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2017年2月24日 (平成29年2月24日) 平成28年度 第3回化学物質のリスク評価に係るリスクコミュニケーション 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

○日時

平成29年2月24日(金)
13:30〜16:30


○場所

大阪・梅田貸会議室ティーオージー1号室
(大阪市北区梅田1-1-3 大阪駅前第3ビル 17階)


○議事

○司会者(森田) それでは、定刻となりましたので、ただいまより「平成 28 年度第3回化学物質のリスク評価に係るリスクコミュニケーション」を開催いたします。

  まず最初に、お手元の資料の御確認をお願いいたします。

  ステープルどめの基調講演資料が1部です。

  A4のピンクと水色のアンケート用紙が1枚ずつ、こちらピンクは、休憩時間に回収いたします。

  あとは、はがき大の赤と青の厚紙が1枚ずつお手元におありでしょうか。大丈夫でしょうか。この赤と青の厚紙につきましては、後半で御説明いたします。

  さて、このリスクコミュニケーションですが、働く方の健康障害を防止するために、厚生労働省が行っております、化学物質のリスク評価に当たりまして、関係する事業者の方、また、事業者の団体の方との情報共有、意見交換を行うために実施しているものです。厚生労働省からの委託を受けまして、テクノヒルが昨年度に引き続き、運営を担当しております。

  私は、司会のテクノヒルの森田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

  それでは、本日のスケジュールについて、簡単に御説明いたします。

  まずリスク評価の結果についてを、厚生労働省の検討会である、化学物質リスク評価検討会の委員でいらっしゃいます、帝京大学医療技術学部教授の宮川宗之先生に、御講演を 40 分ほどいただきます。

  次に「特定化学物質障害予防規則(特化則)等の改正について−オルト−トルイジン、三酸化二アンチモン−」について、厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室長の穴井達也様に、御講演を 35 分いただきます。

  以上の基調講演が終わりましたら、一旦、 20 分の休憩といたします。休憩時間に、1回目のピンクのアンケート用紙を事務局で回収をいたします。ピンクのアンケートに、基調講演をお聞きになった御感想、疑問点、御質問の点などについて、お書きいただき、会場の事務局へお渡しくださいませ。後半の意見交換は、会場からいただいた御意見を踏まえた形で、進めてまいります。

  後半の意見交換会では、コーディネーターを長崎大学広報戦略本部准教授の堀口逸子先生にお願いをし、パネリストとして、基調講演をいただきました、帝京大学の宮川先生、厚生労働省の穴井室長ともう一人の方にお上がりいただき、疑問点にお答えしていきます。

  意見交換は、まず1時間ほどは、ピンクのアンケートにお書きいただいた御質問について、御回答をし、その後、 20 分ほどは、会場からの御質問を直接お受けいたします。御質問は、匿名で大丈夫です。

  なお、この講演会につきましては、後半の意見交換を含めて、議事録作成のため、録音をしております。録音の関係上、最後の質疑応答の際は、マイクをお渡しいたしますので、マイクを通して、御質問をお願いいたします。

  全体の終了は、4時半を予定しております。

  それでは、最初の基調講演「リスク評価の結果について」を、宮川先生、どうぞよろしくお願いいたします。

 

基調講演

「リスク評価の結果について」

 

○宮川 帝京大学の宮川でございます。よろしくお願いいたします。

  初めに、後半で説明があるという話でしたけれども、きょう、この青いものと赤いものが皆さんの机上にあると思います。これが「マニュアルクリッカー」で、授業をやっているときに、「わかっている人は、赤のボタンを押してください、わからない人は、青のボタンを押してください」というように、いろいろ使えるというものです。

  最初にお聞きしたいのは、リスクコミュニケーションの会に、今日初めていらっしゃったという方がいらっしゃいましたら、青を上げていただきますでしょうか。

 

(傍聴者 札表示)

 

  ありがとうございます。

  複数回、何回か来ているという方は、赤をお願いいたします。

 

(傍聴者 札表示)

 

  ありがとうございました。

  皆さん毎回来ているという方ばかりだと、いつも初めのほうは同じような話でリスク評価の仕組みの話はもう聞き飽きたという方が多いのではと心配だったものですから、お聞きいたしました。

  ということで、初めていらっしゃっている方が結構多いようですので、順次スライドに従って説明をしていきます。このスライドの中身は、厚生労働省が監修をしております。私の名前が入っておりますけれども、私の意見ということではなくて、厚生労働省の方がチェックをしてつくられたということになります。

  後半の質疑応答のときには、役所の答えではなくて私自身の考えを言うかもしれませんので、その点を御承知おきください。

  それでは、スライドを使って御説明いたします。

 

(スライド1)

  それでは、リスク評価制度についてのお話をさせていただきます。

 

(スライド2)

  まず労働現場で取り扱われている化学物質の現状ということが書いてあります。約6万種類と書いてありますけれども、こういう話をするときに、5万と書いてある場合もあれば、6万と書いてある場合もあれば、7万ぐらいあるというものもありますが、正確な把握は難しいと思います。非常にたくさんあります。学生には、産業で使われている化学物質はゴマンとあると覚えておけばいいと言っているわけですけれども、約6万種類ということになっております。

  しかも、毎年約 1,000 物質が新規届け出、 100 キログラム超の製造または輸入ということなので、変異原性試験をしなければいけないものがこんなにたくさんあるということになっております。

  それ以外に、少量のものになりますと1万 7,000 物質ということで、化学物質は非常にたくさん使われていて、さらにそれが増えつつあるということです。

 

(スライド3)

  特に最近の状況を見ますと平成 15 年から増えているわけです。いつもは、このところで出てくるスライドは、化学物質による労働災害のケースで、平成 18 年ぐらいから少しずつ減っていてリスクアセスメントが役に立っていますというスライドが出てくるのですけれども、今回は、そのかわりに化学物質の数が結構ふえているということが、ここに示されております。たくさんの化学物質を安全に使わなければ、労働災害につながっていくことになります。

15 年前の水準の倍程度に届け出がふえているということが入っております。

 

(スライド4)

  ここは、ちょっと細かくて、後ろからは見えないと思いますけれども、非常に重要なスライドなので、丁寧に説明をさせていただきたいと思います。

  5万とも、6万とも言われている化学物質の中で、いろいろ規制がかかっているわけです。一番厳しい規制がかかるのは、この三角形ピラミッドの頂点にあるもので、石綿など製造禁止ということで、法律で製造禁止になっているものが8物質あります。

  その下ですが、極めて注意をして使わなければいけない、製造許可物質が7物質です。そのほかに、発がん性などがあって過去に労働災害につながったようなものには特別規則というものでいろいろな縛りがあります。実際に工場などで使うときに、こういう保護具を使ってください、こういう健康診断をしてくださいといった、いろいろな規制がかかるのが特別規則です。 119 物質あるということになっています。この辺までが、非常に気をつけていかなければいけなくて、法律できちんと厳しい規制がかかっているのです。( * 編注:平成 29 1 1 日現在 120 物質)

  その下で、これも含めてですけれども、 640 物質、この部分ですが、これの多くは、 119 を除いた、こちらが五百数十あるわけです。ここは、どういう規制がかかっているかというと、情報をきちんと提供してくださいという物質です。

  ラベル表示。容器・包装等に、この物質にはこういう危険性があります、有害性があります、ということを書いてくださいということ、これが義務づけられているのがラベル表示というものです。

SDS 交付義務と書いてあります。 SDS というのは、セーフティーデータシート、安全データシートと言われるもので、何が書いてあるのか。これは、名前は安全データシートですけれども、逆のことが書いてあるのです。危険性・有害性を書くというのがセーフティーデータシートです。これを見ると、どういう危険性・有害性があるかということがわかることになります。その化学物質を譲渡・提供する場合には SDS をつけなければいけない。交付する義務があるという物質があります。

  さらにリスクアセスメント実施の義務というものがかかっているものがあります。以前はこれがなくて、こちらが 640 で、もっと少なかったのです。こちらに対応するようなラベル表示の数だったのが、全部一緒になりまして、 640 について、ラベル表示と SDS の交付と、さらにリスクアセスメント実施の義務が入るということで、去年からだと思います。

  大変です。これらのものを使うとこういう義務がかかるのか、リスクアセスメントは使用する事業者の責務でやらなければいけない。ということで、規制がかかってから、まだ1年はたっていないのですけれども、私の職場も含めて化学物質を使っているところで、これに該当するものがあるのだったらリスクアセスメントをしなくてはいけないということになっております。

  これは事業者が自分の事業用でリスクアセスメントをするということですけれども、特別規則の対象物質に関しては、こちらは既に細かな規制、個別具体的な規制がかかっていますが、こういうものについては、場合によっては、こちらを考えなければいけないこともあります。

  そういうことで、国みずからこういう物質を中心にチェックをし、必要に応じて対策をとるということをしています。それが国が実施しているリスクアセスメントということになります。

  なお、それ以外。たくさんあります。ゴマンとあるので、ゴマンのうち、 640 はほんのわずかです。残りのものは、ほとんどわかりません。規制がかかっていないものがたくさんあるわけです。けれども、ラベルあるいは SDS の交付の努力義務というものがあります。リスクアセスメントの努力義務というものがあります。つまり義務はかかっていないから、やらなくてよいということではなくて、できるだけそういうことをやって、安全に化学物質を使えるようにしてくださいという努力義務がかかっているものが、こちらにあるということになります。

  こういうものの中から、例えばこの物質で、発がん性が確認された物質などがこちら、あるいはこちらにもっていくという検討が入りますし、新たに強い変異原性が確認された物質についても、いろいろな対策が考えられているのです。

  ポイントは、リスクアセスメントを国が実施しています、特に有害性を鑑みてリスクがあるかもしれないと考えられた物質について、実際に現場に行ってリスクアセスメントをするということです。リスクアセスメントの基本が、国のリスク事業にありますので、国がどういうリスクアセスメントをやっているかということを参考にしていただくと、事業場の中でのリスクアセスメントも、基本はそういうことなのだということがわかる仕組みになっていると思います。制度をつくったときに、ここまで予定していたわけではないと思いますが、私としては、国が実施しているリスクアセスメントの方法を基本に、ぜひ各事業場でも、リスクアセスメントを実施していただきたい。これは、私の個人的な考えのところです。

 

(スライド5)

  今のところをまとめますと、化学物質の対策の方向性ですけれども、以前はハザードベースの規制と書いてありますが、実際に健康障害が起きた物質について、この物質は、そういうことにつながる可能性があるから、きちんと法規制をしようということで、特別規則ですが、発散抑制措置を求めたり、作業環境測定を義務化したり、特殊健康診断を義務化するというものがあります。

  後追い的な規制だったのが、平成 18 年以降、リスクベースの規制ということで、実際に有害な化学物質でも、使い方がきちんとして、管理をきちんとすれば、災害が起きる可能性は非常に少ない。比較的安全だといっても、無毒なものはないというのが毒性学では常識ですから、使い方を誤れば健康障害に結びつく可能性がある。

  したがって、どういう状況で使われているのか、ばく露の程度はどうなのかというところをきちんと調べて、健康障害の発生する可能性があるかどうかというところをチェックしましょうというのが、リスクアセスメントです。

  非常に多く使われている、リスクがある使い方がされている。ということがわかった場合には、国として対応を考えましょうということで、幾つかの物質について国みずからが候補を挙げ、それについて現場での取り扱い状況を報告していただいて、それを含め国では調査などを行って、どういう有害性があるのか、有害性どのぐらいのばく露があると健康障害につながるのかというところをチェックした上で、健康障害などを起きる可能性があるかどうか確認する、国がみずからリスクアセスメントをやるということで、実施されているわけです。

 

(スライド6)

  厚労省のリスク評価制度ですけれども、こういう構成でやることになっています。

  まず制度ができたのは、平成 18 年からです。有害物質ばく露作業報告制度をつくりました。ばく露がゼロだったら健康障害は起きません。相当程度ばく露していても有害性がほぼゼロであれば大丈夫だということになります。そうすると、ばく露の程度を調べることと、有害性の程度を調べるということが重要になります。

  化学物質の有害性情報とばく露情報をもとに、リスクを評価します。

  リスクが高いということがあった場合には、必要な規制を実施するということで、動いております。

  リスク評価対象物質の選定です。こういう物質についてやってもらいたいということを国が受け付けていると思いますし、招集された専門家検討会で、これこれについて必要ではないかという検討をする。使用量だとか、有害性、あるいは新しくこの物質に発がん性があるということがわかったというものについて検討をして決めるわけです。決めた後に、有害物質ばく露作業報告をしていただいて、ある程度こういう状況で使われているのだということがわかるわけです。

  一方、国の検討会では、有害性情報の収集をし、文献調査が中心となるわけですけれども、評価書というものをつくります。こういう有害性があるということがわかるというものをつくります。もう一つ、どういう有害性があるかだけではなくて、どの程度のばく露で有害性が出るかというところをチェックするわけです。そういう有害性にかかる情報を整理した上で、ばく露の情報を集めてきます。ある程度ばく露がありそうだというところについては、国みずからがばく露の実態調査に伺って、協力していただいて、実際に幾つか調べたら、こういうばく露状況でしたということがわかるのです。

