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2017年4月21日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

○日時

17:00~


○場所

厚生労働省共用第6会議室


○出席者

出席委員(14名)五十音順

浦 野 泰 照、○奥 田 真 弘、 川 上 純 一、 川 崎 ナ ナ、
菊 池   嘉、  鈴 木 邦 彦、 田 島 優 子、 舘 田 一 博、
登 美 斉 俊、  中 野 貴 司、 濱 口   功、  半 田    誠、
森 田 満 樹、  山 本 善 裕、 渡 辺   亨

欠席委員(6名)

渥 美 達 也、 大槻 マミ太郎、◎清 田   浩、 増 井    徹、 
南    博 信、 山 口 拓 洋
(注)◎部会長 ○部会長代理

行政機関出席者

武 田 俊 彦 (医薬・生活衛生局長)
森    和 彦 (大臣官房審議官)
山 田 雅 信 (医薬品審査管理課長)
佐 藤 大 作 (安全対策課長)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
林    憲 一 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
猿 田 克 年 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

○医薬品審査管理課長 それでは定刻になりましたので、「薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会」を開催させていただきます。本日はお忙しい中、また遅い時間にお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 まずはじめに、新しく当部会の委員になられました先生を御紹介させていただきます。東邦大学医学部微生物・感染症学講座教授の舘田一博先生です。よろしくお願いいたします。それでは本日の委員の出席状況についてです。渥美委員、大槻委員、清田委員、増井委員、南委員、山口委員から御欠席との連絡を頂いております。また、菊池委員が遅れておられるようです。本日は現在のところ、部会委員数21名のうち、14名の委員の御出席を頂いておりますので、定足数に達しておりますことを報告いたします。

 なお本日、清田部会長が御欠席ですので、会議の進行につきましては、部会長代理の奥田先生にお願いしたいと存じます。それでは奥田先生、以後の進行をお願いいたします。

○奥田部会長代理 それでは、本日の審議に入ります。まず事務局から配布資料の確認と審議事項に関する競合品目、競合企業リストについて御報告をお願いいたします。

○事務局 本日、席上に議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配布しております。また、議事次第に記載されております資料1~6をあらかじめお送りしております。このほか資料7「審議品目の薬事分科会における取扱い等()」、資料8「専門委員リスト」、資料9「競合品目・競合企業リスト」、参考資料として「各品目の有効成分の化学構造式」を配布しております。

 続いて、本日の審議事項に関する「競合品目・競合企業リスト」(資料9)について御報告いたします。資料9の1ページを御覧ください。「ジフォルタ注射液20mg」ですが、本品目は「再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 2ページを御覧ください。「ザーコリカプセル200mg、同カプセル250mg」ですが、本品目は「ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上です。

○奥田部会長代理 ただいまの事務局からの御説明に、特段の御意見等はありますでしょうか。それでは本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆様方の御了解を得たものとさせていただきます。それでは委員からの申出状況について、御報告をお願いします。

○事務局 各委員からの申出状況については、次のとおりです。議題1「ジフォルタ」:退室委員なし、議決には参加しない委員、中野委員、渡辺委員。議題2「ザーコリ」:退室委員なし、議決には参加しない委員、舘田委員、山本委員、渡辺委員。以上です。

○奥田部会長代理 今の事務局からの御説明に、特段の御意見等はありますでしょうか。それでは、よろしければ先生方に御確認いただいたものとし、議題に入らせていただきます。本日は、審議事項を2議題、報告事項が4議題となっています。それでは早速ですが、審議事項の議題1に移ります。議題1について、機構から概要説明をお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 よろしくお願いします。議題1、資料1、医薬品ジフォルタ注射液20mgの製造販売承認の可否等について、機構から説明します。本剤の有効成分であるプララトレキサートは、ジヒドロ葉酸還元酵素を競合的に阻害することにより、DNA合成を阻害し、腫瘍の増殖を抑制すると考えられています。今般、本剤は、再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫を効能・効果として承認申請されました。なお、本剤は、平成26年1月の当部会における審議を経て、希少疾病用医薬品に指定されております。平成29年1月時点において、本剤は15の国又は地域で承認されています。本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料8にありますとおり8名の委員です。

 なお、資料8の専門委員リストにおいて、効能・効果の記載に不備がありました。「再発又は難治性の」との記載になっておりますが、「再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫」が正しい記載です。申し訳ありませんでした。

 以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を説明いたします。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、国内第I/II相試験であるJP1試験及び海外第II相試験である008試験が提出されました。有効性については、審査報告書28ページの上から1行目以降、30ページ下から9行目以降及び55ページの上から13行目以降を御覧ください。再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫患者を対象としたJP1試験の第II相部分及び008試験の結果、主要評価項目とされた奏効率について、いずれの試験においても事前に設定された基準を満たしたこと等から、本剤の一定の有効性は示されたと判断いたしました。

