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2017年6月28日 第74回社会保障審議会年金数理部会 議事録

年金局

○日時

平成29年6月28日 10時00分〜12時00分


○場所

厚生労働省 専用第22会議室(18階)


○出席者

菊池部会長、佐々木部会長代理、浅野委員、猪熊委員、翁委員、駒村委員、野上委員

○議題

(1)公的年金財政状況報告−平成27年度−について
(2)その他

○議事

○真鍋首席年金数理官 それでは、定刻より少し早いですけれども、ただいまより第74回「社会保障審議会年金数理部会」を開催させていただきます。

 初めに、お手元の資料の確認です。

 議事次第、座席図のほか、次のとおりです。

 資料1「公的年金財政状況報告−平成27年度−(案)」は5つの資料に分かれておりまして、

資料1−1が「表紙、はじめに、委員名簿、目次」、

 資料1−2が「第1章」、

 資料1−3が「第2章」、

 資料1−4が「第3章」、

 資料1−5が「付属資料」です。

 資料2は、この報告書の要旨(案)です。

 これ以外に、野上委員提出資料がございます。

 配付資料は以上です。

 次に、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。本日は、関委員と田中委員が御欠席との御連絡を受けております。御出席いただきました委員の方が3分の1を超えておりますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。

 それでは、以後の進行につきましては菊地部会長にお願いいたします。

○菊池部会長 委員の皆様には、御多忙の折お集まりいただきまして、大変ありがとうございます。

 本日は、「公的年金財政状況報告−平成27年度−」について審議を行いたいと思います。

 恐縮ですが、カメラの方はこれにて退室をお願いいたします。

(報道関係者退室)

○菊池部会長 平成27年度の報告書の作成に当たりましては、委員の皆様に多大なる御協力をいただきまして、検討作業班と技術作業班の合同作業班において作業を行い、本日の資料である報告書案を作成いただきました。どうもありがとうございます。

 それでは、事務局から、本年度の報告案について、そのポイントとなる点の説明をお願いいたします。

○真鍋首席年金数理官 それでは、御説明申し上げます。時間の関係もありますので、ポイント、特に昨年度報告書からの変更点を中心に御説明申し上げたいと思います。

 資料1−2の第1章からお願いいたします。第1章につきましては、第2章以降の前提となる制度のしくみ等について解説している章です。そのため、平成27年度に限定せずに、現時点での内容を記載しております。

 おめくりいただきまして、6ページが第1節「公的年金とは」です。

 ちょっと飛びまして、1−1−2ですけれども、我が国の公的年金の歴史をざっと記述しています。過去においてはいくつかの制度がありましたが、2行目から、現在は国民年金と厚生年金という2つの制度からなっています。

 1−1−3ですけれども、被用者年金の一元化により、被用者年金は全て厚生年金に一元化されました。これにより厚生年金は全ての被用者が加入する制度となりましたが、被保険者の記録管理、標準報酬の決定・改定、保険料の徴収、保険給付の裁定等につきましては、効率的な事務処理を行う観点から、共済組合及び日本私立学校振興・共済事業団、まとめて共済組合等と呼びますけれども、これらを実施機関として活用することとされたことを記述しています。

 このため、実績ですとか、決算等については、各実施機関からそれぞれ公表されており、一元化後の厚生年金全体の財政状況は必ずしも明示的に示されておらず、これを取りまとめることは年金数理部会の重要な責務であるということで、この報告書では、厚生年金全体の財政状況を取りまとめつつ、引き続き、実施機関別の分析も行っています。

 次のページの1−1−7ですが、被用者年金の一元化が行われましたのは平成2710月という年度途中です。従いまして、平成27年度は、年度前半は一元化前の制度であり、年度後半は一元化後の制度であるということを記述しています。

 8ページ、「第2節 公的年金財政の枠組み」です。図表1−2−1を見ていただきまして、公的年金といたしましては、全国民共通の国民年金(基礎年金)と、全被用者が加入している厚生年金保険という2つの制度になっています。ここで、国民年金では自営業者などを第1号被保険者と呼び、法律上、第1号被保険者といえば国民年金の第1号被保険者のことなのですが、厚生年金にも第1号、第2号という用語が出てきますので、本報告書では、丁寧に全て「国民年金」という言葉をつけて「国民年金第1号被保険者」「国民年金第2号被保険者」という表現にしています。

 厚生年金保険につきましては、第1号厚生年金被保険者を単に第1号とだけ書くのではなく、いわゆる民間被用者であることがわかるように、第2号の後に括弧書きで常に「民間被用者」と記述しています。第2号は「国家公務員」、第3号は「地方公務員」、第4号は「私立学校教職員」ということで、丁寧にそういう記述としています。

10ページに行っていただきまして、制度が変わっていないので、基礎年金の収支の構造そのものは例年と同じです。ただし、こういう収支の構造の図表がこの後、厚生年金、厚生年金勘定、共済組合等の厚生年金保険経理と出てくるわけですが、例えば厚生年金勘定は青、共済組合等をまとめた場合はピンク等、付属資料も含めて色を全て統一して、わかりやすい図表としています。

11ページから「厚生年金財政の仕組み」で、まず「(1)厚生年金財政の仕組み」です。

12ページの図表1−2−3を見ていただきまして、これは厚生年金全体ということでありますが、まず保険料につきましては、第1号、いわゆる民間被用者は厚生年金勘定に払い、第2号、国家公務員は国共済に払い、第3号、地方公務員は地共済に払い、第4号、私立学校教職員は私学共済の厚生年金保険経理に払います。正確に言えば私学共済は厚生年金保険経理という用語ではありませんが、わかりやすさを優先して厚生年金保険経理という用語に統一しています。このように各実施機関に保険料をお支払いいただき、給付につきましては、基本的に各々の加入期間に応じて各実施機関から支払われるということで、第1号の期間分につきましては厚生年金勘定から受給者に支払われ、第2号の期間分については国共済から支払われるしくみでございます。

 そして、各共済組合等は、厚生年金勘定に厚生年金拠出金を払い、共済組合等の厚生年金保険経理は厚生年金交付金を厚生年金勘定から受けるということで、財政的に一元化されている状況を図示したものです。

 この拠出金の算定方法ですが、13ページに行っていただきまして、図表1−2−4が原則でして、標準報酬按分と積立金按分により算定されますが、現在は図表1−2−5のように激変緩和措置が実施されておりまして、半分が原則どおり、半分が支出費按分になっています。

14ページに行っていただきまして「(2)厚生年金勘定の収支の構造」です。

15ページの図表1−2−7を見ていただきまして、これは厚生年金勘定の側から見るとどのような構造かということで、先ほども説明申し上げましたように、第1号の民間被用者はこの勘定に保険料を払い、その他の収入としては共済組合等の厚生年金保険経理からの厚生年金拠出金があり、あと国庫負担があります。

 支出につきましては、厚生年金給付が行われ、基礎年金とのやりとりがあることは従来どおりですが、各共済組合等の厚生年金保険経理に厚生年金交付金が交付され、そこから厚生年金等給付が行われる状況を今回図表に追加しています。

 次の16ページ、17ページが「(3)厚生年金の実施機関たる共済組合等の厚生年金保険経理の収支の構造」です。図表1−2−8を見ていただきますと、共済組合等の厚生年金保険経理につきましても、保険料収入と国庫・公経済負担があり、厚生年金勘定とのやりとり、基礎年金勘定とのやりとりがあることを図示しています。

 ちょっとお戻りいただいて、16ページの1−2−27ですが、共済組合等の年金給付は、2階部分相当給付に加えて、平成2710月の一元化により廃止されました経過的に支給される職域加算部分、いわゆる旧3階部分があります。一元化前に受給権が発生した退職共済年金には職域加算額が含まれ、一元化後に受給権が発生する共済組合等の厚生年金受給者には一元化前の期間に係る経過的職域部分の退職共済年金の給付が行われるということで、この職域加算部分と経過的職域加算部分につきましては、厚生年金保険経理とは別に経過的長期経理で管理運用されています。