  このぐらいの濃度であれば、通常1日8時間、生涯 45 年間働いても、病気にはなりませんという許容濃度が設定をしてあります。それ以下であれば、大丈夫ということがわかるわけです。許容濃度等がないものについては、実際の実験データなどからどのぐらいまでは大丈夫かというような考え方でもって評価基準を決めるわけです。

  基準が決まります。そこと実際のばく露を比べるのが、リスク評価になります。リスクアセスメント、化学物質の健康障害のリスクアセスメントの基本は、許容できるばく露レベルと実際のばく露レベルを比べて、実際のばく露レベルが高ければ、もしかすると健康障害が発生する可能性があると考えます。許容できるばく露レベル、許容濃度などを十分に下回っていれば、当分健康障害は心配しなくてもいいだろう。これが基本です。このリスク評価制度でも、こういう形でもって、リスク評価を実施するということで、行っております。

  リスクがあるということになった場合、つまり許容濃度などと比べて相当高い程度ばく露をしているということがわかったときには、健康障害防止対策を決めるということになります。実際の防止対策としては、特別規則による規制をかけるということで、いわゆる特化則に入るということになるわけで、そうすると、局所排気装置の義務、作業主任者選任の義務、環境測定の義務、特殊健康診断の義務というものをかけるということになります。

 

(スライド7)

  そういう評価をする場合には、今申しましたように、どの程度の有害性があるのか、有害性の種類とどの程度のばく露でもって有害な影響が出てくるかを調べるための有害性評価検討会もあり、そこでデータを集めるわけです。

  もう一つのほうは、ばく露の実態調査とか、ばく露結果から統計学的な調整をして、分布を考えた上で、実際のばく露状況を調べるというグループで、それぞれ小委員会ができております。

  最後に、その両方を集めて、全体でリスクを評価するという形になっております。

 

(スライド8)

  今、言ったことで、しつこいですけれども、ポイントは、許容濃度のようなものとばく露を比べるということです。国のシステムは、2段階になっております。2段階のリスク評価方式が行われていまして、最初は、初期リスク評価というものをやります。

  何をやるのかというと、何回も言っていますように、どういう有害性があるのかという有害性の評価で1次評価値と2次評価値を決めます。2次評価値というのは日本産業衛生学会が決めた許容濃度とアメリカの ACGIH が決めた曝露限界値があります。それを2次評価値としております。

  普通はこれでいいわけです。学会などがこれぐらいのレベルのばく露であれば、普通健康障害はないでしょうというレベルですから、そこを下回っていれば、十分なのですけれども、国は念を入れて、場合によって、必要に応じて、1次評価値をつくっています。

  これは何かというと、こういうリスク評価の対象が決まったときに、文献調査などによって、このぐらいのばく露でこのぐらいの健康影響が出るだろう、動物実験の場合もありますしヒトでの報告の場合もありますが、そういう情報が見つかったときに、それをもとにある程度の安全率を見込んで計算をするのです。ちょっと厳し目な計算かもしれませんけれども、動物実験でもって、このぐらいでもって影響が出る。人間だったら、その 10 分の1、あるいは 100 分の1くらいに抑えたほうがいいのではないかという計算をします。

  その計算をして出たものが1次評価値です。ほとんど2次評価値と同じような値が出てくる場合もありますし、それよりも相当低い値が出る場合もあります。原則的には、これら通常の基準値よりも、 10 分の1よりも低いような値が出た場合には、それを使うのだということで、初期リスク評価のときには、1次評価値と2次評価値の両方を考えながら、チェックをするわけです。

  実際にばく露を調べたら、1次評価値よりも低いというときには、リスクは低い。グラフは個々の人たちの作業者のばく露レベルと思ってください。これを評価しています。

  次に1次評価値は超えているけれども、許容濃度・2次評価値は超えていない。現時点でリスクは高くないでしょう。気をつけて見ておきましょうとなります。

  2次評価値を超えている、許容濃度を超えている作業者・作業場が見つかった。これは少し正確に見たほうがいい、その事業場だけの、その人だけの特殊な事情だったらともかく、一般的にほかの事業場でも同じような状況があるのかどうかをチェックする必要があるという場合には、詳細リスク評価に移行します。

  詳細リスク評価の場合には、ばく露状況を追加で調べますし、より多くのところに協力をいただいて、チェックをするわけです。こちらになりますと、基本は2次評価値を使うということになっていて、そこでチェックをした結果、多くのところでは2次評価値を超えていないところで作業をされていることであれば、それでよろしいでしょう、自主的な対策をきちんとしていってくださいということで済みます。

  ただ、調べてみると、2次評価値を超えて作業しているところが多い、許容濃度と言われているものよりも高いばく露を受けている人たちが国内で働いていることが見つかって、そういう作業に共通した問題があるのかもしれないというときは、対策が必要だということになります。

 

(スライド9)

  リスクの判定ですけれども、基本的には、個人ばく露濃度の最大値が問題になります。

  それと、先ほど言いました、1次評価値です。基本は、発がん性を考慮して、検討するような場合は、1万人に1人ぐらいの割合で過剰なばく露によって過剰ながんが出るだろうという濃度を計算しますし、あるいは生殖毒性とか神経毒性など重篤な健康障害が出るおそれがあるという場合には、動物試験で得られた結果などから、安全域を見越して 10 分の1あるいは 100 分の1ぐらいのところに設定した値を評価値とするのです。それらと曝露濃度を比べるのです。

  2次評価値は、通常労働者が1日8時間このレベルでばく露をして生涯働いても健康障害が起きないであろうという濃度で、それと比較をして判断をするということになっています。

  ここでは統計学的な方法を使い母集団の最大値(上側5%値)を推定したり、あるいは測かった中での個人ばく露濃度の最大値を使って、比較をするということになっております。

 

(スライド 10

  リスク評価において、今後の問題ですけれども、福井県の化学工場で集団発生した膀胱がんの事例でオルト−トルイジンですが、ここではばく露経路として経皮吸収がクローズアップされています。許容濃度がどうのこうのという話をしていますけれども、一般的には、作業環境中環境中にどのぐらいの濃度でその化学物質が存在するか、それを吸い込んで場合によっては健康障害が起きるわけですけれども、しっかり気をつけていて吸い込まないようにしている、空気中にはないようにしていても、有害性がある物質に手で直に触るということがあったりすると皮膚から吸収され、それによってこういうがんなどが起きる可能性もあるわけです。

  そうしますと、環境中だけはかったということでは十分ではないということで、今後の課題ということで、オルト−トルイジンの例から経皮吸収がクローズアップされております。これは、今後の課題ということになっております。

 

(スライド 11

  今申し上げましたようなもので、いろいろな物質を評価しておりますが、最近では、平成 28 年度について申し上げますと、詳細評価で、初期リスク評価が終わって一応懸念があるということで、詳細評価に移ったのが酸化チタンでナノ粒子を除くということになっております。ナノ粒子はナノ粒子で懸念があるということで、二酸化チタンに関しては、ナノ粒子のものとそうではないものを分けて評価をしております。

  初期リスクを行ったものは、2物質ありまして、名前が長いですけれども、ブチル−グリシジルエーテルという別名がありますが、ノルマル−ブチル−2 , 3−エポキシプロピルエーテルという物質です。それから2−ブロモプロパン、これが初期評価リスクです。

27 年度に詳細評価を行ったのは三酸化二アンチモンです。これについて、今半分ぐらい時間が残っていますので、各物質の個別のリスク評価結果について、御紹介をしたいと思います。

 

(スライド 12

  それでは、平成 28 年度などに実施した評価結果について、ここからお話をいたします。

  基本は、2次評価値の許容濃度等と比べて、ばく露のレベルが超えているのか、下回っているのか、これが健康リスク評価の基本です。国がやっているものもそうですし、事業場単位でやるときにも、実際はこれが基本になると思います。

  コントロール・バンディング等、簡易なリスク評価方法もあると言われていますけれども、しかし基本は許容濃度と比べるということです。ただ、難しいのは、許容濃度と比べるためには、実際のばく露レベルを測定しなければいけない、作業環境測定を実施するのは結構大変です。

  そういうことで、各事業場では難しいのかもしれませんけれども、一応国でやるやり方と同じやり方でやるのがリスク評価の基本だということを、国が実施するリスクアセスメントの方向と趣旨がずれるかもしれませんが、私としては、こういう基本でリスクアセスメントをしていただきたいと常々思っておりますので、スライドに書いていないことを、私の個人的な感想をつけ加えて言わせていただきました。

 

(スライド 13

  酸化チタンですけれども、ナノ粒子のものを除く酸化チタンについての詳細リスク評価結果です。

  結果を最初にまとめてありますけれども、2次評価値は1 mg/m3 です。これが基準値です。産業衛生学会の第2種粉じんで、塵肺を起こす可能性があるような粉じん、第1種、2種、3種とあって、第1種が一番毒性の高い、数値が低いものです。第3種は、その他一般の粉じんです。そのちょうど中間の第2種粉じんということになっていて、第2種粉じんになると、産業衛生学会では、1 mg/m3 、これが基準値になります。粉塵としての許容濃度です。

  ばく露結果はどうだったのか、これを超えているかどうかが問題ですけれども、リスク評価にでは個人ばく露の測定を 59 人の方について実施し、個人ばく露濃度の最大値が 3.1mg/ m3 となりました。そういうことで、2次評価値を上回っております。こういう方の最大値ですけれども、これをもとに、こういう方がたくさんいるかどうかを考慮しリスクを判断するということです。

  結論から申しますと、酸化チタンを粉体塗装する作業は、リスクが高いと認められ、粉体塗装を行っている事業場に共通する問題と考えられるというのが、リスク評価検討会の結論ということになります。

 

 

(スライド 14

  ここから少し急ぎます。基本情報ですけれども酸化チタンです。白色結晶性粉末で、何に使われているのか。塗料など、その他、ここに書いてある用途であるということです。

 

(スライド 15

  有害性のあらましですけれども、発がん性は、ヒトに対する発がん性が疑われる。あとは、ほとんどこの辺は書いていないということですけれども、吸引をすると、肺機能に影響があるということで、粉体ですから、こういうものを長期にわたって吸っていると、肺に影響があるということは、予測できることですけれども、肺に対する臓器影響、発がん性の疑いというところが問題になります。

 

(スライド 16

  産業衛生学会としては、先ほどから申しました、第2種粉じんとして、この基準値があります。許容濃度です。

  1次評価値というのは、リスク評価の検討会が独自に設定する、動物実験の結果やヒトでの報告から、独自に設定するものですけれども、これは設定されていません。発がん性の可能性がありかつ遺伝毒性が判断できないということで、1万人に1人の過剰発がんレベルを計算することができないということで、2次評価値だけの結果になっております。そもそも詳細評価では、基本的には、2次評価値を使うという方針だったと思います。

 

(スライド 17

  どういうような作業があったというと、対象物質の製造、その対象物質を含有する製剤その他の製造を目的とした原料としての使用、あるいは顔料、塗料、染料印刷としての使用ということで、個人ばく露測定で高い濃度が認められたのは、顔料、染料、塗料、印刷インキとしての使用ということになっています。

 

(スライド 18

  これが、個別の測定のデータです。ここに書いてあるこの線が1 mg/m3 という許容濃度です。第2種粉じんとしての許容濃度です。

  吸入性粉じんということで、小さなタイプの4マイクロ以下を中心とするサイズの粉じんで1 mg が基準となっておりますけれども、右のほうです。こういうところで、この辺は3倍ぐらいあるわけです。高い作業場が認められたということです。

 

(スライド 19

  リスクの高い作業としては、酸化チタンを製造している事業場における充填、済みません、これはナノのところです。去年、ここのデータを私が紹介したと思うのですけれども、去年はナノ粒子についてです。ナノサイズの酸化チタンについては、この粒子を製造している事業場における充填、袋詰めの作業ということが確認されたということでした。

  今年度の場合、酸化チタンは、ナノ粒子を除く場合については、リスクの高い作業としては、粉体塗装の作業が確認されたということで、先ほどから示していますように、この基準値・2次評価値の3倍くらいのものが認められたということです。

 

(スライド 20

  酸化チタンを粉体塗装している事業場については、作業工程に共通する問題、調べに行ったところ、そこだけの個別の事情によるということではなくて、ある程度作業工程に共通する問題と考えられるために、対応として、吸入での健康障害のおそれがあると考えられ、ばく露実態調査の結果から、高いリスクが作業工程に共通して確認されたことから、製造・取り扱い作業において、労働者の健康障害防止措置の検討が必要が確認されたというのが、リスクアセスメントの結果です。

  ナノの場合には、充填、袋詰め等、ナノ以外の場合には、粉体塗装、そういったものが2次評価値を超えるということで、総合して、健康障害防止策の検討が必要になるということであります。

 

(スライド 21

  ノルマル−ブチル−2、3−エポキシプロピルエーテルについて、お話をしたいと思います。

  こちらは、初期リスク評価ですけれども、まず2次評価値は3 ppm です。この3 ppm という2次評価値は日本の産業衛生学会の許容濃度ではございません。アメリカの ACGIH が設定した TLV 3ppm という値があります。ちなみにこれを重量表記に直すと 16mg/ m3 ということになります。

