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2017年6月22日 新型インフルエンザ等対策有識者会議 医療・公衆衛生に関する分科会(第9回)

健康局結核感染症課新型インフルエンザ対策推進室

○日時

平成29年6月22日(木)15:00〜17:00


○場所

厚生労働省 省議室(9階)
(東京都千代田区霞が関1−2−2)


○議題

(1)新型インフルエンザ対策における抗インフルエンザウイルス薬の備蓄について
(2)その他

○議事

○山崎室長補佐 それでは、おそろいですので、ただいまから「第9回新型インフルエンザ等対策有識者会議医療・公衆衛生に関する分科会」を開催いたします。

 初めに、委員の皆様の出席状況を御報告いたします。

 委員18名中、本日は12名の出席です。小田切委員、亀井委員、河岡委員、川名委員、櫻井委員、戸田委員から御欠席の御連絡をいただいております。

 また、宇田委員から少しおくれる旨の御連絡及び永井委員から16時半ごろに退席されるお申し出がございました。

 なお、井戸委員の代理として、兵庫県健康福祉部長の山本様に御出席いただいております。

 定足数以上の委員に御出席いただいておりますので、会議が成立いたしますことを御報告いたします。

 前回の開催以降、事務局にも人事異動がございましたので御紹介します。

 結核感染症課新型インフルエンザ対策推進室長の海老名です。

○海老名室長 海老名でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○山崎室長補佐 カメラ撮影はここまでとさせていただきます。

 それでは、以降の議事進行を岡部分科会長にお願いいたします。

○岡部分科会長 お暑いところ、お集まりいただいてありがとうございました。川崎市の健康安全研究所の岡部です。

 きょうは第9回になりますけれども、新型インフルエンザ等対策有識者会議の中の医療・公衆衛生に関する分科会になります。半分ぐらいの委員の先生方は、ほかの会議で既にきょうの議事についての審議が行われていたということを御存じだと思いますけれども、この委員会としてはこれに関しては初めてなので、特にそのほかの委員会、例えばこの間、開かれた感染症部会とか、そういうところに参加されていない、委員ではない先生にはぜひ積極的に御意見を伺えればと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、事務局から本日の資料の確認をお願いいたします。

○山崎室長補佐 議事次第、委員名簿、座席図のほか、事務局資料1、2、参考資料1、研究班資料、参考資料2となります。

 議事次第に書かれています配付資料の一覧と照らして、不足の資料がございましたら事務局にお申しつけください。以上でございます。

○岡部分科会長 ありがとうございました。

 それでは、きょうの議事次第、最初の紙のところに書いてありますが、「新型インフルエンザ対策における抗インフルエンザウイルス薬の備蓄について」、もう一つは「その他」になりますけれども、この議事1についてまず議論したいと思います。

 事務局のほうから、この議事1に関連する資料の説明をお願いします。

○山岸室長補佐 ありがとうございます。事務局のほうから議題1、「新型インフルエンザ対策における抗インフルエンザ薬の備蓄について」の資料を説明させていただきます。

 資料1、それから資料2を御用意ください。まず、資料1のほうから御説明申し上げます。

 資料1、「新型インフルエンザ対策における抗インフルエンザ薬の備蓄について(重症患者への倍量・倍期間投与に関する論文等の精査)」というところです。こちらのほうは、今まで厚生科学審議会のほうで小委員会、それから感染症部会のほうで御審議いただいて取りまとめられたものの御報告でございます。では、説明を始めさせていただきます。

 1番目、「経緯」というところです。

 1つ目の「・」、新型インフルエンザ等対策政府行動計画、平成25年6月に閣議決定されておりますけれども、そちらのほうで国と都道府県は諸外国における備蓄状況や最新の医学的な知見等を踏まえ、国民の45%に相当する量を目標として抗インフルエンザ薬を備蓄することとされております。

 2つ目の「・」です。この45%の考え方というところですが、これは平成21年の健康局長通知において下記のように示されております。そこに➀、➁、➂、➃とございます。

 1番目の➀のところが一番コアな部分でして、人口の25%、これは政府行動計画のほうで、国民の約25%が新型インフルエンザに罹患することを想定した計画を立てるということになっておりますので、そちらのほうを引いております。人口の25%が罹患し、その全員が医療機関を受診する。その全員に対して、備蓄の抗インフルエンザ薬が使えるような量は確保しておくということでございます。

 2番目は、そのうち全重症患者に対しては標準投与量の倍量、それから標準投与期間の倍期間を投与するということを想定したものも備蓄に含まれるように考えております。

 さらに➂、濃厚接触者への予防投与についても、別途、備蓄の量の算定に入れております。

 そのほかに、新型インフルエンザの亜型以外の通常の季節性インフルエンザウイルスが同時流行し、その全患者に治療として抗インフルエンザ薬を投与した場合に必要な量というものも備蓄の中に含めて、それ全体が備蓄量で賄えるように想定して目標量としております。

 このような上記の考え方については、平成27年度に開催されました新型インフルエンザ等対策有識者会議において➀、➁、➂、➃、それぞれについて技術的な調査研究を進め、今後厚生科学審議会において審議を進めることとされました。また、その検討結果を踏まえまして、医療・公衆衛生に関する分科会において備蓄方針の見直しを検討することとされております。

 この➀から➃について検討するということになっていったのですけれども、このうち➁に関して厚生労働科学研究の研究班において通常投与量の倍量投与、もしくは倍期間投与について言及されているタミフルとラピアクタにおける治療の有効性について、エビデンスの有無や種類について論文等を精査されまして、その結果の報告を受けました。それが2番です。