 安全性については、審査報告書31ページの上から6行目以降、及び55ページの下から12行目以降を御覧ください。本剤の使用時に特に注意すべき有害事象として、骨髄抑制、感染症、粘膜炎、皮膚障害、腫瘍崩壊症候群、血栓塞栓症及び間質性肺疾患が認められております。これらの有害事象については、造血器悪性腫瘍の治療に十分な知識と経験を持つ医師による有害事象の観察や管理等の適切な対応により、忍容可能と判断しました。ただし、日本人における検討症例は限られており、製造販売後には、使用成績調査の実施が必要であると判断しております。

 以上のような審査の結果、機構は、再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断しました。本剤は、希少疾病用医薬品に指定された新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は10年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体は毒薬、製剤は劇薬に該当すると判断しました。薬事分科会には報告を予定しております。

 なお、審査報告書に誤りがありました。最初のページの分子量につきまして、「447.47」と記載しておりますが、正しくは「477.47」でしたので訂正いたします。申し訳ありませんでした。以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○奥田部会長代理 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問、御意見がありましたら、お願いしたいと思います。

○菊池委員 いつも聞いていますけれども、難治性は何人ぐらいいたのですか。

○医薬品医療機器総合機構 資料の2.5のタブの38ページと39ページに記載があります。

○菊池委員 すみません、もう一辺、何ページですか。

○医薬品医療機器総合機構 3839ページです。39ページにJP1試験の第II相部分の結果があります。11例が難治性の患者で奏効率は36.4%です。38ページに008試験の結果があり、こちらでは69例が難治性の患者で、奏効率は24.6%でした。以上です。

○菊池委員 いつもこだわって申し訳ないのですが、前のほうの審議のものしか世の中には出てきませんよね。そこの中に、そういった日本人の大事なことは書かれていなくて、こっちの、いわゆる企業が出しているコンフィデンシャルのほうの資料にしかないことを、ここで言っていますよね。それは国民に公表しなくていいのですか。

○医薬品医療機器総合機構 CTDも公表される資料となっております。

○菊池委員 こっちも公表されるのですか。

○医薬品医療機器総合機構 はい、公表されます。

○菊池委員 分かりました。それならいいですけれども、ただ報告書として出すのであったら、いつもこだわっていますけれども、やはりこれは日本人のためにやっている、海外の資料とかの判断は、もちろん海外で終わっているわけですから、日本人に対しての突っ込みが足りないのではないかと、ずっと思っているわけです。

 今回、審議事項の1のほうはまだいいですが、2のほうはまた意見を言いますから、2の方も準備されていたほうがいいと思います。やはり足りないと思うのですよね。少ないながらも今回はやはり安全性のことはいろいろ調べられていて、いいかなと思うのですが、この再発と又は難治性のと言っているのですから、それぞれでどうだったということがあって、それでもって効能・効果で認めていけるのだというようなことを言わないといけないかなと思ったのですが、いかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 ご意見ありがとうございます。今後の検討課題とさせていただきたいと思います。

○菊池委員 あと、細かいところで、葉酸代謝とか、その辺に関わる薬ですよね。そうすると、多分、本当は葉酸とかビタミンB12がちゃんとあるかないかのことについては、調べたりするのも血液内科だと当たり前かもしれませんが、それは添付文書のところに初めからしっかり投与しろとか書く必要はありますか。どこかに書いてありますか。

○医薬品医療機器総合機構 資料の1.8のタブに添付文書がありますので、そちらを御覧ください。5ページに用法・用量に関連する使用上の注意が記載してあります。この5番目に、「本剤による副作用を軽減するため、以下のように葉酸及びビタミンB12を投与すること」と記載しておりまして、添付文書で注意喚起しております。

○菊池委員 分かりました。ここまで読めばということですけれども、そのようなことをちょっと思いました。あとは商品名は忘れてしまいましたが、3月の審議事項のときのレナリドミドというサリドマイドの誘導体、あれもこのPTCLに効果があるはずですよね。と言うか、その効能でなかったですか。

○医薬品医療機器総合機構 2月部会のムンデシン(フォロデシン塩酸塩)でしょうか。

○菊池委員 そちらでしたか。違いましたか。

○医薬品医療機器総合機構 レナリドミドは多発性骨髄腫のほうになります。

○菊池委員 そちらでしたか、何かほかの。

○医薬品医療機器総合機構 1月部会のレナリドミドは、ATLでした。

○菊池委員 何かPTCLに効く薬はなかったでしたか。

○医薬品医療機器総合機構 PTCLでは、ムンデシンというものがありました。

○菊池委員 そうすると、今回それは競合薬になっていましたか。ないですよね。

○医薬品医療機器総合機構 はい。競合品目を出した時点で承認されていない品目でしたので載せておりません。

○菊池委員 そうなると思うのですけれども、当然ですが承認された薬ですから、それとの対照表というのは比べて御覧になっていますか。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○菊池委員 何か問題とかありますか。

