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2017年4月24日 薬事・食品衛生審議会 日本薬局方部会 議事録

○日時

平成29年4月24日(月)16:00~


○場所

厚生労働省専用第12会議室 (12階)


○出席者

出席委員(9名)五十音順

  阿 曽 幸 男、 荒 戸 照 世、 伊 藤 美千穂、 川 崎 ナ ナ、
○川 西   徹、◎橋 田   充、 花 田 賢太郎、 堀   正 敏、
  安 原 眞 人
 (注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(2名)

 木 内 文 之、 福 原   潔

行政機関出席者

 森    和 彦 (大臣官房審議官)
 山 田 雅 信 (医薬品審査管理課長)
 矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
 他

○議題

○医薬品審査管理課長 それでは定刻も少し過ぎておりますので、ただいまから「薬事・食品衛生審議会日本薬局方部会」を開催させていただきます。委員の先生方におかれましては、大変お忙しい中、御出席を頂き誠にありがとうございます。
 まず始めに、本部会は基準に関する審議を行いますので、公開にて開催いたしますことを御承知置きいただきたいと思います。また、本年1月の薬事・食品衛生審議会の委員の改選により、本部会についても新しく委員の任命が行われております。お手元にあります日本薬局方部会名簿、座席表の裏になっておりますが、委員名簿に従い委員の先生方を御紹介いたします。この名簿の順で読み上げさせていただきます。
 まず、阿曽幸男委員、新しく委員になられた荒戸照世委員、伊藤美千穂委員、川崎ナナ委員、川西徹委員、木内文之委員は御欠席の予定です。橋田充委員、花田賢太郎委員、遅れておられますが福原潔委員、堀正敏委員、新たに委員になられた安原眞人委員です。
 なお、日本薬局方部会の部会長については、本年1月27日に開催された薬事分科会において橋田充委員が部会長に選出されておりますので御報告いたします。更に、薬事・食品衛生審議会令第7条第5項の規定に基づき、部会に属する委員のうちから部会長があらかじめ指名する者がその職務を代理するとされており、部会長代理については部会長から御指名頂くこととなっております。橋田部会長よろしくお願いいたします。
○橋田部会長 橋田でございます。それでは日本薬局方の作成に、いつも非常に重要な役割を果たしていただいております川西委員に、引き続き部会長代理をお願いしたいと思いますがいかがでしょうか。
(拍手)
それでは、川西委員に部会長代理をお願いいたします。どうぞこちらへ御移動お願いいたします。
(川西委員、部会長代理席へ移動)
○医薬品審査管理課長 それでは、本日の委員の出席状況についてですが、木内委員から御欠席の連絡を頂いております。また、福原委員が遅れておられますので、現時点で委員11名のうち9名が御出席ということで定足数に達しておりますことを御報告いたします。また、委員改選後の最初の部会ですので、特に御留意頂きたい事項などについて担当者から御説明いたします。
○事務局 それでは、本部会への御参加に当たっての留意事項をあらかじめ3点ほど御説明させていただきます。第1に守秘義務関係です。国家公務員法第100条において「職員は職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする」と規定されております。委員、臨時委員、専門委員は非常勤の国家公務員で、この規定の適用を受けますので、職務上知り得た秘密については漏らすことのないようお願いいたします。
 第2点目は、薬事に関する企業等との関係です。お手元に当日配布資料1として薬事分科会規程を、当日配布資料2として薬事分科会における確認事項をお配りしております。このうち当日配布資料1の薬事分科会規程6ページの第11条に「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されております。審議の中立性・公平性を確保する観点から規定されておりますので、これらに該当する場合、又は任期中に該当することとなる場合には、速やかに事務局まで御連絡頂きますようお願いいたします。
 第3点目は薬事分科会の審議事項についてです。同じ当日配布資料1.薬事分科会規程の5ページ第7条です。第7条において「部会における決定事項のうち、比較的容易なものとして分科会があらかじめ定める事項に該当するものについては、分科会長の同意を得て、当該部会の議決をもって分科会の議決とする。ただし、当該部会において、特に慎重な審議を必要とする事項であるとの決定がなされた場合はこの限りではない」と定めております。
 このただし書にありますように、部会において特に慎重な審議を必要とする事項であるとの決定された場合には分科会において御審議をお願いすることとなります。委員の皆様におかれましてはこのような規定を御承知の上、御審議頂きますようお願いいたします。以上です。
○医薬品審査管理課長 それでは、本日は日本薬局方の一部改正について御審議を頂くこととしております。橋田部会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。
○橋田部会長 改めまして、本日は委員の先生方におかれましては大変お忙しいところ、日本薬局方部会に御出席を頂き誠にありがとうございます。それでは、ただ今から議事に入らせていただきます。最初に事務局から本日の配布資料の確認をお願いいたします。
○事務局 それでは、配布資料の確認をさせていただきます。お手元に議事次第と座席表とその裏に委員名簿が置かれているかと思います。先ほど御説明した当日配布資料1、2として薬事分科会規程、薬事分科会における確認事項が机上配布されております。それから、薬事・食品衛生審議会会長に対する諮問書もお手元にあります。本日の議題の審議事項1の関係ですが、資料1として第十七改正日本薬局方第一追補(案)についてという資料があります。この後、枝番として資料1-1~1-7までがこの審議事項の関係で付いております。報告事項の議題の関係で日本薬局方の参考情報の改正(案)についてということで、資料2-1と資料2-2があります。