  この TLV の設定の根拠は生殖毒性で、動物実験の雄の生殖毒性がどうも根拠になっているようですが、これについてはもう一つ、発がんについても動物実験のデータが得られております。

  さらに一番最後のところで、経皮吸収が指摘されているということです。 ACGIH は先ほどから言っている、アメリカの産業衛生の専門家会議です。 MAK は、ドイツの産業衛生での許容濃度です。そこで見ますと、経皮吸収が指摘されています。

  結果からいうと、ばく露最大値で、これは個人の最大ということではなくて、得られた成果を統計学的な解析をして、母集団の上から5%のところ、区間推定上側限界値というものですけれども、統計学的に上から5%というものを推定した値は2次評価値を下回っており、経気道からのばく露によるリスクは低いと評価される。3 ppm よりも低いということで、これが一応の結論ですが、しかし、経皮吸収が指摘されていることから、今回は初期評価ですから、詳細評価を経皮吸収の部分も考えた上で今後実施し、保護具の使用で、普通保護具というと空気中から吸う場合には、呼吸保護具の話になりますけれども、経皮吸収である場合には手袋等をどういうように使ったらよいかということをきちっと考えながら、実態調査をしてリスク評価を確定させるとなっております。

 

(スライド 22

  今のが結論ですけれども、用途としては、エポキシ樹脂だとかアルキド樹脂の反応性希釈剤、そういう用途があるということです。

  通称、こちらが有名だと思うのですけれども、ブチルグリシジルエーテル、 BGE といいます。

 

(スライド 23

  有害性について一応まとめてありますが、発がん性でヒトに対する発がん性が疑われると書いてありますけれども、厚生労働省のがん原性試験結果です。厚労省が実施した動物実験で、マウスとラットで陽性の反応があって、がん原性があるという結論がなされています。

  ヨーロッパでは、 EU の分類では GHS 分類のカテゴリー2ですので、表示としては「発がんのおそれの疑い」と書くというもので、発がん性が疑われるものになりますけれども、ここでは厚労省の試験結果からで、マウスとラット両方とも陽性ということになるとカテゴリー1Bに上がる可能性もある。多分、 EU が決めたときには、こういうデータは知らないと思いますから、こちらを使うとなると1Bになる可能性があるようなものです。

  そういうことで、この物質は、がん原性については、気をつけておいたほうがいいということになります。

  皮膚や眼に対する刺激性ががあり、呼吸器感作性はないということですけれども皮膚感作性がある。ないというのは、報告なしです。皮膚感作性があるというので、皮膚あるいは眼に対する影響に気をつけなければいけないというものです。

  生殖毒性も、実験動物の結果ですけれども、 NOAEL 38ppm までは動物では影響がありませんでした。臓器毒性です。 25ppm までは大丈夫であるということは、これより上のところでは影響が見られたということです。

  遺伝毒性もあるということなので、遺伝子に対する作用からの発がんの可能性があるということでしたので、気をつけましょうということになります。

 

(スライド 24

  許容濃度等3 ppm ということで先ほど言ったとおりですが、アメリカの ACGIH による TLV で経皮吸収及び感作性に注意ということです。

  ここで問題なのは、1次評価値として 0.83ppb83ppb という1 ppm よりもさらに小さい値が書いてあります。これは、閾値のない発がん性の評価で、つまり遺伝毒性があるものについては、ここまでだったら絶対大丈夫という値は設定できないと一般的に言われています。ごくわずかでも、たまたまそれが作用して遺伝子に変異が起きて、たまたま修復がうまくいかなくてそれが残ってしまったときに、がんに結びつく可能性がある。絶対大丈夫だということが言えないのが、遺伝毒性のある発がん物質です。

  そのようなものについては、ゼロリスクは無理でも、事実上大丈夫、バーチャリィーセーフティードーズと言いますけれども、そこを決めることになっています。これは、動物実験などからの計算方式で、これにばく露をして1万人に1人がんがふえる、そのくらいだったら事実上大丈夫だというレベルを計算して、それを1次評価値に使うのです。

  この場合、1次評価値の計算で使う数値(ユニットリスク)は、権威のある機関が計算した値を使うことが多いわけですけれども、これは検討会の中で計算をした値ということで、この計算では 0.83ppb 83ppb 非常に低い値が出てしまっております。

  ここについては、これをどの程度重視するか。アメリカの ACGIH 3 ppm でという TLV を出していますから、そうすると、これに比べて、相当の開きがあります。 3,000 倍以上の開きがあることになりますから、この辺は、そういう意味で、内部の計算で出てしまっているということを申し上げておきたいと思います。実際に詳細評価に移ったときは、こちら( 3 ppm )が使われることになります。

 

(スライド 25

  ばく露実態調査です。今回のものは、まだ初期リスク評価なのですが、どの程度のものが出たかというと、ここに書いてありますけれども、一番高いところで、個人ばく露の最大値が 0.43ppm だと思います。統計的な推定値は 0.56ppm ということになっています。そういうことは、この値は、先ほどのこれと比べれば、十分低い値ということになります。

 

(スライド 26

  2次評価値が書いてあって、1次評価値は書いていないですが、基本的には2次評価値の3 ppm で考えればいいことだろうと思いますけれども、そうすると、そこを超えたのはなかったということになります。

 

(スライド 27

  今後は、吸入によるリスクは低いと考えられるけれども、経皮吸収が指摘されておりますし、そもそも皮膚に対する影響が、感作性も含めて、刺激性、腐食性ともということなので、そういうところも含めて、きちんとチェックをしましょうということで、どういう保護具が使われているか、経皮吸収を考え詳細リスクをして、リスク評価を確定させるということになっています。

  なお、詳細リスク評価の実施にかかわらず、ヒトに対する発がんの可能性もあるということなので、自主的なリスク管理は重要ですということになっています。

 

(スライド 28

  3番目の物質で、2−ブロモプロパンの初期リスク評価結果です。

  これは、2次評価値が1 ppm です。今回の物質ですが、いずれも2次評価値が中心になります。1次評価値が計算できても、ほとんど2次評価値と同じ場合には、そもそも使いません。普通は、その 10 分の1よりも低い1次評価値が出た場合は、それでリスク評価はしているわけですけれども、1つ前のグリシジルエーテルの場合には、余りにも低い結果で、しかも、自主的に計算したものということなので、基本的に2次評価値で考えたのだと思います。2−ブロモプロパンについて2次評価値は1 ppm です。

  1次評価値は、実際の毒性をチェックして計算をした結果、2次評価値とほとんど変わらない数値が出たために、1次評価値は記載されていないのだと思います。

  初期リスク評価ですけれども、2次評価値1 ppm での結果ですけれども、ばく露最大値で、統計学的な上側の推定値ですが、2次評価値を上回っているという結果になっています。

  この物質も経皮吸収が指摘されていることですので、詳細評価をこれから実施をするというのが結論です。

  ばく露測定の最大値は、区間推定上限が 55ppm となったということで、相当高いものが母集団のばく露としてはあり得るという結果ということで、ここ(2次評価値)を上回っているので、詳細評価にいくということです。しかも、経皮吸収が指摘されている物質ということになります。この1 ppm は、日本産業衛生学会が設定をした許容濃度でございます。

 

(スライド 29

  どういう毒性があるかというと、しばらく前に生殖毒性で非常に有名になりました。大量にばく露された方だと思いますけれども、国外で大量にばく露された方で月経停止等の生殖毒性が見つかったということです。

  現時点の使用としては、医薬中間体とか、農薬中間体、感光剤中間体と書いてあります。

  海外で問題になったときには、洗浄に使った作業があったと思います。

 

(スライド 30

  発がん性は情報はなしですけれども、問題となるのは生殖毒性です。 NOAEL100ppm で動物で出ています。

  反復投与毒性、ここも 300ppm でラットに見られているというデータがあります。

  さらに遺伝毒性があるということなので、発がんにつながる可能性もあるということです。

 

(スライド 31

  許容濃度は、産業衛生学会の1 ppm で、経皮吸収に注意というマークがついていますけれども、この産業衛生学会では、生殖毒性で、雌と雄の動物実験の結果から精巣に対する影響というところが一番低いところで、この数値が決められていると思います。雄でも、雌でも、動物実験では、生殖毒性があるということです。

  同じように1次評価値を有害性データから計算をすると、これと同じような値になりますし、発がん性に関しては、閾値がない遺伝毒性がある物質ですけれども、 10 のマイナス4乗に相当するレベルの濃度が計算できないためということで、1つ前の物質では、多分試験的な試みだったと思いますけれども、あのときには自主的に計算をしたのです。委員会の内部で計算したのですが、今は公表されているものがない場合には使わないというのが我々のリスク評価のやり方になっていますので、公表されているものがないために使えないということで、1次評価値はなしです。2次評価値は、産衛学会の許容濃度です。

 

(スライド 32

  どういう結果が出たかというと、 32ppm で相当高い値です。個人ばく露データも高いし、全データから統計的に出した母集団の上側の5%推定値は 55ppm ということで、これは対応が必要ということになります。

 

(スライド 33

  これが2次評価値の基準値ですから、相当上ということです。

 

(スライド 34

  どうしてこういうことになるのか、詳細リスク評価でばく露が高かった要因を明らかにする必要があるということで、さらに経皮吸収を注意して詳細評価をしようということになっております。

 

(スライド 35

  時間が迫っておりますので、最後の物質に行きます。三酸化二アンチモンです。

 

(スライド 36

  こちらは、2次評価値は 0.1mg/m3 です。三酸化二アンチモンについては、産業衛生学会の許容濃度で、ヒトのデータで心臓に対する影響などがあるということを考慮して決められたものだと思います。

  結論といたしましては、区間推定上側限界値、さらには個人ばく露の最大値も、2次評価値を上回ったということで、製造、または、取り扱い作業のほぼ全ての作業が含まれていて、いろいろな作業でもって高いばく露があるということから、健康障害防止措置の検討が必要という結果になっています。こちらは、初期リスク評価ではなくて、詳細リスク評価の結果こういう状況になったので、健康障害防止措置の検討が必要ということです。

  実際にどの程度だったかというと、個人ばく露測定の最大値は 0.4 、区間推定上側限界値は 0.59 ということで、 0.1 よりも4倍以上の値が得られたということで、粉体の取り扱い(投入、袋詰め)あるいは揮発炉作業等で、リスクが高いということになったので、健康障害防止措置を検討するということになるのが結論でございます。

 

(スライド 37

  用途としては、難燃助剤、あるいは塗料、ビニル電線などに使われているということになっています。

 

(スライド 38

  発がん性ですけれども、疑われると書いてありますが、ヒトのデータは不十分かもしれないが、動物実験は十分ということで、 IARC では 2B ACGIH ではヒトに対する発がん性が疑われる A2 というものになっています。

  皮膚に対する影響は刺激性ありということで、眼に対する作用もあるということで、これも眼や皮膚に対するばく露に気をつけなければいけない物質ですけれども、反復吸入ばく露では、肺機能にも影響があるというものです。

 

(スライド 39

ACGIH 0.5 、日本産業衛生学会は 0.1 、これはアンチモンとしての基準値ですけれども、これを使って評価をしたということです。

  1次評価値については、発がん性の閾値の有無が判断できないため、 10 のマイナス4乗を計算したらいいのか、あるいは動物実験から閾値を考えるべきか、判断できないということで、1次評価値はありません。

 

(スライド 40

  相当多くのところで調べていると思いますけれども、 39 人個人ばく露測定の結果です。

 

(スライド 41

  時間がないので急ぎますが、最大ばく露が 0.4 で、スポット測定だと相当高いのが出ています。 6.9 です。

 

(スライド 42

 測定で 0.5 と基準値を超えているということで、しかも、いろんな種類の作業です。粉体投入だとか、計量だとか、揮発炉、相当いろんな作業で2次評価値を超えている状況があるということです。

 

(スライド 43

  時間がきておりますので、こちらについては、健康障害防止措置の検討が必要というのが結論になります。

 

(スライド 44

  最後、時間がきてしまいましたが、 28 年度選定されたものは7物質であって、塩化水素の硝酸、弗化水素、硫酸などです。

  国のがん原性試験で、中期発がん試験で、陽性の結果が得られたようなもの。アクロレイン、その他です。

  再告示物質の1物質というものも 28 年度に選定し、これからリスク評価にかける予定ということになっています。

  済みません、時間がオーバーいたしました。お疲れさまでした。

 

司会 者(森田) 宮川先生、大変詳しい説明をありがとうございました。

  続きまして、厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室長の穴井達也様に「特定化学物質障害予防規則(特化則)等の改正について−オルト−トルイジン、三酸化二アンチモン−」について御講演をいただきます。

  それでは、どうぞよろしくお願いいたします。

 

基調講演

特定化学物質障害予防規則(特化則)等の改正について

−オルト−トルイジン、三酸化二アンチモン−」

 