○医薬品医療機器総合機構 問題ですか。

○菊池委員 問題と言うか、実臨床の場で、例えばどちらも使っていいわけですから、血液内科の先生ならどちらを使うというのが分かるのでしょうけれども、単純な効能・効果から見た場合は全く分からないですよね。それでそれぞれの薬の特徴があって、使い方に差があるわけだと思うのですけれども、患者さんにも添付文書は公開されるわけであって、効能・効果でそれぞれをやったら多分ヒットしない、昨日やってみたけれどヒットしなかったのです。私、夜中にやってみて、何かあったけれど思い出せなくて、何だったかなと思っていたので、今ちょっとひらめいてしまったのがレナリドミドだったので、それは間違いだったのですが、その辺りの配慮は何かしますか。

○医薬品医療機器総合機構 比較ができるようにということでしょうか。

○菊池委員 いや、ですから、同じ効能・効果で最近出た薬であって、かつこれは希少疾患ですから、そういうことの使い方に迷うことはないのかなと思っただけです。

○医薬品医療機器総合機構 基本的には医師が処方されることだと思いますけれども、ムンデシンとの違いにつきましては、実はムンデシンとジフォルタはムンディファーマという同じ会社の薬剤でありますが、前者は経口薬で、後者は静注という投与経路の違いもあります。また、添付文書や審査報告書により、それぞれの薬剤の有効性や安全性について確認いただけると思いますので、そのような内容に基づき判断いただけるかと思っております。

○菊池委員 分かりました。

○半田委員 二つばかりお聞きしたいのですが、第1点は諸外国の承認状況ということで、審査報告書の5ページの1.2にありますけれども、米国ではすぐに迅速承認されたのですが、EUでははねられたと。かかる希少疾病用医薬品に関しては、今回のところもそうなのですが、承認は妥当かなと思うのですが、どうして、ここに書いてあるのは対照群を設定していないということではねられたのですが、これだとちょっと希少疾病用医薬品としておかしいかなと思うのです。それは何かほかにあるのですか。リスクとベネフィットということが書いてあるので、それがちょっと気になりました。

○医薬品医療機器総合機構 リスクとベネフィットと書きましたのは、EUでは、ご指摘いただきましたとおり、対照群を設定した試験でなければベネフィットを評価できないというような判断が下されたと聞いています。我々としては、PTCLは希少な疾患であることも考慮し、今回の試験成績で評価することは受入れ可能と考えているのですが、EUでは本剤に限らずPTCLに対して、再発又は難治性の患者さんであっても比較試験を要求しているという状況と認識しております。

○半田委員 もう1点、先ほどちょっと御指摘があったのですが、葉酸拮抗剤ということで、審査報告書の32ページのところに、日本の試験と米国の試験、JP1と008試験の有害事象の比較ですよね。特に一般的に一番気になるのは口内炎ということなのですけれども、大体Grade3以上も、両方とも同じぐらいの割合で出ていると。それ以外の血球減少症に関しては、例えば血小板減少症はGrade3以上であっても、008試験のほうが低いのですよね。

 ところが先ほどビタミンB12と葉酸のレスキューのプロトコールがあるということで、むしろ日本の試験のほうがきちんとレスキューがされているということが一応記載されて、米国の試験は初期のこともあるので一概にレスキューはされていないと。でも結果的には逆に008試験のほうが有害事象は低いということなのですが、ここに書いてあるB12と葉酸のプロトコール自体は、本当に科学的根拠はあるのかどうかということを、ちょっとお聞きしたいのですが。

○医薬品医療機器総合機構 まず、ビタミンB12と葉酸の使用について、プロトコールでの規定は、JP1と008で異なっており、008試験ではすべての患者において本剤投与前から投与するという規定にはなっていませんでしたが、実際には投与されていた患者もいたという状況でしたので、試験により使い方が著しく違ったという状況ではないと認識しております。

○半田委員 ただ、そうしますと、割合としては欧米のほうが副作用は少ないのですよね。もちろんこれはn数が少ないですので、ですからその辺が日本人に特有なのかなというところですかね、粘膜が弱いというのは。どうなのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 日本人の検討症例は25例と少なく、違いがあるかの検討には限界があると思います。明らかに異なる傾向が認められているとは思っていないのですが、安全性プロファイルについては、製造販売後調査の中で引き続き検討するようにしたいと思っております。

○奥田部会長代理 ほか、ありますでしょうか。

○浦野委員 一つ伺いたいことがあります。皮膚障害が比較的高いということと、この製剤の色を見ると黄色い色が付いているので、普通の可視光の吸収もあるということで、光線過敏とかが起きる可能性があるかなと思って、この表を見るとほとんどそれはないという結論で、実際のエビデンスはそうだからいいかなと思ったのです。