 2番は、「研究班による論文等の精査の結果」というところです。概要のほうをまず説明いたします。

 研究班が論文等を精査し、以下のことが確認されております。

 タミフルでは、研究班の調査の結果、二重盲検ランダム化比較試験による高用量群、標準用量群での介入研究が1つ見つかったのですけれども、こちらのほうでは高用量群の治療による有用性は確認できなかったとのことです。また、二重盲検ランダム化比較試験以外の研究においても、臨床的なアウトカムにおける有意差は確認できなかったとのことでした。

 それから、ラピアクタに関しては、研究班では二重盲検ランダム化比較試験も含めて、重症患者を対象とした高用量と標準用量の臨床的アウトカムを比較した研究は確認できなかったということでございます。

 これらの論文の精査の結果を受けまして、小委員会のほうで結論を得られたところが、「3.新型インフルエンザ対策に関する小委員会における結論」にまとめられております。

 平成29年5月29日に開催した第9回新型インフルエンザ対策に関する小委員会において、研究班の論文等の精査の結果について議論を行い、以下の結果が得られた。

 ➀は、研究班による倍量・倍期間に関する論文等の精査の結果は妥当であり、倍量・倍期間投与の有用性について十分なエビデンスがなく、全重症患者への倍量・倍期間投与を標準治療方針として推奨すべきではないと考える。なお、臨床現場で個々の医師の判断に基づき、個々の症例において倍量・倍期間投与を行うことについて、妨げるものではないと考える。

 ➁は、➀の結論を踏まえまして、新型インフルエンザ対策として、全重症患者への倍量・倍期間投与を行うことを考慮した抗インフルエンザウイルス薬の備蓄は必要ないと考えるということでございます。

 資料2のほうをごらんください。資料2は、その備蓄の考え方について現行の考え方、それから感染症部会のほうの結論を踏まえて今後こういう考え方ではどうかというところの事務局の資料でございます。

 ➀、➁、➂と、「患者の治療」「予防投与」「季節性インフルエンザの同時流行」について書かれております。そのうち、➀の「患者の治療」のところには「全罹患患者」に対する治療と、その内数の「全重症患者への倍量・倍期間投与」750万人分相当というところでございますが、そちらの分については不要ということで、基本的な治療方針で全罹患患者に対して投与する治療の量は備蓄しておくということに変わりはございません。こういった形の新しい考え方で進めていってよろしいかということを御審議いただきたいと思います。

 後ろのほうの表をごらんください。こちらのほうで「新型インフルエンザ対策における今後の抗インフルエンザウイルス薬の備蓄の考え方」、政府行動計画及び抗インフルエンザウイルス薬におけるガイドラインの改定案のポイントのところを示しております。

 現行の政府行動計画では、「国及び都道府県は、諸外国における備蓄状況や最新の医学的な知見等をふまえ、国民の45%に相当する量を目標として、抗インフルエンザウイルス薬を計画的かつ引き続き安定的に備蓄する。なお、その際、現在の備蓄状況や流通の状況等も勘案する。」とされているのを、新しいほうでは「国及び都道府県は、最新の諸外国における備蓄状況や医学的な知見等をふまえ、全り患患者(被害想定において全人口の25%がり患すると想定)の治療その他の医療対応に必要な量を目標として、抗インフルエンザウイルス薬を計画的かつ安定的に備蓄する。」ということを書かせていただきます。また、追加の記載として「重症患者への対応等も勘案する。」ということを書かせていただきます。

 具体的な人数分については、ガイドラインのほうで治療以外に予防投与、それから季節性インフルエンザに対して使用する量として4,770万人分ということを書かせていただくのではいかがかというところを御審議いただきたいということでございます。

 事務局からの説明は以上です。

○岡部分科会長 どうもありがとうございました。

 以上、御説明をいただいたのですけれども、これは研究班でいろいろ文献レビューを当たっているということです。その研究班の代表が谷口委員なので、谷口先生から補足がありましたら御説明をお願いします。

○谷口委員 研究班資料というものをごらんいただければと思うのですが、厚労科学研究補助金のうち、研究班の分担研究としまして、三重大学感染制御の田辺先生、仙台医療の西村先生、自治医大の田村先生、このお三方に基本的にliterature reviewをやっていただきました。

 1枚目めくっていただきまして、1枚目は今の事務局の先生からの御報告どおりのことなのですけれども、特にこの中で重症患者に対する倍量・倍期間投与に関して、最新のエビデンスはどうかという質問に答えるためにliterature reviewをさせていただきました。基本的にそれぞれペラミビル、あるいはオセルタミビルというワードについて、「high dose」「longer」「treatment」「severe influenza」、こういった検索単語をいろいろな組み合わせで掛け合わせまして、literature reviewPubMedから行いました。

 これは、和文と英文と両方やっております。2ページ目のオセルタミビルの文献の結果ですが、まず最初に添付文書上はオセルタミビルには倍量・倍期間投与については全く記載されていません。これは、その後、申し上げるペラミビルには記載されていることと違いがございます。

 まず和文献では、基本的にrandomized controlled Trial、あるいはDouble-Blindをベースとした介入研究、こういったものは一つもございませんでした。

 英語の文献におきましては約500の文献が確認されまして、それを一つ一つ検討させてまいりました結果、可能性のあるものが5つ残ってまいりました。それを精査させていただいていますが、結局きちんとしたrandomized controlled studyは1件だけでございまして、それ以外はliterature review、これは今回我々がやったものとほぼ同じで、それ以前の観察研究をまとめたものでございます。