 報告事項の議題2として日本薬局方新規収載候補品目(案)についてということで資料3を用意しております。資料1~3については事前に先生方に送付したものをそのまま配布しております。以上が本日の資料です。過不足等がありましたらお知らせいただければと思います。
○橋田部会長 先生方、資料はお揃いでしょうか、よろしいですか。それでは、審議議題に入りたいと思います。本日は第十七改正日本薬局方第一追補に関して御議論頂くわけですが、最初に全体像を御説明いただくという意味で、審議事項1の議題の第十七改正日本薬局方第一追補(案)について及び報告事項ですが、報告事項1.日本薬局方の参考情報の改正(案)について、この両方を併せて事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、審議事項1及び報告事項1について御説明いたします。お手元の資料1「第十七改正日本薬局方第一追補(案)について」という資料の1ページの1.は日本薬局方について記載しております。日本薬局方は御承知のとおり、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律、この法律の第41条の規定に基づき、医薬品の性状及び品質の適正を図るために作成されている規格基準書です。薬事・食品衛生審議会の意見を聞いて定めるということとされているものです。
 次に、2.「日本薬局方の改正歴等」をまとめております。日本薬局方が改正された公示年月日と収載品目数の変遷をまとめているものです。明治19年(1886年)の初版の公示以来、日本薬局方はこれまで131年の歴史があり、今日に至るまでに改訂が重ねられております。それぞれの改訂歴を見ますと、薬機法の第41条第2項で厚生労働大臣が少なくとも10年ごとに改訂をするとしておりますが、昭和51年の第九改正からは、5年ごとに全面改正が行われております。
 また、第十二改正からは、全面改正の後に2回追補を作成している状況です。追補以外にも必要に応じた部分改正を行っております。医薬品各条における収載品目は、改正ごとに増加が図られており、2ページは第十七改正直近のもので1962品目が収載されている状況です。
 3.は第十七改正日本薬局方の改正以降の動きについて書いてあります。前回の部会でも御議論いただいた第十八改正日本薬局方の基本方針の策定、第十八改正日本薬局方原案の作成要領の策定等が行われております。本日は第十七改正日本薬局方第一追補ということで、第十八改正の話とは少し違うのですが、この第十七改正日本薬局方第一追補の審議経過については4.にまとめております。
 資料3ページは第十七改正以降の審議経過について記載されているもので、平成16年に独立行政法人医薬品医療機器総合機構が設立され、日本薬局方の原案の作成は機構において行うこととされ、必要な委員会は全て機構において設置しております。平成27年8月から本年3月までの間に計149回の委員会が開催され、原案が取りまとめられて本年3月に機構から厚生労働省に対して原案の報告がなされました。この報告を基に、本日、当部会において御審議を頂くものとなっております。
 今後の予定としては、平成29年9月を目処に所定の手続を行った上で、本日の審議も踏まえ、第一追補の公布に進めたいと考えております。次のページ、5ページ以降に第十七改正日本薬局方第一追補の概要について記載しております。資料の5ページ以降は今回の改正を要約しますと、製剤総則の改正のほかに一般試験法については3つの試験法の新規収載を行います。
 医薬品各条については新規収載32品目、改正114品目、削除17品目を予定しております。より詳細な原案については資料1-1~1-6にそれぞれ製剤総則、一般試験法、医薬品各条、参照紫外可視吸収スペクトル、参照赤外吸収スペクトル、資料1-7で新旧対照表を用意しております。資料2-1と資料2-2については日本薬局方の参考情報部分の改正(案)についてお配りしております。具体的な改正内容については機構から御説明いたします。
○医薬品医療機器総合機構 機構から具体的な内容について御説明させていただきます。まず資料1の構成について御説明いたします。資料1の5~9ページまでが改正内容の概要です。資料1-1~1-6が第十七改正日本薬局方第一追補(案)です。
 資料1-7の1ページから、製剤総則、一般試験法の新旧対照表、17ページ以降に医薬品各条、収載、改正の一覧表を別添として添付しております。また、報告事項1「日本薬局方の参考情報の改正(案)」についても一連の日本薬局方本体の改正に関連する内容であることから、審議事項と併せて御説明いたします。
 今回の主な改正点は、吸入剤の試験法として収載される3試験、一般試験法の「6.14吸入剤の送達量均一性試験法」、「6.15吸入剤の空気力学的粒度測定法」及び参考情報「G6.ガラスインピンジャーによる吸入剤の空気力学的粒度測定法」並びに一般試験法「2.46残留溶媒」の改正の合計4項目となります。内容については後ほど御説明いたします。
 資料1の5~9ページの第十七改正日本薬局方第一追補(案)の概要を用いて、各改正の内容を御説明いたします。まず、製剤総則について御説明いたします。製剤総則とは製剤全般に共通する事項を定めたものです。5ページの[1]製剤通則については非無菌製剤の微生物汚染防止等のために必要に応じて適用する一般試験法として、「微生物限度試験法」に加え、「生薬及び生薬を主たる原料とする製剤の微生物限度試験法」を追加いたしました。
 [3]製剤各条については、日米欧三薬局方検討会議において調和した試験法である微生物限度試験法について、口腔内崩壊フィルム剤を対象剤形に追加する検討が開始されたことから、「1.8フィルム剤」及び「1.81口腔内崩壊フィルム剤」を新規収載したほか、一連の改正に伴う記載の整備を行いました。
 続いて、一般試験法について御説明いたします。一般試験法とは、医薬品各条に共通する試験法、医薬品の品質評価に有用な試験法及びこれに関連する事項を定めたものとなります。現在、日局において規定している一般試験法は、資料1-7の別添2-1の3~5ページに一覧として掲げております。新規・改正の区分を○で示しています。今般の改正においては新規に3項目が収載され、5項目が改正されました。