 国民年金につきましては、変更はありません。

次に、20ページの「6 年金改定の仕組み」でございます。

21ページの図表1−2−10「賃金の伸びと物価の伸びが逆転した場合の年金改定」ということで、このしくみそのものは従来もあったわけですが、1−2−38を見ていただいて、平成28年改正で、平成33年度以降の話になりますけれども、現役世代の負担能力が低下したとき、すなわち賃金上昇率がマイナスかつ賃金上昇率が物価上昇率を下回ったときには、賃金の変動に合わせて年金額を改定することに見直されたということで、平成28年改正の記述をつけ加えております。

 次の2223ページがマクロ経済スライドの仕組みについての記述ですが、23ページの下のほうの1−2−43、図表で言うと1−2−13「マクロ経済スライドによる調整のルールの見直し」で、これも平成28年改正によりまして、平成30年度以降、名目下限措置は維持した上で、キャリーオーバーの仕組みが導入されたということを記述しています。

24ページは「(3)過去の物価スライド特例への対応」ということで、これにつきましては、平成27年度で終了したことを記述しています。

25ページの下のほうの「(4)平成27年度の年金額の改定」は、後で出てきます平成27年度の実績に影響を与えますので明記しています。平成27年度につきましては、2行目の真ん中ぐらいからですが、初めてマクロ経済スライド、このスライド調整率は0.9%ですが、発動され、平成27年度の年金額は、特例水準の段階的な解消やマクロ経済スライドによる調整と合わせて、基本的に0.9%の引上げになったということを記述しています。

26ページからの「被用者年金制度の一元化」につきまして、過去の経緯を書いてあるところで、大きな変更はございません。

30ページ「2 被用者年金一元化における積立金の取扱い等」ということで、図表1−3−1につきましては、昨年度の報告書にも載せておりましたように、積立金の概算仕分けの概要についての図表です。

31ページに行っていただきまして、図表1−3−2ですけれども、概算仕分けの後、精算が行われたということで、1−3−2でどのような精算が行われたかについてまとめてあります。ただし、精算が行われた日は平成2812月1日ですので、平成27年度の財政状況に影響はないですけれども、既に精算は終了していますので、ここに整理しています。

 第1章につきましては、大体以上です。

 続きまして、資料1−3の第2章を見ていただければと思います。

 まず、36ページ「第1節 被保険者の現状及び推移」です。図表2−1−1の「被保険者数の推移」を見ていただきまして、被用者年金は一元化されましたので、被用者年金ということではなく、厚生年金全体があって、内訳として、第1号、第2号、第3号、第4号があるというフォーマットにしています。厚生年金全体の被保険者数は4,129万人です。また、国民年金の第1号被保険者が1,668万人、第3号が915万人で、これらを合計しますと、公的年金制度全体の被保険者数は6,712万人です。

 厚生年金の被保険者種別別に見ていただきますと、第1号の民間被用者が3,686万人、第2号の国家公務員が106万人、第3号の地方公務員が283万人、第4号の私立学校教職員が53万人となっています。

 この図表の下欄の対前年度増減率を見ていただきますと、厚生年金は計で2.2%増加、特に第1号の民間被用者が2.4%の増加、第4号の私立学校教職員が2.3%の増加ということで、比較的大きな伸び率になっています。一方で、国民年金の第1号被保険者は4.3%の減少、第3号被保険者が1.8%の減少となっており、公的年金制度全体では0.02%の減少ということで、微減しています。

 これにつきましては、2−1−3の4行目からですが、推移をみると、厚生年金被保険者は増加傾向にある一方、国民年金第1号被保険者及び国民年金第3号被保険者は減少が続いており、公的年金制度全体でも減少している状況です。これは、生産年齢人口が減少する中で被用者化が進み、国民年金第1号、同第3号から厚生年金の被保険者にシフトしている影響と考えられると書き加えております。

 昨年度との変更点という意味では、ちょっと飛びますが、40ページに行っていただきまして、被保険者の年齢分布の変化を詳しく見たもので、新たに追加したものです。5歳階級別のグラフにしておりまして、41ページからのグラフを見ていただいたほうがわかりやすいと思います。青が男性、薄い方が5年前の平成22年度末、濃い方が平成27年度末です。男性の厚生年金計を見ていただきますと、ピークが3539歳にあったのが、4044歳にシフトしていますが、ここは団塊ジュニアの年齢層がシフトしている状況です。薄いピンクが平成22年度末の女性で、濃いピンクというか赤が平成27年度末の女性ですけれども、40歳以降の中高年のところで被保険者数がかなり増えています。また、65歳以上をみますと、男性、女性ともに被保険者数が増加しており、これは文章では書いてありますが、人口比で見ても増加しています。

 すぐ下の第1号厚生年金被保険者につきましては、民間被用者が厚生年金全体の9割ぐらいを占めていますので、この影響が全体にあらわれることとなり、ほぼ同じような形状になっています。

42ページが第2号の国家公務員、第3号の地方公務員ですが、特徴としては、65歳以上を見ていただきますと、公務員については被保険者数にあまり変化がないといったことが1点、それから、下の第3号の地方公務員ですけれども、特に2024歳、2529歳あたりの若年のところで被保険者数が増加しているといったことが見て取れます。

43ページの上の第4号、私立学校教職員につきまして、男性はそんなに変化しておりませんが、女性が中高年のところで被保険者数がかなり増加していることと、65歳以上の被保険者数が男女ともに増加しているところが見て取れます。

 下の国民年金第1号被保険者につきましては、一部の年齢階級を除き、どの年齢階級も大幅に減っていることが見ていただけるかと思います。

44ページ、国民年金第3号被保険者につきましては、ほぼ99%が女性ですけれども、形状が若干変化しています。

44ページの真ん中からが「4 厚生年金の1人当たり標準報酬額」です。

 図表としては、右のページの図表2−1−6になります。ここで伸び率を見ていただきますと、表の下段ですが、厚生年金計では0.3%の増、第1号、民間被用者が0.4%の増、第2号の国家公務員が1.4%の増、第3号の地方公務員が0.7%の減となっています。

国家公務員の第2号がやや高い伸び率ですけれども、これにつきましては、既に終わった話ではありますが、平成24年度、25年度は国家公務員の給与の特例減額があり、それは平成25年度、つまり平成26年3月に終わり給与としては平成26年4月から元に戻りましたが、標準報酬制ですので、定時決定に反映されたのは平成26年9月であったため、平成27年4月から8月までの間は対前年度の伸び率では高く出て、年度でみてもちょっと高目に出ているということでございます。

 地方公務員につきましては、地共済は平成27年9月まで、給料月額をベースに掛金なり年金額を算定する仕組みでした。そのため、他制度と比較するために、平成27年9月までの数値につきましては、給料月額を一律に1.25倍したものを標準報酬月額とみなしていました。平成2710月の一元化に伴い、地共済につきましても標準報酬制をとるようになりましたが、その変更において、個々人で見れば手当等はいろいろ違いますので、そういった制度の変更の影響が、この伸び率、マイナス0.7%には含まれています。

 少し飛んでいただきまして、48ページからは「5 厚生年金の標準報酬月額別被保険者数の分布」ということで、5年前の標準報酬月額別被保険者数と平成27年度末の標準報酬月額別被保険者数を比べています。グラフで見ていただきますと、49ページからの図表2−1−10になります。ここで、厚生年金計につきましては、平成27年度末のグラフしかありませんが、これは先ほど申し上げましたように5年前は地共済が標準報酬制ではなかったため計もないということです。

50ページに行っていただきますと、上の図表が第1号被保険者、民間被用者の分で、5年前との比較ができるわけですけれども、男性も女性も被保険者数が増えている中で、どの標準報酬月額のところで増えているのかをみますと、低いところだけで増えているとか、高いところだけで増えているとか、そういうことではなくて、全体的にどの標準報酬月額でも増えていることが見ていただけます。

51ページに行きまして、下の第4号、私立学校教職員の女性につきましても、被保険者数が増えていて、全体的にどの標準報酬月額でも増えていることが見て取れます。

52ページに行っていただきまして「6 厚生年金の標準報酬総額」になります。

 図表2−1−11の対前年度増減率を見ていただきますと、厚生年金計では2.3%の増、特に第1号、民間被用者で2.7%の増と高い伸び率になっておりますけれども、これは被保険者数が増えている影響が大きいです。

 ちょっと飛びますけれども、56ページに行っていただきまして「第2節 受給権者の現状及び推移」です。まずここで説明申し上げておきたいのは、先ほどから一元化がされ、厚生年金相当につきましては財政的に一本化されたところですが、そもそも共済の給付がどういうものなのかということにつきまして、イメージですけれども、図表2−2−1で整理をしております。

