになります。土田先生は、都道府県労働局のあっせんと労働委員会のあっせんのことをおっしゃいましたけれども、労働審判では、権利義務関係を踏まえて判断がなされ、裁判所は調停案についても、解雇事案についてもきちんと金銭額を示すことによって、8割の事件が約75日で解決しています。労働審判がそのような機能を持っているときに、果たして解決金の上限等が必要なのでしょうか。残り2割の事件については、取り下げたとか、24条終了ですから、実際上、未解決のものは1割ぐらいしかありません。そういう点では極めて解決率の高い制度になっているわけです。さらに、事件が裁判に行けば、裁判官の和解という形で多様な判断要素を入れて、金銭額を入れています。そのほうが、私は、結果的な妥当性は極めて高いのではないかと考えます。

 確かに、御指摘があるように、時間的・金銭的予見可能性が必要だとの意見もあります。この点は労使にとっても、一つの重要な要素だと思うのですけれども、それ以上に大切なのは結果の妥当性です。解決金の上限を抑えられて、十分な満足を得られない制度になってしまうというようなことになると、結果の妥当性を放棄してしまうことになるわけですから、そういう点も踏まえれば、私は現状の制度をブラッシュアップすることによって、十分に改善が可能ではないかと思います。

 垣内先生の意見書は本日拝見させていただいたので、詳細はまだよくわかりませんけれども、垣内先生もその点を心配されており、上限額を設けると、 法定の考慮要素を勘案したときに上限を超える金額となる場合がありえること、また、仮に上限を定めるとして、例外的に そういう場合は特別条項を入れて考えるべきだということをお書きになっています。解決金の上限、下限を設けること、特に上限を設けることで頭打ちになるので、結果的には、結果の妥当性が得られず、現行制度に悪影響を与える可能性があると考えます。そういう点では、水口委員が指摘しましたけれども、私は「悪影響を及ぼす可能性がある」という、この表現は維持されるべきであって、さらには、なお書きは当然必要ありません。同じレベルでこのことが議論されたということは確認していただきたいと思います。

 以上です。

〇荒木座長 石井委員。

〇石井委員 私は、合意では解決し切れない場面はやはり残りますので、既に何度か申し上げましたが、金銭解決制度自体は必要だと思うのですが、これを、制度導入したことで今まで機能してきた紛争解決システムが崩れたり混乱したりするようなことがあってはならないというようにも思っております。

そういった観点からですが、まず21ページの予見可能性のところですが、先ほど、労働者からの予見可能性もというお話がありましたが、労使双方、それから、裁判所にとっても、上限、下限がなくて、さあ判断してくれと言われたら判断できないのではないかと思っております。

現在、労働審判の金額にすごく幅があると。平均値とか中央値は出ていますが、実は大変幅があるのだということでございまして。現在は、それで合意しているから、幅があっても構わないのですけれども、裁判所が決めることになっても、このままのずれがある状態になってしまうのではないか。難波裁判官は、むしろ枠をはめられたほうが困るという御意見でありましたが、労働部があるような裁判所ばかりではございませんので、司法制度が十分機能するようにという点からすると、混乱回避のために、考慮要素だけでなく、上限額、下限額を定めるというところは必要ではないかと思っております。

それから、最後のところにも関連しますが、紛争解決システムに対する影響等も考慮してという、その影響の点で、具体的には24ページのところに追加をしていただければと思うのですが、3つ目のポツですかね。個別労働関係紛争が発生したとき、何でも裁判に持ち込まれることにならないようにというのがありまして。私もこれを大変懸念しております。

現状では、労働審判は確かに十分機能しておりますが、制度ができたときには、対応できる弁護士を育てなければということで、弁護士会で委員会をつくって、若手を育てたりということをやっていますが、それでも、余り労働事件を担当していない人が参入してきていて、混乱を生じることがあるというような話も聞きます。今回、金銭解決制度ができて、雪崩を打ってそちらの申立がなされるようなことになっては、それはちょっと一大事であると考えておりますので、制度設計に際しては、その点も十分考慮をすべきだという点を追加いただきたいと思います。