○穴井 皆さん、こんにちは。厚生労働省の穴井と申します。

  私どもは、労働安全衛生法に基づいて、労働者の健康安全の観点から化学物質のリスク評価を行っているものです。

  きょうは、前に書いてありますとおり、オルト−トルイジンと三酸化二アンチモンの予防規則の改定について、お話したいと思います。

 

(スライド1)

  これは、先ほど宮川先生からもお話のあった図ですけれども、ここに書かれていますとおり、オルト−トルイジンは特定第2類物質、三酸化二アンチモンについては管理第2物質ということで規制して、作業環境の測定、発散抑制措置、特殊健康診断の実施を義務づけるということで、考えております。

  先ほどにもお話がありましたとおり、オルト−トルイジンにつきましては、経皮吸収があったということで、オルト−トルイジンをはじめ経皮吸収のある物質、健康影響を及ぼす物質、そういう可能性がある物質について、洗浄施設と保護衣について、見直しを行って、強化しました。

 

(スライド3)

  ここは、オルト−トルイジンに関する専門家の報告書です。リスク評価の関係、措置の関係が書かれています。

  結論としては、職業がんの予防の観点から、作業環境測定であるとか、発散抑制措置、特殊健康診断の実施を義務づけることが必要であるということでしたので、これに基づいて、我々は法令改正をやったということです。

 

(スライド4)

  まずオルト−トルイジンの政令と特化則という省令を改正したわけですけれども、まず政令で、第2類物質を追加しました。そうすると、結果的に作業主任者を選任し、作業環境測定を実施し、特殊健康診断を実施することを義務づけられることになります。また、配置転換後の特殊健診を行うべき有害な業務にも追加されました。以上が、政令の中身になります。

  特化則としては、特定第2物質に追加されたということで、局所排気装置の設置以下ここに書かれている措置が義務化されるということになります。

  作業主任者については、特定化学物質及び四アルキル鉛等の作業主任者技能講習を受けていただいて、その修了者中から事業場ごとに選んでいただくということになります。

  特殊健診の項目としては、尿路系の腫瘍等の予防・早期発見するための項目を、今回、設定したということです。

  もう一つ、発がん性があるということで、特別管理物質に指定して、環境測定の結果であるとか、健診の結果であるとか、作業記録であるとかに、 30 年保存の義務が課されるということになりました。

  施行日は、ことしの1月1日で、既に施行されています。

 

(スライド5)

  これがオルト−トルイジンの規制の概要で、全体を網羅的に書いてあるところです。

  対象物質は、オルト−トルイジンとオルト−トルイジンが1%を超えて含有する製剤その他が全部対象になります。

  基準値としては、1 ppm というのが管理濃度として定められています。

  今回、先ほどの経皮吸収のことを申し上げましたけれども、アンダーラインが引いてあるところです。もし労働者が汚染をしたら、事業者は洗浄させる。労働者は、命令されたら洗わなければいけないということです。保護衣についても、今まで備えつけだけだったのが、着用しなければいけないということになりました。

  施行日は先ほど申し上げましたが、経過措置がありまして、計画の届け出だとか、作業環境測定、発散抑制措置などは、1年間猶予であるとかの一定の経過措置が設けられているということです。

 

(スライド6)

  これは、今、一覧表にしたものを、もう少し細かく書いてあるもので、先ほど申し上げたとおり、抑制濃度は1 ppm ということ、経過措置など設けられていて、来年の1月1日から義務化されるという経過措置が設けられているということを、ここに書かせていただいております。

 

(スライド7)

  オルト−トルイジンは、特定第2分類ということで、漏えい防止の措置が要るので、特定化学設備が必要ということになります。これも時間がかかるということで、来年1月1日から措置が始まるということになります。

 

(スライド8)

  作業主任者については、先ほど申し上げたとおり、特定化学物質及び四アルキル鉛の作業主任者の講習を修了して、その方のうちから、作業主任者を選ぶということになりますし、その方は、こういうような作業を監視、指導するということになります。

  これについても、技能講習を受けていただくので、適用が来年の1月1日ということで、1年間の間に技能講習を受けていただいて、そういった指導をしていただくということになります。

 

(スライド9)

  作業環境測定は、6カ月以内ごとに1回、定期的にやることになっています。

  測定は、固体捕集方法で、ガスクロマトグラフ分析方法によって、分析していただきます。管理濃度は 1ppm ということになります。

  記録は、 30 年間保存としていただきます。

  これについても、適用は来年の1月1日ということになります。

 

(スライド 10

  特殊健康診断です。ここに一次健康診断の項目が書かれていますけれども、下線部は、ここに書いてあるとおり、現に携わっている方たちの項目です。

  業務の経歴の調査であるとか、作業条件の簡易な調査をやっていただきます。

  他覚症状だとか、自覚症状の既往歴で、今まであったかどうかということと、今、あるかどうかという検査をやっていただく。ここにアンダーラインを引いている中身については、今、従事されている方、引いていないところは、そのほかの方にもやっていただくということになります。

  尿中の潜血検査です。お医者さんが必要と認められる場合には、尿中のオルト−トルイジンの量の測定であるとか、尿沈渣検鏡の検査であるとか、パパニコラ法による細胞診の検査であるとかもやっていただく。

  二次健康診断は、一次健康診断で医者がさらに必要であると認められたら、作業条件の調査であるとか、さらに必要であると認められた場合は、膀胱の検査であるとか、さらには超音波による尿路系の造影検査のレントゲン、血液関係の検査をやっていただくということになります。

 

(スライド 11

  今まで洗浄設備を設置することは、義務をかけられていたのですが、設置するとともに、汚染があった場合には、労働者を洗浄させる義務が事業者にあり、労働者は、汚染されたときに、事業者から洗いなさいと言われたら、洗う義務が生じるということです。

 

(スライド 12

  作業衣についても同様で、今までこういった保護衣を、人数分取りそろえるということは、今まで義務化されてきたのですけれども、それを労働者に必ず着用させなければいけない義務が事業者に生じ、労働者も着用を命じられたときには、着用義務が生じるということになりました。

  それでは、具体的にどういったような保護手袋を使ったらいいのだということがあると思うので、基本的な考え方を記した厚生労働省の通達を1月中に出しています。

  下の参考資料というのは、業界の方々が各企業のこういった手袋については、こういった情報があります、どういった性能がありますということをまとめた資料を事務連絡という形で流させていただいています。こういったものを参考にしていただくなり、あるいは具体的にはメーカーに問い合わせていただいて、具体的に選択していただくということになると思います。

 

(スライド 13

  特別管理物質は、先ほど申し上げましたとおり、発がん性で遅発性の影響があるので、長期に保存しなければいけないということで、 30 年間の保存義務があります。

  発がん性に関して、掲示はもちろんしなければいけないのですけれども、作業の記録であるとか、ここも知った上で、こういった中身について、 30 年間の保存をすることになっています。

 

(スライド 14

  もう少し経皮吸収について、申し上げますと、繰り返しになりますけれども、福井県の化学工場で膀胱がんが発生したということで、経皮吸収によって、発症したということがほぼ確実だということです。

  オルト−トルイジンと同様に、経皮吸収がある物質あるいは経皮吸収の可能性がある物質については、必要な改正、つまり保護衣の強化と洗浄設備の強化をしました。

  保護衣については、皮膚に障害を与え、もしくは皮膚から吸収されることにより、障害を起こすおそれのあるものを製造し、または、取り扱う作業、周囲で行われる作業に従事する労働者に使用させるため、不浸透性の保護衣ということで、透過しにくくて、浸透がしにくいようなものを選んでくださいということですが、そういったことを定めました。先ほども申し上げたとおり、事業者は必ずそれを着用させ、労働者は、必ずそういう事業者の命令を守ってくださいということを義務づけているということです。なお、 JIS 等では不透過性と不浸透性とは違う概念で使っていますが、我々の法律でいう不浸透性ということばは、両方満たすような概念として、使っています。

  洗浄設備については、特化物の第1類物質、第2類物質を製造し、または、取り扱う作業に労働者を従事させるときに、備えつけられている洗浄設備があると思うのですけれども、それについては、万が一第1類物質と第2類物質に汚染されたら、事業者は、速やかに洗浄させて、必ず洗ってから職場を出るようにさせなさい、必ず洗わせなさいということです。労働者は、洗いなさいと命令されたら、ちゃんとそれを守って、自分の体を守ってくださいということを言ったということです。

 

(スライド 15

  もうちょっと細かく書いてありますけれども、備えつけについても、ただし書きのところに、「ただし、特化則第2条の2で、除外されている業務も対象に追加」と書いてありますが、今までは、ここの特化則の2条の2で除外されているのは、例えばクロロホルムみたいな有機溶剤系のものについては、2条の2で、備えつけから外れていたわけですけれども、有機溶剤系のものであっても、経皮吸収はあるので、それを放っておけないということで、備えつけにそれらについても、追加したということになります。

  着用の義務ですけれども、1類、2類物質のうち、日本産業衛生学会、または、 ACGIH において、経皮吸収があると勧告されている物質が対象になります。後から一覧表が出てきますけれども、その物質を着用の対象ということにしてあります。

  事業者は、労働者に使用させる義務が、労働者は、命じられたら、着用する義務が生じます。ここに1,3−プロパンスルトンも同様に規定すると書いてありますけれども、1,3−プロパンスルトンというものも、皮膚につくと、重大な害を与える物質ですので、今までこの物質については、事業者側の規定だけに書いてあったのですが、労働者側には書いてなかったので、ほかの物質と同様、プロパンスルトンについても、労働者は守りなさいという義務をつけ加えたということです。

 

(スライド 16

  この網かけしたところが、着用義務の対象物質で、図示になります。外れる物質も書いてありますけれども、それ以外は、着用義務を対象に、主に経皮吸収を勧告させていただいているものです。

 

(スライド 17

  それを一覧表したのはこれです。これらの物質については、保護衣等の使用が義務化されているということになります。

 

(スライド 18

  洗浄設備についても、規制の対象物質は特化則の1類及び2類、ただし、2条の2で除外されている業務は、引き続き対象から外れます。

  除外の例としては、こういった有機溶剤の業務以外にも、コバルトを触媒として取り扱う業務とか、酸化プロピレンなど、いろいろ書いてあります。この業務については、洗浄設備で洗い流しの義務から外れるということです。

  事業者は、先ほど話したように、労働者を洗浄する義務があり、労働者は、命じられたら、洗浄する義務がある。こういった義務で、この除外業務は外れるということです。

 

(スライド 19

  これも、今、申し上げたものを図示化したもので、ほぼ大部分の物質が対象ですけれども、特化則2条の2というところで、除外されているものは、先ほどの※で書いてある業務だけ適用ということになります。

  以上がオルト−トルイジンについての規制です。

 

(スライド 20

  続きまして、三酸化二アンチモンについて、説明します。

 

(スライド 21

  三酸化二アンチモンは、先ほど宮川先生が最後に述べられましたとおりで、個人ばく露の結果が2次評価値を上回っているので、結果的に必要な措置が必要ですということで、それをこの措置の検討会というところで、どういった措置が必要かということを決めていただきました。これに沿って、今、法令について、改正する作業を行っている段階です。途中段階ですけれども、大体の中身がほぼ固まっていますので、その中身について、御説明いたします。

 

(スライド 22

  まず対象物質としては、三酸化二アンチモン、三酸化二アンチモンを1%超えて、含有する製剤その他の物が規制の対象となります。

  こういったものについては、管理第2類物質に指定します。そうしますと、作業主任者の選定が義務化されますし、発散抑制措置をやらなければいけませんし、作業環境の測定も実施しなければいけない。作業環境を実施するときの管理濃度は、アンチモンとして、 0.1mg/ m3 ということになります。それに加えて、特殊健康診断も実施していただくことになります。

  また、特別管理物質に指定して、作業記録等について、 30 年間記録を残していただくという義務が生じるということです。

  ただし、適用除外作業というものがありまして、リスク評価の中で、一部、この作業については、リスクが低いので、除外してもいいだろうというものがあります。それが樹脂等で固形化されることによって、粉じんが発散する恐れのないような三酸化二アンチモンです。こういったものを取り扱う業務については、適用除外しますということになります。

 

(スライド 23

  三酸化二アンチモンのつくり方に特殊性があって、製造炉に付着したもののかき落とし作業とか、製造炉からの湯出し作業というのは、特殊な作業ということで、今から言う措置を講じた場合には、局所排気装置を必ずしも設置しなくてもよいということになります。

  除じん装置つきの全体換気装置を設置して、有効に稼働させること。

  労働者に有効な呼吸保護具、それから、粉じんの付着しにくい作業着を使用させること。

  こういう作業を行う場所には、ほかの労働者を立入禁止にして、その旨をきちんと表示していただくこと。

  この3点セットがそろっているところについては、必ずしも局所排気装置はつけなくていいですということになります。

  また、局所排気装置がつかないということは、環境改善ができにくいということですので、こういった場所については、作業環境測定も免除されるということです。

 

(スライド 24

  三酸化二アンチモンは、粉状のものですので、非常に発じんしやすいということで、床とか、窓枠とか、棚というのは、水洗とか、真空掃除機で容易に掃除できるような構造にしなければいけない。