 まず、受給権の発生が、一番左側から言うと昭和61年3月、これは基礎年金制度創設という大改正がされる前のことですが、当時の共済年金は最終給与比例で、定額とかそういう概念もなく全体として裁定されていました。それから、基礎年金制度ができました昭和61年4月以降、一元化前までに受給権が発生した年金につきましては、全国民共通の基礎年金があり、それから退職共済年金があるということでございますが、退職共済年金は計算上は2つのパーツに分かれておりまして、厚生年金と全く同じ算定式の部分と、同じ標準報酬月額を使いますけれども、低い乗率の職域加算部分があり、ここは明確に職域加算部分というものがありました。明確にといいますのは、算定式上分かれていたということです。

 ここで、昭和61年3月までの退職年金にも職域加算部分というのは、明示的ではありませんでしたが、概念的にはあるということで、そういう意味で点々を入れた図にしております。

 平成2710月の一元化以降に受給権が発生した場合にどうなるかということですが、平成2710月前といいますのは9月までの期間があった場合ということでございますが、その場合は基礎年金と、一元化後は、老齢であれば老齢厚生年金として裁定され、それ以外に平成27年9月までの期間に係る経過的職域加算というのが退職共済年金として別途裁定される姿になっています。

 平成2710月以降の期間しかない方は、基礎年金と厚生年金だけとなります。このように、今の共済年金といいますか、共済組合等から支給されている年金給付には、このような年金がいろいろ混在しています。

 そこで、「第2節 受給権者の現状及び推移」の年金額ですが、基本的には平成27年9月以前に受給権が発生した者につきましては、職域加算部分を実績として取り出すことはできませんので、昔の共済年金プラス平成2710月以降に受給権が発生した厚生年金を対象に、図表は作成しています。

57ページから受給権者数の推移ということですが、受給権者は図表2−2−2を見ていただきまして、一番下の伸び率ですけれども、旧厚生年金で2.1%の増等々ということで、当然どの制度もそれなりの伸び率になっています。

 次に、59ページ「2 受給権者数の年金種別別構成」です。老齢・退年相当、これはある一定以上の期間を持っているそれなりの額の老齢年金です。また、通老・通退相当は短い期間の年金で、あとは障害、遺族があります。年金種別別にみると、特に目立ちますのが私学共済で通老・通退相当の割合が大きいということと、国民年金、これはもともと通老とかそういうものが基本的にありませんので、ほぼ老齢相当ということでございますが、特徴といたしましては、障害が多く、遺族が少ないということでございます。遺族が少ない理由につきましては、遺族基礎年金は基本的に18歳未満の子供と、その子供を持つ配偶者に支給されるという支給要件の影響です。

62ページ「3 年金総額」でございますが、図表で言いますと図表2−2−6です。年金総額は前年度と比べて全ての制度で増加していますが、大きな要因は受給権者数の増加です。

 注3で先ほど説明申し上げたことを書いてありますけれども、被用者年金一元化前の共済年金の受給権者の年金総額と被用者年金一元化後の厚生年金の受給権者の年金総額の合計ですので、職域加算部分を含みますけれども、経過的職域加算は含まないものとして整理していただいております。ただ、伸び率を見るときに、経過的職域加算部分を含むものも必要ではないかということで、この経過的職域加算を含めた場合の伸び率については、注4で記載しています。

66ページ、67ページに行っていただきまして、67ページのグラフを見ていただいたほうがわかりやすいかと思うのですが、老齢・退年相当の受給権者の年齢分布ということで、これも新たに追加したものです。5歳階級別に、どの年齢階級で受給権者が多いのかがわかるものでございまして、厚生年金についてはピンク、共済年金についてはブルーで整理しております。

 まず、どの制度につきましても、6569歳の年齢階級の受給権者数が最も多いわけですけれども、ちょっと特徴的なのは国共済の女性でございまして、8589歳まで受給権者数に余り差がないといったところが見て取れます。実際にこの結果が、例えば66ページの図表2−2−9の下の方の平均年齢に出ています。受給権者の平均年齢については、男性は7274歳ぐらいで、やや国共済が高いですが、女性は、ほかの被用者が74歳ぐらいなのに比べますと77.1歳と、国共済の女性が高いのはこういった分布の結果です。

 もう一つ、67ページのグラフを見ていただきますと、当然のことながら、共済組合等における厚生年金の受給権者は平成2710月以降に受給権が発生した方ですので、6064歳、6569歳に少しピンクが出てきていて、これから年々少しずつこれが増えていくことになります。

 次のページですが、図表で言いますと69ページの図表2−2−11「老齢・退年相当の平均年金月額」です。これは従来のベースで整理したもので、ただこれですと、共済年金につきましては職域加算部分を含んだものの数値ということで、厚生年金全体の平均年金月額はここからは出ません。おめくりいただきまして、7071ページで、2−2−29に書いておりますけれども、共済組合等の共済年金には職域加算部分が含まれており、そのままでは厚生年金計、いわゆる厚生年金全体としての平均年金月額は出せないので、共済組合等について、職域加算部分を除いた厚生年金相当部分の年金額を推計して、旧厚生年金も合わせた全体を出すことをしています。

 その際の職域加算部分の推計につきましては、昭和61年度の基礎年金制度導入前の退職年金については、年金額の110分の10を職域加算部分に相当するものとみなし、昭和61年度の基礎年金制度導入後の退職共済年金につきましては、経過的加算や加給という定額的なものもありますので、それらを除いた上で、生年月日に応じた職域加算部分の給付乗率分として出したということです。

 それを踏まえて、71ページの図表2−2−12でございますが、これが共済組合等の職域加算部分を除いた老齢・退年相当の平均年金月額でございまして、当然のことながら、旧厚生年金は先ほどの表と全く同じ数値で、国共済、地共済、私学共済については職域加算部分を取り除いた数値となり、その結果、厚生年金計を出しますと、15万円という数値になっております。

 ただ、男女別、あるいは実施機関別に見ますと、それは平均加入期間ですとか男女構成や年齢分布等々が違うということで、それなりに差はあるという結果になっております。

74ページに行っていただきまして、図表2−2−14「平均年金月額(老齢基礎年金分を含む)の推移」でございます。近年、マイナススライドがあったり、あるいは定額部分の支給開始年齢が引き上がったり、共済で言いますと恩給期間に係る給付の引下げがあったり、特例水準の解消があったりということで、対前年度増減率はずっとマイナスでしたが、平成27年度はプラス0.3%とか0.6%といった伸び率になっています。

 しかしながら、第1章で申し上げましたように、平成27年度の年金額の改定率は基本的に0.9%であり、これよりは低くなっておりまして、この要因につきましては、ちょっと飛びますが、78ページの2−2−44で整理しております。順番に言いますと、報酬比例部分の給付乗率が生年月日に応じて引き下げられ、昭和2年4月1日以前生まれの方は1000分の7.308だったわけですが、この方々が徐々に受給者でなくなるために、低い方々のウエートが増えることが一つの要因です。それから、先ほど申し上げましたように、平成27年度は関係ないですけれども、長期的に見ると定額部分の支給開始年齢の引上げ、過去にはその影響がありました。それから、マイナスの物価スライド、特例水準の解消、被用者年金一元化法による追加費用削減のための恩給期間に係る給付の引下げ、79ページに行きまして、今回から加えた被用者年金一元化に伴う共済組合等の職域加算部分の廃止も影響いたします。

 ここで、2−2−44の報酬比例部分の給付乗率の引下げの影響をみるために、図表2−2−18あるいは図表2−2−19で、これは旧厚生年金しか作成できませんので、それだけではありますけれども、年齢階級別の平均年金月額を見たものです。これをみますと、90歳以上を除き、年齢階級が上がるほどに平均年金額が高くなっているのが見ていただけます。ただ、老齢相当と言った場合、加入期間に係る経過措置などもありますので、そういった影響も含まれていますが、給付乗率の引下げの影響などが見て取れます。

