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2017年3月28日 第47回中央最低賃金審議会 議事録

労働基準局

○日時

平成29年3月28日(火)
10:30~11:00


○場所

厚生労働省省議室(9階)


○出席者

【公益委員】

仁田会長、戎野委員、鹿住委員、武石委員、中窪委員

【労働者委員】

木住野委員、須田委員、冨田委員、新沼委員、萩原委員、松井委員

【使用者委員】

小林委員、高橋委員、中西委員、横山委員、吉岡委員

【事務局】

山越労働基準局長、藤澤大臣官房審議官、増田賃金課長、川田代主任中央賃金指導官
伊勢中央賃金指導官、由井賃金課長補佐、大野賃金課長補佐

○議題

中央最低賃金審議会目安制度の在り方に関する全員協議会報告について

○議事

○仁田会長
 それでは、ただいまから第47回中央最低賃金審議会を開催いたします。本日は、お忙しいところを御出席いただきまして、誠にありがとうございます。本日、土田委員、渡辺委員は御欠席でございます。目安制度の在り方に関する全員協議会につきましては、平成26年6月に中央最低賃金審議会から付託を受けたあと、計19回にわたって審議を重ねてまいりました。本日、全員協議会報告として取りまとめが行われました。お手元に全員協議会報告を用意しておりますので、事務局から読み上げていただきます。では、よろしくお願いします。


