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2017年5月16日 第1回「勤務間インターバル制度普及促進のための有識者検討会」議事録

○日時

平成29年5月16日(火)17:00~18:20


○場所

厚生労働省専用第22会議室


○議題

勤務間インターバル制度を取り巻く状況等について(意見交換)

○議事

○企画官 それでは時間どおりにお見えになる方々につきましては、全てお揃いになりましたので、ただいまより「第1回勤務間インターバル制度普及促進のための有識者検討会」を開会いたします。委員の皆様方におかれましては、御多忙のところお集まりいただき、誠にありがとうございます。本検討会の進行について、座長が選出されるまでの間、事務局にて議事進行を務めさせていただきます。まず、本検討会の開催に当たりまして、大臣官房審議官の土屋から御挨拶を申し上げます。

○審議官 審議官の土屋でございます。局長が現在、国会方面の対応がございまして、到着が遅れておりますので、誠に恐縮でございますが、私から一言、冒頭に御挨拶を申し上げたいと思います。まず、何より皆様方には、大変御多忙の中、この検討会にお集まりを頂きまして、誠にありがとうございます。

 この検討会は、本年328日に決定をされました「働き方改革実行計画」に、勤務間インターバル制度普及促進に向けて、政府は労使関係者を含む、有識者検討会を立ち上げるということが盛り込まれたことを受けて、勤務間インターバル制度の実態の把握、導入促進を図るための方策などの検討を行うことを目的として、設置をさせていただいたものです。勤務間インターバル制度というのは、皆様御承知のとおり、勤務終了後、次の勤務までの間に一定時間以上を確保するというもので、働く方々が十分な生活時間や睡眠時間を確保しつつ、ワーク・ライフ・バランスを保ちながら、働き続けることができるようにするというためにも、重要な制度であると考えています。

 しかしながら、平成27年度に行った調査では、その導入率は2.2%と、非常に低い状況にあるわけです。本検討会では、勤務間インターバル制度をいかに普及、定着をさせていくかという観点から、また幅広い観点から、委員の皆様方のお知恵をいただきたいと考えております。委員の皆様方には、かったつな御議論を賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。

○企画官 続きまして、本検討会の委員の皆様を御紹介させていただきます。まず、学習院さくらアカデミー長の今野浩一郎先生です。続きまして、みずほ情報総研シニアコンサルタントの小曽根由実様です。高崎経済大学経済学部講師の小林徹様です。三井化学株式会社本社健康管理室長の土肥誠太郎様につきましては、所用で遅れる旨御連絡を頂いております。続きまして、日本労働組合総連合会労働条件・中小労働対策局長の大久保暁子様です。続きまして、情報産業労働組合連合会書記長の柴田謙司様です。全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会の中央執行委員の中村貴征様です。UAゼンセン政策・労働条件局長の松井健様です。日本食品関連産業労働組合総連合会事務局長の山本健二様です。続きまして、本田技研工業株式会社人事・コーポレートガバナンス本部労政企画部長の影田浩一郎様です。続きまして、ユニ・チャーム株式会社執行役員グローバル人事総務本部長の志手哲也様です。日本商工会議所産業政策第二部副部長の杉崎友則様ですが、本日は所用により御欠席され、代理で吉野陽様に御出席いただいています。続きまして、全国中小企業団体中央会労働・人材政策本部労働政策部長代理の菱沼貴裕様です。最後に、一般社団法人日本経済団体連合会労働法制本部長、輪島忍様です。なお、本日は御欠席なのですが、早稲田大学法学学術院教授、島田様にも御参加いただいております。以上15名となります。

 続きまして、事務局を御紹介させていただきます。先ほど申し上げましたように、労働基準局長の山越は現在、他の用務がありますので、それが終わり次第、こちらに参るかと思います。続きまして、大臣官房審議官の土屋でございます。同じく総務課長の村山につきましても、他の用務がございまして、後ほど参るかと思います。労働条件政策課長の藤枝です。申し遅れましたが、私、労働条件政策課企画官の花咲と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、本検討会の座長についてお諮りいたします。座長の選出につきましては、事前に事務局のほうで、委員の皆様にお伺いしたところ、今野先生を推す声を頂いております。今野委員にお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

                                   ( 異議なし)

○企画官 ありがとうございます。それでは、今野委員に座長をお願い申し上げます。

○今野座長 それでは、座長をやらせていただきます。よろしくお願いします。この検討会はインターバル制度の普及策を考えるということですので、皆様に活発に議論をしていただきたいと思います。

○今野座長 それでは、本日の議題に入りたいと思います。本日は、勤務間インターバル制度の取り巻く状況について、事務局から紹介をしていただき、それを受けて、第1回目ということもありますので、自由に議論をしたいと思いますので、よろしくお願いします。それでは、事務局から説明をお願いします。

○企画官 資料3「勤務間インターバル制度等を取り巻く状況等」を御覧ください。3ページです。この検討会が設置される契機になりました「働き方改革実現会議」について簡単に御説明いたします。働き方改革実現会議は、1億総活躍社会をひらく最大のチャレンジである「働き方改革」について、その実行計画の策定に係る審議を行うために開催されました。昨年9月から、全10回にわたり議論が行われまして、会議自体は、総理自らが議長、また働き方改革担当大臣や、私ども厚生労働大臣が議長代理として参加しており、そのほか関係大臣、有識者の先生方が参加して議論が進められたものです。

 続きまして、4ページです。働き方改革実行計画は、328日に決定されました。その中で、勤務間インターバル制度についての項目がございます。1つ目が、労働時間等の設定の改善に関する特別措置法を改正し、事業者は前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に一定時間の休息の確保に勤めなければならない旨の努力義務を課す。これが1点目です。

2点目、制度の普及促進に向けて、政府は労使関係者を含む有識者検討会を立ち上げる。これが本検討会です。

3点目、また、政府は同制度を導入する中小企業への助成金の活用や、好事例の周知を通じて取組を推進するとされています。

5ページです。先ほどの実行計画に書かれておりました1点目、設定改善法の改正にかかる部分につきまして、労働政策審議会労働条件分科会で議論が開始されております。これは先週金曜日、512日に開催されました労働条件分科会に提出された資料の抜粋です。労働時間等設定改善法及び指針に盛り込むべき事項としまして、事務局からの資料として、1つ目、設定改善法第2(事業主等の責務)を改正し、インターバル導入に関する事業主の努力義務規定を新設してはどうか。また2点目として、その上で同法に基づく指針に、労働者の健康確保の観点から、新たに「終業時刻及び始業時刻」の項目を設け、「前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に一定時間の休息時間を確保すること(勤務間インターバル)は、労働者の健康確保に資するものであることから、労使で導入に向けた具体的な方策を検討すること」を追加してはどうかという提案がなされております。これにつきましては、労使各委員の皆様から、特に異論はなかったということです。