 ただ、ちょっと分からなかったのが、米国の添付文書では皮膚障害にはかなり厳しいコメントが書いてあって、死に至るかもしれないような障害が起きるということが書いてあるのに対して、日本のほうはそこまでは書いていない。そこは米国のほうがどういう判断で、このような記載になったか分からないのですが、その文章の記載の違いについて、ちょっと教えていただけますか。

○医薬品医療機器総合機構 皮膚障害については、死に至ると書かれているのは、TENが発現している点が米国で注意喚起なされている内容だと思っております。その点については日本としても同様に考えており、重大な副作用の項において記載しておりますので、注意喚起の内容が大きく違うという認識はございません。

○浦野委員 注意喚起は違うという認識ですか。

○医薬品医療機器総合機構 違わないという認識です。

○浦野委員 資料1.6外国使用状況等の、米国のほうがちょっと特殊かもしれないですが、5.3だけえらい厳しいことが書いてあって、ほかは重篤な程度なのですが、その違いがどこから来るのだろうというのが、私は008試験のことをちゃんと分かっていないのですけれども、何かそういう強いエビデンスがあって、米国ではこのように書かれていて、JP1試験では出なかったから書かなかったという考え方なのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 このTENが発現したのは008試験ではなくて、海外の製造販売後になりますので、そういった状況を踏まえまして、これまでの添付文書において同じような状況で注意喚起している内容も確認した上で、本邦の添付文書では提示している注意喚起が妥当と判断をしております。

○浦野委員 分かりました。

○奥田部会長代理 では川崎先生、お願いします。

○川崎委員 先ほど分子量の訂正がありましたが、私も事前に資料を見て気になっていました。添付文書やCTD2でも447になっていますので訂正をお願いします。JAN通知に分子量が記載されていれば確認できたのではないかと思いました。

 関連して、申請書の8ページ目、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□。□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□。□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□。□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□。

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□。□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ があるかもしれないと思いました。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございました。申請書につきましては、これまでどういった記載をしているか等も含めて、確認した上で検討させていただきたいと思います。

○奥田部会長代理 他に先生方から御意見はありますでしょうか。

○舘田委員 これは35ページの一番下に、ニューモシスチス・ニューモニアに対してのST合剤の予防投与を認めるというような記載があるのですが、本剤も葉酸拮抗ですし、STも葉酸拮抗剤であるときに、それを両方とも投与された場合に、本剤の作用に対して、相乗効果的に作用するのか、あるいは抑制的に作用するのか、その辺のところの考察はどのようになっているのですか。

○医薬品医療機器総合機構 機構から説明いたします。JP1試験は25例中19例で、ST合剤が使用されていた状況での結果が提示している結果です。使用されていた患者と使用されていなかった患者での有効性及び安全性を比較した結果を申請者に提出いただきまして、使用の有無により大きな差はないことを確認しておりますので、ST合剤を使用することによる影響はないのではないかと思っております。

○奥田部会長代理 よろしいでしょうか。他は何かありますでしょうか。ありがとうございました。それでは、議決に入らせていただきます。なお、中野委員、渡辺委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 それでは、議題2に移ります。議題2について、機構から概要の説明をお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 議題2、資料2、医薬品ザーコリカプセル200mg他の製造販売承認の可否等について、機構から説明します。c-ros oncogene1、以下「ROS1」と略させていただきますが、ROS1融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌においては、ROS1融合遺伝子が発癌、腫瘍細胞の生存や増殖に寄与する重要な原因遺伝子であると考えられております。本剤の有効成分であるクリゾチニブは、ROS1のチロシンキナーゼを阻害することにより、ROS1融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌の増殖を抑制すると考えられています。現在、本剤は、ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌に対して承認されております。

 今般、本剤は、ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌を効能・効果として承認申請されました。なお、本剤は、平成28年8月の当部会における審議を経て、希少疾病用医薬品に指定されております。平成29年1月時点において、本剤はROS1融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌に係る効能・効果にて、34の国又は地域で承認されております。

 本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料8にありますとおり、4名の委員です。以下、臨床試験成績を中心に審査の概略を説明いたします。

 今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、国際共同第II相試験であるOO12-01試験が提出されました。有効性については、審査報告書9ページの上から6行目以降、10ページの上から7行目以降及び20ページの上から13行目以降を御覧ください。ROS1融合遺伝子陽性の進行・再発の非小細胞肺癌患者を対象としたOO12-01試験において、主要評価項目とされたRECIST ver1.1に基づく中央判定による奏効率について、閾値奏効率を有意に上回ったこと等から、本剤の一定の有効性は示されたと判断いたしました。

 安全性については、審査報告書11ページの上から2行目以降及び20ページの下から12行目以降を御覧ください。本剤の使用時に特に注意すべき有害事象として、間質性肺疾患、視覚障害(複視、光視症、霧視、視野欠損、視力障害、硝子体浮遊物等)、肝機能障害、血液障害、ニューロパチー、QTc延長、徐脈、血栓塞栓症、光線過敏症、複雑性腎嚢胞及び心不全が認められております。これらの有害事象については、癌化学療法に十分な知識と経験を持つ医師による慎重な観察と適切な処置がなされることに加え、間質性肺疾患等の重篤な有害事象に対する厳重な注意と患者教育を含めた適切な安全管理がなされるのであれば、忍容可能と判断いたしました。