○伊㔟中央賃金指導官
 それでは、報告を読み上げますので、御確認のほど、よろしくお願いいたします。
 中央最低賃金審議会目安制度の在り方に関する全員協議会報告(平成29年3月28日)。中央最低賃金審議会目安制度の在り方に関する全員協議会(以下「全員協議会」という。)は、平成26年6月18日の中央最低賃金審議会において、現行目安制度の見直しについての付託を受けた後、主として、1 目安制度の意義、2 ランク区分の在り方、3 目安審議の在り方、4 参考資料の在り方の4つの課題について、最低賃金を取り巻く状況の変化も踏まえ、目安制度の原点に立ち返って鋭意検討を重ね、下記のとおり全員協議会報告として取りまとめたので報告する。
 記、1 目安制度の意義について。(1)目安制度の原点に立ち返った検討。目安制度の見直しの検討に当たっては、平成23年の全員協議会報告において引き続き検討することとされた事項及び全員協議会で新たに提示された問題・指摘を踏まえ、地方最低賃金審議会会長や有識者からの意見も聴取しながら検討を行い、平成27年5月に論点の中間整理を行った(別紙1)。別紙につきましては、省略させていただきます。以下別紙が出てくる所につきましては、同様に省略させていただきます。
さらに、その後のランク区分の在り方の検討の過程において、ランク区分が目安制度の運用の基本に関わる部分であり、もう一度原点に立ち返って議論すべきである、また、関係者の理解と信頼を得るべく慎重に検討すべきであるとの意見があったことを踏まえ、目安制度の必要性について、改めて地方最低賃金審議会委員の意見を聴取しつつ、目安制度の原点に立ち返って慎重に検討を積み重ねた。
 (2)目安制度の必要性について。目安制度については、地方最低賃金審議会委員の意見も踏まえて検討した結果、その運用に当たっての課題が指摘されるものの、最低賃金額の改定について、できるだけ全国的に整合性ある決定が行われるようにすべきであること、また、制度として定着し、地方最低賃金審議会の円滑な審議に重要な役割を果たしていることから、47都道府県をいくつかのランクに区分した上で目安を提示することの必要性について改めて確認した。
 2 ランク区分の在り方について。(1)指標の見直し。ランク区分については、平成7年の見直しにおいて、賃金動向を始めとする諸指標を総合化した指数(以下「総合指数」という。)を各都道府県の経済実態とみなし、各都道府県の経済実態に基づき各ランクへの振り分けを行うこととし、当該諸指標については、各都道府県の経済実態を示す指標のうち特に最低賃金に関係が深いと考えられるものとして20指標を選定した。
その後の全員協議会(平成12年、平成16年及び平成23年)においては、上記の基本的な考え方を踏襲し、見直しを行ってきた。
今回のランク区分の見直しに当たっては、ランク区分の基礎となる諸指標について、近年の統計調査の新設・改廃の状況も踏まえ、所得・消費に関する指標について都道府県全体の状況を捉えるものとなるようにするとともに、地域の労働者の賃金や企業の賃金支払能力をより的確に反映するよう、指標の安定性にも配慮しつつ、別紙2のとおり見直しを行った。具体的には、イ 所得・消費に関する指標としては、所得を示す代表的なものとして県民所得及び雇用者報酬、消費を示す代表的なものとして世帯支出、消費者物価及び家計最終消費支出の合計5指標とした。ロ 給与に関する指標としては、主として時間当たり給与(原則として所定内給与)をみることとし、規模計の給与(資料出所の異なる2指標)、小規模事業所の給与(1指標)、短時間労働者の給与(1指標)、規模計の低賃金層の給与(第1・十分位数)(一般及び短時間労働者の各1指標)、小規模事業所の低賃金層の給与(第1・十分位数)(1指標)、新規高等学校卒業者の初任給(1指標)、地域別最低賃金額の合計9指標とした。ハ 企業経営に関する指標としては、主要産業の生産性を示すものとして、製造業、建設業、卸売業・小売業、飲食サービス業及びサービス業のそれぞれの1事業従業者当たりの付加価値額の合計5指標とした。
上記の指標について、都道府県の経済実態の中期的な変化の的確な把握の必要性、数値の安定性等に鑑み、別紙3のとおり、これまでの算出方法を踏まえながら、原則として直近の5年間で得られた数値の平均値をとった上で、当該平均値について最大値となる都道府県を100とした指数を算出して単純平均し、東京を100とした総合指数を算出した結果、新しい総合指数は別紙4のとおりとなった。
 (2)新しい総合指数に基づくランク区分及び各都道府県の各ランクへの振り分け。上記の新しい総合指数の状況を踏まえると、いくつかのランクに区分することが必要である。
ランク数については、47都道府県の総合指数の差、分布状況に鑑みると、4ランク程度に区分することが妥当であり、各都道府県の各ランクへの振り分けについては、以下の考え方に基づき、別紙5のとおりとすることが適当である。イ 総合指数を順番に並べ、指数の差が比較的大きいところに着目する。ロ 各ランクにおける総合指数の分散度合いをできる限り小さくすることにも留意する。
なお、この総合指数は、全員協議会においてランク区分の見直しのための基礎データとして用いたものであることは、平成12年の全員協議会報告において示されたとおりである。
 3 目安審議の在り方について。(1)近年の目安審議の評価。近年の目安審議は、1 法の原則(最低賃金法第9条に定める地域別最低賃金の原則をいう。)、2 目安制度(これまでの全員協議会において合意を得た目安制度の在り方及び賃金改定状況調査等参考資料等を総称する。)を基にするとともに、それらの趣旨や経緯を踏まえ、3 時々の事情(時々の目安審議で中央最低賃金審議会目安に関する小委員会が踏まえた事情を総称する。)を総合的に勘案して行われている。
また、「生活保護に係る施策との整合性に配慮するものとする」規定が新たに加えられた最低賃金法改正法の施行を受けて、計画的に最低賃金の引上げが行われてきた結果、現行の比較方法において、平成26年度までに全ての都道府県で生活保護と最低賃金の乖離解消が図られたところである。
平成28年度の目安審議では、「ニッポン一億総活躍プラン」(平成28年6月2日閣議決定)等に配意した審議が行われるとともに、地方最低賃金審議会に対して中央最低賃金審議会目安に関する小委員会報告の趣旨等について、同小委員長の補足説明が行われた。
これらに対する意見として、目安審議に当たっては、最低賃金の水準が最低賃金法第1条に規定する法の目的を満たしているかどうかという観点から議論することが必要であり、賃金改定状況調査結果の賃金上昇率に基づく最低賃金の引上げ幅の議論のみではなく、最低賃金のあるべき水準を重視した議論が必要であるとの意見や、地域間格差の縮小に向けて目安を示すことを考えるべきではないかとの意見があった。
他方、近年、目安に占める時々の事情の比重が大きく、数値的な根拠が明確ではなくなっているという点から、目安に対する地方最低賃金審議会の信頼感が失われつつあるのではないか、との意見があった。
また、最低賃金の引上げに伴い影響率が上昇している中、中小企業の経営状況に与える影響を懸念する意見や、最低賃金引上げの影響について配慮すべきとの意見があった。また、地域別最低賃金の最高額に対する最低額の比率が低下してきたことについて配慮すべきとの意見があった。
 (2)今後の目安審議の在り方について。今後の目安審議については、公労使三者が、その真摯な話合いを通じて、法の原則及び目安制度に基づき、時々の事情を勘案しつつ総合的に行うことが重要である。その際、地方最低賃金審議会に対して目安の合理的な根拠を示すための努力など目安への信頼感を確保するための取組を一層進めていくことが必要である。
また、近年の最低賃金の引上げ状況を踏まえ、最低賃金引上げの影響について、参考資料の見直し等によりこれまで以上に確認していくことが求められる。
さらに、引き続き、利用可能な直近のデータに基づいて生活保護水準と最低賃金との比較を行い、乖離が生じていないか確認するなど、生活保護に係る施策との整合性に配慮することが適当である。
なお、目安審議に当たっては、真摯な議論により十分審議を尽くすとともに、効率的な審議にも留意すべきである。
 4 参考資料の在り方について。(1)賃金改定状況調査について。賃金改定状況調査については、適切に今日の経済や賃金の状況における実態を把握できているか検討すべきとの意見や、最低賃金近傍の労働者の実態を正確に反映するよう定期的に見直しを行うべきとの意見、業種の追加や配分、調査対象事業所の規模について改めて検討を行うべきであるとの意見があった。
今般の検討の結果、短期間に調査結果の集計が求められるという賃金改定状況調査の性格も考慮すると、調査対象事業所の選定について、当面は現行の方法を維持することが適当である。
 (2)その他参考資料の在り方について。中央及び地方最低賃金審議会の審議に当たっては、最低賃金法第9条に規定されている地域別最低賃金の決定に当たって考慮すべきこととされている、地域における労働者の生計費及び賃金並びに通常の事業の賃金支払能力に係る各種統計資料を収集・整備してきたところである。
これに対して、地方最低賃金審議会委員の意見聴取の結果も踏まえ、各種統計資料の棚卸しを行い、真に必要な資料を取捨選択すべきとの意見があった。また、地方最低賃金審議会の自主性を発揮できるよう参考資料の見直しを行うべきとの意見もあった。
参考資料については、経済社会状況の変化等も踏まえ、各種統計資料の取捨選択を行うとともに、下記(3)の最低賃金引上げの影響に係る資料を充実するなど、引き続き見直しについて検討することが必要である。
 (3)最低賃金引上げが及ぼす影響の検討について。最低賃金引上げが及ぼす影響については、新たに参考資料を追加することも含め、その影響をどのように評価するかに関して様々な意見があったが、中央最低賃金審議会として、例えば都道府県別の影響率や雇用者数の動向に関する資料など広く様々な統計資料等を注視しながら、当該影響について継続的に検討していくことが必要である。
 5 今後の見直しについて。目安制度の在り方については、平成7年の全員協議会報告において、今後概ね5年ごとに見直しを行うことが適当であるとされているところである。次回の目安制度の在り方に関する見直しの際には、ランク区分については、平成7年の全員協議会報告に復して5年ごとに見直しを行い、平成34年度(2022年度)以後は当該見直しの結果に基づいて目安審議を行うことが適当である。以上です。