 あと3つはretrospective cohort、あるいはprospective study、いずれもrandomized controlledされていない文献でございました。

 次のページを見ていただきますと、これが唯一オセルタミビルの高用量、あるいは標準用量に関しましてrandomized controlled studyをやった論文でございます。これは、インドネシア、シンガポール、タイの多施設共同研究ですが、基本的に重症インフルエンザと診断されて入院した1歳以上の患者で高用量と標準用量、もちろん小児であればそれに相応した量にランダマイズされまして、それぞれの臨床的な評価、あるいはウイルス評価を行っています。

 ウイルスのRNA消失率、あるいはcase fatality、要するに致死率ですね。酸素の使用期間、集中ICUの入室期間、あるいは人工呼吸器の使用期間において、2群間で有意差は認めておりません。これによって、この論文では高用量の意義に乏しいという結果を出しております。

 次をめくっていただきまして、4ページになります。これはliterature reviewでございますけれども、このliterature review Flanneryの論文ですが、やはりhigh dosestandard doseを評価、19歳以上の感染者が研究対象でございます。文献的なレビューの結果、少なくとも臨床的なアウトカムには違いはない。増量治療の有効性はないという結論を出しております。

 文献3、Noelの論文ですが、これはICUに入室した57名を対象としたretrospective cohort studyです。重症度につきまして、特に治療期間、ECMOの使用状況、あるいは人工呼吸器の使用期間、酸素使用期間、ICUの入室期間、病院全体の入院期間をhigh dose群とstandard doze群で比べていますが、有意な差がございませんでした。結局、彼らは臨床的な有効性を導き出すような結果は得られない。さらに、このhigh dose治療はインフルエンザシーズンでの薬不足を悪化させるだけであるというコンクルージョンとしております。

 文献4につきましては、Welchらの報告です。これは、いわゆるLetter to the Editorsという形で報告されている論文ですが、基本的にアメリカのCDCが高用量がいい結果をもたらすかもしれないというガイドラインというか、そういう文言をウエブに記載したものですから、これに対してcohort studyを行いまして、high dose群とstandard dose群、計123人ですが、high dose治療の効果を評価しています。

 非ICUの入院期間、臓器障害の程度、非人工呼吸器の入院期間、発症後28日までの死亡率を評価していますが、少なくともhigh dose群において有意に経過が改善することはなかったというところで、この著者はこの研究からは臨床的な有効性をサポートするようなエビデンスはないというふうに結論づけております。

 文献5はプロスペクティブ、前向きの介入研究ですが、インフルエンザで入院した、これは香港でのデータですけれども、18歳以上のインフルエンザ患者を対象とした研究でございます。これを、high dose群とstandard dose群に分けまして臨床的な有効性を評価しています。少なくとも発症後5日目のRNAの検出率、あるいはウイルス分離率、有熱期間、酸素使用期間、入院期間については有意な差はなかったとしていますが、B型に関してはRNAの消失率はhigh dose群のほうが有意に早かったということを報告しています。

 ただし、臨床的なインジケーターはインフルエンザBにおいても変わりはなかったというところから、臨床的な有効性はないというふうに報告をしています。

 続きまして、めくっていただきますとペラミビルに関する文献の調査です。方法は同じような形ですけれども、添付文書上、ペラミビルは300mgを単回点滴静注と書いてありますが、倍量、あるいは連日反復投与ができるということも記載されています。これが、オセルタミビルとは異なる部分です。

 邦文、日本語ではペラミビルだけで検索して500文献近くありましたが、少なくともきちんとしたランダム化、あるいは二重盲検での介入研究というのはございませんでした。

 英文紙では15文献確認されましたが、少なくともランダマイズされた介入研究はありませんでした。実際に重症患者ではありませんが、季節性インフルエンザにおける倍量・倍期間の有効性を評価した文献は2つ確認できました。

 文献6が1つ目ですが、これはPhase3(ローマ数字)の治験データでございまして、日本、韓国、台湾における多施設共同研究です。これは、もともとはオセルタミビルとの比較による非劣性試験なのですが、その中でペラミビル300mg600mgと、オセルタミビル標準量で評価をしています。主要症状の持続期間においては、有意差は認められておりませんが、重篤な有害事象の出現も確認されなかったということを報告されています。

 もう一つ、最後に文献7でございます。これは日本国内の多施設共同試験でございますが、これは基本的には重症患者を対象としたものではございません。若干症例数が少ないですけれども、300mg600mgで、投与回数が単回から5日間までの連続投与がありますが、、その投与回数ごとに分けてしまうと極めて症例数が少なくなってしまいますので投与回数ごとの評価は難しくなります。全体として600mg治療群のほうが主要症状の持続期間は有意に短かったというふうに報告されています。

 また、連日投与した場合においても蓄積傾向はなかった。また、有害事象は7割に発生しているけれども、速やかに改善しているという結論でございますが、少なくとも重症患者を対象としたものではありませんでした。以上でございます。

○岡部分科会長 どうもありがとうございました。

 それでは、論文でこういうのが出てきているということで整理をしたところでは、倍量投与というものについて積極的にこれを進めることはないのではないかというのがこれまでの委員会の結論で、一応厚労省の感染症部会のほうでもそれで了承はいただいています。それで、これは内閣官房の新型インフルエンザ有識者会議のほうで全体のところを取りまとめなければいけないので、その小委員会としての医療・公衆衛生委員会でこれを議論して、最終的にと言っていいと思うのですが、内閣官房のほうの新型インフルエンザ有識者会議で全体の意見として取りまとめるというようなプロセスの中の一つになります。