 ただし、日本人における検討症例は限られており、製造販売後には、使用成績調査の実施が必要であると判断しております。

 以上のような審査の結果、機構は、ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、今回追加する効能・効果等に対して、再審査期間は10年と設定することが適当であると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○奥田部会長代理 それでは、委員の皆様から御質疑、御意見をお願いします。

○渡辺委員 今の御説明のように、審査報告書に沿って見ていくわけですね。そうすると、OO12-01試験を基に審査したと書いてありますので、ページをめくっていくと、9ページにOO12-01試験の概要が書いてあるのですが、この127名の中に日本人は何名かと思って見ても、ここには全然書いていないのです。いらいらして見ていっても、ここには書いていなくて、一番最後の「臨床に関する概括評価」にOO12-01試験や、その他のアメリカで行われた808100試験などが書いてあるのです。「臨床に関する概括評価」の19ページに、OO12-01試験はまだ「実施中である」と書いてあって、次のページには8081001試験も「実施中である」と書いてあるのです。論文になっているのは81001試験で、『The New England Journal of Medicine』の44番の引用文献だということは分かりますが、OO12-01試験は論文にはまだなっていないのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 論文は出されていないと思っております。また、有効性の主解析は終了しているのですが、その後、患者をずっとフォローアップしているので、試験としては継続中という記載になっております。

○渡辺委員 私たちの感覚では、論文になっていないインマチュアなものは、まだデータとして不十分ではないかといつも考えているし、厚生労働省は製薬企業に対して論文になっていないものを発表してはいけない、討論してはいけないような指導をしています。それは正しいと思いますが、もし機構がこのデータをこのような形で審査に使うならば、早く論文を出せと、この実施者は製薬企業ではなく、第三者みたいな民間の企業でやった試験のようですが、そういう所に働きかけるなりして、ある程度フィックスしたデータとして誰でも評価できる形に、パブリッシュしてから評価できるような形にすることが望ましい。そうでなければいけないと思うのです。だからと言って、それに余り時間を掛けすぎるのは、国民に重要な薬剤を届けるのに遅くなってしまうのならば、実施者に早く論文にしろという働きかけをしなければいけないと思うのです。それはいかがでしょうか。ここで言うのは余り適切ではないでしょうか。

○医薬品審査管理課長 医薬品の承認申請に用いる臨床試験については、御存じのように治験という形で行われております。その治験については、医薬品医療機器法の規定に基づいてGCPの規制を掛けるとか、承認申請が行われれば機構からGCPの適合性について査察調査を、医療機関も含めて立ち入って行っております。そういうこともありますので、少なくとも医薬品の承認申請に用いられるデータについて公表しなければいけないとか、論文発表がなされていなければいけないという規制は、現在はありません。

○渡辺委員 規制がないというか、そうすると、一般国民は知り得る立場にないわけですね。それよりも、パブリッシュするという意義をもう少し考えていただいたほうがいいと思うのです。

○医薬品審査管理課長 以前は、こういった医薬品の承認申請に使われた臨床試験の成績も公表を指導していたという事実はありますが、現在のところ、こちらから公表するように強制をするようなことはしておりません。ただ、おっしゃるように、新規の医薬品の開発を行う過程で実施された臨床試験は、その結果についても非常に新しいものであれば当然公表されていくだろうと思っておりますが、規制として必ずということはしていないということで御理解いただきたいと思います。

 加えて、承認をされた後には、ここで今御覧いただいている資料についても、個人情報や企業秘密に当たる所を除いて公表しております。これは機構のホームページを御覧いただければ、承認後には御覧いただけるようになっております。

○渡辺委員 それは十分理解しておりますが、要するにルールの範疇では問題ないけれど、ある程度のサイエンティストのマナーとして、パブリッシュすることの意義をもう少し考えるようなカルチャーにしていただきたいということです。

○奥田部会長代理 社内資料のような形で、アクセスができないものは医療現場で困ることは多々あると思いますし、公表を指導していたのをやめられたという理解をされたので、その辺りはこの場で話すことではないかもしれませんが。

○審議官 若干、昔の歴史的経緯のある話なので、少し補足の解説をさせていただきます。渡辺委員がおっしゃっている、申請資料を、ちゃんとパブリッシュされたJournalに掲載されたものを出しなさいという指導をかつてやっていたのは、実際に臨床試験で行われたデータがちゃんとしたPeer Review Journalでレビューを受けて、その科学的な内容について第三者がきちんと評価したことをもって、申請された資料の科学的レベルを担保しようということを何十年か前に考えて、そのような要件を課して申請資料の要件にしていました。これは事実です。