○仁田会長
 ただいまの全員協議会報告につきまして、中央最低賃金審議会として了承することにしたいと思いますが、いかがでしょうか。


(了承)


○仁田会長
 ありがとうございました。それでは、この報告につきましては、追って事務局より各都道府県労働局宛てに伝達し、地方への周知を図っていただきたいと思います。
 最後に、山越労働基準局長より一言御挨拶をいただきたく思います。


○山越労働基準局長
 それでは、一言お礼の御挨拶をさせていただきたいと思います。この度は、全員協議会の報告を取りまとめていただきまして、本当にありがとうございました。会長がおっしゃいましたように、今回の全員協議会ですけれども、平成26年に開始されまして以来19回、大変真摯な御議論をいただきました。その中では、地方最低賃金審議会の御意見も伺いましたし、そういう中で非常に原点に立ち返って目安制度を議論・検討いただき、本日、報告として取りまとめていただいたということです。本当にありがとうございました。私どもとしましては、公労使三者構成の全員協議会で取りまとめられた報告ですので、今回の報告を重く受け止め、今後の私どもの最低賃金制度の運営に当たりましても、これを踏まえて、より運営が適切になるように進めていきたいと思っております。また、地方最低賃金審議会にも、この報告をお届けしたいと思います。今後とも最低賃金制度の運営につきまして、委員の先生方の御指導、御協力をお願い申し上げまして、私の御挨拶とさせていただきます。本当に、ありがとうございました。


○仁田会長
 どうもありがとうございました。それでは、以上をもちまして、第47回中央最低賃金審議会を終了いたします。本日の議事録の署名につきましては、萩原委員と吉岡委員にお願いしたいと思います。どうも、長期間ありがとうございました。

 


(了)
<照会先>

労働基準局賃金課
最低賃金係(内線:5532)

代表: 03-5253-1111

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