 資料1の5ページからの記載に従い、主な内容を御説明いたします。新規収載(1)の「3.06レーザー回折・散乱法による粒子径測定法」では、これまで参考情報として収載していた「G2レーザー回折法による粒子径測定法」を一般試験法として整備し、収載したものとなります。
 (2)の「6.14吸入剤の送達量均一性試験法」については、吸入剤の容器から放出される薬物量の均一性を評価する試験法となります。(3)の「6.15吸入剤の空気力学的粒度測定法」は吸入剤から放出される微粒子の大きさを評価するための測定法となります。
 一般試験法の主な改正点(1)、(2)について御説明いたします。まず(1)「2.24紫外可視吸光度測定法」で、水銀に関する水俣条約、いわゆる「水銀条約」への対応として、試験法から低圧水銀ランプを用いた波長の校正に係る記載を削除するための改正が行われました。(2)「2.46残留溶媒」では、日局17においてクラス1溶媒のみを管理の対象としていたものを、今般の改正においてクラス2及びクラス3溶媒を管理の対象とすることとし、クラス2及びクラス3溶媒の管理に係る規定を別に定めるものとしていた適用の項を削除いたしました。以上が一般試験法の改正となります。
 続いて、医薬品各条について御説明いたします。「医薬品各条」とは個々の医薬品原薬や製剤の規格を規定しているものとなります。資料1-7の17ページは医薬品各条の改正を一覧表として示しております。新規・改正の区分については○で示しております。また、改正箇所については変更項目一覧で示しております。資料1の6ページから概要を記載しております。
 今般、新規収載品目として、32品目を収載することを予定しております。32品目の内訳は化学薬品21品目、抗生物質3品目、生物薬品3品目、添加物4品目、生薬等1品目となります。改正については7ページの下にありますが、114品目を予定しており、その内訳は化学薬品61品目、生薬53品目となります。なお、9ページに記載のある市場に流通していない品目等については、全17品目、今回の改正で削除する予定としております。以上が第十七改正日本薬局方第一追補(案)について御審議いただきたい内容となります。
 続いて、参考情報について御説明いたします。資料2-1「参考情報の改正(案)について」の1~2ページです。参考情報は第十七改正日本薬局方第一追補において、新規に6項目収載し、8項目改正しております。また、1項目削除しております。それぞれの概要について御報告いたします。
 「G3.生物薬品関連」では、目的物質や製造工程由来不純物等の定量及び抗体医薬等の生物活性の評価に利用される酵素免疫測定法(ELISA)を新規収載いたします。
 「G6.製剤関連」では先ほど新規収載の一般試験法で御説明した一般試験法「6.14吸入剤の送達量均一性試験法」及び「6.15吸入剤の空気力学的粒度測定法」に加え、参考情報として「ガラスインピンジャーによる吸入剤の空気力学的粒度測定法」を新たに収載いたします。
 続いて、「G7.医薬品包装関連」では(3)の「ガラス製医薬品容器」及び(4)の「固形製剤のブリスター包装の水蒸気透過性試験法」を新たに収載いたします。参考情報「ガラス製医薬品容器」では、ガラス製医薬品容器に関する基本情報、製剤設計時の品質評価及び製造段階における品質管理に関する留意点が記載されております。また、「G7.固形製剤のブリスター包装の水蒸気透過性試験法」では、PTP包装等の水分透過速度を測定する方法が記載されております。
 続いて、「G10.その他」には(5)の「医薬品の安定性試験の実施方法」及び(6)の「プロセス解析工学によるリアルタイムリリース試験における含量均一性評価のための評価基準」を新たに収載いたします。「医薬品の安定性試験の実施方法」はICHQ1ガイドラインで述べられている化学薬品の原薬及び製剤の安定性試験を行う際の考え方を日局の参考情報に取り込んだものとなります。
 また、(6)の「プロセス解析工学によるリアルタイムリリース試験における含量均一性評価のための評価判定基準」は大量のサンプルを非破壊的測定法により一般試験法の製剤均一性試験を行う際の、判定基準の考え方を示したものとなります。
 2ページに改正した参考情報について記載しております。ここでは主なものを2項目御説明いたします。まず、1点目は(1)「G2.物性関連」の「固体又は粉体の密度」は、水銀条約への対応として、「粒子密度」の項における水銀圧入法を削除するための改正となります。
 続いて(7)、(8)で、「G10.その他」の「医薬品原薬及び製剤の品質確保の基本の考え方」は、リアルタイムリリース試験やパラメトリックリリースが設定された品質管理の手法を用いたときの、最終製品試験の取扱いについて記載したものとなります。
 削除した参考情報は「G2.物性関連」の「レーザー回折法による粒子径測定法」となります。これは先ほど御説明した一般試験法「3.06レーザー回折・散乱法による粒子径測定法」を新規収載することに併せて削除するものとなります。参考情報の改正案についての御報告は以上となります。以上、御審議、御確認のほどよろしくお願いいたします。
○橋田部会長 ただいま御説明を頂きましたように、今回の第一追補はいろいろな項目にわたって、大きく新規収載、あるいは改正ということが行われております。これは御説明にもありましたように、それぞれの委員会で、非常に数多く御議論いただいたものをまとめていただいたということかと思います。その取りまとめにいつも御尽力を頂いております川西委員から、御追加を最初に頂くことはできますでしょうか。
○川西部会長代理 一般的な話としては、幾つか製剤の関係で試験法などを新規収載している部分があります。これは実は第十六局のときに製剤総則を大改訂して、そのときに本来でしたら、その改訂に従ってそれぞれの製剤に関する試験法は、品質特性に関しては、主要な試験はなるべく試験法も同時に設定したほうがよかった。これは確かですけれども、ちょうど製剤総則の大改正、これは非常に大きな改正でして、そこまでなかなか手が回らない。そのため、日局16製剤総則では製剤の特性の中には担保すべきものではあっても試験法は設定せずに、適切な何々性とか適切な放出性とか、それを確認したほうがいいというような表現で規定していたものがありました。