  毎日1回以上、粉じんが飛散しないような方法で掃除してください。

  それから、使用した器具とか、工具とか、保護具とか、作業衣は、付着した三酸化二アンチモンを除去した状態でないと、持ち出せないようにします。

  それから、特殊なケースですけれども、粉状のものを湿潤な状態にして取り扱う場合、どう考えるかということですが、発散の密閉化とか、局所排気装置とか、プッシュプル型換気装置等の設置を必ずしも要しないということになります。ただし、こういったものを取り扱うときは、作業環境測定とか、特殊健康診断等を実施することは必要ですということです。

 

(スライド 25

  今、申し上げたような中身を1枚にしたのが、これです。対象から始まって、ただし、先ほど申し上げたように、樹脂等によって固形化されたものを取り扱うところは、適用除外になりますということとか、特殊な作業のところは、こういった特別な管理をやっていただきますということとか、あとは、それぞれの措置をやっていただくということです。

  今の作業のスケジュール感でいくと、3月中に公布して、6月ぐらいには施行したいということで、今、鋭意改正作業を行っています。

  経過措置についても、当然考えていまして、計画の届出については、3カ月以内に設置するものは適用しないとか、作業環境測定、発散抑制措置、作業主任者の選任等については、1年間の施行猶予があるということで考えて、今、法令改正の作業をしているということです。

 

(スライド 26

  これは作業環境測定についての細かいものですけれども、管理濃度としては、アンチモンとして 0.1mg/ m3 、ろ過捕集法ということで、原子吸光分析方法で分析していただきます。これを6カ月ごとに1回やっていただくことになりますけれども、1年間の猶予をする予定です。

 

(スライド 27

  これは特殊健康診断の中身ですけれども、先ほどの粉じんと似たようなことが書いてありますが、特徴としては、アンチモン皮疹等の皮膚症状とか、たんとか、こういったものを診ること、尿中のアンチモンの量について測定する、これは特徴的な健診の項目になろうかと思います。

 

(スライド 28

  三酸化二アンチモンに係る政省令案の概要は、今、ホームページに載せてあります。パブリックコメントを3月1日まで募集していますので、今、大体申し上げたような中身なのですけれども、それについて、意見がある場合には、ホームページを見ていただいて、意見をいただければと思います。

  オルト−トルイジンについては、終了した話ですけれども、こういった中身で回答しておりますので、参考までにということです。

  あと、措置検討会の報告書についても、ホームページで公表していますので、参考までにごらんいただきたいと思います。

  簡単ですけれども、私からは、以上で説明を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

 

○司会者(森田) 御講演ありがとうございました。

  それでは、ここで、 20 分の休憩時間とさせていただきます。

  後半の意見交換会は、予定どおり、3時 10 分から開催する予定でございますので、お手元のピンク色のアンケート用紙に御質問などをお書きいただきまして、できましたら3時まで、若干おくれても5分前までに、会場におります事務局にお渡しいただければと思います。書き終わられましたら、挙手でお教えください。

  それでは、どうぞよろしくお願いいたします。

 

(  休 憩  )

 

意見交換

 

司会 者(森田) それでは、お時間となりましたので、後半の意見交換会を始めさせていただきます。

  コーディネーターは、先ほど御紹介いたしました、長崎大学広報戦略本部准教授の堀口逸子先生にお願いしております。

  また、パネリストに、基調講演を行っていただきました、帝京大学医療技術学部教授の宮川宗之先生、厚生労働省化学物質対策課化学物質評価室長の穴井達也様、化学物質評価室長補佐の平川秀樹様に御出席をいただいております。

  予定では、 16 10 分ごろまで、あらかじめ会場からいただきました御質問につきまして、先生から御回答いただきたいと思います。

  それでは、堀口先生、どうぞよろしくお願いいたします。

 

○堀口 それでは、始めたいと思います。

  たくさん御記入いただき、ありがとうございます。頑張っていきたいと思います。

  まずリスク評価について、幾つか御質問をいただきました。

  資料のスライド8、詳細リスク評価で、2次評価値を超えた場合、要因解析を行うとありますが、特定事業場の問題とはどのような場合か、特定事業場の問題となるのですかという御質問です。

 

平川  特定事業場の問題であるかどうかにつきましては、初期リスク評価を行いまして、リスクが高いとされた作業において、詳細リスク評価で同じ作業に関し別の事業場を調査した場合、リスクが低いということで再現性がなければ、最初に行いました、初期リスク評価で行きましたところの事業場のみの問題であると考えられるということでございます。

 

○堀口 それから、資料でいきますと、スライド 13 で、酸化チタンを粉体塗装するとありますが、酸化チタンの粉末を塗装しているのではありません。多くの塗料がそうですが、酸化チタンと樹脂を混合します。通常の塗装は、液状ですが、粉体塗料は、液状塗料を固めて、小さくしたものです。ばく露が高かったとのことですが、作業者は、酸化チタンにばく露されているのではなく、酸化チタンを含んだ塗料にばく露されています。これは酸化チタンへのばく露の有無を測定するには、不適なケースと思いますが、いかがでしょうか。三酸化二アンチモンが樹脂に固定化されているケースと同様ですということです。

 

平川  酸化チタン、三酸化二アンチモンのケースについても、同様だと思うのですけれども、測定する際に、酸化チタンであればチタン、三酸化二アンチモンであればアンチモンというように金属の量を測定する手法をとっております。数字として出てくるのは金属の量ということでございます。

  今、申し上げましたとおりの話は、確かにそういう話はあるかもしれませんけれども、測定法としては、そのような測定法をとっておりますので、結果として、金属のチタン、アンチモンの濃度が、測定結果に上がってくるというものでございます。

 

○堀口 スライド 20 なのですけれども、検討における留意点が記載されているのですが、何に留意するのですかということです。

 

平川  この2点に留意して、これから健康障害防止措置の検討を行っていくという趣旨でございます。よろしくお願いいたします。

 

○堀口 それから、評価の話で、リスク評価制度の対象なるのは、いわゆる 640 物質で、かつ発がん性が懸念される物質と考えてよろしいでしょうか。

 

平川  一番憂慮すべきところは、職業がんの観点ということでございますので、リスク評価の当初の段階では、 640 物質の中から、がん原性のみに着目することから、スタートしましたけれども、神経毒性や生殖毒性が指摘される化学物質の評価も行うようになりました。

  あと、直近の例でいいますと、 640 物質以外のものでも、海外の情報で発がん性があるのではないかと言われている物質につきましても、リスク評価対象物質としている例がございます。昨年の6月1日から、先ほど宮川先生から話がございましたように、 640 物質には SDS の義務付けの他、ラベル、リスクアセスメントについても義務が課せられることになりましたので、そのようなことにも留意の上、リスク評価対象物質を検討してまいりたいと考えております。

 

○堀口 ばく露評価の方法に、他覚症状及び自覚症状の有無も加えてほしい。測定だけではばく露の全容を把握できない。

  オルト−トルイジン類の芳香族アミンによる膀胱がん多発の事業を見ればわかる。今回の膀胱がん多発は、トルイジン、アニリン、キシリジン、アニシジン及びそれらを原料とした生成物にばく露された際に発生したエビデンスである。オルト−トルイジンだけの規制強化では、片手落ちであり、これが後追い行政と言われるゆえんであると考えます。 IARC モノグラフ 99 では、ほとんどの芳香族アミンに発がん性があり、それは尿路系だけでなく、他の臓器にも発がんするとあります。もっと包括的な規制を求めますという御意見です。

  宮川先生、何か御意見ありますか。

 

○宮川 現場の調査のほうですけれども、ばく露レベルということで、作業環境測定あるいは個人ばく露濃度をはかるというのはばく露評価のほうです。症状があるかどうかというのは健康影響そのものの調査ですので、視点がちょっと違う。もちろん現実に懸念がある場合には症状等の調査も必要な場合があるとは思うのですけれども、それがない状況で個人の医学情報をどこまで事前にとれるかというのは、いろいろな考え方があるような気がしています。もちろん協力が得られて、自発的にこういう症状がありますという情報が集められると、場合によっては、参考になる可能性もあると考えられると思います。

  規制のほうについては、お願いします。

 

○堀口 何かありますか。

 

平川  このたびの特化則改正では、オルト−トルイジンの規制強化をやらせていただきましたが、リスク評価につきましては、職業がんなどを発生させないために取り組むということで、規制の必要があるものについては、適切に規制を行ってまいりたいと考えております。

 

○堀口 リスク評価、ハザード評価(化学物質規制)は、相当精密にやられていると考えます。現在のコントロール・バンディングによるリスクアセスメントのレベルとかけ離れている感が否めません。何か改善される予定はありますか。

 

宮川  これは私の個人的な意見ですけれども、厚労省が出したリスク評価指針、 27 年に新しいものが出ていますが、できれば古い指針とあわせて読んでいただきたい。新しい指針では、安全面のリスク評価も含めリスクの見積もり方法は大きく3つに分かれて書いてあって、そのうち、主として健康影響リスク評価の部分は真ん中のところにあるものです。基準になるものとばく露のレベルを比べてください。一番いいのは、環境測定と許容濃度です。あるいは個人ばく露測定と許容濃度です。その次は数理モデルです。それから大ざっぱにばく露を見積もる方法です。大ざっぱに見積もる方法が、古い指針ではコントロール・バンディングの中身として入っているものです。

  コントロール・バンディングという言葉は、新指針では安全で使うマトリックス法とか、枝分かれ法などのところに入っていたと思うのですけれども、これは厚労省のサイトに公開されているプログラムのことを指して、コントロール・バンディングと言っている気がいたします。その中身は、大体どのぐらいの量を使うのか、発散性はどうなのか、というものなので、同じものが「コントロール・バンディング」という、ある意味括弧つきの固有名詞のようなものと、大ざっぱに見積もる方法と2つに分かれて出ているのです。

  新しいものがあると、そちらに目をとられるのですが、それより、コントロール・バンディングというのは、 ILO が発展途上国向けに、「技術がないところでは、せめてこのぐらいはやってください」という趣旨のもので、しかも、やってみるとリスクが大きく出てしまって当該化学物質が使えなくなってしまうことも多いというところもあると思います。それぐらいであれば、日本の会社は、皆さん、技術があると思いますので、許容濃度とばく露のレベル、これは実測で、それができないのだったら推定で、化学をわかっている人だったら、こういう使い方だとこのぐらいの気中濃度になるという推定もできると思いますから、そのほうが、コントロール・バンディングよりは、正確なものができると思います。

  よく読むと、定量的な方法で許容濃度と比べるのがいいということは、ちゃんと新指針にも書いてあるのですけれども、目立つようには書いてないので、そこに注目してやっていただくとレベルの高いリスク評価ができるような気がしております。私としては、次回の指針改定のときには、もう少しその辺が目立つようにしてもらいたいと思います。旧指針ではもっと明確に許容濃度と比べる方法がいいということが書かれていたと思います。安全のほうも含めた指針になっていますので衛生の面では読みにくいという気がしております。

  これは私の個人的な感想です。

 

○堀口 ほかの法規制を含め、日本の法規制は後追い型となっていますが、海外各国に見られるような理念、考え方、方針でもって、法規制できるようにならないのでしょうか。特に化学物質は次から次へと問題物質が顕在化しています。どちらが、またはどちらが優位か検討され、現在の方式となったのであれば、お示しいただきたいという御意見です。

 

平川  先ほどの宮川先生の資料の中にもあったかと思うのですけれども、御懸念のところの後追い型という話がございましたので、そうならないように、平成 18 年度からは、先手を打てるようにリスク評価制度を入れております。

  今回、痛恨だったのは、リスク評価対象物質の評価結果でリスクが低いという結論が出た後、膀胱がんという事例が出てきてしまったということがございます。そういった反省材料をもとにして、リスク評価制度の充実を図ってまいりたいと考えております。

 

○堀口 ありがとうございます。

  日本は、厚生労働省の中で、リスク評価もリスク管理も扱っていますけれども、海外では、国によっては、評価は別の機関でやっていたりもします。

  酸化チタンのリスク評価における個人ばく露測定において、測定人数 59 人を選択した根拠、及び 59 人で統計的に十分とした理由について、わかれば、御教示ください。ノルマル−ブチル−2,3−エポキシプロピルエーテルなども、同様なのですけれどもということです。

 

平川  これにつきましては、リスク評価の中で、ばく露評価ガイドラインというものがございます。ばく露評価ガイドラインに沿いまして、出てきている有害物ばく露作業報告事業場数をもとにして、適正な事業場数、サンプル数を算出しまして、リスク評価に可能な数以上のばく露調査を行ってまいったということでございます。

 

宮川  今のものは、サンプルの数が少ないからリスク評価では不十分でかえって危険なのではないかという御意見なのか、あるいはサンプルサイズが少ないから統計的処理をすると 95 %の上側値はすごく大きくなってしまうので、リスクを過大に見積もっていることになっているのではないかという、2通りの考え方があるのですが、質問の趣旨がどちらかというのは、気になるところです。

  そういう意味では、サンプルの多いほうが5%値は平均値に近づいていきますので、それが少ないというのは厳しい結果が出る可能性はある。逆に言うと、多くのところに協力してもらわないといけないことになって、またいろいろと御迷惑をかけることにもなることがあると思います。