 続きまして、80ページから「第3節 財政収支の現状及び推移」でございます。

 まず、81ページの図表2−3−1を見ていただきまして、この図表の下のほうのポンチ絵は、先ほど年金給付のところでご説明申し上げたものです。共済については、こういういろいろな年金がまだまだ混在していますが、では経理はどうなっているのかというと、一元化前の経理につきましては、職域加算部分も含めて長期経理だったわけですけれども、一元化後につきましては、厚生年金相当部分の経理であります厚生年金保険経理と職域部分を経理する経過的長期経理に分割されました。

 厚生年金保険経理が対象としているのは、下のポンチ絵の薄いグレーの枠で囲ってあります。裁定時期に依らず、厚生年金相当部分については厚生年金保険経理で経理し、いわゆる職域加算部分については経過的長期経理で経理するというふうに整理されております。

 ただ、この一元化が10月であったために、経理も10月からこのように分かれました。年金数理部会が注視すべき公的年金財政とは、一元化後の厚生年金全体の財政、それから国民年金財政ということですが、平成27年度は、単純に共済組合等のこれらの経理を足してしまったのでは職域加算部分が含まれてしまうことになります。80ページの2−3−2でございますけれども、共済組合等については、平成27年度は3つの経理に分かれていますので、厚生年金全体の財政状況を取りまとめるために、年度前半の長期経理のうち厚生年金相当部分を推計し、それに年度後半の厚生年金保険経理を加えることで、平成27年度のいわゆる厚生年金相当部分の財政状況を導くことになったわけでございます。

 その際、年金数理部会では、従来から、第4節で出てきます財政指標などの作成時に、共済組合等の厚生年金相当部分を意識していろいろ整理してきた経緯もありますので、その手法等も活用したところです。

 2−3−3で、ではどのようにするのかということですが、例えば保険料収入につきましては、長期経理の保険料収入を厚生年金相当部分と職域加算相当部分に分ける必要があるわけで、実質的な支出から国庫・公経済負担を控除したものを総合費用と言いますが、厚生年金相当の総合費用と職域加算部分の総合費用との比で按分することで分けました。また、81ページの運用収入につきましては、年度前半の長期経理の運用収入全体を積立金の概算仕分けにおける厚生年金保険経理に仕分けられた積立金と経過的長期経理に仕分けられた積立金で按分したものを年度前半の厚生年金相当部分の運用収入とみなした上で、年度後半の厚生年金保険経理の運用収入と合算することで、平成27年度の運用収入を導いたところです。

 これらの結果が84ページの図表2−3−2「単年度収支状況(厚生年金相当部分の推計)です。表頭を見ていただきますと、旧厚生年金は厚生年金勘定の実績、国共済、地共済、私学共済について推計を行い、そうしますと結果的に厚生年金計も推計値ということになりますし、公的年金制度全体も推計値となります。

 この図表を見ていただくときには、相殺項目についてご留意いただきたいと思います。例えば厚生年金勘定で言いますと、収入の上から5行目に実施機関拠出金収入というものがあります。これは、第1章で説明申し上げた一元化に伴って共済組合等が支払う厚生年金拠出金を厚生年金勘定で受けるときの名称です。一方で、国共済、地共済、私学共済の支出の4行目を見ていただきますと厚生年金拠出金というのがありまして、この3共済の厚生年金拠出金の合計と厚生年金勘定の実施機関拠出金収入が一致しています。これは個別の勘定で見ますと経理上立ちますけれども、計で見たときは相殺するということで、厚生年金計では相殺することを色及び記号で表しています。

 いずれにいたしましても、保険料収入が厚生年金計では32.3兆円、公的年金制度全体では33.8兆円、国庫・公経済負担が厚生年金計では10.4兆円、公的年金制度全体では12.2兆円といった状況です。支出につきましては、給付費が厚生年金計で29兆円、公的年金制度全体では50.7兆円といった状況です。ここでの収入は、とりあえず運用損益分は外してありまして、経常的な収入支出での損益をまず整理しておりまして、運用損益分を除いた単年度収支残は厚生年金計では7,365億円のプラス、公的年金制度全体でも6,010億円のプラスとなっています。

 ただ、経常的にと申しましたが、ここで厚生年金勘定の収入の下から4行目、解散厚生年金基金等徴収金を見ていただきますと、これは厚生年金基金が解散したり、あるいは代行返上したりしたときに厚生年金勘定に納付する最低責任準備金相当額のことですが、この徴収金が平成27年度は4兆6,647億円あり、これは一時的な収入でございますので、これを除きますと、かぎ括弧の中になりまして、厚生年金計では3兆9,282億円のマイナス、公的年金制度全体では4兆637億円のマイナスになっています。

 その下の行で、運用による損益でございますけれども、平成27年度は運用環境が悪かったので、厚生年金全体では5兆4,228億円のマイナス、公的年金制度全体では5兆7,594億円のマイナスでした。

 その結果、年度末積立金は厚生年金全体では163兆円、公的年金制度全体では175兆円となっています。

89ページに飛んでいただきまして、この収入支出につきまして、これ以降個別に触れています。まず、図表2−3−6「公的年金の保険料収入」です。ここから後の図表のスタイルですけれども、基本的には厚生年金が一元化されて、一元化後の公的年金という形で整理したものが図表2−3−6です。共済組合等については厚生年金相当部分だけを計上することになりますので、このような表は平成27年度からということになります。共済組合等については、括弧書きで一元化後の実績である半年分の額も書いてあります。

 ただ、時系列でみる場合には、職域加算部分も含めないと比較可能性がないということで、90ページ、図表2−3−7「共済組合等の職域加算部分等を含む保険料収入の推移」で過去の時系列推移とその伸び率を載せています。この後、図表は、基本的にはこういうペアで整理しています。

 ここで、図表2−3−7の保険料収入の対前年度増減率、一番下の行ですけれども、厚生年金勘定では被保険者数の増もあり5.8%とかなり高い伸び率になっております。一方で国民年金勘定、右から2列目ですけれども、マイナス6.9%と、これはこれで割と大きいマイナスになっています。このことにつきまして、89ページに戻っていただきまして、2つ目の段落です。国民年金につきましても保険料は引き上げられ、また、国民年金保険料の納付率の上昇、これにつきましては脚注の参考、下のほうに納付率と最終納付率を掲載しておりますが、納付率は上昇傾向で、平成23年度は、当年度納付率は1回下がりましたけれども、最終納付率で言うと年々上がってきており、保険料が増える要素がありました。一方、先ほど申し上げましたように、国民年金第1号被保険者数は減少しており、年度間平均で言うと4%程度減っています。それでも6.9%の減少にはならないわけですが、これは平成26年4月に保険料の2年前納制度が創設され、実際に2年前納された方がいらっしゃり、そうすると、平成27年度分の保険料の一部が平成26年度の収入となりますので、対前年度の伸び率ではかなり大きなマイナスになり、このような結果となっています。

 続きまして、91ページの図表2−3−8「保険料収入の増減要因の分析」、これは被用者年金について行っているところでございます。先ほど申し上げました保険料収入の対前年度増減率は厚生年金勘定で5.8%、国共済は2.9%、特に厚生年金勘定の伸び率が大きいわけですが、全制度保険料率が引き上がったので2%強はその寄与です。それ以外に、厚生年金勘定と私学共済では被保険者数が伸びていることが寄与しています。

92ページが「国庫・公経済負担」です。これも図表2−3−10と図表2−3−11で同じようにペアで掲載しておりますが、国庫・公経済負担の多くは基礎年金拠出金に係るものですので、共済組合等の職域加算部分による差はほとんどありません。

 ただ、93ページの図表2−3−11の推移を見ていただきますと、対前年度増減率、一番下の行ですが、被用者年金ではかなり伸びていて、国民年金勘定ではかなり大きなマイナスになっていますが、国庫負担は基礎年金拠出金の原則2分の1ですので、基礎年金拠出金の動きに連動しています。

 それから、95ページが「追加費用」です。これは国共済、地共済だけに関係するものです。ここで厚生年金相当部分と職域加算部分等を含むものを一表にしていますが、厚生年金相当部分の地共済の額が年度で2,326億円、年度後半で言うと14億円と非常に少ない額になっております。右の職域加算部分等を含む方を見ていただくとわかりますが、地共済は国共済の2倍強ぐらいの数値になるものですが、2−3−23の4行目に記述しておりますように、地共済については、平成27年度分の追加費用のほとんどを年度前半に一括で受け入れたために、厚生年金保険経理からの給付に充てられる追加費用が本来受け入れるべき厚生年金保険経理に受け入れられていないことによるもので、この過少となっている額は2,246億円です。これは後の分析でも何回か出てくるので説明申し上げています。元本につきましては、今年の5月末に地共済の経過的長期経理から地共済の厚生年金保険経理に移管され、利子相当額についても、近々整理されることになっています。ただ、追加費用自体は伸び率を見ていただいてもわかりますように、過去の期間に係るものですから、年々大きく減少しています。