 この点への対応として、その後国際調和等々を見計らいながら、それぞれ試験法を設定していった。例えば粒子径の測定法、吸入剤の送達量均一性試験、空気力学的粒度測定法など、これはもともと製剤総則を改正したときに、それぞれの製剤に関して適切な、例えば放出性とか、そういう言葉を使って、それは確保すべきだと書いてあったのです。
 それを一つ一つその後フォローアップしてきている過程だということで、大体そのときに適切な何々性と表現したもの、まだ全部ではないですが、今回の第十七局の第一追補で、試験法としては、ほぼ設定できたかなというところです。製剤に関してはその後いろいろ新しいものも出てきますし、製剤総則についてもこれから更に改正していくことになろうかと思いますが、言ってみたら製剤総則の第十六局における大改正のフォローアップということが、この第一追補でほぼできたかなというところかと思っています。
 あとは国際調和への対応とか、個別にはいろいろ製造工程での評価というものを、その評価法を参考情報に入れていこうというような流れの中で、新しい試験法を入れていったり、まだ一般試験法として設定するタイミングではないにしても、基本的な試験法は局方に入れていこうという流れの中でやっていることになるかと思うところです。一般論としては以上です。
○橋田部会長 ありがとうございました。今、川西委員から今回の追補の内容の中で、例えば製剤に関しても製剤各条があり、対応する一般試験法がありといった構成の下の新規収載なり訂正につきましては、大きな、例えば第十六改正からの流れがあって、それを受けた形で位置付けられている話がありました。
 他の項目につきましても、先ほども御紹介いただきましたように、改正薬局方作成の基本方針がありますので、そういったものに沿って、それぞれの内容が、今回修正される、あるいは新規に収載されるということになっているのかと思います。いろいろ多岐にわたりますし、先生方それぞれに御専門があろうかと思います。
 それでは全体に、どこからでも結構だと思いますので、御質問あるいは御意見がありましたら、よろしくお願い申し上げます。順不同でお聞きしたいと思います。
 では私から、ちょっと細かいことを質問させていただいてよろしいでしょうか。一般試験法で、例えば吸入剤の送達量均一性試験法というものを、今回、新規収載されております。その内容を例えば最初の資料1の5ページで見せていただきますと、試験法のタイトルは今の送達量均一性試験法だと。内容については吸入剤から放出される薬物量の均一性だと。何となく我々のように体内動態などを意識する人間にとりましては、放出量と送達量というものは、その間に体の中での移行の問題、バイオアベイラビリティ的なセンスが入るのではないかと思いますが、その辺りはどういう御検討になっているのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構から御説明します。先生の今の御質問としては、デバイスから出てくる薬剤の量と、実際に薬効を示す部分への送達量ということでしょうか。
○橋田部会長 はい。送達した量とありますが、送達と放出という言葉が一つの試験法に対して用いられているということです。
○医薬品医療機器総合機構 まず、噴霧するデバイスから出てくる薬剤の量につきましては、この6.14「送達量均一性試験法」で評価できます。また6.15「吸入剤の空気力学的粒度測定法」でデバイスから出てくる薬の粒子径が体のどこまで行くか、評価が可能となっています。
 一般的には確か5マイクロメートルぐらいであれば、肺の末端まで薬物が行くということなので、そういうものをこの6.15「吸入剤の空気力学的粒度測定法」で評価できるということで、二つ合わせてその薬剤の薬効を示す部分への送達量が評価できるものと考えております。
○橋田部会長 ありがとうございます。試験法としては全体で必要な特性を全部評価できるということで、それはよく分かりました。ただ、文言のことが、多少今みたいな見方もあるかと思いましたので。場合によってはパブリックコメント等で、また御質問があるかなという気もいたしますが、これはそれで結構です。
○川西部会長代理 ちょっとコメントしますが、薬局方が何を担保すべきかということでいけば、例えば、製造を繰り返すなかで、その品質特性が一定な製剤が製造されているということを担保するための試験法、あるいは医薬品の規格値設定に使うということであって、他の製剤との間のバイオアベイラビリティが等しいことを調べるための試験というような話は、また別途の話としてあるわけです。これはどちらかというと同じ製品について、実際にバイオアベイラビリティが担保されているものが生産を繰り返しても、同じものができているかという側に力点が置かれていると御理解いただいたほうが、局方の一般試験法の役割としてはいいのではないかと思います。
○橋田部会長 分かりました。ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
○花田委員 資料2-2、8ページのリアルタイムリリース試験及びパラメトリックリリース試験に書かれているところの文言は、承認後に関しては、リアルタイムリリース試験の結果で、最終的な産物の品質を評価してよろしいという内容かと思います。皆さんのお手元近くに設置された薬局方の通則の5条に、「日本薬局方の医薬品の適否は、その医薬品各条の規定、通則、生薬総則、製剤総則及び一般試験法の規定によって判定する。」ということが書かれております。リアルタイムリリース試験による医薬品の適否は、通則5条に書かれている規定によって判定するということと整合しておりますか。
 薬局方が作られた当初の品質担保の仕方と、現代の工程内で品質を担保するという仕方の間で文言的に齟齬が出だしているようにも私には思えるので、質問させていただきました。
○医薬品医療機器総合機構 では、機構から御説明します。局方の基本的な考え方は、先生が御指摘の、通則5で記載されている、日局医薬品の適否判定は医薬品各条の規定で管理するということです。最近のいろいろな製品管理の考え方は、どんどん変わってきております。その考え方を示しているのが、
改正される参考情報、資料2-2の8ページにある「医薬品原薬及び製剤の品質確保の基本的考え方」です。ここで示すリアルタイムリリースやパラメトリックリリースという、リアルタイムに出荷していくために、製造工程中で試験を行い出荷判定を行うことを認めていますが、出荷した製品の品質に疑義が生じた場合には、通則5に従い局方に収載されている項目で判定されることとなります。