前、ちょっと申し上げて、適切な発言かどうかというのはあるとは思うのですが、過払い金の事案が減って、弁護士事務所としては、テレビコマーシャルをしたりして、「いつでもお電話ください」というふうに対応しているわけですけれども、過払い金の次は時間外労働の残業代だということで、例えばドライバーの休憩所などにポスターが張ってあったりということがあるのですが、これが、賃金解決制度ができれば、今度は、「解雇をされたらいつでもお電話ください。夜間でも受け付けております」というふうな話になってきては困るなと思います。

確かに、諸外国では何十万件という労働紛争があり、何十万とまではいかなくても、何万件になっても、それがあるべき姿だという議論はもう一つあるとは思うのですが、少なくとも今すぐそういうふうになったのでは、裁判所も対応できないし、労働者の保護にもならないだろうと思いますので、それは金銭水準等にかかってくるのかなと思いますが、その点重要な考慮要素であるという点をつけ加えていただければと思います。

それと、もう一つは使用者申立の点についてでございますが、これは混乱を招くというよりは、使用者側からの意見として、反対が多いので今回見送りますというのはやむを得ないと思うのですが、課題があるので、あるいは、容易でない、困難な課題があるのでという点は、労働者側申立でも同じ状況ですので、表現というか、記載方法として、不公平感が、結論ありきというような印象がございます。

それから、25ページにある、使用者側に二の矢を放つような解雇権を与えることになるというところの議論も、そういう御意見があったのは確かですが、余り詰められることがなかったので、ここまで明確に、だから断念すべきと言えるのかなと思っています。

そもそも解雇権を与えることになるとありますが、民法にまでさかのぼれば、解雇自由の原則があって、ただ、権利濫用論で規制されているということですので、「解雇権を与えることになる」という表現自体ちょっと違うのかなと思っております。新しい制度、例3のような発想でいけばということになりますが、新たな雇用関係終了の制度、仕組みをつくるということなので、現行の解雇法制では無理だというだけでは否定の根拠にならないのではなかろうかと思います。

どうしても不当な解雇ということで、差別的な解雇とか、法令違反的なものが意識されているような気がするのですが、既に申し上げたように、その立証がいま一つ足りないとか、労働者側にも問題はあるけれども、解雇は酷ではないかと。あと少しのところで、6:4で解雇無効というようなのもあると思いますので、その酷であるという部分は、例えば金銭で解決するというような形で、雇用関係終了という解決を図るというのはそんなに不当な話ではないのではないというように考えております。感想ということになるかもしれません。

それから、言おうかどうしようかと迷ったところではありますが、14ページから15ページにかけての労働者申立の解決制度の対象となるべき解雇の点ですが、規制することなく保護対象とすべきではないかと言っていいのではないかと思います。もうこんなところに勤める気はないということで退職するわけでして、特に金銭給付なしに辞めていくのか、対価を得るのかということであれば、新たな選択肢として、退職についての対価を得る道を残しておくというのは、労働者保護に欠けるという問題でもなくというように思います。

不当労働行為の場合については除外するという御意見も出ていますが、そうだとすると、例えば能力不足で解雇して、これはどうも解雇無効だになりそうだとなったときに、使用者側が、いや、実は組合員だから解雇したのでと言い出したらば、請求棄却の判決になるのかというのがありまして、やはりどうもおかしいなという気がしています。そんなことを言い出す者がいるかどうかと言われそうですが、先ほど言いましたように、余り労働事件をやってないような弁護士がどんどん参入してくると思いますので、そういうこともあり得るというふうに考えておりまして、対象を規制するのは理由がないのではと考えました。