 続きまして6ページです。順番がやや前後して恐縮ですが、労働時間等設定改善法について、簡単に御説明いたします。「労働時間等の設定に関する特別措置法」は、前身である、いわゆる時短促進法という、年間総実労働時間1,800時間を目指すための時限法があったのですけれども、それを労使の自主的な取組を中心とする基本的な性格はそのまま保ちつつ、平成17年に改正し、恒久法としたものです。労働時間等を設定する意義につきまして、資料の左側、1つ目の「労働時間等の設定の改善」という箱の下ですが、労働者の健康と生活に配慮するとともに、多様な働き方に対応したものへ改善していくことが重要であるというのが、基本的な考え方として据えられています。そのため、事業主は、労働時間等の設定の改善を図るため、必要な措置を講ずるよう努めなければならないと、条文に規定されていまして、先ほど御説明した、勤務間インターバル制度に関する努力義務を設けるというのも、ここの部分に入ってくるものです。

 続きまして下の箱、「労働時間等設定改善指針の策定」とあります。この労働時間等設定改善指針というのは、そこにありますように、事業主に課されている努力義務に、事業主が適切に対処できるように具体的に定めているものです。先ほど説明させていただいた、指針に勤務間インターバルに関する部分を追記するというのは、この指針に関することになります。

 続きまして7ページです。先ほど審議官からも御挨拶で触れさせていただきましたが、国内における勤務間インターバルの導入状況について、平成27年度の委託事業の中で調査した結果です。まず1つ目、導入状況です。勤務間インターバルを導入している企業は2.2%となっております。更に今後の導入意向についてお伺いしたところ、導入していない企業における今後の導入の意向につきましては、「導入する予定である」が0.4%、「導入の是非を検討したい」が8.2%、「導入の是非を検討する予定はない」が60.5%となっております。更に、導入企業におきまして具体的に定めているインターバルの時間について伺いましたところ、母集団は小さくなってしまうのですが、まず「7時間超8時間以下」が28.2%で最も多く、ついで「12時間超」が15.4%、「11時間超12時間以下」が12.8%となっております。

 続きまして、8ページ以降は、個別の企業における導入の状況につきまして、簡単に御説明したいと思っております。ユニ・チャーム株式会社様や、本田技研工業株式会社様からは、今後の検討会でも具体的に詳細なお話を伺いたいと思っているのですけれども、先ほどお配りした事例集の中から、私どもが非常に簡単にまとめる形で作成させていただいた資料です。簡単に御説明させていただきます。

 まず、事例1)ユニ・チャーム株式会社様です。卸売小売業の会社です。

 インターバル制度の開始時期は、今年の1月でいらっしゃるということです。インターバルの時間につきましては、最低限の義務としては8時間、更に努力義務として10時間と、更に長い目標を定めているということです。対象範囲は、子会社の社員や子会社に出向している社員を除く全社員ということです。関連規定の整備につきましては、まず就業規則に原則8時間以上の休息時間を確保する旨を規定されているということです。その上で、社内では10時間以上の休息時間を推奨されています。制度の導入に際して、導入した機器や設備について伺ったところ、勤怠管理システム(勤務表)を改修されたということです。

 導入に至る経緯については、9ページです。導入のきっかけにつきましては、国内の導入状況などの情報もあり、どのような企業が導入しているのかといったベンチマーク調査を行った上で、自社で取り入れるとしたら、どのような目的で導入し、更にどのような価値を提供できるかという観点から、労使協議を開始されたということです。

 その上で、労使間の合意形成の過程につきましては、働き方改革及び人事制度改定の話合いを行っている中で、グローバル人事総務本部から、労働組合に御提案されたということです。導入に当たりましては、半年から1年近くの時間をかけて労使で協議をされたということです。

 続きまして、導入に向けた準備です。導入に向けたというより、もしかすると定着や社内での浸透に向けての御準備ということかもしれませんが、パソコンの画面上に退社を促すメッセージを定期的に表示する仕組みにされているということです。また、e-ラーニングを用いて、社内に周知徹底を図っているということです。

 導入後の評価と課題について、まとめていただきましたところ、一人ひとりが健康で生き生きと働くことができる環境を創ることが目標である。一番難しいのは、顧客とのやりとりで、どうしても今日中にといわれてしまった場合に、どのように対応するかという点です。ただ、本当に厳しい納期が毎日あるわけではないので、守らなければいけない納期を限定し、それに向けて計画的に業務を遂行するため、上司を交えて時間調整をすることが重要であると考えているということです。今後につきましては、まず、勤務間インターバル制度を導入した反応をみて、内容の変更を加えていくことも大切と認識されているということです。

 続きまして、事例2)です。本田技研工業株式会社様です。製造業の会社です。まず開始時期ですが、1970年代ということです。なお、導入時は、勤務間インターバル制度というよりは、深夜業務における翌日の出社時間を調整する制度として導入されたということです。インターバルの時間につきましては、22時以降まで残業を行う場合、本社や営業の方は12時間、また、研究所では10時間、工場(製作所)では9時間30分から11時間30分ということにされているということです。このように、インターバル時間がそれぞれ異なるのは、仕事の特性や通勤事情を考慮した結果ということです。なお、12時間のインターバル時間をとった際に、標準労働時間の9時以降の出社となっても、9時から出社時間までの時間は勤務したものとみなしていらっしゃるということです。対象範囲は、例外規定なく全組合員としています。関連の規定の整備につきましては、労働組合と労使協定を締結されているということです。導入した機器・設備に関しては、御不明ということです。

 続けて11ページを御覧ください。導入のきっかけについてお伺いしたところ、この制度が導入されたのは、1970年代の初め頃であるということです。本田技研工業株式会社様では基本理念として「人間尊重」というものがあって、その理念を実現するために、創業当初より「よく働き・よく遊べ」という風土を大切にされています。また、運営方針にも「理論とアイデアと時間を尊重する」ということを掲げていらっしゃって、他社に先駆けて過去から、総労働時間短縮やメリハリのある働き方に積極的に取組を行ってこられたということです。そういった風土の中で、「翌日出社調整ルール」につきましても、「年次有給休暇のカットゼロ運動」や「ノー残業デー」などと同様に、労使協調のもと、継続的に展開することで、従業員の皆様に浸透させてきたということです。