○花田委員 そうしたら、局方に書かれている規定は必要十分というよりも、最低これだけは満たさなければならないという規定が書かれているという理解でよろしいのでしょうか。それとも昔は、これは川西先生にお伺いすべきことかもしれませんが、必要十分の規定とされていた時代もあったということを聞いており確認させていただきたく思います。
○川西部会長代理 これはまず基本的に、通則の中に、また十二とか十三というものがありまして、基本は出荷規格になるけれども、ここの十二とか十三のところに、それを省略してもいいですよと、要するに製造工程で管理してもいいですよとなっています。新薬に適用されるICHの品質ガイダンスが基本的にそういう考え方になっていますし、結局そういう品質管理でいいですよということが基本的に通則に書き込まれています。
 ただ、通則にこう書いてあっても、では具体的にどう管理していいのかということについて、常に常に議論があって、やはり局方的にもどういう考え方でやったほうがいいのかということは、局方の中に書いておくべきではないかということがあったので、参考情報に製造工程管理で管理するときは、こういう基本でやってくださいということを示してゆきましょうという流れとなっています。というのは、ICHの品質ガイダンスの多くは、適用対象が新薬なのです。欧米はそれを局方品等にも適用するように、実際の運用はやっているのですが、日本の場合、基本はICHのガイダンスの適用対象は新薬なのです。
○橋田部会長 全体の考え方が工程管理のほうも含めて行うという方向に動いているというのは、十七改正そのもののときにも御説明いただいたところです。ほかにいかがですか。いろいろな所で恐らく御質問があろうかと思います。あるいは御意見があろうかと思いますが。
○安原委員 製剤各条で今回、フィルム剤とか口腔内崩壊フィルム剤が加えられているのは必要なことだと思うのです。その名前のことですが、新旧対照表というか、資料の1-7にフィルム剤である「Films for Oral Administration」とあるのですが、川西先生がおっしゃったように、前回の改訂で製剤総則がざっと変わったわけで、投与ルートでいろいろ分けたわけですけれども、フィルム剤の場合に、英文のほうは「for Oral Administration」が付いているのですが、例えば外用のところにテープ剤とかありますよね。ですから経口フィルム剤としなくていいのかどうかというのは、ちょっと気になったのですが。液剤だと経口液剤というような言い方に今はしていますよね。錠剤はそのまま錠剤なのですが、その辺りはどのようなネーミングの仕方かというのがちょっと気になったのですが。
○医薬品医療機器総合機構 製剤総則の製剤各条の名称のときに、主たる剤形のものについては投与ルートを付けないで、それ以外のもののときに、そういう投与ルートを付けるというルールになっておりますので、例えば錠剤ですと、錠剤と書いてあるものは経口錠剤とはしないで、経口用としています。それと同じように、これも経口用のものはフィルム剤としていて、他に何か出てきた場合には、その投与ルートを書いてというルールにしております。
 今、手元にはないのですが、第十七改正日局9ページの製剤通則の(3)に「製剤各条及び生薬関連製剤各条は、広く、一般に用いられる剤形を示したものであり、これら以外の剤形についても、必要に応じて、適切な剤形とすることはできる。」ということで、この場合にはこの製剤各条に載っていないようなものを主として書いてあるわけです。投与経路と製剤各条の剤形面などを組み合わせることにより、形状又は用途などに適した剤形名を使用することができると書いておりますので、今の場合は主たる経路ということで、経口用ですのでフィルム剤としております。9ページの製剤通則の(3)に、付け方の名称が書いております。
○安原委員 これで駄目と言っているわけでは全然ないのですが、ただ、例えばテープ剤のところで、外用剤なんかテープ剤とありますよね。その中の説明では、プラスチック製フィルムなどに展延うんぬんと書いて、フィルム剤というものを我々が思うときに、外用もあるかなと思ったりしたので、むしろ書いておいたほうが分かりやすいのかなという気はします。定義のとおりやるのでも、もちろんそれで結構なのですけれども。
○川西部会長代理 その辺りは、今は私は製剤委員会に関わっていませんし、ちょっと細かなことは分からないのですが、実際に局方品としてあるのかどうかということも含めて、設定したほうがいいものは、設定していくということなので、あるいは安原先生の御指摘で、もう一回委員会のほうで確認していただいて、必要があれば、また更に追加していくということでいかがでしょうか。
○橋田部会長 機構は、いかがですか。
○医薬品医療機器総合機構 このフィルム剤のところを簡単に説明します。フィルム剤の場合は、製剤総則にも書かせていただきましたけれども、製剤各条の中の1.7経口ゼリー剤の項の次にということで、これは錠剤の口腔のところにありましたけれども、フィルム剤は結局口腔に適用するものと、口腔に適用しないで胃の中で飲ます2つのものがあります。
 フィルム剤についてオーラルの場合は書いてありますが、現在、PDGで検討し始めたものは口腔内崩壊フィルム剤ということで、口腔内で崩壊させて、胃の中に飲むということで、一応30品目ぐらいの承認前例がありますので、やはり作ったほうがいいのではないかと思います。局方には載っていません。
 それ以外に皮膚で口腔内に貼り付けるフィルム剤というものが本当にありますけれども、それは溶けないものもあるということで、非常に少ない数しか承認前例がありませんので、現在、この中に入れていません。実際にそれが増えてきた場合は、入れてはどうかということで製剤委員会に話して、一応そこは落としている。増えてきた場合に入れましょうということで、まだ局方の中には入っておりませんので、そこをどうするかということは、これからもし製剤で入れ込むことになったら、入ってくると思って考えております。そういう取扱いをしております。以上です。