96ページは公的年金の運用収入です。共済組合等の厚生年金相当部分の運用収入の推計方法については、先ほど説明したとおりです。ここで1点だけ、図表2−3−15の注5ですが、国共済の額につきましては、後で出てきますが、国共済は預託金が非常に多いのですけれども、この預託金について市場金利を参照して時価に類する評価をした場合の運用収入をここでは掲載しています。

98ページに行っていただきまして、「運用利回り」です。ここでも御議論いただきまして、共済組合等について、厚生年金相当の運用利回りについて何を掲載するかということで、括弧書きは年度後半の半年分で、それはそれで実績ですけれども、やはり平成27年度年度分の運用利回りを掲載するのが適切ということで、そのように整理しております。先ほど説明申し上げた運用収入の推計額を用い、運用利回りにするためには同年度の運用元本平均残高が必要になります。そのときに平成27年度末の厚生年金相当の積立金は厚生年金保険経理の積立金としてあるわけですが、平成26年度末の共済組合等の積立金は長期経理のものしかなく、それには職域加算部分も含まれ厚生年金相当ではないので、先ほど財政収支のフローを推計いたしましたのでそれを用い、ストックから逆転がしをするといいますか、そうすることで平成26年度末の厚生年金相当の積立金を推計した上で運用元本平均残高を計算して、この運用利回りを出しています。

101ページは運用損益分を除いた単年度収支残で、図表で言うと102ページの図表2−3−22です。推移を見るためにということで、これは職域加算部分も入っているものでございますけれども、ここで言う被用者年金計、公的年金全体もそうですけれども、被用者年金計を見ていただきますと、長期的に、運用損益分を除いた単年度収支残はマイナス傾向です。平成27年度は、先ほど申し上げましたように解散厚生年金基金等徴収金が多かったので一見プラスですが、それを除くとマイナスということで、長期的にマイナス傾向にあります。ただし、このマイナスの程度は年々小さくなっておりまして、これは保険料収入が増加している影響もあるところです。

102ページの後半から積立金ですが、ここでは公的年金の積立金、共済組合等については厚生年金保険経理分ということで、先ほど申し上げましたように、厚生年金全体で163兆円、公的年金制度全体では175兆円ということでございます。図表2−3−23の注4に書いてありますように、国共済の額は、預託金について市場金利を参照して時価に類する評価をした場合の積立金です。

 次の104ページ、105ページですが、これは積立金の資産構成で、共済組合等につきましては、厚生年金保険経理分です。105ページの図表2−3−26を見ていただきますと、特徴的なのが国共済でして、先ほど申し上げましたように、預託金が51.6%と半分強を占め、国内債券も入れますと65%、3分の2を占めていることが特徴的です。

106ページからは基礎年金の状況です。107ページの図表2−3−27を見ていただきまして、基礎年金拠出金算定対象者数は、この表の真ん中の段の真ん中辺の基礎年金拠出金算定対象者数合計の対前年度増減率を見ていただきますと、特別な要因があったときを除くと基本的にはマイナスだったわけですけれども、平成2627年度につきましてはプラスになっています。平成27年度は0.1%で微増ですけれども、そういった状況です。ただ、下のほうに基礎年金拠出金算定対象者数の構成比があり、国民年金を見ていただきますと、この3年、平成252627年と基礎年金拠出金算定対象者数のシェアは少なくなっています。

108ページから109ページ、図表2−3−29「基礎年金拠出金の推移」です。先ほども申し上げましたように、基礎年金拠出金算定対象者が、被用者では増え、国民年金勘定では減っているということでマイナス、例えば平成27年度はマイナス2.5%となっています。

 それから、基礎年金拠出金につきましては、図表2−3−29の注2にも書いておりますけれども、平成27年度から10年間かけて、基礎年金勘定の積立金による軽減が行われておりまして、普通に書いてあるのは軽減後でございますけれども、かぎ括弧で軽減前の数値、括弧内で軽減額を記載しています。

110ページ、111ページは「9 厚生年金制度の実績」ということで、新たに入りました厚生年金拠出金および交付金等について掲載しておりますけれども、平成27年度につきましては、10月以降の半年分の額であることに留意が必要です。

112ページから「第4節 財政指標の現状及び推移」です。財政指標につきましては、従来たくさんの指標がありました。例えば総合費用率でも、従来は全体の総合費用率と厚生年金相当の総合費用率というのがあり、全体というのは共済組合等については職域加算部分を含むものです。ここで、一元化された以上、厚生年金相当部分を見ればいいということで、今回、必要なものに再整理いたしまして、指標そのものをかなり整理したとともに、財政的に一元化されましたので、全ての指標を制度別に見る必要もないので、その整理もしています。

113ページ、図表2−4−1「年金扶養比率」、これはわかりやすい指標ですので、実施機関別に掲載しています。年金扶養比率は、受給権者ベースでは厚生年金計では2.22、基礎年金では2.02です。第3章の財政検証等の比較では受給者ベースも必要となりますので、受給者ベースのものも新たに追加しています。

114ページ、115ページで推移も見られるわけですけれども、年金扶養比率は成熟に伴い低くなっていくものですが、平成27年度で言いますと、厚生年金では被保険者数が増加したために高くなっています。

117ページの図表2−4−5の総合費用率です。総合費用率は、従来の厚生年金相当部分に係る総合費用率のことと再定義し、これは、分解すると独自給付費用率と基礎年金費用率になります。平成27年度の総合費用率は19.8です。総合費用率は成熟に伴い増加していくものですが、平成27年度は低下しています。これは被保険者数の増加に伴い、標準報酬総額が増加している影響によるものです。

121ページ「4 積立比率」ですが、分母は総合費用で、分子は前年度末積立金ですので、当年度の運用実績は反映されないことに留意が必要です。図表2−4−7で数値を掲載していますが、厚生年金計で5.2、国民年金勘定で7.5です。

122ページにその推移をグラフ化しており、グレーが国民年金勘定で、平成26年度に比べて大きく上昇しております。これは平成26年度の好調な運用環境を受けて平成26年度末の積立金の額が増加したことに加え、先ほど来申し上げていますように、国民年金第1号被保険者数の減少に伴う基礎年金拠出金の減によりまして支出が減り、分母も分子も上昇する方向に変化したことによります。

 それから、資料1−4の第3章でございます。

124ページの3−1−1で、財政検証・財政再計算と比較することの意義ですけれども、年金財政が将来見通しどおりに推移しているのかどうかを明らかにして、乖離が生じた場合には要因分析を行い、現時点での財政状況を評価することです。

 3−1−2ですが、平成26年の財政検証では、一元化を踏まえて、一元化後の厚生年金全体としての財政検証が基本として示され、加えて各実施機関別の財政検証等も公表されていますので、本章での比較も厚生年金全体のものを基本としつつ、実施機関別にも行っております。

 ただし、ということで、次の段落ですが、国共済と地共済は、決算等はそれぞれ別々に行われておりますけれども、平成16年度から財政的に一元化されており、平成26年財政再計算では国共済と地共済を一体として取り扱った将来見通ししか示されていないので、財政再計算と実績との比較をする際には、この財政再計算結果を分けることはできませんので、実績の方を合計して、比較しています。

 3−1−3ですけれども、一元化が平成2710月であったということで、共済組合等の厚生年金保険経理の実績ももちろん10月以降の半年分ですし、財政再計算における将来見通し自体も平成27年度は年度後半の半年間が対象ですので、第2章では年度分ということで整理いたしましたけれども、第3章では基本的には年度後半の半年分を対象としています。

 ちょっと時間が押しておりますので、駆け足になりますが、126ページから前提となる人口要素ということで、グラフを見ていただきますと、合計特殊出生率につきましては、実績が出生中位の仮定を上回り、中位と上位の真ん中くらいになっています。