 それでは、今の谷口代表者からまとめていただきました知見について御意見があったら、特に臨床の先生にはいろいろな御意見があるのではないかと思います。

 どうぞ、朝野先生。

○朝野委員 大阪大学の朝野です。今お聞きいたしまして、非常に納得できる結果であるというふうに理解いたしております。

 1つ谷口先生に御質問がございまして、重症例、特にインドネシア、シンガポール、タイのものはランダマイズ化してありますので、これは重要な論文だと思います。それで、この論文において重症例という定義でございますけれども、これは例えば48時間以内の人がメインでございますでしょうか。それとも、48時間以降の治療であれば、これは薬の効果を見るという設定には少し不向きかと思いまして、その重症化と投与までの時間ということについて、本当は私が自分で読まなければいけないのですけれども、先生にぜひ教えていただければと思います。

○谷口委員 非常に鋭い御指摘でございまして、実際には入院の基準というのは、臨床的な基準でしているのですけれども、たしか48時間以降の入院が半数近くあったんですね。それも影響しているというのは、論文にも書かれています。

 ただ、なかなか難しいのは、1日目でみんな重症化するかというと、普通、熱が出ていきなり呼吸困難になるというのはそんなに多くはないと思うので、ある程度は仕方がないのかなと。要するに、重症化してからの入院ですので、おっしゃるとおりで48時間以降はかなり含まれているということです。

○朝野委員 恐らく、日本では48時間以内に来られる方が多いと思いますし、重症化率はそんなに高くないと思うのですけれども、もし万一、48時間以内で投与を開始された場合の事例についての検証というのはサブ解析で行われているのでしょうか。

○谷口委員 申しわけありません。ございません。

○岡部分科会長 永井先生も前の委員会ではメンバーであったと思うので。

○永井委員 私は前に岡部先生が少しおっしゃったことを記憶しているのですけれども、この重症患者の場合、新型、季節性のものを含めまして、日本でいわゆる重症患者は割と出ていると思うのですが、そういう重症患者に関してこういう倍量・倍期間投与等々のところの統計的なデータというのはあるのですか、ないのですか。文献的なところでは出ていないという話ですけれども。

○岡部分科会長 谷口先生、文献的にそれをレビューしたものは。

○谷口委員 文献的にはございません。

○岡部分科会長 大石先生が答えたほうがいいでしょうか。呼吸器学会と感染症学会は、一応緊急的な形でパンデミックのときに倍量投与を示していたと思うのですけれども、何か。

○大石委員 日本感染症学会のインフルエンザ委員会で20112月に重症例に対してはオセルタミビルの倍量投与を考慮するという文言があったのですが、その後の倍量投与の妥当性についての解析は行われていないと思います。

○永井委員 そういうものがインフルエンザはこれからも毎年流行するわけですけれども、そういう重症例の治療成績の仕組みみたいなものをつくられる予定はないのですか。

○大石委員 日本呼吸器学会のほうでタイムリーに重症例のインフルエンザのサーベイランスをして、そして情報をとっていこうということで現在もシーズンにはインターネットサーベイランスという形で実施はしています。しかし、やはり学会の中でも感染症を専門としている先生方の数もそんなに多くなくて、基本的には比較的限定的な施設での情報収集だけにとどまっているんですね。

 現状は、残念ながらそういう詳細なデータがまだ出てきていないと私は理解しております。

○岡部分科会長 どうぞ、谷口委員。

○谷口委員 この文献のレビューの途中ですが、一般的に季節性インフルエンザ、いわゆるIC50を見ますと、0.17mol/Lから0.27mol/Lですね。オセルタミビルを1回飲みますと、ピーク値がおおむね507mol/Lで、トラフ、つまり12時間後がおおむね307mol/Lあります。

 そうすると、トラフであっても実際のIC503,000倍近くあるわけですので、そういったことを考察に書いてある論文もございました。

○岡部分科会長 どうぞ、朝野先生。

○朝野委員 今のお話もありましたけれども、これは基本的なことでやはり山岸先生にちょっとお伺いしたいのですが、標準量ということが今、基準で物事を判断していますけれども、標準よりも下げても大丈夫なのではないか。

 つまり、備蓄量を減らすならばその最低限というか、最も有効な、これは多分臨床研究というか、治験をやるときにある程度当てずっぽうでやっていって2倍量とやっていくのですが、半量というような治験のデータというのはございますでしょうか。

○山岸室長補佐 確認してみたわけではないですけれども、一般的にクリニカルトライアルされる前にメーカーさんのほうでは半量なり、標準の幾つかの用量を振った上で第3相試験の有効性を確認する治験をやっていると伺っています。

 そういう意味では、第3層以降で出てくるデータである程度有効性が期待できる、少ない量よりは有効性が期待できるというものについて大きな臨床試験をされているのが一般的なのかなと思います。

○朝野委員 もし半量のデータがあれば、それがどのくらい劣性なのかということも一つ、今、倍量、倍量といつも言っているけれども、標準量というのが本当に標準量なのかという問題をやはり一度検証してみる必要もあるのではないか。そうすると、備蓄量だってもう少し下げられる可能性があるかなと思いまして、非常に基本的なことで申しわけないのですけれども。

○岡部分科会長 山岸さんから何かありますか。

○山岸室長補佐 基本的には、我々としては承認されている用量というものを基準に使うということで、備蓄の計画とか、そういうものを出させていただいている都合がありますので、まず標準量というものは基盤に置いていきたいと思います。

 それで、研究などでそういうデータが出てくるとか、新たな抗インフルエンザウイルス薬が上市されたときに検討するとか、新たな用法が提案されたときとか、新たな用法が承認されたときとかは考えていってもいいのかなとは思いますが、十分にデータがとれている承認された用量を基本に考えていくべきかとは考えています。