○橋田部会長 よろしいでしょうか。そういう原則で今の段階では扱われているという御説明かと思います。先ほど川西委員からも御提案がありましたけれども、これはもう一度、場合によっては製剤委員会のほうでも御議論いただくということで、まだパブリックコメントを頂いて検討する余地もあろうかと思いますので、一応そういう問題が提起されたということで受け取りたいと思います。
○川西部会長代理 この製剤名に関しては、日本薬局方が日本で使う製剤名にすごく強く影響しますので、その辺りを安原先生が、ちょっとおかしいというような付け方があれば、もちろんパブリックコメントのときでもいいし、その後でもどうしてもおかしければ、また御指摘いただいたほうが、何か局方で変な付け方をすると、臨床上で非常に分かりにくいものになったりすることもあります。そうすると安全性にも響きますから、その辺りはまたお気付きの点があれば、御指摘いただいたほうがいいのではないかと思います。
○橋田部会長 ありがとうございました。それでは、その他の点に関していかがでしょうか。
○花田委員 先ほど川西先生が付け加えられたことで納得したのですが、ただ一点だけ、おそらく安原先生もこのことが気になったのだと思うのですが、英語は「Oral」と入っていますが日本語では省かれています。日本薬局方は医薬品の命名において、英訳も含めての公定書という基準文書ですから、やはり、この英語文と日本語文との間に齟齬がないようにしたほうがいいのではないかなと、個人的には思います。
○橋田部会長 ありがとうございました。合わせて御確認を頂きたいと思います。
○川西部会長代理 経験上コメントさせていただくと、これは結構ヨーロッパとアメリカとで、使っている英語が微妙に違っていたりして、実際に作業すると、ものすごく難しいものもあるということは、ちょっとコメントしておきます。
○橋田部会長 ありがとうございます。他にいかがでしょうか。
○川崎委員 資料2-1、参考情報12ページ、医薬品の安定性試験の48行目に、「本参考情報は主として化学薬品の」という記載があります。局方全体でこの「化学薬品」という表現がよく使われているのかどうか分からないのですが、生物薬品委員会で、生物薬品の定義について議論しておりまして、化学薬品の定義はどこかにあるのだろうかと思いました。ペプチドのような、ちょうど境界線上にあるようなものについて、議論されたのか、あるいは今後どうされるのかということをお聞きしたいと思います。
○橋田部会長 いかがですか。言葉の定義ということに若干微妙な点があるのかもしれませんが。
○川西部会長代理 ドラフティングしたのが、阿曽先生なので、伺っては。
○橋田部会長 阿曽先生、少しコメントを頂ければ。
○阿曽委員 原案を作った者なのですが、この原案を作るときはICHの旧版ガイドラインを基に、前に日本語版を作ったものですから、その流れで化学薬品という言葉を使わせてもらっているということで、余り生物薬品のような定義については、考えてはいなかったというところはあります。
○川西部会長代理 これは多分、原案作成を行ったときに考えているのは、化学薬品は恐らくICHのQ6Aという品質ガイダンスがあって、それのカバーする範囲というような話、あるいはICHの安定性のガイダンスのスコープを想定して作ったのではと思います。実はバイオ医薬品等の生物薬品のほうは、安定性はプラスアルファでQ5Cというガイダンスがあって、それはプラスアルファの要件なのです。
 この参考情報を作ったときの考え方は、どちらかというとICHの化学薬品、要するにQ6Aがカバーしている範囲というようなことを想定して作成したと思うのですが、ただ、その辺を余りクリアに表現していないようなら、これは局方本体に書かなくても、何かどこか解説みたいな所で、誰かがフォローアップするようなことでやったらいかがですか。
○橋田部会長 川崎先生、いかがでしょうか。
○川崎委員 この参考情報そのものは、「主として」となっていますので、ここで化学薬品の用語を使用していることが、大きな問題になるとは私も思っておりません。ただ今後、生物薬品総則を整備するに当たって、この辺の整理が必要になってくると思ってお聞きいたしました。先ほどの川西委員からの御提案のような解説というのは、役に立つのではないかと思います。
○橋田部会長 ありがとうございました、他にいかがですか。伺っておりますと、一方でいろいろな意味で国際調和もあれば、他の指針とか、そういうところとの調和もあります。いろいろ御配慮されながらこの案ができてきているということは非常によく分かるわけです。細かいことだけにこだわればいろいろ質問といいますか、御指摘も出てくるわけですが。もし、他にございましたら伺わせていただきます。よろしいでしょうか。
 ただ今の御議論、今の運用というか解説を付けるという話、あるいはもう一度少し検討いただくという点はありましたけれども、特にこの場で修正が必要という御意見はなかったように思います。それでは、よろしければ今日御説明をいただきました点を踏まえてこれから議決に入りたいと思います。今日御説明いただきました第十七改正日本薬局方第一追補ですが、一応案のとおり承認するということでよろしいでしょうか。それでは、そのようにさせていただきます。
 また、報告事項のほうですが、報告事項1、日本薬局方の参考情報の改正について、これも併せて御了承いただいたということでよろしいでしょうか。それではそのようにさせていただきます、どうもありがとうございました。
 以上で本日の審議事項は終了いたしました、次の報告事項に移らせていただきます。報告事項2、日本薬局方新規収載候補品目(案)についてです。機構から説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 機構から御説明させていただきます。資料につきましては資料3を御覧ください。こちらの新規収載候補品目(案)につきましては、前回、平成28年7月の日本薬局方部会での御報告以降、新たに追加するリストを本部会で報告させていただきます。
 1ページから2ページの新規収載候補品目(案)につきましては、日本薬局方原案審議委員会の総合委員会において、第十七改正日本薬局方作成基本方針に基づき審議・了承され、機構での意見募集を経て、厚生労働省に報告したものとなります。これらは機構において、医療上の汎用性及び必要性の観点から選定されました64品目となります。