 グラフで言いますと、次に128ページ、65歳平均余命の実績ですけれども、男性は死亡中位の仮定値と同水準、女性は死亡中位の仮定値よりやや低い水準ぐらいで推移しています。

129ページから経済要素ということで、まず物価上昇率です。平成27年度の物価上昇率は0.8%の増でしたが、財政検証等における前提は2.7%あるいは2.3%でございましたので、経済再生ケース、参考ケースのいずれにおいても実績が前提を下回っています。

131ページに行っていただき、賃金上昇率です。厚生年金計を見ていただきますと、例えば名目賃金上昇率では実績が0.33%で、将来見通しでは経済再生ケースが2.5%ですので、経済再生ケースでは2.1ポイント、参考ケースでも1.3ポイント下回っています。ただ、実質賃金上昇率では経済再生ケースでは0.2ポイント下回っておりますが、参考ケースでは0.2ポイント上回っており、中間の水準になっています。

 これら名目賃金上昇率についてグラフ化したのが、132133ページにございます。

135ページが運用利回りです。図表で言うと、136ページ、137ページです。特に137ページのグラフですが、年金につきましては保険料や新規裁定の給付費が名目賃金上昇率を基本として増減しますので、超長期的な観点からは実質的な運用利回りと比較することが妥当ということで、グラフにつきましては、実質的な運用利回りの比較です。平成27年度の運用利回りの実績は、財政検証の前提をかなり下回っています。

141ページから被保険者数等ということですが、143ページのグラフを見ていただきますと、これが労働力率の実績と将来推計との比較です。ただ、ここで特に留意が必要なのは、青と赤が推計で、赤が再生ケース、青が参考ケースですけれども、労働力率の将来推計自体が平成32年と平成42年しか公表されておりませんので、このグラフは相対的に近い平成32年のグラフとしています。実績は平成27年度ですから、5年ずれていると言いますか、5年先のものと比べていることに留意していただく必要があります。そういう留意下で、経済再生ケースと参考ケースの真ん中ぐらいに入っている状況です。

146ページ、147ページが被保険者数の将来見通しと実績ですが、147ページのグラフを見ていただいたほうがわかりやすいと思います。厚生年金計では実績が将来見通しを大きく上回っており、一方、国民年金第1号では実績が将来見通しを相当程度下回っています。厚生年金の中では、特に第1号の民間被用者が大きく上回っている状況です。

148ページが標準報酬総額と1人当たり標準報酬額でございます。図表3−2−21の厚生年金計、一番上の欄を見ていただいて、一番右の割合を見ていただくとわかりやすいかと思います。標準報酬総額で言いますと、経済再生ケースでも4.8%上回っております。これは被保険者数の増加が大きく寄与しています。ただし、1人当たり標準報酬額につきましては、平成26年度より平成27年度のほうが増加はしておりますけれども、財政検証等における将来見通しよりは、マイナス0.2%、0.1%ぐらいですが、やや下回っています。

151ページが「受給者数の実績と財政検証等における将来見通しとの比較」です。厚生年金計では実績が将来見通しをやや上回り、基礎年金では実績が将来見通しをやや下回っています。厚生年金の内訳では、私学共済で実績が将来見通しを相当程度下回っています。

152ページからが収入でございます。これより前は財政検証等における前提または将来見通しが経済再生ケースと参考ケースの2種類だったので、それらとの比較を掲載しておりましたが、収入以降につきましては、実はケースA〜Hの8通りあります。例えば153ページの図表3−2−24を見ていただきますと、実績と将来見通しを比較していますが、ここに8通り並べますと表として見にくいので、これ以降の第3章を通じてですが、ケースC、ケースE、ケースGを例示として取り上げています。ケースCにつきましては、給付水準調整後の標準的な厚生年金の所得代替率が最も高くなるケース、ケースGにつきましては、国民年金勘定の積立金がなくならないケースで最も低成長であるケースです。ケースEは、これらの中間です。ここで、このケースC、E、Gを例示として取り上げたのは、年金数理部会としてこれらを基本ケースとして位置づけたことを意味するものではないということを、念のため記述しています。これ以後はずっと、ケースC、E、Gを例示として取り上げています。

 まず、図表3−2−24は保険料収入ですけれども、厚生年金計では実績が将来見通しを上回り、国民年金勘定では実績が将来見通しを下回っていますが、これは被保険者数の乖離等が影響しています。

152ページの3−2−17の一番下の段落で「ここで、ケースCとケースEでは」と記述していますけれども、ケースC、E、Gと比較すると言っても、ケースCとEはどちらも経済再生ケースで、項目によっては途中の年度まで、例えば保険料収入につきましては平成27年度から平成35年度までの将来見通しの数値は同じですので、読んでいらっしゃる方がわかりやすいように、いつまで同じかということを丁寧に書き加えています。

154ページが国庫・公経済負担です。これは基礎年金拠出金の乖離の状況を反映して、図表3−2−25で一番上が厚生年金計ですが、厚生年金計では実績が5%強、将来見通しを上回っており、一番下の国民年金勘定では15%から、ケースによっては17%、実績が将来見通しを下回っています。

156ページの運用収入については、平成27年度は運用環境が悪かったので、実績が将来見通しを下回っています。

157ページは給付費ですが、厚生年金計では実績が将来見通しを下回っています。

158ページから基礎年金拠出金についてです。159ページの図表3−2−29を見ていただきますと、基礎年金給付費はほぼ一致していますけれども、敢えて言いますならば、実績が将来見通しを若干下回っていまして、3段目の基礎年金拠出金算定対象者数は、先ほど来申し上げておりますようにかなり上回っており、一番下の段の基礎年金拠出金単価につきましては、それらを反映して、どちらも下回る方向に働く動きでございますので、基礎年金拠出金単価の実績は将来見通しを下回っています。160ページが今申し上げたようなこと、161ページも同様でございます。

162163ページは、厚生年金拠出金と交付金についてです。

 これらを踏まえて、164ページで実質的な支出について比較しています。厚生年金計ではほぼ一致しており、微妙に上回っているような状況です。一番目立ちますのは、一番下の国民年金勘定でございまして、実績が将来見通しをかなり下回っていますが、これは先ほど来申し上げていますように、基礎年金拠出金の実績が将来見通しを下回っている影響です。あとちょっと個別に見ますと目立ちますのが、真ん中の国共済プラス地共済が、差で言うと、これは差で見ていただいたほうがわかりやすいと思うのですが、2,200億円から2,500億円ぐらい、実質的な支出の実績が将来見通しを上回っていますが、これは先ほど申し上げました追加費用の2,200億円強の不足がここに顕れています。

165ページにつきましては、積立金ですが、厚生年金計においても、国民年金勘定におきましても、実績が将来見通しを上回っています。これは平成26年度の運用環境が好調であったことによります。

166ページからは「第3節 財政指標の実績と将来見通しとの比較」です。

 図表3−3−1「年金扶養比率の実績と平成26年度財政検証等における将来見通しとの比較」ですが、年金扶養比率は実績が将来見通しを5%強上回っておりますが、これは被保険者数の乖離が影響しています。

171ページが積立比率ですけれども、積立比率は、先ほど申し上げましたように平成26年度末の積立金が分子ですから、平成26年度の好調な運用環境を受けているということが一点です。さらに、国民年金勘定、一番下の表ですけれども、積立比率の実績が将来見通しを大きく上回っておりますが、これにつきましては、それに加えて、総合費用が見通しよりかなり少なかったことによるものです。その要因は、基礎年金拠出金の実績が将来見通しよりかなり少なかったことによります。

172ページからが「第4節 厚生年金に係る積立金の乖離の分析」です。

 ここでは、平成27年度末積立金の実績と平成26年財政検証等における将来見通しとを比較して、その乖離の要因を分析しています。

 3−4−4ですけれども、厚生年金計と旧厚生年金につきましては、平成27年度以降について行い、共済組合等につきましては、将来見通しが平成2710月以降を対象に作成されているため、乖離分析も平成2710月以降の半年分について行っています。

 (A)では平成26年度末積立金、共済組合等は平成2710月1日の概算仕分けの額ですけれども、これと将来見通しとの乖離分、それから、(B)では平成27年度に係る名目運用利回りが将来見通しと乖離したことによる寄与、(C)では平成27年度に係る運用収入以外の収支残が将来見通しと乖離したことによる寄与に分けています。