以上です。

〇荒木座長 それでは、長谷川委員。

〇長谷川委員 長谷川です。27ページのケの表現ですけれども、「更に検討を深めていくことが適当と考える」に続けて、一段下げて、「なお、」として意見が記載されています。このような記載では、検討会で出された意見に対して平等な扱いがされてないと思います。前段が「適当と考える」で、後段が「意見があった」ということでは、私は何かアンバランスな記載だと思いました。

 もう一つは、先ほど鶴先生もおっしゃったのですけれども、私たちこの検討会に参集している委員は皆一人一人平等だと思います。そういう意味では、この間の検討会で出された意見は、すべて平等に扱ってほしいのですね。鶴先生はさっき、あたかもこのケの箇所につき、合意が得られたようにおっしゃっていましたけれども、私は合意していませんので、一緒にはしてもらいたくありません。だから、私は一人の委員として、新たな制度を考えたときに、どういうのがあるのかと思いながら、きちんと検討には参加してきました。しかし、検討会の議論を踏まえ、最終的にトータルに考えたときに、どうもこれは無理がある、今回制度をつくるべきではないと思いました。むしろ、現在、うまく機能している労働審判制度など、そういうものをきちんと改善したほうが良いと考えます。通常訴訟についても、もう少しいろいろなことを検討すべきと思っています。

 先ほど徳住先生がおっしゃっていましたけれども、解雇されて、解雇無効だと言う労働者が納得するには合意しかないのですよ。誰かが決めた基準で一律の解決には、やはり納得できません。確かにこの解雇は無効だけれども、しかし、職場に戻ることを検討しても、戻ることもできないのだから、これは金銭で解決しよう。その際の金額としては、どのぐらいがいいかといって寄せていって、労使で、大体これでいいとなります。こうしたプロセスがあるからこそ、労働者はそれで納得するのですね。だから、和解といいますか、労使の合意というものをもう少し大切に扱ってほしいと私は思います。

 それから、この検討会でずっと気になっていたのは、八代先生の発言です。先生はいつも「大企業の労働者とかわいそうな中小企業の労働者」とおっしゃるのですけれども、私の娘は小企業で働いているので、発言を聞くと、何か自分の娘がかわいそうなのかなとずっと思ってしまいます。どの規模の会社に勤めようが、そこで働いている労働者はみんなそれなりに生きているわけですから、大企業の労働者が優遇されて、中小企業の労働者が優遇されてないというふうに一方的に言わないでほしいと思います。

解雇された労働者は、勤め先が大企業だろうが中小企業だろうが小企業だろうが、自分の賃金を得る糧を失うわけですから、その点ではみんな同じです。そういう人たちの問題で、解雇無効を求め、地位を確認したい労働者が次にどうするかということが重要なのでありまして、それは大企業で働こうが、中小企業であろうが、零細企業であろうが、その労働者の気持ちはみんな同じなので、私は、そのような発想はよくないと思います。

 それと、この検討会で「引き続き検討」という言葉が随分出てくるのですけれども、この言葉の使い方もよくわかりません。「適当と考える」というのがあったり、「考えられる」「意見があった」「適当である」とあったり、非常に報告書内に散りばめています。報告書の記載については全部チェックしているのですけれども、これらの記載を踏まえると、新たな制度を導入したいと考えているのか何なのかと思い、この点の理解は今でも非常に苦労をしております。

 解雇の金銭解決制度導入の必要性の有無について、検討会の意見は、ある意味では、大きく3つだと思うのですね。一つ目は、 過去に検討された、解雇無効の判決を要件とする 例1で検討すべきという意見、二つ目は 検討会で新たに提示された、労働者が金銭の支払いを請求できる権利を実体法に規定する 例3で検討すべきとの意見、三つ目は、全体的に議論するも、制度創設は無理があり、つくらないほうがいいのではないか、現在の紛争解決システムをより充実させるべきという意見です。このように意見に分かれているので、その旨をきちんと並列に扱ってほしいのですね。なぜなら、ここに参集した委員は一人一人平等であるからです。私は、この点につき、中立、公正、平等に扱っていただきたいと思います。