 なお、3ページ目に、新規収載候補品目リストからの削除品目(案)であり、クロルプロマジン塩酸塩・フェノバルビタール・プロメタジン塩酸塩錠を挙げております。本品目に含まれるフェノバルビタールにつきまして、過量服用時の危険性が指摘されており、最近の国内診療ガイドラインでは、睡眠薬としての使用は推奨されておりませんことから、日本精神神経学会から製造販売企業に販売中止の要望がありました。当該企業から厚生労働省に「薬価基準収載品目削除願」が提出されております。その後、日局への収載要望取り下げの依頼があり、新規収載候補品目から削除することとなりましたので、併せて御報告させていただきます。
 以上、御確認のほどお願い申し上げます。
○橋田部会長 今、御説明をいただきましたが、新規収載候補の品目として今回は64品目を選んでいただいたということ、1品目につきましてはこれまで入っておりました品目のリストから削除するという御提案でした。これにつきまして何か御質問、御意見がありましたらお願いいたします。削除の品目、配合薬ですが、これは今までリストにあったわけですね。新規収載の候補品目として。
○医薬品医療機器総合機構 はい、そうです。今回、64品目、候補品目として収載されましたが、以前こういうリストに収載されたものの一つとなります。
○橋田部会長 以前の中の一つであったと。それが今、フェノバルビタールの安全性の問題等から臨床でも使われなくなったということで、そういうものを受けてのこういう取扱いということですね。
○医薬品医療機器総合機構 はい。
○橋田部会長 いかがですか、薬局方作成の5本の柱、十七改正も十八改正もありますけれども、そういったところで保健医療上重要な医薬品の全面的収載という項目がございます。こういうようなものを受けて、どんどん必要なものを収載候補に挙げ、最終的には収載の方へ移っていくということになっているわけです。いかがでしょうか、特にありませんか。
 それでは、今の新規収載候補品目(案)ですが、特に御意見等がないようですので、これにつきましても御了承いただけたものとさせていただきます。どうもありがとうございました。
 以上で本日の審議・報告事項は終了いたしました。事務局から何かございますでしょうか、あるいは多少お時間がありますので、もう少し全体について御意見等ございましたらいただきたいと思います。
○川西部会長代理 ちょっと2点ほど、3点と言っていいのかもしれません。まず、1点目はパブリックコメントに関してなのですが、今までもそうだったのですが、今回の改正案のパブリックコメントは、ホームページでは今回の部会資料でなくて、もう改正した文章案のみをポンと載せて、これでいいですかという形で出しているということがほとんどのケースでした。中には結構インパクトがある改正なのだけれども、さり気なくやってしまっているというために、ひょっとすると気が付かないケースもひょっとしてあるのではないかと思います。
 例えば今回ちょっと思ったのは、残留溶媒のところ、第一追補で実はクラス2、クラス3を全部適用するということにしました。これは第十七局の施行通知で予告していたことなのですが、結局第一追補の改正は、「適用」というところの数行を消しただけなのです。実は私もこの部分の改正案のパブリックコメントを知らないで、パブコメしなくていいのか事務局に問い合わせたぐらいです。ですから、それなりのインパクトがある改正に関しては、パブリックコメントを募集する時に、これはこういう改正ですということはやはり説明文をいれた方がいいと思います。
 私が申し上げているのは、パブリックコメントでも機構のパブリックコメントと厚生労働省でのパブリックコメントの2種類のうち、機構のパブリックコメントです。厚生労働省でのパブリックコメントは一番最終仕上げのところ、ここで大反対が起きるとちょっとまずいので、それまでに主要な論点は意見を聞いたということにしなくてはいけません。やはり、機構のパブリックコメントの時に主要な、インパクトがあると思われるようなものは、多少解説しつつやっていただいた方がいいのではないか。もちろん、そういうものに関してはいろいろな説明会などでやっていると思うのですが、そういうものに出ているのは業界、局方に関わっている人がほとんどです。この残留溶媒の場合などはそれ以外に余り普段局方を意識していない製品群にも、もろに影響することなので、そのあたりは機構のパブリックコメントの時に配慮すべきなのではないかと思いました。それがまず第一点です。
○規格基準部長 御指摘、誠にありがとうございました。先生がおっしゃるとおり、資料1-7の8ページ等にちょうど新旧対照表もありますが、残留溶媒につきましては、昨年3月に十七局に載りました一般試験法2.適用で、旧ではクラス2とクラス3の溶媒については別に定めるとして必ずしもということではない取扱いになっていたところ、今回の一追では絶対に、完全に全てやらなくてはいけないということで2.適用の項を削除しましたが、そこの部分をパブリックコメントで分かりやすく示すことができませんでした。御指摘、本当にありがとうございます。今後は示し方等工夫してパブリックコメント等をやっていきたいと思います。
 なお、通常はWebサイト上で、パブリックコメントと同じ場所に技術情報として更に詳細に説明をする文章を掲載してはいるのですが、今回この大きな改正につきましてはそちらの方を掲載して、丁寧に説明することができておりませんでした。今後は十分気を付けて、大きいものについては丁寧に説明してまいりたいと思います。ありがとうございました。
○川西部会長代理 2点目は日局にとってのこれからの課題だと思います。私自身、実は原案審議委員会からまもなく離れますが、是非とも考えていかなくてはならないこととしてこの場でコメントさせてください。