 

○堀口 酸化チタンについて、発がん性 IARC2B であるが、問題のもとになったデータは古く、試験条件でかなりのオーバードーズがあったと言われています。また、リプロダクティブトキシティーについては、判断できない(有用なデータがない)。以上により、カルシノゲンシティー、リプロダクティブトキシティーのデータをとり直す検討などは、されないのでしょうか。

  現在、多くのメーカーの SDS では、 GHS 分類がついておらず(区分外もしくは分類できない)、 SDS ラベルでは、有害性は低いように扱われており、法規制において、厳しい取り扱いが指示されるようになるところに、ギャップ感を感じますという御意見です。

 

宮川  二酸化チタンについては、ナノサイズの粒子が問題になったときにかなり注目を集めて、毒性関係ではそこに注目をした実験が行われたとは思うのですが、長期の発がん実験できれいなデータを出すというのは、お金もかかり一個人の研究者がやろうと思っても、なかなか難しいところです。これをやるのであれば、公的なところが相当のお金をかけて、吸入の発がん実験をやるということが必要で、これは億単位のお金がかかるものになると思います。しかも、やっても、2年、3年では出ません。実験だけで2年間の観察、準備等を入れると4〜5年かかるということなので、今これがどういう状況にあるかは、詳しくは知りませんけれども、そういうデータが出た段階で、もう少し明確なことが出てくると思います。

  ナノサイズのものを含めての話は、そういうことにしかならないと思うのですけれども、少なくとも大きなサイズについていうと、今はっきりしているのは、第2種粉じんとして、一般粉じん的なところしか扱いようがなかったというのが、大ざっぱにいうと今回のリスク評価の結果ではないかと思っております。

 

○堀口 どうぞ。

 

平川  現在、国といたしまして、酸化チタン(アナターゼ型)のナノ粒子の発がん性試験に着手しておりますので、報告させていただきます。

 

○堀口 酸化チタンの有害性評価の概要は、説明を聞きましたが、結局、人体へのリスクにおいて、何の影響が強いのか、よくわかりません。酸化チタンは、ナノとルチル、アナターゼで異なったリスク評価をすべきではないでしょうか。酸化チタンが特化物になる際には、適用除外される作業があると考えられますかということです。

 

平川  酸化チタンにつきましては、今後、健康障害防止措置の検討を行っていくということでございまして、具体的な適用除外の作業などにつきましては、今後の検討とさせていただくことになるかと思います。

  人体に関する有害性につきましては、現在ある所見に加え、新しい知見があれば、それも踏まえまして、今後検討を進めていくということになるかと存じます。

 

○堀口 酸化チタンについて、これまでの測定方法では、ナノ粒子とそれ以外の粒子の区別がつけられないとのことですが、区別できる測定方法の確立は、検討されているのでしょうか。

12 月の厚生労働省通達では、酸化チタンの全ての製造取り扱いが、リスク低減取り組み対象となっていますが、リスクの高い作業として確認されたのは、粉体塗装作業だけなので、今後の検討結果によっては、粉体塗装作業以外は、リスク低減取り組み対象から外れるのでしょうか。

 

平川  通達の中で、リスクが高かったものは、こういった作業ですということで、出させていただいております。ただし、実際にリスクアセスメントをしていく中では、通達に書かれているリスクが高かった作業のみ実施することなく、広範にリスクアセスメントに取り組んでいただければと考えております。

○堀口 どうぞ。

 

穴井  ナノとナノ以外をはかる機器につきましては、現在、ナノ粒子をはかる機械が市販化されたと聞いています。これからは、そういったものも含めて、測定方法も含めて、措置の段階でどういうふうにやっていくかということは、また検討されることになると思います。

 

○堀口 酸化チタンは、粉じんとして評価されていますが、ほかの粉末状固体については、粉じんとしての評価は行わないのでしょうか。

  また、有機物である粉末状固体は、第3種にしかなりませんかということです。

 

平川  リスク評価の中で、粉末状固体の物質についても、鋭意リスク評価を行っておりまして、リスクが高いとなったものについては、順次、措置検討を行い、必要に応じ規制化ということで、行っていくものでございます。

  あと、固体である有機物についても、たくさんあると承知しておりますので、リスク評価の対象になったものは調査を行いまして、規制する必要があるということであれば、規制を行っていくことになろうかと存じます。

 

○堀口 酸化チタンについて、粉体塗装とは、酸化チタンを含む粉体塗装を塗装する作業のみを指すのか、酸化チタンを含む液状の塗料、エアスプレー塗装、もしくはエアレススプレー塗装などで、塗料をミスト状にして塗装する方法だそうですが、それで塗装を行うものも含むのでしょうか。酸化チタンを物体塗装しているとは、酸化チタン単独を粉体塗装しているという意味で、酸化チタンを含む製剤(例えば塗料)を塗装することは含まれないと考えていいのでしょうか。

  ここでは、別途、粉体塗装となっていましたが、ボーダー塗装や屋外塗装については、どうなるのですか。塗装の話がたくさん出ています。

 

平川  リスク評価の際のばく露実態調査の状況から、顔料、染料、塗料または印刷インキとしての使用ということで、吹付塗装作業があり、その中で、粉体塗装、自動塗装作業があるということでございます。

 

○堀口 それは報告書か何かで、ホームページから見ることはできるのですか。

 

平川  これらの情報には、企業の競争上の地位に関わる情報もございますので、ホームページに出しているものではございません。

 

○堀口 なるほど。なので、質問してくださいね。

  チタンのお話ですが、塗料業界で使用する酸化チタンでは、粒子の周りに非晶シリカなどがコーティングされていますが、このような酸化チタンに対しても、今後、規制はかかるのでしょうか。

 

平川  今の話は、酸化チタンに非晶質シリカがコーティングされているものが、現にあるというお話だと承りました。非晶質シリカがコーティングされているものの状況とか、有用な情報がありましたら、またいろいろと聞かせていただければと思います。

 

○堀口 情報を収集しているところです。

 

宮川  先ほどの粉体塗装等はどういうものかということで、実際個別のところでどの程度細かくというのはいろいろ難しいところがあると思いますが、厚労省から公表されている酸化チタンの詳細リスク評価書、ナンバー 52 というもの、私の手持ちのところでは、5ページから6ページにかけて、先ほど示したスライドにもあるこういう作業でもって高かったということの個々の作業の説明として、例えば粉体塗料塗装作業 (105 ) 、清掃1回 ( 10 ) ( モップ ( 乾式 ) 、圧縮エアー清掃 ) とか、酸化チタンが含有されている白系の塗料を用いて金属製品の粉体塗装を行っていた云々という、私が示したスライドの中にある、個々の作業についての説明が載っているページがありますので、そこを眺めていただくと、今回の調査ではどういうところが調査され、どういうところで高い数値が出たかというのは、ある程度わかるようにはなっていると思います。

 

○堀口 それは公表されていますので、ぜひ参考にしてください。

  酸化チタンですけれども、粉体として、現在、食品や化粧品に使用されていますが、皮膚や口から入ることに対しても、危険性があるのか。それとも、吸入による肺への影響のみなのでしょうかという御質問です。

 

宮川  しばらく前に、ナノサイズのいろいろな粒子が問題になったときには、そこを言われましたけれども、少なくとも、現在、私の立場から言えるのは、国が公表している有害性評価書に書いてあるような有害性の報告があるということで、その中には、粉体状粉体状の二酸化チタンの皮膚や口からのばく露による影響は、ほとんど記載がなかったような気がいたします。

 

○堀口 それから、酸化チタンを粉体以外で取り扱う場合のリスクをどう考えればよいでしょうか。粉体と同程度か、あるいは低いのか、考えにくい。また、作業環境測定は、どのような方法で行い、どう評価すればよいのでしょうか。

 

宮川  少なくとも毒性に関しては、リスク評価の報告書を読んでいただくと、基本的には吸入によるものが、要するに一般粉じんとしての有害性につながるところが大きいという気がして、ほかの経路は、比較的問題のレベルが低いと思っております。

 

平川  最後のほうに、測定法に関してのお問い合わせがあったかと思いますけれども、これにつきましては、平成 28 年度化学物質リスク評価検討会報告書というものが、 12 16 日に出ておりまして、それぞれのリスク評価書の最後のところに、測定法ということが書いてございますので、この方法に基づいて、測定を行っているということでございます。

  あと、食品については、当然私どもの規制の範囲ではございませんし、当方の措置検討は、基本的に労働環境におけるばく露を中心にと考えております。

 

○堀口 似た感じなのですけれども、艶消し(酸化チタンの入っている綿)を加工しているのですが、リスク評価の必要性はありますか。加工時に綿の飛散は多いですが、酸化チタン濃度の測定方法がわかりませんということです。

 

平川  今の話は、艶消し、綿加工で、酸化チタンが出てくるような現場があるというお話だと理解いたしました。酸化チタンの用途は非常に広いと言われておりまして、 59 人のばく露実態調査を行いましたけれども、調査で把握した以外の用途もあるのではないかと考えております。そうした状況がございますし、また、艶消し、綿加工で、酸化チタンが出ている現場というのは、こちらとして、ぜひ把握しておきたいと思いますので、後からでも結構ですので、情報を教えていただきますようよろしくお願いいたします。

 

○堀口 終わりましたら、フロアからよろしくお願いします。

  酸化チタンに関しては、今後の法規制のスケジュールなどを教えてくださいという御質問と、あと、詳細リスク評価結果について、プラスチック用着色剤として、古くから多くの製品に使用されていて、特化則追加の情報も飛び交っています。特化則に追加されると、川上から下り、取り扱いメーカーにて、非常に大きな負担となるので、慎重に御検討くださいという御意見がありました。よろしいでしょうか。

 

穴井  検討はこれから始めます。3月中にキックオフということで、1回やって、先ほども申し上げたとおり、対象分野が非常に広そうなので、かなり多くの業界等からヒアリングをして、実態を把握しないと、どこの分野のどこの部分を本当に規制しなければいけないかということが、問題となると考えていますので、その辺は慎重にやりたいということで、普通の物質よりは、検討期間がかなり長くなるのではないかと、想像しています。

 

○堀口 大体読み終わったと思うので、次、アンチモンのほうにいきたいと思います。

  樹脂などにより固形化されることにより、粉じんを発散するおそれがない三酸化二アンチモンを取り扱う業務は、適用除外とありますが、固体、ペースト、液体の明確な定義は何なのでしようか。

  また、三酸化アンチモンを含有した塗料を使用する場合、工程途中で固化するが、この場合、どこまでが対処すべき塗料なのか。また、三酸化アンチモンを含有したエポキシ粉体塗料(粒径 50 ミクロン程度)を取り扱う場合、これは固体とみなすことができるのでしょうか。

 

平川  今の話は、先ほど室長から申し上げました、1月 31 日から3月1日、 30 日間のパブリックコメントで意見募集を行っている内容に関するものと思います。

  先ほどの話でいいますと、逆に、三酸化二アンチモンを1種類の揮発性溶剤に浸しているような場合を考えてみます。当然どんどん蒸発して、最後には三酸化二アンチモンしか残らない状態。これを特化則の適用除外にするのは難しいだろうという趣旨の意見があったものと承知しております。三酸化二アンチモンの製品には、硬化剤とか、いろいろまじっているようなものがあると、先ほどの話でも聞きましたし、いろいろと情報も入ってきています。そうしたものにつきましては、政省令を出す際に、考え方について通達でまとめて、公表させていただきたいと考えております。

 

○堀口 三酸化二アンチモンを1%以上含有する製剤を対象物質にされた、この1%の線引きの根拠は何ですか。

 

平川  東京の会場でも、全く同じような質問があったように承知しております。従来からリスク評価制度の中では規制対象の範囲を1%としております。これについては、コンタミなどが生じうる場合に、1%以下はコンタミと判断できるのではないかということでの線引きをしております。

 

○堀口 あと、三酸化二アンチモンについて、ラボ研究の取り扱い、グラム単位のものにも、作業主任者資格が必要ですか。発散抑制措置、作業環境測定の実施、または特殊健康診断の実施は、必要ですかということです。

 

平川  グラム単位ということでのお話でございましたけれども、グラム単位でも、ばく露する量と可能性から見れば、規制の対象にはなりうるところ、作業主任者の選任規定では、試験研究のため取り扱う作業は除外されますが、例えばグラム単位であっても、それをばく露すると、健康障害を起こすおそれがある可能性もございますので、十分に留意の上、ばく露防止対策をしっかりと行っていただきたいところです。

  その他、健康診断の関連の中で、「常時」というものがございます。法令適用の有無については、施行後、労働基準監督署に御相談いただければと思います。

 

○堀口 三酸化二アンチモンの作業環境測定方法は、吸入性粉じん(レスピラブル)なのでしょうか。総粉じんなのでしょうか。肺がんのリスクと聞いたので、吸収性粉じんでいいと思いますということです。

 

平川  規制の中身としては、アンチモンとして、 0.1mg/m3 ということで定めております。ただ、具体的な方法につきましては、告示が出た際に、通達等で、手法等を出させていただくことになろうかと存じますので、そちらで御確認いただければと思います。