 最後に、解雇の金銭解決制度が必要だと言うのは研究者と使用者側だけです。「かわいそうな労働者」など、労働者側は誰もそのようなことを一言も言ってないというのが非常に不思議です。したがって、結論の書き方については、もう少しきっちり書いてほしいと思います。

〇荒木座長 八代委員。

〇八代委員 中小企業の労働者が一律にかわいそうだとは言ってないわけで、特にこういう解雇無効のような状況になったときに、長谷川委員は、労使が合意すれば納得できるとおっしゃいましたが、当然ながら、労働者の交渉力というのは、大企業と中小企業、大企業の労働組合に守られた労働者と組合がない中小企業の労働者では、かなり力が違うということは認めていただけると思うわけですよね。だから、同じ合意であっても、当然ながら、中小企業の場合は納得できる合意かどうかは極めて疑問であって、だからこそ補償金の金額に物すごいばらつきがあるわけですよね。

 つまり、なぜかというと、裁判費用を負担できる労働者と負担できない労働者の間のギャップはこれまでこの検討会でずっとデータが出てきているわけですから、それが全く同じだという考え方は私は理解できないし、そもそも大企業と中小企業の間で非常に大きな賃金格差がある。今、同一労働同一賃金の議論が出ているのも、必ずしも正社員・非社員だけの差ではなくて、大企業・中小企業の賃金差だって、あるいは、男性と女性の賃金格差だって全部あるわけで、賃金というのは、大企業であっても、中小企業であっても、みんな等しいのであって、そこに差はないという考え方は私はちょっと受け入れられないわけで、この検討会の目的は、一番保護に欠ける中小企業の労働者を守るために何が必要かと。

先ほど、補償金についても、上限の話ばかり出ていますが、なぜ下限の話がもっと出ないのか。上限の問題は、大企業の労働者にとっては深刻かもしれませんが、下限の規制のほうがはるかに中小企業の労働者にとっては重要だと私は考えております。

〇荒木座長 土田委員。

〇土田委員 今の八代先生の最後のところの下限については、下限も絶対に必要だという議論をしていますので、下限を設けるのは当然だという意見もあったということだけ申し上げます。

27ページの先ほど徳住委員等もおっしゃったことですが、労働審判やあっせん等で労使合意で解決するのか、それとも本訴判決で解決するのかというふうに、労使合意による解決がある意味極めてうまくいっている。だから金銭救済制度の必要はない。逆に悪影響を与えるというような御意見があったと思うのですが、27ページのカをよく見ていただければ、労使合意によってうまく解決している場合もあるけれども、そうでない場合もあり、そういう場合のニーズを考えると、今回の金銭救済制度が考えられます。

 問題は、だとすると、そういう制度を設けたときに、現状、合意で行っている制度にどんな悪影響を与えるのかということを先ほどおっしゃったわけです。悪影響を与えることが客観的に立証されれば、それは確かにそうだと思います。ただ、例えば、言葉尻をとらえるわけではありませんが、上限の考慮要素は極めて多様である。あるいは、上限を設けるといろいろ問題がある。つまり、上限におさまり切らないところに悪影響が出てくるという御意見がありました。

そうすると、きょう、垣内先生の意見もありましたけれども、解雇の金銭解決制度について、そういう問題点や悪影響を回避するための検討を引き続き行う必要があるということを私としては言いたいわけです。つまり、労使合意で解決できているからいいというのは理由にならなくて、これとは別に、金銭解決制度を設けるニーズはあるということを前提にすると、それは労使合意による解決に悪影響を与えるかどうかについては次の検証課題ですから、それは引き続き検討をすることで解決を模索するということになるのではないかと考えます。それが1点。