 最後に、導入後の評価と課題ですが、本田技研工業株式会社様では36協定とは別に、労使協定で月ごとの上限時間を設けるなど、労使できめ細やかな時間管理を行っているそうです。こうした取組により、深夜勤務を行うこと自体が少ないことから、このルールを適応する事態は滅多に起こることではない。ただし、やむを得ず深夜勤務を行う場合には、このルールを適用することで次の出社までの休息時間が確保されることから、よりメリハリのある働き方につながっているということです。

12ページです。事例3)KDDI株式会社様です。情報通信業の企業です。開始時期につきましては、20157月に全社に適用されたということです。ただ、それ以前から限定的には実施されていたということです。定めているインターバルの時間につきましては、最低限の義務としては8時間、健康管理指標としては11時間とされています。適用の対象範囲は、まず8時間の義務規定は、管理職を除く全社員に適応されています。一方、11時間の健康管理指標につきましては、管理職を含め、全社員に適用されているということです。

 続きまして、関連規定の整備に関してお伺いしたところ、就業規則に8時間のインターバルを規定しているということです。ただし、緊急性の高い業務など一部の業務につきましては、上長判断によって、適用除外とすることを認めているということです。休息時間が、翌日始業時刻以降にも及ぶ場合、始業時刻を繰り下げて、所定労働時間数は変更しないという対応をされているということです。

2点目、安全衛生管理規程に健康管理指標としての11時間のインターバルを月5日以上取れない方につきましては、健康管理の対象となるという規定を置かれているということです。13ページです。制度導入に際して、導入した機器・設備に関しましては、勤怠管理システムの改修をされたということです。

 導入のきっかけは、2000年の企業合併以前から、設備保守の業務に関しては、勤務間インターバルを導入されていた。その上で、合併後2012年に、裁量労働者に勤務間インターバルを導入したということです。更に2015年の春闘において、労働組合から、勤務間インターバルの全面適用について要求があり、人事部として検討を開始されたというのが経緯だそうです。

 労使間の合意形成過程につきましては、春闘での労働組合からの要求を踏まえ、経営的には時期尚早ではないかという意見もあったが、残業が多い人の休息時間をどう確保するのかという観点から、8時間のインターバルを就業規則(義務)として、全ての非管理職に適用することとされたということです。同時に、インターバルの11時間は義務ではないけれども、管理職を含む全社員の健康管理指標とすることとされています。

 続きまして、導入後の経過については、導入直後は、運用は緩やかにされていたということです。201510月の勤怠管理システム改修後から社員に徐々に対応を求めて、20161月頃からインターバル時間をとれていない労働者の方に、警告メールを出すというように、徐々に制度対応を進めたということです。

 最後に、導入後の評価と課題につきまして、制度導入前は、社員の一部から導入を不安視する声もあったが、今は受け入れられている。インターバル時間を確保できないケースも生じてはいるが、特定の者が複数回繰り返すことはなく、大概守られている。将来的には、現在の規定の内容で十分なのかという効果検証や見直しは、必要と認識されているということです。

 続きまして、事例4)株式会社フレッセイ様について御紹介します。スーパーマーケットや100円ショップなどを経営されている卸売小売業の企業です。開始時期は20164月ということです。定められたインターバル時間は11時間となっております。制度の対象範囲につきましては、管理職を除く全ての社員の皆さんということになっています。規定の整備状況につきましては、労働組合と労使協定を締結されています。その中で、年末年始(1230日から11)に関しては、適用除外というふうに規定をされています。制度導入に際して、導入した機器・設備については特にないとおっしゃっております。

15ページ、導入のきっかけですが、2016年の春闘において、労働組合の方から要求があり、導入を検討したということです。労使間での合意の形成過程については、制度導入以前から、長時間労働をなくすよう労使間で話合いを重ねてきた実績があり、労働組合からの要求も受け入れることが可能であったということです。導入に向けた準備としまして、制度導入以前から、インターバル時間は一部を除き、大概11時間以上確保できている状態があったため、特別な準備は必要なかった。標準作業に合わせて作業の効率化を追及し、最適な人員配置を行うことにより、勤務間インターバルを導入する前提が整っていたということです。

 最後に導入後の評価と課題について、これまで99%以上インターバル時間は守られている。制度導入は、働きやすい労働環境を維持するための改革の一部であり、人材確保につながることを期待しているということです。

 事例5)です。16ページ、エステティック業のTBCグループ株式会社様です。開始時期は2017年、今年の1月です。インターバル時間につきましては、最低限の義務としては9時間、健康管理上の指標としては11時間と定めています。対象範囲につきましては、グループ企業の社員や、有期雇用の方を含む全社員となっています。関連規定につきましては、就業規則に9時間のインターバルを規定されているということです。ただし、天災地変等やむを得ない事情がある場合は適用除外と規定されています。また、休息時間が翌始業時刻以降に及ぶ場合、始業時刻以降の休息時間は勤務したものとみなす運用をされているということです。

2つ目として、就業規則に11時間未満の日が月に11日以上となった場合、必要に応じ、健康指導等の対応をとることが規定されている。制度導入に当たり、導入した機器、設備につきましては、ICカード等による出退勤管理のシステムということです。

17ページ、導入のきっかけにつきましては、業界のリーディングカンパニーとして、顧客相手の業務で休憩も取りにくいといった業界のイメージを払拭したいと考えていた。また、適正な労務管理により、人材確保につなげたいという考えもあった。更に、スタッフが非常に若く、大部分が女性ということもあり、労働時間や労働基準法について、しっかりとした認識と意識を持って働いてほしいと考えていたということです。導入に向けた準備として、ICカード及びクラウドによる労働時間管理システムを、制度導入の20171月から順次本社及び各店舗に整備しているということです。この整備につきましては、5月に完了予定ということです。

 最後の導入後の評価と課題につきましては、制度を導入したばかりであるが、スタッフの時間管理の意識も高まっている。インターバル時間を確保できない可能性もあるのは、店長が月末締め作業を行う場合であり、今後も改善を考えている。労働時間管理のシステム化により、実態を正確に把握した上で、今後、インターバル時間を延長することも考えているということです。