○岡部分科会長 ありがとうございます。

 用量設定について、何か資料はありましたか。

○山岸室長補佐 用量設定のほうは、基本的にはどちらかというと第1相試験などで臨床用量の下から用量を設定して、血中濃度について十分データを日本人も外人も捉えていて、そのような結果を踏まえて認証用量、標準用量の設定というのを申請する製薬会社とかを決めてきているところかなと思います。

○岡部分科会長 治験のときは当然、定用量、それが幾つかだかは今ちょっと記録がはっきりしないのでわかりませんけれども、それをやった上で多くの人に対して効果があるというところで今の標準量の設定だと思うので、そこは今、朝野先生に言っていただいたのは課題としてもちろん少ない量で効けばそのほうがいいわけですから、そういったような研究を促すというようなところは、研究を促すといっても積極的に一々やるということではないのですけれども、そういったようなことも期待したいとは思います。

 それから、今までの委員会でも、備蓄をするところにおいて倍量設定するということをリコメンデーションしないのであって、議論の中にあったと思うのですけれども、例えば腎不全でなかなか血中濃度が上がりにくいというような場合の現場の判断があれば、当然それは医療における裁量ということで行うことはありだと。

 それで、タミフルではなくてラピアクタの場合は特に状況に応じてはたしか用量をふやすとか、期間を長くするということが添付文書上にもあったと思うので、それそのものは生きているというようなことはこれまでの委員会では了解事項になっています。

 ほかに御意見はありますでしょうか。

 山本委員は代理なので、今までの議論がなかったと思うのですけれども、印象としてはいかがですか。何か御意見があれば。

○山本部長 私は、行政的なことで最後にでもお聞きしようかと思ったことが1点だけあって、例えば今回4,770万人分という新しい基準が先ほどおっしゃった親会議の有識者会議で決定した場合に、その後どういう形で行政的に反映されていくのか。

 特に、本県では都道府県のほうもつい最近も29年度の購入で県議会に諮るということになったのですがとき、県議会からは財政が厳しい中、いろいろなことを言われる中で、こういう備蓄が減らせるという話は逆に議会に対しても説明しやすいのですけれども、問題はそれが今後どういうスケジュールで購入の際に反映されていくのかというスケジュール感がどんなふうになっているか。

 現在、そもそもどれだけ備蓄されているかも理解していないのでこんな話をしているのですけれども、そこら辺をもし差し支えなければ、ご説明いただければと思います。

○岡部分科会長 自治体としては非常に重要な身近な問題だと思うので、今の御質問に対しては事務局のほうで。

○山岸室長補佐 基本的には有識者会議のほうでまず御審議いただいて、この方針についてよろしいという御意見がまとまったと仮定しますと、政府行動計画のほうが閣議決定になりますので、そちらのほうの手続をさせていただいて、その後、ガイドラインのほうの改定ということをそれに引き続き行うことになるかと思います。

 その後、備蓄目標量が再設定されたことについては都道府県さんにおいても備蓄していただいていますので、そちらのほうを通知の形で伝達することになるかと考えていますが、具体的な日程とかはなかなか今ここで言えるようなところまで決まっていないのですけれども、そのような形になっています。

○山本部長 私が知りたいのは、現在全国の備蓄量がどれだけあるのか、そして中で、それが4,770という数字に仮になったとして、例えばいわゆる廃棄するものとかが来年度以降に生じているものを含めると、いつごろから購入の配分といいますか、そこら辺がいつの時期からどう反映されてくるのかを知りたい。そういった意味では、平成30年度の購入のものから反映されるイメージになるのか。そこら辺が知りたかったのです。

○山岸室長補佐 平成30年度に、ガイドラインのほうの改訂と所定手続が間に合えば、目標量の再設定ということになると思います。

 こちらのほうは国の分の備蓄の量しかございませんので申しわけないのですが、参考資料1の8ページ以降にタミフル、ラピアクタ、リレンザ及びイナビルの備蓄状況が記載されております。国のタミフルの備蓄状況であると、30年度を期限としているものは約1,123万人分、それから31年度有効期限切れのものが127万人と、こういったところの買いかえのタイミングの前にはなろうかと思います。

 自治体さんのほうで今年度、来年度に切りかえるというところで、切りかえの際にもう既に通知が出ているようであれば、そちらの目標のほうに設定してということになるかと考えております。

○海老名室長 補足させていただくと、備蓄量が減ることになるので買い足すということではない。それで、もし余剰になれば、それは期限まで別に持っていただいて、積極的に捨てろということではない。

 ただ、期限がきて捨てて新しく買い足さなければいけないときには、新しい目標量で買い足していただければという形になるかと思います。

○岡部分科会長 ありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。

 どうぞ、丸井委員。

○丸井委員 先ほど岡部先生から御指摘があったことに、つけ加えます。今回有識者会議へこの分科会から出すという状況を考えますと、科学的には先ほどのような議論で全く問題ないわけですが、リスクコミュニケーションとしてのメッセージとして意味を考えると、従来の4項目の中では、重症患者への倍量・倍期間投与のためにこれだけを用意するということで、どちらかというと、メッセージとしては、場合によっては重症患者や倍量・倍期間投与を奨励するような意味合いがあります。これは、科学的内容というよりはメッセージとしてですね。

 ところが、今回それがなくてよいということは、先ほど岡部先生がちょっとお話されたように、決して奨励するものではなく、必要に応じて現場ではしてくれていいけれども、用意はしない、となります。