 

○堀口 工具、保護具に付着した三酸化二アンチモン除去量の目安、あと、除去方法としては、どのような方法がよいのでしょうか。

 

平川  今の話につきましては、保護具に付着した三酸化二アンチモンの処理方法だと理解いたしました。これにつきましては、二次発じんを起こさないということで、それに十分留意の上、高性能の掃除機などで吸い取るとか、いろんな方法があるかと思います。いずれにしても、二次発じんの防止の観点から、除去する方法につきましては、御検討いただければと思います。

 

○堀口 三酸化二アンチモンの発散抑制において、集じん装置はだめですか。局所排気装置の性能について、フィルターはどの程度のものが必要でしょうか。

 

平川  今の話につきましては、製造炉における特殊な作業に係る全体換気装置及び除じん装置の内容だと思われます。これにつきましては、現在、特化則の9条の中で、除じん装置に係る規定などがございますので、こういったものも参考にして定めることとしております。

 

○堀口 洗浄設備が作業場所と同じフロアだけれども、離れているのですが、問題はないのでしょうか。許容されるのは、どのぐらいの範囲でしょうか。コンサルタントの人に相談するのが一番ですか。何か目安などはありますか。

 

平川  今の話で、どの条文が参考になるかは難しいのですけれども、特化則の 37 条に、休憩室の規定がございます。洗浄ののちには休憩室に入るのではないかと思われますところ、 37 条の休憩室に関する考え方を1つの参考にしていただければと思います。

  特化則の 37 条の第1項に、事業者は、第一類物質または第二類物質を、常時、製造し、または取り扱う作業に労働者を従事させるときは、当該作業を行なう作業場以外の場所に休憩室を設けなければならないということが書かれてございます。

  第2項に、事業者は、前項の休憩室については、同項の物質が粉状である場合は、次の措置を講じなければならないと書いてあります。そこに、入口には、水を流し、または十分湿らせたマットを置く等、労働者の足部に付着したものを除去するための設備を設けること。2には、入口には、衣服用ブラシを備えること。3には、床は、真空掃除機を使用して、または水洗によって容易に掃除できる構造のものとし、毎日1回以上掃除すること。

  第1項の解釈といたしまして、第1項の作業場以外の場所には、作業場のある建屋の内部の場所であって、作業場と確実に区画されている場所を含むことと書いてあります。

○堀口 似たような御質問なのですけれども、発じん、二次発じんの防止の範囲は、作業場全体に及びますか。取り扱い場所の周辺など、限定してもよいでしょうか。(掃除の範囲)ということです。床の構造など、具体的な様式などでの指針はありますか。

 

平川  掃除をする際に、二次発じんの防止ということが、1つ肝要になってこようかと思いますので、二次発じんを防止するための対応ということで、作業場での対策をお願いいたしたいと思います。真空掃除機というのは、よくいろんなところで出てくるかと思いますので、そうしたものを使うなど、御検討いただければと思います。(以下追記)作業場の床の構造については、特化則第 21 条に基づけば、不浸透性の材料で作らなければならないとなっておりますところ、「不浸透性の材料」には、コンクリート、陶製タイル、合成樹脂の床材、鉄板等があるとされております。

 

○堀口 適用除外作業で、樹脂などで固形化されるとありますが、液状のエポキシ樹脂に練り込まれて、粉じんの発散するおそれのない、液状化されたものも、除外の対象となりますか。

 

平川  先ほど申し上げましたとおり、例えば1種類の揮発性液体に単に浸してあるだけの三酸化二アンチモンであれば、液体自体が蒸発し、三酸化二アンチモンだけが残ってしまうことになるので、これは措置除外にはならないと思います。先ほどの意見では、エポキシ樹脂に混ぜ込まれたようなもので、液体が抜ければ、残りは樹脂で固形化されて発じんしないというものがあるとお伺いしました。考え方につきましては、引き続き検討していきたいと考えております。

 

○堀口 同様の御質問だと思いますが、一般電線製造業において、三酸化二アンチモンが使用されています。ただし、樹脂の形であるので、特段の配慮は不要ではないか。必要であれば、どのような作業工程を考えておけばよいですかという御質問がございました。

 

平川  先ほどと同じだと思いますが、固形物については、こちらで考え方を整理した上で、通達等への記載について検討してまいりたいと考えております。

 

○堀口 三酸化二アンチモンの作業主任者の選任で、現主任者にこのためだけの特別な講習などを受けさせる必要はありますか。現主任者をそのまま担当させてもよいでしょうか。

  それから、作業記録の作成は、床、窓枠、棚などの掃除作業も含みますか。

 

平川  最初の質問の作業主任者の件ですが、既に受けられている特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習の修了者であれば、引き続き作業主任者としての業務は実施可能と考えております。しかしながら、新しい規制が加わるということでございますので、既に作業主任者になられている方におかれましては、リスク評価書、措置検討会の報告書に加えまして、今回、穴井室長から申し上げました内容を十分に御理解の上、作業主任者として引き続きの御指導をお願いいたします。

 

○堀口 三酸化二アンチモンの健診、尿中のアンチモン量の測定ができる大阪での機関を教えてください。産業医の知識・能力が不足しており、行政として、どのように取り組まれますかという質問です。

 

平川  健診機関につきましては、具体的にどこがよいかということは紹介できないのですけれども、労働衛生課のほうに、今、言ったような、健診機関を教えてほしいという要望があったことは、お伝えさせていただきます。

 

○堀口 オルト−トルイジンの話にいきたいと思いますが、オルト−トルイジンの規制対象範囲が1%を超えて含有する製剤となっています。製造作業中に、一部、1%以上のものができた場合は、規制対象となりますか。

 

平川  1%を超えた物質を取り扱っているということであれば、その時点で、規制の対象と考えられます。特化則の適用でないような物についても、今回、膀胱がんの事案などが出ていることもありますので、しっかりとリスクアセスメントなどをやっていただきながら、ばく露防止対策を講じていくことが望まれます。

 

○堀口 特定芳香族アミン 24 物質の規制と、今回のオルト−トルイジンの規制に、整合性がないのではないですかという御質問があります。

 

平川  特定芳香族アミン 24 物質ということでございますけれども、同じ厚生労働省の医薬・生活衛生局が所管している法律で、家庭用品規制法に関するものということで、承知いたしております。生活環境と労働環境では対象が異なりますので、生活環境の部分で規制がかかるからといって、こちらでも自動的に規制がかかるというものではありません。労働環境の状況を踏まえて、必要な調査等を行いまして、規制をかける必要があるということであれば、かけていくという方針でやっているところでございます。

 

○堀口 私は、かつて、オルト−トルイジンの製造に従事していた者ですが、今度の法改正により、現役労働者の作業環境はかなり改善されると思われますが、退職という現役を離れると、健康診断も含め、何の法的保護もなくなります。オルト−トルイジン従事者には、退職後も健康診断を保障すべきだと思いますという御意見です。つけ加えることがあれば、お願いします。

 

(追加発言なし)

 

  オルト−トルイジンの化学防護手袋の通達で、 JIS 規格の手袋を指定されていますが、その透過性レベルでの指示はありません。クラス6が最もよいと思うのですが、クラス1でもいいのでしょうか。

 

平川  これにつきましては、ことしの1月 12 日付の厚生労働省労働基準局長通達、あと、同日付の厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課長事務連絡で、保護手袋に関しての選択の方法についての考え方を示させていただいております。作業で使用する化学物質の種類や使用時間に応じた耐透過性クラスの手袋を選んでいただくということで、お願いしたいと思います。

  あと、皆さんがこれまで余り意識していなかったこととして、翌日も手袋が繰り返し使えるのではないか、これはそうではないのです。繰り返し使えるものではなくて、1回使ったら、その化学物質がどんどん浸透していくということなので、基本的には繰り返し使うというのは、よろしくないということで、これはQ&Aに書いておりますので、手袋の使用については、通達などを見ていただいて、対応をお願いいたしたいと思います。確かに一番高いレベルは、非常に値段も高いということもあって、確かに経済的な負担があるかと思いますので、実際の作業時間等を踏まえて、効果的な手袋の使用選択をお願いいたします。

 

○堀口 スライド 12 で、1月の通達は、オルト−トルイジン限定だと説明をいただきましたが、例えば保護衣の着用が義務となる特定化学物質などには、適用されない通達だと考えてよろしいのでしょうか。

 

○平川 基本的な考え方ですので、考え方としては、物質一般と考えていただいていいと思います。ただ、具体的に何をやればいいのかという話になったときには、具体的に測定したデータというのは、極めて少ないので、具体的にメーカーさんに問い合わせていただいて、こういう手袋が欲しいですという交渉をしていただくというのは、もちろんあるかと思います。メーカーさんでなければ、業界団体もありますので、そこで相談していただければいいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

○堀口 不浸透性保護衣等の着用が義務とされる、皮膚に障害を与え、もしくは皮膚から吸収されることにより、障害を起こすおそれがあるもの等は、具体的にどのようなものか。また、保護衣などでは、眼鏡、手袋、長靴がセットで必要でしょうか。業務内容にあわせて、手袋は着用しても、靴は通常の安全靴とすることでもいいのでしようか。

 

平川  前者の質問につきましては、特化則 44 条第1項の規定についてのことだと思います。これにつきましては、特化則第 44 条の第2項の物質は、全て含まれるという理解でお願いいたします。

  あと、その他の物質につきましては、従来から出ております平成 15 年8月 11 日付け基発 0811001 号「化学物質等による眼・皮膚障害防止対策の徹底について」の通達があったと思います。そちらの通達の中で例示列挙されておりますところ、それらの物質のほか、 GHS で皮膚に関する勧告がされているようなものについて、対応をお願いできればと思います。

  あと、保護衣を全部使用しなければいけないのかという御質問だったかと思いますけれども、これにつきましては、基本的にばく露される部分については、全てセットでつけていただきたいと思いますが、ここには絶対にかからないということであれば、そこの部分については、要らないということになろうかと思いますけれども、きちんと調査とか、検証をして、対処をお願いできればと思います。

 

○堀口 オルト−トルイジンや三酸化二アンチモンを屋外で取り扱う場合は、発散抑制装置の設置 や作業環境測定について、どのように対応すればよいのでしょうか。

 

○平川 発散抑制装置、作業環境測定のいずれも屋外作業場には義務づけられておりませんが、屋外作業場における作業環境測定の手法として、個人サンプラーを用いた方法が、「屋外作業場等における作業環境管理に関するガイドライン」として示されていますので、参考としてください。

 

○堀口 オルト−トルイジンや三酸化二アンチモンなど、措置対象物質となった場合は、製造や取り扱いに許認可が必要になるのですか。また、許認可がある場合、求められた措置をとる以外に、必要な要件はありますか。基本的なことだが、輸送などに携わる人に対して、何か措置が必要ですか。

 

○平川 今回のオルト−トルイジンも、三酸化二アンチモンも共通でございますけれども、第二類物質である場合には、製造するに当たりましての製造許可は必要ございません。ただし、実際にそれらを取り扱う場合、局所排気装置などを含めた、発散抑制装置を新設等する場合には、計画届の提出の必要がございますので、新たな発散抑制装置の設置、改修を行う場合には、事前に労働基準監督署等に御相談いただいて、必要な手続をとっていただくように、お願いいたします。

  ただし、三酸化二アンチモンを製造されているところにつきましては、既にその設置がされているということであれば、現時点である設備について届け出は必要ないという経過措置を設ける予定です。

 

○堀口 特化則による保護衣などの着用義務物質について、経皮吸収が勧告されている物質は、どこを見ればよいですか。エチルベンゼン、メチルイソブチルケトンは、どこを見ればいいですか。

 

○平川 エチルベンゼン、メチルイソブチルケトンにつきましては、特化則第 44 条の第2項に入っておりません。入っていない理由は、 ACGIH とか、日本産業衛生学会で経皮吸収の勧告がされていないということでございます。

 

○堀口 オルト−トルイジンに関して、経皮吸収による発がん性がありましたが、 2BP などは、経皮吸収と発がん性メカニズムについて、関係が明らかではないが、新たにデータをとるような検討はされないのでしょうか。

 

○平川 これは、2―ブロモプロパンについての問い合わせということで、よろしいでしょうか。これについては、今、リスク評価は、初期評価が終わりまして、今後は詳細ということになります。新しいデータがとれるようでしたら、新しいデータも反映させた上で、詳細評価につなげてまいりたいと考えております。

 

○堀口 残りが少なくなってきましたが、有害性ばく露作業報告は、国から事業場に質問、ワークシートまたは OCR がきて、 500 キログラム以上使用していると、お答えすると認識しているのですが、それでよろしかったですかという確認です。

 

○平川 事務的な手続について、御説明させていただきます。

  有害物ばく露作業報告につきましては、毎年、 12 月の下旬に厚生労働省告示として、こういった物質が、有害物ばく露作業報告の対象ですということで、お知らせをしております。