 続きまして、最後のページを御覧ください。先ほど、実行計画に3点含まれていると申し上げましたが、助成金等を活用して、制度導入を促進していくべきという点に関しまして、助成金を御紹介いたします。昨年度、補正予算で制度要求をいたしまして、実際の支給は今年度からとなっております。職場意識改善助成金の勤務間インターバル導入コースというものがあります。「助成概要」につきまして、勤務間インターバルを導入する中小企業事業主に対して助成することとしております。「助成対象」となる費用につきましては、就業規則等の作成・変更費用、研修費用、業務管理用機器等の導入・更新費用等となっております。「成果目標」につきましては、中小企業事業主が新規に勤務間インターバルを導入すること、その際に、対象となるインターバルの時間数につきましては、9時間以上というように設定させていただいております。「助成率、上限額」につきましては、かかった費用の4分の3を助成することとした上で、上限額につきましては、インターバルの時間数等に応じまして、9時間以上11時間未満ですと40万円、11時間以上ですと50万円と設定させていただいております。また、この対象となる中小企業事業主の範囲ですが、この下の四角にありますように、中小企業に該当するか否かは、「資本金の額または出資の総額」と、「常時使用する労働者数」で判断させていただいております。これは、事業場単位ではなくて、企業単位で判断させていただいております。詳細はそこの表のとおりです。資料3につきましては以上です。

 続きまして、恐縮ですが、資料4についても御説明させていただきます。資料4「今後の進め方について」、現在、事務局で考えているものをまとめさせていただいております。本日、第1回ですが、今、御説明したような状況を踏まえて、意見交換をしていただきたいと思います。第2回は7月頃を考えていますけれども、国内企業、またその国内企業でEU諸国に所在の現地法人をお持ちの場合は、諸国内での取組も含めて何らかの事例の御発表を頂きたいと思います。第3回につきましては、9月頃を予定しております。インターバル制度の導入に働きかけを行っている労働組合の方、またその働きかけを受けて、実際に導入をされた企業の例などを含めまして、事例の御発表を頂ければと思います。その後につきましては、1から2か月を目処に1回開催いたしまして、最終的には導入マニュアルのように、制度の普及促進を図るための方策、何らかを検討していただければと考えています。長くなりましたが以上です。

○今野座長 本日は自由に議論していただきます。資料の説明がありましたので、資料の内容の御質問でも結構ですし、御意見でも結構です。

○松井委員 労働者側委員の松井です。1つ御質問というか、要望になるかもしれませんが、勤務間インターバル制度の定義の問題です。私どもの労働組合でも、導入に向けて論議しているところです。その論議が全く最初の段階だということもあって、いろいろ意見が出てきます。1つは、勤務間インターバルが、恐らくEUの労働時間指令の影響を受けて、こういう話が出てきているところがあると思います。EUの労働時間指令だと、24時間につき11時間の休息時間を与えなくてはいけないということになっているかと思います。

 我々の中で議論をしていると、例えば、翌日が休日だったら何時間働いてもいいのか。我々の組合の中には医療現場もありますが、16時間勤務みたいなことが行われていて、16時間働いて、11時間空ければそれでいいのですか。そういう論議があります。インターバルというのを、どういうものとして定義するのか。この事例集にも出ていますけれども、もともとは睡眠時間の確保ということが導入の趣旨だと思いますので、その辺も踏まえて整理をしていただければと思います。

 併せて、後々出てくるかと思いますが、今回の事例にもありました。私どもの中でも、勤務間インターバルを空けて、確保できない場合は翌日の始業時間を自動的にずらして、所定内時間とみなす場合もあれば、そういう取扱いはしていない場合もあるということなので、その辺も踏まえて整理をしていただければと思います。

○今野座長 今の点について何かありますか。

○企画官 定義については、設定改善法に基づく指針に書き込む上で、勤務間インターバル制度をどう定義するかという問題もあるかと思います。先ほど事例をご紹介した中にも、最初は緩やかに運用を始めて、だんだん定着させたというお話もありましたので、そこをきっちり最初から定義を固めていくか、それともそこを若干幅を持たせていったほうが制度の導入促進になるかとか、そういう観点も含めて、事務局でも検討させていただきたいと思いますし、この検討会でも御意見を賜れればと思います。

○今野座長 いずれにしても松井さんが言われたように、いろいろなケースがあるので、それは整理しておいたほうがいいかと思います。

○労働条件政策課長 労働条件政策課長の藤枝です。補足させていただきます。資料の中で御紹介した「働き方改革実行計画」の中では定義と言いますか、インターバルについては前日の終業時刻と、翌日の始業時刻の間に一定時間の休息の確保を図ることを、インターバル制度として念頭に置いた記述になっております。現時点で、インターバルはどういう制度なのかと問われれば、御指摘のあったように、必ずしもEUのような24時間単位のものではなくて、その次の始業がずれ込むような、先ほど事例で御紹介したようなものも含めて我々は対象として考えております。それを前提に、先ほどの助成金なども設定させていただいております。座長からお話があったように、いろいろな事例を御議論いただいて、どういう仕組みが我が国にとって導入の促進が進むのかというところも、御議論いただければと思います。

○今野座長 他にはいかがですか。

○輪島委員 今のまとめで結構だと思います。スタンダードなものと、それぞれの労使での工夫で様々なバリエーションというのか、導入しやすいもの。現在は2.2%という状況なので、どうやって取り組んだらいいのかというのが分かりにくい状況だと思うのです。そこは本年度から助成金が設定されているので、大いにそれを利用していただいて、まずはいろいろ普及を図ることが大事なのではないかと思います。

○今野座長 最終的に何か普及の策を考えたり、それが企業の労使の方に参考になるような形で出すとすると、輪島さんがおっしゃった制度上の多様性というのは、非常に重要だと思うのです。制度上の多様性を決める変数は何かということを整理しておくことがいいと思います。本日の事例でも、何時間でやるかという変数もあるし、次の日の始業時間を超えたときにどうするかという変数もあるし、いろいろな変数がありそうです。そういう変数を整理しておいてあげると、最終的な普及策を考える上では非常にいいかと思います。多様性は重要なのですが、多様性を考える変数の整理というのがすごく重要かと思います。他にはいかがでしょうか。