 ということは、メッセージとしては、どちらかというと倍量・倍期間に対して、やや否定的な意味合いのメッセージになるということです。その辺りは科学的な話とは別に、先ほどの行政のお話もありましたが、現場にそのメッセージが届くということを考えると、少なくとも有識者会議へ出すときには決して現場での使用を従来奨励していたわけでもないし、今回否定するわけでもないのだというような、特に医療関係者の中でのリスクコミュニケーションとしてメッセージに誤解がないように少し何か加えておいたほうが、有識者会議に出す場合にはいいのではないかと思いました。

○岡部分科会長 ありがとうございます。

 決して倍量投与を使ってはいけないというわけではないのだけれども、何となく心配だからたくさん使おうかというのは心理的にあると思うんですね、でも、そういう傾向は必要ないであろう。それで、さっきちょっと例として申し上げたような、特殊な状態であって血中濃度を十分保たなければいけないようなときには倍量か、1.5倍かわかりませんけれども、標準量を上回る量を使うこと自体は裁量としていいのではないかというような意味合いなので、何でもかんでも重症だから倍量というのは、データ上は証明されていないので、そこは最近のAMRの問題もありますけれども、多く使えばいいという問題ではないというようなメッセージは出せると思うんです。

 医療機関にそこら辺も理解を求めなければいけないと思うのですけれども、むやみに何か一般の人に対してというのは、この減らすということはどうですかね。両方とも、どうしてふやすんだとか、どうして減るんだというのは出てくるのではないかと思うのですけれども、メッセージ性としては後でいろいろ考えていただいて、出すときも国のメッセージだけではなくていろいろなところのメッセージが必要だと思うので、よろしくお願いします。

 坂元委員、どうぞ。

○坂元委員 この資料2のところの現行のガイドラインは国民の45%に相当する量として5,650万人分備蓄し、次のガイドラインの案にはいわゆる25%がかかったと想定してというふうになっております。これは今後はこういう方向でいくのかということです。

 なぜかと言うと、この国民の45%というと、国民の2人に1人しか備蓄はないのかと、そういう不満があったと思うんですね。つまり、国民からすると国民の半分しか用意していないととられてしまう恐れがあって、そのときにここは罹患率とか科学的根拠で書くべきではないかという議論が当時からあって、今後はこういう書き方でいくという理解でよろしいのでしょうか。

○山岸室長補佐 先生がおっしゃるとおり全罹患者、要するに感染していて抗インフルエンザ薬が必要な全罹患者そのものにちゃんと量がある。そういうことを科学的にしっかりメッセージとして出すべきではないかということで、こちらのように書かせていただいております。

 また、重症患者の御議論もございましたが、必ずしも重症患者だけを対象にしているわけではありませんけれども、例えば、去年、おととしぐらいから静注用の重症患者に使いやすい抗インフルエンザ薬というものの備蓄が開始されております。そういった意味で、重症患者への配慮というのは全然後退しているものではないということも踏まえまして、そちらのほうに重症患者への対応ということも書かせていただく形で、少なくとも行動計画やそういったところには十分そういうメッセージというのは反映されるようにしたいと考えております。

○岡部分科会長 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。

 もう一つのほうの議論では、重症患者ではないのですけれども、死亡のインパクトとか、そういうようなものに関しては西浦先生の研究班のほうで今、想定としての重症度といいますか、死亡数や何かはどのくらいになるだろうかというのはもう一つ別に走っていますし、そういうようなものが出てくれば、当然その基準になる数字が違ってくる可能性はあるけれども、今のところは今までの数字を想定して置いているという前提は一つあります。

 それから、全人口の25%が罹患というのは、谷口先生、パンデミックのときというのは何%ぐらいの患者でしたか。あのときは、2,000万とかでしたか。

○谷口委員 あれは推計をもとにすると、たしか1415%だったと思います。

○岡部分科会長 患者数として報告されているのが、2,2002,300万人くらいでしたね。そうすると、20%ぐらいですか。というと、25%というのはそれを当てはめればまあまあの数字であるというところにはなると思うのですが、確かに出てくることがわからない病気が相手なので、そこら辺は全てがきちんと解決しているわけではないけれども、今のところ目安はこういう数字になりました。ほかに、何かありますか。

 押谷先生、どうぞ。

○押谷委員 その件に関しては、西浦先生のところで今、被害想定の見直しをしているというのを理解した上で、やはりこの25%ピンポイントでやっているということは非常に大きな日本の問題で、今までこれでずっときてしまっていて、今もそうなっているということなので仕方ないのかもしれないですが、新たな被害想定が出てきたときにまた変えるということなのかというふうには理解していますけれども、25%が罹患すると想定してピンポイントで出すというのは、かなり私には違和感があります。

 もう少し高い罹患率を想定している国もありますけれども、一般的には2030%ぐらいの範囲で考えている国が多いと思いますので、このガイドラインでこういうふうに書いていいのかなという感じはします。

○岡部分科会長 そこは、テイクノートしておかなければいけないところだと思うんですね。

 それから、ワクチンのほうも今プレバンデミックワクチンとか、ワクチン全体のほうも議論が進んでいて、ずっと同じような形での、例えばプレパンワクチンは1,000万人分、毎年毎年といったような量的なものもこれでいけるのかどうか。何しろ2009年からそろそろ10年ぐらいになるので、そういう意味では少し発想を変えてもいいのではないか。そんな議論は進んではいます。今のところは、従来のやり方の数字を踏襲しているということが一応の前提になっているということは御了解いただいてというふうに思いますが、ほかにはいかがでしょうか。