 それから、石井委員が言われた25ページのイの4つのポツのところですが、二の矢論ですけれども、これは先ほどの例1についても言いましたけれども、正確に言うと、イの4つ目のポツ、「解雇後に使用者に再度解雇を認めることとなり、」というのは、「解雇が無効と判断された後に、使用者に再度解雇を認めることとなり、」ということですね。結局、解雇無効であるにもかかわらず、解雇を認めることと同様の結果になるということですので、民法627条に戻るのではなくて、現行の労働法上の解雇労働法制を前提にすると、ここにあるような二の矢論の解雇をすることになるので、使用者申立については認めるべきではないと思います。

 以上です。

〇荒木座長 村上委員。

〇村上委員 主に、27ページのケの部分に関しまして、4点申し上げます。

1点目は、先ほど来、鶴委員や八代委員からは、大竹委員の意見書などを引いて、労働審判制度の解決金の水準がよくわからないといったような御意見がございましたけれども、それについては、既に8ページに書かれておりますので、あえて、ここで記載する必要はないと考えております。

 2点目は、石井委員からは、労働審判制度の解決金の水準についてぶれがあるというふうな御発言がありましたけれども、事案の多様性があることからすれば、解決金に幅があるということは、しごく当然ではあると思っておりますし、それを裁判官が決められないということであれば、そのために労使の審判員が存在していると思っておりますので、私としてはそういう意見を持っております。

 3点目は、使用者側の委員の方を中心に、今回、金銭解決制度を設けるのは労働者のためだと、労働者のための制度は必要だというような御意見がありまして、なぜ、それが労働者のためになるのか、にわかに理解はできないのですが、仮に、金銭解決制度がかわいそうな労働者のためになるとしても、結果としては、お金さえ払えば解雇される労働者を増やすことになるのではないかという意見を持っております。

こうしたことを踏まえ、最後の4点目になります。27ページのケの部分になお書きの記載がございますけれども、なお書きについては、徳住委員、長谷川委員と同様に、ケの部分とは別に、なお書きではない取扱いをしていただきたいと考えております。その理由として、労働審判制度についてのみ書かれておりますが、26ページのオで書かれてあることが、必要性はないということのさまざまな理由でございますので、例えば冒頭に申し上げたように、こういった制度を入れることでリストラの手段として使われかねないことであること、労働者にとってインセンティブはないということについてもぜひ触れていただきたいと考えております。

以上です。

〇荒木座長 ほかにはどうですか。

 中山委員。

〇中山委員 25ページのマル3の使用者申立制度について、土田委員、石井委員からも話がありまして、私のほうが、最初にこの点、修正をお願いしたところですが、考え方としては、石井委員が先ほど言ったところと同様です。

 ウの部分の「現状では容易でない課題があり」は、前回のたたき台では、「困難」という表現をたしか使っていたのではないかと思います。土田委員は、これは「困難」にしたらどうかと、こういうお話で、振り戻しの話ではあるのですけれども、これは言うまでもないところですが、解雇の金銭解決の立法化を議論しているのであって、したがって、立法化について、労働者申立でも使用者申立でもいろいろな問題があるのは、これまで意見が出たとおりですね。

ただ、その中で、使用者申立は、法律的にも法技術上無理だというのであれば別ですが、そうでないはずですから、そうであれば、ウの集約のところで、「現状では容易でない課題」というのは、むしろ、今後の検討課題を実際に検証していく中でそういう結論が出るなら、それは仕方がないですが、現段階で、このような結論的な表現をするのは、それは問題だと思います。しかも、土田委員、鹿野委員からもお話がありましたが、それはイの後半に、反対意見がきちっと述べられていますから、その上で、「今後の検討課題とすることが適当である」ということであれば、実質は変わらないのだと思いますので、その点、できれば削除を検討していただきたいと思います。