 次の173ページの3−4−5に行っていただきまして、名目運用利回りが乖離したことの影響を、実質的な運用利回りの乖離分と賃金上昇率の乖離分に分け、3−4−6では、運用収入以外の収支残について、保険料収入に乖離が生じたことによる寄与、給付費に乖離が生じたことによる寄与、それから人口要素が乖離したことによる寄与とその他に分けております。

 3−4−7では、さらに人口要素の乖離につきまして、被保険者数、受給者数、スライド調整率に係る実績と将来見通しの乖離に分けています。

 結果は、177ページの図表3−4−2を見ていただきまして、ここはケースCの結果です。一番左の厚生年金計を見ていただきますと、平成27年度末積立金の将来見通しからの乖離は14兆円弱ですが、平成26年度末積立金の乖離分が21兆円ありましたので、実際には平成27年度に係る発生要因の寄与はマイナス7兆円強になります。その内訳は名目運用利回り分が8兆6,000億円ぐらい、運用収入以外の収支残がプラス1.25兆円と分解できます。

 この運用収入以外の収支残を分けますと、保険料収入は、賃金上昇率の実績が前提より低かったので、積立金を減らす方向に働いている一方、人口要素については積立金を増やす方向でプラス1.19兆円です。人口要素は被保険者数の乖離分と受給者数の乖離分、スライド調整率の乖離分に分けておりますが、被保険者数の乖離分は被保険者数が増えたことがプラスに働き、受給者数の乖離分はマイナスに働き、スライド調整率につきましては、被保険者数が増加したことでむしろスライド調整率は低くなったことでマイナスに働いています。

 これを右にも見ていただきますと、基本的に名目運用利回りのBにつきましては、制度別に見ても、全制度マイナスです。運用収入以外の収支残につきましては、国共済プラス地共済の合計以外はプラスとなっています。賃金上昇率はどの制度も前提を下回っているため賃金上昇率の乖離分はマイナスになっています。

 人口要素は基本的にはどの制度もプラスです。ただ、ここで、ちょっと特徴的なところでは、私学共済が被保険者数の乖離分ではマイナスに働いています。被保険者数の乖離分には、被保険者数の増により保険料収入が増加するという面もありますが、一方で、基礎年金拠出金算定対象者数が増え、基礎年金拠出金が増えるという要素もありまして、私学共済につきましては被保険者数の増による保険料収入の増よりも基礎年金拠出金算定対象者数の増による基礎年金拠出金の増のほうが多かったので、マイナスに働いています。

 スライド調整率の乖離分につきましては、全制度共通ですので、同じようにマイナスに働いています。

 その他でございますが、国共済と地共済の合計以外はプラスになっていますが、国共済プラス地共済は約1,800億円のマイナスになっています。これは先ほど申し上げた追加費用の不足がここに顕れておりまして、これがなければ国共済プラス地共済もプラスであったと考えられます。

 次のページからケースE、ケースGを載せておりまして、180ページからが第5節、最終的な財政状況の評価です。

183ページの図表3−5−1を見ていただきまして、この分析内容を、例えば厚生年金計のケースCで説明いたします。平成27年度末積立金の将来見通しは169.6兆円でした。ただ、実際には平成27年度の名目賃金上昇率や物価上昇率については、実績と前提には乖離が生じています。その乖離は平成27年度にも影響いたしますし、将来にわたっても影響するわけですけれども、その乖離分を評価し直して補正したら積立金額が幾らになるのかというのを推計したものが4行目の評価の基準となる積立金額でして、166.5兆円になります。

 一方で、平成27年度末積立金の実績は183.4兆円ですので、これらを比べますと、評価の基準となる積立金に対して積立金の実績が1割程度上回っている結果となっています。

182ページの3−5−9はそういったことを書いておりまして、3−5−10からですけれども、要するに平成27年度末時点では厚生年金全体で実質的に1割程度、財政検証等で見込まれていた以上の積立金を保有しているということになります。

 3−5−11で、ただしこれは、平成27年度に係る賃金上昇率及び物価上昇率が財政検証等における前提と乖離した影響を将来分も含めて評価したもので、今後の賃金上昇率及び物価上昇率における前提との乖離による年金財政への影響については、これからも留意する必要があります。

 3−5−12ですが、いずれにせよ、年金財政の観点からは、人口要素、経済要素等いずれも短期的な動向にとらわれることなく、長期的な観点から財政状況の動向を注視すべきということが結論でございます。

 それから、資料1−5を簡単に説明申し上げます。まず、全体といたしまして、先ほど少し触れましたが、例えば財政指標等、平成27年度の一元化を踏まえて、本文に掲載する図表を大幅に変更いたしましたので、例えば、かつては作成していて、今後は作成の必要はないと判断した財政指標等につきましても、過去の分につきましてはここに掲載しているということと、委員からも御指摘があったのですが、ホームページに掲載するときに、従来はPDF形式で掲載しておりましたけれども、ユーザーの利便性の向上に資するため、エクセル形式で掲載することにいたします。

 個別の変更点を簡単に申し上げますと、196197198ページ、これは基本的に沿革ということで、中身が変わったわけではないのですけれども、第1章で申し上げましたように、色につきましては報告書全体を通して共通化しています。

 あと、199ページの公的年金制度一覧でございます。この図表は比較的よく使われておりまして、従来、当部会で報告はしておりましたけれども、この報告書に入っていなかったので追加しています。内容につきましても、一元化を踏まえ、被用者年金は実施機関別にみるのではなく、厚生年金制度全体としてみるということで再整理させていただいています。

 それから、資料2は要旨でございますが、縷々説明いたしましたところのポイントを本当に簡単にまとめたものです。

 以上です。

○菊池部会長 ありがとうございました。

 頻回にわたりました合同作業班における議論が、ここに反映されているということでございます。

 それでは、報告書の案に関しまして、何か御意見等がございましたら、お願いいたします。

 野上委員、どうぞ。

○野上委員 御説明ありがとうございました。

 報告書自体は、今、御説明がありましたように、委員相互の議論を踏まえたものということでございまして、この際ちょっと時間をいただきまして、その議論の一端を補足意見の形で公にしていきたいと思っております。少々長い発言になるかもしれませんが、お許しいただきたいと思います。

 私は今回、資料を提出させていただいていますので、要旨の4ページ、5ページと私の資料を見ながら聞いていただければと思います。

 まず、要旨の5ページにあります積立金の水準自体は、修正後で110%と高い水準に見えるわけでございますが、さきのポートフォリオ見直しで資産のリスク自体が高まっているということから、その点を考慮する必要があると思っております。

 制度全体のリスク量については、残念ながらヒアリングのときにお聞きしたのですが、お答えいただけなかったということでございますので、仮にポートフォリオ構築時の12%というものを使いますと、この10%上回っているということにしますと、大体0. いうところかと思ってございます。偏差値に直しますと58という点数かなということです。

 評価のベースになります財政検証自体は8つのシナリオですが、そのうち3つのシナリオは所得代替率50%を下回るという結果でございますし、うち1つは積立金が途中でなくなるというものですので、財政検証自体がそんなに安全とは言いがたいものだと思っておりますので、58といいますと、積立金が安全と、合格圏とはなかなか言いがたい水準かと私自身は思ってございます。

 それより大事なのは、要旨の4ページでございまして、いろいろな要素に分解してございますが、運用利回り、人口要素に関しては、先ほど御説明がありましたように、国民年金から厚生年金に移ってきたという、ある意味で一過性のものもあるかと思いますので、一番大事なのは賃金の上昇率が下回っているという点かと思います。なぜ賃金が上がらないかということに関しては、最近、『人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか』という本も出ましたり、私は今回資料を出させていただきましたが、過去に第59回、第62回年金数理部会でも同じような趣旨の資料を提出させていただいております。

 賦課方式の年金財政を支える大黒柱でございます保険料、そのもとになります賃金が伸びないと、収支が悪化しまして、将来的には給付も減っていくのでございますが、そのタイムラグの間の積立金水準に関して大きな影響をもたらします。加えて、年金財政は基本的には構造的にはマクロ経済スライドと賃金が物価上昇以上に伸びるという2つのバッファーを有してございます。賃金が伸びないと、その2つのバッファーともうまく機能しないということかと思います。