 あとは、もちろん25%というのは後で出てくる可能性があるけれども、私が伺おうと思ったのは、例えばきょうは抗インフルエンザ薬の備蓄ですが、海外の状況というのはきょうはここには資料がなかったけれども、どうでしたか。備蓄をやっている国というのは、そんなに数は多くないと思うのですけれども。

○山岸室長補佐 イギリス、アメリカ、それからドイツ、スイス、フランス、カナダ、オーストラリアなどで備蓄している量については確認しております。大多数の国が、現行の日本の備蓄量よりは少ないです。危機管理の観点があって個別の国でちょっと言えないところがありますけれども、そういった国も多いところでございます。

○岡部分科会長 WHOもパンデミック、2009年の出たときにはたしか量の多い使い方といったようなことも一つのリコメンデーションの中には入っていたと思うのですが、あれも同じように危機管理的な発想で、当時はエビデンスがないけれども、そういったようなこともやった。それで、日本も踏襲しているけれども、見直してもう一回レビューを見てみると、エビデンスとしては倍量使う必要がないということになったので、その分は備蓄から外すというような考え方だと思います。

 先ほど来申し上げましたように、確認ですけれども、全てがそうすべきではなくて、本当に臨床の現場で量が多いことが必要であるという判断は当然妨げるものではないというようなことが前提になろうかと思います。これは今までの委員会でも言っていますし、上に上げるときも同じような意見をつけるべきかと思います。

 そういうようなところが大体の結論になろうかと思うのですけれども、きょうは割に時間の余裕があるので、今のところで結論は大体1についてはいいのですが、ほかに何かありますか。

 どうぞ、朝野委員。

○朝野委員 やはり48時間以内に重症化した人がどのくらいいて、それで倍量で効かなかったのかどうかというのは、このliterature reviewはかなり48時間以降のものが国的に多いのではないか。重症例というのはこの中では2〜3文献あるのですけれども、そういうことを考えたら、私は倍量投与しなくていいという立場なのですが、立場としてというよりは科学的な議論として、48時間以内のデータが示されていないのに、それでこれは必要ないですよという根拠にはならないというふうに判断せざるを得ないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○岡部分科会長 谷口委員、何かありますか。

○谷口委員 先進国のデータはそういうわけではなくて早いのも含まれていますし、先ほどのSouth East Asia Infectious Disease Clinical Research Networkですけれども、3日以内というサブグループ解析はあって、この3日以内に入院した例の中では違いはなかったという2行ほどの記載だけはあります。それ以外の詳しい記載はありませんでした。

○岡部分科会長 そこは、多分海外はアクセスが悪いので、そんなに早く医療機関に来ていないのではないかと思うんです。

○谷口委員 メディアンで5日目です。

○岡部分科会長 ほかに御意見はよろしいでしょうか。

 どうぞ、山岸補佐。

○山岸室長補佐 メインの議論のところではないのですけれども、当該の論文のほうで一応2日目、それから3日目、4日目以内で受診された方の表みたいなものがございまして、standard dosedouble doseのところがバランスが合っておらず、人数的に言うと割合としては少ないのですが、2日目以内の方、それから3日目以内の方、4日目以内の方で有意な差はついていない。それぞれのサブグループであっても、有意な差はついていないという形にはなっています。

○朝野委員 それは死亡率の問題ですか、それともウイルス量の問題ですか。

○山岸室長補佐 これはプライマリーエンドポイントがウイルスの消失であったので、それはウイルス量で見ております。

○岡部分科会長 一つの制限としてそういうようなことはあるというふうに承知をしておいて、全体の判断としては今のところ積極的にとにかく進めるというものではないというところです。

 ただ、もう少しこれをサイエンスのベースで考えるならば、ぜひ短期間での状況についてはどこかでトライアルが行われることを期待したい。トライアルではないですね。リサーチが行われることを期待したいというところだと思います。

 朝野先生、そういうようなところでよろしいですか。

○朝野委員 はい。

○岡部分科会長 では、どうぞ。

○押谷委員 それに関してなんですけれども、倍量・倍期間の投与の話はこれでいいと思うのですが、皆さん御存じだと思いますけれども、コクランレビュー以降、本当にオセルタミビル等が重症化阻止にどのくらい効いているのかという議論は特にヨーロッパで非常に強くあって、そこのエビデンスをきちんと出していくことが必要で、実際にパンデミックが起きたときにこういう備蓄を持っていることによってどの程度、本当に重症例を救命できるのか。

 そういうデータは実はほとんど存在していなくて、2009年のレトロスペクティブにジョナサンバンドアウトが解析したデータぐらいしか存在していなくて、それもいろいろなバイアスを含んでいる可能性のあるデータで、やはりこれだけ抗インフルエンザ薬をたくさん使っている日本でしかできないような研究というのも、特にラピアクタ等の研究というのは日本でないとできない部分もあると思うので、きちんとそういうエビデンスを出して、これだけの税金を使ってやる意味はここにあるんです。

 けれども、全員が救命できるわけではないということは明らかなので、そういう限界もあるんだということをきちんと説明する必要があって、その説明するに足るエビデンスをきちんと日本でも集めていく必要がある。前にも発言していると思うのですけれども、そう思います。

○岡部分科会長 大石先生、どうぞ。

○大石委員 以前から押谷委員から御指摘もあって、何とか入院サーベイランスという国のサーベイランスの仕組みの中でそういったものが評価できる仕組みをつくれないかということについて考えてもきたのですけれども、やはり感染症発生動向調査の中で実施するにはハードルが高いということを感じています。