〇荒木座長 水口委員。

〇水口委員 27ページのケのまとめに関連するのですが、先ほど、この制度を表面的には労働者の救済の選択肢になるのではないか、労働者の救済の一手段になるのではないかとの意見がありました。例えば、本日配付された経済同友会の意見のように、解決金の金額の下限を6か月、上限が18か月だと、表面的に見れば、何となく労働者に有利なようにも感じることはあると思います。しかし、私が実務家として大変危惧しているのは、検討開始のときに申し上げたとおり、制度ができれば、この制度を前提として使用者側はリストラをするということです。

解決金の金額が6か月から18か月ということで、「解雇時に、裁判で解雇が無効になったとしてもこの基準なのですよ」、「裁判を半年、1年やって、解雇が無効というふうにあなたが勝った場合でもこれだけですよ。でも、今解決に応じれば、基準の8割だとか半分を払います」というように使用者側が言うことになりかねません。私が30年程労働弁護士をやってきた経験によれば、このような行動に及ぶことは、大企業であろうと中小企業であろうと全く変わりはないだろうと思うので、実際に労使のリストラの現場では、こういうようにこの制度が使われるだろうということを非常に懸念しています。

労働者の勤め先が大企業であろうと中小企業であろうと、半年や1年もの間、裁判で頑張って復職できるほど、時間的にも金銭的にも耐えられる労働者は本当にわずかなのですね。それは、現場に、職場に労働組合があり、会社と紛争になった労働者も受け入れてくれる、そういう労働者たちが周りにいて初めて復職ができるというのが日本の現状ですので、ケのところの「悪影響」という文言は、私は外せないと考えます。全部悪影響になるという書きぶりになっていなくて、「悪影響を及ぼす可能性がある」となっています。その悪影響の内容は26ページのオのところで指摘されているわけですので、このなお書きの部分の「なお、」という文言を外していただきたいというのが私の希望です。前提として、「具体的制度設計によっては」という前置きをつけたとしても、「悪影響」という言葉はぜひ残していただきたいと思っています。

 以上です。

〇荒木座長 ほかにはいかがでしょうか。

 輪島委員。

〇輪島委員 ありがとうございます。前回も申し上げましたけれども、例1から例3、それから、25ページの使用者申立も含めて、並列的に扱っていただくという表現を27ページのクとケのところに集約をしていただきたいと思っているところであります。

 本当に感想めいたことで恐縮ですが、26ページのオのところの今御指摘の点ですけれども、3番目。「解雇の選択肢をふやすことにつながるのではないか」という、今まで検討会で聞いているので、ここが、エのところで仕組みが必要という必要性についての結論と、オのところで「一方で、」ということなので、この3つ目はネガティブな発言だということですが、後から読んだら、恐らくここは一義的にはよくわからないというふうなこともあるので、言葉を補って、御発言の趣旨みたいなこととか、そういうものを補う必要が幾つかあるのではないかと思いますけれども、こういうような点がまだ少し整ってない部分があるのではないかなと思っているところです。

 以上です。

〇荒木座長 ありがとうございました。

 それでは、時間がまいりましたので、きょうはここまでにしたいと思います。さまざまな議論がありました。具体的な修正意見もありましたし、その修正意見に対する修正すべきでないという意見も出たように思います。非常に多様な意見が出ましたので、事務局のほうでこれらを整理した上で、次回、本日の議論を踏まえた報告書の修正版を提示し、次回議論を続けることとし、次回は、最終的なとりまとめの議論を行いたいと考えております。そのために、事務局は、この検討会の議論の取りまとめのための資料を提出するようにお願いします。

 では、最後に、次回の日程について、事務局からお願いします。

〇大塚調査官 次回、第20回の日程につきましては、現在、調整中でございます。確定次第、場所とあわせまして、委員の皆様方に御案内いたしたいと思います。

 以上です。

〇荒木座長 それでは、本日は以上といたします。どうも、お忙しいところをありがとうございました。


(了)

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