 財政検証におきましては、財政検証の結果レポートの211ページを見ますと、労働分配が人口減少の中でも人手不足といいますか、人口減の中でも一定に保たれ、その結果、賃金が名目GDPを上回るような上昇になるということを前提にしております。

 本日提出させていただいた資料及び最近出版された本、過去に2回にわたって出させていただいた資料、いずれもこの前提とは矛盾しております。さらに言いますと、最近話題になっていますAI化の進展等は、この矛盾をさらに拡大するのではないかと思ってございます。お聞きしますと、次の財政検証に向けた経済前提委員会が発足するとお聞きしておりますので、ここでこの点に関しても科学的に議論していただきたいという期待を表明して、私の発言とさせていただきます。

 報告書自体は了承させていただきたいと思います。ありがとうございました。

○菊池部会長 御意見ということで承っておきたいと思います。

 ほかにはいかがでしょうか。

 駒村委員、どうぞ。

○駒村委員 報告書全体としては、このとおりで結構かと思います。

 今、野上委員からの議論もありましたように、この報告書を今後の年金政策にどう反映していただくのかというところが大事なところで、年金部会や年金に関連する部会、あるいは先ほど野上委員からもありましたような経済前提の委員会のほうでも紹介していただき、共有したほうがいいのではないかと思います。

 例えば労働力率に関する記述が143ページ、144ページ、事務局からの説明もありまして、5年のずれがまだある、猶予があるということで、実績と前提の間に5年の余裕期間がありますので、どうなるかはまだわかりませんけれども、再生ケースと参考ケースの間ぐらいを通過しているということと、それからまた、記述もありましたけれども、女性のほうも、あるいは高齢者のほうもまだ少し届かないのかなというのと、気になるのは25歳から49歳のところが労働力率も就労率もかなり伸び悩んでいるというか、むしろ下がっているというのが少し気になるところだと思います。

 それから、政策的に一元化に伴って直ちに検討していただきたいこととしては、48ページの標準報酬月額上限の設定部分で、一元化以前だと、46ページにあるように、1号部分だけ見れば平均値の倍は62万ぐらいだということになっていますけれども、一元化した後は、もう平均値は62万の上限を超えるのではないかというので、48ページの注5に、その状態が継続すると認められる場合というわけですけれども、過去、もし一元化だったらどうなったのかというのをさかのぼっても、62万を超える状態が続いているのではないかと。標準報酬の分布も、男性は62万のところで張りついているという状態を見れば、これもこの結果を年金部会のほうで共有していただいて、必要な改革に入っていただきたい。いずれにしても、この成果をきちんと年金関連の部会で共有するというのが大事かと思います。

 以上です。

○菊池部会長 ここでの成果を他の部会等でも十分活用してほしい、あるいはそれを踏まえて議論してほしいという御意見は合同作業班でも出されたところでありまして、私の「はじめに」のところでも、最後の3行、どこがどう変わったのかちょっと見ただけでは余りわからないかと思いますが、御意見がございましたので強目に書かせていただいたところではあるのですが、今の駒村委員の御発言に対して事務局から何かございますでしょうか。

○真鍋首席年金数理官 もちろん、従来から年金部会等の委員の方にはこの報告書を送らせていただいておりますが、先生方の御意向も踏まえまして、対応させていただきたいと思います。

○菊池部会長 では、よろしくお願いいたします。

 ほかにいかがでしょうか。

 翁委員、お願いします。

○翁委員 私も野上委員、駒村委員がおっしゃったことと趣旨は同じなのですけれども、野上委員は積立金のリスクのことをおっしゃいましたが、やはりポートフォリオを多様化しまして、年金財政の不確実性の程度とか性質といったものがポートフォリオの多様化によって変わってきていると思います。ですので、財政検証に当たりましても、そういった点を考慮しながら、よりよい工夫をしていく必要があるのではないかと考えております。

 もう一つは、基礎率、賃金上昇率の点、御指摘ありましたけれども、持続可能性の視点から、賃金上昇率を初めとするさまざまな基礎率についてどう考えていくべきかということにつきまして、私どもとしては、できるだけ中立的な視点に立ってこの検証をやろうと心がけておりますけれども、この成果を経済前提を検証する委員会等で生かして、持続可能性の観点からどういった基礎率がいいのかということをぜひ御議論いただきたいと思っております。

○菊池部会長 ありがとうございます。

 先ほどのお二方と同じ方向性の御意見であったかと存じます。

 ほかにいかがでしょうか。

 浅野委員、お願いします。

○浅野委員 まず、報告書については、今回、期中で厚生年金制度の一元化ということを行われた中で、推計などを用いまして制度全体の姿があらわされているということで、非常に意義があるものではないかと思います。今後の時系列で見ていく上でも意義があったことではないかと思います。

 そして、今、お三方の委員からもありましたけれども、年金負債のポートフォリオも資産のポートフォリオも不確実性があり、また、世の中の動きも不確実性が高まってきているという点では、我々の年金数理部会の果たす役割が大変大きくなってきていると思います。そして、不確実性の度合いは毎年毎年変わってきますが、その状況を見ながら、適切に見直しを行うことが必要になってくるのではないかと思います。

 それから、個別の話でありますが、第2章の86ページの注33です。一番最後に「地共済の年度末積立金の対前年度増減額が、『運用損益分を除いた単年度収支残』と『運用による損益』の合計に824億円一致しない」とあって、調査中ということなのですけれども、こういうのは全ての統計に関する本当に基礎中の基礎ではないかと思うので、早急に調査をしていただいて、事実を判明させていただいて、状況については数理部会にも御報告いただきたいと考えております。

 以上です。

○菊池部会長 ありがとうございます。

 前段はほかの委員と同じ方向の御議論であったかと思いますが、後段につきまして、作業班では既に御指摘あったところなのですが、現段階ではこのような記述になっているということで、現状と今後の見通しにつきまして、いかがでしょうか。

○真鍋首席年金数理官 これはデータをいただいたときからずっとお願いをしているのですけれども、今の段階ではまだわかりませんというお答えしか返ってきていない状況です。引き続き調査はしていただきまして、もちろんわかりましたら御報告申し上げますし、あるいは来年度の報告書の脚注に書くのか書かないのかといったところにつきましては、また御相談申し上げたいと思います。

○菊池部会長 浅野委員、よろしいですか。

○浅野委員 はい。わかりました。

○菊池部会長 ほかにいかがでしょうか。

○佐々木部会長代理 今、各委員から御指摘があった部分と重複するのですが、今回、資料の202ページにも賃金上昇率の推移ということでつけていただいたのですが、やはりこれを見ても、これは18年間ずっとほとんどがマイナス。これは名目ですから、実質にするともう少し、26年度、27年度、足下もマイナスになっているのですけれども、先ほど1点あったように、やはり各モデルで推計したものと、こういう長期的な傾向と何が乖離しているのか。いろいろな要因があると思うのですが、これについてはぜひ賃金上昇率のみならず、そういったことも含めて次回の検証に生かしていきたいと考えています。

 ちょっと重複して恐縮ですが、以上です。

○菊池部会長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。特によろしいでしょうか。

 各委員からも御指摘ございましたけれども、本部会の所掌範囲ということを踏まえつつの作業ということではあったのですが、やはり各委員の問題意識、濃淡の差はあったかもしれませんが、おおむね共有されている部分があったのかなと私なりに感じた次第でございます。そういったものをまた次年度の検証に生かしつつも、先ほど来、議論がございましたように、この年金制度を運用していく上での今後の他部会あるいは検討会等の議論の中でも、我々がそういう問題意識を持っておったということは何らかの形で生かされればと、多分、各委員も思っておられることと思いますので、ぜひここでの議論が生かされるようにと思っている次第でございます。

 それでは、特に修文等の御要請もございませんでしたので、このまま確定させていただくということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○菊池部会長 ありがとうございます。

 それでは、これをもちまして、本部会の平成27年度公的年金財政状況報告とさせていただきたいと存じます。

 それでは、これをもちまして、平成27年度公的年金財政状況報告についての審議を終了いたします。

 最後に、事務局から今後の日程等についてお願いいたします。

○真鍋首席年金数理官 今後の日程につきましては、また改めて調整させていただきまして御連絡申し上げますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○菊池部会長 それでは、本日はこれで終了したいと思います。どうもありがとうございました。


(了)

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