 一方、谷口委員が国立病院機構の研究でやっておられるサーベイランスの中で、そういった重症例がどのくらい評価できるのでしょうか。あるいは今後、今おっしゃったような重症例に対するラピアクタ治療の評価が可能性としてはあるのでしょうか。先生、いかがですか。

○谷口委員 現状のデータはDPCあるいはレセプトデータですので、詳しい臨床情報はとれないのですけれども、今、稼働中のSSMIX2という稼働中の新しいデータベースですと処方内容から検査データ、あるいは熱型表のデータまでとれますので、それはプロスペクティブに見ていくことは可能だろうと思います。

 思いますが、日本でインフルエンザで重症化した入院例で、オセルタミビルを飲まずに来るという人はまず見えないと思います。

○大石委員 国立病院機構でのネットワークを使ってのデータ収集ということについては、やはり臨床研究としてスタディーデザインをしっかりして組まないとデータはとれないということですよね。

○谷口委員 それができるかということだろうと思います。今、インフルエンザと診断されて、これをランダマイズドコントロールして飲む人、飲まない人ということができるかというところかと思います。

○岡部分科会長 それと、タミフルを初めとする抗インフルエンザウイルス薬療法が余り過剰な期待を持って使われると、決してマジックドラッグではないので、その辺の使用に当たっては残念ながら神の薬のようにすぽんとよくなくなるわけではない。余り過剰な期待にも、きちんとしたコミュニケーションは必要だと思います。

 ただ、現状で日本の国内でこれだけ使われている抗インフルエンザウイルス薬が、物すごく科学的エビデンスがあれば別ですけれども、今のいろいろなところのレビューをした結果、余り効かないからやめてしまうというと、これはまたすごいパニックが起きるのではないかということもありますので、もちろん一つ一つ積み重ねていく必要はありますけれども、今の方針としてはこのやり方で、でも押谷委員が常々おっしゃっているようなことも、今後としては考慮をもちろんしていかなければいけないであろうと思います。

 それからもう一つは、抗インフルエンザウイルス薬が今までのノイラミダーゼ阻害剤だけではなくなる可能性もあるわけです。

 ただ、それも効果と同時にセーフティーの問題もあったりしていろんな評価が要るでしょうけれども、新たな薬が出てきた場合にそれが備蓄の対象になるのか、あるいは現場で使っていいのか、それから季節性インフルエンザとともに新型インフルエンザが同じように使えるか。いろいろな課題はあると思いますけれども、これは一つ一つ、この委員会と、この下の小委員会が実際的に議論をする場となっているので、これは引き続きぜひ事務局のほうで継続して取り上げていただければと思います。

 一応そんなことできょうの1のほうの結論にしておきたいと思うのですけれども、よろしいでしょうか。

(委員 異議なし)

○岡部分科会長 ありがとうございます。

 それでは、議題1はおかげさまで議論も行われましたし、意見もあったのですけれども、結論としてはこれを上の委員会ですから、新型インフルエンザ等対策有識者会議に報告をするということにしたいと思います。

 「その他」のほうは、何か用意があるのでしょうか。あるいは、委員の先生方から何か「その他」としての依頼があればどうぞ。よろしいですか。

○山崎室長補佐 事務局としては、特にございません。

○岡部分科会長 ありがとうございます。

 では、押谷委員どうぞ。

○押谷委員 今の件はいいんですけれども、たくさん委員会があって、私もどの委員会がきょうやっているのかよくわからないところがあるのですが、このプロセスを経ないといけないというのは、要するに政府行動計画ガイドラインに数が記載されてしまっているというところなんだと理解しているのです。

 それで、これからまたその被害想定が変わったりとか、予防投薬の考え方が変わったりとか、そういうことというのは当然同時流行で本当にこんなに要るのかという議論はここでもあったと思うのですけれども、そういうのを変えていくたびに、またこのプロセスをずっと何カ月もかけてやらなければいけないのか。

 だから、これは多分、政府行動計画とかガイドラインにスペシフィックに数が書いていなければ、こういうテクニカルなディスカッションは絶対に必要だと思うのですけれども、こういうプロセスを経なくてもいいのかなという気もするのですが。

○岡部分科会長 これは、事務局のほうから何かコメントがありますでしょうか。すぐにということではないですけれども、この一連の会議の仕組みと非常に複雑なところは確かにあるのですが。

○浅沼課長 押谷先生、御意見まことにありがとうございました。

 その点につきましては、今後私どもと内閣官房さんと御相談をさせていただこうと思っておりますので、御意見につきましてはお伝えさせていただきたいと思います。

○岡部分科会長 以前、ちょっとテクニカルなところをディスカッションする場というのはぼやっとしていたところがあるのですけれども、それを厚生労働省の厚生科学審議会の部会の中に設け、特にテクニカルな議論はそこの小委員会でやるというような位置づけに明確になったので、それでようやくその数字などについても動き出したということもありますけれども、今のところ平常時なので幾つかはありますが、本当に何かあったら非常に速い動きもしなくてはいけないので、その辺も加えて事務局である厚労省と内閣官房のほうとぜひ話をしていただければと思います。今の押谷委員の意見は、そういう趣旨だと思います。

 ほかはよろしいでしょうか。

 それでは、この後の予定や何かのことについて事務局から何かございますか。

○山崎室長補佐 予定のほうは、決まり次第御報告させていただきます。

○岡部分科会長 浅沼課長、何か最後にありますか。

○浅沼課長 特にありません。本日は御審議いただき、誠にありがとうございました。

○岡部分科会長 では、1時間早目ですけれども、議論はこれで終わりたいと思います。

 ありがとうございました。


(了)

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