○山本委員 労働側委員の山本です。今のそれぞれの議論の中で少し気になったのは、視点をどこに置くかというところの中では、働き方改革実行計画の中では、前日の勤務と翌日の勤務とありました。本日の資料1を見ると、開催の趣旨としては、睡眠時間の確保や、健康な生活、健康というのをキーワードとして置いております。どういう勤務、働き方が良いのか、それを日本として全体で議論していこうということであれば、どっちを主眼に置くのか、もう少し議論が必要なのではと思います。勤務と勤務の間を取ればいいのか、その働き方としての健康ということをキーワードにしていくのかということでは、もう少し研究というのか議論しながら、どっちの視点でまとめていくのかということによっても、若干その方向性が、変数が変わってくる可能性があるのではないかと思います。

 ここの趣旨を見ると、健康というところもキーワードになると思いますし、あくまでも勤務と勤務の間ということでいくと、現状の勤務体制を前提としての議論になると思います。それぞれの今の勤務体制自体が少し課題があるというような企業があった場合に、そこのところに手が付けられないということにもなります。そこも含めながら議論を進めていく必要があるかと思います。

○輪島委員 手元に資料がないのですが、過労死は絶対にあってはならないという観点から3月13日の労使合意や実行計画を取りまとめました。そういう意味では休息時間、睡眠時間、健康の面も併せて大変重要な点だろうと思っています。

○今野座長 他にはいかがでしょうか。

○中村委員 労働側委員の中村です。視点という話が出たのですが、当組織での取組の考え方でいくと、これまで労働時間をいかに削減するかという観点で、取組を進めてきました。少し視点を変えましょうということでダイレクトに休息時間・睡眠時間を確保するという視点で取り組んでいる状況があります。そのときに、先ほどからあります睡眠時間と健康との関係のところで、どれぐらいの睡眠時間が必要なのかといったところにも関係してくるのではないかと思います。この辺は後々のデータでもいいと思いますので、睡眠時間と健康の関連性といったところの参考データがあればいいのではないかと思います。睡眠をダイレクトに確保する視点での取組が重要ではないかと思います。

○総務課長 総務課長の村山です。中村委員お尋ねの睡眠時間と健康の関係性についてですが、お手元の冊子「勤務間インターバル制度導入事例集」をご覧ください。各界の労使の御協力を得て作った、この導入事例集の30ページに、慢性的な睡眠不足とパフォーマンス低下の関係についての実験結果が掲載されており、よく8時間睡眠と言われますけれども、たっぷり寝ている人は、かなり継続的な仕事をしても、その後の遅延反応が起きにくくなることが分かります。32ページでは、深い睡眠と翌日の仕事への不安との相関関係です。御質問に一番ダイレクトに答えるのは33ページかもしれません。勤務時間外のメールや電話での連絡、勤務時間外における自宅での仕事といったことと、労働に関連した健康問題の訴えというのはどんな関係なのか分析し、グラフ化したものです。

 この冊子は、この分野で代表的な方々の対談も収められておりますので、その前後の所もお目通しいただきながら御議論いただくと深めていただけるかと思います。一端として、このようなものがあるというご紹介でした。

○今野座長 それ以外に我々が考える上で、何か良いデータがあったら整理しておいていただきたいと思います。

○労働条件政策課長 調べて提供させていただきます。

○志手委員 ユニ・チャームの志手です。弊社の場合はまだこの1月に導入したばかりということで、これからいろいろ勉強させていただかないといけないです。健康という観点のお話がありましたが、我々が労使で協議する中で、働き方改革の目的というのは本来何なのかということを考えたときに、当然、健康の問題が1つあります。もう1つは生産性を上げるということで、時間の使い方を有効なものにする必要がある。この2つで、時間の使い方が有効になれば成果が出て、自己成長にも当然つながるし、自分のためになってくるということと健康の面ということで、両方の側面で働き方改革等を推進していきたいという議論をしています。

 そういう意味で、インターバル勤務においても睡眠時間の問題と、もう1つは長い時間働いたときの生産性が低下してきます。そういうもののデータも含め、夜遅く働いたときに、時間だけではなくて同じ1時間の成果はこれだけ下がるのだというものも示しながらやると、深夜の勤務というのも徐々に減っていく。結果としてインターバルの時間も取りやすいような環境になってくるのではないかという気がします。

○今野座長 結果として何時間以上インターバルを取ると健康に良くて、生産性が向上するというように、同時に実現すれば一番いいですね。いずれにしても健康インターバルというのがありますけれども、一定程度のインターバルを取らないと生産性が落ちるぞという視点も重要なので、そういうデータもあると便利です。先ほど村山さんがお話になった30ページは、それに近いと思いますけれども、そういう視点からもデータがありましたらお願いします。私は、前に厚生労働省でやっていた36協定の検討会でもそういうデータが出ていましたので、何かあったらまとめておいていただきたいと思います。

○大久保委員 労働側委員、連合の大久保です。資料37ページで、国内において勤務間インターバルを既に導入している企業数は2.2%という結果が出ております。こう見るとやはり少ないと思わざるを得ないです。なお、連合としても、遡れる限り、2013年には勤務間インターバルを労働者の健康確保、特に十分な睡眠時間と生活時間を考慮して導入すべきだという方針を立ててまいりました。ただ、直接的に各構成組織、そして単組に働きかけるというところまでは行っておりませんでした。

 まず、1つには特に製造業を中心として、交替制勤務やシフト制度を導入している現場においては、、勤務間インターバル制度という名前ではないけれども、次の勤務まで必然的にインターバルを確保していることになります。そのため、あえて勤務間インターバル制度という新しい名前の制度を導入するには至らないであるとか、たとえ労働組合が提案したとしても、既に同様の制度がある中で新しい名前の別の制度を導入することについての協議はすんなりと進まないため、あえて要求しないという話も聞いています。その辺りで2.2%という数字が、勤務間インターバル制度の本来の目的である労働者の健康管理を図る観点での労働時間制度そのものを表しているわけではないのだろうと思われますので、調査をするときにはそういう観点も重要ではないかと思います。

 もう1つは先ほど申し上げましたとおり、比較的新しい取組ですので、連合としても、例えば春季生活闘争で、勤務間インターバル制度の導入を要求したかどうか、回答を得たかどうかという調査を始めたのは、2017年からです。直近の調査結果では、要求した組合が228、そのうち前向きな回答を得たところが75となっております。これは2016年までに制度導入済みの場合には、この結果に現れないので、必ずしも連合の加盟組合が228しか要求していない、75しか導入していないということではありません。今後、どれぐらいの会社で導入しているかを調べる際には、今申し上げたような視点も重要ではないかと思いますので、御紹介させていただきました。