 今、日局は国際化、国際化と言っているわけです。国際化の意味としては、今まではどちらかというと英語にすればもう国際化だという感じでいたのですが、これから原薬の調達は海外からということもあるし、それは日局適用でやってもらわなくてはならないということもある。結局のところ、英語バージョンが大切になると思いますが、海外の人が局方を見て理解できないと仕方がないという部分がある。旧来、日本薬局方は日本の法律もよく知っているし、何より、もう一つは施行通知も知っていて、なおかつ原案作成要領も知っている人が使うという前提で、局方を作っていたという部分がある。私自身も作っていたからよく分かるのですが、これから、特に医薬品の国際化の中で日局を参照薬局方で使ってもらおう、海外の規制当局に参照薬局方で使ってもらおうとした時、やはり日局の英語バージョンを読んだら日局の品質管理の考え方が理解できるほうがいいと思います。これは言うはやさしく、実際には難しいですが、ちょっとそのあたりはこれから意識して参考情報等々も活用しながら、そのような作り方をしていくようにした方がいいのではないか。医薬品の国際化という時代の中で強く思っているところですので、是非ともよろしくお願いしたいと思っています。
○事務局 御指摘ありがとうございます。先生御指摘のとおりかと思います、対応させていただきたいと思います。
 以前、原案作成の総合委員会でも御議論いただきましたように、英文版につきましては必要に応じ、ホームページ等でも公表している中で、例えば通則の補足情報などを英語で入れさせていただいております。引続き、そうした対応を進めていきたいと思います。ありがとうございます。
○川西部会長代理 もう一つ、これは部会でも余り表に出ていないことかもしれませんが、十七局に合わせて不純物の規格設定の方針を変えました。実は知っている人はよく知っていることなのですが、日局の不純物は欧米薬局方とちょっと規格設定の表現が違っていました。そこでICHベースでやっている設定の表現の形式でもこれから受け入れますということを、実は日局の本体には書いていないのですが、原案作成要領で既に準備して、ICH品質ガイダンスとの齟齬、それから海外局方との齟齬ということを、国際化の時代の中でなくしていこうという方向にハンドルを切ったわけです。この変更を反映させた各条というのはいつ頃から出てきますか、今のところモンテルカストは十七局で入れたのですが、それ以外の進捗具合はどうですか。
○規格基準部長 今回の第一追補で一つ、資料1-3の医薬品各条の中でエンタカポンというページが15ページにあります。資料1-3の15ページ、エンタカポンですが、こちらで類縁物質A、B、Cというように欧州薬局方等と同じような形で、類縁物質等を示させていただくことを始めております。徐々に今、二追に向けてもこのような形で審議を進めていただいている各条がございます。
○医薬品医療機器総合機構 追加で発言します。お手元にこのような資料があるかと思います。十八改正日本薬局方原案作成要領、こちらの33ページあたりを御覧ください。こちらに今、エンタカポンで御紹介いたしました類縁物質のようなものをイメージした記載要領が記載されております。今後はこういうものが少しずつ入っていくのではないかと考えております。
○規格基準部長 補足ですが、3.18.5類縁物質につきましては、一昨年、十七改正日本薬局方原案作成要領その2で既に一応広く皆様方にお見せしたものです。更に、Q3ABの概念をどのように局方に入れるかというところで、今回の第一追補に残念ながら間に合わなかったのですが、今議論を進めており、一度パブリックコメント等をさせていただいているような進捗状況です。第二追補に向けて、このあたりも参考情報のほうに入るべく、今、先生方に御議論いただいているところです。
○橋田部会長 ありがとうございました。国際化ということで、日本薬局方の役割はどんどん大きくなっていると思います。その中で単に薬局方を作り、英語に訳せばそれでいいということではなく、運用も含め、それが本当に有効に活用されるような形でお考えいただくということになろうかと思います。よろしくお願いします。他に何か全体的なことで、この機会にございますか。
○川崎委員 資料1-7、22ページ下、412、無水クエン酸があります。先日、ある添付文書で、無水クエン酸が添加されていることを見て、不思議に思いました。しばらくして日本薬局方名だということに気付いて納得しました。今後このようなものについてもご検討いただけたらいいのではないかと思いました。
○橋田部会長 ありがとうございました。すみません、今のお話は厳密に言って名称が適切ではないというお話ですか。
○川崎委員 最初は酸無水物かと思ったのですが、つぎに結晶水を含んでいないものという意味だったと思い出し、日局に馴染みのない方は混乱されるのではないかと思いました。
○医薬品医療機器総合機構 機構からお答えします。無水クエン酸のところ、「無水」というところ、例えば無水エタノールとありますが、それは水を含んでいないということです。昔の名称の付け方は無水にするのか、水和物にするのか二つありまして、無水クエン酸というものも昔からありました。クエン酸にするのかということで、名称委員会で決めていただいて無水が付いているという状況になっています。ですから、クエン酸水和物と無水クエン酸と二つのものを局方に載せているということです。新たに入ったものではありませんので、名称を新たに変えるかどうかというのはちょっと。
○川崎委員 はい、それは理解しております。局方名だということは分かっております。ただ、これが一般的かどうかということで少し疑問に感じたということです。
○橋田部会長 当然、昔からずっと流れがあるということだと思います。同時に、場合によってはもう一度見直すというか、もう一度確認することも必要かと思います。他によろしいですか。
 それでは、本日の御審議はこれで終了とさせていただきます。事務局から何かありましたらお願いします。
○事務局 今後のスケジュールですが、本日御審議いただきました第十七改正日本薬局方第一追補につきましては今後パブリックコメント、WTO通報等、所要の手続を行った上、薬事分科会における報告を経まして告示を行う予定としているところです。その際、法令等の関係で書式・体裁等の必要な修正等が行われることもあるかと思います。その点、御了承いただければと思います。
 次回の部会の日程ですが、事務局にて調整し、改めて御連絡させていただきたいと思います。事務局からは以上です。
○橋田部会長 ありがとうございます。本日はこれで終了とさせていただきます。委員の先生方、どうもありがとうございました。

(了)

備考
本部会は、公開で開催された。

連絡先:医薬・生活衛生局 医薬品審査管理課 課長補佐 大原(内線2737)

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