 ただ、どうしてもJournalにパブリッシュされる場合のパブリケーション・バイアスが一方にはありますし、Journalに掲載できるデータの内容については、どうしても紙面の都合等があって十分なデータが出し切れないという限界もありました。

 その後、実際にFDAが審査をしているときの審査内容、ヨーロッパも日本もそうですが、それぞれがインターナルな審査をきちんとやっていく中に、GLPやGCP、それぞれ科学的なデータの品質を保証するための国際的に共通する基準が作られ、その基準に適合していることをそれぞれ確認するというやり方をしながら、一方では企業にとっても財産である知的所有権に一定の配慮をしながら、科学的な水準を担保することを、各国がやってきているという経緯があります。

 そうしたことを前提にした上で、委員がおっしゃるように、審査に使ったデータが一体どんな内容だったのかということをできるだけ公表しなさい、するべきだと。これもまた大事な話です。現在、日本では、今審査をする場に出している、CTDのモジュール2というこの審査資料の概要の部分、今日の資料の「2.5臨床に関する概括評価」の部分が、基本的にはほぼマスクなしで機構のホームページにそのまま掲載されます。

○菊池委員 あまり確実に出ていないと思います。私も探してみて、2.5の部分が出ていないものが結構あります。調べてみると2.5の部分がなくて、機構のホームページは確かに最近改正されて、審議資料の部分がかなり出るようになりましたが、CTDの2.5はあまり出ていないと思いますので、御確認ください。

○審議官 その点の御指摘については精査しますが、基本出すようになっています。ただ、掲載までのマスキング作業に時間が掛かって、もたもたしているものが一方にはあるということも過去にありましたので、そういった時間差的な理由で未掲載のものがあるという場合はあると思います。したがって、現時点ですぐさま見られないものがあるということは、恐らくあると思いますが、基本的に日本の資料の公表の仕方に関しては、FDAやヨーロッパのEMAよりも、実際に資料に使ったものをWebに掲載することについては最も進んだやり方をしていることは事実です。それが不十分だという指摘を受けるものも個別にはあると思いますので、それについてはできる限り公表させるということでこれまでも指導してきておりますし、これからもそのようにしていく方針でいると思います。

 ただ、繰り返しになりますが、できるだけパブリッシュされたものもあったほうが分かりやすいという話については、全く異存はありませんので、この件に関しても渡辺委員が御指摘のように、せっかくこういうスタディをやっているのだから、きちんとパブリッシュされた格好で見たいという御指摘もありましたので、それは企業にきちんと伝えて、しかるべき努力をしなさいという指導をしていくということで対応したいと思います。背景があって、現状がどうなっているかについて、少し長くなりましたが御説明いたしました。

○奥田部会長代理 よろしいでしょうか。本件に関して、他に御質問等はありますか。

○菊池委員 くどいようですが、この資料が届いたのも金曜日の夜ぐらいで、そうすると、我々の手元に届くのは月曜日なのです。それからこれを読んで、読むときは最初から読みますから、後ろのほうから読むのは裏技です。審査資料として出しているものは、何度も言いますが、今回渡辺委員がおっしゃってくださったので、二度続けて言わなくて済みましたが、ここの26名の詳細な部分が分かっているのに書いていないこと自体、姿勢に問題があると思うのです。これは今からでも変えないと、この次からやるとか、そういう悠長なことを言っていては駄目で、それはこの中にいる委員の連帯責任になってしまうと思って、いつもカリカリ怒っているようにしているわけです。

 そういう意味で申し上げているわけで、先ほどの分子量のこととか、恐らく皆さん専門的な所について見てくださっているはずであって、それは機構をいじめているわけではなくて、エラーがあってはいけない部分を、あなた方は8月からこれを見ているから、どこに何があるか試験勉強と同じぐらい分かるはずです。それは当たり前だと思います。しかし、我々は1週間もたたないうちに見て文句を言っているので、そこは理解していただきたいし、そうであれば分かっているときからどんどん送ってください。そうすればもっと余裕を持って見ます。本当にいらいらしますよ。普通の仕事があって、私などは実臨床をやっていますから、ほかの患者を診たりしているわけです。そこでこれが届いて、何も言わないでいるのもあれかなと思って言うわけで、今回もあった添付文書のことですが、審議事項の2のほとんどが、大事な所が社内資料になっています。審議事項1については言い忘れましたが、引用文献はまだありません。出るときにちゃんと新しく書いて出すのでしょうけれども、添付文書()には書いていないと思うのです。そういった所もしっかりしなければいけないし、例えばこの薬はROS1が追加になった段階でもっと新しい知見が入っているわけですから、社内資料となっている部分を刷新して書くぐらいのことがあっていいのではないかと思います。企業を弁護するようですが、社内資料を取り寄せると、ほかの社内資料の後ろでちゃんとした文献を引用しているので、派生して派生するから書けませんというのがその意味だとは思いますが、そこのコアな部分をパブリッシュしていける所を出す必要があるのではないかと思います。