○影田委員 本田の影田です。大久保委員からお話がありましたとおり、私どもは製造業です。この紹介されている中身で、弊社の場合は深夜業務における翌日睡眠時間調整と申しております。社内では、一言もインターバル制度とは言っておりません。したがって、この場に私が出ること自体いかがなものかと思っております。ただ、この狙いはあくまでも深夜時間に業務が及んだ場合に、翌日の勤務に対して、睡眠時間を含む休息時間を確保しようということなので、大きな意味ではインターバル制度なのかと考えております。

 したがって、弊社を含む自動車産業でいくと、むしろ働き方改革における長時間労働抑制においては、弊社もここに書いておりますけれども、時間外協定であるとか、有給の取得推進、弊社では有給カットゼロ運動と、当年発生した有給は全部取るのだということでやっております。それと、こういうことを含めて総合的に長時間労働抑制に取り組んできたということです。先ほど多様性の話もありましたけれども、EU型の、紋切型のインターバルだと、なかなか導入しづらいのではないかというのが正直なところです。その点は議論の中でも御配慮いただけたらと思います。

○今野座長 先ほど大久保さんが言われていましたけれども、アンケートで「貴社はインターバル制度をやっていますか」というと、本田技研さんは、ちょっと前だったら「やっていません」と答えたのでしょうか。

○影田委員 もしかしたらそうかもしれません。今は「インターバル制度導入ですね」と言われたら、「イエス」と言うと思います。

○輪島委員 「2016年人事・労務に関するトップ・マネジメント調査」で、昨年の労使交渉についてどのようなことをやりましたかということを調査して、今年の1月に発表しているものを経団連のホームページで見ていただけます。大久保さんが御紹介になったものとは、私どものほうは数字が少なくて大変恐縮ですが、労使交渉の中で、回答が477社です。2016年の春季労使交渉、あるいはそれ以外の労使協議の場で、勤務間インターバル制度について議論があったのかということでお聞きすると18社でした。実際に導入を決定したのが、そのうちの7社ということで、数字としてはまだ少ないかもしれませんが、こういう全体的な動きを受けて、労使で話し合った結果、少しずつこのような結果になっているのだろうと思っています。

 その点で言うと、本日の資料3の最後の助成金ですが、これはこの間の労働条件分科会でも申し上げましたけれども、是非たくさん活用してもらえるように仕組みをビルトインできないものか。各労働局が10社ずつ使うと500件、これは4億円なので40万円ですから、割ると1,000社が使えるということなので、その半分ぐらいを、各県でなるべく好事例として上げていただいて、使えるようにできないのか。そういうことはできないのかもしれませんが、なるべくこの助成金を使って、周知の取っ掛かりみたいなものにできればいいとは思っています。

○今野座長 今おっしゃられた調査の中で、ここで先ほどから議論になっているインターバル制度、インターバル的制度というのはいろいろあると。そうすると、どうやって定義をして調査をするかというのは非常に重要になってきます。その調査はどういう定義なのですか。先ほど厚生労働省が言ったような定義と一緒ですか。

○輪島委員 次回、御報告をさせていただきます。

○今野座長 次回、その資料を配ってください。

○輪島委員 余計なことなのかもしれませんけれども、発言の際、労働側の委員とおっしゃったのですけれども、この場は別に労働者側も使用者側もないかなという気もしますので、皆で一緒に議論するような雰囲気を作っていただければと思います。

○今野座長 もちろん。それでは今度は席を変えますか、いいですよ。

○輪島委員 事務局にお任せします。

○松井委員 助成金のお話が出ましたが、私もこの助成金ができて大変良いことだと思って活用したいと思っています。先ほども話が出ていたとおり、私どもの組織でも、勤務間インターバルについて前向きに取り組んでいる組合というか、今やっているのは主に小売業とサービス業で、製造業は深夜といっても交替制できっちり組まれているので、それほど必要性は感じていないところが多いです。深夜営業もかなり広がってきたサービス業、小売業で、切羽詰まって導入しないと、健康確保上問題だということで進んでいます。

 この助成金自体は、中小企業しか対象にならず、しかもこの中小企業の定義というのがここに記載されているとおり小売業、サービス業に対しては非常に限定的で、特に常時使用する労働者というのは、今はパートタイマー、アルバイトが非常に多くて、例えば小売業で言えば1店舗でも50人を超えてしまうようなところがある。そうすると、資本金のことはあるのですけれども、2店舗以上あればもう使えないみたいな限定になってしまっています。やはり中小企業法でいう定義があるのは分かるのですけれども、このインターバルの規制を進めていくためには、どういう助成金が必要なのだという観点で、その適用範囲を是非検討できればと思いますので、よろしくお願いいたします。

○土肥委員 製造業で産業医をしている土肥です。質問というか意見が2点あります。

1点目は、この検討会が勤務間インターバル制度導入の促進を図るための方策を検討する検討会だという位置付けだと書かれています。この中には、どの程度まで、この制度の設計であるとか、仕組みであるとかということに関して意見が反映されていくのか。もし反映されるとすると、どのように反映されていくというように考えて、我々は意見を述べたらいいのかというのがよく見えないので、そこについて教えてください。

2点目は健康管理という言葉も出てきておりました。健康管理の視点と、労働政策、労働条件の視点とはかなり違ってくる制度です。健康管理の視点から申し上げると、まず最初に総労働時間の削減があるべきで、それに基づいて、更にサポートするシステムとして、この勤務間インターバル制度を考えるのか、それとも総労働時間に関しては全く別に議論するから、勤務間インターバル制度を独立して議論するのかでは、かなり議論の方向性が違うのではないかと思うのです。その辺はどういう方向性で行くのかということは、ある程度合意をした上で、中身の議論をしていかないと、実際に11時間という勤務間インターバルを決めたとしても、13時間働いていいということになれば、月間残業時間が100時間ぐらいに達しても構わないという制度が出来上がってしまう。つまり、最低限の制度を作って運用すると、今の労働時間が削減されないという制度でも構わないと考えるのか、そうではないと考えるのかで、制度設計は大きく変わるのではないかと思うのです。その辺は、何かある一定の合意の下に議論をしていかないと、散漫になっていくような気がするのですが、いかがでしょうか。