  今年度の 12 月に公表したものは、7物質ございます。

昨年度の 12 25 日に公表したものは、たしか 18 物質だったかと思いますけれども、ことしの1月から3月までに、労働基準監督署に報告していただくということになっております。

  この報告でございますけれども、本省や労働局や労働基準監督署から様式を送るものではございません。厚生労働省のホームページや、労働基準監督署に様式を置いていますので、報告が義務づけられる事業場さんが入手した様式に書き込んでいただいて、提出をいただくものでございまして、国勢調査のように、あらかじめ様式を送って、そちらに書いてくださいという形式ではございませんので、監督署にお伺いするなどして、様式を入手して、そちらに書き込んで、提出をいただくという制度でございます。よろしくお願いいたします。

  既に平成 27 12 月に告示しております分につきましては、現在、報告を受付中でございます。ホームページに対象物質を掲載しておりますので、そちらで御確認いただき、物質ごとに集計の上、監督署に御提出をお願いいたします。

 

○堀口 スライド 44 で、平成 28 年度の評価物質として、7物質が選定されていますが、塩化水素や硝酸などは、既に特化則で指定されています。リスクが高かった場合、どのような措置になるのですかということです。

 

○平川  IARC で発がん性が指摘されている強酸性ミストに係る根拠文書に記載されている4物質につきましては、既に特定化学物質の特定第二類物質又は第三類物質になっています。

  似たようなケースで申し上げますと、制度が始まった当初の有害物ばく露作業報告の対象物質にはホルムアルデヒドがございました。ホルムアルデヒドは、当時、特定化学物質の第三類物質ということでしたけれども、発がんの指摘があるということで、特に IARC のグループ1にございましたので、有害物ばく露作業報告を行い、その後、リスク評価の結果、特定化学物質の特定第二類物質に入れるということになりました。

  このように、第三類物質であっても、規則中の区分が変わっていく可能性もございますので、そういった形があるということで、御留意いただければと思います。

 

○堀口 リスク評価開始以降の特化則を初めとした法改正に対して、事業場の責任者に対して、どのようにしてレベルアップを図れば、効果的に取り組めるでしょうか。今後の効果的な取り扱い方についての教育方法を提示していただけないでしょうかという御要望だったり、あと、社員教育をどのように行えばよろしいのでしょうか、発がん性の話を行うと、会社をやめる可能性があるのではというお話がありました。

  それから、経皮吸収の保護具は、具体的に何を見て、どのタイプを選択すればよいのでしょうかという御質問があります。

 

○平川 今、言ったところで、事業場さんのみで、なかなか難しいという問題は、確かにあると思います。中央労働災害防止協会や日本化学工業協会でいろいろなサポートをやっているということも聞いておりますし、あと、皆様方が入っている団体さんに御相談いただくとかして、効果的な相談を受けていただくということで、お願いできればと思います。冒頭での法令等の相談等はございますけれども、実務的なサポートということでは、なかなか難しいところがございますので、御相談いただきながら、活用いただければと思います。

 

○堀口 御要望ですが、規制を行う場合、リスクの高い作業のみに規制がかかるように条文を書いてほしい。例えばエチルベンゼンを含む塗料を制御フードとかの管理されたブースで塗装する場合は除外するなど、配置転換後も特殊健診を必要とするものがあるが、その場合は、尿中代謝物を除くと明文化してほしい。エチルベンゼンを取り扱っていないのに、尿中にマンデル酸が出ることはないのではないですかといったお話です。対応する部署がなかったりしますね。

 

○平川 健康診断に関する問い合わせということでの個別具体的な話だと思いますので、それにつきましては、厚生労働省の労働衛生課に御相談いただければと思います。( 以下補足 )現行特化則のエチルベンゼンの健康診断では、「尿中マンデル酸の量の測定」は業務従事者のみとなっております。適用除外につきましては、オルト−トルイジンの場合、適用除外業務はなかったのですが、三酸化二アンチモンや、その他一部の化学物質につきましては、適用除外業務があるものもありますので、措置検討の結果、リスクが低いとされる業務は、適用除外していく方向で進めておりますので、議論の内容等をまた御参考にしていただければと思います。

 

○堀口 福井の事業場では、オルト−トルイジン以外の芳香族アミンを扱っています。発症者の中には、オルト−トルイジン以外を中心的に扱った労働者もいますが、オルト−トルイジンを原因物質とする理由は、どこにあるのでしょうか。原因物質を広く検討すべきではないでしょうかという御意見です。

 

○平川 実際にいろいろな現場実態調査を行いまして、その結果として出された結論であると承知しております。

  その中で、労災の結論と化学物質のばく露防止対策は、法令も違います。こちらとしては、規制の必要があるとされた化学物質につきまして、順次、規制を行っていくこととしております。

 

○堀口 リスク評価の講演では、個人ばく露測定を中心に説明があったのですけれども、ほかのデータ、スポット測定A、Bとの値の差があったと思います。作業環境測定は、これから個人ばく露測定で評価され、管理区分については、明確に決まっているのですかということです。

 

○平川 ばく露実態調査の中で、作業環境測定、スポット測定、粉じんばく露測定という形で、いろんな測定手法で測定をしています。現在、リスク評価の中で、ヒトのばく露に一番近いところの個人ばく露測定をベースに、リスク評価にはそれを使っているということでございます。

  今後の作業環境測定の話だと思いますけれども、現状、できる内容を踏まえて、どういった形で、今後、作業環境測定の検討を進めていくかというのは、正直、こちらの所管ではない部分もございますが、最新の情報、最新の技術を踏まえて、検討が進んでいくのだろうと思います。

 

○堀口 あと、何人か書いていらっしゃるのですけれども、今回の講演の内容ではない、リスク評価だったりします。でも、どうしても質問をしたいという方は、済みませんが、手を挙げていただいて、今までのお答えのプラスアルファであったり、それならこれはどうなるのか、聞いてみたいことなどがありましたら、残りの時間が 10 分になったので、挙手をしていただければと思います。

  後ろの方、どうぞ。

 

○   御苦労さまです。

  今、福井県で多発している方々をフォローしている労働組合のものなのですけれども、先ほどのばく露評価のところで、測定自体を否定しているわけではないですし、大事なことだと思うのですが、昨年の報告の中に、オルト−トルイジンの尿中濃度をはかってみたら、たくさん出てしまっていたということがありました。もし従来の環境測定だったら、ほとんどトルイジンは出てこなかったと思います。ですけれども、生物化学的なモニタリングをやったら、出ていた。ということは、ばく露がありますと逆算的に考えて、あの場合は、経皮吸収だという推論をされたわけです。ですけれども、これは、今のところ、事実ではないのです。幾らゴム手を変えても、出てしまうのです。ですから、まだばく露の経路は、明らかになっていないというのが実態なのです。だから、この問題は慎重に扱うべきだと思っていますので、その点が1つです。

  測定は全く否定しないのですけれども、生物化学的なモニタリングだったり、チアノーゼは出ていないか、吐き気がしているとか、そういう人が、実際この職場にはたくさんいたのです。そういうことの聞き取りをすれば、ばく露の様子というのは、わかったのではないかと思いまして、言わせていただきました。

  それから、リスクアセスメントとか、 SDS の周知に関しては、努力義務というよりは、きょう、先生に示していただいたピラミッドなのですけれども、全く大きさが違うと思います。6万とか、7万の中にほんのちょっとでした。あの絵は変えてほしいと思うのですけれども、ほんのちょっとだけが規制で、あとは努力義務ということは、科学者の方は、真面目な方が多いので、努力されているとは思うのですが、まだまだ日本の労働現場の中では、こういった対応をしない、あるいは知らない事業場が多いのです。ほかの県でも相談を受けているのですけれども、粉じんの中で作業をしていて、ちょっと前に、肺がんで若い人が亡くなっているとか、そういう報告もありますので、 SDS 周知というのは、全部義務にしてほしいと思っているところです。

  それから、整理するために、1つだけ言わなければいけないと思っているのは、今、オルト−トルイジンとなってしまっていますけれども、それだけでも否定しませんが、このばく露に関しては、皮膚吸収に限らないという、去年の報告書があります。まさか人体実験はできませんから、現場を改善して、これで大丈夫だろうと思って、ちゃんときれいにして、試行的に生産したのです。そうしたら、尿をはかったら、すごい濃度が出てきてしまった。これは大変だということで、報告書が出たと思います。ですから、きれいにした後でも、経皮吸収が考えられるという報告書で、今回、多発した現場では、経口とか、経気道があったと明確に書いてあります。ですから、あの原因は、別に経皮吸収だけではない。ほかの原因もたくさんあったということで、考えておいていただきたい。

  最後に、芳香族アミンの化合物がもし体の中に入ったときにどうなのか。先ほどの1%という議論ではなくて、粉体自身は、体の中に入ると、これを分解する酵素を人間は持っているわけです。医薬品の世界でいえば、フェナセチンというお薬があったと思いますけれども、これが体の中で代謝して、芳香族アミンになったから、使用中止になったという経過があります。ですから、今回も、実際、作業者のばく露というのは、圧倒的に粉体が多いのです。だから、粉体も疑ってかかっていくべきではないかと、今のところ思っていますけれども、今後、厚労省を応援していきたいと思います。

40 名ぐらいの職場で、7人が認定されて、あの後、さらに2人、膀胱がんが出ています。今、9名出てしまっているのです。だから、濃厚ばく露された集団だと思いますので、今後ともフォローをよろしくお願いしたいと思います。

  以上です。

 

○堀口 ありがとうございます。

  ほかにフロアから御質問などはございますか。どうぞ。

 

○   リスク評価の制度ですけれども、大阪で胆管がんが出たのは、平成 24 年です。ちょうどこのころに、いわゆる化学物質の 640 物質の確認班が編成されて、全ての化学物質ということで、事業者の判断でという方向に、考え方がかなり変わっていったと思いますけれども、そのときに大阪でも発生したので、いわゆる 640 物質の発がん性が懸念されるような物質については、かなり加速してリスク評価をしよう、たしか 10 年で評価を加速させようということが、当時、言われたと思います。今、リスク評価の全体の速度、それだけをこのぐらいでというのがなかなか見えなくて、いわゆる 640 物質から特化則に入っていく物質が、少しずつふえていくというところは、わかるのですが、全体の絵、時間軸が見えないので、その辺がおわかりでしたら、お示しいただきたいと思います。

 

○平川 胆管がんの問題が起こりましてから、( 640 物質ということではなく、)規制されていない、どこにも勧告されていないような物質で、現に製造されているような物質、化審法で名称が公表され一定量が製造されている物質については、発がん性情報や遺伝毒性情報があるかないかも含めて、 25 年から文献調査やスクリーニング試験を行っております。

  あと、得られた情報については、行政検討会である、発がん性評価ワーキンググループや遺伝毒性評価ワーキンググループの中で評価等を行い、さらに詳細に調査が必要なものがあれば、継続して調査をしていくという取組を行っております。

 

○堀口 宮川先生からございますか。

 

○宮川 リスク評価に関連する検討会等に入っていると、以前よりは積極的なことを行政も考えているとメンバーの1人として感じております。中期発がん試験で実際に発がん試験をするものの数をふやすというのもその1つかと思いますし、モデル SDS をつくる数は減らずに、毎年のように、数百物質実施していますし、そういう意味では、自主的なリスク評価とか SDS の利用についても、裾野は広がりつつあるという気がしています。

  努力義務は、平成 24 年の前から、 SDS についても、リスク評価についてもかかっていたと思いますので、世の中の状況を認識していただいて、各事業主様にしっかりとそれをやっていただくのがよろしいかと思います。むしろ SDS の義務を 640 に限ったときに、もっと広げろ、全部にしろという議論もあって、そのときには、そこまではということに落ち着いたと思うのですけれども、逆に言うと、せっかく許容濃度があって、適切な管理の基準が示されているのに、 640 物質に入るのが、「有害なものだ」、「入れてほしくない」と思われてしまう。逆に、許容濃度等を確認して、このぐらいのレベルで抑えれば大丈夫だというのは、かえって管理をしやすい、使いやすい物質であるということもあるので、そういう意味では、何もわからない物質よりは、ある程度わかっているものをきちんと使うというのが重要ではないかと、個人的には考えております。

 

○堀口 ありがとうございました。

  済みません。4時半になりました。

  そのほか、御質問がある方は、別途、フロアで、後ほどしていただければと思います。

  一旦、お時間がきましたので、これにて終了させていただきます。

  皆さん、御協力どうもありがとうございました。(拍手)

 

○司会者(森田) 先生方、厚生労働省の皆様、本日は、本当にありがとうございました。

  以上で、第3回「化学物質のリスク評価に係るリスクコミュニケーション」を終了いたします。

  皆様、御参加いただきまして、まことにありがとうございました。

  今後の参考といたしますので、できましたら、水色のアンケート用紙に御記入いただきまして、会場出口の係の者にお渡しいただけますよう、お願いいたします。

  また、お配りいたしました、赤と青のカードですけれども、こちらも同じように、出口の係へお渡しいただければと思います。よろしくお願いいたします。

  本日は、お越しいただきまして、まことにありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省労働基準局安全衛生部
化学物質対策課化学物質評価室
電話03(5253)1111(内線5511)

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