○医薬品医療機器総合機構 1点、補足します。先ほど渡辺委員からも御指摘いただいた点について、日本人の有効性・安全性に関しては必ず審査報告書に記載させていただいております。具体的には、有効性については10ページの「7.R.2.2」と書かれた部分に記載させていただいております。

○菊池委員 書いてあるのは分かっているのです。ですから、分かっていることをなぜここに書かないのかと言っているのです。この表のCRの所に、2、15、4、4、1と書けばいいということを言っているのです。2.5の25ページにそう書いてありますね。それを、なぜここに書いていないのかと言っているのです。日本人の安全性について書いていないことなんてあり得ないでしょう。

○医薬品医療機器総合機構 記載方法につきまして、より分かりやすいように検討させていただきます。

○渡辺委員 ついでに、イレッサの話から派生して、日本人のEGF Receptor mutationの頻度が欧米人と違うという話から、日本人ではということでフォーカスされていると思うのです。逆にアジア4か国、中国、韓国、台湾、日本で127例やっているとなると、エスニック・グループというか、同じようなグループだから、日本人もと、あえてこだわらなくてもいいような気もするのです。その辺りが、取り分けJapaneseNon-Japaneseとで国際共同治験が検討されることがありますが、Asian studyとしてこのデータを、例えばアジア人127人のデータとして、日本人に外挿できるという考えにはならないのでしょうか。

○審議官 アジア人全体としてどう評価したらいいかについては、EGFRのMutationの件で渡辺委員が御指摘になった点に関しては、それでコーケシアン(Caucasian)と比べてどうだという話が、違いがあるのだということが割と分かっているので、検討するときにアジア人ポピュレーションでどうだ、その中で日本人ではどうだというのをそれぞれ見てみて、同じだと、似ているという経験値を積み上げていく中で、これは一体で見てもいいのではないかという形で、議論としては進んでいくのではないかと、何年か前にそういう話をいろいろな所でしてきているのは事実です。

 アジア人としてまとめて見てもいいのではないかというのが、ターゲットになる遺伝子、あるいは薬剤、それによってはあり得るというところは、経験値としては積まれてきていますが、今回はROS1なので、そこがアジア人とコーケシアンでどう違っていて、更にアジア人の中の日本人でアジア人全体と似ているということなのかどうかという議論が、科学的にどうだったのかという御質問とすれば、それは機構にお答えいただきたいと思いますが、多分、EGFRのMutationの所ほど十分分かってきている世界にはまだなっていないのかなと理解しております。これは機構で審査の際に検討した内容としてどうだったかについて、補足があればしていただきたいと思います。

○医薬品医療機器総合機構 我々としても、今説明があったとおり、ROS1融合遺伝子陽性の非小細胞肺がんに関しては患者数が非常に限られていますし、臨床試験も日本人は26例ですので、その他の地域と一緒に扱ってもいいかどうか、まだ結論を出すのは難しいと思っております。

○奥田部会長代理 今の段階では仕方がないというか、こういうやり方でやらざるを得ないという御説明かと思います。

 他に何か御質問等はありますか。ないようですので、議決に入ります。なお、舘田委員、山本委員、渡辺委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 それでは、報告事項について説明をお願いします。

○事務局 報告事項、議題1「医薬品ゾシン静注用2.25、同静注用4.5及び同配合点滴静注用バッグ4.5の製造販売承認事項一部変更承認について」です。資料3を御覧ください。本剤は、βラクタマーゼ阻害薬であるタゾバクタムとペニシリン系抗菌薬であるピペラシリンを1対8の比率で配合する注射剤であり、現在は敗血症、肺炎、腎盂腎炎、複雑性膀胱炎等の一般感染症及び発熱性好中球減少症に係る効能・効果で承認されております。今般、大鵬薬品工業株式会社から、「適応外使用に係る医療用医薬品の取扱いについて」(平成11年2月1日付厚生省健康政策局研究開発振興課長、医薬安全局審査管理課長の連名通知)に基づき、いわゆる公知申請として「深在性皮膚感染症、びらん・潰瘍の二次感染」に関する適応症を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断しました。

 報告事項、議題2「医薬品カイプロリス点滴静注用10mg及び同点滴静注用40mgの製造販売承認事項一部変更承認について」です。資料4を御覧ください。本剤は、20Sプロテアソーム活性に対する阻害作用を有する抗悪性腫瘍剤であり、現在は「再発又は難治性の多発性骨髄腫」の効能・効果で、レナリドミド水和物及びデキサメタゾンとの併用に係る用法・用量で承認されております。今般、小野薬品工業株式会社から、デキサメタゾンとの併用に係る用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断しました。