○今野座長 今2点ありましたが、事務局からどうですか。

○労働条件政策課長 助成金について御意見を頂きました。助成金の周知については、しっかりと取り組まなければいけないと思っていますし、これは補正予算で制度設計し、3月のセミナーの開催などを通じて周知させていただいたところです。今後ともしっかりと周知を図ってまいりたいと思います。ただ、今回、初めて作った助成金であり、まずはこの制度を周知をして活用いただきたいと思っておりますが、先ほど松井委員から、もう少し制度を使いやすいようにという御意見も頂いていますので、来年度要求に向けて何ができるかも併せて考えていきたいと思っております。

 今、土肥委員から御指摘いただきました、この制度設計との観点でどう考えるかということですが、まず制度論で申し上げますと、今回の働き方改革実行計画の中では、一定の努力義務を課すことが示されており、そこでは具体的な時間数をどうするかというところまでは、言及がないというところです。将来的にインターバル制度を法制度としてどう位置付けていくかは、まずはこの努力義務からということで、その先のことは、これからの導入状況の推移などを見ながらということですので、具体的に何時間とするかとか、24時間以内のインターバルにするのかどうか、その辺も含めて、今後のいろいろな実態を見ながらということになると思います。その実態を見る上で、先ほど座長からもありましたように、どういった時間数なのか、翌日への持ち越し方についての考え方をどう整理するのかといった、いろいろな条件をいろいろな事例の積み重ねの中で、この場ではどのやり方がモデルとして普及しやすいのか、あるいは理想としてはこういったものがいいのかというところも含めて、御議論いただいて、今後の検討材料にさせていただければと思っています。

 労働時間の観点なのか、健康管理の観点からなのかということについては、御案内のように、まずは労働時間、長時間労働を是正するという大きな方向性は、今回の働き方改革実行計画の中に書き込まれ、それを受けて36協定の上限時間について法律に規定しようということで盛り込まれているところです。正に、今、労働政策審議会で議論していただいているところですので、長時間労働是正に向けた施策は講じつつ、より健康確保を図るという観点でのインターバル制度の導入だと思っています。直接労働時間の是正を目的とする制度ではないですが、上限規制と併せて、健康確保措置としてのインターバルの導入を普及させることによって、健康でワーク・ライフ・バランスにも配慮した働き方を実現していくという位置付けなのだと、理解しております。

○今野座長 最後の労働時間の点については、総労働時間との関係では別にルールを考えておりますので、極端に言うと、ここでは議論しない。それは前提でやるということです。

 もう1つ、前者については、法的には努力義務を課すということが決まっておりますので、そこから先は、法律で何時間のインターバルにしろとかいうことではないので、努力義務が課せられていますから、「素晴らしいインターバルの制度」はこのようなものがあって、こうやったらうまくいきますというプロモーション政策とかソフト政策を考えるというのがこの役割で、そのソフト政策の中身は、マニュアルを考えるとか、好事例を集めて示すとか、いろいろな手があると思いますが、それをここで考えるということだと思います。

○土肥委員 よく理解できましたが、では、ここで努力義務として書かれたことに関して、それ以外に通達であるとか、そのようなものは出ないのだという前提で議論していくのだということですか。つまり、ガイドラインや通達が出て、指針が出てくるということは、日本の法令の中では努力義務として守るべきなのだという理解をするのが圧倒的ですから、時間とかは出てこないけれども、このようなインターバル制度があったらいいよねと、そういうイメージ観で議論するということでよろしいのですか。

○今野座長 私はそう思っているのだけれども、どうですか。

○労働条件政策課長 この検討会でお願いしているのは、そういう趣旨です。この検討会での御議論も踏まえて、例えば明らかにこういった時間数は望ましくないとか、そういうことを、指針なり通達なりで示していく可能性はあると思っておりますが、まずは先ほど言われたような望ましいプロモーション方策を御議論いただければと思っております。

○今野座長 ほかにいかがでしょうか。

○柴田委員 柴田と申します。私も当然、休息時間をいかに確保するかという点で、この制度の論議があればいいとは思っております。情報労連としては、2009年ぐらいからそういう主張をずっとやってきていたのですが、ここに御紹介されているように、KDDI、後は10何社ぐらいしか実はないという現状でして、皆さん御存じの大きい通信キャリアについては、大久保さんがおっしゃったように、制度は要らないのではないかと。だから、ちゃんと時間外を抑制していればいいという発想なので、なかなか前に進まないということですが、そういったことは、多分普及させるという意味では、しつこく言っていったほうがいいかと思っているのです。

 先ほど本田技研の紹介がありましたが、大きい通信キャリアのほうでは、深夜業はやはり制限しましょうということを言い出そうとしているので、一歩前進かと思っているのですが、本田技研さんにあるような10ページの、もし深夜に突っ込んだ場合は、9時から以降は、勤務したものとみなすというところがあるかないかでは、大きな違いかと思っています。これがないと、ではいいのかどうかみたいなことは、恐らく先ほど、どういう定義なのか、幅なのかとありましたが、また私も勉強させてもらいながら、今、私の意見を言えば、これがあるかないかによって大きな違いがあるということだけ申し上げたいと思っています。

○小林委員 高崎経済大の小林と申します。経済学の研究者ですと、こういう制度が導入された後に、必ず効果検証みたいなことをよくしたがるものなのですが、その観点から申し上げるとすると、勤務間インターバルを導入する前とした後で効果が大きくなるためには、導入制度を作って導入した会社が、導入する前にどうだったのかという視点が、結構重要になるのではないかと思いました。既に十分なインターバルが取れている労働者が大半の会社様が、制度がないけれども新たに制度を作ったという場合ですと、実態はあまり変わらず、効果というのは見られないと。要するに、ある一定時間インターバルを確保できている労働者の人数とか、確保できなかった事例みたいなものが減少していかないと、制度は普及したが効果がないということが考えられます。先ほど、プロモーションという言葉はありましたが、何かプロモーションを作っていく際に、インターバルが現状、厳しい、できていないという会社が、是非導入・普及が進むような、そういうターゲティングみたいな観点が必要なのかということを思いました。