 議題3、資料5「優先審査指定品目の審査結果について」です。初めに、配布資料に誤記がありましたので訂正します。資料5の表紙に、医薬品の一般名として「グレカプレビル水和物/プビレンタスビル」と記載しておりますが、正しくは「グレカプレビル水和物/ピブレンタスビル」です。お詫びの上、訂正させていただきます。

 優先審査の取扱いについては、資料の2ページに概要をお示ししております。この制度は、医薬品医療機器等法第14条第7項の規定に基づき、希少疾病用医薬品やその他医療上特に必要性が高いと認められる品目を指定し、ほかの品目に優先して審査を行うものです。その指定に当たっては、適応疾病の重篤性、医療上の有用性を総合的に評価して判断することとしております。

 1ページに戻ります。対象品目は、販売名「マヴィレット配合錠」、一般名「グレカプレビル水和物/ピブレンタスビル」。申請者はアッヴィ合同会社です。C型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善に係る効能・効果で承認申請がなされております。事前に取りまとめられた機構の報告書に基づき、当該薬剤の優先審査の該当性について御説明します。

 5ページです。適応疾患の重篤性については、当該疾患は、「ア 生命に重大な影響がある疾患(致死的な疾患)」に該当すると判断されております。

 医療上の有用性について御説明します。優先審査の指定をした時点においては、genotype3~6に対するインターフェロンフリーの治療法は存在しておりませんでした。

 7ページ、表3を御覧ください。本剤は、国内外の第III相試験において、全てのgenotypeに対して有効性が期待できる結果が得られております。また、安全性については、現時点で得られている情報を踏まえると忍容可能と考えられることから、本剤は、「イ 有効性、安全性、肉体的・精神的な患者負担の観点から、医療上の有用性が既存の治療法、予防法若しくは診断法より優れていること」に該当すると判断されております。

 以上を踏まえ、当該薬剤は優先審査品目に該当すると判断しました。当該薬剤の承認の可否については、今後、機構での審査を経た後に、改めて本医薬品第二部会において御報告する予定です。

 議題4、資料6「医療用医薬品の承認条件について」です。資料6は、トリーメク配合錠に係る承認条件に係る評価報告書です。評価報告書1ページを御覧ください。「ドルテグラビルナトリウム/アバカビル硫酸塩/ラミブジン」を有効成分とする医薬品トリーメク配合錠は、平成27年3月にHIV感染症の効能・効果で承認されており、その際、中ほどの承認条件の項に示している承認条件が付されております。この承認条件のうち、下線を引いている5.の条件に対応するものとして、この度、ヴィーブヘルスケア株式会社から、日本人健康成人男性を対象として、本剤投与時のドルテグラビルナトリウム、アバカビル硫酸塩、及びラミブジンの薬物動態を評価することを目的とした国内製造販売後臨床試験に係る報告書が提出され、機構において評価がされましたので御報告します。

 2ページ、2.提出された資料の概要です。本試験は、平成2710月6日から開始され、11月6日までに12例が登録され、当該情報を基に調査結果がまとめられました。

 3ページです。本試験で得られた日本人健康成人での薬物動態パラメータと海外臨床試験で得られた外国人健康成人における薬物動態パラメータを表1に示しております。日本人では、外国人と比較してドルテグラビルのばく露量は高値を示しましたが、アバカビル硫酸塩及びラミブジンの薬物動態パラメータに、日本人と外国人で明らかな差は認められませんでした。また、安全性について、有害事象は認められませんでした。

 5ページ、3.機構における評価の概要です。機構において、本試験で収集された薬物動態及び安全性に関する情報を確認した結果、現段階で追加の対応が必要となる問題は生じていないと判断しております。

 以上を踏まえ、製造販売後臨床試験が適切に実施され、日本人における薬物動態は明らかにされたと考えられることから、承認条件5は対応されたものと判断しております。報告事項に係る説明は以上です。

○奥田部会長代理 ただいまの4議題について、御質問等ありましたらお願いします。

○中野委員 ゾシンについて確認させてください。用法・用量の追加で、適応症に「深在性皮膚感染症、びらん・潰瘍の二次感染の場合」が公知申請において追加されたとお聞きしました。その他の疾患は小児の用法・用量が通っておりますが、これに小児の用法・用量の記載がないのは、小児の使用に関しては、今、医学薬学上公知であるレベルには達していないということで、記載がないという理解でよろしいでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 そのような御理解で結構です。

○奥田部会長代理 他にありますか。よろしいでしょうか。

 それでは、報告事項については御確認いただけたものといたします。本日の議題は以上です。事務局から何か報告はありますか。

○事務局 次回の部会は、5月30()午後5時から開催する予定ですので、よろしくお願いいたします。

○奥田部会長代理 それでは、本日は議題が少なかったのですが、これにて終了させていただきます。どうもありがとうございました。


(了)

備  考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬・生活衛生局 医薬品審査管理課 課長補佐 清原(内線2746)

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