○今野座長 経済学の研究で、インターバルと生産性、インターバルと健康との関係について明らかにした研究成果みたいなものはないのですか。

○小林委員 現状は、インターバル制度が導入されているのは2.2%ですから。

○今野座長 海外でもいいのだけれども。

○小林委員 いや、余り聞いたことはないですが、健康の話ですと、先ほどありましたような生産性で、睡眠時間と生産性との関係みたいなものは幾つか、私が知っている限りでは1つ、2つぐらいの研究はあります。インターバル制度については、経済学では余りないと思います。

○今野座長 一般に労働時間と生産性とか、労働時間と健康とかはありますが、インターバルというのはないですね。

○小林委員 その観点からは、存じません。制度は無かったとしても、インターバル時間がどれだけ空いているかについて聞いているというアンケート調査も余り多くないと思いますので、まだ統計的な分析は全然されていない状況です。

○今野座長 ほかにいかがでしょうか。

○小曽根委員 みずほ情報総研の小曽根と申します。大きく2点あります。1点は、質問のようになってしまいますが、先ほどインターバル制度上の変数という話がありました。インターバルとして確保する時間であったり、インターバルを確保した際に勤務開始時刻が始業時刻を越えた場合にどうするのかという変数もありますが、もしかすると、仕事の特性を考えることも必要かもしれません。資料10ページの本田技研さんの事例で、研究所と工場と、また本社・営業では違うインターバルを設定されていらっしゃいますが、こういった辺りでの時間設定の考え方をぜひ教えていただきたいです。そして、なぜ、こちらの職種、仕事だと何時間で、こちらの職種、仕事だと何時間だと提示できるとよいのではないでしょうか。恐らく働く側は、各自が適用されるインターバルが何時間というのが人によって違うことに疑問を持つと思います。

 もう1点が、プロモーションに関してです。この検討会ではインターバル制度の考え方や制度内容がこういうものであったらいいよねという望ましいプロモーションをするというお話で整理されてきましたが、制度内容の望ましい在り方だけを提示していくだけでは、実際に制度が導入されても、それほどうまく運用すうことができないのではないかという疑問を持ちました。資料9ページのユニ・チャームさんの事例にもありましたが、顧客側から今日中に仕事をしてくれと要求があったときにはどう対応すべきかなども整理することが必要です。実際にインターバル制度ができました、では、その制度をどのようにうまく運用していくのか、そのときに、制度導入企業の取組だけでは済まず、顧客企業にも協力を依頼する必要もあるかと思います。そういった辺りについてもプロモーションの中に含めたほうが、より多くの企業でインターバル制度導入に向けた動きが広がるのではないかというところです。以上です。

○今野座長 今のは、制度もあるけれども運用上のうまくやっていくノウハウもいっぱいあるだろうから、そういうのもまとめたらということですね。

○菱沼委員 菱沼です。輪島委員、松井委員から助成金の話をしていただいたので、私も関連して話をさせてもらえればと思います。中小企業事業主に対して助成ということで、助成金を出していただくのは有り難いと思います。残念だったのは、これを絡めて導入事例集、出来上がりましたという厚労省から34月辺りにいろいろ御説明を頂いたのですが、実は規模の大きい企業の事例だけだったので、中小がなかったのはすごく残念。実際ないのかというのは、先ほど輪島委員が2.2%だからもっと伸ばしましょうという話はあったのですが、この助成金を使ってもらうためには、実際、中小企業は先ほどの数字だと、資料37ページの、インターバルの導入状況の2今後の導入意向で、1,654のうち「導入する予定」0.4%とか、「導入の是否を検討したい」8.2%とかありますので、その辺の情報を企業、どこまで中小企業がそこで回答しているかは分からないですが、そういったところでの掘り起こしとか、そういうのが必要かと思います。

 この助成金ですが、委員の皆さんには配布されていないのですが、チラシの問合せ窓口が雇用環境・均等部室なので、雇用環境・均等部室との連携も必要でしょうし、労働基準監督署でいろいろ企業を回っていると思うので、長時間労働で取り締まるばかりではなくて、逆にこういったものも取り入れたらどうかという周知も必要ではないかというのも、御意見として申し上げたいと思います。以上です。

○今野座長 ほかにいかがですか。先ほどからEUの話が出てくる。標準のルールは私も知っているのですが、適用除外とか、そういうのはないのですか。つまり、こういう業界は別途許しているとかと、そういう多様性を認めるルールにはなっていないのですか。

○企画官 24時間対応が必要な業務等一定の範囲に関して、インターバルについての適用除外は認められていると承知しております。次回、資料を御用意させていただきます。

○今野座長 それと、先ほど小曽根さんからもあったけれども、業務の特性もちゃんと認めるというのがあったら、そういうのも我々は頭に入れておいたほうがいいかと思いますので、よろしくお願いします。

○土肥委員 EUの指令の中では大量の除外規定が存在しているのが実態でして、逆に言うと、除外規定があるという前提で運用されているのが実態だと思います。

○今野座長 みんな何となくそのようなものはないと思っている節は少しあるのでね。

○輪島委員 3つの観点ですと、先ほどの御指摘のとおり、制度を導入することで周知していくことは大事だと思うのですが、これは個人的な考え方ですが、今も休まなくてはいけないという人がいるわけで、緊急性があるところをどうするのか、暫定的に休んでもらうとかいうことは、少し論点がずれている気もするのですが、そういうことも思わないわけではないということ。もう1つは、1企業では難しい、商慣行とか、消費者との関係とか、あとは私どもが新たに聞くと、行政からのリスエスト、そういうのも含めて、行政の方は労働時間の適用除外なものですから、それを民間が受けるとやらざるを得ないというBtoG(Business to Government)と、そこもなかなか厳しい局面が。実は大きな社会全体の意識改革ということもないと、なかなか制度の普及とか、一方で周知はしていても、全体の総労働時間の短縮という観点からいくと、そういう論点もあろうと思います。コメントです。

○今野座長 ほかに何かありますか。そろそろ時間になりつつありますけれども、よろしいですか。今日は第1回ですので、自由に議論していただきましたが、次回以降も、どんどん手を挙げてしゃべっていただければと思います。それでは今日は時間ですので、この辺にさせていただきます。次回のことについて事務局からお願いします。

○企画官 先ほど今後の進め方の中で御説明いたしましたように、第2回検討会については7月頃に開催を予定しておりますが、事例の発表をしてくださる企業の皆様の選定等と併せて調整の上、改めて御連絡させていただきます。

○今野座長 それと、今日いろいろな宿題が出たので、それもよろしくお願いします。それでは、今日は終わりにします。ありがとうございました。


(了)

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